(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】音響出力装置
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20240405BHJP
H04R 1/00 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
H04R17/00
H04R1/00 317
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534192
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-06-05
(86)【国際出願番号】 CN2022085561
(87)【国際公開番号】W WO2023193189
(87)【国際公開日】2023-10-12
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521080118
【氏名又は名称】シェンツェン・ショックス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】朱 光▲遠▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲慶▼依
【テーマコード(参考)】
5D004
5D017
【Fターム(参考)】
5D004AA03
5D004CD01
5D004DD01
5D017AB11
(57)【要約】
本明細書の実施例は、第1の振動素子、第2の振動素子及び圧電素子を含む音響出力装置を提供する。前記第1の振動素子は、前記圧電素子の第1の位置に物理的に接続され、前記第2の振動素子は、少なくとも弾性素子により前記圧電素子の第2の位置に接続される。前記圧電素子は、電気信号に応答して、振動するように前記第1の振動素子及び前記第2の振動素子を駆動し、前記振動により人間の耳の可聴範囲内の2つの共振ピークが発生する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の振動素子と、
第2の振動素子と、
圧電素子と、を含み、前記第1の振動素子は、前記圧電素子の第1の位置に物理的に接続され、前記第2の振動素子は、少なくとも弾性素子により前記圧電素子の第2の位置に接続され、前記圧電素子は、電気信号に応答して、振動するように前記第1の振動素子及び前記第2の振動素子を駆動し、前記振動により人間の耳の可聴範囲内の2つの共振ピークが発生する、音響出力装置。
【請求項2】
前記第2の振動素子と前記弾性素子の共振により前記2つの共振ピークのうちの周波数が低い第1の共振ピークが発生し、前記圧電素子と前記第1の振動素子の共振により前記2つの共振ピークのうちの周波数が高い第2の共振ピークが発生する、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
前記第1の共振ピークの周波数は、50Hz~2000Hzの範囲内であり、前記第2の共振ピークの周波数は、1kHz~10kHzの範囲内である、請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
接続部材をさらに含み、前記第2の振動素子及び前記弾性素子は、前記接続部材により前記圧電素子の前記第2の位置に接続される、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記圧電素子は、梁状構造を含み、前記第1の位置は、前記梁状構造の長手延在方向の中心にある、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記第2の位置は、前記梁状構造の前記長手延在方向の端部にある、請求項5に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記振動は、前記第2の振動素子により骨伝導の方式でユーザーに伝達される、請求項5又は6に記載の音響出力装置。
【請求項8】
前記第2の振動素子の振動を受ける第2の圧電素子をさらに含み、前記第2の圧電素子は、共振して、周波数が前記2つの共振ピークのものより高い第3の共振ピークが発生する、請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記第3の共振ピークの周波数は、10kHz~40kHzの範囲内である、請求項8に記載の音響出力装置。
【請求項10】
少なくとも第3の弾性素子により前記第2の圧電素子の第3の位置に接続された第4の振動素子をさらに含み、前記第3の弾性素子と前記第4の振動素子は、共振して、周波数が前記第3の共振ピークの周波数より低い第5の共振ピークが発生し、
前記第2の共振ピークと前記第5の共振ピークに対応する周波数間の差の絶対値と、前記第2の共振ピークに対応する周波数との比の範囲は、0~4である、請求項8に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記圧電素子と前記第2の圧電素子は、いずれも梁状構造を含み、前記第2の圧電素子の梁状構造の長さは、前記圧電素子の梁状構造の長さより短い、請求項8に記載の音響出力装置。
【請求項12】
前記第2の圧電素子の梁状構造の長さと前記圧電素子の梁状構造の長さとの比は、0.1~1の範囲内である、請求項11に記載の音響出力装置。
【請求項13】
前記圧電素子と前記第2の圧電素子の励起信号間の位相差の絶対値は、45°~135°の範囲内である、請求項8~12のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項14】
第3の圧電素子をさらに含み、前記第3の圧電素子は、振動し、かつ振動を前記第2の圧電素子に伝達し、共振して、周波数が前記第3の共振ピークのものより低い第4の共振ピークが発生する、請求項8~13のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項15】
少なくとも第2の弾性素子により前記第3の圧電素子に接続された第3の振動素子をさらに含み、前記第3の圧電素子の振動は、前記第3の振動素子により前記第2の圧電素子に伝達される、請求項14に記載の音響出力装置。
【請求項16】
前記圧電素子は、梁状構造を含み、前記第1の振動素子は、2つのサブ振動素子を含み、
前記2つのサブ振動素子は、それぞれ前記圧電素子の長手延在方向の両端に接続される、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項17】
前記2つのサブ振動素子は、質量が同じであり、前記2つのサブ振動素子の前記圧電素子に接続された2つの第1の位置は、前記圧電素子の中心に対して対称である、請求項16に記載の音響出力装置。
【請求項18】
前記圧電素子の長さは、3mm~30mmの範囲内である、請求項1~17のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【請求項19】
前記圧電素子は、2層の圧電シートと基板を含み、前記2層の圧電シートは、それぞれ前記基板の両側に貼り付けられ、前記基板は、前記2層の圧電シートの長手延在方向に沿った伸縮に基づいて振動を発生させる、請求項1~18のいずれか一項に記載の音響出力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、音響の技術分野に関し、特に音響出力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧電型音響出力装置は、圧電材料の逆圧電効果を利用して振動を発生させて外部に音波を放出するものであり、従来の動電型スピーカーと比較して、電気機械エネルギー変換効率が高く、エネルギー消費が低く、体積が小さく、集積度が高いなどの利点を有する。現在のデバイスの小型化及び集積化の傾向で、圧電型音響出力装置は、極めて大きな将来性がある。しかしながら、圧電型音響出力装置は、低周波応答が低く、人間の耳の可聴域内(例えば、20Hz~20kHz)の振動モードが多いなどの問題が存在するため、可聴域内で平坦な周波数応答曲線を形成することができず、音質が低いという問題をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、低周波応答を向上させるとともに、可聴域内で平坦な周波数応答曲線を形成して、音質効果を向上させることができる、音響出力装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書の実施例に係る音響出力装置は、第1の振動素子と、第2の振動素子と、圧電素子と、を含み、前記第1の振動素子は、前記圧電素子の第1の位置に物理的に接続され、前記第2の振動素子は、少なくとも弾性素子により前記圧電素子の第2の位置に接続され、前記圧電素子は、電気信号に応答して、振動するように前記第1の振動素子及び前記第2の振動素子を駆動し、前記振動により人間の耳の可聴範囲内の2つの共振ピークが発生する。
【0005】
いくつかの実施例では、前記第2の振動素子と前記弾性素子の共振により前記2つの共振ピークのうちの周波数が低い第1の共振ピークが発生し、前記圧電素子と前記第1の振動素子の共振により前記2つの共振ピークのうちの周波数が高い第2の共振ピークが発生する。
【0006】
いくつかの実施例では、前記第1の共振ピークの周波数は、50Hz~2000Hzの範囲内であり、前記第2の共振ピークの周波数は、1kHz~10kHzの範囲内である。
【0007】
いくつかの実施例では、前記第2の振動素子及び前記弾性素子は、接続部材により前記圧電素子の前記第2の位置に接続される。
【0008】
いくつかの実施例では、前記圧電素子は、梁状構造を含み、前記第1の位置は、前記梁状構造の長手延在方向の中心にある。
【0009】
いくつかの実施例では、前記第2の位置は、前記梁状構造の前記長手延在方向の端部にある。
【0010】
いくつかの実施例では、前記梁状構造の前記長手延在方向において、前記第2の振動素子の寸法は、前記圧電素子の寸法以上である。
【0011】
いくつかの実施例では、前記振動は、前記第2の振動素子により骨伝導の方式でユーザーに伝達される。
【0012】
いくつかの実施例では、音響出力装置は、前記第2の振動素子の振動を受ける第2の圧電素子をさらに含み、前記第2の圧電素子は、共振して、周波数が前記2つの共振ピークのものより高い第3の共振ピークが発生する。
【0013】
いくつかの実施例では、前記第3の共振ピークの周波数は、10kHz~40kHzの範囲内である。
【0014】
いくつかの実施例では、音響出力装置は、少なくとも第3の弾性素子により前記第2の圧電素子の第3の位置に接続された第4の振動素子をさらに含み、前記第3の弾性素子と前記第4の振動素子は、共振して、周波数が前記第3の共振ピークの周波数より低い第5の共振ピークが発生し、前記第2の共振ピークと前記第5の共振ピークに対応する周波数間の差の絶対値と、前記第2の共振ピークに対応する周波数との比の範囲は、0~4である。
【0015】
いくつかの実施例では、前記圧電素子と前記第2の圧電素子は、いずれも梁状構造を含み、前記第2の圧電素子の梁状構造の長さは、前記圧電素子の梁状構造の長さより短い。
【0016】
いくつかの実施例では、前記第2の圧電素子の梁状構造の長さと前記圧電素子の梁状構造の長さとの比は、0.1~1の範囲内である。
【0017】
いくつかの実施例では、前記圧電素子と前記第2の圧電素子の励起信号間の位相差の絶対値は、45°~135°の範囲内である。
【0018】
いくつかの実施例では、音響出力装置は、第3の圧電素子をさらに含み、前記第3の圧電素子は、振動し、かつ振動を前記第2の圧電素子に伝達し、共振して、周波数が前記第3の共振ピークのものより低い第4の共振ピークが発生する。
【0019】
いくつかの実施例では、音響出力装置は、少なくとも第2の弾性素子により前記第3の圧電素子に接続された第3の振動素子をさらに含み、前記第3の圧電素子の振動は、前記第3の振動素子により前記第2の圧電素子に伝達される。
【0020】
いくつかの実施例では、前記圧電素子は、梁状構造を含み、前記第1の振動素子は、2つのサブ振動素子を含み、前記2つのサブ振動素子は、それぞれ前記圧電素子の長手延在方向の両端に接続される。
【0021】
いくつかの実施例では、前記2つのサブ振動素子は、質量が同じであり、前記2つのサブ振動素子の前記圧電素子に接続された2つの第1の位置は、前記圧電素子の中心に対して対称である。
【0022】
いくつかの実施例では、前記圧電素子の長さは、3mm~30mmの範囲内である。
【0023】
いくつかの実施例では、前記圧電素子は、2層の圧電シートと基板を含み、前記2層の圧電シートは、それぞれ前記基板の両側に貼り付けられ、前記基板は、前記2層の圧電シートの長手延在方向に沿った伸縮に基づいて振動を発生させる。
【0024】
本願の付加的な特性の一部は、以下の説明において説明することができる。以下の説明及び対応する図面の研究、又は実施例の製造又は操作に対する理解により、本願の付加的な特性の一部は、当業者にとって明らかになるであろう。本願の特徴は、以下の詳細な実施例に説明される方法、ツール及び組み合わせの様々な態様を実施又は使用することにより実現し、達成することができる。
【0025】
例示的な実施例によって本明細書をさらに説明し、これらの例示的な実施例を、図面を参照して詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例では、同じ番号は同じ構造を示す。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置のブロック構成図である。
【
図2】本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略構成図である。
【
図3】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電カンチレバーモデルを示す図である。
【
図4】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の弾性質量端と質量端の出力周波数応答曲線図である。
【
図5】本明細書のいくつかの実施例に係る圧電カンチレバーの自由端の出力周波数応答と、長さが同じの単一ビーム構造を含む音響出力装置の周波数応答との比較図である。
【
図6】本明細書のいくつかの実施例に係る質量が異なる第1の振動素子を含む音響出力装置の周波数応答曲線を示す。
【
図7】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
【
図8】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
【
図9】本明細書のいくつかの実施例に係る、それぞれ単一ビーム構造、2重ビーム構造及び4重ビーム構造を有する音響出力装置の振動信号が弾性質量端から出力される場合の周波数応答曲線を示す。
【
図10】本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
【
図11】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の出力周波数応答曲線を示す。
【
図12】異なる励起信号間の位相差に対応する音響出力装置の周波数応答曲線を示す。
【
図13】異なる励起信号間の位相差に対応する音響出力装置の周波数応答曲線を示す。
【
図14】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略構成図である。
【
図15】本明細書のいくつかの実施例に係る異なる構造の音響出力装置の出力周波数応答曲線図である。
【
図16】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略構成図である。
【
図17】本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略構成図である。
【
図18】本明細書のいくつかの実施例に係る、それぞれ単一ビーム構造、2重ビーム構造及び4重ビーム構造を有する音響出力装置の振動信号が弾性質量端から出力される場合の周波数応答曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本明細書の実施例の技術手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、本明細書のいくつかの例又は実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本明細書を他の類似するシナリオに適用することができる。これらの例示的な実施例は、当業者が本明細書をよりよく理解して実施することを可能にするためのものに過ぎず、いかなる方式で本明細書の範囲を限定するものではないことを理解されたい。言語環境から明らかではないか又は別に説明しない限り、図中の同じ番号は、同じ構造又は操作を示す。
【0028】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」は、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部材、部分又は組立体を区別する方法であることを理解されたい。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0029】
本明細書及び特許請求の範囲に示すように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を意味するものではなく、複数形を含んでもよい。一般的には、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素を含むことを提示するものに過ぎず、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は機器は、また他のステップ又は要素を含む可能性がある。用語「基づく」は、「少なくとも部分的に基づく」ことを意味する。用語「1つの実施例」は、「少なくとも1つの実施例」を示す。用語「別の実施例」は、「少なくとも1つの別の実施例」を示す。
【0030】
なお、本明細書の説明では、用語「第1」、「第2」、「第3」、「第4」などは、説明の目的のみに用いられるものであり、相対的な重要性を示したり示唆したりするか、又は示された技術的特徴の数量を黙示的に示すと理解すべきではない。そのため、「第1」、「第2」、「第3」、「第4」で限定される特徴は、少なくとも1つの該特徴を含むことを明示的又は黙示的に示すことができる。本明細書の説明において、別に明確かつ具体的な限定がない限り、「複数」は、少なくとも2つを意味し、例えば2つ、3つなどである。
【0031】
本明細書において、別に明確な規定及び限定がない限り、用語「接続」、「固定」などは、広義に理解されるべきである。例えば、別に明確な限定がない限り、用語「接続」は、固定接続、取り外し可能な接続、又は一体的な接続であってもよく、機械的な接続又は電気的な接続であってもよく、直接的な接続であってもよく、中間媒体を介した間接的な接続であってもよく、2つの素子の内部の連通又は2つの素子の相互作用関係であってもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて本明細書における上記用語の具体的な意味を理解することができる。
【0032】
本願の実施例に係る音響出力装置は、逆圧電効果を利用して圧電素子により振動を発生させて音声を出力することができる。通常、圧電素子は、d33及びd31の2種類の動作モードを用いてもよい。d33動作モードでは、圧電素子の振動方向(変位出力方向と呼ばれてもよい)は、電気的方向(分極方向と呼ばれてもよい)と同じであり、その共振周波数が高く、出力振幅が小さく、低周波応答が悪い。d31動作モードでは、圧電素子の振動方向は、電気的方向に垂直である。d31動作モードでは、圧電素子の長さを長くすることで周波数が十分に低い低周波数ピークを提供することができ、出力振幅も顕著に増加するが、このような場合に、圧電素子は、可聴域内(例えば、20Hz~20kHz)に多くの振動モードを有し、周波数応答曲線に多くのピークとディップが現れると表現されるため、音響出力装置(又は圧電式スピーカー)の音質は、依然として悪い。
【0033】
圧電式スピーカーの低周波応答が悪く、可聴域内のモードが多いという問題を解決するために、本明細書の実施例に係る音響出力装置は、第1の振動素子、第2の振動素子及び圧電素子を含んでもよい。第1の振動素子は、圧電素子の第1の位置に物理的に接続され、第2の振動素子は、少なくとも弾性素子により圧電素子の第2の位置に接続される。圧電素子は、電気信号に応答して、振動するように第1の振動素子及び第2の振動素子を駆動することができる。該振動により人間の耳の可聴範囲内の2つの共振ピーク(例えば、第1の共振ピーク及び第2の共振ピーク)が発生することができる。
【0034】
本明細書の実施例によれば、第2の振動素子と弾性素子の共振により2つの共振ピークのうちの周波数が低い(例えば、50Hz~2000Hz)第1の共振ピークが発生することにより、圧電素子の低周波応答を向上させることができる。また、圧電素子と第1の振動素子の共振により2つの共振ピークのうちの周波数が高い(例えば、1kHz~10kHz)第2の共振ピークが発生することができるため、音声信号が第2の振動素子の振動により出力される場合(例えば、第2の振動素子がユーザーの顔に貼り合わせられてユーザーに骨導音声を伝達し、或いは、第2の振動素子が空気をプッシュしてユーザーの耳に放出される気導音声を発生させる)、第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間の周波数応答曲線を平坦にすることにより、音響出力装置の音質を向上させることができる。いくつかの実施例では、音声信号が第1の振動素子の振動により出力される場合(例えば、第1の振動素子がユーザーの顔にフィットしてユーザーに骨導音声を伝達し、或いは、第1の振動素子が空気を押してユーザーの耳に放出される気導音声を発生させる)、音響出力装置の中高周波数帯域(例えば、500Hz~10kHz)での感度を向上させることができるため、音響出力装置の特別なシーンにおける適用に役立つ。
【0035】
以下、図面を参照しながら本願の実施例に係る音響出力装置を詳細に説明する。
【0036】
図1は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置のブロック構成図である。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、骨導音響出力装置、気導音響出力装置又は骨導気導複合型音響出力装置であってもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、サウンドボック、ヘッドホン、メガネ、補聴器、拡張現実(Augmented Reality、AR)デバイス、仮想現実(Virtual Reality、VR)デバイスなど、又はオーディオ再生機能を有する他のデバイス(例えば、携帯電話、コンピュータなど)を含んでもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、開放型音響出力装置であってもよい。
図1に示すように、音響出力装置100は、第1の振動素子110、第2の振動素子120、圧電素子130及び弾性素子140を含んでもよい。
【0037】
第1の振動素子110と第2の振動素子120は、いずれも一定の質量を有する質量ブロックであってもよい。いくつかの実施例では、第1の振動素子110及び/又は第2の振動素子120は、音響出力装置100が第1の振動素子110及び/又は第2の振動素子120により振動を出力するように、振動板、振動膜などを含んでもよい。いくつかの実施例では、質量ブロックの材質は、金属(例えば、銅、鉄、マグネシウム、アルミニウム、タングステンなど)、合金(アルミニウム合金、チタン合金、タングステン合金など)、高分子材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、シリコーンゴムなど)などの材質を含んでもよいが、それらに限定されない。いくつかの実施例では、第1の振動素子110の材質と第2の振動素子120の材質は、同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施例では、第1の振動素子110の質量と第2の振動素子120の質量は、同じであってもよく、異なってもよい。いくつかの実施例では、第1の振動素子110又は第2の振動素子120の質量は、10g未満であってもよい。いくつかの実施例では、第1の振動素子110又は第2の振動素子120の質量は、8g未満であってもよい。いくつかの実施例では、第1の振動素子110又は第2の振動素子120の質量は、6g未満であってもよい。いくつかの実施例では、第1の振動素子110又は第2の振動素子120の質量は、5g未満であってもよい。
【0038】
第1の振動素子110は、圧電素子130の第1の位置に物理的に接続(例えば、接着、係着、ネジ接続、溶接など)されてもよく、第2の振動素子120は、少なくとも弾性素子140により圧電素子130の第2の位置に接続されてもよい。いくつかの実施例では、第1の位置と第2の位置は、同じであってもよく、異なってもよい。例えば、圧電素子130が梁状構造を有する場合、第1の位置と第2の位置は、いずれも圧電素子130の梁状構造の長手延在方向の端部にあってもよい。また例えば、
図2に示すように、第1の位置と第2の位置は、それぞれ圧電素子130の梁状構造の長手延在方向の両端にあってもよい。さらに例えば、
図7に示すように、第1の位置は、圧電素子130の中心にあってもよく、第2の位置は、圧電素子130の梁状構造の長手延在方向の任意の端部にあってもよい。本明細書では、圧電素子130の梁状構造の長手延在方向は、梁状構造の該延在方向における最小加工寸法が、梁状構造の他の任意の方向における最小加工寸法より1倍以上大きい方向であってもよい。いくつかの実施例では、梁状構造は、直線型の梁状構造、屈曲型の梁状構造などを含んでもよい。本明細書では、直線型の梁状構造を例として説明するが、本明細書の範囲を限定するものではない。いくつかの実施例では、弾性素子140は、圧電素子130の第2の位置に直接接続されてもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、接続部材(図示せず)を含んでもよい。第2の振動素子120及び弾性素子140は、接続部材により圧電素子130の第2の位置に接続されてもよい。例えば、
図7に示すように、第2の振動素子120及び弾性素子140は、接続部材190により圧電素子130の端部(すなわち、第2の位置)に接続されてもよい。
【0039】
第1の振動素子110と第2の振動素子120は、それぞれ圧電素子130の振動に応答して振動を発生させることができる。具体的には、圧電素子130は、振動を第1の振動素子110に直接伝達することができ、圧電素子130の振動は、弾性素子140により第2の振動素子120に伝達することができる。本明細書の実施例では、圧電素子130に直接接続された第1の振動素子110は、質量端と呼ばれてもよく、弾性素子140により圧電素子130に接続された第2の振動素子120は、弾性質量端と呼ばれてもよい。
【0040】
いくつかの実施例では、弾性素子140の材料は、振動伝達能力を有する任意の材料であってもよい。例えば、弾性素子140の材料は、シリコーンゴム、ウレタンフォーム、プラスチック、ゴム、金属など、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。いくつかの実施例では、弾性素子140は、優れた弾性を有する(すなわち、弾性変形しやすい)部品であってもよい。例えば、弾性素子140は、バネ(例えば、空気バネ、機械バネ、電磁バネなど)、振動伝達シート、弾性シート、基板など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、弾性素子140の数は、1つ以上であってもよい。例えば、
図2に示すように、第2の振動素子120は、1つの弾性素子140により圧電素子130に接続されてもよい。また例えば、
図7に示すように、第2の振動素子120は、4つの弾性素子140により圧電素子130に接続されてもよい。いくつかの実施例では、弾性素子140は、形状が環状、ロッド状の構造などであってもよい。いくつかの実施例では、弾性素子140は、圧電素子130の中心を通る軸に対して軸対称に分布してもよい。
【0041】
圧電素子130は、逆圧電効果を利用して電気エネルギーを機械エネルギーに変換することができる電気エネルギー変換デバイスであってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子130は、圧電セラミックス、圧電石英、圧電結晶、圧電ポリマーなど、圧電効果を有する材料で構成されてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子130は、シート状、環状、菱形、直方体形、柱状、球形などの形状、又はそれらの任意の組み合わせであってもよく、他の不規則的な形状であってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子130は、(
図2、
図7、
図16などに示すように)梁状構造を含んでもよい。例として、圧電素子130は、2層の圧電シートと基板を含んでもよく、2層の圧電シートは、それぞれ基板の両側に貼り付けられる。基板は、2層の圧電シートの梁状構造の長手延在方向に沿った伸縮に基づいて振動(例えば、基板の表面に垂直な方向に沿った振動)を発生させることができる。梁状構造に関するより多くの説明については、
図2及びその説明を参照することができる。
【0042】
いくつかの実施例では、圧電素子130が梁状構造を含む場合、第1の位置と第2の位置は、(
図2に示すように)それぞれ圧電素子130の2つの端部にあってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子130が梁状構造を含む場合、第1の位置は、梁状構造の長手延在方向の中心にあってもよい。第2の位置は、(
図7に示すように)梁状構造の長手延在方向の端部にあってもよい。いくつかの実施例では、圧電素子130が梁状構造を含む場合、第1の振動素子110は、2つのサブ振動素子を含んでもよく、2つのサブ振動素子は、(
図17に示すように)それぞれ圧電素子130の長手延在方向の両端(すなわち、第1の位置)に接続されてもよい。第2の位置は、圧電素子130の長手延在方向の中心にあってもよい。
【0043】
圧電素子130は、駆動電圧(又は励起信号)の作用で変形することにより、振動を発生させることができる。該振動は、振動するように第1の振動素子110及び第2の振動素子120を駆動することにより、人間の耳の可聴範囲内(例えば、20Hz~20kHz)の2つの共振ピークが発生することができる。具体的には、第2の振動素子120と弾性素子140の共振により、上記2つの共振ピークのうちの周波数が低い(例えば、20Hz~2000Hz)第1の共振ピーク(
図4中の破線円X内の共振ピーク)が発生することができ、圧電素子130と第1の振動素子110の共振により、上記2つの共振ピークのうちの周波数が高い(例えば、1kHz~10kHz)第2の共振ピーク(
図4中の破線円Y内の共振ピーク)が発生することができる。第2の共振ピークに対応する周波数(第2の共振周波数と呼ばれてもよい)は、第1の共振ピークに対応する周波数(第1の共振周波数と呼ばれてもよい)より高くてもよい。
【0044】
いくつかの実施例では、第2の振動素子120の質量及び/又は弾性素子140の弾性係数を調整することにより、第1の共振ピークに対応する第1の共振周波数の周波数範囲を調整することができる。いくつかの実施例では、第1の共振周波数の周波数範囲は、20Hz~2000Hzであってもよい。いくつかの実施例では、第1の共振周波数の周波数範囲は、50Hz~1500Hzであってもよい。いくつかの実施例では、第1の共振周波数の周波数範囲は、100Hz~1000Hzであってもよい。いくつかの実施例では、第1の共振周波数の周波数範囲は、150Hz~500Hzであってもよい。いくつかの実施例では、第1の共振周波数の周波数範囲は、150Hz~200Hzであってもよい。
【0045】
いくつかの実施例では、圧電素子130の性能パラメータを調整することにより、第2の共振ピークに対応する第2の共振周波数の周波数範囲を調整することができる。いくつかの実施例では、圧電素子130の性能パラメータは、幾何学的パラメータ、材料パラメータなどを含んでもよい。例示的な幾何学的パラメータは、厚さ、長さなどを含んでもよい。例示的な材料パラメータは、弾性率、密度などを含んでもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数は、圧電素子130の固有周波数であってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数の周波数範囲は、1kHz~10kHzであってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数の周波数範囲は、1kHz~9kHzであってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数の周波数範囲は、1kHz~8kHzであってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数の周波数範囲は、1kHz~7kHzであってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数の周波数範囲は、1kHz~6kHzであってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数の周波数範囲は、2kHz~5kHzであってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数の周波数範囲は、3kHz~4kHzであってもよい。
【0046】
いくつかの実施例では、音響出力装置100の1つ以上の素子に減衰を付加することにより、音響出力装置100の出力周波数応答曲線をより滑らかにすることができる。例えば、減衰効果が高い材料(例えば、シリコーンゴム、ゴム、ウレタンフォームなど)を用いて弾性素子140を製造してもよい。また例えば、圧電素子130に減衰材料を塗布してもよい。さらに例えば、第1の振動素子110及び/又は第2の振動素子120に減衰材料を塗布してもよく、電磁減衰を付加してもよい。
【0047】
いくつかの実施例では、圧電素子130(又は音響出力装置100)の振動は、第1の振動素子110及び/又は第2の振動素子120により骨伝導の方式でユーザーに伝達されてもよい。例示的には、第2の振動素子120は、ユーザーの頭部皮膚に直接接触してもよく、圧電素子130の振動は、第2の振動素子120によりユーザーの顔部の骨格及び/又は筋肉に伝達され、最後にユーザーの耳部に伝達される。また例えば、第2の振動素子120は、人体に直接接触しなくてもよく、圧電素子130の振動は、第2の振動素子120により音響出力装置のハウジングに伝達されてから、ハウジングによりユーザーの顔部の骨格及び/又は筋肉に伝達され、最後にユーザーの耳部に伝達されてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子130の振動は、第1の振動素子110及び/又は第2の振動素子120により空気伝導の方式でユーザーに伝達されてもよい。例示的には、第2の振動素子120は、振動するようにその周囲の空気を直接駆動することにより、空気によりユーザーの耳部に伝達されてもよい。また例えば、第2の振動素子120は、さらに振動膜に接続されてもよく、第2の振動素子120の振動は、振動膜に伝達されてから、振動膜により、振動するように空気を駆動することにより、空気によりユーザーの耳部に伝達されてもよい。
【0048】
いくつかの実施例では、音響出力装置100は、第2の圧電素子150を含んでもよい。いくつかの実施例では、圧電素子130(第1の圧電素子130と呼ばれてもよい)と第2の圧電素子150は、いずれも梁状構造を含んでもよい。第2の圧電素子150の梁状構造の長さ(すなわち、梁状構造の長手延在方向に沿った寸法であり、第2の長さと呼ばれてもよい)は、第1の圧電素子130の梁状構造の長さ(第1の長さと呼ばれてもよい)より短くてもよい。いくつかの実施例では、第2の圧電素子150は、第2の振動素子120に直接接続されてもよい。例えば、第2の圧電素子150は、第2の振動素子120に直接貼り付けられてもよい。第2の圧電素子150は、第2の振動素子120の振動を受けることができる。第2の圧電素子150は、共振して、周波数が第1の共振ピーク及び第2の共振ピークのものより高い第3の共振ピークが発生することができる。いくつかの実施例では、第2の圧電素子150の性能パラメータ(例えば、幾何学的パラメータ、材料パラメータなど)を調整することにより、第3の共振ピークに対応する第3の共振周波数の周波数範囲を調整することができる。いくつかの実施例では、第3の共振周波数の周波数範囲は、10kHz~40kHzであってもよい。第2の圧電素子150に関するより多くの説明については、
図10を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0049】
いくつかの実施例では、音響出力装置100は、第3の圧電素子160をさらに含んでもよい。第3の圧電素子160は、電気信号に応答して振動を発生させ、かつ振動を第2の圧電素子150に伝達することができる。いくつかの実施例では、第3の圧電素子160の振動は、第3の振動素子により第2の圧電素子150に伝達されてもよい。いくつかの実施例では、第3の振動素子は、少なくとも第2の弾性素子により第3の圧電素子160に接続されてもよい。第3の圧電素子160は、共振して、周波数が第3の共振ピークのものより低い第4の共振ピークが発生することができる。第3の圧電素子160に関するより多くの説明については、
図14を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0050】
いくつかの実施例では、音響出力装置100は、ハウジング構造170をさらに含んでもよい。ハウジング構造170は、音響出力装置100の他の部品(例えば、第1の振動素子110、第2の振動素子120、圧電素子130、弾性素子140など)を載置するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、ハウジング構造170は、内部が中空の密閉型又は半密閉型構造であってもよく、音響出力装置100の他の部品は、ハウジング構造内又は上に位置する。いくつかの実施例では、ハウジング構造の形状は、直方体、円柱体、円錐台などの規則的な形状又は不規則な形状の立体構造であってもよい。ユーザーが音響出力装置100を装着している場合、ハウジング構造は、ユーザーの耳の付近に位置してもよい。例えば、ハウジング構造は、ユーザーの耳介の周側(例えば、前側又は後側)に位置してもよい。また例えば、ハウジング構造は、ユーザーの耳道を塞がないか又は覆わないように、ユーザーの耳に位置してもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、骨導ヘッドホンであってもよく、ハウジング構造の少なくとも一側は、ユーザーの皮膚に接触してもよい。骨導ヘッドホン内の音響ドライバアセンブリ(例えば、圧電素子130、第1の振動素子110、弾性素子140及び第2の振動素子120の組み合わせ)は、オーディオ信号を機械的振動に変換し、該機械的振動は、ハウジング構造及びユーザーの骨格によりユーザーの聴覚神経に伝達することができる。いくつかの実施例では、音響出力装置100は、気導ヘッドホンであってもよく、ハウジング構造の少なくとも一側は、ユーザーの皮膚に接触してもよく、接触しなくてもよい。ハウジング構造の側壁は、少なくとも1つの音導孔を含み、気導ヘッドホン内の音響ドライバアセンブリは、オーディオ信号を気導音声に変換し、該気導音声は、音導孔によりユーザーの耳の方向に放出することができる。
【0051】
いくつかの実施例では、音響出力装置100は、固定構造180を含んでもよい。固定構造180は、音響出力装置100をユーザーの耳の付近に固定するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、固定構造180は、音響出力装置100のハウジング構造170に物理的に接続(例えば、接着、係着、ネジ接続など)されてもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置100のハウジング構造170は、固定構造180の一部であってもよい。いくつかの実施例では、固定構造180は、音響出力装置100をユーザーの耳の付近によりよく固定し、ユーザーの使用時に落下することを防止できるように、耳掛け、後掛け、弾性バンド、眼鏡テンプルなどを含んでもよい。例えば、固定構造180は、耳掛けであってもよく、耳掛けは、耳部領域の周りに装着するように構成されてもよい。いくつかの実施例では、耳掛けは、連続的なフック状物であってもよく、弾性的に引っ張られてユーザーの耳部に装着されてもよく、同時にユーザーの耳介に圧力を印加することにより、音響出力装置100をユーザーの耳部又は頭部の特定の位置にしっかりと固定することができる。いくつかの実施例では、耳掛けは、不連続的な帯状物であってもよい。例えば、耳掛けは、剛性部及び可撓性部を含んでもよい。剛性部は、剛性材料(例えば、プラスチック又は金属)で製造されてもよく、物理的な接続(例えば、係着、ネジ接続など)の方式で音響出力装置100のハウジング構造170に固定されてもよい。可撓性部は、弾性材料(例えば、布地、複合材料又は/及びクロロプレンゴム)で製造されてもよい。また例えば、固定構造180は、ネックバンドであってもよく、首/肩領域の周りに装着するように構成される。さらに例えば、固定構造180は、眼鏡テンプルであってもよく、メガネの一部として、ユーザーの耳部に掛けられる。
【0052】
なお、
図1に関する以上の説明は、説明の目的のためのものに過ぎず、本願の範囲を限定することを意図するものではない。当業者であれば、本願の説明に基づいて様々な変更及び修正を行うことができる。例えば、いくつかの実施例では、音響出力装置100は、1つ以上の部品(例えば、信号送受信機、対話モジュール、電池など)をさらに含んでもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置100の1つ以上の部品は、類似する機能を実現することができる他の素子により代替されてもよい。例えば、音響出力装置100は、固定構造180を含まなくてもよく、ハウジング構造170又はその一部は、ハウジング構造がユーザーの耳の付近に掛けることができるように、人体の耳に合わせる形状(例えば、円環形、楕円形、(規則的又は不規則的な)多角形、U字形、V字形、半円形)を有するハウジング構造であってもよい。これらの変更及び修正は、本願の範囲から逸脱しない。
【0053】
図2は、本願のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略構成図である。
図3は、本明細書のいくつかの実施例に係る圧電カンチレバーモデルを示す図である。
図2に示すように、音響出力装置200は、第1の振動素子110、第2の振動素子120、圧電素子130及び弾性素子140を含んでもよい。圧電素子130は、梁状構造を含んでもよい。第1の振動素子110は、圧電素子130の一端(すなわち、第1の位置)に接続され、第2の振動素子120は、弾性素子140により圧電素子130の他端(すなわち、第2の位置)に接続される。圧電素子130は、振動するように第1の振動素子110及び第2の振動素子120を駆動することができる。該振動により、人間の耳の可聴範囲内の2つの共振ピーク(
図4に示す)が発生することができる。なお、圧電素子130が振動する場合、梁状構造の長手延在方向に沿った端部は、振幅が大きく、感度が高いため、第1の位置及び第2の位置を梁状構造の長手延在方向に沿った端部に設置すると、音響出力装置200の周波数応答の感度を向上させることができる。いくつかの実施例では、音響出力装置200は、音響出力装置200をユーザーの耳の付近に固定するように構成されてもよい固定構造(図示せず)をさらに含むことにより、圧電素子130及び第1の振動素子110(及び/又は第2の振動素子120)は、カンチレバー構造を構成する。本願では、梁状構造を有する圧電素子の長手延在方向における一端が振動素子に接続され、他端が弾性素子により別の振動素子に接続された構造は、単一ビーム構造と略称されてもよい。
【0054】
いくつかの実施例では、圧電素子130は、2つの圧電シート(すなわち、圧電シート132及び圧電シート134)と基板136を含んでもよい。基板136は、部品を載置するキャリア、及び振動に応答して変形する素子として構成されてもよい。いくつかの実施例では、基板136の材料は、金属(例えば、銅張箔、鋼など)、フェノール樹脂、架橋ポリスチレンなどのうちの1種以上の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、基板136の形状は、圧電素子130の形状に基づいて決定されてもよい。例えば、圧電素子130が梁状構造を含むと、それに応じて基板136は、長尺状にされてもよい。また例えば、圧電素子130が圧電フィルムであると、それに応じて基板136は、板状、シート状にされてもよい。
【0055】
圧電シート132と圧電シート134は、圧電効果及び/又は逆圧電効果を提供するアセンブリとして構成されてもよい。いくつかの実施例では、圧電シートは、基板136の1つ以上の表面を被覆するとともに、駆動電圧の作用で変形して基板136を変形させることにより、圧電素子130の振動出力を実現することができる。例えば、圧電素子130の厚さ方向(図中の矢印BB’に示す)に沿って、圧電シート132と圧電シート134は、それぞれ基板136の両側に貼り付けられ、基板136は、圧電シート132と圧電シート134の圧電素子130の長手延在方向(図中の矢印AA’に示す)に沿った伸縮に基づいて振動を発生させることができる。具体的には、圧電素子130の厚さ方向BB’に沿って通電する場合、基板136の一側に位置する圧電シートは、その長手延在方向に沿って収縮し、基板136の他側に位置する圧電シートは、その長手延在方向に沿って伸長することにより、基板136の表面に垂直な方向(すなわち、厚さ方向BB’)に沿って屈曲振動するように基板136を駆動する。
【0056】
いくつかの実施例では、圧電シート132及び/又は圧電シート134の材質は、圧電セラミックス、圧電石英、圧電結晶、圧電ポリマーなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。例示的な圧電結晶は、水晶、閃亜鉛鉱、方ホウ石、電気石、紅亜鉛鉱、GaAs、チタン酸バリウム及びその誘導体結晶、KH2PO4、NaKC4H4O6・4H2O(ロッシェル塩)などを含んでもよい。例示的な圧電セラミックス材料は、チタン酸バリウム(BT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸鉛バリウムリチウム(PBLN)、変性チタン酸鉛(PT)、窒化アルミニウム(AIN)、酸化亜鉛(ZnO)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。例示的な圧電ポリマー材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を含んでもよい。
【0057】
第2の振動素子120及び弾性素子140で構成された弾性質量端の共振により、周波数が低い第1の共振ピークが発生することができ、圧電素子130と第1の振動素子110の共振により、周波数が高い第2の共振ピークが発生することができる。例えば、第1の共振ピークに対応する第1の共振周波数f
0の範囲は、50Hz~2000Hzであってもよく、第2の共振ピークに対応する第2の共振周波数f
1の範囲は、1kHz~10kHzであってもよい。いくつかの実施例では、振動信号が弾性質量端の質量素子(すなわち、第2の振動素子120)から出力される場合、音響出力装置200の周波数応答曲線の第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間に平坦な周波数応答曲線(
図4中の曲線L41に示す)が形成される。いくつかの実施例では、第1の共振ピークに対応する第1の共振周波数の大きさは、第2の振動素子120の質量及び弾性素子140の弾性係数による影響を受ける。いくつかの実施例では、第1の共振ピークの第1の共振周波数は、式(1)に基づいて決定されてもよい:
【0058】
【0059】
式中、f0は、第1の共振周波数を示し、kは、弾性素子140の弾性係数を示し、mは、第2の振動素子120の質量を示す。
【0060】
図3に示すように、第2の共振ピークの第2の共振周波数f
1は、長さが梁状構造の圧電素子130と同じの圧電カンチレバー自由端138の周波数応答の一次共振ピークによりほぼ決定されてもよい。例えば、第2の共振ピークの第2の共振周波数は、式(2)に基づいて決定されてもよい:
【0061】
【0062】
式中、bは、圧電素子130の幅であり、E
bは、基板136の材料の弾性率であり、I
bは、基板136の領域の慣性モーメントであり、E
pは、圧電シート132又は圧電シート134の材料の弾性率であり、I
pは、圧電シート132又は圧電シート134の領域の慣性モーメントであり、ρ
lは、圧電シート132又は圧電シート134の単位長さあたりの密度であり、lは、圧電素子130の長さである。なお、本明細書では、圧電カンチレバーは、
図2に示す単一ビーム構造の圧電素子130に弾性素子140及び第2の振動素子120が接続されない場合の構造であってもよい。
【0063】
基板136の領域の慣性モーメントIbは、下式を満たす:
【0064】
【0065】
式中、hbは、基板136の厚さである。
【0066】
圧電シート132又は圧電シート134の領域の慣性モーメントIpは、下式を満たす:
【0067】
【0068】
式中、hpは、圧電シート132又は圧電シート134の厚さである。
【0069】
圧電素子130の単位長さあたりの密度ρlは、下式を満たす:
ρl=bhbρb+2・bhpρp (5)
式中、ρbは、基板136の密度であり、ρpは、圧電シート132又は圧電シート134の材料の密度である。
【0070】
したがって、いくつかの実施例では、圧電素子130の性能パラメータ(例えば、(弾性率、密度を含む)材料パラメータ、(厚さ、長さ)を含む幾何学的パラメータなど)を設計することにより、音響出力装置200の第2の共振周波数f1を調整することができる。
【0071】
具体的には、いくつかの実施例では、圧電素子130の長さを調整することにより、音響出力装置200の周波数応答曲線における平坦な曲線の範囲を調整することができる。いくつかの実施例では、
図5に示すように、音質を保証して、可聴域(20Hz~20kHz)の範囲内に高次モード(又は振動モード)ができるだけ少なく現れるようにするために、圧電素子130の梁状構造をできるだけ短くするべきである。いくつかの実施例では、音響出力装置200の低周波数帯域(例えば、100Hz~1000Hz)での感度を保証するために、圧電素子130の梁状構造の長さは、短すぎないようにする。いくつかの実施例では、音響出力装置200の低周波数帯域(例えば、100Hz~1000Hz)での感度を向上させ、かつ100Hz~500Hzの区間で平坦な周波数応答曲線を有するために、圧電素子130の長さを20mm~30mmにしてもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置200の低周波数帯域(例えば、100Hz~800Hz)での感度を低下させず、かつ200Hz~2000Hzの区間で平坦な周波数応答曲線を有するために、圧電素子130の長さを10mm~20mmにしてもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置200の200Hz~5kHzの区間で平坦な周波数応答曲線を有するために、圧電素子130の長さを3mm~10mmにしてもよい。いくつかの実施例では、また、質量端(すなわち、第1の振動素子110)の質量を調整することにより、共振ピーク(例えば、第1の共振ピーク及び/又は第2の共振ピーク)の微調整(
図6に示す)を実現することができる。
【0072】
いくつかの実施例では、音響出力装置200の出力要求に基づいて、音響出力装置200の具体的な構造パラメータを設計してもよい。例示的には、実際の要求に基づいて、まず、第1の共振周波数f0及び第2の共振周波数f1の範囲(例えば、50Hz<f0<2000Hz、200Hz<f1<40kHz、f0<f1)を決定することができる。次に、弾性質量端の第2の振動素子120(例えば、振動板)の質量を決定することができる。そして、音響出力装置200の寸法要求に基づいて(主に空間寸法に基づいて)圧電素子130の幅を決定することができる。最後に、圧電シートの製造プロセスの技術力に基づいて基板136の厚さ及び圧電シートの厚さを決定することができる。
【0073】
上記パラメータを決定した後に、弾性素子140の弾性係数を算出することができる。
【0074】
k=(2πf0)2m (6)
そして、圧電素子130の材料パラメータ(例えば、弾性率、密度など)及び幾何学的パラメータ(例えば、厚さ、長さなど)に基づいて、圧電素子130の長さを決定することができる。
【0075】
最後に、音響出力装置200の全ての幾何学的構造パラメータを決定することができる。
【0076】
図4は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の弾性質量端と質量端の出力周波数応答曲線図である。
図4に示すように、曲線L41は、振動信号が弾性質量端から出力される場合の音響出力装置200の周波数応答曲線を示す。曲線L42は、振動信号が質量端から出力される場合の音響出力装置200の周波数応答曲線を示す。破線円X内の第1の共振ピークは、第2の振動素子120と弾性素子140の共振により発生してもよい。破線円Y内の第2の共振ピークは、圧電素子130と第1の振動素子110の共振により発生してもよい。
図4から分かるように、曲線L41及び曲線L42は、20Hz~2kHzの範囲内でそれぞれ2つの共振ピークを有する。振動信号が質量端から出力される場合(曲線L42に対応する)、音響出力装置200は、中高周波数帯域(例えば、600Hz~5kHz)で感度がより高い。しかしながら、第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間には共振ディップが存在するため、音響出力装置200の中低周波数帯域(例えば、200Hz~1000Hz)の音質に影響を与える。したがって、音響出力装置200の適用シーンが中高周波数帯域で高い感度を必要とするシーンである場合、好ましくは、質量端により振動信号を出力する。振動信号が弾性質量端から出力される場合(曲線L41に対応する)、音響出力装置200は、第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間に平坦な周波数応答曲線を有するため、音響出力装置200は、可聴域内で音質が良い。
【0077】
図5は、本明細書のいくつかの実施例に係る圧電カンチレバーの自由端の出力周波数応答と、長さが同じの単一ビーム構造を含む音響出力装置の周波数応答との比較図である。
図5に示すように、曲線L51、曲線L52、曲線L53は、長さが25mm、15mm、5mmの圧電カンチレバーの周波数応答曲線をそれぞれ示す。曲線L51’、曲線L52’、曲線L53’は、長さが25mm、15mm、5mmの単一ビーム構造を含む音響出力装置の周波数応答曲線をそれぞれ示す。
図5中の曲線L51、曲線L52、曲線L53から分かるように、圧電カンチレバーは、短いほど、可聴域(20Hz~20kHz)の範囲内の高次モードが少ない。曲線L51と曲線L51’の比較、曲線L52と曲線L52’の比較、曲線L53と曲線L53’の比較から分かるように、圧電カンチレバーの長さと単一ビーム構造の長さが同じである場合、圧電カンチレバーの自由端から出力される一次共振周波数は、対応する長さの単一ビーム構造を含む音響出力装置の第2の共振周波数に近い。したがって、音響出力装置の可聴域範囲内に高次モード(又は振動モード)ができるだけ少なく現れるようにするために、単一ビーム構造の圧電素子130の梁状構造をできるだけ短くするべきである。また、曲線L51’、曲線L52’、曲線L53’から分かるように、様々な長さ(すなわち、単一ビーム構造の圧電素子130の長さ)で、単一ビーム構造の第1の共振周波数(すなわち、単一ビーム構造の弾性素子140と第2の振動素子120の共振により発生する共振ピークの周波数)(破線円M内の共振ピークに対応する周波数)は、単一ビームが短くなって質量が減少するのでわずかに上昇し、かつ第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間にいずれも平坦な曲線が形成される。
【0078】
図6は、本明細書のいくつかの実施例に係る質量が異なる第1の振動素子を含む音響出力装置の周波数応答曲線を示す。
図6に示すように、圧電素子130の長さが同じである場合に、質量端(第1の振動素子110)の質量の増加に伴い、音響出力装置200の共振ピークは、低周波数へ移動する。したがって、いくつかの実施例では、質量端(第1の振動素子110)の質量の増減により、音響出力装置200の周波数応答曲線の全体を左右に移動させて、第1の共振ピーク(破線円O内の共振ピーク)の位置及び第2の共振ピーク(破線円P内の共振ピーク)の微調整を実現することができる。いくつかの実施例では、実際に必要とする平坦な周波数応答範囲に基づいて、第1の振動素子110の質量を調整することができる。例えば、音響出力装置の平坦な周波数応答範囲を低周波にする必要があれば、質量が大きい第1の振動素子110を設置することができる。逆に、音響出力装置の平坦な周波数応答範囲を高周波数にする必要があれば、質量が小さい第1の振動素子110を設置することができる。いくつかの実施例では、第1の振動素子110の質量は、0~10gの範囲内であってもよい。例えば、音響出力装置の200Hz~900Hzの周波数応答曲線を平坦にする必要がある場合、第1の振動素子110の質量は、0g~0.5gであってもよい。また例えば、音響出力装置の160Hz~800Hzの周波数応答曲線を平坦にする必要がある場合、第1の振動素子110の質量は、0.5g~1gであってもよい。さらに例えば、音響出力装置の150Hz~700Hzの周波数応答曲線を平坦にする必要がある場合、第1の振動素子110の質量は、1g~2gであってもよい。
【0079】
図2~
図6から分かるように、音響出力装置200の周波数応答曲線の平坦な領域が第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間に位置してもよいため、音響出力装置200の周波数応答曲線を広い周波数帯域範囲内で平坦にするために、第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間の距離を増加させ、すなわち、第1の共振周波数を減少させ、及び/又は第2の共振周波数を増加させることができる。式(2)から分かるように、長さが短い圧電素子130を選択する場合、第2の共振周波数が増加する。しかしながら、長さが短すぎる圧電素子130は、周波数応答曲線全体の振幅の低下を引き起こす可能性があるため、音響出力装置200の感度は、低下する。上記問題を解決するために、いくつかの実施例では、音響出力装置200は、
図2に示す構造(単一ビーム構造と呼ばれてもよい)を複数用いてもよく(例えば、
図7又は
図17に示す、対称に配置された2つの構造)、音響出力装置200全体の出力音質に影響を与えない場合に、感度を向上させることができる。いくつかの実施例では、対称な構造は、また、不要な揺れ、ずれを低減し、音響出力装置200の出力音質に悪影響を与えることを回避することができる。対称な構造は、複数の圧電素子130が質量端(第1の振動素子110)を中心として対称となる構造、複数の圧電素子130が弾性質量端(弾性素子140及び第2の振動素子120)を中心として対称となる構造を含んでもよく、具体的な内容については、
図7、
図8、
図16、
図17及びそれらの関連説明を参照することができる。
【0080】
図7は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。いくつかの実施例では、
図7に示すように、音響出力装置700は、圧電素子130、第1の振動素子110、第2の振動素子120、弾性素子140を含んでもよい。いくつかの実施例では、圧電素子130は、梁状構造を含んでもよく、第1の振動素子110は、圧電素子130の第1の位置に接続される。第2の振動素子120は、弾性素子140により圧電素子130の第2の位置に接続されてもよい。なお、梁状構造の圧電素子130が振動する場合、その端部の振幅が大きいため、第1の位置又は第2の位置が梁状構造の端部にある場合、それに対応する振動素子の一端の出力応答感度が高く、音質が良い。
【0081】
いくつかの実施例では、
図7に示すように、第1の位置は、梁状構造の長手延在方向の中心にあってもよく(例えば、第1の振動素子110は、圧電素子130の1つの表面の中間位置に貼り合わせられてもよい)、第2の位置は、梁状構造の長手延在方向の両端(例えば、弾性素子140は、圧電素子130の別の表面の両端に貼り合わせられてもよい)にあってもよく、それにより圧電素子130が第1の位置を通り、かつ梁状構造の長手延在方向に垂直な面を対称面とする対称な構造を実現する。このような場合に、圧電素子130は、2つのサブ圧電素子を含むと見なすことができ、第1の振動素子110と第2の振動素子120は、それぞれ、2つのサブ振動素子を含むと見なすことができる。
図7に示すように、破線枠C又は破線枠C’内の構造は、
図2に示す単一ビーム構造と同じであり、すなわち、圧電素子は、一端が振動素子に接続され、他端が弾性素子により別の振動素子に接続される。したがって、
図7に示す2つの単一ビーム構造を含む音響出力装置700の構造は、2重ビーム構造と呼ばれてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子130は、2つのサブ圧電素子を含んでもよい。各サブ圧電素子の一端は、1つのサブ振動素子に接続されてもよい。各サブ圧電素子の他端は、弾性素子140により第2の振動素子120に接続されてもよい。このような場合に、各サブ圧電素子は、1つの単一ビーム構造であってもよい。いくつかの実施例では、2つの単一ビーム構造の圧電素子は、同一直線上にあってもよい。2つの単一ビーム構造は、対称に配置されてもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置700は、4重ビーム構造を含んでもよい。換言すれば、音響出力装置700は、4つの単一ビーム構造を含んでもよい。例えば、音響出力装置700は、別の圧電素子をさらに含んでもよく、それは、圧電素子130と「十」字状を形成するように設置されてもよい。別の圧電素子は、弾性素子により第2の振動素子に接続されてもよい。なお、本願では、多重ビーム構造は、対応する個数の圧電素子130を含む必要がなく、音響出力装置の構造が複数の単一ビーム構造に相当すればよい。例えば、
図7に示す2重ビーム構造は、1つの圧電素子130のみを含んでもよい。また例えば、「十」字状の4重ビーム構造は、互いに交差するように設置された2つの圧電素子130のみを含んでもよい。
【0082】
いくつかの実施例では、音響出力装置700は、接続部材190をさらに含んでもよく、第2の振動素子120及び弾性素子140は、接続部材190により圧電素子130の第2の位置に接続されてもよい。接続部材190は、圧電素子130の第2の位置に設置され、弾性素子140は、一端が接続部材190に接続され、他端が第2の振動素子120に接続される。接続部材190の設置により、圧電素子130の第2の位置の振動を弾性素子140及び第2の振動素子120に伝達することができるとともに、弾性素子140の構造をより柔軟に設置することができる。例えば、
図7に示すように、弾性素子140は、複数の弾性ロッドを含んでもよい。弾性ロッドは、接続部材190により圧電素子130に接続されてもよい。このような場合に、第2の振動素子120の振動方向において、弾性ロッドは、縦方向弾性を持つことができ、第2の振動素子120の振動方向に垂直な方向において、弾性ロッドは、また、横方向弾性を持つことができる。また例えば、
図8に示すように、弾性素子140は、バネであってもよい。第2の振動素子120は、振動板であってもよい。振動板の長さは、梁状構造の長さ以上であってもよい。
【0083】
いくつかの実施例では、複数の弾性ロッドは、第2の振動素子120の中心を通る軸に対して軸対称に分布してもよい。例示的には、
図7に示すように、音響出力装置700は、4つの弾性ロッドを含んでもよく、4つの弾性ロッドは、「X」字状に第2の振動素子120の両側に分布する。いくつかの実施例では、第2の振動素子120は、梁状構造の中部位置に対応することにより、非振動方向における揺れが発生しにくく、音響出力装置700の弾性質量端の出力応答曲線の平坦度を向上させる。
【0084】
図8は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
図8に示すように、音響出力装置800は、音響出力装置700と類似した構造を有してもよい。例えば、音響出力装置800は、圧電素子130、第1の振動素子110、第2の振動素子120、弾性素子140を含んでもよい。また例えば、圧電素子130は、梁状構造を含んでもよく、第1の振動素子110は、梁状構造の長手延在方向の中心に接続される。第2の振動素子120は、弾性素子140により梁状構造の長手延在方向の両端に接続されてもよい。
【0085】
いくつかの実施例では、
図8に示すように、第2の振動素子120の長さは、圧電素子130(又は梁状構造)の長さ以上であってもよい。例えば、第2の振動素子120は、圧電素子130と同じ形状を有する振動板であってもよい。振動板と圧電素子130は、対向して配置されてもよい。弾性素子140は、バネであってもよく、弾性係数が小さい他の材質で製造されたロッド状物であってもよい。弾性素子140は、第2の振動素子120と圧電素子130との間に垂直に配置されてもよい。
【0086】
いくつかの実施例では、第2の振動素子120の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。例えば、圧電素子130は、複数の弾性素子140により同一の第2の振動素子120に接続されてもよい(
図8に示す)。また例えば、圧電素子130の各第2の位置は、それぞれ1つの第2の振動素子120に対応してもよく、圧電素子130は、1つ以上の弾性素子140により対応する第2の振動素子120に接続されてもよい。
【0087】
図9は、本明細書のいくつかの実施例に係る、それぞれ単一ビーム構造、2重ビーム構造及び4重ビーム構造を有する音響出力装置の振動信号が弾性質量端から出力される場合の周波数応答曲線を示す。
図9に示すように、曲線L91は、単一ビーム構造を有する音響出力装置(例えば、音響出力装置200)の振動信号が弾性質量端から出力される場合の周波数応答曲線を示す。曲線L92は、2重ビーム構造を有する音響出力装置(例えば、音響出力装置700)の振動信号が弾性質量端から出力される場合の周波数応答曲線を示す。曲線L93は、4重ビーム構造を有する音響出力装置の振動信号が弾性質量端から出力される場合の周波数応答曲線を示す。
図9から分かるように、単一ビーム構造を有する音響出力装置(曲線L91に対応する)と比較して、2重ビーム構造を用いた音響出力装置(曲線L92に対応する)は、出力感度がより高く、第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間の平坦な曲線セグメントの感度が約6dB向上する。単一ビーム構造を有する音響出力装置(曲線L91に対応する)と比較して、4重ビーム構造を用いた音響出力装置(曲線L93に対応する)の第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間の平坦な曲線セグメントの感度は、約12dB向上する。
【0088】
曲線L91、曲線L92、曲線L93から分かるように、音響出力装置における単一ビーム構造の増加に伴い、第1の共振ピークの周波数は、徐々に高周波へ移動する。これは、複数の単一ビーム構造の対称分布により複数の弾性素子140が並列に接続され、全体的な弾性係数が増加するため、第1の共振ピークの周波数が上昇するからである。
【0089】
図4中の曲線L41から分かるように、振動が音響出力装置200の弾性質量端から出力される場合、第1の共振ピークと第2の共振ピークとの間の曲線が平坦であるが、第2の共振ピークより高い高周波数帯域でモードが増加し、かつ振幅が低下する。この問題を解決するために、いくつかの実施例では、追加の第2の圧電素子150により音響出力装置の第2の共振ピーク以降の周波数帯域の振幅を補充することができる。
【0090】
図10は、本明細書のいくつかの実施例に係る音響出力装置の概略構成図である。
図10に示すように、音響出力装置1000は、第1の振動素子110、第2の振動素子120、第1の圧電素子130、弾性素子140及び接続部材190を含んでもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置1000は、第2の圧電素子150をさらに含んでもよい。第1の圧電素子130と第2の圧電素子150は、いずれも梁状構造を含んでもよい。いくつかの実施例では、第1の振動素子110は、圧電素子130の長手延在方向の中心位置に接続されてもよい。第2の振動素子120は、弾性素子140により圧電素子130の端部に接続されてもよい。
【0091】
いくつかの実施例では、第2の圧電素子150の梁状構造の長さ(第2の長さと呼ばれてもよい)は、第1の圧電素子130の梁状構造の長さ(第1の長さと呼ばれてもよい)より短くてもよい。いくつかの実施例では、第2の長さと第1の長さとの比は、0.1~1の範囲内であってもよい。いくつかの実施例では、第2の長さと第1の長さとの比は、0.2~0.8の範囲内であってもよい。いくつかの実施例では、第2の長さと第1の長さとの比は、0.3~0.7の範囲内であってもよい。いくつかの実施例では、第2の長さと第1の長さとの比は、0.4~0.6の範囲内であってもよい。いくつかの実施例では、第2の長さと第1の長さとの比は、0.5であってもよい。
図5から分かるように、圧電素子は、長さが短いほど、その出力周波数応答が高周波数へ移動する。したがって、長い梁状構造を有する圧電素子は、低周波数圧電素子と呼ばれてもよく、短い梁状構造を有する圧電素子は、高周波数圧電素子と呼ばれてもよい。いくつかの実施例では、
図7中の音響出力装置700又は
図8中の音響出力装置800の構造などの全体は、1つのユニットを構成することができる。いくつかの実施例では、音響出力装置1000は、低周波数圧電素子を含む低周波数ユニット1010、及び第2の圧電素子150を含んでもよい。
【0092】
第2の圧電素子150は、第2の振動素子120の振動を受けるように第2の振動素子120に接続されてもよい。例えば、第2の圧電素子150は、第2の振動素子120に貼り付けられてもよい。第2の圧電素子150は、共振して、周波数が低周波数ユニット1010の第2の共振周波数より高い第3の共振ピークが発生することができる。いくつかの実施例では、第3の共振ピークに対応する第3の共振周波数の範囲は、10kHz~40kHzであってもよい。いくつかの実施例では、第3の共振周波数の周波数範囲は、15kHz~35kHzであってもよい。いくつかの実施例では、第3の共振周波数の周波数範囲は、20kHz~30kHzであってもよい。
【0093】
いくつかの実施例では、
図10に示すように、音響出力装置1000は、弾性素子142及び振動素子125をさらに含んでもよい。振動素子125は、弾性素子142により第2の圧電素子150に接続されてもよい。第2の振動素子120、振動素子125、第2の圧電素子150及び弾性素子142は、音響出力装置1000の高周波数ユニット1020を構成することができる。換言すれば、音響出力装置1000は、低周波数ユニット1010及び高周波数ユニット1020を含んでもよい。高周波数ユニット1020及び低周波数ユニット1010は、第2の振動素子120により接続されてもよい。つまり、低周波数ユニット1010の弾性質量端と高周波数ユニット1020の質量端は、高周波数ユニット1020と低周波数ユニット1010の接続を実現するように、1つの振動素子(すなわち、第2の振動素子120)を共用してもよい。このような場合に、音響出力装置1000の振動は、第1の振動素子110及び/又は振動素子125により出力されてもよい。高周波数ユニット1020における第2の圧電素子150の第2の長さは、低周波数ユニット1010における第1の圧電素子130の第1の長さより短い。第2の圧電素子150と第2の振動素子120の共振は、音響出力装置1000に上記第3の共振ピークを提供することができる。また、高周波数ユニット1020の弾性素子142と振動素子125の共振は、音響出力装置1000に第5の共振ピークを提供することができる。高周波数ユニット1020の1番目の共振ピーク(すなわち、第5の共振ピーク)と2番目の共振ピーク(すなわち、第3の共振ピーク)との間の周波数応答曲線は、平坦である。いくつかの実施例では、第5の共振ピークに対応する第5の共振周波数は、第2の共振ピークに対応する第2の共振周波数より小さくてもよく、大きくてもよい。いくつかの実施例では、高周波数ユニット1020及び/又は低周波数ユニット1010の性能パラメータ(例えば、圧電素子の材料パラメータ又は幾何学的パラメータ、質量端又は弾性質量端の質量など)を調整することにより第5の共振周波数を第2の共振周波数に近くすることができるため、高周波数ユニット1020の出力周波数応答と低周波数ユニット1010の出力周波数応答が互いに干渉する可能性のある周波数帯域範囲を減少させ、音響出力装置1000の音質を向上させることができる。いくつかの実施例では、低周波数ユニット1010の2番目の共振ピーク(すなわち、第2の共振ピーク)と高周波数ユニット1020の1番目の共振ピーク(すなわち、第5の共振ピーク)との関係は、下式を満たす。
【0094】
【0095】
式中、f1は、低周波数ユニット1010の2番目の共振ピークの周波数(すなわち、第2の共振周波数)を示し、
【0096】
【0097】
は、高周波数ユニット1020の1番目の共振ピークの周波数(すなわち、第5の共振周波数)を示す。いくつかの実施例では、第2の共振周波数が8kHz~10kHzである場合、第5の共振周波数は、5kHz~40kHzであってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数が5kHz~8kHzである場合、第5の共振周波数は、4kHz~25kHzであってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数が2kHz~5kHzである場合、第5の共振周波数は、100Hz~10kHzであってもよい。いくつかの実施例では、第2の共振周波数が1kHz~3kHzである場合、第5の共振周波数は、100Hz~5kHzのであってもよい。
【0098】
なお、音響出力装置1000の低周波数ユニット1010の第1の圧電素子130及び高周波数ユニット1020の第2の圧電素子150の数は、1つ以上であってもよく、第1の圧電素子130の数及び第2の圧電素子150の数は、同じであってもよく、異なってもよい。例示的には、音響出力装置1000は、1つの圧電素子130及び1つの第2の圧電素子150のみを含んでもよく、この場合に、振動素子125は、弾性素子142により第2の圧電素子150の両端に接続されてもよく、第2の振動素子120は、弾性素子140により第2の圧電素子150の両端に接続されてもよい。また例えば、音響出力装置1000は、2つの第1の圧電素子130及び1つの第2の圧電素子150を含んでもよく、この場合に、振動素子125は、弾性素子142により第2の圧電素子150の両端に接続されてもよく、第2の振動素子120は、弾性素子140により、それぞれ各第1の圧電素子130の一端に接続されてもよい。各第1の圧電素子130の他端は、第1の振動素子110に接続されてもよい。
【0099】
図11は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の出力周波数応答曲線を示す。
図12は、異なる励起信号間の位相差に対応する音響出力装置の周波数応答曲線を示す。
図13は、異なる励起信号間の位相差に対応する音響出力装置の周波数応答曲線を示す。
図11に示すように、曲線L111は、振動信号が弾性質量端から出力される場合の単一ビーム構造を有する音響出力装置の周波数応答曲線を示す。曲線L112は、振動信号が弾性質量端から出力される場合の2重ビーム構造を有する音響出力装置の周波数応答曲線を示す。曲線L113は、振動信号が弾性質量端から出力される場合の2ユニット構造(すなわち、高周波数ユニット及び低周波数ユニット)を有する音響出力装置の周波数応答曲線を示す。2ユニット構造を有する音響出力装置は、
図10に示す音響出力装置1000の構造を有するものであってもよく、かつ高周波数ユニット1020の励起信号(例えば、励起電圧)と低周波数ユニット1010の励起信号との位相差が0°である。
図11から分かるように、音響出力装置1000は、第1の共振ピーク以降に共振ディップが発生し、これは、中間の第2の振動素子120の共振によるものである。いくつかの実施例では、高周波数ユニット1020の第2の圧電素子150と低周波数ユニット1010の第1の圧電素子130の励起信号間の位相を調整することにより共振ディップを充填することができる。
図12に示すように、高周波数ユニットと低周波数ユニットの励起信号間の位相差の増加に伴い(曲線L121~曲線L124に対応する)、該共振ディップの振幅は、徐々に上昇する。いくつかの実施例では、高周波数ユニットと低周波数ユニットの励起信号間の位相差(すなわち、第2の圧電素子150と圧電素子130との位相差)の絶対値の範囲は、45°~180°である。なお、
図13に示すように、第2の圧電素子150と第1の圧電素子130との位相差の絶対値が135°より大きいと、第1の共振ピークの前の低周波数振幅が低下するため、音響出力装置1000の低周波数振幅を保証するために、第二圧電素子150と圧電素子130との位相差の絶対値の範囲を45°~135°にしてもよい。いくつかの実施例では、第2の圧電素子150と圧電素子130との位相差の絶対値の範囲を45°~125°にしてもよい。いくつかの実施例では、第2の圧電素子150と圧電素子130との位相差の絶対値の範囲を50°~110°にしてもよい。いくつかの実施例では、第2の圧電素子150と圧電素子130との位相差の絶対値の範囲を60°~100°にしてもよい。いくつかの実施例では、第2の圧電素子150と圧電素子130との位相差の絶対値の範囲を70°~90°にしてもよい。いくつかの実施例では、第2の圧電素子150と圧電素子130との位相差の絶対値を80°にしてもよい。
【0100】
図14は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略構成図である。
図14に示すように、音響出力装置の低周波応答をさらに向上させるために、音響出力装置1000の構造に基づいて、音響出力装置1400は、第3の圧電素子160をさらに含んでもよい。第3の圧電素子160は、駆動電圧に応答して振動し、かつ振動を第2の圧電素子150に伝達することができる。いくつかの実施例では、第1の圧電素子130、第2の圧電素子150及び第3の圧電素子160は、いずれも梁状構造を含んでもよい。第3の圧電素子160の梁状構造の長さ(第3の長さと呼ばれてもよい)は、第2の圧電素子150の梁状構造の長さ(すなわち、第2の長さ)より長くてもよい。いくつかの実施例では、第3の圧電素子160の第3の長さは、第2の圧電素子150の第2の長さと第1の圧電素子130の第1の長さとの間にあってもよい。いくつかの実施例では、第3の圧電素子160の第3の長さは、第1の圧電素子130の第1の長さに等しくてもよい。いくつかの実施例では、第3の圧電素子160の第3の長さは、第2の圧電素子150の第2の長さより小さく、第3の圧電素子160は、共振して、周波数が第3の共振ピークのものより低い第4の共振ピークが発生することができる。
【0101】
いくつかの実施例では、音響出力装置1400は、第3の振動素子127をさらに含んでもよい。第3の振動素子127は、第2の圧電素子150に接続され、かつ少なくとも第2の弾性素子145により第3の圧電素子160に接続されてもよい。したがって、第3の圧電素子160の振動は、第3の振動素子127により第2の圧電素子150に伝達することができる。いくつかの実施例では、音響出力装置1400は、振動素子129をさらに含んでもよい。振動素子129は、第3の圧電素子160の長手延在方向の中心位置にあってもよい。第3の振動素子127、振動素子129、第3の圧電素子160及び第2の弾性素子145は、構造が低周波数ユニット1010(第1の低周波数ユニットと呼ばれてもよい)と類似した第2の低周波数ユニット1015を構成することができる。換言すれば、音響出力装置1000は、低周波数ユニット1010、第2の低周波数ユニット1015及び高周波数ユニット1020を含んでもよい。いくつかの実施例では、低周波数ユニット1010及び第2の低周波数ユニット1015は、音響出力装置1400の低周波応答を向上させる(
図15に示す)ように、並列に接続されてもよい。いくつかの実施例では、音響出力装置1000が低周波数ユニット1010、第2の低周波数ユニット1015及び高周波数ユニット1020を含むことは、音響出力装置1000が3ユニット構造を含むことであると呼ばれてもよい。
【0102】
具体的には、
図14に示すように、第1の圧電素子130及び第3の圧電素子160は、平行に配置されてもよい。低周波数ユニット1010の弾性質量端(すなわち、第2の振動素子120)は、第2の低周波数ユニット1015の弾性質量端(すなわち、第3の振動素子127)に接続されてもよい。第2の圧電素子150は、接続された第2の振動素子120及び/又は第3の振動素子127に直接接続されてもよい。接続された第2の振動素子120及び第3の振動素子127の全体は、高周波数ユニット1020の質量端とされてもよい。いくつかの実施例では、低周波数ユニット1010の質量端(すなわち、第1の振動素子110)と第2の低周波数ユニット1015の質量端(すなわち、振動素子129)とは、接続されてもよく(
図14に示す)、分離されてもよい。分離型構造により、低周波数ユニット1010の質量端と第2の低周波数ユニット1015の質量端とは、それぞれ振動することができる。接続型構造により、低周波数ユニット1010の質量端と第2の低周波数ユニット1015の質量端との両者の振動により出力される周波数応答は、一致することができる。いくつかの実施例では、低周波数ユニット1010の質量端は、第2の低周波数ユニット1015の質量端に接続されてもよい。
【0103】
いくつかの実施例では、低周波数ユニット1010、低周波数ユニット1015及び高周波数ユニット1020の構造は、同じであってもよく、異なってもよい。例えば、低周波数ユニット1010、低周波数ユニット1015は、いずれも音響出力装置800のような構造を有してもよく、高周波数ユニット1020は、音響出力装置700のような構造を有してもよい。また例えば、低周波数ユニット1010、低周波数ユニット1015及び高周波数ユニット1020は、いずれも音響出力装置800のような構造を有してもよい。
【0104】
いくつかの実施例では、音響出力装置1400は、第3の振動素子127を含まなくてもよい。低周波数ユニット1015の第3の圧電素子160の振動は、第2の弾性素子145により第2の振動素子120に伝達されてから、第2の振動素子120により第2の圧電素子150に伝達されてもよい。換言すれば、
図14中の第2の振動素子120及び第3の振動素子127は、一体と見なすことができ、低周波数ユニット1010の圧電素子130の振動と低周波数ユニット1015の第3の圧電素子160の振動とは、いずれも同一の第2の振動素子に伝達されることにより、振動素子の数を低減し、資源を節約する。
【0105】
図15は、本明細書のいくつかの実施例に係る異なる構造の音響出力装置の出力周波数応答曲線図である。
図15に示すように、曲線L151は、振動信号が弾性質量端から出力される場合の2ユニット構造(すなわち、高周波数ユニット及び低周波数ユニット)を有する音響出力装置(例えば、音響出力装置1000)の周波数応答曲線を示す。曲線L152は、振動信号が質量端から出力される場合の低周波数ユニット1010、第2の低周波数ユニット1015及び高周波数ユニット1020を含む音響出力装置1400の周波数応答曲線を示す。
図15から分かるように、音響出力装置1400の低周波応答(曲線L152の20Hz~500Hzに対応する)は、2ユニット構造を有する音響出力装置1000の低周波応答より明らかに高い。
【0106】
図16は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略構成図である。
図16に示すように、音響出力装置1600は、第1の振動素子110、第2の振動素子120、圧電素子130、弾性素子140を含んでもよい。圧電素子130は、梁状構造を含んでもよく、第1の振動素子110は、サブ振動素子112及びサブ振動素子114を含んでもよい。いくつかの実施例では、サブ振動素子112及びサブ振動素子114は、それぞれ、圧電素子130の長手延在方向の両端(第1の位置とも呼ばれる)に接続されてもよい。第2の振動素子120は、弾性素子140により圧電素子130の第2の位置に接続されてもよい。例えば、第2の振動素子120は、接続部材190及び弾性素子140により圧電素子130の長手延在方向の中心位置に(すなわち、第2の位置)に設置されてもよい。いくつかの実施例では、圧電素子130は、2つのサブ圧電素子を含んでもよい。各サブ圧電素子の一端は、それぞれ1つのサブ振動素子(112又は114)に接続されてもよい。各サブ圧電素子の他端は、接続部材190により接続されてもよい。このような場合に、音響出力装置1600の構造は、
図2に示す単一ビーム構造を2つ含むと見なすことができる。
【0107】
いくつかの実施例では、サブ振動素子112及びサブ振動素子114は、質量が同じであってもよく、サブ振動素子112及びサブ振動素子114の圧電素子130に接続された2つの第1の位置は、圧電素子130の中心に対して対称であるため、サブ振動素子112とサブ振動素子114は、圧電素子130の中心に対して対称である。対称構造により互いにバランスを取ることにより、サブ振動素子112の不要な揺れを低減し、音響出力装置1600の周波数応答曲線の平坦度を向上させる。
【0108】
いくつかの実施例では、圧電素子130の数は、1つ以上であってもよい。それに応じて、圧電素子130に直接接続された第1の振動素子110の数は、複数であってもよい。例えば、圧電素子130の個数は、2つであってもよい。2つの圧電素子130は、「十」字状に接続部材により交差するように接続されてもよい。さらに、各圧電素子130の端部には、第1の振動素子110が配置されてもよい。第2の振動素子120は、弾性素子140により「十」字状の構造の交差点の位置に接続されてもよい。また例えば、圧電素子130の数は、4つであってもよく、4つの圧電素子130は、一端が接続部材190により接続されることにより、4つの圧電素子130は、「十」字状に接続部材190の周側に設置され、各圧電素子130は、いずれも1つの第1の振動素子110に接続されてもよい。いくつかの実施例では、複数の圧電素子130は、1つの第1の振動素子110に対応してもよい。例示的には、4つの圧電素子130は、接続部材190を中心として、「十」字状に接続部材190の周側に設置され、各圧電素子130は、いずれも1つの環状の第1の振動素子110に接続されてもよい。
【0109】
いくつかの実施例では、
図16に示すように、弾性素子140は、複数の弾性ロッドを含んでもよい。弾性ロッドは、接続部材190により圧電素子130に接続されてもよい。このような場合に、第2の振動素子120の振動方向において、弾性ロッドは、第1の弾性係数を持つことができ、かつ第2の振動素子120の振動方向に垂直な方向において、弾性ロッドは、また、第2の弾性係数を持つことができる。いくつかの実施例では、第2の振動素子120が圧電素子130の表面に垂直な方向に振動しやすく、圧電素子130の長軸に平行な方向に揺れにくいようにするために、第2の弾性係数を第1の弾性係数よりはるかに大きくしてもよい。例えば、第2の弾性係数と第1の弾性係数との比は、1×10
3以上であってもよい。例えば、第2の弾性係数と第1の弾性係数との比は、1×10
3、1×10
4、1×10
5、1×10
6、1×10
10などであってもよい。いくつかの実施例では、弾性素子140は、振動伝達シートであってもよい。
【0110】
図17は、本明細書のいくつかの実施例に係る例示的な音響出力装置の概略構成図である。
図17に示すように、音響出力装置1700は、音響出力装置1600と類似した構造を有してもよい。いくつかの実施例では、
図17に示すように、弾性素子140は、バネであってもよく、弾性係数が小さい他の材質で製造されたロッド状物であってもよい。弾性素子140は、第2の振動素子120と圧電素子130との間に垂直に配置されてもよい。
【0111】
図18は、本明細書のいくつかの実施例に係る、それぞれ単一ビーム構造、2重ビーム構造及び4重ビーム構造を有する音響出力装置の振動信号が弾性質量端から出力される場合の周波数応答曲線を示す。
図18に示すように、曲線L181は、単一ビーム構造を有する音響出力装置(例えば、音響出力装置200)の振動信号が弾性質量端から出力される場合の周波数応答曲線を示す。曲線L182は、2重ビーム構造を有し、かつ弾性質量端が圧電素子の長手延在方向の中間位置にある音響出力装置(例えば、音響出力装置1600)の振動信号が弾性質量端から出力される場合の周波数応答曲線を示す。曲線L183は、4重ビーム構造を有し、かつ弾性質量端が圧電素子の長手延在方向の中間位置にある音響出力装置の振動信号が弾性質量端から出力される場合の周波数応答曲線を示す。
図18から分かるように、単一ビーム構造(曲線L181に対応する)と比較して、多重ビーム構造(曲線L182又は曲線L183に対応する)を用いた音響出力装置の第1の共振ピークは、低周波数へ移動するため、多重ビーム構造を用いると、音響出力装置の低周波応答性能を明らかに向上させることができる。
【0112】
以上は基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているものに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されているため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0113】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本願の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0114】
また、当業者には理解されるように、本願の各態様は、任意の新規かつ有用なプロセス、機械、製品又は物質の組み合わせ、又はそれらへの任意の新規かつ有用な改善を含む、いくつかの特許可能なクラス又はコンテキストで、例示及び説明され得る。よって、本願の各態様は、完全にハードウェアによって実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって実行されてもよく、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせによって実行されてもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ばれてもよい。また、本願の各態様は、コンピュータ可読プログラムコードを含む1つ以上のコンピュータ可読媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。
【0115】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータプログラムコードを搬送するための、ベースバンド上で伝播されるか又は搬送波の一部として伝播される伝播データ信号を含んでもよい。該伝播信号は、電磁気信号、光信号又は適切な組み合わせ形態などの様々な形態を含んでもよい。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読記憶媒体以外の任意のコンピュータ可読媒体であってもよく、該媒体は、命令実行システム、装置又は機器に接続されることにより、使用されるプログラムの通信、伝播又は伝送を実現することができる。コンピュータ記憶媒体上のプログラムコードは、無線、ケーブル、光ファイバケーブル、RF若しくは類似の媒体、又は上記媒体の任意の組み合わせを含む任意の適切な媒体を介して伝播することができる。
【0116】
また、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単に説明の目的のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、逆に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にあるすべての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることを理解されたい。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存のサーバ又はモバイルデバイスに説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0117】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本願の開示を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることを理解されたい。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈すべきではない。実際に、実施例の特徴は、上記開示された単一の実施例のすべての特徴より少ない場合がある。
【0118】
いくつかの実施例では、成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「概ね」によって修飾されるものであることを理解されたい。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「概ね」は、上記数字が±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例では、明細書及び特許請求の範囲に使用されている数値パラメータは、いずれも個別の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例では、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例において、その範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは、近似値であるが、具体的な実施例において、このような数値は、可能な限り正確に設定される。
【0119】
最後に、本願に記載の実施例は、本願の実施例の原理を説明するためのものに過ぎないことを理解されたい。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0120】
100 音響出力装置
110 第1の振動素子
120 第2の振動素子
130 圧電素子
140 弾性素子
150 第2の圧電素子
160 第3の圧電素子
170 ハウジング構造
180 固定構造
190 接続部材
【手続補正書】
【提出日】2023-06-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の振動素子と、
第2の振動素子と、
圧電素子と、を含み、前記第1の振動素子は、前記圧電素子の第1の位置に物理的に接続され、前記第2の振動素子は、少なくとも弾性素子により前記圧電素子の第2の位置に接続され、前記圧電素子は、電気信号に応答して、振動するように前記第1の振動素子及び前記第2の振動素子を駆動し、前記振動により人間の耳の可聴範囲内の2つの共振ピークが発生する、音響出力装置。
【請求項2】
前記第2の振動素子と前記弾性素子の共振により前記2つの共振ピークのうちの周波数が低い第1の共振ピークが発生し、前記圧電素子と前記第1の振動素子の共振により前記2つの共振ピークのうちの周波数が高い第2の共振ピークが発生する、請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項3】
接続部材をさらに含み、前記第2の振動素子及び前記弾性素子は、前記接続部材により前記圧電素子の前記第2の位置に接続される、請求項1又は2に記載の音響出力装置。
【請求項4】
前記圧電素子は、梁状構造を含み、前記第1の位置は、前記梁状構造の長手延在方向の中心にある、
請求項1に記載の音響出力装置。
【請求項5】
前記第2の位置は、前記梁状構造の前記長手延在方向の端部にある、請求項4に記載の音響出力装置。
【請求項6】
前記振動は、前記第2の振動素子により骨伝導の方式でユーザーに伝達される、請求項
4に記載の音響出力装置。
【請求項7】
前記第2の振動素子の振動を受ける第2の圧電素子をさらに含み、前記第2の圧電素子は、共振して、周波数が前記2つの共振ピークのものより高い第3の共振ピークが発生する、請求項2に記載の音響出力装置。
【請求項8】
少なくとも第3の弾性素子により前記第2の圧電素子の第3の位置に接続された第4の振動素子をさらに含み、前記第3の弾性素子と前記第4の振動素子は、共振して、周波数が前記第3の共振ピークの周波数より低い第5の共振ピークが発生し、
前記第2の共振ピークと前記第5の共振ピークに対応する周波数間の差の絶対値と、前記第2の共振ピークに対応する周波数との比の範囲は、0~4である、請求項
7に記載の音響出力装置。
【請求項9】
前記圧電素子と前記第2の圧電素子は、いずれも梁状構造を含み、前記第2の圧電素子の梁状構造の長さは、前記圧電素子の梁状構造の長さより短い、請求項
7又は8に記載の音響出力装置。
【請求項10】
前記第2の圧電素子の梁状構造の長さと前記圧電素子の梁状構造の長さとの比は、0.1~1の範囲内である、請求項
9に記載の音響出力装置。
【請求項11】
前記圧電素子と前記第2の圧電素子の励起信号間の位相差の絶対値は、45°~135°の範囲内である、請求項
7に記載の音響出力装置。
【請求項12】
第3の圧電素子をさらに含み、前記第3の圧電素子は、振動し、かつ振動を前記第2の圧電素子に伝達し、共振して、周波数が前記第3の共振ピークのものより低い第4の共振ピークが発生する、請求項
7に記載の音響出力装置。
【請求項13】
少なくとも第2の弾性素子により前記第3の圧電素子に接続された第3の振動素子をさらに含み、前記第3の圧電素子の振動は、前記第3の振動素子により前記第2の圧電素子に伝達される、請求項
12に記載の音響出力装置。
【請求項14】
前記圧電素子は、梁状構造を含み、前記第1の振動素子は、2つのサブ振動素子を含み、
前記2つのサブ振動素子は、それぞれ前記圧電素子の長手延在方向の両端に接続される、請求項
1記載の音響出力装置。
【請求項15】
前記2つのサブ振動素子は、質量が同じであり、前記2つのサブ振動素子の前記圧電素子に接続された2つの第1の位置は、前記圧電素子の中心に対して対称である、請求項
14に記載の音響出力装置。
【国際調査報告】