IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セリコン ラボ インコーポレイテッドの特許一覧

特表2024-515921新規な皮膚透過性ペプチド、これを含む皮膚及び粘膜用組成物とその用途
<>
  • 特表-新規な皮膚透過性ペプチド、これを含む皮膚及び粘膜用組成物とその用途 図1
  • 特表-新規な皮膚透過性ペプチド、これを含む皮膚及び粘膜用組成物とその用途 図2
  • 特表-新規な皮膚透過性ペプチド、これを含む皮膚及び粘膜用組成物とその用途 図3
  • 特表-新規な皮膚透過性ペプチド、これを含む皮膚及び粘膜用組成物とその用途 図4
  • 特表-新規な皮膚透過性ペプチド、これを含む皮膚及び粘膜用組成物とその用途 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-11
(54)【発明の名称】新規な皮膚透過性ペプチド、これを含む皮膚及び粘膜用組成物とその用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 7/08 20060101AFI20240404BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20240404BHJP
   A61K 9/127 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 47/69 20170101ALI20240404BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20240404BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 8/65 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 38/39 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 31/728 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 31/167 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 31/522 20060101ALI20240404BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20240404BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240404BHJP
   C07D 473/12 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
C07K7/08 ZNA
A61K47/64
A61K9/127
A61K47/69
A61K8/64
A61P17/00
A61K8/65
A61K38/39
A61K8/73
A61K31/728
A61K31/167
A61K8/42
A61K31/522
A61K8/49
A61Q19/00
C07D473/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023540974
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 KR2022004657
(87)【国際公開番号】W WO2023191148
(87)【国際公開日】2023-10-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523252869
【氏名又は名称】セリコン ラボ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン,ミン キュ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ポ キョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウォン ソク
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ヨン ピル
(72)【発明者】
【氏名】パク,チェ フ
(72)【発明者】
【氏名】パク,ウン チョン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C084
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA19
4C076AA95
4C076BB31
4C076CC18
4C076CC29
4C076CC41
4C076EE41N
4C076EE59
4C076FF32
4C076FF34
4C083AC641
4C083AC851
4C083AD331
4C083AD411
4C083AD412
4C083AD431
4C083CC02
4C083EE12
4C083EE13
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA44
4C084DA40
4C084MA05
4C084MA63
4C084NA05
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA89
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB07
4C086MA02
4C086MA05
4C086MA24
4C086MA63
4C086NA05
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA89
4C206AA01
4C206AA02
4C206GA19
4C206GA31
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA05
4C206MA44
4C206NA05
4C206NA13
4C206NA14
4C206ZA89
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA16
4H045CA40
4H045EA15
4H045EA20
(57)【要約】
本発明の皮膚透過性ペプチド、その誘導体またはその断片は、アセンブリングまたは融合方式を通じて皮膚生理活性分子を皮膚組織に深く効果的に伝達することにより、優れた皮膚浸透活性だけでなく、優れた皮膚残留効果を示して生理活性を最大化するため、上記皮膚透過性ペプチド、その誘導体またはその断片は、粘膜を含む皮膚組織を標的組織とする皮膚外用剤用薬学的組成物及び機能性化粧料組成物の有効成分として広く活用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含む生理活性物質の経皮伝達用組成物。
【請求項2】
前記誘導体は、前記配列番号5~配列番号8のいずれか一つで構成される皮膚透過性ペプチドのN-末端から1番目、2番目、5番目、6番目、9番目、及び12番目の位置で構成される群から選択されたいずれか一つの位置に対応するアミノ酸が他の塩基性アミノ酸で置換されたものである、請求項1に記載の生理活性物質の経皮伝達用組成物。
【請求項3】
前記塩基性アミノ酸がリシン(Lysine)またはアルギニン(Arginine)である、請求項2に記載の生理活性物質の経皮伝達用組成物。
【請求項4】
前記誘導体は、配列番号1~配列番号4で構成される群から選択されるいずれか一つ以上である、請求項1に記載の生理活性物質の経皮伝達用組成物。
【請求項5】
前記経皮伝達用組成物は、生理活性物質の皮膚及び粘膜で構成される群から選択されるいずれか一つ以上に対する透過能を増加させるものである、請求項1に記載の生理活性物質の経皮伝達用組成物。
【請求項6】
前記生理活性物質の経皮伝達用組成物は、担体をさらに含むものである、請求項1に記載の生理活性物質の経皮伝達用組成物。
【請求項7】
前記担体は、リポソーム(lyposome)である、請求項6に記載の生理活性物質の経皮伝達用組成物。
【請求項8】
前記生理活性物質は、生体内で生理作用を有する物質である、請求項1に記載の生理活性物質の経皮伝達用組成物。
【請求項9】
配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含む生理活性物質の皮膚透過用組成物。
【請求項10】
配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含む生理活性物質の経皮伝達用担体。
【請求項11】
配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含む生理活性物質の皮膚透過用担体。
【請求項12】
請求項1に記載の経皮伝達用組成物を含む化粧料組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の経皮伝達用組成物を含む医薬部外品組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の経皮伝達用組成物を含む皮膚または粘膜外用剤用薬学的組成物。
【請求項15】
請求項1に記載の経皮伝達用組成物;及び生理活性物質を含むキット。
【請求項16】
請求項1に記載の経皮伝達用組成物を製造する方法。
【請求項17】
請求項1に記載の経皮伝達用組成物及び生理活性物質を混合する段階を含む化粧料組成物、医薬部外品組成物、または薬学的組成物製造方法。
【請求項18】
請求項1に記載の経皮伝達用組成物及び生理活性物質を皮膚または粘膜に塗布する段階を含む、生理活性物質の経皮伝達方法。
【請求項19】
請求項1に記載の経皮伝達用組成物及び生理活性物質を皮膚または粘膜に塗布する段階を含む、皮膚改善方法。
【請求項20】
配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成されるペプチド、その誘導体、またはその断片の生理活性物質の皮膚透過用途。
【請求項21】
配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成されるペプチド、その誘導体、またはその断片の生理活性物質の経皮伝達用途。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含む生理活性物質の経皮伝達用組成物;皮膚透過用組成物;経皮伝達用担体;皮膚透過用担体;薬学的組成物;医薬部外品組成物;化粧品組成物;上記経皮伝達用組成物を含むキット;上記経皮伝達用組成物、化粧料組成物、及び医薬部外品組成物の製造方法;生理活性ペプチドの経皮伝達方法;及び生理活性ペプチドの経皮伝達用途に関する。
【背景技術】
【0002】
人体の最も多くの部位を占めている皮膚は、表皮、真皮そして皮下組織で構成されており、外部環境から多様な機能をしている。特に、皮膚障壁を構成する角質層固有の特性により皮膚を通じて伝えられる分子量は、約500Da以下であることが知られている。しかしながら、低分子物質も皮膚透過効率が低く、成長因子のような高分子量物質の透過効率は、さらに低いことが知られている。したがって、化粧品及び医薬品産業で生理活性物質の効果的な伝達のための安全な方法の必要性は、非常に高いのが現状である。
【0003】
マイクロニードルのような物理的伝達システムは、皮膚に非可逆的損傷をもたらすことがあり、既存の皮膚透過用物質は、脂溶性物質またはポリマーを活用した場合が多く(韓国登録特許第10-2274435号)、人体内で多様な副作用及び知られていない毒性を誘発する可能性が高いため、人体で存在しているタンパク質の断片であるペプチドを利用して生理活性物質を真皮に安全に伝達させることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国登録特許第10-2274435号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、皮膚透過性ペプチドを開発して本発明を完成し、本発明で開発した生体膜透過ペプチド技術は、原料の体内吸収率を大幅に改善し、生体利用率を増大させる最先端バイオ技術であり、機能性化粧品や先端医薬品の原料に極少量だけ投入しても効能を十分に発揮できる次世代バイオ新素材プラットホーム技術であるため、これを皮膚透過用化粧品及び医薬品などの開発に適用しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの目的は、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含む生理活性物質の経皮伝達用組成物を提供することにある。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、上記皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含む生理活性物質の皮膚透過用組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の一つの目的は、上記皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含む生理活性物質の経皮伝達用担体を提供することにある。
【0009】
本発明の他の一つの目的は、上記皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含む生理活性物質の皮膚透過用担体を提供することにある。
【0010】
本発明の他の一つの目的は、上記経皮伝達用組成物を含む化粧料組成物を提供することにある。
【0011】
本発明の他の一つの目的は、上記経皮伝達用組成物を含む医薬部外品組成物を提供することにある。
【0012】
本発明の他の一つの目的は、上記経皮伝達用組成物を含む皮膚または粘膜外用剤用薬学的組成物を提供することにある。
【0013】
本発明の他の一つの目的は、上記経皮伝達用組成物及び生理活性物質を含むキットを提供することにある。
【0014】
本発明の他の一つの目的は、上記経皮伝達用組成物を製造する方法を提供することにある。
【0015】
本発明の他の一つの目的は、上記経皮伝達用組成物を用いた皮膚改善方法を提供することにある。
【0016】
本発明の他の一つの目的は、上記薬学的組成物を用いた皮膚または粘膜疾患予防または治療方法を提供することにある。
【0017】
本発明の他の一つの目的は、上記化粧料組成物及び医薬部外品組成物の製造方法を提供することにある。
【0018】
本発明の他の一つの目的は、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成されるペプチド、その誘導体、またはその断片を用いた生理活性ペプチド経皮伝達方法を提供することにある。
【0019】
本発明の他の一つの目的は、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成されるペプチド、その誘導体、またはその断片を用いた生理活性ペプチド経皮伝達用途を提供することにある。
【0020】
本発明の他の一つの目的は、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成されるペプチド、その誘導体、またはその断片を用いた生理活性ペプチド皮膚透過用途を提供することにある。
【発明の効果】
【0021】
本発明の皮膚透過性ペプチド、その誘導体またはその断片は、アセンブリングまたは融合方式を通じて皮膚生理活性分子を皮膚組織に深く効果的に伝達することにより、優れた皮膚浸透活性だけでなく、優れた皮膚残留効果を示して生理活性を最大化するため、上記皮膚透過性ペプチド、その誘導体またはその断片は、粘膜を含む皮膚組織を標的組織とする皮膚外用剤用薬学的組成物及び機能性化粧料組成物の有効成分として広く活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】公知のペプチドに比べて配列番号1~8のペプチドの生理活性物質に対する皮膚透過効果を分析するために、Franz diffusion cell assayで確認した結果をHPLCで定量して示した図である。
図2】本発明の皮膚透過性ペプチドの生理活性物質に対する皮膚透過効果を分析するために時間帯別にFranz diffusion cell assayで確認した結果をHPLCで定量して示した図である。
図3】本発明の皮膚透過性ペプチドの多様な分子量の生理活性物質に対する皮膚透過効果を分析するために、Franz diffusion cell assayで確認した結果をFluorescence Microplate Readerで定量して示した図である。
図4】本発明の皮膚透過性ペプチドのLiposomeに対する皮膚透過効果を分析するために、Franz diffusion cell assayで確認した結果をFluorescence Microplate Readerで定量して示した図である。
図5】本発明の皮膚透過性ペプチドの生理活性物質に対する皮膚透過効果による効能向上評価の結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明内容について具体的に説明すれば、次の通りである。一方、本発明において開示した一様態の説明及び実施形態は、共通した事項に対して他の様態の説明及び実施形態にも適用することができる。また、本発明において開示された多様な要素のすべての組合せが本発明の範疇に属する。併せて、下記の具体的な記述により本発明の範疇が制限されるとは見られない。
【0024】
本発明の一様態は、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含む生理活性物質の経皮伝達用組成物を提供する。
【0025】
本発明において「皮膚透過」とは生体膜透過を意味し、「皮膚透過性ペプチド」とは生体膜透過性があるペプチドを意味する。上記皮膚透過性ペプチドは、細胞透過性及び生体膜透過性、具体的には、皮膚及び/又は粘膜透過性を有するものであってもよいが、これに制限されない。
【0026】
本発明の皮膚透過性ペプチドは、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成されるペプチド、その誘導体、またはその断片を含むものであってもよい。
【0027】
本発明は、分子量の大きさまたは皮膚角質層の固有特性により皮膚を通じて伝達されにくい皮膚生理活性分子を細胞及び皮膚内に効率的に導入することができる。
【0028】
本発明の皮膚透過性ペプチドは、既存の皮膚透過性ペプチドに比べて細胞及び皮膚透過能が改善された皮膚生理活性分子を含む経皮伝達用組成物、経皮伝達システム、及び皮膚透過性ペプチドがアセンブリング(assembling)または融合する方式を通じて生理活性物質を皮膚細胞または皮膚真皮層内に伝達することができる。
【0029】
本発明の皮膚透過性ペプチド、その誘導体またはその断片は、アセンブリングまたは融合方式を通じて皮膚生理活性分子を皮膚組織に深く効果的に伝達することにより、優れた皮膚浸透活性だけでなく、優れた皮膚残留効果を示し、生理活性を最大化するため、本発明は、粘膜を含む皮膚組織を標的組織とする組成物の成分として用いられる。
【0030】
本発明の実施例において配列番号5~配列番号8及びその誘導体は、著しい皮膚透過性を有することを確認した(実施例1~6)。
【0031】
本発明において「誘導体」は、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチドの誘導体を意味し、具体的には、配列番号5~配列番号8のアミノ酸配列で一部の官能基が付加されたり、一部のアミノ酸配列が欠失、変形、置換、または付加されたアミノ酸配列を有するペプチドであってもよく、これに制限されるものではない。
【0032】
具体的には、本発明における誘導体は、配列番号1~配列番号4で構成される群から選択されるいずれか一つ以上であってもよいが、これに制限されない。
【0033】
具体的には、本発明の配列番号5~配列番号8のアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド及びその誘導体は、下記化学式1のような配列を有し、皮膚透過性を有するものであってもよいが、これに制限されない。
【0034】
[化1]
[X1 - X2 - Lys - Phe - X3 - X4 - Ile - Leu - X5 - Tyr - Leu - X6]
【0035】
上記化学式1において、X1~X6は塩基性アミノ酸から選択されてもよく、アルギニン、リシン、ロイシン及びフェニルアラニンから選択されてもよい。好ましくは、上記配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド及びその誘導体は、上記化学式1の配列を有してもよく、本発明の誘導体は、配列番号1~配列番号4のアミノ酸配列で構成されるものであってもよいが、これに制限されない。
【0036】
配列番号1:H2N-[Lys-Lys-Leu-Phe-Lys-Lys-Ile-Leu-Lys-Tyr-Leu-Lys]-CO2H、
配列番号2:H2N-[Arg-Arg-Leu-Phe-Arg-Arg-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Arg]-CO2H、
配列番号3:H2N-[Arg-Phe-Leu-Phe-Arg-Leu-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Arg]-CO2H、
配列番号4:H2N-[Arg-Arg-Leu-Phe-Arg-Leu-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Phe]-CO2H、
配列番号5:H2N-[Arg-Lys-Leu-Phe-Lys-Arg-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Lys]-CO2H、
配列番号6:H2N-[Lys-Arg-Leu-Phe-Arg-Lys-Ile-Leu-Lys-Tyr-Leu-Arg]-CO2H、
配列番号7:H2N-[Lys-Arg-Leu-Phe-Lys-Arg-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Lys]-CO2H、及び
配列番号8:H2N-[Arg-Lys-Leu-Phe-Arg-Lys-Ile-Leu-Lys-Tyr-Leu-Arg]-CO2H
【0037】
具体的には、上記誘導体は、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチドのN-末端から1番目、2番目、5番目、6番目、9番目、及び12番目の位置で構成される群から選択されたいずれか一つの位置に対応するアミノ酸が他の塩基性アミノ酸で置換されたものであってもよい。
【0038】
アミノ酸の置換は、一般に、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性(amphipathic nature)の性質に基づいて発生し得る。具体的には、電荷を帯びる側鎖(electrically charged amino acid)を有するアミノ酸中、正で荷電された(塩基性)アミノ酸はアルギニン(Arginine;R)、リシン(Lysine;K)、及びヒスチジン(Histidine;H)を、負で荷電された(酸性)アミノ酸はグルタミン酸(Glutamate;E)及びアスパラギン酸(Aspartate;D)を含み;電荷を帯びない側鎖(uncharged amino acid)を有するアミノ酸中、非極性アミノ酸(nonpolar amino acid)はグリシン(Glycine;G)、アラニン(Alanine;A)、バリン(Valine;V)、ロイシン(Leucine,L)、イソロイシン(Isoleucine;I)、メチオニン(Methionine;M)、フェニルアラニン(Phenylalanine;F)、トリプトファン(Tryptophan;W)及びプロリン(Proline;P)を含み、極性(polar)または親水性(hydrophilic)アミノ酸はセリン(Serine;S)、トレオニン(Threonine;T)、システイン(Cysteine;C)、チロシン(Tyrosine;Y)、アスパラギン(Asparagine;N)及びグルタミン(Glutamine;Q)を含み、上記非極性アミノ酸中、芳香族アミノ酸はフェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンを含む。
【0039】
本発明において「他の塩基性アミノ酸で置換」とは、置換前のアミノ酸と他の塩基性アミノ酸での置換であれば、制限されない。すなわち、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチドのN-末端から1番目、2番目、5番目、6番目、9番目、及び12番目の位置で構成される群から選択されたいずれか一つの位置に存在する置換前のアミノ酸から他の塩基性アミノ酸で置換されたものであってもよく、具体的には、上記X1、X2、X3、X4、X5、及びX6の位置で構成される群から選択されたいずれか一つの位置に存在するアミノ酸が他の塩基性アミノ酸で置換されたものであってもよい。具体的には、上記塩基性アミノ酸は、ヒスチジン、リシン、及びアルギニンから選択されるものであってもよく、リシンまたはアルギニンであってもよいが、これに制限されない。
【0040】
本発明の目的上、上記配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチドの誘導体は、配列番号1~配列番号4で構成される群から選択されるいずれか一つ以上であってもよいが、これに制限されない。
【0041】
本発明において「断片」とは、特定配列を有するペプチドの一部配列を意味する。本発明の断片は、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチドまたはその誘導体の一部配列であってもよく、上記皮膚透過性ペプチドまたはその誘導体と同様に皮膚透過性を有するものであってもよい。
【0042】
配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片は天然物由来であってもよいが、これに制限されず、上記皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片と同一の活性を有する配列は制限なく含まれ得る。
【0043】
本発明における皮膚透過性ペプチドは、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片であると記載したが、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片のアミノ酸配列前後での無意味な配列の追加または皮膚透過性ペプチドとして同一の機能を維持させる潜在性変異を除くものではなく、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片と互いに同一または対応する活性を有する場合であれば、本発明の皮膚透過性ペプチドに該当することは、当業者に自明である。具体的な例として、本発明の皮膚透過性ペプチドは、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、その断片、またはこれと80%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%以上の相同性または同一性を有するアミノ酸配列で構成されるペプチドであってもよい。
【0044】
本発明において「特定配列番号で記載されたアミノ酸配列を含むペプチド」、「特定配列番号で記載されたアミノ酸配列からなるペプチド」または「特定配列番号で記載されたアミノ酸配列を有するペプチド」と記載されていても、当該配列番号のアミノ酸配列からなるペプチドと同一あるいは対応する活性を有する場合であれば、一部の配列が欠失、変形、置換、保存的置換または付加されたアミノ酸配列を有するペプチドも本発明で用いられることは自明である。例えば、上記アミノ酸配列N-末端、そして/またはC-末端にペプチドの機能を変更しない配列の追加、自然的に発生し得る突然変異、そのサイレント突然変異(silent mutation)または保存的置換を有する場合である。
【0045】
上記「保存的置換(conservative substitution)」とは、あるアミノ酸を類似の構造的及び/又は化学的性質を有する他のアミノ酸で置換させることを意味する。このようなアミノ酸の置換は、一般に、残基の極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性及び/又は両親媒性(amphipathic nature)における類似性に基づいて発生し得る。通常、保存的置換は、ペプチドの活性にほとんど影響を及ぼさないか、または影響を及ぼさない。
【0046】
本発明のペプチドは、固相に一定に結合されたアミノ酸骨格に一つ以上のアミノ酸または適するように保護されたアミノ酸を連続的にアミド結合を形成する方式で製造することができるが、これに限定されない。また、上記ペプチドは、安定性を大きく低下させない範囲で他のアミノ酸の挿入、置換、削除が可能であり、これも本発明の範疇に属する。
【0047】
また、本発明の皮膚透過性ペプチドは、細胞内移動を促進する公知となった細胞透過性ペプチド(cell permeable peptide)をさらにC-末端またはN-末端に結合した形態として製造することもできる。例えば、上記公知となった細胞透過性ペプチドには、TATペプチド(Arg-Lys-Lys-Arg-Arg-Tyr-Arg-Arg-Arg)及びTat-PTDペプチド(Gly-Arg-Lys-Lys-Arg-Arg-Gln-Arg-Arg-Arg:Tat PTD)であってもよいが、本発明がこれに限定されるものではなく、当業界に公知となった細胞透過性ペプチドが本発明の活性を阻害しない範囲内のものであれば、いずれでも使用可能である。
【0048】
本発明のペプチド及び化合物は、金属錯体の形態で製造することもでき、上記金属は、銅、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、ニッケル、銀、ゲルマニウム、及び、ガリウムから選択され得るが、これに限定されるものではなく、好ましくは、銅を用いてもよいが、これに制限されない。
【0049】
一方、本発明のペプチドは、塩の形態で存在してもよい。本発明に使用可能な塩の形態は、化合物の最終分離及び精製中またはアミノ基を適切な酸と反応させることにより作られるものであってもよい。例えば、酸付加塩として、アセテート、アジピン酸塩、アルギン酸塩、クエン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、重硫酸塩、ブチラート、ショウ脳酸塩、カンファースルホネート、ジグルコン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ギ酸塩、フマレート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホネート、ラクテート、マレイン酸塩、メシチレンスルホン酸塩、メタンスルホネート、ナフチレンスルホネート、ニコチン酸塩、2-ナフタレンスルホネート、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオネート、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオネート、スクシネート、酒石酸塩、トリクロロ酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、リン酸塩、グルタメート、重炭酸塩、パラ-トルエンスルホネート及びウンデカノエートであってもよいが、これに限定されるものではない。また、酸付加塩を形成するために用いられる酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸及びリン酸のような無機酸及びシュウ酸、マレイン酸、コハク酸及びクエン酸のような有機酸であってもよいが、これに限定されるものではない。好ましくは、本発明のペプチドは、トリクロロ酢酸塩または酢酸塩の形態で製造することができる。
【0050】
本発明の組成物に含まれるペプチドの製造のために利用されるアミノ酸のアミノ基またはカルボキシル基は、適した保護基により保護されるようにしてもよい。保護されたアミノ酸は、固体支持体に付着するようにしてもよく、アミド結合を形成するのに適した条件の下で次のアミノ酸を添加することにより、溶液中で反応が行われるようにしてもよい。また、保護基は、適した保護基で保護されたアミノ酸を添加する前に完全に除去されるようにしてもよい。すべてのアミノ酸が目的することにより連結された後、遊離した残留保護基及び遊離した固形支持体から連続的にまたは同時に分離し、最終目的とするペプチドを得ることができる。
【0051】
本発明のペプチド化合物を製造するための最も好ましい合成方法としては、固相ポリマー脂質を利用して合成する固相ペプチド合成法を利用することができ、上記方法を通じて製造されたペプチドのα-アミノ基は、酸または塩基敏感性官能基により保護することができる。この時のアミノ酸の保護基は、ペプチド縮合反応条件で安定した性質を有しなければならず、延びるペプチド鎖の破壊なしに、またはそれに含まれた任意のキラル中心がラセミ化することなく容易に除去可能な性質を有しなければならない。したがって、適した保護基としては、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、t-ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、ビフェニルイソプロピルオキシカルボニル、t-アミルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、(α、α)-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、O-ニトロフェニルスルフェニル、2-シアノ-t-ブチルオキシカルボニルなどであってもよく、このような目的で当業界に知られている適した他の保護基も、本発明の範囲内で使用可能である。
【0052】
本発明のペプチド合成で用いられたアミノ酸の最も好ましい保護基としては、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)保護基が用いることができる。
【0053】
特に、本発明のペプチド合成で用いられるアミノ酸残基の保護基としては、N-メチルグルタミン酸の場合、t-ブチル(t-Bu)であり;リシンの場合、t-ブトキシカルボニル(Boc)であり;セリンの場合、7t-ブチル(t-Bu)であり;トレオニン及びアロトレオニンの場合、t-ブチル(t-Bu)であり;システインの場合、トリチル(Trt)であることが好ましいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【0054】
固相ペプチド合成方法において、C-末端アミノ酸は、適した固形支持体または樹脂に付着することができる。上記合成のために有用な適した固形支持体としては、段階的な縮合脱保護反応の試薬及び反応条件に不活性であり、用いられる媒質に不溶性である物質が好ましく、例えば、2-クロロトリチルクロリド樹脂(2-chlorotrityl chloride resin)、リンクアミド(rink amid)またはリンクアミド4-メチルベンジルヒドリルアミン樹脂(rink amid MBHA resin)であってもよい。
【0055】
特に、C-末端ペプチドに対して好ましい固形支持体は、Novabiochem Corporationから市販される2-クロロトリチルクロリド、リンクアミド(rink amid)またはリンクアミド4-メチルベンジルヒドリルアミン樹脂(rink amid MBHA resin)であってもよい。
【0056】
C-末端アミド(amide)は、ジクロロメタン、N-メチルピロリドン(NMP)またはDMFのような溶媒中で10℃~50℃の温度で、好ましくは、30℃の温度条件で、1~24時間4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、N-メチルモルホリン(NMM)、ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ-トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム-ヘキサフルオロホスファート(BOP)またはビス(2-オキソ-3-オキサゾリジニル)ホスフィンクロリド(BOPCI)の存在または不在下でN,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、[O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート](HATU)またはO-ベンゾトリアゾール-1-イル-N、N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)にカルボン酸を活性化させて縮合を通じて樹脂または固相支持体に縮合(結合、カップリング)できる。
【0057】
固形支持体がリンクアミド4-メチルベンジルヒドリルアミン樹脂である場合、好ましい保護基としてFmoc官能基は、C-末端アミノ酸で縮合する前に2級アミン溶液、好ましくは、20%のピペリジンDMF溶液を過量用いて切断する。上記脱保護された4-(2’,4’-ジメトキシフェニル-Fmoc-アミノメチル)フェノキシアセトアミドエチル樹脂に目的とするアミノ酸を縮合させるのに用いられる好ましい試薬としては、適するように保護されたアミノ酸に対してDMF溶媒中でN-メチルモルホリン(NMM)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)及びO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート](HATU)、O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N、N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HBTU)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはN,N’-ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)のような縮合反応試薬である。
【0058】
本発明で行われる連続的なアミノ酸の縮合は、関連の技術分野で広く知られている自動ペプチド合成器を利用したりまたは手動で直接行うことができる。好ましい合成反応の条件としては、Fmocグループで保護されたα-アミノ酸を2級アミン溶液、好ましくは、ピペリジンで処理して脱保護させた後、十分に過量の溶媒で洗浄し、縮合を目的とする他のそれぞれの保護されたアミノ酸を引き続き、3~7倍モル過量添加し、好ましくは、DMF溶媒中で反応を行うことができる。
【0059】
本発明の固相樹脂を利用したペプチドの合成の最後の段階では、ペプチドを連続的にまたは1回の操作で樹脂から得ようとするペプチドを除去し、それぞれアミノ酸の残基を保護している保護グループを脱保護させることができる。樹脂からペプチドの除去及び残基に存在する保護基の脱保護条件としては、一般に、樹脂-ペプチド間の結合を切断する切断試薬カクテル、例えば、トリフルオロ酢酸(TFA)、トリイソプロピルシラン(TIS)、チオアニソール、水またはエタンジチオール(EDT)などで構成されたジクロロメタン混合カクテル溶液を処理して得ることができる。このように得られた混合溶液は、冷蔵保管されたジエチルエーテル溶媒を過量処理することにより沈殿物を生成させることができる。以上のように得られた沈殿物を遠心分離させて完全に沈殿させ、過量のトリフルオロ酢酸、トリイソプロピルシラン、チオアニソール、水及びエタンジチオールなどを一次除去し、以上の手続きを2回以上繰り返して固形化させた沈殿物を得ることができる。そのとき、完全に脱保護されたペプチド塩は水とアセトニトリル溶媒で構成された混合溶媒及び逆相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を利用して分離精製することができる。分離精製されたペプチド溶液は、凍結乾燥を利用して完全に濃縮乾燥することにより固形のペプチドを得ることができる。
【0060】
本発明は、生理活性物質の経皮伝達用組成物を提供する。
【0061】
本発明において「生理活性物質」は、生体内で生理作用を有する物質を総称する概念である。上記生理活性物質は、親水性、疎水性、または難溶性であってもよく、天然物、化合物(chemical compound)、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、核酸、脂質、リポソーム、及びポリマーなど生理作用を有することができれば、制限なく含まれる。また、本発明の生理活性物質は、一つの物質単独で用いられ、他の生理活性物質との組合せ、担体との組合せ、及び公知となった皮膚透過性ペプチドと組合わせた形態など制限されずに含むことができる。
【0062】
一具現例として、本発明の生理活性物質は、皮膚、皮膚経皮、及び/又は粘膜などに活用される医薬品、医薬部外品、及び/又は化粧品の主要成分であってもよい。
【0063】
本発明の生理活性物質は、一つ以上の生理作用を行うことができ、皮膚改善、健康増進、疾病の予防、改善などの生理作用を行うことできるが、本発明の皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片と共に用いられる限り制限なく含まれる。
【0064】
一具現例として、上記生理活性物質は、リドカイン、カフェイン、コラーゲン、ヒアルロン酸、及びリポソームで構成される群から選択されるいずれか一つ以上であってもよいが、これに制限されない。
【0065】
上記配列番号5~8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片は生理活性物質と直接または間接的に連結されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0066】
一具現例として、本発明の配列番号5~8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片と生理活性物質は、相互間に直接連結されたりリンカーを通じて連結されたりまたは他のタンパク質モイエティ(moiety)をさらに含んでもよいが、これに制限されない。本発明の連結方式は、連結される配列番号5~8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片と生理活性物質の構造や活性を変更させない限り当業界で実行される方法を制限なく利用することができる。上記リンカーは、1~20個のアミノ酸で構成されたペプチド性リンカーまたは非ペプチド性リンカーであってもよいが、これに制限されない。
【0067】
一具現例として、本発明の配列番号5~8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片は生理活性物質と非共有結合(例えば、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス結合など)により連結されてもよいが、これに制限されない。
【0068】
一具現例として、本発明の配列番号5~8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片は生理活性物質に連結(例えば、共有結合)されてもよいが、これに制限されない。上記皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片と生理活性物質は、相互間に直接連結されたりリンカーを通じて連結されたりまたは他のタンパク質モイエティ(moiety)をさらに含んでもよいが、これに制限されない。
【0069】
一具現例として、上記皮膚透過性ペプチドは、生理活性物質と自己集合(self-assembling)または自己融合(self-fusion)するものであってもよい。
【0070】
一具現例として、上記皮膚透過性ペプチドは、一分子以上が生理活性物質を囲んだり、融合するものであってもよいが、これに制限されない。
【0071】
本発明において「経皮伝達」とは、生体膜を透過して生理活性物質を伝達することを意味する。本発明の経皮伝達用組成物は、生理活性物質を細胞伝達及び生体膜伝達、具体的には、皮膚及び/又は粘膜を透過して伝達するものであってもよいが、これに制限されない。
【0072】
本発明の経皮伝達用組成物は、生理活性物質の皮膚及び粘膜で構成される群から選択されるいずれか一つ以上に対する透過能を増加させるものであってもよいが、これに制限されない。
【0073】
本発明の経皮伝達用組成物は、必要な場合、担体、賦形剤、希釈剤、抗酸化剤、及び/又は緩衝液など付加的にさらに含めて用いられるが、これに制限されない。
【0074】
一具現例として、上記担体は、リポソーム(lyposome)であってもよいが、これに制限されない。
【0075】
本発明において「リポソーム」は、水溶液においてリン脂質二重層が形成する中空の構造を意味する。上記リポソームは、中空の構造内に生理活性物質を含むものであってもよいが、これに制限されない。
【0076】
一具現例として、上記リポソームは、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片の生理活性物質皮膚透過性及び/又は経皮伝達能を増加させるものであってもよいが、これに制限されない。
【0077】
本発明の実施例において本発明は、リドカイン、カフェイン、3、30、300kdaのコラーゲン及び800kdaのヒアルロン酸(HA)まで生理活性物質の特性、大きさ、及び種類に関係なく皮膚透過性及び経皮伝達を増加させることを確認した。また、本発明の一実施例において本発明の皮膚透過性ペプチドがリポソームに対する皮膚透過及び経皮伝達活性を増加させることを確認した(実施例1~6)。これは、本発明の皮膚透過性ペプチドが生理活性物質を含むリポソームの皮膚透過及び経皮伝達活性を増加させることを示唆する。
【0078】
本発明の他の一つの様態は、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含む生理活性物質の皮膚透過用組成物を提供する。
【0079】
上記配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列、皮膚透過性ペプチド、誘導体、断片、生理活性物質、及び皮膚透過などは前述した通りである。
【0080】
一具現例として、本発明の皮膚透過用組成物は、生理活性物質の皮膚及び粘膜で構成される群から選択されるいずれか一つ以上に対する透過能を増加させるものであってもよいが、これに制限されない。
【0081】
本発明の皮膚透過用組成物は、必要な場合、担体、賦形剤、希釈剤、抗酸化剤、及び/又は緩衝液など付加的にさらに含めて用いられるが、これに制限されない。
【0082】
本発明のもう一つの態様は、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含む生理活性物質の経皮伝達用担体を提供する。
【0083】
本発明のもう一つの態様は、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含む生理活性物質の皮膚透過用担体を提供する。
【0084】
上記配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列、皮膚透過性ペプチド、誘導体、断片、生理活性物質、経皮伝達、及び皮膚透過などは前述した通りである。
【0085】
本発明において「担体」とは、組成物を例として挙げられる任意の物質または成分を担持できることを意味し、担体、含浸剤、または媒介体などと混用されてもよい。また、上記担体の例である組成物は、手、パフ、チップ、ブラシなどの塗布手段を通じて皮膚に塗布及び伝達するものであってもよい。
【0086】
上記経皮伝達用組成物、皮膚透過用組成物、経皮伝達用担体、及び皮膚透過用担体は、薬学的組成物、医薬部外品組成物または化粧料組成物などに含まれるものであってもよいが、これに制限されない。
【0087】
本発明の目的上、上記生理活性物質の経皮伝達用担体及び皮膚透過用担体は、配列番号5~配列番号8のアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含むものであってもよい。
【0088】
一具現例として、本発明の経皮伝達用組成物、皮膚透過用組成物、経皮伝達用担体、及び皮膚透過用担体は、皮膚外用剤用であってもよい。
【0089】
本発明において「皮膚外用剤」とは、皮膚または粘膜に塗布する剤形を意味する。本発明において外用剤は、皮膚または粘膜に塗布する剤形であれば、形状などに制限されず、外用剤は、再び軟膏剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤などに分類することができ、これに制限されない。
【0090】
具体的には、上記軟膏剤は、皮膚または粘膜に塗布する主成分を基剤に溶かしたり分散させた半固形の外用剤であってもよい。基剤は、成分により油脂性軟膏剤または水溶性軟膏剤に分けられる。油脂性基剤を用いた軟膏剤は、皮膚または粘膜軟化作用をすることができ、密封性に優れ、傷に適用するに適するが、除去が容易でない短所がある。皮膚または粘膜と類似の脂溶性性質及び皮膚軟化作用により皮膚透過が困難な成分を局所的に透過させる時に有利な剤形である。
【0091】
上記軟膏は、主に油のような油相で形成されており、保湿に優れ、脂溶性成分の透過に良いが、べたつく短所があり、上記クリームは、油中水型に乳化させた半固形の外用剤であってもよく、油相と水相を混合して軟膏のべたつきを改善した剤形であってもよい。乳化過程として、油相と水相を混合するために、界面活性剤または特別な工程を経て混合することができる。また、クリームは、軟膏剤に比べて塗布及び除去が容易な剤形であってもよく、ローションは、クリームよりさらに水と類似の性質を有する剤形で主成分を水性液剤に溶解させたり乳化または微細に分散させた外用剤であってもよい。主成分、添加剤、及び精製水などを用いて溶液、懸濁液、または乳濁液にして全体を均質にしたものであってもよい。上記ゲル剤は、液体を浸透させた分子量が大きい有機分子からなる半固形状の外用剤であってもよい。水性にゲル化剤を分散させたものであってもよく、カルボマーまたは合成高分子などのゲル化剤を用いることができる。外用剤の種類は、有効成分、使用目的、使用方法などにより多様な種類で用いられ、本発明の外用剤もこれに制限されない。
【0092】
本発明のもう一つの態様は、本発明の経皮伝達用組成物を含む化粧料組成物を提供する。
【0093】
上記経皮伝達用組成物などは、前述した通りである。
【0094】
上記化粧料組成物は、生理活性物質の生理機能により皮膚改善、疾病の予防または改善用であってもよいが、これに制限されない。
【0095】
一具現例として、上記化粧料組成物は、皮膚改善用であってもよいが、これに制限されない。
【0096】
一具現例として、上記化粧料組成物は、皮膚再生、傷の治癒、老化防止、シワ改善、美白、炎症緩和、抗菌、保湿、水分増加、及び抗酸化用であってもよいが、これに制限されない。
【0097】
一具現例として、上記化粧料組成物は、皮膚疾患予防または改善用であってもよいが、これに制限されない。
【0098】
上記皮膚疾患は、遺伝的要因、生理的要因、環境的要因などの原因により皮膚に炎症、紅斑、肥厚、繊維化、角質などの異常な症状が現れる疾患を意味する。一例として、上記皮膚疾患はアトピー性皮膚炎、アレルギー、乾癬、脂漏性皮膚炎、接触性皮膚炎、紅斑性ループス、にきび、いぼ、ウイルス感染、丘疹状じんま疹などであるが、これに制限されない。
【0099】
本出願において「予防」とは、疾病(例えば、皮膚疾患)の発病またはその進行を抑制または遅延させるあらゆる行為を意味する。
【0100】
本発明において「改善」とは、状態の緩和または治療と関連したパラメーター、例えば、症状の程度を少なくとも減少させるあらゆる行為を意味する。本発明において化粧料組成物は、溶液、外用軟膏、クリーム、フォーム、栄養化粧水、柔軟化粧水、香水、パック、柔軟水、乳液、メイクアップベース、エッセンス、石鹸、液体洗浄料、入浴剤、サンスクリーンクリーム、サンオイル、懸濁液、乳濁液、ペースト、ゲル、ローション、パウダー、界面活性剤含有クレンジング、オイル、粉末ファンデーション、乳濁液ファンデーション、ワックスファンデーション、パッチ及びスプレーで構成された群から選択される剤形で製造することができるが、これに制限されない。
【0101】
本発明の化粧料組成物は、一般の皮膚化粧料に配合される化粧品学的に許容可能な担体を1種以上さらに含み、通常の成分として例えば、油分、水、界面活性剤、保湿剤、低級アルコール、増粘剤、キレート剤、色素、防腐剤、香料などを適切に配合することができるが、これに制限されるものではない。
【0102】
本発明の化粧料組成物に含まれる化粧品学的に許容可能な担体は、上記化粧料組成物の剤形により多様である。
【0103】
本発明の剤形が軟膏、ペースト、クリームまたはゲルである場合には、担体成分として動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛などが用いられるが、これに制限されるものではない。これらは単独で用いられたり2種以上混合して使用することができる。
【0104】
本発明の剤形がパウダーまたはスプレーである場合には、担体成分としてラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、ケイ酸カルシウム、ポリアミドパウダーなどが用いられ、特に、スプレーである場合には、追加的にクロロフルオロヒドロカーボン、プロパン/ブタンまたはジメチルエーテルのような推進剤を含んでもよいが、これに制限されるものではない。これらは単独で用いられたり2種以上混合して用いられてもよい。
【0105】
本発明の剤形が溶液または乳濁液である場合には、担体成分として溶媒、可溶化剤または乳化剤などが用いられ、例えば、水、グリセリン、エタノール、イソプロパノール、エチルカルボナート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイルなどが用いられ、特に、綿実油、ピーナッツオイル、トウモロコシ胚芽油、オリーブオイル、ヒマシ油及びゴマ油、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコールまたはソルビタンの脂肪酸エステルが用いられるが、これに制限されるものではない。これらは単独で用いられたり2種以上混合して用いられてもよい。
【0106】
本発明の剤形が懸濁液である場合には、担体成分として水、グリセリン、エタノールまたはプロピレングリコールのような液状の希釈剤、エトキシル化イソステアリールアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステルのような懸濁剤、微結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、アガーまたはトラガカントなどが用いられるが、これに制限されるものではない。これらは単独で用いられたり2種以上混合して用いられてもよい。
【0107】
本発明の剤形が石鹸である場合には、担体成分として脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸ヘミエステル塩、脂肪酸タンパク質加水分解物、イセチオネート、ラノリン誘導体、脂肪族アルコール、植物性油、グリセロール、糖などが用いられるが、これに制限されるものではない。これらは単独で用いられたり2種以上混合して用いられてもよい。
【0108】
本発明のもう一つの態様は、本発明の経皮伝達用組成物を含む医薬部外品組成物を提供する。
【0109】
上記医薬部外品組成物は、生理活性物質の生理機能により皮膚改善、皮膚疾患予防または改善用であってもよいが、これに制限されない。
【0110】
上記経皮伝達用組成物、生理活性物質、皮膚改善、皮膚疾患、予防、及び改善などは前述した通りである。
【0111】
本発明において「医薬部外品」とは、ヒトや動物の疾病を診断、治療、改善、軽減、処置または予防する目的で用いられる物品中、医薬品より作用が軽微な物品を意味することにより、例えば、薬事法によれば、医薬部外品とは、医薬品の用途で用いられる物品を除いたものであり、ヒト・動物の疾病治療や予防に使われる製品、人体に対する作用が軽微であるか、直接作用しない製品などが含まれる。
【0112】
本発明の上記医薬部外品組成物は、ボディクレンザー、フォーム、石鹸、マスク、軟膏剤、クリーム、ローション、エッセンス及びスプレーからなる群から選択される製造することができるが、これに制限されるものではない。
【0113】
本発明の化粧料組成物または医薬部外品組成物において、配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片は全体組成物中の0.01重量%~100.0重量%、0.1重量%~10重量%で含まれてもよい。
【0114】
本発明のもう一つの態様は、本発明の経皮伝達用組成物を含む皮膚外用剤用薬学的組成物を提供する。
【0115】
上記薬学的組成物は、生理活性物質の生理機能により皮膚疾患予防または治療用であってもよいが、これに制限されない。上記経皮伝達用組成物、皮膚外用剤、生理活性物質、皮膚疾患、及び予防などは前述した通りである。
【0116】
本出願において「治療」とは、疾病(例えば、皮膚疾患)の症状が好転又は有益にするあらゆる行為を意味する。本出願において治療は、疾病の再発防止、症状緩和、進行速度の減少、疾病状態を軽減、疾病状態を一時的または持続的に緩和、快方に向かわせたり、予後を改善するあらゆる行為を含むことができる。
【0117】
本発明の薬学的組成物は、配列番号5~配列番号8のアミノ酸配列で構成される皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片を含むことに加え、生理活性物質及び薬学的で許容可能な担体をさらに含むことができる。
【0118】
本発明において、上記「薬学的で許容可能」であるとは、これを投与時に生物体を刺激しないとともに、投与される化合物の生物学的活性及び特性を阻害しない、薬学分野において通常に用いられることを意味する。本発明の上記薬学的組成物は、上記担体とともに製剤化され、食品、医薬品、飼料添加剤、飲用水添加剤などに活用することができる。
【0119】
上記担体の種類は、特に制限されず、当該技術分野において通常的に用いられる担体であれば、いずれも用いることができる。上記担体の非制限的な例としては、食塩水、滅菌水、リンゲル液、緩衝食塩水、アルブミン、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、マルトデキストリン、グリセロール、エタノールなどが挙げられる。これらは単独で用いられたり2種以上を混合して用いられるがこれに制限されない。
【0120】
また、本発明の上記薬学的組成物は、必要な場合、賦形剤、希釈剤、抗酸化剤、緩衝液または静菌剤などその他薬学的に許容可能な添加剤を添加して使用することができ、充填剤、増量剤、湿潤剤、崩壊剤、分散剤、界面活性剤、結合剤または潤滑剤などを付加的に添加して用いられるが、これに制限されない。
【0121】
本発明の上記薬学的組成物は、皮膚外用剤のための適した多様な剤形で製剤化して用いることができる。
【0122】
上記皮膚外用剤の非制限的な例としては、エアロゾル剤、スプレー剤、洗浄剤、軟膏、塗布用パウダー、オイル、クリームなどが挙げられ、皮膚外用剤として機能できれば、これに制限されない。
【0123】
本発明の上記薬学的組成物を皮膚外用剤用に製剤化するために、滅菌された水溶液、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、外用剤などを使用することができ、上記非水性溶剤、懸濁剤ではプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、オレイン酸エチルのようなエステルなどが用いられるが、これに制限されない。
【0124】
また、より具体的には、本発明の上記薬学的組成物を製剤化する場合、本発明の薬学的組成物を安定剤または緩衝剤とともに水で混合して溶液または懸濁液で製造し、これをアンプル(ampoule)などの単位で製剤化することができる。また、本発明の上記薬学的組成物をエアロゾル剤に製剤化する場合、水分散された濃縮物または湿潤粉末が分散するように推進剤などを添加剤とともに配合することができるが、これに制限されない。
【0125】
また、本発明の上記薬学的組成物を軟膏、クリームなどに製剤化する場合には、動物性油、植物性油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛などを担体として用いて製剤化することができるが、これに制限されない。
【0126】
本発明の上記薬学的組成物は、皮膚外用剤用に製剤化され、より好ましくは、ゲル、パッチ、噴霧剤、軟膏剤、硬膏剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤及びカタプラズマ剤からなる群から選択される剤形を有することができるが、これに制限されない。
【0127】
本発明の上記薬学的組成物の薬学的有効量、外用剤のための有効投与量は、上記薬学的組成物の製剤化方法、投与方式、投与時間及び/又は投与経路などにより多様化することができ、上記薬学組成物の投与で達成しようとする反応の種類と程度、投与対象となる個体の種類、年齢、体重、一般的な健康状態、疾病の症状や程度、性別、食事、排泄、当該個体に同時または異時に共に用いられる薬品その他組成物の成分などをはじめとする様々な因子及び医薬分野で良く知られた類似因子により多様化することができ、当該技術分野において通常の知識を有する者は目的とする治療に効果的な投与量を容易に決定し、処方することができる。本発明の上記薬学的組成物の投与は、一日に1回投与することができ、数回に分けて投与することができる。したがって、上記投与量はいかなる面でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0128】
また、本発明において投与は、外用剤としての投与であってもよく、本発明の上記薬学的組成物の好ましい投与量は、1日1mg/kg~1,000mg/kgであってもよい。
【0129】
本発明の上記薬学的組成物の投与経路及び投与方式は、それぞれ独立していてもよく、その方式において特に制限されず、目的とする当該部位に上記薬学的組成物が到達できる限り、任意の投与経路及び投与方式に従うことができる。上記薬学的組成物は、皮膚外用剤の方式で投与することができる。具体的には、上記組成物を疾患部位に塗布したり噴霧する方法を用いることができるが、これに制限されない。
【0130】
本発明の上記薬学的組成物は、好ましくは、塗布または噴霧方式で投与することができ、具体的には、皮膚状態の改善や皮膚疾患を予防、改善または治療する必要がある部位に局所的に塗布する方式で投与することができる。
【0131】
本発明のもう一つの態様は、本発明の経皮伝達用組成物;及び生理活性物質を含むキットを提供する。
【0132】
上記キットは、経皮伝達、皮膚透過、皮膚改善、皮膚疾病の予防または治療のためのものであってもよいが、これに制限されない。上記キットは、経皮伝達用組成物と生理活性物質を別個の容器で保管し、使用時に混合して用いられるように提供されたものであってもよいが、これに制限されない。
【0133】
また、本出願のキットは、経皮伝達、皮膚透過、皮膚改善、皮膚疾病の予防または治療のために、一種類またはそれ以上の他の構成成分組成物、溶液または装置を含めてもよいが、これに制限されない。上記他の構成成分の一例として、適した担体、溶解剤、緩衝剤、安定化剤などが含まれるが、これに制限されない。担体は、可溶性担体、不溶性担体が含まれ、可溶性担体の一例として当分野において公知となった生理学的に許される緩衝液、例えば、PBSがあり、不溶性担体の一例として、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、フッ素樹脂、架橋デキストラン、ポリサッカライド、ラテックスに金属をメッキした磁性微粒子のような高分子、その他の紙、ガラス、金属、アガロース及びこれらの組合せであってもよいが、これに制限されない。
【0134】
また、本出願のキットは、最適な反応実行条件を記載したユーザーガイドブックをさらに含むことができる。ガイドブックは、キットの使い方、例えば、反応条件などを説明する印刷物である。ガイドブックは、パンフレットまたはチラシ形態の案内冊子、キットに付着したラベル及びキットを含むパッケージの表面上の説明を含む。また、ガイドブックは、インターネットのように電気媒体を通じて公開されたり提供される情報を含む。
【0135】
本発明のもう一つの態様は、本発明の経皮伝達用組成物を製造する方法を提供する。
【0136】
本発明のもう一つの態様は、本発明の経皮伝達用組成物;及び生理活性物質を皮膚または粘膜に塗布する段階を含む、生理活性物質の皮膚伝達方法を提供する。
【0137】
本発明のもう一つの態様は、本発明の経皮伝達用組成物;及び生理活性物質を皮膚または粘膜に塗布する段階を含む、皮膚改善方法を提供する。
【0138】
本発明のもう一つの態様は、本発明の薬学的組成物をヒトを除いた個体の皮膚または粘膜に塗布する段階を含む、皮膚または粘膜疾患予防または治療方法を提供する。
【0139】
本発明のもう一つの態様は、本発明の化粧料組成物または医薬部外品組成物を皮膚に塗布する段階を含む、皮膚または粘膜疾患予防または改善方法を提供する。
【0140】
本発明のもう一つの態様は、本発明の経皮伝達用組成物及び生理活性物質を混合する段階を含む化粧料組成物、医薬部外品組成物、または薬学的組成物製造方法を提供する。
【0141】
本発明のもう一つの態様は、本発明の配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成されるペプチド、その誘導体、またはその断片の生理活性物質の皮膚透過用途を提供する。
【0142】
本発明のもう一つの態様は、本発明の配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成されるペプチド、その誘導体、またはその断片の生理活性物質の経皮伝達用途を提供する。
【0143】
本発明のもう一つの態様は、本発明の配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成されるペプチド、その誘導体、またはその断片及び生理活性物質;これを含む化粧料組成物;または医薬部外品組成物の皮膚改善、皮膚疾患予防または改善用途を提供する。
【0144】
本発明のもう一つの態様は、本発明の配列番号5~配列番号8のいずれか一つのアミノ酸配列で構成されるペプチド、その誘導体、またはその断片及び生理活性物質を含む薬学的組成物の皮膚疾患予防または治療用途を提供する。上記経皮伝達用組成物、生理活性物質、皮膚改善、薬学的組成物、化粧料組成物、医薬部外品組成物、皮膚疾患、予防、改善、及び治療などは前述した通りである。
【0145】
本発明において用語「個体」とは、ラット、家畜、ヒトなどを含む哺乳動物をはじめとするすべての動物を意味し、これに制限されない。
【0146】
本発明において用語「塗布」とは、任意の適切な方法で個体の皮膚に本発明の上記経皮伝達用組成物及び生理活性物質を接触させることを意味し、これを通じて当該経皮伝達用組成物及び生理活性物質を皮膚内部に吸収させることを目的とするあらゆる行為を含むが、これに制限されない。
【0147】
以下、本発明を実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、これら実施例及び実験例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれら実施例及び実験例に限定されるものではない。
【0148】
製造例1:皮膚透過性ペプチドの製造
皮膚透過性ペプチドの機能を確認するために、配列番号5~配列番号8及びその誘導体ペプチドを製造した。
【0149】
1-1:配列番号1のペプチド合成
Novabiochem corporationから購入した2-chlorotrityl chloride resin(1.4mmol/gロードされた樹脂)を71.4mg(0.10mmol)測量し、樹脂を7.5mlのメチルクロリド(methylchloride)で溶媒化させて5分間反応させた後、メチルクロリドを除去した。
【0150】
その後、Fmoc-Lys(Boc)-OH(281.1mg、0.60mmol)を7.5mlのMC溶媒に完全に溶かした後、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)0.21ml、1.2mmolを入れて樹脂に添加した。反応液を室温で12時間撹拌(shaking)した後、10mlのDMF溶媒で4回洗浄した。
【0151】
その後、20%(w/v)ピペリジン(piperidine)DMF溶液を7.5ml添加して15分間撹拌(shaking)し、前述した樹脂に添加された物質で9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(9-fluorenylmethyloxycarbonyl;Fmoc)保護基を完全に除去し、10mlのDMF溶媒を利用して4回洗浄した(10mlずつ4回洗浄)。この段階でFmoc保護基の脱保護反応の有無をKaiser test[E. Kaiser et al. Anal.Biochem.、1970,34(2)、595~598.]を実施して確認した。
【0152】
一方、Fmoc-Leu-OH(212.0mg、0.60mmol)とヘキサフルオロリン酸塩ベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム(hexafluorophosphate benzotriazole tetramethyluronium;HBTU)(227.6mg、0.60mmol)及びヒドロキシベンゾトリアゾール(hydroxybenzotriazole;HOBt)(81.0mg、0.6mmol)を7.5mlDMF溶媒に完全に溶かした後、DIPEA(0.21ml、1.2mmol)を入れて前述した樹脂に添加した。反応液を常温で3時間撹拌(shaking)した後、10mlずつDMF溶媒で4回洗浄した。この段階でKaiser testを実施して反応終結を確認した。
【0153】
次には以下と同様の合成周期により連続的にペプチドを縮合(カップリング)させた。
【0154】
(1)DMF溶媒(10ml)で4回洗浄;
(2)20%(w/v)ピペリジンDMF溶液(7.5ml)を用いて15分間脱保護;
(3)DMF溶媒(10ml)で4回洗浄;
(4)Fmoc-アミノ酸、HBTU、HOBt、DIPEA添加;
(5)HBTU、HOBt、DIPEA縮合試薬を添加してアミノ酸活性化及び3時間縮合;
(6) DMF溶媒(10ml)で4回洗浄;
【0155】
上記(1)~(6)は引き続き繰り返し、そのとき、Fmoc-Leu-OH以後のFmocで保護されたアミノ酸(0.60mmol)は、次に記述された順に樹脂反応容器に添加して縮合させた。
【0156】
(i)Fmoc-Tyr(tBu)-OH;
(ii)Fmoc-Lys(Boc)-OH;
(iii)Fmoc-Leu-OH;
(iv)Fmoc-Ile-OH;
(v)Fmoc-Lys(Boc)-OH;
(vi)Fmoc-Lys(Boc)-OH;
(vii)Fmoc-Phe-OH;
(viii)Fmoc-Leu-OH;
(ix)Fmoc-Lys(Boc)-OH;
(x)Fmoc-Lys(Boc)-OH;
【0157】
Fmoc-Lys(Boc)-OH縮合後の(6)以降は、最後に、20%ピペリジンDMF溶液(7.5ml)で処理後、10mlずつDMF溶媒3回、MC溶媒3回、ジエチルエーテル溶媒3回洗浄した。
【0158】
上記のような合成終了直後、ペプチドが縮合された樹脂を3時間トリフルオロ酢酸/トリイソプロピルシラン/水(95:2.5:2.5)の混合物を使用(10ml)し、樹脂からペプチドを切断した。このように得られた混合溶液に冷蔵保管されたジエチルエーテル溶媒を100ml処理することにより沈殿物を生成させた。得られた沈殿物を遠心分離して完全に沈殿させ、トリフルオロ酢酸を1次除去し、以上の手続き(ジエチルエーテル溶媒を100ml添加して沈殿物を洗浄し、遠心分離する段階-1次除去を試みたトリフルオロ酢酸を除去するための作業)を2回繰り返して固形化させた沈殿物を得た。
【0159】
上記沈殿物(ペプチド)をC-18コラムを用いて50分にかけて0.001%トリフルオロ酢酸を含有する5%~100%のアセトニトリル/水の濃度勾配溶媒システムを用いるHPLCで精製した。純粋精製された分画物を凍結乾燥させ白色粉末型のトリフルオロ酢酸塩として下記の配列番号1の皮膚透過性ペプチド155mgを得た。
【0160】
配列番号1:H2N-[Lys-Lys-Leu-Phe-Lys-Lys-Ile-Leu-Lys-Tyr-Leu-Lys]-CO2H
MS(ESI)m/e、[M+H]+= 1550.17;(155mg)
【0161】
1-2:配列番号2~配列番号8の合成
上記製造例1-1と同様の製造過程を利用するものの、Fmocで保護されたアミノ酸の順序を異にして下記の配列番号2~配列番号8のペプチドを製造した。
【0162】
配列番号2:H2N-[Arg-Arg-Leu-Phe-Arg-Arg-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Arg]-CO2H
MS(ESI)m/e、[M+H]+= 1718.23;(171mg)
配列番号3:H2N-[Arg-Phe-Leu-Phe-Arg-Leu-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Arg]-CO2H
MS(ESI)m/e、[M+H]+= 1666.18;(166mg)
配列番号4:H2N-[Arg-Arg-Leu-Phe-Arg-Leu-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Phe]-CO2H
MS(ESI)m/e、[M+H]+= 1666.18;(166mg)
配列番号5:H2N-[Arg-Lys-Leu-Phe-Lys-Arg-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Lys]-CO2H
MS(ESI)m/e、[M+H]+= 1634.2;(153mg)
配列番号6:H2N-[Lys-Arg-Leu-Phe-Arg-Lys-Ile-Leu-Lys-Tyr-Leu-Arg]-CO2H
MS(ESI)m/e、[M+H]+= 1634.2;(143mg)
配列番号7:H2N-[Lys-Arg-Leu-Phe-Lys-Arg-Ile-Leu-Arg-Tyr-Leu-Lys]-CO2H
MS(ESI)m/e、[M+H]+= 1634.2;(132mg)
配列番号8:H2N-[Arg-Lys-Leu-Phe-Arg-Lys-Ile-Leu-Lys-Tyr-Leu-Arg]-CO2H
MS(ESI)m/e、[M+H]+= 1634.2;(172mg)
【0163】
実施例1:配列番号5~配列番号8及びその誘導体の生理活性物質に対する皮膚透過活性の評価
皮膚透過性ペプチドとしての機能を確認するために、公知ペプチドと比較してリドカイン(Lidocaine)に対する皮膚透過活性を評価した。配列番号5~配列番号8で選択されるいずれか一つのアミノ酸配列で構成された皮膚透過性ペプチド及びその誘導体である配列番号1~配列番号4または公知ペプチドとリドカインを混合したり、リドカインを単独処理してこれに対する皮膚透過活性を評価した。
【0164】
具体的には、皮膚透過活性を評価するために、実際のヒト皮膚を用いてFranz diffusion cell assayで測定し、リドカインの透過量をHPLCで測定した後、比較した。公知ペプチド配列は次の通りである。
【0165】
-公知ペプチド配列(TAT):GRKKRRQRRRPQ
【0166】
Franz diffusion cell assay
本実験に用いられたヒト皮膚は、UMCサイエンス(UMC Science Co.,Ltd.,Korea)から購入して用い、PBSは(phosphate buffered saline,Gibco,USA)シグマアルドリッチから購入した。
【0167】
皮膚透過ペプチドに対する皮膚透過活性を測定するために、OECD(2004,Paris)のGuidance Document for the Conduct of Skin Absorption Studies及び食品医薬品安全処(2009)の化粧品動物代替試験法ガイドライン(生体他皮膚吸収試験法)基準によりFranz diffusion cell assayを行った。
【0168】
まず、皮膚面積は3cmにした後、Receptor chamberの上に皮膚の角質層を上に向けるように載せた。その後、Donor chamberを角質層上に載せた後、clampで固定した。Franz diffusion cellの下段部位である受容チャンバー(receptor)にマグネチックバーを入れたままsampling armを通じてバッファー(buffer)を満たすが、上記バッファーは、試験物質が水溶性の場合にはPH7.4 PBSで、試験物質が脂溶性の場合エタノール:水=1:1で満たした。
【0169】
水溶液(receptor fluid)の温度は、32℃~±1℃で一定に維持し、湿度は30~70%に維持させた後、30分間安定化させた。その後、600rpmでStirrerを設定した。各群に試料を2mMの濃度で1mLずつ皮膚に処理した。その後、受容チャンバーにマグネチックStirrerバーを入れたまま600rpmに維持し、水溶液がよく混合されるようにした。6時間後の受容チャンバーのsampling armを通じてサンプリングし、定量化するために、STD(standard sample 100uM)とサンプルをHPLCを通じて分析し、STDに比べて透過率を百分率(%)で表示した。
【0170】
その結果、配列番号5~8及びその誘導体を用いた時に、公知ペプチドを用いた場合及びペプチドを用いていない場合に比べてリドカインの皮膚透過量が著しく優れていることを確認した(図1)。
【0171】
実施例2:皮膚透過性ペプチドの生理活性物質に対する皮膚透過活性の評価
前述した配列番号1~配列番号8のペプチド中、最も効果に優れた配列番号8の皮膚透過性ペプチドのカフェイン(Caffeine)に対する皮膚透過活性を時間帯別に測定した。配列番号8の皮膚透過性ペプチド及びカフェインを混合したり、カフェインを単独処理し、その皮膚透過活性を評価した。
【0172】
具体的には、実際のヒト皮膚を用いて実施例1と同様にFranz diffusion cell assayを行い、カフェインの透過量をHPLCで測定した後、比較した(図2)。
【0173】
その結果、配列番号8を利用した時に、公知ペプチドを利用した場合、及びペプチドを用いていない場合に比べて時間帯別にカフェインの皮膚透過量が著しく優れていることを確認した。
【0174】
実施例3:多様な分子量の生理活性物質に対する皮膚透過性ペプチドの皮膚透過活性の評価
皮膚透過性ペプチドが多様な分子量の生理活性物質にも皮膚透過活性があるかどうかを評価するために、FITCが結合(conjugation)された3、30、300kdaコラーゲン(COLA)及び800kdaのヒアルロン酸(HA)を配列番号8のペプチドと混合または単独処理してFranz diffusion cell assayを通じて水溶液を得た後、FITC蛍光値をFluorescence Microplate Reader(SpectraMax i3,Molecular Devices,USA)を用いて分析した。
【0175】
FITC conjugation方法は、Abcam(Cambridge,MA,USA)からFITC conjugation kit(Lightning-Link(登録商標)(ab188285))を購入し、メーカーの指示通り製造した。
【0176】
その結果、配列番号8のペプチドを混合して処理した時、多様な分子量のコラーゲン(3kda、30kda、300kda)及びヒアルロン酸の強力な皮膚透過活性効果を示した(図3)。
【0177】
実施例4:リポソームに対する皮膚透過性ペプチドの皮膚透過活性の評価
皮膚透過性ペプチドが生理活性物質の一種であるリポソーム(Liposome)に対する皮膚透過効果に及ぼす影響を綿密に確認するために、ヒト皮膚に配列番号8のペプチドとリポソームを3時間混合または単独処理した後、Franz diffusion cell assayを通じて水溶液を得た後、FITC蛍光値をFluorescence Microplate Reader(SpectraMax i3,Molecular Devices,USA)を用いて分析した。
【0178】
リポソームは、シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich,MO,USA)からLiposome kitを購入し、Fluoresceinをリポソーム化させた後に用い、リポソームの大きさはSEMで測定した結果、180nmと確認された。
【0179】
その結果、配列番号8のペプチドをリポソームと混合して処理した時、リポソームに対する皮膚透過効果が顕著に増加することが確認された(図4)。
【0180】
実施例5:生理活性物質に対する皮膚透過性ペプチドの皮膚透過効果による生理活性物質効能向上の評価
配列番号8のペプチドの有効成分に対する皮膚透過効果による生理活性物質の効能向上を確認するために、HDFに生理活性物質であるKTTKSペプチド及び配列番号8のペプチドを混合または単独処理し、コラーゲン生成量をELISA assayを利用して分析した。
【0181】
本実験に用いられたHDF細胞は、Thermo Fisher Scientific(Waltham,MA,USA)から購入した。HDF細胞はDulbecco’s Modified Eagle’s Medium (DMEM)に10% fetal bovine serum (FBS)とpenicillin100U/ml、streptomycin100μg/ml(Gipco,Life Technologies,Grand Island,NY,USA)を添加し、37℃、5% COインキュベーターで培養した。
【0182】
HDF細胞を2x10 cell/mlの濃度で48wellに250μlずつ分注し、24時間安定化させた。試料を濃度別に処理し、48時間COインキュベーターに培養した後、培養液を得た。メーカー(Collagen type I ELISA Kit,R&D Biosystems)の指示に従い、抗体をcoating緩衝溶液に希釈してmicro wellにcoatingした後、4℃で一晩中培養した。各wellを3回washing緩衝溶液で洗浄した後、培養液を100μlずつ分注した。これを1時間室温で放置し、washing緩衝溶液で3回洗浄した後、avidin-HRP conjugated antibody 100μlを処理し、1時間室温で放置した後、再び3回洗浄した。これにTMB substrateを100μlずつ分注し、暗所で30分間放置した後、50μlのstop溶液を処理した後、マイクロスペクトロフォトメーター(Molecular Device,Sunnyvale,CA,USA)450nmで吸光度を測定した。
【0183】
その結果、配列番号8のペプチドをKTTKSと混合して処理した時、KTTKSペプチドに対する皮膚透過効果の増加によりコラーゲン生成量が顕著に増加することが確認された(図5)。
【0184】
実施例6:生理活性物質に対する皮膚透過性ペプチドの皮膚透過効果による効能向上人体適用試験の評価
配列番号8のペプチドの有効成分に対する皮膚透過効果による効能の向上を人体適用試験で確認するために、(株)スキンメッド臨床試験センターに依頼し、20人の被験者を対象に人体適用試験を実施した。試験群には配列番号8のペプチド及び超低分子ヒアルロン酸1%混合処方し、対照群に超低分子ヒアルロン酸1%を処方した。
【0185】
被験者を対象に、製品使用部位は前膊部、製品使用量約0.5g±0.1g/回、製品使用周期期間及び方法は1日2回(その他の生活パターンは普段と同様)とした。本試験は、空気の移動と直射光線のない恒温恒湿条件(室内温度20~25℃、湿度40~60%)で被験者が最小30分間以上皮膚安静をとった後に進行され、本願発明の効果に対する正確な判断のために、試験期中に塗布部位に水がついたり汗を流さないようにして製品塗布の部位を最大限保存することができるようにした。また、測定の誤差を減らすために、それぞれの測定は、同一試験者が3回繰り返し測定し、その平均値を評価した。
【0186】
肌のキメ改善の有無はVisioscanを利用して光を反射器に均一に分布してビデオセンサーチップ、対物レンズで撮影した。255個の灰色レベル(Gray level)で表示される皮膚表面(約10×8mmの大きさ)の非光沢イメージを導き出し、導き出された測定値中、皮膚の粗さを示すSEr(Roughness)値を反映した。一定の部位を測定し、製品使用前と比較して製品使用24時間後に同一部位を再測定し、皮膚の粗さを確認した。SErが増加するほど皮膚の粗さが減少し、肌のキメが改善されることを示す。
【0187】
皮膚弾力改善の有無は、Cutometer dual MPA 580で測定した。Cutometerの測定原理は、負圧で皮膚が機械的に変形される吸引法に基づいて機器で圧力が生成され、皮膚は再び一定の時間後にProbeの穴に吸い込まれる。Probe内側における浸透の深さは、非接触光学測定システムにより決定され、その光学測定システムは、光源と光受容体だけでなく、互いに対向する二つのプリズムで構成されているが、そのプリズムは、光を送信器から受容器に投射する。光度は、皮膚浸透の深さにより変わるが、測定中に負圧(確定性)と本来位置(弾力性)に復帰できる皮膚抵抗がリアルタイムで曲線(mm/時間単位)で表示される。このような曲線において測定パラメーターを皮膚表面と皮膚老化の弾力性及びビスコ弾力性特性に合うようにR2値を再計算する。1(100%)に近い値であるほど、より一層弾性的な曲線であり、本人体適用試験では、製品使用24時間後に試験部位の皮膚弾力を示すR2(R2=Ua/Uf;最大振幅の比)値を測定した。
【0188】
光沢はSkinGlossMeter(SGM,Delfin)を利用して前膊部部位の光沢を測定した。635nmの赤色ダイオードレーザーから出た光が皮膚表面で反射すれば、反射量を感知する。機器内部の回折する微細構造を通過した光をSGU(Skin Gloss Unit)パラメーターで光沢値を算出する。皮膚に光沢が高いほど測定値は高くなる。本人体適用試験では、製品使用前と製品使用24時間後に試験部位の皮膚光沢を示すSGU値を測定した。
【0189】
また、改善率は次のような式で計算した。
【0190】
-改善率(%)計算式={(使用前-使用後)/使用前}×100
【0191】
その結果、24時間後に試験群が対照群に比べて肌のキメ、皮膚弾力度、光沢の平均改善率が約40倍、4倍、5倍増加することが示された(表1)。
【0192】
【表1】
【0193】
前述した結果から、本発明の皮膚透過性ペプチド、その誘導体、またはその断片は、優れた皮膚透過活性があるため、皮膚透過性ペプチドとして顕著な効果があることを確認した。
【0194】
以上の説明から、本発明が属する技術分野の当業者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で実施されうることが理解できるだろう。これに関連し、以上で記述した実施例はあくまで例示的なものであり、限定的なものでないことを理解すべきである。本発明の範囲は上記詳細な説明よりは、後述する特許請求の範囲の意味及び範囲、そしてその等価概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【配列表】
2024515921000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
[化1]
[X1 - X2 - Leu - Phe - X3 - X4 - Ile - Leu - X5 - Tyr - Leu - X6]
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0053
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0053】
特に、本発明のペプチド合成で用いられるアミノ酸残基の保護基としては、N-メチルグルタミン酸の場合、t-ブチル(t-Bu)であり;リシンの場合、t-ブトキシカルボニル(Boc)であり;セリンの場合、t-ブチル(t-Bu)であり;トレオニン及びアロトレオニンの場合、t-ブチル(t-Bu)であり;システインの場合、トリチル(Trt)であることが好ましいが、本発明がこれに限定されるものではない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0181
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0181】
本実験に用いられたHDF細胞は、Thermo Fisher Scientific(Waltham,MA,USA)から購入した。HDF細胞はDulbecco’s Modified Eagle’s Medium (DMEM)に10% fetal bovine serum (FBS)とpenicillin100U/ml、streptomycin100μg/ml(Gibco,Life Technologies,Grand Island,NY,USA)を添加し、37℃、5% COインキュベーターで培養した。
【国際調査報告】