(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-11
(54)【発明の名称】車体
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20240404BHJP
【FI】
B62D25/20 F
B62D25/20 G
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565598
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 KR2022005942
(87)【国際公開番号】W WO2022234999
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2021-0059017
(32)【優先日】2021-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】イ、 ホン-ウ
(72)【発明者】
【氏名】キム、 ジェヒュン
(72)【発明者】
【氏名】ソク、 ドン-ユン
【テーマコード(参考)】
3D203
【Fターム(参考)】
3D203AA02
3D203BB06
3D203BB12
3D203BB22
3D203CA25
3D203CA52
3D203CA62
3D203CB03
3D203DB05
(57)【要約】
本発明の一実施例による車体は、車両の長さ方向に沿って延びたサイドシル;及び車両の幅方向に沿って延び、端部が上記サイドシルと結合したクロスメンバを含み、上記サイドシルは、インナーパネル;上記インナーパネルに結合したアウターパネル;及び上記インナーパネルと上記アウターパネルとの間に配置された補強材を含み、上記インナーパネルは車両の内側から外側に傾斜が高くなるように形成された傾斜面を含み、上記クロスメンバの端部は、上記傾斜面に対応して傾斜するように形成され、上記傾斜面の外面に結合され、上記補強材の一側端部は上記傾斜面の内面に結合することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の長さ方向に沿って延びるサイドシルと、
車両の幅方向に沿って延び、端部が前記サイドシルと結合したクロスメンバと
を含み、
前記サイドシルは、
インナーパネルと、
前記インナーパネルに結合したアウターパネルと、
前記インナーパネルと前記アウターパネルとの間に配置された補強材と
を含み、
前記インナーパネルは、車両の内側から外側に傾斜が高くなるように形成された傾斜面を含み、
前記クロスメンバの端部は、前記傾斜面に対応して傾斜するように形成されて前記傾斜面の外面に結合され、
前記補強材の一側端部は、前記傾斜面の内面に結合される、車体。
【請求項2】
前記傾斜面は、車両の高さ方向に延びる垂直線に対して8~20度間の角度で傾斜する、請求項1に記載の車体。
【請求項3】
前記補強材は、単一板材が折り曲げられて形成される、請求項1に記載の車体。
【請求項4】
前記補強材は、
前記インナーパネルに結合した第1補強部材と、
前記アウターパネルに結合した第2補強部材と
を含み、
前記第1補強部材の一側端部が前記傾斜面の内面に結合する、請求項3に記載の車体。
【請求項5】
前記第1補強部材と前記第2補強部材は、部分的に互いに当接して固定される、請求項4に記載の車体。
【請求項6】
前記第1補強部材と前記第2補強部材が互いに当接する接触面は、車両の高さ方向に延びる垂直線に平行に延びて位置する、請求項5に記載の車体。
【請求項7】
前記クロスメンバの端部は、切欠きなしで形成された第1フランジ面を含む、請求項1に記載の車体。
【請求項8】
前記第1フランジ面は、前記傾斜面と同じ角度で傾斜し、前記傾斜面の外面に接触して結合する、請求項7に記載の車体。
【請求項9】
前記クロスメンバは、
車両の高さ方向に延びる一対の壁面と、
前記一対の壁面の一端を連結する連結面と
を含み、
壁面の他端は折り曲げられて第2フランジ面が形成される、請求項8に記載の車体。
【請求項10】
前記クロスメンバの連結面には、前記クロスメンバの長さ方向に沿って延びて形成されたビード部が配置され、
前記ビード部は、前記ビード部の深さまたは高さが可変となるように形成される、請求項9に記載の車体。
【請求項11】
前記クロスメンバは、中間部と両側端部が互いに異なる材質の板材で作られた後、互いに溶接によって結合される、請求項10に記載の車体。
【請求項12】
前記クロスメンバの中間部は、前記両側端部が有する強度以上の強度を有し、前記両側端部が有する厚さ以下の厚さを有する、請求項11に記載の車体。
【請求項13】
前記中間部において、前記ビード部は一定の深さまたは高さを有し、
前記両側端部において、前記中間部から離れるほど、前記ビード部の深さが浅くなるか、又は前記ビード部の高さが低くなる、請求項11に記載の車体。
【請求項14】
前記サイドシルと前記クロスメンバは、780MPa以上の超高強度鋼からなる板材で作られる、請求項1から13のいずれか一項に記載の車体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の側面衝突時の対応性能を向上させることができる車体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の側面から入る衝撃から保護するために、車体はサイドシルとクロスメンバを含んでいる。クロスメンバのうち、例えば、シートクロスメンバは座席のフレームを固定するための部材であるが、側面から入る衝突荷重を支持する役割も果たすことができる。
【0003】
電気自動車などのように大容量バッテリを搭載した場合には、フロアの下の空間をできるだけ広く確保する必要があるが、このようにすると衝突エネルギーを吸収することができる部材の設置空間が不足して側面衝突に脆弱になる。
【0004】
これを解決するために、サイドシルの内部に追加的に補強材を導入してエネルギー吸収能を向上させるとともにクロスメンバを強化することでサイドシルの室内流入量を最大限抑制している。
【0005】
したがって、サイドシルと、このサイドシルに連結されるクロスメンバの強化された連結構造を確保することが要求される。特に、例えば780MPa以上の超高強度鋼を適用する時、クロスメンバとサイドシルとの連結構造は、低い成形性により形状が非常に制限的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、サイドシルとクロスメンバとの連結構造を改善して、車両の側面衝突時に、乗客空間とバッテリ空間への衝突荷重の浸透を最小化することができる車体を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施例による車体は、車両の長さ方向に沿って延びるサイドシル;及び車両の幅方向に沿って延び、端部が上記サイドシルと結合したクロスメンバを含み、上記サイドシルは、インナーパネル;上記インナーパネルに結合したアウターパネル;及び上記インナーパネルと上記アウターパネルとの間に配置された補強材を含み、上記インナーパネルは、車両の内側から外側に傾斜が高くなるように形成された傾斜面を含み、上記クロスメンバの端部は、上記傾斜面に対応して傾斜するように形成されて上記傾斜面の外面に結合され、上記補強材の一側端部は上記傾斜面の内面に結合することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、車両の側面衝突時にサイドシルとその内部の補強材によりエネルギーを吸収し、補強材を介してクロスメンバに荷重を直接的に伝達することができ、乗客空間とバッテリ空間に衝突荷重の浸透を最小化することができる。
【0010】
また、本発明によると、サイドシルとクロスメンバとの間の連結構造を強化させ、車両の側面衝突時にクロスメンバが高い荷重を受けて支持することができ、その結果、車体の剛性を高める効果が得られる。
【0011】
さらに、本発明によると、例えば780MPa以上の超高強度鋼でクロスメンバを製造する際に、端部の傾斜した形状により端部のフランジが切欠きなしで成形されることができ、車体の重さを減少させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施例による車体を示した斜視図である。
【
図2】
図1のA部分を拡大して示した断面図である。
【
図3】
図1に示したクロスメンバを拡大して示した斜視図である。
【
図4】(a)は
図3のA-A’線に沿った断面図、(b)はB-B’線に沿った断面図、(c)はC-C’線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、サイドシルとクロスメンバそしてサイドシルの内部にある補強材の有機的な連結関係を提案し、車両の側面から入る衝突荷重を効率的に支持するだけでなく、連結剛性を高めて軽量化することができる車体を提供できるようになる。
【0014】
以下、本発明を例示的な図面を介して詳細に説明する。各図面の構成要素に参照符号を付加する際には、同一の構成要素については、他の図面上に表示されても可能な限り同一の符号を有するようにしていることに留意する必要がある。
【0015】
以下の説明において、方向に関連して使用される用語「前方」、「側方」、「後方」、「前」、「後」、「上」、「下」、「左右」、「インナー(inner)」、「アウター(outer)」、「内側」、「外側」などは、車両または車体を基準として定義したものである。
【0016】
本明細書において、車両は、人または動物、物などのような被輸送体を出発地から目的地に移動させる様々な車両を意味する。このような車両は、道路や路線を走行する車両のみに限定されない。
【0017】
図1は、本発明の一実施例による車体を示した斜視図であり、
図2は、
図1のA部分を拡大して示した断面図であり、
図3は、
図1に示したクロスメンバを拡大して示した斜視図である。
【0018】
車体の骨格構造は、車両の長さ方向Xに延びて車体の側面を構成するサイドメンバと、車両の幅方向Yに延びて両側サイドメンバに結合される複数のクロスメンバから構成されることができる。
【0019】
複数のクロスメンバは、車体の前方端から後方端に至るまで互いに間隔を挟んでサイドメンバに結合され、複数のクロスメンバ2のうち、例えば、シートクロスメンバは座席のフレームを固定するために用いられることができる。
【0020】
サイドメンバは、側面衝突時に乗客空間を保護し、車両側面の外形をなすサイドシル1を含むことができる。
【0021】
このように車体は、車両の長さ方向Xと幅方向Yに対して複数のメンバが交差して結合されている形態である。交差するメンバ間の連結剛性によって、衝突時に伝達されるエネルギーが車体全体に均等に伝達されて分散されたり、逆に破断されて衝突エネルギーの集中とともに深刻な変形及び破損により乗客に大きな負傷を受けることもある。
【0022】
これによって、交差するメンバ間の連結剛性は、車体の全体的な剛性および乗客の安全を確保する上で非常に重要な要素となる。
【0023】
例えば、車体の中央にはバッテリケース(図示せず)が装着されることができる。このために、車体にはバッテリケースが装着されるバッテリ空間が設けられることができる。バッテリケースは、充放電が可能な複数のバッテリセルを含むことができる。
【0024】
バッテリケースの上には、乗客が搭乗する乗客空間を区画するフロアパネル3が設けられることができる。例えば、シートクロスメンバなどの複数のクロスメンバ2はフロアパネルに固定されることができる。
【0025】
図1~
図2に示したように、本発明の一実施例による車体は、サイドシル1とクロスメンバ2を含むことができる。
【0026】
サイドシル1は、車体の左右両側下部において車両の長さ方向Xに沿って延びるように形成されて配置されることができる。
【0027】
例えば、サイドシル1は、インナーパネル10とアウターパネル20を含むことができ、サイドシルは、その下端部または上端部でインナーパネルとアウターパネルが互いに溶接されることで一体に結合されることができる。フロアパネル3にインナーパネルを結合することで、サイドシルが車体に設けられることができる。
【0028】
サイドシル1は、例えば、鋼材などの金属材質で作られることができ、プレスを用いたフォーミングやベンディング、ロールフォーミング、またはこれらの組み合わせなどによって成形されることができる。
【0029】
サイドシル1は、サイドシルを形成する板材の材質と、この材質が有する強度または厚さの調整によってサイドシルの衝突性能を確保することができる。例えば、780MPa以上の超高強度鋼を採用することで、サイドシルの軽量化のための最適な組み合わせが行われることができる。
【0030】
より具体的には、サイドシル1は、本出願人が生産する厚さ1.4mm~1.6mm程度の1470 MART(Martensitic)鋼または1470 HPF(Hot Press Forming)鋼などの板材で作られることができる。
【0031】
ここで、1470 MART鋼は1,470MPa以上の引張強度および1,050MPa以上の降伏強度を有し、衝突安全性を向上させた鋼種であり、1470 HPF鋼は1,470MPa以上の引張強度を得ながら、同時に部品の形態を自由に作り出せる鋼種である。
【0032】
インナーパネル10は、内側から外側に傾斜が高くなるように形成された傾斜面11を含むことができる。傾斜面は、インナーパネルの半分の高さよりも高い位置に形成されることができる。このような傾斜面は、車両の高さ方向Zに延びる垂直線Vに対して約8~20度間の角度θで傾斜することができる。
【0033】
さらに、インナーパネル10は、内側から外側に延びて折り曲げられた段差部12を含むことができる。段差部は、インナーパネルの半分の高さよりも低い位置に形成されることができる。
【0034】
サイドシル1は、車両の前方、後方および側方衝突の対応に重要な車体構造体として作用する。選択的に、サイドシルの内部が空になると、各種衝突条件において座屈が発生しやすくなるため、サイドシルの内部に様々な形態の補強手段が補完されることができる。
【0035】
本発明の一実施例による車体のサイドシル1は、インナーパネル10とアウターパネル20との間に配置された補強材30を含むことができる。例えば、補強材は、単一板材が折り曲げられて形成されることができる。
【0036】
所定の長さに延びた後に折り曲げられる方式を繰り返して所望の数の平坦面が形成されてから、板材の両端は、フランジを形成することができるように時計回りまたは反時計回りにそれぞれ折り曲げられることができる。
【0037】
補強材30の一側端部、すなわち上部フランジは、インナーパネル10に形成された傾斜面11の内面に結合することができる。上部フランジは、傾斜面の内面にスポット溶接、レーザ溶接、二酸化炭素などを用いたアーク溶接などの溶接で結合されることができる。
【0038】
補強材30の他側端部、すなわち下部フランジはインナーパネル10の内面に結合することができる。下部フランジは、インナーパネルの内面にスポット溶接、レーザ溶接、二酸化炭素などを用いたアーク溶接などの溶接で結合されることができる。
【0039】
インナーパネル10またはアウターパネル20と接触する補強材30の残りの平坦面は、接着剤または溶接などによって固定されることができる。
【0040】
補強材30は、例えば鋼材などの金属材質で作られることができ、プレスを用いたフォーミングやベンディング、ロールフォーミング、またはこれらの組み合わせなどによって成形されることができる。
【0041】
補強材30は、本出願人が生産する厚さ0.9mm~1.1mm程度の1180 TRIP(Transformation Induced Plasticity)鋼などの板材で作られることができる。
【0042】
ここで、1180 TRIP鋼は、1180MPa以上の引張強度および850MPa以上の降伏強度を保証しながら伸び率が向上した鋼種である。
【0043】
補強材30は、インナーパネル10に結合する第1補強部材31と、アウターパネル20に結合する第2補強部材32を含むことができる。
図2に示されたように、第1補強部材と第2補強部材は、それぞれ単一板材が曲がりくねるように折り曲げられて形成されることができる。
【0044】
所定の長さに延びた後に折り曲げられる方式を繰り返して所望の数の平坦面が形成されてから、板材の両端は、フランジを形成することができるように時計回りまたは反時計回りにそれぞれ折り曲げられることができる。
【0045】
第1補強部材31と第2補強部材32は、車両の長さ方向Xにサイドシル1の内部をほぼ埋める程度の長さを有することができる。
【0046】
第1補強部材31と第2補強部材32が複数回折り曲げられた形状を有することで、サイドシル1の側方に作用する衝突エネルギーだけでなく、前後方で作用する衝突エネルギーに対する剛性も確保できるようになる。
【0047】
第1補強部材31と第2補強部材32は、部分的に互いに当接して固定されることができる。このために、第1補強部材と第2補強部材は、インナーパネル10とアウターパネル20との間の空間を両分することができる車両の幅方向Yへの長さを有することができる。
【0048】
また、第1補強部材31と第2補強部材32が互いに当接する接触面は、相互間の衝突荷重を正確に伝達して対応できるように車両の高さ方向Zに延びた垂直線Vに平行に延びて位置することができる。
【0049】
第1補強部材31の平坦面P1とフランジFは、スポット溶接、レーザ溶接、二酸化炭素等を用いたアーク溶接などの溶接によってインナーパネル10に結合されることができる。これにより、平坦面P1とフランジには溶接部が形成されることができる。
【0050】
第1補強部材31の一側端部、すなわち上部フランジFがインナーパネル10に形成された傾斜面11の内面に結合することができる。
【0051】
第1補強部材31の他側端部、すなわち下部フランジFはインナーパネル10の内面に結合することができる。
【0052】
第2補強部材32の平坦面P2とフランジFは、スポット溶接、レーザ溶接、二酸化炭素等を用いたアーク溶接などの溶接によりアウターパネル20に結合されることができる。これにより、平坦面P2とフランジには溶接部が形成されることができる。
【0053】
また、第1補強部材31と第2補強部材32が互いに当接するとき、第1補強部材の平坦面P3と第2補強部材の平坦面P4との間には接着剤が介在して互いに接合されることで接着部を形成することができる。
【0054】
また、第2補強部材32の平坦面P5は、インナーパネル10の段差部12で車両の高さ方向Zに延びる壁面に固定されることができる。このために、第2補強部材の平坦面P5と段差部の壁面との間には接着剤が介在して互いに接合されることができる。
【0055】
このように構成されて配置された補強材は、サイドシル1のアウターパネル20が受けた衝突荷重をインナーパネル10に、続いてクロスメンバ2に正確に伝達することができる。
【0056】
クロスメンバ2は、車両の幅方向Yに延びて両側サイドシル1を連結するように形成されて配置されることができる。
【0057】
クロスメンバ2は、サイドシル1の一側面に結合されることができる。より具体的には、クロスメンバの端部は、サイドシルのインナーパネル10が有する傾斜面11に対応して傾斜するように形成されて傾斜面の外面に結合されることができる。
【0058】
クロスメンバ2の長さ部の両端に位置した両側端部には、第1フランジ面41が切欠きなしで形成されることができる。
【0059】
もし、切欠きを第1フランジ面に適用すると、サイドシル1に接触して溶接される第1フランジ面が小さくなるため、クロスメンバ2に伝達される荷重も比較的小さくなるという欠点がある。したがって、第1フランジ面41が切欠きなしで形成されることがはるかに好ましい。
【0060】
第1フランジ面41は、サイドシル1のインナーパネル10が有する傾斜面11に対応して傾斜することができる。第1フランジ面は、インナーパネルが有する傾斜面の外面に、スポット溶接、レーザ溶接、二酸化炭素などを用いたアーク溶接などの溶接で結合されることができる。
【0061】
クロスメンバ2は、例えば内部が空いている中空部を有し、四角形以上の多角形の断面形状を有する管状部材で提供されることができるが、必ずしもこれに限定されず、開放断面を有するように折り曲げられるか、湾曲した断面形状を有する単一板材からなる部材、または2つ以上の板材を接合した部材で形成されることができる。
【0062】
図3および
図4に示されたように、本発明の一実施例による車体のクロスメンバ2の断面は、車両の高さ方向Zに延びた一対の壁面43と、これら壁面の一端を連結する連結面44を含むことができる。また、壁面の他端は折り曲げられてクロスメンバをフロアパネル3に結合するための第2フランジ面42を形成することができる。これにより、クロスメンバは帽子状の断面形状を有することができる。
【0063】
クロスメンバ2は1つの板材で形成されることができる。例えば、780MPa級以上の超高強度鋼からなる板材を採用することで、剛性付加に加えて軽量化のための最適な組み合わせが行われることができる。
【0064】
あるいは、クロスメンバ2は、中間部45と両側端部46が互いに異なる材質の板材で作られることができる。
【0065】
クロスメンバ2の中間部45は、本出願人が生産する厚さ1.5mm~1.6mm程度の1470 MART鋼などの板材で作られることができる。
【0066】
クロスメンバ2の両側端部は、本出願人が生産する厚さ1.8mm~1.9mm程度の1180 TRIP鋼または厚さ1.8mm~1.9mm程度の1470 HPF鋼などの板材で作られることができる。
【0067】
このように、クロスメンバ2の中間部45は、両側端部46が有する強度以上の強度を有することができる。クロスメンバの中間部は、両側端部が有する厚さ以下の厚さを有することができる。
【0068】
クロスメンバ2の中間部45は、例えばロールフォーミング等により成形され、両側端部36は、例えばプレス成形によって形成されることができる。その後に、中間部と両側端部は互いに溶接によって結合されて一体化したクロスメンバを構成することができる。
図3において、未説明符号47は溶接線である。
【0069】
さらに、クロスメンバ2の連結面44には、クロスメンバの長さ方向に沿って延びるビード部48が形成されることができる。ビード部は、凹状のチャンネルで形成されるか、凸状の突出部で形成されることができる。
【0070】
ビード部48の深さまたは高さ、換言すると、チャンネルの深さまたは突出部の高さが可変されることができ、クロスメンバ2の端部に向かうにつれてチャンネルの深さが浅くなるか、突出部の高さが低くなることができる。
【0071】
具体的には、クロスメンバ2の中間部45において、連結面44に形成されたビード部48は一定の深さまたは高さを有する(
図4の(a)参照)。
【0072】
クロスメンバ2の端部46ではビード部48の深さまたは高さが可変されるが、クロスメンバ2の端部46で中間部45から離れるほどチャンネルの深さが浅くなるか、突出部の高さが低くなる(
図4の(b)および(c)参照)。
【0073】
これにより、クロスメンバ2の中間部45において、連結面44は略M字状の断面形状を有することができ、両側端部46では連結面が徐々に平坦になって単純な帽子状の断面形状を有することができる。
【0074】
このようにビード部48が形成されることで、クロスメンバ2の中間部45はクロスメンバの長さ方向に入る衝突荷重に対する剛性を補強することができるとともに、両側端部46は連結面44に屈曲がなくて、端部に切欠きのない第1フランジ面41に容易に形成できるようになる。
【0075】
また、上述したように、クロスメンバ2の端部46および第1フランジ面41は、インナーパネル10の傾斜面11と対応するように、車両の高さ方向Zに延びる垂直線Vに対して約8~20度間の角度θで傾斜して形成されることができる。
【0076】
傾斜面11の角度θが8度未満であると、クロスメンバ2の端部46にある第1フランジ面41を切欠きなしで成形し難く、20度を超過すると、車両の側面衝突時に衝突荷重をクロスメンバに正確に伝達することができないことはもちろん、補強材30または第1補強部材31が衝突荷重を支持することが不利である。
【0077】
これにより、クロスメンバ2の端部46は、780MPa以上の超高強度鋼で作られるにも関わらず、切欠きのない連続した第1フランジ面41を有することができるようになる。
【0078】
クロスメンバ2の端部46にある傾斜した第1フランジ面41とサイドシル1のインナーパネル10に形成された傾斜面11は、互いに同一の角度θで傾斜しているため、相互間の接触が完全にマッチングされることができる。
【0079】
このように、クロスメンバ2の端部46がサイドシル1のインナーパネル10に完全に接触及び結合しているため、サイドシルがクロスメンバに衝突荷重を確実に伝達することができるようになる。
【0080】
このようなクロスメンバ2は、両側サイドシル1と結合された後、車体の反りや曲げ剛性は維持しながら車体の軽量化を可能にする。
【0081】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能である。
【0082】
したがって、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するものではなく説明するためのものであり、このような実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるすべての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0083】
1 サイドシル 2 クロスメンバ
3 フロアパネル 10 インナーパネル
11 傾斜面 12 段差部
20 アウターパネル 30 補強材
31 第1補強部材 32 第2補強部材
41 第1フランジ面 42 第2フランジ面
43 壁面 44 連結面
45 中間部 46 端部
48 ビード部
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】