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特表2024-515875大規模に共役可能ポリマーおよびタンパク質を合成するための方法および組成物
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  • 特表-大規模に共役可能ポリマーおよびタンパク質を合成するための方法および組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】大規模に共役可能ポリマーおよびタンパク質を合成するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C07K 1/04 20060101AFI20240403BHJP
   C12M 1/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C07K1/04 ZNA
C12M1/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566844
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 US2022072027
(87)【国際公開番号】W WO2022232846
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/182,176
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520407622
【氏名又は名称】リガンダル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワトソン、アンドレ
【テーマコード(参考)】
4B029
4H045
【Fターム(参考)】
4B029AA27
4B029BB15
4B029BB20
4H045AA20
4H045AA40
4H045FA33
4H045GA21
(57)【要約】
生物防御における高速解毒剤およびワクチンの適用、治療、診断、セラノスティクス、薄膜、多層化アセンブリ、バイオフィルム、センサー、薬物送達ビヒクル、遺伝子送達ビヒクル、遺伝子編集ビヒクル、段階的放出化合物、および同様のものを含む様々な目的で、大規模な量の共役可能ペプチド/ペプトイド/ポリマー/核酸および共役可能タンパク質、ならびに合成および非天然アミノ酸、糖ペプチド、プロテオグリカン、およびその他の分子修飾体からなる混成材料を、製造するための方法および組成物が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)反応流体を保持するための複数のリザーバーと、(ii)前記反応流体を反応チャンバーに輸送するためのコンジットと、ここで、前記反応チャンバーが固体支持体を有し、ポリマー生成物が前記固体支持体上で合成される、(iii)前記反応流体を前記反応チャンバーから使用済み試薬収集チャンバーに輸送するためのコンジットと、(iv)前記反応流体を前記使用済み試薬収集チャンバーから蒸留構成要素に輸送するためのコンジットと、ここで、前記蒸留構成要素が加熱要素を有する、(v)リサイクル済み試薬収集チャンバーとを備える、共役可能ポリマーを発生させるための装置。
【請求項2】
反応流体を保持するための複数のリザーバーを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
第1のリザーバーを含み、前記第1のリザーバーが、アミノ酸を含む第1の反応流体を保持する、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1の反応流体を前記第1のリザーバーから、アミノ酸鎖を結合するための支持体を有する第1の反応槽に輸送するための第1のコンジットをさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記アミノ酸鎖が、所望のアミノ酸を含む反応流体を前記反応チャンバーに逐次添加することによって形成される、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
反応流体を保持するための複数のリザーバーを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記反応流体が、核酸、ロック核酸(LNA)、またはモルホリノを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記反応混合物がカップリング試薬を含む、請求項6または請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記カップリング試薬が、アルミニウムカップリング試薬、例えばO-(1H-6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、またはO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TATU)である、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記カップリング試薬が、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、(7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBrOP)、BOP-Cl、O-[(エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ]-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TOTU)、C1219P(COMU)、O-(N-スクシンイミジル)-1,1,3,3-テトラメチル-ウロニウムテトラフルオロボレート(TSTU)、O-(5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TNTU)、O-(1,2-ジヒドロ-2-オキソ-1-ピリジル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)、N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン-3-イル)ウラニウムテトラフルオロボレート(TDBTU)、N,N,N’N’-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート(TSTU)、2-(5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TNTU)、2-(2-ピリドン-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)、3-(ジエチルホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン(DEPBT)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、またはN,N,N’,N’-テトラメチルクロロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(TCFH)である、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記反応流体を、固体支持体を有する反応チャンバーに輸送するためのコンジットを備える、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記支持体が樹脂を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記支持体が、例えば金、金ナノ粒子、その他のプラズモン表面、および支持体基材からの分離を必要とせずに様々なバイオセンサーに導入され得るその他のチップ系センサー技術を含む、異なる基材である、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記反応流体を前記反応チャンバーから使用済み試薬収集チャンバーに輸送するためのコンジットと、前記反応流体を前記使用済み試薬収集チャンバーから、加熱要素を有する蒸留構成要素に輸送するためのコンジットとを備える、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記加熱要素が、前記反応混合物中の前記試薬を将来の使用に向けて分離するために、指定された温度に前記蒸留構成要素を加熱する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記蒸留が、ジメチルホルムアミド(153℃の沸点)、N-メチルピペリジン(105℃の沸点)、ジクロロメタン(39.6℃の沸点)、クロロホルム(61.2℃の沸点)、アセトニトリル(82℃の沸点)、ヘキサフルオロ-2-プロパノール(58.2℃の沸点)、エーテル(35℃の沸点)、アセトン(56℃の沸点)、メタノール(65℃の沸点)、テトラヒドロフラン(66℃の沸点)、ヘキサン(69℃の沸点)、酢酸エチル(77℃の沸点)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(127℃の沸点)、ヒドラジン(114℃の沸点)、TFA(72.4℃の沸点)、ピラゾール-1-カルボキサミド(186~188℃の沸点)、または水(100℃の沸点)、トルエン(111℃の沸点)、ピリジン(115℃の沸点)、酢酸(118℃の沸点)、ジメチルスルホキシド(189℃の沸点)を、後続の再使用のために逐次または並列して1種以上の反応流体から分離する、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
インライン式精製構成要素をさらに備える、請求項1から16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記インライン式精製構成要素が、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)システムである、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記HPLCシステムが、複数のポンプおよび複数のバリアンスイッチを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
インライン式凍結乾燥構成要素をさらに備える、請求項1から19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記インライン式凍結乾燥構成要素が、様々な合成段階でポリマー生成物を凍結乾燥するのに使用される、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
ポリマーを、合成ステープルを使用して標的基材に連結することを含み、前記標的基材がタンパク質、合成生成物、核酸、またはバイオ製品である、前記ポリマーを大規模合成する方法。
【請求項23】
前記ポリマーが、ペプチド、ペプトイド、核酸、LNA、MNA、PNA、PEG、ポリ(β-アミノエステル)、糖、ダイマー、トリマー、およびオリゴマーからなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記合成ポリマーまたは前記標的基材が、アジド-アルケン環化付加、マレイミド、イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、NHSエステル、塩化スルホニル、トシレートエステル、アルデヒドおよびグリオキサル、エポキシドおよびオキシラン、カーボネート、アリール化、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、フルオロフェニルエステル、ヒドロキシメチルホスフィン誘導体、アミドグアニジン化、ハロアセチル、アルキルハロゲン化物、アジリジン、アクリロイル、ビニルスルホン、金属チオール、ジアゾアルカン、ジアゾアセチル、N,N’-カルボニルジイミダゾール、ヒドラジン、ヒドラジド、Schiff塩基形成、還元性アミノ化、アミノオキシ誘導体、Mannich縮合、ジアゾニウム、ヨウ素化、アリールアジド、ベンゾフェノン、アントラキノン、ジアゾ、ジアジリン、プソラレン、Diels-Alder、ボロン酸錯体形成、EDCカップリング、EDCおよびスルホ-NHC、CMC、DCC<DIC、Woordward試薬K、ホモ二官能性NHSエステル、ホモ二官能性イミドエステル、ホモ二官能性スルフィルヒドリル反応性架橋剤、二フルオロベンゼン、ホモ二官能性光反応性架橋剤、ホモ二官能性アルデヒド、BIS-エポキシド、ホモ二官能性ヒドラジド、BIS-ジアゾニウム、BIS-アルキルハロゲン化物、アミン反応性およびスルフィルヒドリル反応性架橋剤、カルボニル反応性およびスルフィルヒドリル反応性架橋剤、アミン反応性および光反応性架橋剤、スルフィルヒドリル反応性および光反応性架橋剤、カルボニル反応性および光反応性架橋剤、カルボキシレート反応性および光反応性架橋剤、アルギニン反応性および光反応性架橋剤、三官能性架橋剤、および同様のものを介して、表面に共役される、請求項22または請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2021年4月30日に出願された米国仮特許出願第63/182,176号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]現在利用可能なシステムは、遅く、費用のかかる合成プロセス;非効率的な規模拡大および精製;合成手段を介した、より長いアミノ酸配列を製造する難しさ;および組換え合成されたタンパク質を合成足場に繋ぐ難しさによって、制限される。これらの課題は、より長い配列合成の必要がある合成技術の不適合性、ならびにHis-タグ、スヌープ-タグ、スナップ-タグ、C-タグを越えて繋ぐための簡単な技法、非特異的反応性化学、および広範な基質材料への適用を制限するその他のメカニズムによる組換え技術の不適合性により、複雑になる。同様に、合成ペプチド化学は、非天然ポリマー組成物の構造および配列および構築および同様のものの調整を可能にするが;これらの合成ペプチドは、合成の制約、より長い配列の精製の難しさ、およびより大きいタンパク質の折畳み構造の再創出の難しさに起因して、サイズが制限される。
【0003】
[0003]閉ループ流体系の手法を含む、現行のペプチド合成手法は、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチルピロリドン、HCTU、HBTU、およびその他の溶媒/カップリング試薬を含む広範な廃棄生成物を発生させる。
【0004】
[0004]固相ペプチド合成(SPPS)で使用される典型的な溶媒は、合成の後に廃棄され、大量のDMFおよびN-メチルピペリジンの廃棄をもたらす。
【0005】
[0005]従来技術でのこれらの制約を克服するため、本開示は、1)大量の材料を生成するよう規模拡大するコストの課題を克服すること、および2)様々な基材に対し、柔軟な共役化学を維持しながら、大きいタンパク質構造を合成し適正に折り畳むことに必要な、いくつかの極めて重要な改革を提案する。
【発明の概要】
【0006】
[0006]本開示は、生物防御における高速解毒剤およびワクチンの適用、治療、診断、セラノスティクス、薄膜、多層化アセンブリ、バイオフィルム、センサー、薬物送達ビヒクル、遺伝子送達ビヒクル、遺伝子編集ビヒクル、段階的放出化合物、および同様のものを含む様々な目的で、大規模な量の共役可能ペプチド/ペプトイド/ポリマー/核酸および共役可能タンパク質、ならびに合成および非天然アミノ酸、糖ペプチド、プロテオグリカン、およびその他の分子修飾体からなる混成材料を、製造するための方法および組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】[0007]本開示によるペプチドロボットの1つの例示的な構成を示す設計概略図。左側に、出願人のペプチド合成ロボットと共に写真が示される。真ん中には、溶液収集槽のモックアップが示され、右側に、注釈付き蒸留カラムが示される。
図2】[0008]本開示による、装置の概略概観図および方法の概観図。
図3】[0009]本開示によるステープルペプチドおよび折畳みドメインを示す概略図。
図4】[0010]本開示による例示的なステープルペプチドの概略図および概説。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0011]本開示は、大規模な共役可能ポリマーおよびタンパク質合成のための方法および組成物に関する。ある特定の実施形態では、本開示は、大規模な共役可能ポリマーおよびタンパク質合成のための装置に関する。
【0009】
[0012]リサイクル装置および方法
一態様では、本開示は、(i)反応流体を保持するための複数のリザーバーと、(ii)反応流体を反応チャンバーに輸送するためのコンジットと、前記反応チャンバーが固体支持体を有し、ポリマー生成物が固体支持体上で合成される、(iii)反応流体を反応チャンバーから使用済み試薬収集チャンバーに輸送するためのコンジットと、(iv)反応流体を使用済み試薬収集チャンバーから蒸留構成要素に輸送するためのコンジットと、前記蒸留構成要素が加熱要素を有する、(v)リサイクル済み試薬収集チャンバーとを備える、共役可能ポリマーを発生させるための装置に関する。ある特定の実施形態では、本開示は、反応流体を保持するための複数のリザーバーを有する装置に関する。ある特定の実施形態では、装置は第1のリザーバーを含み、第1のリザーバーは、アミノ酸を含む第1の反応流体を保持する。装置は、第1の反応流体を第1のリザーバーから、アミノ酸鎖を結合するための支持体を有する第1の反応槽に輸送するための第1のコンジットをさらに備える。アミノ酸鎖は、所望のアミノ酸を含む反応流体を反応チャンバーに逐次添加することによって形成される。
【0010】
[0013]ある特定の態様では、本開示による装置は、反応流体を保持するための複数のリザーバーを備える。ある特定の実施形態では、反応流体は、核酸、ロック核酸(LNA)、またはモルホリノを含む。
【0011】
[0014]ある特定の実施形態では、反応混合物は、カップリング試薬を含む。一部の実施形態では、カップリング試薬は、アルミニウムカップリング試薬、例えばO-(1H-6-クロロベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HCTU)、2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、またはO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TATU)である。本開示での使用に適したカップリング試薬は、限定するものではないが(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(BOP)、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、(7-アザベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyAOP)、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBrOP)、BOP-Cl、O-[(エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ]-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TOTU)、C1219P(COMU)、O-(N-スクシンイミジル)-1,1,3,3-テトラメチル-ウロニウムテトラフルオロボレート(TSTU)、O-(5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TNTU)、O-(1,2-ジヒドロ-2-オキソ-1-ピリジル-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)、N,N,N’,N’-テトラメチル-O-(3,4-ジヒドロ-4-オキソ-1,2,3-ベンゾトリアジン-3-イル)ウラニウムテトラフルオロボレート(TDBTU)、N,N,N’N’-テトラメチル-O-(N-スクシンイミジル)ウロニウムテトラフルオロボレート(TSTU)、2-(5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TNTU)、2-(2-ピリドン-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)、3-(ジエチルホスホリルオキシ)-1,2,3-ベンゾトリアジン-4(3H)-オン(DEPBT)、カルボニルジイミダゾール(CDI)、N,N,N’,N’-テトラメチルクロロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート(TCFH)、および同様のものである。
【0012】
[0015]ある特定の態様では、本開示による装置は、反応流体を、固体支持体を有する反応チャンバーに輸送するためのコンジットを備える。ある特定の実施形態では、支持体は樹脂を含む。この支持体は、例えば金、金ナノ粒子、その他のプラズモン表面、および支持体基材からの分離を必要とせずに様々なバイオセンサーに導入され得るその他のチップ系センサー技術を含む、異なる基材であってもよい。
【0013】
[0016]ある特定の態様では、本開示による装置は、反応流体を反応チャンバーから使用済み試薬収集チャンバーに輸送するためのコンジットと、反応流体を使用済み試薬収集チャンバーから、加熱要素を有する蒸留構成要素に輸送するためのコンジットとを備える。ある特定の実施形態では、加熱要素は、反応混合物中の試薬を将来の使用に向けて分離するために、指定された温度に蒸留構成要素を加熱する。例えばこの蒸留プロセスは、ジメチルホルムアミド(153℃の沸点)、N-メチルピペリジン(105℃の沸点)、ジクロロメタン(39.6℃の沸点)、クロロホルム(61.2℃の沸点)、アセトニトリル(82℃の沸点)、ヘキサフルオロ-2-プロパノール(58.2℃の沸点)、エーテル(35℃の沸点)、アセトン(56℃の沸点)、メタノール(65℃の沸点)、テトラヒドロフラン(66℃の沸点)、ヘキサン(69℃の沸点)、酢酸エチル(77℃の沸点)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(127℃の沸点)、ヒドラジン(114℃の沸点)、TFA(72.4℃の沸点)、ピラゾール-1-カルボキサミド(186~188℃の沸点)、または水(100℃の沸点)、トルエン(111℃の沸点)、ピリジン(115℃の沸点)、酢酸(118℃の沸点)、ジメチルスルホキシド(189℃の沸点)、またはペプチド、ペプトイド、グリカン、プロテオグリカン、糖タンパク質、核酸、またはLNA/MNA/PNA合成のために当業者により使用可能であることが合理的に理解される別の反応溶媒を、後続の再使用のために逐次または並列して1種以上の反応流体から分離するために利用される。これらの流体は、リサイクル済み試薬収集チャンバーに保存されてもよく、または保存することなく後続の反応のため装置を通して循環させてもよい。
【0014】
[0017]ある特定の実施形態では、装置は、インライン式精製構成要素をさらに備える。インライン式精製構成要素は、例えば高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)システムであってもよい。ある特定の実施形態では、HPLCシステムは、複数のポンプおよび複数のバリアンスイッチを含む。ある特定の実施形態では、本開示は、断片的ペプチド合成(FPS)のための方法に関し、アミノ酸鎖は短い(例えば、30アミノ酸未満)セグメントで合成され、後続のアセンブリのためにさらに大きいアミノ酸生成物へと精製される。次いでアミノ酸鎖は、当技術分野で公知の伝統的な生体共役技法、例えばネイティブケミカルライゲーション(NCL)を使用して、より大きいアミノ酸生成物へと組み立てることができる。追加の実施形態は、インライン式液体クロマトグラフィー質量分析法(LCMS)構成要素または紫外線可視光(UV-vis)分光法構成要素を含む。
【0015】
[0018]ある特定の実施形態では、装置は、インライン式凍結乾燥構成要素をさらに備える。例えばインライン式凍結乾燥構成要素は、様々な合成段階でポリマー生成物を凍結乾燥するのに使用されてもよい。
【0016】
[0019]ステープルペプチド
ある特定の態様では、本開示は、合成「ステープル」を使用して標的に連結されたポリマー生成物を発生させるための組成物および方法に関する。ある特定の実施形態では、ポリマー生成物は、様々な表面および基質への簡単な連結のため合成ステープルによる組換えタンパク質合成を使用して発生した組換えタンパク質である(以後、「SYNTHPRO」)。
【0017】
[0020]本発明のペプチド合成手法は、配列増加におけるアミノ酸の数として複合誤差を導入し、理想的な質量分率を精製する難しさは、ペプチドが長くなるにつれて増大する。
【0018】
[0021]断片<30AA、または10AA程度に小さい断片を合成することにより、98~99%の純度に精製し次いでアセンブリを行うことが可能である。インライン式質量分光法、HPLC、FPLC、および同様のものは、高純度断片を急速に発生させ、次いでさらに大きい配列へと組み立てるのを可能にする。例示的な実施例として、>99%の純度の配列は、一緒に組み立てたときに約93%の純度をもたらしてもよく、その結果、<50%の純度をもたらす配列全体が作製される場合よりも、99%の純度に精製するのが容易な配列が得られる。
【0019】
[0022]本明細書で提供される、ある特定の実施形態では、組換えタンパク質合成は、標的基質へのタンパク質の連結を容易にする合成ステープルを使用して実現される。ある特定の実施形態では、標的基質はタンパク質、合成生成物、核酸、またはバイオ製品である。例えば図3を参照されたい。
【0020】
[0023]合成ペプチド、ペプトイド、核酸、LNA、MNA、PNA、PEG、ポリ(β-アミノエステル)、糖、ダイマー、トリマー、オリゴマー、およびその他の合成ポリマーの全範囲は、組換えタンパク質上の特定の配列を補完する「ステープル」技法で合成され、組み立てられ、または修飾されてもよく、次いで合成組換えまたは合成SYNTHPROは、アジド-アルケン環化付加、マレイミド、イソチオシアネート、イソシアネート、アシルアジド、NHSエステル、塩化スルホニル、トシレートエステル、アルデヒドおよびグリオキサル、エポキシドおよびオキシラン、カーボネート、アリール化、イミドエステル、カルボジイミド、無水物、フルオロフェニルエステル、ヒドロキシメチルホスフィン誘導体、アミドグアニジン化、ハロアセチル、アルキルハロゲン化物、アジリジン、アクリロイル、ビニルスルホン、金属チオール、ジアゾアルカン、ジアゾアセチル、N,N’-カルボニルジイミダゾール、ヒドラジン、ヒドラジド、Schiff塩基形成、還元性アミノ化、アミノオキシ誘導体、Mannich縮合、ジアゾニウム、ヨウ素化、アリールアジド、ベンゾフェノン、アントラキノン、ジアゾ、ジアジリン、プソラレン、Diels-Alder、ボロン酸錯体形成、EDCカップリング、EDCおよびスルホ-NHC、CMC、DCC<DIC、Woordward試薬K、ホモ二官能性NHSエステル、ホモ二官能性イミドエステル、ホモ二官能性スルフィルヒドリル反応性架橋剤、二フルオロベンゼン、ホモ二官能性光反応性架橋剤、ホモ二官能性アルデヒド、BIS-エポキシド、ホモ二官能性ヒドラジド、BIS-ジアゾニウム、BIS-アルキルハロゲン化物、アミン反応性およびスルフィルヒドリル反応性架橋剤、カルボニル反応性およびスルフィルヒドリル反応性架橋剤、アミン反応性および光反応性架橋剤、スルフィルヒドリル反応性および光反応性架橋剤、カルボニル反応性および光反応性架橋剤、カルボキシレート反応性および光反応性架橋剤、アルギニン反応性および光反応性架橋剤、三官能性架橋剤、および同様のものを介して様々な表面に、さらに共役されてもよい。
【0021】
[0024]その多くが組換え技術で可能ではないかまたは組換えタンパク質の配列の所与の部分に非特異的であるかのいずれかであるこれらの化学的性質は、組換えタンパク質との合成ステープルの組合せによって可能になる。
【0022】
[0025]ステープルは、脂肪族鎖、親水性鎖、静電的に反対の鎖、およびバルクタンパク質錯体に対する2つの特異的な相互作用モチーフに優先的に親和する水素結合またはファンデルワールス力を示すその他の鎖の相互作用を通してなど、相互作用するために、アビディティ発生および共有結合形成配列の組合せを可能にする。
【0023】
[0026]1つのそのような実施形態では、ECECECECECまたはEEECCCEEEEなどの配列は、RCRCRCRCまたはRRRCCCRRRR、および類似の配列と相互作用してもよく、それによって負および正電荷が、後でジスルフィド結合形成をもたらす優先的に親和的な相互作用を形成する。ある特定の実施形態では、鎖の1つまたは複数が合成である。これらの実施形態で、Lys-Bro-Cysteinおよびその他の共有結合手法などの代替の化学的性質が使用されてもよい。共有結合ならびに水素結合、疎水性相互作用、親水性相互作用、および静電的相互作用は、互いの親和性による2つの鎖の相互作用ならびに鎖同士の後続の反応を容易にするのに利用されてもよく、これらの相互作用は、互いにそれらの親和性において静電的である必要はなく、それによって2つの鎖のステープルは、一緒にライゲーションされた2つの配列の間で共有結合的にまたは酵素中間工程を通して生じてもよい。
【0024】
[0027]実施例1:ペプチド合成および試薬リサイクル法。
【0025】
概念の証明として、出願人は、アンギオテンシン変換酵素2(ACE2)に関する新規なコロナウイルススパイクタンパク質の結合親和性を試験するのに使用することができるペプチドを合成するために、本開示による装置および方法を利用することになる。試料成分を表1にまとめる。
【0026】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0027】
[0028]表1に列挙される下記の特許出願は、参照により本明細書に組み込まれる:PCT/US14/57000、PCT/US17/66541、PCT/US17/66545、PCT/US19/29000、およびPCT/US19/28004。
【0028】
[0029]本発明の実施例に関する結合親和性試験は、以下にまとめるように実行されることになる:
1.チップ上に問題の受容体を固定化し、関連ある未処理の生物学的なまたは公知の結合パートナーをチップ(即ち、支持体)上に流して結合を創出し、次いでペプチド、ペプトイド、または合成された結合剤をチップ上に流して、スパイクタンパク質の変位を測定する。
2.関連ある未処理の生物学的なまたは公知の結合パートナーをチップ上に固定化し、次いで対応する受容体または二次結合分析物をチップ上に流して飽和濃度にする。次いでペプチド、ペプトイド、または合成された結合剤を導入して、対応する受容体または二次結合分析物からの結合パートナーの変位を測定する。
3.関連ある未処理の生物学的または公知の結合パートナーをチップ上に固定化し、次いで各抗体をチップ上に流して飽和濃度にする。次いでペプチドを導入して、関連ある生物学的なまたは公知の結合パートナーからの抗体の変位を測定する。
4.関連ある未処理の生物学的なまたは公知の結合パートナーをチップ上に固定化し、次いで対応する受容体または二次結合分析物をチップ上に流して飽和濃度にする。次いで抗体をチップ上に流して、対応する受容体または二次結合分析物に対し、関連ある未処理の生物学的なまたは公知の結合パートナーの解離EC50を決定する。
5.関連ある未処理の生物学的なまたは公知の結合パートナーをチップ上に固定化し、次いで対応する受容体または二次結合分析物をチップ上に流して飽和濃度にする。次いでペプチド、ペプトイド、または合成された結合剤をチップ上に流して、関連ある未処理の生物学的なまたは公知の結合パートナーを変位させ、その後、抗体をチップ上に流して、対応する受容体または二次結合剤を一掃するペプチド、ペプトイド、または合成結合剤の後に、関連ある未処理の生物学的なまたは公知の結合パートナーに対して抗体の強化された結合を実証する。
6.各ペプチド、ペプトイド、または合成された結合剤をチップ上に固定化し、次いで対応する受容体または二次結合分析物をチップ上に流して飽和濃度にする。次いで関連ある未処理の生物学的なまたは公知の結合剤パートナーを導入し、チップからのペプチド、ペプトイド、または合成結合剤の変位を測定する。
[上記において、「抗体」は、所与の未処理の生物学的または公知の結合パートナーと競合する結合がある、三次または代替結合剤、あるいはその対応する受容体または二次結合分析物であってもよい。]
[0030]試験のための所与の化合物の合成後、出願人は、実験から試薬を精製しリサイクルするのに蒸留を利用することになる。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】