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特表2024-515830母乳を出している女性における大うつ病性障害および産後うつ病の処置における使用のための神経活性ステロイド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】母乳を出している女性における大うつ病性障害および産後うつ病の処置における使用のための神経活性ステロイド
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/58 20060101AFI20240403BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61K31/58
A61P25/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566515
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 US2022026908
(87)【国際公開番号】W WO2022232494
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/181,807
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514058913
【氏名又は名称】セージ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ラサー, ロバート アルフォンソ
(72)【発明者】
【氏名】ドハーティ, ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョナス, ジェフリー マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ケインズ, スティーブン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】グンドゥーズ-ブルース, ハンダン
(72)【発明者】
【氏名】ブロック, エイミー イー.
(72)【発明者】
【氏名】ウォールド, ジェフリー エー.
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA12
4C086GA15
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA55
4C086MA56
4C086MA57
4C086MA63
4C086ZA12
(57)【要約】
本開示は、ヒト女性対象の産後期間の間の対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、対象が、処置期間の間、子供に授乳している、方法における使用のための化合物(1)またはその薬学的に許容される塩に関する。
本開示はまた、ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、対象が、処置期間の間、子供に授乳している、方法における使用のための化合物(1)またはその薬学的に許容される塩に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1):
【化35】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法。
【請求項2】
ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化36】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法。
【請求項3】
ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1):
【化37】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法。
【請求項4】
ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化38】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法。
【請求項5】
前記対象が、1日あたり少なくとも3回、前記子供に授乳している、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記処置期間が、約2週間すなわち約14日間である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約14日間、1日1回、投与される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
化合物(1)が、約20mg~約55mgの用量で投与される、請求項1または請求項3に記載の方法。
【請求項9】
化合物(1)が、約50mgの用量で投与される、請求項1または請求項3に記載の方法。
【請求項10】
化合物(1)が、約40mgの用量で投与される、請求項1または請求項3に記載の方法。
【請求項11】
化合物(1)が、約30mgの用量で投与される、請求項1または請求項3に記載の方法。
【請求項12】
化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項2または請求項4に記載の方法。
【請求項13】
化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項2または請求項4に記載の方法。
【請求項14】
化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項2または請求項4に記載の方法。
【請求項15】
化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約30mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項2または請求項4に記載の方法。
【請求項16】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、食物と共に投与される、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、夜に、1日1回、投与される、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間[端点を含む]、2θが11.6~12.0度の間[端点を含む]、2θが13.2~13.6度の間[端点を含む]、2θが14.2~14.6度の間[端点を含む]、2θが14.6~15.0度の間[端点を含む]、2θが16.8~17.2度の間[端点を含む]、2θが20.5~20.9度の間[端点を含む]、2θが21.3~21.7度の間[端点を含む]、2θが21.4~21.8度の間[端点を含む]、および2θが22.4~22.8度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項1または請求項3に記載の方法。
【請求項21】
化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間[端点を含む]、2θが10.6~11.0度の間[端点を含む]、2θが13.0~13.4度の間[端点を含む]、2θが14.7~15.1度の間[端点を含む]、2θが15.8~16.2度の間[端点を含む]、2θが18.1~18.5度の間[端点を含む]、2θが18.7~19.1度の間[端点を含む]、2θが20.9~21.3度の間[端点を含む]、2θが21.4~21.8度の間[端点を含む]、および2θが23.3~23.7度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項1または請求項3に記載の方法。
【請求項22】
化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間[端点を含む]、2θが14.6~15.0度の間[端点を含む]、2θが16.8~17.2度の間[端点を含む]、2θが20.5~20.9度の間[端点を含む]、および2θが21.3~21.7度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項1または請求項3に記載の方法。
【請求項23】
化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間[端点を含む]、2θが10.6~11.0度の間[端点を含む]、2θが13.0~13.4度の間[端点を含む]、2θが18.7~19.1度の間[端点を含む]、および2θが21.4~21.8度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項1または請求項3に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が処置を受けたことがない、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、前記処置期間の開始前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記対象の母乳をモニタリングして、前記母乳中の化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の相対的乳児用量を決定し、最大相対的乳児用量未満をもたらすよう、化合物(1)の1日用量を調節する、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の多くとも約0.5%である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の多くとも約0.4%である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の多くとも約0.357%である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記子供の異常行動がモニタリングされる、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記異常行動が、激越、易怒性、無気力、過睡眠、食欲不振および体重増加の不良からなる群から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記相対的乳児用量が前記最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示す場合、前記対象に投与される1日用量が、10mgだけ減量される、請求項26~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1):
【化39】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法。
【請求項34】
ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化40】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法。
【請求項35】
ヒト女性対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1):
【化41】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法。
【請求項36】
ヒト女性対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化42】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法。
【請求項37】
前記対象が、1日あたり少なくとも3回、前記子供に授乳している、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記処置期間が、約2週間すなわち約14日間である、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約14日間、1日1回、投与される、請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
化合物(1)が、約20mg~約55mgの用量で投与される、請求項33または請求項35に記載の方法。
【請求項41】
化合物(1)が、約50mgの用量で投与される、請求項33または請求項35に記載の方法。
【請求項42】
化合物(1)が、約40mgの用量で投与される、請求項33または請求項35に記載の方法。
【請求項43】
化合物(1)が、約30mgの用量で投与される、請求項33または請求項35に記載の方法。
【請求項44】
化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項34または請求項36に記載の方法。
【請求項45】
化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項34または請求項36に記載の方法。
【請求項46】
化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項34または請求項36に記載の方法。
【請求項47】
化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約30mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項34または請求項36に記載の方法。
【請求項48】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される、請求項33~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口投与される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、食物と共に投与される、請求項33~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、夜に、1日1回、投与される、請求項33~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間[端点を含む]、2θが11.6~12.0度の間[端点を含む]、2θが13.2~13.6度の間[端点を含む]、2θが14.2~14.6度の間[端点を含む]、2θが14.6~15.0度の間[端点を含む]、2θが16.8~17.2度の間[端点を含む]、2θが20.5~20.9度の間[端点を含む]、2θが21.3~21.7度の間[端点を含む]、2θが21.4~21.8度の間[端点を含む]、および2θが22.4~22.8度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項33または請求項35に記載の方法。
【請求項53】
化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間[端点を含む]、2θが10.6~11.0度の間[端点を含む]、2θが13.0~13.4度の間[端点を含む]、2θが14.7~15.1度の間[端点を含む]、2θが15.8~16.2度の間[端点を含む]、2θが18.1~18.5度の間[端点を含む]、2θが18.7~19.1度の間[端点を含む]、2θが20.9~21.3度の間[端点を含む]、2θが21.4~21.8度の間[端点を含む]、および2θが23.3~23.7度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項33または請求項35に記載の方法。
【請求項54】
化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間[端点を含む]、2θが14.6~15.0度の間[端点を含む]、2θが16.8~17.2度の間[端点を含む]、2θが20.5~20.9度の間[端点を含む]、および2θが21.3~21.7度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項33または請求項35に記載の方法。
【請求項55】
化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間[端点を含む]、2θが10.6~11.0度の間[端点を含む]、2θが13.0~13.4度の間[端点を含む]、2θが18.7~19.1度の間[端点を含む]、および2θが21.4~21.8度の間[端点を含む]のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある、請求項33または請求項35に記載の方法。
【請求項56】
前記対象が処置を受けたことがない、請求項33~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、前記処置期間の開始前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、請求項33~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記対象の母乳をモニタリングして、前記母乳中の化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の相対的乳児用量を決定し、最大相対的乳児用量未満をもたらすよう、化合物(1)の1日用量を調節する、請求項33~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の多くとも約0.5%である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の多くとも約0.4%である、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の多くとも約0.357%である、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記子供の異常行動がモニタリングされる、請求項33~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記異常行動が、激越、易怒性、無気力、過睡眠、食欲不振および体重増加の不良からなる群から選択される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記相対的乳児用量が前記最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示す場合、前記対象に投与される1日用量が、10mgだけ減量される、請求項58~63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
第2の治療剤の投与をさらに含む、請求項1~64のいずれか一項に記載の方法。
【請求項66】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、初期処置期間の完了後に、うつ症状の再発に応じて、前記対象に再投与される、請求項1~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
初期処置期間の最後の投薬と前記再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔が空けられる、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの化合物(1):
【化43】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
c)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ
を含む方法。
【請求項69】
ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化44】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量と所定の最大相対的乳児用量とを比較するステップ、
c)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ
を含む方法。
【請求項70】
ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの化合物(1):
【化45】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
c)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ
を含む方法。
【請求項71】
ヒト女性における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、
a)対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化46】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
c)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ
を含む方法。
【請求項72】
ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの化合物(1):
【化47】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳の試料を収集し、検査して、前記母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を決定するステップ、
c)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
d)前記子供の異常行動をモニタリングするステップ、
e)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ、および
f)前記処置期間の期間中、ステップa)~e)を毎日、繰り返すステップ
を含む方法。
【請求項73】
ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化48】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳の試料を収集し、検査して、前記母乳中の化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の相対的乳児用量を決定するステップ、
c)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
d)前記子供の異常行動をモニタリングするステップ、
e)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ、および
f)前記処置期間の期間中、ステップa)~e)を毎日、繰り返すステップ
を含む方法。
【請求項74】
ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの化合物(1):
【化49】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳の試料を収集し、検査して、前記母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を決定するステップ、
c)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
d)前記子供の異常行動をモニタリングするステップ、
e)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ、および
f)前記処置期間の期間中、ステップa)~e)を毎日、繰り返すステップ
を含む方法。
【請求項75】
ヒト女性における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、
a)対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化50】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳の試料を収集し、検査して、前記母乳中の化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の相対的乳児用量を決定するステップ、
c)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
d)前記子供の異常行動をモニタリングするステップ、
e)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ、および
f)前記処置期間の期間中、ステップa)~e)を毎日、繰り返すステップ
を含む方法。
【請求項76】
前記PPDが不安の上昇を伴うPPDである、請求項68~69または72~73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記MDDが不安の上昇を伴うMDDである、請求項70~71または74~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
化合物(1)が、約50mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項68~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
化合物(1)が、約40mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項68~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
化合物(1)が、約30mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約30mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される、請求項68~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される、請求項68~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口投与される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、食物と共に投与される、請求項68~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、夜に、1日1回、投与される、請求項68~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記対象が処置を受けたことがない、請求項68~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記対象が、前記処置期間の開始前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している、請求項68~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
第2の治療剤の投与をさらに含む、請求項68~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、初期処置期間の完了後に、うつ症状の再発に応じて、前記対象に再投与される、請求項68~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記初期処置期間の最後の投薬と前記再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記所定の最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の少なくとも約0.5%である、請求項68~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の少なくとも約0.4%である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の少なくとも約0.357%である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記乳児の前記異常行動が、激越、易怒性、無気力、過睡眠、食欲不振および体重増加の不良からなる群から選択される、請求項68~89のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年4月29日に出願された米国仮出願第63/181,807号の利益を主張する。上述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
発明の分野
本開示は、ヒト女性対象の産後期間の間の対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、処置期間の間、対象に治療有効量の化合物(1)またはその薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、対象が、処置期間の間、子供に授乳している、方法を対象とする。本開示はまた、ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、処置期間の間、対象に治療有効量の化合物(1)またはその薬学的に許容される塩を投与するステップを含み、対象が、処置期間の間、子供に授乳している、方法も対象とする。
【背景技術】
【0003】
背景
プロゲステロンおよびその代謝産物は、脳の興奮性に対して深い効果を有することが実証されている(Backstrom, T. et al., Acta Obstet. Gynecol. Scand. Suppl. 130: 19-24 (1985); Pfaff, D. W and McEwen, B. S., Science 219:808-814 (1983); Gyermek et al, J Med Chem. 11: 117 (1968); Lambert, J. et al., Trends Pharmacol. Sci. 8:224-227 (1987))。プロゲステロンおよびその代謝産物のレベルは、月経周期の期に応じて変動する。プロゲステロンおよびその代謝産物のレベルは、月経の発生前に低下することが十分に立証されている。月経の発生前のある特定の身体症状が毎月、再発することもまた、十分に立証されている。これらの症状は、月経前症候群(PMS)と関係付けられており、ストレス、不安症および片頭痛を含む(Dalton, K., Premenstrual Syndrome and Progesterone Therapy, 2nd edition, Chicago Yearbook, Chicago (1984))。PMSを有する対象は、月経前に存在し、月経後には存在しない症状を毎月、再発する。
【0004】
プロゲステロンレベルが低いことに関係する症候群は、出産後のうつ病(PND)、すなわち産後うつ病(PPD)である。出産直後では、プロゲステロンレベルが劇的に低下し、PNDの発生をもたらす。PNDの症状は、軽症うつ病から入院を必要とする精神疾患までの範囲である。PNDは、重度の不安症および易怒性にも関係付けられている。PND関連うつ病は、古典的な抗うつ剤による処置には適しておらず、PNDを経験している女性は、PMSの出現率の上昇を示す(Dalton, K., Premenstrual Syndrome and Progesterone Therapy, 2nd edition, Chicago Yearbook, Chicago (1984))。
産後うつ病の処置および予防における、神経活性ステロイド、例えば、本明細書に記載されている神経活性ステロイド、例えば、化合物(1)の使用を支持する証拠が増えている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Backstrom, T. et al., Acta Obstet. Gynecol. Scand. Suppl. 130: 19-24 (1985)
【非特許文献2】Pfaff, D. W and McEwen, B. S., Science 219:808-814 (1983)
【非特許文献3】Gyermek et al, J Med Chem. 11: 117 (1968)
【非特許文献4】Lambert, J. et al., Trends Pharmacol. Sci. 8:224-227 (1987)
【非特許文献5】Dalton, K., Premenstrual Syndrome and Progesterone Therapy, 2nd edition, Chicago Yearbook, Chicago (1984)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要約
一態様では、本開示は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1):
【化1】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を提供する。
【0007】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化2】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を提供する。
【0008】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1):
【化3】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を提供する。
【0009】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化4】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を提供する。
【0010】
一部の実施形態では、前記対象が、1日あたり少なくとも3回、前記子供に授乳している。
【0011】
一部の実施形態では、前記処置期間が、約2週間すなわち約14日間である。
【0012】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約14日間すなわち約2週間、1日1回、投与される一部の実施形態では、化合物(1)が、約20mg~約55mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約50mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約40mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約30mgの用量で投与される。
【0013】
一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約30mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。
【0014】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、食物と共に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、夜に、1日1回、投与される。
【0015】
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが11.6~12.0度の間(端点を含む)、2θが13.2~13.6度の間(端点を含む)、2θが14.2~14.6度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが22.4~22.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
【0016】
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが14.7~15.1度の間(端点を含む)、2θが15.8~16.2度の間(端点を含む)、2θが18.1~18.5度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、2θが20.9~21.3度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが23.3~23.7度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
【0017】
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、および2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
【0018】
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、および2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
【0019】
一部の実施形態では、前記対象が処置を受けたことがない。
【0020】
一部の実施形態では、前記対象が、前記処置期間の開始前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。
【0021】
一部の実施形態では、前記対象の母乳をモニタリングして、前記母乳中の化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の相対的乳児用量を決定し、最大相対的乳児用量未満をもたらすよう、化合物(1)の1日用量を調節する。一部の実施形態では、前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の多くとも約0.5%である。一部の実施形態では、前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の多くとも約0.4%である。一部の実施形態では、前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の多くとも約0.357%である。
【0022】
一部の実施形態では、前記子供の異常行動がモニタリングされる。一部の実施形態では、前記異常行動が、激越、易怒性、無気力、過睡眠、食欲不振および体重増加の不良からなる群から選択される。
【0023】
一部の実施形態では、前記相対的乳児用量が前記最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示す場合、前記対象に投与される1日用量が、10mgだけ減量される。
【0024】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1):
【化5】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を提供する。
【0025】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化6】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を提供する。
【0026】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1):
【化7】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を提供する。
【0027】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化8】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を提供する。
【0028】
一部の実施形態では、前記対象が、1日あたり少なくとも3回、前記子供に授乳している。
【0029】
一部の実施形態では、前記処置期間が、約2週間すなわち約14日間である。
【0030】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約14日間すなわち約2週間、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約20mg~約55mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約50mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約40mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約30mgの用量で投与される。
【0031】
一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約30mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。
【0032】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、食物と共に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、夜に、1日1回、投与される。
【0033】
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが11.6~12.0度の間(端点を含む)、2θが13.2~13.6度の間(端点を含む)、2θが14.2~14.6度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが22.4~22.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
【0034】
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが14.7~15.1度の間(端点を含む)、2θが15.8~16.2度の間(端点を含む)、2θが18.1~18.5度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、2θが20.9~21.3度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが23.3~23.7度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
【0035】
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、および2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
【0036】
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、および2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
【0037】
一部の実施形態では、前記対象が処置を受けたことがない。
【0038】
一部の実施形態では、前記対象が、前記処置期間の開始前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。
【0039】
一部の実施形態では、前記対象の母乳をモニタリングして、前記母乳中の化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の相対的乳児用量を決定し、最大相対的乳児用量未満をもたらすよう、化合物(1)の1日用量を調節する。一部の実施形態では、前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の多くとも約0.5%である。一部の実施形態では、前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の多くとも約0.4%である。一部の実施形態では、前記最大相対的乳児用量が、前記対象に投与される1日用量の多くとも約0.357%である。
【0040】
一部の実施形態では、前記子供の異常行動がモニタリングされる。一部の実施形態では、前記異常行動が、激越、易怒性、無気力、過睡眠、食欲不振および体重増加の不良からなる群から選択される。
【0041】
一部の実施形態では、前記相対的乳児用量が前記最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示す場合、前記対象に投与される1日用量が、10mgだけ減量される。
【0042】
一部の実施形態では、方法は、第2の治療剤の投与をさらに含む。
【0043】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、初期処置期間の完了後に、うつ症状の再発に応じて、前記対象に再投与される。一部の実施形態では、初期処置期間の最後の投薬と前記再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔が空けられる。
【0044】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの化合物(1):
【化9】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
c)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ
を含む方法を提供する。
【0045】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化10】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量と所定の最大相対的乳児用量とを比較するステップ、および
c)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ
を含む方法を提供する。
【0046】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの化合物(1):
【化11】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、および
c)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ
を含む方法を提供する。
【0047】
一態様では、本開示は、ヒト女性における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、
a)対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化12】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、および
c)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ
を含む方法を提供する。
【0048】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの化合物(1):
【化13】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳の試料を収集し、検査して、前記母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を決定するステップ、
c)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
d)前記子供の異常行動をモニタリングするステップ、
e)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ、および
f)前記処置期間の期間中、ステップa)~e)を毎日、繰り返すステップ
を含む方法を提供する。
【0049】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化14】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳の試料を収集し、検査して、前記母乳中の化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の相対的乳児用量を決定するステップ、
c)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
d)前記子供の異常行動をモニタリングするステップ、
e)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ、および
f)前記処置期間の期間中、ステップa)~e)を毎日、繰り返すステップ
を含む方法を提供する。
【0050】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの化合物(1):
【化15】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳の試料を収集し、検査して、前記母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を決定するステップ、
c)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
d)前記子供の異常行動をモニタリングするステップ、
e)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ、および
f)前記処置期間の期間中、ステップa)~e)を毎日、繰り返すステップ
を含む方法を提供する。
【0051】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、
a)対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化16】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳の試料を収集し、検査して、前記母乳中の化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の相対的乳児用量を決定するステップ、
c)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
d)前記子供の異常行動をモニタリングするステップ、
e)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ、および
f)前記処置期間の期間中、ステップa)~e)を毎日、繰り返すステップ
を含む方法を提供する。
【0052】
一部の実施形態では、前記PPDが不安の上昇を伴うPPDである。一部の実施形態では、前記MDDが不安の上昇を伴うMDDである。
【0053】
一部の実施形態では、化合物(1)が、約50mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約40mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)が、約30mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、約30mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。
【0054】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、経口投与される。
【0055】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、食物と共に投与される。
【0056】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、夜に、1日1回、投与される。
【0057】
一部の実施形態では、前記対象が処置を受けたことがない。
【0058】
一部の実施形態では、前記対象が、前記処置期間の開始前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。
【0059】
一部の実施形態では、方法は、第2の治療剤の投与をさらに含む。
【0060】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の前記薬学的に許容される塩が、初期処置期間の完了後に、うつ症状の再発に応じて、前記対象に再投与される。前記初期処置期間の最後の投薬と前記再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける。
【0061】
一部の実施形態では、前記最大相対的乳児用量(RID)が、前記対象に投与される1日用量の最大約0.5%である。一部の実施形態では、前記最大相対的乳児用量(RID)が、前記対象に投与される1日用量の最大約0.4%である。一部の実施形態では、前記最大相対的乳児用量(RID)が、前記対象に投与される1日用量の最大約0.357%である。
【0062】
一部の実施形態では、前記異常行動が、激越、易怒性、無気力、過睡眠、食欲不振および体重増加の不良からなる群から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0063】
詳細な説明
I.定義
【0064】
本明細書において使用する場合、「化合物(1)」とは、式(または構造):
【化17】
を有する化合物を指す。
【0065】
化合物(1)はまた、ズラノロン(zuranolone)、すなわち3α-ヒドロキシ-3β-メチル-21-(4-シアノピラゾール-1-イル)-5β-19-ノルプレグナン-20-オンとして、およびそのIUPAC名:1-(2-((3R,5R,8R,9R,10S,13S,14S,17S)-3-ヒドロキシ-3,13-ジメチルヘキサデカヒドロ-1H-シクロペンタ[a]フェナントレン-17-イル)-2-オキソエチル)-1H-ピラゾール-4-カルボニトリル(CAS登録番号1632051-40-1)で公知である。化合物(1)を化学的に合成する方法は、米国特許第9,512,165号およびPCT出願公開第WO2014/169833号に記載されており、上述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。化合物(1)のいくつかの結晶性形態、および前記形態を調製する方法は、米国特許第11,236,121号;米国特許出願公開第US2019/0177359号;およびPCT出願公開第WO2018/039378号に記載されており、上述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。化合物(1)の医薬組成物、および前記組成物を調製する方法は、PCT出願公開第WO2022/020363A9号および米国出願第17/579,541号に記載されており、上述の出願の全内容の全体が、それぞれ参照により本明細書に組み込まれている。
【0066】
化合物(1)は、シナプスおよびシナプス外GABAA受容体を標的とするGABAA受容体のポジティブアロステリックモジュレータであることが示されている神経活性ステロイドである。化合物(1)は、GABAA受容体のポジティブアロステリックモジュレータとして、CNS関連障害、例えば、うつ病、産後うつ病および大うつ病性障害を処置する、ならびに神経学的状態、例えば、本態性振戦、てんかんおよびパーキンソン病を処置する治療剤として働く。
【0067】
本明細書において使用する場合、「結晶性」とは、十分に明確な3次元構造秩序を有する、所与の化学実体の固相を指す。原子、イオンおよび/または分子は、反復3次元格子内で、規則的で、周期的に配列されている。様々な実施形態では、結晶性材料は、1種または複数種の慎重な結晶性形態を含んでもよい。
【0068】
本明細書において使用する場合、用語「結晶性形態」、「結晶性固体形態」、「結晶形態」、「固体形態」および関連用語とは、所与の物質(例えば、化合物(1))を含む結晶性改変物を指し、単一構成成分の結晶形態および複数構成成分の結晶形態を含み、以下に限定されないが、多形、溶媒和物、水和物および塩を含む。
【0069】
用語「実質的に結晶性の」とは、少なくとも特定の重量パーセントの結晶性であり得る形態を指す。特定の重量パーセンテージは、70%、75%、80%、85%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、または70%~100%の間の任意のパーセンテージを含み得る。一部の実施形態では、結晶化度の特定の重量パーセントは、少なくとも90%である。一部の実施形態では、結晶化度の特定の重量パーセントは、少なくとも95%である。一部の実施形態では、化合物(1)は、本明細書に記載されている結晶性形態(例えば、結晶性形態AおよびC)および/またはPCT出願公開第WO2018/039378号のうちのいずれかの実質的に結晶性の試料とすることができ、上述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0070】
用語「実質的に純粋な」とは、不純物および/または他の固体形態を少なくとも特定の重量パーセントを含み得ない、特定の結晶性形態(例えば、化合物(1)の結晶性形態)の組成に関する。特定の重量パーセンテージは、70%、75%、80%、85%、90%、95%、99%、または70%~100%の間の任意のパーセンテージを含み得る。一部の実施形態では、化合物(1)は、本明細書に記載されている結晶性形態(例えば、結晶性形態AおよびC)のいずれかの実質的に純粋な試料とすることができる。一部の実施形態では、化合物(1)は、実質的に純粋な形態Aとすることができる。一部の実施形態では、化合物(1)は、実質的に純粋な形態Cとすることができる。
【0071】
本明細書において使用する場合、「XRPD」とは、X線粉末回折を指す。XRPDパターンとは、x軸上にプロットした2Q(回折角度)およびy軸上にプロットした強度によるx-yグラフである。結晶性材料を特徴付けるために使用することができる回折ピークが存在する。回折ピークは、通常、y軸上の回折ピークの強度ではなく、x軸上のその位置によって表され、参照され、なぜなら、回折ピーク強度は、試料の配向性に特に敏感であり得るからである(Pharmaceutical Analysis, Lee & Web, pp. 255- 257 (2003)を参照されたい)。したがって、結晶性材料を特徴付けるために、強度は、通常、当業者によって使用されることはない。どのデータ測定とも同様に、XRPDデータにはばらつきがあることがある。回折ピーク強度のばらつきに加え、x軸上の回折ピークの位置にもばらつきがあることがある。しかし、このばらつきは、通常、特徴付けを目的とする回折ピークの位置を報告する際に考慮され得る。x軸に沿った回折ピークの位置のこのようなばらつきは、いくつかの原因から導くことができる。このような原因の1つは、試料調製であり得る。異なる条件下で調製した同じ結晶性材料の試料は、わずかに異なるディフラクトグラムを生じることがある。粒子サイズ、水分含有量、溶媒含有量、温度および配向性などの因子のすべてが、試料がどのようにX線を回折するかに影響を及ぼし得る。ばらつきの別の原因は、機器パラメータに起因する。異なるX線粉末回折計は、異なるパラメータを使用して動作し、同じ結晶性材料からわずかに異なる回折パターンをもたらすことがある。同様に、異なるソフトウェアパッケージは、XRPDデータを異なって処理し、これもまた、ばらつきをもたらすことがある。ばらつきのこれらおよび他の原因は、当業者に公知である。ばらつきのこのような原因により、各X線回折ピークの値は、その前に用語「約」が付けられるか、または実験のばらつきを規定する適切な範囲(例えば、±0.1°、±0.2°、±0.3°、±0.4°、±0.5°など)が続くことがある。
【0072】
用語「特性ピーク」は、所与の化学実体(例えば、化合物(1)の結晶性形態)の結晶性形態のXRPDパターンにおけるピークを述べる場合、特定の回折ピークの集合体を指し、その値は、全体として、その特定の結晶性形態に特有の2θ値(例えば、0°~40°)の範囲に及ぶ。
【0073】
「薬学的に許容される」とは、動物における、より詳細にはヒトにおける使用について、連邦政府もしくは州政府の規制機関、または米国以外の国では対応する機関により承認されたまたは承認可能であること、あるいは米国薬局方または他の一般的に認識されている薬局方に列挙されているものを意味する。
【0074】
「薬学的に許容される塩」とは、薬学的に許容される本発明の化合物の塩であって、親化合物の所望の薬理学的活性を有する、塩を指す。特に、このような塩は、非毒性であり、無機酸付加塩または有機酸付加塩および無機塩基付加塩または有機塩基付加塩であってよい。具体的には、このような塩には、(1)塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸と形成される酸付加塩;または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-二スルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸と形成される酸付加塩;あるいは(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが、金属イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類イオンもしくはアルミニウムイオンにより置き換えられているか、またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミンなどの有機塩基に配位するかのどちらかの場合に形成される塩が含まれる。塩は、単なる例として、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど、および化合物が塩基性官能基を含有する場合、塩酸塩、臭化水素酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などの非毒性の有機酸または無機酸の塩をさらに含む。用語「薬学的に許容される陽イオン」とは、酸性官能基の許容される陽イオン性対イオンを指す。このような陽イオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウム陽イオンなどによって例示される。例えば、Berge, et al., J. Pharm. Sci. (1977) 66(1): 1-79を参照されたい。
【0075】
化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics, 75ili Ed.の表紙の内側の元素周期表(CAS版)に従って特定され、具体的な官能基は、そこで記載されている通り定義されている。さらに、有機化学の一般原理、ならびに具体的な官能性部分および反応性は、Thomas Sorrell, Organic Chemistry, University Science Books, Sausalito, 1999; Smith and March, March’s Advanced Organic Chemistry, 5ili Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001; Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, 1989;およびCarruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 3rd Edition, Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載されている。
【0076】
用語「約」の使用が、定量的な値の前に存在する場合、本教示はまた、具体的に特に明記しない限り、特定の定量的な値それ自体を含む。本明細書において使用する場合、用語「約」とは、特に示さない限りまたは暗示されない限り、名目値から±10%の変動を指す。
【0077】
本明細書において使用する場合、「子供」とは、年齢が18歳未満のヒトである。一部の実施形態では、子供は、0~18歳、または0~5歳、または0~4歳、または0~3歳、または0~2歳の年齢、あるいは生後0~18か月、または0~12か月、または0~6か月であるヒトである。一部の実施形態では、子供は、生後0~18か月のヒトである。一部の実施形態では、子供は、生後0~12か月のヒトである。一部の実施形態では、子供は、生後0~6か月のヒトである。
【0078】
用語「疾患」、「障害」および「状態」は、本明細書において互換的に使用される。
【0079】
本明細書において使用する場合、用語「用量当量」とは、生物学的等価用量を意味する。例えば、50mgの用量の化合物(1)の場合の化合物(1)の薬学的に許容される塩の用量当量とは、化合物(1)の遊離塩基の50mg用量に対する生物学的等価用量をもたらすために必要な薬学的に許容される塩(重量基準)の量である。
【0080】
本明細書において使用する場合、化合物(またはその薬学的に許容される塩)の「有効量」とは、所望の生物学的応答を引き出すため、例えば、CNS関連障害、例えば、うつ病、例えば、産後うつ病(PPD)、大うつ病性障害(MDD)、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)または不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置するための十分な量を指す。当業者によって認識されている通り、本発明の化合物(またはその薬学的に許容される塩)の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、化合物の薬物動態、処置される疾患、投与様式、ならびに対象の年齢、体重、健康および状態などの因子に応じて様々であり得る。有効量は、治療的および予防的処置を包含する。
【0081】
本明細書において使用する場合、「一過的投薬レジメン」は、化合物または化合物を含む組成物が、障害またはその症状の診断、例えば、うつ病の診断もしくは症状または大うつ病性障害のエピソードに応じて、限定的な期間、対象に投与される、投薬レジメンである。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、中等度大うつ病性障害である。一部の実施形態では、大うつ病性障害は、重度大うつ病性障害である。一部の実施形態では、化合物は、個々の投薬量単位として製剤化され、各単位は、化合物(1)、および1種または複数種の好適な医薬品用賦形剤を含む。一部の実施形態では、一過的投薬レジメンは、複数の週の期間、例えば、約8週間を有する。本明細書において定義されている長期投与とは対照的に、化合物の一過的投薬は、障害、例えば、うつ病またはその症状の診断または再発に応じて、限定的な期間にわたり、例えば、約2週間~約8週間行われる。一部の実施形態では、一過的投薬は、複数の週にわたり、例えば、約2週間~約6週間、1日1回、行われる。一実施形態では、一過的投薬は、2週間の期間を有する。一部の実施形態では、1つより多くの一過的投薬レジメンであるが、3つ以下の一過的投薬レジメンが、例えば、2つまたはそれより多い一過的レジメンが、12か月の期間にわたり対象に施される。
【0082】
本明細書において使用する場合、用語「モジュレーション」とは、GABAA受容体機能の阻害または賦活化を指す。「モジュレータ」(例えば、GABAA受容体機能をモジュレートする化合物またはその薬学的に許容される塩)は、例えば、GABAA受容体のアゴニスト、部分アゴニスト、アンタゴニストまたは部分アンタゴニストであってもよい。
【0083】
「不安の上昇を伴うMDD」または「不安症の苦痛を伴うMDD」は、互換的に使用され、そのうつ病の症状として、不安の上昇を呈するMDDを有する対象を指す。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、ベースライン(例えば、化合物(1)またはその薬学的に許容される塩の投与前)時において、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが少なくとも7であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、ベースライン(例えば、化合物(1)またはその薬学的に許容される塩の投与前)時において、HAM-A総スコアが少なくとも17であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、ベースライン時において、HAM-A総スコアが少なくとも18であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、ベースライン時において、HAM-A総スコアが少なくとも20であることによって特徴付けられる。「不安の上昇を伴うPPD」または「不安症の苦痛を伴うPPD」は、互換的に使用され、そのうつ病の症状として、不安の上昇を呈するPPDを有する対象を指す。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、ベースライン(例えば、化合物(1)またはその薬学的に許容される塩の投与前)時において、HAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが少なくとも7であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、ベースライン(例えば、化合物(1)またはその薬学的に許容される塩の投与前)時において、HAM-A総スコアが少なくとも17であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、ベースライン時において、HAM-A総スコアが少なくとも18であることによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、ベースライン時において、HAM-A総スコアが少なくとも20であることによって特徴付けられる。
【0084】
他の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目および身体的項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安、身体的不安、GI身体症状および/または全般身体症状に基づいた、HAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。
【0085】
本明細書において使用する場合、および別段の指定がない限り、化合物(またはその薬学的に許容される塩)の「治療有効量」とは、疾患、障害もしくは状態の処置において治療的利益を実現するため、または疾患、障害もしくは状態に関連する1つもしくは複数の症状を遅延もしくは最小限にするための十分な量である。化合物(またはその薬学的に許容される塩)の治療有効量とは、単独でまたは他の治療法と組み合わせた治療剤の量であって、疾患、障害または状態の処置において治療利益を実現する治療剤の量を意味する。用語「治療有効量」は、総合的な治療法を改善する、疾患もしくは状態の症状もしくは原因を軽減もしくは回避する、または別の治療剤の治療効力を増強する量を包含することができる。
【0086】
代替的な実施形態では、本開示は、対象が、特定の疾患、障害または状態に罹患し始める前の予防として、化合物(1)、またはその薬学的に許容される塩もしくは薬学的に許容される組成物の投与を企図する。本明細書において使用する場合、および別段の指定がない限り、化合物の「予防有効量」とは、疾患、障害もしくは状態、または疾患、障害もしくは状態に関連する1つもしくは複数の症状を予防する、あるいはその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防有効量とは、単独のまたは他の薬剤と組み合わせた治療剤の量であって、疾患、障害または状態の予防における予防的利益を実現する治療剤の量を意味する。用語「予防有効量」は、総合的な予防を改善する、または別の予防剤の予防的効力を増強する量を包含することができる。
【0087】
本明細書において使用する場合、「固形剤形」とは、固体形態、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、サシェ剤、再構成可能な散剤、乾燥粉末吸入製剤およびチュアブル剤の医薬品用量(複数可)を意味する。
【0088】
「対象」はまた、妊娠している、まさに出産しようとしている、または出産したヒト女性(例えば、任意の年齢群の女性)とすることができる。用語「ヒト」、「患者」および「対象」は、本明細書において互換的に使用される。
【0089】
本明細書において使用する場合、および別段の指定がない限り、用語「処置する」、「処置すること」および「処置」は、特定の疾患、障害または状態に対象が罹患している間に行われる行為を企図しており、この行為は、疾患、障害もしくは状態(または任意のそれらの症状)の重篤度を軽減する、または疾患、障害もしくは状態の進行を遅延もしくは減速させ(「治療的処置」)、特定の疾患、障害または状態に対象が罹患し始める前に行われる予防的行為も企図する。
【0090】
本明細書において使用する場合、「処置を受けたことがない」とは、現在のうつ病エピソードの範囲内の追加の抗うつ剤により以前に処置されたことがない対象を指す。「処置を受けたことがない」とはまた、処置の開始(例えば、1日目)前の少なくとも30日以内、または処置の開始前の少なくとも60日以内に、いずれの抗うつ剤も服用したことがない対象を指す。一部の実施形態では、処置を受けたことがない対象は、処置の開始前の少なくとも30日以内に、いずれの抗うつ剤も服用したことがない。一部の実施形態では、処置を受けたことがない対象は、処置の開始前の少なくとも60日以内に、いずれの抗うつ剤も服用したことがない。
【0091】
本明細書において使用する場合、用語「単位剤形」とは、化合物(1)が対象に投与される形態を指すよう定義される。一部の実施形態では、単位剤形は、例えば、丸剤、カプセル剤または錠剤とすることができる。一部の実施形態では、単位剤形は、カプセル剤である。一部の実施形態では、本開示に有用な単位剤形中の化合物(1)の典型的な量は、約10mg~約100mg、約20mg~約55mgまたは約30mg~約50mg(例えば、約10mg、約15mg、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mgまたは約55mg)である。
【0092】
一部の実施形態では、単位剤形は、約30mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。一部の実施形態では、単位剤形は、約50mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。一部の実施形態では、単位剤形は、約40mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。一部の実施形態では、単位剤形は、約45mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。一部の実施形態では、単位剤形は、約20mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。一部の実施形態では、単位剤形は、約10mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。一部の実施形態では、単位剤形は、約15mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。一部の実施形態では、単位剤形は、約25mgの化合物(1)を含み、カプセル剤の形態にある。一部の実施形態では、約30mgまたは45mgの化合物(1)を含む1個または複数のカプセル剤が、1日1回、対象に投与される。一部の実施形態では、3個のカプセル剤が一緒になって、30mgの化合物(1)を含む。一部の実施形態では、3個のカプセル剤が一緒になって、45mgの化合物(1)を含む。
【0093】
一部の実施形態では、化合物(1)を投与すると、認知機能が改善される。一部の実施形態では、認知機能は、以下に限定されないが、記憶(例えば、意味的、一時的、手続き的、プライミングまたは作業);オリエンテーション;言語;問題解決;視覚的認識、構築および統合;計画;組織化力;選択的注意;抑制制御、ならびに情報を精神的に操作する能力を含めた、精神的作業および機能をまとめたものを指す。一実施形態では、認知機能は、記憶(例えば、意味的、一時的、手続き的、プライミングまたは作業);オリエンテーション;言語;問題解決;視覚的認識、構築、および統合;計画;組織化力;選択的注意;抑制制御、ならびに情報を精神的に操作する能力からなる群から選択される、1つまたは複数である。認知機能の尺度は、例えば、(a)一般知能、(b)非言語知能、(c)達成、(d)注意/実行機能、(e)記憶および学習、(f)視覚運動および運動機能、ならびに(g)言語を測定するよう設計されている評価用手段を含む。
【0094】
例えば、経時的な、または処置による、認知機能の何らかの変化は、2つまたはそれより多い時間点における、これらの十分に確立された検査の1つまたは複数を使用し、結果を比較することによってモニタリングすることができる。言い回し「認知機能を改善する」とは、本明細書において言及する場合、記号操作を行う、例えば、知覚する、思い出す、精神画像を作製する、思考の明瞭性を有する、自覚がある、理由付けする、思考するまたは判断する対象の能力の正の変化を意味する。正の変化は、2つまたはそれより多い機会、例えば、ベースライン認知機能を測定するための第1の機会、および一定期間後(処置が施されていてもよい)の認知機能を測定する第2の機会に対する、上述の検査のいずれかを使用して測定され得る。
【0095】
II.処置の方法
【0096】
産後うつ病(PPD)
【0097】
一態様では、本開示は、ヒト女性対象の産後期間の間の対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法を対象とする。一部の実施形態では、PPDは、不安の上昇を伴うPPDである。
【0098】
出産後のうつ病とも呼ばれる産後うつ病(PPD)は、出産に伴う気分障害のタイプである。産後うつ病(PPD)は、一般に、当分野で公知である。
【0099】
産後うつ病(PPD)とも称される出産後のうつ病(PND)とは、女性が出産後に罹患する、臨床的うつ病のタイプを指す。症状は、悲しみ、倦怠感、睡眠および食習慣の変化、性的願望の低下、号泣エピソード、不安症および易怒性を含み得る。一実施形態では、PNDは、処置抵抗性うつ病である。一実施形態では、PNDは、難治性うつ病である。
【0100】
一実施形態では、PNDを有する対象はまた、妊娠中に、うつ病またはうつ病の症状を経験している。このうつ病は、周産期うつ病と称され得る。実施形態では、周産期うつ病を経験している対象は、PNDを経験するリスクが増大している。
【0101】
PPDは、産褥期中に起こる最も一般的な精神病理学的疾病として特定され(O’Hara MW, Wisner KL. Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol. 2014;28(1):3-12);PPDは、妊娠第3期中または出産後に起こり得る。PPDは、未処置の場合、女性および女性の家族にとって壊滅的な結果を有する恐れがある。一部の実施形態では、PPDは、悲しみおよび抑うつ気分、毎日の活動における興味の喪失、食事習慣および睡眠習慣の変化、倦怠感、ならびに行動力の低下、集中不能、ならびに無価値感、恥または罪悪感という感情に起因する、母体の著しい機能的障害により特徴付けられる。産後うつ病はまた、自殺に対するリスク増大を有しており、これは、先進国において、出産後の母の死亡の主要原因となっている。
【0102】
専門健康組織は、PPD発生のその定義が異なる。例えば、米国精神医学会は、PPDを妊娠中または出産して4週間以内の発生を有すると特徴付けている(DSM-5)。米国産科婦人科学会は、PPDを妊娠中または産後12か月以内の発生を有すると特徴付けている(ACOG、2021年12月に更新)。世界保健機関は、PPDを産後12か月以内の発生を有すると特徴付けている(International Classification of Diseases 10th edition(ICD-10))。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法によって処置されるPPDの診断は、DSM-5によって定義される通りに特徴付けることができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法によって処置されるPPDの診断は、ACOGによって定義される通りに特徴付けることができる。一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法によって処置されるPPDの診断は、ICD-10によって定義される通りに特徴付けることができる。
【0103】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法によって処置されるPPDの診断は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Edition(DSM-5)によって定義されているように、つまり、以下に記載されているように、周産期の発生を伴うMDDとして特徴付けることができる。
【0104】
うつ障害
【0105】
うつ障害には、重篤気分調節症、大うつ病性障害(大うつ病エピソードを含む)、持続性うつ障害(気分変調)、月経前不快気分障害、物質/薬品誘発性うつ障害、別の医療状態によるうつ障害、他に特定されたうつ障害および未特定うつ障害が挙げられる。これらの障害のすべての共通した特色は、機能する個々の能力に著しく影響を及ぼす、身体変化および認知変化を伴う、悲しみ、虚空または過敏性気分があることである。それらの間で違うことは、期間、時機または推定される病因という事柄である。
【0106】
大うつ病性障害は、この群の障害における古典的な状態を呈する。感情、認知および自律神経系機能の明確な変化ならびにエピソード間の寛解を伴う、少なくとも2週間の期間の個別のエピソード(しかし、大部分のエピソードは、かなり長く続く)により特徴付けられる。大うつ病性障害の個別のエピソードは、「大うつ病エピソード」または「うつ病エピソード」と呼ばれることがある。
【0107】
大うつ病性障害(MDD)
【0108】
一部の実施形態では、MDDは、うつ病または臨床的うつ病としても知られており、悲しみおよび興味の喪失という持続的な感情を引き起こす気分障害である。
【0109】
一部の実施形態では、MDDは、DSM-5に従って定義および診断され、例えば、MDDは、下記の通り、診断基準Aに従って診断される。
【0110】
診断基準A. 以下の症状のうちの5つ(またはそれより多く)が、同じ2週間の期間の間に現れ、以前の機能からの変化を呈する;症状のうちの少なくとも1つは、(1)抑うつ気分または(2)興味もしくは喜びの喪失のいずれかである。
1. 主観的な報告(例えば、悲しい、虚しい、絶望的な気分)または他人により行われる観察(例えば、涙ぐんでいるように見える)のいずれかによって示される、1日の大部分の間、ほとんど毎日、抑うつ気分である(注:小児および青年では、過敏性気分があり得る)。
2. 1日の大部分、ほとんど毎日、すべてまたはほとんどすべての活動に、興味または喜びが著しく低下している(主観的な説明または観察のいずれかによって示される)。
3. 食事療法時ではない場合の大幅な体重減少または体重増加(例えば、1か月で体重の5%を超える変化)、またはほとんど毎日、食欲の減退もしくは増進がある(注:小児の場合、予想される体重増加にならないことを考慮する)。
4. ほとんど毎日、不眠症または睡眠過剰である。
5. ほとんど毎日、精神運動性激越または遅滞がある(落ち着きのないこと、または動作が遅いという単なる主観的な感覚ではなく、他者により観察可能なもの)。
6. ほとんど毎日、倦怠感または行動力の喪失がある。
7. ほとんど毎日、無価値感または過剰のもしくは不適切な罪悪感(妄想の可能性もある)を感じる(病気であることに関する単なる自責でも罪悪感でもない)。
8. ほとんど毎日、思考力もしくは集中力が低下している、または優柔不断である(主観的説明によるものまたは他人による観察のどちらか)。
9. 死を繰り返し考えること(単に死の恐怖だけではない)、具体的な計画のない再発性自殺念慮、または自殺の試みもしくは自殺を行う具体的計画がある。
【0111】
以下に記載されている診断基準B~Eは、MDDの追加説明であり、MDDの説明または診断と考えられることがあるが、必要なものではない。
【0112】
診断基準B. 症状が、社会的エリア、職業的エリアまたは他の重要な機能エリアにおいて、臨床的に重要な苦痛または機能障害を引き起こす。
【0113】
診断基準C. エピソードが、物質の生理的効果にも別の医療状態にも起因し得ない。
【0114】
診断基準A~Cは、大うつ病エピソードを表し得る。
【0115】
診断基準D. 大うつ病エピソードの発生が、統合失調感情障害、統合失調症、統合失調症様障害、妄想性障害または他の特定されたおよび未特定の統合失調症スペクトル、ならびに他の精神性障害によってよりよく説明されない。
【0116】
診断基準E. 躁エピソードも軽躁エピソードも決してなかった。
【0117】
一部の実施形態では、大うつ病エピソード(MDE)は、上記の症状により特徴付けられる期間である。
【0118】
一部の実施形態では、MDDは、対象における、1つまたは複数の大うつ病エピソード(MDE)により特徴付けられる臨床的な経路である。
【0119】
一部の実施形態では、MDDは、上記の通り、診断基準A~Cに従い診断される。一部の実施形態では、MDDは、上記の通り、診断基準A~Eに従い診断される。
【0120】
診断特色
【0121】
体重変化および自殺念慮を除く大うつ病性障害の診断基準症状が存在するとみなされるためには、ほとんど毎日、それらの症状が存在していなければならない。抑うつ気分は、ほとんど毎日存在していることに加え、1日の大部分の間に存在しなければならない。多くの場合、不眠症または倦怠感が、主訴であり、付随するうつ症状を調査し損ねた場合、過少診断になる。悲しみは、最初に否定されることがあるが、面接により導き出される、または顔の表情および態度から推論されることがある。身体の訴えに焦点をあてている個体の場合、臨床医はその訴えに起因する苦痛が特定のうつ症状と関連しているかどうかを判定すべきである。倦怠感および睡眠妨害が高い割合の症例で存在する。精神運動障害は、それほど一般的ではないが、妄想的または妄想に近い罪悪感があるのと同様に、全体的な重篤度がより高いことの指標である。
【0122】
大うつ病エピソードの必須の特色は、ほとんどすべての活動において、抑うつ気分または興味もしくは喜びの喪失のどちらかがある(上の診断基準A)、少なくとも2週間の期間である。小児および青年では、気分は、悲しみではなく過敏性のことがある。個体はまた、食欲もしくは体重、睡眠および精神運動活動の変化;行動力の低下;無価値感もしくは罪悪感;思考、集中もしくは意思決定の困難;または死を繰り返し考えることもしくは自殺念慮もしくは自殺計画もしくは自殺の試みを含むリストから抽出される少なくとも4つの追加の症状を経験しなければならない。大うつ病エピソードとして数に入れるためには、症状が、新たに現れなければならないか、またはその人のエピソード前の状態と比較して明らかに悪化していなければならない。症状は、少なくとも2週間連続して、1日の大部分の間、ほとんど毎日、持続していなければならない。エピソードは、社会的エリア、職業的エリアまたは他の重要な機能エリアにおける臨床的に重要な苦痛または機能障害を伴わなければならない。軽症エピソードを有する一部の個体の場合、機能は正常に見えることがあるが、著しく努力を高めることを必要とする。
【0123】
睡眠妨害は、睡眠困難または過度の睡眠のいずれかの形態をとることがある(診断基準A4)。不眠症が存在する場合、不眠症は、通常、中期不眠症(例えば、夜中に目が覚めてから眠りに戻ることが困難である)または末期不眠症(例えば、あまりにも早く目が覚め、眠りに戻ることができない)の形態をとる。初期不眠症(例えば、入眠困難)が起こることもある。過眠症(過剰睡眠)を呈する個体は、夜間における睡眠エピソードが長いこと、または日中の睡眠が増えることを経験することがある。時には、個体が処置を求める理由が、睡眠障害のためである。
【0124】
周産期の発生(DSM-5によるうつ障害の指示子)の場合
【0125】
この指示子は、完全な診断基準が、現行のものに適用することができるか、または現状、大うつ病エピソードに関して満たさない場合、妊娠中もしくは出産後4週間で、気分症状の発生が起こった場合、最近の大うつ病のエピソードに適用することができる。
【0126】
気分エピソードは、妊娠中または産後のどちらか一方での発生を有する恐れがある。出産後の経過観察の期間に応じて、推定値は異なるが、3%~6%の女性が、妊娠中、または出産後の数週間後もしくは数か月後に大うつ病エピソードの発生を経験する。「出産後」大うつ病エピソードの50パーセントが、出産前に実際に始まる。したがって、これらのエピソードは、周産期エピソードとまとめて称される。周産期大うつ病エピソードを有する女性は、多くの場合、重度の不安症およびパニック発作さえ有する。前向き研究により、妊娠中の気分および不安症状、ならびに「ベビーブルー」は、産後大うつ病エピソードのリスクを増大させることが実証された。周産期に発生する気分エピソードは、精神的特色を伴うか、または伴わないで現れ得る。乳児殺害は、幼児を殺すという命令幻覚または乳児が憑依されているという妄想により特徴付けられる産後精神的エピソードと関連していることが最も多いが、精神症状は、このような特定の妄想または幻覚を伴わない重度の産後気分エピソードでも起こり得る。
【0127】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている方法によって処置される不安の上昇を伴うPPDの診断は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Edition(DSM-5)によって定義されるように、つまり、以下に記載されているように、周産期の発生および不安症の苦痛の指示子を伴うMDDとして特徴付けることができる。
【0128】
不安の上昇/不安症の苦痛(DSM-5によるうつ障害の指示子)の場合
【0129】
DSM-5は、大うつ病エピソード(MDD)または持続性うつ障害(気分変調)の大部分の日の間、以下の症状のうちの少なくとも2つが存在することとして、「不安症の苦痛」指示子を規定する:
1.興奮または緊張を感じる。
2.異常に落ち着かなく感じる。
3.心配があるために集中できない。
4.何か恐ろしいことが起こるかもしれないと恐れる。
5.自分自身が自制心を失っているように感じる。
【0130】
重篤度は、以下の通り規定される:
軽症:2つの症状。
中等度:3つの症状。
中等度から重度:4つまたは5つの症状。
重度:4つまたは5つの症状であり、運動性激越を伴う。
【0131】
不安症の苦痛は、一次医療およびメンタルヘルス専門環境の両方における、双極性障害と大うつ病性障害の両方の顕著な特色として記されてきた。高レベルの不安症は、より高い自殺リスク、疾病期間がより長いこと、および処置に応答しない可能性がより高いことに関係付けられている。
【0132】
一部の実施形態では、PPDは、周産期の発生を伴うMDDである。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、周産期の発生を伴う、不安症の苦痛を伴うMDDである。
【0133】
したがって、本開示の一態様は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1):
【化18】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を対象とする。
【0134】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化19】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を対象とする。
【0135】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1):
【化20】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を対象とする。
【0136】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、不安の上昇を伴う産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化21】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を対象とする。
【0137】
一部の実施形態では、対象は、1日あたり少なくとも1回、乳児に授乳している。別の実施形態では、対象は、1日あたり少なくとも2回、乳児に授乳している。別の実施形態では、対象は、1日あたり少なくとも3回、乳児に授乳している。別の実施形態では、対象は、1日あたり少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11または12回、乳児に授乳している。
【0138】
一部の実施形態では、処置期間は、約2週間すなわち約14日間である。一部の実施形態では、処置期間は、約2週間である。一部の実施形態では、処置期間は、約14日間である。
【0139】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間すなわち約2週間、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、1日1回、投与される。
【0140】
一部の実施形態では、化合物(1)は、約10mg~約100mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約15mg~約75mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約60mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約55mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mg~約50mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約45mg~約55mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約50mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約40mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mgの用量で投与される。
【0141】
一部の実施形態では、化合物(1)は、約10mg~約100mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約15mg~約75mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約60mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mg~約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約45mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの用量で、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mgの用量で1日1回、投与される。
【0142】
一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間すなわち約14日間、約20mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間すなわち約14日間、約30mg~約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間すなわち約14日間、約45mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、2週間未満の間に、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約14日間、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、2週間未満の間に、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約14日間、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、2週間未満の間に、約30mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間、約30mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約14日間、約30mgの用量で1日1回、投与される。
【0143】
他の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約10mg~約100mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約15mg~約75mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約45mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。
【0144】
一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約10mg~約100mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約15mg~約75mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約45mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。
【0145】
一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間すなわち約14日間、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間すなわち約14日間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間すなわち約14日間、約45mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、2週間未満の間に、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、2週間未満の間に、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、2週間未満の間に、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。
【0146】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、経口投与される。
【0147】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、長期投与される。
【0148】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、1個または複数のカプセル剤で投与される。一部の実施形態では、治療有効量は、2個のカプセル剤にわたり投与される。一部の実施形態では、治療有効量は、3個のカプセル剤にわたり投与される。
【0149】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、食物と共に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、脂肪含有食と共に投与される。脂肪含有食の例は、ナッツ、ピーナッツバター、アボカド、卵およびチーズを含む。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、脂肪含有食と共に、夜に(例えば、脂肪を含有する夕食の1時間以内に、または脂肪含有スナックと共に)投与される。
【0150】
一部の実施形態では、対象には、夜に化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の1時間以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の15分以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、夜に化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の1時間以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の15分以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。
【0151】
一部の実施形態では、化合物(1)は、結晶性形態にある。一部の実施形態では、化合物(1)の結晶性形態は、PCT出願公開第WO2018/039378号に開示されているいずれかの結晶性形態であり、前述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0152】
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが11.6~12.0度の間(端点を含む)、2θが13.2~13.6度の間(端点を含む)、2θが14.2~14.6度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが22.4~22.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。一部の実施形態では、化合物(1)は、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、および2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)のピークを含む、XRPDパターンを有する結晶性形態にある。
【0153】
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが14.7~15.1度の間(端点を含む)、2θが15.8~16.2度の間(端点を含む)、2θが18.1~18.5度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、2θが20.9~21.3度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが23.3~23.7度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、および2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
【0154】
一部の実施形態では、化合物(1)の結晶性形態は、2種またはそれより多い結晶性形態の混合物を含む。
【0155】
一部の実施形態では、対象は、処置を受けたことがない。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日以内に、いずれの抗うつ剤処置も受けていない。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日以内に、いずれの抗うつ剤処置も受けていない。
【0156】
一部の実施形態では、対象は、処置期間の開始前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。一部の実施形態では、対象は、処置期間の開始前の少なくとも30日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。一部の実施形態では、対象は、処置期間の開始前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。
【0157】
一部の実施形態では、対象の母乳をモニタリングして、母乳中の化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の相対的乳児用量(RID)を決定し、最大相対的乳児用量(RID)未満をもたらすよう、化合物(1)の1日用量を調節する。RIDは、母乳による乳児の薬物曝露を推定するものである。RIDは、既知の乳濃度を使用し、この濃度を乳児治療用量、または乳児用量が十分に確立されていない場合、体重で調節した母体用量のどちらかと比較する。通常、授乳は、相対的乳児用量が<10%である場合、許容されるとみなされる。さらなる考慮事項は、乳児の在胎齢および生後年齢、摂取される乳の実際の量(生まれて最初の2日間および離乳時は少ない)、具体的な母体への医薬の特性、乳児の医学的状態、ならびに乳児が治療上の投与を受けている薬品を含む。
【0158】
一部の実施形態では、最大相対的乳児用量(RID)は、対象に投与される1日用量の多くとも約0.5%である。一部の実施形態では、最大相対的乳児用量(RID)は、対象に投与される1日用量の多くとも約0.4%である。一部の実施形態では、最大相対的乳児用量(RID)は、対象に投与される1日用量の多くとも約0.357%である。
【0159】
一部の実施形態では、子供の異常行動がモニタリングされる。一部の実施形態では、異常行動は、激越、易怒性、無気力、過睡眠、食欲不振および体重増加の不良からなる群から選択される。
【0160】
一部の実施形態では、対象に投与される1日用量は、相対的乳児用量が最大相対的乳児用量(RID)を超える場合、または子供が異常行動を示す場合、10mgだけ減量される。一部の実施形態では、対象に投与される1日用量は、相対的乳児用量が最大相対的乳児用量(RID)を超える場合、10mgだけ減量される。一部の実施形態では、対象に投与される1日用量は、子供が異常行動を示す場合、10mgだけ減量される。
【0161】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、初期処置期間の完了後に、うつ症状の再発に応じて、対象に再投与される。一部の実施形態では、初期処置期間の最後の投薬と再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける。一部の実施形態では、初期処置期間および再投与の各々は、約14日間すなわち約2週間、行われる。
【0162】
一部の実施形態では、方法は、第2の治療剤の投与をさらに含む。
【0163】
一部の実施形態では、対象は、スクリーニング方法(例えば、エジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)、例えば、EPDSに関して10またはそれより高いスコア、EPDSに関して13またはそれより高いスコア)により産後うつ病を有すると特定される。一部の実施形態では、対象は、様々な形態の患者健康質問票(PHQ)、または院内不安症およびうつ病尺度もしくは老年期うつ病尺度などのスクリーニング手段により産後うつ病を有すると特定される。
【0164】
一部の実施形態では、対象には、医療的疾病、複雑性悲嘆、慢性睡眠妨害、孤独感またはうつ病歴のために障害があるか、または不良な健康状態を有する。一部の実施形態では、対象は、低い自尊心、育児ストレス、出産前不安、生活ストレス、社会的サポートの減少、独身/パートナーのいない関係状態、うつ病歴、困難な乳児気質、以前の産後うつ病、低い社会経済的地位または予定外の妊娠を有する。一部の実施形態では、対象は、妊娠悪阻(例えば、重度の形態のつわり、例えば、食物および水分の適切な摂取の妨げ)を有する。一部の実施形態では、対象は、妊娠中の合併症(例えば、緊急帝王切開、子癇前症、妊娠中の入院、乳児ジストレスに関する懸念および子供の特別治療(NICU)への入院であり、子供は、NICUに入院した)を有する。一部の実施形態では、対象は、妊娠、出産または早期の子育てに関して感情的に苦痛またはストレスの多い経験を有してきた(例えば、対象は、不妊症の処置を受けた、過去に流産または他の妊娠喪失、多胎出産、特別なニーズ、疝痛または困難な子供気質を有し、食事を摂るのが困難であった)。一部の実施形態では、対象は、家庭内暴力、性的虐待または他の虐待(例えば、子供の頃または成人の頃の虐待)歴を有する。一部の実施形態では、対象は、外傷性幼少期(例えば、親を失う、親との厄介な関係)を有する。一部の実施形態では、対象はストレス(例えば、親しい人を失う、失業、経済的困難、離婚、人間関係の緊張、転居)を有する。一部の実施形態では、対象は、社会的サポートが不足している。一部の実施形態では、対象は、完璧主義者または支配的性格を有する。
【0165】
一部の実施形態では、対象は、出産している。一部の実施形態では、対象は、処置開始の少なくとも12週間前に、出産している。一部の実施形態では、対象は、出産の予定がある。一部の実施形態では、対象は、9、8、7、6、5、4、3、2もしくは1か月中;4、3、2もしくは1週間中;または7、6、5、4、3、2もしくは1日中に出産の予定がある。一部の実施形態では、対象は、妊娠の第3期にある。一部の実施形態では、対象は、属性、特性または曝露(本明細書に記載されている障害、例えば、神経活性ステロイド欠乏症を発症する可能性を増大させる)を有する。一部の実施形態では、対象は、満期妊娠(例えば、早期(例えば、37週~38週+6日の間);正期(例えば、39週~40週+6日の間);後期(例えば、41週~41週+6日の間);もしくは過期(例えば、42週およびそれ以降))に到達しているか、または早産、正期産、後期産もしくは過期産している。
【0166】
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8または約3日以内に、治療効果(例えば、ハミルトンうつ病スコア(HAM-D)の低下によって測定される)をもたらす。一部の実施形態では、治療効果は、処置期間の終了時(例えば、投与の開始または一過的投薬の約45、約21、約15、約8または約3日後)の、HAM-Dスコアのベースラインからの低下である。一部の実施形態では、HAM-Dスコアのベースラインからの低下は、重度(例えば、HAM-Dスコアが24もしくはそれより高い、またはスコアが26もしくはそれより高い)から無症状、例えばうつ病の寛解(例えば、HAM-Dスコアが7またはそれ未満)までである。一部の実施形態では、HAM-Dスコアのベースラインからの低下は、重度(例えば、HAM-Dスコアが24もしくはそれより高い、またはスコアが26もしくはそれより高い)から正常または軽症のうつ病(例えば、HAM-Dスコアが7もしくはそれ未満、またはHAM-Dスコアが18~13)までである。
【0167】
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8もしくは約3日またはそれより短い日数以内に、治療効果(例えば、モンゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)の低下によって測定される)をもたらす。モンゴメリー-アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)は、10項目診断質問票(外見に表出される悲しみ、言語で表現された悲しみ、内的緊張、睡眠減少、食欲減退、集中困難、無気力、感情をもてないこと、悲観的思考および自殺思考に関する)であり、精神科医が、気分障害を有する患者において、うつ病エピソードの重篤度を測定するために上記を使用する。0~6は、正常/症状が存在しないことを示し、7~19は、軽症うつ病を示し、20~34は、中等度うつ病を示し、>34は、重度うつ病を示す。一部の実施形態では、治療効果は、処置期間の終了時(例えば、約45、約21、約15、約8もしくは約3日、またはそれより短い日数)における、MADRSスコアのベースラインからの低下である。一部の実施形態では、MADRSスコアのベースラインからの低下は、重度(例えば、MADRSスコアが30またはそれより高い)から無症状(例えば、MADRSスコアが20またはそれ未満)までである。例えば、化合物(1)による処置に起因するMADRS総スコアのベースラインからの平均変化は、約-15、-20、-25、-30である一方、プラセボによる処置に起因するMADRS総スコアのベースラインからの平均変化は、約-15、-10、-5である。
【0168】
一部の実施形態では、方法は、約45、約21、約15、約8もしくは約3日、またはそれより短い日数以内に、治療効果(例えば、臨床全般印象度-改善尺度(CGI)の低下によって測定される)をもたらす。一部の実施形態では、治療効果は、CGIスコアが2またはそれ未満である。
【0169】
一部の実施形態では、方法は、4、3、2もしくは1日以内、あるいは24、20、16、12、10または8時間もしくはそれより短い時間に、治療効果(例えば、エジンバラ産後うつ病尺度(EPDS)の低下によって測定される)をもたらす。一部の実施形態では、治療効果は、EPDSによって測定される改善である。
【0170】
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高い、18もしくはそれより高い、19もしくはそれより高い、または20もしくはそれより高い、あるいはうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7もしくはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、うつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
【0171】
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
【0172】
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
【0173】
他の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目および身体的項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安、身体的不安、GI身体症状および/または全般身体症状に基づいた、HAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。
【0174】
大うつ病性障害(MDD)
【0175】
別の態様では、本開示は、ヒト女性対象の産後期間の間の対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法を対象とする。一部の実施形態では、MDDは、不安の上昇を伴うMDDである。
【0176】
本明細書に記載されている方法によって処置される大うつ病性障害の診断および重篤度は、Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th Edition(DSM-5)によって定義されているように特徴付けることができる。
【0177】
うつ障害
【0178】
うつ障害には、重篤気分調節症、大うつ病性障害(大うつ病エピソードを含む)、持続性うつ障害(気分変調)、月経前不快気分障害、物質/薬品誘発性うつ障害、別の医療状態によるうつ障害、他に特定されたうつ障害および未特定うつ障害が挙げられる。これらの障害のすべての共通した特徴は、機能する個々の能力に著しく影響を及ぼす、身体変化および認知変化を伴う、悲しみ、虚空または過敏性気分があることである。それらの間で違うことは、期間、時機または推定される病因という事柄である。
【0179】
大うつ病性障害は、この群の障害における古典的な状態を呈する。感情、認知および自律神経系機能の明確な変化ならびにエピソード間の寛解を伴う、少なくとも2週間の期間の個別のエピソード(しかし、大部分のエピソードは、かなり長く続く)により特徴付けられる。大うつ病性障害の個別のエピソードは、「大うつ病エピソード」または「うつ病エピソード」と呼ばれることがある。
【0180】
大うつ病性障害(MDD)
【0181】
大うつ病性障害は、一般に、当分野において公知である。
【0182】
一部の実施形態では、MDDは、うつ病または臨床的うつ病としても知られており、悲しみおよび興味の喪失という持続的な感情を引き起こす気分障害である。MDDは、対象がどのように感じ、考え、行動し得るかに影響し、様々な情緒的および身体的問題をもたらす恐れがある。
【0183】
一部の実施形態では、MDDは、DSM-5に従って定義および診断され、例えば、MDDは、下記の通り、診断基準Aに従って診断される。
【0184】
診断基準A. 以下の症状のうちの5つ(またはそれより多く)が、同じ2週間の期間の間に現れ、以前の機能からの変化を呈する;症状のうちの少なくとも1つは、(1)抑うつ気分または(2)興味もしくは喜びの喪失のいずれかである。
1. 主観的な報告(例えば、悲しい、虚しい、絶望的な気分)または他人により行われる観察(例えば、涙ぐんでいるように見える)のいずれかによって示される、1日の大部分の間、ほとんど毎日、抑うつ気分である(注:小児および青年では、過敏性気分があり得る)。
2. 1日の大部分、ほとんど毎日、すべてまたはほとんどすべての活動に、興味または喜びが著しく低下している(主観的な説明または観察のいずれかによって示される)。
3. 食事療法時ではない場合の大幅な体重減少または体重増加(例えば、1か月で体重の5%を超える変化)、またはほとんど毎日、食欲の減退もしくは増進がある(注:小児の場合、予想される体重増加にならないことを考慮する)。
4. ほとんど毎日、不眠症または睡眠過剰である。
5. ほとんど毎日、精神運動性激越または遅滞がある(落ち着きのないこと、または動作が遅いという単なる主観的な感覚ではなく、他者により観察可能なもの)。
6. ほとんど毎日、倦怠感または行動力の喪失がある。
7. ほとんど毎日、無価値感または過剰のもしくは不適切な罪悪感(妄想の可能性もある)を感じる(病気であることに関する単なる自責でも罪悪感でもない)。
8. ほとんど毎日、思考力もしくは集中力が低下している、または優柔不断である(主観的説明によるものまたは他人による観察のどちらか)。
9.死を繰り返し考えること(単に死の恐怖だけではない)、具体的な計画のない再発性自殺念慮、または自殺の試みもしくは自殺を行う具体的計画がある。
【0185】
以下に記載されている診断基準B~Eは、MDDの追加説明であり、MDDの説明または診断と考えられることがあるが、必要なものではない。
【0186】
診断基準B. 症状が、社会的エリア、職業的エリアまたは他の重要な機能エリアにおいて、臨床的に重要な苦痛または機能障害を引き起こす。
【0187】
診断基準C. エピソードが、物質の生理的効果にも別の医療状態にも起因し得ない。
【0188】
診断基準A~Cは、大うつ病エピソードを表し得る。
【0189】
診断基準D. 大うつ病エピソードの発生が、統合失調感情障害、統合失調症、統合失調症様障害、妄想性障害または他の特定されたおよび未特定の統合失調症スペクトル、ならびに他の精神性障害によってよりよく説明されない。
【0190】
診断基準E. 躁エピソードも軽躁エピソードも決してなかった。
【0191】
一部の実施形態では、大うつ病エピソード(MDE)は、上記のMDDの症状により特徴付けられる期間である。
【0192】
一部の実施形態では、MDDは、対象における、1つまたは複数の大うつ病エピソード(MDE)により特徴付けられる臨床的な経路である。
【0193】
一部の実施形態では、MDDは、上記の通り、診断基準A~Cに従い診断される。一部の実施形態では、MDDは、上記の通り、診断基準A~Eに従い診断される。
【0194】
診断特色
【0195】
体重変化および自殺念慮を除く大うつ病性障害の診断基準症状が存在するとみなされるためには、ほとんど毎日、それらの症状が存在していなければならない。抑うつ気分は、ほとんど毎日存在していることに加え、1日の大部分の間に存在しなければならない。多くの場合、不眠症または倦怠感が、主訴であり、付随するうつ症状を調査し損ねた場合、過少診断になる。悲しみは、最初に否定されることがあるが、面接により導き出される、または顔の表情および態度から推論されることがある。身体の訴えに焦点をあてている個体の場合、臨床医はその訴えに起因する苦痛が特定のうつ症状と関連しているかどうかを判定すべきである。倦怠感および睡眠妨害が高い割合の症例で存在する。精神運動障害は、それほど一般的ではないが、妄想的または妄想に近い罪悪感があるのと同様に、全体的な重篤度がより高いことの指標である。
【0196】
大うつ病エピソードの必須の特色は、ほとんどすべての活動において、抑うつ気分または興味もしくは喜びの喪失のどちらかがある(上の診断基準A)、少なくとも2週間の期間である。小児および青年では、気分は、悲しみではなく過敏性のことがある。個体はまた、食欲もしくは体重、睡眠および精神運動活動の変化;行動力の低下;無価値感もしくは罪悪感;思考、集中もしくは意思決定の困難;または死を繰り返し考えることもしくは自殺念慮もしくは自殺計画もしくは自殺の試みを含むリストから抽出される少なくとも4つの追加の症状を経験しなければならない。大うつ病エピソードとして数に入れるためには、症状が、新たに現れなければならないか、またはその人のエピソード前の状態と比較して明らかに悪化していなければならない。症状は、少なくとも2週間連続して、1日の大部分の間、ほとんど毎日、持続していなければならない。エピソードは、社会的エリア、職業的エリアまたは他の重要な機能エリアにおける臨床的に重要な苦痛または機能障害を伴わなければならない。軽症エピソードを有する一部の個体の場合、機能は正常に見えることがあるが、著しく努力を高めることを必要とする。
【0197】
睡眠妨害は、睡眠困難または過度の睡眠のいずれかの形態をとることがある(診断基準A4)。不眠症が存在する場合、不眠症は、通常、中期不眠症(例えば、夜中に目が覚めてから眠りに戻ることが困難である)または末期不眠症(例えば、あまりにも早く目が覚め、眠りに戻ることができない)の形態をとる。初期不眠症(例えば、入眠困難)が起こることもある。過眠症(過剰睡眠)を呈する個体は、夜間における睡眠エピソードが長いこと、または日中の睡眠が増えることを経験することがある。時には、個体が処置を求める理由が、睡眠障害のためである。
【0198】
不安の上昇/不安症の苦痛を伴う大うつ病性障害
【0199】
DSM-5によって規定される、MDDに関する「不安症の苦痛」という識別子は、大うつ病エピソードまたは持続性うつ障害(気分変調)の大部分の日の間、以下の症状のうちの少なくとも2つが存在することを示す:
1.興奮または緊張を感じる。
2.異常に落ち着かなく感じる。
3.心配があるために集中できない。
4.何か恐ろしいことが起こるかもしれないと恐れる。
5.自分自身が自制心を失っているように感じる。
【0200】
重篤度は、以下の通り規定される:
軽症:2つの症状。
中等度:3つの症状。
中等度から重度:4つまたは5つの症状。
重度:4つまたは5つの症状であり、運動性激越を伴う。
【0201】
不安症の苦痛は、一次医療およびメンタルヘルス専門環境の両方における、双極性障害と大うつ病性障害の両方の顕著な特色として記されてきた。高レベルの不安症は、より高い自殺リスク、疾病期間がより長いこと、および処置に応答しない可能性がより高いことに関係付けられている。
【0202】
したがって、本開示の一態様は、ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1):
【化22】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を対象とする。
【0203】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化23】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を提供する。
【0204】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1):
【化24】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を提供する。
【0205】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象における、不安の上昇を伴う大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、処置期間の間、前記対象に治療有効量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化25】
を投与するステップを含み、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、方法を提供する。
【0206】
一部の実施形態では、対象は、1日あたり少なくとも1回、乳児に授乳している。別の実施形態では、対象は、1日あたり少なくとも2回、乳児に授乳している。別の実施形態では、対象は、1日あたり少なくとも3回、乳児に授乳している。別の実施形態では、対象は、1日あたり少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11または12回、乳児に授乳している。
【0207】
一部の実施形態では、処置期間は、約2週間すなわち約14日間である。一部の実施形態では、処置期間は、約2週間である。一部の実施形態では、処置期間は、約14日間である。
【0208】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間すなわち約2週間、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、1日1回、投与される。
【0209】
一部の実施形態では、化合物(1)は、約10mg~約100mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約15mg~約75mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約60mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約55mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mg~約50mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約45mg~約55mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約50mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約40mgの用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mgの用量で投与される。
【0210】
一部の実施形態では、化合物(1)は、約10mg~約100mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約15mg~約75mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約60mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mg~約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約45mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの用量で、1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mgの用量で1日1回、投与される。
【0211】
一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間すなわち約14日間、約20mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間すなわち約14日間、約30mg~約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間すなわち約14日間、約45mg~約55mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、2週間未満の間に、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約14日間、約50mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、2週間未満の間に、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約14日間、約40mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、2週間未満の間に、約30mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約2週間、約30mgの用量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約14日間、約30mgの用量で1日1回、投与される。
【0212】
他の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約10mg~約100mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約15mg~約75mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約45mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で投与される。
【0213】
一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約10mg~約100mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約15mg~約75mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約45mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約20mg、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mgまたは約60mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。
【0214】
一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間すなわち約14日間、約20mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間すなわち約14日間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間すなわち約14日間、約45mg~約55mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、2週間未満の間に、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、約50mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、2週間未満の間に、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、約40mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、2週間未満の間に、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約2週間、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。一部の実施形態では、化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約14日間、約30mgの遊離塩基化合物の用量当量で1日1回、投与される。
【0215】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、経口投与される。
【0216】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、長期投与される。
【0217】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、1個または複数のカプセル剤で投与される。一部の実施形態では、治療有効量は、2個のカプセル剤にわたり投与される。一部の実施形態では、治療有効量は、3個のカプセル剤にわたり投与される。
【0218】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、食物と共に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、脂肪含有食と共に投与される。脂肪含有食の例は、ナッツ、ピーナッツバター、アボカド、卵およびチーズを含む。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、脂肪含有食と共に、夜に(例えば、脂肪を含有する夕食の1時間以内に、または脂肪含有スナックと共に)投与される。
【0219】
一部の実施形態では、対象には、夜に化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の1時間以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の15分以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、夜に化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の1時間以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の15分以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。
【0220】
一部の実施形態では、化合物(1)は、結晶性形態にある。一部の実施形態では、化合物(1)の結晶性形態は、PCT出願公開第WO2018/039378号に開示されているいずれかの結晶性形態であり、前述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0221】
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが11.6~12.0度の間(端点を含む)、2θが13.2~13.6度の間(端点を含む)、2θが14.2~14.6度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが22.4~22.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。一部の実施形態では、化合物(1)は、2θが9.7~10.1度の間(端点を含む)、2θが14.6~15.0度の間(端点を含む)、2θが16.8~17.2度の間(端点を含む)、2θが20.5~20.9度の間(端点を含む)、および2θが21.3~21.7度の間(端点を含む)のピークを含む、XRPDパターンを有する結晶性形態にある。
【0222】
一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが14.7~15.1度の間(端点を含む)、2θが15.8~16.2度の間(端点を含む)、2θが18.1~18.5度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、2θが20.9~21.3度の間(端点を含む)、2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)、および2θが23.3~23.7度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。一部の実施形態では、化合物(1)が、2θが9.3~9.7度の間(端点を含む)、2θが10.6~11.0度の間(端点を含む)、2θが13.0~13.4度の間(端点を含む)、2θが18.7~19.1度の間(端点を含む)、および2θが21.4~21.8度の間(端点を含む)のピークを含むXRPDパターンを有する結晶性形態にある。
【0223】
一部の実施形態では、化合物(1)の結晶性形態は、2種またはそれより多い結晶性形態の混合物を含む。
【0224】
一部の実施形態では、対象は、処置を受けたことがない。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日以内に、いずれの抗うつ剤処置も受けていない。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日以内に、いずれの抗うつ剤処置も受けていない。
【0225】
一部の実施形態では、対象は、処置期間の開始前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。一部の実施形態では、対象は、処置期間の開始前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。一部の実施形態では、対象は、処置期間の開始前の少なくとも30日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。
【0226】
一部の実施形態では、対象の母乳をモニタリングして、母乳中の化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の相対的乳児用量(RID)を決定し、最大相対的乳児用量(RID)未満をもたらすよう、化合物(1)の1日用量を調節する。RIDは、母乳による乳児の薬物曝露を推定するものである。RIDは、既知の乳濃度を使用し、この濃度を乳児治療用量、または乳児用量が十分に確立されていない場合、体重で調節した母体用量のどちらかと比較する。通常、授乳は、相対的乳児用量が<10%である場合、許容されるとみなされる。さらなる考慮事項は、乳児の在胎齢および生後年齢、摂取される乳の実際の量(生まれて最初の2日間および離乳時は少ない)、具体的な母体への医薬の特性、乳児の医学的状態、ならびに乳児が治療上の投与を受けている薬品を含む。
【0227】
一部の実施形態では、最大相対的乳児用量(RID)は、対象に投与される1日用量の多くとも約0.5%である。一部の実施形態では、最大相対的乳児用量(RID)は、対象に投与される1日用量の多くとも約0.4%である。一部の実施形態では、最大相対的乳児用量(RID)は、対象に投与される1日用量の多くとも約0.357%である。
【0228】
一部の実施形態では、子供の異常行動がモニタリングされる。一部の実施形態では、異常行動は、激越、易怒性、無気力、過睡眠、食欲不振および体重増加の不良からなる群から選択される。
【0229】
一部の実施形態では、対象に投与される1日用量は、相対的乳児用量が最大相対的乳児用量(RID)を超える場合、または子供が異常行動を示す場合、10mgだけ減量される。一部の実施形態では、対象に投与される1日用量は、相対的乳児用量が最大相対的乳児用量(RID)を超える場合、10mgだけ減量される。一部の実施形態では、対象に投与される1日用量は、子供が異常行動を示す場合、10mgだけ減量される。
【0230】
一部の実施形態では、方法は、第2の治療剤の投与をさらに含む。
【0231】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、初期処置期間の完了後に、うつ症状の再発に応じて、対象に再投与される。一部の実施形態では、初期処置期間の最後の投薬と再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける。一部の実施形態では、初期処置期間および再投与の各々は、約14日間すなわち約2週間、行われる。
【0232】
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高い、18もしくはそれより高い、19もしくはそれより高い、または20もしくはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高い、またはうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7もしくはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、うつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
【0233】
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
【0234】
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが20またはそれより高い、MADRS総スコアが28またはそれより高い、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高い(例えば、18もしくはそれより高い、19もしくはそれより高い、または20もしくはそれより高い)ことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが20またはそれより高いこと、MADRS総スコアが28またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
【0235】
他の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目および身体的項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安、身体的不安、GI身体症状および/または全般身体症状に基づいた、HAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。
【0236】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの化合物(1):
【化26】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、および
c)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ
を含む方法を提供する。
【0237】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化27】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量と所定の最大相対的乳児用量とを比較するステップ、および
c)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ
を含む方法を提供する。
【0238】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの化合物(1):
【化28】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、および
c)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ
を含む方法を提供する。
【0239】
本開示の別の態様は、ヒト女性における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、
a)対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化29】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、および
c)前記対象の母乳中の化合物(1)の前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ
を含む方法を提供する。
【0240】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの化合物(1):
【化30】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳の試料を収集し、検査して、前記母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を決定するステップ、
c)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
d)前記子供の異常行動をモニタリングするステップ、
e)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ、および
f)前記処置期間の期間中、ステップa)~e)を毎日、繰り返すステップ
を含む方法を提供する。
【0241】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象の産後期間の間の前記対象における、産後うつ病(PPD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化31】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳の試料を収集し、検査して、前記母乳中の化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の相対的乳児用量を決定するステップ、
c)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
d)前記子供の異常行動をモニタリングするステップ、
e)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ、および
f)前記処置期間の期間中、ステップa)~e)を毎日、繰り返すステップ
を含む方法を提供する。
【0242】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、
a)前記対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの化合物(1):
【化32】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳の試料を収集し、検査して、前記母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量を決定するステップ、
c)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
d)前記子供の異常行動をモニタリングするステップ、
e)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ、および
f)前記処置期間の期間中、ステップa)~e)を毎日、繰り返すステップ
を含む方法を提供する。
【0243】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象における、大うつ病性障害(MDD)を処置する方法であって、
a)対象に、処置期間の間、約30mg~約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量の化合物(1)の薬学的に許容される塩:
【化33】
を約14日間、1日1回、投与するステップであって、
前記対象が、前記処置期間の間、子供に授乳している、ステップ、
b)前記対象の母乳の試料を収集し、検査して、前記母乳中の化合物(1)の前記薬学的に許容される塩の相対的乳児用量を決定するステップ、
c)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量を所定の最大相対的乳児用量と比較するステップ、
d)前記子供の異常行動をモニタリングするステップ、
e)ステップb)において決定した前記相対的乳児用量が、前記所定の最大相対的乳児用量を超える場合、または前記子供が異常行動を示している場合、前記対象に投与される1日用量を減量するステップ、および
f)前記処置期間の期間中、ステップa)~e)を毎日、繰り返すステップ
を含む方法を提供する。
【0244】
一部の実施形態では、PPDは、不安の上昇を伴うPPDである。一部の実施形態では、MDDは、不安の上昇を伴うMDDである。
【0245】
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17もしくはそれより高い、18もしくはそれより高い、19もしくはそれより高い、または20もしくはそれより高い、あるいはうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の不安症に関するハミルトン評価尺度(HAM-A)の総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のうつ病に関するハミルトン評価尺度(HAM-D)不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
【0246】
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが18またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが19またはそれより高いことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが20またはそれより高いことによって特徴付けられる。
【0247】
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが24またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
【0248】
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高い(例えば、18もしくはそれより高い、19もしくはそれより高い、または20もしくはそれより高い)ことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが26またはそれより高いこと、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
【0249】
一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが20またはそれより高い、MADRS総スコアが28またはそれより高い、およびHAM-A総スコアが17またはそれより高い(例えば、18もしくはそれより高い、19もしくはそれより高い、または20もしくはそれより高い)ことによって特徴付けられる。一部の実施形態では、不安の上昇を伴うMDDまたは不安の上昇を伴うPPDは、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前のHAM-D総スコアが20またはそれより高い、MADRS総スコアが28またはそれより高い、およびHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアが7またはそれより高いことによって特徴付けられる。
【0250】
他の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目および身体的項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、HAM-A不安症項目に基づいたHAM-Aスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安、身体的不安、GI身体症状および全般身体症状に基づいた、HAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、以下のHAM-D項目:精神的不安に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-Dスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたHAM-D不安症/身体化下位尺度スコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の身体症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。一部の実施形態では、「不安の上昇」は、うつ病の不安症状を評価する項目に主に基づいたMADRSスコアによって特徴付けられる。
【0251】
一部の実施形態では、化合物(1)は、約50mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約50mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約40mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約40mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。一部の実施形態では、化合物(1)は、約30mgの用量で投与されるか、または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、約30mgの遊離塩基化合物に等価な用量で投与される。
【0252】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、経口、非経口、皮内、鞘内、筋肉内、皮下、膣内、バッカル錠として、舌下、直腸内、局所的、吸入剤として、鼻腔内または経皮に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、経口投与される。
【0253】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、長期投与される。
【0254】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、1個または複数のカプセル剤で投与される。一部の実施形態では、治療有効量は、2個のカプセル剤にわたり投与される。一部の実施形態では、治療有効量は、3個のカプセル剤にわたり投与される。
【0255】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、食物と共に投与される。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、脂肪含有食と共に投与される。脂肪含有食の例は、ナッツ、ピーナッツバター、アボカド、卵およびチーズを含む。一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、脂肪含有食と共に、夜に(例えば、脂肪を含有する夕食の1時間以内に、または脂肪含有スナックと共に)投与される。
【0256】
一部の実施形態では、対象には、夜に化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の1時間以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の15分以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が投与される。一部の実施形態では、対象には、夜に化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の1時間以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。一部の実施形態では、対象には、患者が眠る前の15分以内に、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩が1日1回、投与される。
【0257】
一部の実施形態では、対象は、処置を受けたことがない。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも30日以内に、いずれの抗うつ剤処置も受けていない。一部の実施形態では、対象は、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩の投与前の少なくとも60日以内に、いずれの抗うつ剤処置も受けていない。
【0258】
一部の実施形態では、対象は、処置期間の開始前の少なくとも30日間または少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。一部の実施形態では、対象は、処置期間の開始前の少なくとも60日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。一部の実施形態では、対象は、処置期間の開始前の少なくとも30日間、安定用量の追加の抗うつ剤を服用している。
【0259】
一部の実施形態では、方法は、第2の治療剤の投与をさらに含む。
【0260】
一部の実施形態では、化合物(1)または化合物(1)の薬学的に許容される塩は、初期処置期間の完了後に、うつ症状の再発に応じて、対象に再投与される。一部の実施形態では、初期処置期間の最後の投薬と再投与の最初の投薬との間に、少なくとも6週間の間隔を空ける。一部の実施形態では、初期処置期間および再投与の各々は、約14日間すなわち約2週間、行われる。
【0261】
一部の実施形態では、最大相対的乳児用量(RID)は、対象に投与される1日用量の多くとも約0.5%である。一部の実施形態では、最大相対的乳児用量(RID)は、対象に投与される1日用量の多くとも約0.4%である。一部の実施形態では、最大相対的乳児用量(RID)は、対象に投与される1日用量の多くとも約0.357%である。
【0262】
一部の実施形態では、異常行動は、激越、易怒性、無気力、過睡眠、食欲不振および体重増加の不良からなる群から選択される。
【0263】
III.医薬組成物
【0264】
本開示の別の態様は、本明細書に記載されている方法における使用のための、化合物(1)(「活性成分」とも称される)および薬学的に許容される賦形剤を含む、医薬組成物を提供する。別の態様では、本開示は、本明細書に記載されている方法における使用のための、活性成分の薬学的に許容される塩、および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、有効量の活性成分、または活性成分の薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物は、治療有効量の活性成分、または活性成分の薬学的に許容される塩を含む。一部の実施形態では、化合物(1)の医薬組成物は、PCT出願公開第WO2022/020363A9号に開示されているいずれかの医薬組成物であり、上述の出願の全内容の全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【0265】
本明細書において提供される医薬組成物は、以下に限定されないが、経口(経腸)投与、非経口(注射による)投与、直腸投与、経皮投与、皮内投与、鞘内投与、皮下(SC)投与、静脈内(IV)投与、筋肉内(IM)投与および鼻内投与を含めた、様々な経路によって投与され得る。一部の実施形態では、医薬組成物は、経口投与される。
【0266】
本開示の医薬組成物は、様々な投薬方法を使用してさらに送達されてもよい。例えば、ある特定の実施形態では、医薬組成物は、例えば、血液中の化合物の濃度を有効レベルにまで上昇させるため、ボーラスとして与えられてもよい。ボーラス用量の配置は、全身にわたり望まれる活性成分の全身レベルに依存し、例えば、筋肉内または皮下ボーラス用量により、活性成分の緩徐放出が可能になる一方、静脈(例えば、IV点滴による)に直接、送達されるボーラス剤により、血液中の活性成分の濃度を有効レベルに急速に上昇させる、はるかに速い送達が可能になる。他の実施形態では、医薬組成物は、例えば、IV点滴による連続注入として投与されて、対象の身体における活性成分の定常状態濃度の維持を実現することができる。さらに、さらに他の実施形態では、医薬組成物は、ボーラス用量として最初に、次いで、連続注入として投与されてもよい。
【0267】
経口投与向けの組成物は、バルク液状溶液もしくは懸濁液、またはバルク粉末の形態をとることができる。しかし、より一般的には、組成物は、正確な投薬を容易にするため、単位剤形で供給される。用語「単位剤形」とは、ヒト対象および他の哺乳動物に対する単位投薬量として好適な、物理的に個別の単位を指し、各単位は、好適な医薬品用賦形剤と合わせて、所望の治療効果を生じるよう計算された所定量の活性物質を含有する。典型的な単位剤形は、予め充填されて事前測定された、液体組成物のアンプルもしくはシリンジ、または固体組成物の場合、丸剤、錠剤、カプセル剤などを含む。このような組成物では、化合物は、通常、少量の構成成分(約0.1~約50重量%または好ましくは、約1~約40重量%)であり、残りは、所望の投薬形態を形成する一助となる、様々なビヒクルまたは賦形剤および加工助剤である。
【0268】
経口投与可能な、注射可能なまたは局所投与可能な組成物の上記の構成成分は、単なる、代表例に過ぎない。他の材料、および加工技法などは、参照により本明細書に組み込まれている、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th edition, 1985, Mack Publishing Company, Easton, Pennsylvaniaのパート8に説明されている。
【0269】
本開示の組成物はまた、持続放出形態で、または持続放出薬物送達系から投与され得る。代表的な持続放出材料の説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見出すことができる。
【0270】
本明細書において提供される医薬組成物の説明は、ヒトへの投与に好適な医薬組成物を主に対象としているが、このような組成物は、一般に、すべての種類の動物への投与に好適であることが当業者によって理解されよう。組成物を様々な動物への投与に好適にするために、ヒトへの投与に好適な医薬組成物を改変することは十分に理解されており、熟練した獣医学薬理学者は、通常の実験を用いて、このような改変を設計および/または実施することができる。医薬組成物の製剤化および/または製造において一般的考察は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2005に見出すことができる。
【0271】
本開示はまた、化合物(1)の薬学的に許容される酸付加塩にも関する。薬学的に許容される塩を調製するために使用することができる酸は、非毒性の酸付加塩、例えば、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、臭化水素酸塩、硝酸イオン、硫酸イオン、硫酸水素イオン、リン酸イオン、酢酸イオン、乳酸イオン、クエン酸イオン、酒石酸イオン、コハク酸イオン、マレイン酸イオン、フマル酸イオン、安息香酸イオン、パラ-トルエンスルホン酸イオンなどの薬理学的に許容される陰イオンを含有する塩を形成するものである。
【0272】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象の産後期間の間の対象における、産後うつ病を処置する方法であって、処置期間の間、対象に治療有効量の化合物(1)を投与するステップを含み、対象が、処置期間の間、乳児に授乳している、方法を含む。
【0273】
この態様の実施形態では、処置期間は、約14日間である。一部の実施形態では、治療有効量は、1日1回、投与される。一部の実施形態では、対象は、1日あたり少なくとも3回、乳児に授乳している。
【0274】
一部の実施形態では、治療有効量は、1日あたり、約10mg~約55mgの化合物(1)である。一部の実施形態では、治療有効量は、1日あたり、約20mg~約55mgの化合物(1)である。一部の実施形態では、治療有効量は、1日あたり、約30mgの化合物(1)である。一部の実施形態では、治療有効量は、1日あたり、約50mgの化合物(1)である。
【0275】
一部の実施形態では、対象の母乳をモニタリングして、母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量(RID)を決定し、最大RID未満をもたらすよう、化合物(1)の1日用量を調節する。一部の実施形態では、最大RIDは、対象に投与される1日用量の多くとも約0.5%である。一部の実施形態では、最大RIDは、対象に投与される1日用量の多くとも約0.4%である。一部の実施形態では、最大RIDは、対象に投与される1日用量の多くとも約0.357%である。
【0276】
一部の実施形態では、乳児の異常行動がモニタリングされる。一部の実施形態では、異常行動は、激越、易怒性、無気力、過睡眠、食欲不振および体重増加の不良からなる群から選択される。
【0277】
一部の実施形態では、対象に投与される1日用量は、RIDが最大RIDを超える場合、または乳児が異常行動を示す場合、10mgだけ減量される。
【0278】
本開示の別の態様は、ヒト女性対象の産後期間の間の対象における、産後うつ病を処置する方法であって、
a)対象に、処置期間の間に、化合物(1):
【化34】
の、30mgまたは50mgの1日用量を投与するステップであって、対象が、処置期間の間、乳児に授乳している、ステップ、
b)母乳の試料を収集し、検査して、母乳中の化合物(1)の相対的乳児用量(RID)を決定するステップ、
c)ステップb)において決定したRIDを所定の最大RIDと比較するステップ、
d)乳児の異常行動をモニタリングするステップ、
e)ステップb)において決定したRIDが、所定の最大RIDを超える場合、または乳児が異常行動を示している場合、対象に投与される1日用量を減量するステップ、および
f)処置期間の期間中、ステップa)~e)を毎日、繰り返すステップ
を含む、方法を含む。
【0279】
この態様の実施形態では、1日用量は、50mgである。一部の実施形態では、1日用量は、30mgである。
【0280】
一部の実施形態では、所定の最大RIDは、対象に投与される1日用量の少なくとも約0.5%である。一部の実施形態では、最大RIDは、対象に投与される1日用量の少なくとも約0.4%である。一部の実施形態では、最大RIDは、対象に投与される1日用量の少なくとも約0.357%である。
【0281】
一部の実施形態では、乳児に関する異常行動は、激越、易怒性、無気力、過睡眠、食欲不振および体重増加の不良からなる群から選択される。
【実施例
【0282】
(実施例1)
母乳を出している健常な女性の母乳中の化合物(1)の濃度を評価するための非盲検研究
【0283】
目的
【0284】
化合物(1)は、大うつ病性障害および産後うつ病のための1日1回の治療法として、検討下にある、被験合成経口神経活性ステロイドである。化合物(1)の範囲を評価したこの非盲検研究を、母乳を出している健常な参加者における、母乳、母乳の分泌量(体積)、薬物動態(PK)、血漿中タンパク質結合、安全性および耐容性に移行する。
【0285】
方法
【0286】
産後≧12週間の、活発に母乳を出しており、1日あたり≧3回、搾乳または直接授乳している、18~45歳の健常な志願者(N=15)に、5日間、化合物(1)30mgを1日1回、食事と共に自己経口投与した。-3日目から12日目まで、母乳を収集した。投薬前(1日目)、5~6日目、および経過観察中(7、9および12日目)に、PKおよび血漿中タンパク質結合分析のための血液試料を収集した。集団PKモデル化を用いて、血漿と母乳での濃度の関係を調査した。
【0287】
結果
【0288】
15名の参加者が、≧1用量の化合物(1)の投与を受け、14名(93.3%)が、研究を完了した。参加者のPKプロファイルは、化合物(1)を用いた他の臨床研究に類似した。血漿中では、化合物(1)は、高度にタンパク質に結合しており、遊離フラクションは、参加者全体で≦0.52%であった。母体の用量に比べると、化合物(1)の母乳中の量は少なく、5日目における、推定される平均相対的乳児用量(RID)は、0.357%であり、1日あたりの乳児用量は、0.00125mg/kg/日であった。収集した乳の体積は、ベースラインから8.3%低下した。参加者間ばらつきが認められた。
【0289】
化合物(1)の濃度は、乳と血漿との間で、0.501の一定の分配係数を用いて記載された。分配における対象間ばらつきは23%であった。化合物(1)の血漿中濃度は、時間または収集した乳体積と明らかな関係性は有していなかった。
【0290】
死亡、重篤な有害事象、中程度または重度の治療下で発現した有害事象(TEAE)、または中止もしくは研究の離脱に至るTEAEは報告されなかった。
【0291】
結論
【0292】
30mgの化合物(1)は、5日間、母乳を出している健常な参加者に投与した場合、十分に耐容された。ごく少量が母乳に移り、その結果、RIDは0.357%であった。最小濃度が母乳中で検出され(血漿中濃度のほぼ半分)、分配の対象間ばらつきは低かった。化合物(1)を服用している間の授乳は、母体および赤ん坊へのリスクよりも利益が上回る場合に適切と考えることができる。
均等物および範囲
【0293】
特許請求の範囲において、「a」、「an」および「the」などの冠詞は、反対の記載がない限り、または特に文脈から明白ではない限り、1つまたは1つより多いことを意味することができる。ある群の1つまたは複数のメンバーの間の「または」を含む特許請求の範囲または記載は、反対の記載がない限り、または特に文脈から明白ではない限り、群のメンバーの1つ、1つより多くまたはすべてが、所与の生成物またはプロセスに存在する、これらに用いられる、またはその他の様式でこれらに関連する場合に満たされているとみなされる。本発明は、群の正確に1つのメンバーが、所与の生成物またはプロセスに存在する、それらに用いられる、またはその他の様式でそれらに関連している実施形態を含む。本発明は、群のメンバーの1つより多くまたはすべてが、所与の生成物またはプロセスに存在する、それらに用いられる、またはその他の様式でそれらに関連する実施形態を含む。
【0294】
さらに、本発明は、すべての変形形態、組合せおよび並べ換え形態を包含し、この場合、列挙されている請求項のうちの1つまたは複数からの1つまたは複数の限定、要素、条項および記述用語が、別の請求項に導かれる。例えば、別の請求項に従属する任意の請求項は改変されて、同じ基本請求項に従属する、任意の他の請求項において見出される1つまたは複数の限定を含み得る。要素が一覧表示として、例えばマーカッシュ群の形式で提示されている場合、要素の各部分群も開示されており、任意の要素が群から除去され得る。一般に、本発明、または本発明の態様が、特定の要素および/または特色を含むと称される場合、本発明または本発明の態様のある特定の実施形態は、このような要素および/もしくは特色からなる、またはこれらから本質的になることを理解すべきである。簡単にする目的で、それらの実施形態は、本明細書において正確な言葉で具体的に説明されていない。用語「含むこと」および「含有すること」は、オープンであることを意図しており、さらなる要素またはステップを含むことを許容することにやはり留意されたい。範囲が示されている場合、端点が含まれる。さらに、特に示さない限り、または文脈および当業者の理解から明白ではない限り、範囲として表されている値は、その文脈が特に明確に指示しない限り、本発明の様々な実施形態において明記されている範囲内で、その範囲の下限値の単位の10分の1までの具体的な任意の値または部分範囲を前提とすることができる。
【0295】
本出願は、様々な交付された特許、公開特許出願、学術論文、および他の刊行物を参照しており、これらのすべてが、参照により本明細書に組み込まれている。組み込まれている参照文献のいずれかと本明細書との間に矛盾がある場合、本明細書が優先するものとする。さらに、先行技術内に収まる本発明の任意の特定の実施形態は、特許請求の範囲のうちのいずれか1つまたは複数から明示的に除外されてもよい。このような実施形態は、当業者に公知であるとみなされているので、それらの実施形態は、除外が本明細書において明示的に説明されていない場合でさえも除外されてもよい。本発明の任意の特定の実施形態は、先行技術の存在に関連するか否かにかかわらず、何らか理由のために、いずれの請求項からも除外され得る。
他の実施形態
【0296】
当業者であれば、慣用的な実験のみを使用して、本明細書に記載されている特定の実施形態に対する多くの均等物を理解するか、または解明することができる。本明細書に記載されている本実施形態の範囲は、上記の説明に限定されることを意図するものではなく、むしろ添付の特許請求の範囲において説明されている通りである。当業者であれば、以下の特許請求の範囲において定義されている、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく、この記載への様々な変更および改変を行うことができることを認識していよう。
【国際調査報告】