(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-11
(54)【発明の名称】基材上にクロム又はクロム合金層を析出させるための電気めっき組成物
(51)【国際特許分類】
C25D 15/02 20060101AFI20240404BHJP
C25D 3/06 20060101ALI20240404BHJP
C25D 5/26 20060101ALI20240404BHJP
【FI】
C25D15/02 F
C25D15/02 G
C25D3/06
C25D5/26 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566678
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 EP2022061448
(87)【国際公開番号】W WO2022229373
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511188635
【氏名又は名称】アトテック ドイチェランド ゲーエムベーハー ウント コ カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】オレクサンドラ・エフトゥシェンコ
(72)【発明者】
【氏名】アンケ・ヴァルター
(72)【発明者】
【氏名】シモン・パーペ
【テーマコード(参考)】
4K023
4K024
【Fターム(参考)】
4K023AA01
4K023AA11
4K023BA03
4K023CA03
4K023CB03
4K023DA02
4K024AA02
4K024AA03
4K024AB02
4K024AB12
4K024BA02
4K024BB20
4K024CA02
4K024CA03
4K024GA02
4K024GA03
(57)【要約】
本発明は、基材上にクロム又はクロム合金層を析出させるための電気めっき組成物であって、(i)3価クロムイオン、(ii)3価クロムイオンに対する少なくとも1つの錯化剤、及び(iii)少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子を含む、電気めっき組成物;それぞれのクロム及びクロム合金層を析出させるための方法;前記粒子のそれぞれの使用;並びにそのようなクロム又はクロム合金層を含むそれぞれの基材に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にクロム又はクロム合金層を析出させるための電気めっき組成物であって、
(i)3価クロムイオン、
(ii)前記3価クロムイオンに対する少なくとも1つの錯化剤、及び
(iii)少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子
を含む、電気めっき組成物。
【請求項2】
4.1~7.0、好ましくは4.5~6.5、より好ましくは5.0~6.0、最も好ましくは5.3~5.9の範囲のpHを有する、請求項1に記載の電気めっき組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、アルミニウムを含む、請求項1又は2に記載の電気めっき組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、AlO(OH)、好ましくはα-AlO(OH)及び/又はγ-AlO(OH)、最も好ましくはγ-AlO(OH)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項5】
(iii)が、前記電気めっき組成物の総体積を基準にして、0.1g/L~200g/L、好ましくは1g/L~100g/L、より好ましくは3g/L~80g/L、更により好ましくは5g/L~60g/L、その上更により好ましくは8g/L~40g/L、最も好ましくは10g/L~30g/Lの範囲の総量を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、0.1μm~15μm、好ましくは0.2μm~10μm、より好ましくは0.4μm~7μm、更により好ましくは0.6μm~5μm、最も好ましくは0.8μm~3.5μmの範囲の粒径D
50を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気めっき組成物。
【請求項7】
基材上にクロム又はクロム合金層を析出させる方法であって、以下の
(a)前記基材、好ましくは金属基材を準備する工程、
(b)クロム又はクロム合金層を析出させるための電気めっき組成物を準備する工程であって、前記組成物が、
(i)3価クロムイオン、
(ii)前記3価クロムイオンに対する少なくとも1つの錯化剤、及び
(iii)少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子、
を含む工程、
(c)前記基材を前記電気めっき組成物と接触させ、電流を印加して、前記基材の少なくとも一つの表面に前記クロム又はクロム合金層を析出させる工程、
を含む方法。
【請求項8】
工程(c)において、前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、1.1μm~500μm、好ましくは2μm~450μm、より好ましくは4μm~400μm、更により好ましくは6μm~350μm、その上更により好ましくは8μm~300μm、最も好ましくは10μm~250μmの範囲の厚さを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(c)において、前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、CIELABによって定義される、70以下のL
*値を有する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
工程(c)において、前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、CIELABによって定義される、-2~+2の範囲のa
*値及び/又は-2~+2の範囲のb
*値を有する、請求項7から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
工程(c)の後、前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、650~950の範囲、好ましくは680~900の範囲、より好ましくは700~850の範囲、最も好ましくは720~800の範囲の硬度(HV)を有する、請求項7から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
CIELABによって定義される、70以下のL
*値を有する硬質クロム又は硬質クロム合金層を析出させるための3価クロム電気めっき組成物における、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子の使用。
【請求項13】
クロム又はクロム合金層を含む基材であって、
- 任意選択で、それぞれ、前記基材と前記クロム又はクロム合金層との間の少なくとも1つのプレコーティング
を更に含み、
ここで、前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子を含む、基材。
【請求項14】
前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、CIELABによって定義される、70以下のL
*値を有する、請求項13に記載の基材。
【請求項15】
クロム又はクロム合金層を含む基材であって、
- 任意選択で、それぞれ、前記基材と前記クロム又はクロム合金層との間の少なくとも1つのプレコーティング、
を更に含み、
ここで、前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、
- 炭素を含み、
- CIELABによって定義される、70以下のL
*値を有し、
- 4μm以上の厚さを有する、
基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材上にクロム又はクロム合金層を析出させるための電気めっき組成物であって、(i)3価クロムイオン、(ii)3価クロムイオンに対する少なくとも1つの錯化剤、及び(iii)少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子を含む、電気めっき組成物;それぞれのクロム及びクロム合金層を析出させるための方法;前記粒子のそれぞれの使用;並びにそのようなクロム又はクロム合金層を含むそれぞれの基材に関する。
【背景技術】
【0002】
機能性クロム層は通常、一般に1μm未満の装飾クロム層と比較して、一般に少なくとも1μmから数百μmまでの非常に高い平均層厚を有する。更に、機能性クロム層は、一般に硬質クロム層とも呼ばれるように、優れた硬度及び耐摩耗性を特徴とする。
【0003】
6価クロムを含む電気めっき組成物から得られる機能性クロム層は、従来技術で知られており、確立された標準である。
【0004】
ここ数十年の間に、このような6価クロムベースの電気めっき組成物及び方法は、それぞれ、より健康及び環境に優しい3価クロムベースの電気めっき組成物及び方法にますます置き換えられている。
【0005】
更に、粒子を利用した3価クロムベースの電気めっき組成物及び方法は、それぞれ当技術分野で知られている。
【0006】
Journal of the Taiwan Institute of Chemical Engineers、48、73~80頁(2015)において、Hung-Hua Sheuらは、Al2O3粒子を含む3価クロム浴に言及している。
【0007】
Journal of Protection of Metals and Physical Chemistry of Surfaces、Vol.46、No.1、75~81頁(2010)において、N. A. Polyakovらは、Al2O3を含む硫酸-シュウ酸Cr(III)溶液懸濁液に言及している。
【0008】
Journal Surface & Coating Technology、350、1036~1044頁(2018)において、Hung-Hua Sheuらは、Al2O3粒子を含む3価クロム浴に言及している。
【0009】
特許第5890394号は、3価クロム化合物及びAl2O3等のセラミック粒子を含む水溶液に関する。
【0010】
ロシア登録特許第2231581号は、Cr(III)塩及びAl2O3粉末を含有するクロム電解液に関する。
【0011】
Al2O3粒子を組み込むことで、それぞれのクロム及びクロム合金層のひび割れの数を減らすことができることはよく報告されている。しかし、そのような粒子が存在しても、クロム及びクロム合金層は通常、その典型的な明るく光沢のある銀のようなクロム外観を変えない。
【0012】
しかし、硬質クロム層であっても、光沢の少ない外観が望まれる場合がある。例えば、反射を抑えた層を提供する必要がある場合がある。これにより、安全対策が向上し、事故を回避できる可能性がある。したがって、この点で既存の電気めっき組成物を更に改良することが要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第5890394号
【特許文献2】ロシア登録特許第2231581号
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Hung-Hua Sheuら、Journal of the Taiwan Institute of Chemical Engineers、48、73~80頁(2015)
【非特許文献2】N. A. Polyakovら、Journal of Protection of Metals and Physical Chemistry of Surfaces、Vol.46、No.1、75~81頁(2010)
【非特許文献3】Hung-Hua Sheuら、Journal Surface & Coating Technology、350、1036~1044頁(2018)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の目的は、クロム又はクロム合金層を析出させるための3価クロムベースの電気めっき組成物であって、ひび割れの数並びにその幅を有意に更に減少させ、更にそれぞれのクロム及びクロム合金層の輝度を減少させる電気めっき組成物を提供することであった。
【0016】
更に、この効果を簡単かつ効果的な方法で達成することが本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記のこれらの目的は、基材上にクロム又はクロム合金層を析出させるための電気めっき組成物であって、
(i)3価クロムイオン、
(ii)3価クロムイオンに対する少なくとも1つの錯化剤、及び
(iii)少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子
を含む、電気めっき組成物によって解決される。
【0018】
発明者等の実験により、前記少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子を利用することにより、それぞれのクロム及びクロム合金層におけるひび割れの数並びにその幅が、一般的に利用される酸化物粒子と比較して更に減少することが示された。更に、重要なことに、前記層の輝度も著しく低下する。実際、この層は非常に望ましい輝度の減少を示し、(少なくとも反射が著しく減少した)つや消しと表現することができる。この複合効果は予想外であったので、これは驚くべきことであった。以下の実施例に示すように、この複合効果は、酸化物、例えばAl2O3のみを有する粒子では得られなかった。
【0019】
更に、本発明の電気めっき組成物は、複合効果が特に1種類の粒子によって引き起こされるため、非常に単純である。この効果を得るために、粒子の組み合わせや様々な化学化合物は必要ない。これは、単なる酸化物粒子ではこの複合効果が得られないと思われるため、特に関連性がある。
【0020】
本発明の文脈において、酸化物-水酸化物(oxide-hydroxide)粒子は、酸化物と同時に水酸化物の組み合わせ(すなわち、酸素と水酸化物を組み合わせた化合物、例えば、XO(OH)と表され、Xは酸素と水酸化物の負電荷を少なくとも部分的に補償する対イオン/部分である)を化学的に含む粒子を示す。典型的には、Xは金属を含む。
【0021】
本発明の文脈において、用語「少なくとも1つ(at least one)」又は「1つ以上(one or more)」は、それぞれ「1つ、2つ、3つ以上(one, two, three or more)」及び「1つ、2つ、3つ以上(one, two, three or more than three)」を示す(と交換可能である)。更に、「3価クロム」とは、酸化数+3のクロムを指す。用語「3価クロムイオン」とは、遊離又は錯体の形態のCr3+-イオンを指す。更に、「6価クロム」とは、酸化数+6の元素クロムを含む任意の化合物(イオンを含む)を指す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
電気めっき組成物
好ましいのは、水を含む本発明の電気めっき組成物であり、電気めっき組成物の総重量を基準にして、50重量%以上、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更により好ましくは80重量%以上、その上更により好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上を好ましくは含む。その結果、本発明の電気めっき組成物は、好ましくは水性である。
【0023】
好ましいのは、4.1~7.0、好ましくは4.5~6.5、より好ましくは5.0~6.0、最も好ましくは5.3~5.9の範囲のpHを有する、本発明の電気めっき組成物である。したがって、電気めっき組成物は好ましくは酸性である。好ましい酸性のpH範囲は、特に、硬度及び耐摩耗性等の所望の品質を有する基材上にクロム又はクロム合金層を効果的に析出させるのに有益である。
【0024】
好ましいのは、3価クロムイオンが、電気めっき組成物の総体積を基準にして、5g/L~40g/L、好ましくは10g/L~30g/L、より好ましくは14g/L~27g/L、最も好ましくは17g/L~24g/Lの範囲の総濃度で存在する、本発明の電気めっき組成物である。
【0025】
上記に定義した濃度範囲を使用すると、基材上へのクロム及びクロム合金層の非常に効果的な析出を達成することができる。3価のクロムイオンの総量が少なすぎると、多くの場合、不十分な析出が観察され、析出するクロムの品質は通常低くなる。総量が40g/Lを大幅に超える場合、電気めっき組成物はもはや安定ではなく、これには望ましくない沈殿物の形成が含まれる。
【0026】
好ましいのは、電気めっき組成物の3価クロムイオンが、可溶性の3価クロムイオン含有源、典型的には前記3価クロムイオンを含む水溶性塩から得られる、本発明の電気めっき組成物である。一般的に好ましく、入手しやすく、コスト効率のよい水溶性塩は、アルカリ性の3価クロム硫酸塩である。
【0027】
好ましくは、可溶性の3価クロムイオン含有源は、前記源の総重量を基準にして、1重量%以下の総量のアルカリ金属カチオンを含む。場合によっては、好ましくは、このような供給源は、それぞれの析出法が連続的に操作される場合、3価クロムイオンの補給のために利用される。前記3価クロムイオンを含む好ましい水溶性塩は、アルカリ金属を含まない3価クロム硫酸塩又はアルカリ金属を含まない3価クロム塩化物である。
【0028】
より好ましくは、可溶性の3価クロムイオン含有源は、硫酸クロム、より好ましくは酸性硫酸クロム、更により好ましくは一般式Cr2(SO4)3、分子量392g/molの硫酸クロムを含むか、又はそれらである。
【0029】
より好ましくは、補給のために、可溶性の3価クロムイオン含有源が好ましく、アニオンは有機アニオン、好ましくは有機酸アニオン、最も好ましくはギ酸塩及び/又は酢酸塩である。
【0030】
好ましいのは、3価クロムイオンに対する少なくとも1つの錯化剤が、有機錯化剤及びその塩、好ましくはカルボン酸及びその塩、より好ましくは脂肪族カルボン酸及びその塩、最も好ましくは脂肪族モノカルボン酸及びその塩からなる群から選択される、本発明の電気めっき組成物である。好ましい脂肪族モノカルボン酸及びその塩は、C1~C10脂肪族モノカルボン酸及びその塩、好ましくはC1~C8脂肪族モノカルボン酸及びその塩、より好ましくはC1~C6脂肪族モノカルボン酸及びその塩、最も好ましくはC1~C3脂肪族モノカルボン酸及びその塩である。最も好ましくは、少なくとも1つの錯化剤は、少なくともギ酸塩及び/又は酢酸塩を含む。その結果、3価クロムイオンは、好ましくは上記で定義したpHで、錯化剤によって電気めっき組成物中で効率的に安定化することができる。典型的には、このような錯化剤は、炭素として前記クロム又はクロム合金層にそれぞれ組み込まれる。
【0031】
好ましいのは、3価クロムイオンに対する少なくとも1つの錯化剤が、組成物の総体積を基準にして、50g/L~350g/L、好ましくは70g/L~320g/L、より好ましくは90g/L~300g/L、更により好ましくは100g/L~250g/L、最も好ましくは120g/L~210g/Lの範囲の総濃度で存在する、本発明の電気めっき組成物である。
【0032】
本発明の電気めっき組成物は、(iii)、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子を含む。粒子は好ましくは固体である。その結果、本発明の電気めっき組成物は、好ましくは懸濁液である。したがって、本発明の電気めっき組成物は、好ましくはコロイド状ではない。
【0033】
好ましいのは、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、金属、好ましくは主族金属及び/又は遷移金属を含み、ここで、主族金属が好ましい、本発明の電気めっき組成物である。好ましい遷移金属は、鉄及び/又はマンガンを含む。好ましい主族金属はアルミニウムを含む。
【0034】
したがって、より好ましくは、金属はアルミニウムを含み、最も好ましくは、金属は(実質的に)アルミニウムであり、(実質的に)他の金属は好ましくは前記粒子中に存在しない。
【0035】
したがって、好ましいのは、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子がアルミニウムを含む、本発明の電気めっき組成物である。
【0036】
より好ましいのは、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、AlO(OH)、好ましくはα-AlO(OH)及び/又はγ-AlO(OH)、最も好ましくはγ-AlO(OH)を含む、本発明の電気めっき組成物である。
【0037】
最も好ましいのは、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、AlO(OH)、好ましくはα-AlO(OH)及び/又はγ-AlO(OH)、最も好ましくはγ-AlO(OH)である、本発明の電気めっき組成物である。したがって、最も好ましくは、他の酸化物-水酸化物粒子は存在しない。最も好ましくは、これらが電気めっき組成物中の唯一の粒子である。
【0038】
好ましいのは、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子(すなわち(iii))が、電気めっき組成物の総体積を基準にして、0.1g/L~200g/L、好ましくは1g/L~100g/L、より好ましくは3g/L~80g/L、更により好ましくは5g/L~60g/L、その上更により好ましくは8g/L~40g/L、最も好ましくは10g/L~30g/Lの範囲の総量を有する、本発明の電気めっき組成物である。総量が少なすぎる場合、すなわち0.1g/L未満の場合、十分な粒子が取り込まれず、その結果、通常、所望の輝度の低下は観察されず、ひび割れの減少も低すぎる。対照的に、総量が200g/Lを大幅に超える場合、多くの場合、粒子が沈降する傾向があり、粒子の分布が不十分となり、場合によってはクロム及びクロム合金層の欠陥が生じる。
【0039】
一般に好ましいのは、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、0.05μm~15μm、好ましくは0.08μm~10μm、より好ましくは0.11μm~8μm、更により好ましくは0.21μm~6μm、最も好ましくは0.31μm~3μmの範囲の粒径を有する、本発明の電気めっき組成物である。
【0040】
好ましいのは、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、0.1μm~15μm、好ましくは0.2μm~10μm、より好ましくは0.4μm~7μm、更により好ましくは0.6μm~5μm、最も好ましくは0.8μm~3.5μmの範囲の粒径D50を有する、本発明の電気めっき組成物である。
【0041】
好ましいのは、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、0.05μm~2μm、好ましくは0.1μm~1.5μm、より好ましくは0.15μm~1μmの範囲の粒径D10を有する、本発明の電気めっき組成物である。
【0042】
好ましいのは、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、0.5μm~15μm、好ましくは0.75μm~10μm、より好ましくは0.9μm~7.5μm、更により好ましくは1.3μm~5μm、最も好ましくは1.5μm~2.5μmの範囲の粒径D90を有する、本発明の電気めっき組成物である。
【0043】
好ましくは、粒径は体積基準であり、好ましくはレーザー回折法によって決定される。
【0044】
本発明の電気めっき組成物において、好ましくは、6価クロムは意図的に電気めっき組成物に添加されない。これには、例えばクロム酸や三酸化クロムが含まれる。したがって、電気めっき組成物は、6価クロムを実質的に含まない、好ましくは、6価クロムを含まない(陽極的に不可避的に形成される可能性のあるごく少量を除く)。
【0045】
場合によっては、本発明の電気めっき組成物は、クロムではない遷移金属イオン、より好ましくは鉄イオン、ニッケルイオン、銅イオン、及び/又は亜鉛イオンを更に含むことが好ましい。
【0046】
しかし、好ましくは、本発明の電気めっき組成物は、鉄イオンを更に含まない。
【0047】
しかし、好ましくは、本発明の電気めっき組成物は、ニッケルイオンを更に含まない。
【0048】
しかし、好ましくは、本発明の電気めっき組成物は、銅イオンを更に含まない。
【0049】
しかし、好ましくは、本発明の電気めっき組成物は、亜鉛イオンを更に含まない。
【0050】
より好ましいのは、3価クロムイオンが、全遷移金属イオンの総重量を基準にして、全遷移金属イオンの90重量%以上、好ましくは93重量%以上、より好ましくは95重量%以上、最も好ましくは97重量%以上を形成する、本発明の電気めっき組成物である。多くの場合、本発明の電気めっき組成物は、クロム種が唯一の遷移金属種であり、最も好ましくは3価クロムイオンが唯一の遷移金属イオンであることが好ましい。
【0051】
クロムではない前記金属イオン(いわゆる金属合金元素)の存在により、典型的には、それぞれのクロム合金が生じる。しかし、より典型的で好ましいのは、それぞれのクロム合金層中の非金属合金元素、好ましくは炭素、窒素、及び/又は酸素である。
【0052】
好ましいのは、
- 1種又は2種以上のハロゲンイオン、好ましくは臭化物、
- 1種又は2種以上のアルカリ金属カチオン、好ましくはナトリウム及び/又はカリウム
- 硫酸イオン、及び
- アンモニウムイオン
からなる群から選択される1つ又は2つ以上の化合物を更に含む電気めっき組成物である。
【0053】
上記の化合物の1つ以上を添加することにより、それぞれの析出プロセス中のクロム又はクロム合金層の析出を改善することができ、最も好ましくは、本発明の方法中のクロム又はクロム合金層の析出を改善することができる。
【0054】
好ましくは、本発明の電気めっき組成物は、1種又は2種以上のハロゲンイオン、好ましくは臭化物イオン及び/又は塩化物イオンを含む。好ましくは、臭化物イオンは、電気めっき組成物の総体積を基準にして、少なくとも0.06mol/L、より好ましくは少なくとも0.1mol/L、更により好ましくは少なくとも0.15mol/Lの濃度で存在する。臭化物アニオンは特に、6価クロム種の陽極形成を効果的に抑制する。
【0055】
場合によっては、本発明の電気めっき組成物は、塩化物イオン、好ましくは臭化物イオンに加えて塩化物イオンを含むことが好ましい。しかし、他の場合には、電気めっき組成物が、塩化物イオンを本質的に含まない、好ましくは塩化物イオンを含まないことが好ましい。しかし、これは好ましくは、他のハロゲンイオン、好ましくは臭化物イオンの存在を排除するものではない。好ましくは(塩化物イオンが存在する場合)、塩化物イオンは、電気めっき組成物の総体積を基準にして、0.01mol/L~1.8mol/Lの範囲、好ましくは0.2mol/L~1.6mol/Lの範囲、より好ましくは0.6mol/L~1.4mol/Lの範囲、最も好ましくは0.8mol/L~1.2mol/Lの範囲の総濃度で存在する。
【0056】
好ましくは、電気めっき組成物は、1種又は2種以上のアルカリ金属カチオン、好ましくはナトリウム及び/又はカリウムを、電気めっき組成物の総体積を基準にして、0mol/L~0.5mol/L、より好ましくは0mol/L~0.3mol/L、更により好ましくは0mol/L~0.1mol/L、最も好ましくは0mol/L~0.08mol/Lの範囲の総濃度で含む。
【0057】
通常、ルビジウムイオン、フランシウムイオン、及びセシウムイオンは、3価クロムイオンを含む電気めっき組成物では利用されないが、除外されるわけではない。しかし、好ましくは、1種又は2種以上のアルカリ金属カチオンは、リチウム、ナトリウム、及びカリウムの金属カチオンを含み、最も好ましくはナトリウム及びカリウムを含む。しかしながら、場合によっては、本発明の電気めっき組成物は、前記1種又は2種以上のアルカリ金属カチオンを含まないことが好ましい。そのような場合、好ましくはアンモニウムイオンが代替的に好ましい。
【0058】
好ましくは、電気めっき組成物は、好ましくは、電気めっき組成物の総体積を基準にして、1mol/L~10mol/L、より好ましくは2mol/L~8mol/L、更により好ましくは3mol/L~7mol/L、最も好ましくは4mol/L~6mol/Lの範囲の総濃度で、アンモニウムイオンを含む。
【0059】
好ましくは、本発明の電気めっき組成物は、好ましくは、電気めっき組成物の総体積を基準にして、50g/L~250g/Lの範囲の総量の硫酸イオンを含む。
【0060】
好ましいのは、ホウ酸を本質的に含まない、好ましくはホウ酸を含まない、本発明の電気めっき組成物であり、好ましくは、ホウ素含有化合物を本質的に含まない、好ましくはホウ素含有化合物を含まない、本発明の電気めっき組成物である。
【0061】
ホウ素含有化合物は、環境的に問題があるので望ましくない。ホウ素含有化合物を使用する場合、排水処理は高価で時間がかかる。更に、ホウ酸は一般的に溶解性が低いため、沈殿物を形成する傾向がある。このような沈殿物は加熱により可溶化することができるが、この間、それぞれの電気めっき組成物を電気めっきに利用することはできない。このような沈殿物は、層品質の低下を促進する大きなリスクがある。したがって、本発明の電気めっき組成物は、好ましくは、ホウ素含有化合物を本質的に含まない、好ましくは、ホウ素含有化合物を含まない。驚くべきことに、本発明の電気めっき組成物は、特に上述の(好ましい)pH範囲において、ホウ素含有化合物なしで非常に良好に機能する。
【0062】
本発明の文脈において、それぞれ「含まない(does not comprise)」及び「含まない(not comprising)」という用語は、典型的には、それぞれの化合物及び/又は成分が、例えば、電気めっき組成物に意図的に添加されないことを示す。これは、そのような化合物が他の関連化学物質と共に不純物として引き込まれることを排除するものではない。しかしながら、そのような化合物及び成分の総量は、典型的には検出範囲以下であり、及び/又は本発明の様々な態様において重要ではない。
【0063】
典型的に好ましいのは、2価の硫黄を含む有機化合物を本質的に含まない、好ましくは2価の硫黄を含む有機化合物を含まない、本発明の電気めっき組成物であり、好ましくは、+6未満の酸化数を有する硫黄原子を有する硫黄含有化合物を本質的に含まない、好ましくは+6未満の酸化数を有する硫黄原子を有する硫黄含有化合物を含まない、本発明の電気めっき組成物である。
【0064】
本発明はまた、基材上にクロム又はクロム合金層を析出させる方法であって、以下の
(a)基材、好ましくは金属基材を準備する工程、
(b)クロム又はクロム合金層を析出させるための電気めっき組成物を準備する工程であって、組成物が、
(i)3価クロムイオン、
(ii)3価クロムイオンに対する少なくとも1つの錯化剤、及び
(iii)少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子、
を含む工程、
(c)前記基材の少なくとも一つの表面にクロム又はクロム合金層が析出するように、基材を前記電気めっき組成物と接触させ、電流を印加する工程、
を含む、方法に関する。
【0065】
好ましくは、本発明の電気めっき組成物に関する前述(好ましくは、好ましいものとして上述した通り)は、本発明の方法(好ましくは、好ましいものとして後述する方法)にも同様に適用される。
【0066】
好ましいのは、工程(c)において電流が直流である、本発明の方法である。
【0067】
好ましくは、直流(DC)は、電気めっき中に中断のない直流であり、より好ましくは、直流は、パルス化されていない(非パルスDC)。更に、直流は、好ましくは逆パルスを含まない。
【0068】
好ましいのは、工程(c)において、電流が、少なくとも18A/dm2、好ましくは少なくとも20A/dm2、より好ましくは少なくとも25A/dm2、更により好ましくは少なくとも30A/dm2、最も好ましくは少なくとも39A/dm2のカソード電流密度を有する、本発明の方法である。好ましくは、カソード電流密度は、18A/dm2~200A/dm2、より好ましくは20A/dm2~180A/dm2、より好ましくは23A/dm2~150A/dm2、更により好ましくは25A/dm2~120A/dm2、その上更により好ましくは27A/dm2~90A/dm2、最も好ましくは30A/dm2~60A/dm2の範囲である。
【0069】
まれに、本発明の方法は、工程(c)において、電流が100A/dm2~200A/dm2、好ましくは110A/dm2~190A/dm2、より好ましくは120A/dm2~180A/dm2、最も好ましくは130A/dm2~170A/dm2、更に最も好ましくは140A/dm2~160A/dm2の範囲のカソード電流密度を有することが好ましい。これは、最も好ましくは、工程(c)が比較的短時間行われる場合に適用される。
【0070】
典型的には、本発明の方法中に提供される基材は、電気めっきプロセス中(すなわち工程(c)中)のカソードである。好ましくは、本発明の方法の工程(c)において、2つ以上の基材が同時に提供される。
【0071】
好ましいのは、工程(c)において、少なくとも1つのアノードが提供され、ここで、少なくとも1つのアノードが、グラファイトアノード及びチタンアノード上の混合金属酸化物からなる群から独立して選択される、本発明の方法である。このようなアノードは、本発明の電気めっき組成物において十分な耐性があることが示されている。好ましくは、少なくとも1つのアノードは、鉛又はクロムを含まない。
【0072】
本発明の方法の工程(c)では、クロム又はクロム合金層が析出される。好ましいのはクロム合金層である。好ましくは、合金元素は、炭素、窒素、及び酸素からなる群から選択される元素の1つ、2つ以上、又は全てである。より好ましくは、クロム合金層は、少なくとも炭素及び酸素を含む。炭素が典型的に存在するのは、電気めっき組成物中に通常存在する有機化合物のためである。これらの合金元素は、典型的には非金属合金元素と呼ばれる。
【0073】
より好ましくは、唯一の合金元素は炭素、窒素、及び/又は酸素であり、より好ましくは炭素及び/又は酸素、最も好ましくは炭素及び酸素である。好ましくは、クロム合金層は、クロム合金層の総重量を基準にして、80重量%以上のクロムを含み、より好ましくは85重量%以上、更により好ましくは90重量%以上、最も好ましくは95重量%以上である。
【0074】
場合によっては、クロム合金層が、ニッケル、銅、及び亜鉛からなる群から選択される元素の1つ、2つ以上、又は全てを(前記非金属合金元素に加えて、又はそれとは独立して)含む、本発明の方法が好ましい。これらの合金元素は、典型的には金属合金元素と呼ばれる。
【0075】
しかしながら、多くの場合において好ましいのは、クロム合金層が、硫黄、ニッケル、銅、亜鉛、及びスズからなる群から選択される1つ、2つ以上、又は全ての元素を含まない、本発明の方法である。
【0076】
特に好ましいのは、クロム合金層が硫黄を本質的に含まない、好ましくは硫黄を含まない、本発明の方法である。
【0077】
特に好ましいのは、クロム合金層がニッケルを本質的に含まない、好ましくはニッケルを含まない、本発明の方法である。
【0078】
特に好ましいのは、クロム合金層が銅を本質的に含まない、好ましくは銅を含まない、本発明の方法である。
【0079】
特に好ましいのは、クロム合金層が亜鉛を本質的に含まない、好ましくは亜鉛を含まない、本発明の方法である。
【0080】
特に好ましいのは、クロム合金層がスズを本質的に含まない、好ましくはスズを含まない、本発明の方法である。
【0081】
場合によっては、好ましいのは、クロム合金層が、鉄を本質的に含まない、好ましくは鉄を含まない、本発明の方法である。これは、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が鉄ではなくアルミニウムを含む場合に特に好ましい。少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子がアルミニウムを含み、マンガンを含まない場合も同様である。このような場合、クロム合金層は(代替的に又は追加的に)マンガンを本質的に含まず、好ましくはマンガンを含まないことが好ましい。
【0082】
好ましいのは、工程(c)において、電気めっき組成物が、20℃~90℃、好ましくは30℃~70℃、より好ましくは40℃~60℃、最も好ましくは45℃~58℃の範囲の温度を有する、本発明の方法である。
【0083】
好ましい温度範囲において(特に最も好ましい温度範囲において)、クロム及びクロム合金層はそれぞれ、工程(c)において最適に析出される。温度が90℃を著しく超えると、望ましくない蒸発が起こり、組成物の成分濃度に悪影響を及ぼす可能性がある。更に、6価クロムの望ましくない陽極形成が著しく抑制されない。温度が20℃を著しく下回ると、析出が不十分となることが多い。
【0084】
好ましいのは、工程(c)が、5分~500分、好ましくは10分~300分、より好ましくは15分~200分、更により好ましくは20分~140分、最も好ましくは30分~80分の時間行われる、本発明の方法である。
【0085】
まれに、工程(c)が、2分~10分、好ましくは3分~9分、より好ましくは4分~8分、更により好ましくは5分~7分の時間行われる、本発明の方法が好ましい。これは、電流が比較的高い電流密度、好ましくは少なくとも100A/dm2、より好ましくは少なくとも120A/dm2、更により好ましくは少なくとも140A/dm2を有する場合に最も好ましい。
【0086】
好ましいのは、工程(c)において、電気めっき組成物を、好ましくは、100rpm~900rpm、好ましくは200rpm~700rpm、より好ましくは300rpm~600rpm、最も好ましくは350rpm~500rpmの範囲の撹拌速度で撹拌する、本発明の方法である。電気めっき組成物中の(iii)の優れた均質化/分布を提供するために、撹拌することが非常に好ましい。撹拌が弱すぎると、(iii)が沈殿する傾向があり、これは望ましくない。撹拌が強すぎると、電気めっき組成物の表面が動きすぎ、ミストの抑制が不十分になる。
【0087】
方法工程(c)を、上記の好ましい温度範囲で、及び/又は(好ましくは、及び)好ましい時間、及び/又は(好ましくは、及び)好ましい撹拌速度で行うことにより、工程(c)の間の特に有利な析出速度を確保することができる。
【0088】
好ましいのは、工程(c)の後に
工程(c)から得られた基材を熱処理する工程(d)
を更に含む、本発明の方法である。
【0089】
好ましいのは、工程(d)において、熱処理が、80℃~600℃、好ましくは100℃~400℃、より好ましくは120℃~350℃、更により好ましくは135℃~300℃、最も好ましくは150℃~250℃の範囲の温度で行われる、本発明の方法である。
【0090】
好ましいのは、工程(d)において、熱処理が、1時間~10時間、好ましくは2時間~4時間の時間行われる、本発明の方法である。
【0091】
好ましくは基材の熱処理を、より好ましくは前述の好ましい温度で、及び/又は好ましい時間行うことにより、クロム及びクロム合金層のそれぞれの特性は、多くの場合、典型的には更に改善される(例えば硬度)。
【0092】
好ましいのは、基材が、金属又は金属合金を含み、好ましくは銅、鉄、ニッケル及びアルミニウムからなる群から選択される1つ又は2つ以上の金属を含み、より好ましくは銅、鉄及びニッケルからなる群から選択される1つ又は2つ以上の金属を含み、最も好ましくは少なくとも鉄を含む、本発明の方法である。前記金属は、好ましくは、前記金属の少なくとも1つを含むそれぞれの合金を含む。
【0093】
より好ましくは、基材は棒である。
【0094】
多くの場合、好ましいのは、少なくとも1つのプレコーティングを含む基材であり、少なくとも1つのプレコーティングは、好ましくは、金属層、より好ましくは少なくとも1つの遷移金属を含む金属層、更により好ましくは(元素周期表による)第4周期の遷移金属を含む金属層、最も好ましくはニッケル及び/又はクロムを含む金属層、更に最も好ましくはニッケル又はニッケル合金層を含み(好ましくはそれらであり)、それらの上にクロム及びクロム合金層がそれぞれ、本発明の方法の工程(c)の間に塗布される。特に好ましいのは、上記で定義した金属層、好ましくはニッケル又はニッケル合金層でプレコーティングされた鋼基材である。代替又は追加のプレコーティングは、好ましくはクロムを含む金属層である。しかしながら、好ましくは、他のプレコーティングが代替的又は追加的に存在する。多くの場合、このようなプレコーティングは、このようなプレコーティングのない金属基材と比較して耐食性を著しく向上させる。しかし、場合によっては、基材は腐食に不活性な環境(例えば油組成物中)のため腐食の影響を受けにくい。このような場合、プレコーティング、好ましくはニッケル又はニッケル合金層は必ずしも必要ではない。
【0095】
したがって、場合によっては、基材が、クロム及びクロム合金層の下にそれぞれニッケル及びニッケル合金層を含まない、本発明の方法が好ましい。本発明の方法で利用される電気めっき組成物中の少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、クロム及びクロム合金層の耐食性をそれぞれ著しく増大させるので、このようなプレコーティングの必要性は更に減少する。
【0096】
一般に、好ましいのは、工程(c)において、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、1.1μm~500μm、好ましくは2μm~450μm、より好ましくは4μm~400μm、更により好ましくは6μm~350μm、その上更により好ましくは8μm~300μm、最も好ましくは10μm~250μmの範囲の厚さを有する、本発明の方法である。これらは典型的には、十分な耐摩耗性を提供するための、いわゆる硬質クロム層の層厚である。したがって、本発明の文脈において得られるクロム及びクロム合金層は、それぞれ、好ましくは装飾層ではない。
【0097】
いくつかの更なる場合に、工程(c)において、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、15μm以上、好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上の厚さを有する、本発明の方法が好ましい。
【0098】
最初に述べたように、本発明は、輝度及び/又は反射率の低下をもたらす。好ましいのは、工程(c)において、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、CIELABによって定義される、70以下のL*値を有する、本発明の方法である。好ましくは、L*値は、鏡面成分含有モード(SCIモードとも略される)で決定される。これは、測定プロセス中に鏡面反射率が拡散反射率に含まれることを意味する。より好ましくは、L*値が69以下、更により好ましくは68以下である。このようなL*値は、(iii)がない場合、L*値が70を大きく上回り、例えば75以上、より好ましくは77以上であるため重要である。しかしながら、本発明の文脈では、70又はそれよりわずかに小さいL*値は、暗いとはみなされない。したがって、好ましいのは、工程(c)において、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、57~70、好ましくは58~69、より好ましくは59~68、最も好ましくは60~68の範囲のL*値を有する、本発明の方法である。
【0099】
好ましいのは、工程(c)において、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、CIELABによって定義される、-2~+2の範囲のa*値及び/又は-2~+2の範囲のb*値を有する、本発明の方法である。
【0100】
より好ましいのは、工程(c)において、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、CIELABによって定義される、-1.5~+1.5の範囲のa*値及び/又は-1.5~+1.5の範囲のb*値を有する、本発明の方法である。
【0101】
更により好ましいのは、工程(c)において、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、CIELABによって定義される、-1~+1の範囲のa*値及び/又は-1~+1の範囲のb*値を有する、本発明の方法である。
【0102】
最も好ましいのは、工程(c)において、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、CIELABによって定義される、-0.5~+0.5の範囲のa*値及び/又は-0.5~+0.5の範囲のb*値を有する、本発明の方法である。
【0103】
好ましいのは、工程(c)の後、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、650~950の範囲、好ましくは680~900の範囲、より好ましくは700~850の範囲、最も好ましくは720~800の範囲の硬度(HV)を有する、本発明の方法である。
【0104】
更に好ましいのは、工程(d)の後、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、950以上の硬度(HV)を有する、本発明の方法である。好ましくは、工程(d)の後、硬度(HV)は、950~1900、好ましくは1000~1700、より好ましくは1050~1500、最も好ましくは1100~1300の範囲である。
【0105】
本発明はまた、CIELABによって定義される、70以下のL*値を有する硬質クロム又は硬質クロム合金層を析出させるための3価クロム電気めっき組成物における少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子の使用にも関する。
【0106】
好ましくは、本発明の電気めっき組成物(好ましくは、好ましいものとして上述した通り)及び/又は本発明の方法(好ましくは、好ましいものとして上述した通り)に関する前述は、本発明の使用にも同様に適用される。
【0107】
更に、本発明は、クロム又はクロム合金層を含む第1の基材であって、
- 任意選択で、それぞれ、基材と前記クロム又はクロム合金層との間の少なくとも1つのプレコーティング
を更に含み、
ここで、クロム及びクロム合金層はそれぞれ、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子を含む、基材に関する。
【0108】
好ましくは、本発明の電気めっき組成物(好ましくは、好ましいものとして上述した通り)及び/又は本発明の方法(好ましくは、好ましいものとして上述した通り)に関する前述は、本発明の第1の基材にも同様に適用される。
【0109】
好ましくは、本発明の第1の基材上に利用されるクロム及びクロム合金層は、本発明の方法によって得られる。
【0110】
最も好ましいのは、少なくとも1つのプレコーティングが、金属層、より好ましくは少なくとも1つの遷移金属を含む金属層、更により好ましくは第4周期の遷移金属を含む金属層、最も好ましくはニッケル及び/又はクロムを含む金属層、更に最も好ましくはニッケル又はニッケル合金層を含む(好ましくはそれらである)、本発明の前記基材である。
【0111】
特に好ましいのは、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、CIELABによって定義される、70以下のL*値を有する、本発明の第1の基材である。より好ましいのは、本発明の方法の文脈において上記で定義したL*値である。
【0112】
好ましくは、本発明は一般に硬質クロム層に関する。したがって、好ましいのは、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、1.1μm~500μm、好ましくは2μm~450μm、より好ましくは4μm~400μm、更により好ましくは6μm~350μm、その上更により好ましくは8μm~300μm、最も好ましくは10μm~250μmの範囲の厚さを有する、本発明の第1の基材である。
【0113】
好ましいのは、基材が金属棒を含むか、又は金属棒である、本発明の第1の基材である。
【0114】
本発明は更に、クロム又はクロム合金層を含むより一般的な基材であって、
- 任意選択で、それぞれ、基材と前記クロム又はクロム合金層との間の少なくとも1つのプレコーティング
を更に含み、
ここで、クロム及びクロム合金層はそれぞれ、
- 炭素を含み、
- CIELABによって定義される、70以下のL*値を有し、
- 4μm以上の厚さを有する、
基材に関する。
【0115】
好ましくは、本発明の電気めっき組成物(好ましくは、好ましいものとして上述した通り)及び/又は本発明の方法(好ましくは、好ましいものとして上述した通り)に関する前述は、このより一般的な本発明の基材にも同様に適用される。
【0116】
最も好ましいのは、少なくとも1つのプレコーティングが、金属層、より好ましくは少なくとも1つの遷移金属を含む金属層、更により好ましくは第4周期の遷移金属を含む金属層、最も好ましくはニッケル及び/又はクロムを含む金属層、更に最も好ましくはニッケル又はニッケル合金層を含む(好ましくはこれらである)、本発明の前記基材である。
【0117】
より好ましいのは、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、5μm以上、好ましくは6μm以上、更により好ましくは8μm以上、その上更により好ましくは10μm以上、最も好ましくは15μm以上の厚さを有する、より一般的な本発明の基材である。
【0118】
更により好ましいのは、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、4μm~500μm、好ましくは5μm~450μm、更により好ましくは6μm~400μm、その上更により好ましくは8μm~350μm、最も好ましくは10μm~300μmの範囲の厚さを有する、より一般的な本発明の基材である。
【0119】
より好ましいのは、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、69以下、好ましくは68以下のL*値を有する、より一般的な本発明の基材である。
【0120】
更により好ましいのは、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、57~70、好ましくは58~69、より好ましくは59~68、最も好ましくは60~68の範囲のL*値を有する、より一般的な本発明の基材である。
【0121】
より好ましいのは、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、前記層の総重量を基準にして、0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、より好ましくは1重量%以上の総量の炭素を含む、より一般的な本発明の基材である。好ましくは、炭素は、前記層の総重量を基準にして、0.1重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~8重量%、より好ましくは1重量%~6重量%の範囲の総量で存在する。好ましくは、これは本発明の第1の基材にも明示的に適用される。
【0122】
より好ましいのは、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、前記層の総重量を基準にして、98重量%未満のクロム、好ましくは97重量%以下、より好ましくは96重量%以下、更により好ましくは95重量%以下、その上更により好ましくは94重量%以下を含む、より一般的な本発明の基材である。更により好ましいのは、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、前記層の総重量を基準にして、88重量%~98重量%、好ましくは89重量%~97重量%、より好ましくは90重量%~96重量%、最も好ましくは91重量%~95重量%の範囲の総量のクロムを含む、本発明の基材である。好ましくは、これは本発明の第1の基材にも明示的に適用される。
【0123】
より好ましいのは、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、好ましくは、前記層の総重量を基準にして、1重量%~5重量%の範囲、好ましくは1.5重量%~4重量%の範囲の総量の酸素を含む、より一般的な本発明の基材である。好ましくは、これは本発明の第1の基材にも明示的に適用される。
【0124】
場合によっては、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、硫黄を実質的に含まない、好ましくは硫黄を含まない、より一般的な本発明の基材が好ましい。
【0125】
より好ましいのは、クロム及びクロム合金層がそれぞれ、650~2000の範囲、好ましくは700~1700の範囲、より好ましくは750~1500の範囲、最も好ましくは800~1300の範囲の硬度(HV)を有する、より一般的な本発明の基材である。
【0126】
好ましくは、クロム、炭素及び酸素の量に関する前述の特徴は、それぞれクロム及びクロム合金層が3価クロム電気めっき組成物から析出される場合に典型的に得られる。これは、最も好ましくは、3価クロム電気めっき組成物からの析出から生じる典型的で非常に顕著な元素である炭素の存在に適用される。前述の特徴、最も具体的には炭素は、好ましくは、6価クロム電気めっき浴から析出した対応する層との典型的な区別である。
【0127】
適用可能であり、他に記載がない場合、より一般的な本発明の基材に関する前述の特徴は、好ましくは本発明の第1の基材にも適用される。
【0128】
本発明は、以下の非限定的な実施例によってより詳細に説明される。
【実施例】
【0129】
多くの実験のために、本発明によらない比較例についてはTable 1(表1)に、本発明による実施例についてはTable 2(表2)に示すように、それぞれの試験電気めっき組成物を調製した(体積:約850mL)。一般に、特に断らない限り、組成物は、約20g/Lの3価クロムイオン、約4mol/Lのギ酸アニオン、約90mmol/Lの臭化物イオン、及び約0.5mol/Lの塩化物イオンを含有した。組成物はホウ酸もホウ素含有化合物も含まず、2価の硫黄を含む有機化合物も含まなかった。pHはアンモニアで5.4に調整した。粒径、粒子濃度、層厚、カソード電流密度(CCDと略記)を変えて実験を行った(詳細はTable 1(表1)及びTable 2(表2)を参照)。
【0130】
各実験では、それぞれの電気めっき組成物に電気めっきを施し、基材(直径10mmの軟鋼棒)上にそれぞれのクロム又はクロム合金層を得た。アノードにはグラファイトアノードを用いた。電着は、攪拌下(450rpm)、50℃で30~60分間、様々な電流密度(Table 1(表1)及びTable 2(表2)を参照)で行った。層厚は、適用した電流密度によって、常に10μm~40μmの範囲内であった(Table 1(表1)及びTable 2(表2)を参照)。
【0131】
各実験(すなわち、比較例及び本発明による)において、それぞれのクロム又はクロム合金層は、1~5重量%の炭素を含んでいた。クロムの総量は98重量%未満であった。
【0132】
【0133】
【0134】
比較例のみを示すTable 1(表1)によれば、例(C1)~(C4)の比較電気めっき組成物では、粒子は使用されず、それにより、粒子を含まない3価クロム析出浴から得られる硬質クロム層をその上に有する基材の典型的な基準色が定義された。硬質クロム層は光沢があり、6価クロム析出浴から得られる層と比べて非常に類似した輝度を有する。
【0135】
Table 1(表1)によれば、多くの更なる実験(C5)~(C36)において、酸化アルミニウム粒子が利用され、複数のパラメータが変化した。本発明の文脈において、このような粒子は酸化物-水酸化物粒子ではなく、むしろ酸化物粒子のみである。
【0136】
比較例(C4)の比較電気めっき組成物を、塩化物なしで更に試験した(しかし、それ以外は同一である;データは示さず)。(C4)と比較して、光学的差異は観察されなかった。
【0137】
しかしながら、全ての比較例において、以下の色が決定された:L* 78~79;a* -0.1~+0.1;b* +0.6~+1。既に上述したように、各比較例において、析出層は銀のような輝度を有する光沢があった。
【0138】
【0139】
【0140】
本発明による実施例のみを示すTable 2(表2)によれば、全ての電気めっき組成物は酸化物-水酸化物粒子を含む。それから得られた硬質クロム層は、比較例と比べて光沢が少なく、特にくすんだつや消しの外観を示す。本発明による全ての実施例において、以下の色が決定された:L* 68~69;a* -0.1~+0.1;b* -0.1~+0.2。更に、本発明による全ての実施例において、光学的外観は同一であり、したがって、(E1)~(E33)にわたって変更された様々なパラメータから基本的に独立していた。更に、本発明による全ての実施例において、工程(c)後の硬度(HV)は700~800であり、それにより比較例(C1)~(C4)の工程(c)後に得られた硬度と比較してわずかに低かった。
【0141】
更に、(E8)を塩化物なしで更に試験した(しかし、それ以外は同一である;データは示さず)。(E8)又は本発明による他の実施例と比較して、光学的差異は観察されなかった。
【0142】
Table 2(表2)に示すように、酸化物-水酸化物の混合種のみが所望のつや消しの外観を示した。酸化物粒子種のみを利用した比較実験では、所望の輝度変化は生じなかった。
【0143】
更に、ひび割れの数と幅を調べた。(C1)~(C4)と(C5)~(C12)を比較したところ、酸化物粒子を利用することで、層断面でカウントされる微小ひび割れの数が約10%減少することがわかった。しかし、(C1)~(C4)を本発明の全ての実施例と比較すると、酸化物-水酸化物粒子が存在する場合、60~80%の減少を示した。
【0144】
更に、酸化物-水酸化物粒子の存在は、残存するひび割れの幅を著しく減少させる。
【0145】
興味深いことに、(C13)~(C36)は、(C1)~(C4)と比較して、全く改善が見られず、すなわちひび割れの数の減少を示さなかった。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上にクロム又はクロム合金層を析出させるための電気めっき組成物であって、
(i)3価クロムイオン、
(ii)前記3価クロムイオンに対する少なくとも1つの錯化剤、及び
(iii)少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子
を含む、電気めっき組成物。
【請求項2】
4.1~7.
0の範囲のpHを有する、請求項1に記載の電気めっき組成物。
【請求項3】
前記少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、アルミニウムを含む、請求項1又は2に記載の電気めっき組成物。
【請求項4】
前記少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、AlO(OH
)を含む、請求項
1に記載の電気めっき組成物。
【請求項5】
(iii)が、前記電気めっき組成物の総体積を基準にして、0.1g/L~200g/
Lの範囲の総量を有する、請求項
1に記載の電気めっき組成物。
【請求項6】
前記少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子が、0.1μm~15μ
mの範囲の粒径D
50を有する、請求項
1に記載の電気めっき組成物。
【請求項7】
基材上にクロム又はクロム合金層を析出させる方法であって、以下の
(a)前記基
材を準備する工程、
(b)クロム又はクロム合金層を析出させるための電気めっき組成物を準備する工程であって、前記組成物が、
(i)3価クロムイオン、
(ii)前記3価クロムイオンに対する少なくとも1つの錯化剤、及び
(iii)少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子、
を含む工程、
(c)前記基材を前記電気めっき組成物と接触させ、電流を印加して、前記基材の少なくとも一つの表面に前記クロム又はクロム合金層を析出させる工程、
を含む方法。
【請求項8】
工程(c)において、前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、1.1μm~500μ
mの範囲の厚さを有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(c)において、前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、CIELABによって定義される、70以下のL
*値を有する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
工程(c)において、前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、CIELABによって定義される、-2~+2の範囲のa
*値及び/又は-2~+2の範囲のb
*値を有する、請求項
7に記載の方法。
【請求項11】
工程(c)の後、前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、650~950の範
囲の硬度(HV)を有する、請求項
7に記載の方法。
【請求項12】
CIELABによって定義される、70以下のL
*値を有する硬質クロム又は硬質クロム合金層を析出させるための3価クロム電気めっき組成物における、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子の使用。
【請求項13】
クロム又はクロム合金層を含む基材であって、
- 任意選択で、それぞれ、前記基材と前記クロム又はクロム合金層との間の少なくとも1つのプレコーティング
を更に含み、
ここで、前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、少なくとも1種の酸化物-水酸化物粒子を含む、基材。
【請求項14】
前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、CIELABによって定義される、70以下のL
*値を有する、請求項13に記載の基材。
【請求項15】
クロム又はクロム合金層を含む基材であって、
- 任意選択で、それぞれ、前記基材と前記クロム又はクロム合金層との間の少なくとも1つのプレコーティング、
を更に含み、
ここで、前記クロム及びクロム合金層がそれぞれ、
- 炭素を含み、
- CIELABによって定義される、70以下のL
*値を有し、
- 4μm以上の厚さを有する、
基材。
【国際調査報告】