(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ズボン、スカートまたは同種のものに縫い付けられるベルトループを折り畳むように構成された装置
(51)【国際特許分類】
D05B 35/06 20060101AFI20240403BHJP
D05B 23/00 20060101ALI20240403BHJP
D05B 33/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
D05B35/06
D05B23/00 Z
D05B33/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566618
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-11-22
(86)【国際出願番号】 IB2022053471
(87)【国際公開番号】W WO2022229771
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021000011060
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519277900
【氏名又は名称】エスアイピー イタリア ソチエタ レスポンサビリタ リミタータ ソチエタ ベネフィット
【氏名又は名称原語表記】SIP-ITALY S.R.L. SOCIETA BENEFIT
【住所又は居所原語表記】Via Maestri del Lavoro 12, 37059 Zevio(VR), Italy
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(72)【発明者】
【氏名】モランディン,ダリオ
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150AA22
3B150BA12
3B150BB04
3B150CB26
3B150CC01
3B150CC05
3B150CE01
3B150CE05
3B150CE24
3B150CE27
3B150EC08
3B150EC10
3B150EH11
3B150JA13
3B150NC18
(57)【要約】
ベルトループ(P)を形成するのに適した材料の2つの端部フラップを折り畳むように構成された折り畳み装置(10)であって、相互に逆回転することによって動作する2つの回転折り畳みユニットを備え、2つの回転折り畳みユニットの各々は、折り重ねられるベルトループの材料の各エッジに対して回転し且つ平行である少なくとも一対のフォーク状ピン(13、14)を備え、少なくとも一対のフォーク状ピンの各々は、第1のピン(14a)を備え、第1のピン(14a)は、休止位置では第2のピン(14b)の上方に配置され、ベルトループ(P)の端を掴む第1の位置から、270°の回転の後にベルトループが完全に折り畳まれる位置に配置されるように第2のピン(14b)の軸を中心として回転し、各対のフォーク状ピン(13、14)は、第3のピン(17)が一部を構成する移動ユニットに関連付けられ、ピン(17)は、直線または「S」字形であり且つ環状ブッシュ(18)のエッジに取り付けられるピン(14a、14b)に対して平行であり、環状ブッシュ(18)は回転装置(15、16)に伝達される、回転シリンダによって駆動される、回転を発生されるシャフト(19)を中心として回転する、折り畳み装置(10)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類または同種のものに取り付けられるベルトループ(P)を形成するのに適した材料の2つの端部フラップを折り畳むように設計された折り畳み装置(10)であって、
相互に逆回転することによって動作する2つの回転折り畳みユニットを備え、
前記2つの回転折り畳みユニットの各々は、折り重ねられる前記ベルトループの材料の各エッジに対して回転し且つ平行である少なくとも一対のフォーク状ピン(13、14)を備え、
前記少なくとも一対のフォーク状ピンは、それぞれの独立した回転装置(15、16)によって軸回転を受けるために、回転シャフト(19)によって角度的に回転でき、
前記少なくとも一対のフォーク状ピンの各々は、第1のピン(14a)を備え、前記第1のピン(14a)は、休止位置では第2のピン(14b)に平行に且つその近くに配置され、前記ベルトループ(P)の端を掴む第1の位置から、所定の角度に従った回転の後に前記ベルトループが完全に折り畳まれる位置に配置されるように前記第2のピン(14b)の軸を中心として回転し、各対のフォーク状ピン(13、14)は、移動ユニットであって、部分的に成形され且つ前記第1および第2のピン(14a、14b)と部分的に平行な第3のピン(17)が一部を構成する移動ユニットに関連付けられ、
前記第3のピン(17)は、前記回転装置(15、16)に伝達される回転を発生させる前記回転シャフト(19)を中心として回転可能な環状ブッシュ(18)のエッジに取り付けられている、折り畳み装置(10)。
【請求項2】
前記第3のピン(17)は「S」字形であり、その構造により、前記回転装置(16)の回転軸と平行な軸上に配置された前記第2のピン(14b)の軸を中心として偏心して回転する、請求項1に記載の折り畳み装置(10)。
【請求項3】
前記第3のピン(17)は、前記ピン(14a、14b)の軸に平行な軸を有する2つの部分を形成する中央破断部分(17’)を有する金属ロッドからなり、当該構造は前記第3のピン(17)に前記ピン(14b)の軸に対する偏心回転を与える、請求項1または2に記載の折り畳み装置(10)。
【請求項4】
前記環状ブッシュ(18)に、半径方向に円の弧として配置され且つ互いにオフセットされた一対の同心のアーチ状のスロット(20、21)が設けられている、請求項1から3のいずれか一項に記載の折り畳み装置(10)。
【請求項5】
前記回転シャフト(19)に強固に結合された止めねじ(22)が前記第1のスロット(20)から突き出ており、一方、前記第2のスロット(21)は、ロック要素(25)によって機械本体に固定されたロックプレート(24)に強固に結合されたさらなる固定された止めねじ(23)によって遮られている、請求項4に記載の折り畳み装置(10)。
【請求項6】
前記止めねじ(22、23)は、前記ピン(14a、14b)を回転駆動する前記回転シャフト(19)の運動と同期した前記第3のピン(17)の制御された回転を可能にするように、それぞれのオフセットされたアーチ状のスロット(20、21)内で作動する、請求項5に記載の折り畳み装置(10)。
【請求項7】
前記止めねじ(22、23)の作用は、前記回転シャフト(19)の回転が前記ピン(14b)の軸を中心として回転する前記ピン(14a)と前記スロット(20)内で作動する前記止めねじ(22)との両方に主回転を与え、前記環状ブッシュ(18)の副回転であって、その回転が、前記止めねじ(22)が前記スロット(21)内でリミットストップとして機能する前記止めねじ(23)に反して前記スロット自体の反対側の端に達するまで角度的に移動したときに始まる前記環状ブッシュ(18)の副回転を与えるように構成される、請求項1から6のいずれか一項に記載の折り畳み装置(10)。
【請求項8】
前記環状ブッシュ(18)は、その環状エッジに設けられた前記第3のピン(17)に、前記回転シャフト(19)の軸を中心とした前記ブッシュ自体の回転による偏心回転を与え、前記回転シャフト(19)は、前記第3のピン(17)を、オフセットされた前記スロット(21)内でリミットストップとして機能する前記止めねじ(23)に反して前記材料に対して遠位にあるその始点から前記材料に対して近位にあるその終点まで移動させる、請求項5から7のいずれか一項に記載の折り畳み装置(10)。
【請求項9】
前記第3のピン(17)に許容される全偏心回転は、前記ピン(14b)の軸上の前記回転シャフト(19)の回転から、前記環状ブッシュ(18)に形成された前記スロット(20)の長さが引かれることによって与えられる、請求項4から8のいずれか一項に記載の折り畳み装置(10)。
【請求項10】
前記止めねじ(22)が、前記スロット(20)内に配置される始点とは反対側の端に到着し接触すると、それが、リミットストップとして機能する前記止めねじ(23)に反して、前記第3のピン(17)が挿入される前記環状ブッシュ(18)に回転を与える、請求項5から8のいずれか一項に記載の折り畳み装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばズボン、スカートまたは同種のもの等の衣類のエッジに縫い付けられるベルトループを折り畳むように構成された装置に関する。
【0002】
より具体的には、本発明による装置は、調節可能な要素を備えた折り畳みシステムによって折り重ねられる生地のフラップまたはループを保持し、形成され且つズボンまたは他の衣類に取り付けられるベルトループの各側に対してさらに二重回転運動を加えるように設計されている。
【0003】
本発明による折り畳み装置は、内側に折り重ねられたフラップの長さを最小限に抑えることができるので、既知の解決策と比較して重要な進歩を示す。このおかげで、最終的なウォッシングサイクルに続いて、折り畳まれた材料をクリーニングまたはトリミングする後続の作業を回避することが可能となる。
【0004】
したがって、この装置は、内側のフラップが「きれいに」折り重ねられた、すなわち見栄えの悪いほつれのないベルトループを製造することを可能にする。
【0005】
本発明は、有利なことに、衣類の製造のための産業装置の分野、特にジーンズスタイルのズボンまたはスカートの製造、あるいは様々な種類の衣類に対する他の同様の用途に適用される。
【背景技術】
【0006】
衣類の製造には、実行する必要がある作業に応じて、様々な種類の機械が使用されることが知られている。例えば、ジーンズスタイルのズボンまたはスカートの製造分野では、組み合わされる様々な要素を形成する工程と、基布であって、具体的な例ではベルトループが取り付けられるズボン部分によって代表され得る基布へのその取り付け工程と、を自動化する機械が使用される。
【0007】
衣類を製造するための様々な種類の機械の中には、ベルトループを取り付けるための自動機械もある。
【0008】
そのような機械は、ベルトループを形成し基布に取り付けることを可能にし、ベルトループであって、その外側フラップで折り重ねられたベルトループの準備を可能にし且つ2つの主な動作概念に従って作動する機械的動作アセンブリを備える。2つの主な動作概念は、以下の通りである。
a)ローダーの到着前に、ベルトループのストリップは引っ張られて、希望のサイズに切断される。この時点で、外側フラップが折り重ねられる瞬間まで、グリッパのシステムはストリップを所定の位置に堅く保持する。
b)ベルトループのストリップは希望のサイズに引っ張られ、ローダーの到着を待ち、ローダーが到着すると、外側フラップが折り重ねられる瞬間まで、中央のグリッパがストリップを所定の位置に堅く保持しながら、ストリップが切断される。
【0009】
2つの方法は、ベルトループを準備するために装置が作動する一連の運動において、すなわち、材料のストリップを引っ張る装置が動作し始めるとき、またはローダーがストリップの内側に回転ピンを配置するとき且つ材料のストリップの切断が行われるときにおいて、実質的に異なる。
【0010】
これらすべての自動ベルトループ取り付けユニットに共通する点は、材料が切断された後、ベルトループの形成が行われ、それによって、そのエッジが内側に折り重ねられるという事実にある。
【0011】
これを行うために、
図1から1dに示されるように、ローディング装置は、その前部に、パッチのように取り付けられる古典的なベルトループPを、その両端で、それを取って折り重ねることによって、形成するように構成された二対の回転フォーク状ピンAおよびBを備える。
【0012】
前記直線回転フォーク状ピンAおよびBは、それらの開始位置では、水平軸上に配置され且つ上下に平行に配置される、すなわち、主の下部ピンは上部ピンの下部エッジとほぼ接触して配置される。
【0013】
2つの回転ピンの間の距離は、通常、ベルトループを2つのピンの間に挿入する間、材料が元の位置に留まることを可能にするように、折り畳まれる材料の厚さに基づいて調節可能であり、この距離は、挿入中には上記回転ピンに対する材料の摩擦を最小限に維持するが、回転ピンの回転中に材料が滑る可能性を防止するために、回転中にはかなりの摩擦を維持するように調節される。
【0014】
ローダーは、材料のストリップが2つのピンの内側に完全に挿入されるまで2つのピンを配置し、このステップの後、中央装置がベルトループのストリップを所定の位置にロックしている間に、材料の外側フラップの多かれ少なかれ同時回転が始まる。この動作は、上部ピンを主の下部ピンの軸を中心に270度だけ回転させることによって実行され、一方、主の下部ピンはその長手方向軸を中心に回転する。
【0015】
回転ステップは、2つの回転ピンが水平方向に互いに並んで配置されるときに終了し、この場合、主の下部ピンは外側に位置し、上部ピンは内側に位置する。
【0016】
すべてのローダーには、ベルトループの両端に二対のピンが配置されている。
【0017】
一対の回転ピンは、同時に互いに逆方向に回転することにより、外側フラップをベルトループの内側に向かって折り重ねることを可能にする。
【0018】
したがって、折り畳みステップ中、中央のロック装置の存在にもかかわらず、外側フラップが同時に回転することにより、材料のストリップに張力がかかり、特に弾性材料または非常に硬い材料の場合、この事実により、折り畳まれた材料のフラップは、内部のピンから滑り落ちてしまう傾向がある。
【0019】
この欠点は、折り重ねられたフラップの長さが短すぎる場合、または回転中に材料に蓄積される張力が抑制されない場合に悪化する。
【0020】
ベルトループの滑りを防止し且つ関連する品質問題を回避するには、折り重ねられた材料のフラップを上部ストリップの下面にロックするために内部ピンがその外形を超える十分な材料を有するように寸法決めされる必要がある。材料自体の張力により、折り重ねられた材料に適用されたピンから材料が滑り落ちる傾向があるためである。
【0021】
したがって、材料の折り重ねられたフラップの最終的に必要な長さは、様々なパラメータに基づいて計算される。様々なパラメータは、
-材料の種類とその厚さ、
-2つのフラップを回転させるために適用される機械的システム、
-ピンの回転速度と材料に対するピンの摩擦、である。
【0022】
したがって、これらすべての問題を克服するために、折り重ねられた材料の長さを大幅に増やすことが一般的に行われている。しかしながら、この解決策はさらなる問題を引き起こす、すなわち、ベルトループを必要な箇所に固定するために施されたステッチと、内側の折り重ねられたフラップの自由端との間に、ステッチによって所定の位置に保持されていない材料の繊維がウォッシング中に開いてしまう、すなわち、端が離れてしまい、ほつれが生じてしまう。
【0023】
このことから生じる欠点は、ベルトループの折り重ねられた端の離れた且つほつれたエッジがベルトループの上部プロファイルの下に見えるようになり、その結果、このほつれた材料を切断し且つ縫製作業の実行またはズボンの品質に関する論争を避けるために、関連する費用を伴うさらなる手作業によるクリーニング作業を介在させる必要があるという事実にある。
【0024】
文献JP 2003 311058Aは、ドッグイヤーを発生させることなく、ベルトループ要素の両端部を折り返すことによってバータック縫いを行うことを目的とした縫製装置のベルトループ要素供給装置を開示する。フォーク状の第1の把持部は、第1の回転シリンダのロッドに固定された回転シャフトの遠位端部に固定されている。そして、ベルトループ要素の両端部近傍は、第1の把持部に形成された一対の上部および下部フォークによって挟持状態で把持され得る。この場合、上側から第1の把持部によって把持されたベルトループ要素に接近してベルトループ要素の上面との接触状態を維持する第1の移動阻止部材が設けられ、ロック部は、第1の移動阻止部材の垂直部分に形成される。したがって、挟持されたベルトループ要素の側面はロックされ、ベルトループ要素がミシンに引き渡されるまで移動停止状態を維持することができる。
【発明の概要】
【0025】
本発明は、ズボンまたは他の衣類に取り付けられるベルトループを折り畳むための適切な手段であって、折り重ねられた材料のフラップを保持するためのさらなる要素を備え、その結果、上記で強調した欠点をなくす、または少なくとも低減することができる状態を作り出す手段に依存する装置を提供することを目的とする。
【0026】
本発明は特に、折り畳みシステムの従来のアームの最終部分に適用される機械装置の使用を提供する建設的な解決策を提供することを目的とする。
【0027】
材料の種類および折り重ねられるストリップの幅の寸法に関係なく、折り重ねられたフラップをベルトループ内に収めるために、本発明による機械装置は、第3の回転ピンであって、その専用の偏心回転中に材料を「梳く(combed)」ことを可能にする第3の回転ピンと、材料が各折り畳みユニットに存在する他の2つのピンの回転ステップによって折り重ねられる一方で、その回転の終わりにベルトループ内に折り重ねられた材料の端に維持されるプッシュとを備える。
【0028】
本発明の別の目的は、製造が簡単で且つ経済的である装置であって、その移動手段の固定点に適用される前記第3のピンであって、その軸に沿ってその回転を可能にするように構成され、したがって、材料の様々な種類または厚さを補償するために、その初期位置を変更するように構成された第3のピンの使用を想定している、生地のフラップを折り畳むための装置を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示される図を用いて非限定的な例として提供される本発明の一実施形態の以下の説明を読むことにより明らかになる。
【
図1-1d】従来技術に該当する解決策を示す概略図を示す。
【
図2】フォーク状ピンと関連付けられた第3の回転ピンによって形成された機械装置を備える本発明による解決策に関する図を示す。
【
図3-4】それぞれ第1の動作ステップおよび第2の最終動作ステップにおいて、ベルトループが折り畳み部材の間に配置された本発明による装置の概略図を示す。
【
図5-6】2つの異なる角度から見た2つの折り畳みユニットのうちの一方の詳細を強調する概略的な不等角投影斜視図を示す。
【
図7-7(Prime)】本発明による第3のピンの第1の動作ステップおよび第2の最終ステップをそれぞれ強調した概略正面図である。
【
図8-8(Prime)】本発明による第3のピンの第1の初期動作ステップおよび第2の最終動作ステップをそれぞれ強調した詳細な概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
添付の図面、特に最初に
図2、3および4を参照すると、参照番号10は、ベルトループPを形成するように構成された材料の2つの端を折り畳むように設計された本発明による折り畳み装置を一般に示す。
【0031】
同図に示される一実施形態による前記装置は通常、ベルトループPの中央部分を所定の位置にロックした状態に維持するために、調節可能なストロークを有するアーム12を備えた中央装置11を備える。
【0032】
装置10はさらに、折り重ねられるベルトループの材料の各エッジに対して回転し且つ平行である二対のフォーク状ピン13および14を備え、これらのピンはそれぞれの回転装置15および16によって軸回転を受けるように移動し、これらのピンの各々はそれ独自の回転装置によって駆動される。
【0033】
より具体的には、二対のフォーク状ピンのうちの一方、すなわち14で示されるピンを参照すると、これはピン14aを備え、ピン14aは休止位置ではピン14bの上方に配置され、動作ステップの間、両方ともピン14bの軸を中心に回転し、ピン14aは270°回転後に12時の位置から9時の位置までピン14bに対して相対的に移動している。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、各対のフォーク状ピン13および14に移動ユニットが追加されており、当該ユニットは、回転装置16の回転軸に平行な軸上に配置された、同ピン14bの軸を中心に回転する第3のピン17、このケースでは「S」字形状のピンを含む。
【0035】
より具体的には、
図5および
図6に示される実施形態によれば、ピン17は、ピン14aおよび14bの軸に平行な軸を有する2つの部分を形成する軸外中央部分17’を有する金属ロッドからなり、ピン14bの軸上で回転装置15、16に伝達される、回転シリンダによって駆動される回転を発生させるそれ独自のシャフト19を中心に回転可能な環状ブッシュ18のエッジに取り付けられる。
【0036】
さらに詳細には、
図2および
図3、さらに好ましくは
図4および
図5に示される実施形態によれば、同環状ブッシュ18には、半径方向に円の弧として配置され且つ互いにオフセットされた一対の同心のアーチ状のスロット20および21が設けられている。
【0037】
第1のスロット20から突き出るように、シャフト19に強固に結合された止めねじ22があり、一方、第2のスロット21は、ねじ25によって機械本体に固定されたロックプレート24に強固に結合されたさらなる固定された止めねじ23によって遮られている。
【0038】
止めねじ22および23は、ピン14aおよび14bを回転駆動するシャフト19の運動と同期したピン17の制御された回転を可能にするように、それぞれのオフセットされたアーチ状のスロット20および21内で作動する。
【0039】
実際には、止めねじ22、23の作用は、それぞれのスロット20、21内での相互の対立(reciprocal opposition)に発展し、その結果、ピン17は完全に同期して最高の精度で偏心して角度的に正確に移動できる。
【0040】
言い換えれば、止めねじ22および23の作用は、シャフト19の回転が、ピン14bの軸を中心に回転するピン14aと、スロット20の内部で作動する止めねじ22との両方に主回転を与え、環状ブッシュ18の副回転であって、その回転が、止めねじ22がスロット21内でリミットストップとして機能する止めねじ23に反してスロット自体の反対側の端に達するまで角度的に移動したときに始まる環状ブッシュ18の副回転を与えるようなものである。
【0041】
動作の観点から、ブッシュ18は、その環状エッジに取り付けられた前記ピン17に、オフセットスロット21内でリミットストップとして機能する止めねじ23に反して、ピン17を材料の遠位の始点から材料の近位の終点まで動かすシャフト19の軸を中心としたブッシュ自体の回転による偏心回転を与えるリングからなる。
【0042】
ピン17に許容される全偏心回転は、ピン14bの軸を中心としたシャフト19の回転(270度)からブッシュ18に形成されたスロット20の長さを引いたものによって与えられる。
【0043】
実際には、止めねじ22が、スロット20内に配置される始点とは反対側の端に到着し接触すると、それが、リミットストップとして機能する止めねじ23に反して、ピン17が挿入された環状ブッシュ18に回転を与える。
【0044】
ベルトループPを形成するように構成された材料の2つのフラップを折り畳むように設計された本発明による折り畳み装置は、2つの対応する対称的な折り畳みユニットを備え、その各々は、折り重ねられるベルトループの材料の各エッジに対して回転し且つ平行である一対のフォーク状ピン13および14を備え、これらのピンは、それぞれの回転装置15および16であって、他方とは反対の方向に回転するそれぞれの回転装置15および16によって軸回転を受けるように移動することに留意すべきである。
【0045】
要約すると、上記の装置は次のことを可能にするように作られている。すなわち、
-他の2つの回転ピン14aおよび14bの回転に対するピン17の特定の回転角度、
-折り畳まれるベルトループに対するピン17の始点および終点を変更するためにピン17を偏心回転させるステップ、
-ピン14bおよびシャフト19の軸と一致する、折り畳まれるベルトループの端の回転曲線の軸に対して長手方向の位置に機械装置を維持するためのガイド、
-他の2つのピン14aおよび14bが外側フラップをベルトループの内側に回転させている間、第3の回転ピン17の最後の部分が梳き(コーミングし)、その回転の終わりに材料の上部プロファイルを同一位置に維持すること、
-力を加えて、折り重ねられたエッジを内側に押し込むことによって、材料の張力を補償すること、
-ベルトループが取り付けられるズボンの部分(例:ヨーク-股)の種々の厚さを材料の伸縮性で補償すること、を可能にするように作られている。
【0046】
この装置は、標準的な折り畳みシステムに簡単に適用できるキットに含めることができるというさらなる利点を有し、これにより、いわば「きれいな」フラップを備えたベルトループPを製造することが可能となり、したがって、ウォッシング後のクリーニング作業が不要となるので、ズボンの製造サイクル全体におけるコストおよび作業が削減される。
【0047】
1本のズボンに5つのベルトループを取り付けるのに約10秒かかる従来の折り畳み装置の縫製サイクルと同一の縫製サイクルを参照すると、本発明による折り畳み装置では、5つのベルトループPの内側のエッジがウォッシュされた後にクリーニングするステップが削除され、これは通常、クリーニングを行うオペレータの速度およびクリーニング作業に適用される自動化の程度に応じて、1本のズボンあたりさらに10-25秒かかる。
【0048】
その結果、本発明による装置を使用すると、ベルトループを取り付けるすべてのオペレータに対して、ウォッシング後にベルトループをクリーニングする1人または2人のオペレータが不要となり、各オペレータに必要な切断ユニットも不要となり、生産性および費用対効果の観点で、そこから派生するすべての利点が得られる。
【0049】
本発明は、その好ましい実施形態を参照して先に説明された。しかしながら、技術的等価性の観点から、その範囲内に入るいくつかの構造的な変形を導入する可能性が想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【国際調査報告】