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  • 特表-車両システムの自己診断方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】車両システムの自己診断方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/22 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
G06F11/22 675Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566522
(86)(22)【出願日】2022-04-25
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2022060924
(87)【国際公開番号】W WO2022229115
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021204361.5
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161908
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 依子
(72)【発明者】
【氏名】リスト,カルステン
(72)【発明者】
【氏名】フォークト,ダーフィット
(72)【発明者】
【氏名】バング,オイゲン
(72)【発明者】
【氏名】ハイスト,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】ノイベルガー,マルティン
(72)【発明者】
【氏名】グシュビィント-シリング,ライナー
【テーマコード(参考)】
5B048
【Fターム(参考)】
5B048AA14
5B048CC07
5B048CC13
(57)【要約】
本発明は、車両オンボードネットワーク(3)からエネルギーを供給されており、かつ最低でも内部エネルギー供給部(11)、シーケンス制御および論理制御部(10)、ならびに安全制御部(12)を有する少なくとも1つのシステム集積回路(ASIC)を備え、少なくとも1つのマイクロコントローラ(μC)を備えた制御機器(ECU)を含む車両システム(1)の自己診断方法(100)、ならびにこの方法を実施するための車両システム(1)に関する。これに関し、オンボードネットワーク電圧(VB)の印加後、初期化段階において、少なくとも1つのマイクロコントローラ(μC)のアクティブ化状態に関係なく、少なくとも1つのシステム集積回路(ASIC)内で、車両システム(1)に供給するための少なくとも1つの内部基準電圧(VBz)および少なくとも1つの内部システム電圧(V1、V2、V3、V4)が、印加されているオンボードネットワーク電圧(VB)から生成され、ならびにハードウェア支援型内部自己診断機能が実行され、少なくとも1つの内部基準電圧(VBz)が利用可能である場合、対応しているシステム集積回路(ASIC)内で、ハードウェア支援型内部自己診断機能が始動および実施され、少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能が最低でも部分的に並列に処理され、少なくとも1つのマイクロコントローラ(μC)は、少なくとも1つのシステム集積回路(ASIC)の初期化段階の後にアクティブ状態を有し、内部自己診断の後、少なくとも1つのソフトウェア支援型自己診断機能(SEDF)をアクティブ化して実施する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両オンボードネットワーク(3)からエネルギーを供給されており、かつ最低でも内部エネルギー供給部(11)、シーケンス制御および論理制御部(10)、ならびに安全制御部(12)を有する少なくとも1つのシステム集積回路(ASIC)を備え、少なくとも1つのマイクロコントローラ(μC)を備えた制御機器(ECU)を含む車両システム(1)の自己診断方法(100)であって、オンボードネットワーク電圧(VB)の印加後、初期化段階において、前記少なくとも1つのマイクロコントローラ(μC)のアクティブ化状態に関係なく、前記少なくとも1つのシステム集積回路(ASIC)内で、前記車両システム(1)に供給するための少なくとも1つの内部基準電圧(VBz)および少なくとも1つの内部システム電圧(V1、V2、V3、V4)が、印加されている前記オンボードネットワーク電圧(VB)から生成され、ならびにハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)が実行され、前記少なくとも1つの内部基準電圧(VBz)が利用可能である場合、対応している前記システム集積回路(ASIC)内で、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)が始動および実施され、少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)が最低でも部分的に並列に処理され、前記少なくとも1つのマイクロコントローラ(μC)が、前記少なくとも1つのシステム集積回路(ASIC)の前記初期化段階の後にアクティブ状態を有し、内部自己診断の後、少なくとも1つのソフトウェア支援型自己診断機能(SEDF)をアクティブ化して実施する、方法(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのシステム集積回路(ASIC)内に、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)を実施するための少なくとも1つの追加的なテスト回路(14)および/または少なくとも1つの書き換え可能な永久メモリ(13)が実装され、これに関し、前記少なくとも1つの書き換え可能な永久メモリ(13)が電気パラメータを提供することを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのテスト回路(14)が、電気パラメータの干渉によって、または混信によって引き起こされる相互作用の発生が低減されるように構成および配置されることを特徴とする、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
最低でも前記少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)がそれぞれデジタルテスト部分(DT1)およびアナログテスト部分(AT1、AT2)を有し、最低でも前記少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)の前記デジタルテスト部分(DT1)が並列に処理されることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)の前記アナログテスト部分(AT1、AT2)が、既知の影響および/または安全設定に依存して、並列にまたは設定された順番で処理されることを特徴とする、請求項4に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの内部基準電圧(VBz)をベースとして、少なくとも1つの参照電圧(Vref)および/または少なくとも1つの補助電圧(VH)が生成されて、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)のために提供されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの補助電圧(VH)が、対応している内部システム電圧(V1、V2、V3、V4)により、前記内部システム電圧(V1、V2、V3、V4)が後の時点でその目標値に達した場合、置き換えられることを特徴とする、請求項6に記載の方法(100)。
【請求項8】
少なくとも1つのコンパレータが、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)の少なくとも1つによって検査され、前記少なくとも1つのハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)が、印加された参照電圧(Vref)の変化によって前記少なくとも1つのコンパレータの切り替え点を検査するよう実行されており、前記少なくとも1つのコンパレータの出力信号の転送が、前記検査中はブロックされることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのコンパレータが、エラーなく検査された後、少なくとも1つのさらなるハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)により、前記少なくとも1つの内部基準電圧(VBz)および/または前記少なくとも1つの内部システム電圧(V1、V2、V3、V4)および/または少なくとも1つの出力電圧の、不足電圧閾値および/または過電圧閾値を検査するために使用されることを特徴とする、請求項8に記載の方法(100)。
【請求項10】
対応している前記システム集積回路(ASIC)の前記シーケンス制御および論理制御部(10)の少なくとも1つの論理パスならびに/または前記安全制御部(12)の少なくとも1つの論理パスが、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)の少なくとも1つによって検査されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項11】
センサ信号を少なくとも1つの周辺センサユニット(8)から受信して処理する少なくとも1つのPSIインターフェイス(17)が、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)の少なくとも1つによって検査されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項12】
アナログ信号を外部のアナログ信号送信器(5)から受信するかまたはアナログ信号を外部のアナログ信号受信器(4)に出力する少なくとも1つのアナログインターフェイス(15)が、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)の少なくとも1つによって検査されることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項13】
前記車両システム(1)の少なくとも1つのエネルギー貯蔵部(VER)の不足電圧閾値および/もしくは過電圧閾値ならびに/またはアナログ信号を外部のアナログ信号送信器(5)から受信するかもしくはアナログ信号を外部のアナログ信号受信器に出力するアナログインターフェイス(2)ならびに/または中央の加速度センサ(SA)ならびに/または中央の角速度センサ(SD)ならびに/またはデータバス通信インターフェイス(9)が、前記少なくとも1つのソフトウェア支援型自己診断機能(SEDF)によって検査されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法(100)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法(100)を実行するよう適応されている車両システム(1)。
【請求項15】
最低でも内部エネルギー供給部(11)、シーケンス制御および論理制御部(10)、ならびに抑止装置の少なくとも1つの点火回路(6)を作動させるため、対応している出力段(16)を制御する安全制御部(12)を含む少なくとも1つのシステム集積回路(ASIC)を備え、少なくとも1つのマイクロコントローラ(μC)を備えた制御機器(ECU)を特徴とする車両システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両システムの自己診断方法に関する。このような方法を実行するよう適応されている車両システムも本発明の対象である。
【背景技術】
【0002】
現況技術から、車両システムの自己診断方法およびこのような方法を実施するための対応している車両システムが知られている。このような自己診断方法により、複雑な電子回路が、例えば15年のその全動作期間中、エラーなく機能することが保証され得る。これに関し、車両システムの主要機能および/または特性が、安全性格付けに応じて、通電サイクルごとに一回または連続的におよび/もしくは定期的に、自己診断機能によって検査され得る。BIST(組込み自己テスト)とも呼ばれるこれらの自己診断機能の大部分は、車両システムの毎始動時に最初に実行され、エラーのない状態または診断の失敗をユーザに知らせることができる。エアバッグシステムでは、通常は車両の計器盤内のエアバッグ警告表示によって表示が行われる。このエアバッグ警告表示は、毎システム始動時に光り、自己診断に問題なく合格することで初めて非アクティブ化される。これには、システムの種類、車両タイプなどに応じて数秒かかり得る。警告表示が消えて初めて機能のスタンバイが確約される。ハードウェアおよびソフトウェアの検査のための個々の自己診断機能はほとんど常に逐次的に進行するので、最初の診断範囲から、エアバッグシステムの初期化または起動のための所要時間の本質的な寄与度が明らかになる。さらに、自己診断機能は一般的にソフトウェア支援型で、マイクロコントローラによりソフトウェアを介して始動または評価されるので、車両システムソフトウェアの複雑さが増す。
【発明の概要】
【0003】
独立特許請求項1の特徴を有する車両システムの自己診断方法および独立特許請求項14の特徴を有する対応している車両システムは、それぞれ、車両システムの初期化または起動のための所要時間が明らかに減少し得るという利点を有する。これは、車両システムの全機能のスタンバイまで、つまり利用可能になるまでのタイムスパンが存在しており、明らかに短縮され得ることを意味する。さらに、車両システムソフトウェアの複雑さが軽減され得る。
【0004】
本発明の核心は、車両システムの自己診断機能を、もはや逐次的に実行するのではなく並列化することにある。これは、明らかに短縮された全体の診断時間をもたらし、したがって車両システムの機能をより早く利用可能にする。このために、追加的なテスト回路を含めた少なくとも1つのシステム集積回路のハードウェア設計が、およびその他のシステムコンポーネント、例えばマイクロコントローラ、センサ、通信インターフェイスなどとの連携が、相応に適合され得る。これに加え、少なくとも1つのシステム集積回路の個々の内部自己診断機能は、ハードウェア支援によって強化することができ、自立的に、車両システムの少なくとも1つのマイクロコントローラの関与なしで実行されて判定され得る。これは、好ましくはエアバッグシステムとして構築されている車両システムの特に初期化段階または起動段階中の、車両システムソフトウェアの複雑さを軽減する。これに関し、エアバッグシステムの全機能のスタンバイ、つまり利用可能であることは、例えばエアバッグ警告表示が消えることによって知らされ得る。
【0005】
本発明の実施形態は、車両オンボードネットワークからエネルギーを供給されており、かつ最低でも内部エネルギー供給部、シーケンス制御および論理制御部、ならびに安全制御部を有する少なくとも1つのシステム集積回路を備え、少なくとも1つのマイクロコントローラを備えた制御機器を含む、車両システムの自己診断方法を提供する。これに関し、オンボードネットワーク電圧の印加後、初期化段階において、少なくとも1つのマイクロコントローラのアクティブ化状態に関係なく、少なくとも1つのシステム集積回路内で、車両システムに供給するための少なくとも1つの内部基準電圧および少なくとも1つの内部システム電圧が、印加されているオンボードネットワーク電圧から生成され、ならびにハードウェア支援型内部自己診断機能が実行される。少なくとも1つの内部基準電圧が利用可能である場合、対応しているシステム集積回路内で、ハードウェア支援型内部自己診断機能が始動および実施される。さらに、少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能が最低でも部分的に並列に処理され、少なくとも1つのマイクロコントローラは、少なくとも1つのシステム集積回路の初期化段階の後にアクティブ状態を有し、内部自己診断の後、少なくとも1つのソフトウェア支援型自己診断機能をアクティブ化して実施する。
【0006】
さらに、このような自己診断方法を実行するよう適応されている車両システムが提案される。この車両システムは、例えば、少なくとも1つのシステム集積回路を備え、少なくとも1つのマイクロコントローラを備えた制御機器を含み得る。これに関し、少なくとも1つのシステム集積回路は、最低でも内部エネルギー供給部、シーケンス制御および論理制御部、ならびに安全制御部を有することができ、安全制御部は、抑止装置の少なくとも1つの点火回路を作動させるため、対応している出力段を制御し得る。
【0007】
車両システムの個々の自己診断機能の実行およびフローは、複数のパラメータまたは依存性と結び付いている。つまり、車両システムの本発明による自己診断方法の実施形態は、ハードウェア設計において、およびハードウェア支援型内部自己診断機能の制御において、例えば内部システム電圧の存在のような電気的な基礎条件を考慮する。これに加え、ハードウェア支援型内部自己診断機能の始動は、少なくとも1つの内部基準電圧の存在によって作動されることが好ましい。さらに、ハードウェア支援型内部自己診断機能の実行時には、その他の機能および/またはテストとの相互作用に注意を払って安全要件を満たすことができる。これにより、車両システムの自己診断のフローを速めること、自己診断機能を並列化すること、および車両システムソフトウェアの複雑さを軽減することが可能である。
【0008】
本願において制御機器とは、捕捉したセンサ信号を処理または評価する電気機器、例えばエアバッグ制御機器のことであり得る。制御機器は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアによって形成され得る少なくとも1つのインターフェイスを有し得る。ハードウェアによる形成の場合、インターフェイスは、例えば制御機器の非常に様々な機能を内包しているシステム集積回路の一部であってもよい。ただし、インターフェイスが専用の集積回路であるかまたは最低でも部分的には個別の部品から成ることも可能である。ソフトウェアによる形成の場合、インターフェイスは、例えば1つのマイクロコントローラ上でその他のソフトウェアモジュールと共に存在しているソフトウェアモジュールであり得る。機械可読の媒体、例えば半導体メモリ、ハードディスクメモリ、または光メモリ上で保存されており、かつ評価の実施に使用されるプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品も、このプログラムが制御機器のマイクロコントローラによって実行される場合、有利である。
【0009】
従属請求項に記載した措置および変形形態により、独立特許請求項1で提示した車両システムの自己診断方法および独立特許請求項14で提示した車両システムの有利な改善が可能である。
【0010】
少なくとも1つのシステム集積回路内に、ハードウェア支援型内部自己診断機能を実施するための少なくとも1つの追加的なテスト回路および/または少なくとも1つの書き換え可能な永久メモリが実装され得ることが特に有利である。これに関し、少なくとも1つの書き換え可能な永久メモリは電気パラメータを提供し得る。その代わりに、ハードウェア支援型内部自己診断機能は、パラメータ化および判定なしでも、シーケンス制御および論理制御部自体において進行し得る。つまり、シーケンス制御および論理制御部が、個々のハードウェア支援型内部自己診断機能を、例えば常に同じように実行して、その後少なくとも1つのマイクロコントローラに、対応する「Raw値」を結果として提供することができる。その後、少なくとも1つのマイクロコントローラは、ハードウェア支援型内部自己診断機能が肯定的に終了されたか否かをシステムの種類に応じて判定し得る。これに加え、少なくとも1つのテスト回路は、電気パラメータの干渉によって、または混信によって引き起こされ得る相互作用の発生が低減され得るように構成および配置され得る。共通のシリコン基板上での少ない空間的近接箇所の場合、相互作用は、例えば、電気パラメータの干渉によって、または「混信」もしくは妨害によって直接的に生じ得る。本発明の実施形態は、影響を受けない自己診断機能を保証するため、少なくとも1つのテスト回路の適合、例えば電流ソースおよび/または電流シンクの最適化されたサイジング、ダイオードを備えた電流経路からの「切り離し」などにより、ハードウェア支援型内部自己診断機能の相互作用をできるだけ低減し得る。同様に、少なくとも1つのシステム集積回路のレイアウトにおいて、回路ブロックをより良く絶縁させ得る措置が可能である。つまり例えば、最適化されたアース接続、最適化された配線、隣接構造間の溝またはトレンチなどが実装され得る。このような改善策により、ハードウェア支援型内部自己診断機能の機能的干渉は存在しないかまたは減少しているので、自己診断機能の並列化が増やされ得る。
【0011】
この方法の有利な形態では、最低でも部分的に並列に処理される最低でも少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能がそれぞれデジタルテスト部分およびアナログテスト部分を有し得る。これに関し、最低でも少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能のデジタルテスト部分が並列に処理され得る。
【0012】
この方法のさらなる有利な形態では、少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能のアナログテスト部分が、既知の影響および/または安全設定に依存して、並列にまたは設定された順番で処理され得る。少なくとも1つのシステム集積回路内での電気回路の高集積度に起因して、個々のハードウェア支援型内部自己診断機能間での、ハードウェア支援型内部自己診断機能にも干渉し得る相互作用の存在の可能性が生じ得る。したがって、このようなハードウェア支援型内部自己診断機能を実装する際には、すべての自己診断機能が任意にどの時点でも、また並列に始動され得るわけではないことに注意が払われる。まさに安全性に関わる用途、例えばエアバッグ制御機器では、安全要件の不履行が起こってはならない。つまり例えば、第1のハードウェア支援型内部自己診断機能が問題なく終了しなかった場合は第2のハードウェア支援型内部自己診断機能の実行を阻止するといった、個々の自己診断機能の互いに対する依存性が存在する。この依存性および必要な制御も、昨今のシステムにおいて複雑なシステムソフトウェアを、および最初の自己診断方法の全体の時間の延長を引き起こしている。車両システムの本発明による自己診断方法の実施形態では、テスト集積回路およびそれらのハードウェアシーケンス制御が、安全要件の不履行が存在し得ないように構築される。つまり、安全性に関わる機能に関するハードウェア支援型内部自己診断機能の不合格が、例えば、さらなるハードウェア支援型内部自己診断機能の中断を自動的に引き起こすであろう。最善の場合、テスト回路自体は機能不全の際も安全を脅かすリスクではないように、テスト回路を構成することができ、これにより、ハードウェア支援型内部自己診断機能は、最大限可能なテスト網羅率で進行し続け得る。つまり例えば、内部システム電圧は、それぞれ異なる時点で利用可能であってよく、かつ/または互いに依存し得る。したがって、第1のシステム電圧が検査されてエラーが確認されなかった後に初めて、第1のシステム電圧に依存する第2のシステム電圧が検査され得る。このような改善策により、ハードウェア支援型内部自己診断機能の安全要件の依存性は存在しないかまたは減少するので、ハードウェア支援型内部自己診断機能の並列化を増やすこともできる。
【0013】
この方法のさらなる有利な形態では、少なくとも1つの内部基準電圧をベースとして、少なくとも1つの参照電圧および/または少なくとも1つの補助電圧が生成されて、ハードウェア支援型内部自己診断機能のために提供され得る。つまり、少なくとも1つの補助電圧は、例えば、対応している内部システム電圧により、この内部システム電圧が後の時点でその目標値に達した場合、置き換えられ得る。これは、すべての内部電圧がその目標値に達するより前に、多数の自己診断機能が既に実行され得ることを意味する。つまり例えば、評価回路、例えばコンパレータは、対応している評価回路によって検査されるべき内部システム電圧が利用可能になる前に検査され得る。
【0014】
この方法のさらなる有利な形態では、少なくとも1つのコンパレータを、ハードウェア支援型内部自己診断機能の少なくとも1つによって検査されてもよく、この少なくとも1つのハードウェア支援型内部自己診断機能は、印加された参照電圧の変化によって少なくとも1つのコンパレータの切り替え点を検査するよう実行されている。これに関し、この少なくとも1つのコンパレータの出力信号の転送は、検査中はブロックされ得る。この少なくとも1つのコンパレータは、エラーなく検査された後、少なくとも1つのさらなるハードウェア支援型内部自己診断機能により、少なくとも1つの内部基準電圧および/または少なくとも1つの内部システム電圧および/または少なくとも1つの出力電圧の、不足電圧閾値および/または過電圧閾値を検査するために使用され得る。コンパレータの使用は、対応しているハードウェア支援型内部自己診断機能の簡単かつ安価な実装を可能にする。
【0015】
この方法のさらなる有利な形態では、対応しているシステム集積回路のシーケンス制御および論理制御部の少なくとも1つの論理パスならびに/または安全制御部の少なくとも1つの論理パスが、ハードウェア支援型内部自己診断機能の少なくとも1つによって検査され得る。追加的にまたはその代わりに、センサ信号を少なくとも1つの周辺センサユニットから受信して処理し得る少なくとも1つのPSIインターフェイスが、ハードウェア支援型内部自己診断機能の少なくとも1つによって検査され得る。さらに、追加的にまたはその代わりに、アナログ信号を外部のアナログ信号送信器から受信し得るかまたはアナログ信号を外部のアナログ信号受信器に出力し得る少なくとも1つのアナログインターフェイスが、ハードウェア支援型内部自己診断機能の少なくとも1つによって検査され得る。挙げたハードウェア支援型内部自己診断機能は例としてのみ理解されるべきであり、なぜならハードウェア支援型内部自己診断機能の全範囲は明らかにより大きい可能性があるからである。
【0016】
この方法のさらなる有利な形態では、車両システムの少なくとも1つのエネルギー貯蔵部の不足電圧閾値および/もしくは過電圧閾値ならびに/またはアナログ信号を外部のアナログ信号送信器から受信し得るかもしくはアナログ信号を外部のアナログ信号受信器に出力し得るアナログインターフェイスならびに/または中央の加速度センサならびに/または中央の角速度センサならびに/またはバスインターフェイスが、少なくとも1つのソフトウェア支援型自己診断機能によって検査され得る。この少なくとも1つのソフトウェア支援型自己診断機能は、例えばシステムソフトウェアにより、SPI命令によって始動および実施される。これは、内部システム電圧が利用可能であり、マイクロコントローラが完全に供給されており、マイクロコントローラの内部自己診断が問題なく終了している場合に行われる。
【0017】
本発明の例示的実施形態が図面に示されており、以下の説明においてより詳しく解説される。図面では、同じ符号は、同じまたは類似の機能を実行するコンポーネントまたは要素を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による車両システムの1つの例示的実施形態の概略的なブロック図である。
図2図1からの車両システムの本発明による自己診断方法の1つの例示的実施形態の概略的なフロー図である。
図3図2からの車両システムの本発明による自己診断方法に基づく複数のハードウェア支援型自己診断機能および1つのソフトウェア支援型自己診断機能のタイムシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から明らかであるように、図2に示した本発明による方法100を実行するよう適応されている本発明による車両システム1の図示された例示的実施形態は、少なくとも1つのシステム集積回路ASICおよび少なくとも1つのマイクロコントローラμCを備えた制御機器ECUを含む。図示された例示的実施形態では、車両システム1が、1つのみのシステム集積回路ASICおよび1つのみのマイクロコントローラμCを含むエアバッグシステム1Aとして構築されている。システム集積回路ASICは、最低でも内部エネルギー供給部11、シーケンス制御および論理制御部10、ならびに安全制御部12を含み、安全制御部12は、図示されていない抑止装置の少なくとも1つの点火回路6を作動させるため、対応している出力段16を制御する。図1からさらに明らかであるように、図示された車両システム1は、オンボードネットワーク電圧VBを提供する車両オンボードネットワーク3によってエネルギーを供給されている。
【0020】
図1に示した車両システム1の本発明による自己診断方法100の図示された例示的実施形態では、オンボードネットワーク電圧VBの印加後、初期化段階において、少なくとも1つのマイクロコントローラμCのアクティブ化状態に関係なく、少なくとも1つのシステム集積回路ASIC内で、車両システム1に供給するための少なくとも1つの内部基準電圧VBzおよび少なくとも1つの内部システム電圧V1、V2、V3、V4が、印加されているオンボードネットワーク電圧VBから生成され、ならびに図3に示したハードウェア支援型内部自己診断機能EDFが実行される。図2から明らかであるように、ステップS100では、少なくとも1つの内部基準電圧VBzが利用可能である場合、対応しているシステム集積回路ASIC内で、ハードウェア支援型内部自己診断機能EDFが始動され、ステップS120において実施される。ステップS120では、図3から明らかであるように、少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能EDFが最低でも部分的に並列に処理される。少なくとも1つのマイクロコントローラμCが、少なくとも1つのシステム集積回路ASICの初期化段階の後にアクティブ状態を有し、内部自己診断の後、ステップS130では少なくとも1つのソフトウェア支援型自己診断機能SEDFをアクティブ化し、これがステップS140では実施される。
【0021】
図3に示した複数のハードウェア支援型自己診断機能EDFのタイムシーケンスは、車両の通常動作においては、時点T0で、オンボードネットワーク電圧VBが制御機器ECUに印加されることを示している。これに加え、制御機器ECUは、オンボードネットワーク電圧VBをベースとして充電される内部エネルギー貯蔵部VERを含む。オンボードネットワーク電圧VBが停止すると、内部エネルギー貯蔵部VERが非常時動作において内部エネルギー供給部11にエネルギー貯蔵部電圧を提供する。したがって、システム集積回路ASICの内部エネルギー供給部11は、図示された例示的実施形態では4つの様々な内部システム電圧V1、V2、V3、V4を、通常動作においては提供されたオンボードネットワーク電圧VBから、非常時動作においては提供されたエネルギー貯蔵部電圧から生成する。このために内部エネルギー供給部11は、様々な内部システム電圧V1、V2、V3、V4を生成して出力する複数の図示されていない電圧レギュレータおよび/または電圧変換器を含む。図示された例示的実施形態では、第1の内部システム電圧V1は6.7Vの電圧レベルを有し、例えば中央の加速度センサSAおよび中央の角速度センサSDに供給するために使用される。第2の内部システム電圧V2は5.0Vの電圧レベルを有し、例えばデータバス通信インターフェイス9およびアナログインターフェイス2に供給するために使用される。第3の内部システム電圧V3は3.3Vの電圧レベルを有し、例えばシステム集積回路ASICのアナログインターフェイス15およびPSIインターフェイス17に供給するために、ならびにマイクロコントローラμCに供給するために使用される。第4の内部システム電圧V4は1.29Vの電圧レベルを有し、例えばマイクロコントローラμCのコアに供給するために使用される。これに加え、4つの内部システム電圧V1、V2、V3、V4は、マイクロコントローラμCの内部自己診断のためのプログラムコードおよび電気パラメータを保有している書き換え可能な永久メモリNVM(不揮発性メモリ)に供給するために、ならびにシステム集積回路ASICのシーケンス制御および論理制御部10、安全制御部12、および出力段16に供給するために使用される。挙げた内部システム電圧V1、V2、V3、V4は例としてのみ理解されるべきであり、もちろん、4つの内部システム電圧V1、V2、V3、V4より多いまたは少ない内部システム電圧を生成して使用してもよく、これらの内部システム電圧が提示したのとは違う電圧値を有してもよい。
【0022】
図1からさらに明らかであるように、システム集積回路ASICは、図示された例示的実施形態では、ハードウェア支援型内部自己診断機能EDFのための電気パラメータを保有しており同様に4つの内部システム電圧V1、V2、V3、V4の1つによって供給される書き換え可能な永久メモリ13と、複数のテスト回路とを含み、これらのテスト回路のうち1つのテスト回路14が例示的に図示されている。これらのテスト回路14も同様に、4つの内部システム電圧V1、V2、V3、V4の1つによって供給される。これらのテスト回路14は、電気パラメータの干渉によって、または混信によって引き起こされる相互作用の発生が低減されるように構成および配置されている。
【0023】
図1からさらに明らかであるように、内部エネルギー供給部11は、少なくとも1つの内部基準電圧VBzを生成する。この少なくとも1つの内部基準電圧VBzをベースとして、図示された例示的実施形態では参照電圧Vrefおよび少なくとも1つの補助電圧VHが生成され、ハードウェア支援型内部自己診断機能EDFのために提供される。少なくとも1つの補助電圧VHは、対応している内部システム電圧V1、V2、V3、V4により、この内部システム電圧V1、V2、V3、V4が後の時点でその目標値に達した場合、置き換えられる。
【0024】
図3に示したタイムシーケンスは、時点T1で内部基準電圧VBzが利用可能であることを示している。したがって方法100は、図3では時点TIによってその終わりが示されている初期化段階内で、ステップS100において、時点T1でハードウェア支援型内部自己診断機能EDFを始動する。図3からさらに明らかであるように、本発明による方法100は、図示された例示的実施形態では5つのハードウェア支援型内部自己診断機能EDFと、時点TIで初期化段階が終わった後にマイクロコントローラμCによって始動される1つのソフトウェア支援型自己診断機能SEDFとを含む。
【0025】
これに関し、少なくとも1つのコンパレータが、ハードウェア支援型内部自己診断機能EDFの少なくとも1つによって検査され、この少なくとも1つのハードウェア支援型内部自己診断機能EDFは、印加された参照電圧Vrefの変化によって少なくとも1つのコンパレータの切り替え点を検査するよう実行されており、この少なくとも1つのコンパレータの出力信号の転送は、検査中はブロックされる。この少なくとも1つのコンパレータは、エラーなく検査された後、少なくとも1つのさらなるハードウェア支援型内部自己診断機能EDFにより、少なくとも1つの内部基準電圧VBzおよび/または少なくとも1つの内部システム電圧V1、V2、V3、V4および/または少なくとも1つの出力電圧の、不足電圧閾値および/または過電圧閾値を検査するために使用される。これに加え、システム集積回路ASICのシーケンス制御および論理制御部10の少なくとも1つの論理パスならびに/または安全制御部12の少なくとも1つの論理パスが、ハードウェア支援型内部自己診断機能EDFの少なくとも1つによって検査される。センサ信号を少なくとも1つの周辺センサユニット8から受信して処理するPSIインターフェイス17も同様に、ハードウェア支援型内部自己診断機能EDFの少なくとも1つによって検査される。PSIインターフェイス17は、少なくとも1つの周辺センサユニット8の処理されたセンサ信号を、SPIバスとして構築されているシステム内データバスSPIを介し、車両システム1のその他のコンポーネントに転送する。アナログ信号を外部のアナログ信号送信器5から、例えばシートベルトバックルの接触センサ5Aから受信するかまたはアナログ信号を外部のアナログ信号受信器4、例えば警告表示4Aに出力するアナログインターフェイス15も同様に、ハードウェア支援型内部自己診断機能EDFの少なくとも1つによって検査される。
【0026】
図3からさらに明らかであるように、第1のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF1は、1つのデジタルテスト部分DT1および2つのアナログテスト部分AT1、AT2を有する。第2のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF2は、1つのデジタルテスト部分DT1および1つのアナログテスト部分AT1を有する。第3のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF3は、1つのアナログテスト部分AT1のみを有する。第4のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF4は、1つのデジタルテスト部分DT1および1つのアナログテスト部分AT1を有する。第5のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF5も同様に、1つのデジタルテスト部分DT1および1つのアナログテスト部分AT1を有する。
【0027】
図3からさらに明らかであるように、最低でも、ハードウェア支援型内部自己診断機能EDF1、EDF2、EDF4、EDF5のデジタルテスト部分DT1が並列に処理される。5つのハードウェア支援型内部自己診断機能EDF1、EDF2、EDF3、EDF4、EDF5のアナログテスト部分AT1、AT2は、既知の影響および/または安全設定に依存して、並列にまたは設定された順番で処理される。つまり、4つのハードウェア支援型内部自己診断機能EDF1、EDF2、EDF4、EDF5のデジタルテスト部分DT1の処理の後に、第1のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF1および第4のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF4のアナログテスト部分AT1が並列に処理される。第1のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF1の第2のアナログテスト部分AT2ならびに第2のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF2のアナログテスト部分AT1および第3のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF3のアナログテスト部分AT1は、第1のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF1の第1のアナログテスト部分AT1に依存しているので、これら3つのアナログテスト部分AT1、AT2は、第1のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF1の第1のアナログテスト部分AT1の処理の後に並列に処理される。第5のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF5のアナログテスト部分AT1は、第3のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF3のアナログテスト部分AT1に依存しているので、これは第3のハードウェア支援型内部自己診断機能EDF3のアナログテスト部分AT1の処理の後に処理される。
【0028】
図3に示したソフトウェア支援型自己診断機能SEDFは、図示された例示的実施形態では、車両システム1のエネルギー貯蔵部VERの不足電圧閾値および/または過電圧閾値を検査する。図示されていない代替的な例示的実施形態では、さらなるソフトウェア支援型自己診断機能SEDFが、アナログインターフェイス2および/または中央の加速度センサSAおよび/または中央の角速度センサSDおよび/または例えばCANバスとして構築された車両バスシステム7と接続しているデータバス通信インターフェイス9を検査する。アナログインターフェイス2は、外部のアナログ信号送信器5からのアナログ信号、例えば図示されていないエアバッグスイッチのスイッチ状態5Bを受信する。これに関し、アナログインターフェイス2がマイクロコントローラμCに組み込まれていてもよい。これに加え、このアナログインターフェイスは、アナログ信号を外部のアナログ信号受信器に出力することもできる。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両オンボードネットワーク(3)からエネルギーを供給されており、かつ最低でも内部エネルギー供給部(11)、シーケンス制御および論理制御部(10)、ならびに安全制御部(12)を有する少なくとも1つのシステム集積回路(ASIC)を備え、少なくとも1つのマイクロコントローラ(μC)を備えた制御機器(ECU)を含む車両システム(1)の自己診断方法(100)であって、オンボードネットワーク電圧(VB)の印加後、初期化段階において、前記少なくとも1つのマイクロコントローラ(μC)のアクティブ化状態に関係なく、前記少なくとも1つのシステム集積回路(ASIC)内で、前記車両システム(1)に供給するための少なくとも1つの内部基準電圧(VBz)および少なくとも1つの内部システム電圧(V1、V2、V3、V4)が、印加されている前記オンボードネットワーク電圧(VB)から生成され、ならびにハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)が実行され、前記少なくとも1つの内部基準電圧(VBz)が利用可能である場合、対応している前記システム集積回路(ASIC)内で、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)が始動および実施され、少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)が最低でも部分的に並列に処理され、前記少なくとも1つのマイクロコントローラ(μC)が、前記少なくとも1つのシステム集積回路(ASIC)の前記初期化段階の後にアクティブ状態を有し、内部自己診断の後、少なくとも1つのソフトウェア支援型自己診断機能(SEDF)をアクティブ化して実施する、方法(100)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのシステム集積回路(ASIC)内に、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)を実施するための少なくとも1つの追加的なテスト回路(14)および/または少なくとも1つの書き換え可能な永久メモリ(13)が実装され、これに関し、前記少なくとも1つの書き換え可能な永久メモリ(13)が電気パラメータを提供することを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのテスト回路(14)が、電気パラメータの干渉によって、または混信によって引き起こされる相互作用の発生が低減されるように構成および配置されることを特徴とする、請求項2に記載の方法(100)。
【請求項4】
最低でも前記少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)がそれぞれデジタルテスト部分(DT1)およびアナログテスト部分(AT1、AT2)を有し、最低でも前記少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)の前記デジタルテスト部分(DT1)が並列に処理されることを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項5】
前記少なくとも2つのハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)の前記アナログテスト部分(AT1、AT2)が、既知の影響および/または安全設定に依存して、並列にまたは設定された順番で処理されることを特徴とする、請求項4に記載の方法(100)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの内部基準電圧(VBz)をベースとして、少なくとも1つの参照電圧(Vref)および/または少なくとも1つの補助電圧(VH)が生成されて、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)のために提供されることを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの補助電圧(VH)が、対応している内部システム電圧(V1、V2、V3、V4)により、前記内部システム電圧(V1、V2、V3、V4)が後の時点でその目標値に達した場合、置き換えられることを特徴とする、請求項6に記載の方法(100)。
【請求項8】
少なくとも1つのコンパレータが、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)の少なくとも1つによって検査され、前記少なくとも1つのハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)が、印加された参照電圧(Vref)の変化によって前記少なくとも1つのコンパレータの切り替え点を検査するよう実行されており、前記少なくとも1つのコンパレータの出力信号の転送が、前記検査中はブロックされることを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項9】
前記少なくとも1つのコンパレータが、エラーなく検査された後、少なくとも1つのさらなるハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)により、前記少なくとも1つの内部基準電圧(VBz)および/または前記少なくとも1つの内部システム電圧(V1、V2、V3、V4)および/または少なくとも1つの出力電圧の、不足電圧閾値および/または過電圧閾値を検査するために使用されることを特徴とする、請求項8に記載の方法(100)。
【請求項10】
対応している前記システム集積回路(ASIC)の前記シーケンス制御および論理制御部(10)の少なくとも1つの論理パスならびに/または前記安全制御部(12)の少なくとも1つの論理パスが、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)の少なくとも1つによって検査されることを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項11】
センサ信号を少なくとも1つの周辺センサユニット(8)から受信して処理する少なくとも1つのPSIインターフェイス(17)が、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)の少なくとも1つによって検査されることを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項12】
アナログ信号を外部のアナログ信号送信器(5)から受信するかまたはアナログ信号を外部のアナログ信号受信器(4)に出力する少なくとも1つのアナログインターフェイス(15)が、前記ハードウェア支援型内部自己診断機能(EDF)の少なくとも1つによって検査されることを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項13】
前記車両システム(1)の少なくとも1つのエネルギー貯蔵部(VER)の不足電圧閾値および/もしくは過電圧閾値ならびに/またはアナログ信号を外部のアナログ信号送信器(5)から受信するかもしくはアナログ信号を外部のアナログ信号受信器に出力するアナログインターフェイス(2)ならびに/または中央の加速度センサ(SA)ならびに/または中央の角速度センサ(SD)ならびに/またはデータバス通信インターフェイス(9)が、前記少なくとも1つのソフトウェア支援型自己診断機能(SEDF)によって検査されることを特徴とする、請求項1に記載の方法(100)。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の方法(100)を実行するよう適応されている車両システム(1)。
【請求項15】
最低でも内部エネルギー供給部(11)、シーケンス制御および論理制御部(10)、ならびに抑止装置の少なくとも1つの点火回路(6)を作動させるため、対応している出力段(16)を制御する安全制御部(12)を含む少なくとも1つのシステム集積回路(ASIC)を備え、少なくとも1つのマイクロコントローラ(μC)を備えた制御機器(ECU)を特徴とする車両システム(1)。
【国際調査報告】