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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】使い捨て吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/536 20060101AFI20240403BHJP
   A61F 13/534 20060101ALI20240403BHJP
   A61F 13/511 20060101ALI20240403BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61F13/536 100
A61F13/534 100
A61F13/511 110
A61F13/53 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567066
(86)(22)【出願日】2022-05-04
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 US2022027627
(87)【国際公開番号】W WO2022240635
(87)【国際公開日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】63/186,297
(32)【優先日】2021-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(72)【発明者】
【氏名】ソナム、ジャヤンティ、パテル
(72)【発明者】
【氏名】エドワード、ポール、カーリン
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ、ウィリアム、ブッシュ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン、ジョセフ、バース
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200AA03
3B200BA04
3B200DA13
3B200DB02
3B200DB05
3B200DB23
3B200DC06
3B200DC09
(57)【要約】
一次トップシート、バックシート、及びそれらの間の吸収システムを有する吸収性物品が記載される。一次トップシートは、身体対向表面及び衣類対向表面を有し、バックシートは、身体対向表面及び衣類対向表面を有する。吸収システムは、身体対向表面及び衣類対向表面を有する第1の吸収性コアと、第1の吸収性コアとバックシートとの間に配設された第2の吸収性コアと、を含む。一次トップシート及び第1の吸収性コアの少なくとも一部分は、一次トップシートの身体対向表面上に配設された中央チャネルを含む1つ以上のエンボス加工されたチャネルを有する。1つ以上のエンボス加工されたチャネルの各々は、一次トップシートの身体対向表面の下にあり、かつ第1の吸収性コアの衣類対向表面の上にある底部表面を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品(10)であって、
身体対向表面及び衣類対向表面を有する一次トップシート(203)と、
身体対向表面及び衣類対向表面を有するバックシート(207)と、
前記一次トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収システム(205)であって、前記吸収システムは、身体対向表面及び衣類対向表面を有する第1の吸収性コア(60)と、前記第1の吸収性コアと前記バックシートとの間に配設された第2の吸収性コア(70)と、を備え、前記第1の吸収性コアは、第1の分配層(62)及び第1の超吸収性層(61)を備え、前記第1の超吸収性層は、前記第1の吸収性コアの前記衣類対向表面の一部分を形成し、前記一次トップシート及び前記第1の吸収性コアは、前記一次トップシートの前記身体対向表面上に配設された中央チャネル(655、665;755、765;855、865)を含む1つ以上のエンボス加工されたチャネル(655、665、705、715、755、765、805、815、855、865)を備え、前記1つ以上のエンボス加工されたチャネルの各々は、前記一次トップシートの前記身体対向表面の下にあり、かつ前記第1の吸収性コアの衣類対向表面の上にある底部表面を含む、吸収システム(205)と、を備える、吸収性物品(10)。
【請求項2】
前記第1の分配層は、超吸収性ポリマーを実質的に含まない、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記トップシート及び前記第1の分配層は、前記底部表面が前記第1の分配層の衣類対向表面の上にあるように、前記1つ以上のエンボス加工されたチャネルを備える、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記トップシート、前記第1の分配層、及び前記第1の超吸収性層は、前記1つ以上のエンボス加工されたチャネルを備える、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1の吸収性コアは、前記吸収性コアの中央部分が前記第1の吸収性コア及び前記第2の吸収性コアの重なり合う接合部から形成されるように、前記吸収性コアの長さに沿ってオフセットした方式で前記第2の吸収性コアに接合される、請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前端部分及び後端部分は、前記吸収システムの前記中央部分の対向する端部にそれぞれ配設される、請求項5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第1の吸収性コアと前記第2の吸収性コアは、互いに異なる幅を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記第1の超吸収性層は、エアフェルトを実質的に含まない、請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記第1の超吸収性層は、前記第1の分配層に不連続に配設される、請求項1~8のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記第1の吸収性コア及び前記第2の吸収性コアの各々は、同じ吸収性コアのそれぞれの第2の端部に形状的に相補的な第1の端部を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記中央チャネルは第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分と前記第2の部分は互いに別個である、請求項1~10のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記1つ以上のエンボス加工されたチャネルは、前記中央チャネルの長手方向の両端に配設された前側領域チャネル及び後側領域チャネルを更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記中央チャネルは、前記吸収性物品の全長の約25パーセント~約53パーセント、より好ましくは約30~約50パーセント、又は最も好ましくは約35パーセント~約47パーセントの長さを備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前側領域チャネル及び後側領域チャネルは、前記中央チャネルの両側に配設され、前記エンボス加工されたチャネルの全長は、前記吸収性物品の全長の80パーセント以下、より好ましくは約75パーセント以下、又は最も好ましくは約70パーセント以下である、請求項1~13のいずれか一項に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記エンボス加工されたチャネルの全長は、前記吸収性物品の全長の約30パーセント~約80パーセント、約40パーセント~約75パーセント、又は最も好ましくは約50パーセント~約70パーセントである、請求項14に記載の吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体滲出物を吸収し、収容するのに適した使い捨て吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な使い捨て吸収性物品は、身体滲出物を取り扱う又は管理するために消費者によって信頼されている。これらの吸収性物品の使用者は、広範に及び得、乳児、幼児、子供、ティーンエージャー、成人、及び高齢者を含み得る。したがって、そのような物品によって管理される流体又は身体滲出物の種類も同様に異なり得、尿、便、経血、及び他の排出物を含む。典型的には、成人の場合、物品は、生理用ナプキン、成人失禁用パッド、及び成人失禁用おむつ又は下着の形態を取る。着用者に対するこれらの製品の望ましさを駆り立てる主な因子のうちの1つは、失禁又は他の流体侵襲の事象を経験したときに、その発生が他者によって、更により理想的には着用者によっても気付かれないという確信を与えることである。
【0003】
製造者によって広く利用されている使い捨て吸収性物品の性能及び全体の自由度を向上させる1つの方法は、増加した量の液体を吸入することができ、結果として膨潤したヒドロゲル材料を形成する超吸収性ポリマーの包含であった。結果として得られるヒドロゲルは、排出される体液などの流体を構造内に保持するのに役立つ。
【0004】
性能を改善するための更なる方法は、エンボス加工されたチャネルを含めることによるものである。エンボス加工されたチャネルは、液体侵襲物が衝突するための追加の表面積を作り出すことができる。加えて、エンボス加工されたチャネルは、流体が吸収性物品の他の領域に迅速に移動することを可能にする液体輸送経路として機能することができる。しかしながら、いくつかの材料は、エンボス加工にあまり適していない。一例として、超吸収性ポリマーは、エンボス加工を受けると、構成材料を引き裂く可能性がある。これは、品質保証の観点並びに消費者の観点から望ましくない可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その結果、良好な液体吸収機能を提供し、構成材料の引き裂きの可能性を低減する1つ以上のエンボス加工されたチャネルを含む吸収性物品が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による使い捨て吸収性物品は、比較的小さな流体の排出から比較的大きな流体の排出を経験する使用者に漏れ保護を提供するのに適している。一例では、本開示の吸収性物品は、身体対向表面及び衣類対向表面を有する一次トップシートと、身体対向表面及び衣類対向表面を有するバックシートと、一次トップシートとバックシートとの間に配設された吸収システムと、を備える。吸収システムは、身体対向表面及び衣類対向表面を有する第1の吸収性コアと、第1の吸収性コアとバックシートとの間に配設された第2の吸収性コアと、を備える。第1の吸収性コアは、第1の分配層及び第1の超吸収性層を含み、第1の超吸収性層は、第1の吸収性コアの衣類対向表面の一部分を形成し、一次トップシート及び第1の吸収性コアは、一次トップシートの身体対向表面上に配設された中央チャネルを含む1つ以上のエンボス加工されたチャネルを備え、1つ以上のエンボス加工されたチャネルの各々は、一次トップシートの身体対向表面の下にあり、かつ第1の吸収性コアの衣類対向表面の上にある底部表面を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本明細書は、本発明を構成するとみなされる主題を具体的に指摘し明確に主張する特許請求の範囲を結論とするが、本発明は、添付の図面と関連してなされた以下の説明によって更に理解されると考えられ、添付の図面において参照符号が、実質的に同一の要素を示すために用いられている。
図1】本発明の使い捨て吸収性物品の例示的な実施形態を示す平面図であり、これは失禁用パッドである。
図2図1に示される失禁用パッドの、線2-2に沿って取られた断面図である。
図3図1のパッドの、一次トップシートを取り除いた平面図である。
図4図3のパッドの吸収性コアの、線3-3に沿って取られた断面図である。
図5図3のパッドの代替吸収性コアの、線2-2に沿って取られた断面図である。
図6】本開示の例示的な吸収性物品の概略図である。
図7】本開示の例示的な吸収性物品の概略図である。
図8】本開示の例示的な吸収性物品の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の使い捨て吸収性物品、特に失禁パッド又はパンツは、改善された快適なフィットを可能にする可撓性を提供することができ、一方で、裂ける可能性を低減し、かつ/又は吸収性物品に提供されるエンボス加工されたチャネルから粗い表面を提供する。特に、本発明の物品は、提案される構成及びそれに含まれる層の配向から高められた構造弾力性を示すことが想定される。本開示の目的のために、失禁用パッド、使い捨て吸収性物品又は吸収性物品についての言及を用いる。しかしながら、本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、生理用パッド、おむつ、トレーニングパンツ、成人失禁用パンツなどが挙げられるが、これらに限定されない複数の吸収性物品に適用することができる。
【0009】
本明細書で使用するとき、「衣類対向表面」は、本開示の吸収性物品の表面を指すために使用される。具体的には、吸収性物品の「衣類対向表面」は、使用中に着用者の外側衣類に最も近い表面である。加えて、「衣類対向表面」という用語は、本開示の吸収性物品における1つ以上の層の表面を指し、その層(複数可)の「衣類対向表面」は、吸収性物品の衣類対向表面に対して、それらの反対側の表面よりも近位にある。
【0010】
本明細書で使用するとき、「着用者対向表面」は、本開示の吸収性物品の表面を指すために使用される。具体的には、物品の「着用者対向表面」は、使用中に着用者に最も近い表面である。加えて、「着用者対向表面」という用語は、本開示の吸収性物品における1つ以上の層の表面を指し、その層(複数可)の「着用者対向表面」は、吸収性物品の着用者対向表面に対して、それらの反対側の表面よりも近位にある。
【0011】
本明細書で「機械方向」(machine direction、MD)という用語は、プロセスを通過する材料の流れの方向を指すために使用される。加えて、材料の相対的配置及び動きは、あるプロセスを通過してそのプロセスの上流からそのプロセスの下流に向かう機械方向に流れているものとして述べることができる。
【0012】
本明細書で「横断方向」(cross direction、CD)という用語は、機械方向に対してほぼ垂直な方向を指すために使用される。
【0013】
本開示の吸収性物品は、長手方向軸と、その長手方向軸に対して垂直である横方向軸と、を備える。吸収性物品は、着用者対向表面及び反対側の衣類対向表面を有する一次トップシートと、着用者対向表面及び反対側の衣類対向表面を有するバックシートと、トップシートとバックシートとの間に配設された吸収システムと、を更に備える。吸収システムは、第1の吸収性コア及び第2の吸収性コアを含む。
【0014】
第1の吸収性コアは、着用者対向表面及び反対側の衣類対向表面を有する積層構造を備えてもよい。第1の吸収性コアは、第1の分配層及び第1の超吸収性層を備えてもよい。いくつかの形態では、任意選択の層が、トップシートと第1の吸収性コアとの間に提供されてもよい。第1の分配層は、第1の超吸収性層よりもトップシートに対してより近位に配設されてもよい。
【0015】
第2の吸収性コアは、第1の吸収性コアの衣類対向表面に接合される。加えて、第2の吸収性コアは、第1の吸収性コアと同様に構成されてもよい。例えば、第2の吸収性コアは、第2の分配層及び第2の超吸収性層を備えてもよい。したがって、第2の分配層は、第1の吸収性コアの衣類対向表面に取り付けられてもよく、あるいは第2の超吸収性層は、第1の吸収性コアの衣類対向表面に取り付けられてもよい。代替的に、追加の基材、例えばフィルム、不織布、織布など、又はこれらの組み合わせが、第1の吸収性コアの衣類対向表面と第2の吸収性コアとの間に提供されてもよい。
【0016】
前述のように、本開示の吸収性物品は、1つ以上のエンボス加工されたチャネルを含む。しかしながら、本発明者らは、驚くべきことに、超吸収性ポリマーを含む吸収性コアのエンボス加工が問題を引き起こし得ることを見出した。超吸収性ポリマー粒子が粗い縁部を含むことは注目に値する。したがって、エンボス加工プロセス中に、吸収性物品の層の一部分が圧縮されると、これらの粗い縁部は、隣接する層、例えばトップシートにピンホールを形成する可能性があり、かつ/又は粗い表面を形成する可能性がある。着用者の観点から、トップシートにおけるピンホールの形成も、粗い感触/外観の表面も望ましくない。
【0017】
隣接する層、例えばトップシートの表面のピンホール/粗い感触/粗い外観の形成を低減又は排除するための取り組みとして、本発明者らは、トップシートからより遠位に超吸収性ポリマー含有層を提供することにより、この問題が緩和され得ることを見出した。例えば、トップシート及び第1の吸収性コアがエンボス加工される場合、二次トップシートがトップシートと第1の吸収性コアとの間に提供されてもよい。別の例として、第1の吸収性コアが第1の分配層及び第1の超吸収性層を含む場合、第1の分配層は、第1の超吸収性層よりもトップシートに対してより近位に配設されてもよい。更にこの例では、第1の分配層は、二次トップシートと第1の超吸収性層との間に配設されてもよい。
【0018】
トップシート及び第1の吸収性コアがエンボス加工されるこのような例では、吸収性物品の着用者対向表面は、窪んだチャネルを含む。窪んだチャネルは、吸収性物品の着用者対向表面の残りの部分の下にある底部表面を有することができる。底部表面は、第1の吸収性コアの衣類対向表面の上にあってもよい。これらの1つ以上のエンボス加工されたチャネルは、より良好なフィット性を提供し、漏れの可能性を低減するために、パッドの優先的な曲げ軸を提供することができる。加えて、これらのエンボス加工されたチャネルは、材料の高密度化された領域であるので、そうでなければ最初の液体侵襲の領域からより遠位の領域に水分を運ぶために分配層に依存しなければならない吸収システムの領域に液体侵襲物を分配するのを助ける経路として働くことができる。
【0019】
第1の吸収性コアが第1の超吸収性層及び第1の分配層を含む場合、両方の層がエンボス加工されてもよい。しかしながら、超吸収性ポリマーの粗い縁部がピンホールを形成する可能性及び/又は粗い感触/粗い外観の物品の着用者対向表面を形成する可能性を更に低減するために、第1の吸収性コアの一部分のみがエンボス加工されてもよい。例えば、第1の超吸収性層はこのエンボス加工プロセスを受けないが、第1の分配層はトップシートと一緒にエンボス加工されてもよい。このような構成では、エンボス加工されたチャネルは、第1の超吸収性層の着用者対向表面の上にある底部表面を有することができる。
【0020】
着用者対向表面上のエンボス加工されたチャネルに加えて、第1の吸収性コア及びトップシートは、第1の吸収性コアの衣類対向表面上に1つ以上の第2のエンボス加工されたチャネルを備えてもよい。例えば、1つ以上の第2のエンボス加工されたチャネルは、第1の吸収性コアの衣類対向表面からトップシートに向かって延在してもよい。1つ以上の第2のエンボス加工されたチャネルの底部表面(又は上部表面)は、トップシートの着用者対向表面の下にあってもよい。
【0021】
第1の吸収性コアが本明細書に記載されるようにエンボス加工されることに加えて、第2の吸収性コアが同様にエンボス加工されてもよいことは注目に値する。しかしながら、そのような構成を選択する際には注意を払うべきである。エンボス加工プロセスは、所望の曲げ軸及び有益な流体経路を作り出す一方で、吸収システム内の空隙容量の量を低減することにもなり得る。空隙容積のこの損失は、吸収性物品の容量の減少を意味し得る。特に成人用失禁物品の状況では、第1の吸収性コアと同程度に第2の吸収性コアをエンボス加工することは、エンボス加工プロセスによる空隙容量の損失を考慮しなければ問題となり得る。したがって、本開示の吸収性物品の構成は、第2の吸収性コアがエンボス加工されたチャネルを含まないか、あるいは少なくとも第1の吸収性コアと同程度にエンボス加工されたチャネルを含まないことが企図される。
【0022】
例えば、第2の吸収性コアは、第1の吸収性コアよりもエンボス加工の領域を備えてもよい。別の例として、第2の吸収性コアは、第1の吸収性コアに存在するエンボス加工と同じ深さを有さないエンボス加工を含んでもよい。
【0023】
加えて、第2の吸収性コアがエンボス加工され得る一方で、第1の吸収性コアがエンボス加工されない形態が企図される。このような構成は、第2の吸収性コアに対する第1の吸収性コアのエンボス加工と同じ利点の多くを提供することができる。しかしながら、第2の吸収性コアはバックシートと第1の吸収性コアとの間に配設されているので、第2の吸収性コアは液体侵襲物のための最終貯蔵層である。したがって、第2の吸収性コアの空隙容量は、吸収性物品全体の最終的な吸収能力に影響を与える可能性がある。更に、第2の吸収性コアのエンボス加工は、吸収性物品の使用者にとって視認可能でなくてもよい。そのため、エンボス加工が視認可能でないので、エンボス加工の追加的な機能は、使用者によって容易に知覚されない場合がある。
【0024】
前述のように、第2の吸収性コアは、第1の吸収性コアと同様に構成されてもよく、例えば、第2の分配層及び第2の超吸収性層を有してもよい。吸収システムは、第2の分配層が第1の吸収性コアの衣類対向表面に接合される一方で、第2の超吸収性層がバックシートに接合されるか、あるいは少なくとも第2の分配層よりもバックシート対してより近位に配置されるように構成されてもよい。代替的に、第2の分配層が、バックシートに接合されるか、あるいは第2の超吸収性層よりもバックシートに対してより近位に位置付けられる一方で、第2の超吸収性層は、第1の吸収性コアの衣類対向表面に接合されてもよい。
【0025】
理論に束縛されるものではないが、超吸収性層がバックシートに隣接して、あるいはより近位に配置される場合、バックシートにおけるピンホールの生成のリスクが増加すると考えられる。超吸収性ポリマー粒子は、乾燥状態で粗い縁部を有することを想起されたい。これらの粗い縁部は、特にバックシートフィルムが比較的薄い場合、バックシートにピンホールを生じさせる可能性がある。ピンホールの生成は、漏れの可能性を増加させ得る。また、これらの粗い縁部がバックシートにピンホールを形成しない場合であっても、これらの粗い縁部は、バックシートの手触りを粗くし、非常にでこぼこした外観を形成する可能性がある。これは、吸収性物品の着用者にとって不快である可能性がある。したがって、より薄いバックシートが望ましい場合、第2の超吸収性層が第1の吸収性コアの衣類対向表面に接合されるように第2の吸収性コアを構成することが有益であり得る。このような構成では、第2の分配層は、バックシートと第2の超吸収性層との間に配設され、これにより、超吸収性ポリマーを介してバックシートにピンホールが形成される可能性を低減することができる。それに代わって、あるいは上記と併せて、バックシートの粗い感触は、バックシートの衣類対向表面上に不織布材料を提供することによって克服されてもよい。この外側不織布は、バックシートの粗い感触及び/又は外観を低減させることができる。
【0026】
任意選択の流体処理層が、一次トップシートと第1の吸収性コアとの間に提供されてもよいことは注目に値する。一例としては、当該技術分野において既知の二次トップシートが挙げられる。二次トップシートの好適な例ついては、以下で更に詳細に説明される。
【0027】
第1の吸収性コアと第2の吸収性コアは、オフセットした方式で互いに接合されてもよい。例えば、第1の吸収性コアは、吸収システムの前端部分を形成するように配設されてもよく、第2の吸収性コアは、吸収システムの後端部分を形成するように配設されてもよい。第1の吸収性コアと第2の吸収性コアとが重なり合うところで、中央部分が形成される。加えて、第1の吸収性コアと第2の吸収性コアは、同じ機械方向長さを備えてもよい。それに代わって、第1の吸収性コアと第2の吸収性コアは、異なる機械方向長さを備えてもよい。
【0028】
第1の吸収性コアと第2の吸収性コアは、オフセットした方式で接合されることに加えて、あるいはそれとは独立して、吸収性物品の横方向軸に平行な様々な幅を有することができる。例えば、第1の吸収性コアと第2の吸収性コアは、互いに等しい幅を備えてもよい。それに代わって、第1の吸収性コアと第2の吸収性コアは、異なる横断方向幅を有してもよい。例えば、第1の吸収性コアは、第2の吸収性コアの幅よりも小さい横断方向幅を有してもよい。第1の吸収性コアは、第2の吸収性コアの幅の約95パーセント未満、より好ましくは約90パーセント未満、又は最も好ましくは第2の吸収性コアの横方向幅の約85パーセント未満である横断方向幅を有してもよく、具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれによって生成される任意の範囲が挙げられる。更なる例として、第1の吸収性コアは、第2の吸収性コアの幅の約50パーセント~約95パーセント、より好ましくは第2の吸収性コアの幅の約50パーセント~約90パーセント、又は最も好ましくは第2の吸収性コアの幅の約50パーセント~約85パーセントである横断方向幅を有してもよく、具体的には、これらの範囲内の全ての値又はそれによって生成される任意の範囲が挙げられる。
【0029】
第1の吸収性コアが第2の吸収性コアよりも小さい幅を有する場合、改善されたフィット性が達成され得る。例えば、第1の吸収性コアの長手方向側縁部が第2の吸収性コアの長手方向側縁部の内側に配設されている場合、吸収性物品は、第1の吸収性コアの長手方向側縁部の横方向外側の領域で優先的に屈曲することができる。この優先的な屈曲は、吸収性物品の快適性を増大させることができる一方で、吸収性物品の漏れに対する耐性も改善し得る。
【0030】
ここで、本開示の吸収性物品について、本明細書に記載の図を参照して更に説明する。図1は、本開示の吸収性物品を示し、より具体的には、失禁用パッド又は生理用ナプキン10(本明細書では主に「失禁用パッド」と称される)が、長手方向軸80及び横方向軸90を含み得ることを示す。長手方向軸80は、失禁用パッド10の最長寸法に対して概ね平行に延在する。横方向軸90は、長手方向軸80に対して概ね垂直に延在し、平面上に平らに広げた状態の失禁用パッド10と同じ平面に置かれる。横方向軸90は、失禁用パッド10の長さが、長手方向軸80と平行である場合にその長さを二分し、長手方向軸80は、失禁用パッド10の幅が横方向軸90と平行である場合にその幅を二分する。更に、示されるように、MD方向は、失禁用パッド10の長手方向軸80に対して概ね平行であり得、CD方向は、横方向軸90に対して概ね平行であり得る。
【0031】
失禁用パッド10は、概ね細長い楕円形からなる。しかしながら、任意の好適な形状が用いられてもよい。いくつかの例としては、砂時計(ピーナッツ)、オフセット砂時計(一方の端部が反対側の端部よりも幅が広く、両端部の間の中間部が狭い)などが挙げられる。失禁用パッド10は、長手方向軸80を中心に対称であってもよく、又は長手方向軸80を中心に非対称であってもよい。同様に、失禁用パッド10は、横方向軸90を中心に対称であってもよく、又は横方向軸90を中心に非対称であってもよい。
【0032】
失禁用パッド10は、長手方向軸80に対して概ね平行に延在する複数の側縁部22及び24を含むシャーシ20を更に備え得る。一対の端縁部26及び28は、側縁部22及び24のそれぞれと接合する。一方の端縁部26は、失禁用パッド10の第1の端部区域40で側縁部22及び24に接合し、もう一方の端縁部28は、失禁用パッド10の第2の端部区域48で側縁部22及び24に接合し、第2の端部区域48は、第1の端部区域40と対向する。中間区域44は、第1の端部区域40と第2の端部区域48との間に配設される。
【0033】
図1のシャーシ20は、図2の断面図に示される。とりわけ、シャーシ20は、一次トップシート203を含む。この一次トップシートは、着用者対向表面203A及び衣類対向表面203Bを有する。パッド10のこのシャーシ20は、バックシート207を更に備え、これはまた、それ自体の着用者対向表面207A及びその反対の衣類対向表面207Bを含む。これら2つの構成要素は、吸収システム205を挟む。換言すれば、吸収システム205は、トップシート203とバックシート207との間に配設される。3つの構成要素(すなわち、トップシート203、バックシート207及び吸収システム205)の全てが、パッド10のシャーシ20を形成する。追加の層が、このシャーシ20内に、特にトップシート203とバックシート207との間に非常に良好に含まれ得るが、これらの層は、吸収システムから分離され、離間していることに留意すべきである。好適な追加の層には、二次トップシート、捕捉層、後述されることになる層全体及びその上の追加の分配層、並びに他の有用な層が含まれ得る。二次トップシートの場合、一次トップシート203の下かつシステムの身体対向表面上に配設される。ある特定の実施形態では、二次トップシート(「secondary topsheet、STS」としても知られる)は、吸収システム205よりも大きい長さ及び幅を有する。
【0034】
シャーシ20は、着用者対向表面20A及び衣類対向表面20Bを更に含む。着用者対向表面20Aはトップシート203を含み得、衣類対向表面20Bはバックシートを含み得る。
【0035】
吸収システム205は、複数の層から形成されており、体液又は滲出物を迅速に捕捉し、システムの長さに沿って分配するように配向されている。図3は、本発明の吸収システムを示す。バックシート207の上に位置付けられた吸収システム205を見せるために一次トップシート203を取り除いたパッド10の平面図を示す。図4は、この吸収システム205の断面をより詳細に示す。吸収システム205は、第1の分配層62上に配設された第1の超吸収性層61を含み得る第1の吸収性コア60を含んでもよい。第1の吸収性コア60は、着用者対向表面60Aと、上部表面に対向する衣類対向表面60Bと、を有する。それに加えて、第1の吸収性コア60は、第1の端部66と、第1の端部66に対向する第2の端部67と、を有する。
【0036】
吸収システム205は、第2の超吸収性層71及び第2の分配層72を含み得る第2の吸収性コア70を更に含んでもよい。この第2の吸収性コア70はまた、着用者対向表面70A及び衣類対向表面70B、第1の端部76、並びに同様に対向する第2の端部77を有する。図3及び4の実施形態では、第1の分配層62は、システムの長さに沿ってオフセットした方式又は構成で第2の分配層72に接合される。このような構成では、前述のように、第1の超吸収性層61が第1の分配層62よりも一次トップシートにより近位にあるので、第1の吸収性コアをエンボス加工プロセスにさらすときに注意を払うべきである。
【0037】
別の構成では、第2の吸収性コア70は、第1の分配層の代わりに第1の超吸収性層61に接合されてもよい。このような事例では、第1の超吸収性層61が第2の超吸収性層71又は第2の分配層72のいずれかに接合され得る点を除いて、積層体は同様にオフセットした方式で互いに接合され得る。
【0038】
本明細書で使用するとき、「オフセット」又は「オフセットした方式」とは、関心対象の層又は積層体がねじれていること、及び層又は積層体が互いに重なっているとき、それぞれの第1の端部又は第2の端部が、z方向に整列していないこと(すなわち、1つの層又は吸収性コアの第1の端部が、下又は上にある隣接した層又は積層体の第2の端部と隣接していない)。第1の分配層62と第2の分配層72とのこのオフセット接合形態は、吸収システム205の中央部分205Cを形成する、2つの吸収性コアが重なり合う接合領域を与える。システムの中央部分205Cは、結果として、システムの前端部分及び後端部分205Rの両方によって各側に結合される。換言すれば、前端部分205F及び後端部分205Rは、システム205の対向する端部にそれぞれ配設されている。前端部分205Fは、第1の吸収性コア60の第1の端部66又は第2の端部67から形成され、システム205の後端部分205Fは、第2の吸収性コア70の第1の端部76又は第2の端部77によって形成される。図3の実施形態では、第1及び第2の吸収性コアの第1の端部66、76は、互いに対向し、吸収システム205の前端部分205F及び後端部分205Rをそれぞれ形成する。代替の実施形態では、第1及び第2の吸収性コアの第2の端部67、77は、互いに対向し、吸収システム205の前端部分205F及び後端部分205Rをそれぞれ形成し得る。両方の事例において、第1の端部66、76は、第1及び第2の吸収性コアの入れ子式の切れ目から導出された雄型接続の形態をなす。同様に、第2の端部67、77は、第1及び第2の吸収性コアそれぞれの入れ子式の切れ目から導出された雌型接続の形態をなす。
【0039】
一実施形態では、システム205の中央部分205Cを形成する重なり合った領域又は区域は、より高い能力、より大きい空隙容量、又は吸収システム205の前端部分205F及び後端部分205Fよりも大きい厚さのうちの少なくとも1つの特徴を有し得る。この実施形態は、そのようなパッドの女性使用者が典型的にパッドに接触し、流体を排出する中央部において高められた漏れ保護を提供するために特に有用である。
【0040】
物品長さ
本明細書に記載される基本的な部分に加えて、本開示の吸収性物品は、多種多様な使用者の身体サイズ及び状況、例えば、日中対夜間の使用に対応するための物品長さの範囲を示し得る。例えば、小型のパッドは、物品長さ法に従って、約250mm~約329mmの長さを有し得る。特定の実施形態では、物品長さは、250mm、255mm、260mm、及び265mm超であり、329mm、325mm、315mm、305mm、295mm、285mm、及び275mm未満である。中間サイズのパッドは、物品長さ法に従って約330mm~約370mmのパッド長さを備えてもよい。特定の実施形態では、物品長さは、330mm、335mm、340mm、及び345mm超であり、370mm、365mm、360mm、355mm、及び350mm未満である。一実施形態において、物品の長さは約348mmである。また、大型のパッドは、物品長さ法に従って約371mm~約500mmの物品長さを示し得る。特定の実施形態では、物品長さは、371mm、380mm、390mm、及び395mm超であり、500mm、490mm、480mm、470mm、460mm、450mm、440mm、430mm、420mm、及び410mm未満である。一実施形態において、物品長さは約400mmである。使い捨て吸収性物品の長さは、様々な理由で重要である。
【0041】
まず、物品は、使用中に物品が経験する可能性のある、意図された侵襲領域を覆うのに十分な長さであるべきである。これは、製品が日中着用され、トイレ設備へのアクセスがより容易であるために、消費者が、物品を着用する時間の間に取り除かれる流体が比較的最小限であることを予想する限り、より短いパッドで十分であり得ることを意味する。加えて、着用者の身体が着座又は起立位置にあり、侵襲領域が、流体排除領域、すなわち生殖器に対してほぼ直角であるときもまた、日中は、より短いパッドがより好適であり得る。トイレ設備へのアクセス性の悪さ、運動機能の低下又は膀胱制御の衰弱に起因する排尿事象制御不能の高まりなどの理由のため、着用者の吸収性に対する必要性が増加するので、パッド長さを増加させて、より多くの吸収性材料の組み込み及び排出される流体が保持され得る被覆領域の増大を可能にすることが望ましいと考えられる。加えて、夜間又は着用者がベッドにいる間に着用される使い捨て吸収性物品は、最も長いパッド長さのものである傾向がある。これは典型的には、着用者が、就寝時又は就床時に、トイレ設備に適時にアクセスするのに必要とされるほど迅速に反応することができない場合である。更に、着用者が就床している際に液体が排出されると、流体にかかる引力に起因して、通常、着用者が仰向けに就床している場合に臀部領域まで、又は着用者が俯せに就床している場合には鼠径部まで性器領域表面に沿って、排出された流体がパッドの長さに沿って這い伝う傾向がある。物品長さが、典型的にはパッドの種類の製品に相当するとみなされ得るが、かかるパッドが、下着の代わりに着用され得るパンツ製品に非常に良好に一体化され得ることが本明細書では想定されることに留意するべきである。
【0042】
エンボスパターン
前述したように、本開示の吸収性物品のいくつかの層は、一緒にエンボス加工されてもよい。任意の好適なエンボスパターンが利用されてよい。一例として、好適なエンボスパターンは、略弓形のチャネルを含んでもよい。これらの略弓形のチャネルは、開放端又は閉鎖端を備えてもよい。これらのチャネル内で、高度に圧縮された領域の各領域は、より低度に圧縮された領域と交番してもよい。中央チャネルは、物品の中央領域を実質的に取り囲んで、予想される流体侵襲の領域内の隣接するチャネル間の適切な幅を確保し得る。
【0043】
より大きなパッドによって、追加のチャネルが確保され得る。例えば、いくつかの吸収性物品は、前側区域チャネル及び/又は後側区域チャネルを含んでもよい。前側区域チャネル及び/又は後側区域チャネルは、中央チャネルに非常に似た弓形チャネルを含んでもよい。中央チャネルの外観を滑らかにするために、前側区域チャネル及び/又は後側区域チャネルは、中央チャネルの隣接する端部よりも大きい曲率半径を備えてもよい。これにより、エンボスパターン全体に、より丸みを帯びた外観が提供され得る。本開示の吸収性物品と共に使用するためのいくつかの好適なエンボスパターンは、米国特許出願公開第2007/0005036号、同第2005/0124951号、及び同第2006/0116653号に更に詳細に記載されている。
【0044】
前述したように、エンボス加工されたチャネルは、多くの流体獲得/分配利益を提供することができるが、エンボス加工されたチャネルはまた、使用者に視覚的合図を提供することもできる。具体的には、中央チャネルは、パッドの意図された流体入口の領域を少なくとも部分的に包含することができる。したがって、本開示のチャネルは、パッド長さの増加と共に長さを増加させることができる。例えば、より小さいサイズ(例えば、長さが約330mm以下)では、中央チャネルは、パッドの全長の53パーセント以下、より好ましくは約50パーセント以下、又は最も好ましくは約47パーセント以下の長さを備えてもよく、具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれによって生成される任意の範囲が挙げられる。例えば、中央チャネルは、パッドの全長の約25パーセント~約53パーセント、より好ましくは全長の約30~約50パーセント、又は最も好ましくは全長の約35パーセント~約47パーセントの長さを含んでもよく、具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれによって生成される任意の範囲が挙げられる。
【0045】
約330mmを超えるより大きなサイズの場合、エンボス加工パターン全体、すなわち中央チャネル、前側領域チャネル、及び後側領域チャネルの長さは、パッドの全長の80パーセント以下、より好ましくは約75パーセント以下、又は最も好ましくは約70パーセント以下の長さを有してもよく、具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれによって生成される任意の範囲が挙げられる。例えば、本開示のエンボス加工パターンは、パッドの全長の約30パーセント~約80パーセント、約40パーセント~約75パーセント、又は最も好ましくは約50パーセント~約70パーセントの全長を備えてもよく、具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれによって生成される任意の範囲が挙げられる。
【0046】
図6~8は、例示的なエンボスパターンを含む吸収性物品を示す。特に図6を参照すると、中央チャネルを備える吸収性物品600が示されている。中央チャネルは、第1の部分655と第2の部分665とを備えてもよい。第1の部分655と第2の部分665は、互いの鏡像であってもよく、すなわち、吸収性物品600の長手方向軸に対して対称であってもよい。しかしながら、前述したように、第1の吸収性コアのみがエンボス加工され、第1の吸収性コアと第2の吸収性コアが互いにオフセットされる場合、第1の部分655と第2の部分665は、吸収性物品600の横方向軸に対して対称でなくてもよい。例えば、図示のように、中央チャネルは、エンボスパターンのより大きな割合が後縁部(「TE」)側よりも前縁部(「LE」)側により近位にあるようにオフセットされてもよい。
【0047】
第1の部分655及び第2の部分665は、対向するレッグカフ620と630との間に配設される。加えて、折り目675及び685は、第1の部分655及び第2の部分665が折り目675に重なるが、第2の折り目685には重ならないように配置されてもよい。
【0048】
図7に示すように、吸収性物品700は、第1の部分755及び第2の部分765を有する中央チャネルを備える。加えて、吸収性物品700は、前側領域チャネル705及び後側領域チャネル715を備えてもよい。図示のように、前側領域チャネル705及び後側領域チャネル715の両方の曲率半径が、中央チャネルの端部の曲率半径よりも大きい。この特定の例では、第1の部分755と第2の部分765は、それらのそれぞれの端部で接合されていない。しかしながら、それらの端部で接合された第1の部分755及び第2の部分765の投影半径は、前側領域チャネル705及び後側領域チャネル715の半径よりも小さい。そのような構成は、吸収性物品700上のエンボス加工パターンに、全体的により丸みのある外観を提供することができる。
【0049】
図6の吸収性物品と同様に、中央チャネル、前側領域チャネル705、及び後側領域チャネル715の各々は、対向するレッグカフ720と730との間に配設される。加えて、折り目775及び785は、中央チャネルに重なるように構成されてもよい。前述したように、エンボス加工されたチャネルは、優先的な屈曲軸を発生させ得ることは注目に値する。したがって、横方向に延在するエンボスチャネルに近すぎる位置に折り目が配置されている場合、物品の折り畳みは所望通りではない可能性があると考えられる。例えば、折り目が、横方向に延在するエンボス加工されたチャネルに近すぎる場合、物品の折り畳みは、この領域で少し不鮮明になり、折り目では起こらない可能性があると考えられる。したがって、折り目は、エンボスチャネルの横方向に延在する部分から少なくとも5mm離間されるべきであると考えられる。例えば、後側領域チャネル715の頂点と折り目785との間の距離790は、少なくとも5mmであるべきであると考えられる。同じことが、前側領域チャネル705の頂点と折り目775との間の距離にも当てはまると考えられる。
【0050】
図8に示すように、吸収性物品800は、第1の部分855及び第2の部分865を有する中央チャネルを備える。加えて、吸収性物品800は、前側領域チャネル805及び後側領域チャネル815を備えてもよい。図示のように、前側領域チャネル805及び後側領域チャネル815の両方の曲率半径が、中央チャネルの端部の曲率半径よりも大きい。そのような構成は、吸収性物品700上のエンボス加工パターンに、全体的により丸みのある外観を提供することができる。
【0051】
この特定の例では、第1の部分855と第2の部分865は、それらのそれぞれの端部で接合されている。したがって、図6及び図7の第1及び第2の部分とは異なり、第1及び第2の部分855及び865は、それぞれ別個のチャネルではない。むしろ、第1の部分855及び第2の部分865の各々は、それらの端部で接合される。
【0052】
加えて、中央チャネル、前側領域チャネル805、及び後側領域チャネル815の各々は、対向するレッグカフ820と830との間に配設される。図7と同様に、折り目875及び885は、中央チャネルに重なるように構成されてもよい。図7と同様に、第1の部分855及び第2の部分865の端部が接合される場合、チャネルの横方向に延在する部分が形成されると考えられる。更に、第1の部分855及び第2の部分865の頂点と折り目885との間の距離890は、少なくとも5mmであるべきであると考えられる。
【0053】
所望の領域で折り畳まれる「きれいな」折り目を維持するために、折り目とエンボスチャネル又はエンボス要素の横方向部分との間の距離は、少なくとも5mmであり得る。しかしながら、製造公差における変動性に適応するために、距離は、少なくとも5mm、より好ましくは少なくとも7mm、又は最も好ましくは少なくとも9mmであり得、具体的には、これらの範囲内の全ての値及びそれによって生成される任意の範囲が挙げられる。
【0054】
乾燥パッド厚
上述の特性と併せて、本発明の物品はまた、パッド厚さ方法に従って、約4.4mm~約9.5mmの乾燥パッド厚を示す。望ましい捕捉時間に関連して上述のように、消費者が製品の吸収性能に自信をもって消費者の使い捨て吸収性製品を着用することができることが、消費者にとって重要である。消費者にとって吸収性とほぼ同様に肝要なことは、物品が目立たないという概念である。これは、消費者が、他人には気付かれずに、かつ着用する必要があるために物品を着用しているということを消費者自身に定期的に思い起こさせることなく、物品を着用したいということを意味する。この見地より、物品は、可能な限り薄いものであることが望ましい。したがって、本発明の物品は、約5mm、5.5mm、又は6mmを超え、かつ約9mm、8.5mm、8mm、7.5mm、7mm、又は6.5mm未満の乾燥パッド厚を示す。
【0055】
一次トップシート
シャーシ20の一次トップシート203(本明細書では「トップシート」とも称される)は、吸収システム205の身体対向表面203Aに隣接して位置付けられ、当該技術分野において周知のものなどの取り付け方法(図示せず)によってそれに及びバックシート207に接合されてもよい。好適な取り付け方法についは、バックシート207を吸収システム205に接合することに関して説明する。トップシート203及びバックシート207は、失禁用パッドの周辺部で互いに直接接合されてもよく、また、それらを吸収システム205、又は物品の全体若しくは部分領域に及ぶ二次トップシートのようなシャーシ内の追加の任意選択の層に直接接合することによって、一緒に間接的に接合されてもよい。この間接接合又は直接接合は、当該技術分野において周知である取り付け方法によって実現することができる。
【0056】
吸収性物品は、着用者の皮膚に対して適合し、柔らかな感触であり、刺激がないものなど、任意の既知の、又は他の有効な一次トップシートを含んでもよい。好適な一次トップシート材料としては、着用者の身体に向かって配向され、身体に接触して、流体がトップシートを通って着用者の皮膚に逆流することなく、身体の排泄物が通って迅速に浸透できる、液体透過性材料が挙げられる。一次トップシートが、トップシートを通る流体の迅速な移動を可能にできる一方、ローション組成物が着用者の皮膚の外側又は内側部分の上へ移動又は移行するようにする。好適なトップシートは、織布材料及び不織布材料;有孔形成熱可塑性フィルム、有孔プラスチックフィルム、及び交絡繊維有孔フィルムを含む有孔フィルム材料;ハイドロフォームされた熱可塑性フィルム;多孔質発泡体;網状発泡体、網状熱可塑性フィルム;熱可塑性スクリム;又はこれらの組み合わせなどの様々な材料で作製され得る。
【0057】
トップシートとして使用するのに好適な有孔フィルム材料としては、身体排泄物に対して非吸収性及び透過性であり、トップシートを通る流体の逆流を最小にするか又は排除する有孔プラスチックフィルムが挙げられる。有孔形成フィルム及び非有孔形成フィルムを含む他の好適な形成フィルムの非限定例は、1975年12月30日にThompsonに発行された米国特許第3,929,135号、1982年4月13日にMullaneらに発行された米国特許第4,324,246号、1982年8月3日にRadelらに発行された米国特許第4,342,314号、1984年7月31日にAhrらに発行された米国特許第4,463,045号、1991年4月9日にBairdに発行された米国特許第5,006,394号、1986年9月2日にCurroらに発行された米国特許第4,609,518号、及び1986年12月16日にCurroらに発行された米国特許第4,629,643号においてより完全に記載されている。市販の形成フィルムのトップシートには、Procter & Gamble Company(オハイオ州シンシナティ)からDRI-WEAVE(登録商標)という商品名で市販されているトップシート材料が含まれる。
【0058】
トップシートとして使用するのに好適な織布及び不織布材料の非限定例としては、天然繊維、改質天然繊維、合成繊維、又はこれらの組み合わせから作製された繊維状材料が挙げられる。これらの繊維状材料は、親水性であっても疎水性であってもよいが、トップシートは疎水性であるか又は疎水性になることが好ましい。親水性成分を含有するトップシートを作製する任意の既知の方法を用いて、任意選択としてトップシートの一部を親水性にすることができる。1つのそのような方法は、1990年8月21日にOsbornに発行された米国特許第4,950,264号に記載されているように、不織材/有孔熱可塑性形成フィルムのトップシートの有孔フィルム成分を界面活性剤で処理することを含む。トップシートを界面活性剤で処理するためのプロセスについて記載している他の好適な方法は、どちらも1991年1月29日にReisingらに発行された米国特許第4,988,344号及び同第4,988,345号に開示されている。トップシートは、親水性繊維、疎水性繊維、又はこれらの組み合わせを有してよい。
【0059】
特定の好適なトップシートは、約1.5のデニールを有するステープル長ポリプロピレン繊維、例えばHercules,Inc.(Wilmington,Del)から市販されているHercules型151ポリプロピレンを含む。本明細書で使用するとき、「ステープル長の繊維」という用語は、少なくとも約15.9mm(0.62インチ)の長さを有する繊維を指す。
【0060】
一次トップシートが不織布ウェブの形態の不織布繊維状材料を含む場合、不織布ウェブは、不織布ウェブを作製する任意の既知の手順により製造されてもよく、この非限定例としては、スパンボンディング、カーディング、ウェットレイド、エアレイド、メルトブローン、ニードルパンチング、機械交絡、熱機械交絡及び水流交絡が挙げられる。好適なメルトブローンプロセスの特有の例は、1976年8月31日に発行されたBuntinらの米国特許第3,978,185号に開示されている。不織材は、2010年8月31日に発行された「Compression Resistant Nonwovens」という名称の米国特許第7,785,690号に記載されているように、耐圧縮性とすることができる。不織材ウェブは、2010年11月23日に発行された「Looped Nonwoven Web」という名称の米国特許第7,838,099号に記載されているように、ループを有することができる。
【0061】
他の好適な不織材料には、低坪量不織材、即ち坪量が約18g/m~約25g/mの不織材が含まれる。そのような不織材料の一例は、マサチューセッツ州ウォルポール所在のInternational Paper Companyの一部門であるVeratec,Incorporationから商品名P-8で市販されている。他の不織材は、米国特許第5,792,404号及び米国特許第5,665,452号に記載されている。
【0062】
トップシートは、2014年5月20日に発行された「Absorbent Article Having a Tufted Topsheet」という名称の米国特許第8,728,049号、2009年6月30日に発行された「Tufted Fibrous Web」という名称の米国特許第7,553,532号、2007年2月6日に発行された「Tufted Laminate Web」という名称の米国特許第7,172,801号、又は2013年5月14日に発行された「Capped Tufted Laminate Web」という名称の米国特許第8,440,286号に記載されるように、タフトを含み得る。一次トップシートは、2010年1月19日に発行された「Inverse Textured Web」という名称の米国特許第7,648,752号に記載されるように、逆織りウェブを有し得る。タフトはまた、2008年8月12日に発行された「Tufted Laminate Web」という名称の米国特許第7,410,683号に記載されている。
【0063】
一次トップシートは、2010年2月2日に発行された「Method of Making a Polymeric Web Exhibiting A Soft and Silky Tactile Impression」という名称の米国特許第7,655,176号、又は2008年7月22日に発行された「Polymeric Web Exhibiting A Soft And Silky Tactile Impression」という名称の米国特許第7,402,723号に記載されているように、明確な毛髪様フィブリルのパターンを有し得る。
【0064】
一次トップシートは、2013年12月24日に発行された「Absorbent Article」という名称の米国特許第8,614,365号に記載されているように、1つ以上の構造的に修飾されたゾーンを含み得る。一次トップシートは、2014年4月22日に発行された「Sanitary Napkin for Clean Body Benefit」という名称の米国特許第8,704,036号に記載されるように、平面変形のうちの1つ以上を有し得る。一次トップシートは、2000年2月15日に発行された「Topsheet For Absorbent Articles Exhibiting Improved Masking Properties」という名称の米国特許第6,025,535号に記載されるように、マスキング組成物を有し得る。
【0065】
別の好適な一次トップシート又は二次トップシートと組み合わせた一次トップシートは、Jill M.Orrの名前で2016年3月11日に出願された「A Three-Dimensional Substrate Comprising a Tissue Layer」という名称の米国仮特許出願第62/306,676号に詳述されるように、3次元基材から形成され得る。この3次元基材は、第1の表面、第2の表面、ランド領域を有し、また3次元基材の第2の表面から外方に延びる3次元突出部を含み、この3次元突出部は、ランド領域によって囲繞される。基材は、対面関係にある少なくとも2つの層を含む積層体であり、第2の層は、3次元基材の第2の表面から外方に面する組織層であり、組織層は、組織層の少なくとも80重量%のパルプ繊維を含む。
【0066】
一次トップシートは、1つ以上の層、例えばスパンボンド-メルトブローン-スパンボンド材料を有し含み得る。一次トップシートは、有孔であってもよく、任意の好適な3次元特徴部を有してよく、及び/又は複数のエンボスを有してもよい(例えば、ボンドパターン)。トップシートは、1997年5月13日にBensonらに発行された、米国特許第5,628,097号に開示されているように、材料をオーバーボンディングした後、リング圧延によってオーバーボンドを破断することによって有孔にすることができる。シャーシ20(すなわち、一次トップシート及び/又はバックシート)における追加の横方向拡張性は、様々な方法で提供され得る。例えば、一次トップシート又はバックシートのいずれかを、多くの既知の方法のうちのいずれかによってプリーツ加工することができる。代替的に、シャーシの全て又は一部分が(すなわち、一次トップシート及び/又はバックシートが同様に)、Chappellらの名義で1996年5月21日に発行された米国特許第5,518,801号に記載されているもののような、形成ウェブ材料又はウェブ材料の形成積層体から作製されてもよい。このような形成ウェブ材料は、エンボス加工又は別の変形方法によって元の材料が変更されて、概ね長手方向に配向された交番する隆起部と谷部のパターンを形成する、別個の横方向に延在する区域を含む。形成ウェブ材料はまた、横方向に延在する改変区域の間に位置した、横方向に延在する非改変区域を含む。
【0067】
二次トップシート
前述したように、本開示の使い捨て吸収性物品は、追加の層を含み得、それらのうちの1つは、二次トップシートを含む。前述したように、二次トップシートは、吸収システムから分離され、離間していてもよい。更に、二次トップシートは、一次トップシート203の下かつシステムの身体対向表面上に配設されている。いくつかの形態では、二次トップシートは、約40gsm~約100gsm、約45gsm~約75gsm又は約50gsm~約60gsmの秤量を有し得、具体的には、これらの範囲内の全ての値又はそれにより生成される任意の範囲を含む。いくつかの形態では、二次トップシートは、繊維の均質な混合を含んでもよい。
【0068】
例示的な二次トップシートは、米国特許第10,532,123号及び同第10,307,309号、米国特許出願公開第2019/0247244号、同第2018/0098893号及び同第2020/0306099号に更に詳細に記載されている。
【0069】
バックシート
シャーシ20のバックシート207は、吸収システム205の衣類対向表面に隣接して位置付けられてもよく、当該技術分野において周知のものなどの取り付け方法(図示せず)によって、それに接合されてもよい。例えば、バックシート207は、接着剤の均一な連続層、接着剤のパターン化された層、又は接着剤の独立した線、螺旋、若しくは点の配列によって、吸収システム205に固定され得る。代替的に、取り付け方法は、熱接着、圧力接着、超音波接着、動的機械的接着、若しくは当該技術分野で既知の他の任意の好適な取り付け方法又はこれらの取り付け方法の組み合わせの使用を含んでもよい。吸収システム205がバックシート207、トップシート203、又はその両方に接合されない本開示の形態も企図される。
【0070】
バックシート207は、液体(例えば、尿)に対して不透過性又は実質的に不透過性であってもよく、また、薄いプラスチックフィルムから製造されてもよいが、他の可撓性の液体不透過性材料を使用することもできる。本明細書で使用するとき、「可撓性」という用語は、順応性があり、人体の一般的な形状及び輪郭に容易に適合する材料を指す。バックシート207は、吸収システム205中に吸収され収容された浸出物が、下着などの失禁用パッド10に接触する衣類を濡らすことを防ぐか、又は少なくとも抑制し得る。しかしながら、場合によっては、バックシート207は、蒸気が吸収システム205から逃げることを可能にしてもよく(すなわち、通気性である)、他の場合では、バックシート207は、蒸気が逃げることを可能にしなくてもよい(すなわち、非通気性である)。したがって、バックシート205は、ポリエチレン又はポリプロピレンの熱可塑性フィルムなどのポリマーフィルムを含む場合がある。バックシート207に好適な材料は、例えば、約0.012mm(0.5mil)~約0.051mm(2.0mil)の厚さを有する熱可塑性フィルムである。当該技術分野において既知の任意の好適なバックシートが本発明と共に利用され得る。
【0071】
バックシート207は、その衣類の表面へと吸収システム205を通過し得る任意の吸収された体液に対するバリアとして作用し、結果として下着又は他の衣類を汚す危険性を低減する。更に、バックシートのバリア性は、着用者が所望する場合、陰唇間吸収性物品を手で取り外すことを可能にし、手が汚れる危険性を低減する。好ましい材料は、快適さのために柔らかさ及び共形性を提供し、かつ動きによって望ましくない音が生じないように低ノイズである、柔らかく滑らかで柔軟性のある、液体及び蒸気を通す材料である。
【0072】
バックシートは、1999年3月23日に発行された米国特許第5,885,265号(Osborn,III.)に記載されるように、一次湿潤強度樹脂を組み込んだ湿式繊維集合体を含み得る。バックシートは、接着剤材料が上に広がるのを妨げることなく、バックシートを体液に対して遮水性にする耐水樹脂状材料で更にコーティングされてもよい。
【0073】
別の好適なバックシート材料は、約0.012mm(0.5ミル)~約0.051mm(2.0ミル)の厚さ有するポリエチレンフィルムである。バックシートは、より布様の外観を提供するために、エンボス加工及び/又はつや消し仕上げされてもよい。更に、体液がバックシートを通過することを防ぎながらも、バックシートは、蒸気を吸収システムから逃がすのを可能にし得る(すなわち、バックシートは通気性である)。好ましい微孔性ポリエチレンフィルムは、米国バージニアのTredegar Corporationからコード番号XBF-1 12Wで入手可能である。
【0074】
伸縮性であるが非弾性のバックシートの場合、使用され得る1つの材料は、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレン繊維で形成された約30~40g/m2の秤量を有する、疎水性、伸縮性のスパンレース不織布材料である。この材料は通気性、すなわち水蒸気及び他のガスに対して透過性である。
【0075】
弾性バックシートの場合、使用され得る1つの材料は、Exxon Corporationから商品名EXX500で販売されている弾性フィルムである。このフィルムの材料は、スチレンブロックコポリマーからなるエラストマー基材組成物から形成される。しかしながら、この材料は通気性でない。弾性バックシートに使用され得る別の材料は、弾性ストランドをフィルムに取り付けることなく弾性様の特性を提供するプロセスを経たプラスチックフィルムであり、例えば、米国特許第4342314号(Radelら)及び同第4463045号(Ahrら)に従って作製された形成フィルムを含む。
【0076】
本明細書での使用に好適な通気性バックシートは、当該技術分野で周知の全ての通気性バックシートを含む。原則的に、2つのタイプの通気性バックシートがあり、通気性及び遮水性のある単一層の通気性バックシートと、組み合わせると通気性と遮水性の両方を提供する少なくとも2つの層を有するバックシートとがある。本明細書での使用に好適な単一層の通気性バックシートとしては、例えば英国特許第A2184389号、英国特許第A2184390号、英国特許第A2184391号、米国特許第4,591,523号、米国特許第3 989 867号、米国特許第3,156,242号、及び国際公開第97/24097号に記載されているものが挙げられる。
【0077】
バックシートは、2002年10月8日に発行された米国特許第6,462,251号(Cimini)に記載されるように、2つの層、すなわち気体透過性の有孔形成フィルム層を含む第1の層と、通気性有孔形成フィルム層を含む第2の層とを有し得る。本明細書での使用に好適な二層又は多層の通気性バックシートとしては、米国特許第3,881,489号、米国特許第4,341,216号、米国特許第4,713,068号、米国特許第4,818,600号、欧州特許第203 821号、欧州特許第710 471号、欧州特許第710 472号、及び欧州特許第793 952号に例示されているものが挙げられる。
【0078】
バックシートは、2デニールのポリプロピレン繊維の、比較的疎水性の18グラム/平方メートル(gsm)のスパンボンド不織布ウェブであってもよい。バックシートはまた、当該技術分野で既知のように積層体であってもよい。
【0079】
バックシートは、2003年9月23日に発行された米国特許第6,623,464号(Bewick-Sonntag)又は2003年12月16日に発行された米国特許第6,664439号(Arndt)に記載されるように、蒸気透過性であり得る。バックシートは、当該技術分野において既知の任意の蒸気透過性材料から形成することができる。バックシートは、微孔質フィルム、有孔形成フィルム、又は当該技術分野において既知のように、蒸気透過性であるか若しくは蒸気透過性にされる他のポリマーフィルムであり得る。
【0080】
バックシートは、約20gsm~約50gsmの坪量を有する不織布ウェブであってもよい。一実施形態では、バックシートは、Fiberweb NeubergerからF102301001の名称で入手可能な4デニールポリプロピレン繊維の、比較的疎水性の23gsmスパンボンド不織布ウェブである。バックシートは、2002年8月20日発行の米国特許第6,436,508号(Ciammaichella)に記載されるように、非水溶性の液体膨潤性材料でコーティングされていてもよい。
【0081】
バックシートは、衣類対向側と、反対側の身体対向側とを有する。バックシートの衣類対向側は、非接着領域と接着領域とを含む。接着領域は、任意の従来の手段によって提供され得る。感圧性接着剤が、この目的に対して十分に機能することが概して見出されている。
【0082】
吸収システム
本発明の吸収システム205は、楕円形、ディスコ矩形(discorectangle)、矩形、非対称形状及び砂時計形を含むが、これらに限定されない任意の好適な形状を含み得る。例えば、本発明のいくつかの形態では、吸収システム205は、輪郭ある形状、例えば中間領域が端部領域よりも狭い形状を含み得る。更に別の例としては、吸収システムは、パッドの一方の端部領域により広い部分を有し、パッドのもう一方の端部領域のより狭い端部領域に向かって先細りになる、先細形状を含み得る。吸収システム205は、MD及びCDに様々な剛度を含み得る。
【0083】
先に詳述されるように、吸収システム205は、第1の吸収性コア及び第2の吸収性コアを含むことができる。いずれも、概して圧縮性で、形状適合性があり、着用者の皮膚を刺激せず、尿、及び経血を含む他のある特定の身体排出物などの液体を吸収して保持することが可能である。
【0084】
吸収システム205の構成及び構造は様々であってよい(例えば、吸収システム205は、変化するキャリパゾーン、親水性勾配、超吸収性勾配、又はより低い平均密度及びより低い平均坪量の捕捉ゾーンを有してよい)。更に、吸収システム205の寸法及び吸収能力を、様々な着用者に適応するように変化させることも可能である。しかしながら、吸収システム205の合計吸収能力は、使い捨て吸収性物品又は失禁用パッド10の設計負荷及び意図された用途に適合するべきである。
【0085】
本発明のいくつかの形態では、吸収システム205は、第1及び第2の吸収性コアの他に、複数の多機能層を含むことができる。例えば、吸収システム205は、第1及び/又は第2の吸収性コア並びに他の任意選択の層を包囲するのに有用なコアラップ(図示せず)を含むことができる。コアラップは、2つの不織布材料、基材、積層体、フィルム、又は他の材料によって形成され得る。一態様では、コアラップは、単一の材料、基材、積層体、又は少なくとも部分的にその周りが包まれた他の材料のみを含み得る。
【0086】
本開示の吸収システム205は、例えば、第1及び第2の吸収性コア内のSAP又は他の吸収性材料を固定化するのを助けるために、1つ以上の接着剤を含むことができる。
【0087】
様々なコア設計による相対的に高い量のSAPを含む吸収性コアが、Goldmanらの米国特許第5,599,335号、Busamらの欧州特許第1,447,066号、Tanzerらの国際公開第95/11652号、Hundorfらの米国特許出願公開第2008/0312622(A1)号及びVan Malderenの国際公開第2012/052172号に開示されている。これらを使用して、超吸水性層を構成することができる。
【0088】
本開示のシステムへの追加が想定される。具体的には、現在の多積層体吸収システムへの予想される追加が、1986年9月9日にWeismanらに発行された「High-Density Absorbent Structures」という表題の米国特許第4,610,678号、1987年6月16日にWeismanらに発行された「Absorbent Articles With Dual-Layered Cores」という表題の米国特許第4,673,402号、1989年12月19日にAngstadtに発行された「Absorbent Core Having A Dusting Layer」という表題の米国特許第4,888,231号及び1989年5月30日にAlemanyらに発行された「High Density Absorbent Members Having Lower Density and Lower Basis Weight Acquisition Zones」という表題の米国特許第4,834,735号に記載されている。吸収システムは、1993年8月10日にAlemanyらに発行された「Absorbent Article With Elastic Waist Feature and Enhanced Absorbency」という表題の米国特許第5,234,423号及び米国特許第5,147,345号に詳説されるように、吸収性貯蔵コア上に位置付けられた、化学的に剛性化された繊維の捕捉/分配コアを収容する二重コア系を模倣する追加の層を更に備えてもよい。これらは、本発明の以下に記載される吸収性コアの効果を打ち消さないか、あるいはその効果と競合しない限りにおいて有用である。
【0089】
第1の吸収性コア及び第2の吸収性コア
第1及び/又は第2の吸収性コアは、互いに同じであるかあるいは異なる横断方向幅を有し得る。例えば、第1の吸収性コアは、当該第2の吸収性コアよりも小さい横断方向幅又は当該第2の吸収性コアよりも大きい横断方向幅を有し得る。ある特定の例では、第1の吸収性コアと第2の吸収性コアは、同じ機械方向長さを有し得るが、他の例では、第1の吸収性コアと第2の吸収性コアは、異なる機械方向の長さを有する。後者の例では、第1の吸収性コアは、第2の吸収性コアよりも小さい機械方向長さを有し得るか、あるいは逆に第1の吸収性コアは、当該第2の吸収性コアよりも大きい機械方向長さを有し得る。
【0090】
第1及び第2の吸収性コア60、70は、それぞれの超吸収性層と分配層との間に配設された任意選択の中間層を更に含んでいてもよい。この任意選択の中間層は、一般にシャーシの任意選択の層に対して本明細書で詳述される材料を含むことができる。
【0091】
更に、本発明の吸収性物品又は失禁用パッドは、超吸収性層及び分配層を含む任意選択の積層体を更に含んでもよい。この任意選択の積層体は、第3、第4、第5又は更に追加の積層体の形態をとり得る。超吸収性層及び分配層は、第1及び第2の超吸収性層及び分配層に対して先に詳述される同じ又は異なる特性を示し得る。この任意選択の積層体は、第1の積層体若しくは第2の積層体の身体対向表面上、又は第1の積層体若しくは第2の積層体の衣類対向表面上に配設することができる。
【0092】
第1及び第2の吸収性コアの各々は、そのそれぞれの第2の端部67、77に対して形状的に相補的である第1の端部66、76を有する。より具体的には、第1の吸収性コアの第1の端部66は、同じ吸収性コアの第2の端部67に形状的に適合する。同じ適合が、第2の吸収性コアの第2の端部77に対する第2の吸収性コアの第1の端部76にも当てはまる。例えば、第1の吸収性コアの第1の端部66は、第1の吸収性コアの第2の端部67に嵌合する。この適合は、整合又は形状嵌合する端部を提供する吸収性コアにおける入れ子式の切れ目から生じる。これはまた、第2の吸収性コアのそれぞれの第1の端部76及び第2の端部77についても該当する。同様に、この特徴はまた、吸収システムに組み込まれ得るいずれの任意選択の層においても一般的であり得る。この吸収性コアの入れ子又は入れ子式の切断機構は、製造中のトリミングの無駄を低減させることができる。
【0093】
第1及び第2の分配層をオーバーラップさせ、接合してオーバーラップ領域を含む中央部205Cを有する吸収システムを形成するときに、それぞれの第1の端部を互いに対向させる方式で、第1及び第2の吸収性コアを構成可能であることも見出された。システム205Fの前端部分は、第1の吸収性コア又は第2の吸収性コアのいずれかの第1の端部66、76から形成されている。システム205Rの後端部分は、第1の吸収性コア又は第2の吸収性コアの他方の第1の端部66、76から同様に形成されている。この構成により、整合する(すなわち、雄型接続)端部を有する吸収性コアが得られる。各吸収性コアの第1の端部は、雄型接続を有するが、各吸収性コアの第2の端部は、雌型接続を有する。そのような場合、第1の端部の雄型接続は、同じ吸収性コアの第2の端部の雌型接続に嵌合(形状に適合)する。別の実施形態では、システムの前端部分は、第1の吸収性コア又は第2の吸収性コアのいずれかの第1の端部66、76から形成されるが、システムの後端部分は、第1の吸収性コア又は第2の吸収性コアの他方の第2の端部67、77から形成される。この場合、第2の端部は、雌型接続として形成されているため、同じシステムの前端部分と整合しない。
【0094】
第3の実施形態では、システムの前端部分は、第1の吸収性コア又は第2の吸収性コアのいずれかの第2の端部から形成される。システムの後端部分も同様に、残りの第1の吸収性コア又は第2の吸収性コアの第2の端部から形成される。この構成により、整合する(すなわち、雌型接続)端部を有する吸収システムが得られる。しかしながら、第1の吸収性コアの幅と第2の吸収性コアの幅は、本明細書に記述されるように同じであっても異なっていてもよいことに留意すべきである。第1及び第2の吸収性コアの各々の第1及び第2の端部の入れ子式の切れ目は、円弧、半円、半楕円、山形、矩形、正弦波、ジグソー、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される形状を有する。
【0095】
一実施形態では、トップシート及びバックシートに加えて、システムは、それぞれの第2の端部に形状的に相補的である第1の端部を有する第1の積層体を含み得、当該吸収性コアは、第1の分配層の上に配設された第1の超吸収性層と、それぞれの第2の端部に形状的に相補的である第1の端部を有する第2の吸収性コアとを含み、当該積層体は、第2の超吸収性層に接合された第2の分配層を含み、当該第1の吸収性コアは、吸収性物品の長さに沿ってオフセットした方式で、当該第2の吸収性コアに接合され、吸収システムは、第2の吸収性コアの第1の端部によって形成された前端部分を有する。
【0096】
本発明の吸収性コアの製造方法に関して、第1の吸収性コア及び第2の吸収性コアを、その機械方向の長さに沿ってスリットされた材料のウェブから形成することが好ましいことが見出された。第1の吸収性コア及び第2の吸収性コアが積層構造を含む場合、この方法は、第1の超吸収性層と第2の超吸収性層が同じであり、第1の分配層と第2の分配層が同じであるときに有用である。この同一性は、形状、坪量及び材料のうちの1つ以上についてであってもよい。分配層の材料の同一性は好適である。単一の積層体をスリットして第1の積層体及び第2の積層体を形成すると、これらの第1及び第2の積層体が接合される。ある特定の実施形態では、第1及び第2の積層体は、本明細書で詳述されるように、それぞれの分配層で互いにオフセットした方式で接合され、当業者に知られている標準的な機械的、熱的、又は化学的方法を介して接合されてもよい。
【0097】
特定の実施形態では、第1の吸収性コア又は第2の吸収性コアは、機械方向又は横断方向に沿って延びる1つ以上の凹部領域を含むことができる。これらの凹部領域は、超吸収性層及び分配層(第1の吸収性コアのものであるか、第2の吸収性コアのものであるか、又は両方のものであるかにかかわらない)のうちの1つ以上の不連続パターンと一致し得る。これらの凹部領域はまた、第1の吸収性コア又は第2の吸収性コアのエンボス加工によって形成されるだけでもよい。これらの凹部領域は、代替として、第1の吸収性コア及び/又は第2の吸収性コアを貫いてスリットを形成する、切り込みを形成する、当該吸収性コアをリングロール加工する、又はそうでなければ当該吸収性コアに機械的変形をもたらすことによって形成され得る。本明細書に記述される凹部領域形成の各方式は、全体物品の優先的屈曲店を提供することができる凹部領域をもたらすことが意図される。例えば、図5は、代替システム205’の2-2での代替断面図を示し、凹部領域88は、機械方向の吸収システム205’の第1及び第2の積層体60’、70’におけるギャップ又はエンボス加工チャネルのいずれかである。これらの凹部領域88は、それらの長さの各々の全体に沿って第1及び第2の積層体60’、70’の両方に存在する必要はない。凹部領域88は、第1及び第2の吸収性コア60’、70’のオーバーラップ接合においてのみ機械方向に存在し得る。それに代わって、凹部領域88は、第1及び第2の吸収性コア60’、70’の長さに沿って横断方向に、あるいは2つのコアのオーバーラップ接合においてのみ存在し得る。これらのような例では、凹部領域が形成された吸収性コアは、より容易に屈曲しやすくなる。凹部領域88が第1及び第2の吸収性コアのうちの1つのみに存在する例では、パッド20が凹部領域88で屈曲する優先傾向となることが期待される。これは、第1の吸収性コアが第2の吸収性コアよりも身体に近い場合に、パッドが身体から離れて屈曲する可能性があることを意味する。身体から離れて配置された第2の吸収性コア70’が、凹部領域を含み、第1の吸収性コア60’が含まない事象において、反対も同様に真であり得る。この例では、パッド20は、身体に向かって屈曲する優先傾向を示すことができる。パッドの全体的な構成に応じて、特定の例では、いずれかの種類の屈曲が好適であり得る。
【0098】
超吸収性層
第1及び第2の吸収性コアがそれぞれ第1及び第2の超吸収性層61、71を含む場合、第1及び/又は第2の超吸収性層は、超吸収性ポリマー又は吸収性ゲル化材料(AGM)を含んでもよい。超吸収性層は、AGM粒子又はAGM繊維を含むことができる。一般に、それらのAGMは、それらの流体吸収性のためにのみ使用されている。このような材料は、流体(例えば、尿、血液など)と接触してヒドロゲルを形成する。他の非常に好ましい種類のヒドロゲル形成、吸収性ゲル化材料は、加水分解されたポリ酸、特に中和されたポリアクリル酸に基づく。この種類のヒドロゲル形成ポリマー材料は、水又は体液などの流体(すなわち、液体)と接触したときに、そのような流体を吸収し、それによりヒドロゲルを形成するものである。このようにして、本明細書において流体吸収性構造に排出される流体を捕捉し、保持することができる。これらの好ましい超吸収性ポリマーは、一般に、重合性、不飽和の酸含有モノマーから調製された実質的に水不溶性の、わずかに架橋された、部分中和されたヒドロゲル形成ポリマー材料を含む。そのような材料において、不飽和の酸含有モノマーから形成されるポリマー成分は、全体ゲル化剤を含み得るか、又はデンプン若しくはセルロースなどの他の種類のポリマー部分にグラフト化されてもよい。加水分解ポリアクリル酸グラフト化デンプン材料は、この後者の種類である。したがって、好ましい超吸収性ポリマーは、加水分解ポリアクリロニトリルグラフト化デンプン、加水分解ポリアクリレートグラフト化デンプン、ポリアクリレート類、無水マレイン酸イソブチレンコポリマー及びこれらの組み合わせを含む。特に好ましい超吸収性ポリマーは、加水分解ポリアクリレート類及び加水分解ポリアクリレートグラフト化デンプンである。
【0099】
好ましい超吸収性ポリマーのポリマー成分の性質が何であっても、そのような材料は、一般にわずかに架橋される。架橋は、これらの好ましいヒドロゲル形成吸収性材料を実質的に水不溶性にするのに役立ち、架橋はまた、ゲル体積、及びそこから形成されるヒドロゲルに特徴的な抽出可能なポリマー特性を部分的に決定する。好適な架橋剤は、当該技術分野において周知であり、例えば、(1)少なくとも2つの重合性二重結合を有する化合物、(2)少なくとも1つの重合性二重結合及び酸含有モノマー材料と反応性の少なくとも1つの官能基を有する化合物、(3)酸含有モノマー材料と反応性の少なくとも2つの官能基を有する化合物、並びに(4)イオン性架橋を形成し得る多価金属化合物を含む。好ましい架橋剤は、不飽和モノカルボン酸又はポリカルボン酸とポリオールとのジエステル又はポリエステル、ビスアクリルアミド、及びジアリルアミン又はトリアリルアミンである。他の好ましい架橋剤は、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリアリルアミンである。架橋剤は、一般的に、約0.001モルパーセント~約5モルパーセントの好ましい材料を含む。より好ましくは、架橋剤は、約0.01モルパーセント~約3モルパーセントの、本明細書で使用される吸収性ゲル化材料を含む。
【0100】
好ましいわずかに架橋したヒドロゲル形成吸収性ゲル化材料は、一般に部分的に中和した形で用いられる。本発明に記載される目的では、このような材料は、ポリマーを形成するために使用されるモノマーの少なくとも約25モルパーセント、50モルパーセント、又は更には75モルパーセントが、塩生成カチオンで中和された酸基含有モノマーであるときに、部分的に中和しているとみなされる。好適な塩生成カチオンには、アルカリ金属、アンモニウム、置換アンモニウム及びアミンが挙げられる。総モノマーのうち中和された酸基を含有するモノマーに使用される割合は、「中和度」と呼ばれる。典型的には、市販の超吸水性ポリマーは、約90%よりもいくらか少ない中和度を有する。
【0101】
本明細書で使用される好ましい超吸水性ポリマーは、流体吸収性物品において遭遇する流体を吸収するために比較的高い容量を有するものである。この容量は、当該超吸収性ポリマーの「ゲル体積」を参照することによって定量化することができる。ゲル体積は、任意の所与の流体吸収性ゲル化剤緩衝剤によって吸収される合成尿の量に関して定義することができ、ゲル化剤グラム当たりの合成尿のグラムとして規定される。
【0102】
合成尿中のゲル体積は、約20部の合成尿で試験される約0.1~0.2部の乾燥流体吸収性ゲル化材料の懸濁液を形成することによって決定することができる。この懸濁液は、約1時間の緩やかな撹拌下で常温に維持され、それにより膨潤平衡が達成される。次いで、ゲル体積(流体吸収性ゲル化材料のグラム当たりの合成尿のグラム)は、懸濁液中のゲル化剤の重量分率、及び懸濁液の全体積に対する形成ヒドロゲルから除外した液体体積の比から算出される。本発明において有用な好ましい超吸水性ポリマーは、吸収性ゲル化材料のグラム当たり約20~70グラム、より好ましくは約30~60グラムのゲル体積の合成尿を有するであろう。
【0103】
前述される吸収性ポリマーは、典型的には離散粒子の形態で使用される。このような超吸収性ポリマーは、任意の所望の形状、例えば、球状又は半円球状、立方晶、ロッド様の多面体などであり得る。針及びフレークのような最大寸法/最小寸法の比を有する形状もまた、本明細書での使用のために考慮される。流体吸収性ゲル化材料粒子の凝集体を使用してもよい。
【0104】
流体吸収性ゲル化材料粒子のサイズは、広範囲にわたって変化し得る。産業衛生の理由のために、約30マイクロメートルより小さい平均粒径は望ましくない。約2mmよりも大きい最小寸法を有する粒子もまた、吸収性物品においてザラツキ感を生じさせる場合があるが、これは消費者の審美的観点から望ましくない。更に、流体吸収の速度は、粒径の影響を受け得る。より大きい粒子は、非常に低減された吸収速度を有する。流体吸収性ゲル化材料粒子は、好ましくは、実質的に全ての粒子に関して約30マイクロメートル~約2mmの粒径を有する。本明細書で使用するとき、「粒径」とは、個々の粒子の最少寸法の加重平均を意味する。
【0105】
これらの超吸収性層は、好ましくはエアフェルトを実質的に含まないため、エアフェルトを含み得る混合層とは異なる。本明細書で使用するとき、「エアフェルトを実質的に含まない」とは、5%、3%、1%、又は更には0.5%未満のエアフェルトを意味する。好ましい場合、超吸収性層において測定可能なエアフェルトがない。第1の超吸収性層の場合、好ましくは第1の分配層の上に不連続に配設される。本明細書で使用するとき、「不連続に」又は「不連続パターンで」とは、超吸収性ポリマーが、切断された形状の領域のパターンで第1の分配層に適用されることを意味する。これらの超吸収性ポリマーの領域又は超吸収性ポリマーを含まない領域は、線状ストリップ、非線形ストリップ、円、矩形、三角形、ウェーブ、メッシュ、及びこれらの組み合わせを含み得るが、これらに限定されない。しかしながら、第2の超吸収性層のような第1の超吸収性層は、それぞれの分配層の上に連続したパターンで配設されていてもよい。本明細書で使用するとき、「連続パターン」又は「連続して」とは、材料が、超吸収性担体材料及び/又は隣接した分配層に途切れることなく配設及び/又は固定され、それによりむしろ分配層の全体が超吸収性ポリマーによって被覆されていることを意味する。
【0106】
ある特定の実施形態では、第1及び第2の超吸収性層は、同じ超吸収性ポリマーを含むことができる。他の実施形態では、第1の超吸収性層及び第2の超吸収性層は、互いに異なる超吸収性層を含み得る。これは、上述される異なる蒸着パターンに加えてもよい。
【0107】
0.2mm、0.3mm、0.4mm、又は0.5mm~1mm、1.2mm、1.4mm、1.8mm、又は2mmの厚さを有する超吸水性層が配設される。第1の超吸収性層及び第2の超吸収性層は、それぞれの分配層に適用されるときと同じ又は異なる横断方向の幅を有し得る。例えば、第1の超吸収性層及び第2の超吸収性層の横断方向の幅は、20mm、25mm、30mm、35mm、又は40mm~50mm、60mm、65mm、70mm、80mm、又は90mmであり得る。あるいは、第1の超吸収性層及び第2の超吸収性層の幅が横断方向の幅で互いに異なる実施形態では、第1の超吸収性層は、第2の超吸収性層よりも小さい横断方向の幅を有し得る。特に、第1の超吸収性層は、第2の超吸収性層の幅の約95%、90%、80%、70%、又は更には60%未満の横断方向の幅を有し得る。
【0108】
ある特定の実施形態では、第1の超吸収性層及び第2の超吸収性層の一方若しくは両方は、超吸収性担体層及び/又はそれぞれ隣接する第1の分配層若しくは第2の分配層の横断方向の幅の約50%、60%、70%、80%、90%、又は更には95%超に及ぶ。
【0109】
シャーシに含まれ得る任意選択の層のように、吸収性システムはまた、同様の任意選択の層を含み得る。それらは、繊維状構造体、エアレイドウェブ、湿式ウェブ、高ロフト不織布、ニードルパンチウェブ、水流交絡ウェブ、繊維トウ、織物ウェブ、ニットウェブ、フロック加工されたウェブ、スパンボンドウェブ、層状のスパンボンド/メルトブローンウェブ、カード繊維ウェブ、セルロース繊維及びメルトブローン繊維のコフォームウェブ、ステープル繊維及びメルトブローン繊維のコフォームウェブ、並びにこれらの層状の組み合わせである層状ウェブからなる群から選択されるウェブであり得る。
【0110】
システム及びシャーシのこれらの任意選択の層は、クレープ状セルロース詰め綿、フラッフ化セルロース繊維、エアフェルト及びテキスタイル繊維などの材料を含み得る。任意選択の層の材料はまた、例えば、合成繊維、熱可塑性微粒子又は繊維、3成分繊維、及び、例えば、以下のポリマーの組み合わせ:ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチルビニルアセテート/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステルなどを有するシース/コア繊維などの2成分繊維などの繊維であり得る。任意選択の層は、上掲の材料及び/又は上掲の複数の材料(単独で又は組み合わせて)の任意の組み合わせであり得る。
【0111】
任意選択の層の材料は、シャーシ内のそれらの配置に応じて疎水性又は親水性であってもよい。
【0112】
任意選択の層の材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル及びこれらのブレンドなどのポリマーを含む構成繊維を含むことができる。繊維は、スパンボンド繊維であってもよい。繊維は、メルトブロー繊維であってもよい。繊維は、セルロース、レーヨン、綿、若しくは他の天然材料、又はポリマーと天然材料とのブレンドを含んでもよい。繊維はまた、ポリアクリレートなどの超吸収性材料又は好適な材料のいかなる組み合わせをも含み得る。繊維は、単成分、2成分、及び/又は2構成成分、非円形(例えば、毛管チャネル繊維)であってもよく、0.1~500マイクロメートルの範囲の主断面寸法(例えば、円形繊維の直径)を有してもよい。不織布前駆体ウェブの構成繊維は、化学(例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン)、(単及び2)成分、デニール(マイクロデニール及び20デニール超)、形状(すなわち、毛管及び円形)などの特徴の点で異なる、異なる繊維型の混合物でもあり得る。構成繊維は、約0.1デニール~約100デニールの範囲であってもよい。
【0113】
任意選択の層は、熱可塑性粒子又は繊維を含み得る。材料、具体的には熱可塑性繊維は、ポリオレフィン、例えば、ポリエチレン(例えば、PULPEX(商標))及びポリプロピレン、ポリエステル、コポリエステル、並びに前述のいずれかのコポリマーを含む、様々な熱可塑性ポリマーから製造することができる。
【0114】
所望の特性によって、好適な熱可塑性材料としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリスチレンなどから誘導された、界面活性剤で処理した熱可塑性繊維又はシリカで処理した熱可塑性繊維など、親水性にされた疎水性繊維が挙げられる。疎水性の熱可塑性繊維の表面は、例えば、繊維に界面活性剤をスプレーすることにより、繊維を界面活性剤に浸すことにより、又は熱可塑性繊維を製造する際にポリマーメルトの一部分として界面活性剤を含むことにより、非イオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤などの界面活性剤で処理することにより、親水性にすることができる。融解し再凝固すると、界面活性剤は熱可塑性繊維の表面に留まる傾向がある。好適な界面活性剤としては、ICI Americas,Inc.(Wilmington,Del)により製造されたBrij76などの非イオン性界面活性剤、及びGlyco Chemical,Inc.(Greenwich,Conn)により、Pegosperse(商標)で販売される様々な界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤以外に、アニオン性界面活性剤を使用することもできる。これらの界面活性剤は、例えば、熱可塑性繊維1平方センチメートル当たり約0.2~約1g/cmの濃度で熱可塑性繊維に適用されてもよい。
【0115】
好適な熱可塑性繊維は、単一のポリマーから製造してもよく(単成分繊維)、又は2種類以上のポリマーから製造してもよい(例えば、2成分繊維)。シースを含むポリマーは、コアを構成するポリマーとは異なる、典型的にはより低い温度で溶融することが多い。結果として、これらの2成分繊維は、シースポリマーの溶融に起因して熱的接合をもたらし、一方でコアポリマーの望ましい強度特性を保持する。
【0116】
本発明で使用するのに適した2成分繊維としては、次のポリマーの組み合わせ:ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチルビニルアセテート/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエステル、ポリプロピレン/ポリエステル、コポリエステル/ポリエステルなどを有するシース/コア繊維を挙げることができる。本明細書で使用するのに特に適した2成分熱可塑性繊維は、ポリプロピレン又はポリエステルのコアと、より低い温度で溶融するコポリエステル、ポリエチルビニルアセテート又はポリエチレンのシースと、を有するもの(例えば、DANAKLON(商標)、CELBOND(商標)、又はCHISSO(商標)2成分繊維)である。これらの2成分繊維は、同心であっても偏心であってもよい。本明細書で使用するとき、「同心」及び「偏心」という用語は、シースが、2成分繊維の断面積を通じて、均一又は不均一な厚さを有するか否かを指す。偏心の2成分繊維は、より薄い繊維厚さでより高い圧縮強さを提供する上で望ましい場合がある。本明細書で使用するのに好適な2成分繊維は、非捲縮(すなわち、非屈曲)又は捲縮(すなわち、屈曲)のいずれかであってよい。2成分繊維は、主に二次元的、すなわち「平面的」な捲縮を達成するために、典型的な紡織手段、例えば押込み加工ボックス(stuffer-box)法又はギアクリンプ法によって捲縮させてもよい。
【0117】
2成分繊維の長さは、繊維及びウェブ形成プロセスに所望される特定の特性に応じて様々であってよい。典型的には、エアレイドウェブにおいて、これらの熱可塑性繊維は、約2mm~約12mm長、例えば約2.5mm~約7.5mm長、及び約3.0mm~約6.0mm長などの長さを有する。不織布繊維は、5mm長~75mm長、例えば、10mm長、15mm長、20mm長、25mm長、30mm長、35mm長、40mm長、45mm長、50mm長、55mm長、60mm長、65mm長、又は70mm長などであり得る。これらの熱可塑性繊維の特性はまた、繊維の直径(キャリパ)を変化させることによっても調整することができる。これらの熱可塑性繊維の直径は、典型的に、デニール(9000メートル当たりのグラム)又はデシテックス(10,000メートル当たりのグラム)に関して定義される。エアレイド製造機械で使用されるとき、好適な2成分熱可塑性繊維は、例えば約1.4~約10デシテックス、及び約1.7~約7デシテックスなどの、約1.0~約20デシテックスの範囲のデシテックスを有し得る。
【0118】
これら熱可塑性材料の、特に熱可塑性繊維の圧縮弾性率もまた重要であり得る。熱可塑性繊維の圧縮弾性率は、それらの長さ及び直径だけではなく、それらが作製されるポリマー又はポリマー類の組成及び特性、繊維の形状及び構成(例えば、同心であるか偏心であるか、捲縮しているか捲縮していないか)などの要因によっても影響される。これらの熱可塑性繊維の圧縮弾性率における違いを、特性、特に対応する熱結合された繊維性マトリックスの密度特性を変えるために使用することができる。
【0119】
任意選択の層はまた、典型的に結合剤繊維としては機能しないが、繊維ウェブの機械的特性を変化させる合成繊維を含んでもよい。合成繊維は、酢酸セルロース、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル(オーロンなど)、ポリ酢酸ビニル、不溶性ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(ナイロンなど)、ポリエステル、2成分繊維、3成分繊維、これらの混合物などを含む。これらには、例えば、ポリエステル繊維、例えばポリエチレンテレフタレート(例えば、DACRON(商標)及びKODEL(商標))、高融点捲縮ポリエステル繊維(例えば、Eastman Chemical Co.により作製されるKODEL(商標)431)親水性ナイロン(HYDROFIL(商標))などを挙げることができる。好適な繊維は、親水化させた疎水性繊維、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアクリル酸、ポリアミド、ポリスチレン、ポリウレタンなどから誘導された、界面活性剤処理又はシリカ処理された熱可塑性繊維などであってもよい。非接合熱可塑性繊維の場合、それらの長さは、これらの繊維に望ましい特定の特性に応じて変化し得る。典型的に、それらは、約0.3~7.5cm、例えば、約0.9~約1.5cmなどの長さを有する。好適な非接合熱可塑性繊維は、約1.5~約35デシテックス、例えば、約14~約20デシテックスなどの範囲のデシテックスを有することができる。
【0120】
分配層
第1の分配層及び第2の分配層は、着用者の皮膚から離れた体液をウィッキングして、放出後の継続的な着用の快適さを促進するために有用である。分配層は、1つ以上のセルロース及び交換された木材パルプを含む。これは、エアレイドの形態であってもよい。エアレイドは、化学的に又は熱的に接合することができる。特に、エアレイドは、マルチボンドエアレイド(MBAL)又は水素結合エアレイド(HBAL)であってもよい。分配層は、エアレイドをそれ自体に及び隣接する分配層、超吸収性層、又は他の追加(任意選択)の層に少なくとも部分的に接合する繊維状熱可塑性接着剤材料を更に含んでもよい。シャーシの任意選択の層に好適な同じ材料が、分配層での使用に適していると想定されることに留意すべきである。第1の分配層及び第2の分配層の各々の秤量は、80gsm、80gsm、100gsm、110gsm、120gsm又は130gsm~140gsm、150gsm、160gsm、180gsm、200gsm、220gsm、又は240gsmの範囲である。第1の吸収性コア及び第2の吸収性コアの分配層の各々について、好ましい秤量は135gsmである。
【0121】
加えて、これまでに説明された超吸収性層とは対照的に、本開示の吸収性物品の分配層(複数可)は、超吸収性ポリマーを実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用するとき、「超吸収性ポリマーを実質的に含まない」とは、5%、3%、1%、又は更には0.5%未満の超吸収性ポリマーを意味する。
【0122】
バリアカフ
失禁用パッド10は、第1のバリアカフ230Aと、第2のバリアカフ230Bと、シャーシ20の衣類対向表面20B上に配設された固定用接着剤211とを更に含み得る。図示のように、固定用接着剤211は、吸収システム205と同じ程度に横方向に延在しない場合がある。したがって、パッド巻きが低減された構造が有用となる。
【0123】
第1のバリアカフ230A及び第2のバリアカフ230Bは、任意の好適な位置でシャーシ20に取り付けられ得る。例えば、示されるように、第1のバリアカフ230A及び第2のバリアカフ230Bは、シャーシ20の着用者対向表面20Aに取り付けられてもよい。示されるように、第1のバリアカフ230A及び第2のバリアカフ230Bは、トップシート203に取り付けられる。いくつかの形態では、第1のバリアカフ230A及び第2のバリアカフ230Bは、シャーシ20の衣類対向表面20Bに取り付けられ得る。例えば、第1のバリアカフ230A及び第2のバリアカフ230Bは、バックシート207に取り付けられてもよい。他の好適なバリアカフのいくつかの例は、米国特許第4,695,278号、同第4,704,115号、同第4,795,454号、同第4,909,803号、米国特許出願公開第2009/0312730号に記載されている。
【0124】
示されるように、いくつかの形態では、第1のバリアカフ230Aは、第1のカバー231及び第1の弾性部材233を含む。第2のバリアカフ230Bは、第2のカバー235及び第2の弾性部材237を含む。示されるように、第1のカバー231は第1の弾性部材233を完全に包囲し得る。同様に、第2のカバー235は、第2の弾性部材237を完全に包囲し得る。
【0125】
第1のバリアカフ230A及び第2のバリアカフ230Bは、シャーシ20に取り付けられた別個の要素として示されているが、任意の好適な構成を利用してもよい。例えば、第1のカバー231及び/又は第2のカバー235は、一次トップシート203の一部分及び/又はバックシート207の一部分を含んでもよい。こうした形態では、第1のバリアカフ230A及び/又は第2のバリアカフ230Bは、シャーシ20と一体に形成されてもよい。第1のバリアカフ230A及び第2のバリアカフ230Bが、シャーシ20と一体に形成されている形態を図2に示し、本明細書で後述する。
【0126】
図2を参照すると、第1の弾性部材233及び第2の弾性部材237は、任意の好適な手段によって第1のカバー231及び第2のカバー235にそれぞれ取り付けられてよい。一例では、第1の弾性部材は、第1のカバー231に接着によって取り付けられてもよい。同様に、第2の弾性部材237は、第2のカバー235に接着によって取り付けられ得る。例えば、示されるように、第1の接着剤部分251及び253は、弾性部材233及び237をそれらのそれぞれのカバー231及び235に取り付け得る。同様に、第2の接着剤部分255及び257は、それらそれぞれのカバー231及び235を一次トップシート203に取り付けてもよい。後述するとおり、第1の弾性部材233及び第2の弾性部材237は、それぞれ、一部分でのみ第1のカバー231及び第2のカバー235に取り付けることができる。第1の弾性部材233及び/又は第2の弾性部材237が、それらのそれぞれのカバー231及び235と共に、あるいはこれらとは独立して、シャーシ20に取り付けられる更なる形態が企図される。
【0127】
図2を参照すると、弾性部材233及び237は、吸収システム205の側縁部205A及び205Bの横方向内側に配設され得る。他の形態では、弾性部材233及び237は、吸収システム205の側縁部205A及び205Bの横方向外側に配設され得る。更に他の形態では、弾性部材233及び237は、第1の端部区域40及び第2の端部区域48では、吸収システム205の側縁部205A及び205Bの横方向内側に配設されてもよいが、中間区域44では、吸収システム205の側縁部205A及び205Bの横方向の外側に配設されてもよい。弾性部材233及び237が、第1の端部区域40では、吸収システム205の側縁部205A及び205Bの横方向内側に配設されるが、中間区域44及び/又は第2の端部区域48では、吸収システム205の側縁部205A及び205Bの外側に配設される、更なる形態が企図される。
【0128】
バリアカフに含まれる弾性部材は、様々な糊剤長さで、様々な糊剤、並びに糊剤量及び配置を用いて接着され得る。糊剤の配置は、特にシステムの可撓性を念頭に置いて設計する場合に考慮すべきである、更なる別の可変要素である。弾性部材及びカバーの糊剤接着は、パッド上に固定点を作り出す。
【0129】
本発明のバリアカフのカバーは、異なるMD及びCDの可撓性を有する様々な種類の不織布から製造することができる。カバーは、例えば接着剤のスロットコーティングされたストライプ、糊剤ビーズ、超音波シール、又は他の好適な結合剤によって吸収性物品のトップシートに結合することができる。本発明の特定の形態では、例えば、圧着、又は例えば接着剤などの他の好適な接合剤を用いるなどして、パッドの側縁部22及び24でカバーをバックシートに接合させてもよい(図1を参照)。
【0130】
弾性部材は、任意の好適な弾性材料を含み得る。いくつかの好適な例としては、Spandex(商標)若しくは他の同様のポリウレタン、天然若しくは合成ゴム、スチレンブロックコポリマー、メタロセンポリオレフィン、Lycra(商標)又は当該技術分野で既知の任意の他の好適なエラストマー材料が挙げられる。弾性部材は、処理を容易にするために、物品の使用中に耐久性を有し、かつ400%もの高いひずみ下でも優れた弾性(ひずみ後の回復)を示すことが好ましい。
【0131】
更に、本開示の弾性部材は任意の好適なデシテックスを含み得る。他の形態では、弾性部材は680以下のデシテックスを含み得る。他の形態では、弾性部材は680~470のデシテックスを有し得、具体的にはその範囲内の全ての数値及びそれによって生成される任意の範囲を含む。
【0132】
第1のバリアカフ230Aと第2のバリアカフ230Bとの間の最小間隔は、主に女性の解剖学的形状によって生じ得る。しかしながら、バリアカフ(及びそれらのそれぞれの弾性部材)が、吸収システム205から過度に外側に配設され、また吸収システム205から過度に内側に配設された場合は、トレードオフが発生する場合がある。そのため、それぞれのバリアカフの最遠位弾性部材間の間隔は慎重に選択するべきである。最狭幅から開始して、第1のバリアカフ230A及び第2のバリアカフ230Bの最遠位弾性部材間の間隔は、パッドに加えられるであろう力も考慮に入れつつ、使用中に吸収システム205への十分なアクセスを可能とするのに十分なだけ大きくあるべきである。狭過ぎる場合、吸収システム205の一部分へのアクセスは妨げられる場合があり、これにより、バリアカフ230A及び230Bが存在するにもかかわらず漏出が生じる可能性がある。本発明のいくつかの形態では、互いに対して最遠位にある第1のバリアカフ230Aの弾性部材と第2のバリアカフ230Bの弾性部材との間の最小間隔は、少なくとも20mmであり得る。任意の好適な間隔が利用され得る。例えば、本発明のいくつかの形態では、間隔は、約20mm以上、約30mm超、約33mm超、約35mm超、約40mm超、約45mm超、約50mm超、約54mm超、約60mm超、約65mm超、70mm以下、又は約65mm未満、又は約60mm未満、約55mm未満、約50mm未満、約45mm未満、約40mm未満、約35mm未満、約30mm未満、約25mm未満であり得、具体的にはこれらの範囲内の任意の値又はそれによって生成される任意の範囲が含まれる。
【0133】
折り目
フィットに寄与する更に別の因子また、パッドの折り又は折り目である。パッドを消費者がより手軽に使えるように、かつ輸送及び保管を容易にするために、パッドは、一般に1つ以上の折り目を含む。更に、パッドを折り畳むことは、保管中の弾性クリープの可能性を低減させ得る。しかしながら、これらの折り目は、弾性力が作用してパッド形状を変形させ得る屈曲点として作用する場合がある。また、上述した固定点と同様に、折り目を過度に離れて配設された固定点は問題となり得る。折り目を過度に離れて配設された固定点は、MD方向でパッドに作用するトルクレバーアームを増加させ、パッド巻き、及び/又は折り畳まれた状態へのパッドの折り返しを生じさせ得る。
【0134】
図1を再び参照すると、失禁用パッド10は、第1の折り目50及び第2の折り目55を更に含み得る。第1の折り目50は、第1の端部区域40と中間区域44との間の境界を画定し得る。第2の折り目55は、第2の端部区域48と中間区域44との間の境界を画定し得る。第1の端部区域40は、端縁部26、第1の折り目50、並びに端縁部26と第1の折り目50との間に配設された側縁部22及び24の一部分によって画定され得る。中間領域44は、第1の折り目50、第2の折り目55、並びに第1の折り目50と第2の折り目55との間に配設された側縁部22及び24の一部分によってであり得る。第2の端部区域48は、第2の折り目55、端縁部28、並びに端縁部28と第2の折り目55との間に配設された側縁部22及び24の一部分によって画定される。折り目50及び55は、失禁用パッド10の包装プロセスによって作られた折り目と平行かつ同一線状(平均で)であり得る。
【0135】
いくつかの形態では、第1の折り目50及び第2の折り目55は、折り目50及び55がパッドを3分割するように構成され得る。他の形態では、第1の折り目50は端縁部28に向かってオフセットされてもよく、第2の折り目55は端縁部28に向かってオフセットされてもよい。こうした形態では、これは、パッドが折り畳まれた構成にあるときに、第2の端部区域48が中間区域44と第1の端部区域40との間に折り込まれることを可能にし得る。
【0136】
追加の特徴部
本発明のいくつかの形態では、失禁用パッド又は生理用ナプキンは、ウィングを備え得る。ウィングは、失禁用パッドに更なる漏れ保護を提供し得、またパッドを使用者の下着に固定するのを助け得る。当該技術分野で既知の任意の好適なウィング構成を用いてもよい。
【0137】
全ての構成要素が、当該技術分野において既知のホットメルト接着剤などの接着剤を用いて一体に接着され得る。接着剤は、Findlay H2128UN又はSavare PM17であり得、Dynafiber HTWシステムを用いて適用され得る。
【0138】
図2によると、パッドは、使用時、こうした目的に好適な任意の支持具又は取付具によって定位置に保持され得る。本発明の特定の形態では、パッドは使用者の下着又はパンティ内に配置され、固定用接着剤211によってこれらに固定される。固定用接着剤211は、使用者のパンティの股部分内にパッドを固定する。シャーシ20の衣類対向表面20Bの一部分又は全部が、固定用接着剤211でコーティングされる。こうした目的に好適な任意の接着剤又は糊剤が、例えば、感圧接着剤を用いた本明細書の固定用接着剤211に用いられ得る。好適な接着剤としては、例えばCentury Adhesives Corporation(Columbus,Ohio)製のCentury A-305-IV、及びNational Starch and Chemical Company(Bridgewater,N.J.)製のInstant Lock 34-2823が挙げられる。好適な接着剤締結具は、米国特許第4,917,697号でも説明されている。使用時に吸収性物品を配置する前、この感圧性接着剤は、使用前に接着剤が乾燥するのを防ぐため、又はパンティの股部分以外の表面に付着するのを防ぐため、除去可能な剥離ライナーで被覆されている。好適な剥離ライナーは、米国特許第4,917,697号及び同第4,556,146号でも説明されている。こうした目的に一般的に用いられる商業的に入手可能な任意の剥離ライナーを本明細書で使用してよい。好適な剥離ライナーの非限定例は、BL30MG-A Silox E1/0及びBL30MG-A Silox 4P/Oであり、いずれもAkrosil Corporation(Menasha,Wis)によって製造される。このパッドは、剥離ライナーを取り外すことによって、その後、吸水性物品をパンティに置き、接着剤がパンティに接触することによって使用され得る。接着剤は、使用中の吸収性物品をパンティ内の所定の位置に保持する。剥離ライナーは、個別にパッドを包装することができる包装紙であってもよい。
【0139】
再度、本明細書における議論の大部分は、失禁用パッド及び生理用ナプキンに関するが、本発明はまた、テープ付きおむつ、プルオンのトレーニングパンツ、成人失禁用おむつ及びパンツ、並びに使い捨て又は耐久性パンティ又は下着に挿入され、使用後に取り除かれ得る失禁及び経血収集用の交換可能なパッドに有用であることが想定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品(10)であって、
身体対向表面及び衣類対向表面を有する一次トップシート(203)と、
身体対向表面及び衣類対向表面を有するバックシート(207)と、
前記一次トップシートと前記バックシートとの間に配設された吸収システム(205)であって、前記吸収システムは、身体対向表面及び衣類対向表面を有する第1の吸収性コア(60)と、前記第1の吸収性コアと前記バックシートとの間に配設された第2の吸収性コア(70)と、を備え、前記第1の吸収性コアは、第1の分配層(62)及び第1の超吸収性層(61)を備え、前記第1の超吸収性層は、前記第1の吸収性コアの前記衣類対向表面の一部分を形成し、前記一次トップシート及び前記第1の吸収性コアは、前記一次トップシートの前記身体対向表面上に配設された中央チャネル(655、665;755、765;855、865)を含む1つ以上のエンボス加工されたチャネル(655、665、705、715、755、765、805、815、855、865)を備え、前記1つ以上のエンボス加工されたチャネルの各々は、前記一次トップシートの前記身体対向表面の下にあり、かつ前記第1の吸収性コアの衣類対向表面の上にある底部表面を含む、吸収システム(205)と、を備える、吸収性物品(10)。
【請求項2】
前記第1の分配層は、超吸収性ポリマーを実質的に含まない、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項3】
前記トップシート及び前記第1の分配層は、前記底部表面が前記第1の分配層の衣類対向表面の上にあるように、前記1つ以上のエンボス加工されたチャネルを備える、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項4】
前記トップシート、前記第1の分配層、及び前記第1の超吸収性層は、前記1つ以上のエンボス加工されたチャネルを備える、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
【請求項5】
前記第1の吸収性コアは、前記吸収性コアの中央部分が前記第1の吸収性コア及び前記第2の吸収性コアの重なり合う接合部から形成されるように、前記吸収性コアの長さに沿ってオフセットした方式で前記第2の吸収性コアに接合される、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項6】
前端部分及び後端部分は、前記吸収システムの前記中央部分の対向する端部にそれぞれ配設される、請求項5に記載の吸収性物品。
【請求項7】
前記第1の吸収性コアと前記第2の吸収性コアは、互いに異なる幅を有する、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項8】
前記第1の超吸収性層は、エアフェルトを実質的に含まない、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項9】
前記第1の超吸収性層は、前記第1の分配層に不連続に配設される、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項10】
前記第1の吸収性コア及び前記第2の吸収性コアの各々は、同じ吸収性コアのそれぞれの第2の端部に形状的に相補的な第1の端部を有する、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項11】
前記中央チャネルは第1の部分及び第2の部分を含み、前記第1の部分と前記第2の部分は互いに別個である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項12】
前記1つ以上のエンボス加工されたチャネルは、前記中央チャネルの長手方向の両端に配設された前側領域チャネル及び後側領域チャネルを更に含む、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項13】
前記中央チャネルは、前記吸収性物品の全長の約25パーセント~約53パーセント、より好ましくは約30~約50パーセント、又は最も好ましくは約35パーセント~約47パーセントの長さを備える、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項14】
前側領域チャネル及び後側領域チャネルは、前記中央チャネルの両側に配設され、前記エンボス加工されたチャネルの全長は、前記吸収性物品の全長の80パーセント以下、より好ましくは約75パーセント以下、又は最も好ましくは約70パーセント以下である、請求項1に記載の吸収性物品。
【請求項15】
前記エンボス加工されたチャネルの全長は、前記吸収性物品の全長の約30パーセント~約80パーセント、約40パーセント~約75パーセント、又は最も好ましくは約50パーセント~約70パーセントである、請求項14に記載の吸収性物品。
【国際調査報告】