(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-11
(54)【発明の名称】ヒマワリワックス、キャンデリラワックス及び不揮発性エステル油を含む固形組成物、並びにその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/92 20060101AFI20240404BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240404BHJP
A61Q 1/06 20060101ALI20240404BHJP
A61K 8/85 20060101ALI20240404BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20240404BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/37
A61Q1/06
A61K8/85
A61Q1/02
A61Q19/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566661
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 EP2022061135
(87)【国際公開番号】W WO2022229238
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ロシャナク・ドゥボー
(72)【発明者】
【氏名】ロール・ジョフロワ-ヴェンドリンガー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AB232
4C083AB242
4C083AC401
4C083AC402
4C083AC421
4C083AC842
4C083AC852
4C083AD091
4C083AD151
4C083CC02
4C083CC13
4C083DD21
(57)【要約】
本発明は、皮膚及び/又は唇をメイクアップ及び/又はケアするための、棒形態の固形組成物であって:
- ヒマワリワックスと;
- キャンデリラワックスと;
- カプリル酸のトリグリセリド、カプリン酸のトリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種のトリグリセリドと;
- ヒマシ油を除く少なくとも1種の植物油と(ヒマシ油が存在する場合、組成物の総質量に対して5質量%を超えない含有量のヒマシ油)と;
- 直鎖状又は分枝状のC6~C10ジカルボン酸と、ジグリセロール、及び任意選択でヒドロキシル化された直鎖状又は分枝状のC6~C20モノカルボン酸とのエステルの縮合から誘導される少なくとも1種のポリエステルとを含む、固形組成物に関する。
本発明は、皮膚及び/又は唇をメイクアップ及び/又はケアするための方法であって、前記組成物を適用することから構成される、方法に更に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚及び/又は唇をメイクアップ及び/又はケアするための、棒形態の固形組成物であって:
- ヒマワリワックスと;
- キャンデリラワックスと;
- カプリル酸のトリグリセリド、カプリン酸のトリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種のトリグリセリド、好ましくは化合物カプリル酸/カプリン酸トリグリセリドと;
- ヒマシ油を除く少なくとも1種の植物油(ヒマシ油が存在する場合、組成物の総質量に対して5質量%を超えない含有量のヒマシ油)と;
- 直鎖状又は分枝状のC
6~C
10ジカルボン酸と、ジグリセロール、及び任意選択でヒドロキシル化された直鎖状又は分枝状のC
6~C
20モノカルボン酸とのエステルの縮合から誘導される少なくとも1種のポリエステル、好ましくはビスジグリセリルポリアシルアジペート-2と
を含む、固形組成物。
【請求項2】
ヒマワリワックスの含有量が、前記組成物の総質量に対して1質量%~9質量%、好ましくは前記組成物の総質量に対して2質量%~8質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記キャンデリラワックスの含有量は、前記組成物の総質量に対して0.25質量%~7質量%、好ましくは前記組成物の総質量に対して0.5質量%~6質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
トリグリセリドの含有量は、前記組成物の総質量に対して少なくとも10質量%、より具体的には10質量%~35質量%、好ましくは前記組成物の総質量に対して15質量%~25質量%であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
ヒマシ油を除く植物油は、オリーブ油、ココナッツ油、ココナッツ核油、ホホバ油、キシメニア油、アナトー油、プラカクシ油、コリアンダーシード油、マカデミア油、パッションフラワー油、アルガン油、ゴマ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、アボカド油、ロサカニナ油、キョウニン油、アマニ油、スイートアーモンド油、綿実油、ダイズ油、ナタネ油、落花生油、カヤ油、マルラ油、カメリナ油、小麦胚芽油、トウモロコシ油、トウモロコシ胚芽油、コメヌカ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、マロウ油、ヘーゼルナッツ油、カシス油、月見草油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、ククイノキ油、リムナンテス油、ブラッククミン油、ブリチー油、サンダルウッドナッツ油、ババス油、シアバターの液体画分、及びココアバターの液体画分、並びにそれらの混合物から;好ましくは、オリーブ油、ココナッツ油、ホホバ油、キシメニア油、マカデミア油、ゴマ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、アボカド油、キョウニン油、アマニ油、スイートアーモンド油、綿実油、ダイズ油、ナタネ油、落花生油、小麦胚芽油、トウモロコシ胚芽油、コメヌカ油、アルファルファ油、サフラワー油、リムナンテス油、シアバターの液体画分、及びココアバターの液体画分、並びにそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
植物油の含有量は、前記組成物の総質量に対して少なくとも5質量%、より詳細には前記組成物の総質量に対して5質量%~65質量%、好ましくは組成物の総質量に対して10質量%~55質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
ヒマシ油の含有量は、前記組成物の総質量に対して少なくとも2質量%未満、より詳細には前記組成物の総質量に対して1質量%未満、有利には0.5質量%未満であり、好ましくは前記組成物はヒマシ油を含まないことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
ヒマワリワックス及びキャンデリラワックス以外の、より詳細には少なくとも1個のエステル官能基を含む炭化水素系ワックスから、特に、
i)式R1COOR2のワックス(R1及びR2は、原子の数が10~50の範囲であり、ヘテロ原子、特に酸素を含有し得る直鎖状、分枝状又は環状脂肪族鎖を表し、その融点は、40~120℃である);
ii)一般式
R3-(-OCO-R4-COO-R5)のジカルボン酸ジエステルワックス(R3及びR5が、同一又は異なり、好ましくは同一であり、C4~C30アルキル基(4~30個の炭素原子を含むアルキル基)を表し、R4が、1以上の不飽和を含んでいても又は含んでいなくてもよい直鎖状又は分枝状C4~C30脂肪族基を表す);
iii)飽和C16~C30カルボン酸とグリセロールとの部分エステル又は全エステル、好ましくは全エステル;
iv)ヒマワリワックス及びキャンデリラワックス以外の、動物又は植物由来のワックス;
v)動物又は植物油の水素添加により得られるワックス;
vi)それらの混合物
から選択される、少なくとも1種の追加の極性炭化水素系ワックスを含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
ヒマワリワックス及びキャンデリラワックス以外の追加の極性炭化水素系ワックスの含有量が、前記組成物の総質量に対して0.25質量%~9質量%、より詳細には0.5質量%~9質量%を表すことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物の総質量に対して2質量%を超えず、好ましくは1質量%を超えず、有利には0.5質量%を超えない含有量で少なくとも1種の無極性炭化水素系ワックスを任意選択で含むことができることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
極性ワックスの総含有量は、前記組成物の総質量に対して6質量%~26質量%の範囲、好ましくは6質量%~18質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
固形ポリエステルの総含有量は、前記組成物の総質量に対して5質量%~35質量%、好ましくは7質量%~25質量%であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
植物バター、部分的又は完全に水素添加された植物油、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の任意選択でモノヒドロキシル化又はポリヒドロキシル化されたC
12~C
18脂肪酸のトリグリセリド、ジオールダイマー又はアルコール又はポリオールと二酸ダイマーとのエステル、及びそれらの混合物から選択される、前記固形ポリエステル以外の少なくとも1種のペースト状の炭化水素系化合物を任意選択で含み、好ましくは、それらの含有量は、前記組成物の総質量に対して、固形ポリエステル及びペースト状炭化水素系化合物の量が5質量%~35質量%、好ましくは7質量%~25質量%の範囲となるような含有量であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
不揮発性若しくは揮発性のシリコーン油、及び/又は石油の転化から生じる不揮発性若しくは揮発性の非極性炭化水素油から選択される少なくとも追加の油を任意選択で含み;存在する場合、それらの含有量は、前記組成物の総質量に対して7質量%以下、より詳細には5質量%未満であることを特徴とする、請求項1~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
少なくとも1種のC
10~C
26アルコールを含み;存在する場合、その含有量は、前記組成物の総質量に対して1質量%~7質量%であることを特徴とする、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記染料が、顔料、脂溶性染料、及びそれらの混合物から、好ましくは顔料から選択されることを特徴とする、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物の総質量に対して2質量%を超えず、好ましくは1質量%を超えず、有利には0.5質量%を超えない含有量で水を任意選択で含むことを特徴とする、請求項1~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
20℃及び大気圧で、70~200Nm
-1、有利には75~195Nm
-1、好ましくは100~160Nm
-1の硬度を有する棒の形態であることを特徴とする、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記皮膚及び/又は前記唇をメイクアップ及び/又はケアするための方法であって、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物を適用することから構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に唇用の固形のメイクアップ及び/又はケア組成物に関し、この組成物は、棒形態であり、特定の植物ワックス、及び植物油を含むエステル油も含む。
【背景技術】
【0002】
ケア及び/又はメイクアップのため、特に唇用の化粧用組成物は、非常に長い間知られており、多かれ少なかれ粘性のある流体、例えば、唇用の、より流動的なものからより粘性のある油及びグロスから、支持されていてもいなくてもよい棒形態の固形組成物、ペンシル形態の組成物、又はジャーに貯蔵された組成物の形態で提供されている。
【0003】
歴史的には、唇用組成物は一般的に無水であったが、近年はエマルジョン形態の唇用メイクアップ組成物が登場している。
【0004】
皮膜形成製品、特にシリコーン製品の使用により、この組成物は、持続力の向上、移行の低減など、その機能特性を改善した。
【0005】
この組成物によって更に、この場合は存在する成分、例えばシリコーン又は非シリコーン揮発性油、及び鉱物又は有機フィラーに応じて、マット、サテン、又は光沢のあるメイクアップ結果を得ることを可能にする。
【0006】
近年、消費者の間で新たな傾向が顕著に表れており、消費者は、すべてを差し置いてもそれでもある程度は注目しているものの、メイクアップ組成物の性能品質にのみ注目することは少なくなっている。これは、使用されている成分、特にその自然な性質がますます注目されるようになっているためである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、この傾向のうちにあり、したがって、より詳細には、天然由来、特に植物由来の化合物の使用を促進する、メイクアップ及び/又はケア用、最も詳細には唇用の固形組成物に関する。更に、本発明による組成物は、有利には、特に石油化学に由来する成分、例えば炭化水素タイプの油、無極性炭化水素系ワックス、例えばポリエチレン又はポリメチレンワックス、及び更にシリコーン成分の含有量を制限することを可能にする。
【0008】
天然由来の成分で起こる困難の1つは、とりわけ植物油との親和性の結果として、天然ワックスが必ずしも前記油を正しく構造化せず、その結果、軟らかすぎる又は硬すぎる棒となり、組成物の満足のいく塗布を可能にせず、且つ/又は棒を破損させることである。更に、組成物の、特に保管時の安定性の問題が生じ得る。この現象は、棒の形態である組成物に一般的に採用される安定性試験によって実証することができる。したがって、棒を倒立位置(「頭を下」)で高温(45℃)で1週間から2ヶ月の期間保管すると、棒本体の表面、特に傾斜端部に油滴の出現を伴う油の滲出の存在が観察されることがある。実際のところ、このような実験室条件下でこの滲出が観察された場合、消費者による口紅の実際の使用条件及び保管条件下で繰り返される危険性が高く、これは明らかに望ましくない。
【0009】
したがって、本発明の目的の1つは、より詳細には、油の滲出がなく安定であり、且つ棒が破損することなく、組成物の容易で、むらなく十分な塗布を可能にする適切な硬度を有する、棒形態の固形組成物を提案することである。加えて、得られた付着物は、快適で乾燥せず、唇の周りの領域のしわ及び小じわへの移行をほとんど示さない必要がある。
【0010】
これらの目的等は、本発明により達成されるため、その1つの主題は、皮膚及び/又は唇をメイクアップ及び/又はケアするための、以下のものを含む固形組成物である:
* ヒマワリワックス、
* キャンデリラワックス、
* カプリル酸のトリグリセリド、カプリン酸のトリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種のトリグリセリド、好ましくはカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(INCI名)、
* ヒマシ油を除く少なくとも1種の植物油(ヒマシ油が存在する場合、組成物の総質量に対して5質量%を超えない含有量のヒマシ油)、
* 直鎖状又は分枝状のC6~C10ジカルボン酸と、ジグリセロール、及び任意選択でヒドロキシル化された直鎖状又は分枝状のC6~C20モノカルボン酸とのエステルの縮合から誘導される少なくとも1種のポリエステル、好ましくはビスジグリセリルポリアシルアジペート-2(INCI名)。
【0011】
本発明はまた、本発明による組成物が塗布される皮膚及び/又は唇、特に唇をメイクアップ及び/又はケアするためのプロセスに関する。
【0012】
したがって、本発明による組成物は、4℃、20℃及び45℃で1週間、30日間及び60日間保管したときに、形態の変化又は油の滲出がなく、安定している。更に、本組成物はその感覚刺激特性、特にその臭い及び色を保持する。棒本体の表面にも結晶の出現は見られない。本発明による組成物は、更に、十分な量を均一に塗布するのが容易である。本組成物は、粘着性が控えめで、移行がほぼなく、時間が経っても満足のいく持続力を有する正確な付着物を与える。この付着物は唇を乾燥させることもなく、快適なままである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のこれら及び他の利点は、以下の説明及び実施例を読めば、より明瞭になるであろう。
【0014】
本明細書の他の部分において、特に示さない限り、範囲に関して示される限界値は、その範囲内に含まれることに留意するべきである。
【0015】
表現「少なくとも1つの」及び「いくつかの」は、区別なく使用される。
【0016】
加えて、組成物の成分の量の合計は、組成物の総質量の100%を表す。
【0017】
安定性を評価する手順
組成物は、棒のキャストから24時間後に評価され、前記棒は試験前に室温(20℃)で保管されている。
安定性試験のために、棒は4℃、20℃(室温)、及び45℃のオーブンに2ヶ月間入れられ、1つのサンプルは直立状態(棒の上部が「上」-「頭が上」)、もう1つのサンプルは倒立状態(棒の上部が「下」-「頭が下」)である。
各サンプルについて、試験開始前、安定してから1週間後、1ヶ月後、及び最終的には2ヶ月後に、外観、色、及び臭いを分析する。観察した後、各サンプルはそのまま(特に拭き取ることなく)オーブンに入れられ、次の分析までその最初の位置に置かれる。
各分析段階で、棒はオーブンから取り出された直後に1回目の外観/色/臭いを観察され、4℃で保管されたもの及び45℃で保管されたものについては、室温に達した後に2回目の観察が行われる。
滲出とは、棒(棒本体)の表面に、ゲル化した、又はゲル化していない油滴の棒における出現である。この現象は、棒が頭を下向きにした状態で保管されている場合に顕著であり、このとき液滴は棒本体の端部に現れる。この現象は、特に少なくとも1ヶ月経過した棒の急な温度変化中(例えば、4℃で保管された棒本体が室温に戻ったとき)に現れる可能性のある別の一過性の現象(発汗として知られている)とは区別される。この発汗は、棒本体の全体に分布する多数の微細な液滴の出現によって示される。
【0018】
硬度測定手順
組成物の硬度は、以下の手順に従って測定される:
口紅は、硬度を測定する前に、20℃で16時間保管される。
硬度は、20℃で、製品、好ましくは円筒形の棒を、直径250μmの高剛性タングステンワイヤを用いて、ワイヤを棒に対して100mm/分の速度で横断するように移動して切断することから構成される「チーズワイヤ」法により測定され得る。
本発明の組成物の試験片の硬度はNm-1で表され、Indelco-Chatillon社から販売されているDFGS2引張試験機を用いて測定される。
測定は3回繰り返し行い、その平均をとる。上述の引張試験機を使用して得られた3回の読み取り値の平均(Yで表す)はグラムで与えられる。
この平均値をニュートンに換算し、次いでL(ワイヤが通過した距離の最大値を表す)で除算する。円筒形の棒の場合、Lは直径に相当する(メートル単位)。
硬度を次式によりNm-1に換算する:
(Y×10-3×9.8)/L
異なる温度での測定では、棒は測定前にこの新しい温度で24時間保管される。
この測定方法によれば、本発明による組成物は、好ましくは、20℃及び大気圧で、70~200Nm-1、有利には75~195Nm-1、好ましくは100~160Nm-1の硬度を有する。
【0019】
ヒマワリワックス
予め示されるように、本発明による組成物は、少なくともヒマワリワックスを含む。
ヒマワリワックス(INCI名:ヘリアンサスアナス(ヒマワリ)種子ワックス)は、ヒマワリの種子から得られる。ヒマワリワックスは特にKoster Keunen社から販売されている。
【0020】
より詳細には、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して1質量%~9質量%、好ましくは組成物の総質量に対して2質量%~8質量%のヒマワリワックス含有量を有する。
【0021】
キャンデリラワックス
本発明は、キャンデリラワックス(INCI名:ユーフォルビアセリフェラ(キャンデリラ)ワックス)を更に含む。キャンデリラワックスは特にMulticeras社から販売されている。
【0022】
より詳細には、本発明による組成物は、組成物の総質量に対して0.25質量%~7質量%、好ましくは組成物の総質量に対して0.5質量%~6質量%、より詳細には1.5質量%~6質量%のキャンデリラワックス含有量を有する。
【0023】
追加のワックス
極性ワックス
本発明による組成物は、任意選択で、ヒマワリワックス及びキャンデリラワックス以外の、少なくとも1種の追加の極性炭化水素系ワックスを更に含んでもよい。
【0024】
より詳細には、ワックスは一般に、室温(20℃)で固体であり、可逆的な固体/液体状態変化を起こし、特に40℃以上120℃以下、より詳細には90℃以下の融点を有する親油性化合物であることが想起される。
本発明の目的において、融点は、ISO規格11357-3;1999に記載されている熱分析(DSC)により観測される最も高い(most)吸熱ピークの温度に対応する。
ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、TA Universal Analysisソフトウェアを備えたTA Instruments社によりDSC Q2000という名称で販売されている熱量計を用いて、測定され得る。
測定手順は次の通りである:
るつぼに入れられたワックスのサンプル5mgを、10℃/分の加熱速度で、-20℃から120℃の範囲の第1の温度上昇に曝し、次に、それを、10℃/分の冷却速度で、120℃から-20℃に冷却し、最後に、5℃/分の加熱速度で、-20℃から120℃の範囲の第2の温度上昇に曝す。
第2の温度上昇中、固形脂肪物質の融点が測定されると、これは融解曲線で観察される最も高い吸熱性のピークの温度に相当し、温度の関数として吸収されるエネルギーの差の変動を表す。
融解曲線全体の積分に相当するワックスの融解エンタルピー(ΔHf)も測定され得る。ワックスのこの融解熱は、固体状態から液体状態への化合物の変化を起こすのに必要とされるエネルギーの量である。これは、J/gで表される。
【0025】
より詳細には、追加の極性炭化水素系ワックスは、エステル官能基を含む炭化水素系ワックスから選択される。
「極性炭化水素系ワックス」という用語は、炭素原子及び水素原子から本質的に形成され、又は更には炭素原子及び水素原子から構成され、少なくとも1個の酸素原子、任意選択で窒素原子を含むワックスを意味する。したがって、これらの化合物はケイ素原子を含まない。
本発明によれば、「エステルワックス」という用語は、少なくとも1個のエステル官能基を含むワックスを意味する。エステルワックスは、更にヒドロキシル化されることができる。
【0026】
本発明の関連で使用され得る極性炭化水素系ワックスの中でも、以下のものが挙げられる:
(i)式R1COOR2のワックスであり、式中、R1及びR2は、原子の数が10個~50個の範囲である、直鎖状、分枝状又は環状の脂肪鎖を表し、これは、ヘテロ原子、特に酸素を含むことができ、その融点は、40℃~120℃、好ましくは40℃~100℃の範囲である。特に、エステルワックスとして、C20~C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(アルキル基は20~40個の炭素原子を含む)を、単独又は混合物として、又はC20~C40アルキルステアレートを使用することができる。こうしたワックスは、特に、Koster Keunen社からKester Wax(登録商標)K 82 P、Hydroxypolyester(登録商標)K 82 P、Kester Wax(登録商標)K 80 P及びKester Wax(登録商標)K82Hの名称で販売されている。C14~C18カルボン酸のエステルとアルコールとの混合物、例えば、Koster Keunen社の製品Cetyl Ester Wax 814、Croda社のSP Crodamol MS MBAL及びCrodamol MS PA、並びにLaserson社のMiracetiを使用することもできる。
(ii)一般式R3-(-OCO-R4-COO-R5)のジカルボン酸のジエステルワックスであり、式中、R3及びR5は、同一又は異なり、好ましくは同一であり、C4~C30アルキル基を表し、R4は、1つ以上の不飽和を含んでいても又は含まなくてもよい、直鎖状又は分枝状のC4~C30脂肪族基を表す。好ましくは、C4~C30脂肪族基は、直鎖状及び不飽和である。
(iii)単独の、又は混合物中の飽和の、任意選択でヒドロキシル化された、C16~C30カルボン酸とグリセロールとの部分エステル又は全エステル、好ましくは全エステル、例えば、グリセリルトリステアレート(INCI名:トリステアリン)、グリセリルトリヒドロキシステアレート(INCI名:トリヒドロキシステアリン)、グリセリルトリベヘネート(INCI名:トリベヘニン)。
(iv)動物又は植物由来のワックス。使用に適したワックスの例として、蜜蝋、カルナウバワックス、マカデミアワックス、ラノリンワックス、コメヌカワックス、オーリクリー(ouricury)ワックス、アフリカハネガヤワックス、セラックワックス、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、木蝋(ICNI名:ウルシ果皮ロウ)、ハゼロウ、モンタンワックス、オレンジワックス、及びレモンワックスを挙げることができ、これらは精製されていてもいなくてもよい。
(v)動物又は植物油の水素添加により得られるワックス。特に直鎖状又は分枝状のC8~C32脂肪鎖を含む植物性油の接触水素添加により得られるワックス、例えば、水添ホホバ油、水添ヒマワリ油、水添ヒマシ油、又は水添カメリナ油等に加えて、セチルアルコール若しくはベヘニルアルコールでエステル化されたヒマシ油を水素添加することにより得られるワックス、例えば、Sophim社からPhytowax(登録商標)Ricin 16L64及びPhytowax(登録商標)Ricin 22L73の名称で販売されているものも挙げることができる。このようなワックスは仏国特許出願公開第2 792 190号明細書に記載されている。ステアリルアルコール又はラウリルアルコールでエステル化されたオリーブ油の水素添加によって得られるワックスとしては、Phytowax(登録商標)Olive 18 L 57又はPhytowax(登録商標)Olive 12 L 44の名称で販売されているものを挙げることができる。
(vi)これらの混合物。
【0027】
好ましくは、組成物が含んでいる場合、追加の極性炭化水素系ワックスは、ヒマワリワックス及びキャンデリラワックス以外の動物又は植物由来のワックス;動物又は植物油の水素添加によって得られるワックス、更にそれらの混合物から選択される。より詳細には、追加の極性炭化水素系ワックスは、蜜蝋、カルナウバワックス、コメヌカワックス、オーリクリーワックス、アフリカハネガヤワックス、木蝋、セラックワックス、コルク繊維ワックス、サトウキビワックス、ウルシワックス、モンタンワックス、オレンジワックス及びレモンワックス;水添ホホバ油、水添ヒマワリ油、水添ヒマシ油、水添カメリナ油、加えてエステル化ヒマシ油の水素添加によって得られるワックス;並びにそれらの混合物から選択される。
【0028】
本発明による組成物が、ヒマワリワックス及びキャンデリラワックス以外の、1種以上の追加の極性炭化水素系ワックスを含む場合、それらの含有量は、組成物の総質量に対して、0.25質量%~9質量%、特に0.5質量%~8質量%、好ましくは1.5質量%~8質量%を表す。
【0029】
追加の無極性ワックス
好ましくは、本発明による組成物は、無極性炭化水素系ワックス(言い換えれば、炭素原子及び水素原子のみから構成されるワックス)を含まない。挙げることができる例としては、単独の、又は混合物としての石油の転化から生じるワックス、例えばポリエチレンワックス、ポリメチレンワックス(INCI名:合成ワックス、フィッシャートロプシュワックス)又はパラフィンワックス;加えてセレシン又はオゾケライトタイプのワックスが挙げられる。
【0030】
しかしながら、組成物が含んでいる場合、その含有量は、組成物の総質量に対して、2質量%を超えず、好ましくは1質量%を超えず、有利には0.5質量%を超えないであろう。
【0031】
最後に、本発明の特に有利な実施形態によれば、極性ワックスの総含有量は、組成物の総質量に対して6質量%~26質量%、好ましくは6質量%~18質量%の範囲である。
【0032】
固形ポリエステル
本発明による組成物は、直鎖状又は分枝状のC6~C10ジカルボン酸と、ジグリセロールのエステルと、直鎖状又は分枝状の、任意選択でヒドロキシル化されたC6~C20モノカルボン酸との縮合から得られる、室温で固体、より詳細にはペースト状である少なくとも1種のポリエステルを含む。特定の例として、アジピン酸と、ジグリセロールのエステルの混合物と、カプリル酸、カプリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸及び12-ヒドロキシステアリン酸等のC6~C20脂肪酸の混合物との縮合によって得られ、INCI名ビスジグリセリルポリアシルアジペート-2を有するジエステルは、本発明を実施するのに適している。この種の化合物はとりわけ、Cremer Oleo社によりSoftisan(登録商標)649という参照名で販売されている。
【0033】
本発明の特定の実施態様によれば、固形ポリエステルの含有量は、有利には組成物の総質量に対して5質量%~35質量%、好ましくは7質量%~25質量%である。
【0034】
ペースト状炭化水素系化合物
本発明による組成物は、任意選択で、上記の固形ポリエステル以外の少なくとも1種のペースト状炭化水素系化合物を含んでもよい。
【0035】
「炭化水素系」という用語は、炭素原子及び水素原子から本質的に形成され、又は更には炭素原子及び水素原子から構成され、更に少なくとも1個の酸素原子、任意選択で窒素原子を含む化合物を意味する。したがって、この種の化合物は、シリコーン化合物とは異なる。
【0036】
本発明の目的のために、「ペースト状化合物」という用語は、可逆的な固体/液体状態変化を起こし、20℃の温度において、液体画分及び固体画分を含む親油性脂肪化合物を意味する。したがって、ペースト状化合物は20℃未満の開始融点を有することができる。更に、ペースト状化合物は、固体状態で、異方性結晶組織を有することができる。ペースト状脂肪物質の融点は、ワックスについて先に詳述したのと同じ原理に従って決定される。
しかし、ペースト状化合物の場合、測定手順は次の通りである:
るつぼに入れられたペースト状脂肪物質のサンプル5mgを、10℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の第1の温度上昇に曝し、次に、それを、10℃/分の冷却速度で、100℃から-20℃に冷却し、最後に、5℃/分の加熱速度で、-20℃から100℃の範囲の第2の温度上昇に曝す。
ペースト状脂肪物質の融点は、吸収されたエネルギーの差の変動を温度の関数として表した曲線のピークの先端に相当する温度の値である。
ペースト状脂肪物質の室温における液体画分(質量による)は、ペースト状脂肪物質の融解熱に対する室温で消費される融解熱の比に等しいことに留意すべきである。
ペースト状脂肪物質の融解熱は、固体状態から液体状態に移行するために前記物質が消費する熱である。ペースト状脂肪物質は、その物体が全て結晶性固体形態にある場合、固体状態にあると言われる。ペースト状脂肪物質は、その物体が全て液体形態にある場合、液体状態にあると言われる。
ペースト状脂肪物質の融解熱は、ペースト状脂肪物質を固体状態から液体状態に変化させるために必要なエネルギーの量である。これは、J/gで表される。ペースト状脂肪物質の融解熱は、得られたサーモグラムの曲線下面積に等しい。
【0037】
好ましくは、この又はこれらのペースト状炭化水素系化合物は、以下から選択される:
- 植物性バター、例えばマンゴーバター、例えばAarhuskarlshamn社からLipex(登録商標)203という参照名で販売されている製品、シアバター、特にINCI名がシアバター(Butyrospermum parkii Butter)である製品、例えばAarhuskarlshamn社からSheasoft(登録商標)という参照名で販売されている製品、クプアス(cupuacu)バター(Beraca Sabara社のRain Forest RF3410)、ムルムルバター(Beraca Sabara社のRain Forest RF3710)、ココアバター;ババスバター、例えば、Croda社からCropure(登録商標)Babassuの参照名で販売されている製品など、加えてオレンジワックス、例えば、Koster Keunen社からOrange Peel Waxの参照名で販売されている製品、
- 完全又は部分水添植物油、例えば、水添ダイズ油、水添ココナッツ核油、水添ナタネ油、水添植物油の混合物(例えば、水添ダイズ油、水添ココナッツ核油、水添パーム油及び水添ナタネ油の混合物、例えば、AarhusKarlshamn社からAkogel(登録商標)の参照名で販売されている混合物(INCI名:水添野菜油(Hydrogenated Vegetable Oil))、Desert Whale社からIso-Jojoba-50(登録商標)の参照名で製造又は販売されているトランス異性化された部分水添ホホバ油、部分水添オリーブ油(例えば、Soliance社からBeurroliveの参照名で販売されている化合物)、
- 水添ヒマシ油とC16~C22脂肪酸、特にイソステアリン酸とのエステル、例えば、Nissin Oil社により販売されている水添ヒマシ油イソステアレート(INCI名)のSalacos HCIS(V-L)、
- 任意選択で(全部又は部分的に)水素添加された、飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、任意選択でモノ又はポリヒドロキシル化された、好ましくはC12~C18の脂肪酸のトリグリセリド;例えば、Cremer Oleo社からSoftisan 100(登録商標)の名称で販売されている飽和C12~C18脂肪酸のグリセリド(INCI名:水添ココグリセリド)、
- アルコール又はポリオールのジオールダイマーと酸のダイマーとのエステル、例えば:
*ヒドロキシル基がフィトステロールと、ベヘニルアルコールと、イソステアリルアルコールとの混合物でエステル化されており、例えばINCI名がベヘニル/イソステアリル/フィトステリルダイマージリノレイルダイマージリノレイルビスのエステルで、特にNippon Fine Chemical社からPlandool Gの名で販売されている、ダイマージオール(例:ジリノレイルアルコール)とジリノール酸とのエステル;
*ジリノール酸と、フィトステロール、イソステアリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、及びベヘニルアルコールの混合物とのエステル、例えば、INCI名:フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニルダイマージリノレート、特にNippon Fine Chemical社からPlandool H又はPlandool Sの名称で販売されているもの;
*水添ヒマシ油とジリノール酸とのエステル、例えば水添ヒマシ油ダイマージリノレート(INCI名)、例えばKokyu Alcohol Kogyo社からRisocast-DA-L又はRisocast-DA-Hの名称で販売されているもの。
【0038】
好ましくは、組成物が含んでいる場合、ペースト状の炭化水素系化合物は、植物バター、部分水添植物油、直鎖状又は分枝状の、飽和又は不飽和の、任意選択でモノヒドロキシル化又はポリヒドロキシル化された、好ましくはC12~C18脂肪酸のトリグリセリド、及びそれらの混合物から選択される。
【0039】
更に好ましくは、組成物が含んでいる場合、ペースト状の炭化水素系化合物は、植物バター、部分的又は全体的に水素添加された植物油、INCI名が水添ココグリセリドである化合物、更にそれらの混合物から選択される。
【0040】
組成物が固形ポリエステル以外の少なくとも1種のペースト状炭化水素系化合物を含む場合、それらの含有量は、組成物の総質量に対して、固形ポリエステル及びペースト状炭化水素系化合物の量が5質量%~35質量%、好ましくは7質量%~25質量%の範囲となるような含有量である。
【0041】
更に、組成物が、ペースト状炭化水素系化合物として、ジオールダイマー、又はアルコール若しくはポリオールと、二酸ダイマーとのエステルから選択された少なくとも1種の化合物、特に以下のINCI名:ビスベヘニル/イソステアリル/フィトステリルダイマージリノレイルダイマージリノレート、フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニルダイマージリノレート、水添ヒマシ油ダイマージリノレート、更にはそれらの混合物を有する化合物うちの少なくとも1つを含む場合、それらの含有量は、組成物の総質量に対して1質量%~15質量%、より詳細には2質量%~12質量%であり;固形ポリエステル及びペースト状炭化水素系化合物の含有量は、組成物の総質量に対して5質量%~35質量%、好ましくは7質量%~25質量%のままである。
【0042】
トリグリセリド
先に示されるように、組成物は、カプリル酸のトリグリセリド、カプリン酸のトリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド(より詳細には、カプリル酸及びカプリン酸の混合物のトリグリセリド)、又はそれらの混合物から選択される少なくとも1種のトリグリセリドを含む。これらのトリグリセリドは、室温(20℃)、大気圧(1.013×105Pa)では液状である。好ましくは、組成物は、少なくとも1種のカプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(INCI名:カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)を含む。この製品はとりわけ、Musim Mas社、KLK Oleo社及びStearinerie Dubois社から販売されている。
【0043】
好ましくは、トリグリセリドの含有量は、組成物の総質量に対して少なくとも10質量%である。有利には、トリグリセリドの含有量は、組成物の総質量に対して10質量%~35質量%、好ましくは組成物の総質量に対して15質量%~25質量%の範囲である。
【0044】
植物油
本発明による組成物は、ヒマシ油を除く少なくとも1種の植物油を更に含む。
【0045】
「植物油」という用語は、室温(20℃)、大気圧(1.013×105Pa)で液状である化合物を意味することをまず想起すべきである。
【0046】
ヒマシ油に関しては、組成物が含んでいる場合、その含有量は、組成物の総質量に対して5質量%を超えず、好ましくは2質量%を超えず、特に1質量%を超えない。より一層有利な実施形態によれば、そのような油が組成物中に存在する場合、ヒマシ油の含有量は、組成物の総質量に対して、0.5質量%を超えず、とりわけ好ましくは0.1質量%を超えないであろう。好ましくは、組成物はヒマシ油を含まない。
【0047】
ヒマシ油を除く本発明での使用に適した植物油の中ではとりわけ、オリーブ油、ココナッツ油、ココナッツ核油、ホホバ油、キシメニア油、アナトー油、プラカクシ油、コリアンダーシード油、マカデミア油、パッションフラワー油、アルガン油、ゴマ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、アボカド油、ロサカニナ油、キョウニン油、アマニ油、スイートアーモンド油、綿実油、ダイズ油、ナタネ油、落花生油、カヤ油、マルラ油、カメリナ油、小麦胚芽油、トウモロコシ油、トウモロコシ胚芽油、コメヌカ油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ油、マロウ油、ヘーゼルナッツ油、カシス油、月見草油、キビ油、オオムギ油、キノア油、ライ麦油、サフラワー油、ククイノキ油、リムナンテス油、ブラッククミン油、ブリチー油、サンダルウッドナッツ油、ババス油、シアバターの液体画分、及びココアバターの液体画分、並びにそれらの混合物を挙げることができる。
【0048】
好ましくは、植物油は、オリーブ油、ココナッツ油、ホホバ油、キシメニア油、マカデミア油、ゴマ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、アボカド油、キョウニン油、アマニ油、スイートアーモンド油、綿実油、ダイズ油、ナタネ油、落花生油、小麦胚芽油、トウモロコシ胚芽油、コメヌカ油、アルファルファ油、サフラワー油、リムナンテス油、シアバターの液体画分、及びココアバターの液体画分、並びにそれらの混合物から選択される。
【0049】
より詳細には、ヒマシ油を除く植物油の含有量は、少なくとも3質量%、より詳細には少なくとも5質量%であり;有利には、組成物の総質量に対して5質量%~65質量%、好ましくは組成物の総質量に対して10質量%~55質量%の範囲である。
【0050】
追加の液体化合物
本発明による組成物は、任意選択で、前述のカプリン酸トリグリセリド及び/又はカプリル酸トリグリセリド、植物油及びヒマシ油以外の、少なくとも1種の追加の、揮発性又は不揮発性の、炭化水素系又はシリコーン油を含んでもよい。
【0051】
「不揮発性油」という用語は、20℃及び大気圧(1.013×105Pa)で液状であり、20℃における蒸気圧がゼロでなく、2.66Pa未満、より詳細には0.13Pa未満である化合物を示す。一例として、蒸気圧は、蒸気圧に応じて、静的方法に従って、又は等温熱質量測定による浸出方法(effusion method)によって測定することができる(標準OCDE 104)。
【0052】
「揮発性油」という用語は、室温及び特に2.66Pa~40000Paの範囲、特に13000Paまでの範囲、より詳細には1300Paまでの範囲の大気圧で非ゼロ蒸気圧を有する油を意味する。
【0053】
「炭化水素系油」という用語は、炭素原子及び水素原子から本質的に形成され、又は更には炭素原子及び水素原子から構成され、少なくとも1個の酸素原子、任意選択で窒素原子も含む油を意味する。したがって、これらの油は、シリコーン油とは異なる。
【0054】
「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含み、特にSi-O基を含む油を意味する。
【0055】
好ましくは、本発明による組成物は、限定された含有量の揮発性又は不揮発性のシリコーン油、及び石油の転化から生じる揮発性又は不揮発性の無極性炭化水素系油(換言すれば、炭素原子及び水素原子のみを含む油)を含む。
【0056】
揮発性又は不揮発性のシリコーン油として、挙げられ得る例としては、揮発性の直鎖状又は環状シリコーン、ポリジメチルシロキサン(INCI名:ジメチコン)、及びフェニルシリコーンが含まれる。
【0057】
無極性炭化水素系油の例として、とりわけ、8~16個の炭素原子を含む揮発性の直鎖状又は分枝状の無極性炭化水素系油、及びそれらの混合物、水添又は非水添ポリ(イソ)ブテン、水添又は非水添ポリデセン、流動パラフィン、及び更にそれらの混合物を挙げることができる。
【0058】
より詳細には、組成物が含んでいる場合、シリコーン油、及び石油の転化から生じる無極性炭化水素系油の含有量は、組成物の総質量に対して7質量%以下、より詳細には5質量%以下である。本発明の有利な実施形態によれば、シリコーン油及び石油の転化から生じる無極性炭化水素系油の含有量は、組成物の総質量に対して2質量%以下、より詳細には1質量%以下であり、好ましくは、組成物は前記油を含まない。
【0059】
本発明による組成物は、特に不揮発性である追加の炭化水素系油として、植物由来のスクアラン、化合物C15~19アルカン(INCI名)、加えてC10~C26アルコール、少なくとも10個の炭素原子を含むエステルタイプの不揮発性炭化水素系油、ジカプリリルエーテル、ジカプリリルカーボネート、及びそれらの混合物から選択される不揮発性極性炭化水素系油も任意選択的に含むことができる。
【0060】
飽和又は不飽和の、直鎖状又は分枝状の、C10~C26脂肪アルコール、好ましくはモノアルコールの中でとりわけ、ラウリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、2-ブチルオクタノール、2-ウンデシルペンタデカノール、2-ヘキシルデシルアルコール、イソセチルアルコール、オクチルドデカノール、及びそれらの混合物を挙げることができる。
【0061】
エステルタイプの不揮発性炭化水素系油に関しては、以下のものを挙げることができる:
- RCOOが2~40個の炭素原子を含むカルボン酸残基を表し、R’が1~40個の炭素原子を含む炭化水素系鎖を表す式RCOOR’の直鎖脂肪族炭化水素系エステル、アルキレングリコール、特にエチレングリコール又はプロピレングリコールの脂肪族炭化水素系エステルで、炭素原子の総数は有利には少なくとも10である。そのようなエステルの例として、とりわけ、セトステアリルオクタノエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルステアレート又はイソステアレート、エチルパルミテート、2-エチルヘキシルパルミテート、イソステアリルイソステアレート、オクチルステアレート、イソステアリルヘプタノエート、オクタノエート、アルコール又はポリアルコールのデカノエート又はリシノレート、例えば、プロピレングリコールジオクタノエート、セチルオクタノエート又はトリデシルオクタノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、アルキルベンゾエート、ポリエチレングリコールジヘプタノエート、プロピレングリコールビス(2-エチルヘキサノエート)、及びそれらの混合物、ヘキシルラウレート、ネオペンタン酸エステル、例えば、イソデシルネオペンタノエート、イソトリデシルネオペンタノエート、イソステアリルネオペンタノエート又は2-オクチルドデシルネオペンタノエート、イソノナン酸エステル、例えば、イソノニルイソノナノエート、イソトリデシルイソノナノエート、又はオクチルイソノナノエート、オレイルエルケート、イソプロピルラウロイルサルコシネート、ジイソプロピルセバケート、イソセチルステアレート、イソデシルネオペンタノエート、イソステアリルベヘナネト又はミリスチルミリステート;
- ヒドロキシル化エステル、例えばポリグリセリル-2トリイソステアレート;
- 芳香族エステル、例えば、トリデシルトリメリテート、C12~C15アルコールベンゾエート、安息香酸の2-フェニルエチルエステル及びブチルオクチルサリチレート;
- 35~70の範囲の総炭素数を有する直鎖状脂肪酸エステル、例えばペンタエリスリチルテトラペラルゴネート;
- C24~C28分枝状脂肪酸又は脂肪アルコールのエステル、例えば、トリイソアラキジルシトレート、ペンタエリスリチルテトライソノナノエート、グリセリルトリイソステアレート、グリセリルトリス(2-デシルテトラデカノエート)、ペンタエリスリチルテトライソステアレート、ポリグリセリル-2テトライソステアレート又はペンタエリスリチルテトラキス(2-デシルテトラデカノエート);
- 不飽和脂肪酸のダイマー及び/又はトリマーとジオールとの縮合によって得られるポリエステル、例えば、ジリノール酸/ブタンジオールコポリマー、又はジリノール酸/プロパンジオールコポリマーのINCI名を有するもの;脂肪酸ダイマーとジオールダイマーとの縮合によって得られるポリエステル、例えば、ダイマージリノレイルダイマージリノレートのINCI名を有する製品;
- それらの混合物。
【0062】
好ましくは、特に不揮発性である追加の炭化水素系油は、植物由来のスクアラン、化合物C15~19アルカン(INCI名)、少なくとも10個の炭素原子を含むエステルタイプの不揮発性炭化水素系油、及び更にそれらの混合物から選択される。
【0063】
組成物がそのような追加の不揮発性極性炭化水素系油を含む場合、それらの含有量は、組成物の総質量に対して1質量%~20質量%の範囲である。
【0064】
組成物が、C10~C26アルコールから選択される少なくとも1種の追加の不揮発性極性炭化水素系油を含む場合、それらの含有量は、有利には、組成物の総質量に対して1質量%~7質量%であることに留意すべきである。
【0065】
染料
本発明の特定の実施形態によれば、本組成物は、合成、天然、又は天然由来の少なくとも1種の染料を含む。
【0066】
染料は、コーティング又は非コーティング顔料、脂溶性染料、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0067】
顔料
「顔料」という用語は、水性媒体に不溶であり、得られる組成物及び/又は堆積物を着色及び/又は不透明にすることを意図する、白色又は有色の無機又は有機粒子を意味する。
【0068】
特定の実施形態によれば、本発明に従って使用される顔料は、無機顔料から選択される。
【0069】
「無機顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopediaの無機顔料に関する章の定義を満たす任意の顔料を意味する。本発明に有用な無機顔料の中でも、酸化ジルコニウム又は酸化セリウムに加えて、酸化亜鉛、酸化鉄(黒酸化鉄、黄酸化鉄又は赤酸化鉄)又は酸化クロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水酸化クロム及びフェリックブルー(ferric blue)、二酸化チタン並びに金属粉(例えば、アルミニウム粉及び銅粉)を挙げることができる。以下の無機顔料も使用できる:Ta2O5、Ti3O5、Ti2O3、TiO、TiO2との混合物としてのZrO2、ZrO2、Nb2O5、CeO2、ZnS。
【0070】
本発明に関連して有用な顔料の径は、一般に100nmを超え、10μmまで、好ましくは200nm~5μm、より優先的には300nm~1μmの範囲であり得る。本発明の特定の形態によれば、顔料の径は、D[50]が100nmを超えることを特徴とし、場合により10μmまで、好ましくは200nm~5μm、より優先的には300nm~1μmの範囲である。この径は、Malvernによって販売されている市販の粒度解析装置であるMaster Sizer 3000を用いて静的光散乱により測定され、0.01μm~1000μmの範囲にわたる可能性のある幅広い範囲の全ての粒子の粒径分布を求めることが可能である。データは、Mie散乱理論に基づいて処理される。この理論は、サブミクロン~数ミクロンの範囲の粒径分布に最も適しており、それにより「有効」粒子径を決定することが可能である。この理論は、Van de Hulst,H.C.,Light Scattering by Small Particles,Chapters 9 and 10,Wiley,New York,1957による刊行物にて特に説明されている。D[50]は、粒子の50体積%を示す最大サイズを表す。
【0071】
本発明に関連して、無機顔料は、より具体的には、酸化鉄及び/又は二酸化チタンである。より具体的に挙げることができる例としては、例えば、Miyoshi Kasei社によりNAI(登録商標)の参照名で販売されている、アルミニウムステアロイルグルタメートでコーティングされた二酸化チタン及び酸化鉄が挙げられる。
【0072】
本発明に使用することができる無機顔料として、真珠層を挙げることができる。
「真珠層」という用語は、虹色光彩であってもなくてもよく、特にある特定の軟体動物の外殻で産生されるか又は代替的に合成され、光干渉を介して色効果を有する、任意の形態の着色粒子を意味するものと理解すべきである。
真珠層は、真珠層顔料、例えば、酸化鉄でコーティングされたチタン雲母、オキシ塩化ビスマスでコーティングされたチタン雲母、酸化クロムでコーティングされたチタン雲母、有機染料でコーティングされたチタン雲母及び更にオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠層顔料から選択され得る。それらは、その表面で金属酸化物及び/又は有機染料の少なくとも2つの連続層が重ね合わされている雲母粒子でもあり得る。
真珠層の例として、酸化チタン、酸化鉄、天然顔料又はオキシ塩化ビスマスでコーティングされた天然雲母も挙げることができる。
真珠層は、より特には、黄、桃、赤、ブロンズ、橙、茶、金及び/又は銅の色又は色合いを有してもよい。
【0073】
本発明に従って使用できる顔料の中には、単純な従来の着色効果とは異なる光学的効果、即ち、従来の染料、例えば、単色顔料によって生成されるような統一され安定化された効果を有するものも挙げることができる。
本発明の目的において、「安定化された」という用語は、観察角度による、又は温度変化に応じた色の変動の影響がないことを意味する。
例えば、この材料は、金属の色合い、ゴニオクロマチック(goniochromatic)着色剤、回折顔料、サーモクロミック剤、蛍光増白剤、及びまた繊維、特に干渉繊維を有する粒子から選択することができる。言うまでもなく、これらの様々な材料を、2つの効果を同時に示すように、また更に本発明に従って新規な効果さえ示すように組み合わせることができる。
【0074】
特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種のコーティングされていない顔料を含む。
【0075】
別の特定の実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の親油性又は疎水性化合物でコーティングされた少なくとも1種の顔料を含む。このタイプの顔料は、特に有利である。それらが疎水性化合物で処理されている限り、それらは、油性相に対して優勢な親和性を示し、次いで油性相は、それらを移送することができる。コーティングは、少なくとも1種の追加の非親油性化合物も含むことができる。
本発明の目的において、本発明による顔料の「コーティング」は、一般に、前述の顔料に吸収、吸着又はグラフトされた表面処理剤による顔料の全体的又は部分的な表面処理を意味する。
【0076】
表面処理された顔料は、当業者に周知の化学的、電気的、機械化学的又は機械的性質の表面処理技術に従って調製することができる。市販品も使用され得る。
表面処理剤は、溶媒の蒸発、化学反応及び共有結合の生成により顔料表面に吸収、吸着又はグラフトさせることができる。一変形形態によれば、表面処理は、顔料をコーティングすることからなる。コーティングは、コーティングされる顔料の総質量に対して、0.1質量%~20質量%、特に、0.5質量%~5質量%を占め得る。
コーティングは、メイクアップ用又はケア用組成物の他の原料に粒子を添加する前に、例えば固体粒子と液体表面処理剤とを攪拌しながら、任意で加熱を行い、単純に混合することによって前述の液体表面処理剤を個体粒子表面に吸着させることにより生成されることができる。
コーティングは、例えば、表面処理剤を固体顔料粒子の表面と化学的に反応させ、表面処理剤と粒子との間に共有結合を生成することにより生成されることができる。この方法は、特に米国特許第4578266号明細書に記載されている。
化学的表面処理は、表面処理剤を揮発性溶媒で希釈することと、この混合物中に顔料を分散させること、及び次いで揮発性溶媒をゆっくりと蒸発させることからなり得、それにより表面処理剤が顔料表面に堆積する。
本発明の特定の実施形態によれば、顔料を本発明に従い、シリコーン系表面処理剤;フッ素系表面処理剤;フルオロシリコーン系表面処理剤;金属石鹸;N-アシルアミノ酸又はその塩;レシチン及びその誘導体;イソプロピルトリイソステアリルチタネート;イソステアリルセバケート;天然の植物系又は動物系ワックス;極性合成ワックス;脂肪エステル;リン脂質;及びそれらの混合物から選択される少なくとも1つの化合物でコーティングし得る。
本発明の特定の実施形態によれば、顔料を親水性化合物でコーティングし得る。
【0077】
特定の実施形態によれば、染料は、合成、天然、又は天然由来の有機顔料である。
「有機顔料」という用語は、Ullmann’s encyclopediaの有機顔料に関する章の定義を満たす任意の顔料を指す。有機顔料は、特に、ニトロソ、ニトロ、アゾ、キサンテン、キノリン、アントラキノン、フタロシアニン、金属錯体型、イソインドリノン、イソインドリン、キナクリドン、ペリノン、ペリレン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、ジオキサジン、トリフェニルメタン及びキノフタロン化合物から選択され得る。
【0078】
有機顔料は、例えば、カーマイン、カーボンブラック、アニリンブラック、メラニン、アゾイエロー、キナクリドン、フタロシアニンブルー、ソルガムレッド、Colour IndexにおいてCI 42090、69800、69825、73000、74100及び74160の記号で分類されている青色顔料、Colour IndexにおいてCI 11680、11710、15985、19140、20040、21100、21108、47000及び47005の記号で分類されている黄色顔料、Colour IndexにおいてCI 61565、61570及び74260の記号で分類されている緑色顔料、Colour IndexにおいてCI 11725、15510、45370及び71105の記号で分類されている橙色顔料、Colour IndexにおいてCI 12085、12120、12370、12420、12490、14700、15525、15580、15620、15630、15800、15850、15865、15880、17200、26100、45380、45410、58000、73360、73915及び75470の記号で分類されている赤色顔料、並びに特許仏国特許第2679771号明細書に記載されているインドール又はフェノール系誘導体の酸化重合により得られる顔料から選択することができる。
【0079】
顔料はまた、特許欧州特許第1184426号明細書に記載されている複合顔料の形態であり得る。これらの複合顔料は、特に、有機顔料で少なくとも部分的に被覆された無機コア、及び有機顔料を無機コアに固定するための少なくとも1つのバインダーを含む粒子から構成され得る。
【0080】
顔料は、レーキであり得る。
「レーキ」という用語は、不溶性粒子に吸着された不溶化された染料を意味し、こうして得られた集合体は、使用中に不溶性のままである。
その上に色素を吸着させる鉱物質の物質は、例えば、アルミナ、シリカ、ホウケイ酸(Ca/Na)又はホウケイ酸(Ca/Al)及びアルミニウムである。
有機染料の中で、コチニールカルミンが言及され得る。以下の名称で知られている製品を挙げることもできる:D&C Red 21(CI 45 380)、D&C Orange 5(CI 45 370)、D&C Red 27(CI 45 410)、D&C Orange 10(CI 45 425)、D&C Red 3(CI 45 430)、D&C Red 4(CI 15 510)、D&C Red 33(CI 17 200)、D&C Yellow 5(CI 19 140)、D&C Yellow 6(CI 15 985)、D&C Green 5(CI 61 570)、D&C Yellow 10(CI 77 002)、D&C Green 3(CI 42 053)、D&C Blue 1(CI 42 090)。
挙げることができるレーキの例は、D&C Red 7(CI 15 850:1)という名称で知られている製品である。
【0081】
脂溶性染料
本発明の目的において、「脂溶性染料」という用語は、油性相に又は油性相と混和する溶媒に可溶であり、色を与えることができる任意の天然又は合成の、一般に有機化合物を意味する。
本発明での使用に適した脂溶性染料として、特に、脂溶性染料、例えば、DC Red 17、DC Red 21、DC Red 27、DC Green 6、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5、Sudanレッド及びSudanブラウンを挙げることができる。
天然の脂溶性染料の例として、特にカロテン、例えば、β-カロテン、α-カロテン及びリコペン、キノリンイエロー、アスタキサンチン、アンテラキサンチン、シトラナキサンチン、クリプトキサンチン、カンタキサンチン、ジアトキサンチン、フラボキサンチン、フコキサンチン、ルテイン、ロドキサンチン、ルビキサンチン、サイフォナキサンチン、ビオラキサンチン、ゼアキサンチンなどのキサントフィル、アナトー、クルクミン、キニザリン(セレスグリーンBB、D&CグリーンNo.6、CI 61565、1,4-ジ-p-トルイジノアントラキノン、グリーンNo.202、キナジングリーンSS)及びクロロフィルを挙げることができる。
【0082】
本発明の好ましい実施形態によれば、組成物は、組成物の総質量に対して、0.01質量%~20質量%、特に1質量%~15質量%、更により詳細には2質量%~13質量%の染料を含み得る。組成物は染料を含んでいなくてもよい。
【0083】
任意選択の補助剤
本発明の関連において、組成物はまた、化粧品分野で、特に皮膚及び唇用のメイクアップ及び/又はケア組成物に通常使用されるものから選択される少なくとも1種の任意選択の補助剤を含むことができる。
【0084】
挙げることができる例としては、親油性増粘剤、例えばシリカ、有機ゲル化剤(有機ゲル化剤)、粘土、充填剤、保存剤、酸化防止剤、錯化剤、溶剤、香料などが挙げられる。
【0085】
これらの補助剤及びその濃度は、それらが、本発明の組成物に望まれる性質を変更しないようなものでなければならない。
【0086】
本発明による組成物は、組成物の総質量に対して5質量%を超えない、好ましくは2質量%を超えない含有量で水を任意選択で含むことができる。更により有利には、組成物が水を含む場合、水の含有量は組成物の総質量に対して1質量%を超えず、特には0.5質量%を超えず、更により具体的には0.2質量%を超えない。
【0087】
以下の実施例は、本発明の非限定的な説明として示されている。
【0088】
特段の指定がない限り、ここに示す量は、出発物質の質量百分率で表す。
【0089】
出発物質は、その化学名又はINCI名により言及される。
【実施例】
【0090】
実施例1
成分リスト及びその含有量が下表で照合される以下の組成物を調製する:
【0091】
【0092】
調製プロセス
1.顔料は、三本ロールミル又はボールミルを用いて、良好な分散に必要な量の油中で粉砕される。
2.ワックス及び残りの油を適当な容器で98℃に加熱し、均質な混合物を得る。
3.撹拌しながら、顔料を前のステップの混合物に加える。
4.次いで、ペースト状物質を撹拌しながら98℃で加える。
5.混合物が完全にホモジナイズされると、調製物は24時間後のキャストまで室温に保たれる。
6.24時間後、配合物を98℃に再加熱し、組成物を42℃に予熱したモールドでキャストする。
7.表面が硬化するのを待った後、表面を均した。
8.モールドが4℃に戻るまで、モールドは-25℃に置かれる。
9.棒をモールドから取り出す。
【0093】
組成物の評価
【0094】
【国際調査報告】