IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴァレオ、イーオートモーティブ、ジャーマニー、ゲーエムベーハーの特許一覧

特表2024-515834電気機械、およびステータ巻線の導体配置を改良した電気機械用のステータ
<>
  • 特表-電気機械、およびステータ巻線の導体配置を改良した電気機械用のステータ 図1
  • 特表-電気機械、およびステータ巻線の導体配置を改良した電気機械用のステータ 図2
  • 特表-電気機械、およびステータ巻線の導体配置を改良した電気機械用のステータ 図3
  • 特表-電気機械、およびステータ巻線の導体配置を改良した電気機械用のステータ 図4
  • 特表-電気機械、およびステータ巻線の導体配置を改良した電気機械用のステータ 図5
  • 特表-電気機械、およびステータ巻線の導体配置を改良した電気機械用のステータ 図6
  • 特表-電気機械、およびステータ巻線の導体配置を改良した電気機械用のステータ 図7
  • 特表-電気機械、およびステータ巻線の導体配置を改良した電気機械用のステータ 図8
  • 特表-電気機械、およびステータ巻線の導体配置を改良した電気機械用のステータ 図9
  • 特表-電気機械、およびステータ巻線の導体配置を改良した電気機械用のステータ 図10
  • 特表-電気機械、およびステータ巻線の導体配置を改良した電気機械用のステータ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】電気機械、およびステータ巻線の導体配置を改良した電気機械用のステータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/28 20060101AFI20240403BHJP
   H02K 3/12 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
H02K3/28 J
H02K3/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566558
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 EP2022060573
(87)【国際公開番号】W WO2022228999
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021204303.8
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522447473
【氏名又は名称】ヴァレオ、イーオートモーティブ、ジャーマニー、ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】VALEO EAUTOMOTIVE GERMANY GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217836
【弁理士】
【氏名又は名称】合田 幸平
(72)【発明者】
【氏名】ドッツ、ボリス
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム、アフィノウィ
【テーマコード(参考)】
5H603
【Fターム(参考)】
5H603AA09
5H603BB07
5H603BB12
5H603CA01
5H603CA05
5H603CB02
5H603CC03
5H603CC17
5H603CD02
5H603CD05
(57)【要約】
ステータ巻線(12)の電気導体(13)が、ステータスロット(14)に複数の層において径方向にのみ積層配置される電気機械(1)用のステータ(5)が特定される。隣り合って配置された2つのステータスロット(14)が、1つの相(U、V、W)の電気導体(13)を収容するとともに、各場合に組み合わされてブロック(G)を形成する。前記ブロック(G)において、前記電気導体(13)が占める位置は、列番号Sおよび層番号Lにより記述され、スタート位置および増分値により定義される。また、このようなステータ(5)を有する電気機械(1)、およびこのような電気機械(1)を有する車両(15)が特定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械(1)用のステータ(5)であって、前記ステータ(5)は、複数のステータスロット(14)を有するステータ積層スタック(11)を備え、前記ステータスロット(14)は、前記電気機械(1)の回転軸(z)に対して平行に延び、前記ステータスロット(14)には、ステータ巻線(12)の複数の電気導体(13)が各場合に配置されるステータ(5)において、
‐電気導体(13)が、ステータスロット(14)に複数の層において径方向にのみ積層配置され、
‐隣り合って配置された2つのステータスロット(14)が、1つの相(U、V、W)の電気導体(13)を収容するとともに、各場合に組み合わされてブロック(G)を形成し、
‐1つの相(U、V、W)のブロック(G)が、前記ステータ積層スタック(11)に規則的に分散配置され、
‐1つの相(U、V、W)の2つの連続するブロック(G)が、極対を形成し、
‐異なる相(U、V、W)のブロック(G)が、隣り合って配置され、
‐各相(U、V、W)は、4つの巻線ストリング(P1…P4)に分割され、各巻線ストリングは、複数の直列接続された電気導体(13)を有する、
ステータ(5)において、
‐前記ブロック(G)において前記電気導体(13)が占める位置は、列番号Sおよび層番号Lにより記述され、前記層は、外側から内方に向かって増加する前記層番号Lでナンバリングされ、ブロック(G)の前記ステータスロット(14)は、前記列番号Sでナンバリングされ、
‐同一相(U、V、W)の隣り合うブロック(G)において前記導体(13)が連続的に占めるべき前記位置は、スタート位置および増分値により定義され、前記増分値は、第1周方向において同一相(U、V、W)の1つのブロック(G)から次の前記ブロック(G)への変化を記述し、
‐以下の表における前記パターンaおよびa’はスタート値を示し、前記パターンb、b’、c、およびdは増分値を示し、
‐相(U、V、W)毎に、第1巻線ストリング(P1)が、第1ブロック(G)で始まる第1基本パターンシーケンスa、b、d、b’により記述され、したがって、第1極対が形成され、ブロック(G)毎に2対の層を超えるブロック(G)毎の各対の層について、交互に各場合に1つのパターンシーケンスd、b、またはd、b’が、前記第1基本パターンシーケンスa、b、d、b’に付与され、各追加の極対について、各場合に1つのパターンシーケンスc、dが、各場合に1つのパターンシーケンスa、bに、および各場合に1つのパターンシーケンスd、b’に、および各場合に1つのパターンシーケンスd、bに付与され、
‐相(U、V、W)毎に、第2巻線ストリング(P2)が、第1ブロック(G)で始まる第2基本パターンシーケンスa’、b’、d、bにより記述され、したがって、前記第1極対が補足され、ブロック(G)毎に2対の層を超えるブロック(G)毎の各対の層について、交互に各場合に1つのパターンシーケンスd、b’、またはd、bが、前記第2基本パターンシーケンスa’、b’、d、bに付与され、各追加の極対について、各場合に1つのパターンシーケンスc、dが、各場合に1つのパターンシーケンスa’、b’に、および各場合に1つのパターンシーケンスd、bに、および各場合に1つのパターンシーケンスd、b’に付与され、
‐相(U、V、W)毎に、第3巻線ストリング(P3)が、前記第1巻線ストリング(P1)に対して指定された前記一連のものに対応する一連の占めるべき位置により記述され、前記第3巻線ストリング(P3)に対する前記一連のものは、しかしながら、前記第1ブロック(G)に対して前記第1周方向における位置がずらされた第2ブロック(G)で始まり、
相(U、V、W)毎に、第4巻線ストリング(P4)が、前記第2巻線ストリング(P2)に対して指定された前記一連のものに対応する一連の占めるべき位置により記述され、前記第4巻線ストリング(P4)に対する前記一連のものは、しかしながら、前記第1ブロック(G)に対して前記第1周方向における位置がずらされた第2ブロック(G)で始まり、
‐前記巻線ストリング(P1…P4)は、前記第1ブロック(G)においてスタートポイント(X)を有し、他方の開放端部においてエンドポイント(O)を有する、
ことを特徴とするステータ(5)。
【請求項2】
前記電気導体(13)は、U字形ブラケットの前記脚部により対として形成され、前記巻線ストリング(P1…P4)の前記スタートポイント(X)およびエンドポイント(O)は、各場合にこのような脚部の一端部により形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のステータ(5)。
【請求項3】
各場合に異なる相(U、V、W)の前記第1ブロック(G)間に正確に1つの他のブロック(G)が存在する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のステータ(5)。
【請求項4】
‐各相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)の前記スタートポイント(X)は各々互いに接続され、すべての前記相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)の前記エンドポイント(O)は互いに接続されてスターポイントを形成する、または、
‐各相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)の前記エンドポイント(O)は各々互いに接続され、すべての前記相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)の前記スタートポイント(X)は互いに接続されてスターポイントを形成する、
ことを特徴とする請求項1~3の一項に記載のステータ(5)。
【請求項5】
‐各相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)の前記スタートポイント(X)は各々互いに接続され、すべての前記相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)および前記第2巻線ストリング(P2)の前記エンドポイント(O)は互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相(U、V、W)の前記第3巻線ストリング(P3)および前記第4巻線ストリング(P4)の前記エンドポイント(O)は互いに接続されて第2スターポイントを形成する、または、
‐各相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)の前記エンドポイント(O)は各々互いに接続され、すべての前記相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)および前記第2巻線ストリング(P2)の前記スタートポイント(X)は互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相(U、V、W)の前記第3巻線ストリング(P3)および前記第4巻線ストリング(P4)の前記スタートポイント(X)は互いに接続されて第2スターポイントを形成する、
ことを特徴とする請求項1~3の一項に記載のステータ(5)。
【請求項6】
各相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)および前記第4巻線ストリング(P4)は各々直列接続され、各相(U、V、W)の前記第2巻線ストリング(P2)および前記第3巻線ストリング(P3)は、各々直列接続され、
‐すべての前記相(U、V、W)の前記第3巻線ストリング(P3)および前記第4巻線ストリング(P4)の前記エンドポイント(O)は、互いに接続されてスターポイントを形成する、または、
‐すべての前記相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)および前記第2巻線ストリング(P2)の前記スタートポイント(X)は、互いに接続されてスターポイントを形成する、
ことを特徴とする請求項1~3の一項に記載のステータ(5)。
【請求項7】
各相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)および前記第4巻線ストリング(P4)は各々直列接続され、各相(U、V、W)の前記第2巻線ストリング(P2)および前記第3巻線ストリング(P3)は各々直列接続され、
‐すべての前記相(U、V、W)の前記第3巻線ストリング(P3)の前記エンドポイント(O)は互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相(U、V、W)の前記第4巻線ストリング(P4)の前記エンドポイント(O)は互いに接続されて第2スターポイントを形成する、または、
‐すべての前記相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)の前記スタートポイント(X)は互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相(U、V、W)の前記第2巻線ストリング(P2)の前記スタートポイント(X)は互いに接続されて第2スターポイントを形成する、
ことを特徴とする請求項1から3の一項に記載のステータ(5)。
【請求項8】
前記第1巻線ストリング(P1)で始まり前記第4巻線ストリング(P4)まで増加する各相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)は、各々互いに直列接続され、
‐すべての前記相(U、V、W)の前記第4巻線ストリング(P4)の前記エンドポイント(O)は、互いに接続されてスターポイントを形成する、または、
‐すべての前記相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)の前記スタートポイント(X)は、互いに接続されてスターポイントを形成する、
ことを特徴とする請求項1~3の一項に記載のステータ(5)。
【請求項9】
前記電気導体(13)は、導体バーの形態にある、
ことを特徴とする請求項1~8の一項に記載のステータ(5)。
【請求項10】
前記パターンシーケンスa、b;d、b;d、b’は、前記導体バーの前記U字形ブラケットにより各々表される、
ことを特徴とする請求項9に記載のステータ(5)。
【請求項11】
前記パターンシーケンス間の前記接続は、前記導体バーの前記端部間の溶接接合により各々なされる、
ことを特徴とする請求項10に記載のステータ(5)。
【請求項12】
前記導体バーは、矩形の断面領域を有するワイヤから形成される、
ことを特徴とする請求項9~11の一項に記載のステータ(5)。
【請求項13】
前記ステータスロットは、8つの層を各々有する、
ことを特徴とする請求項1~12の一項に記載のステータ(5)。
【請求項14】
‐第1軸受プレート(6)および第2軸受プレート(7)と、
‐2つの前記軸受プレート(6、7)の間に配置された請求項1~13の一項に記載のステータ(5)と、
‐前記ステータ(5)に配置されるロータ(3)であって、2つの前記軸受プレート(6、7)に回転可能に装着されるロータシャフト(2)を有するロータ(3)と、
を特徴とする電気機械(1)。
【請求項15】
少なくとも2つの車軸を有し、そのうちの少なくとも1つが駆動される車両(15)において、前記駆動は、請求項14に記載の電気機械(1)により少なくとも一部が、または時間的に一部が実施されることを特徴とする車両(15)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機械用のステータ、このようなステータを有する電気機械、およびこのような電気機械を有する車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ステータ巻線の導体の配置についての複数のスキームが、電気機械に対して提案されている。しかしながら、ステータの2つの端部における相の種々の巻線ストリングのスタートポイントとエンドポイントとが物理的に互いに近接して配置されていることで互いに容易に接続することを可能とする一方で、他方では相同士の柔軟な相互接続を可能にする解決策は存在しない。
【発明の概要】
【0003】
したがって、本発明の目的は、電気機械用の改良されたステータ、このようなステータを有する改良された電気機械、およびこのような電気機械を有する改良された車両を特定することである。特に、上述の特性を達成することを意図している。
【0004】
本発明の目的は、電気機械用のステータであって、前記ステータは、複数のステータスロットを有するステータ積層スタックを備え、前記ステータスロットは、前記電気機械の回転軸に対して平行に延び、前記ステータスロットには、ステータ巻線の複数の電気導体が各場合に配置されるステータにおいて、
‐電気導体が、ステータスロットに複数の層において径方向にのみ積層配置され、
‐隣り合って配置された2つのステータスロットが、1つの相の電気導体を収容するとともに、各場合に組み合わされてブロックを形成し、
‐1つの相のブロックが、前記ステータ積層スタックに規則的に分散配置され、
‐1つの相の2つの連続するブロックが、極対を形成し、
‐異なる相のブロックが、隣り合って配置され、
‐各相は、4つの巻線ストリングに分割され、各巻線ストリングは、複数の直列接続された電気導体を有し、
‐前記ブロックにおいて前記電気導体が占める位置は、列番号Sおよび層番号Lにより記述され、前記層は、外側から内方に向かって増加する前記層番号Lでナンバリングされ、ブロックの前記ステータスロットは、前記列番号Sでナンバリングされ、
‐同一相隣り合うブロックにおいて前記導体が連続的に占めるべき前記位置は、スタート位置および増分値により定義され、前記増分値は、第1周方向において同一相の1つのブロックから次の前記ブロックへの変化を記述し、
‐以下の表における前記パターンaおよびa’はスタート値を示し、前記パターンb、b’、c、およびdは増分値を示し、
‐相毎に、第1巻線ストリングが、第1ブロックで始まる第1基本パターンシーケンスa、b、d、b’により記述され、したがって、第1極対が形成され、ブロック毎に2対の層を超えるブロック毎の各対の層について、交互に各場合に1つのパターンシーケンスd、b、またはd、b’が、前記第1基本パターンシーケンスa、b、d、b’に付与され、各追加の極対について、各場合に1つのパターンシーケンスc、dが、各場合に1つのパターンシーケンスa、bに、および各場合に1つのパターンシーケンスd、b’に、および各場合に1つのパターンシーケンスd、bに付与され、
‐相毎に、第2巻線ストリングが、第1ブロックで始まる第2基本パターンシーケンスa’、b’、d、bにより記述され、したがって、前記第1極対が補足され、ブロック毎に2対の層を超えるブロック毎の各対の層について、交互に各場合に1つのパターンシーケンスd、b’、またはd、bが、前記第2基本パターンシーケンスa’、b’、d、bに付与され、各追加の極対について、各場合に1つのパターンシーケンスc、dが、各場合に1つのパターンシーケンスa’、b’に、および各場合に1つのパターンシーケンスd、bに、および各場合に1つのパターンシーケンスd、b’に付与され、
‐相毎に、第3巻線ストリングが、前記第1巻線ストリングに対して指定された前記一連のものに対応する一連の占めるべき位置により記述され、前記第3巻線ストリングに対する前記一連のものは、しかしながら、前記第1ブロックに対して前記第1周方向における位置がずらされた第2ブロックで始まり、
‐相毎に、第4巻線ストリングが、前記第2巻線ストリングに対して指定された前記一連のものに対応する一連の占めるべき位置により記述され、前記第4巻線ストリングに対する前記一連のものは、しかしながら、前記第1ブロックに対して前記第1周方向における位置がずらされた第2ブロックで始まり、
‐前記巻線ストリングは、前記第1ブロックにおいてスタートポイントを有し、他方の開放端部においてエンドポイントを有する、
ステータにより達成される。
【0005】
さらに、本発明の目的は、第1軸受プレートおよび第2軸受プレートと、2つの前記軸受プレートの間に配置された上述のタイプのステータと、前記ステータに配置されるロータであって、2つの前記軸受プレートに回転可能に装着されるロータシャフトを有するロータと、有する電気機械により達成される。
【0006】
最後に、本目的は、少なくとも2つの車軸を有し、そのうちの少なくとも1つが駆動される車両において、前記駆動は、上述の電気機械により少なくとも一部が、または時間的に一部が実施される車両により同様に達成される。
【0007】
冒頭で述べた欠点を、提案された手段により克服することができる。特に、以下の利点が得られる。
‐1つの相のすべての巻線ストリングのスタートポイントは、第1ブロックにある。
‐1つの相の第1巻線ストリングおよび第2巻線ストリングのエンドポイントは、1つのブロックの径方向外側にある。
‐1つの相の第3巻線ストリングおよび第4巻線ストリングのエンドポイントは、ブロックの径方向内側にある。
この結果、巻線ストリングは、複数の態様で相互接続され得る。
【0008】
ここで、電気機械の作動中、1つのブロックの隣り合うステータスロットの電気導体には、電流が同一方向に流れることを付言する。
【0009】
本発明のさらなる有利な構成および展開例は、従属請求項および図面と併せて考慮される詳細な説明から生じる。
【0010】
前記電気導体はU字形ブラケットの前記脚部により対として形成され、前記巻線ストリングの前記スタートポイントおよびエンドポイントは各場合にこのような脚部の一端部により形成される場合、有利である。本実施形態において、1つの幅の広いU字形ブラケットおよび1つの幅の狭いU字形ブラケットが、層の対毎に生じる。これらのブラケットは、第1巻線ストリングおよび第2巻線ストリングにおいては第1ブロックから、そして、第3巻線ストリングおよび第4巻線ストリングにおいては第2ブロックから出現する。残りのすべてのブラケットは、中程度の幅を有する。有利には、幅の広いブラケットと幅の狭いブラケットを、一方が他方の内側に物理的に入れ子状とすることができる。
【0011】
さらに、各場合に異なる相の前記第1ブロック間に正確に1つの他のブロックが存在する場合、有利である。この結果、すべての巻線ストリングのスタートポイントとエンドポイントとが物理的に近接して位置するため、以下で説明するように、これらを異なる態様で簡単に電気的に相互接続することができる。
【0012】
‐各相の4つの前記巻線ストリングの前記スタートポイントは各々互いに接続され、すべての前記相の4つの前記巻線ストリングの前記エンドポイントは互いに接続されてスターポイントを形成する場合、または、
‐各相の4つの前記巻線ストリングの前記エンドポイントは各々互いに接続され、すべての前記相の4つの前記巻線ストリングの前記スタートポイントは互いに接続されてスターポイントを形成する場合、有利である。
これにより、相互接続されてスターポイントを形成するすべての巻線ストリングが並列回路となる。
【0013】
さらに、
‐各相の4つの前記巻線ストリングの前記スタートポイントは各々互いに接続され、すべての前記相の前記第1巻線ストリングおよび前記第2巻線ストリングの前記エンドポイントは互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相の前記第3巻線ストリングおよび前記第4巻線ストリングの前記エンドポイントは互いに接続されて第2スターポイントを形成する場合、または、
‐各相の4つの前記巻線ストリングの前記エンドポイントは各々互いに接続され、すべての前記相の前記第1巻線ストリングおよび前記第2巻線ストリングの前記スタートポイントは互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相の前記第3巻線ストリングおよび前記第4巻線ストリングの前記スタートポイントは互いに接続されて第2スターポイントを形成する場合、
有利である。
これにより同様に、相互接続されて2つのスターポイントを形成するが、すべての巻線ストリングが並列回路となる。
【0014】
また、各相の前記第1巻線ストリングおよび前記第4巻線ストリングは各々直列接続され、各相の前記第2巻線ストリングおよび前記第3巻線ストリングは、各々直列接続される場合、且つ、
‐すべての前記相の前記第3巻線ストリングおよび前記第4巻線ストリングの前記エンドポイントは、互いに接続されてスターポイントを形成する場合、または、
‐すべての前記相の前記第1巻線ストリングおよび前記第2巻線ストリングの前記スタートポイントは、互いに接続されてスターポイントを形成する場合、
有利である。
本例において、巻線ストリングは、対として直列および並列に接続され、対として直列接続されたすべての巻線ストリングが、相互接続されてスターポイントを形成する。
【0015】
また、各相の前記第1巻線ストリングおよび前記第4巻線ストリングは各々直列接続され、各相の前記第2巻線ストリングおよび前記第3巻線ストリングは各々直列接続される場合、そして、
‐すべての前記相の前記第3巻線ストリングの前記エンドポイントは互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相の前記第4巻線ストリングの前記エンドポイントは互いに接続されて第2スターポイントを形成する場合、または、
‐すべての前記相の前記第1巻線ストリングの前記スタートポイントは互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相の前記第2巻線ストリングの前記スタートポイントは互いに接続されて第2スターポイントを形成する場合、
有利である。
本例において、同様に、巻線ストリングは、対として直列および並列に接続されるが、対として直列接続されたすべての巻線ストリングが、相互接続されて2つのスターポイントを形成する。
【0016】
最後に、前記第1巻線ストリングで始まり前記第4巻線ストリングまで増加する各相の4つの前記巻線ストリングは、各々互いに直列接続される場合、且つ、
‐すべての前記相の前記第4巻線ストリングの前記エンドポイントは、互いに接続されてスターポイントを形成する場合、または、
‐すべての前記相の前記第1巻線ストリングの前記スタートポイントは、互いに接続されてスターポイントを形成する場合、
有利である。
本例において、各相の巻線ストリングは直列接続され、直列接続された巻線ストリングは、相互接続されてスターポイントを形成する。
【0017】
前記電気導体が導体バーの形態にある場合、有利である。この結果、導体バーは、2つの端部を有する。製造に際して、導体バーをステータ積層スタックのステータスロットに片側から挿入することができる。挿入後、導体バーの端部同士を互いに接続することができる。これは、特に溶接により実施される。
【0018】
導体バーがU字形ブラケットの脚部により対として形成されることが好ましい。すなわち、ステータ積層スタックのステータスロットに片側において挿入する前に、導体バーを既に接続することができる。
導体バーがU字形ブラケットの脚部により対として形成されている場合、導体バーの溶接すべき端部を、ステータ積層スタックの同じ側に配置することができる。
【0019】
前記パターンシーケンスa、b;d、b;d、b’は、前記導体バーの前記U字形ブラケットにより各々表され得る。前記パターンシーケンス間の前記接続は、前記導体バーの前記端部間の溶接接合により各々なされ得る。
【0020】
前記導体バーは、矩形の断面領域を有するワイヤから形成され得る。
【0021】
ステータスロットは、8つの層を有し得る。
【0022】
エンドポイントが導体バーの端部間の溶接接合の側に配置される場合、有利である。
【0023】
スタートポイントが導体バーの端部間の溶接接合の側に配置される場合、有利である。
【0024】
スタートポイントがインバータに導電的に接続される場合、有利である。
【0025】
本発明の上記構成および展開例は、所望の態様で組み合わせることができる。
【0026】
本発明の例示的な実施形態を、例として添付の概略図に示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、概略的に図示された例示的な電気機械を半断面において示す。
図2図2は、電気機械のステータ積層スタックの例を正面図において示す。
図3図3は、ステータスロットの概略的展開例を正面図において示す。
図4図4は、相互接続されてスターポイントを形成するすべての巻線ストリングの並列回路の例を示す。
図5図5は、相互接続されて2つのスターポイントを形成するすべての巻線ストリングの並列回路の例を示す。
図6図6は、対として直列および並列に接続された巻線と、対として直列に接続された巻線とが相互接続されてスターポイントを形成している例を示す。
図7図7は、対として直列および並列に接続された巻線と、対として直列に接続された巻線とが相互接続されて2つのスターポイントを形成している例を示す。
図8図8は、相互接続されてスターポイントを形成している巻線ストリングの直列回路の例を示す。
図9図9は、ブロック毎の所望の対の数の層のためにどのように図示のスキームを拡張できるかに関する1つの可能な態様を示す。
図10図10は、所望の対の数のポールのためにどのように図示のスキームを拡張できるかに関する1つの可能な態様を示す。
図11図11は、車両に設置された提案されるタイプのステータを有する電気機械を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
前置きとして、異なる実施形態における同一の部品には、同一の参照符号または同一の構成部品名称が付され、必要に応じて異なる添字が付されていることを述べておく。これに応じて、本明細書に含まれる構成部品の開示内容は、同一の参照符号または同一の構成部品名称を有する別の構成部品に移され得る。また、例えば「頂部」、「底部」、「後方」、「前方」、「側方」等の本明細書において選択された位置表示は、直接的に記載され示された図面に関するものであり、位置の変更がある場合には、それに応じて新しい位置に移動すべきものである。
【0029】
図1は、概略的に図示された電気機械1の半断面を示す。電気機械1はロータシャフト2を備え、ロータシャフト2はその上に着座したロータ3(ここでは詳細を図示しない)を有している。ロータシャフト2は、(転がり)軸受4a、4bによって、ステータ5に対して回転軸Aを中心として回転可能であるように装着されている。具体的には、第1軸受4aは第1前方軸受プレート6にあり、第2軸受4bは第2後方軸受プレート7にある。さらに、電気機械1は、第1軸前方受板6と第2後方軸受プレート7とを接続するとともにステータ5を収容する中央ハウジング部8を備えている。本例において、前方軸受プレート6と後方軸受プレート7とハウジング部8とが、電気機械1のハウジング9を形成している。
【0030】
本例において、ステータ5は、ステータ積層スタック11すなわちステータ本体を形成する複数のステータ積層体10を有している。また、ステータ5は、ステータ積層スタック11に配置された巻線12であって、端部同士が互いに接続された、特に溶接された個々の導体バー13から構成された巻線12を有している。
【0031】
図2は、電気機械1のステータ積層スタック11の例を正面図において示す。ステータ巻線12の導体バー13が、ステータスロット14の一部を占めている。特に、提案されるステータ5の以下の特徴を、図2において見ることができる。
‐電気導体13が、ステータスロット14に複数の層において径方向にのみ積層配置されている(すなわち、電気導体は、ステータスロット14内で周方向に隣り合って配置されていない)。
‐隣り合って配置された2つのステータスロット14が、1つの相U、V、Wの電気導体13を収容するとともに、各場合に組み合わされてブロックGを形成している。
‐1つの相U、V、WのブロックGが、ステータ積層スタック11に規則的に分散配置されている。
‐1つの相U、V、Wの2つの連続するブロックGが、極対を形成している。
‐異なる相U、V、WのブロックGが、隣り合って配置されている。
【0032】
図3は、ステータスロット14の概略的展開例を正面図において示す。本例において、ステータスロット14を、ステータスロット番号SNで表示する。図示のように、例示的なステータ5は、48個のステータスロット14を有している。相PHの場合において、それぞれの相についての文字の他に、関連する極性も特定されている。したがって、正のU相には「U+」が指定され、負のU相には「U-」が指定される。以下同様である。さらに、図3において、層はL1…L4と表示されている。したがって、例示的なステータ5は、ステータスロット14毎に4つの層L1…L4を有している。
【0033】
ハッチングを施した長方形は、各場合に電気導体13がステータスロット14において占める位置を特定している。接続線は、どの電気導体13同士が接続されているかを示す。ここで、連続的な接続線は、ステータ5の第1端部側における電気接続を示し、破線による接続線は、ステータ5の第2端部側における電気接続を示している。図4において、どのように電気導体13がステータスロット14に配置されているかについてのスキームが、4つのストリングP1…P4について特定されている。ここで、最上部のスキームをストリングP1に割り当て、第2スキームをストリングP2に割り当て、第3スキームをストリングP3に割り当て、最下部のスキームをストリグP4に割り当てる。各相U、V、Wは、4つの巻線ストリングP1…P4に分割され、各巻線ストリングは、複数の直列接続された電気導体13を有している。図2における相Uについて、スキームを代表的に示す。ただし、相VおよびWについてのスキームは同一であり、それぞれの周方向位置をずらしただけである。
【0034】
電気導体13の配置は次のようになる。
‐ブロックGにおいて、電気導体13が占める位置は、列番号Sおよび層番号Lにより記述され、前記層は、外側から内方に向かって増加する前記層番号Lでナンバリングされ、ブロックGの前記ステータスロット14は、前記列番号Sでナンバリングされている。
‐同一相U、V、Wの隣り合うブロックGにおいて導体13が連続的に占めるべき位置は、スタート位置および増分値により定義される。前記増分値は、第1周方向において同一相U、V、Wの1つのブロックGから次の前記ブロックGへの変化を記述する。
‐本例において、以下の表における前記パターンaおよびa’はスタート値を示し、前記パターンb、b’、c、およびdは増分値を示す。
相U、V、W毎に、第1巻線ストリングP1が、第1ブロックGで始まる第1基本パターンシーケンスa、b、d、b’により記述され、したがって、第1極対が形成され、ブロックG毎に2対の層を超えるブロックG毎の各対の層について、交互に各場合に1つのパターンシーケンスd、b、またはd、b’が、前記第1基本パターンシーケンスa、b、d、b’に付与され、各追加の極対について、各場合に1つのパターンシーケンスc、dが、各場合に1つのパターンシーケンスa、bに、および各場合に1つのパターンシーケンスd、b’に、および各場合に1つのパターンシーケンスd、bに付与される。
【0035】
具体例において、これは、次のことを意味する。
第1巻線ストリングP1は、ステータスロット番号SN=13およびSN=14を有するステータスロット14により表示されるブロックGにおいて始まる。ブロックGを別にして考える場合、ステータスロット番号SN=13は列番号S=1に対応し、ステータスロット番号SN=14は列番号S=2に対応する。層番号L=1は、層L1に対応する。パターンaについて、これは、ステータスロット番号SN=14に対応する列番号S=2を有する位置であって、層L1に対応する層番号L=1を有する位置を電気導体13が占めるということを意味する。対応する位置を、図3においてハッチングを施すことにより示す。
【0036】
図示の例における巻線ストリングP1…P4は、ブロックG毎に4つの層L1…L4、およびしたがってブロックG毎に2対の層および4つの極対を有している。したがって、以下のスキームが得られる。ここで、明瞭性を期して、パターンシーケンスa、bが組み合わされてパターン対Aが形成され、パターンシーケンスd、bが組み合わされてパターン対Bが形成され、パターンシーケンスc、dが組み合わされてパターン対Cが形成されている。
【0037】
表の右側の領域において、増分値が解かれ、絶対位置が入力されている。本例において、相Uに対するブロックGの間にある相VおよびWに対するブロックを理由として、数「6」をさらに減算する必要があり、数「48」が負の値に加算されるという事実が考慮されるべきである。
【0038】
第2巻線ストリングP2は、非常に類似した態様で形成されている。具体的には、第2巻線ストリングP2は、第1ブロックGで始まる第2基本パターンシーケンスa’、b’、d、bにより記述され、したがって、前記第1極対が補足され、ブロックG毎に2対の層を超えるブロックG毎の各対の層について、交互に各場合に1つのパターンシーケンスd、b’、またはd、bが、前記第2基本パターンシーケンスa’、b’、d、bに付与され、各追加の極対について、各場合に1つのパターンシーケンスc、dが、各場合に1つのパターンシーケンスa’、b’に、および各場合に1つのパターンシーケンスd、bに、および各場合に1つのパターンシーケンスd、b’に付与される。
【0039】
具体例において、第2巻線ストリングP2も、ステータスロット番号SN=13およびSN=14を有するステータスロット14により表示されるブロックGにおいて開始する。本例において、明瞭性を期して、パターンシーケンスa’、b’が組み合わされてパターン対A’が形成され、パターンシーケンスd、bが組み合わされてパターン対B’が形成され、パターンシーケンスc、dが同様に組み合わされてパターン対Cが形成されている。表の右側の領域において、増分値が解かれ、絶対位置が入力されている。
【0040】
第3巻線ストリングP3は、前記第1巻線ストリングP1に対して指定された前記一連のものに対応する一連の占めるべき位置により記述され、前記第3巻線ストリングP3に対する前記一連のものは、しかしながら、前記第1ブロックGに対して前記第1周方向における位置をずらされた第2ブロックGで始まる。具体的には、したがって、第3巻線ストリングP3は、ステータスロット番号SN=7およびSN=8を有するステータスロット14により表示されるブロックGにおいて開始する。
【0041】
最後に、第4巻線ストリングP4は、前記第2巻線ストリングP2に対して指定された前記一連のものに対応する一連の占めるべき位置により記述され、前記第4巻線ストリングP4に対する前記一連のものは、しかしながら、前記第1ブロックGに対して前記第1周方向における位置をずらされた第2ブロックGで始まる。具体的には、したがって、第4巻線ストリングP4は、ステータスロット番号SN=7およびSN=8を有するステータスロット14により表示されるブロックGにおいて開始する。
【0042】
一般に、巻線ストリングP1…P4は、第1ブロックGにおいてスタートポイントを有し、他方の開放端部においてエンドポイントを有する。これは、図3において表の上部で視覚化されている。ここで、スタートポイントは「X」で表示され、エンドポイントは「O」で表示されている。また、この表から、個々の巻線ストリングP1…P4のスタートポイントXとエンドポイントOとが、物理的に互いに近接して位置していることも明瞭である。非常に一般的に、提案されるスキームから以下の利点が得られる。
‐1つの相のすべての巻線ストリングP1…P2のスタートポイントXは、第1ブロックGにある。
‐1つの相U、V、Wの第1巻線ストリングP1および第2巻線ストリングP2のエンドポイントOは、1つのブロックGの径方向外側にある。
‐1つの相U、V、Wの第3巻線ストリングP3および第4巻線ストリングP4のエンドポイントOは、ブロックGの径方向内側にある。
この結果、巻線ストリングは、多数の複雑な相互接続を伴うことなく、複数の態様で相互接続され得る。
【0043】
また、導体13はU字形ブラケットの前記脚部により対として形成され、前記巻線ストリングP1…P4の前記スタートポイントXおよびエンドポイントOは、各場合にこのような脚部の一端部により形成されている場合、有利である。この変形実施形態において、1つの幅の広いU字形ブラケットおよび1つの幅の狭いU字形ブラケットが、層の対毎に生じる。これらのブラケットは、第1巻線ストリングP1および第2巻線ストリングP2においては第1ブロックGから、そして、第3巻線ストリングP3および第4巻線ストリングP4においては第2ブロックGから出現する。残りのすべてのブラケットは、中程度の幅を有する。有利には、幅の広いブラケットと幅の狭いブラケットを、一方が他方の内側に物理的に入れ子状とすることができる。
【0044】
各場合に異なる相U、V、Wの前記第1ブロックG間に正確に1つの他のブロックGが存在する場合、さらに有利である。この結果、すべての巻線ストリングP1…P4のスタートポイントXとエンドポイントOとが物理的に近接して位置するため、これらを異なる態様で簡単に電気的に相互接続することができる。
【0045】
巻線ストリングP1…P4の電気的接続の例を、図4図8に示す。
【0046】
図4は、各相U、V、Wの4つの前記巻線ストリングP1…P4の前記スタートポイントXは各場合に互いに接続され、すべての前記相U、V、Wの4つの前記巻線ストリングP1…P4の前記エンドポイントOは互いに接続されてスターポイントを形成している例を示す。同等に、各相U、V、Wの4つの前記巻線ストリングP1…P4の前記エンドポイントOは各々互いに接続され、すべての前記相U、V、Wの4つの前記巻線ストリングP1…P4の前記スタートポイントXは互いに接続されてスターポイントを形成することも可能であり得る。いずれの場合でも、相互接続されてスターポイントを形成するすべての巻線ストリングP1…P4が並列回路となる結果となる。
【0047】
図5は、各相U、V、Wの4つの前記巻線ストリングP1…P4の前記スタートポイントXは各々互いに接続され、すべての前記相U、V、Wの前記第1巻線ストリングP1および前記第2巻線ストリングP2の前記エンドポイントOは互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相U、V、Wの前記第3巻線ストリングP3および前記第4巻線ストリングP4の前記エンドポイントOは互いに接続されて第2スターポイントを形成している例を示す。同等に、各相U、V、Wの4つの前記巻線ストリングP1…P4の前記エンドポイントOは各々互いに接続され、すべての前記相U、V、Wの前記第1巻線ストリングP1および前記第2巻線ストリングP2の前記スタートポイントXは互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相U、V、Wの前記第3巻線ストリングP3および前記第4巻線ストリングP4の前記スタートポイントXは互いに接続されて第2スターポイントを形成することも可能であり得る。同様に、いずれの場合でも、やはり相互接続されてスターポイントを形成するすべての巻線ストリングP1…P4が並列回路となる結果となる。
【0048】
図6は、各相U、V、Wの前記第1巻線ストリングP1および前記第4巻線ストリングP4は各々直列接続され、各相U、V、Wの前記第2巻線ストリングP2および前記第3巻線ストリングP3は、各々直列接続され、すべての前記相U、V、Wの前記第3巻線ストリングP3および前記第4巻線ストリングP4の前記エンドポイントOは、互いに接続されてスターポイントを形成する、もしくは、すべての前記相U、V、Wの前記第1巻線ストリングP1および前記第2巻線ストリングP2の前記スタートポイントXは、互いに接続されてスターポイントを形成している例を示す。本例において、巻線ストリングP1…P4は、対として直列および並列に接続され、対として直列接続されたすべての巻線ストリングP1…P4が相互接続されてスターポイントを形成している。
【0049】
図7は、各相U、V、Wの前記第1巻線ストリングP1および前記第4巻線ストリングP4は各々直列接続され、各相U、V、Wの前記第2巻線ストリングP2および前記第3巻線ストリングP3は各々直列接続され、すべての前記相U、V、Wの前記第3巻線ストリングP3の前記エンドポイントOは互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相U、V、Wの前記第4巻線ストリングP4の前記エンドポイントOは互いに接続されて第2スターポイントを形成する、もしくは、すべての前記相U、V、Wの前記第1巻線ストリングP1の前記スタートポイントXは互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相U、V、Wの前記第2巻線ストリングP2の前記スタートポイントXは互いに接続されて第2スターポイントを形成している例を示す。本例において、同様に、巻線ストリングP1…P4は、対として直列および並列に接続されているが、対として直列接続されたすべての巻線ストリングP1…P4が相互接続されて2つのスターポイントを形成している。
【0050】
最後に、図8は、前記第1巻線ストリングP1で始まり前記第4巻線ストリングP4まで増加する各相U、V、Wの4つの前記巻線ストリングP1…P4は、各々互いに直列接続され、すべての前記相U、V、Wの前記第4巻線ストリングP4の前記エンドポイントOは、互いに接続されてスターポイントを形成する、もしくは、すべての前記相U、V、Wの前記第1巻線ストリングP1の前記スタートポイントXは、互いに接続されてスターポイントを形成している例を示す。本例において、各相の巻線ストリングP1…P4は、直列接続され、直列接続された巻線ストリングP1…P4は相互接続されてスターポイントを形成している。
【0051】
図9は、ブロックG毎の所望の対の数の層のためにどのように図示のスキームを拡張できるかに関する概略図を示す。図9から、基本パターンシーケンスからスタートする2対の層に対応してパターンが継続していることが分かる。
【0052】
図10は、所望の対の数のポールのためにどのように図示のスキームを拡張できるかに関する概略図を示す。本例において、さらなるパターンシーケンスが、基本パターンシーケンス間に挿入されている。
【0053】
図9および図10に関連して、以下の表は、4対の層および4対の極を有する例示的なステータ5に対するスキームを示す。
【0054】
最後に、図11は、車両15に設置された電気機械1を示す。車両15は、少なくとも2つの車軸を有し、少なくともそのうちの1つが駆動される。具体的には、電気機械1は、特にデフギアの機能も果たし得るギア16に接続されている。後方車軸のハーフシャフト17が、ギア16に隣接している。最後に、駆動ホイール18が、ハーフシャフト17に装着されている。車両15の駆動は、電気機械1により、少なくとも一部が、または時間的に一部が実施される。これは、電気機械1は、車両15の唯一の駆動部として機能してもよいし、例えば内燃機関と連動させて(ハイブリッド駆動)提供されてもよい。
【0055】
最後に、保護範囲は、特許請求の範囲により決定されることも述べておく。ただし、明細書および図面は、特許請求の範囲を解釈するために使用されるべきである。図面に含まれる特徴は、所望に応じて互いに交換したり組み合わせたりすることができる。特に、図示の装置は、現実には図示のものよりもさらに多くの、またはさらに少ない構成要素を備え得ることも述べておく。一部の例において、図示の装置またはその構成部品は、縮尺通りでなく図示されている場合がある、および/または、拡大された縮尺および/または縮小された縮尺で図示されている場合がある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-03-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械(1)用のステータ(5)であって、前記ステータ(5)は、複数のステータスロット(14)を有するステータ積層スタック(11)を備え、前記ステータスロット(14)は、前記電気機械(1)の回転軸(z)に対して平行に延び、前記ステータスロット(14)には、ステータ巻線(12)の複数の電気導体(13)が各場合に配置されるステータ(5)において、
‐電気導体(13)が、ステータスロット(14)に複数の層において径方向にのみ積層配置され、
‐隣り合って配置された2つのステータスロット(14)が、1つの相(U、V、W)の電気導体(13)を収容するとともに、各場合に組み合わされてブロック(G)を形成し、
‐1つの相(U、V、W)のブロック(G)が、前記ステータ積層スタック(11)に規則的に分散配置され、
‐1つの相(U、V、W)の2つの連続するブロック(G)が、極対を形成し、
‐異なる相(U、V、W)のブロック(G)が、隣り合って配置され、
‐各相(U、V、W)は、4つの巻線ストリング(P1…P4)に分割され、各巻線ストリングは、複数の直列接続された電気導体(13)を有する、
ステータ(5)において、
‐前記ブロック(G)において前記電気導体(13)が占める位置は、列番号Sおよび層番号Lにより記述され、前記層は、外側から内方に向かって増加する前記層番号Lでナンバリングされ、ブロック(G)の前記ステータスロット(14)は、前記列番号Sでナンバリングされ、
‐同一相(U、V、W)の隣り合うブロック(G)において前記導体(13)が連続的に占めるべき前記位置は、スタート位置および増分値により定義され、前記増分値は、第1周方向において同一相(U、V、W)の1つのブロック(G)から次の前記ブロック(G)への変化を記述し、
‐以下の表における前記パターンaおよびa’はスタート値を示し、前記パターンb、b’、c、およびdは増分値を示し、
‐相(U、V、W)毎に、第1巻線ストリング(P1)が、第1ブロック(G)で始まる第1基本パターンシーケンスa、b、d、b’により記述され、したがって、第1極対が形成され、ブロック(G)毎に2対の層を超えるブロック(G)毎の各対の層について、交互に各場合に1つのパターンシーケンスd、b、またはd、b’が、前記第1基本パターンシーケンスa、b、d、b’に付与され、各追加の極対について、各場合に1つのパターンシーケンスc、dが、各場合に1つのパターンシーケンスa、bに、および各場合に1つのパターンシーケンスd、b’に、および各場合に1つのパターンシーケンスd、bに付与され、
‐相(U、V、W)毎に、第2巻線ストリング(P2)が、第1ブロック(G)で始まる第2基本パターンシーケンスa’、b’、d、bにより記述され、したがって、前記第1極対が補足され、ブロック(G)毎に2対の層を超えるブロック(G)毎の各対の層について、交互に各場合に1つのパターンシーケンスd、b’、またはd、bが、前記第2基本パターンシーケンスa’、b’、d、bに付与され、各追加の極対について、各場合に1つのパターンシーケンスc、dが、各場合に1つのパターンシーケンスa’、b’に、および各場合に1つのパターンシーケンスd、bに、および各場合に1つのパターンシーケンスd、b’に付与され、
‐相(U、V、W)毎に、第3巻線ストリング(P3)が、前記第1巻線ストリング(P1)に対して指定された前記一連のものに対応する一連の占めるべき位置により記述され、前記第3巻線ストリング(P3)に対する前記一連のものは、しかしながら、前記第1ブロック(G)に対して前記第1周方向における位置がずらされた第2ブロック(G)で始まり、
相(U、V、W)毎に、第4巻線ストリング(P4)が、前記第2巻線ストリング(P2)に対して指定された前記一連のものに対応する一連の占めるべき位置により記述され、前記第4巻線ストリング(P4)に対する前記一連のものは、しかしながら、前記第1ブロック(G)に対して前記第1周方向における位置がずらされた第2ブロック(G)で始まり、
‐前記巻線ストリング(P1…P4)は、前記第1ブロック(G)においてスタートポイント(X)を有し、他方の開放端部においてエンドポイント(O)を有する、
ことを特徴とするステータ(5)。
【請求項2】
前記電気導体(13)は、U字形ブラケットの前記脚部により対として形成され、前記巻線ストリング(P1…P4)の前記スタートポイント(X)およびエンドポイント(O)は、各場合にこのような脚部の一端部により形成される、
ことを特徴とする請求項1に記載のステータ(5)。
【請求項3】
各場合に異なる相(U、V、W)の前記第1ブロック(G)間に正確に1つの他のブロック(G)が存在する、
ことを特徴とする請求項に記載のステータ(5)。
【請求項4】
‐各相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)の前記スタートポイント(X)は各々互いに接続され、すべての前記相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)の前記エンドポイント(O)は互いに接続されてスターポイントを形成する、または、
‐各相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)の前記エンドポイント(O)は各々互いに接続され、すべての前記相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)の前記スタートポイント(X)は互いに接続されてスターポイントを形成する、
ことを特徴とする請求項に記載のステータ(5)。
【請求項5】
‐各相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)の前記スタートポイント(X)は各々互いに接続され、すべての前記相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)および前記第2巻線ストリング(P2)の前記エンドポイント(O)は互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相(U、V、W)の前記第3巻線ストリング(P3)および前記第4巻線ストリング(P4)の前記エンドポイント(O)は互いに接続されて第2スターポイントを形成する、または、
‐各相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)の前記エンドポイント(O)は各々互いに接続され、すべての前記相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)および前記第2巻線ストリング(P2)の前記スタートポイント(X)は互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相(U、V、W)の前記第3巻線ストリング(P3)および前記第4巻線ストリング(P4)の前記スタートポイント(X)は互いに接続されて第2スターポイントを形成する、
ことを特徴とする請求項に記載のステータ(5)。
【請求項6】
各相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)および前記第4巻線ストリング(P4)は各々直列接続され、各相(U、V、W)の前記第2巻線ストリング(P2)および前記第3巻線ストリング(P3)は、各々直列接続され、
‐すべての前記相(U、V、W)の前記第3巻線ストリング(P3)および前記第4巻線ストリング(P4)の前記エンドポイント(O)は、互いに接続されてスターポイントを形成する、または、
‐すべての前記相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)および前記第2巻線ストリング(P2)の前記スタートポイント(X)は、互いに接続されてスターポイントを形成する、
ことを特徴とする請求項に記載のステータ(5)。
【請求項7】
各相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)および前記第4巻線ストリング(P4)は各々直列接続され、各相(U、V、W)の前記第2巻線ストリング(P2)および前記第3巻線ストリング(P3)は各々直列接続され、
‐すべての前記相(U、V、W)の前記第3巻線ストリング(P3)の前記エンドポイント(O)は互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相(U、V、W)の前記第4巻線ストリング(P4)の前記エンドポイント(O)は互いに接続されて第2スターポイントを形成する、または、
‐すべての前記相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)の前記スタートポイント(X)は互いに接続されて第1スターポイントを形成し、すべての前記相(U、V、W)の前記第2巻線ストリング(P2)の前記スタートポイント(X)は互いに接続されて第2スターポイントを形成する、
ことを特徴とする請求項に記載のステータ(5)。
【請求項8】
前記第1巻線ストリング(P1)で始まり前記第4巻線ストリング(P4)まで増加する各相(U、V、W)の4つの前記巻線ストリング(P1…P4)は、各々互いに直列接続され、
‐すべての前記相(U、V、W)の前記第4巻線ストリング(P4)の前記エンドポイント(O)は、互いに接続されてスターポイントを形成する、または、
‐すべての前記相(U、V、W)の前記第1巻線ストリング(P1)の前記スタートポイント(X)は、互いに接続されてスターポイントを形成する、
ことを特徴とする請求項に記載のステータ(5)。
【請求項9】
前記電気導体(13)は、導体バーの形態にある、
ことを特徴とする請求項に記載のステータ(5)。
【請求項10】
前記パターンシーケンスa、b;d、b;d、b’は、前記導体バーの前記U字形ブラケットにより各々表される、
ことを特徴とする請求項9に記載のステータ(5)。
【請求項11】
前記パターンシーケンス間の前記接続は、前記導体バーの前記端部間の溶接接合により各々なされる、
ことを特徴とする請求項10に記載のステータ(5)。
【請求項12】
前記導体バーは、矩形の断面領域を有するワイヤから形成される、
ことを特徴とする請求項に記載のステータ(5)。
【請求項13】
前記ステータスロットは、8つの層を各々有する、
ことを特徴とする請求項に記載のステータ(5)。
【請求項14】
‐第1軸受プレート(6)および第2軸受プレート(7)と、
‐2つの前記軸受プレート(6、7)の間に配置された請求項に記載のステータ(5)と、
‐前記ステータ(5)に配置されるロータ(3)であって、2つの前記軸受プレート(6、7)に回転可能に装着されるロータシャフト(2)を有するロータ(3)と、
を特徴とする電気機械(1)。
【請求項15】
少なくとも2つの車軸を有し、そのうちの少なくとも1つが駆動される車両(15)において、前記駆動は、請求項14に記載の電気機械(1)により少なくとも一部が、または時間的に一部が実施されることを特徴とする車両(15)。
【国際調査報告】