(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-11
(54)【発明の名称】農場灌漑用のホイール
(51)【国際特許分類】
B60B 15/00 20060101AFI20240404BHJP
A01G 25/09 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
B60B15/00 L
B60B15/00 M
A01G25/09 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023553028
(86)(22)【出願日】2022-03-02
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 US2022070926
(87)【国際公開番号】W WO2022187833
(87)【国際公開日】2022-09-09
(32)【優先日】2022-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519295708
【氏名又は名称】シャークホイール インク
(74)【代理人】
【識別番号】100140567
【氏名又は名称】猪狩 充
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド エム パトリック
(57)【要約】
円形リングを有するホイールが提供される。円形リングは、回転軸と外周面とを有する。円形リングの前記外周面には、複数のラグが並んで取り付けられている。複数のラグの各ラグは、センターリブと、第1の脚部と第2の脚部とを有し、各脚部はセンターリブから横方向に互いに反対側に延びており、第1の脚部をセンターリブに接続するように適合されたラグプレートが設けられている。各センターリブの最も外側の点は、回転軸と同軸の円形パターンを形成してもよい。前記ホイールは、円形リング内に嵌め込まれたリムを有してもよく、前記リムは、交互に配置された複数のスカラップ部を有し、前記リムは、前記ホイールの負荷容量を増加させながら、ラグの取り付けおよび取り外しの際に工具に適切なクリアランスを提供するように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周面、及び、回転軸を有する円形リングと、
前記円形リングの前記外周面に横並びに取り付けられた複数のラグと、からなるホイールであって、
前記ラグのそれぞれが、センターリブ、第1の脚部、及び、第2の脚部を備えており、当該二つの脚部が前記センターリブから横方向に互いに反対側に延びており、かつ、前記第1の脚部が、前記センターリブと連結するように適合しているラグプレートを備えており、
前記複数のラグが、回転軸と同軸の円形パターンを形成していることを特徴とするホイール。
【請求項2】
前記外周面に配置され、前記外周面の周囲に正弦波パターンを形成する複数の貫通孔も備えており、前記正弦波パターンが前記回転軸と同軸となっている請求項1に記載のホイール。
【請求項3】
前記円形パターンが正弦波パターンである、請求項1に記載のホイール。
【請求項4】
前記複数のラグの各ラグの前記第1の脚部が、隣接するラグの前記第2の脚部の間に配置されるように、交互に配置されている、請求項1に記載のホイール。
【請求項5】
前記複数のラグの各ラグが、ゴムのオーバーモールド層を有する、請求項1に記載のホイール。
【請求項6】
前記円形リング内に嵌め込まれたリムをさらに備え、前記リムの外周には、複数の波状突起が交互に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のホイール。
【請求項7】
前記波状突起は、前記リングの外周面に配置された複数の貫通孔の各貫通孔の周囲にクリアランスを提供するように構成されている、請求項6に記載のホイール。
【請求項8】
円形リングを形成するように横並びに取り付けられた複数のラグを備えたホイールであって、
前記ラグのそれぞれが、センターリブ、第1の脚部、及び、第2の脚部を備えており、当該二つの脚部が前記センターリブから横方向に互いに反対側に延びており、かつ、前記第1の脚部が前記センターリブと連結するように適合しているラグプレートを備えていることを特徴とするホイール。
【請求項9】
前記複数のラグの各ラグの前記第1の脚部が、隣接するラグの前記第2の脚部の間に配置されるように、交互に配置されている、請求項8に記載のホイール。
【請求項10】
前記複数のラグに関連するリムをさらに備え、前記リムは、複数の波状突起を有する、請求項8に記載のホイール。
【請求項11】
ホイールに使用されるセンターリブを備えたラグであって、第1の脚部、及び、第2の脚部を備えており、当該二つの脚部が前記センターリブから横方向に互いに反対側に延びており、かつ、前記第1の脚部が前記センターリブと連結するように適合しているラグプレートを備えていることを特徴とするホイール。
【請求項12】
前記第1の脚部の平坦部に配置されたボルト穴と、前記第2の脚部の平坦部に配置されたボルト穴とをさらに含む、請求項11に記載のラグ。
【請求項13】
前記ラグの中心内に配置されたボルト穴をさらに含む、請求項11に記載のラグ。
【請求項14】
前記第2の脚部が前記センターリブと連結するように適合しているラグプレートをさらに備えた、請求項11に記載のラグ。
【請求項15】
各前記ラグプレート内に配置された切欠きをさらに含む、請求項11に記載のラグ。
【請求項16】
各前記ラグプレートの断面が三角形となっている、請求項11に記載のラグ。
【請求項17】
前記第1の脚部と前記第2の脚部とが、前記センターリブとW字形を形成している、請求項11に記載のラグ。
【請求項18】
ゴムのオーバーモールド層を有する、請求項11記載のラグ。
【請求項19】
ゴム製のラグであって、内部に配置された金属製の内部フレームによって補強されている、請求項11に記載のラグ。
【請求項20】
前記金属製の内部フレームが、単一の一体構造である、請求項19に記載のラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に実用ホイールに関し、より詳細には、農作物灌漑装置と共に使用されるホイールのような、農業用途に使用されるホイールに関する。
【0002】
現在、センターピボット灌漑は、オーバーヘッドスプリンクラー灌漑の一形態であり、これは、直線状のアームに配置されたパイプセグメントを有する機械を使用し、スプリンクラーは、アームに沿って配置され、このスプリンクラーは、ホイール付きユニットに取り付けられたトラスによって支持され、このようなユニットは、アームに沿っていくつかの地点に設置される。 あるバージョンでは、アームは円形に駆動され、円の中心にあるピボットポイントから水が供給される。センターピボットを使用するには、回転する地形がある程度平坦でなければならない。アームは通常、半径1,200~1,600フィート(約365~487メートル)の円形である。これらのシステムは、水力、油圧、又は電気モーターで駆動することができる。一番外側のホイールが回転のペースを決め、例えば3日に1回、1周する。内輪は自動制御され、アームが比較的直線的に動くように保たれている。スプリンクラーのサイズは、ピボットポイントから円の外周までの距離に応じて徐々に大きくなる。作物は、灌漑システムの移動に合わせて、まっすぐな畝に植えることも、円を描くように植えることもできる。
【0003】
さらに、センターピボット灌漑は、通常、溝灌漑よりも水の使用量が少なく、労力も少なくて済む。この結果、労働コストが低下し、必要な土壌耕作量が減少し、水の流出や土壌浸食の減少に役立つ。また、耕起が少ないと、有機物や作物残渣が分解されて土壌に戻るため、土壌の圧縮が軽減される。膨張式タイヤがセンターピボット式灌漑リグに広く使われているのは、路面に接触して転がると扁平化する適合性により、柔らかい土や泥の上で優れた性能を発揮するからである。その際 扁平化する際にタイヤのフットプリント(接地面)が大きくなるため、接地圧が減少し、接地圧が減少することで地面に沈み込む傾向が弱まり、轍が目立たなくなる。
【0004】
さらに、現在のセンターピボット灌漑用ホイールは、一般的に使用される空気タイヤのため、ホイールの強度と耐久性に欠ける。さらに、現在のセンターピボット灌漑用ホイールは、ホイールが既に轍に入った後の牽引サポートも有していない。灌漑用途の空気タイヤはまた、空気損失のために空気圧のメンテナンスを必要とし、一般的に轍掘れの問題がある。
【0005】
従って、作物灌漑装置のための改良された牽引のための装置を提供することによって、上述の問題を解決する必要がある。
【0006】
この節で示された態様または問題および関連する解決手段は、追求された可能性もありまたは追求されている可能性もあり、これらは必ずしも以前に想到または追求された取り組み方である必要はない。したがって、特段の指示がない限り、この節で示された取り組み方のいずれも、単にこれらが本出願のこの節に存在するという理由だけで先行技術として適格であると想定されるべきではない。
【発明の概要】
【0007】
この概要は、簡略化された形で概念の選択を紹介するために提供され、これらの概念は、以下に詳細な説明でさらに説明される。この概要は、特許請求の範囲に記載された主題の主要な態様または必須の態様を特定することを意図するものではない。さらに、この概要は、特許請求の範囲に記載された主題の範囲を決定する際の補助として使用することを意図するものではない。
【0008】
一形態では、ホイールが提供され、このホイールは、外周面と、回転軸と、を有する円形リングと、円形リングの前記外周面上に並んで取り付けられた複数のラグと、を備え、各ラグは、センターリブと、第1の脚部と、第2の脚部と、を有し、各脚部は、センターリブから横方向に互いに反対側に延び、第1の脚部をセンターリブに接続するように適合されたラグプレートと、を有し、複数のラグは、回転軸と同軸の円形パターンを形成する。従って、ラグが突出したラグプレートにより走行路面をよりよくグリップするため、ホイールのトラクションが向上するという利点がある。別の利点は、ラグプレートがラグに構造的支持を与え、その強度を高めることができることである。 もう1つの利点は、各ラグが、ラグの強度と耐久性を高め、ラグのグリップを強化し、及び/又は内部に封入されたラグ構造を保護する可能性のある、オーバーモールドされたゴム層を備える可能性があることである。もう一つの利点は、ラグのモジュール化により、ホイール全体を交換するのではなく、必要に応じて当該ラグのメンテナンス、修理、交換を容易に行うことができることである。 別の利点は、開示されたホイールが波形の突出部を有するリムを利用することができ、前記波形の突出部によりラグの操作が容易になり、ホイールの耐荷重能力が向上することである。
【0009】
別の形態では、ホイールが提供され、このホイールは、円形リングを形成するように横並びの位置に取り付けられた複数のラグと、各ラグが有する、センターリブ、第1の脚部及び第2の脚部であって、各脚部はセンターリブから横方向に延び、互いに対向する、第1の脚部及び第1の脚部をセンターリブに接続するように適合されたラグプレートと、を備える。ここでの利点は、走行面をよりよくグリップするための突出したラグプレートをラグが有することにより、ホイールのトラクションが向上することである。もう一つの利点は、ラグプレートがラグを構造的に支持し、強度を高めることである。別の利点は、ラグをモジュール式に実装することにより、ホイール全体を交換するのではなく、必要に応じて前記ラグを簡単にメンテナンス、修理、又は交換できることである。 別の利点は、開示されたホイールが波形の突出部を有するリムを利用することができ、前記波形の突出部によりラグの操作が容易になり、ホイールの耐荷重能力が向上することである。
【0010】
別の形態では、ホイールに使用するためのラグが提供され、このラグは、センターリブと;第1の脚部及び第2の脚部であって、各脚部はセンターリブから横方向に延び、互いに対向している、第1の脚部及び第2の脚部と;第1の脚部をセンターリブに接続するように適合されたラグプレートと;を含み、また、利点は、走行面をより良くグリップするために突出したラグプレートを有するラグにより、取り付けられたホイールがトラクションを強化することである。もう一つの利点は、ラグプレートがラグを構造的に支持し、強度を高めると同時に、ラグと走行面との間のトラクションを向上させることである。もう一つの利点は、ラグの強度と耐久性を高め、ラグのグリップを強化し、及び/又は内部に封入されたラグ構造を保護することができるオーバーモールドゴム層をラグに設けることができることである。
【0011】
上記の態様または例および利点、ならびに他の態様または例および利点は、次の説明及び添付図面から明らかになるであろう。
【0012】
限定を目的とするものではなく、例示を目的として、本発明の形態、実施形態、又は実施例を添付の図面に示す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1Aは、ある形態による、農業で使用されるセンターピボット灌漑システムを示す図である。
【0014】
図1Bは、形態による、センターピボット灌漑システムで使用されるホイールの実施形態の斜視図を示す。
【0015】
図2は、ある形態による、農場灌漑ホイールのさらなる斜視図を示す。
【0016】
図3は、ある形態による、農場灌漑ホイールの部分垂直断面図を示す。
【0017】
図4は、ある形態による、農業用灌漑ホイールの正面立面図を示す。
【0018】
図5は、ある形態による、農業用灌漑ホイールのラグの斜視図を示す。
【0019】
図6は、ある実施形態による、農業用灌漑ホイールの斜視図を示す。
【0020】
図7Aは、ある実施形態による、ラグの斜視図を示す。
【0021】
図7Bは、ある実施形態による、ラグの斜視図を示す。
【0022】
【0023】
図7Gは、ある実施形態による、ラグの斜視図を示す。
【0024】
図7Hは、ある実施形態による、ラグの透視半透明図を示す。
【0025】
図8は、ある実施形態による、農業用灌漑ホイールハブの斜視図を示す。
【0026】
図9は、ある実施形態による、ラグが取り付けられていない農業用灌漑ホイールの斜視図を示す。
【0027】
図10Aは、ある実施形態による、ミーゼス応力シミュレーション中の農業用灌漑ホイールの斜視図を示す。
【0028】
図10Bは、ある実施形態による、ミーゼス応力シミュレーション中の農場用灌漑ホイールの斜視図を示す。
【0029】
図10Cは、ある実施形態による、振動シミュレーション中の農場灌漑ホイールの斜視図を示す。
【0030】
図11Aは、ある実施形態による、ラグの斜視図を示す。
【0031】
図11Bは、ある実施形態による、ラグの断面側面図を示す。
【0032】
図12Aは、ある実施形態による、センターピボット灌漑システムに取り付けられた農場灌漑ホイールを示す斜視図である。
【0033】
図12Bは、ある実施形態による、センターピボット灌漑システムに取り付けられた農場灌漑用ホイールの斜視図である。
【0034】
図13A~
図13Eは、ある実施形態による、波形の農場灌漑ホイールの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下は、本発明を実施することができる様々な態様、実施形態、および/または例の説明である。添付の図面が参照され、図面に含まれる情報はこの詳細な説明の一部である。本明細書に記載される態様、実施形態、および/または例は、例示のために示されており、限定のためには示されていない。当業者によれば、本発明の範囲から逸脱することなく、構造的及び/又は論理的な変更を加えることができることを理解されたい。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって規定される。
【0036】
図面および明細書を理解しやすいように、当業者が本発明を理解するために必要でない場合に、当該技術分野で知られるいくつかの構造的構成要素または工程に関するいくつかのまたはすべての詳細は、示されていないか、または記載されていないことを理解されたい。
【0037】
前述の説明において、実施形態は複数の個々の部品として、方法は複数の個々のステップとして説明されているが、これは単に例示のためである。従って、いくつかの追加的な部分又はステップが追加されてもよく、いくつかの部分又はステップが変更又は省略されてもよいことが企図される。また、特許請求の範囲に記載された装置及び方法の意味及び理解を維持しつつ、部品又はステップを変更又は省略し、部品又はステップの順序を並べ替えてもよい。
【0038】
以下の説明については、図全体を通して対応して表示された要素のほとんどが同じ特性を有し、同じ構造および機能に従うと想定され得る。指摘されていない対応して表示された要素の間に違いがあり、この違いにより特定の実施形態、例、または態様について対応しない要素の構造または機能がもたらされる場合に、その特定の実施形態、例、または態様について与えられた競合する説明が優先するものとする。
【0039】
図1Aは、典型的なセンターピボット灌漑の様子を示している。ここで詳細に説明するように、
図1Bは、このタイプの灌漑で使用されるような、ユーティリティ・ファーム・ホイール(「ホイール」、「ファーム・ホイール」)10を最もよく示している。
図2でに示したように、ホイール10は、様々な方法で結合することができる個々の部品の集合体であってもよい。ある実施形態において、個々の部品は、リング20、一対のリム30、一つ又は二つのディスク40、及び、複数の同一のラグ50を含むことができる。
図1Bによって示される実施形態では、テンションバンド(図示せず)又は、テンションケーブルのいずれかに代表されるテンション装置60Bも使用することができ、ラグ50の位置合わせを改善することができる。これらの部品は、記載の通り、金属製であってもよいし、適切な引張強さ、弾性、可撓性、及び、機械技術の当業者には周知である他の特性を提供する他の材料製であってもよい。
【0040】
リング20は、金属の平らな長板をレーザーで切断し、それを圧延して、両端が重なり合って溶接された円筒を形成することで製造できる。これにより、リング20は、表面22、裏面24、及び、一対の対向する縁部26を有することになる。リング20は、
図2に示したように、その表面に貫通孔28のパターンを有していてもよい。リム30は、例えば溶接によってリング20の縁部26に固定してもよい。ディスク40の脚部42の端部は、一般的な金具を使用してリム30に固定してもよい。また、
図3に示したように、ラグ50を表面22にボルトで固定してもよい。各ラグ50は、ブラケット80によってリング20に取り付けられてもよく、場合によっては、成形された金属板で、
図3で示したように、ボルト82によって所定の位置に保持してもよい。また、貫通孔28は、異なるパターンで配置することができ、ラグ50を後述するような代替構成で配置することができる。
図4の12は、ホイール10の中心回転軸(「ホイール回転軸」、「回転軸」)を示している。
図2に示したように、ラグ50は、ホイール10の中心方向を見た場合(矢印R参照)に、対向する長辺の中間に位置するロングシャフト52と、対向する短辺の中間に位置するショートシャフト54とを有する長方形状をしている。そして、ロングシャフト52とショートシャフト54が交差する点は、ラグ50の中心点56である。
【0041】
ラグ50は、そのロングシャフト52がホイール回転軸12と平行になるようにリング20の表面22に固定されてもよい(
図1B参照)。ラグ50は、それらのショートシャフト54がリング20の対向する縁部26の間に、すなわちリング20の中心に、一直線上に並んだ状態で、リング20の周りに横並びに配置されてもよく、これは1つの取り付けオプションである。一方で、ラグ50は、
図4に示したように、その中心点56の連続的かつ場合によっては滑らかに変化する軌跡を形成するために、互いに対して横方向にオフセットされた位置(
図5参照)でリング20上に交互に配置されてもよい。実施形態の一つとして、中心点56が滑らかに変化する場合の軌跡は、正弦波振幅及び正弦波周期を有する正弦波曲線を示す。正弦波振幅は、ラグ50の中心56の隣のラグ50に対する横方向の増分位置の大きさを変化させることによって変えるられる。一方、一つの正弦波周期のホイール10の円周上の距離は、ラグ50の円周方向の幅を変化させることによって変えることができる。ラグ50の位置は、リング20の貫通孔28の位置によって決定することができる。当業者であれば、ラグ50について、所望の正弦波配置又は交互配置を作り出すために、貫通孔28の位置を決定することができるであろう。
【0042】
図5に示したように、各ラグ50は、(ホイール10の円周に沿って見た場合)外側に向けられたほぼV字形状を有することがある。このV字形の2つの対向する脚部58は、ラグ50がリング20に固定される軸54の両側において表面22から離れている。ホイール10の回転中、各ラグ50はホイール10が乗る面に接触する。このような接触は、まず、ラグ50のロングシャフト52方向の両端部において行われる。その後ホイール10が回転すると、より大きな重さが脚部58にかかり、V字形が拡がって、ラグ50に大きなひずみが生じる。リブ57は、ラグ50のロングシャフト52の方向に延びており、ホイール10が特に比較的柔らかい農地の土壌でより大きな牽引力を発揮するための手段を提供する。また、ラグ50の脚の端部には、ホイール10の横方向の滑りを抑制するために、リブ57と直交するように配置されたリブ59もある。
【0043】
テンション装置60Bは、高強度ナイロンケーブル又はステンレス鋼バンドストック製とすることができ、
図1に示したように、止め具62を介して、ラグ50の両端裏面において固定される。テンション装置60Bは、隣接するラグ50間の隙間を一定に保つことを可能にし、また、ラグ50を所望の剛性とするためのテンションを予め付与すること、すなわち、ラグ50の脚部が拡がる角度を表面22からある程度引き離すことを可能にすることができる。これはまた、岩などの障害物に遭遇したときに衝撃荷重を分担して分散するために重要である、隣接するラグ50がそれらの間で荷重を分担して伝達することを可能にする。
【0044】
図6は、ある形態によるホイール10の斜視図である。この実施形態では、個々の部品として、リング20(
図9に示す)と、ハブ70と、複数のスポーク71と、複数の同一のラグ50Aとを含むことができる。図に示したように、ホイール10は、ハブ70、スポーク(フィン)71、ラグ50A、及びリング20を備えることができる。本明細書で説明するように、
図2で示したディスク40は、ハブ70とスポーク(フィン)71の部品に分割してもよい。さらに、ハブ70とスポーク71とを分離部品とすることで、耐久性を向上させることができる場合がある。さらに、各スポーク71を別部品とすることで、メンテナンスが容易になる可能性がある。例えば、スポーク71が損傷した場合、ホイール10全体を交換する必要なく、単一のスポーク71を交換することができる。この場合も、リム30上の脚部58の代わりに、ホイール10は、スポーク71を有するハブ70を備えてもよく、これにより、ホイールにさらなる強度を与え、牽引力を高めることができる。
【0045】
図6に示したように、スポーク71は凹状であって、交互に取り付けられていてもよい。ホイール10のスポーク71は、トラクションを提供し、既存の轍を移動する場合にホイールがスリップしないようにするも可能とする。通常、ホイールのハブとスポークは荷重を扱う目的しか持たないが、本明細書で説明するように、スポーク71はさらなるトラクションを提供することができる。スポーク71は、必要に応じて、地表面(すなわち、土や泥)に食い込むことで、牽引を助けることができる。例えば、ホイール10が地面の下に沈み始めた場合(すなわち、「轍」や「溝」に入った場合)、ホイール10はスポーク71のおかげで機能し続けることができる。
【0046】
スポーク(フィン)71は、その強度を高めるために凹面71Cを有していてもよい。これにより、金属を非常に薄く保ちながら強度を高めることができ、スポーク71の薄い構造のによりコストを抑えることができる。さらに、スポーク71は、ホイールの重心が時々ハブの中心に位置することを可能にし、ホイール10のバランスを良くすることを可能にするが、これについては本明細書でより詳細に説明する。
【0047】
ホイール10は適合的であり、重い荷重を吸収するために曲がったり撓んだりすることができる。また、スポーク71とラグ50Aの両方は、より大きな負荷に対処するためにホイール10に適切な屈曲を可能にするように柔軟であってもよい。さらに、ホイール10の外面は轍の形成を軽減し、柔らかい地面でのトラクションを維持するのに役立つ。
【0048】
ラグ50Aはまた、
図5で示したラグ50よりも水平で高く盛り上がったラグプレートを備えてもよく、ラグ50Aはホイール10にさらなるトラクションを提供する。さらに、スポーク71は、ホイールが土の中で沈んだ場合に、ホイール10にトラクションを与えることができる。リング20の正弦波は、土壌を中心に向かって押して車輪10により多くの牽引力を提供するため、牽引力をさらに助けることができる。スポーク71の幾何学的な形状は、まるで、人が泳いでいるとき、泳ぎながら腕のように土を掴んで穴から掘り出すのを助けるように作用する。さらに、スポーク71は、ホイール10を土や轍から掘り出すのを助けるパドルの役割を果たすこともある。さらに、ホイール10が柔らかい土の中に沈んだ場合、スポーク71は、泳いでいる人の腕や手のように、腕やパドルを交互に動かすような動きで前進し押すため、トラクションにさらに役立つ可能性がある。
【0049】
例えば、一対のスポーク71は地面に均等に食い込み、必要なとき(すなわち轍内)にホイールを上方に押し上げる。現在のホイールには通常、スポーク71が提供するような中央牽引要素はない。さらに、各スポーク71の交差と湾曲は、ホイール10が柔らかい土に沈み込んだ場合に牽引に寄与し得る。
【0050】
図示されているように、各スポーク71は、幅の狭い端部71Bと幅の広い端部71Aとを有していてもよく、各幅の広い端部71Aは、リング20上の正弦波ピーク78に取り付けられていてもよい。各スポーク71の幅を変えることにより、共振力をなくすか、又は減少させることができる。各スポーク71は、当該スポークの幅の狭い端部71Bによってハブ70に取り付けられるように構成されており、振動がホイール10内を伝達する際にハブ70に到達する共振力を低減するのに役立つ。ハブ70に達する共振力を低減することは、ホイール10の劣化を回避するのに役立ち得る。
【0051】
さらに、スポーク71は、ショックアブゾーバーとして作用し、ホイールの振動、応力、及び荷重を吸収する。これは、設計に適合的な側面を加えることによって、ホイール10の強度を増加させる。スポーク71の凹みにより、幾何学的に強度が増すが、これについては
図10Cを参照する際にさらに詳しく説明する。スポーク71の凹みは、金属成形によって製造してもよい。別の例では、スポーク71の凹みは、スポーク71をリング20に取り付ける際に形成することができる。
【0052】
ホイールは、コストの観点から低級炭素鋼で作られてもよいが、好ましい材料はバネ鋼である。ホイール10とラグ50Aの弾性と適合性を制御し、増加させるためにはバネ鋼が好ましい。スポーク71の形状は、スポーク71の撓みを許容する場合があり、スポーク71がある点まで撓むと、スポーク71が互いに干渉する場合がある。例えば、大きな負荷がかかると、すぐ隣のスポーク71が中央の撓むスポーク71を支えることがある。2本のスポーク71は、その間にあるスポーク71に抵抗を与えることができる。荷重がかかっていない静止状態では、スポーク71は接触していない場合もある。スポーク71がハブ70に向かって移動し、荷重がかかる前にはほぼ接触しているため、スポーク71の間隔も狭くなっていることに留意すべきである。
【0053】
図7Aは、ある形態におけるラグの斜視図を示す。
図7Bは、ある形態におけるラグの側図である。
図7A及び
図7Bで示したラグ50Aは、その内部に金属を組み込んでも良い。さらに、強度と耐久性追加のために、液体ゴムを金属上にオーバーモールドしてもよい。内部の金属は、ラグ50Aが撓んだり捩れたりすることを許容する。これは酷使が特徴である農業環境で必要である。例えば、ラグ50Aをバネ鋼製とし、ゴム製のオーバーモールドを追加することができる。各ラグ50Aは、ボルトによってリング20に取り付けられてもよい。貫通孔28は、ラグ50Aを、これから説明するような代替構成で配置できるように、異なるパターンで配置してもよい。ラグ50Aは、ラグ50Aをリング20に容易に固定できるように、ボルト穴93を有する平坦部を有することができる。
【0054】
ラグプレート91は、ラグ50の外側を横切ってセンターリブ92の方向に延在し、特に比較的柔らかい農場の土壌において、車輪10がより大きな牽引力を発揮する手段を提供する。ラグ50Aの脚の端部には、ホイール10の横方向の滑りを制限するために、センターリブ92と直交するように配置されたラグプレート91がある。ラグ50Aは、例えば、オーバーモールドされたゴム被膜を有する金属製の内部フレームを有するなど、他の方法で構築され得ることが理解されるべきである。
【0055】
ラグ50Aは、ホイール10使用中におけるトラクションをさらに助けるために、ラグプレート91を有していてもよい。ラグプレート91とラグ50A上のセンターピーク(「センターリブ」)92は、ホイール10がより柔らかい農耕地において適切なトラクションを有することを可能にする。さらに、ラグ50Aの向きは、農地でのトラクションをさらに助ける可能性がある。ラグ50Aをリング20に固定するためにボルトを使用できるように、各ラグに1つ以上のボルト穴93を設けてもよい。図に示したように、複数のラグ50Aの各々は、センターリブ92とW字形を形成する対向する脚部95を有してもよく、各センターリブ92の最外周点の整列は、回転軸12と同軸の正弦波パターンを形成してもよい。さらに、ラグプレート91は、ラグ脚部95をセンターリブ92に連結し、同時に脚部95の平坦部97にも連結する。本明細書で説明するように、ラグプレート91は、ホイール10に追加のトラクションを提供すると同時に、追加の構造的支持を提供することができる。別の例として、ラグ50Aは、
図7C、
図7F、及び、
図7Gに示したように、追加のトラクションと支持を提供するために、センターリブの両側にラグプレート91を有することができる。
【0056】
さらに、
図6に示したように、ラグ50Aを交互に配置してもよい。ラグ50Aは、一方の側にラグプレート91を有する一方、次に隣接するラグ50Aは反対側にラグプレート91を有するように配置されてもよい。例えば、
図6に示したように、ラグ50Bとラグ50Cは、リング20に沿ったラグ50Aの向きの交互パターンを描いている。複数のスポーク71のそれぞれが凹んでいて交互に配置されていてもよい。図示したように、交互パターンは、複数のスポーク71の各々の上端71Aが円形リング20の第1の外縁20A又は第2の外縁20Bに交互に取り付けられ、複数のスポーク71の各々の下端71Bがハブの第1の側面75又は第2の側面74に交互に取り付けられるものであってもよい。
【0057】
図7C~Fは、ある実施形態によるラグの側面図である。別の例として、
図7C及び7Fに示したように、ラグ50Aは、ラグの両側にラグプレート91を有してもよい。さらに、
図7Cで示したように、ラグプレート91は平坦部97と接していなくてもよい。さらに、ラグプレート91は、例えば、コストを下げつつラグ50Aの構造的完全性を維持するために、切欠き98を有することができる。各ラグプレート91内に配置されたこれらの切欠き98は、泥や破片を逃がし、これらがラグ50A内に詰まらないようにすることができる。
図7E及び
図7Fに示したラグプレート91は、ラグ50A内に配置される。
図7E及び
図7Fに示したように、ラグ50Aは、中実のセンターリブ92が存在するように、センターリブ92内に配置された中実構造を有してもよい。一例として、ラグ50Aは、追加の強度を提供するために、強固なセンターリブ92を有することができる。また、図に示したように、ボルト穴93及びボルト94は、平坦部97に配置する代わりに、ラグ50Aの中央に配置してもよい。
【0058】
図7Gは、ある実施形態による、ラグの斜視図を示す。図示したように、ラグ50Aは、中実のセンターリブ92を有している。例えば、ラグ50Aはバネ鋼で作られてもよく、センターリブ92の内部99はゴム材料であってもよい。ラグ50Aの外側および地面と接触する材料としてばね鋼を有することにより、ラグ50Aおよびホイール10の耐久性がより高まる。さらに、
図7Gに示したように、ラグプレート91は、三角形の断面を有してもよく、ラグプレート91の最も広い部分は、ラグプレートが平坦部97に接する部分である。
図7Gに示したように、ラグ50Aの三角形断面は、ラグプレート91の強度を高めることができる。ラグプレート91の広い底部は、使用中にラグプレートが折れるのを防ぐのに役立つ場合がある。本明細書で説明するように、ラグプレート91は、ホイール10と地面との間のトラクションを改善することを可能にする。さらに、ラグ50Aの最高点が中実のセンターリブ92であってもよい。これは、ホイール10が硬い地面を横切る場合に役立つ。例えば、これは、追加の内部ゴム支持体を有すると共に、硬い外面を有する中実の中央リブ92によるものである。さらに、中実のセンターリブ92がラグ50Aの最高点であることにより、硬い路面上ではセンターリブ92の上面のみが地面に接触することができる。
【0059】
図7Hは、ある実施形態による、ラグ50Aの半透明斜視図を示す。図示したように、ラグ50Aは、金属製の内部フレーム100を有している。金属製の内部フレーム100は、バネ鋼製のワイヤを含み、最大限の適合性のためにオーバーモールドされたゴム層を有してもよい。また、図示したように、ボルト穴93及びボルト94は、平坦部分に配置される代わりに、ラグ50Aの中央に配置されてもよい。この場合も、ラグプレート91によって、ホイール10のトラクションを向上させることができる。例えば、図示したように、金属製の内部フレーム100は、ラグ形状を形成するための複数のワイヤ部品であってもよい。さらに、ラグ50Aの最高点は、センターリブ92であってもよく、これは、ホイール10が硬い路面を横切る可能性があるとき、例えば、軟らかい農耕地の前の道路にあるときに役立つであろう。
【0060】
図8は、ある実施形態による農業用灌漑ホイールハブ(「ハブ」)70の斜視図を示す。図示したように、ハブ70は、狭い端部(「第2の側」)74と、広い端部(「第1の側」)75とを有する。ハブ70は、ホイール10を
図1Aに示したようなセンターピボット灌漑システムに取り付けることを可能にする。また、ハブ70はスポーク71の交互パターンを確実に取り付けることを可能にする。本明細書で説明するように、スポーク71は、ホイール10が多少水没しても、ホイール10が牽引力を保持することを可能にする。
【0061】
図9は、ある実施形態による、ラグ50が取り付けられていないホイール10の斜視図を示す。複数のラグ(図示せず)は、隣り合った位置に取り付けられて円形リングを形成することができ、各ラグは、W字形を形成する横方向に延びる脚を有する。各中央リブ92の最高点の配置は、回転軸12と同軸の正弦波パターンを形成してもよい。ラグ50のこの整列は、リング20の表面22に配置された貫通孔28も、回転軸12と同軸の正弦波状に配置された結果であると考えられる。ラグは、回転軸12に沿った外向きリブと、回転軸に直交する外向きリブとを有することができる。ラグは、トラクションと磨耗をさらに助けるために、正弦波パターンで円形リングの周囲に相互にオフセットされていてもよい。
【0062】
リング20は、
図2に示したように、その表面に貫通孔28のパターンを有していてもよい。スポーク71は、支持部材76・77と一般的な金具(ボルトなど)とを用いてリング20に固定されてもよい。さらに、
図9に示したように、スポーク71は、ボルト78と支持部材76・77の組み合わせによって、ハブ70とリング20の両方に取り付けてもよい。例えば、図示したように、スポーク71が支持部材77の上に載り、ボルトが3つのすべての穴を貫通してスポーク71がハブ70に固定されてもよい。さらに、支持部材76・77は、ハブ70及びリング20の両方の曲率に沿って、それぞれ各表面と面一になるようにしてもよく、これにより更に確実な接続が可能になる。本明細書で説明するように、ラグ50Aは、ラグ50Aをリング20に容易に固定できるように、ボルト穴93を有する平坦部を有していてもよい。さらに、スポーク71を取り外し可能に構成することで、ホイールの疲労を軽減することができる。さらに、ホイール10のモジュール化により、輸送コストを低減できるとともに、メンテナンスも容易になる。
【0063】
さらに、各スポークは、リング20の正弦波のピーク78に取り付けることができる。スポークが正弦波リングに接続されるとき、リング20のそれぞれの正弦波エッジの谷間79とは対照的に、ピーク78に取り付けられることに留意すべきである。スポーク71の交互の取り付けは、ホイールの比較的軽量な構造を維持しながら、土中でのトラクションの向上に寄与していることに留意すべきである。例えば、スポーク71は、頂部71Aがリング20の第1の側面20Aに取り付けられ、底部71Bがハブ70の第2の側面74に取り付けられてもよい。さらに、例えば、隣接するスポーク71は、頂部71Aがリング20の第2側面20Bに取り付けられ、底部71Bがハブ70の第1側面75に取り付けられてもよい。この交互のパターンは、スポーク71の取り付けの全体にわたって続けることができる。さらに、スポーク71は、
図9に示したように、その凹面を外側に向けた状態で取り付けてもよい。スポークの向きを交互に変えることで、重量を常に均等に配分し、重心を完全にバランスさせることができる。スポーク71が鋼板から作られていることで、ホイール10の軽量化と製造コストの低減という利点が得られることに留意すべきである。別の例では、ホイール10は1020スチール製であってもよい。
【0064】
さらに、リング20の正弦波エッジのピーク78に取り付けられている各スポーク71は、急旋回や急カーブでもホイール10のバランスを保つことを可能にする。例えば、急旋回では、ピーク78が重量を支えるため、スポーク71とハブ70が力を補うことができる。さらに、各スポーク71が中央を横切ってピーク78に取り付けられているため、重量を均等に分散することができ、ホイール10のバランスをより良くすることができる。例えば、ホイール10が移動している間、リング20が左から右に移動する正弦形状は、ピーク78に取り付けられているため、スポーク71に応力をかける。
【0065】
図10A及び
図10Bは、ある実施形態による、ミーゼス応力シミュレーション中の農業用灌漑ホイールの斜視図を示す。例えば、シミュレーション試験において、ラグ50Aのないホイール10の3Dが、様々な条件下で強度評価された。ミーゼス応力試験のシミュレーションでは、ラグ50Aのないホイール10の耐強度は、3.500e+08N/m^2であった。従って、ホイール10は典型的な荷重に耐えることができ、いかなる変形もしない。さらに、このホイール10は、交互に配置されたスポーク71のため、より優れた耐強度を有し、しかも耐久性があり、牽引力を提供する。試験で示されたように、各ホイールは、最大荷重がホイール当たり6,000ポンド(約2,721kg)(タワー当たり12,000ポンド(約5,443kg))で壊れる前に20,000ポンド(約9,071kg)を超える力に耐えることができる。さらに、
図10Aに示したように、ホイールの最低応力点に対応する勾配の最も色の濃い部分は、ホイール10の最も外側の部分に見られる。これは、リング20とハブ70が最も小さな応力を受けていることを示している。ホイールの勾配の最も軽い部分は、ハブ70とスポーク71の接続部に見られ、この接続部がホイール要素の中で最も大きな応力を受けたことを意味する。しかし、本明細書で説明するように、接続部が受ける応力は、大きな荷重の下でも依然として最小である。
図10Bに示したように、ホイールに見られる勾配の最も軽い部分は、大きな荷重がかかっている状態で、ホイール10の外側部分にある。このことは、リング20が大きな荷重下で応力を受ける可能性がある一方で、ハブ70は比較的応力がないことを示している。
【0066】
図10Cは、ある実施形態による、振動シミュレーション中のホイール10の斜視図を示している。ホイール10は、ハブ70がシステムから大量の振動を経験しないことをさらに保証し得ることにも留意すべきである。分析試験を通じて、振動はホイールの外側部分付近に留まり、ホイール10のハブ70には浸透しないことが示された。
図10Cに示したように、振動はホイール10の外側の部分にとどまり、ハブ70には到達しない。ホイール10は、振動がホイール10のハブ70に到達しないように特別に設計されている。通常、ハブ70には動力伝達装置とギアボックスがあり、ピボット装置で最初に故障する主要部品である。さらに、空気入りのホイールは通常、動力伝達装置の故障を加速させる。スポークの位置を交互に配置し、さらにその形状を工夫することで、振動がセンターハブ70に共振しないようにしている。凹面のない同じ形状のスポークもコンピュータ・シミュレーションでテストされ、その結果、凹面のないスポークは強度が10倍低いことが示された。さらに、凹面71Cを有するスポーク71では、強度が約10倍向上する可能性がある。
【0067】
さらに、
図10Cに示したように、最大の振動変形に対応する勾配の最も濃いグレーの部分は、ホイール10の最も外側の部分に見られる。これは、ホイール10のリング20付近で最も振動が大きいことを意味する。グラデーションの黒い部分はハブ70に見られ、ハブ70がホイール10の要素の中で最小の振動を経験したことを意味する。
【0068】
図11A及び
図11Bは、それぞれ、ある実施形態によるラグ50Aの斜視図及び断面図を示している。本明細書で上述したように、ホイール10に使用されるラグ50Aは、センターリブ92と、センターリブ92から横方向に互いに反対側に延びる第1の脚部95A及び第2の脚部95Bと、第1の脚部95Aをセンターリブ92に接続するように適合されたラグプレート91とから構成することができる。第1の脚部95Aと第2の脚部95Bは、中央に配置されたセンターリブ92とW字形状を形成する。ある実施形態では、ラグ50Aは、ラグ脚95の一方をセンターリブ92に接続するように構成された矩形断面の単数のラグプレート91を有するが、リング20に固定するために2つのボルト94を利用するラグプレート91を備えることができる。ラグプレート91に接続されるラグ脚を第1の脚部95Aと呼び、他方の脚を第2の脚部95Bと呼ぶことがある。ラグ50Aの第1の脚部95Aと第2の脚部95Bの両方は、それぞれ、ボルト穴93が配置される平坦部97を有することができる。ボルト94は、
図7Bのボルト穴93のような各ボルト穴を通って、ラグ50Aの2つの平坦部97の各々内に配置され、ラグ50Aを円形リング20に固定することができる。前記ラグ50Aをリング20に取り付けるための2つのボルト94の使用は、単数のボルト94を有する構成と比較した場合、取り付け後の前記ラグ50Aの回転を防止するのに役立つだけでなく、ホイールから破壊されることに対してより大きな耐性を提供することができる。ラグ50Aを円形リング20に固定する代替方法も実施することができ、これには、ラグ50Aをリング20に固定するために、ラグ50Aに圧縮継手、磁石、又は他の適切な締結具を実装することが含まれる。溶接を含むいくつかの代替方法は、貫通穴の使用又は存在を必要としない場合がある。
【0069】
ラグ50Aをさらに強化し保護するために、オーバーモールドゴム被膜(「オーバーモールドゴム層」、「ゴム被膜」)110を、金属製の内部フレーム100の1つ又は複数の表面上に配置してもよいし、金属製の内部フレーム100を完全に取り囲んで包んでもよい。また 金属製の内部フレーム100は、
図11A及び
図11Bのように金属板のような単一の一体的な部品として、
図7Hのように1つ以上の別個のワイヤとして、又は必要な構造特性を提供することができる任意の他の形態で提供することができる。オーバーモールドされたゴム被膜110は、
図11Aに描かれた金属製の内部フレーム100の底面といったラグの一部のみを覆ってもよいし、
図11Bに描かれた金属製の内部フレーム100全体を覆ってもよい。本明細書で上述したように、オーバーモールドゴム層110は、ラグ50Aの底面が2つの平坦部97の間で平坦であり、中実ゴム体が中実リブ92内に配置されるように、ラグ50Aの中実リブ92の内部99を占めることができる。センターリブ92内に配置された中実ゴム体の存在は、前記ラグ50Aの強度をさらに高めることができる。
【0070】
オーバーモールドゴム層110の異なる形態は、金属製の内部フレーム100のどの部分を覆うかによって、異なる利点を提供することができる。前述したように、センターリブ92の内部99を占めるオーバーモールドゴム層は、センターリブ92の内部99内に堅固な本体構造を提供し、ラグ50Aの強度を高め、変形又は破損することなく、より大きな力に耐えることを可能にする。本明細書で上述したように、ラグの下面にのみオーバーモールドゴム層を設けることで、金属製の内部フレーム100を上部に露出させることができ、地面と接触する耐久性のある外面を提供できるという利点がある。あるいは、ラグの上面のみにオーバーモールドゴム層を設け、オーバーモールドゴム層が地面に接触するようにすると、ホイールと地面との間の摩擦を増加させ、ホイールのグリップを高めるのに役立つ場合がある。ラグの上面にオーバーモールドゴム層110を設ける主な目的は、本明細書で説明したラグプレート91をラグ50Aに設けることである。 このラグプレート91は、取り付けられたホイールと走行面との間でより大きなトラクションを提供するのに役立つ可能性がある。最後に、金属製の内部フレーム100をオーバーモールドゴム層110内に完全に包んで密閉することにより、構造強度の向上とホイールグリップの強化という利点の両方が得られ、さらに、包まれた金属製の内部フレーム100を外的要素から保護することで、金属製の内部フレーム100の長寿命化に役立つ。
【0071】
ラグ50Aにオーバーモールドゴム層110を実装する場合、オーバーモールドゴム層110は、オーバーモールドゴム層110と金属製の内部フレーム100とが同じ長さ及び幅を有するように、金属製の内部フレーム100の全表面を覆ってもよい。ある実施形態では、金属製の内部フレーム100の底面に配置されたオーバーモールドゴム層110は、
図11Aに描かれているように、これら2つの層の長さ及び幅が同じになるように、当該金属製の内部フレーム100の底面全体を覆ってもよい。ラグ50A上に金属製の内部フレーム100と同じ長さ及び幅を有するオーバーモールドゴム層110を実装することにより、ラグ50Aの形状を大きく変えることなくフレーム金属製の内部フレーム100の表面全体を保護することができる。オーバーモールドゴム層110が金属製の内部フレーム100を完全に包む実施形態では、金属製の内部フレーム100を完全に包むためにゴム層110を金属製の内部フレーム100よりもわずかに広く長くする必要があるかもしれないが、このわずかなサイズの違いはラグ50Aの全体形状に大きく影響しない。ラグは、必要に応じて各ラグのメンテナンス、修理又は交換を容易に行えるように、モジュール方式でホイールに実装してもよい。
【0072】
ある実施形態では、オーバーモールドゴム層110は、金属製の内部フレーム100と同じ形状を有することができる。
図11Bのラグ50Aのような実施形態では、ラグ50Aの構造は、脚部95、センターリブ92、及びラグプレート91を含むラグ50Aのすべての要素に対して、構造的安定性が強化されるという利点を有する。他の実施形態では、オーバーモールドゴム層110と金属製の内部フレーム100の形状は異なっていてもよい。
図7Hで示したような、脚部95、センターリブ92及びラグプレート91を含むラグは、オーバーモールドされたゴム層110によって形成されても良い。また、金属製の内部フレーム100は、開示されたラグ形状を共有しない3つの別個の金属ワイヤ構造で構成されてもよい。このような実施形態は、大幅に強化されたラグ50Aの強度が要求されない用途や、より軽量なラグが望ましい用途において、ラグを形成するのに必要な金属の量を制限するのに有用であり得る。
【0073】
ある実施形態では、ホイールに固定された各ラグは、同じ寸法を有していてもよい。各ラグは、15.75インチの長さ、3.75インチの幅、及び3.75インチの高さ(40.005cmの長さ、9.525cmの幅、及び9.525cmの高さ)を有することができる。前記ラグ寸法により、標準的な農業用ホイールは、前記ホイールのリングの外周面に30個のラグを装着することができる。この実施形態の記載された構成は、セントラルピボット及び横移動灌漑産業の全幅パラメータ内に収まる一方で、費用効果が高いであろう。
【0074】
図12A及び
図12Bは、ある実施形態におけるセンターピボット灌漑システムに取り付けられた農場灌漑用のホイール10の斜視図を示す。ホイール10の個々の部品は、円形リング20と、円形リング内に配置されて円形リングに取り付けられたリム30と、複数の同一のラグ50Aとを含んでいる。ホイール10は、適切な農業機械と係合するように構成されたハブ70をさらに含んでもよい。ハブ70はリム30内に配置される。リム30とハブ70は、単一の一体部品として形成されてもよく、これは、ホイールの設計を簡素化し、ホイールの構造的完全性を高めるのに役立つ場合がある。リング20は、
図2のホイール10の外周面22のように、ラグ50Aが取り付けられる外周面と、ホイール10自体と共有される回転軸12を有していてもよい。
図9で説明したリング20の正弦波状の縁部とは異なり、この実施形態の
図12A及び
図12Bのリング20の一対の対向する縁部26は、リング20が水平な円形の縁部26を有する円筒形であるように、平坦である。
【0075】
ホイール10の反対側は、特定の図では見えない場合があるが、特に断りのない限り、当該反対側は見える側と同じ特性を有すると仮定できることを理解されたい。リム30は、リング20内に配置され、リング20の対向する両縁部26と平行であって、リング20の対向する両縁部26から等距離に配置されるように、リムの外周部31によって前記リング20の内周面24に固定又はその他の方法で取り付けられてもよい。リム30の中央に配置されたハブ70は、
図1Aに示したように、センターピボット灌漑システムに取り付け可能に構成される。各ラグ50Aは、本明細書で上述したように、リング20の外面にボルト止めされてもよい。複数の貫通孔28は、各孔がリング20の対向する縁部26の間で中央に配置され(等距離に配置され)、リング20の対向する縁部26と平行に走るリング20の外面の周りの円形パターンを形成するように、リング20の外面内に配置されてもよい。あるいは、貫通孔28の2つの円形パターンがリング20の外面内に配置され、貫通孔28の各円形パターンがリング20の外面の周囲と同様に対応する対向縁部26から一定の距離だけ離れて配置されるようにしてもよい。
【0076】
本明細書で上述したように、ラグ50Aの位置は、リング20の外面に配置された貫通孔28の位置によって決定されてもよい。貫通孔28の円形パターン(単数又は複数)の結果として、取り付けられたラグ50Aも、リング20の外面の周りに円形パターンで配置されてよく、複数のラグの各々は、対向する縁部26の間で、円形パターンで円形リングの周りに一様に中央に配置される。各ラグからの各中央リブ92の最高点は、円形リング20の回転軸12と同軸の円形パターンを形成してもよい。同様に、複数のラグ50A自体も、リング20の表面22の周りに円形パターンを形成することができ、前記円形パターンは回転軸と同軸である。円形に配置されたラグ50Aはまた、
図6のラグ50B及びラグ50Cと同様に、各ラグの第1の脚部95Aは、隣接する第2の脚部95Bの間に配置された交互パターンで配置されてもよい。
図12Aに描かれているように、すべてのラグ50Aがリング20の周りに円形に配置されている。ラグ50Aは、所望の用途に必要なグリップを提供するために、他の適切なホイールに取り付けるように構成することができる。
【0077】
図12A及び
図12Bに描写されたホイールは、開示されたラグ50Aと共に実施され得るホイールの一例を提供し、前記ラグが実施され得るホイールの範囲を限定することを意図していない。開示されたラグを利用することができる代替のホイールには、本明細書で上述したスポークベースのホイールのほか、取り付けられた灌漑システムの重量を適切に支持することができる他のスポークベースのホイールが含まれる。開示されたラグ及びその変形例は、円形リング20を灌漑システムに接続するスポーク71、リム30、脚、又は他の既知のホイールセンターを有するホイールを含む、前述の灌漑システムに必要なホイール機能を提供することができる任意のホイール構造に実装することができる。このように、農場灌漑システムでの使用を意図したホイール10は、ホイール中心と、ホイール中心の周囲に配置されホイール中心に取り付けられた円形リング20と、円形リング20に取り付けるように構成された複数のラグ50Aとで構成することができる。記載されたホイールセンターは、対応する機器へのホイールの必要な取り付けを容易にするために、ハブ70又は他の同等の構造を含むことができる。リング20は、純粋にその側面形状に基づいて円形と記載されることがあり、この側面形状は、多くの産業における大多数のホイールにとって典型的な円形である。円形リングの外周面は、本明細書で上述した正弦形及び平坦なエッジの変形を含む様々な形態で提供することができ、また、取り付けられた構造物の適切な走行を可能にするためにリング20の円形プロファイルを維持することを可能にする任意の他の形態で提供することもできる。
【0078】
図13A~
図13Eは、ある実施形態による農場灌漑用の波形ホイール120の斜視図である。
図13A~
図13Eの農場灌漑用の波形ホイール120は、リング20で構成されてもよく、前記リングは円筒形である。農場灌漑用の波形ホイール120のリング20は、
図9のリング20と同様に、貫通孔28がその外側表面22に配置されるように、正弦波状に配置された貫通孔28の少なくとも1つのパターン(「セット」)を有してもよい。
図9のリング20とは異なり、波形ホイール120のリング20は、
図13A~
図13Eに見られるように、
図12Aのリング20のフラットな縁部26に相当するフラットな縁部26を有してもよい。波形ホイール120は、リング20内にはめ込まれたリム30でさらに構成されてもよく、当該リム30は、外周31とスカラップ部121とを有する。スカラップ部121という用語は、
図13A~13Eに見られるように、リム30上に位置するポケット状の交互の突起を説明するために用いられる。スカラップ部121は、前記リムの外周31上に配置される。リム30の外周31は、リング20の内周面24と直接係合するように構成され、各スカラップ部121の位置決めにより、リング20の各貫通孔28の周囲に十分なクリアランスが確保され、適切な工具を使用してホイールラグの取り付けと取り外しを容易に行うことができる。
図13A~
図13Eに見られるように、波形部分は、波形ホイールへのラグの取り付け又は取り外しのプロセスを容易にするために、スカラップ部121に隣接する貫通孔の周囲に空間を提供するように構成される。スカラップ部121を有するリム30は、溶接又は他の適切な方法によってリング20に固定されてもよく、又はリム30及びリング20が単一の一体構造を形成するように、製造中にリング20に一体的に組み込まれてもよい。
【0079】
リム30上に配置されたスカラップ部121は、先に開示したスカラップ部121を持たないリム30と比較すると、前記リム30の外周31に、リム30とリング20との間に増加した接触面を提供するリング20の縁部26の間の往復横方向オフセットを持たせることができる。リム30とリング20との間のこの増加した接触面は、波形ホイール120の構造的完全性を高め、損傷又は変形することなく、より大きな荷重に耐えることを可能にする。リム30の外周31のこの往復横方向オフセットは、
図4で説明したラグの配置に類似していてもよく、この場合、リム30の外周31とリング20との間の係合面は、振幅と周期とを有する略正弦曲線としてもよい。リム30の外周31とリング20との間の係合面のこの略正弦曲線は、ホイールの回転軸12と同軸であってもよい。貫通孔28及び任意の付属ラグとほぼ同じパターン(例えば、正弦曲線パターン)に従うリム30を有することにより、リム30は、各付属ラグの中央部分に十分な支持を提供することができる。そのため、リム30が貫通穴28と同じパターンに従わない代替構成と比較した場合、波形ホイール120により優れた構造的完全性が提供される。
【0080】
外周部31の往復横方向オフセットにより、外周部31とリング20の各縁部26との間の距離が、近傍の貫通孔28の位置に応じて変化することがある。この点を本明細書でさらに詳細に説明する。往復横方向オフセットの文脈における「横方向」とは、ホイールの回転軸12によって規定される方向を指す場合がある。ハブ70は、リム30内に配置され、リム30に固定されても良い。ハブ70は、適切な車両アセンブリの動力伝達装置と係合するように構成される。先に開示されたホイール10と同様に、開示された波形ホイール120は、ホイール回転軸12を中心に回転するように構成され、車両の移動を容易にすることができる。
【0081】
図12Aのラグ50Aのようなラグの取り付けや取り外しを、本明細書で上述した波形ホイール120により容易に対応させるために、リム30上に配置されたスカラップ部121の向き及び位置は、リム30がリング20上の正弦波状に配置された貫通孔の各パターン又はセットの各貫通孔28へのアクセスを遮断又は阻害することを回避するように構成され得る。これは、リム30にスカラップ部121を配置させ、リム30の外周31とリング20との間の係合面が、リング20上の各貫通孔28から十分に離れているようにすることによって行うことができる。例えば、ソケットレンチやトルクレンチなどの適切な工具を貫通孔28の近くで容易に操作して、リム30が前記工具の利用を妨げたりすることなく、ラグをリング20に固定しているボルト、ねじ、又は他の同等の締結具を締結/取り外しすることができる。
図13A~
図13Eに見られるように、リング20は、2組の隣接する正弦波状に配置された貫通孔28を有することができ、前記正弦波状に配置された貫通孔28の組は、
図7Dのラグ50Aのような複数のラグと係合するように構成される。そして、各ラグは、2本のボルト94を使用してリング20に取り付けるように構成される。正弦波状に配置された貫通孔の2つの隣接するセットは、各セットによって定義される正弦波状パターンが他方のセットの正弦波状パターンと同位相になるように配置されることができる。両方のセットが互いに「同位相」であることは、
図13A~
図13Eに見られるように、特定のエッジ26に向かう横方向の最大オフセットと最小オフセット、従って各正弦波パターンの最大振幅/最小振幅が、両方のセットについてホイールの同じ半径方向角度で発生することを示すであろう。
【0082】
各ラグは、
図6に見られるように、設置時に各ラグが隣接するラグと平行になるように、正弦波状に配置された各組の貫通孔28から単数の貫通孔28に係合するように構成することができる。
図4のラグの配置と同様に、波形ホイール120に固定された各ラグは、リング20の外周面の横方向にオフセットした位置に配置することができる(
図5参照)。
図4のラグの配置と同様に、波形ホイール120に固定されたラグはすべて、中心点の連続的かつ場合によっては滑らかに変化する軌跡を形成するために、互いに対して横方向にオフセットした位置でリング20の外面に配置されてもよい。ここで、前記ラグは、波形ホイール120のリング20の周りに正弦波パターンを形成する。
図13A~
図13Eの波形ホイール120から分かるように、リム30のスカラップ部121は、リング20とリム30との間の係合面が、正弦波状に配置された2組の隣接する貫通孔28の対応する隣接する貫通孔の間に常に配置されるように構成されてもよい。このような実施形態では、スカラップ部121の位置決めにより、各貫通孔28を移動する各ボルト(図示せず)の周囲に十分なクリアランスを提供することができるため、リング20へのラグの取り付け及びリング20からのラグの取り外しを容易にするように構成された工具を利用しやすくなる。
【0083】
代替の波形ホイール構成に対するラグの取り付けを容易にするために、波形ホイール120のリム30上のスカラップ部121の位置及びサイズに対する修正を行ってもよいことについて理解されるべきである。例えば、代替の波形ホイール120は、
図9のリング20上に貫通孔28が配置される方法と同様に、そのリング20上に正弦波状に配置された貫通孔の単一セットを有してもよいが、ここで、波形ホイール120のリング20はフラットな縁部26を有する。
図12Aのホイール10のリム30のような平坦なリムが、正弦波状に配置された一組の貫通孔28を有するホイールに利用された場合、貫通孔28の一部が前記リム30の位置決めによって塞がれるか、貫通孔28の周囲にラグ操作用工具の適切な利用に十分なクリアランスが生じない可能性がある。スカラップ部121は、リム30の外周31から横方向にずらしてスカラップ部121を設けることによって、
図13Aに見られるものと同様に、リム30が貫通孔28を塞ぐのを避けるために、リム30上に選択的に配置することができる。 リム30の外周31とリング20との係合により、各貫通孔28の周囲に十分な隙間が残るようにする。
【0084】
本明細書で上述したように、
図13A~
図13Eの波形リム30の外周31は、スカラップ部121の位置決めの結果、略正弦波状である往復横方向オフセットを有することがあり、それにより、リム30の外周31の略正弦波状パターンが、任意の貫通孔へのアクセスを遮断又は他の方法で妨げないように、リング20と係合する必要がある。この係合を容易にするために、この代替実施形態では、外周部31の略正弦波パターンは、貫通孔28の特異な正弦波パターンと十分に横方向にオフセットして同位相にしてもよい。波形リム30とラグが共に波形ホイール120のリング20に固定され得るという事実により、波形リム30はホイールアセンブリ内のラグと関連付けられ得ることが理解されるべきである。
【0085】
開示された波形ホイール120のハブ70は、センターピボット灌漑システムの動力伝達装置と好適に係合するように構成することができる。前記ハブ70は、溶接又は同等の方法によって、リム30の内周32内に固定されてもよいし、リム30に一体化されてもよい。開示された波形ホイール120は、ショートシャフトドライブユニット及びロングシャフトドライブユニットのバリエーションを含む、業界で利用されているドライブユニットの2つの一般的なサイズバリエーションに適合し得る。これらの動力伝達装置変形例の両方が同じスタッドパターンを有する結果として、開示された波形ホイール120のハブ70内の開示されたスタッド貫通穴72は、前記波形ホイール120といずれかの動力伝達装置変形例との係合を可能にするように適切に配置され得る。開示された波形ホイール120には、ハブ70とリング20との間に、波形ホイール120とショートシャフト動力伝達装置変形例の駆動ユニット(図示せず)との間に横方向クリアランスを提供し、波形のズレを防止する横方向オフセット122が内蔵されていてもよい。波形ホイール120と前記駆動ユニットが動作中に衝突するのを防止する。「内蔵横方向オフセット」という用語は、リング20の中央部分と比較したときのハブ70の横方向変位(例えば、ホイール回転軸12に沿った位置決め)を指しており、リング20の前記中央部分は、前記リング20の縁部26の間に中央に配置されていることを理解されたい。この内蔵横方向オフセット122は、波形ホイール120とロングシャフト動力伝達装置変形の駆動ユニットとの間にさらに大きなクリアランスを提供するため、波形ホイール120の適切な動作を保証する。
図13A~
図13Eの開示された波形ホイール120の能力は、当業界で使用される2つのドライブシャフト長(ショート又はロング)のいずれかと共に利用されることで、当該波形ホイール120の製造を、記載された両方の動力伝達装置変種と共に使用するための単一設計に単純化される。
【0086】
波形ホイール120の開示されたリム30は、波形ホイール120が高荷重に耐えながら変形や損傷に大きく抵抗できるように構成され得る。堅固で一体化されたリム30の設計と、当該リム30の外周31の往復横方向オフセット、リム30と波形ホイール120のリング20との間の境界面を横方向に往復する結果として、当該波形ホイール120は、ホイールハブ70をリング20に取り付けるためにスポーク又は平坦なリムを利用するホイールよりも重い荷重を支えることができ得る。波形リム30の外周31の往復横方向オフセットから生じる往復境界面は、先に開示された平坦なリムと比較して、リム30とリング20との間に大きな境界面面積を提供するので、波形ホイール120の構造的完全性及び耐荷重能力を向上させる。
図6で開示したスポーク71と同様に、開示されたスカラップ部121は、各波状突起形状が取り付けられたホイールの表面積を増加させる結果、ホイールが柔らかい土に部分的に水没している間、各波形ホイールの地面との係合を増加させるのにも役立つ。そのため、水没時に波形ホイールの地面との牽引力を増加させることができる。例えば、各スカラップ部121は、柔らかい土や緩い土に水没したとき、土にグリップして波形ホイール120を掘り出すのを助けるパドルのように作用し得る。
【0087】
スカラップ部121、横方向に移動する外周31を有する
図13A~
図13Eの開示された波形リム30は、リング20とリング20との間の境界面が存在する限り、本明細書に開示される任意のリング20内で利用することができることを理解されたい。波形リム30及びリング20は、取り付け又は取り外しの際にラグへの適切なアクセスを可能にするために、前記リング20の各貫通孔28の周りに十分な隙間を提供するように適切に構成されている。開示された波形ホイール120のリム30及びリング20は、溶接又は業界で知られている他の適切な取り付け方法の使用を通じて互いに固定され得る。開示された波形ホイール120は、上述のホイール10のそれぞれと同様に、射出成形などの製造技術を通じて一体構造体として製造することもできる。本明細書で説明されるすべてのホイール10と同様に、波形ホイール120の開示された部品及び構成要素は、ホイールの意図された目的を達成するために適切な引張強度、弾性、可撓性及び他の特性を有する金属又は他の既知の材料で作られ得る。
図13A~
図13Eに見られる波形リム30の開示された構成は、リム30が各貫通孔28の周囲に十分なクリアランスを残すようにしながら、耐荷重能力を高め、緩い土壌に部分的に沈んだときに前記ホイールがトラクションを提供する能力を維持するホイールを必要とする用途において望ましい場合がある。
【0088】
「円形パターン」という用語は、
図13A~
図13Eに描かれている貫通孔28の配置、ひいては結果として生じるラグ配置を説明するために使用することもできる。この場合、貫通孔28は、前記配置が、
図13C及び
図13Dに見られるものと同様に、側面プロファイル図からは円形として描かれ、
図13Eに見られるものと同様に、正面プロファイル図からは正弦波状として描かれるように、リング20の表面22の周りに正弦波状に配置されることを理解されたい。また「円形パターン」という用語は、
図12A及び
図12Bに描かれているタイプのラグ配置(及び対応する貫通孔28の配置)を説明するために使用することができることも理解されるべきである。ラグ50A、従って対応する貫通孔28は、リング20の外面の周りに直線的に配置され、このような配置は、側面図からは円形として描かれ、正面図からは直線的に描かれる。側面図から見ると円形に、正面図から見ると直線状に配置されている。
図9及び13A~
図13Eに描かれている貫通孔28のパターン、従って対応して取り付けられているラグのパターンは、より具体的には「正弦波パターン」と呼ぶことができる。同様に、
図12A及び
図12Bに描かれているラグ50Aのパターン、従って、それらを固定するために使用される貫通孔28の対応するパターンは、より具体的には、「線形パターン」と呼ばれることがある。このように、本明細書で説明する「正弦波パターン」と「線形パターン」の両方は、異なるタイプの「円形パターン」であると理解すべきである。
【0089】
本特許文書で使用されている特定の単語および語句の定義を示すことは有利であり得る。用語「カップル」及びその派生語は、2つ以上の要素間の直接的又は間接的な伝達を指し、それらの要素が互いに物理的に接触しているか否かを問わない。「または」という用語は、包括的であり、および/またはを意味する。「~と関連する」および「それと関連する」という語句、ならびにそれらの派生語は、~を包含する、~内に包含される、~と相互接続する、~を含む、~内に含まれる、~に接続するまたは~と接続する、~に連結するまたは~と連結する、~と連絡可能である、~と協働する、交互配置する、並置する、~と近接する、~に結合されるまたは~と結合される、~を有する、~の特性を有することなどを意味し得る。
【0090】
さらに、本出願で使用される場合に、「複数」は2つ以上を意味する。物の「集合」は、1つ以上のそのような物を含み得る。明細書中であろうと特許請求の範囲中であろうと、「~を含む(comprising)」、「~を包含する(including)」、「~を保持する(carrying)」、「~を有する(having)」、「~を含有する(containing)」、「~を伴う(involving)」などの用語はオープンエンドであり、すなわち、~を包含するが、それらに限定されないと理解されるべきである。特許請求の範囲に関しては、それぞれ「~からなる(consisting of)」および「本質的に~からなる(consisting essentially of)」という移行句のみが、クローズドまたは半クローズドな移行句である。
【0091】
存在する場合に、クレーム構成要素を修飾するための特許請求の範囲における「第1」、「第2」、「第3」などの序数の用語の使用は、それ自体で、あるクレーム構成要素の別のクレーム構成要素に対する優先順位、優先度、もしくは順序、または方法の行為が行われる時間的順序を意味するものではない。これらの用語は単に、特定の名称を有するあるクレーム構成要素を同じ名称を有する(序数の用語の使用を除く)別の要素と区別することで、クレーム構成要素を区別するための表示として使用されるにすぎない。本出願で使用される場合に、「および/または」は、列記された物が選択肢であることを意味するが、該選択肢も列記された物の任意の組み合わせを含む。
【0092】
この詳細な説明全体を通して、示される態様、実施形態、または例は、開示されたまたは特許請求の範囲に記載された装置または手順に対する制限ではなく、例示とみなされるべきである。いくつかの例は、方法の行為またはシステムの要素の特定の組み合わせを含み得るが、それらの行為およびそれらの要素は、同じ目的を達成するために他の様式で組み合わされ得ることを理解されたい。
【0093】
ある態様、実施形態、または例に関連してのみ論じられた行為、要素、および特徴は、他の態様、実施形態、または例における1つ以上の同様の役割から除外されることを意図するものではない。
【0094】
本発明の態様、実施形態、または例は、プロセスとして記載される場合もあり、該プロセスは、通常、フローチャート、流れ図、構造図、またはブロック図を使用して描写される。フローチャートは、操作を逐次プロセスとして描写することができ、操作の多くは並行してまたは同時に実行することができる。さらに、操作の順序を再配置することもできる。フローチャートに関しては、追加のより少ない工程を採用することができ、示される工程を組み合わせて、またはさらに改良して、記載された方法を実現することができることを理解されたい。
【0095】
ミーンズ・プラス・ファンクションの限定が特許請求の範囲に記載されている場合に、その手段は、記載された機能を実施するために本出願に開示された手段に限定されることを意図するものではなく、記載された機能を実施するために現時点で知られるまたは後に開発されるあらゆる均等な手段を範囲内に含めることを意図している。
【0096】
クレームの限定は、クレームが「手段」という用語を記載された機能と関連付けて記載している場合にのみ、手段プラス機能の限定として解釈されるべきである。
【0097】
示される場合に、方法および/またはプロセスに対する請求項は、記述された順序でのそれらの工程の実施に限定されるべきではなく、当業者であれば、その順序が変動することができ、依然として本発明の趣旨および範囲内に留まり得ることを容易に理解することができる。
【0098】
態様、実施形態、および/または例が本明細書に例示および記載されているが、当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に例示および記載された態様、実施形態、および/または例に置き換えることができる同じ結果を達成可能であり得る同じおよび/または均等な変形形態の代替を容易に見つけ出すであろう。したがって、本出願の範囲は、そのような代替の態様、実施形態、および/または例を網羅することを意図している。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって規定される。さらに、すべての各請求項は、さらなる開示として本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】