(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】体積欠陥に対する適応型超音波検査
(51)【国際特許分類】
G01N 29/24 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
G01N29/24
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566679
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-06
(86)【国際出願番号】 CA2022050633
(87)【国際公開番号】W WO2022226638
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522343027
【氏名又は名称】エヴィデント・カナダ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブノワ・ルパージュ
(72)【発明者】
【氏名】ジンチ・ジャン
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AB01
2G047BA03
2G047CA01
2G047GB02
2G047GF18
(57)【要約】
ターゲットの音響評価は、電気音響トランスデューサのアレイを使用して行うことができる。例えば、そのような評価のための技術は、異なる送信アパーチャを使用してそれぞれの音響送信イベントを生成することを含み得、アパーチャは、アレイに沿った対応するゾーンによって画定され、ゾーンは、複数の電気音響トランスデューサ要素を含む。それぞれの音響送信イベントに応答して、それぞれの音響エコー信号が受信される。それぞれの受信した音響エコー信号の表現は、コヒーレントに合計される。コヒーレントに合計することは、検査される構造体の表面の公称形状に垂直な仮想プローブを近似するために、決定された公称要素遅延係数をそれぞれの表現に適用することを含む。検査される構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値が、コヒーレントに合計された表現を使用して生成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気音響トランスデューサのアレイを使用してターゲットの音響評価を行うためのマシン実装方法であって、前記マシン実装方法は、
異なる送信アパーチャを使用してそれぞれの音響送信イベントを生成することであって、前記送信アパーチャは、前記アレイに沿った対応するゾーンによって画定され、前記ゾーンは、複数の電気音響トランスデューサ要素を含む、生成することと、
前記それぞれの音響送信イベントに応答して、前記電気音響トランスデューサ要素のうちの受信するものを使用して、それぞれの音響エコー信号を受信して、受信した音響エコー信号のグループを形成することであって、前記グループは、それぞれの送信ゾーン及び受信要素のそれぞれ1つを含む送受信ペアによってインデックス付けされる、形成することと、
受信した前記音響エコー信号の表現それぞれをコヒーレントに合計することであって、前記表現は、前記送受信ペアそれぞれに対応し、前記コヒーレントに合計することは、検査される構造体の表面の公称形状に垂直な仮想プローブを近似するために、決定された公称要素遅延係数を前記表現それぞれに適用することと、前記公称形状、又は前記電気音響トランスデューサのアレイに対する前記構造体の前記表面の公称アライメントからの変動を補償するために、それぞれの遅延係数補正を適用することと、を含む、合計することと、
前記コヒーレントに合計された表現を使用して、前記検査される構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値を生成することと、
を含む、マシン実装方法。
【請求項2】
前記それぞれの音響送信イベントを生成することは、異なるゾーンに対応する異なる送信アパーチャを使用して少なくとも3つの音響送信イベントを生成することを含む、請求項1に記載のマシン実装方法。
【請求項3】
前記ゾーンが部分的に重複する、請求項2に記載のマシン実装方法。
【請求項4】
単一の反復を使用して前記それぞれの遅延係数補正を決定することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のマシン実装方法。
【請求項5】
2つ以上の電気音響トランスデューサ要素を含むそれぞれのアパーチャを使用して、それぞれの遅延係数を決定することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のマシン実装方法。
【請求項6】
前記それぞれの受信した音響エコー信号の前記表現が、Aスキャン表現を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のマシン実装方法。
【請求項7】
前記検査される構造体上又は前記構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値を生成することは、それぞれのコヒーレント合計を使用して複数の空間位置の画像を生成することを含み、前記それぞれのコヒーレント合計は、前記決定された公称要素遅延係数を適用することと、前記それぞれの遅延係数補正を適用することと、を含む、請求項6に記載のマシン実装方法。
【請求項8】
試験中の前記構造体は、バーである、請求項7に記載のマシン実装方法。
【請求項9】
前記画像は、前記バーの体積内のセクタを表す、請求項8に記載のマシン実装方法。
【請求項10】
前記バーの前記体積内の異なるセクタの別の画像を生成するために、別の取得を実行して、受信した音響エコー信号の別のグループを形成することを含み、前記グループは、前記それぞれの送信ゾーン及び前記受信要素のそれぞれ1つを含む送受信ペアによってインデックス付けされる、請求項9に記載のマシン実装方法。
【請求項11】
前記別の取得を実行することは、前記アレイ又は試験中の前記構造体を再配置して、前記アレイによって試験中の前記構造体の表面の異なる部分への高周波音波照射を可能にすることを含む、請求項10に記載のマシン実装方法。
【請求項12】
前記別の取得を実行することは、試験中の前記構造体の表面の異なる部分に高周波音波を照射するように構成された第2のアレイを使用することを含む、請求項10に記載のマシン実装方法。
【請求項13】
試験中の前記構造体の表面を撮像するためのせん断波を励起するために、音響送信イベントを生成することであって、
試験中の前記構造体の前記表面を撮像することは、それぞれの受信した音響エコー信号の表現をコヒーレントに合計することと、前記検査される構造体の前記表面の前記公称形状に垂直なビームを近似するために、前記決定された公称要素遅延係数を前記それぞれの表現に適用することと、前記公称形状、又は前記電気音響トランスデューサのアレイに対する前記構造体の前記表面の前記公称アライメントからの変動を補償するために、それぞれの遅延係数補正を適用することと、を含む、生成することと、
前記コヒーレントに合計された表現を使用して、前記検査される構造体上の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値を生成することと、
を含む、請求項1~12のいずれかに記載のマシン実装方法。
【請求項14】
電気音響トランスデューサのアレイを使用してターゲットの音響評価を行うための超音波検査システムであって、前記超音波検査システムは、
電気音響トランスデューサ要素のアレイに結合された送受信回路を含むアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドと通信可能に結合されたプロセッサ回路と、
命令を含むメモリ回路であって、前記命令は前記プロセッサ回路によって実行されると、前記システムに、
異なる送信アパーチャを使用してそれぞれの音響送信イベントを生成することであって、前記アパーチャは、前記アレイに沿った対応するゾーンによって画定され、前記ゾーンは、複数の電気音響トランスデューサ要素を含む、生成することと,
前記それぞれの音響送信イベントに応答して、前記電気音響トランスデューサ要素のうちの受信するものを使用して、それぞれの音響エコー信号を受信して、受信した音響エコー信号のグループを形成することであって、前記グループは、それぞれの送信ゾーン及び前記受信要素のそれぞれ1つを含む送受信ペアによってインデックス付けされる、形成することと、
前記それぞれの受信した音響エコー信号の表現をコヒーレントに合計することであって、前記表現は、前記それぞれの送受信ペアに対応し、前記コヒーレントに合計することは、検査される構造体の表面の公称形状に垂直なビームを近似するために、決定された公称要素遅延係数を前記それぞれの表現に適用することと、前記公称形状、又は前記電気音響トランスデューサのアレイに対する前記構造体の前記表面の公称アライメントからの変動を補償するために、それぞれの遅延係数補正を適用することと、を含む、合計することと、
前記コヒーレントに合計された表現を使用して、前記検査される構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値を生成することと、を行わせる、メモリ回路と、
を備える、超音波検査システム。
【請求項15】
前記それぞれの音響送信イベントを生成する前記命令は、異なるゾーンに対応する異なる送信アパーチャを使用して少なくとも3つの音響送信イベントを生成する命令を含む、請求項14に記載の超音波検査システム。
【請求項16】
前記ゾーンが部分的に重複する、請求項15に記載の超音波検査システム。
【請求項17】
単一の反復を使用して前記それぞれの遅延係数補正を決定する命令を更に含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の超音波検査システム。
【請求項18】
2つ以上の電気音響トランスデューサ要素を含むそれぞれのアパーチャを使用して、前記それぞれの遅延係数を決定することを含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の超音波検査システム。
【請求項19】
前記それぞれの受信した音響エコー信号の前記表現は、Aスキャン表現を含む、請求項14~18に記載の超音波検査システム。
【請求項20】
前記検査される構造体上又は前記構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値を生成する前記命令は、それぞれのコヒーレント合計を使用して複数の空間位置の画像を生成する命令を含み、前記それぞれのコヒーレント合計は、前記決定された公称要素遅延係数を適用することと、前記それぞれの遅延係数補正を適用することと、を含む、請求項19に記載の超音波検査システム。
【請求項21】
試験中の前記構造体が、バーである、請求項20に記載の超音波検査システム。
【請求項22】
前記画像は、前記バーの体積内のセクタを表す、請求項21に記載の超音波検査システム。
【請求項23】
前記バーの前記体積内の異なるセクタの別の画像を生成するために、別の取得を実行して、受信した音響エコー信号の別のグループを形成する命令を含み、前記グループは、前記それぞれの送信ゾーン及び前記受信要素のそれぞれ1つを含む送受信ペアによってインデックス付けされる、請求項22に記載の超音波検査システム。
【請求項24】
別の取得を実行する前記命令は、前記アレイ又は試験中の前記構造体を再配置して、前記アレイによって試験中の前記構造体の表面の異なる部分への高周波音波照射を可能にする命令を含む、請求項23に記載の超音波検査システム。
【請求項25】
別の取得を実行する前記命令は、試験中の前記構造体の表面の異なる部分に高周波音波を照射するように構成された第2のアレイを使用する命令を含む、請求項24に記載の超音波検査システム。
【請求項26】
試験中の前記構造体の表面を撮像するためのせん断波を励起するために、音響送信イベントを生成する命令であって、
試験中の前記構造体の前記表面を撮像することは、それぞれの受信した音響エコー信号の表現をコヒーレントに合計することと、前記検査される構造体の前記表面の前記公称形状に垂直なビームを近似するために、前記決定された公称要素遅延係数を前記それぞれの表現に適用することと、前記公称形状、又は前記電気音響トランスデューサのアレイに対する前記構造体の前記表面の前記公称アライメントからの変動を補償するために、それぞれの遅延係数補正を適用することと、を含む、命令と、
前記コヒーレントに合計された表現を使用して、前記検査される構造体上の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値を生成する命令と、を含む、請求項14~25のいずれか一項に記載の超音波検査システム。
【請求項27】
電気音響トランスデューサのアレイを使用してターゲットの音響評価を行うための超音波検査システムであって、
異なる送信アパーチャを使用してそれぞれの音響送信イベントを生成するための手段であって、前記送信アパーチャは、前記アレイに沿った対応するゾーンによって画定され、前記ゾーンは、複数の電気音響トランスデューサ要素を含む、生成するための手段と、
前記音響送信イベントそれぞれに応答して、前記電気音響トランスデューサ要素のうちの受信するものを使用して、それぞれの音響エコー信号を受信して、受信した音響エコー信号のグループを形成するための手段であって、前記グループは、それぞれの送信ゾーン及び受信要素のそれぞれ1つを含む送受信ペアによってインデックス付けされる、形成するための手段と、
の受信した前記音響エコー信号それぞれの表現をコヒーレントに合計するための手段であって、前記表現は、前記送受信ペアそれぞれに対応し、前記コヒーレントに合計することは、検査される構造体の表面の公称形状に垂直なビームを近似するために、決定された公称要素遅延係数を前記表現それぞれに適用することと、前記公称形状、又は前記電気音響トランスデューサのアレイに対する前記構造体の前記表面の公称アライメントからの変動を補償するために、それぞれの遅延係数補正を適用することと、を含む、合計するための手段と、
前記コヒーレントに合計された表現を使用して、前記検査される構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値を生成するための手段と、
を備える、超音波検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権の主張
本特許出願は、2021年4月30日に出願され、かつ「ADAPTIVE ULTRASONIC INSPECTION FOR VOLUMETRIC FLAWS」と題するLepageらの米国特許仮出願第63/201,485号(代理人整理番号No.6409.197PRV)の優先権の利益を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本文書は、限定ではなく、概して、非破壊的評価に関し、より具体的には、バーなどの構造体の表面下又は内部の欠陥を検出するための適応型の様式で音響検査を提供するための装置及び技術に関する。
【背景技術】
【0003】
様々な検査技術は、そのような構造を損傷することなく、構造を撮像又はさもなければ分析するために使用され得る。例えば、X線検査、渦電流検査、又は音響(例えば、超音波)検査のうちの1つ以上を使用して、試験試料上又は試験試料内の特徴の撮像のためのデータを取得することができる。例えば、音響撮像は、試験試料内の関心領域を撮像するためなど、超音波トランスデューサ要素のアレイを使用して実施され得る。
【発明の概要】
【0004】
音響検査を使用して、非破壊的な様式で体積又は表面近くの欠陥を検出することができる。例えば、バー検査では、超音波検査プローブのセットは、試験中のバーの周りの半径方向の様々な位置に配置することができる。体積走査は、一連の積み重ねられたEスキャン画像を含むBスキャン撮像データを取得することによって実行され得る。このようなアプローチは、欠陥の実際の物理的な位置に対応する様式で欠陥の位置を表さない撮像を作出するなど、様々な課題を提示し得る。そのような撮像はまた、プローブアセンブリと試験中のバーとの間のミスアライメントの存在下で、欠陥識別を隠す又は抑制する傾向があり得る。本発明者らは、とりわけ、適応型アプローチを使用して、ミスアライメントを補償するための個々のプローブ要素の遅延補償値を決定することができること、及び物理的な欠陥位置をより有意義に表す撮像を提供することができるスパースマトリクス(疎行列)取得スキーム(本明細書ではゾーン動的深度合焦(zonal Dynamic Depth Focusing)と呼ばれる)を含むゾーン撮像アプローチを使用することができることを認識している。本明細書に説明される様々な例はまた、後壁表面又は表面近くの欠陥検査などのせん断波撮像にも使用され得る。
【0005】
一例では、ターゲットの音響評価は、電気音響トランスデューサのアレイを使用して行うことができる。例えば、そのような評価のための技術は、異なる送信アパーチャを使用してそれぞれの音響送信イベントを生成することを含み得、アパーチャは、アレイに沿った対応するゾーンによって画定され、ゾーンは、複数の電気音響トランスデューサ要素を含む。それぞれの音響送信イベントに応答して、電気音響トランスデューサ要素のうちの受信するものを使用して、それぞれの音響エコー信号が受信され、受信した音響エコー信号のグループを形成する。例えば、グループは、それぞれの送信ゾーン及び受信要素のそれぞれ1つを含む送受信ペアによってインデックス付けされる。それぞれの受信した音響エコー信号の表現は、コヒーレントに合計される。表現は、それぞれの送受信ペアに対応する。コヒーレントに合計することは、検査される構造体の表面の公称形状に垂直な仮想プローブを近似するために、決定された公称要素遅延係数をそれぞれの表現に適用することを含む。それぞれの遅延係数補正は、公称形状、又は電気音響トランスデューサのアレイに対する構造体の表面の公称アライメントからの変動を補償するために、適用される。検査される構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値が、コヒーレントに合計された表現を使用して生成される。
【0006】
一例では、ターゲットの音響評価を行うための超音波検査システムは、電気音響トランスデューサのアレイを使用する。送受信回路を含むアナログフロントエンドが、電気音響トランスデューサ要素のアレイに結合される。プロセッサ回路が、アナログフロントエンドと通信可能に結合される。メモリ回路は命令を含み、命令はプロセッサ回路によって実行されると、システムに、タスクを実行させる。例えば、命令は、異なる送信アパーチャを使用してそれぞれの音響送信イベントを生成することを含み得、アパーチャは、アレイに沿った対応するゾーンによって画定され、ゾーンは、複数の電気音響トランスデューサ要素を含む。それぞれの音響送信イベントに応答して、電気音響トランスデューサ要素のうちの受信するものを使用して、それぞれの音響エコー信号が受信され、受信した音響エコー信号のグループを形成する。例えば、グループは、それぞれの送信ゾーン及び受信要素のそれぞれ1つを含む送受信ペアによってインデックス付けされる。それぞれの受信した音響エコー信号の表現は、コヒーレントに合計される。表現は、それぞれの送受信ペアに対応する。コヒーレントに合計することは、検査される構造体の表面の公称形状に垂直な仮想プローブを近似するために、決定された公称要素遅延係数をそれぞれの表現に適用することを含む。それぞれの遅延係数補正は、公称形状、又は電気音響トランスデューサのアレイに対する構造体の表面の公称アライメントからの変動を補償するために、適用される。検査される構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値が、コヒーレントに合計された表現を使用して生成される。
【0007】
一例では、ターゲットの音響評価を行うための超音波検査システムは、電気音響トランスデューサのアレイを使用する。システムは、異なる送信アパーチャを使用してそれぞれの音響送信イベントを生成するための手段を含む。アパーチャは、アレイに沿った対応するゾーンによって画定される。ゾーンは、複数の電気音響トランスデューサ要素を含む。それぞれの音響送信イベントに応答して、システムは、電気音響トランスデューサ要素のうちの受信するものを使用して、それぞれの音響エコー信号を受信して、受信した音響エコー信号のグループを形成するための手段を含む。例えば、グループは、それぞれの送信ゾーン及び受信要素のそれぞれ1つを含む送受信ペアによってインデックス付けされる。システムは、それぞれの受信した音響エコー信号の表現をコヒーレントに合計するための手段を含む。表現は、それぞれの送受信ペアに対応する。コヒーレントに合計することは、検査される構造体の表面の公称形状に垂直な仮想プローブを近似するために、決定された公称要素遅延係数をそれぞれの表現に適用することを含む。それぞれの遅延係数補正は、公称形状、又は電気音響トランスデューサのアレイに対する構造体の表面の公称アライメントからの変動を補償するために、適用される。システムは、コヒーレントに合計された表現を使用して、検査される構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値を生成するための手段を備える。
【0008】
本概要は、本特許出願の主題の概要を提供することを意図する。本発明の排他的又は網羅的な説明を提供することは、意図されていない。詳細な説明は、本特許出願に関する更なる情報を提供するために含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
必ずしも正確な縮尺率で描画されていない図面において、同様の数字は、異なる図面において同様の構成要素を説明し得る。異なる文字接尾辞を有する同様の数字は、類似の構成要素の異なるインスタンスを表し得る。図面は、限定するものではないが、概して、本文書で考察される様々な実施形態を例として例解する。
【0010】
【
図1】本明細書の他の個所に図示及び説明される1つ以上の技術を実施するために使用され得るような、音響検査システムを含む一例を全体的に示す。
【
図2A】複数のプローブを有するバー検査システムの一例を示す。
【
図2B】超音波プローブによって生成され得る位相アレイビームの一例を示す。
【
図3A】
図2Bに示されるものと同様のビームを使用して0.5ミリメートル(mm)の中間壁平底穴(mid-wall flat bottom hole、MWFBH)欠陥を走査することによって得られる、互いに隣り合って積み重ねられた、取得されたEスキャン画像を含む例解的な例を示す。
【
図3B】互いに隣り合って積み重ねられた取得されたEスキャン画像を含む例解的な例を示し、Eスキャン画像は、0.5mmの後壁平底穴(FBH)欠陥を走査することによって得られる。
【
図4】
図3Aの同じ0.5mmのMWFBH欠陥を使用した別の取得を含む一例を示す図であるが、中央に配置された公称プローブ位置に対するプローブアセンブリの0.5mmの横方向の機械的オフセットを有し、欠陥の弱解決された詳細を示す。
【
図5】ゾーン動的深度合焦(zDDF)アプローチを使用することができる適応型バー検査原理を含む一例を示す。
【
図6】zDDFをコヒーレント適応型合焦(Coherent Adaptive Focusing、CAF)アプローチと組み合わせることができる検査構成の図を示す。
【
図7】試験中のバーに対する様々なプローブ位置について、CAFベースの技術を使用しないzDDFの結果を示す。
【
図8】zDDFの結果が、試験中のバーに対する様々なプローブ位置について、CAFベースの技術の使用を含むことを示す。
【
図9】zDDFアプローチを使用して取得された複数の画像の集約を示す。
【
図10】セクタベースのzDDFの例解的な例を示す。
【
図11】適応型zDDFアプローチを示す図を全体的に示す。
【
図12】プローブ全体に適用することができる独立したCAF反復決定プロセスを示す。
【
図13】
図12で使用される技術が有用であり得る一例を示す。
【
図14A】基本サブアパーチャ上の反復によるCAF収束を示す。
【
図14B】合計されたサブアパーチャに対する反復CAFによるCAF収束を示す。
【
図15】
図14Bに説明されるように、合計されたサブアパーチャを使用して実行されるCAFのための例示的な要素プローブ設定を示す。
【
図17】試験中のバーの周りの半径方向の様々な表面欠陥位置のカバレッジを達成するための異なるビームステアリング角度の使用を示す。
【
図18】欠陥に対応する基準振幅に対するバー位置決めオフセットの影響のシミュレーション結果を示す。
【
図19】本明細書の様々な例で説明される適応型超音波検査を実行するために使用することができるような、マシン実装方法などの技術を示す。
【
図20】本明細書で考察される技術(例えば、方法論)のうちのいずれか1つ以上が行われ得るマシンを備える一例のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
超音波ベースの検査などの音響試験は、試験試料内の関心領域を表すデータプロット又は画像の構築を助けるために合焦又はビーム形成技術を含むことができる。超音波トランスデューサ要素のアレイの使用は、位相アレイビーム形成アプローチの使用を含むことができ、位相アレイ超音波試験(PAUT)と呼ばれ得る。例えば、それぞれのトランスデューサ要素又はアパーチャからの受信音響信号のタイムドメイン表現をコヒーレントに合計することを含むような、遅延和ビーム形成技術を使用することができる。本明細書の技術は、強化された検査生産性(例えば、スループット又は欠陥に対する感度)、位置決めエラーに対する感度の低下、及び検査要員又はアナリストがより理解しやすい様式で欠陥を表すより直感的な撮像のうちの1つ以上を容易にする。
【0012】
図1は、本明細書に示され、説明されるように、少なくとも一部分の1つ以上の技術を実施するために使用され得るような、音響検査システム100を含む例を概して示す。音響検査システム100は、手持ち型又は携帯型アセンブリなどの試験器具140を含むことができる。試験器具140は、マルチコンダクタインターコネクト130を使用するなど、プローブアセンブリに電気的に結合されてもよい。プローブアセンブリ150は、それぞれのトランスデューサ154A~154Nを含むトランスデューサアレイ152などの1つ以上の電気音響トランスデューサを含むことができる。トランスデューサアレイは、線形又は湾曲した輪郭に従うことができ、又はトランスデューサ要素のマトリクスを提供するなど、2つの軸に延在する要素のアレイを含むことができる。要素は、フットプリントが正方形である必要はなく、直線軸に沿って配置される必要もない。要素の大きさ及びピッチは、検査用途に応じて変化され得る。
【0013】
試験器具140を様々な異なるプローブアセンブリ150とともに使用することを可能にするようなモジュール式プローブアセンブリ150構成を使用することができる。一般に、トランスデューサアレイ152は、例えば、結合媒体156を介してターゲット158(例えば、試験試料又は「試験中オブジェクト」)に音響的に結合され得るような圧電トランスデューサを含む。結合媒体は、流体若しくはゲル、又は固体膜(例えば、エラストマ若しくは他のポリマー材料)、又は流体、ゲル、若しくは固体構造の組み合わせを含むことができる。例えば、結合媒体は、水及び/又は他の流体を含むことができる。
【0014】
試験器具140は、1つ以上の送信信号チェーン、受信信号チェーン、又はスイッチング電気回路構成(例えば、送信/受信スイッチング電気回路構成)を含むフロントエンド回路122などのデジタル及びアナログ電気回路構成を含むことができる。送信信号チェーンは、ターゲット158への高周波音波照射のためにインターコネクト130を介してプローブアセンブリ150に送達するための送信パルスを提供する、高周波音波照射に応答して引き出される散乱又は反射された音響エネルギーを受信することによって、ターゲット158構造上若しくはその内部の欠陥160を撮像する、又はそうでなければ検出するような、増幅器及びフィルタ電気回路構成を含むことができる。試験構造体は、本明細書において具体的にバーと称され得るが、試験構造体は、内部可視化が所望される任意の種類の構造体であり得ることを理解されたい。
【0015】
図1は、単一のプローブアセンブリ150及び単一のトランスデューサアレイ152を示すが、単一の試験器具140に接続された複数のプローブアセンブリ、又はピッチ/キャッチ検査のために単一若しくは複数のプローブアセンブリ150とともに使用される複数のトランスデューサアレイ152などの他の構成を使用することができる。同様に、試験プロトコルは、複数の試験器具140間の調整を使用して、例えば、マスター試験器具140から確立された、又は計算設備108などの別の遠隔システム又はラップトップ132、タブレット、スマートフォン、デスクトップコンピュータなどの汎用コンピューティングデバイスによって確立された全体的な試験スキームに応答して、行われ得る。試験スキームは、公開された標準又は規制要件に従って確立され得、例示的な例として、最初の製造時に、又は継続的な監視のために繰り返し行われ得る。
【0016】
フロントエンド回路122の受信信号チェーンは、プローブアセンブリ150を使用して受信されたエコー信号をデジタル化するような、アナログ対デジタル変換設備とともに、1つ以上のフィルタ又は増幅器回路を含むことができる。デジタル化は、時間又は位相において互いに整列又は参照されるデジタル化されたデータの複数のチャネルを提供するように、コヒーレントに実施され得る。フロントエンド回路は、試験器具140の一部分として含まれるプロセッサ回路102などの1つ以上のプロセッサ回路に結合され、制御されてもよい。プロセッサ回路は、例えば、試験器具140に音響送信、音響取得、処理、若しくは音響検査に関連するデータの記憶のうちの1つ以上を行わせる命令を実行する、又はさもなければ、本明細書に示され、説明されるような技術を行うように、メモリ回路104に結合されてもよい。試験器具140は、有線又は無線通信インターフェース120を使用するなどして、システム100の他の部分に通信可能に結合され得る。
【0017】
例えば、本明細書に図示及び説明されるような1つ以上の技術の性能は、試験器具140上で、又は計算設備108又はラップトップ132、タブレット、スマートフォン、デスクトップコンピュータなどの汎用コンピューティングデバイスを使用するなどの他の処理設備又は記憶設備を使用して達成され得る。例えば、試験器具140上で行われる場合、又は試験器具140の能力を超えて実行される場合、不必要に遅くなる処理タスクは、例えば、試験器具140からの要求に応答して、遠隔で(例えば、別個のシステム上で)行われ得る。同様に、例えば、撮像データ又は時系列データのAスキャンマトリクスなどの中間データ又はそのようなデータの他の表現の記憶は、試験器具140に通信可能に結合された遠隔設備を使用して達成され得る。試験器具は、構成情報又は結果の提示などのためのディスプレイ110と、オペレータコマンド、構成情報、又はクエリへの応答を受信するためのキーボード、トラックボール、ファンクションキー又はソフトキー、マウスインターフェース、タッチスクリーン、スタイラスなどのうちの1つ以上を含む入力デバイス112とを含むことができる。
【0018】
本明細書の例では、データは、概して、同時に発射されるトランスデューサ要素のグループを使用して取得され、これらのグループは、送信取得「ゾーン」を画定する。音響送信イベントは、対応するゾーン内のトランスデューサのグループを使用して音響パルスが生成される場合に発生する。いくつかの例によれば、パルスイベントに寄与したトランスデューサのグループの要素のうちの1つ以上も、受信要素として使用される。場合によっては、アレイ内の他の要素は、音響送信に応答して引き出されるエコー信号(反射又は散乱音響エネルギー)を受信する。取得マトリクスは、2つの軸で最初に画定され、第1の軸は各送信イベントに対応し、第2の軸は各受信位置に対応する。マトリクスの各要素は、特定の受信位置及び対応する送信イベントに対応する時系列データ(例えば、基本「Aスキャン」)を含む。一般に、要素のグループは、個々の送信イベントの間の送信のために使用され得、要素のグループは、所望の送信又は受信アパーチャを提供するため、又は送信-受信の組み合わせを提供するためなど、受信イベントの間に受信するために使用され得る。
【0019】
特定の位置(例えば、撮像データ内のピクセル又はボクセルの位置)の画像を構築するために、一般に、各送信イベントに応答して各トランスデューサ要素で受信された信号からの寄与を合計することは、ピクセル又はボクセルの空間位置(及び関連する伝播経路)に対応する対応するAスキャンから適切なサンプルを選択することを含む。Aスキャンデータは、実数値の時系列情報又は分析フォームを含むことができる。伝搬経路は、各ボクセル又は画素の合計に影響を与えるため、信号のフィルタリング又は変調は、伝搬経路の知見を使用して合計の特定の項に重みを付けることによってなど、伝搬経路の1つ以上の特性に応答して実行することができる。上述のように、モデル化された伝搬経路と、取得中に横断された実際の経路との間の変動は、撮像アーチファクトを作出し得る。
【0020】
体積欠陥の超音波バー検査は、一般に、複数の物理的に分離された位相アレイプローブを使用して、バーの後壁に焦点を合わせたような電子スキャン(E-SCAN)に依存する。高感度レベルが必要な場合(例えば、0.5mm平底穴などの較正機能の信頼性の高い検出のため)、一般的に利用可能な方法では、検査スループットが制限される可能性がある。
【0021】
図2Aは、本明細書に説明される例による、複数のプローブ210を有する例示的なバー状検査システムを示す。各プローブ210は、複数のトランスデューサ要素を有する。各プローブ210は、独立した平面上に配置されてもよい(プローブの独立した平行発射を可能にする)。様々な例によれば、同じ位相アレイプローブは、長手方向波(longitudinal wave、LW)パルス及びせん断波(shear wave、SW)パルスの一方又は両方を提供して、試験構造体220の中心体積及び/又は表面下体積を検査するようにプログラムすることができる。場合によっては、同じ位相アレイプローブをLWパルスとSWパルスの間で交互にプログラムすることができる。
【0022】
一例として、1つのアプローチは、128個の要素プローブのセットを使用する試験に基づくことができる。体積欠陥の検査(LWを使用して)は、一般に、1つのアパーチャについて32個の要素で形成されたビームを含み得、8個の要素のアパーチャステップである。これらの条件では、スキャン軸内の各位置の検査を行うために、13個の独立したビームが生成される。
図2Bは、本明細書に説明される例による、超音波プローブ230によって生成され得る位相アレイビームの一例を示す。
【0023】
バー検査のためのこのようなアプローチは、複数の(例えば、13の)独立したE-SCANビームを互いに隣り合って積み重ねることによって形成された各プローブ210アレイに対応するBスキャン画像を出力する。これは、画像を提供するが、一般に、実際の欠陥位置又は幾何学形状の物理的に意味のある表現を提供せず、解釈が困難となり得る。そのようなアプローチはまた、バーの半径の周りの各プローブ位置からの様々なBスキャン画像を、試験中のバーの内部又は表面下領域の単一の代表的な画像に組み合わせることを妨げ得る。
【0024】
図3Aは、
図2Bに示されるものと同様のビームを使用して0.5ミリメートル(mm)の中間壁平底穴(MWFBH)欠陥を走査することによって得られる、互いに隣り合って積み重ねられた、取得されたEスキャン画像を含む例解的な例を示す。
図3Bは、互いに隣り合って積み重ねられた取得されたEスキャン画像を含む例解的な例を示し、Eスキャン画像は、0.5mmの後壁平底穴(FBH)欠陥を走査することによって得られる。FBH欠陥は、矢印310、320によって示され、中間壁欠陥は、全てのビームがバーの中心を通過するため、実際の穴サイズよりも画像においてはるかに広く見える。
【0025】
既存アプローチが、再現性のために0.1mmオーダーの精度を必要とするなど、1つ以上の検査プローブに対するシステム内での検査された製品の正確な機械的位置決めを概して含むため、上記のアプローチは、信頼性又は再現性の課題を提示し得る。そのような制約は、関連する機械的バーの位置決め又は支持システムの複雑さ(及びコスト)を増加させる。そのような制約はまた、達成可能な検出能力を制限し得、又は生品バーは一般的に完全にまっすぐではないため、検査を全体的に妨げ得る。
図4は、
図3Aの同じ0.5mmのMWFBH欠陥を使用した別の取得を含む一例を示す図であるが、中央に配置された公称プローブ位置に対するプローブアセンブリの0.5mmの横方向の機械的オフセットを有し、欠陥の弱解決された詳細を示す。
【0026】
非常に弱い検出を示す0.5mmの横方向の機械的オフセットを伴う同じ0.5MWFBHの再検査を示す(例えば、欠陥はE-SCAN画像の上部にはもはやはっきりと見えない)。
【0027】
本明細書に説明される主題は、試験構造体の中心に合焦させることができるような大きなアパーチャ送信の使用によって、比較的高い生産性を可能にする。ボクセルベースの合焦は、受信モードにおいては、完全マトリックスキャプチャアプローチを必要とするのではなく、全合焦法(Total Focusing Method、TFM)アプローチと同様の様式でコヒーレント合計アプローチを使用する等の、受信した音響エコー信号を使用して処理された撮像のために使用され得る。本明細書に説明される技術は、ゾーン動的深度合焦(zDDF)アプローチと呼ばれ得る。大きなアパーチャ送信(例えば、「ゾーン」送信)は、バーの大部分に高周波音波を照射し、受信ビーム形成アプローチは、比較的高い焦点化(例えば、高いF値)電力で角度外にある欠陥を含む欠陥の検出を可能にするため、本明細書に示され、説明されるzDDFアプローチは、128要素プローブに対してわずか3個の送信イベントを使用する(例えば、64要素アパーチャを使用する)など、他のアプローチの検出性能(検出能力の点で)に匹敵するか、又はそれを上回ることができる。
【0028】
図5は、本明細書に説明される例による、ゾーン動的深度合焦(zDDF)アプローチを使用することができる適応型バー検査原理を含む例を示す。zDDFを、コヒーレント適応型合焦(CAF、場合によっては、表面適応型超音波と呼ばれる)と組み合わせることは、CAF技術によって作成された遅延を再利用して、バーに対して所定の位置に仮想プローブを形成することによって可能である。これは、バー表面に平行な音響波面に収束するCAF技術によって自然に達成することができる。一般に、バー検査システム(bar inspection system、BIS)検査プローブは、試験中のバー構造体と同心円状であるとされる(例えば、システムが十分に整列されているときに同心円状である)。仮想プローブを確立することは、検査プローブが試験中のバー構造体に同心円状でない場合があるシステムを可能にする。送受信ビーム形成遅延は、適応型zDDFアプローチを作成するために、CAFによって確立された遅延と組み合わせて適用され得る。
【0029】
具体的には、仮想プローブは、波面がバーに実質的に同心円状であるように、波面のCAF遅延補正を520で作成することによって生成され得る。これは、トランスデューサアレイに対するバーの公称外れ位置、同心度の欠如、又はバー形状の非円筒形の偏差、又はそれらの組み合わせを補償するトランスデューサ要素遅延係数を表すことができる。波面は、異なる送信アパーチャを使用してそれぞれの音響送信イベントを生成することによって生成される。本明細書に説明される様々な構成によれば、アパーチャは、電気音響トランスデューサのアレイに沿った対応するゾーンによって画定される。波面は、要素レベルの送信遅延を使用してアクティブアパーチャ(例えば、「ゾーン」)を介して530で送信され、所望の焦点位置及びCAF補償遅延を確立する。波面は、試験中のバー構造体内で540で伝播する。それぞれの音響エコー信号は、550で受信される。受信された要素レベルのAスキャンは、それぞれの受信要素に対応する作成されたCAF補償遅延を使用して、560で遅延される。実質的に中央に配置されたバーの公称zDDF送信遅延又は受信遅延(又はその両方)は、565で事前に計算されてもよい。これらの事前計算された遅延は、570でCAF補償遅延とともに合計され、580で適応型zDDF検査結果を作成し得る。
【0030】
図6は、本明細書に説明される例による、zDDFをコヒーレント適応型合焦(CAF)アプローチと組み合わせることができる検査構成の図を示す。プローブ602は、複数のトランスデューサ要素605-1~605-N1を有する。試験中のバー635と実質的に同心円状の波面を作成するために、複数のCAF遅延610-1~610-N2が決定され、公称外プローブ602の位置決め又は非円筒形バー635の形状(又はその両方)の補償を提供する。様々な構成によれば、遅延値のカウントは、トランスデューサ要素のカウントと同じである。他の例では、遅延値のカウントは、トランスデューサ要素の数と異なってもよい。遅延値のカウントは、プローブの寸法に依存し得る。例えば、遅延値は、バーに面するプローブの表面に沿った指定された位置で計算されてもよい。CAF遅延は、要素ごとなど、送信、及び受信Aスキャンの一方又は両方に適用されてもよい。CAF遅延は、撮像領域630内で送信及び受信合焦を確立するために、仮想プローブ位置620から生成された波面625と同等である波面を確立するために使用される。単一の波面625は、アパーチャ全体から送信することができ、アパーチャは、プローブ602の全体を包含する必要はない。単一の波面625は、CAF遅延を使用した補償が実行されるとき、バーと実質的に同心円状であってもよい。様々な構成によれば、取得は、CAF遅延が、実質的にバー635の中心にある送信焦点位置640を有するバーの前壁645プロファイルに対応して決定されるCAF補償を使用して実行され得る。走査されるバーのセクタにおける欠陥表現650が示される。様々な例によれば、焦点位置は、バーの中心以外の位置にある。様々な例によれば、焦点位置は、バーの中心以外の位置にある。この場合、同じCAF遅延を使用して、所望の位置で焦点位置を生成するために実際の遅延が追加される仮想プローブを作成してもよい。
【0031】
図7は、本明細書に説明される例による、試験中のバーに対する様々なプローブ位置について、CAFベースの技術を使用しないzDDFの結果を示す。この例では、バー構造体は、約60mmの直径を有し、欠陥750A、750Bは、約0.5mmのMWFBHである。いくつかの例によれば、画像の欠陥表示は、CAFが実行されず、バーが中央に配置されていないときに、弱められ、歪み、及び/又は完全に無しである。これは、横方向のミスアライメント(例えば、y方向)があるときに特に顕著である。中央に配置されたバーの欠陥750Aは、横方向にミスアライメントしたバーの欠陥750Bよりも容易に明らかである。欠陥エコーは、中央に配置されたバーと比較して、z方向でも弱くなる。
【0032】
図8は、
図7と同じ条件での適応型(例えば、CAF強化された)zDDFの結果の例解的な例を示しているが、機械的ミスアライメント(+/-1mm y)の存在下でも0.5MWFBHの強力な検出を示している。この例は、1回のCAF反復の後に示されている。zDDFは、空間内のボクセル位置に基づいて処理されるため(例えば、検査結果は、結果のバー内の位置に基づいて作成される)、トゥルーツージオメトリ(true-to-geometry)撮像を生成することができる。この例では、欠陥850A、850Bは、バーがミスアライメントしている場合でも容易に明らかである。
【0033】
図9は、zDDFアプローチを使用して取得された複数の画像の集約を示す。一例では、検査結果910、920、930は、処理要件を低減し、全ての(又はプローブ取得の特定のサブセット)の結果をバーの内部領域の表現を示すわずか単一の画像フレームに重ね合わせることを可能にするなど、検査のための指定された関連領域でのみ作成及び撮像することができる。結果は、組み合わせられた結果940によって示されるように、2つ以上の個々の領域結果を最大で組み合わせることによって組み合わせることができる。この例は3つのzDDF結果を示すが、2つ以上のzDDF結果を組み合わせて意味のある画像を作成することができることを理解されたい。
【0034】
図10は、検査結果のセクタベースのzDDF画像の例解的な例を示す。この例では、複数の要素を有するプローブ1002は、試験構造体1010のセクタ1020の検査を提供するために使用されるように構成されている。場合によっては、検査結果は、試験構造体の複数のセクタについて提供されてもよい。セクタの少なくとも一部が他の結果セクタと重複し得ることを理解されたい。場合によっては、結果セクタのいずれも重複しないように構成される。
【0035】
一般に、適応型zDDF技術によって提供される適応型音響の利点を得る一方で、所望の検査の生産性に到達するために、検査アパーチャ発射は、CAF遅延決定プロセスと組み合わせることができる。このような組み合わせを実行するために、バーの表面に平行な波面を確立するなど、実際のzDDF検査及びCAF発射のための共通のパラメータが使用される。
図11は、適応型zDDFアプローチを示す図を全体的に示す。この例では、システムは、試験中のバー又は検査中の他の構造体の長手方向軸に沿って複数の走査位置を反復的に循環する。各走査位置は、スキャンを実施するために複数のアパーチャを使用することができる。この例では、複数の送信アパーチャ(例えば、ゾーン)が走査位置p-11110で使用され、複数のアパーチャが走査位置p1120で使用され、複数のアパーチャが走査位置p+11130で使用される。各走査位置及び各アパーチャについて、構造体中心に焦点を当てた1122で撮影された広いアパーチャが、1126でのCAF遅延計算及び1124でのzDDF撮像に使用される。1126におけるCAF遅延計算は、後続の走査位置、例えば、p+11130での取得又は撮像に使用され得る。
【0036】
図12の例では、独立したCAF反復決定プロセスをプローブ全体に適用することができる(例えば、フロントエンドがプローブ全体の取得を一度にサポートしていない場合、疎(スパース)放出及び受信を使用する)。プローブの要素は、プローブ全体に遅延を提供するように多重化されてもよい。多重化を使用するとき、遅延は、次いで、各々の個々の要素(元の発射に含まれないものを含む)に補間されてもよい。1205でのCAF反復プロセスは、試験中の構造体に対する公称外のプローブ位置を補償する遅延係数を作成することができ、次いで、これを使用して、少なくとも1つのアパーチャに対してzDDF撮像を1210で実行することができる。このようなアプローチはまた、1220で確立され得るせん断波(SW)PAUTビーム形成遅延にCAF遅延を適用することによって、適応型せん断波検査を可能にする。
図12の技術は、1回のCAF反復のみが使用される場合、
図11で使用される技術とほぼ同じ速さであり得、比較的大きな機械的ミスアライメント(例えば、検査中の機械的ミスアライメントに対するBISの感度を低下させる)に適応することによって、バー検査の値を提供することができる。
【0037】
図13は、
図12で使用される技術が有用であり得る一例を示す。この例では、実際のプローブ1302及び構造体1330の機械的なミスアライメントは、SW励起のために確立されたビーム形成遅延の上に1315のCAF遅延を適用することによって補償される。そのような補償は、せん断波励起を提供し、仮想プローブ1305に対応するプローブ位置と同等のものを受信するなど、ミスアライメントを補正することができる。複数の要素を包含する1つ以上の送信アパーチャ及び/又はゾーン1320を使用することができる。
【0038】
図14Aは、基本サブアパーチャ上の反復によるCAF収束を示す。サブアパーチャは、1つ以上の要素を含み得る。この例では、サブアパーチャは、2つの要素を含む。ここに示される10回の反復では、完全な収束は達成されない。対照的に、
図14Bは、合計されたサブアパーチャ上の反復CAFによるCAF収束を示す。観察できるように、実質的な収束は、第2の反復によって達成され、
図14Aで使用されたものよりもはるかに速いプロセスをもたらす可能性が高い。
図14A及び
図14Bの例は、z方向に約1mmオフセットした10mm試験バーを使用する。
【0039】
図15は、
図14Bに説明されるように、合計されたサブアパーチャを使用して実行されるCAFのための例示的な要素プローブ設定を示す。具体的には、
図15は、マルチプレクサを使用して、64チャネルシステムを128要素プローブの少なくともいくつかの要素に接続することができる方法の例である。この構成を使用し、受信のペア要素を合計することによって、CAFが
図14Bの単一の反復で収束することが示された。低い(例えば、単一の)反復回数を収束させることができるシステムを使用することは、多くの反復の後にのみ収束する反復プロセスと比較して、結果の時間を大幅に短縮する。
【0040】
図16は、本明細書に説明される例による、SW励起スキームを使用して生成された超音波ビームを示す。プローブ1620は、構造体1610を試験するために使用される。この例では、プローブ1620のアクティブアパーチャ1630は、40度の屈折角ビーム1640を有する16の要素を含む。この例の試験構造体は、直径20mmのバーであり、焦点はバーの後壁にある。
【0041】
図17は、試験中のバーの周りの半径方向の様々な表面欠陥位置のカバレッジを達成するための異なるアクティブアパーチャ位置の使用を示す。様々なビーム1705は、プローブ上のアクティブアパーチャ1630の位置を変更することに対応する。この例では、欠陥は、バー内の3つの位置の、深さ約0.1mm、長さ約6.4mmの長手方向の表面ノッチである。走査位置は、y及びz方向の-1mm、-0.5mm、0、0.5mm、及び1mmである。
【0042】
図18~
図20は、例示的な欠陥位置における欠陥に対応する基準振幅に対するバー位置決めオフセットの影響のシミュレーション結果を示す。観察できるように、欠陥表示1805は、実質的に中央に配置されたバーを有する標準モードにおいて容易に明らかである。この例では、欠陥表示は、SW標準モードのより大きなオフセットのいくつかにおいては存在しない、及び/又ははるかに見えにくい。例えば、標準モードで+1mmのyオフセットの場合、欠陥表示1815は、はるかに見えにくい。対照的に、+1mmのyオフセットの場合、CAFモードの欠陥表示1825は、容易に観察される。
図18の例では、CAFモードの場合、y=0.5mmで2dBを超える欠陥振幅が低下したが、欠陥1805は、補正されたモード及びCAFモードの全てのオフセットに対して依然として見える。
【0043】
図19は、本明細書に説明される例による、適応型超音波検査を実行するために使用することができるような、マシン実装方法などの技術を示す。ブロック1902において、ルーチン1900は、異なる送信アパーチャを使用してそれぞれの音響送信イベントを生成し、アパーチャは、アレイに沿った対応するゾーンによって画定され、ゾーンは、複数の電気音響トランスデューサ要素を含む。様々な実施態様によれば、少なくとも3つの音響送信イベントは、異なるゾーンに対応する異なる送信アパーチャを使用して生成される。ゾーンのうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的に重複してももよい。場合によっては、全てのゾーンが区別され、重複しない。
【0044】
ブロック1904において、それぞれの音響送信イベントに応答するルーチン1900は、電気音響トランスデューサ要素のうちの受信するものを使用して、それぞれの音響エコー信号を受信し、受信した音響エコー信号のグループを形成する。グループは、それぞれの送信ゾーン及び受信要素のそれぞれ1つを含む送受信ペアによってインデックス付けされる。
【0045】
ブロック1906において、ルーチン1900は、それぞれの受信した音響エコー信号の表現をコヒーレントに合計することを含む。表現は、それぞれの送受信ペアに対応する。それぞれの受信した音響エコー信号の表現は、Aスキャン表現を含んでもよい。コヒーレントに合計することは、検査される構造体の表面の公称形状に垂直なビームを近似するために、決定された公称要素遅延係数をそれぞれの表現に適用することを含む。それぞれの遅延係数補正は、反復技術を使用して決定され得る。例えば、反復技術は、2つ以上の電気音響トランスデューサ要素を含むそれぞれのアパーチャを使用して、それぞれの遅延係数を決定することを含んでもよい。様々な実施形態によれば、それぞれの遅延係数は、単一の反復を使用して決定される。それぞれの遅延係数補正は、公称形状、又は電気音響トランスデューサのアレイに対する構造体の表面の公称アライメントからの変動を補償するために、適用される。
【0046】
ブロック1908において、ルーチン1900は、コヒーレントに合計された表現を使用して、検査される構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値を生成する。様々な例によれば、画素値又はボクセル値を生成することは、それぞれのコヒーレント合計を使用して複数の空間位置の画像を生成することを含み、それぞれのコヒーレント合計は、決定された公称要素遅延係数を適用することと、それぞれの遅延係数補正を適用することと、を含む。
【0047】
本明細書に説明される様々な例によれば、試験中の構造体はバーである。画像は、バーの体積内のセクタを表し得る。バーの体積内の異なるセクタの別の画像を生成するために、別の取得が実行され、受信した音響エコー信号の別のグループを形成し得る。場合によっては、グループは、それぞれの送信ゾーン及び受信要素のそれぞれ1つを含む送受信ペアによってインデックス付けされる。別の取得を実行することは、アレイ又は試験中の構造体を再配置して、アレイによって試験中の構造体の表面の異なる部分への高周波音波照射を可能にすることを含み得る。別の取得を実行することは、試験中の構造体の表面の異なる部分に高周波音波を照射するように構成された第2のアレイを使用することを含み得る。
【0048】
本明細書に説明される様々な例によれば、音響送信イベントは、試験中の構造体の表面を撮像するためのせん断波を励起するために生成される。試験中の構造体の表面を撮像することは、それぞれの受信した音響エコー信号の表現をコヒーレントに合計することと、検査される構造体の表面の公称形状に垂直な仮想プローブを近似するために、決定された公称要素遅延係数をそれぞれの表現に適用することと、公称形状、又は電気音響トランスデューサのアレイに対する構造体の表面の公称アライメントからの変動を補償するために、それぞれの遅延係数補正を適用することと、を含む。検査される構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値が、コヒーレントに合計された表現を使用して生成され得る。
【0049】
図20は、本明細書で考察される技術(例えば、方法論)のうちのいずれか1つ以上が実行され得るマシン2000を備える一例のブロック図を示す。様々な実施例では、マシン2000は、スタンドアロンデバイスとして動作し得る、又は他のマシンに接続(例えば、ネットワーク化)され得る。ネットワーク化された展開では、マシン2000は、サーバ-クライアントネットワーク環境において、サーバマシン、クライアントマシン、又はその両方として動作し得る。一例では、マシン2000は、ピアツーピア(peer-to-peer、P2P)(又は他の分散型)ネットワーク環境でピアマシンとして機能し得る。マシン2000は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットデバイス、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又はそのマシンによって取られるべきアクションを指定する命令を(逐次的又は別様に)実行することができる任意のマシンであり得る。更に、単一のマシンのみが示されるが、「マシン」という用語は、クラウドコンピューティング、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)、他のコンピュータクラスタ構成など、本明細書で考察される方法論のうちのいずれか1つ以上を行うために、命令のセット(又は複数のセット)を個別に又は共同で実行するマシンの任意の集合を含むものとする。
【0050】
本明細書に説明されるように、例は、論理若しくはいくつかの構成要素、若しくは機構を含み得るか、又はそれらによって動作し得る。電気回路構成は、ハードウェア(例えば、単純回路、ゲート、ロジックなど)を含む有形のエンティティに実装される回路の集合である。電気回路構成メンバーシップは、時間の経過及び根本的なハードウェアのばらつきに応じて柔軟になり得る。回路には、単独又は組み合わせて、動作時に指定された動作を行うことができる部材が含まれる。一例では、電気回路構成のハードウェアは、特定の動作(例えば、ハードワイヤー)を実行するように不変に設計され得る。一例では、電気回路構成を備えるハードウェアは、特定の動作の命令を符号化するために、物理的に変更された(例えば、磁気的に、電気的に、例えば、物理的状態の変化又は別の物理的特性の変換などを介して)コンピュータ可読媒体を含む、可変接続された物理的構成要素(例えば、実行ユニット、トランジスタ、単純回路など)を含み得る。物理的構成要素を接続する際に、ハードウェア構成要素の根本的な電気的特性は、例えば、絶縁特性から導電特性に、又はその逆に変更され得る。命令は、組み込みハードウェア(例えば、実行ユニット又はロード機構)が、動作中に特定の動作の一部分を実行するために可変接続を介してハードウェアの電気回路構成の部材を作成することを可能にする。したがって、コンピュータ可読媒体は、デバイスが動作しているとき、電気回路構成の他の構成要素に通信可能に結合される。一例では、物理的構成要素のいずれも、2つ以上の回路の2つ以上の部材で使用されてもよい。例えば、動作下では、実行ユニットは、ある時点で第1の電気回路構成の第1の回路で使用され得、第1の電気回路構成における第2の回路によって、又は異なる時間に第2の電気回路構成の第3の回路によって再使用され得る。
【0051】
マシン(例えば、コンピュータシステム)2000は、ハードウェアプロセッサ2002(例えば、中央処理装置(central processing unit、CPU)、グラフィック処理装置(graphics processing unit、GPU)、ハードウェアプロセッサコア、又はそれらの任意の組み合わせ)、メインメモリ2004、及び静的メモリ2006を含み得、それらの一部又は全ては、インターリンク(例えば、バス)2030を介して互いに通信され得る。マシン2000は、ディスプレイユニット2010、英数字入力デバイス2012(例えば、キーボード)、及びユーザインターフェース(UI)ナビゲーションデバイス2014(例えば、マウス)を更に含み得る。一例では、ディスプレイユニット2010、入力デバイス2012、及びUIナビゲーションデバイス2014は、タッチスクリーンディスプレイであり得る。マシン2200は、記憶デバイス(例えば、駆動ユニット)2008、信号生成デバイス2018(例えば、スピーカ)、ネットワークインターフェースデバイス2020、及びグローバルポジショニングシステム(global positioning system、GPS)センサ、コンパス、加速度計、又は他のセンサなどの1つ以上のセンサ2016を更に含み得る。マシン2000は、1つ以上の周辺デバイス(例えば、プリンタ、カードリーダなど)を通信又は制御するための、シリアル(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、並列、又は他の有線若しくは無線(例えば、赤外線(IR)、近距離通信(NFC)など)接続などの出力コントローラ2028を含み得る。
【0052】
記憶装置2008は、本明細書に記載される技術又は機能のいずれか1つ以上を具現化するか、又はそれによって利用されるデータ構造又は命令2024(例えば、ソフトウェア)の1つ以上のセットが記憶されたマシン可読媒体2022を含んでもよい。命令2024はまた、マシン2000によるその実行中に、メインメモリ2004内、静的メモリ2006内、又はハードウェアプロセッサ2002内に完全に又は少なくとも部分的に存在し得る。一例では、ハードウェアプロセッサ2002、メインメモリ2004、静的メモリ2006、又は記憶装置2008の1つ又は任意の組み合わせが、マシン可読媒体を構成してもよい。
【0053】
マシン可読媒体2022は単一の媒体として図示されるが、「マシン可読媒体」という用語は、1つ以上の命令2024を記憶するように構成された単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型又は分散型データベース、及び/又は関連付けられたキャッシュ及びサーバ)を含んでもよい。
【0054】
「マシン可読媒体」という用語は、マシン2000による実行のための命令を記憶、符号化、又は保持することができ、マシン2000に本開示の技術のいずれか1つ以上を実行させることができる、又はそのような命令によって使用されるか、又はそのような命令に関連付けられたデータ構造を記憶、符号化、又は保持することができる任意の媒体を含み得る。非限定的なマシン可読媒体の例は、ソリッドステートメモリ、並びに光学媒体及び磁気媒体を含み得る。したがって、マシン可読媒体は、一時的な伝播信号ではない。密集マシン可読媒体の具体例は、半導体メモリデバイス(例えば、電気的プログラム可能読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラム可能読み取り専用メモリ(EEPROM))及びフラッシュメモリデバイスなどの不揮発性メモリ、磁気又は他の位相変化又は状態変化メモリ回路、内部ハードディスク及びリムーバブルディスクなどの磁気ディスク、磁気光ディスク、並びにCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含み得る。
【0055】
命令2024は、いくつかの転送プロトコル(例えば、フレームリレー、インターネットプロトコル(IP)、伝送制御プロトコル(TCP)、ユーザデータグラムプロトコル(UDP)、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)など)のうちのいずれか1つを利用して、ネットワークインターフェースデバイス2020を介して伝送媒体を使用して通信ネットワーク2026上で更に送信又は受信され得る。例示的な通信ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、パケットデータネットワーク(例えば、インターネット)、携帯電話ネットワーク(例えば、4G規格又はロングタームエボリューション(LTE)などの1つ以上の規格に準拠するようなセルラネットワーク)、従来型電話サービス(POTS)ネットワーク、及び無線データネットワーク(例えば、とりわけ、Wi-Fi(登録商標)、IEEE802.15.4規格ファミリー、ピアツーピア(P2P)ネットワークなどとして知られる規格の米国電気電子学会(IEEE)802.11ファミリー)を含んでよい。一例では、ネットワークインターフェースデバイス2020は、通信ネットワーク2026に接続するための1つ以上の物理的ジャック(例えば、イーサネット、同軸、又は電話ジャック)又は1つ以上のアンテナを含んでもよい。一例では、ネットワークインターフェースデバイス2020は、単一入力多重出力(SIMO)、多重入力多重出力(MIMO)、又は多重入力単一出力(MISO)技術のうちの少なくとも1つを使用して無線通信する複数のアンテナを含んでもよい。「伝送媒体」という用語は、マシン2000による実行のための命令を記憶、符号化又は保持することが可能な任意の無形の媒体を含み、そのようなソフトウェアの通信を容易にするためのデジタル又はアナログ通信信号又は他の無形の媒体を含むものと理解されなければならない。
【0056】
様々なメモ
上記の非限定的な態様の各々は、単独で成立し得るか、又は本明細書に説明される他の態様若しくは他の主題のうちの1つ以上との様々な順列若しくは組み合わせで組み合わされ得る。
【0057】
上記の詳細な説明は、詳細な説明の一部を形成する添付の図面への参照を含む。図面は、例解として、本発明を実施することができる特定の実施形態を示す。これらの実施形態は、一般に「実施例」とも呼ばれる。そのような例は、図示又は説明されるものに加えて要素を含み得る。しかしながら、本発明者らは、図示又は説明される要素のみが提供される実施例も企図する。更に、本発明者らは、特定の例(若しくはその1つ以上の態様)に関して、又は本明細書に図示若しくは説明される他の例(若しくはその1つ以上の態様)に関して、図示又は説明されるそれらの要素(又はその1つ以上の態様)の任意の組み合わせ又は順列を使用する例も企図する。
【0058】
本文書と、このように参照により組み込まれた任意の文書との間で使用法が矛盾する場合、本文書の使用法が優先する。
【0059】
本文書において、「a」又は「an」という用語は、特許文献において一般的であるように、「少なくとも1つ」又は「1つ以上」の任意の他の事例又は使用法とは無関係に、1つ以上を含むように使用される。本文書において、「又は」という用語は、別段の指示がない限り、「A又はB」が「AであるがBではない」、「BであるがAではない」、及び「A及びB」を含むように、非排他的論理和を指すために使用される。本文書において、「含む(including)」及び「それに(in which)」という用語は、それぞれの「備える(comprising)」及び「そこで(wherein)」という用語の平易な英語の均等物として使用される。また、特許請求の範囲において、「含む(including)」及び「備える(comprising)」という用語は、限定されておらず、すなわち、特許請求項のそのような用語の後に列挙される要素に加えて要素を含むシステム、デバイス、物品、組成物、製剤、又はプロセスは、依然として、その特許請求項の範囲内にあるとみなされる。更に、特許請求の範囲では、「第1」、「第2」、及び「第3」という用語などは、単にラベルとして使用され、それらの目的語に数値的要件を課すことを意図するものではない。
【0060】
本明細書に説明される方法の実施例は、少なくとも一部がマシン又はコンピュータによって実装することができる。いくつかの例は、電子デバイスを構成して上記の例で説明される方法を行うように動作可能な命令で符号化されたコンピュータ可読媒体又はマシン可読媒体を含むことができる。そのような方法の実装態様は、マイクロコード、アセンブリ言語コード、より高レベルの言語コードなどのコードを含むことができる。そのようなコードは、様々な方法を実行するためのコンピュータ可読命令を含むことができる。コードは、コンピュータプログラム製品の部分を形成し得る。更に、実施例では、コードは、実行中又は他の時間など、1つ以上の揮発性、非一過性、又は不揮発性の有形コンピュータ可読媒体に明白に記憶させることができる。これらの有形のコンピュータ可読媒体の例としては、ハードディスク、リムーバブル磁気ディスク、リムーバブル光ディスク(例えば、コンパクトディスク及びデジタルビデオディスク)、磁気カセット、メモリカード又はスティック、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)などを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0061】
上記の説明は、例解的であり、限定的ではないことが意図される。例えば、上で説明される例(又はその1つ以上の態様)は、互いに組み合わせて使用され得る。他の実施形態を使用することができ、例えば、上記の説明を見直す際に当業者によって使用することができる。要約書は、読者が技術開示の性質を迅速に確認することを可能にするように提供される。特許請求の範囲の範囲又は意味を解釈又は限定するために使用されないことを理解して提出される。また、上記の詳細な説明では、様々な特徴を一緒にグループ化して、本開示を合理化することができる。これは、請求されていない開示された特徴が任意の特許請求項に不可欠であることを意図するものと解釈されるべきではない。むしろ、本発明の主題は、特定の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ない特徴にあり得る。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気音響トランスデューサのアレイを使用してターゲットの音響評価を行うためのマシン実装方法であって、前記マシン実装方法は、
異なる送信アパーチャを使用してそれぞれの音響送信イベントを生成することであって、前記送信アパーチャは、前記アレイに沿った対応するゾーンによって画定され、前記ゾーンは、複数の電気音響トランスデューサ要素を含む、生成することと、
前記それぞれの音響送信イベントに応答して、前記電気音響トランスデューサ要素のうちの受信するものを使用して、それぞれの音響エコー信号を受信して、受信した音響エコー信号のグループを形成することであって、前記グループは、それぞれの送信ゾーン及び受信要素のそれぞれ1つを含む送受信ペアによってインデックス付けされる、形成することと、
受信した前記音響エコー信号の表現それぞれをコヒーレントに合計することであって、前記表現は、前記送受信ペアそれぞれに対応し、前記コヒーレントに合計することは、検査される構造体の表面の公称形状に垂直な仮想プローブを近似するために、決定された公称要素遅延係数を前記表現それぞれに適用することと、前記公称形状、又は前記電気音響トランスデューサのアレイに対する前記構造体の前記表面の公称アライメントからの変動を補償するために、それぞれの遅延係数補正を適用することと、を含む、合計することと、
前記コヒーレントに合計された表現を使用して、前記検査される構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値を生成することと、
を含む、マシン実装方法。
【請求項2】
前記それぞれの音響送信イベントを生成することは、異なるゾーンに対応する異なる送信アパーチャを使用して少なくとも3つの音響送信イベントを生成することを含む、請求項1に記載のマシン実装方法。
【請求項3】
前記ゾーンが部分的に重複する、請求項2に記載のマシン実装方法。
【請求項4】
単一の反復を使用して前記それぞれの遅延係数補正を決定することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のマシン実装方法。
【請求項5】
2つ以上の電気音響トランスデューサ要素を含むそれぞれのアパーチャを使用して、それぞれの遅延係数を決定することを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のマシン実装方法。
【請求項6】
前記それぞれの受信した音響エコー信号の前記表現が、Aスキャン表現を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のマシン実装方法。
【請求項7】
前記検査される構造体上又は前記構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値を生成することは、それぞれのコヒーレント合計を使用して複数の空間位置の画像を生成することを含み、前記それぞれのコヒーレント合計は、前記決定された公称要素遅延係数を適用することと、前記それぞれの遅延係数補正を適用することと、を含む、請求項6に記載のマシン実装方法。
【請求項8】
試験中の前記構造体は、バーである、請求項7に記載のマシン実装方法。
【請求項9】
前記画像は、前記バーの体積内のセクタを表す、請求項8に記載のマシン実装方法。
【請求項10】
前記バーの前記体積内の異なるセクタの別の画像を生成するために、別の取得を実行して、受信した音響エコー信号の別のグループを形成することを含み、前記グループは、前記それぞれの送信ゾーン及び前記受信要素のそれぞれ1つを含む送受信ペアによってインデックス付けされる、請求項9に記載のマシン実装方法。
【請求項11】
前記別の取得を実行することは、前記アレイ又は試験中の前記構造体を再配置して、前記アレイによって試験中の前記構造体の表面の異なる部分への高周波音波照射を可能にすることを含む、請求項10に記載のマシン実装方法。
【請求項12】
前記別の取得を実行することは、試験中の前記構造体の表面の異なる部分に高周波音波を照射するように構成された第2のアレイを使用することを含む、請求項10に記載のマシン実装方法。
【請求項13】
試験中の前記構造体の表面を撮像するためのせん断波を励起するために、音響送信イベントを生成することであって、
試験中の前記構造体の前記表面を撮像することは、それぞれの受信した音響エコー信号の表現をコヒーレントに合計することと、前記検査される構造体の前記表面の前記公称形状に垂直なビームを近似するために、前記決定された公称要素遅延係数を前記それぞれの表現に適用することと、前記公称形状、又は前記電気音響トランスデューサのアレイに対する前記構造体の前記表面の前記公称アライメントからの変動を補償するために、それぞれの遅延係数補正を適用することと、を含む、生成することと、
前記コヒーレントに合計された表現を使用して、前記検査される構造体上の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値を生成することと、
を含む、請求項1~12のいずれかに記載のマシン実装方法。
【請求項14】
電気音響トランスデューサのアレイを使用してターゲットの音響評価を行うための超音波検査システムであって、前記超音波検査システムは、
電気音響トランスデューサ要素のアレイに結合された送受信回路を含むアナログフロントエンドと、
前記アナログフロントエンドと通信可能に結合されたプロセッサ回路と、
前記プロセッサ回路によって実行されると、前記システムに、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を含む、メモリ回路と、
を備える、超音波検査システム。
【請求項15】
電気音響トランスデューサのアレイを使用してターゲットの音響評価を行うための超音波検査システムであって、
異なる送信アパーチャを使用してそれぞれの音響送信イベントを生成するための手段であって、前記送信アパーチャは、前記アレイに沿った対応するゾーンによって画定され、前記ゾーンは、複数の電気音響トランスデューサ要素を含む、生成するための手段と、
前記音響送信イベントそれぞれに応答して、前記電気音響トランスデューサ要素のうちの受信するものを使用して、それぞれの音響エコー信号を受信して、受信した音響エコー信号のグループを形成するための手段であって、前記グループは、それぞれの送信ゾーン及び受信要素のそれぞれ1つを含む送受信ペアによってインデックス付けされる、形成するための手段と、
の受信した前記音響エコー信号それぞれの表現をコヒーレントに合計するための手段であって、前記表現は、前記送受信ペアそれぞれに対応し、前記コヒーレントに合計することは、検査される構造体の表面の公称形状に垂直なビームを近似するために、決定された公称要素遅延係数を前記表現それぞれに適用することと、前記公称形状、又は前記電気音響トランスデューサのアレイに対する前記構造体の前記表面の公称アライメントからの変動を補償するために、それぞれの遅延係数補正を適用することと、を含む、合計するための手段と、
前記コヒーレントに合計された表現を使用して、前記検査される構造体内の指定された空間位置に対応する画素値又はボクセル値を生成するための手段と、
を備える、超音波検査システム。
【国際調査報告】