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特表2024-515838動圧縮機の質量流量補間システム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】動圧縮機の質量流量補間システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   F04D 27/00 20060101AFI20240403BHJP
   F04D 27/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F04D27/00 A
F04D27/00 101A
F04D27/02 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566571
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022024727
(87)【国際公開番号】W WO2022231849
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】17/243,787
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511158339
【氏名又は名称】コープランド エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】オークリー,マイケル ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ペレヴォースチコフ,マイケル エム.
(72)【発明者】
【氏名】スワロー,マシュー ジェイ.
【テーマコード(参考)】
3H021
【Fターム(参考)】
3H021BA06
3H021BA25
3H021BA27
3H021CA01
3H021DA04
3H021DA11
3H021EA11
(57)【要約】
作動流体を圧縮するために圧縮機が作動している間に、質量流量センサを含まない動圧縮機の質量流量を決定する方法は、プロセッサによって圧縮機の現在の動作点を決定することを含む。現在の動作点が、メモリに記憶されている複数の所定の動作点のマップ内の1つと同じである場合、その所定の動作点の質量流量は現在の動作点の質量流量として取得される。そうでない場合、プロセッサは、現在の動作点に最も近い所定の動作点のサブセットの質量流量から、現在の動作点における質量流量を計算する。動圧縮機は、現在の動作点についての計算された質量流量に少なくとも部分的に基づいて作動流体を圧縮するように動作し続ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体を圧縮するように動作可能な動圧縮機と;
前記動圧縮機に接続されたコントローラと、を有し、前記コントローラはプロセッサ及びメモリを有し、前記メモリは:
前記動圧縮機の複数の所定の動作点のマップであって、各前記所定の動作点は、当該所定の動作点における前記動圧縮機の質量流量を含む、マップ;及び
命令であって:
前記作動流体を圧縮するように前記動圧縮機を動作させ;
前記動圧縮機を動作させながら、前記圧縮機の現在の動作点を決定し;
前記現在の動作点が前記所定の動作点のうちの1つである場合、前記マップから前記現在の動作点についての前記質量流量を取得し;
前記現在の動作点が前記所定の動作点の1つでない場合、前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点のサブセットの前記質量流量から前記現在の動作点についての前記質量流量を計算し;
前記現在の動作点について計算された前記質量流量に少なくとも部分的に基づいて前記作動流体を圧縮するように前記動圧縮機を動作させ続ける;ように前記プロセッサをプログラムする、
命令;を記憶する、
システム。
【請求項2】
前記メモリに記憶された前記命令は、前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットの前記質量流量から、前記現在の動作点についての前記質量流量を:
前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットを特定することと;
前記現在の動作点と前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットとの間の距離を決定することと;
決定された前記距離と前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットの各所定の動作点の前記質量流量の関数として前記現在の動作点の前記質量流量を計算することと;。
によって決定するように前記プロセッサをプログラムする、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記圧縮機は、モータを有し、各所定の動作点及び前記現在の動作点は、前記モータの速度及び前記圧縮機の動作圧力比によって規定される、
請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記圧縮機は、モータ及び可変入口ガイドベーン(VIGV)を有し、各所定の動作点及び前記現在の動作点は、前記モータの速度、動作圧力比及び前記VIGVの位置によって規定される、
請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記メモリに記憶された前記命令は、前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットの前記質量流量から前記現在の動作点についての前記質量流量を:
前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の第1のサブセットを特定することであって、前記所定の動作点の第1のサブセットは、前記現在の動作点の現在のVIGV位置よりも小さい同じ第1のVIGV位置を有する、第1のサブセットを特定することと;
前記現在のVIGV位置を前記第1のVIGV位置に置き換えた前記現在の動作点と前記第1のサブセット内の前記所定の動作点との間の距離を決定することと;
決定された前記距離及び前記第1のサブセットの各所定の動作点の前記質量流量の関数として、前記現在のVIGV位置を前記第1のVIGV位置に置き換えた前記現在の動作点の第1の中間質量流量を計算することと;
前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の第2のサブセットを特定することであって、前記所定の動作点の第2のサブセットは、前記現在の動作点の前記現在のVIGV位置よりも大きい同じ第2のVIGV位置を有する、第2のサブセットを特定することと;
前記現在のVIGV位置を前記第2のVIGV位置に置き換えた前記現在の動作点と前記第2のサブセットの前記所定の動作点との間の距離を決定することと;
決定された前記距離及び前記第2のサブセットの各所定の動作点の前記質量流量の関数として、前記現在のVIGV位置を前記第2のVIGV位置に置き換えた前記現在の動作点の第2の中間質量流量を計算することと;
前記第1の中間質量流量、前記第2の中間質量流量、及び、前記現在のVIGV位置と前記第1及び前記第2のVIGV位置との間の距離の関数として、前記現在の動作点の前記質量流量を計算することと;
によって決定するように前記プロセッサをプログラムする、
請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記動圧縮機は遠心圧縮機を含む、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記メモリに記憶された命令は、前記現在の動作点についての決定された前記質量流量を前記動圧縮機の動作のための制御アルゴリズムに入力するように前記プロセッサをプログラムする、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記メモリは、複数の所定のサージ点のマップ、各所定のサージ点についてのサージ点質量流量、複数の所定のチョーク点、及び各所定のチョーク点についてのチョーク点質量流量をさらに記憶し、前記メモリに記憶された前記命令は前記プロセッサを:
前記複数の所定のサージ点の前記マップに基づいて、前記現在の動作点についての現在のサージ点を決定し;
前記複数の所定のチョーク点の前記マップに基づいて、前記現在の動作点についての現在のチョーク点を決定し;
前記現在のサージ点が前記所定のサージ点の1つである場合に、前記マップから前記現在のサージ点についての前記質量流量を取得し;
前記現在のチョーク点が前記所定のチョーク点の1つである場合に、前記マップから前記現在のチョーク点についての前記質量流量を取得し;
前記現在のサージ点が前記所定のサージ点の1つでない場合に、前記現在のサージ点に最も近い前記複数の所定のサージ点のサブセットの前記質量流量から、前記現在のサージ点についてのサージ点質量流量を計算し;
前記現在のチョーク点が前記所定のチョーク点の1つでない場合に、前記現在のチョーク点に最も近い前記複数の所定のチョーク点のサブセットの前記質量流量から、前記現在のチョーク点についてのチョーク点質量流量を計算する;
ようにプログラムする、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記動圧縮機は質量流量センサを含まない、
請求項1乃至8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
質量流量センサなしの動圧縮機のためのコントローラであって、前記コントローラは:
プロセッサと;
メモリであって、前記メモリは:
前記動圧縮機の複数の所定の動作点のマップであって、各所定の動作点は、当該所定の動作点における前記動圧縮機の質量流量を含む、マップ;及び
命令であって、前記プロセッサを:
作動流体を圧縮するように前記動圧縮機を動作させ;
前記動圧縮機を動作させながら、前記圧縮機の現在の動作点を決定し;
前記現在の動作点が前記所定の動作点の1つである場合に、前記マップから前記現在の動作点についての前記質量流量を取得し;
前記現在の動作点が前記所定の動作点の1つでない場合に、前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点のサブセットの前記質量流量から前記現在の動作点についての前記質量流量を計算し;
前記現在の動作点について計算された前記質量流量に少なくとも部分的に基づいて前記作動流体を圧縮するように前記動圧縮機を動作させ続ける;
ようにプログラムする、命令を記憶する、
メモリと;を有する、
コントローラ。
【請求項11】
前記メモリに記憶された前記命令は、前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットの前記質量流量から、前記現在の動作点についての前記質量流量を:
前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットを特定することと;
前記現在の動作点と前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットとの間の距離を決定することと;
決定された前記距離と前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットの各所定の動作点の前記質量流量の関数として前記現在の動作点の前記質量流量を計算することと;
によって決定するように前記プロセッサをプログラムする、
請求項10に記載のコントローラ。
【請求項12】
前記圧縮機は、モータを有し、各所定の動作点及び前記現在の動作点は、前記モータの速度及び動作圧力比によって規定される、
請求項11に記載のコントローラ。
【請求項13】
前記圧縮機は、モータ及び可変入口ガイドベーン(VIGV)を有し、各所定の動作点及び前記現在の動作点は、前記モータの速度、動作圧力比及び前記VIGVの位置によって規定される、
請求項11に記載のコントローラ。
【請求項14】
前記メモリに記憶された前記命令は、前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットの前記質量流量から前記現在の動作点についての前記質量流量を:
前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の第1のサブセットを特定することであって、前記所定の動作点の第1のサブセットは、前記現在の動作点の現在のVIGV位置よりも小さい同じ第1のVIGV位置を有する、第1のサブセットを特定することと;
前記現在のVIGV位置を前記第1のVIGV位置に置き換えた前記現在の動作点と前記第1のサブセット内の前記所定の動作点との間の距離を決定することと;
決定された前記距離及び前記第1のサブセットの各所定の動作点の前記質量流量の関数として、前記現在のVIGV位置を前記第1のVIGV位置に置き換えた前記現在の動作点の第1の中間質量流量を計算することと;
前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の第2のサブセットを特定することであって、前記所定の動作点の前記第2のサブセットは、前記現在の動作点の前記現在のVIGV位置よりも大きい同じ第2のVIGV位置を有する、第2のサブセットを特定することと;
前記現在のVIGV位置を前記第2のVIGV位置に置き換えた前記現在の動作点と前記第2のサブセットの前記所定の動作点との間の距離を決定することと;
決定された前記距離及び前記第2のサブセットの各所定の動作点の前記質量流量の関数として、前記現在のVIGV位置を前記第2のVIGV位置に置き換えた前記現在の動作点の第2の中間質量流量を計算することと;
前記第1の中間質量流量、前記第2の中間質量流量、及び、前記現在のVIGV位置と前記第1及び前記第2のVIGV位置との間の距離の関数として、前記現在の動作点の前記質量流量の計算することと;
によって決定するように前記プロセッサをプログラムする、
請求項13に記載のコントローラ。
【請求項15】
前記メモリに記憶された前記命令は、前記現在の動作点についての決定された前記質量流量を前記動圧縮機の動作のための制御アルゴリズムに入力するように前記プロセッサをプログラムする、
請求項10乃至14のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項16】
前記メモリは、複数の所定のサージ点のマップ、各所定のサージ点についてのサージ点質量流量、複数の所定のチョーク点、及び各所定のチョーク点についてのチョーク点質量流量をさらに記憶し、前記メモリに記憶された前記命令は前記プロセッサを:
前記複数の所定のサージ点の前記マップに基づいて、前記現在の動作点についての現在のサージ点を決定し;
前記複数の所定のチョーク点の前記マップに基づいて、前記現在の動作点についての現在のチョーク点を決定し;
前記現在のサージ点が前記所定のサージ点の1つである場合に、前記マップから前記現在のサージ点についての前記質量流量を取得し;
前記現在のチョーク点が前記所定のチョーク点の1つである場合に、前記マップから前記現在のチョーク点についての前記質量流量を取得し;
前記現在のサージ点が前記所定のサージ点の1つでない場合に、前記現在のサージ点に最も近い前記複数の所定のサージ点のサブセットの前記質量流量から、前記現在のサージ点についてのサージ点質量流量を計算し;
前記現在のチョーク点が前記所定のチョーク点の1つでない場合に、前記現在のチョーク点に最も近い前記複数の所定のチョーク点のサブセットの前記質量流量から、前記現在のチョーク点についてのチョーク点質量流量を計算する;
ようにプログラムする、
請求項10乃至15のいずれか1項に記載のコントローラ。
【請求項17】
作動流体を圧縮し、質量流量センサを含まない動圧縮機の質量流量を決定する方法であって、前記方法は:
前記作動流体を圧縮するように前記動圧縮機を動作させることと;
前記動圧縮機を動作させながら、前記圧縮機の現在の動作点を決定することと;
前記現在の動作点が、メモリに記憶された所定の動作点のマップ内の前記動圧縮機の複数の所定の動作点の1つである場合に、前記マップから前記現在の動作点についての質量流量を取得することであって、前記マップ内の各所定の動作点は、当該所定の動作点における前記動圧縮機の質量流量を含む、取得することと;
前記現在の動作点が前記マップ内の前記所定の動作点の1つでない場合に、前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点のサブセットの前記質量流量から前記現在の動作点についての前記質量流量を計算することと;
前記現在の動作点について計算された前記質量流量に少なくとも部分的に基づいて前記作動流体を圧縮するように前記動圧縮機を動作させ続けることと;を含む、
方法。
【請求項18】
前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットの前記質量流量から前記現在の動作点についての前記質量流量を決定することは:
前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットを特定することと;
前記現在の動作点と前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットとの間の距離を決定することと;
決定された前記距離と前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットの各所定の動作点の前記質量流量の関数として前記現在の動作点の前記質量流量を計算することと;を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記圧縮機は、モータ及び可変入口ガイドベーン(VIGV)を有し、各所定の動作点及び前記現在の動作点は、前記モータの速度、作動圧力比、及びVIGVの位置によって規定され、前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の前記サブセットの前記質量流量から前記現在の動作点についての前記質量流量を決定することは:
前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の第1のサブセットを特定することであって、前記所定の動作点の前記第1のサブセットは、前記現在の動作点の現在のVIGV位置よりも小さい同じ第1のVIGV位置を有する、第1のサブセットを特定することと;
前記現在のVIGV位置を前記第1のVIGV位置に置き換えた前記現在の動作点と前記第1のサブセット内の前記所定の動作点との間の距離を決定することと;
決定された前記距離及び前記第1のサブセットの各所定の動作点の前記質量流量の関数として、前記現在のVIGV位置を前記第1のVIGV位置に置き換えた前記現在の動作点の第1の中間質量流量を計算することと;
前記現在の動作点に最も近い前記所定の動作点の第2のサブセットを特定することであって、前記所定の動作点の前記第2のサブセットは、前記現在の動作点の前記現在のVIGV位置よりも大きい同じ第2のVIGV位置を有する、第2のサブセットを特定することと;
前記現在のVIGV位置を前記第2のVIGV位置に置き換えた前記現在の動作点と前記第2のサブセットの前記所定の動作点との間の距離を決定することと;
決定された前記距離及び前記第2のサブセットの各所定の動作点の前記質量流量の関数として、前記現在のVIGV位置を前記第2のVIGV位置に置き換えた前記現在の動作点の第2の中間質量流量を計算することと;
前記第1の中間質量流量、前記第2の中間質量流量、及び、前記現在のVIGV位置と前記第1及び前記第2のVIGV位置との間の距離の関数として、前記現在の動作点の前記質量流量を計算することと;
を含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項20】
複数の所定のサージ点のマップに基づいて、前記現在の動作点についての現在のサージ点を決定することであって、前記マップは、各所定のサージ点についてのサージ点質量流量を含む、現在のサージ点を決定することと;
複数の所定のチョーク点のマップに基づいて、前記現在の動作点についての現在のチョーク点を決定することであって、前記マップは、各所定のチョーク点についてのチョーク点質量流量を含む、現在のチョーク点を決定することと;
前記現在のサージ点が前記所定のサージ点の1つである場合に、前記マップから前記現在のサージ点についての前記質量流量を取得することと;
前記現在のチョーク点が前記所定のチョーク点の1つである場合に、前記マップから前記現在のチョーク点についての前記質量流量を取得することと;
前記現在のサージ点が前記所定のサージ点の1つでない場合に、前記現在のサージ点に最も近い前記複数の所定のサージ点のサブセットの前記質量流量から、前記現在のサージ点についてのサージ点質量流量を計算することと;
前記現在のチョーク点が所定のチョーク点の1つでない場合に、現在のチョーク点に最も近い複数の所定のチョーク点のサブセットの前記質量流量から、現在のチョーク点についてのチョーク点質量流量を計算することと;
を含む、
請求項17乃至19のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月29日に出願された米国特許出願第17/243,787号の優先権を主張するものであり、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の分野は、概して制御システム、より具体的には、動圧縮機を含む機械の制御システムに関する。
【背景技術】
【0003】
遠心圧縮機を含む動圧縮機は、HVACシステムで一般的に使用される。圧縮機は、複数の圧縮機構又は羽根車段を支持するドライブシャフトを介してモータに動作可能に接続される。モータは、回転速度及び負荷条件で羽根車を回転させ、冷媒を指定された要求まで圧縮する。モータの回転速度及び負荷を制御して、幅広い運転条件で圧縮機を運転することができる。圧縮機の正確な動作点(operating point)を知ることは、非効率(例えば、チョーク流れ(choked flow))又は不安定な(例えば、サージ)領域での動作を避けるのに役立つ。
【0004】
チョーク流れは、特定の速度での圧縮機の負荷が十分に低く、機械を通る作動流体の最小の圧力上昇を達成する場合に発生する。圧縮機は長時間にわたって安全にチョークで動作できるが、それは非効率で望ましくない動作モードである。サージは、圧縮機によって発生するヘッド(head)が圧縮機吐出時の圧力を克服するのに不十分な場合に発生する非常に不安定な流れ領域であり、インペラを通る流れの反転をもたらす。この不安定な流れ領域で短時間でも動作すると、ベアリングや機械の他の部品を損傷し、それにより圧縮機の寿命を低下させる可能性がある。
【0005】
望ましくない流れ領域での動作を避けるために、圧縮機の動作点を定義する重要なパラメータ:回転速度、圧力上昇、及び質量流量に関するリアルタイムデータを有することが望ましい。これらのパラメータを圧縮機の制御戦略に含めることで、圧縮機が特定の動作範囲内に収まるように、他の動作パラメータを調整することができる。モータ速度及び圧縮機の入口と出口の圧力は、標準的な計器を使用して簡単に測定される。しかし、質量流量を測定するセンサは、多くの場合、法外なコストがかかる。したがって、追加の計器のコストなしで圧縮機の質量流量を決定することが望ましい。
【0006】
この背景技術のセクションは、以下に説明及び/又は請求項に記載する本開示の様々な態様に関連する可能性のある技術の様々な態様を読者に紹介することを目的としている。この議論は、本開示の様々な態様のよりよい理解を促進するために、読者に背景情報を提供するのに役立つと考えられる。したがって、これらの記述は、先行技術の承認としてではなく、この観点から読まれるべきであることを理解すべきである。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一態様は、作動流体を圧縮するように動作可能な動圧縮機とコントローラとを有するシステムを対象とする。コントローラは、動圧縮機に接続され、プロセッサ及びメモリを有する。メモリは、動圧縮機の所定の動作点のマップを記憶し、各所定の動作点は、その所定の動作点における動圧縮機の質量流量を含む。メモリは、さらに、動圧縮機を動作させて作動流体を圧縮し、動圧縮機を動作させながら圧縮機の現在の動作点を決定するようにプロセッサをプログラムする命令を記憶する。動作点が所定の動作点の1つである場合、メモリに記憶された命令は、現在の動作点の質量流量をマップから取得するようにプロセッサをプログラムする。動作点が所定の動作点の1つでない場合、メモリに記憶された命令は、現在の動作点に最も近い再決定された動作点のサブセット(subset)の質量流量から現在の動作点の質量流量を計算するようにプロセッサをプログラムする。メモリに記憶された命令は、さらに、現在の動作点について計算された質量流量に少なくとも部分的に基づいて作動流体を圧縮するように動圧縮機を動作させ続けるようにプロセッサをプログラムする。
【0008】
本開示の別の態様は、質量流量センサなしの動圧縮機のためのコントローラを対象とする。コントローラは、プロセッサ及びメモリを有する。メモリは、動圧縮機の複数の所定の動作点のマップを記憶し、各所定の動作点は、その所定の動作点における動圧縮機の質量流量を含む。メモリは、さらに、作動流体を圧縮するように動圧縮機を動作させ、動圧縮機を動作させながら圧縮機の現在の動作点を決定するようにプロセッサをプログラムする命令を記憶する。現在の動作点が所定の動作点の1つである場合、メモリに記憶された命令は、現在の動作点についての質量流量をマップから取得するようにプロセッサをプログラムする。現在の動作点が所定の動作点の1つでない場合、メモリに記憶された命令は、現在の動作点に最も近い所定の動作点のサブセットの質量流量から現在の動作点についての質量流量を計算するようにプロセッサをプログラムする。メモリに記憶された命令は、さらに、現在の動作点について計算された質量流量に少なくとも部分的に基づいて作動流体を圧縮するように動圧縮機を動作させ続けるようにプロセッサをプログラムする。
【0009】
本開示の別の態様は、作動流体を圧縮し、質量センサを含まない動圧縮機の質量流量を決定する方法を対象とする。この方法は、作動流体を圧縮するように動圧縮機を動作させること、圧縮機の現在の動作点を決定すること、現在の動作点がマップ内の動圧縮機の複数の所定の動作点の1つである場合に、メモリに記憶された所定の動作点のマップから現在の動作点の質量流量を取得することであって、マップ内の各所定の動作点は、その所定の動作点における動圧縮機の質量流量を含む、取得すること、現在の動作点がマップ内の所定の動作点の1つでない場合に、現在の動作点に最も近い所定の動作点のサブセットの質量流量から現在の動作点の質量流量を計算すること、及び、現在の動作点について計算された質量流量の少なくとも部分的に基づいて作動流体を圧縮するように動圧縮機を作動させ続けることを含む。
【0010】
上記の態様に関連して述べられる特徴には、様々な改良が存在する。さらなる特徴が上記の態様に組み込まれてもよい。これらの改良及びさらなる特徴は、個別に又は任意の組み合わせで存在することがある。例えば、例示された実施形態のいずれかに関連して以下で説明する様々な特徴は、単独で又は任意の組み合わせで、上記の態様のいずれかに組み込まれることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
以下の図は、本開示の様々な態様を示す。
【0012】
図1】組み立てられた動圧縮機の斜視図である。
【0013】
図2】外部導管が除去されている、線2-2に沿って取られた、図1の圧縮機の断面図である。
【0014】
図3】動圧縮機の制御システムのブロック図である。
【0015】
図4】動圧縮機の動作マップである。
【0016】
図5】動圧縮機の所定の動作点と例示の現在の動作点のマップである。
【0017】
図6】作動流体を圧縮する動圧縮機の質量流量を決定する方法のフローチャートである。
【0018】
図7A】現在の動作点及び最も近い所定の動作点のサブセットの第1のグラフ表示である。
【0019】
図7B】現在の動作点及び最も近い所定の動作点のサブセットの第2のグラフ表示である。
【0020】
図8】現在の動作点及び最も近い所定の動作点のサブセットの第3のグラフ表示である。
【0021】
図9】現在の動作点及び最も近い所定の動作点のサブセットの第4のグラフ表示である。
【0022】
図10】現在の動作点及び最も近い所定の動作点のサブセットの第5のグラフ表示である。
【0023】
図11】現在の動作点及び最も近い所定の動作点のサブセットの第6のグラフ表示である。
【0024】
図12】第1及び第2のVIGV位置における所定の動作点の2つのサブセットを使用して、現在の動作点における入口質量流量を計算する方法のフローチャートである。
【0025】
図13】現在の動作点、2つの中間質量流、及び所定の動作点の2つのサブセットのグラフ表示である。
【0026】
図14】入口質量流量を入力として使用する動圧縮機の動作のための例示手の制御アルゴリズムのフローチャートである。
【0027】
図面全体を通して、対応する参照符号は対応する部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
簡潔にするために、遠心圧縮機の例について説明する。しかしながら、本明細書に記載する方法及びシステムは、任意の適切な動圧縮機に適用することができる。動圧縮機の性能及び寿命は、速度、圧力比及び入口質量流量を含む主要動作パラメータのリアルタイム測定によって改善することができる。このような測定は、制御アルゴリズムの入力として使用して、圧縮機がサージ又はチョークのような望ましくない動作条件に陥る可能性を制限することができる。追加の計装を必要とせずに動作中の質量流量情報を取得するために、以前のデータ点(prior data points)のセットを使用して、現在の動作点での質量流量の値を補間することができる。以前のデータ点は、シミュレーション、実験、2つの組み合わせ、又はその他の適切な手段から取得することができる。
【0029】
図1を参照すると、二段冷媒圧縮機が概して100で示されている。圧縮機100は、冷媒圧縮の各段がその内部で達成される少なくとも1つの密閉キャビティを形成する圧縮機ハウジング102を含む。圧縮機100は、冷媒蒸気を第1圧縮段(図1にラベル付けされていない)に導入する第1冷媒入口110と、第1冷媒出口114と、圧縮冷媒を第1圧縮段から第2圧縮段に移送する冷媒移送導管112と、冷媒蒸気を第2圧縮段(図1にラベル付けされていない)に導入する第2冷媒入口118と、第2冷媒出口120とを含む。冷媒移送導管112は、第1冷媒出口114及び第2冷媒入口118に両端でそれぞれ接続されている。第2冷媒出口120は、第2圧縮段から圧縮機100が組み込まれた冷却システムに圧縮冷媒を送り出す。
【0030】
図2を参照すると、圧縮機ハウジング102は、第1圧縮段124と第2圧縮段126とを圧縮機100の両端において囲む。第1圧縮段124は、第1冷媒入口110を介して流入する冷媒に運動エネルギーを加えるように構成された第1圧縮機構106を含む。いくつかの実施形態では、第1圧縮機構106は羽根車である。第1圧縮機構106によって冷媒に付与された運動エネルギーは、冷媒速度がヴォリュート132内に形成された密閉キャビティ(例えば、ディフューザ)に移動する際に減速されるときに、増加した冷媒圧力に変換される。同様に、第2圧縮段126は、第2冷媒入口118を介して流入する第1圧縮段124から移送された冷媒に運動エネルギーを加えるように構成された第2圧縮機構116を含む。いくつかの実施形態では、第2圧縮機構116は羽根車である。第2圧縮機構116によって冷媒に付与された運動エネルギーは、冷媒速度がヴォリュート132内に形成された密閉キャビティ(例えば、ディフューザ)に移動する際に減速されるとき、増加した冷媒圧力に変換される。圧縮された冷媒は、第2冷媒出口120を介して第2圧縮段126から出る(図2に示されていない)。
【0031】
第1段圧縮機構106と第2段圧縮機構116は、駆動シャフト104の両端に接続されている。駆動シャフト104は、第1段圧縮機構106と第2段圧縮機構116が、第2冷媒出口120(図2に示されていない)を出る予め選択された圧力に冷媒を圧縮するように選択された回転速度で回転されるように、第1段圧縮機構106と第2段圧縮機構116との間に位置するモータ108に動作可能に接続される。圧縮機100には、電気モータを含むがこれに限定されない任意の適切なモータを組み込むことができる。
【0032】
駆動シャフト104は、各軸受ハウジング200/200aのスリーブ202内に配置されたガスフォイル軸受アセンブリ300によって支持される。各軸受ハウジング200/200aは、図2に示すように、各軸受ハウジング200/200aを圧縮機ハウジング102に接続するための取付構造(図示せず)を含む。軸受ハウジング200/200aは、上記のガスフォイル軸受アセンブリ300のようなラジアル軸受、スラスト軸受、及び近接プローブ、圧力変換器、熱電対、キーフェーザなどの受動的又は能動的制御方式のためのフィードバックとして使用される感知装置(図示せず)を含むが、これらに限定されない様々な要素のための取付構造としてさらに機能することができる。
【0033】
図3を参照すると、システム350の例示的な実施形態は、作動流体を圧縮するように動作可能な動圧縮機304を含む。圧縮機304は、圧縮機ハウジング305と、圧縮機構307と、モータ306と、速度センサ317と、圧力センサ309と、コントローラ310とを含む。本実施形態では、動圧縮機304は遠心圧縮機であり、圧縮機構307は羽根車である。他の実施形態では、動圧縮機304は軸流圧縮機であってもよく、圧縮機構307は軸流ロータであってもよい。速度センサ317は圧縮機の回転速度を測定し、圧力センサ309は、冷媒入口及び冷媒出口を含む圧縮機流路に沿った様々な点の圧力を測定する。温度センサ、フロー(flow)センサ、電流センサ308、電圧センサ、回転率(rotational rate)センサ及びその他の適当なセンサを含むがこれらに限定されない、その動作に関するデータを提供するために、追加のセンサを圧縮機304に取り付けられ得る。圧縮機304は、システム350における特定の構成に限定されず、図1-2に記載された圧縮機100と同様に構成されてもよく、又は異なる方法で構成されてもよい。システム350はさらに、アンロード装置301、可変周波数ドライブ316、及びユーザインタフェース315を含む。
【0034】
コントローラ310は、上述した測定パラメータに部分的に基づいて、その動作を制御するために圧縮機304に動作可能に接続される。コントローラ310は、プロセッサ311、メモリ312、及びアンロードインタフェース314を含む。メモリ312は、圧縮機304の複数の動作点のマップ500(図5)を記憶し、このマップは、テーブル、マトリクスなどの任意の適切なデータ構造で記憶することができる。メモリ312は、さらに、プロセッサ311によって実行され、作動流体を圧縮するように圧縮機304を動作させ、質量流量補間の方法を実行する命令を記憶する。マップ500及び質量流量補間の方法は、以下でさらに詳細に議論される。
【0035】
システム350は、VFD316へのコントローラ310の接続のためのモータインタフェースと、モータ306へのVFD316の接続のためのモータインタフェース313とを含む。特定の実施形態では、VFD316は、コントローラ310の制御下で動作する。さらなる実施形態では、VFD316は、コントローラ310の一部である。システム350はさらに、アンロード装置301へのコントローラ310の接続のためのアンロードインタフェース314を含む。
【0036】
コントローラ310は、アンロードインタフェース314を介してアンロード装置301に動作可能に結合されており、このアンロード装置は、起動及び停止ルーチンの間の圧縮機304の負荷及びサージイベントの深刻度(severity)を制限するために検出されたサージイベントを除去及び/又は低減する。例示的な実施形態では、アンロード装置301は可変ディフューザ又は可変インレットガイドベーン(VIGV)である。コントローラ310は、VIGVの位置のようなアンロード装置301の少なくとも1つの動作パラメータを制御するように構成される。他の実施形態では、アンロード装置301はバイパス弁である。冷媒バイパス弁のようなバイパス弁は、ガスのための代替経路を提供し、それによって圧縮機304の圧力上昇を停止し、圧縮機モータ306がいかにゆっくり始動中に加速しているか又はシャットダウン中に減速しているかにかかわらず、あらゆる潜在的サージを制限する。他の実施形態では、アンロード装置301は膨張弁である。さらに他の実施形態では、アンロード装置301は、サーボ弁のような可変オリフィス又は直径弁、デューティサイクルに従って開閉を制御するように構成された電磁弁又はパルス幅変調(PWM)弁のような固定オリフィス又は直径弁であり得る。多くのタイプのアンロード装置がここに記載されているが、アンロード装置301は、圧縮機304の負荷を低減する任意の適切な装置又は装置の組合せであり得る。
【0037】
システム350は、さらに、システム350に関連する情報を出力(例えば、表示)及び/又は受信(例えば、ユーザから)するように構成されたユーザインタフェース315を含む。いくつかの実施形態では、ユーザインタフェース315は、ユーザからアクティブ化及び/又は非アクティブ化入力を受け取り、アクティブ化及び非アクティブ化(つまり、オン及びオフ)にする、又はシステム350の動作を可能にするように構成される。さらに、いくつかの実施形態では、ユーザインタフェース315は、例えば、深刻度警報、発生警報、故障警報、モータ速度警報、及び他の適切な情報などの警告インジケータを含むが、これらに限定されない、システム350の1つ以上の動作特性に関連する情報を出力するように構成される。
【0038】
ユーザインタフェース315は、ユーザインタフェース315が本明細書に記載されたように機能することを可能にする任意の適切な入力装置及び出力装置を含み得る。例えば、ユーザインタフェース315は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、ジョイスティック(複数可)、スロットル(複数可)、ボタン、スイッチ及び/又は他の入力デバイスを含むが、これらに限定されない入力デバイスを含み得る。さらに、ユーザインタフェース315は、例えば、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ)、スピーカー、インジケータライト、計器及び/又は他の出力デバイスを含むが、これらに限定されない出力デバイスを含み得る。さらに、ユーザインタフェース315は、システムコントローラ(図示せず)などの異なるコンポーネントの一部であり得る。他の実施形態は、ユーザインタフェース315を含まない。
【0039】
コントローラ310は、概して、圧縮機304の動作を制御するように構成される。コントローラ310は、他の装置又はコントローラからのプログラミング及び命令によって動作を制御するか、又はシステムコントローラを介してシステム350と統合される。いくつかの実施形態では、例えば、コントローラ310は、ユーザインタフェース315からユーザ入力を受け取り、そのようなユーザ入力に応答してシステム350の1つ以上のコンポーネントを制御する。例えば、コントローラ310は、ユーザインタフェース315から受け取ったユーザ入力に基づいてモータ306を制御し得る。いくつかの実施態様では、システム350は、遠隔制御インタフェースによって制御され得る。例えば、システム350は、システム350の遠隔制御及び起動を可能にする無線制御インタフェースへの接続のために構成された通信インタフェース(図示せず)を含み得る。無線制御インタフェースは、タブレット又はスマートフォンのようなポータブルコンピューティングデバイス上に具現化され得る。
【0040】
コントローラ310は、概して、相互に通信可能に結合され、独立して又は相互に接続して操作され得るコンピュータ、処理ユニット及び/又は類似のものの任意の適切な組み合わせを含む、任意の適切なコンピュータ及び/又は他の処理ユニットを含み得る(例えば、コントローラ310は、コントローラネットワークの全部又は一部を形成し得る)。コントローラ310は、1つ以上のモジュール又はデバイスを含み得、その1つ以上はシステム350内に囲まれていてもよく、又はシステム350から離れた場所に配置されていてもよい。コントローラ310は、圧縮機304の一部であってもよく、又は別個のものであってもよく、HVACシステムにおけるシステムコントローラの一部であってもよい。コントローラ310及び/又はコントローラ310のコンポーネントは、システム350の他のコンポーネント内に統合又は組み込まれてもよい。コントローラ310は、様々なコンピュータ実装機能(例えば、本明細書に開示される計算、決定及び機能の実行)を実行するように構成された1つ以上のプロセッサ311及び関連メモリデバイス312を含み得る。本明細書で使用されるとき、「プロセッサ」という用語は、集積回路だけでなく、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途集積回路、及び他のプログラマブル回路も指す。さらに、コントローラ310のメモリデバイス(複数可)312は、概して、コンピュータ可読媒体(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))、コンピュータ可読不揮発性媒体(例えば、フラッシュメモリ)、フロッピー(登録商標)ディスク、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、光磁気ディスク(MOD)、デジタル汎用ディスク(DVD)及び/又は他の適切なメモリ要素を含むが、これらに限定されないメモリ要素であるか、又はこれらを含み得る。このようなメモリデバイス(複数可)312は、概して、プロセッサ(複数可)311によって実装された場合に、システム350の制御、モータ306の動作の制御、ユーザインタフェース315からの入力の受信、ユーザインタフェース315を介したオペレータへの出力の提供、アンロード装置301の制御及び/又は他の様々な適切なコンピュータ実装機能を含むがこれらに限定されない、本明細書に記載された様々な機能を実行するようにコントローラ310を構成又はコントローラにこれらの機能を実行させる適切なコンピュータ可読命令を記憶するように構成され得る。
【0041】
図4を参照すると、例示の動遠心圧縮機304の動作エンベロープ又は動作マップ400が示されている。この動作マップ400は、メモリ312に記憶されている複数の所定の動作点のマップの1つのグラフ表示である。動作マップ400は、流量(flows)、ヘッド、及び速度に関する圧縮機の性能を図示している。マップは、ヘッド対入口質量流量を、それらの値の圧縮機304の設計点におけるパーセントで示している。ヘッドは、入口圧力に対する出口圧力の全圧力比である。入口質量流量は、圧縮機構307を流れる冷媒のような作動流体の量の尺度である。動作マップ400は、複数の圧縮機速度線407を示す。この例では、70%の設計速度から110%の設計速度までの範囲の5つの速度線407があり、各線は10%の差で分離されている。この例では、これらの特定の速度線が示されているが、圧縮機の設計速度の任意の異なるパーセンテージの任意の数の速度線を、任意のタイプの圧縮機に対して示すことができる。
【0042】
サージ制限線404は、サージ領域406(すなわち、サージ制限線404の左側)でサージが発生する前の最大負荷状態を示す。サージ制御線403は、圧縮機304がサージに陥る危険性なく安全に動作できる最大負荷状態を大まかに示す。サージ制御線403は、サージ制限線404からのサージマージン405によって規定される。サージ制御線403の右側で動作することにより、圧縮機はサージを避けるべきである。チョーク線401は、その右側の動作により圧縮機がチョーク状態で動作することを示す。圧縮機304の動作マップ400の動作点409は、速度ライン、入口質量流量、及び全圧力比の交点として示される。例えば、動作マップ400に示される動作点409は、80%の入口質量流量、108%のヘッド、及び100%の速度であるが、任意の種類の圧縮機に対して任意の数の動作点を示すことができる。動作点は、圧縮機の現在の動作パラメータを定義し、動作マップ400は、現在の動作点が不安定な状態(すなわちサージ)又は非効率な状態(すなわちチョーク)で動作するのにどれだけ近いかを示す。
【0043】
図5は、所定の動作点50のマップ500を示す。マップ500は、メモリ312に記憶されている所定の動作点のマップの別の代表的な図である。各所定の動作点50は、圧縮機速度値と圧縮機圧力比値との交点として示されている。マップ500内の所定の動作点の全ては同じVIGV位置を有する。類似のマップは、異なるVIGV位置についてメモリ312に記憶され、マップ500と同じ速度と圧力比の組合せについて所定の動作点を含み得る。入口質量流量は、所定の動作点50ごとに定義される。サージ(522)及びチョーク(532)における速度、ならびにサージ(524)及びチョーク(534)における圧力比も、所定の動作点50ごとに定義される。マップ500は、サージ線520及びチョーク線530に沿った点を含む点までの範囲の動作点50を含む。メモリ312は、各所定のサージ点のサージ点質量流量と、各所定のチョーク点のチョーク点質量流量とを記憶する。マップ500は、サージ線520より上又はチョーク線530より下の点を含まないが、これは、サージ線520より上又はチョーク線530より下の点は回避されるべきであり、したがって「動作点」ではないからである。他の実施形態では、サージ線520より上又はチョーク線530より下の点の入口質量流量を含み得る。このマップ500において、所定の動作点50は、10%から35%の速度の範囲、及び5%の圧力比から50%の圧力比の範囲にあり、各点は両軸上で5%ずつ離れている。これらの特定の動作点はこの例に示されているが、任意の種類の圧縮機に対して、任意の値及び任意の解像度で任意の数の動作点を示すことができる。各所定の動作点50の速度、圧力比、入口質量流量、及びVIGV位置の値は、コンピュータ上で動圧縮機の動作をシミュレートすること、制御された環境で動圧縮機をテストすること、シミュレーションとテストの組み合わせ、又は各所定の動作点50の速度、圧力比、入口質量流量及びVIGV位置の値を事前に決定するための任意の他の適切な方法によって生成され得る。
【0044】
メモリ312はさらに、圧縮機の質量流量を決定するようにプロセッサ311をプログラムする命令を記憶し、その方法600を図6に示す。動圧縮機を動作させて作動流体を圧縮する602間、プロセッサ311は圧縮機304の現在の動作点を決定する604。現在の動作点は、測定された速度、圧力比、及び圧縮機304が所与の時間において動作しているVIGV位置によって定められる。例えば、マップ500に示される現在の動作点710は、22%速度、28%の圧力比、及びマップ500内の点のすべてのVIGV位置であるVIGV位置での現在の動作を表す。現在の動作点が、所定の動作点50の1つと同じ速度、圧力比、及びVIGV位置の値を有する場合、プロセッサは、現在の動作点が所定の動作点50の1つであると決定する606。このような場合、メモリ312は、その所定の動作点50についての入口質量流量の値を取得し608、現在の動作点における入口質量流量の値として返すようにプロセッサ311をプログラムする命令を記憶する。
【0045】
現在の動作点が、所定の動作点50のいずれかと同じ速度、圧力比、及びVIGV位置を有しない場合、プロセッサ606は、現在の動作点が所定の動作点50のいずれでもないと判断する。このような場合、メモリ312は、現在の動作点に最も近い所定の動作点50のサブセットを決定するようにプロセッサ311をプログラムする命令を含む。次に、プロセッサ311は、線形補間又はエンベロープ補間を実行して、現在の動作点に最も近い所定の動作点50のサブセットの質量流量値から現在の動作点における質量流量を計算する610。サブセットを含む点を決定し、エンベロープ補間を実行する手順については、以下で詳細に説明する。
【0046】
エンベロープ補間については、図7Aを参照して説明する。図7Aは、現在の動作点710及び現在の動作点710に最も近い所定の動作点701,702,703,704のサブセット700の第1のグラフ表示である。現在の動作点710は、所定の動作点701-704のいずれとも同じ速度又は圧力比の値を有しておらず、サージ線520又はチョーク線530に隣接していない。したがって、メモリ312に記憶された命令は、現在の動作点710に最も近い4つの所定の動作点を特定すること(identifying(識別すること))によってサブセット700を形成するようにプロセッサ311をプログラムする。サブセット700は、座標(x1、y1)、(x2、y1)、(x1、y2)及び(x2、y2)で示される4つの所定の点701-704を含み、ここでxは圧縮機速度であり、yはその動作点における圧縮機圧力比である。4つの所定の点701-704の各々は、それぞれK11、K21、K12及びK22として示されるその入口質量流量で追加的にラベル付けされる。さらなる実施形態では、サブセットは、4つ未満の所定の動作点を含んでもよい。
【0047】
現在の動作点710における質量流量Jは、エンベロープ補間のプロセスを使用して計算される。現在の動作点710と同じ速度で規定される第1の中間質量流量L1は、第1の所定の動作点701の質量流量K11と、現在の動作点710と第1の所定の動作点701における速度の差(x-x1)及び第2の所定の動作点702と第1の所定の動作点701における速度の差(x2-x1)の比でスケーリングされた第2の所定の動作点と第1の所定の動作点702,701における質量流量の差(K21-K11)との和として計算される。したがって、L1は次のように決定される:
【数1】
他の実施形態では、第1の中間質量流量L1の計算は、同様の計算を用いて他の任意の所定の点から計算され得る。
【0048】
同様に、現在の動作点710と同じ速度で規定される第2の中間質量流量L2は、第3の所定の動作点703の質量流量K12と、現在の動作点710と第3の所定の動作点703における速度の差(x-x1)及び第4の所定の動作点704と第3の所定の動作点703における速度の差(x2-x1)の比でスケーリングされた第3及び第4の所定の動作点703,704における質量流量の差(K22-K12)との和として計算される。したがって、L2は次のように決定される:
【数2】
他の実施形態では、第2の中間質量流量L2の計算は、同様の計算を使用して他の任意の所定の点から計算され得る。
【0049】
最後に、質量流量Jは、第1の中間質量流量L1と、現在の動作点710における圧力比と第1及び第2の所定の動作点における圧力比との間の差(y-y1)と第3及び第4の所定の動作点703,704における圧力比と第1及び第2の所定の動作点701,702における圧力比との間の差(y2-y1)との比によってスケールされた第2及び第1の中間質量流量(L2-L1)との和として計算され得る。したがって、Jは次のように決定される:
【数3】
他の実施形態では、質量流量Jは、同様の方程式を用いて第2の中間質量流量L2から計算され得る。
【0050】
図7Bは、現在の動作点710及び最も近い所定の動作点701-704のサブセット700の第2のグラフ表示を示す。上記のエンベロープ補間処理は、代替的に、同じ速度ではなく、現在の動作点710と同じ圧力比でにおいて第1及び第2の中間質量流量値L1、L2を規定することによって実行され得る。この場合、中間質量流量値L1、L2の計算は、スケーリング係数として圧力比差の比を使用する。したがって、L1は次のように決定される:
【数4】
他の実施形態では、第1の中間質量流量Lの計算は、同様の計算を用いて任意の他の所定の点から決定され得る。
同様に、L2は以下のように決定される:
【数5】
他の実施形態では、L2は同様の計算を用いて他の任意の所定の点から決定され得る。現在の動作点710における質量流量Jの計算は、速度差の比をスケーリング係数として使用する。したがって、Jは次のように決定される:
【数6】
他の実施形態では、Jは、同様の方程式を使用して第2の中間質量流量L2から計算され得る。
【0051】
図8は、現在の動作点810及び現在の動作点810に最も近い所定の動作点のサブセット800の第3のグラフ表示を示す。現在の動作点810は、最も近い2つの所定の動作点801,802と同じ圧力比値y1を有するが、異なる速度値xを有し、サージ線520又はチョーク線530に隣接していない。したがって、最も近い点800のサブセットは、同じ圧力比値を有する2つの最も近い点から形成される。例えば、それぞれK11とK21の質量流量値を有する座標(x1、y1)、(x2、y1)に示されるものである。
【0052】
現在の動作点810における質量流量Jは、第1の所定の動作点801の質量流量K11と、現在の動作点810と第1の所定の動作点801における速度の差(x-x1)と第2の所定の動作点802と第1の所定の動作点801における速度の差(x2-x1)の比でスケーリングされた第1の所定の動作点と第2所定の動作点801,802における質量流量の差(K21-K11)との和として計算される。したがって、Jは次のように決定される:
【数7】
他の実施形態では、Jは、同様の計算を用いて他の任意の所定の点から計算され得る。
【0053】
図9は、現在の動作点910及び現在の動作点910に最も近い所定の動作点のサブセット900の第4のグラフ表示を示す。現在の動作点910は、最も近い2つの所定の動作点901,902と同じ速度値x1を有するが、異なる圧力比値yを有し、サージ線520又はチョーク線530に隣接していない。したがって、最も近い点900のサブセットは、同じ速度値を有する2つの最も近い点、例えば、それぞれK11及びK12の質量流量値を持つ座標(x1、y1)、(x1、y2)に示されるものから形成される。
【0054】
現在の動作点910における質量流量Jは、第1の所定の動作点901の質量流量K11と、現在の動作点910と第1の所定の動作点901における圧力比の差(y-y1)と第2の所定の動作点902と第1の所定の動作点901における圧力比の差(y2-y1)との比でスケーリングされた第1の所定の動作点と第2の所定の動作点902,901における質量流量の差(K12-K11)との和として算出される。したがって、Jは次のように決定される。
【数8】
他の実施形態では、Jは、同様の計算を用いて他の所定の点から計算され得る。
【0055】
図10は、現在の動作点1010及び現在の動作点1010に最も近い所定の動作点のサブセット1000の第5のグラフ表示を示す。現在の動作点1010はサージ線520に隣接しており、所定の動作点のマップはサージ線520より上に規定されていないので、最も近い点1000のサブセットは、現在の動作点1010に最も近い3つの所定の動作点1001、1002、1003で形成される。この例では、サブセット1000は、それぞれ質量流量値K11、K21、及びK22を有する座標(x1、y1)、(x2、y1)、及び(x2、y2)に示される点を含む。
【0056】
現在の動作点1010における質量流量は、現在の動作点1010からの距離に基づいて、所定の動作点1001、1002、1003のそれぞれにおける既知の質量流量K11、K21、及びK22の現在の動作点1010への寄与を計算することによって決定することができる。重み係数WK11、WK21、WK22は、以下の3つの式を満たす各所定の動作点1001、1002、1003における質量流量K11、K21、K22に対して規定される:
【数9】
値xK11、xK21、xK22は各所定の動作点のx座標を表し、値yK11、yK21、yK22は各所定の動作点のy座標を表す。各所定の動作点1001、1002、1003の座標(x1、y1)、(x2、y1)、(x2、y2)を式9、10に代入する。その後、連立方程式を単純化し、重み係数ごとに解くことができる。したがって、重み係数WK11、WK21、WK22は次のように決定される:
【数10】
最後に、現在の動作点1010における質量流量Jは、それぞれの重み係数WK11、WK21、WK22でスケーリングされた所定の動作点の各々における質量流量の合計として計算することができる。したがって、Jは次のように決定される:
【数11】
【0057】
図11は、現在の動作点1110及び現在の動作点1110に最も近い所定の動作点のサブセット1100の第6のグラフ表示を示している。現在の動作点1110はチョーク線530に隣接しており、所定の動作点のマップはチョーク線530より下に規定されていないので、最も近い点1100のサブセットは、現在の動作点1110に最も近い3つの所定の動作点1101、1102、1103で形成される。この例では、サブセット1100は、それぞれ質量流量値K11、K12、及びK22を有する座標(x1、y1)、(x1、y2)、及び(x2、y2)に示される点を含む。
【0058】
上記の図10で説明した手順と同様に、現在の動作点1110における質量流量は、現在の動作点1110からの距離に基づいて、所定の動作点1101、1102、1103のそれぞれにおける既知の質量流量K11、K12、及びK22の現在の動作点1110への寄与を計算することによって決定することができる。重み係数WK11、WK12、WK22は、以下の3つの式を満たす、各所定の動作点1101、1102、1103における質量流量K11、K12、K22に対して規定される:
【数12】
値xK11、xK12、xK22は、各所定の動作点のx座標を表し、値yK11、yK12、yK22は、各所定の動作点のy座標を表す。3つの所定点1101、1102、1103の座標(x1、y1)、(x1、y2)、(x2、y2)は、式16、17に代入される。その後、連立方程式を単純化し、各重み係数について解くことができる。したがって、重み係数WK11、WK12、WK22は次のように決定される:
【数13】
最後に、現在の動作点1110における質量流量Jは、それぞれの重み付け係数WK11,WK12,WK22によってスケーリングされた所定の動作点1101,1102,1103の各々における質量流量を合計することによって計算することができる。したがって、Jは次のように決定される:
【数14】
【0059】
図7A-11に記述されている場合のすべてにおいて、現在の動作点は、所定の動作点の対応するサブセットと同じVIGV位置にある。現在の動作点が所定の動作点のいずれとも同じVIGV位置値を持たない場合、以下に詳細に説明する修正された手順に従うことができる。
【0060】
図12は、現在の動作点が所定の動作点のいずれとも同じVIGV位置値を持たない場合に、現在の動作点における質量流量を決定する方法のフローチャートである。所定の動作点の第1のサブセット1210は、現在の動作点のVIGV位置1205より小さい第1のVIGV位置における所定の動作点のマップから決定される。サブセットは、現在の動作点の速度及び圧力比の値に最も近い値を持つ所定の動作点を含む。プロセッサ311は、上記の関連する補間手順1215に従って、現在の動作点と同じ速度及び圧力比であるが、より低いVIGV位置の動作点における質量流量を表す第1の中間質量流量JAを計算する。
【0061】
同様に、所定の動作点の第2のサブセット1220が、現在の動作点のVIGV位置1205より大きい第2のVIGV位置における所定の動作点のマップから決定される。サブセットは、現在の動作点の速度及び圧力比の値に最も近い値を持つ所定の動作点を含む。プロセッサ311は、上記の関連する補間手順1225に従って、現在の動作点と同じ速度及び圧力比であるが、より高いVIGV位置の動作点における質量流量を表す第2の中間質量流量JBを計算する。
【0062】
最後に、プロセッサは、線形補間1230を実行して、現在の動作点の質量流量を、第1の中間質量流、第2の中間質量流、及び現在のVIGV位置、第1のVIGV位置、及び第2のVIGV位置の間の計算された距離の関数として計算する。図13を参照すると、質量流量Jは、第1の中間質量流量JAと、現在のVIGV位置と第1のVIGV位置との差(z-zA)及び第2のVIGV位置と第1のVIGV位置との差(zB-zA)の比によってスケーリングされた第2と第1の中間質量流の差(JB-JA)の和として計算される。したがって、質量流量Jは次のように決定される:
【数15】
他の実施形態では、Jは同様の計算を用いてJBから開始して決定され得る。
【0063】
プロセッサ311は、現在の動作点の計算された入口質量流量Kを、図14にその一実施形態が示されている動圧縮機304の動作のための制御アルゴリズムの入力として使用し得る。他の実施形態では、計算された入口質量流量は、入口質量流量をパラメータとして使用する任意の他の制御アルゴリズムで使用され得る。
【0064】
上記の方法は、現在の動作点に対応するサージ点、つまり、圧縮機が現在の動作点と同じ速度を維持し、同じ圧力比を維持しない場合にサージする点における質量流量及び圧力比を計算するためにも使用することができる。上記の方法は、追加的に、又は代替的に、現在の動作点に対応するチョーク点、つまり、現在の動作点と同じ速度を維持し、同じ圧力比を維持しない場合に、圧縮機がチョーク流れを経験する点における質量流量と圧力比を計算するために使用することができる。したがって、いくつかの実施形態では、システムは、現在の動作点における入口質量流量、及び現在の動作点に関するサージにおける入口質量流量及び圧力比の1つ以上、及び現在の動作点に関するチョーク点における入口質量流量及び圧力比を計算する。
【0065】
本明細書に記載される方法及びシステムの技術的利点は、以下のとおりである:(a)質量流量計装の費用なしにリアルタイム質量流量データを得ること、及び(b)圧縮機サージを防止するために、VIGVなどのアンロード装置のアクティブ制御のための入力を提供すること。
【0066】
本開示又はその実施形態の要素を紹介する場合、冠詞「1つの("a"、"an")」、「その("the")」及び「前記("said")」は、要素の1つ以上があることを意味することを意図している。用語「有する」、「含む」及び「持つ」は、包括的であることを意図しており、リストされた要素以外の追加要素が存在する可能性があることを意味する。特定の向き(例えば、「上部」、「下部」、「側部」など)を示す用語の使用は、説明の便宜のためであり、記載された項目の特定の方向を必要としない。
【0067】
開示の範囲を逸脱することなく、上記の構成及び方法に様々な変更を加えることができるため、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されているすべての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】