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特表2024-516009CO2をメタンに変換するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-11
(54)【発明の名称】CO2をメタンに変換するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 1/12 20060101AFI20240404BHJP
   B01J 23/83 20060101ALI20240404BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240404BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240404BHJP
   B01J 37/18 20060101ALI20240404BHJP
   C07C 9/04 20060101ALI20240404BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
C07C1/12
B01J23/83 Z
B01J37/02 101Z
B01J37/08
B01J37/18
B01J37/02 101C
C07C9/04
C07B61/00 300
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023566944
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 FR2022050745
(87)【国際公開番号】W WO2022229541
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】2104508
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523409049
【氏名又は名称】オラノ・シミ-オンリシスモン
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】レイ・チュオン-フック
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-マリオ・ニュット
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアーノ・ジャンバスティアーニ
(72)【発明者】
【氏名】クオン・ファム-フー
(72)【発明者】
【氏名】アレックス・ジョルダン
【テーマコード(参考)】
4G169
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB04C
4G169BB05C
4G169BB12C
4G169BB16C
4G169BC47A
4G169BC47B
4G169BC47C
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC68C
4G169CB02
4G169CB62
4G169DA06
4G169DA08
4G169EA01X
4G169EA02X
4G169EA02Y
4G169EA04X
4G169EA18
4G169EA19
4G169EB18Y
4G169EE03
4G169FA01
4G169FA02
4G169FB14
4G169FB18
4G169FB30
4G169FB44
4G169FB57
4G169FC02
4G169FC07
4G169FC08
4G169FC10
4H006AA02
4H006AC29
4H006BA21
4H006BA55
4H006BC13
4H006BE20
4H006BE41
4H039CA99
4H039CL00
(57)【要約】
本発明は、CO2をメタンに変換するための方法であって、触媒床を含む少なくとも1つのメタン化反応器内で、160℃から550℃の間の触媒床の温度、0.1MPaから1MPaの間の圧力において、10m3/kg/時から50m3/kg/時の間のガス毎時空間速度及び1から8の間のH2/CO2モル比で、水素を、CO2を含むガス供給材料と接触させ、触媒が、式UO2+x(式中、xは0.01から0.6の間である)の酸化ウランで作製された基質上に堆積されたNi金属を含有し、ニッケルの質量含量が、触媒の全質量に対してニッケル金属が5%から40%の間である、方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO2をメタンに変換するための方法であって、
- 水素を、触媒床を含む少なくとも1つのメタン化反応器内で、160℃から550℃の間に含まれる触媒床の温度、0.1MPaから1MPaの間に含まれる圧力において、10m3/kg/時から50m3/kg/時の間に含まれるガス毎時空間速度及び1から8の間に含まれるH2/CO2モル比で、水素を、CO2を含むガス供給材料と接触させ、
- 触媒が、式UO2+x(式中、xは0.01から0.6の間に含まれる)の酸化ウラン担体上に堆積されたNi金属を含み、そのニッケル質量含量が、触媒の全質量に対してニッケル金属が5%から40%の間に含まれ、
- 触媒が、下記の工程a)からc):
a)酸化ウラン(IV)及び/又は酸化ウラン(VI)から本質的になる担体前駆体に、ニッケル前駆体及び極性溶媒を含有する溶液を含浸させる工程と、
b)含浸させた担体前駆体を、空気中で、少なくとも250℃の温度でか焼する工程と、
c)含浸させ及びか焼した担体前駆体を、少なくとも300℃の温度で、水素下で還元する工程と
を含む方法によって調製される、方法。
【請求項2】
か焼工程の前に、含浸済み担体前駆体が200℃未満の温度で乾燥される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
担体前駆体が、U3O8、UO2、UO4、及びUO3から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
担体前駆体が、円筒又は多葉状の押出物、球、リング、ハニカム構造のモノリス、又は粉末の形をとる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ニッケル前駆体が、ニッケル水酸化物、ヒドロキシ炭酸塩、炭酸塩、及び硝酸塩から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
含浸工程a)が、乾式含浸又は過剰な含浸を実現する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
還元の工程c)が、メタン化反応器でin situで実施される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
CO2及び水素を含むガス供給材料が、下向き方向にメタン化反応器に別々に送られ又はメタン化反応器内で混合される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
メタン化反応器が、断熱反応器である、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
メタン化反応器が、固定化又は流動化触媒床を備える反応器である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
触媒床が固定床であり、触媒床が、誘導によって触媒床を加熱するように交流電磁場に供される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
固定触媒床が、サセプター粒子を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
再生可能エネルギー源を用いて実施される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
反応器が、固定触媒床を備える反応器であり、ガス毎時空間速度が、少なくとも15m3/kg/時に固定されて触媒床の温度TCを少なくとも200℃で維持するようになされ、それによって変換反応が、外部の熱の付加なしで実施される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
式UO2+x(式中、xは0.01から0.6の間に含まれる)の酸化ウラン担体上に堆積されたニッケル金属を含むCO2メタン化触媒を調製するための方法であって、ニッケルの質量含量が、触媒の全質量に対してニッケル金属が5%から40%の間に含まれ、方法が、下記の工程a)からc):
a) 酸化ウラン(IV)及び/又は酸化ウラン(VI)から本質的になる担体前駆体に、ニッケル前駆体及び極性溶媒を含有する溶液を含浸させる工程と、
b) 含浸済み担体前駆体を、空気中で及び少なくとも250℃の温度でか焼する工程と、
c) 含浸済み及びか焼済み担体前駆体を、水素下で、少なくとも300℃の温度で還元する工程と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化ウランをベースにした担体上に分散させたニッケル系触媒を使用して、水素の存在下、二酸化炭素をメタンに触媒変換するための方法(メタン化法)に関する。
【背景技術】
【0002】
適度な消費慣行と組み合わせた持続可能なエネルギー生成は、我々の文明にとって挑戦である。ここ10年にわたる、世界のエネルギー需要が継続して増大し且つ地球温暖化の問題に対する集団的意識は、再生可能な供給源から電気エネルギーを生成するための手段の開発に繋がってきた。
【0003】
しかしながら、エネルギー景観への再生可能エネルギー源のこの巨大な一体化は、配電ネットワークを管理する課題に直面する。これらの供給源のほとんど、特に風及びソーラー源の、断続的及び局在化した性質は、電気エネルギーの生成と需要との間の何時でも、これらのネットワークのバランスを複雑にする。このため、再生可能エネルギー生成手段の効率の降下の場合にそこから容易に利益が得られるように、余剰電力の保存を管理できる必要性が加えられた。
【0004】
現行の保存手段は、限られた量のエネルギーしか保存可能ではなく、したがって短期間、最長でも数日にわたる延長の必要性を満たすことができるだけである。
【0005】
近年、従来の技術に対する代替の保存手段の考えが生じており、化学形態で使用することを提案している。したがってパワーツーガスと呼ばれるこの保存手段は、電気エネルギーをガスに、例えば水素又はメタンに変換し、保存ベクターとして使用される。この化学的保存には、現在実現されているシステムの場合と比較して長期間にわたって維持できるという利点がある。
【0006】
電気エネルギーからガスへの変換は更に、家庭用暖房、工業使用、又はその他のパーソナルモビリティー等、このエネルギーの最終使用に数多くの可能性を提供する。
【0007】
パワーツーガス法は特に、選択された保存ガスに応じて1つ又は2つの変換工程の実現からなる。このベクターは、太陽若しくは風力エネルギーによって供給された水力の電気分解によって生成された水素、又は水素及び二酸化炭素のメタンへの変換を実施するメタン化工程と呼ばれる第2の工程で生成されたメタンのいずれかとすることができる。工業の副生成物と見なされるCO2の回収を可能にするのに加え、この追加の工程を実施することは、制約並びにエネルギーベクターの保存、分布、及び最終使用に適応するコストを、制限するのを可能にする。
【0008】
メタン化反応は、水素の存在下でCO2をメタン及び水に変換する(化学式1)。
CO2+4H2→CH4+2H2O 方程式1。
【0009】
この反応は強力に発熱的であり、著しい熱を放出する(ΔH°298K = -165.0 kJ/mol)。Le Chatelierの原理によれば、メタンの形成は低温で及び高圧下が好ましい。しかしながらCO2分子は、2つのO=C二重結合から構成される安定な線形分子であり、したがってこの分子を活性化するために過剰なエネルギーを提供する及びこの反応の著しい動態的制約を克服するのに触媒を使用する必要がある。
【0010】
この反応の活性化のためのエネルギー障壁を低減させる触媒を開発するのに実施された数多くの研究は、貴金属をベースにする触媒が特に活性であるがそれらの高い価格がそれらの使用の制限を構成することを示していた。担体上に分散されたNiをベースにする触媒は、それらの良好な触媒性能及びそれらの比較的低い価格に起因して、COx(x=1、2)のメタン化に関して最も将来性があるようである。一般に使用されるニッケル触媒担体は、Al2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、及びCeO2等の酸化物である。それらの中でNi/SiO2及びNi/Al2O3は、それらの良好な初期活性により広く研究されてきたが、高温で使用したときに、活性相の粒子の焼結(活性部位の数の低減)及び著しい炭素堆積(コークス)に起因した不活化現象を被り、したがって活性部位に対する試薬のアクセスが遮断される。現在、Al2O3担体上に支持されたNiをベースにする触媒は、Johnson Matthey社、Haldor-Topsoe社、又はClariant-Sud Chemie社等の製造業者から入手可能である。
【0011】
Berry等(Applied Catalysis A: General 100 (1993) 131-143)の刊行物は、CO2メタン化反応に有用なNi及び酸化ウランをベースにした触媒に焦点を当てる従来技術でも公知である。触媒は、室温で凝固する粘性残留物が形成されるまで硝酸ニッケル及び硝酸ウラニルを含有する水性溶液を蒸発させることによって調製される。次いでこのように得られた固体を空気中で、1000℃の温度でか焼する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Berry等(Applied Catalysis A: General 100 (1993) 131-143)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、特にCO2変換率、CH4選択性、生産性に関していくつかの基準を満たす、並びに特に350℃未満、及び好ましくは300℃未満、又は更に260℃未満の温度で操作することができる、CO2メタン化法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって本発明は、CO2をメタンに変換するための方法であって、
- 触媒床を含む少なくとも1つのメタン化反応器内で、160℃から550℃の間に含まれる触媒床の温度、0.1MPaから1MPaの間に含まれる圧力において、10m3/kg/時から50m3/kg/時の間に含まれるガス毎時空間速度及び1から8の間に含まれるH2/CO2モル比で、水素を、CO2を含むガス供給材料と接触させ、
- 触媒が、式UO2+x(式中、xは0.01から0.6の間に含まれる)の酸化ウラン担体上に堆積されたNi金属を含有し、そのニッケル質量含量が、触媒の全質量に対してニッケル金属が5%から40%の間に含まれ、
- 触媒が、下記の工程a)からc):
a)酸化ウラン(IV)及び/又は酸化ウラン(VI)から本質的になる担体前駆体に、ニッケル前駆体及び極性溶媒を含有する溶液を含浸させる工程と、
b)含浸させた担体前駆体を、空気中で、少なくとも250℃の温度でか焼する工程と、
c)含浸させ及びか焼した担体前駆体を、少なくとも300℃の温度で、水素下で還元する工程と
を含む方法によって調製される、方法に関する。
【0015】
意外にも、本出願人は、酸化ウランUO2+x(式中、xは0.01から0.6の間に含まれる)をベースにした担体上で分散したニッケル金属を含む触媒の使用が、CO2からメタンへの変換に関して悪化した活性を有し、したがって方法は、従来技術の場合よりも低い温度で実施でき、一方、CH4での高収率が及び選択性が維持される、即ちそれぞれ60%よりも大きく100%に近いことを見出した。
【0016】
「酸化ウラン(IV)及び/又は酸化ウラン(VI)から本質的になる」という用語は、その酸化ウラン(IV)及び/又は酸化ウラン(VI)含量が少なくとも90質量%である担体を意味することが理解される。
【0017】
触媒床の温度は、当業者に公知の任意の方法によって、例えば前記床内に配置された1つ又は複数の熱電対を用いて、又はレーザーパイロメーターによって、測定することができる。
【0018】
特定の実施形態によれば、方法は、単独で又は全ての技術的に可能性ある組合せで得られる、以下の特徴の1つ又は複数を含む。
【0019】
触媒を調製するための方法は、か焼工程b)の前に、含浸溶液から特に溶媒を除去するために、含浸済み担体前駆体を200℃未満の温度で乾燥させる工程を含んでいてもよい。好ましくは、溶液は極性溶媒を含有し、ニッケル前駆体が可溶化される。好ましくは、ニッケル前駆体を含有する水性溶液である。
【0020】
好ましくは、か焼工程b)は、少なくとも300℃の温度で少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間実施される。
【0021】
好ましくは、還元工程c)は、少なくとも350℃の温度で少なくとも1時間、好ましくは少なくとも2時間実施される。還元に必要な水素は、純粋な水素の形で提供される。この還元工程は、酸化ウラン(VI)又は酸化ウラン(IV)及び酸化ウラン(VI)(例えば、U3O8)をUO2+xに変換するだけではなく、ニッケル金属を形成する。
【0022】
酸化ウラン(IV)及び/又は酸化ウラン(VI)をベースにした担体前駆体は、UO2、UO3、UO4、及びU3O8から選択することができる。好ましくは担体前駆体は、U3O8である。
【0023】
本発明によれば、担体前駆体は、任意の形をとることができる。例えば担体前駆体は、円筒状又は多葉状の押出物、球、又は様々な粒度の粉末の形をとるモルホロジーを有する。一実施形態によれば、担体の前駆体が粉末であるとき、ニッケル前駆体に含浸させる工程の後、有利に成形することができる(例えばビーズ又は押出物)。
【0024】
含浸工程では、ニッケル前駆体は、ニッケル水酸化物、ヒドロキシ炭酸塩、炭酸塩、硝酸塩から選択することができ、好ましくは硝酸ニッケルである。ニッケル前駆体に含浸させる工程a)は、乾燥又は過剰な含浸方法を使用して実施することができる。
【0025】
工程c)は、ex situ又はin situで実施することができ、即ちメタン化反応器内で直接実施することができる。
【0026】
変換方法を実施するため、水素及びCO2を別々に、例えば下流方向でメタン化反応器内に送る。或いは、メタン反応器に送る前に2種のガス試薬を混合する。
【0027】
メタン化反応器は、断熱、等温、又は混成型の反応器である。好ましくはメタン化反応器は、固定された又は流動化された触媒床を備えた断熱反応器である。反応器の加熱は、当業者に公知の方法によって、例えば内部(蛇行型)又は外部熱交換器システムの触媒床に配置された抵抗を用いて、実施することができる。
【0028】
一実施形態によれば、触媒床は固定床であり、触媒床は、誘導によって触媒床が加熱されるように交流電磁場に供される。
【0029】
誘導加熱を促進させるために、触媒床は有利にはサセプターを、即ち交流電磁場に供されたときに電磁エネルギーを熱に変換することが可能であり且つ触媒に伝達する要素を含む。これは特にサセプター材料の電気的及び磁気的性質に依存する、サセプターで誘導されたヒステリシス損失及び/又は渦電流の結果となり得る。ヒステリシス損失は、強磁性又はフェリ磁性サセプターで生じ、材料が交流電磁場の影響に供されたときに材料内の磁気ドメインの切換から得られる。渦電流は、サセプターが導電性である場合に誘導することができる。導電性の強磁性又はフェリ磁性サセプターの場合、熱は渦電流及びヒステリシス損失の両方により発生させることができる。この場合、加熱は、それが接触している触媒の表面に熱を伝達するサセプターの表面で、本質的に実施される。例えばサセプターは、炭素質/黒鉛状材料、目標とする反応に関して反応しない金属又は金属合金、例えばアルミニウム、鉄、銅、ブロンズ、ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、及びオーステナイト系ステンレス鋼等から選択することができる。サセプターは、触媒に直接接触することができ、又は触媒への熱の急速且つ均質な移動を可能にするように非断熱壁によって触媒から分離することができる。
【0030】
有利には、エネルギー転換の課題に対処するために、本発明による方法は、再生可能エネルギー源を化学形態で保存するために、再生可能エネルギー源を用いて実施される。
【0031】
一実施形態によれば、変換方法は固定触媒床を備えた反応器を使用し、ガス毎時空間速度は、触媒床の温度を少なくとも200℃に維持するように少なくとも15m3/kg/時の値に固定され、それによって変換反応は外部の熱の付加なしで実施される。
【0032】
本発明は、式UO2+x(式中、xは0.01から0.6の間に含まれる)の酸化ウラン担体上に堆積されたニッケル金属を含む、CO2メタン化触媒であって、ニッケル金属の質量含量が、触媒の全質量に対してNiが5%から40%の間に含まれる、CO2メタン化触媒にも関する。好ましくは本発明による触媒は、式UO2+x(式中、xは0.01から0.6の間に含まれる)の酸化ウラン担体上に堆積されたニッケル金属からなる。
【0033】
ニッケル金属含量は、好ましくは、触媒の全質量に対してニッケルが10%から20質量%の間に含まれる。
【0034】
最後に本発明は、式UO2+x(式中、xは0.01から0.6の間に含まれる)の酸化ウラン担体上に堆積されたニッケル金属を含むCO2メタン化触媒を調製するための方法であって、ニッケル金属の質量含量が、触媒の全質量に対してNiが5%から40%の間に含まれ、方法が、下記の工程a)からc):
a) 酸化ウラン(IV)及び/又は酸化ウラン(VI)から本質的になる担体前駆体に、ニッケル前駆体及び極性溶媒を含有する溶液を含浸させる工程と、
b) 含浸済み担体前駆体を、空気中で及び少なくとも250℃の温度でか焼する工程と、
c) 含浸済み及びか焼済み担体前駆体を、水素下で、少なくとも300℃の温度で還元する工程と
を含む、方法に関する。
【0035】
ガス供給材料の説明
本発明による方法は、30%よりも大きい、好ましくは50%よりも大きい、更になお良好には90%よりも大きいCO2体積含量を有するガス供給材料の処理を可能にする。或いは、CO2を含有するガス供給材料は、最大50%の体積含量を有していてもよいメタンと混合され得る。
【0036】
このガスCO2供給材料は、例えば、バイオマスメタン化ユニット、ガス化ユニット、油精製ユニット、又はセメント工場からのガス流出物である。CO2 は、CO2 捕捉ユニットから来ることもできる。
【0037】
ガス水素チャージ(H2)では、水の電気分解から得ることができ又は重質石油カット用の触媒改質ユニットから来ることができる。
【0038】
再生可能エネルギーを化学形態で保存させるパワーツーガス法の概念の部分である好ましい実施形態によれば、水素は、ソーラー又は風力発電所により電力供給される水電気分解ユニットで生成される。
【0039】
好ましくは、この充填材のH2体積含量は90%よりも大きく、好ましくは95%よりも大きい。
【0040】
本発明によれば、CO2及び二水素供給材料を混合し、その後、メタン化反応器(好ましい操作形態)に送ることができ又はそうでない場合にはメタン化反応器に別々に分配することができる。変換反応は、そのH2/CO2モル比が1から8の間に含まれ、好ましくは1から4の間に含まれ、より好ましくは4に等しいガス混合物の存在下で実施される。
【0041】
本発明によるメタン化触媒の説明
本発明によるメタン化方法は、式UO2+x(式中、xは0.01から0.6の間に含まれる)に相当する酸化ウラン上に支持された金属ニッケルを含む不均一系触媒を使用する。
【0042】
ニッケルは、触媒の全質量に対してNi金属が5%から40%の間に含まれる質量含量で、触媒中に存在する。好ましくはNi金属の質量含量は、触媒の全質量に対して10%から20%の間に含まれる。
【0043】
本発明による触媒は、特に担体の前駆体への、ニッケル塩を含有する溶液の含浸、次いで含浸済み担体のか焼、及び最終的なか焼生成物の水素下での還元によって得られる点が、Applied Catalysis A: General 100 (1993) 131-143に記載される従来技術の場合と異なる。有利には、特にか焼処理時間を短縮するために、含浸担体を乾燥工程に供し、その後、か焼工程に供する。
【0044】
本発明の文脈において、酸化ウランをベースにした担体前駆体は、ウラン235(U235)における天然ウランを濃縮するための原子力部門から来ることができ、「劣化ウラン」と呼ばれるウランを提供し、即ちそのU235の質量含量は0.7%未満であり、一般に0.2%から0.4%の間に含まれるものである。
【0045】
触媒合成法の第1の工程では、酸化ウラン系担体前駆体に、可溶性ニッケル塩を含有する溶液を含浸させる。溶液は、好ましくは水である極性溶媒を含有し、ニッケル水酸化物、ヒドロキシ炭酸塩、炭酸塩、及び硝酸塩から選択することができるニッケル塩を溶解させる。含浸溶液のニッケル含量は、任意の値をとることができるが、好ましくはこの値は、使用される溶媒中の塩の飽和未満である。好ましくは、含浸溶液の飽和を回避しつつ、可溶性ニッケル塩が最も濃縮された溶液が利用される。本発明による触媒が高Ni含量(例えば、20%よりも多い)を含有する場合、必要に応じて中間乾燥及びか焼工程と共に担体の逐次含浸により進行させることが可能である。
【0046】
担体の前駆体は、小さい直径の円筒状又は多葉状の押出物(三つ葉、四つ葉等)の形、球、リング、ハニカム構造のモノリス、又は粉末の形で見出すことができる。
【0047】
前駆体のBET比表面積は一般に、1m2/gから10m2/gの間、好ましくは1m2/gから5m2/gの間に含まれる。比表面積は、窒素ポロシメトリーによって決定される。
【0048】
前記担体前駆体を、ニッケルを含有する含浸溶液と接触させる工程は、スラリー含浸によって又は過剰な含浸によって、又は乾式含浸によって、又は当業者に公知の任意のその他の手段によって実施することができる。平衡(又は過剰)時の含浸は、溶液と担体又は触媒との間の交換を改善するように撹拌下で系を維持しつつ、担体の多孔質容量よりも(しばしば著しく)大きい体積の溶液中に、担体を浸漬することからなる。平衡は、最終的には、担体の細孔中での種々の化学種の拡散後に到達する。堆積された元素の量の制御は、例えば溶液中に含有される堆積されることになる元素の濃度を、この溶液と平衡に固体上に堆積された元素の量に関係付けるのを可能にする吸着等温線の従来の測定によって、確実になる。
【0049】
次に乾式含浸は、担体の多孔質容積に等しい体積の含浸溶液を導入することにある。乾式含浸は、含浸溶液に含有される全ての添加剤を、所与の担体又は触媒上に体積させる。
【0050】
ニッケル溶液含浸工程は、有利には、過剰な溶液中での1回又は複数回の含浸によって、又は好ましくは1回又は複数回の乾式含浸によって、実施することができる。
【0051】
この含浸工程は、18℃から50℃の間、好ましくは20℃から30℃の間に含まれる温度で実施することができる。
【0052】
工程a)の終わりに、含浸済み担体は、有利には、担体内での含浸溶液の均質分散が可能になるように成熟させることができる。任意の成熟工程は、有利には、大気圧で、18℃から50℃の間に含まれる温度で、好ましくは室温で実施される。一般に、10分から48時間に間に含まれ、好ましくは30分から6時間の間に含まれる成熟が、十分である。
【0053】
担体前駆体が粉末であるとき、ニッケル前駆体を含浸させる工程の後、ニッケル前駆体を有利には、例えば球形化によって又は押出しによって成形する。
【0054】
含浸後の担体前駆体は、必要に応じて、200℃よりも低い、有利には50℃から150℃の間、好ましくは70℃から150℃の間、非常に好ましくは75℃から130℃の間に含まれる温度で乾燥工程に供される。乾燥工程は、好ましくは酸素を含有する雰囲気下で、好ましくは空気の下で実施される。乾燥工程は、当業者に公知の任意の技法により実施することができる。有利には、大気圧で又は減圧で実施される。好ましくは、この工程は、大気圧で実施される。有利には、空気又は任意のその他の高温ガスを使用して、交差床で実施される。好ましくは、乾燥が固定床で実施されるとき、使用されるガスは空気、又はアルゴン若しくは窒素等の不活性ガスのいずれかである。非常に好ましくは、乾燥は、空気中の交差床で実施される。好ましくは、乾燥工程は、5分から15時間の間に含まれる、好ましくは2時間から12時間の間に含まれる持続時間を有する。
【0055】
含浸、成熟、及び/又は乾燥工程は、担体前駆体上に堆積されたニッケルの所望の量が実現されるまで、連続して数回反復できることに留意すべきである。
【0056】
次いで必要に応じて成熟され乾燥された含浸済み担体前駆体を、酸化雰囲気下で、好ましくは空気の下又は希薄酸素の下で、少なくとも250℃、好ましくは少なくとも300℃の温度でか焼工程に供する。典型的には、含浸済み前駆体を、300℃から500℃の間に含まれる温度で、空気中で1時間から5時間か焼する。
【0057】
本発明によるメタン化触媒の含浸は、その後、か焼工程中に発生したニッケルの酸化形態の少なくとも部分をニッケル金属に変換し、且つ酸化ウラン(VI)又は酸化ウラン(IV)及び酸化ウラン(VI)をUO2+xに変換するために還元工程で活性化することを必要とする。このため、触媒を、純粋な又は希薄水素に、少なくとも300℃に等しい、好ましくは350℃から500℃の間に含まれる温度で、少なくとも1時間、好ましくは2時間から5時間の間の時間にわたり接触させる。この還元による活性化は、ex situで専用の還元反応器内で又はin situで、即ちメタン化反応器で直接、前記反応器内に投入した後に実施することができる。
【0058】
活性化触媒は一般に、窒素吸着等温線によって測定された、1m2/gから10m2/gの間に含まれる、好ましくは2m2/gから6m2/gの間に含まれるBET比表面積を有する。
【0059】
本発明による触媒は、少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%のCH4収率と100%に近いCH4選択率とをもたらす、CO2のメタン化に関して優れた触媒活性を有する。
【0060】
本発明によるメタン化法の実施
本発明によるCO2メタン化法は、反応器内で、主にCO2を含有するガス供給材料、水素、及び上述の触媒を接触させることにある。本発明の文脈において、CO2 を含有するガス供給材料は、水素の流れと混合することができ、次いで混合物を、触媒を含有する反応器に送る。
【0061】
触媒との接触は、断熱、等温又は混成反応器で実施することができる。「断熱反応器」は、外部環境と熱を交換しない反応器を意味し;次いで発熱メタン化反応により放出された熱は、反応を刺激するのに使用され、過剰な熱部は反応器から引き出された流出物によって排出される。
【0062】
「等温反応器」は、反応熱の局所放出を相殺させる流体の循環によって、冷却される反応器を意味する。
【0063】
最後に、「混成反応器」は、2つの前述の特長を組み合わせる反応器を示すと理解され、冷却流が、反応からの熱の局所放出を部分的に相殺するように適用され、しかし反応器内には著しい温度勾配が依然として存在する。
【0064】
ガス試薬は本発明による触媒と、160℃から550℃の間に含まれる、好ましくは180℃から350℃の間に含まれる触媒床の温度で接触する。
【0065】
本発明による方法は、10m3/kg/時から50m3/kg/時の間に含まれる、好ましくは15m3/kg/時から30m3/kg/時の間に含まれる、m3/時を単位とするガス流量とkgを単位とする触媒の質量との間の比であるガス毎時空間速度、及び1から8(mol/mol)の間に含まれ、好ましくは1から4(mol/mol)の間に含まれ、更に3から4の間に含まれ、更に良好には4に等しいH2/CO2のモル比で操作する。
【0066】
ガス供給材料は、下向き又は上向き方向で、好ましくは下向き方向で、反応器の底部で反応生成物を引き出す状態で、反応器内に送ることができる。
【0067】
本発明による触媒は、固定床又は流動床反応器で使用することができる。
【0068】
反応器が固定床タイプのものの場合、複数の穿孔されたチューブを含んでいてもよく、そこにはおそらく充填要素と共に触媒が内部に配置されている。或いは固定触媒床は、その直径が反応器の内径に相当し且つそれらの間におそらくは充填要素と共に触媒が配置されている、穿孔された下部及び上部プレートによって区切ることができる。
【0069】
反応器内に供給されるのに必要な熱エネルギーは、当業者に公知の任意の方法によって、特に内部(蛇行型)又は外部熱交換器システムで、ジュール効果によって、マイクロ波によって、及び誘導加熱によって供給することができる。
【0070】
意外にも、本発明による触媒は、交流電磁場の作用下で加熱することが可能であることが観察された。
【0071】
好ましい実施形態によれば、メタン化反応器は、エネルギー源と接触することなく加熱を引き起こす、交流電磁場に供される固定触媒床を使用する。この加熱形態は、触媒との反応のみに必要なエネルギーを提供させ、一方、触媒床に進入し離れるガス試薬は加熱も冷却もされない。
【0072】
本発明によれば、誘導加熱の効率を改善するために、触媒床は、本発明による触媒と、その役割が追加の熱を触媒に伝えることである導電性材料(サセプター)との混合物を含むことができる。サセプターの使用は、触媒が、触媒の全質量に対して15%未満の質量ニッケル含量を有するときに推奨される。例えばサセプター材料は、炭素質/黒鉛状材料、目標の反応に関して反応性のない金属又は金属の合金、例えばアルミニウム、鉄、銅、ブロンズ、ステンレス鋼、フェライト系ステンレス鋼、マルテンサイト系ステンレス鋼、及びオーステナイト系ステンレス鋼等から選択することができる。代替の実施形態によれば、サセプターは、熱を触媒に伝達させる非断熱壁を通して触媒床から分離される。
【0073】
誘導加熱によるこの実現には、いくつかの利点がある:
・ 触媒床内の温度の正確な調節;
・ 触媒床の温度を上下させる極めて迅速な調節;
・ 進入する試薬を加熱せず、したがって反応によって放出された熱エネルギーを効率的に抽出するのに寄与する;
・ その周囲環境ではなく触媒のみが加熱される範囲まで、触媒床の排気及び温度の維持がなされ、熱の暴走のリスクを最小限に抑えることが可能になる;
・ 改善されたエネルギー効率;
・ 固体のみが加熱されるので、反応によって発生した水蒸気を、触媒粒の間の空の空間で部分的に凝縮することができ、したがって触媒表面上で競合する吸着の問題を低減させることにより、試薬の変換が促進される。
【0074】
誘導加熱を実施するため、反応器は、電磁場を発生させることが可能な誘導デバイスを含む。誘導デバイスは、それが発生させる磁場が触媒床の厚さに本質的に垂直になるよう触媒床を取り囲むように、反応器内に配置することができる。第2の実施形態によれば、誘導デバイスは、触媒床に、しかし反応器の壁の外側又は中に配置される。この第2の実施形態には、化学的環境からインダクターが切り離され、したがってインダクターのより容易な制御が可能になるという利点がある。しかしながら、この第2の実施形態では、例えばガラス又はセラミック等の非導電性材料で作製された反応器を使用することが好ましくなる。アセンブリは、別の外部エンクロージャーによって保護することができる。
【0075】
誘導デバイスは、例えば、非限定的な手法で、固定触媒床の厚さにわたって延びる螺旋誘導コイルであり又はそうでない場合には、その高さが触媒床の厚さに実質的に相当するリングを形成する部分である。
【0076】
本発明による触媒は、6g/cm3から12g/cm3程度の高い密度及び2m2/gから6m2/g程度の比較的低い比表面積を有するので、このタイプの誘導加熱に特に適していることに留意すべきである。
【0077】
誘導加熱によって提供される別の利点は、熱交換器システムを使用する専用の凝縮ユニットを用いる必要なしに、CO2の変換中に形成された水を容易に分離させることである。事実、触媒床のみが加熱に供される限り、メタン及び水の混合物を含有するガス流出物は、反応器の出口で突然の冷却を受け(「急冷」現象)、次いで液体状態の水の少なくとも部分的凝縮を引き起こす。反応器から引き出される流出物は、おそらくは未反応のCO2及び水素と混合されたメタンを含有する気相と、水からなる液相とを分離するため、分離フラスコに送ることができる。
【0078】
本発明による触媒の、悪化した触媒活性に起因して、本発明者等は意外にも、CO2変換法を、「自動メタン化」モードと呼ばれるモードで特定の動作条件下で実施でき、触媒床内で放出された熱は、外部エネルギー供給を必要とすることなく反応を維持するのに十分であることに気付いた。
【0079】
この動作の「自動メタン化」モードは、反応器が固定触媒床と共に使用されるときに可能であり、そのガス毎時空間速度は、3から4の間に含まれる、好ましくは4に等しいH2/CO2モル比を有するガス混合物の存在下で少なくとも15m3/kg/時であり、触媒床での熱流の安定化後、触媒床内の温度は200℃から450℃の間、好ましくは220℃から300℃の間に含まれる。
【0080】
反応器内の熱暴走のリスクを制限するために、いくつかの尺度を単独で又は組み合わせて得ることができる。したがって下記のようになるよう選択することができる:
i) 反応流の希釈に取り組むように:反応を開始したとき、より希釈された流れ(不活性ガスを添加することによる)を、反応によって放出された熱を低減させるために使用することができ、次いで反応の最適温度に達したとき、試薬の濃度は、試薬の変換を促進させるために段階的に増大すると共に、反応によって放出された熱と排出された熱との間の平衡が維持されて、制御するのが難しい突然の熱暴走を引き起こさなくなる;
ii) 上述の誘導加熱の調節に関して、ジュール効果加熱を高い熱慣性と置き換える;
iii) 熱を除去するため、冷却流体の循環を用いて反応器の強制冷却を適用し、したがって反応温度が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1A】間接的なジュール加熱下で触媒試験を実施するのに本発明者等によって使用されるアセンブリを、概略的に示す図である。
図1B】触媒床の誘導加熱を可能にするアセンブリを、概略的に示す図である。
図2A】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が10L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x触媒での試験中に得られた、TFと示される炉内温度の関数としてのメタン収率を示すグラフである。
図2B】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が10L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x触媒での試験中に得られた炉内温度の関数としての触媒床の温度の変動を示すグラフである。
図2C】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が10L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x触媒での試験中に得られた触媒床温度の関数としてのメタン収率を示すグラフである。
図3A】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が15L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x触媒での試験中に得られた炉内温度の関数としての触媒床の温度の変動を示すグラフである。
図3B】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が20L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x触媒での試験中に得られた炉内温度の関数としての触媒床の温度の変動を示すグラフである。
図3C】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が25L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x触媒での試験中に得られた炉内温度の関数としての触媒床の温度の変動を示すグラフである。
図3D】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が30L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x触媒での試験中に得られた炉内温度の関数としての触媒床の温度の変動を示すグラフである。
図4A】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が15L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x触媒での試験中に得られた触媒床の温度の関数としてのメタン収率を示すグラフである。
図4B】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が20L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x触媒での試験中に得られた触媒床の温度の関数としてのメタン収率を示すグラフである。
図4C】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が25L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x触媒での試験中に得られた触媒床の温度の関数としてのメタン収率を示すグラフである。
図4D】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が30L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x触媒での試験中に得られた触媒床の温度の関数としてのメタン収率を示すグラフである。
図5A】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が20L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x及びNi10/Al2O3触媒での試験中に得られた炉内温度の関数としてのメタン収率を示すグラフである。
図5B】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が20L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x及びNi10/Al2O3触媒での試験中に得られた炉内温度の関数としての触媒床の温度の変動を示すグラフである。
図5C】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が20L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni10/UO2+x及びNi10/Al2O3触媒での試験中に得られた触媒床の温度の関数としてのメタン収率を示すグラフである。
図6A】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が20L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni20/UO2+x触媒での試験中に得られた、触媒床の温度の関数としてのメタン収率を示すグラフである。
図6B】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が20L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni20/UO2+x触媒での試験中に得られた触媒床の温度の関数としてのメタン収率を示すグラフである。
図6C】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が20L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni20/UO2+x触媒での試験中に得られた触媒床の温度の関数としてのメタン収率を示すグラフである。
図7】H2/CO2モル比が4でありガス毎時空間速度が20L/g/時であるガス混合物の存在下、Ni20/UO2+x触媒で実施された触媒試験に関する時間の関数としてのメタン収率を示すグラフである。触媒床はコイルを使用する誘導によって加熱されたものである。
図8】触媒床がコイルを用いて誘導により既に加熱されている、ガス毎時空間速度20L/g/時の下、H2/CO2モル比が4であるガス混合物とのNi20/UO2+x触媒の存在下、「自動メタン化」モードでCO2からメタンに変換中の、機能的収率(functional yield)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0082】
図1Aは、触媒CO2変換反応の研究に使用されるマイクロパイロットデバイスの図である。デバイス1は、石英ウールの上層4と下層5との間に触媒床3を収容する内径DIが6mmのガラスエンクロージャー2を含む。反応性ガス用の入口6及び流出物用の出口7を含むエンクロージャー2は、炉の壁を取り囲む加熱構造9を備えた炉8に受容される。
【0083】
デバイスは、炉の壁に配置された第1の熱電対10、及び触媒床に浸漬された第2の熱電対11も備え、それぞれ試験中は炉の温度プロファイルTF及び触媒床の温度プロファイルTcに従う。
【0084】
マイクロパイロットには、ガスシリンダー:パージガスとして水素、二酸化炭素、及びアルゴンにより電力が供給される。ガス流量は、ソレノイド弁に連結された質量流量計によって測定され調節される。流入ガスの温度は、予熱器を通過させることによって調節され、その温度は、触媒反応器に供給する前に400℃まで調節することができる。本明細書に記述される動作モードは、間接的ジュール加熱下でのメタン化反応が意図される。
【0085】
反応器エンクロージャーの出口で回収されたガス流出物は、ガラス凝縮器を介して冷却され、次いでペルティエ効果凝縮器を介して冷却される(T≒10℃)。したがって水は、出力ガス流出物が分析されたとき、完全に凝縮されたと見なされる。
【0086】
マイクロパイロット内の動作圧力は、凝縮器の下流に位置付けられた調整弁によって調節される。
【0087】
したがって乾燥ガス流出物は、調整弁の下流で試料採取され、2つの異なるカラム:CO、CH4、及びH2を分離させるモレキュラーシーブカラム(MS5A)並びにとりわけCO2、メタン、エタン、エチレン、及びアセチレンの分液を可能にするポリマー吸着材カラム(PPU)を備えた気相マイクロクロマトグラフ(R3000、SRA Instrument)を使用して分析される。
【0088】
触媒変換試験を実施するため、二酸化炭素の前に水素を常に反応器内に導入する。反応温度を変更するとき、動作条件は、反応器内の温度及び反応器を離れるガス混合物の組成が安定化するまで維持される。この安定化に必要とされる時間は約40分である。次いで動作条件の定常状態から、触媒反応は少なくとも1時間維持される。
【0089】
試験の終わりに、触媒を放出する前に、アルゴン流の下、反応器温度を室温に低下させる。乾燥ガスの組成の分析及びその流量の測定は、CO2変換率の計算を可能にし、CH4選択率が得られる。
【0090】
CO2変換率は、下記の通り定義される:
【0091】
【数1】
【0092】
・ ACO2,入力=マイクロクロマトグラフによって測定された反応器に進入するガス流のCO2ピークの面積;
・ ACO2,出力=マイクロクロマトグラフによって測定された反応器から離れるガス流出物のCO2ピークの面積;
・ 出力流量=反応器を離れるガス流出物の流量;
・ 入力流量=反応器に進入するガス流(H2+CO2)の流量。
【0093】
メタン選択率が100%に等しいとき、CO2変換率は下記の方程式に従い計算することができる:
【0094】
【数2】
【0095】
式中、XCH4,出力は、流出物中のメタンのモル濃度である。
【0096】
上記関係式は、反応によって形成された水が出力凝縮器で完全に凝縮されること及びCOの形成はないことを考慮して書くこともできる:
【0097】
【数3】
【0098】
式中、Rは、反応混合物中のH2/CO2モル比である。
【0099】
最後の方程式は、形成されたメタンのモル濃度である1つの実験パラメーターxCH4,出力のみ使用し、その相対的不確実性は最も低い(5%未満)。
【0100】
メタン選択率が100%である限り、反応のメタン収率は、上記式により決定されたCO2変換率に等しい。
【0101】
本発明による触媒は、蒸留水の存在下、球形化によって成形されたU3O8粉末(Prolabo)から調製された。
【0102】
次いで得られたビーズに、乾式含浸技法を使用して硝酸ニッケルの水性溶液を含浸させる。U3O8ビーズの全細孔容積を、蒸留水溶液の乾式含浸によって決定した。
【0103】
硝酸ニッケルの水性溶液からの含浸による担体上へのニッケルの組込みは、その質量含量が触媒の全質量に対して10%、15%、及び20%のニッケルである触媒を提供するため、単一工程で実施された。
【0104】
含浸工程の終わりに、固体を空気中で3時間乾燥し、次いで密閉された管状反応器の空気中で、350℃で2時間、か焼する。
【0105】
か焼ビーズは、0.2mmから0.8mmの間の粒度を有する画分のみ回収するために篩にかけられる。
【0106】
変換反応で使用される前に、か焼ビーズを、350℃で2時間にわたる純粋な水素の流れ(50mL/分)の下、還元によって活性化させる。
【0107】
水素下で還元後の触媒のX線回折分析は、大部分がUO2相であり少量のU3O8及びニッケル金属の存在を示す。
【実施例
【0108】
以下の実施例において、毎時空間速度は、使用される触媒の量に関して表される。
【0109】
(実施例1)
間接的ジュール加熱下で、10L/g/時のガス毎時空間速度でのNi10/UO2+x触媒の評価
上述の方法により調製されたUO2+x担体上のNi触媒(10質量%)の触媒活性。
【0110】
触媒400mgを、事前に不活性希釈物として炭化ケイ素(SiC)と混合した。混合物をガラス反応器内に導入し、約12mmの厚さの触媒床を形成する。
【0111】
試験を、ガス混合物で実施し、そのH2/CO2比(mol/mol)は、ガス毎時空間速度10L/g/時、圧力0.1MPaで、4に等しく、炉内温度TF及び触媒床の温度Tcは下記の通りであった。
【0112】
図2Aを参照すると、CO2の変換率は、197℃よりも低い炉内温度TFでは低いままであることがわかる。この値を超えると、触媒反応が突然開始され、決定されたCO2変換率は、200℃の温度TFで約90%である。200℃超では、CO2変換率は、熱力学的平衡に近い、200℃超の温度で95%の値に向かう傾向にある漸近線に到達する。
【0113】
炉内温度TFの関数として触媒床の温度Tcの変動を示す図2Bを参照すると、炉内温度TFが197℃に到達したとき、測定された触媒床の温度TCは270℃程度のものになることに留意されたい。この約70℃の温度差ΔT(TC-TF)は、ガス流との交換によって触媒床から排出できない反応の発熱性によって放出された熱に相当する。この温度差は、図2Aで観察されたCO2変換率の上昇の理解を可能にする。
【0114】
触媒反応のモニタリングは、触媒床の温度TCの関数としてCO2の変換率を測定することによって、反応器冷却プロセス中も実施した。冷却は、H2及びCO2ガス流の注入を維持しつつ、設定炉内温度を低下させることによって実施した。目的は、反応により放出された熱のみのおかげでCO2の変換率の維持をもたらし得る炉内温度TFを低下させるとき、触媒プロセスのヒステリシスが観察可能であるか否かを決定することである。
【0115】
触媒床での温度の上昇及び降下中に触媒床で測定された温度TCの関数としてCH4収率を与える図2Cを参照すると、発熱性反応が触媒床で強力な熱を放出することがわかる。しかしながら、これらの反応条件下、触媒床内で放出された熱は、反応によって生成された熱と、反応器を離れるガス流出物により排出される熱との間で平衡状態を実現するのに不十分である。事実、炉内設定温度TFのゆっくりとした降下中、CO2変換率は温度TCと共に降下する。触媒ヒステリシスは、実施例1の動作条件下で観察されない。
【0116】
(実施例2)
間接的ジュール加熱下で、15、25、及び30L/g/時のガス毎時空間速度でのNi10/UO2+x触媒の評価
実施例2の試験は、触媒の全質量に対して10質量%のNiを含有する触媒の触媒挙動を、炉内温度の上昇及び降下段階中に更に高いガス毎時空間速度で研究するために、実施例1の場合と同じ反応器構成で実施した。これらの試験は特に、ヒステリシス(温度の上昇及び降下中の変換率の偏り)を観察できるか否かの決定を可能にする。
【0117】
図3Aから図3Dは、4に等しいH2/CO2モル比を含有するガス流の存在下、15、20、25、及び30L/g/時に等しいガス毎時空間速度の種々の値に関し、炉内温度の上昇及び降下の段階中の炉内温度TFの関数として、触媒床の温度TCの進化を表す。
【0118】
図4Aから図4Dに関し、それらは触媒床の温度の関数として並びに炉内温度の上昇及び降下の段階中の種々のガス毎時空間速度で、触媒のメタン化活性の代表例であるメタン収率を示す。
【0119】
Ni10/UO2+x触媒による及び15L/g/時よりも大きい又はそれに等しいガス毎時空間速度に関し、ヒステリシスは、炉内温度が低下したときに出現する。この現象は、ガス毎時空間速度が速いので、いっそう顕著である(図3Aから図3D)。事実、メタン化活性は徐々に低下するが、200℃よりも上の触媒床で測定された温度では依然として高いままである。
【0120】
触媒床で測定される最高温度TCは毎時空間速度と共に上昇し、炉内温度の降下中の触媒床の温度の降下は、ガス毎時空間速度が速いので更に速くならなくなることが、更に観察される。したがってこのことは、CO2の高い変換率によって発生した熱により触媒床の温度が維持されることを反映する(図4Aから図4D)。
【0121】
30L/g/時のガス毎時空間速度で実施される試験(図3D)の場合、炉を停止させたときであっても、炉の熱電対により表示される温度は90℃よりも高く維持され、触媒床で発生した熱の部分(その温度は、反応の発熱性のおかげで約220℃で維持される)は熱交換のおかげで炉内温度を維持するのに寄与することを、示すことに留意されたい。
【0122】
本発明による触媒システムは、ガス毎時空間速度が少なくとも25L/g/時であるとき(即ち、25m3/kg/時)に、触媒床の温度が200℃よりも大きい又はそれに等しい値のままである限り、反応によって放出される熱と試薬の流れと交換される熱との間に平衡が確立されるおかげで、「自動メタン化」モードで動作することが可能である。
【0123】
(実施例3)(比較)
間接的ジュール加熱の下、20L/g/時でNi10/UO2+x触媒と比較した、Ni10/ガンマ-アルミナ触媒の評価
比較試験を、実施例1の場合と同じ動作条件下で実施し、即ち、そのH2/CO2モル比が4であるガス混合物であるがアルミナ型担体(Al2O3)上のニッケルの質量含量を含む触媒の存在下で実施した。
【0124】
比較触媒は、下記の通り調製した:後にアルミナと呼ぶガンマ-Al2O3をベースにした担体は、押出物の形をとり(直径1mm及び長さ3mm、Ketjen 300B、Akzo Nobel社から供給)、硝酸ニッケルの水性溶液で、室温で乾式含浸される。材料を室温で3時間成熟させたままにし、次いで溶媒を排除するために110℃で、空気中で3時間乾燥する。乾燥材料を、空気中、350℃で2時間か焼する(温度上昇勾配は3℃/分)。このように得られた触媒前駆体を、純粋な水素の流れ(20mL/分)の下、350℃で2時間、触媒反応器で直接還元する。
【0125】
実験結果を、炉内温度の上昇及び降下の段階中の炉内温度TF及び触媒床Tcの関数としてメタン収率を与える図5A及び5Cで報告する。図5Aは、そのNi10/Al2O3対応物と比較した、Ni10/UO2+x触媒の優れたメタン化活性を確認する。
【0126】
図5Bは、炉内温度の上昇及び降下の段階中の炉内温度TFの関数として、触媒床の温度TCの進化を示す。Ni10/UO2+x触媒に関し、炉内温度が190℃を超えるとき、触媒床での温度の著しい上昇が測定される(320℃)。この上昇は、CO2からCH4へのより高い変換率によって説明される。Ni10/Al2O3触媒の場合、2つの温度の間で、より低い変換率を反映する非常に小さい差が観察される。
【0127】
図5Cを参照すると、CH4の等収率(iso-yield)で、Ni10/Al2O3触媒床の温度は、Ni10/UO2+x触媒床で測定された温度よりも常に高いことがわかる。例えば図5Cに示されるように、75%のCH4収率では、Ni10/Al2O3触媒を含有する触媒床で測定された温度は320℃であり、一方、Ni10/UO2触媒を含有する触媒床で測定された温度は220℃である。したがってこれらの結果は、Ni10/UO2+x触媒の強力な反応性を確認する。
【0128】
Ni10/Al2O3触媒の最も少ない触媒活性も、炉内温度が降下したときに、したがって温度プロファイルのヒステリシスが存在しないことにより、触媒活性が維持されないという事実によって明らかにされる。
【0129】
(実施例4)
間接的ジュール加熱の下、20L/g/時及び30L/g/時のガス毎時空間速度でのNi20/UO2+x触媒の評価
試験は、UO2+x担体上の触媒の全質量に対して20質量%のニッケルを含む触媒で実施した。この触媒は、硝酸ニッケルの水性溶液の二重乾式含浸により、実施例1の場合と同じプロトコールにより調製した。
【0130】
水素下での還元後の触媒を、2つのガス毎時空間速度20L/g/時及び30L/g/時の下、H2/CO2モル比が4のガス混合物で試験した。
【0131】
図6Aから図6Cはそれぞれ、炉内温度の降下段階に関し、炉内温度TFの関数としてCH4収率を、炉内温度の関数として触媒床の温度の変動を、最後に触媒床の温度TCの関数としてCH4収率を示す。
【0132】
20質量%のNiを含有する本発明による触媒は、優れた触媒活性を有することを観察することができる。CH4収率は、260℃から360℃の間に含まれる触媒床の温度範囲で、80%よりも大きいままである。図6A図6B、及び図6Cを参照すると、触媒は、炉内温度の降下中に自動メタン化モードで動作可能であることにも留意されたい。例えば、炉内で測定されたガス毎時空間速度30L/g/時及び温度90℃では、CH4収率は、触媒床の温度を約260℃の値で維持するおかげで80%よりも大きいままである。
【0133】
(実施例5)
誘導加熱下、低い温度及びガス毎時空間速度20L/g/時での、Ni20/UO2+x触媒の評価
試験は、UO2+x担体上の触媒の全質量に対して20質量%のニッケルを含む触媒で実施した。
【0134】
加熱を実施するのに使用されたデバイス12を図1Bに示す。
【0135】
内径8mmのガラス反応器14に収容された触媒床13は、熱希釈材として200mgの炭化ケイ素(SiC)と混合された800mgの触媒からなる層15を含む。触媒及びSiC混合物は、サセプターとして動作する黒鉛フェルト16の上方に堆積される。石英ウール17、18の2層の間に含まれる触媒床13の厚さは、約17mmと測定される。
【0136】
反応器14は、Ambrell Ltd社により販売されるEasyHeat 8310、10kW誘導加熱システムを用いて加熱される。このシステムは、コイル内を循環する水によって冷却される6回転銅誘導コイル19を備える。反応器は、触媒床が誘導コイルによって取り囲まれるように、コイル内に配置される。実時間温度制御は、触媒床を指すOptris(商標)レーザーパイロメーターに接続されたEurotherm 3504調整器によって提供される。
【0137】
H2下、300℃で30分間の触媒のin situ還元工程の後、触媒をAr下で160℃に冷却させる。反応混合物(1molのCO2、4molのH2に関して)を、ガス毎時空間速度20L/g/時で反応器に導入する。
【0138】
触媒床を徐々に誘導によって加熱して、レーザーパイロメーターにより測定された190℃の温度にする。試験中、触媒床の温度を、190℃の設定点温度に設定する。
【0139】
結果を図7に提示する。Ni20/UO2+x触媒は、190℃の触媒床の温度に関し、約62%の安定なCH4収率を有することがわかる。これらの結果は、Ni20/UO2触媒によりメタン化反応が、文献で報告された結果と比較して、比較的低い温度で実施されることを示す。更に、誘導は特に、固体触媒及びサセプターのみ加熱し、触媒床を通過するガス試薬は加熱せず、したがって方法へのエネルギー入力に関して有意な利得になる。触媒は、試験の持続時間中にいかなる不活化もなく、したがって触媒の優れた安定性が確認されることに、留意すべきである。
【0140】
(実施例6)
誘導加熱下、20L/g/時のガス毎時空間速度でのNi20/UO2+x触媒の評価
試験は、実施例5の場合と同じ触媒及び同じ反応器構成で実施した。
【0141】
実施例6は、触媒床を加熱するための条件が、実施例5とは異なる。触媒床は、誘導によって徐々に、インダクターに120アンペアの電流をかけることで、170℃の設定点温度に加熱される。次いで設定点温度は突然190℃に上昇し、これは230℃に到達する床内での温度上昇を伴う。触媒床でのこの発熱性は、触媒CO2変換反応の暴走を反映する。次いでインダクターに加えられる電流を23アンペアに低減させ、次いで完全にカットオフし、最後に誘導コイルを移動させて触媒床がその環境の外になるようにする。
【0142】
インダクターを停止した後のメタンへのCO2の変換の結果を、図8に提示する。本発明による触媒は、140分間の自動メタン化モード(外部からの熱供給なし)でCO2からCH4への約80%の変換率を実現させる。この試験中、触媒床で測定された温度は、触媒反応により放出された熱のおかげで220℃から230℃の間で振れることにも留意されたい。
【符号の説明】
【0143】
2 ガラスエンクロージャー
3 触媒床
4 上層
5 下層
6 入口
7 出口
8 炉
9 加熱構造
10 第1の熱電対
11 第2の熱電対
12 デバイス
13 触媒床
14 ガラス反応器
15 層
16 黒鉛フェルト
17 石英ウール
18 石英ウール
19 6回転銅誘導コイル
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
CO2をメタンに変換するための方法であって、
- 水素を、触媒床を含む少なくとも1つのメタン化反応器内で、160℃から550℃の間に含まれる触媒床の温度、0.1MPaから1MPaの間に含まれる圧力において、10m3/kg/時から50m3/kg/時の間に含まれるガス毎時空間速度及び1から8の間に含まれるH2/CO2モル比で、水素を、CO2を含むガス供給材料と接触させ、
- 触媒が、式UO2+x(式中、xは0.01から0.6の間に含まれる)の酸化ウラン担体上に堆積されたニッケル金属を含み、そのニッケル質量含量が、触媒の全質量に対してニッケル金属が5%から40%の間に含まれ、
- 触媒が、下記の工程a)からc):
a)酸化ウラン(IV)及び/又は酸化ウラン(VI)から本質的になる担体前駆体に、ニッケル前駆体及び極性溶媒を含有する溶液を含浸させる工程と、
b)含浸させた担体前駆体を、空気中で、少なくとも250℃の温度でか焼する工程と、
c)含浸させ及びか焼した担体前駆体を、少なくとも300℃の温度で、水素下で還元する工程と
を含む方法によって調製される、方法。
【請求項2】
か焼工程の前に、含浸済み担体前駆体が200℃未満の温度で乾燥される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
担体前駆体が、U3O8、UO2、UO4、及びUO3から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
担体前駆体が、粉末、円筒又は多葉状の押出物、球、リング、又ハニカム構造のモノリスの形をとる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ニッケル前駆体が、ニッケル水酸化物、ヒドロキシ炭酸ニッケル、炭酸ニッケル、及び硝酸ニッケルから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
含浸工程a)が、乾式含浸又は過剰な含浸を実現する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
程c)が、メタン化反応器でin situで実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
水素並びにCO 2 含むガス供給材料が、下向き方向にメタン化反応器に別々に又は混合物として送られる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
メタン化反応器が、断熱反応器である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
メタン化反応器が、固定化又は流動化触媒床を備える反応器である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
触媒床が固定床であり、触媒床が、誘導によって触媒床を加熱するように交流電磁場に供される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
固定触媒床が、サセプター粒子を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
再生可能エネルギー源を用いて実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
反応器が、固定触媒床を備える反応器であり、ガス毎時空間速度が、少なくとも15m3/kg/時に固定されて触媒床の温度TCを少なくとも200℃で維持するようになされ、それによって変換反応が、外部の熱の付加なしで実施される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
式UO2+x(式中、xは0.01から0.6の間に含まれる)の酸化ウラン担体上に堆積されたニッケル金属を含むCO2メタン化触媒を調製するための方法であって、ニッケルの質量含量が、触媒の全質量に対してニッケル金属が5%から40%の間に含まれ、方法が、下記の工程a)からc):
a) 酸化ウラン(IV)及び/又は酸化ウラン(VI)から本質的になる担体前駆体に、ニッケル前駆体及び極性溶媒を含有する溶液を含浸させる工程と、
b) 含浸済み担体前駆体を、空気中で及び少なくとも250℃の温度でか焼する工程と、
c) 含浸済み及びか焼済み担体前駆体を、水素下で、少なくとも300℃の温度で還元する工程と
を含む、方法。
【国際調査報告】