(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】寛骨臼ライナを寛骨臼カップにロックするための装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/34 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
A61F2/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566586
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2022061507
(87)【国際公開番号】W WO2022229400
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516312682
【氏名又は名称】デピュイ・アイルランド・アンリミテッド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DEPUY IRELAND UNLIMITED COMPANY
【住所又は居所原語表記】Loughbeg Industrial Estate, Ringaskiddy, County Cork, Ireland
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】キーファー・ライアン・シー
(72)【発明者】
【氏名】ブランデウィー・アレナ・エム
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA06
4C097BB01
4C097BB09
4C097CC13
4C097SC05
(57)【要約】
整形外科用インプラントは、寛骨臼ベアリング(10)と、寛骨臼シェルコンポーネント(100)とを備える。ベアリングは、半球面を有する凸状外面(14)と、湾曲導入面(40)と、平坦フランジ面(44)と、湾曲逃げ面(54)と、平坦テーパ面(28)とを含む。湾曲逃げ面は、平坦テーパ面に対して内向きに延在し、平坦フランジ面は、平坦テーパ面に対して外向きに延在する。シェルコンポーネントは、ベアリングのテーパ面に係合するように構成されたテーパ面(118)を有する凹状内面(112)を含む。環状溝(124)は、シェルコンポーネントの凹状内壁に画定され、平坦フランジ表面を受け入れるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)リムから頂点まで内側に延在する凸状外面と、(ii)前記外面の反対側に位置する凹状内面とを有する寛骨臼ベアリングを備え、
前後方向の断面図において見た場合、前記凸状外面は、前記頂点を取り囲む半球面と、前記半球面の両側に、(i)前記半球面から離れて外側に延在する湾曲導入面と、(ii)前記湾曲導入面から離れて外側に延在する平坦フランジ面と、(iii)前記平坦フランジ面から離れて外側に延在する湾曲逃げ面と、(iv)前記湾曲逃げ面から前記リムまで外側に延在する平坦テーパ面とを有し、
(i)第1の仮想線が、前記平坦テーパ面に沿って延在し、(ii)前記湾曲逃げ面が、前記凹状内面と前記第1の仮想線との間に位置する、整形外科用インプラント。
【請求項2】
第1の接点が、前記半球面と前記湾曲導入面との移行部に画定されている、請求項1に記載の整形外科用インプラント。
【請求項3】
第2の接点が、前記湾曲導入面と前記平坦フランジ面との移行部に画定されている、請求項2に記載の整形外科用インプラント。
【請求項4】
第2の接点が、前記湾曲逃げ面の最も内側の点に画定され、
第1の仮想線分が、前記第1の接点から前記第2の接点まで延在し、
第2の仮想線が、前記前後方向に延在し、前記第1の仮想線分の中点と交差し、
前記第1の仮想線分、前記第2の仮想線及び前記凸状外面によって境界付けられた第1の断面領域が、前記第2の仮想線の内側に位置し、
前記第1の仮想線分、前記第2の仮想線及び前記凸状外面によって境界付けられた第2の断面領域が、前記第2の仮想線の外側に位置し、前記第2の断面領域は、前記第1の断面領域よりも大きい、請求項2に記載の整形外科用インプラント。
【請求項5】
前記第1の仮想線は、前記平坦フランジ面と前記凹状内面との間に位置する、請求項1に記載の整形外科用インプラント。
【請求項6】
前記凹状内面は、前記頂点を通って延在する極軸を画定し、
前記第1の仮想線は、前記極軸と第1の角度を画定し、
第2の仮想線が、前記平坦フランジ面に沿って延在し、
前記第2の仮想線は、前記極軸と第2の角度を画定し、前記第2の角度は、前記第1の角度よりも大きい、請求項5に記載の整形外科用インプラント。
【請求項7】
前記第1の角度は5.1度を含む、請求項6に記載の整形外科用インプラント。
【請求項8】
前記第2の角度は10度~14度を含む、請求項6に記載の整形外科用インプラント。
【請求項9】
前記第2の角度は12度を含む、請求項8に記載の整形外科用インプラント。
【請求項10】
後縁面が、前記平坦フランジ面と前記湾曲逃げ面との間に位置する、請求項6に記載の整形外科用インプラント。
【請求項11】
第3の仮想線が、前記後縁面に沿って延在し、前記第2の仮想線と交差し、
直角が、前記第3の仮想線と前記第2の仮想線との間に画定されている、請求項10に記載の整形外科用インプラント。
【請求項12】
環状リムと、前記環状リムから内側に延在する凹状内壁とを含む寛骨臼シェルコンポーネントをさらに備え、前記凹状内壁は、前記寛骨臼ベアリングの前記テーパ面に係合するように構成されたテーパ面と、前記寛骨臼ベアリングの前記半球面に係合するように構成された半球面とを有し、
前記テーパ面と前記半球面との間の前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記凹状内壁に環状溝が画定され、前記環状溝は、前記寛骨臼ベアリングの前記平坦フランジ面を受け入れるように構成されている、請求項1に記載の整形外科用インプラント。
【請求項13】
(i)リムから頂点まで内側に延在する凸状外面と、(ii)前記外面の反対側に位置する凹状内面とを有する寛骨臼ベアリングを備え、
前後方向の断面図において見た場合、前記凸状外面は、前記頂点を取り囲む半球面と、前記半球面の両側において前記半球面から離れて外側に延在する、(i)湾曲導入面と、(ii)平坦フランジ面と、(iii)後縁面と、(iv)湾曲逃げ面と、(v)前記リムまで延在する平坦テーパ面とを有し、
(i)第1の接点が、前記半球面と前記湾曲導入面との移行部に画定され、(ii)第1の仮想線が、前記平坦テーパ面に沿って延在し、(iii)前記第1の仮想線は、前記平坦フランジ面と前記凹状内面との間に位置し、(iv)前記湾曲逃げ面は、前記第1の仮想線と前記凹状内面との間に位置する、整形外科用インプラント。
【請求項14】
第2の接点が、前記湾曲導入面と前記平坦フランジ面との移行部に画定されている、請求項13に記載の整形外科用インプラント。
【請求項15】
第2の接点が、前記湾曲逃げ面の最も内側の点に画定され、
第1の仮想線分が、前記第1の接点から前記第2の接点まで延在し、
第2の仮想線が、前記前後方向に延在し、前記第1の仮想線分の中点と交差し、
前記第1の仮想線分、前記第2の仮想線及び前記凸状外面によって境界付けられた第1の断面領域が、前記第2の仮想線の内側に位置し、
前記第1の仮想線分、前記第2の仮想線及び前記凸状外面によって境界付けられた第2の断面領域が、前記第2の仮想線の外側に位置し、前記第2の断面領域は、前記第1の断面領域よりも大きい、請求項13に記載の整形外科用インプラント。
【請求項16】
前記凹状内面は、前記頂点を通って延在する極軸を画定し、
前記第1の仮想線は、前記極軸と第1の角度を画定し、
第2の仮想線が、前記平坦フランジ面に沿って延在し、
前記第2の仮想線は、前記極軸と第2の角度を画定し、前記第2の角度は、前記第1の角度よりも大きい、請求項13に記載の整形外科用インプラント。
【請求項17】
前記第2の角度は10度~14度を含む、請求項16に記載の整形外科用インプラント。
【請求項18】
前記第2の角度は12度を含む、請求項17に記載の整形外科用インプラント。
【請求項19】
後縁面が、前記平坦フランジ面と前記湾曲逃げ面との間に位置する、請求項16に記載の整形外科用インプラント。
【請求項20】
第3の仮想線が、前記後縁面に沿って延在し、前記第2の仮想線と交差し、
直角が、前記第3の仮想線と前記第2の仮想線との間に画定されている、請求項19に記載の整形外科用インプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、整形外科手術用インプラントに関し、より具体的には、モジュール式整形外科手術用インプラントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
関節形成術は、病変した生体関節及び/又は損傷した生体関節が人工関節によって置換される、周知の外科手術である。例えば、股関節形成外科処置では、患者の自然の股関節の臼状関節を部分的又は全体的に人工股関節で置換する。一般的な人工股関節は、寛骨臼プロテーゼコンポーネント及び大腿骨頭プロテーゼコンポーネントを含んでいる。寛骨臼プロテーゼコンポーネントは、一般的に、患者の寛骨臼と係合するように構成された外側シェル又はカップと、シェルと結合されかつ大腿骨頭と係合するように構成された内側ベアリング又はライナとを有している。大腿骨頭プロテーゼコンポーネントと、寛骨臼コンポーネントの内側ベアリングとは、自然の股関節に近い臼状関節を形成する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様によれば、整形外科用インプラントは、リムから頂点まで内側に延在する凸状外面と、外面の反対側に位置する凹状内面とを有する寛骨臼ベアリングを備える。前後方向の断面図において見た場合、凸状外面は、頂点を取り囲む半球面と、半球面の両側に、(i)半球面から離れて外側に延在する湾曲導入面と、(ii)湾曲導入面から離れて外側に延在する平坦フランジ面と、(iii)平坦フランジ面から離れて外側に延在する湾曲逃げ面と、(iv)湾曲逃げ面からリムまで外側に延在する平坦テーパ面とを有する。第1の仮想線が、平坦なテーパ面に沿って延在し、湾曲逃げ面が、凹状内面と第1の仮想線との間に位置する。
【0004】
一実施形態では、第1の接点が、半球面と湾曲導入面との移行部に画定されている。一実施形態では、第2の接点が、湾曲導入面と平坦フランジ面との移行部に画定されている。一実施形態では、第2の接点は、湾曲逃げ面の最も内側の点に画定され、第1の仮想線分が、第1の接点から第2の接点まで延在し、第2の仮想線が、前後方向に延在し、第1の仮想線分の中点と交差し、第1の仮想線分、第2の仮想線及び凸状外面によって境界付けられた第1の断面領域が、第2の仮想線の内側に位置し、第1の仮想線分、第2の仮想線及び凸状外面によって境界付けられた第2の断面領域が、第2の仮想線の外側に位置し、第2の断面領域は、第1の断面領域よりも大きい。
【0005】
一実施形態では、第1の仮想線は、平坦フランジ面と凹状内面との間に位置する。一実施形態では、凹状内面は、頂点を通って延在する極軸を画定し、第1の仮想線は、極軸と第1の角度を画定し、第2の仮想線が、平坦フランジ面に沿って延在し、第2の仮想線は、極軸と第2の角度を画定し、第2の角度は、第1の角度よりも大きい。一実施形態では、第1の角度は5.1度である。一実施形態では、第2の角度は10度~14度である。一実施形態では、第2の角度は12度である。
【0006】
一実施形態では、後縁面が、平坦フランジ面と湾曲逃げ面との間に位置する。一実施形態では、第3の仮想線が、後縁面に沿って延在し、第2の仮想線と交差し、直角が、第3の仮想線と第2の仮想線との間に画定されている。
【0007】
一実施形態では、整形外科用インプラントは、環状リムと、環状リムから内側に延在する凹状内壁とを有する寛骨臼シェルコンポーネントをさらに備え、凹状内壁は、寛骨臼ベアリングのテーパ面に係合するように構成されたテーパ面と、寛骨臼ベアリングの半球面に係合するように構成された半球面とを有する。テーパ面と半球面との間の寛骨臼シェルコンポーネントの凹状内壁に環状溝が画定され、環状溝は、寛骨臼ベアリングの平坦フランジ面を受け入れるように構成されている。
【0008】
別の態様によれば、整形外科用インプラントは、リムから頂点まで内側に延在する凸状外面と、外面の反対側に位置する凹状内面とを有する寛骨臼ベアリングを備える。前後方向の断面図において見た場合、凸状外面は、頂点を取り囲む半球面と、半球面の両側において半球面から離れて外側に延在する、(i)湾曲導入面と、(ii)平坦フランジ面と、(iii)後縁面と、(iv)湾曲逃げ面と、(v)リムまで延在する平坦テーパ面とを有する。第1の接点が、半球面と湾曲導入面との移行部に画定されている。第1の仮想線が、平坦テーパ面に沿って延在し、第1の仮想線は、平坦フランジ面と凹状内面との間に位置し、湾曲逃げ面は、第1の仮想線と凹状内面との間に位置する。
【0009】
一実施形態では、第2の接点が、湾曲導入面と平坦フランジ面との移行部に画定されている。
【0010】
一実施形態では、第2の接点は、湾曲逃げ面の最も内側の点に画定され、第1の仮想線分が、第1の接点から第2の接点まで延在し、第2の仮想線が、前後方向に延在し、第1の仮想線分の中点と交差し、第1の仮想線分、第2の仮想線、及び凸状外面によって境界付けられた第1の断面領域が、第2の仮想線の内側に位置し、第1の仮想線分、第2の仮想線、及び凸状外面によって境界付けられた第2の断面領域が、第2の仮想線の外側に位置し、第2の断面領域は、第1の断面領域よりも大きい。
【0011】
一実施形態では、凹状内面は、頂点を通って延在する極軸を画定し、第1の仮想線は、極軸と第1の角度を画定し、第2の仮想線が、平坦フランジ面に沿って延在し、第2の仮想線は、極軸と第2の角度を画定し、第2の角度は、第1の角度よりも大きい。一実施形態では、第2の角度は10度~14度である。一実施形態では、第2の角度は12度である。
【0012】
一実施形態では、後縁面が、平坦フランジ面と湾曲逃げ面との間に位置する。一実施形態では、第3の仮想線が、後縁面に沿って延在し、第2の仮想線と交差し、直角が、第3の仮想線と第2の仮想線との間に画定されている。
【0013】
別の態様によれば、寛骨臼プロテーゼを設置するための方法は、寛骨臼シェルコンポーネントを患者の外科的に準備された寛骨臼内に埋め込むことであって、寛骨臼シェルコンポーネントは、環状リムと、環状リムから内側に延在する凹状内壁とを含み、凹状内壁に環状溝が画定されている、埋め込むことと、寛骨臼ベアリングコンポーネントを埋め込まれた寛骨臼シェルコンポーネントと接触するように移動させることであって、寛骨臼ベアリングコンポーネントは、(i)環状リムと、(ii)環状リムから頂点まで内側に延在する凸状外壁と、(iii)外壁から半径方向外向きに延在する環状フランジとを含む、移動させることと、寛骨臼ベアリングコンポーネントを埋め込まれた寛骨臼シェルコンポーネント内に嵌入することであって、寛骨臼ベアリングコンポーネントを嵌入することは、寛骨臼ベアリングコンポーネントのフランジを変形させることを含む、嵌入することと、寛骨臼ベアリングコンポーネントのフランジを、寛骨臼シェルコンポーネントの凹状内壁に画定された環状溝内に受け入れることであって、フランジを受け入れることは、フランジを元の形状になるように弾性的に弛緩させることを含む、受け入れることとを含む。
【0014】
一実施形態では、寛骨臼ベアリングコンポーネントの外壁は、環状リムから内側に延在するテーパ面と、頂点から外側に延在する半球面とを含み、環状フランジは、テーパ面と半球面との間に位置する。一実施形態では、寛骨臼ベアリングコンポーネントの外壁は、テーパ面とフランジとの間に位置する湾曲逃げ面をさらに含み、湾曲逃げ面は、テーパ面及びフランジから半径方向内向きに延在する。
【0015】
一実施形態では、寛骨臼シェルコンポーネントの内壁は、環状リムから内側に延在するテーパ面と、半球面とを含む。環状溝は、テーパ面と半球面との間に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
詳細な説明は、具体的には、以下の図面を参照する。
【
図1】寛骨臼プロテーゼインプラントの寛骨臼ベアリングコンポーネントの斜視図である。
【
図2】矢印の方向に見た、
図1の線2-2に沿った前後方向の断面図である。
【
図4】寛骨臼プロテーゼインプラントの寛骨臼シェルコンポーネントの斜視図である。
【
図5】矢印の方向に見た、
図4の線5-5に沿った前後方向の断面図である。
【
図7】矢印の方向に見た、
図4の線7-7に沿った前後方向の詳細な断面図である。
【
図8】患者の股関節に設置された
図4~
図7の寛骨臼シェルコンポーネントを示す斜視図である。
【
図9】
図8の患者の股関節に設置された寛骨臼シェルコンポーネント上に位置する
図1~
図3の寛骨臼ベアリングコンポーネントの平面図である。
【
図10】矢印の方向に見た、
図9の線10-10に沿った前後方向の断面図である。
【
図11】
図10の患者の股関節に設置された寛骨臼シェルコンポーネント上に位置し、回転で位置合わせされた
図1~
図3の寛骨臼ベアリングコンポーネントの平面図である。
【
図12】矢印の方向に見た、
図11の線12-12に沿った前後方向の断面図である。
【
図13】
図8の患者の股関節に設置された寛骨臼シェルコンポーネントに完全に設置された
図4~
図7の寛骨臼ベアリングコンポーネントの前後方向の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の概念は、様々な修正及び代替形態を受け入れる余地があるが、その特定の例示的な実施形態を例として図面に示し、本明細書において詳細に説明する。しかしながら、本開示の概念を開示される特定の形態に限定することを何ら意図するものではなく、その逆に、本発明は、添付の「特許請求の範囲」によって定義される発明の趣旨及び範囲に包含される全ての修正物、均等物、並びに代替物を網羅することを意図するものであるということを理解されたい。
【0018】
解剖学的基準を表す前方、後方、内側、外側、上位、下位等の用語は、本明細書全体において、本明細書に記載する整形外科用インプラント及び手術器具、並びに患者の生得の解剖学的形態に関して使用され得る。このような用語は、解剖学の研究及び整形外科学の分野のいずれにおいても十分に理解された意味を有する。記述されている説明及び「特許請求の範囲」におけるこのような解剖学的参照用語の使用は、特に明記しないかぎり、それらの十分に理解された意味と一貫性を有することが意図される。
【0019】
ここで
図1~
図3を参照すると、例示的な寛骨臼プロテーゼは、寛骨臼ベアリング10を含む。ベアリング10は、超高分子量(Ultra-High-Molecular-Weight、UHMW)ポリエチレン(Polyethylene、PE)、高度に架橋されたPE、酸化防止剤充填PE又はポリエーテルエーテルケトン(Polyether Ether Ketone、PEEK)などの他のポリマーなどのポリマー材料から形成される。ベアリング10は、環状リム12と、環状リム12から頂点16まで内側に延在する凸状外面14とを有する。凹状内面18は環状リム12から内向きに延在する。いくつかの実施形態では、角度付き面取り部20により、環状リム12と凹状内面18とを分離してもよい。内面18は空洞22を画定し、空洞22は、金属材料、セラミック材料又は他の材料から形成されてもよい大腿骨頭コンポーネント(図示せず)などのプロテーゼコンポーネントを受け入れるようなサイズである。他の実施形態では、空洞22は、可動ベアリング、係留大腿骨頭又は他のプロテーゼコンポーネントを受け入れるようなサイズであってもよい。空洞22はさらに、極軸24を画定する。極軸24は回転軸であってもよい。すなわち、寛骨臼ベアリング10は、軸24を中心として回転対称であってもよい。
【0020】
ベアリング10の外面14は、頂点16から外側に延在する半球面26と、環状リム12から内側に延在するテーパ面28とを含む。環状フランジ30は、半球面26とテーパ面28との間に位置し、外面14から半径方向外向きに延在する。以下でさらに説明するように、使用時に、テーパ面28は、寛骨臼ベアリング10と寛骨臼シェルコンポーネントとの間の摩擦ロックを可能にし、フランジ30は、寛骨臼ベアリング10に機械的な引き抜き抵抗及びスピンアウト抵抗を提供する。
【0021】
寛骨臼ベアリング10は、複数の回転防止キー32をさらに含み、各回転防止キー32は、テーパ面28から半径方向外向きに延在する。回転防止キー32は、テーパ面28の周囲に均等に分配される。
図2に最もよく示されているように、各回転防止キー32は、外面34、内側面36及び外側面38を含む。各回転防止キー32の外面34は、テーパ面28に滑らかに融合し、各回転防止キー32の内側面36は、テーパ面28から外向きに突出するレッジを形成する。以下でさらに説明するように、回転防止キー32は、寛骨臼シェルコンポーネントの対応する回転防止スロットと協働して、寛骨臼ベアリング10と寛骨臼シェルコンポーネントとを回転で位置合わせする。加えて、12個の回転防止キー32を含むように示されているが、他の実施形態では、寛骨臼ベアリング10は、異なる数の回転防止キー32を含んでもよいことを理解されたい。
【0022】
図3に示すように、寛骨臼ベアリング10の外面14は、半球面26から外側に延在する湾曲導入面40をさらに含む。接点42は、半球面26と湾曲導入面40との間の移行部に位置している。接点42は、幾何学的な意味での接点である。すなわち、半球面26と湾曲導入面40との間の移行部において外面14によって画定されている曲線について、接点42を通過する単一の接線が存在する。したがって、半球面26と湾曲導入面40との間の移行部は、不連続性がなく滑らかである。
【0023】
平坦フランジ面44は、湾曲導入面40から外側に延在している。接点46は、湾曲導入面40と平坦フランジ面44との間の移行部に位置している。この場合も、これは、面40と44との間の移行部が、不連続性なく滑らかであることを意味する。後縁面50は、平坦フランジ面44から外側に延在している。同様に、一対の接点48、52がフランジ面44と後縁面50との間に位置している。図示のように、接点48は、フランジ面44と後縁面50の湾曲角部との間に位置し、接点52は、湾曲角部と後縁面50の平坦部分との間に位置する。
【0024】
湾曲逃げ面54は、後縁面50から外側に延在している。例示的に、逃げ面54は、外面から最も内側の点56まで内向きに湾曲し、次にテーパ面28まで外向きに湾曲する。テーパ面28は、
図1~
図2に示すように、湾曲逃げ面56から環状リム12まで外側に延在している。接点58は、逃げ面54とテーパ面28との間の移行部に位置している。
【0025】
図2~
図3に示すように、仮想線60がテーパ面28に沿って延在している。仮想線60と極軸24は、例示的に5.1°である角度62を画定する。したがって、寛骨臼ベアリング10は極軸24を中心に回転対称であるため、例示的な実施形態では、寛骨臼ベアリング10の両側(例えば、前方側及び後方側のそれぞれ、上位側及び下位側のそれぞれ又は他の一対の対向する側)の対向するテーパ面28は、10.2°(すなわち、角度62の2倍)のテーパ角度を画定する。以下でさらに説明するように、このテーパ角度は、寛骨臼シェルコンポーネントの対応するテーパ角度よりもわずかに大きく、例示的な実施形態では10°である。当然ながら、他の実施形態では、異なる角度62(したがって異なるテーパ角度)が使用されてもよい。
【0026】
図3に示すように、フランジ面44は、仮想線60より外向きに延在する。すなわち、仮想線60は、フランジ面44と内面18との間に位置している。これに対して、逃げ面54は仮想線60に対して内向きに延在している。換言すれば、逃げ面54は、仮想線60と内面18との間に位置している。以下にさらに説明するように、使用時に、テーパ面28よりもさらに半径方向外向きに延在するフランジ面44は、寛骨臼シェルコンポーネントの対応するテーパ面に接触する。寛骨臼ベアリング10が挿入されると、フランジ30が変形する。逃げ面54は、完全に挿入されたときに、フランジ30が塑性変形することなく元の形状に戻ることができるように、フランジ30の応力を逃がす。
【0027】
図2~
図3にさらに示すように、別の仮想線64がフランジ面44に沿って延在している。仮想線64と極軸24は、例示的に12°である角度66を画定する。仮想線64と極軸24とによって画定されている角度66は、仮想線60と極軸24とによって画定されている角度62よりも大きい。加えて、12°として示されているが、他の実施形態では、角度66は異なる値を有してもよいことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、角度66は、10°~14°の範囲内であってもよい。別の例として、角度66は、寛骨臼ベアリング10のテーパ角度よりも約2度大きくてもよい。
【0028】
別の仮想線68は、後縁面50に沿って延在し、仮想線64と交差する。仮想線64と68は、例示的に90°である角度70を画定する。以下でさらに説明するように、後縁面50は、寛骨臼ベアリング10の引き抜き抵抗を増大させてもよい。
【0029】
図3に示すように、仮想線分72は、半球面26と湾曲導入面40との間の移行部における接点42から、逃げ面54の最も内側の点56まで延在している。線分72はフランジ30の境界を表し、したがって、フランジ30は、線分72と外面14との間に位置する材料を含む。線分72は中点74を含み、中点74と交差する仮想分割線76は、環状リム12と平行に前後方向に延在する。分割線76は、線分72と外壁14とによって境界付けられた断面領域を内側領域78と外側領域80とに分割する。内側領域78は、線分72、分割線76及び外壁14によって境界付けられ、分割線76の内側に(すなわち、頂点16に向かって)位置する。同様に、外側領域80は、線分72、分割線76及び外壁14によって境界付けられるが、分割線76の外側に(すなわち、環状リム12に向かって)位置する。外側領域80は、内側領域78よりも大きい。例えば、いくつかの実施形態では、外外側向面積80は、線分72及び外壁14によって境界付けられた断面積の約51%に相当してもよい。外側領域80は内側領域78よりも大きいので、これは、フランジ30の材料の大部分が分割線76の外側に位置することを意味する。
【0030】
ここで
図4~
図7を参照すると、例示的な寛骨臼プロテーゼは、寛骨臼シェルコンポーネント100をさらに含む。寛骨臼プロテーゼシェルコンポーネント100は、患者の骨盤の外科的に準備された寛骨臼内に埋め込まれるように成形され、以下でさらに説明されるように、シェルコンポーネント100は、寛骨臼ベアリング10を受け入れるように構成されている。シェルコンポーネント100は、コバルトクロム又はチタンなどのインプラントグレードの金属材料から形成される。シェルコンポーネント100は、環状リム102と、環状リム102から内側に延在する外壁104とを有する。外壁104は、環状リム102から凸状湾曲外面108まで延在する環状外面106を含む。例示的な実施形態では、凸状湾曲外面108は半球形であり、患者の外科的に準備された寛骨臼の形状に一致するように成形される。シェルコンポーネント100はまた、埋め込み後に骨がシェルコンポーネント100に生物学的に付着することを可能にするPorocoat(登録商標)外部コーティング110を含む。Porocoat(登録商標)外部コーティング110は、外面108を覆い、その幾何学的形状に従う。他の実施形態ではPorocoat(登録商標)外部コーティング110が省かれる場合があることを理解されたい。
【0031】
シェルコンポーネント100は、シェルコンポーネント100内に空洞114を画定するように環状リム102から内向きに延在する内壁112をさらに含む。例示的な空洞114は、上述した寛骨臼ベアリング10を受け入れるようなサイズである。凹状内壁112は、空洞114を通って延在する極軸116をさらに画定する。寛骨臼ベアリング10の極軸24と同様に、極軸116は回転軸であってもよい。すなわち、寛骨臼シェルコンポーネント100は、軸116を中心として回転対称であってもよい。
【0032】
シェルコンポーネント100の内壁112は、環状リム102から内向きに延在する環状テーパ面118と、テーパ面118からさらに内向きに延在する半球面120とをさらに含む。
図5に示すように、シェルコンポーネント100の両側(例えば、前方側及び後方側のそれぞれ、上位側及び下位側のそれぞれ又は他の一対の対向する側)の対向するテーパ面118は、テーパ角度122を画定する。例示的には、シェルコンポーネント100のテーパ角度122は10°であるが、他の実施形態では、テーパ角度122は異なる量を有してもよい。
【0033】
内壁112には、テーパ面118と半球面120との間に環状溝124が画定されている。環状溝124は、半球面120から内壁130まで延在する内側壁126と、テーパ面118から内壁130まで延在する外側壁128とによって画定されている。
図6及び
図7に示すように、外側壁128と内壁130は、例示的に70°である角度132を画定する。以下でさらに説明するように、使用時、環状溝124は、寛骨臼ベアリング10が寛骨臼シェルコンポーネント100内に完全に設置されたときに、寛骨臼ベアリング10の環状フランジ30を受け入れるように構成されている。
【0034】
図4~
図6に示すように、複数の回転防止スロット134が、内壁112のテーパ面118に画定されている。回転防止スロット134は、テーパ面118の周囲に均等に分配され、寛骨臼ベアリング10の対応する回転防止キー32を受け入れるように成形される。図示のように、各回転防止スロット134は、テーパ面118から内壁138まで延在する内側壁136によって画定されている。
図6に示すように、内壁138は、テーパ面118に滑らかに融合し、内側壁136は、回転防止スロット134とテーパ面118との間にレッジを画定する。特に
図7に示すように、環状マイクロ溝切り欠き140が、テーパ面118にさらに画定されている。回転防止スロット134の各々は、環状マイクロ溝切り欠き140内に延在する。
図4~
図5に示すように、例示的な実施形態では、複数のスロット142が面108、120を貫通して画定されている。使用時、ねじ、ピン又は他の締結具がスロット142を通して挿入され、シェルコンポーネント100を患者の骨に固定してもよい。
【0035】
次に
図8~
図14を参照すると、使用時、
図1~
図7の寛骨臼プロテーゼが整形外科手術中に使用されてもよい。
図8は、患者の寛骨200を示している。図示のように、寛骨200は、自然の寛骨臼208を画定する、腸骨202、坐骨204及び恥骨206の3つの部分を含む。整形外科的処置を行うために、まず、外科医は、寛骨臼シェルコンポーネント100を受け入れるように患者の骨を外科的に準備する。例えば、外科医は、外科用リーマを利用して、寛骨臼シェルコンポーネント100を受け入れるように患者の寛骨臼208を準備してもよい。いくつかの実施形態では、外科医はまた、任意の既存の寛骨臼コンポーネント又は他のプロテーゼコンポーネントを患者の骨から除去してもよい。次に、外科医は、寛骨臼シェルコンポーネント100を、患者の外科的に準備された寛骨臼208に挿入し、次いで、シェルコンポーネント100を患者の骨200に嵌入するか、又は他の方法で取り付ける。いくつかの実施形態では、シェルコンポーネント100を骨200に取り付けるために、1つ以上の骨ねじ又は他の締結具がスロット142を通して挿入されてもよい。
【0036】
寛骨臼シェルコンポーネント100を骨200に固定した後、次に、
図9~
図10に示すように、外科医は、寛骨臼ベアリング10を寛骨臼シェルコンポーネント100上に配置する。
図9に示すように、外科医が寛骨臼ベアリング10を寛骨臼シェルコンポーネント100上に配置するとき、回転防止キー32は、回転防止スロット134と回転で位置合わせされていなくてもよい。
図10に示すように、回転防止キー32が回転防止スロット134と回転で位置合わせされていないとき、各回転防止キー32の内側壁36は、シェルコンポーネント100の環状リム102に接触し、寛骨臼ベアリング10をシェルコンポーネント100内に部分的に挿入されたままにする。回転防止キー32が回転防止スロット134と回転で位置合わせされていないとき、環状フランジ30のフランジ面44は、シェルコンポーネント100のテーパ面118から離間している。
【0037】
図11~
図12に示すように、寛骨臼ベアリング10をシェルコンポーネント100上に配置した後、外科医は、回転防止キー32が回転防止スロット134と位置合わせされるまでベアリング10を回転させる。回転防止キー32と回転防止スロット134が位置合わせされると、寛骨臼ベアリング10は、
図12に示すように、環状フランジのフランジ面44がシェルコンポーネント100のテーパ面118と接触するまで、寛骨臼シェルコンポーネント100内にさらに落下する。加えて、図示のように、回転防止キー32と回転防止スロット134が位置合わせされると、各回転防止キー32もまた、対応する回転防止スロット134に部分的に進入する。すなわち、位置合わせされたとき、各回転防止キー32の内側壁36は、環状リム102の下で、対応する回転防止スロット134内に位置する。したがって、寛骨臼ベアリング10は、シェルコンポーネント100内にさらに落下してテーパ面118に接触することによって、回転防止キー32が回転防止スロット134と回転で位置合わせされたときに、外科医にフィードバックを提供する。
【0038】
回転防止キー32と回転防止スロット134とが位置合わせされると、外科医は、嵌入又は他の方法で寛骨臼ベアリング10をシェルコンポーネント100内に前進させる。寛骨臼ベアリング10がシェルコンポーネント100に挿入されると、フランジ30は、テーパ面118によってフランジ面44に加えられる力によって変形される。外科医は、
図13~
図14に示すように、寛骨臼ベアリングが完全に挿入されるまで寛骨臼ベアリング10をシェルコンポーネント100内に前進させ続ける。寛骨臼ベアリング10が完全に設置されると、フランジ30は元の形状に戻る。フランジ30は、完全に設置された後、塑性変形、損傷又は他の形状変化を経験しない。
【0039】
図14の詳細図に示すように、寛骨臼ベアリング10がシェルコンポーネント100内に完全に設置されると、ベアリング10のテーパ面28はシェルコンポーネント100のテーパ面118と接触し、寛骨臼ベアリング10の半球面26はシェルコンポーネント100の半球面120と接触する。ベアリング10は、テーパ面28と118との間の摩擦ロックによってシェルコンポーネント100内に保持される。
【0040】
さらに、寛骨臼ベアリング10が完全に設置されると、ベアリング10の環状フランジ30は、シェルコンポーネント100の環状溝124によって受け入れられる。完全に設置されたとき、環状フランジ30の面40、44、50は、環状溝124を画定する壁126、128、130と接触していなくてもよい。環状フランジ30及び環状溝124は、シェルコンポーネント100内に寛骨臼ベアリング10を保持するように協働し、それによってベアリング10の引き抜き抵抗及びスピンアウト抵抗を改善する。例えば、ベアリング10が寛骨臼ベアリング100から外側にスライドし始める場合、寛骨臼ベアリング10の後縁面50は寛骨臼シェルコンポーネント100の外側壁128に接触し、それによって環状フランジ30を保持し、ベアリング10の引き抜き抵抗を増加させる。同様に、
図14に示すように、ベアリング10がシェルコンポーネント100に対して内側にスライドするようにベアリング10が回転し始める場合、寛骨臼ベアリング10の導入面40及び/又はフランジ面44は、寛骨臼シェルコンポーネント100の内側壁126に接触し、それによって環状フランジ30を保持し、ベアリング10のスピンアウト抵抗を増加させる。
【0041】
図面及び上記の説明において本開示を詳細に例証及び説明してきたが、このような例証及び説明は、その性質上、あくまで例示的なものであって限定的なものとはみなすべきではなく、あくまで例示的な実施形態を示して説明してきたにすぎず、本開示の趣旨に含まれる全ての変更及び改変は保護されることが望ましいことが理解される。
【0042】
本明細書に記載の装置及びアセンブリの様々な特性から本開示の複数の利点が生ずる。本開示の装置及びアセンブリの代替実施形態は、記載された特徴の全てを含んでいない場合もあるが、それでも依然としてこのような特徴の利点のうちの少なくともいくつかから恩恵を享受していることが留意される。当業者であれば、本発明の1つ又は2つ以上の特徴を取り入れた、「特許請求の範囲」において定義される本開示の趣旨及び範囲に包含される装置及びアセンブリを独自に実施することが容易に可能であろう。
【0043】
〔実施の態様〕
(1) (i)リムから頂点まで内側に延在する凸状外面と、(ii)前記外面の反対側に位置する凹状内面とを有する寛骨臼ベアリングを備え、
前後方向の断面図において見た場合、前記凸状外面は、前記頂点を取り囲む半球面と、前記半球面の両側に、(i)前記半球面から離れて外側に延在する湾曲導入面と、(ii)前記湾曲導入面から離れて外側に延在する平坦フランジ面と、(iii)前記平坦フランジ面から離れて外側に延在する湾曲逃げ面と、(iv)前記湾曲逃げ面から前記リムまで外側に延在する平坦テーパ面とを有し、
(i)第1の仮想線が、前記平坦テーパ面に沿って延在し、(ii)前記湾曲逃げ面が、前記凹状内面と前記第1の仮想線との間に位置する、整形外科用インプラント。
(2) 第1の接点が、前記半球面と前記湾曲導入面との移行部に画定されている、実施態様1に記載の整形外科用インプラント。
(3) 第2の接点が、前記湾曲導入面と前記平坦フランジ面との移行部に画定されている、実施態様2に記載の整形外科用インプラント。
(4) 第2の接点が、前記湾曲逃げ面の最も内側の点に画定され、
第1の仮想線分が、前記第1の接点から前記第2の接点まで延在し、
第2の仮想線が、前記前後方向に延在し、前記第1の仮想線分の中点と交差し、
前記第1の仮想線分、前記第2の仮想線及び前記凸状外面によって境界付けられた第1の断面領域が、前記第2の仮想線の内側に位置し、
前記第1の仮想線分、前記第2の仮想線及び前記凸状外面によって境界付けられた第2の断面領域が、前記第2の仮想線の外側に位置し、前記第2の断面領域は、前記第1の断面領域よりも大きい、実施態様2に記載の整形外科用インプラント。
(5) 前記第1の仮想線は、前記平坦フランジ面と前記凹状内面との間に位置する、実施態様1に記載の整形外科用インプラント。
【0044】
(6) 前記凹状内面は、前記頂点を通って延在する極軸を画定し、
前記第1の仮想線は、前記極軸と第1の角度を画定し、
第2の仮想線が、前記平坦フランジ面に沿って延在し、
前記第2の仮想線は、前記極軸と第2の角度を画定し、前記第2の角度は、前記第1の角度よりも大きい、実施態様5に記載の整形外科用インプラント。
(7) 前記第1の角度は5.1度を含む、実施態様6に記載の整形外科用インプラント。
(8) 前記第2の角度は10度~14度を含む、実施態様6に記載の整形外科用インプラント。
(9) 前記第2の角度は12度を含む、実施態様8に記載の整形外科用インプラント。
(10) 後縁面が、前記平坦フランジ面と前記湾曲逃げ面との間に位置する、実施態様6に記載の整形外科用インプラント。
【0045】
(11) 第3の仮想線が、前記後縁面に沿って延在し、前記第2の仮想線と交差し、
直角が、前記第3の仮想線と前記第2の仮想線との間に画定されている、実施態様10に記載の整形外科用インプラント。
(12) 環状リムと、前記環状リムから内側に延在する凹状内壁とを含む寛骨臼シェルコンポーネントをさらに備え、前記凹状内壁は、前記寛骨臼ベアリングの前記テーパ面に係合するように構成されたテーパ面と、前記寛骨臼ベアリングの前記半球面に係合するように構成された半球面とを有し、
前記テーパ面と前記半球面との間の前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記凹状内壁に環状溝が画定され、前記環状溝は、前記寛骨臼ベアリングの前記平坦フランジ面を受け入れるように構成されている、実施態様1に記載の整形外科用インプラント。
(13) (i)リムから頂点まで内側に延在する凸状外面と、(ii)前記外面の反対側に位置する凹状内面とを有する寛骨臼ベアリングを備え、
前後方向の断面図において見た場合、前記凸状外面は、前記頂点を取り囲む半球面と、前記半球面の両側において前記半球面から離れて外側に延在する、(i)湾曲導入面と、(ii)平坦フランジ面と、(iii)後縁面と、(iv)湾曲逃げ面と、(v)前記リムまで延在する平坦テーパ面とを有し、
(i)第1の接点が、前記半球面と前記湾曲導入面との移行部に画定され、(ii)第1の仮想線が、前記平坦テーパ面に沿って延在し、(iii)前記第1の仮想線は、前記平坦フランジ面と前記凹状内面との間に位置し、(iv)前記湾曲逃げ面は、前記第1の仮想線と前記凹状内面との間に位置する、整形外科用インプラント。
(14) 第2の接点が、前記湾曲導入面と前記平坦フランジ面との移行部に画定されている、実施態様13に記載の整形外科用インプラント。
(15) 第2の接点が、前記湾曲逃げ面の最も内側の点に画定され、
第1の仮想線分が、前記第1の接点から前記第2の接点まで延在し、
第2の仮想線が、前記前後方向に延在し、前記第1の仮想線分の中点と交差し、
前記第1の仮想線分、前記第2の仮想線及び前記凸状外面によって境界付けられた第1の断面領域が、前記第2の仮想線の内側に位置し、
前記第1の仮想線分、前記第2の仮想線及び前記凸状外面によって境界付けられた第2の断面領域が、前記第2の仮想線の外側に位置し、前記第2の断面領域は、前記第1の断面領域よりも大きい、実施態様13に記載の整形外科用インプラント。
【0046】
(16) 前記凹状内面は、前記頂点を通って延在する極軸を画定し、
前記第1の仮想線は、前記極軸と第1の角度を画定し、
第2の仮想線が、前記平坦フランジ面に沿って延在し、
前記第2の仮想線は、前記極軸と第2の角度を画定し、前記第2の角度は、前記第1の角度よりも大きい、実施態様13に記載の整形外科用インプラント。
(17) 前記第2の角度は10度~14度を含む、実施態様16に記載の整形外科用インプラント。
(18) 前記第2の角度は12度を含む、実施態様17に記載の整形外科用インプラント。
(19) 後縁面が、前記平坦フランジ面と前記湾曲逃げ面との間に位置する、実施態様16に記載の整形外科用インプラント。
(20) 第3の仮想線が、前記後縁面に沿って延在し、前記第2の仮想線と交差し、
直角が、前記第3の仮想線と前記第2の仮想線との間に画定されている、実施態様19に記載の整形外科用インプラント。
【0047】
(21) 寛骨臼プロテーゼを設置するための方法であって、
寛骨臼シェルコンポーネントを患者の外科的に準備された寛骨臼内に埋め込むことであって、前記寛骨臼シェルコンポーネントは、環状リムと、前記環状リムから内側に延在する凹状内壁とを含み、前記凹状内壁に環状溝が画定されている、埋め込むことと、
寛骨臼ベアリングコンポーネントを前記埋め込まれた寛骨臼シェルコンポーネントと接触するように移動させることであって、前記寛骨臼ベアリングコンポーネントは、(i)環状リムと、(ii)前記環状リムから頂点まで内側に延在する凸状外壁と、(iii)前記外壁から半径方向外向きに延在する環状フランジとを含む、移動させることと、
前記寛骨臼ベアリングコンポーネントを前記埋め込まれた寛骨臼シェルコンポーネント内に嵌入することであって、前記寛骨臼ベアリングコンポーネントを嵌入することは、前記寛骨臼ベアリングコンポーネントの前記フランジを変形させることを含む、嵌入することと、
前記寛骨臼ベアリングコンポーネントの前記フランジを、前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記凹状内壁に画定された前記環状溝内に受け入れることであって、前記フランジを受け入れることは、前記フランジを元の形状になるように弾性的に弛緩させることを含む、受け入れることと、を含む方法。
(22) 前記寛骨臼ベアリングコンポーネントの前記外壁は、前記環状リムから内側に延在するテーパ面と、前記頂点から外側に延在する半球面とを含み、
前記環状フランジは、前記テーパ面と前記半球面との間に位置する、実施態様21に記載の方法。
(23) 前記寛骨臼ベアリングコンポーネントの前記外壁は、前記テーパ面と前記フランジとの間に位置する湾曲逃げ面をさらに含み、前記湾曲逃げ面は、前記テーパ面及び前記フランジから半径方向内向きに延在する、実施態様22に記載の方法。
(24) 前記寛骨臼シェルコンポーネントの前記内壁は、前記環状リムから内側に延在するテーパ面と、半球面とを含み、
前記環状溝は、前記テーパ面と前記半球面との間に位置する、実施態様21に記載の方法。
【国際調査報告】