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特表2024-515819メタン酸化活性を有する新規タンパク質
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】メタン酸化活性を有する新規タンパク質
(51)【国際特許分類】
   C12N 9/04 20060101AFI20240403BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240403BHJP
   C12P 1/04 20060101ALI20240403BHJP
   C12P 7/04 20060101ALI20240403BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240403BHJP
   C12N 15/53 20060101ALN20240403BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20240403BHJP
   C12N 15/63 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
C12N9/04 Z ZNA
C12N1/21
C12P1/04 Z
C12P7/04
C07K19/00
C12N15/53
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566433
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 KR2022005480
(87)【国際公開番号】W WO2022231183
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】10-2021-0056793
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518107501
【氏名又は名称】コリア ユニバーシティ リサーチ アンド ビジネス ファウンデーション
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】145,Anam-ro,Seongbuk-gu,Seoul,Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】リー, ジー ワン
(72)【発明者】
【氏名】ユー, イェオン フワー
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ヨー ビン
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AC02
4B064CA02
4B064CA19
4B064CD04
4B064CD30
4B064DA16
4B065AA26X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA05
4B065CA54
4B065CA60
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045CA11
4H045EA60
4H045FA72
4H045FA74
(57)【要約】
本発明は、メタン酸化活性ドメインと、FAD(flavin adenine dinucleotide)結合ドメインを含む電子伝達ドメインとが融合したフェリチン単量体が自己集合しているタンパク質に関し、生体内のNADHを還元剤として用いてメタンを酸化できるので、別の還元剤の使用なしにメタンをメタノールに酸化できるタンパク質、それを発現する微生物、それを活用したメタノール製造用組成物、メタノールの製造方法に関する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタン酸化活性ドメインと電子伝達ドメインとが融合したフェリチン単量体が自己集合している、タンパク質。
【請求項2】
前記メタン酸化活性ドメインは、pmoB1(Particulate methane monooxygenase alpha subunit_domain 1)、MMOH(Soluble methane monooxygenase hydroxylase)またはamoB1(Ammonia monooxygenase beta subunit_domain 1)である、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項3】
前記pmoB1は配列番号1のアミノ酸配列からなり、MMOHは配列番号2または3のアミノ酸配列からなる、請求項2に記載のタンパク質。
【請求項4】
前記amoB1は、配列番号4のアミノ酸配列からなる、請求項2に記載のタンパク質。
【請求項5】
前記電子伝達ドメインは、FAD(flavin adenine dinucleotide)結合ドメインを含む、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項6】
前記電子伝達ドメインは、配列番号5または6のアミノ酸配列からなる、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項7】
メタン酸化活性ドメインが融合したフェリチン単量体およびFAD結合ドメインを含む電子伝達ドメインが融合したフェリチン単量体が自己集合している、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項8】
前記フェリチン単量体は、MMOB(Methane monooxygenase regulatory protein B)がさらに融合したものである、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項9】
前記MMOBは、配列番号7または8のアミノ酸配列からなる、請求項8に記載のタンパク質。
【請求項10】
前記メタン酸化活性ドメインは、MMOH(Soluble methane monooxygenase hydroxylase)であり、前記MMOBは、MMOHが融合したフェリチン単量体に融合したものである、請求項8に記載のタンパク質。
【請求項11】
前記メタン酸化活性ドメインは、MMOH(Soluble methane monooxygenase hydroxylase)であり、前記MMOHおよび前記電子伝達ドメインが融合したフェリチン単量体と、MMOBが融合したフェリチン単量体とが自己集合している、請求項8に記載のタンパク質。
【請求項12】
前記MMOBは、配列番号7または8のアミノ酸配列からなる、請求項11に記載のタンパク質。
【請求項13】
前記フェリチン単量体は、ヒトフェリチン重鎖単量体である、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項14】
前記各ドメインは、フェリチン単量体のα-ヘリックスの内部、隣接するα-ヘリックスの間、N末端、C末端、ABループ、BCループ、CDループ、DEループ、N末端とAヘリックスの間、およびEヘリックスとC末端の間からなる群より選択されるいずれか1つに融合したものである、請求項1に記載のタンパク質。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載のタンパク質を発現する微生物。
【請求項16】
前記微生物は、フェリチン単量体をコードする遺伝子、メタン酸化活性ドメインをコードする遺伝子、およびFAD(flavin adenine dinucleotide)結合ドメインを含む電子伝達ドメインをコードする遺伝子を含むベクターが導入されたものである、請求項15に記載の微生物。
【請求項17】
前記メタン酸化活性ドメインをコードする遺伝子およびFAD結合ドメインを含む電子伝達ドメインをコードする遺伝子は、1つのベクターに含まれるか、または2つのベクターにそれぞれ含まれる、請求項16に記載の微生物。
【請求項18】
前記微生物は大腸菌である、請求項15に記載の微生物。
【請求項19】
前記微生物は、FDH(formate dehydrogenase)をさらに発現する、請求項15に記載の微生物。
【請求項20】
請求項1~14のいずれか一項に記載のタンパク質または請求項15~19のいずれか一項に記載の微生物を含む、メタノール製造用組成物。
【請求項21】
請求項20に記載の組成物をメタンガスと反応させるステップを含む、メタノールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタン酸化活性を有する新規タンパク質に関する。
【背景技術】
【0002】
メタン酸化細菌(methanotrophs)由来のメタン酸化酵素(Methane monooxygenase,MMO)は、常温常圧の穏やかな条件下でメタンガスを含む様々な炭化水素(C1-C8)の酸化反応を触媒して高付加価値の産物を生産できる非常に有用なバイオ触媒であり、これを活用するバイオプロセスの開発に世界的な関心が集中されている。
【0003】
また、類似系列の酵素として、ニトロソモナス・ユーロピア(Nitrosomonas europaea)由来のアンモニア酸化酵素(Ammonia monoxygenase,AMO)などが、メタン酸化酵素と類似した機序で広い範囲の炭化水素(C1-C10鎖状/ハロゲン化炭化水素、単/多環状芳香族炭化水素)に対して酸化反応を触媒できる有用なバイオ触媒であるが、現在までに3D構造、活性ドメインの究明、反応メカニズム、基質特異性などの基礎研究が非常に不十分である。
【0004】
現在、メタンガスの化学プロセスによるメタノールの生産は工程が複雑で副産物(二酸化炭素、シンガス(syngas)など)による環境汚染の誘発、低反応転化率、高温、高圧の反応条件に起因する高エネルギー消費など、技術面、環境面、経済面で多くの問題を抱えている。また、メタンガスは、高価な輸送、貯蔵コストに起因する経済性の低下、および流出時の深刻な温室効果の誘発などの問題により、地元のガス田に容易に連携できる小規模バイオプラントを用いたメタノールの生産が技術面、経済面で非常に有利である。
【0005】
バイオプロセスの開発努力により、メタノール以外の他の高付加産物を生産するためのメタン酸化細菌の代謝工学的な菌株の改良が試みられているが、遺伝工学的ツールの活用の限界、菌株の難培養性による問題などがあり、メタン酸化酵素を大量生産するために産業用菌株を用いて異種発現することは、水溶性タンパク質の発現が難しく、酵素複合体の精密な相互作用が求められるなどの高い技術的難易度のため産業的活用の成功事例がない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、優れたメタン酸化能を有するタンパク質を提供することを目的とする。
【0007】
本発明は、前記タンパク質を発現する微生物を提供することを目的とする。
【0008】
本発明は、前記タンパク質または微生物を含むメタノール製造用組成物を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、前記タンパク質または微生物を用いたメタノールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
1.メタン酸化活性ドメインと電子伝達ドメインとが融合したフェリチン単量体が自己集合している、タンパク質。
【0011】
2.前記項目1において、前記メタン酸化活性ドメインは、pmoB1(Particulate methane monooxygenase alpha subunit_domain 1)、MMOH(Soluble methane monooxygenase hydroxylase)、またはamoB1(Ammonia monooxygenase beta subunit_domain 1)である、タンパク質。
【0012】
3.前記項目2において、前記pmoB1は、配列番号1のアミノ酸配列からなり、MMOHは、配列番号2または3のアミノ酸配列からなる、タンパク質。
【0013】
4.前記項目2において、前記amoB1は、配列番号4のアミノ酸配列からなる、タンパク質。
【0014】
5.前記項目1において、前記電子伝達ドメインは、FAD(flavin adenine dinucleotide)結合ドメインを含む、タンパク質。
【0015】
6.前記項目1において、前記電子伝達ドメインは、配列番号5または6のアミノ酸配列からなる、タンパク質。
【0016】
7.前記項目1において、メタン酸化活性ドメインが融合したフェリチン単量体およびFAD結合ドメインを含む電子伝達ドメインが融合したフェリチン単量体が自己集合している、タンパク質。
【0017】
8.前記項目1において、前記フェリチン単量体は、MMOB(Methane monooxygenase regulatory protein B)がさらに融合したものである、タンパク質。
【0018】
9.前記項目8において、前記MMOBは、配列番号7または8のアミノ酸配列からなる、タンパク質。
【0019】
10.前記項目8において、前記メタン酸化活性ドメインは、MMOH(Soluble methane monooxygenase hydroxylase)であり、前記MMOBは、MMOHが融合したフェリチン単量体に融合したものである、タンパク質。
【0020】
11.前記項目8において、前記メタン酸化活性ドメインは、MMOH(Soluble methane monooxygenase hydroxylase)であり、前記MMOHおよび前記電子伝達ドメインが融合したフェリチン単量体と、MMOBが融合したフェリチン単量体とが自己集合している、タンパク質。
【0021】
12.前記項目11において、前記MMOBは、配列番号7または8のアミノ酸配列からなる、タンパク質。
【0022】
13.前記項目1において、前記フェリチン単量体は、ヒトフェリチン重鎖単量体である、タンパク質。
【0023】
14.前記項目1において、前記各ドメインは、フェリチン単量体のα-ヘリックスの内部、隣接するα-ヘリックスの間、N末端、C末端、ABループ、BCループ、CDループ、DEループ、N末端とAヘリックスの間、およびEヘリックスとC末端の間からなる群より選択されるいずれか1つに融合したものである、タンパク質。
【0024】
15.前記項目1~14のいずれかに記載のタンパク質を発現する微生物。
【0025】
16.前記項目15において、前記微生物は、フェリチン単量体をコードする遺伝子、メタン酸化活性ドメインをコードする遺伝子、およびFAD(flavin adenine dinucleotide)結合ドメインを含む電子伝達ドメインをコードする遺伝子を含むベクターが導入されたものである、微生物。
【0026】
17.前記項目16において、前記メタン酸化活性ドメインをコードする遺伝子およびFAD結合ドメインを含む電子伝達ドメインをコードする遺伝子は、1つのベクターに含まれるか、または2つのベクターにそれぞれ含まれる、微生物。
【0027】
18.前記項目15において、前記微生物は大腸菌である、微生物。
【0028】
19.前記項目15において、前記微生物は、FDH(formate dehydrogenase)をさらに発現する、微生物。
【0029】
20.前記項目1~14のいずれかに記載のタンパク質、または請求項15~19のいずれかに記載の微生物を含む、メタノール製造用組成物。
【0030】
21.前記項目20に記載の組成物をメタンガスと反応させるステップを含む、メタノールの製造方法。
【発明の効果】
【0031】
本発明のタンパク質はメタン酸化活性を有し、生体内のNADHをメタン酸化に必要な還元剤として用いることができる。
【0032】
本発明のタンパク質を用いたインビボ(in vivo)のメタノールの製造には、別の還元剤の導入が不要である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1図1a~cは、各実施例で使用するベクターの概略図である。
図2図2は、各実施例で製造された組換えタンパク質の発現率および細胞質溶解度を示すものである。
図3図3a、bは、実施例で製造されたcMMO、cAMO、sMMO-mimicsを含む組換えタンパク質が自己集合体を形成することを確認したものである。
図4-6】図4a~6dは、実施例で製造されたcMMO、cAMO、sMMO-m3を含む組換えタンパク質のEXAFS(Extended X-ray absorption fine structure)、EPRおよびXANESの分析結果である。
図7図7は、実施例で製造されたcMMO、cAMO、sMMO-mimicsを含む組換えタンパク質のメタンガス酸化活性を確認したものである。
図8図8は、実施例で製造されたcMMO、cAMO、sMMO-m3の13C-メタンガス酸化活性を確認したものである。
図9図9は、メタン酸化活性ドメインと、[2Fe-2S]およびFAD結合ドメインを含む電子伝達ドメインとが融合した組換えタンパク質のメタンガス酸化活性を確認したものである。
図10図10は、cAMO、sMMO-m3タンパク質を発現する大腸菌ライセート(lysate)のメタンガス酸化活性を確認したものである。
図11図11は、cAMO、sMMO-m3タンパク質を発現する大腸菌ライセート(lysate)の13C-メタンガス酸化活性を確認したものである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0035】
本発明は、メタン酸化活性ドメインと電子伝達ドメインとが融合したフェリチン単量体が自己集合しているタンパク質に関するものである。
【0036】
本発明のタンパク質は、メタン酸化活性および電子伝達活性を示すことができる。
【0037】
メタンは、下記数学式1の反応によって酸化してメタノールを形成できるが、本発明のタンパク質は、メタン酸化活性ドメインと電子伝達ドメインとが融合したフェリチン単量体が自己集合したものであり、還元剤であるNADHを用いてメタン酸化反応を行うことができ、特に、インビボ(in vivo)で反応時に体内のNADHを活用することができる。このため、別の還元剤の使用が不要である。
【0038】
[数学式1]
CH+O+NAD(P)H+H→ CHOH+NAD(P)+H
【0039】
メタン酸化活性ドメインは、メタンを酸化する活性を有するドメインであり、メタン酸化酵素における活性部位を含むドメインであるか、またはメタン酸化酵素に由来するものでなくても、配列または構造的類似性などによりメタン酸化能を有する酵素の活性部位を 含むドメインであれば、いずれも使用可能である。
【0040】
本発明でメタン酸化活性ドメインとしては、例えば、pmoB1(Particulate methane monooxygenase alpha subunit_domain 1)、MMOH(Soluble methane monooxygenase hydroxylase)、amoB1(Ammonia monooxygenase beta subunit_domain 1)などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。MMOHはMMOHαであってもよい。より具体的には、例えば、pmoB1は配列番号1のアミノ酸配列を含むものを用いることができる。MMOHは、配列番号2または3のアミノ酸配列を含むものを用いることができる。amoB1は、配列番号4のアミノ酸配列を含むものを用いることができる。
【0041】
電子伝達ドメインは、例えば、FAD(flavin adenine dinucleotide)結合ドメインを含むことができる。
【0042】
FAD結合ドメインは、sMMO(soluble MMO(Methane monooxygenase))由来のものであってもよく、具体的には、その構成要素の1つであるMMORのFAD結合ドメイン(MMOR)であってもよい。
【0043】
電子伝達ドメインは、FAD結合ドメインを含むものであり、これはFAD結合ドメインのみからなっていてもよく、MMORにおいてFAD結合ドメイン以外に追加の部分をさらに含んでもよく、FAD結合ドメイン以外に2Fe-2Sドメインの少なくとも一部をさらに含んでもよく、FAD結合ドメインおよび2Fe-2Sドメインを含んでもよい。例えば、電子伝達ドメインとしては、配列番号5または6のアミノ酸配列を含むものを用いることができる。
【0044】
本発明のタンパク質は、メタン酸化活性ドメインと電子伝達ドメインとが融合したフェリチン単量体が自己集合したタンパク質であり、前記各ドメインは、1つのフェリチン単量体内に全て融合したものであっても、各フェリチン単量体にそれぞれ融合したものであっても、これらが混合されたものであってもよい。
【0045】
つまり、本発明のタンパク質は、メタン酸化活性ドメインが融合したフェリチン単量体と電子伝達ドメインとが融合したフェリチン単量体が自己集合したものであってもよく、これらのドメインのすべてが融合したフェリチン単量体が自己集合したものであってもよく、これらのドメインのすべてが融合したフェリチン単量体および各ドメインの1つが融合したフェリチン単量体が自己集合したものであってもよい。
【0046】
本発明によるフェリチン単量体は、MMOB(Methane monooxygenase regulatory protein B)がさらに融合したものであってもよい。
【0047】
MMOBは、sMMOの構成成分であるMMOBであってもよく、例えば、MMOBは配列番号7のアミノ酸配列または配列番号8のアミノ酸配列を含むものであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0048】
例えば、MMOBは、メタン酸化活性ドメインであるMMOH(Soluble methane monooxygenase hydroxylase)と共に使用することができる。この場合の具体例として、MMOH、MMOB、電子伝達ドメインが1つのフェリチン単量体に融合してもよく、2つのフェリチン単量体に分けて融合してもよい。2つのフェリチン単量体に分けられる場合は、MMOHとMMOBが1つのフェリチン単量体に融合し、電子伝達ドメインが残りのフェリチン単量体に融合してもよく、MMOHと電子伝達ドメインが1つのフェリチン単量体に融合し、MMOBが残りのフェリチン単量体に融合してもよい。
【0049】
本発明のタンパク質は、メタン酸化活性ドメインと電子伝達ドメインとが融合したフェリチン単量体が自己集合したタンパク質であり、フェリチン単量体としては様々な生物に由来するフェリチンを用いることができ、脊椎動物の場合は重鎖または軽鎖単量体を用いることができる。例えば、ヒトフェリチン重鎖を用いることができる。
【0050】
フェリチン単量体において、自己集合したタンパク質でその機能を果たすことができれば、各ドメインの結合位置は限定されず、例えば、α-ヘリックスの内部、隣接するα-ヘリックスの間、N末端、C末端、ABループ、BCループ、CDループ、DEループ、N末端とAヘリックスの間、およびEヘリックスとC末端の間からなる群より選択されるいずれか1つに融合されてもよく、タンパク質から外部に表出されてその機能を容易に発揮するという点から、好ましくはC末端に融合されてもよい。
【0051】
本発明のタンパク質において、フェリチン単量体と各ドメインとの間には、リンカーをさらに含むことができる。
【0052】
リンカーとしては、当分野で公知のものを制限なく用いることができ、例えば、S1(G3SG3TG3SG3)、S2(GKLGGG)などを用いることができる。
【0053】
本発明のタンパク質は、例えば、フェリチン単量体をコードする遺伝子、メタン酸化活性ドメインをコードする遺伝子、およびFAD(flavin adenine dinucleotide)結合ドメインを含む電子伝達ドメインをコードする遺伝子を含むベクターを生物体に形質転換させ、その生物体から得られるものであるが、これに限定されるものではない。
【0054】
本発明のタンパク質は、微生物内でのsoluble formへの発現率が高く、生合成時の製造収率が高い。
【0055】
また、本発明は、前記タンパク質を発現する微生物に関するものである。
【0056】
本発明の微生物は、フェリチン単量体をコードする遺伝子、メタン酸化活性ドメインをコードする遺伝子、および電子伝達ドメインをコードする遺伝子を含むベクターが導入され、前記タンパク質を発現するものであってもよい。
【0057】
本発明のタンパク質において、各ドメインは、1つのフェリチン単量体内に全て融合されたものであっても、各フェリチン単量体にそれぞれ融合されたものであっても、これらが混合されたものであってもよい。そのため、前記メタン酸化活性ドメインをコードする遺伝子およびFAD結合ドメインを含む電子伝達ドメインをコードする遺伝子は、1つのベクターに含まれてもよく、2つのベクターにそれぞれ含まれてもよい。
【0058】
ベクターとしては、当分野で公知の発現ベクターを用いることができ、例えば、BLUESCRIPTベクター(Stratagene)、T7発現ベクター(Invitrogen)、pETベクター(Novagen)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0059】
ベクターは、タンパク質の発現のためのプロモーター、分離/精製のためのタグ、形質転換マーカーなど、当分野で公知の追加の構成要素をさらに含むことができる。
【0060】
微生物としては、前記ベクターを導入して前記タンパク質を発現できるものであれば、その種類を限定せず、例えば大腸菌を用いることができる。
【0061】
本発明の微生物は前記タンパク質を発現するので、メタンの酸化によるメタノールの製造に用いることができる。本発明の微生物を用いる場合には、メタノールを生成するための別の還元剤の添加が不要である。
【0062】
本発明の微生物は、FDH(formate dehydrogenase)をさらに発現するものであってもよい。前記FDHは、細胞内NAD+をNADHに還元し、NADHの再利用による還元力を高めることができる。
【0063】
本発明の微生物は、FDHをコードする遺伝子を含むベクターが導入され、FDHを発現するものであってもよい。FDHをコードする遺伝子は、前記フェリチン単量体をコードする遺伝子を含むベクターに共に含まれてもよく、別個のベクターに含まれてもよい。
【0064】
また、本発明は、前述のタンパク質または前述の微生物を含むメタノール製造用組成物に関するものである。
【0065】
前述のタンパク質はメタン酸化および電子伝達活性を有し、前述の微生物は前記タンパク質を発現する。このため、本発明の組成物はそれを含むことでメタンを酸化して、メタノールを製造することができる。
【0066】
メタンの製造は、前記組成物にメタンガスを処理することによって行うことができ、前記タンパク質を使用する場合には追加の還元剤を処理しなければならず、前記微生物を使用する場合には還元剤の使用が不要である。追加の還元剤としては、NADHをさらに含むことができる。
【0067】
また、本発明は、前述の組成物をメタンガスと反応させるステップを含むメタノールの製造方法に関するものである。
【0068】
本発明による組成物をメタンガスと反応させてメタンを酸化することによってメタノールを製造することができ、これは前述の組成物にメタンガスを注入して酵素反応を進めることによって行うことができる。
【0069】
メタノールの製造条件は特に限定されず、例えば、前述のタンパク質または微生物が適正活性を示す温度、pHなどで行うことができる。
【0070】
実施例
1.タンパク質生合成のための発現ベクターの製造
下記表1に示すベクター模式図に従い、PCRによってchimeric MMO(pMMO(pmoB1)+sMMO(MMOR))、chimeric AMO(AMO(amoB1)+sMMO(MMOR))、sMMO-mimics(sMMO-m1~sMMO-m5)、cMMO(Full reductase、FR)(pMMO(pmoB1)+sMMO(MMOR))、cAMO(FR)(AMO(amoB1)+sMMO(MMOR))、sMMO-m2(FR)を製造した。製造したすべてのプラスミド発現ベクターは、アガロースゲルで精製した後、完全なDNAシークエンシングによって配列を確認した。
【0071】
このようにして製造されたPCR産物を順次にpT7-7、pET28a発現用ベクターに挿入し、それぞれのタンパク質を発現できる発現ベクターを構成した。
【0072】
各タンパク質の発現用ベクターは、pT7-cMMO-B1、pET28a-cMMO-B2、pT7-cAMO-B1、pET28a-cAMO-B2、pT7-sMMO-m1-B1、pET28a-sMMO-m1-B2、pT7-sMMO-m2-B1、pET28a-sMMO-m2-B2、pT7-sMMO-m3-B1、pET28a-sMMO-m3-B2、pT7-sMMO-m4-B1、pET28a-sMMO-m4-B2、pT7-sMMO-m5-B1、pET28a-sMMO-m5-B2、pT7-cMMO(FR)-B1、pET28a-cMMO(FR)-B2、pT7-cAMO(FR)-B1、pET28a-cAMO(FR)-B2、pT7-sMMO-m2(FR)-B1、pET28a-sMMO-m2(FR)-B2で行った(図1a-c)。
【0073】
【表1】
【0074】
使用する各タンパク質のアミノ酸配列は、下記表2に示す通りである。
【0075】
【表2】
【0076】
2.組換えタンパク質の生合成および精製
大腸菌株BL21(DE3)[FompThsdS(rBmB)]を前記で製造された発現ベクターでそれぞれ形質転換した。cMMO、cAMO、sMMO-m1~m5、cMMO(FR)、cAMO(FR)、sMMO-m2(FR)は、大腸菌株BL21に2つの発現ベクターを同時に形質転換し、アンピシリンとカナマイシンに抵抗性のある形質転換体を選択した。形質転換された大腸菌を50mLのLB(Luria-Bertani)培地(100mg L-1アンピシリンと100mg L-1カナマイシン、0.4mM CuSOまたはFeSOを含有)を含有するフラスコ(250mL Erlenmeyer flasks、37℃、150rpm)で培養した。
【0077】
培地濁度(O.D.600)が約0.6に達したとき、IPTG(Isopropyl-β-D-thiogalactopyranosid)(1mM)を添加して遺伝子の発現を誘導した。20℃で14時間培養後、培養した大腸菌を5,000rpmで5分間遠心分離して菌体沈殿物を回収した後、5mLの破砕溶液(50mM NaHPO、300mM NaCl、10mMイミダゾール、pH8.0)に懸濁し、超音波破砕機(Branson Ultrasonics Corp.、Danbury、CT、USA)を用いて破砕した。破砕後、13,000rpmで10分間遠心分離し、上澄み液と不溶性凝集体を分離した。分離した上澄み液をまず組換えタンパク質に融合発現されたヒスチジンとニッケルとの結合を用いたNi2+-NTAアフィニティー(affinity)クロマトグラフィーを行った後、組換えタンパク質を濃縮し、バッファー交換を行うことにより、精製された組換えタンパク質を得た。各ステップの詳細は以下の通りである。
【0078】
1)Ni2+-NTAアフィニティー・クロマトグラフィー
組換えタンパク質を精製するために、前述の方法と同様にして培養した大腸菌を回収し、その細胞ペレットを5mLの破砕溶液(50mM NaHPO、300mM NaCl、10mMイミダゾール、pH8.0)に再浮遊し、超音波破砕機を用いて細胞を破砕した。破砕した細胞液を13,000rpmで10分間遠心分離してその上澄み液のみを分離した後、各組換えタンパク質をNi2+-NTAカラム(Quiagen、Hilden、Germany)を用いてそれぞれ分離した(洗浄バッファー:50mM NaHPO、300mM NaCl、50mMイミダゾール、pH8.0/溶出バッファー:50mM NaHPO、300mM NaCl、250mMイミダゾール、pH8.0)。
【0079】
2)濃縮とバッファ交換
Ni2+-NTAアフィニティークロマトグラフィーを経て溶出した2mLの組換えタンパク質を超遠心ろ過器(ultracentrifugal filter、Amicon Ultra 100K、Millipore、Billerica、MA)に入れ、カラムの上に1mlの溶液が残るまで5,000rpmで遠心分離を行った。その後、Trisバッファー(20mM Tris-HCl、250mM NaCl、pH8.0)でバッファー交換を行った。
【0080】
3.製造されたcMMO、cAMO、sMMO-mimicsを含む組換えタンパク質の発現率および細胞質溶解度の分析
前記プロセスを経た後、精製された組換えタンパク質の発現率および細胞質溶解度をSDS-PAGEにより分析した。組換えタンパク質の破砕された細胞液を遠心分離して得られた上澄み液(soluble fraction, sol)と不溶性凝集体(insoluble fraction, insol)、精製された組換えタンパク質に対して、12%トリス-グリシン・プレキャストゲル(Tris-glycine precast gel、Invitrogen、California、U.S.A.)を用いてSDS-PAGEを行った。そして、ゲルをクマシーブルー染色溶液で染色し、染色されたタンパク質バンドに対して、デンシトメーター(densitometer、GS-800 Calibrated Densitometer、Bio-Rad、California、U.S.A.)により各組換えタンパク質の発現率および細胞質溶解度を分析した(図2)。
【0081】
4.製造されたcMMO、cAMO、sMMO-mimicsを含む組換えタンパク質の構造の分析
前記プロセスを経た後、精製された組換えタンパク質の構造を分析するために透過電子顕微鏡(TEM)を用いて撮影を行った。タンパク質の染色画像を得るために、自然乾燥サンプルを含む電子顕微鏡グリッドを、2%(w/v)水性ウラニルアセテート溶液と共に1時間室温でインキュベートした。タンパク質画像を200kVで作動するTecnai 20(FEI、Hillsboro、Oreon、U.S.A.)電子顕微鏡を用いて観察したところ、球状の自己集合体が形成されていることを確認した。さらに、DLS(dynamic light scattering)分析により、cMMOは30.3±1.9nm、cAMOは27.9±4.7nm、sMMO-m1は23.7±6.7nm、sMMO-m2は19.6±5.5nm、sMMO-m3は20.5±5.4nm、sMMO-m4は19.4±7.1nm、sMMO-m5は17.8±3.1nmの大きさを有する自己集合体を形成することを確認した(図3a-b)。
【0082】
製造されたcMMO、cAMO、sMMO-m3を含む組換えタンパク質の構造を分析するために、X線吸収分光法(X-ray absorption spectroscopy、XAS)および電子常磁性共鳴(Electron paramagnetic resonance、EPR)スペクトル分析を行った。タンパク質のX線吸収端近傍構造(X-ray absorption near-edge structure、XANES)、広域X線吸収微細構造(Extended X-ray absorption fine structure、EXAFS)およびEPR分析のために、トリス(Tris)バッファーで溶媒交換されたサンプルを-80℃で3時間事前冷凍し、事前冷凍したサンプルは凍結乾燥機(FDU-2100、DRC-1000、EYELA)を用いて-110℃で凍結乾燥した。XAS分析は、Aichi Synchrontron Radiation Center(Aichi)のXAFSビームライン(BL11S2)により測定し、EPRスペクトロメーター(JES-FA200)で測定した。cMMO EXAFSの分析結果、活性部位に存在する銅イオンと周辺リガンドの距離情報を確認し、XANESの分析結果、1、2価の銅イオン(Cu(I)、Cu(II))が混在していることを確認した。さらに、EPR分析により、2価の銅イオンがvalence-scrambled stateで存在することを確認した(図4a-c)。
【0083】
cAMO EXAFS分析により、活性部位に存在する銅イオンと周辺リガンドの距離情報を確認した。メタン酸化反応が進行したサンプルの場合は、反応が進行していないサンプルと比較して、リガンドの距離が異なっており、一つのピーク(~2.2Å)が追加に観察されることを確認した。XANES分析により、1、2価の銅イオン(Cu(I)、Cu(II))が混在していることを確認した。さらに、EPR分析により、2価の銅イオンがvalence-scrambled stateで存在することを確認した(図5a-c)。
【0084】
sMMO-m3 EXAFS分析により、活性部位に存在する鉄イオンと周辺リガンドの距離情報を確認した。また、XANES及びEPR分析により、2、3価の鉄イオン(Fe(II)、Fe(III))が混在しており、メタン酸化反応が進行したサンプルの場合は、反応が進行していないサンプルと比較して、Fe(III)/Fe(II)の比率が増加したことを確認した。さらに、EPR分析により、3価の鉄イオンの存在を確認した(図6a-d)。
【0085】
5.製造されたcMMO、cAMO、sMMO-mimicsを含む組換えタンパク質のメタンガス酸化活性の証明
精製された組換えタンパク質のメタンガス酸化活性を検証するために、20mLのsepta-sealed vial(catalogue no. 5182-0837、Agilent)に還元剤のNADH(0.2~0.3mM)を含む1mLの組換えタンパク質溶液を注入した。組換えタンパク質によるメタン酸化反応のために、19mLのヘッドスペース(headspace)の空気を注射器によって除去し、15mLのメタンガスと4mLの空気を注入した。その後、すぐにバイアルを30℃のインキュベーターで最大24時間まで酵素反応を行った。そして、酵素反応により発生する酸化生成物であるメタノールの量をガスクロマトグラフィー(7890B GC、Agilent)により測定し、累積生産量を計算した(図7)。
【0086】
cMMO、cAMO、sMMO-m3の13C-メタンガス酸化活性を検証するために、前述のメタン酸化反応と同様の方法で酵素反応を行う一方、メタンガスを13C-メタンガスで置換して行った。核磁気共鳴(Nuclear magnetic resonance、NMR)分析のために、反応が終わった5つのバイアルを80℃で15分間加熱した後、ヘッドスペース(headspace)の気体19mlを、十分に冷却したエタノール600μlに注射器を用いて直接注入した。その後、60μlのエタノール-dを加えて、NMRチューブ(NORS55007、Sigma Aldrich)に移し、cMMO、cAMO、sMMO-m3酵素反応によって生成された(発生する酸化生成物である)13C-メタノールをNMR分析によって確認した(図8)。
【0087】
6.メタン酸化活性ドメインと、[2Fe-2S]およびFAD結合ドメインを含む電子伝達ドメインとが融合した組換えタンパク質のメタンガス酸化活性の証明
cMMO、cAMO、sMMO-m2に対して電子伝達ドメインが、[2Fe-2S]およびFAD結合ドメインを含む電子伝達ドメインで置換されたcMMO(FR)、cAMO(FR)、sMMO-m2(FR)組換えタンパク質を前述の方法で製造し、メタンガス酸化反応16時間後のメタノール生産量をガスクロマトグラフィーによって確認した。(cMMO(FR): N.D.,cMMO:629.28(±21.23)mol methanol/mol enzyme, cAMO(FR): 427.03(±50.2)mol methanol/mol enzyme, cAMO:1355.16(±213.06)mol methanol/mol enzyme,sMMO-m2(FR): 570.60(±50.96)mol methanol/mol enzyme,sMMO-m2:886.62(±46.86)mol methanol/mol enzyme)。メタノール生産量の比較により、[2Fe-2S]およびFAD結合ドメインの両方を含む電子伝達ドメイン(MMOR(FR))が融合した組換えタンパク質よりも、FAD結合ドメインのみを含む電子伝達ドメイン(MMOR)が融合した組換えタンパク質の方が、より高いメタン酸化活性を有することを確認した(図9)。
【0088】
7.組換えタンパク質を発現する大腸菌ライセート(lysate)のメタンガス酸化活性の証明
cMMO、cAMO、sMMO-m3タンパク質を発現する大腸菌を用いたメタンガス酸化活性を検証するために、大腸菌細胞内NAD(H)の前駆体を合成する酵素(nicotinic acid phosphoribosyltransferase)が過剰発現されるように、当該酵素の遺伝情報を含んでいるpncB遺伝子が導入された菌株BL21(DE3)[ΔyrfEΔyjaD::pncB](Eng.Life Sci., 7, 343-353, 2007)を使用した。また、細胞内NADをNADHに還元させてNADHの再利用による還元力を高めるために、Pseudomonas sp.(strain 101)由来のFDH(formate dehydrogenase)(1)Journal of solid-phase biochemistry,5,19-33,1980,2)Cell,179(6),1255-1263,2019)を、pETDuet-1ベクターを用いて、cMMO、cAMO、sMMO-m3タンパク質と同時発現できる発現用ベクターを構築した(表3)。
【0089】
本菌株(BL21(DE3)[ΔyrfEΔyjaD::pncB])にcMMO、cAMO、sMMO-m3タンパク質の発現用ベクターでそれぞれ形質転換し、前述の培養方法によりタンパク質発現を行った。さらに、IPTG 1mMを添加する過程で、菌株内還元力を持続するためにギ酸ナトリウム(Sodium formate)50mMを添加して20℃で14時間培養した。培養した大腸菌を4,500rpmで10分間遠心分離して菌体沈殿物を回収した後、メタンガスがパージされた破砕溶液に再浮遊し、超音波破砕機を用いて細胞を破砕した。破砕した細胞ライセートは、破砕前の大腸菌濁度(O.D.600)が30となるように懸濁し、3mLずつGCバイアルに分注した。組換えタンパク質が発現された大腸菌ライセートによるメタン酸化反応のために、19mLのバイアルヘッドスペースの空気を注射器によって除去し、10mLのメタンガスおよび9mLの空気を注入した。その後、すぐにバイアルを30℃のインキュベーターで最大52時間までライセート反応を行った。反応が終わったバイアルは、80℃で20分間加熱し、生成されたメタノールを気化させた。そして、ライセートにより発生する酸化生成物であるメタノールの量をガスクロマトグラフィーにより測定し、累積生産量を計算した(sMMO-m3発現ライセート最大メタノール生産量:1280 MeOH(mol)/enzyme(mol)、cAMO発現ライセート最大メタノール生産量:1460 MeOH(mol)/enzyme(mol))(図10)。
【0090】
【表3】
図1a
図1b
図1c
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図4c
図5a
図5b
図5c
図6a
図6b
図6c
図6d
図7
図8
図9
図10
図11
【配列表】
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【国際調査報告】