(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-11
(54)【発明の名称】推力増強装置
(51)【国際特許分類】
F02K 1/40 20060101AFI20240404BHJP
F02K 1/80 20060101ALI20240404BHJP
B64D 27/10 20060101ALI20240404BHJP
B64D 27/16 20060101ALI20240404BHJP
B64D 33/00 20060101ALI20240404BHJP
B64U 50/15 20230101ALI20240404BHJP
B64U 50/12 20230101ALI20240404BHJP
B64U 50/16 20230101ALI20240404BHJP
B63H 11/103 20060101ALI20240404BHJP
B63H 11/08 20060101ALN20240404BHJP
【FI】
F02K1/40
F02K1/80
B64D27/10
B64D27/16
B64D33/00 Z
B64U50/15
B64U50/12
B64U50/16
B63H11/103
B63H11/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571239
(86)(22)【出願日】2022-01-28
(85)【翻訳文提出日】2023-08-01
(86)【国際出願番号】 KR2022001610
(87)【国際公開番号】W WO2022169234
(87)【国際公開日】2022-08-11
(31)【優先権主張番号】10-2021-0014779
(32)【優先日】2021-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0055976
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518064271
【氏名又は名称】キム、ジュン ギュ
(71)【出願人】
【識別番号】523293024
【氏名又は名称】キム、スン ウゥ
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、スン ウゥ
(57)【要約】
【要約】
本発明は、推力増強装置に関する。これは、流体の反作用力を用いて推進力を得る推力発生部と結合した状態で推力発生部の推力を増強させるものであって、前記推力発生部によって流動する基本流体を受けて内部に通過させ、かつ基本流体が通過する間に内部の圧力降下を誘発して、推力発生部周辺の周辺流体を内部に吸入した後、基本流体と共に噴射させることにより総噴射流量を増加させるベンチュリ部と、前記ベンチュリ部の内部流動場に配置され、ベンチュリ部の外部に噴射される流体の流れを直線化させる噴射誘導部とが含まれる。このように構成される本発明の推力増強装置は、ベンチュリ効果を利用して最終噴出流体の流量を増加させることにより、追加された流体の流量に相当するだけの反作用力を向上させるので、高効率の推進力を発生する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の反作用力を用いて推進力を得る推力発生部と結合した状態で推力発生部の推力を増強させるものであって、
前記推力発生部によって流動する基本流体を受けて内部に通過させ、かつ基本流体が通過する間に内部の圧力降下を誘発して、推力発生部周辺の周辺流体を内部に吸入した後、基本流体と共に噴射させることにより総噴射流量を増加させるベンチュリ部と、
前記ベンチュリ部の内部流動場に配置され、ベンチュリ部の外部に噴射される流体の流れを直線化させる噴射誘導部とが含まれた、
推力増強装置。
【請求項2】
前記ベンチュリ部は、
入口部と、出口部と、入口部および出口部の間に位置し、入出口より小さい内径を有する流線形首部とからなり、推力発生部に結合する第1ベンチュリと、
入口部と、出口部と、入口部および出口部の間に位置し、入出口より小さい内径を有する流線形首部とからなり、第1ベンチュリを収容し、かつ第1ベンチュリの出口部が自体の首部に位置するように収容する第2ベンチュリとを備える、
請求項1に記載の推力増強装置。
【請求項3】
前記ベンチュリ部には、
入口部と、出口部と、入口部および出口部の間に形成され、入出口に比べて小さい内径を有する流線形首部とを備え、第2ベンチュリを収容し、かつ第2ベンチュリの出口部が自体の首部に位置するように収容する第3ベンチュリがさらに含まれる、
請求項2に記載の推力増強装置。
【請求項4】
前記第1、第2、第3ベンチュリの内壁面には、流体の流れをガイドするストリームガイダが設けられている、請求項3に記載の推力増強装置。
【請求項5】
前記噴射誘導部には、
第3ベンチュリの出口部側の内部に固定され、噴出される流体を通過させる複数の直線噴出通路を有する直噴射誘導体が含まれる、
請求項3に記載の推力増強装置。
【請求項6】
前記第3ベンチュリの出口部は、2つ以上が並列に形成され、前記直噴射誘導体は、各出口部に装着された、
請求項5に記載の推力増強装置。
【請求項7】
前記噴射誘導部が、
第1、第2、第3ベンチュリの出口部側端部を円周方向に沿って一定の間隔で切開した後、流動場の内側に折曲形成した複数の折曲翼を含む、
請求項3に記載の推力増強装置。
【請求項8】
前記推力発生部は、
外部から供給された水を通過させて噴出する水噴射ノズル、またはジェットエンジン、またはロケットエンジンまたはプロペラ推進体を含む、
請求項1に記載の推力増強装置。
【請求項9】
前記推力発生部は、
ターボファンジェットエンジンであり、
前記ベンチュリ部の内部には、ターボファンジェットエンジンから発生する熱によって気化膨張する水を噴射するウォーターインジェクタノズルがさらに設けられた、
請求項1に記載の推力増強装置。
【請求項10】
互いに異なるサイズを有する複数のベンチュリを組み合わせ構成し、かつ同一の中心軸を有するように構成したものであって、
中心軸部を通して基本流体を通過させると同時に内部の圧力降下を誘発して、周辺流体を内部に吸入した後、基本流体と共に噴射させることにより総噴射流量を増加させるベンチュリ部が備えられた、
推力増強装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種推進体の推力発生部に装着されて推進体の推進力を増強させる推力増強装置に関し、より詳しくは、ベンチュリ効果を利用して流動場内の流体の流量を増加させることにより、推進体の全体的な推進力を上昇させる、推力増強装置に関する。
【背景技術】
【0002】
船舶や潜水艦のスクリュー、航空機のジェットエンジンやプロペラ推進体、ミサイルやロケットエンジンなど、流体の反作用力を用いた多様な推進装置が知られている。
【0003】
航空機に装着されるジェットエンジンは、吸気された空気を燃料と混合して高圧状態で爆発させ、爆発エネルギーを後方に噴出することにより反作用力を得る。このような反作用力は、航空機が空気抵抗を克服し速い速度で推進できるようにする。ロケットエンジンの場合には、外部の空気を用いずに内部の燃料を酸素と混合および爆発させて反作用力を出力する。ロケットから噴射された爆発エネルギーは、ロケットに推進力として作用してロケットが速い速度で飛行するようにする。また、プロペラ推進体は、ロータブレードの回転運動を推力に変える原理を持つ。すなわち、ロータブレードを回転させると、ブレードの上部には流体の速力が速く下部には流体の速度が相対的に遅いので、圧力差が発生してブレードが浮上する力を出力する。
【0004】
一方、ウォータージェットを用いたジェットボートやジェットスキー、各種水上スポーツ(Hydro Water Sports)用器具は水を高圧で噴出して噴出時に発生する反作用力を用いて水面上を走行したり空中に浮上する原理を持つ。
【0005】
ジェットボートやジェットスキーは、インペラを高速回転させて水を後方に噴出することにより推進力を得る。また、水上スポーツ用器具のうち、例えば、スカイボード(
図21aの42)やジェットパック(登録商標)(
図22の43)などは、ホースを通して供給された高圧の水を噴射ノズルを通して噴出して反作用力による推進力を得る。
【0006】
このような反作用力を用いて推進力を得る推進体での推力を増強させるためには、流体をより速い速度で噴出したり、噴出流量を増加させれば良い。流体の噴出速度を維持した状態で噴出される総流量を増加させると反作用力が大きくなるため、その分強い推力を得ることができる。
【0007】
ところが、従来の推進体の推力発生部には、反作用力を向上させるための目的で流量を増加させることができる装置が適用されず、推力を増強するのに限界があった。
【0008】
これに関連する発明の背景技術として、大韓民国公開特許公報特1999-000795号(航空機の推力増大装置)が開示されている。
【0009】
開示された推力増大装置は、吸入口と排気口との間の空気の速度変化による運動量の増加で推力を発生するジェットエンジンを装着した航空機において、少なくとも1つ以上の圧縮手段と燃焼手段とを有し、タービンと同軸に連結されるダクトファンを有するエンジンと、航空機の胴体に長手方向に設けられる少なくとも1列以上のダクトと、ダクトの内部空気が航空機の移動時に大気へ吸い出されるように航空機の移動方向と反対方向に開けられる吸出ノズルと、エンジンのダクトファンの後方に流れる気流を前記ダクト側に流れがなされるように気流の流れを変換させるダンピング手段とで構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記の問題点を解消すべくなされたものであって、ベンチュリ効果を利用して最終噴出流体の流量を増加させることにより、追加された流体の流量に相当するだけの反作用力を向上させることで、高効率の推進力を発生する、推力増強装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための課題の解決手段としての、本発明の推力増強装置は、流体の反作用力を用いて推進力を得る推力発生部と結合した状態で推力発生部の推力を増強させるものであって、前記推力発生部によって流動する基本流体を受けて内部に通過させ、かつ基本流体が通過する間に内部の圧力降下を誘発して、推力発生部周辺の周辺流体を内部に吸入した後、基本流体と共に噴射させることにより総噴射流量を増加させるベンチュリ部と、前記ベンチュリ部の内部流動場に配置され、ベンチュリ部の外部に噴射される流体の流れを直線化させる噴射誘導部とが含まれる。
【0012】
また、前記ベンチュリ部は、入口部と、出口部と、入口部および出口部の間に位置し、入出口より小さい内径を有する流線形首部とからなり、推力発生部に結合する第1ベンチュリと、入口部と、出口部と、入口部および出口部の間に位置し、入出口より小さい内径を有する流線形首部とからなり、第1ベンチュリを収容し、かつ第1ベンチュリの出口部が自体の首部に位置するように収容する第2ベンチュリとを備える。
【0013】
また、前記ベンチュリ部には、入口部と、出口部と、入口部および出口部の間に形成され、入出口に比べて小さい内径を有する流線形首部とを備え、第2ベンチュリを収容し、かつ第2ベンチュリの出口部が自体の首部に位置するように収容する第3ベンチュリがさらに含まれる。
【0014】
これとともに、前記第1、第2、第3ベンチュリの内壁面には、流体の流れをガイドするストリームガイダが設けられている。
【0015】
また、前記噴射誘導部には、第3ベンチュリの出口部側の内部に固定され、噴出される流体を通過させる複数の直線噴出通路を有する直噴射誘導体が含まれる。
【0016】
そして、前記第3ベンチュリの出口部は、2つ以上が並列に形成され、前記直噴射誘導体は、各出口部に装着される。
【0017】
また、前記噴射誘導部は、第1、第2、第3ベンチュリの出口部側端部を円周方向に沿って一定の間隔で切開した後、流動場の内側に折曲形成した複数の折曲翼を含む。
【0018】
また、前記推力発生部は、外部から供給された水を通過させて噴出する水噴射ノズル、またはジェットエンジン、またはロケットエンジンまたはプロペラ推進体を含む。
【0019】
これとともに、前記推力発生部は、ターボファンジェットエンジンであり、前記ベンチュリ部の内部には、ターボファンジェットエンジンから発生する熱によって気化膨張する水を噴射するウォーターインジェクタノズルがさらに設けられる。
【0020】
また、上記の目的を達成するための課題の解決手段としての、本発明の推力増強装置は、互いに異なるサイズを有する複数のベンチュリを組み合わせ構成し、かつ同一の中心軸を有するように構成したものであって、中心軸部を通して基本流体を通過させると同時に内部の圧力降下を誘発して、周辺流体を内部に吸入した後、基本流体と共に噴射させることにより総噴射流量を増加させるベンチュリ部が備えられる。
【発明の効果】
【0021】
このように構成される本発明の推力増強装置は、ベンチュリ効果を利用して最終噴出流体の流量を増加させることにより、追加された流体の流量に相当するだけの反作用力を向上させるので、高効率の推進力を発生する。
【0022】
また、高効率の推進力を発生するので、同一のエネルギー消耗に比べて速度が速く運行時間を延長することができ、搭載量を増加させることができる。
【0023】
一歩進んで、飛行安定性を維持することができ、基本エンジンやモータのダウンサイジングを可能にし、二酸化炭素の排出量を著しく低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例による推力増強装置の構成および作動原理を説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施例による推力増強装置の構成および作動原理を説明するための図である。
【
図3】
図3(a)および
図3(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置における直噴射誘導体を別途に示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施例による推力増強装置が噴射ノズルに適用された様子を示す断面図である。
【
図5】本発明の一実施例による推力増強装置がプロペラ推進体に適用された様子を示す図である。
【
図6】本発明の一実施例による推力増強装置がジェットエンジンに適用された様子を示す図である。
【
図7】本発明の一実施例による推力増強装置がジェットエンジンに適用された様子を示す図である。
【
図8】本発明の一実施例による推力増強装置がジェットエンジンに適用された様子を示す図である。
【
図9】本発明の一実施例による推力増強装置の細部構成を説明するための図である。
【
図10】本発明の一実施例による推力増強装置の細部構成を説明するための図である。
【
図11】本発明の一実施例による推力増強装置の他の例を示す図である。
【
図12】本発明の一実施例による推力増強装置の他の例を示す図である。
【
図13】本発明の一実施例による推力増強装置のさらに他の例を示す図である。
【
図14】本発明の一実施例による推力増強装置のさらに他の例を示す図である。
【
図15】本発明の一実施例による推力増強装置のさらに他の例を示す図である。
【
図16】本発明の一実施例による推力増強装置のさらに他の例を説明するために示す図である。
【
図17】本発明の一実施例による推力増強装置のさらに他の例を説明するために示す図である。
【
図18】本発明の一実施例による推力増強装置のさらに他の例を説明するために示す図である。
【
図19】本発明の一実施例による推力増強装置のさらに他の変形例を示す図である。
【
図20】
図20(a)および
図20(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置がジェットスキーに適用された様子を示す図である。
【
図21】
図21(a)は、従来のハイドロジェットパックおよびスカイボードを示す図であり、
図21(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置20が適用されたハイドロジェットパックおよびスカイボードを示す図である。
【
図22】本発明の一実施例による推力増強装置を背負うようにしたジェットパックに設けられた例を示す図である。
【
図23】本発明の一実施例による推力増強装置がジェットボート駆動部に適用された様子を示す図である。
【
図24】
図24(a)および
図24(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置を用いた空気増幅器の斜視図である。
【
図25】
図25(a)および
図25(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置を用いたミキシングエダクタの斜視図である。
【
図26】
図26(a)および
図26(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置がミサイルおよびロケットエンジンとジェットエンジンに適用された様子を示す図である。
【
図27】
図27(a)および
図27(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置が適用されたミサイルおよびロケットエンジンとジェットエンジンを示す図である。
【
図28】
図28(a)および
図28(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置が適用された魚雷およびの斜視図である。
【
図29】
図29(a)および
図29(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置が適用されたエアタクシーの斜視図である。
【
図30】本発明の一実施例による推力増強装置が適用されたエアタクシーの他の実現例を示す図である。
【
図31】
図31(a)~
図31(c)は、本発明の一実施例による推力増強装置が適用された潜水艦の斜視図である。
【
図32】
図32(a)および
図32(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置が適用された戦闘機を示す図である。
【
図33】
図33(a)および
図33(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置が適用されたハングライダーとジェットパックとが結合された斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明による一つの実施例を、添付した図面を参照してより詳細に説明する。
【0026】
本発明の推力増強装置は、噴射される流体の反作用力を用いて推進力を得る各種推進体に装着されて、当該推進体の推力を増強させるものである。推力を増強させる方法は、総噴射流量を増加させることである。
【0027】
総噴射流量が増加するというのは、噴射流体の質量が増加することであるので、推力が増加することは言うまでもない。
【0028】
総噴射流量とは、推進体から噴射される流体の基本流量と、推力増強装置に吸入された周辺流体の追加流量とを合わせた流量である。推力増強装置に周辺流体を吸入する方法はベンチュリ原理を利用し、これに関する説明は後述する。
【0029】
また、上記の「各種推進体」には、噴射される流体の反作用力を用いるすべての推進体が含まれる。いわば、内燃機関ジェットエンジン、ロケットエンジン、電気モータプロペラ推進体、ジェット水噴射ノズルが含まれるのである。
【0030】
水噴射ノズルは、外部から供給された水を噴射して水の噴出力による反作用力を用いるものであって、
図20~
図23により後述する、水上スポーツ装備分野に多く用いられる。また、本プロペラ推進体は、回転翼を用いて流体(空気や水)を押し出してその反作用で推進力を得るすべての推進体を含む。推進体には、内燃機関、バッテリモータも含まれる。
【0031】
このような推力増強装置は、軽くて機械的性能に優れた炭素繊維で製作することができる。周知のように、炭素繊維は、鉄に比べて重量が1/5水準であるが、強度は10倍程度強い特徴を有する。
【0032】
本発明の推力増強装置の基本構造は、流体の反作用力を用いて推進力を得る推力発生部と結合した状態で推力発生部の推力を増強させるものであって、前記推力発生部によって流動する基本流体を受けて内部に通過させ、かつ基本流体が通過する間に内部の圧力降下を誘発して、推力発生部周辺の周辺流体を内部に吸入した後、基本流体と共に噴射させることにより総噴射流量を増加させるベンチュリ部と、前記ベンチュリ部の内部流動場に配置され、ベンチュリ部の外部に噴射される流体の流れを直線化させる噴射誘導部とからなる。
【0033】
図1および
図2は、本発明の一実施例による推力増強装置20の構成および作動原理を説明するための図である。
図1には、推力発生部11として噴射ノズル12が、
図2には推力発生部としてプロペラ推進体13が適用されている。
【0034】
図1を参照すれば、噴射ノズル12の噴出口12a部分に推力増強装置20が設けられている。推力増強装置20は、ベンチュリ部と、噴射誘導部とを含む。
【0035】
ベンチュリ部は、円筒の形状を取り、複数の固定支持部材26を介して噴射ノズル12に固定される第1ベンチュリ21である。第1ベンチュリ21は、入口部21aと、首部21bと、出口部21cとを有し、噴射ノズル12の噴出口12aを内部に収容する。噴出口12aから噴射される基本流体は、第1ベンチュリ21の首部21bを通過して外部に排出される。
【0036】
本説明における「基本流体」は、推力発生部11自体の動作によって噴出する流体を意味する。また、後述する「追加流体」は、基本流体がベンチュリの首部を通過する時に発生する圧力降下の作用によって、外部からベンチュリ部の内部に吸い込まれる流体を意味する。
【0037】
入口部21aは、一定の内径を有し、上部へ広がった形状を取り、噴射ノズル12の外周面から離隔している。噴射ノズル12の外周面と入口部21aとの間の空間が、追加流体が流入する通路である。
【0038】
首部21bは、入口部21aおよび出口部21cより狭い内径を有する流線形部分であって、入口部21aを通して流入した流体を通過させる。首部21bの流動断面積が入口部21aより狭いので、首部21bを通過する流体は加速され、速度が増加するにつれ、圧力が低くなることは言うまでもない。図面符号Zで表した部分が大まかな低圧領域部である。低圧領域部Zは、流体の加速によって圧力が降下した空間であって、低圧の影響が周辺に及び、周辺流体を矢印a方向へ引く。
【0039】
矢印a方向へ引かれて第1ベンチュリ21に流入した追加流体は、基本流体と合わされた状態で出口部21cを通して排出される。噴射ノズル12から噴射される単位時間あたりの流量に比べて、出口部21cを通して排出される単位時間あたりの流量が増加するのである。単位時間あたりの流量の増加は、流体の質量の増加に等しいので、結局、第1ベンチュリ21の作用によって推進力が増加する。増加した推進力は、追加流体の運動エネルギーに始まったものであることは言うまでもない。
【0040】
出口部21cは、基本流体と追加流体とが混合された、いわば、混合流体が排出される通路であって、下部へ広がっている。出口部21cの直径は、首部21bの直径より大きい。これとともに、出口部21cの先端部には複数の騒音低減溝21eが形成されている。騒音低減溝21eは、第1ベンチュリ21を通して噴射される流体の剪断応力を低下させて騒音を低減する役割をする。流動場吐出口における騒音低減溝の原理は一般的なものであって、それに関する説明は省略する。
【0041】
結局、第1ベンチュリ21は、噴射ノズル12から噴出される基本流体を内部に通過させ、基本流体が通過する間に内部の圧力降下を誘発して、噴射ノズル12周辺の周辺流体を内部に吸入した後、基本流体と共に噴射させることにより総噴射流量を増加させるのである。
【0042】
固定支持部材26は、噴射ノズル12に第1ベンチュリ21を固定させる固定手段である。第1ベンチュリ21を固定させることができる限り、固定支持部材26の形状や個数は異なっていてもよい。
【0043】
誘導噴射部は、第1ベンチュリ21の出口部21c側の内部に固定され、第1ベンチュリ21の外部に噴射される流体の流れを直線化させるものであって、多様な形状の直噴射誘導体27を含む。仮に、
図3(a)および
図3(b)に示した形状を取ることができる。
【0044】
図3(a)に示した直噴射誘導体27は、リング状仕切り板ケース27cと、仕切り板ケース27cの内部に固定されるハニカム状の仕切り板部材27dとからなる。仕切り板部材27dは、流体を通過させる直線噴出通路27aを提供する。混合された状態の基本流体と追加流体は、直噴射誘導体27を通過する間に仕切り板部材27dとぶつかって直線のストリームラインを有する。流体の噴射方向が直線化されることで最大の出力を得ることができる。
【0045】
図3(b)の直噴射誘導体27における仕切り板部材27dは、直噴射誘導体27の中央部から半径方向に延びた形状を有する。仕切り板部材27dの役割は、
図3(a)のハニカム状の仕切り板部材と同一である。
【0046】
一方、
図2に示した推力増強装置20は、推力発生部11としてプロペラ推進体13を有する。プロペラ推進体13は、ハウジング13aと、モータ13bと、プロペラ13cとで構成され、低圧領域部Z側に空気を噴射する。プロペラ推進体13から噴射される流体は、低圧領域部Zを通過して圧力が低くなり、第1ベンチュリ21周辺の流体を引き込む。周辺流体が矢印a方向へ引かれて基本流体と合わされるのである。
【0047】
図4は、本発明の一実施例による推力増強装置20が噴射ノズルに適用された様子を示す断面図である。
【0048】
図4に示した推力増強装置20は、第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25と、第3ベンチュリ25の出口部側に固定された直噴射誘導体27とで構成される。場合によっては、直噴射誘導体27は、第1ベンチュリ21と第2ベンチュリ23の内部にも設けられる。
【0049】
第1ベンチュリ21は、噴射ノズル12の下端部を収容し、かつ噴出口12aを自体の首部21bに位置するように収容する。噴出口12aを通して排出される基本流体は、首部21bを通過して低圧状態になり、周辺流体は、入口部21aを通して第1ベンチュリ21の内部に流入する。
【0050】
第2ベンチュリ23は、入口部23aと、出口部23cと、首部23bとを有し、第1ベンチュリ21を収容し、かつ第1ベンチュリの出口部21cが自体の首部23bに位置するように収容する。第2ベンチュリ23から噴出される流体(噴射ノズルから排出される基本流体と、第1ベンチュリに流入した周辺流体との混合流体)は、首部23bを通過して低圧状態になる。これによって、推力増強装置20の周辺流体の一部は、入口部23aを通して第2ベンチュリ23の内部に吸い込まれる。
【0051】
第3ベンチュリ25は、入口部25aと、出口部25cと、首部25bとを有し、第2ベンチュリ23を収容する。(第2ベンチュリ23に第1ベンチュリ21が収容されていることはもちろんである。)第3ベンチュリ25は、第2ベンチュリ23を収容し、かつ第2ベンチュリ23の出口部23cが自体の首部25bに位置するように収容する。第2ベンチュリ23から噴出される流体は、首部25bを通過して低圧状態になり、この時、周辺流体の一部は、入口部25aを通して第3ベンチュリ25に流入する。
【0052】
第1、第2ベンチュリ21、23を通過した流体と、入口部25aを通して流入した周辺流体とは合わされた状態で、直噴射誘導体27を通過して外部に噴射される。直噴射誘導体27を通して排出される流体の単位時間あたりの流量は、噴射ノズル12から噴出される基本流体の単位時間あたりの流量より多いことは言うまでもない。流体自体には密度があるので、流量が増加すると推力が大きくなることは言うまでもない。
【0053】
第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25の内壁面にはストリームガイダ21f、23f、25fがそれぞれ形成されている。ストリームガイダ21f、23f、25fは、各ベンチュリを通過する流体の流れをガイドする役割をする。このようなストリームガイダ21f、23f、25fは、流体の流動方向と並んで形成してもよく、螺旋状に形成してもよい。
【0054】
上記の噴射ノズル12と第1ベンチュリ21と第2ベンチュリ23と第3ベンチュリ25は、複数の固定支持部材26によって固定された状態を維持する。これとともに、
図4には3つのベンチュリを適用したが、ベンチュリの適用個数は必要に応じて異なっていてもよい。いわば、ベンチュリを1つや2つのみ適用したり、4つ以上適用してもよいのである。
【0055】
図5は、本発明の一実施例による推力増強装置20がプロペラ推進体に適用された様子を示す図である。
【0056】
以下、上記の図面符号と同一の図面符号は、同じ機能の同じ部材を指し、それに関する繰り返しの説明は省略する。
【0057】
図示のように、プロペラ推進体13を収容している第1ベンチュリ21の外側に第2ベンチュリ23が備えられている。第1ベンチュリ21の出口部21cは、第2ベンチュリ23の首部23bに位置する。第1ベンチュリ21を通過した流体は、第2ベンチュリ23の首部23bを通過して低圧状態になり、これによって、周辺流体が、第2ベンチュリ23の入口部23aに流入した後、首部23bを経て外部に噴出される。吸入された周辺流体の流動エネルギーに対応する推力が増加することはもちろんである。上述したように、図面上Zで表した部分が低圧領域である。
【0058】
図6は、本発明の一実施例による推力増強装置20がジェットエンジン14に適用された様子を示す図である。
図6~
図8には直噴射誘導体27を省略した。
【0059】
ジェットエンジン14は、進行方向前方の空気を吸気および圧縮爆発させて推進力を得たものであって、ジェットエンジン14から噴射された基本流体は、第1ベンチュリ21の首部21bと、第2ベンチュリ23の首部23bと、第3ベンチュリ25の首部25bとを順次に通過した後、外部に噴出する。ジェットエンジン14から噴射された基本流体は、加熱されたガスであって、入口部21a、23a、25aを通して流入した周辺流体と合わされた状態で噴出する。上述したように、増加した流体の流量に相当するだけの推力増強効果が発生する。
【0060】
図7および
図8は、ジェットエンジン14に適用された推力増強装置20を概略的に示す図である。
図7の推力増強装置20は、第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25が適用されており、
図8は、第1ベンチュリ21が適用されている。
【0061】
図7および
図8に示したベンチュリの形状は、
図6のベンチュリと異なるが、出口部側に低圧領域部Zを形成する原理と推力増強方式は同一である。
【0062】
図9は、本発明の一実施例による推力増強装置20の変形例を示す図であり、
図10は、
図9の推力増強装置20を分解した斜視図である。
【0063】
図9および
図10に示した推力増強装置20は、噴射誘導部21g、23g、25gが一体に形成された第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25で構成される。
【0064】
すなわち、第1ベンチュリ21は、入口部21aと、首部21bと、出口部21cとを有し、出口部に噴射誘導部21gが形成されている。第2ベンチュリ23も、入口部23aと、首部23bと、出口部23cとを備え、出口部23cに噴射誘導部23gを有する。同じく、第3ベンチュリ25も、入口部25aと、首部25bと、出口部25cとを有し、出口部25cに噴射誘導部25gを一体に有するのである。
【0065】
第1ベンチュリ21の噴射誘導部21gは、出口部21c側端部を切開し、かつ円周方向に沿って一定の間隔で切開した後、切開部分を流動場の内側に折曲形成した複数の折曲翼21hからなる。折曲翼21hは、首部21bを通過した基本流体の流れをガイドして、第2ベンチュリ23によって吸入される周辺流体と円滑に混合されるようにする。
【0066】
また、第2ベンチュリ23の噴射誘導部23gは、出口部23c側端部を切開し、かつ円周方向に沿って一定の間隔で切開した後、切開部分を流動場の内側に折曲形成した複数の折曲翼23hからなる。折曲翼23hは、首部23bを通過した流体の流れをガイドして、第3ベンチュリ25によって吸入される周辺流体と円滑に混合されるようにする。
【0067】
第3ベンチュリ25の噴射誘導部25gも、同様の構造を有する。すなわち、出口部25c側端部を切開し、かつ円周方向に沿って一定の間隔で切開した後、切開部分を流動場の内側に折曲形成した複数の折曲翼25hからなるのである。折曲翼25hは、第3ベンチュリを通過したすべての流体の流れをガイドして流体が直線に伸びていくようにする。
【0068】
このような噴射誘導部21g、23g、25gを適用する場合、上述した直噴射誘導体27を省略可能で、推力増強装置をさらに軽量化させることができる。
【0069】
前記第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25は、
図4に示すように、第1ベンチュリ21が第2ベンチュリ23に、第2ベンチュリ23が第3ベンチュリ25に収容される配置構造を有する。
【0070】
図11および
図12は、本発明の一実施例による推力増強装置20の他の例を示す図である。
【0071】
図示のように、第1ベンチュリ21の内部にジェットエンジン14が装着されている。ジェットエンジン14は、ターボファン型ジェットエンジンである。ターボファンジェットエンジンは、分離された2つの空気通路を具備したエンジンであって、1つの気流は燃焼室に連結され、残りの1つの気流は燃焼室を迂回する。ターボファンジェットエンジンにおける推力は、燃焼室で圧縮空気を爆発させて得る高温流動推力と、バイパス流れによる推力とが合わされたものである。
【0072】
燃焼室を迂回するバイパス流れは、流速は燃焼室から噴射される流体の速度より相対的に遅いが、空気の流量が多いので、推力を発生できるのである。
【0073】
ジェットエンジン14を収容している第1ベンチュリ21の外側には第2ベンチュリ23、第2ベンチュリ23の外部には第3ベンチュリ25が配置されており、第1ベンチュリ21の出口部の内側には水噴射部31が備えられている。第1、第2、第3ベンチュリ 21、23、25自体の役割と構造は上述した通りである。
【0074】
水噴射部31は、リング状パイプ31aと、複数のウォーターインジェクタノズル31bとを含むことができる。リング状パイプ31aは、給水管31cを通して外部から供給された水を受けて収容し、ウォーターインジェクタノズル31bに誘導する役割をする。第1ベンチュリ21に対するリング状パイプ31aの固定のために適切な形状の支持ブラケットを適用することができる。
【0075】
ウォーターインジェクタ31bは、リング状パイプ31aを通して供給された水を後方に噴射する。噴射された水は、ジェットエンジン14から噴出されるジェットガスの熱を受けて気化膨張する。周知のように、水は、加熱温度が100℃の時には1700倍以上、260℃の時には2400倍以上、650℃の時には4200倍以上膨張する。
【0076】
このように水を噴射して膨張した水蒸気を追加することにより、推力がさらに大きく増強される。すなわち、ジェットエンジン14から噴射されるジェットガスと、推力増強装置20に吸い込まれてきた追加流体とに加えて、気化された水蒸気が追加噴出されることにより、ジェットエンジン単独でジェットガスを噴射する場合より、多量の流体を噴射するので、推力増幅効果が大きくなるのである。水を噴射できる限り、水噴射部31の構造や噴射方式はいくらでも変化可能である。これとともに、ターボファン型ジェットエンジン以外に他の形式のジェットエンジンにも水噴射部31を適用することができる。
【0077】
図13~
図15は、本発明の一実施例による推力増強装置20のさらに他の例を示す図である。
【0078】
図示のように、推力増強装置20がプロペラ推進体13を収容している。プロペラ推進体13の駆動時に発生する噴射流が、第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25を順次に通過して低圧状態になり、外部の流体を吸い込むことは上述した通りである。
【0079】
プロペラ推進体13は、
図2により説明したように、ハウジングと、モータと、プロペラとで構成され、プロペラの回転による反作用力で推力を出力する。プロペラ推進体13は、第1ベンチュリ21の入口部の内側に設けられる。プロペラ推進体13で発生する基本流体は、第1ベンチュリ21の首部21bを通過して低圧状態になり、外部から入口部21aを通して流入した周辺流体と混合された状態で出口部21cを抜ける。
【0080】
第1ベンチュリ21の出口部21c側端部には、複数の騒音低減溝21eが形成されている。上述したように、騒音低減溝21eは、第1ベンチュリ21を通して噴射される流体による騒音を低減する役割をする。
【0081】
第2ベンチュリ23は、第1ベンチュリ21を収容し、かつ第1ベンチュリ21の出口部21cが自体の首部23bに位置するように固定する。第2ベンチュリ23の下端部にも騒音低減溝23eが形成されている。騒音低減溝23eは、第2ベンチュリ23を通過した流体の騒音を低減する。
【0082】
第3ベンチュリ25は、第2ベンチュリ23を収容し、かつ第2ベンチュリ23の出口部23cを自体の首部25bに位置させる。第3ベンチュリ25の下端部にも騒音低減溝25eが設けられている。騒音低減溝25eは、第3ベンチュリ25から噴出する流体の騒音を低減する。
【0083】
プロペラ推進体13と第1ベンチュリ21、第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25相互間の結合は、固定支持部材26を介して行われる。
【0084】
これとともに、第3ベンチュリ25の出口部25cの内側には直噴射誘導体27が設けられる。直噴射誘導体27は、第3ベンチュリ25から噴出される流体の流れを直線化させる。
【0085】
図16は、本発明の一実施例による推力増強装置20のさらに他の例を説明するための斜視図であり、
図17は、
図16の推力増強装置の第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25の形状を示す断面図である。また、
図18は、第3ベンチュリ25の出口部25cおよび直噴射誘導体27を示す図である。
【0086】
図16~
図18に示した推力増強装置20の第3ベンチュリ25は、入口部25aと、首部25bと、出口部25cとを有し、かつ出口部25cが並列構造を有する。すなわち、2つの出口部25cが左右に並んで配置されるのである。第3ベンチュリ25の首部25bを通過した流体の流れは、2つに分岐して両側出口部25cを通過した後、外部に噴射される。これとともに、それぞれの出口部25cには直噴射誘導体27が装着されて噴射流体の流れをガイドする。
【0087】
図16には出口部25cが2つ適用されたが、必要に応じて3つ以上適用してもよい。
【0088】
図19は、本発明の一実施例による推力増強装置20のさらに他の変形例を示す断面図である。
【0089】
図19に示した推力増強装置20における第3ベンチュリ25には2つの出口部25cが適用されており、首部25bから出口部25cまでの長さが、
図16の第3ベンチュリに比べて長く延びている。このように長さを長く延ばすことにより、首部25bを通過した流れが出口部25cに向かって移動する直噴射誘導体27を省略してもよいのである。
【0090】
図20(a)および
図20(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置20がジェットスキー41に適用された様子を示す図である。
【0091】
図面を参照すれば、ジェットスキー41に設けられている内部通路41bの噴出口に推力増強装置20が設けられている。噴出口に対する推力増強装置20の固定は、ブラケットなどを用いた適切な固定手段を用いていくらでも実現可能である。
【0092】
ジェットスキー41は、駆動部41aとインペラ(図示せず)を用いて推進力を得るものであって、内部通路41bを有する。内部通路は、反作用力を発生する水が通過する通路であって、一端部はジェットスキーの底下部に、他端部は後方に開放される。他端部は、水が噴出する噴出口である。内部通路41bにはインペラ(図示せず)が設けられる。
【0093】
駆動部41aを用いてインペラを回転させると、インペラの作用によってジェットスキーの下部の水がポンピングされて内部通路41bを通過してジェットスキーの後方に噴出され、ジェットスキー41は、この時に発生する反作用力で推進される。
【0094】
本実施例の推力増強装置20は、内部通路41bの噴出口に装着される。インペラによって内部通路を通過して後方に噴出される水(基本流体)は、推力増強装置20内部の首部を通過して低圧状態になり、この時、周辺の水(追加流体)が推力増強装置20の内部に吸い込まれて、後方に排出される。推力増強装置20から噴出される水は、インペラによって噴出される水と、推力増強装置20の内部に吸入された水とが混合された水である。インペラやポンピングした水の流量に比べて、推力増強装置20を通して排出される水の流量が増加するので、運動量が上昇し、推進力が増加する。
【0095】
図20(a)および
図20(b)に示した推力増強装置20は、第1ベンチュリ21が単独で適用されたものでもよく、第1、第2ベンチュリ21、23が適用されたものでもよく、または第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25で組み合わせ構成されたものでもよい。
【0096】
図21(a)は、従来のハイドロジェットパックおよびスカイボードを、
図21(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置20が適用されたハイドロジェットパックおよびスカイボードを示す図である。
【0097】
図示のように、一般的なハイドロジェットパック、スカイボード42は、使用者が立ち上がるプレートの形状を取り、下部に噴射ノズル42aを有する。噴射ノズル42aは、ホース41cを介してジェットスキー41に連結される。ジェットスキー41でポンピングされた水は、ホース41cを通して噴射ノズル42aに供給され、噴射ノズル42aの下部に噴射されて反作用力を提供する。ハイドロジェットパック、スカイボード42は、噴射ノズルから噴射される水の反作用力を受けて使用者を浮き上がらせる。
【0098】
図21(b)を参照すれば、噴射ノズル42aに推力増強装置20が装着されていることが分かる。噴射ノズル42aに対する推力増強装置20は、固定用ブラケットを含む任意の固定手段(図示せず)を介していくらでも実現可能である。
【0099】
推力増強装置20は、噴射ノズル42aから噴射される水を下部に通過させ、ベンチュリ原理によって周辺の空気を内部に吸い込む。推力増強装置20周辺の空気が推力増強装置20の内部に流入することにより、推力増強装置20から噴出される最終噴出流量が増加し、それによって全体的な推力が上昇する。
【0100】
図22は、本発明の一実施例による推力増強装置20がジェットパック43に設けられた例を示す図である。
【0101】
ジェットパック43は、使用者がまるでリュックを背負うように背に着用する水上スポーツ装備である。外部からホースを通して供給された水は、噴射ノズル43aを通して下部に噴射され、ジェットパック43を浮かせる。
【0102】
図示のように、本実施例の推力増強装置20は、噴射ノズル43aに装着され、噴射ノズル43aから噴射される水を通過させ、周辺の空気を吸気する。噴射ノズル43aに対する推力増強装置20の固定は、上記に言及したように適切な固定手段を介して実現可能である。
【0103】
吸気された空気は追加流体であって、水と混合された状態で下部に噴出される。この時、推力増強装置20周辺の空気が推力増強装置20の内部に流入し、推力増強装置20から噴出される最終噴出流量が増加し、それによって全体的な推力が上昇する。
【0104】
図23は、本発明の一実施例による推力増強装置がジェットボート駆動部45に適用された様子を示す図である。ジェットボート駆動部45は、ジェットボートの船尾に装着されて推進力を提供する部分である。ジェットボート駆動部45の駆動原理は、
図20により説明したジェットスキーと同一である。
【0105】
図示のように、ジェットボート駆動部45の噴射ノズル45bの後方に推力増強装置20が設けられている。噴射ノズル45bの内部にはインペラ45dが位置し、インペラシャフト45aから伝達された回転力によって回転し、噴射ノズル45bを通して水を後方に噴射する。
【0106】
インペラ45dが動作すれば、ジェットボート駆動部の水が上部に吸い上げられて噴射ノズル45bを通過した後、推力増強装置20を経て後方に排出される。水が推力増強装置20を通過する間に、周辺流体は、流入通路45cを通して推力増強装置20に流入して推力を増強させる。
【0107】
図24(a)および
図24(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置を活用した空気増幅器(Air amplification device)46を示す図である。
図24(b)は、
図24(a)の空気増幅器を後方から眺めた様子である。
【0108】
図示のように、推力増強装置20を空気増幅器46と結合して空気増幅器46の性能を向上させることができる。空気増幅器46は、空気ケーシング46aと、給気チューブ46bと、流入口46cと、流出口46eとで構成され、給気チューブ46bを通して空気を圧入すれば、ベンチュリ効果によって外部の空気を流入口46cに受け入れる。流入口46cを通して空気ケーシング46aに吸い込まれた空気は、給気チューブ46bを通して流入した空気と合わされて、流出口46eを通して第1ベンチュリ21に噴出する。
【0109】
流出口46eを通して排出された空気は、第2ベンチュリ23と第3ベンチュリ25とを通過後、推力増強装置20の外部に噴出される。その間、周辺の空気は、第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25の入口部21a、23a、25aを通して推力増強装置20に吸い込まれて、本流(流出口46eから排出された流体の流れ)と合わされる。
【0110】
図25は、本発明の一実施例による推力増強装置20を活用した混合撹拌機(mixing eductor)47の斜視図である。
【0111】
ミキシングエダクタ47は、流体供給口47aと、延長チューブ47cとを有する。流体供給口47aと延長チューブ47cとは離隔し、その間に流入通路47bを提供する。延長チューブ47cは、それ自体がベンチュリ型チューブである。
【0112】
したがって、流体供給口47aの内部に流体を供給すれば、流体は延長チューブ47cを通過して外部に噴出され、この時、延長チューブ47c内に低圧が形成され、外部の流体が流入通路47bを通して延長チューブ47cに吸い込まれる。
【0113】
前記延長チューブ47cを通過した流体は、第1ベンチュリ21と第2ベンチュリ23と第3ベンチュリ25とを順次に通過し、入口部21a、23a、25aを通して流入した周辺流体と混合された状態で噴出される。流体供給口47aを通して流入した流体の流量に比べて、第3ベンチュリ25の出口部を通して噴出される流体の流量が増加することはもちろんである。
【0114】
図26(a)および
図26(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置が空気吸入ロケットエンジン(SABRE-Synergetic Air Breathing Rocket Engine)48に適用された様子を示す図である。
【0115】
本実施例による推力増強装置20を空気吸入ロケットエンジン48にも適用することができる。空気吸入ロケットエンジン48に推力増強装置20を適用することにより、推進力を増強させて、いわば、速度を増加させ、射程距離を拡張することができる。言い換えれば、空気吸入ロケットエンジン48をより少ない燃料で遠く送ることができるのである。
【0116】
図示のように、本実施例の推力増強装置20が空気吸入ロケットエンジン48を取り囲んでいる。すなわち、第1ベンチュリ21が空気吸入ロケットエンジン48を、第2ベンチュリ23が第1ベンチュリ21を、第3ベンチュリ25が第2ベンチュリ23を取り囲んでいるのである。
【0117】
また、空気吸入ロケットエンジン48の後端に位置する噴射ノズル48aの後方には直噴射誘導体27が固定される。直噴射誘導体27は、第3ベンチュリ25の出口部の内側に固定され、噴出流のストリームラインをガイドする。噴射ノズル48aから噴射される高温の流体は、第1、第2、第3ベンチュリの首部21b、23b、25bを順次に通過した後、直噴射誘導体27を通過して外部に噴射される。この時、外部の空気が、第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25の入口部21a、23a、25aを通して内部に流入して、噴射ノズルから噴射されたガスと混合されて噴出することはもちろんである。
【0118】
図27(a)および
図27(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置が適用されたミサイルおよびロケットエンジンを示す図である。
【0119】
図面を参照すれば、ミサイルおよびロケットエンジン49の噴射ノズル49aの後方に、推力増強装置20が装着されていることが分かる。推力増強装置20は、噴射ノズル49aから噴射された高温のガスと、周辺で第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25に吸入された追加流体とを混合した状態で後方に噴出する。推力増強装置20を適用することにより、ミサイルおよびロケットエンジン49の推力を向上させることができる。
【0120】
図28(a)および
図28(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置が適用された魚雷の斜視図である。
【0121】
図示のように、魚雷51の後端部に推力増強装置20が設けられている。推力増強装置20の前方には魚雷自体の推進エンジン(図示せず)が位置することはもちろんである。魚雷における推進エンジンは、プロペラ推進体である。
【0122】
推力増強装置20の第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25は、推進エンジンから噴射される基本流体、すなわち水を通過させて後方に噴出する。噴射流体が第1、第2、第3ベンチュリを通過する間に、周辺の水は、入口部21a、23a、25aを通して内部に流入し、基本流体と合わされて噴射される。基本流体と追加流体とが混合された状態で噴射されるので、推力が大きくなることは上記に言及した通りである。
【0123】
図29(a)および
図29(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置が適用されたエアタクシー53の斜視図である。
【0124】
図面を参照すれば、使用者が搭乗する搭乗部53aの周辺に4つの推力増強装置20が配置されており、各推力増強装置20の内部にプロペラ推進体13が設けられている。搭乗部53aと推力増強装置20とは連結アーム53bで連結される。プロペラ推進体13は、垂直方向上部に向かい、まるでドローンのような原理でエアタクシー53を昇降および前後進させる。
【0125】
推力増強装置20は、プロペラ推進体13の作動時に生成される下向流の流れを受けて下部に誘導する。プロペラ推進体13によって下部に噴射される流体は、第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25を順次に通過し、この時、外部の空気は、入口部21a、23a、25aを通して推力増強装置20の内部に吸気された後、プロペラ推進体から噴出された基本流体と合わされて排出される。
【0126】
図30は、本発明の一実施例による推力増強装置が適用されたエアタクシー53の他の実現例を示す図である。
【0127】
図30に示したエアタクシー53は、使用者が搭乗する搭乗部53aと、搭乗部53aの両側に備えられる推力増強装置20と、推力増強装置20の内側に設けられるプロペラ推進体13とを備える。
【0128】
搭乗部53aの両側には連結アーム53bが備えられる。連結アーム53bは、搭乗部53aから反対方向に水平延長し、延長端部が推力増強装置20と結合する。推力増強装置20は、連結アーム53bに支持された状態で矢印k方向やその反対方向に回転可能である。
【0129】
推力増強装置20に収容されているプロペラ推進体13を駆動すれば、プロペラ推進体13によって下向き噴射される空気は、第1ベンチュリ21、第2ベンチュリ23、第3ベンチュリ25を順次に通過して下部に噴出する。この時、周辺の空気が入口部21a、23a、25aを通して推力増強装置20の内部に吸い込まれて、プロペラ推進体13による基本流体と混合された状態で噴出する。
【0130】
図31(a)~
図31(c)は、本発明の一実施例による推力増強装置が適用された潜水艦55の斜視図である。
【0131】
図示のように、潜水艦55の後端部に推力増強装置20が設けられている。推力増強装置20は、潜水艦に設けられているプロペラ構造体から噴出される水を通過させて反作用力を追加的に起こして潜水艦55の推進力を増強させる。
【0132】
図面符号55aは、流入通路である。流入通路55aは、潜水した周辺の水が第1、第2、第3ベンチュリ21、23、25の入口部21a、23a、25aに流入する通路である。
【0133】
図32(a)および
図32(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置20が適用された戦闘機57を示す図である。
【0134】
図示のように、戦闘機57のジェットエンジンの後方にも推力増強装置20を適用することができる。推力増強装置20は、戦闘機自体のジェットエンジンの推力を増大させて戦闘機の最高速度と推進力を向上させる。
【0135】
また、
図32(b)に示すように、外部の空気をエンジンに誘導する部分にも第1ベンチュリ21、第2ベンチュリ23、第3ベンチュリ25を適用して、より多い流量の空気がエンジンに供給されるようにする。
【0136】
図33(a)および33(b)は、本発明の一実施例による推力増強装置が適用されたジェットパック(
図22の43)とハングライダー59とが結合された斜視図である。
【0137】
図面を参照すれば、ハングライダー59に推進力を提供するジェットパック43の噴射ノズル12に推力増強装置20が装着されていることが分かる。噴射ノズル12は、外部からホースを通して供給された水を噴出するノズルであって、2つが対称に配置される。
【0138】
噴射ノズル12に装着された推力増強装置20は、
図22により説明したジェットパック43に設けられた推力増強装置20と同一の構造を有し、同一の原理で推力を増強させる。図面符号59cは、外部の空気が推力増強装置20の内部に流入する通路である。
【0139】
以上、本発明を具体的な実施例を通じて詳細に説明したが、本発明は上記の実施例に限定せず、本発明の技術的思想の範囲内で通常の知識を有する者によって様々な変形が可能である。
【国際調査報告】