(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-11
(54)【発明の名称】能動的な外科手術用アクセスポートの濾過付属品
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565587
(86)(22)【出願日】2022-02-15
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 US2022016467
(87)【国際公開番号】W WO2022235317
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラザーズ スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナムルティ マヘーシュ
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF45
4C160MM23
(57)【要約】
トロカール組立品用のキャップは、トロカールの近位部分に取り外し可能に取り付けられるように構成されたハウジングを含む。ハウジングは、それを通るアクセスポート開口部を画定し、アクセスポート開口部は、外科手術器具の、アクセスポート開口部を通って、かつトロカールの主アクセスポートの中への通過のために、整列されるように構成される。ハウジングは、濾過のためにトロカールの近位部分から粒子を吸い出すための少なくとも1つのサイフォン開口部を画定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トロカール組立品用のキャップであって、
トロカールの近位部分に取り外し可能に取り付けられるように構成されたハウジングであって、前記ハウジングが、それを通るアクセスポート開口部を画定し、前記アクセスポート開口部が、外科手術器具の前記アクセスポート開口部を通し、かつ前記トロカールの主アクセスポートへの通過のために整列されるように構成され、かつ前記ハウジングが、濾過のために前記トロカールの前記近位部分から粒子を吸い出すためのサイフォン開口部を画定する、ハウジングを備える、キャップ。
【請求項2】
プレナムが、前記プレナムと前記アクセスポート開口部との間を分離するプレナム壁を有して、前記アクセスポート開口部から半径方向外向きに前記キャップ内に画定され、前記サイフォン開口部が前記プレナムと流体連通して前記プレナムの外へと粒子を吸い出し、かつ少なくとも1つのポートが、前記アクセスポート開口部から前記プレナムへの流体連通のために、前記プレナム壁を貫通して画定される、請求項1に記載のキャップ。
【請求項3】
前記サイフォン開口部に接続されたサイフォン管を含む管セットをさらに備える、請求項1に記載のキャップ。
【請求項4】
前記サイフォン管が、前記ハウジングと外部フィルターユニットとの間の流体連通のために接続され、前記外部フィルターユニットが、前記流路を通る流れを濾過するために、前記外部フィルターユニットを通る流路にわたる濾過材を収容する、請求項3に記載のキャップ。
【請求項5】
前記外部フィルターユニットが、能動的な濾過のために送気装置に接続するための出口管を含む、請求項4に記載のキャップ。
【請求項6】
前記管セットが送気ラインと排煙ラインとを含み、各々がカートリッジとマルチポートコネクタとの間を接続し、前記カートリッジが、前記管セットを送気装置に接続するように構成され、前記マルチポートコネクタが、送気および排煙のために前記送気ラインおよび前記排煙ラインをトロカールに接続するように構成され、かつ前記サイフォン管が、濾過材による前記トロカールからの粒子の能動的な濾過のための前記排煙ラインへと接続される、請求項3に記載のキャップ。
【請求項7】
前記カートリッジが、前記トロカールからの粒子を濾過するために、少なくとも1つの前記サイフォンラインと流体連通する超低粒子空気(ULPA)濾過材を含む、請求項6に記載のキャップ。
【請求項8】
前記ハウジングが、前記アクセスポート開口部と流体連通する入口開口部を画定し、前記入口開口部が、前記トロカールと係合するように構成される、請求項1に記載のキャップ。
【請求項9】
前記入口開口部の周りに円周方向に延在するシールをさらに備え、前記シールが、前記トロカールの前記近位部分と係合して、前記入口開口部を通して前記トロカールの主管腔に出入りするすべての流れを駆動するように構成される、請求項8に記載のキャップ。
【請求項10】
シール座が、前記ハウジングの前記入口開口部を中心として画定され、前記シールが、前記シール座内に着座する、請求項9に記載のキャップ。
【請求項11】
前記ハウジングの遠位端が、前記トロカールのそれぞれのリムまたは戻り止めと係合して、前記ハウジングの前記トロカールへの係合を維持するように構成された少なくとも1つの内向きに延在するラッチ部材を含む、請求項1に記載のキャップ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの内向きに延在するラッチ部材が、複数の円周方向に離隔した内向きに延在するラッチ部材を含む、請求項11に記載のキャップ。
【請求項13】
トロカール組立品であって、
細長い管状部材であって、手術部位へと挿入されるように構成された遠位端と、外科手術器具の前記管状部材の中への導入のために構成されたトロカールハウジングを含む近位部分との間に延在し、前記トロカールハウジングが少なくとも1つのラッチレセプタクルを含む、細長い管状部材を含む、トロカールと、
前記トロカールの前記近位部分に取り付けられたキャップハウジングであって、前記キャップハウジングが、それを通るアクセスポート開口部を画定し、前記アクセスポート開口部が、外科手術器具のそこを通る、かつ前記トロカールの前記管状部材の中への通過のために整列され、前記キャップハウジングが、濾過のために前記トロカールの前記近位部分から粒子を吸い出すための少なくとも1つのサイフォン開口部を画定する、キャップハウジングを含む、キャップとを備える、トロカール組立品。
【請求項14】
キットであって、
細長い管状部材であって、手術部位へと挿入されるように構成された遠位端と、外科手術器具の前記管状部材の中への導入のために構成されたトロカールハウジングを含む近位部分との間に延在し、前記トロカールハウジングが少なくとも1つのラッチレセプタクルを含む、細長い管状部材を含む、トロカールと、
前記トロカールの前記近位部分に取り外し可能に取り付けられるように構成されたキャップハウジングであって、前記キャップハウジングが、それを通るアクセスポート開口部を画定し、前記アクセスポート開口部が、外科手術器具のそこを通る、かつ前記トロカールの前記管状部材の中への通過のために整列されるように構成され、前記キャップハウジングが、濾過のために前記トロカールの前記近位部分から粒子を吸い出すための少なくとも1つのサイフォン開口部を画定する、キャップハウジングを含む、キャップとを備える、キット。
【請求項15】
方法であって、
前記手術部位へと導入されたトロカールを用いて手術部位の送気を調節することと、
前記トロカールを通して前記手術部位から排出される流体を管セットへと吸い出すことと、
吸い出された前記流体を、前記手術部位の外部の空間から離れるように迂回させることと、を含む、方法。
【請求項16】
前記流体の流路内の濾過材内で、前記流体から液滴、固体粒子、および/または気体を捕捉することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記濾過材が、前記トロカールと、前記トロカールによる送気を調節する送気装置および/または前記トロカールを通して排煙を実施する送気装置との間を接続する流体回路内にある、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記濾過材が、前記トロカールによる送気を調節する送気装置内、および/または前記トロカールを通した排煙を実施する送気装置内にある、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記トロカールが、第一のアクセスポートであり、かつ第二のアクセスポートを通して前記手術部位にアクセスすることをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第二のアクセスポートを通して前記手術部位にアクセスすることが、前記第一のアクセスポートを通して前記手術部位にアクセスすることなく、前記手術部位にアクセスすることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記トロカールを通して前記手術部位から排煙することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項22】
前記トロカールを使用して安定した気腹を調節することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月5日に出願された米国特許出願第17/308,255号の利益を主張するものであり、この開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本開示は、能動的な濾過に関し、より具体的には、送気システムで使用されるような外科手術用アクセスポートのための能動的な濾過に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
一部の外科手術用アクセスポートは、気腹の喪失を防止するために、ガス圧力バリアを有する開放型のバルブレストロカールとして設計されている。ニューヨーク州ユーティカのConMed Corporationから入手可能なAirSeal(登録商標)iFS送気管理システムの一部であるAirSeal(登録商標)Access Portは、送気処置中に患者の手術部位に導入することができる。例えば、処置中にAirSeal(登録商標)Access Portのトロカールを通して外科手術器具が挿入されない場合など、手術部位へのアクセスのためにAirSeal(登録商標)Access Portが使用されない処置において、外科医は、時としてAirSeal(登録商標)iFS送気管理システムを使用する場合がある。このシナリオでは、AirSeal(登録商標)iFS送気管理システムは、処置のための送気を提供する。AirSeal(登録商標)Systemは、安定した気腹を提供し、また排煙も提供することができる。
【0004】
使用される外科手術用アクセスポートの種類にかかわらず、一部のアクセスポートの設計の開放的な性質に起因して、アクセスポートを通過する器具がない場合、粒子が患者の体内から、アクセスポート開口部を通って、手術室の空気中に放出される可能性がある。これにより、望ましくないまたは有害な粒子が、腹腔内または他の手術部位から、手術スタッフ/従業員がいる手術室に移動するおそれがある。これには、手術スタッフ/従業員にとって有害なガスや病原体までもが含まれる可能性があり、保護のためにPPE(個人用保護具)に頼らなければならないことになる。
【0005】
従来の技法は、それらの意図された目的に対して満足できるものであると考えられてきた。しかしながら、望ましくないまたは有害な粒子が外科手術用アクセスポートを通して手術室の空気に侵入するのを防止するための、改善されたシステムおよび方法に対するニーズが常に存在する。本開示は、このニーズに対する解決策を提供する。
【発明の概要】
【0006】
トロカール組立品用のキャップは、トロカールの近位部分に取り外し可能に取り付けられるように構成されたハウジングを含む。ハウジングは、それを通るアクセスポート開口部を画定し、アクセスポート開口部は、外科手術器具の、アクセスポート開口部を通って、かつトロカールの主アクセスポートの中への通過のために、整列されるように構成される。ハウジングは、濾過のためにトロカールの近位部分から粒子を吸い出すためのサイフォン開口部を画定する。
【0007】
プレナムは、プレナムとアクセスポート開口部との間を分離するプレナム壁を有するアクセスポート開口部から半径方向外向きにキャップ内に画定することができる。サイフォン開口部は、プレナムと流体連通して、粒子をプレナムの外へ吸い出すことができる。アクセスポート開口部からプレナムへの流体連通のために、少なくとも1つのポートをプレナム壁を貫通して画定することができる。サイフォン開口部に接続されたサイフォン管を有する管セットを含むことができる。
【0008】
ハウジングと外部フィルターユニットとの間の流体連通のために、サイフォン管を接続することができる。外部フィルターユニットは、流路を通る流れを濾過するために、外部フィルターユニットを通る流路にわたる濾過材を収容することができる。外部フィルターユニットは、能動的な濾過のために送気装置に接続するための出口管を含むことができる。
【0009】
また、管セットが、各々がカートリッジとマルチポートコネクタとの間を接続する送気ラインおよび排煙ラインを含むことができることも企図される。カートリッジは、管セットを送気装置に接続するように構成することができる。マルチポートコネクタは、送気および排煙のために、送気ラインおよび排煙ラインをトロカールに接続するように構成することができる。サイフォン管は、トロカールからの粒子の濾過材による能動的な濾過のために、排煙ラインに接続することができる。カートリッジは、トロカールからの粒子の濾過のために、サイフォンラインと流体連通する超低粒子空気(ULPA)濾過材を含むことができる。
【0010】
ハウジングは、アクセスポート開口部と流体連通する入口開口部を画定することができ、入口開口部はトロカールと係合するように構成される。シールは、入口開口部の周りで円周方向に延在することができる。シールは、トロカールの近位部分と係合して、入口開口部を通してトロカールの主管腔に出入りするすべての流れを駆動するように構成することができる。ハウジングの入口開口部を中心としてシール座を画定することができる。シールは、シール座内に着座させることができる。
【0011】
ハウジングの遠位端は、トロカールのそれぞれのリムまたは戻り止めと係合して、ハウジングのトロカールへの係合を維持するように構成された少なくとも1つの内向きに延在するラッチ部材を含むことができる。また、ハウジングの遠位端が、トロカールのそれぞれのリムまたは戻り止めと係合して、ハウジングのトロカールへの係合を維持するように構成された、複数の円周方向に離隔した内向きに延在するラッチ部材を含むことができることも企図される。
【0012】
トロカール組立品はトロカールを含む。トロカールは、手術部位へと挿入されるように構成された遠位端と、外科手術器具の管状部材の中への導入のために構成されたトロカールハウジングを含む近位部分との間に延在する細長い管状部材を含む。トロカールハウジングは、少なくとも1つのラッチレセプタクルを含む。上述のようなキャップが含まれ、キャップのハウジングは、トロカールの近位部分に取り付けられる。キットは、上述のトロカールと、上述のキャップとを含み、トロカールおよびキャップは、キット内で互いに取り付けられているか、または分離されている。
【0013】
本方法は、手術部位へと導入されたトロカールを用いて、手術部位の送気を調節することを含む。本方法は、トロカールを通して手術部位から排出される流体を管セットへと吸い出し、それによって流体が手術部位の外側の空間に到達するのを迂回させることを含む。
【0014】
本方法は、流体の流路内の濾過材内で、流体から液滴、固体粒子、および/または気体を捕捉することを含むことができる。濾過材は、トロカールと、トロカールを用いる送気を調節する、かつ/またはトロカールを通して排煙を実施する送気装置との間を接続する流体回路内にあることができる。濾過材は、トロカールを用いる送気を調節する、かつ/またはトロカールを通して排煙を実施する送気装置内にあることができる。本方法は、トロカールを通して手術部位から排煙すること、および/またはトロカールを使用する安定した気腹を調節することを含むことができる。
【0015】
トロカールは、第一のアクセスポートとすることができ、また本方法は、第二のアクセスポートを通して手術部位にアクセスすることを含むことができる。第二のアクセスポートを通して手術部位にアクセスすることは、第一のアクセスポートを通して手術部位にアクセスすることなく、手術部位にアクセスすることを含むことができる。
【0016】
本開示のシステムおよび方法のこれらおよび他の特徴は、図面と併せてなされる以下の発明を実施するための形態から、当業者にはより容易に明らかになるであろう。
【0017】
本開示が属する技術分野の当業者が、過度の実験なしに本開示の装置および方法を作製および使用する方法を容易に理解するように、その好ましい実施形態を、特定の図面を参照して以下に詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】送気を使用する患者の処置中の原位置にあるトロカール組立品を示す、本開示に従って構築されたトロカール組立品の一実施形態の概略斜視図である。
【
図2】受動的濾過キャップがトロカール上の所定位置にある状態を示す、
図1のトロカール組立品の斜視図である。
【
図3】トロカールからキャップが取り外された状態を示す、
図2のトロカール組立品の分解斜視図である。
【
図4】プレナムを通して連通するアクセスポート開口部およびサイフォン開口部を示す、
図3のキャップの断面側面立面図である。
【
図5】アクセスポート開口部とプレナムとの間を分離するプレナム壁を示す、
図3のキャップの断面斜視図である。
【
図6】サイフォン開口部からの粒子を捕捉するための外部フィルターを有する、送気を使用する患者の処置中の原位置にあるトロカール組立品を示す、本開示に従って構築されたトロカール組立品の別の実施形態の概略斜視図である。
【
図7】
図1のトロカール組立品のための部品を含むキットの一実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ここで図面を参照するが、同様の参照番号は本開示の同様の構造的特徴または態様を識別する。限定ではなく説明および例示の目的で、本開示によるトロカール組立品の一実施形態の部分図が
図1に示され、概して参照符号100によって指定されている。本開示によるシステムの他の実施形態、またはその態様は、記述されるように、
図2~
図7に提供される。本明細書に記述されるシステムおよび方法は、送気の性能または有効性または安定した気腹を妨げることなく、気腹内からの粒子が手術室空気に入るのを防止するための能動的な濾過を提供するために使用することができる。
【0020】
トロカール組立品100は、トロカール102を含む。トロカールは、手術部位の中へ挿入されるように構成された遠位端106と、外科手術器具、例えば、外科手術器具11を管状部材104の中へ導入するように構成されたトロカールハウジング110を含む近位部分108との間に延在する細長い管状部材104を含む。
【0021】
ここで
図2を参照すると、組立品100はキャップ112を含む。キャップ112は、トロカール102の近位部分108に、例えば、トロカールハウジング110の近位端116に取り外し可能に取り付けられるように構成されたキャップハウジング114を含む。ハウジング114は、それを通るアクセスポート開口部118を画定し、アクセスポート開口部118は、外科手術器具、例えば、
図1の外科手術器具11の、アクセスポート開口部118を通って、かつ
図3にラベル付けされているトロカール102の主アクセスポート120の中への通過のために、整列されるように構成される。
【0022】
引き続き
図3を参照すると、トロカールハウジング110は、リムまたは戻り止めの形態の少なくとも1つのラッチレセプタクル122を含む。ハウジング114の遠位端は、トロカール102のラッチレセプタクル122と係合して、キャップ112のトロカール102への係合を維持するように構成された、複数の円周方向に離隔した内向きに延在するラッチ部材124を含む。ハウジング114は、濾過のためにトロカール102の近位部分108から粒子を吸い出すためのサイフォン開口部126を画定する。
【0023】
ここで
図4を参照すると、プレナム128は、プレナム128とアクセスポート開口部118との間を分離するプレナム壁130を有して、アクセスポート開口部118から半径方向外向きにキャップ112内に画定される。
図5では、プレナム壁は、断面で示されている。サイフォン開口部126はプレナム128と流体連通して、プレナム128の外へ、そして最終的にはアクセスポート開口部118から粒子を吸い出す。アクセスポート開口部118からプレナム128への流体連通のために、少なくとも1つのポート132がプレナム壁130を貫通して画定される。
図4~
図5では、プレナム壁130を貫通する3つのポート132があるが、本開示の範囲から逸脱することなく、任意の適切な数のポートを使用することができる。管セット134(例えば、
図7に示すような)が含まれ、これは使用時にサイフォン開口部126に接続するように構成されたサイフォン管136を有する。
【0024】
引き続き
図4を参照すると、キャップハウジング114は、アクセスポート開口部118と流体連通する入口開口部156を画定し、入口開口部156は、
図1~
図3のトロカール102と係合するように構成される。シール158は、入口開口部156の周りで円周方向に延在する。シール158は、トロカール102の近位部分108の近位端116と係合して(
図3に標識されるように)、入口開口部156を通してトロカール102の主管腔に出入りするすべての流れを駆動するように構成される。シール座160は、入口開口部156を中心として画定され、またシール158はシール座160内に着座する。また、シール158およびシール座160に加えて、またはその代わりに、ポリマー接着剤を入口開口部156の周りに塗布してトロカール102と封止することができることも企図される。
【0025】
図6を参照すると、キャップハウジング114と外部フィルターユニット138との間の流体連通のために、サイフォン管136を接続することができる。外部フィルターユニット138は、流路142を通る流れを濾過するために、外部フィルターユニット138を通る流路142にわたる濾過材140、例えば、超低粒子空気(ULPA)濾過材を収容する。外部フィルターユニット138は、例えば、ハウジング114からの粒子が手術室内に漏れ出るのを低減または防止するために、それらの粒子を能動的に濾過するための送気装置12に接続するための出口管144を含む。出口管144は、送気装置12内の排煙システム、中央外科手術真空システム、またはこれに類するものなどの任意の適切な吸引源に接続することができる。
【0026】
例えば、
図1に示すように、管セット134が一対の送気ライン146および排煙ライン148を含み、各々がカートリッジ150とマルチポートコネクタ152との間を接続する場合、外部フィルターユニット138を含む必要がないことも企図される。カートリッジ150は、管セット134を送気装置12に接続するように構成される。マルチポートコネクタ152は、送気および排煙のために、送気ライン146および排煙ライン148をトロカール102のトロカールハウジング110へと接続するように構成される。サイフォン管136は、この場合カートリッジ150内または送気装置12内に存在することができる濾過材によってトロカール102からの粒子を能動的に濾過するために、例えば、YコネクタまたはTコネクタ154を用いて、排煙ライン148へと接続される。サイフォンライン136は代わりに、任意の適切な吸引源に接続することができる。
【0027】
ここで
図7を参照すると、キット162は、上述のトロカール102と、上述のキャップ112とを含み、トロカール102およびキャップ112は、キット内で互いに取り付けられているか、または分離されている。また、キットは、管セット134、および該当する場合には、上述のように外部フィルターユニット138を含むことができることも企図される。
【0028】
本方法は、手術部位に導入されたトロカール、例えばトロカール102を用いて手術部位の送気を調節することを含む。本方法は、トロカールを通して手術部位から排出される流体を管セット、例えば管セット134へと吸い出し、それによって流体が手術部位の外側の空間に到達するのを迂回させることを含む。
【0029】
これは、流体の流路、例えば流路142内の、濾過材、例えば濾過材140において、流体から液滴、固体粒子、および/または気体を捕捉することを含むことができる。濾過材は、トロカールと、トロカールを用いる送気を調節する、かつ/またはトロカールを通して排煙を実施する送気装置、例えば送気装置112との間を接続する流体回路内にある。濾過材は、
図1に示すように、トロカールを用いる送気を調節する、かつ/もしくはトロカールを通して排煙を実施する送気装置内にあってもよく、または
図6に示すように、管セット内の外部フィルターハウジング内にあってもよい。本方法は、トロカールを通して手術部位から排煙すること、および/またはトロカールを使用する安定した気腹を調節することを含むことができる。トロカール102を、第一のアクセスポートとすることができ、また本方法は、第二のアクセスポート、例えば、
図1および
図6に示すアクセスポート114を通して手術部位にアクセスすることを含むことができる。第二のアクセスポートを通して手術部位にアクセスすることは、第一のアクセスポートを通して手術部位にアクセスすることなく手術部位にアクセスすることを含むことができ、すなわち、任意選択で、
図1および
図6の外科手術器具10、11などの外科手術器具は、トロカール102およびキャップ112を通して、または別個のアクセスポート14を通して、またはその両方を通して手術部位にアクセスすることができる。第二のアクセスポート14は、任意選択で送気システムに接続することができる。
【0030】
本開示の方法とシステムは、上述のように、また図面に示すように、送気の性能もしくは有効性または安定した気腹を妨げることなく、気腹内からの粒子が手術室空気に入るのを防止するための能動的な濾過を提供する。本開示の装置および方法を好ましい実施形態を参照しながら示し、かつ記述してきたが、当業者であれば、変更および/または修正が、本開示の範囲から逸脱することなくなされてもよいことを容易に理解するであろう。
【国際調査報告】