(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】金属箔、キャリア付き金属箔、銅張積層板及びプリント回路板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/03 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
H05K1/03 630H
H05K1/03 650
H05K1/03 610H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566916
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2023-10-30
(86)【国際出願番号】 CN2022095933
(87)【国際公開番号】W WO2022257800
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】202110634320.2
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521204482
【氏名又は名称】広州方邦電子股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】GUANGZHOU FANGBANG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.28, Dongzhi Road, Huangpu District Guangzhou,Guangdong 510530 China
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】高強
(72)【発明者】
【氏名】朱宇華
(72)【発明者】
【氏名】張美娟
(72)【発明者】
【氏名】張可
(72)【発明者】
【氏名】▲ショウ▼衛平
(72)【発明者】
【氏名】朱開輝
(72)【発明者】
【氏名】蘇陟
(57)【要約】
本発明は、金属箔、キャリア付き金属箔、銅張積層板及びプリント回路板を開示する。前記金属箔の一面には複数の突起が分布されており、前記突起は、前記突起における前記金属箔の前記一面に連結された下半分が規制部を有し、前記規制部の横断面の外接円の直径が前記金属箔の表皮深さよりも小さく、前記突起における前記規制部上の部位の表面積が前記突起の他の部位の表面積よりも大きい微視的な形態を有する。本発明の実施例によれば、金属箔の高周波信号の伝送損失を低減させるだけではなく、金属箔から製造されて形成された信号伝送回路と誘電体層の両者の間も優れた剥離強度を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路板用の金属箔であって、
前記金属箔の一面には複数の突起が分布されており、
前記突起は、前記突起における前記金属箔の前記一面に連結された下半分が規制部を有し、前記規制部の横断面の外接円の直径が前記金属箔の表皮深さよりも小さく、前記突起における前記規制部上の部位の表面積が前記突起の他の部位の表面積よりも大きい微視的な形態を有する、ことを特徴とする回路板用の金属箔。
【請求項2】
表皮深さδは、
であり、σは前記突起の材料の導電率であり、fは前記金属箔が信号伝送キャリアとする時の信号周波数であり、μは透磁率である、ことを特徴とする請求項1に記載の回路板用の金属箔。
【請求項3】
前記金属箔の前記一面に対する前記規制部の高さは2μm以下であり、前記金属箔の前記一面に対する前記突起の高さは4μm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の回路板用の金属箔。
【請求項4】
前記突起における前記規制部上の部位の縦方向長さと、前記突起の高さとの比率は1/2~5/6である、ことを特徴とする請求項1に記載の回路板用の金属箔。
【請求項5】
前記突起は樹木状、氷柱状又は雫状であることを特徴とする請求項1に記載の回路板用の金属箔。
【請求項6】
前記突起は、前記幹部は前記一面から外部に延在し前記規制部を有する幹部と、前記幹部における前記規制部上の部位の表面から外部に延在する枝部と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の回路板用の金属箔。
【請求項7】
前記幹部の材料成分は、前記金属箔の材料成分と同じである、ことを特徴とする請求項6に記載の回路板用の金属箔。
【請求項8】
前記幹部の材料成分は前記金属箔の材料成分と異なり、前記幹部の材料は、銅、ニッケル、亜鉛、クロム、アルミニウム、シリコン、アルミナ粒子、工業用ダイヤモンド粒子から選択される少なくとも1つである、ことを特徴とする請求項6に記載の回路板用の金属箔。
【請求項9】
前記一面において、少なくとも10%の前記突起が前記微視的な形態を有するか、又は、
前記一面において、少なくとも50%の前記突起が前記微視的な形態を有するか、又は、
前記一面において、少なくとも90%の前記突起が前記微視的な形態を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の回路板用の金属箔。
【請求項10】
前記信号周波数fは1Hz~100GHzである、ことを特徴とする請求項2に記載の回路板用の金属箔。
【請求項11】
前記金属箔は銅箔及び/又はアルミ箔を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の回路板用の金属箔。
【請求項12】
前記金属箔は、単層金属構造、又は少なくとも2層の単一層金属からなる多層金属構造である、ことを特徴とする請求項1に記載の回路板用の金属箔。
【請求項13】
キャリア層、及び請求項1~12の何れか1項に記載の回路板用の金属箔を含むキャリア付き金属箔であって、
前記キャリア層は、前記金属箔における前記一面と反対側の他面に剥離可能に設けられることを特徴とするキャリア付き金属箔。
【請求項14】
前記金属箔と前記キャリア層の両者が剥離可能に設けられるように、前記キャリア層と前記金属箔との間に位置する剥離層をさらに含む、ことを特徴とする請求項13に記載のキャリア付き金属箔。
【請求項15】
前記キャリア層と前記剥離層との間に設けられる第1粘着層をさらに含む、ことを特徴とする請求項14に記載のキャリア付き金属箔。
【請求項16】
前記第1粘着層は金属粘着層であり、
前記金属粘着層は、銅、亜鉛、ニッケル、鉄、マンガンのうちのいずれか1つ又は複数の材料から製造されるか、又は、銅又は亜鉛のうちの1つの材料、及びニッケル、鉄及びマンガンのうちの1つの材料から製造されることを特徴とする請求項15に記載のキャリア付き金属箔。
【請求項17】
前記金属箔における前記キャリア層に近接する面に設けられる第1酸化防止層をさらに含む、ことを特徴とする請求項13に記載のキャリア付き金属箔。
【請求項18】
前記第1酸化防止層の材質は、ニッケル、クロム、銅合金のうちの少なくとも1つである、ことを特徴とする請求項17に記載のキャリア付き金属箔。
【請求項19】
前記金属箔における前記キャリア層から離れた面に設けられる第2酸化防止層をさらに含む、ことを特徴とする請求項13に記載のキャリア付き金属箔。
【請求項20】
前記第2酸化防止層の材質は、ニッケル、クロム、亜鉛のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項19に記載のキャリア付き金属箔。
【請求項21】
請求項1~12の何れか1項に記載の金属箔又は請求項13~20の何れか1項に記載のキャリア付き金属箔を含むことを特徴とする銅張積層板。
【請求項22】
少なくとも1つの前記金属箔の前記一面に設けられる誘電体層をさらに含む、ことを特徴とする請求項21に記載の銅張積層板。
【請求項23】
前記誘電体層の材質は、ポリイミド、変性エポキシ樹脂、変性アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー、ポリパラバン酸、エポキシガラスクロス、BT樹脂から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項22に記載の銅張積層板。
【請求項24】
前記金属箔の前記一面に設けられる第2粘着層をさらに含む、ことを特徴とする請求項21に記載の銅張積層板。
【請求項25】
前記第2粘着層の材質は、ポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリアミド系、ゴム系又はアクリレート系熱可塑性樹脂、フェノール系、エポキシ系、熱可塑性ポリイミド、ウレタン系、メラミン系又はアルキド系熱硬化性樹脂、BT樹脂、ABF樹脂から選択される少なくとも1つであることを特徴とする請求項24に記載の銅張積層板。
【請求項26】
請求項1~12の何れか1項に記載の回路板用の金属箔、請求項13~20の何れか1項に記載のキャリア付き金属箔、又は請求項21~25の何れか1項に記載の銅張積層板を使用することで得られることを特徴とするプリント回路板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料の技術分野に関し、特に、金属箔、キャリア付き金属箔、銅張積層板及びプリント回路板に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント回路板(Printed circuit board、PCB)は電子機器に広く適用され、半導体電子デバイスの機能がどんどん高まるに連れて、電子機器における電子デバイスの集積度及びデータの伝送速度がますます高くなっている。このように、信号伝送キャリアとしてのプリント回路板の信号伝送回路の密集度もますます高くなっているため、信号伝送回路がますます細くなり、また、信号伝送回路の信号電流の周波数もますます高くなっている。従って、高周波信号の伝送効果は既にプリント回路板の性能の評価標準の1つになっている。プリント回路板の構造は、金属箔と、金属箔の間に粘着される誘電体層からなり、金属箔は、エッチングされた後、信号伝送のための信号伝送回路が形成され、誘電体層は主に絶縁作用を発揮する。金属箔は一般的に銅箔層であり、誘電体層は一般的に樹脂層であり、金属箔にエッチングされることで形成された信号伝送回路は、回路の表面によって樹脂層に結合される。
【0003】
プリント回路板における、信号に対する伝送損失の物理メカニズムは、プリント回路板の金属箔による導体損失、及び誘電体層による誘電体損失を含む。誘電体層による誘電体損失に対して特別な材質の樹脂層を選択することで、誘電体層の誘電体の損失を理想な程度に低減させる。従って、金属箔の導体損失は、プリント回路板信号の伝送損失の1つの主な要因になる。電磁表皮効果が信号周波数の上昇に連れて増加することは、導体損失の最も主な特性の1つである。その内在的原因は、高周波信号電流が伝送回路の金属表面のよりも薄い表層で流れることにある。信号の周波数が高いほど、電流が金属箔の信号伝送回路において流れる深さが浅くなる。回路板伝送線信号損失と金属表面粗さとの関係を研究する文献がたくさんあり、例えば、『Signal Transmission Loss due to Copper Surface Roughness in High―Frequency Region』という文献は、銅箔表面粗さによる信号損失を説明し、銅箔の表面粗さが低いほど、信号の損失も低くなると指摘する。従って、高周波信号の伝送は、金属表面の粗さができるだけ低いことを要求する。ところが、プリント回路板の集積度がどんどん増えるに連れて、プリント回路板の銅箔層に形成される信号伝送回路もますます細くなり、銅箔の信号伝送回路と誘電体層との間の結合面積も小さくなり、これによって、銅箔の信号伝送回路と誘電体層との間の結合力も小さくなるので、脱落して層間剥離しやすくなる。銅箔層と誘電体層との間の結合力は、プリント回路板の性能に影響する他の重要な要因である。なぜならば、銅箔層の信号伝送回路は、表面の粗さによって誘電体層と結合力を発生して樹脂層に付着されるためである。信号伝送回路がますます細くなることに連れて、当該点に関して、『Non―Classical Conductor Losses due to Copper Foil Roughness and Treatment』という文献において、銅箔と誘電体層との間の付着力は銅箔の粗さと関係があり、銅箔の粗さが大きいほど、プリント回路板の誘電体層との付着力が大きくなり、誘電体層との間の剥離強度が高くなると指摘する。従って、プリント回路板の高集積度による細かい信号伝送回路の傾向を考慮すると、号伝送回路と誘電体層との間の結合力を確保するために、銅箔の表面粗さが増えることを要求する。
【0004】
概して、高周波信号の伝送損失を低減させるために、従来技術は金属箔の粗さができるだけ小さいことを要求する一方、プリント回路板の高密度で細い回路の発展傾向を考慮すると、金属箔の粗さができるだけ大きいことを要求する。即ち、従来技術における金属箔の表面形態に対するこのような2つの要求は互いに矛盾し、金属箔の高周波信号の伝送損失、及び金属箔での高密度の信号伝送回路と誘電体層との間の剥離強度を両立させることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例は、金属箔の高周波信号の伝送損失を低減させるだけではなく、金属箔から製造されて形成された信号伝送回路と誘電体層の両者の間にも優れた剥離強度があり、両者が層間剥離して脱落しにくくなり、前記金属箔を使用して高密度で細い回路の高周波回路板を製造することを実現できるために、金属箔、キャリア付き金属箔、銅張積層板及びプリント回路板を提供することを少なくとも1つの目とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解决するために、本発明の実施例は、一面に複数の突起が分布され、
前記突起は、前記突起における前記金属箔の前記一面に連結された下半分が規制部を有し、前記規制部の横断面の外接円の直径が前記金属箔の表皮深さよりも小さく、前記突起における前記規制部上の部位の表面積が前記突起の他の部位の表面積よりも大きい微視的な形態を有する金属箔を提供する。
【0007】
上記解決策の改良として、表皮深さδは、
であり、σは前記突起の材料の導電率であり、fは前記金属箔が信号伝送キャリアとする時の信号周波数であり、μは透磁率である。
【0008】
上記解決策の改良として、前記金属箔の前記一面に対する前記規制部の高さは2μm以下であり、前記金属箔の前記一面に対する前記突起の高さは3μm以下である。
【0009】
上記解決策の改良として、前記突起における前記規制部上の部位の縦方向長さと、前記突起の高さとの比率は1/2~5/6である。
【0010】
上記解決策の改良として、前記突起は樹木状、氷柱状又は雫状である。
【0011】
上記解決策の改良として、前記突起は、前記幹部は前記一面から外部に延在し前記規制部を有する幹部と、前記幹部における前記規制部上の部位の表面から外部に延在する枝部と、を含む。
【0012】
上記解決策の改良として、前記幹部の材料成分は前記金属箔と同じである。
【0013】
上記解決策の改良として、前記幹部の材料成分は前記金属箔と異り、前記幹部の材料は、銅、ニッケル、亜鉛、クロム、アルミニウム、シリコン、アルミナ粒子、工業用ダイヤモンド粒子から選択される少なくとも1つである。
【0014】
上記解決策の改良として、前記一面において、少なくとも10%の前記突起は前記微視的な形態を有する。
【0015】
上記解決策の改良として、前記一面において、少なくとも50%の前記突起は前記微視的な形態を有する。
【0016】
上記解決策の改良として、前記一面において、少なくとも90%の前記突起は前記微視的な形態を有する。
【0017】
上記解決策の改良として、前記信号周波数fは1Hz~100GHzである。
【0018】
上記解決策の改良として、前記金属箔は銅箔及び/又はアルミ箔を含む。
【0019】
上記解決策の改良として、前記金属箔は、単層金属構造、又は少なくとも2層の単一層金属からなる多層金属構造である。
【0020】
本発明の別の実施例は、キャリア層、及び上記何れか1つの解決策に記載の金属箔を含むキャリア付き金属箔であって、前記キャリア層は、前記金属箔における前記一面と反対側の他面に剥離可能に設けられるキャリア付き金属箔を提供する。
【0021】
上記解決策の改良として、前記キャリア付き金属箔は、前記金属箔と前記キャリア層の両者が剥離可能に設けられるように、前記キャリア層と前記金属箔との間に位置する剥離層をさらに含む。
【0022】
上記解決策の改良として、前記キャリア付き金属箔は、前記キャリア層と前記剥離層との間に設けられる第1粘着層をさらに含む。
【0023】
上記解決策の改良として、前記第1粘着層は金属粘着層であり、前記金属粘着層は、銅、亜鉛、ニッケル、鉄、マンガンのうちのいずれか1つ又は複数の材料から製造されるか、又は、銅又は亜鉛のうちの1つの材料、及びニッケル、鉄及びマンガンのうちの1つの材料から製造される。
【0024】
上記解決策の改良として、前記キャリア付き金属箔は、前記金属箔における前記キャリア層に近接する面に設けられる第1酸化防止層をさらに含む。
【0025】
上記解決策の改良として、前記第1酸化防止層的材質は、ニッケル、銅合金、クロムのうちの少なくとも1つである。
【0026】
上記解決策の改良として、前記キャリア付き金属箔は、前記金属箔における前記キャリア層から離れた面に設けられる第2酸化防止層をさらに含む。
【0027】
上記解決策の改良として、前記第2酸化防止層の材質は、ニッケル、クロム、亜鉛のうちの少なくとも1つである。
【0028】
本発明の別の実施例は、上記何れか1つの解決策に記載の金属箔又は上記何れか1つの解決策に記載のキャリア付き金属箔を使用して得られる銅張積層板を提供する。
【0029】
上記解決策の改良として、前記銅張積層板は、少なくとも1つの前記金属箔の前記一面に設けられる誘電体層をさらに含む。
【0030】
上記解決策の改良として、前記誘電体層の材質はポリイミド(例えば、熱可塑性ポリイミド)、変性エポキシ樹脂、変性アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー、ポリパラバン酸、エポキシガラスクロス、BT樹脂から選択される少なくとも1つである。
【0031】
上記解決策の改良として、前記銅張積層板は、前記金属箔の前記一面に設けられる第2粘着層をさらに含む。
【0032】
上記解決策の改良として、前記第2粘着層の材質はポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリアミド系、ゴム系又はアクリレート系熱可塑性樹脂、フェノール系、エポキシ系、熱可塑性ポリイミド、ウレタン系、メラミン系又はアルキド系熱硬化性樹脂、BT樹脂、ABF樹脂から選択される少なくとも1つである。
【0033】
本発明の別の実施例は、上記何れか1つの解決策に記載の金属箔、上記何れか1つの解決策に記載のキャリア付き金属箔又は上記何れか1つの解決策に記載の銅張積層板を使用して得られるプリント回路板を提供する。
【発明の効果】
【0034】
従来技術に比べると、本発明の実施例による前記金属箔、前記キャリア付き金属箔、前記銅張積層板、前記プリント回路板及び前記金属箔の製造方法は、以下の有益な効果のうちの少なくとも1つを備える。
前記金属箔の一面には複数の突起が分布されており、前記突起は、前記突起における前記一面に連結された下半分は規制部を有し、前記規制部の横断面の外接円の直径は前記金属箔の表皮深さよりも小さく、前記突起における前記規制部上の部位の表面積は前記突起の他の部位の表面積よりも大きい微視的な形態を有する。このように、金属箔を使用して信号伝送回路を製造して形成した場合、前記突起の規制部は大きなインピーダンスを有し、前記突起の規制部が狭いほど、前記突起の当該箇所のインピーダンスが大きくなり、前記突起の下半分の規制部の横断面の外接円の直径が表皮深さよりも小さいため、前記突起の下半分の前記規制部によって規制されることで、金属箔内の高周波信号電流が前記突起の規制部を通過しにくくて、前記突起の上方へ流れる高周波信号電流を低減させ、金属箔表面の突起の、本発明の実施例に記載の金属箔から製造されて形成された信号伝送回路の高周波信号損失に対する影響が小さくなり、金属箔から製造され形成された信号伝送回路の高周波信号の伝送損失を低減させる。そして、前記突起における前記規制部上の部位の表面積が前記突起の他の部位の表面積よりも大きいため、前記突起における前記規制部上の部位の表面積は、突起における前記規制部上の部位の表面積に対して大きくなり、前記突起は相対的に大きな表面積を有し、金属箔から製造されて形成された信号伝送回路と誘電体層の両者の間は大きな接触面積を有し、信号伝送信号と誘電体層との間は優れた剥離強度を有し、その両者は層間剥離して脱落しにくくなり、前記金属箔を使用して高密度で細い回路の高周波回路板を製造することを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の1つの実施例による金属箔の縦方向断面の模式図である。
【
図3】金属箔における突起の下部の幅が表皮深さよりも大きい場合、高周波信号電流における金属箔での流れ状況の模式図である。
【
図4】本発明の1つの実施例による金属箔の突起の下半分の最小幅が、表皮深さよりも小さい場合、高周波信号電流における金属箔での流れ状況の模式図である。
【
図5】本発明の1つの実施例による金属箔の構造模式図である。
【
図6】本発明の実施例による一面に複数の前記突起が設けられる金属箔の電子顕微鏡観察図である。
【
図7】本発明のさらなる実施例による一面に複数の前記突起が設けられる金属箔の電子顕微鏡観察図である。
【
図9】本願の1つの実施例の金属箔及び通常金属箔の突起のスライス走査曲線図である。
【
図10】
図9の曲線の相応的な空間フーリエ変換対数スペクトログラムである。
【
図11】本発明の1つの実施例における金属箔の突起が設けられた一面と樹脂層との間の剥離強度のテスト過程で、使用された圧着ユニットの構造模式図である。
【
図12】本発明の1つの実施例によるキャリア付き金属箔の構造模式図である。
【
図13】本発明の別の実施例によるキャリア付き金属箔の構造模式図である。
【
図14】本発明の別の実施例によるキャリア付き金属箔の構造模式図である。
【
図15】本発明の別の実施例によるキャリア付き金属箔の構造模式図である。
【
図16】本発明の別の実施例によるキャリア付き金属箔の構造模式図である。
【
図17】本発明の1つの実施例による銅張積層板の構造模式図である。
【
図18】本発明の別の実施例による銅張積層板の構造模式図である。
【
図19】本発明のさらなる実施例による銅張積層板の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明の実施例の図面を参照しながら、本発明の実施例の技術的解決策を明瞭且つ完全に記載し、明らかに、記載の実施例は全ての実施例ではなく、単に本発明の一部の実施例である。本発明の実施例に基づいて、当業者が進歩性に値する労働をせずに取得した他の全ての実施例は、何れも本発明の保護範囲に該当する。
【0037】
図1を参照すると、本発明の実施例は金属箔1を提供し、前記金属箔1の一面には複数の突起2が分布され、前記突起2は以下の微視的な形態を有する。即ち、
図2を参照すると、前記突起2における前記金属箔1の前記一面に連結された下半分は規制部100を備え、前記規制部100の横断面の外接円の直径は前記金属箔1の表皮深さよりも小さく、前記突起2における前記規制部100での部位の表面積は、前記突起2の他の部位の表面積よりも大きい。
【0038】
具体的に、表皮深さδは、
であり、σは前記金属箔1での前記突起2の材料の導電率であり、fは前記金属箔1が信号伝送キャリアとする時の信号周波数であり、μは透磁率である。
【0039】
前記突起2については、前記金属箔1の表面に突出する部分は突起2と呼ばれると理解すればよい。具体的に、前記金属箔1の前記一面における周囲の他の箇所に対して隆起する部分は突起2である。前記金属箔1の一面には、前記突起2が一定に分布される。前記突起2は前記金属箔1の前記一面に電気めっきによって形成される。具体的に、前記金属箔1の製造過程で、前記突起2はとともに形成され、例えば、前記金属箔1は電気めっきによって形成され、前記金属箔1の電気めっき形成の過程で、前記突起2は前記金属箔1の表面で電気めっきによって形成される。他の選択的な方法として、前記突起2と前記金属箔1の前記一面の表面とは一体成形されていない。例えば、前記突起2は、前記金属箔1の前記一面にスパッタリングによって形成される。
【0040】
具体的に、前記突起2は複数の粒子クラスタから形成されてもよいし、モノマ構造であってもよく、ここでは前記突起2の構造を具体的に限定しない。
【0041】
ここで、前記突起2の下半分は、
図2を参照すると、前記突起2の高さ方向で、前記突起2の高さの1/2箇所を境界線とし、前記突起2における当該境界線の下に位置する部分(当該部分は前記金属箔の前記一面に近接する)である。前記突起2の高さの測定方式は、
図2を参照すると、前記金属箔1の縦断面図において、前記突起2の両側は所定のサンプリング長さ(前記突起2の各箇所の横断面の外接円の直径のうちの最大直径値Rに設定してもよい)内にあり、当該両側における前記金属箔1の一面での1番目の最低点(例えば、
図2の突起2の縦断面の左側であって、当該側における前記金属箔の一面での1番目の最低点はaであり、突起2の縦断面の右側であって、当該側における前記金属箔の一面での1番目の最低点はb)であって、2つの最低点の高さ方向での中点はcであり、当該点cを前記突起の底部の中点とすると、前記突起2の高さは、前記突起2の最高点dと前記突起2の底部の中点cとの間の垂直距離となる。また、
図2において、ab連結線は、前記突起2と前記金属箔1との境界線と見なされてもよい。ここで、上記記載は単に一般的な例示である。
【0042】
また、ここで、前記突起2の下半分の横断面の外接円の直径が、前記金属箔1の表皮深さよりも小さい部位は、本発明の「規制部」である。
【0043】
本発明の実施例は以下の有益な効果のうちの少なくとも1つを備える。即ち、前記金属箔の一面には複数の突起が分布され、前記突起は、前記突起の下半分は、横断面の外接円の直径が表皮深さよりも小さい規制部を有し、前記突起における前記規制部上の部位の表面積は前記突起の他の部位の表面積よりも大きい微視的な形態を有する。このように、金属箔を使用して信号伝送回路を製造して形成した場合、前記突起の規制部は大きなインピーダンスを有し、前記突起の規制部が狭いほど、前記突起の当該箇所のインピーダンスが大きくなり、前記突起の下半分の規制部の横断面の外接円の直径が表皮深さよりも小さいため、前記突起の下半分の前記規制部によって規制されることで、金属箔内の高周波信号電流が前記突起の規制部を通過しにくくて、前記突起の上方へ流れる高周波信号電流を低減させ、金属箔表面の突起の、本発明の実施例に記載の金属箔から製造されて形成された信号伝送回路の高周波信号損失に対する影響が小さくなり、金属箔から製造され形成された信号伝送回路の高周波信号の伝送損失を低減させる。そして、前記突起における前記規制部上の部位の表面積が前記突起の他の部位の表面積よりも大きいため、前記突起における前記規制部上の部位の表面積は、突起における前記規制部上の部位の表面積に対して大きくなり、前記突起は相対的に大きな表面積を有し、金属箔から製造されて形成された信号伝送回路と誘電体層の両者の間は大きな接触面積を有し、信号伝送信号と誘電体層との間は優れた剥離強度を有し、その両者は層間剥離して脱落しにくくなり、前記金属箔を使用して高密度で細い回路の高周波回路板を製造することを実現できる。
【0044】
上記記載を容易に理解するために、ここで、以下のように具体的に説明する。
まず、前記一面には複数の突起2が分布され、前記突起2の下半分は、横断面の外接円の直径が表皮深さよりも小さい規制部を有する。このように、高周波信号電流が前記突起2の上部に流れることを規制して、前記金属箔1の突起2における高周波電流に対する損失作用を低減させ、金属箔1の表面の突起2における本発明の実施例に記載の金属箔1から製造され形成された信号伝送回路の高周波信号損失に対する影響が小さくなり、金属箔1から製造されて形成された信号伝送回路の高周波信号の伝送損失を低減させる。
【0045】
また、信号伝送回路が製造された金属箔1と誘電体層9との間の粘着強度は主に金属箔1と誘電体層9の両者の界面の間の物理及び化学粘着力に依存する。金属箔1の表面プロファイルを低減することは、上記接着能力を減らすことを意味する。剥離強度(P/S)は積層材料の接着強度を測定する。低いP/Sは、プリント回路板の金属箔1と誘電体層9との間の層間剥離問題を招致する。具体的に、プリント回路板の製造、組立及び使用過程で、プリント回路板における信号伝送回路が製造され形成された金属箔1と誘電体層9との間の界面箇所の接着は非常に強固でなければならない。加工過程で、当該界面は腐食性化学物質に露出して、使用過程で高温、高湿、寒冷、衝撃、振動、せん断応力などのシーンに露出するため、プリント回路板の金属箔1と誘電体層9の両者が層間剥離して脱落しやすいことを防止するために、その両者の間は一定の剥離強度を有しなければならない。
【0046】
金属箔と誘電体層との間の剥離強度の問題について、従来技術では、弾性理論に基づいて、公式1を参照すると金属箔1と誘電体層9の両者の間の高剥離強度に影響する要因は主に、金属箔1における誘電体層9に入った厚さy0、誘電体層9の引張強度σN、金属箔1の厚さδ、及び金属箔1の係数Eと誘電体層9の係数Yとの比率であると認定される。従来技術では、金属箔1における誘電体層9に入った厚さは、金属箔1の誘電体層9と接触する一面2における前記誘電体層9に入った高さに等しく、金属箔1の誘電体層9と接触する一面2における前記誘電体層9に入った高さは、前記金属箔1の前記一面の粗さと関係があるため、金属箔1における誘電体層9に入った厚さy0は、前記金属箔1の前記一面の粗さで示されてもよいと認定される。公式1から分かるように、他のパラメータ変数が不変である場合、前記突起2の粗さが高いほど、前記金属箔1と前記誘電体層9との間の剥離強度が高くなるに対して、前記金属箔1と前記誘電体層9との間の剥離強度が低くなる。
【0047】
【0048】
このように、従来技術は、プリント回路板の高密度で細い回路の発展傾向を考慮すると、金属箔1と誘電体層9の両者の剥離強度を高めるために、銅箔の粗さができるだけ高いことを要求するという教示を与える。また、従来技術は、高周波信号の伝送損失を低減させるために、関連技術は金属箔1の粗さができるだけ小さいことを要求するという反対の教示をさらに与える。即ち、従来技術における金属箔1の表面形態に対する2つの要求は互いに矛盾する。粗さは金属箔1の表面のプロファイルの高さを反映できる。従って、概して、従来技術では、即ち、金属箔1の高周波信号の伝送損失を低減させるために、金属箔1の表面のプロファイルの高さができるだけ小さいことを要求し、金属箔1での高密度の信号伝送回路と樹脂層との間の剥離強度を改善するために、金属箔1の表面のプロファイルが高さできるだけ大きいことを要求すると認定される。
【0049】
本発明は進歩的に、金属箔1の粗さという面から高密度で細い回路のプリント回路板における金属箔1の表面形態を改善せずに、金属箔1の突起2の構造に着手して、金属箔1の一面は複数の突起2を有し、前記突起における前記一面に連結された下半分は規制部を有し、前記規制部の横断面の外接円の直径は前記金属箔の表皮深さよりも小さく、前記突起における前記規制部上の部位の表面積は前記突起の他の部位の表面積よりも大きい。ここで、本願に記載の「前記突起における前記規制部上の部位の表面積は前記突起の他の部位の表面積よりも大きい」は、樹木、頭及び首、又は
図1或いは2における上部が大きな表面積を有し、下部が小さな(少なくとも上部よりは小さい)表面積を有する一般的な構造を指す。突起2全体における誘電体層9(例えば、樹脂層)と接触する部分は、一般的に突起2の上部構造であり、突起2の上部構造が大きな表面積を有する場合、相応的に、突起2と誘電体層9との接触面積が大きく、両者の接触面積が大きいほど、両者の間の結合力が強くなり、即ち、金属箔1と誘電体層9との間の剥離力が大きくなる。これから分かるように、金属箔1は、本願に記載の複数の突起2を有し、且つ前記突起2は上記微視的な形態を有する場合、金属箔1と誘電体層9との間の剥離力を著しく高めて、即ち、金属箔1と誘電体層9との間は大きな剥離強度を有する。突起2の下半分は、横断面の外接円の直径が表皮深さよりも小さい規制部を有し、即ち、突起2材料の表皮深さよりも小さく、高周波信号電流の金属箔1の表面での流れ過程で、最小幅の箇所のインピーダンスが大きいため、高周波信号電流は突起2に沿って引き続いて突起2の上部へ流れることがなく、即ち、突起2の上記最小幅に規制され、高周波信号電流は基本的に、最小幅の上部まで流れることがなく、即ち、突起2を流れる高周波信号電流は有限であり、金属箔1表面の突起2における本発明の実施例に記載の金属箔1から製造され形成された信号伝送回路の高周波信号損失に対する影響が小さく、金属箔1から製造されて形成された信号伝送回路の高周波信号の伝送損失を低減させる。
【0050】
このように、本発明の実施例において、前記金属箔1の表面に複数の前記突起2を形成することで、前記金属箔1は、金属箔1の高周波信号の伝送損失、及び金属箔1から形成された高密度の信号伝送回路と誘電体層との間の剥離強度という2点を両立させることができ、従来技術の金属箔1の表面形態のプロファイル高さは、前記2点を両立させることができないという技術偏見を克服して、高密度で細い回路プリント回路板の原材料の新たな技術変革を開始する。
【0051】
前記突起2の下半分は、横断面の外接円の直径が表皮深さよりも小さい規制部を有することで、金属箔1の前記一面に、前記突起2による発生した電流表皮効果を大幅に弱めることを理解するために、ここで、
図3及び
図4をともに参照して説明する。
電流の表皮効果に基づいて、金属箔1での信号伝送回路の電流は、金属層の外面、厚さが表皮深さである表層のみで流れる。
図3に示すように、突起2の下半分が広くて、且つ表皮深さよりも大きい場合、電流は突起2全体の表面に沿って流れ、この際、電流の信号の伝送損失が大きく、
図4に示すように、突起2の下半分(この場合、根元部である)の幅が小さく、且つ表皮深さよりも小さい場合、根元部のインピーダンスが大きく、金属箔1での信号伝送回路の電流は前記突起2へ流れることができず、前記突起2を避けて、前記信号伝送回路の表層で流れ、この際、突起2は基本的に、電流の金属箔1における信号の伝送損失を増やすことがない。また、本発明の実施例において、前記突起2における前記規制部上の部位の表面積が、前記突起の他の部位の表面積よりも大きいため、突起2と誘電体層9との間の接触面積を改善でき、金属箔1での高密度の信号伝送回路と樹脂層との間の剥離強度を改善できる。
【0052】
また、ここでさらに例を挙げて説明する。
図6は本発明の1つの実施例による、一面には複数の前記突起2が設けられる金属箔1の電子顕微鏡観察図であり、複数の前記突起2において、複数の突起2の下半分は規制部100を有し、前記規制部100の横断面の外接円の直径が前記金属箔の表皮深さよりも小さく、
図6から分かるように、当該金属箔1における大部分の突起2は、底部の幅が小さく、上部の平均幅が広いという下が狭くて上が広い構造であり、前記突起2における金属箔1での電流の表皮効果が小さく、且つ前記突起2も、前記誘電体層9と接触する大きな接触面積を有する。
図7は本発明の別の実施例による、一面には複数の前記突起2が設けられる金属箔1の電子顕微鏡観察図であり、複数の前記突起2において、複数の突起2の下半分は規制部100を有し、前記規制部100の横断面の外接円の直径が前記金属箔の表皮深さよりも小さく、前記突起における前記規制部上の部位の表面積が前記突起の他の部位の表面積よりも大きく、このように、前記突起2における金属箔1での電流の表皮効果が小さく、且つ前記突起2も、前記誘電体層9と接触する大きな接触面積を有する。
図8は通常金属箔1の電子顕微鏡観察図であり、当該通常金属箔の一面は粗面として形成され、粗面には複数のプロファイルピークがあり、プロファイルピークの下半分の規制部の横断面の外接円の直径が表皮深さよりも大きく、即ち、プロファイルピークは、底部の幅が大きく、上部の平均幅が小さいという下が広くて、上が狭い構造である。このように、前記プロファイルピークにおける金属箔1での電流の表皮効果が大きいため、高い高周波信号の伝送損失が生じやすい。
【0053】
さらに、
図9及び
図10を参照する。実際製造において、電気化学形成金属格子の統計的性質のため、銅箔の表面に形成された突起2のサイズ及び形状は一定の分布を有する。一般的に、突起2の形状、サイズ、分布は工程によって决定される。
図9は2つの銅箔の一面のスライス走査曲線であり、2つの銅箔製品の前記一面の形態プロファイルを反映し、レーザによって突起の一面を上から下まで走査する。
図9に示すように、2本の曲線があり、上の1本の曲線は、本願の銅箔における前記突起が設けられる一面のプロファイル曲線であり、下の1本の曲線は、通常銅箔における本願の突起が設けられていない一面のプロファイル曲線である。
図9から分かるように、通常銅箔の前記一面よりも、本願の銅箔の前記一面は高い突起2を有する。ここで、レーザを利用して上から下まで走査するため、曲線における突起2は突起2の実の形状ではない。突起2の根元部の直径が突起の上部の直径よりも小さい場合、当該測定は突起の根元部の形状を取得できない。ところが、当該測定は、突起2の直径のサイズ及び分布を迅速に決定でき、突起2の異なる形成工程の比較、及びその最適化に効果的な方法を提供する。フーリエスペクトル解析は、金属箔1の表面の微視的な突起2のサイズを解析し、及び前記突起2の分布を統計するための最も効果的な方法の1つである。
図10は、
図9の曲線の相応的な空間フーリエ変換対数スペクトログラムであり、当該対数スペクトログラムは2本のスペクトル曲線を有し、下の1本のスペクトル曲線は、上記通常銅箔のスペクトル曲線を代表し、上の1本のスペクトル曲線は、本願の実施例による、一面には複数の前記突起2が設けられる銅箔のスペクトル曲線を代表する。スペクトル曲線は、上記2つの銅箔の表面の態様テストデータに対してフーリエ変換を行った後、得られる。前記対数スペクトログラムにおける横座標は、正規化された空間周波数のデータであり、前記対数スペクトログラムにおける縦座標は、原振幅に対して対数演算(20logA)を行った後、得られた対数形式のスペクトル強度であるので、その縦座標の単位はdB(デシベル)であり、当該変換は、これらの振幅が低く、成分が相対的に高い振幅成分を高めることで、低振幅ノイズにカバーされる周期信号を観察することを目的とする。
【0054】
図9及び
図10から分かるように、図面に示される本願の銅箔の一面での突起は、通常銅箔の一面での突起のサイズ及び分布と異なっている。ここで、上記に言及された通常銅箔は従来の銅箔製品ではなく、本願の銅箔の比較例である。
【0055】
例示として、前記規制部における前記金属箔に対する前記一面の高さは2μm以下(例えば、1.5μm、1.2μm、1μm、0.8μm、0.5μmなどよりも小さい)であってもよく、このように、金属箔に流れている電流によって、前記突起で生じる表皮効果が弱いため、前記突起2における金属箔1での電流の表皮効果が大きいことによって、高い高周波信号の伝送損失が生じやすいということを効果的に避ける。
【0056】
例示として、前記突起2の高さは特に限定されず、例えば、3μm以下であってもよい。このように、前記突起2は本願の上記微視的な形態を有する条件で、前記突起2は上記高さを有すれば、金属箔1の剥離強度をさらに高めることで、金属箔1は高密度で細い回路の高周波回路板により適応される。
【0057】
例示的に、前記突起における前記規制部上の部位の縦方向長さと、前記突起の高さとの比率は1/2~5/6であり、このように、前記突起における前記規制部上の部位が、前記突起全体において相対的に長くなり、前記突起の他の部位の表面に対して、前記突起における前記規制部上の部位の表面が相対的に大きくなり、これによって、前記突起の上部の表面積が相対的に大きくなり、金属箔から製造されて形成された信号伝送回路と誘電体層の両者の間は大きな接触面積を有し、信号伝送回路と誘電体層との間は優れた剥離強度を有し、両者は層間剥離して脱落しにくくなる。
【0058】
例示的に、前記突起2の形状は特に限定されず、例えば、樹木状、氷柱状又は雫状であってもよい。さらに、突起2の形状は樹木状、氷柱状又は雫状である場合、上部が広い部分の具体的な構造も特に限定されず、当業者は実際必要に応じて選択すればよい。発明者が発見するように、突起2の形状が樹木状、氷柱状又は雫状である場合、突起2は低い高周波信号の伝送損失を具備し、樹木状、氷柱状、雫状の突起2の上部が大きな表面積を有するため、突起2と誘電体層9とは大きな接触面積を有することができ、これによって、金属箔1と誘電体層9との間の結合力を向上させ、即ち、金属箔1と誘電体層9との間は大きな剥離強度を有し、高密度で細い回路の高周波回路板のニーズを満たしている。さらに、前記突起2は歯状などであってもよく、前記突起2は上記微視的な形態を具備すればよい。ここで、前記突起2の形状構造を具体的に限定しない。
【0059】
例示として、前記金属箔1は銅箔及び/又はアルミ箔を含み、即ち、前記金属箔1は銅箔又はアルミ箔であってもよく、銅箔及びアルミ箔(金属箔1は、銅箔層及びアルミ箔層から積層されるように配置されることに相当する)を含んでもよく、又は1層の金属箔1には銅及びアルミニウムが同時に含まれてもよい。
【0060】
例示として、前記金属箔1は単層構造であってもよいし、少なくとも2層の単一金属層からなる多層構造であってもよい。
【0061】
例示として、前記金属箔1の厚さは9μm以下である。回路板の微視的な信号伝送回路の製造要求を満たすために、好ましくは、前記金属箔1の厚さは6μm、5μm、4μm又は2μmなどであってもよく、これによって、微視的な信号伝送回路を形成するための極薄金属箔1を取得する。
【0062】
従来技術に比べると、本発明の実施例による金属箔1は金属箔1の高周波信号の伝送損失を低減させるだけではなく、金属箔1から製造され形成された信号伝送回路と樹脂層の両者の間にも優れた剥離強度を具備させ、両者が層間剥離して脱落しにくくなることを検証するために、前記金属箔1が銅箔であることを例として、本発明者は以下のテスト例を提供する。
テスト例1は本発明の銅箔であり、テスト例2は本願の比較例としての通常銅箔であり、通常銅箔は、本発明に記載の突起2及びその微視的な形態を有していない製品である。
【0063】
テスト例1:前記銅箔の一面には複数の突起2が分布され、周波数が1Ghzである場合、1/3以上の前記突起2は、前記突起における前記一面に連結された下半分は規制部を有し、前記規制部の横断面の外接円の直径は前記金属箔の表皮深さよりも小さく、前記突起における前記規制部上の部位の表面積は前記突起の他の部位の表面積よりも大きい微視的な形態を有し、表皮深さδは、
であり、σは前記銅箔での前記突起2の材料の導電率であり、fは前記銅箔が信号伝送キャリアとする時の信号周波数であり、μは透磁率である。
【0064】
誘電体層9が樹脂層であることを例として(以下のテスト例は同じである)、テストを介して、前記銅箔の前記一面と前記樹脂層との剥離強度は10N/cmであり、前記銅箔の高周波信号の伝送損失について表1を参照すればよい。
【0065】
また、前記銅箔の前記一面と前記樹脂層との剥離強度のテスト方法は、以下の通りである。
当該テスト方法は熱応力剥離強度のテスト方法であり、熱衝撃が行われた金属被覆層の剥離強度をテストし、熱衝撃後の銅箔サンプルの剥離強度の劣化状況を評価する。具体的な説明は以下の通りである(当該テスト方法のテスト標準について、標準IPC―TM―650 2.4.8を参照すればよい)。
(1)サンプル製造段階:
1.圧着パラメータ:圧着装置による圧着、圧着寸法120×180mm、数1pcs。
2.圧着補助材:クラフト紙81、鋼板82、離型フィルム83、PPシート84、PI被覆膜85。
(2)テスト操作段階:
1.
図11に示すように、銅箔/PPシート84/PI被覆膜85という積層構造方式で圧着を行う。
2.要求に従って、電気めっき肉厚処理を行うかどうかを判定し、電気めっきした後、160℃のオーブンで90minベーキングする。
3.288℃の半田溝で、はんだフロートを10s行う。
4.デザインナイフで、5mm幅を有するテストサンプルストリップを分割する。
5.PI面を剥離強度測定器のローラに粘着し、約2cmの薄銅を剥がして、クランプに挟む。
6.上へ垂直に引っ張って、6組の安定後の剥離強度データをそれぞれ記録し、6つの剥離強度データの平均値を計算して、F(N/cm)と記する。
そのうち、圧着条件は、圧着装置を使用して金属箔1を圧着し、圧着パラメータは以下の通りである。
1)昇温段階(<90℃)圧力維持8kgf/cm
2、昇温速度~3.5 ℃/min。
2)90℃で高圧に移行し、圧力維持30kgf/cm
2、昇温速度~4.5 ℃/min。
3)高温段階(200℃)圧力維持30kgf/cm
2、持続時間2h。
4)~50℃まで冷却され、圧力逃がしてサンプリングする。
注:圧力は何れも面圧を指し、単位面積に付与される圧力を示す。
【0066】
前記銅箔の高周波信号の伝送損失のテスト方法は以下の通りである。
通常双面板積層構造であり、信号線は50オームのマイクロストリップラインである。 誘電層は25μmのポリイミドである。
圧着パラメータ:圧着寸法200×250mm、数1pcs、185℃*3min*120kg/cm2。
圧着補助材:クラフト紙81、鋼板82、TPX、PET、プリプレグ、江銅。
1.銅箔/プリプレグ/硬板/プリプレグ/江銅という積層構造方式で圧着を行う。
2.電気めっきして、20μmに厚くされ、テスト前、160℃のオーブンで30minベーキングする。
そのうち、圧着条件は以下の通り、圧着装置を使用して金属箔1を圧着し、圧着パラメータは以下の通り:
1)昇温段階(<90℃)圧力維持8kgf/cm2、昇温速度~3.5℃/min。
2)90℃で高圧に移行し、圧力維持30kgf/cm2、昇温速度~4.5℃/min。
3)高温段階(200℃)圧力維持30kgf/cm2、持続時間2h。
4)~50℃まで冷却され、圧力逃がしてサンプリングする。
注:圧力は何れも面圧を指し、単位面積に付与される圧力を示す。
3.ベーキング後のサンプルを裁断して、熱硬化性板に貼合させ、テスト板を取得する。
4.テスト板を溶接してから、ネットワークアナライザーを使用してテストする。
【0067】
なお、以下のテスト例の前記銅箔と前記樹脂層との剥離強度のテスト方法、及び銅箔の高周波信号の伝送損失のテスト方法について、テスト例1の関する記載を参照すればよい。
【0068】
テスト例2
通常サンプルテストである。テスト例1の本願に記載の銅箔を通常銅箔(本願に記載の突起2及びその微視的な形態を具備していない通常銅箔)に差し替え、他のテスト条件はテスト例1と一致する。
【0069】
テストによって、当該通常銅箔と前記樹脂層との剥離強度は4N/cmであり、当該通常銅箔の高周波信号の伝送損失について、表1を参照すればよい。
【0070】
【0071】
上記テストから分かるように、本願の銅箔と通常銅箔とを比較して、即ち、本願の突起2の構造及びその微視的な形態を有する銅箔と、本願の突起2及びその微視的な形態を有していない通常銅箔とを比較して、本願の銅箔は低い高周波信号の伝送損失を有するとともに、誘電体層との間は高い剥離強度を有するため、高密度で細い回路の高周波回路板を製造する時、著しい優勢を具備する。
【0072】
上記実施例において、例示として、
図5を参照すると前記突起2は幹部20及び枝部21を含み、前記幹部20は前記一面から外部に延在し、前記枝部21は前記幹部20の表面から外部に延在する。このように、高周波信号電流の伝送過程で、電流は金属の表面に沿って流れ、前記幹部20の規制部によって規制されるため、電流は引き続いて上へ幹部20に沿って枝部21まで流れにくくなり、これによって、前記突起2における金属箔1の高周波信号電流伝送に対する損失が極めて有限である。また、前記幹部20の表面から外部に延在した前記枝部21は、前記金属箔1から製造されて形成された信号伝送回路と誘電体層との間の結合面積を向上させ、前記金属箔1から製造されて形成された信号伝送回路と前記誘電体層との間の結合力をさらに高めて、さらに、前記金属箔1から製造されて形成された信号伝送回路と誘電体層の両者の間には優れた剥離強度があり、両者が層間剥離して脱落しにくくなり、さらに、前記金属箔1を使用して高密度で細い回路の高周波回路板を製造することを実現できる。ここで、幹部20において枝部21の数及び形状を特に限定せず、当業者は実際必要に応じて選択すればよい。
【0073】
さらに、幹部20の材料成分は前記金属箔1と同じであってもよいし、前記金属箔1と異なってもよい。例えば、金属箔1は銅箔又はアルミ箔、或いは銅及びアルミニウムを含有する場合、幹部20の材料成分は銅、ニッケル、亜鉛、クロム、アルミニウム、シリコン、アルミナ粒子、工業用ダイヤモンド粒子のうちの少なくとも1つであってもよい。そのため、突起2、幹部20又は枝部21の形成方式はより多くの可能性を具備するとともに、突起2、幹部20又は枝部21はより多くの設計可能性を具備する。工業用ダイヤモンド粒子はμmレベルの工業用ダイヤモンド粒子である。
【0074】
例示として、前記一面において、前記金属箔1における、前記微視的な形態を有する前記突起2の割合は特に限定されず、例えば、少なくとも10%の前記突起2は前記微視的な形態を有してもよく、好ましくは、少なくとも50%の前記突起2は前記微視的な形態を有し、さらに好ましくは、少なくとも90%の前記突起2は前記微視的な形態を有する。発明者が発見するように、前記一面において、前記金属箔1における、前記微視的な形態を有する前記突起2の割合が大きいほど、前記突起2により、より低い高周波信号の伝送損失及び誘電体層との間のより高い剥離強度を有し、高周波信号の伝送損失及び剥離強度に対する要求が高い製品により適する。
【0075】
例示として、金属箔1が信号伝送キャリアとする時の信号周波数fの具体的な値は特に限定されず、製品の実際使用環境に基づいて決定されてもよく、例えば、1Hz~100GHzであってもよい。
【0076】
図12を参照すると、本発明の別の実施例はキャリア付き金属箔1を提供し、キャリア層3及び上記何れか1つの解決策に記載の金属箔1を含み、前記キャリア層3は、前記金属箔1における前記突起2が設けられた一面に剥離可能に配置される。
【0077】
図13を参照すると、具体的に、前記キャリア付き金属箔1は剥離層4をさらに含み、前記剥離層4は前記キャリア層3と前記金属箔1との間に位置することで、前記金属箔1と前記キャリア層3の両者が剥離可能に配置される。
【0078】
なお、前記キャリア層3、前記剥離層4及び前記金属箔1は順に積層されて配置される場合、前記金属箔1と前記剥離層4との間の剥離強度は、前記剥離層4と前記キャリア層3との間の剥離強度よりも大きく、このように、前記キャリア層3を前記金属箔1から順調に剥離できる。
【0079】
なお、前記キャリア層3は前記金属箔1のキャリア基板として機能する。前記剥離層4の作用は、前記キャリア層3と前記金属箔1との相互浸透の現象を減少させる一方、前記キャリア層3と前記金属箔1との間の剥離を容易にすることにある。
【0080】
本発明の実施例において、上記の金属箔1を使用することで、金属箔1の高周波信号の伝送損失を低減させるだけではなく、金属箔1から製造されて形成された信号伝送回路と樹脂層の両者の間にも優れた剥離強度を具備させ、両者が層間剥離して脱落しにくくなり、前記金属箔1を使用して高密度で細い回路の高周波回路板を製造することを実現できる。
【0081】
例示として、前記剥離層4はニッケル、シリコン、モリブデン、グラファイト、チタン、ニオブのうちのいずれか1つ又は複数の材料から製造され、又は、前記剥離層4は有機高分子材料から製造される。好ましくは、前記剥離層4の厚さは10~500Åである。前記剥離層4が厚すぎると、均一な金属箔1を形成しにくくて、金属箔1で大量のピンホールが生じやすく(金属箔1はピンホールを有する場合、回路としてエッチングされた後、ショート現象が生じやすい)、前記剥離層4が薄すぎると、金属箔1との間が剥離されにくくなり、従って、前記剥離層4の厚さを10~500Åにすることで、均一な金属箔1の形成を確保して、金属箔1で大量のピンホールが生じることを避けるとともに、前記剥離層4と前記金属箔1との間が剥離されやすくなる。
【0082】
また、前記キャリア層3はキャリア銅、キャリアアルミニウム、又は有機フィルムなどであってもよく、キャリア層3は主に積載作用を発揮するため、一定の厚さを必要とする。前記キャリア層3はキャリア銅又はキャリアアルミニウムである場合、好ましくは、前記キャリア層3の厚さは9~50μmであり、前記キャリア層3は有機フィルムである場合、好ましくは、前記キャリア層3の厚さは10~100μmである。
【0083】
図14を参照すると上記実施例において、さらに、前記キャリア付き金属箔1は、前記キャリア層3と前記剥離層4との間に設けられる第1粘着層7をさらに含む。
【0084】
本実施例において、第1粘着層7が設けられ、第1粘着層7によって剥離層4とキャリア層3との間に強い剥離強度を具備させ、キャリア層3を金属箔1から安定に剥離できることを効果的に確保して、完全な極薄金属箔1を取得する上に、第1粘着層7を使用してキャリア層3の表面を処理することで、キャリア層3の表面全体がより均一且つ緻密になり、ピンホールが少ない極薄金属箔1をキャリア層3から剥離して取得し、後続の回路製造に寄与する。
【0085】
具体的に、前記第1粘着層7は金属粘着層である。例示的に、前記金属粘着層は、銅、亜鉛、ニッケル、鉄、マンガンのうちのいずれか1つ又は複数の材料から製造されるか、又は、銅又は亜鉛のうちの1つの材料、及びニッケル、鉄及びマンガンのうちの1つの材料から製造される。
【0086】
図15を参照すると、本発明の実施例において、前記キャリア層3の酸化を防止するために、本実施例の前記キャリア層3における前記金属箔1に近接する一側には第1酸化防止層5が設けられ、前記キャリア層3における前記金属箔1に近接する一側には第1酸化防止層5が設けられることで、前記キャリア層3の酸化を防止して、前記キャリア層3を保護する。
図16を参照すると前記金属箔1の酸化を防止するために、前記金属箔1における前記キャリア層3から離れた一側には第2酸化防止層6が設けられ、前記金属箔1における前記キャリア層3から離れた一側には第2酸化防止層6が設けられることで、前記金属箔1の酸化を防止して、前記金属箔1を保護する。
【0087】
具体的に、前記第1酸化防止層5の材質はニッケル、銅合金、クロムのうちの少なくとも1つである。
【0088】
具体的に、前記第2酸化防止層6はニッケル及び亜鉛を含有する。
【0089】
本発明の別の実施例は、上記何れか1つの解決策に記載の金属箔1、又は上記何れか1つの解決策に記載のキャリア付き金属箔1を使用して得られる銅張積層板を提供する。
【0090】
例示的に、
図17~18を参照すると、前記銅張積層板は、少なくとも1つの前記金属箔の前記一面に設けられる誘電体層をさらに含む。具体的に、前記誘電体層の材質はポリイミド(例えば、熱可塑性ポリイミド)、変性エポキシ樹脂、変性アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンオキサイド、ポリテトラフルオロエチレン、液晶ポリマー、ポリパラバン酸、エポキシガラスクロス、BT樹脂から選択される少なくとも1つである。
【0091】
さらに、
図19を参照すると、前記銅張積層板は、前記金属箔の前記一面に設けられる第2粘着層をさらに含む。具体的に、前記第2粘着層の材質はポリスチレン系、酢酸ビニル系、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリアミド系、ゴム系又はアクリレート系熱可塑性樹脂、フェノール系、エポキシ系、熱可塑性ポリイミド、ウレタン系、メラミン系又はアルキド系熱硬化性樹脂、BT樹脂、ABF樹脂から選択される少なくとも1つである。
【0092】
本発明の別の実施例は、上記何れか1つの解決策に記載の金属箔1、上記何れか1つの解決策に記載のキャリア付き金属箔1又は上記何れか1つの解決策に記載の銅張積層板を使用して得られるプリント回路板(図示せず)を提供する。
【0093】
以上は本発明の選択的な実施形態のみであり、当業者にとって、本発明の技術原理を逸脱しないことを前提として、いくつかの改良及び置換を行ってもよく、これらの改良及び置換も本発明の保護範囲に該当すべきである。
【符号の説明】
【0094】
1…金属箔、2…突起、20…幹部、21…枝部、3…キャリア層、4…剥離層、5…第1酸化防止層、6…第2酸化防止層、7…第1粘着層、81…クラフト紙、82…鋼板、83…離型フィルム、84…PPシート、85…PI被覆膜、9…誘電体層、10…第2粘着層、100…規制部。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
上記解決策の改良として、前記金属箔の前記一面に対する前記規制部の高さは2μm以下であり、前記金属箔の前記一面に対する前記突起の高さは4μm以下である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
従来技術に比べると、本発明の実施例による前記金属箔、前記キャリア付き金属箔、前記銅張積層板、前記プリント回路板及び前記金属箔の製造方法は、以下の有益な効果のうちの少なくとも1つを備える。
前記金属箔の一面には複数の突起が分布されており、前記突起は、前記突起における前記一面に連結された下半分は規制部を有し、前記規制部の横断面の外接円の直径は前記金属箔の表皮深さよりも小さく、前記突起における前記規制部上の部位の表面積は前記突起の他の部位の表面積よりも大きい微視的な形態を有する。このように、金属箔を使用して信号伝送回路を製造して形成した場合、前記突起の規制部は大きなインピーダンスを有し、前記突起の規制部が狭いほど、前記突起の当該箇所のインピーダンスが大きくなり、前記突起の下半分の規制部の横断面の外接円の直径が表皮深さよりも小さいため、前記突起の下半分の前記規制部によって規制されることで、金属箔内の高周波信号電流が前記突起の規制部を通過しにくくて、前記突起の上方へ流れる高周波信号電流を低減させ、金属箔表面の突起の、本発明の実施例に記載の金属箔から製造されて形成された信号伝送回路の高周波信号損失に対する影響が小さくなり、金属箔から製造され形成された信号伝送回路の高周波信号の伝送損失を低減させる。そして、前記突起における前記規制部上の部位の表面積が前記突起の他の部位の表面積よりも大きいため、前記突起における前記規制部上の部位の表面積は、突起における前記規制部上の部位の表面積に対して大きくなり、前記突起は相対的に大きな表面積を有し、金属箔から製造されて形成された信号伝送回路と誘電体層の両者の間は大きな接触面積を有し、信号伝送回路と誘電体層との間は優れた剥離強度を有し、その両者は層間剥離して脱落しにくくなり、前記金属箔を使用して高密度で細い回路の高周波回路板を製造することを実現できる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0043】
本発明の実施例は以下の有益な効果のうちの少なくとも1つを備える。即ち、前記金属箔の一面には複数の突起が分布され、前記突起は、前記突起の下半分は、横断面の外接円の直径が表皮深さよりも小さい規制部を有し、前記突起における前記規制部上の部位の表面積は前記突起の他の部位の表面積よりも大きい微視的な形態を有する。このように、金属箔を使用して信号伝送回路を製造して形成した場合、前記突起の規制部は大きなインピーダンスを有し、前記突起の規制部が狭いほど、前記突起の当該箇所のインピーダンスが大きくなり、前記突起の下半分の規制部の横断面の外接円の直径が表皮深さよりも小さいため、前記突起の下半分の前記規制部によって規制されることで、金属箔内の高周波信号電流が前記突起の規制部を通過しにくくて、前記突起の上方へ流れる高周波信号電流を低減させ、金属箔表面の突起の、本発明の実施例に記載の金属箔から製造されて形成された信号伝送回路の高周波信号損失に対する影響が小さくなり、金属箔から製造され形成された信号伝送回路の高周波信号の伝送損失を低減させる。そして、前記突起における前記規制部上の部位の表面積が前記突起の他の部位の表面積よりも大きいため、前記突起における前記規制部上の部位の表面積は、突起における前記規制部上の部位の表面積に対して大きくなり、前記突起は相対的に大きな表面積を有し、金属箔から製造されて形成された信号伝送回路と誘電体層の両者の間は大きな接触面積を有し、信号伝送回路と誘電体層との間は優れた剥離強度を有し、その両者は層間剥離して脱落しにくくなり、前記金属箔を使用して高密度で細い回路の高周波回路板を製造することを実現できる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0056
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0056】
例示として、前記突起2の高さは特に限定されず、例えば、4μm以下であってもよい。このように、前記突起2は本願の上記微視的な形態を有する条件で、前記突起2は上記高さを有すれば、金属箔1の剥離強度をさらに高めることで、金属箔1は高密度で細い回路の高周波回路板により適応される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
前記銅箔の高周波信号の伝送損失のテスト方法は以下の通りである。
通常双面板積層構造であり、信号線は50オームのマイクロストリップラインである。 誘電層は25μmのポリイミドである。
圧着パラメータ:圧着寸法200×250mm、数1pcs、185℃*3min*120kg/cm2。
圧着補助材:クラフト紙81、鋼板82、TPX、PET、プリプレグ、江銅(Jiangxi Copper Corporationが作った銅箔)。
1.銅箔/プリプレグ/硬板/プリプレグ/江銅という積層構造方式で圧着を行う。
2.電気めっきして、20μmに厚くされ、テスト前、160℃のオーブンで30minベーキングする。
そのうち、圧着条件は以下の通り、圧着装置を使用して金属箔1を圧着し、圧着パラメータは以下の通り:
1)昇温段階(<90℃)圧力維持8kgf/cm2、昇温速度~3.5℃/min。
2)90℃で高圧に移行し、圧力維持30kgf/cm2、昇温速度~4.5℃/min。
3)高温段階(200℃)圧力維持30kgf/cm2、持続時間2h。
4)~50℃まで冷却され、圧力逃がしてサンプリングする。
注:圧力は何れも面圧を指し、単位面積に付与される圧力を示す。
3.ベーキング後のサンプルを裁断して、熱硬化性板に貼合させ、テスト板を取得する。
4.テスト板を溶接してから、ネットワークアナライザーを使用してテストする。
【国際調査報告】