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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】ビベグロンによる心不全の処置方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/519 20060101AFI20240405BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A61K31/519
A61P9/04
A61P43/00 121
A61K45/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023548711
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 IB2022051393
(87)【国際公開番号】W WO2022175848
(87)【国際公開日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】63/150,044
(32)【優先日】2021-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/294,891
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520454833
【氏名又は名称】ウロバント サイエンシズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】UROVANT SCIENCES GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100175477
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 林太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ ジャオ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084ZA361
4C084ZA362
4C084ZA371
4C084ZA372
4C084ZA382
4C084ZA422
4C084ZA432
4C084ZA452
4C084ZA532
4C084ZA542
4C084ZA832
4C084ZB352
4C084ZC022
4C084ZC202
4C084ZC332
4C084ZC352
4C084ZC412
4C084ZC751
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086GA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA37
4C086ZC75
(57)【要約】
本開示は、心不全および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、治療有効量のビベグロンをそれを必要とする対象に投与することを含む、方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それを必要とする対象の駆出率保存型心不全(heart failure with preserved ejection fraction(HFpEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を処置または予防する方法であって、治療有効量のビベグロンを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記対象は、約40%超の左心室駆出率を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記対象は、50%超の左心室駆出率を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ビベグロンの前記治療有効量が1日あたり約90mg~約450mgである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
ビベグロンの前記治療有効量が1日当たり約100mg~約400mgである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ビベグロンの前記治療有効量が1日あたり約100mg~約200mgである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記対象に第2の治療薬を投与することをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の治療薬が、抗高リポタンパク血症薬、抗動脈硬化薬、抗血栓・線溶薬、血液凝固薬、抗不整脈薬、降圧薬、昇圧薬、利尿薬、スタチン、抗血小板薬、SGLT2阻害薬、うっ血性心不全治療薬、抗狭心症薬、抗菌薬、レニン・アンジオテンシン系(RAS)遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA)、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体遮断薬、ネプリライシン阻害薬アンタゴニスト、アルファ-2受容体アゴニスト、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ビベグロンが経口投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ビベグロンが静脈内投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい収縮期血圧の最大平均変化を経験する、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約1.5mmHg~約4.0mmHg小さい収縮期血圧の最大平均変化の増加を経験する、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい収縮期血圧の平均24時間変化を経験する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約1.0mmHg~約10.0mmHg小さい収縮期血圧の平均24時間変化の増加を経験する、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい心拍数の最大上昇を経験する、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約2bpm~約14bpm小さい心拍数の最大平均上昇の増加を経験する、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
ミラベグロンの前記治療有効量が約50mg~約300mgである、請求項11~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記処置することが、HFpEFの進行を停止すること、HFpEFに関連する1つ以上の症状を軽減すること、またはその両方を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
それを必要とする対象の駆出率低下型心不全(heart failure with reduced ejection fraction(HFrEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を処置または予防する方法であって、治療有効量のビベグロンを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項20】
前記対象は、50%未満の左心室駆出率を有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記対象は、約40%未満の左心室駆出率を有する、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
ビベグロンの前記治療有効量が1日当たり約90mg~約450mgである、請求項19~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
ビベグロンの前記治療有効量が1日当たり約100mg~約400mgである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ビベグロンの前記治療有効量が1日当たり約100mg~約200mgである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記対象に第2の治療薬を投与することをさらに含む、請求項19~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の治療薬が、抗高リポタンパク血症薬、抗動脈硬化薬、抗血栓・線溶薬、血液凝固薬、抗不整脈薬、降圧薬、昇圧薬、利尿薬、スタチン、抗血小板薬、SGLT2阻害薬、うっ血性心不全治療薬、抗狭心症薬、抗菌薬、レニン・アンジオテンシン系(RAS)遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA)、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体遮断薬、ネプリライシン阻害薬アンタゴニスト、アルファ-2受容体アゴニスト、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記ビベグロンが経口投与される、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記ビベグロンが静脈内投与される、請求項19~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい収縮期血圧の最大平均変化を経験する、請求項19~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約1.5mmHg~約4.0mmHg小さい収縮期血圧の最大平均変化の増加を経験する、請求項19~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい収縮期血圧の平均24時間変化を経験する、請求項19~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約1.0mmHg~約10.0mmHg小さい収縮期血圧の平均24時間変化の増加を経験する、請求項19~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい心拍数の最大上昇を経験する、請求項19~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約2bpm~約14bpm小さい心拍数の最大平均上昇の増加を経験する、請求項19~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
ミラベグロンの前記治療有効量が約50mg~約300mgである、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記処置することが、HFrEFの進行を停止すること、HFrEFに関連する1つ以上の症状を軽減すること、またはその両方を含む、請求項19~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ビベグロンが1日1回投与される、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
ビベグロンが食事とともに投与される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
ビベグロンが食事なしで投与される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ビベグロンが遊離塩基として投与される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
ビベグロンがその薬学的に許容される塩として投与される、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記対象の収縮機能が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビベグロンを投与される前の前記対象の収縮機能と比較して増加または改善される、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記対象の収縮機能の前記増加または改善が短縮率によって測定される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記対象の短縮率が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記対象の短縮率が、ビベグロンを投与されていない対象よりも約2%~約15%増加する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記対象の短縮率が、ビベグロンを投与されていない対象よりも約5%~約10%増加する、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記対象の収縮機能の前記増加または改善が駆出率によって測定される、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記対象の駆出率が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記対象の駆出率が、ビベグロンを投与されていない対象よりも約2%~約20%増加する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記対象の駆出率が、ビベグロンを投与されていない対象よりも約10%~約20%増加する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記対象の左心室の血液量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビベグロンを投与される前の前記対象の血液量と比較して増加または改善される、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記対象の血液量の前記増加または改善が、前記対象の左心室の一回拍出量によって測定される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記対象の左心室の一回拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記対象の左心室の前記一回拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約25%~約75%増加する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記対象の左心室の前記一回拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約30%~約65%増加する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記対象の血液量の前記増加または改善が心拍出量によって測定される、請求項49に記載の方法。
【請求項57】
前記対象の心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記対象の心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約25%~約75%増加する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記対象の心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約30%~約65%増加する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
ビベグロンは、約4週間、約3週間、または約2週間の作用発現を有する、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
ビベグロンは、約2週間以内の作用発現を有する、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記対象は、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビグロンを投与される前の前記対象の経験と比較して、入院期間の短縮、入院間の日数の増加、入院リスクの低下、最初の入院までの期間の増加、および入院回数の減少のうちの1つ以上を経験する、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
それを必要とする対象において、β-アドレナリン受容体をアゴナイズし、β-アドレナリン受容体、β-アドレナリン受容体、またはβ-アドレナリン受容体とβ-アドレナリン受容体の両方をアンタゴナイズする方法であって、前記方法は、
(a)β-アドレナリン受容体をアゴナイズするために、前記対象に治療有効量のビベグロンを投与すること、および
(b)β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする、β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする、またはβ-アドレナリン受容体とβ-アドレナリン受容体の両方をアンタゴナイズする治療有効量の治療薬を前記対象に投与すること
を含む、方法。
【請求項64】
それを必要とする対象においてβ-アドレナリン受容体をアゴナイズする方法であって、治療有効量のビベグロンを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項65】
前記対象は、心不全、その1つ以上の症状、またはその両方を患っている、請求項63または64に記載の方法。
【請求項66】
前記対象は、駆出率保存型心不全(heart failure with preserved ejection fraction(HFpEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を有する、請求項63~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
前記対象は、駆出率低下型心不全(heart failure with reduced ejection fraction(HFrEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を有する、請求項63~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
前記対象は、ミッドレンジ駆出率型心不全(heart failure with mid-range ejection fraction(HFmrEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を有する、請求項63~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記β-アドレナリン受容体をアゴナイズすることが、前記対象の心血管系におけるβ-アドレナリン受容体をアゴナイズすることを含む、請求項63~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
前記β-アドレナリン受容体をアゴナイズすることが、前記対象の心筋におけるβ-アドレナリン受容体をアゴナイズすることを含む、請求項63~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
前記ビベグロンが経口投与される、請求項63~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記ビベグロンが静脈内投与される、請求項63~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
ビベグロンの前記治療有効量が1日当たり約50mg~約450mgである、請求項63~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
ビベグロンの前記治療有効量が1日当たり約50mg~約300mgである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
ビベグロンの前記治療有効量が1日当たり約100mg~約200mgである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記対象に第2の治療薬を投与することをさらに含む、請求項63~72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記第2の治療薬が、抗高リポタンパク血症薬、抗動脈硬化薬、抗血栓・線溶薬、血液凝固薬、抗不整脈薬、降圧薬、昇圧薬、利尿薬、スタチン、抗血小板薬、SGLT2阻害薬、うっ血性心不全治療薬、抗狭心症薬、抗菌薬、レニン・アンジオテンシン系(RAS)遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA)、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体遮断薬、ネプリライシン阻害薬アンタゴニスト、アルファ-2受容体アゴニスト、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
ビベグロンが1日1回投与される、請求項63~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
ビベグロンが食事とともに投与される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
ビベグロンが食事なしで投与される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
ビベグロンが遊離塩基として投与される、請求項63~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
ビベグロンがその薬学的に許容される塩として投与される、請求項63~80のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年2月16日に出願された米国仮出願第63/150,044号および2021年12月30日に出願された米国仮出願第63/294,891号の優先権の利益を主張するものであり、両出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
心不全は、一般的で、慢性的で、費用がかかり、重篤で、致命的となる可能性のある状態であり、心臓のポンプ機能が十分でなくなり、体組織の代謝に必要な血流を維持できなくなる。一般的に、心不全は患者の症状の重症度に基づいて、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association’s(NYHA))の分類を用いて分類されることが多く、当該分類は患者の機能状態に基づいて疾患を段階的に分類する。左心室に特異的な心不全は、左心室の収縮能力または弛緩能力が影響を受けるかどうかに基づいて、駆出率低下型心不全(HFrEF)または駆出率維持型心不全(HFpEF)に分類される。
【0003】
β-3アドレナリン受容体(β3-AR)は心筋で同定されており、心臓病に対する新たな治療アプローチのターゲットとなる可能性がある(例えば、Cannavo,A.ら、Cardiovasc.Pharmacol.2017年、69、71-78頁参照)。いくつかの研究では、ヒトの心不全および動物モデルにおいてβ3-ARが上方制御されていることが示されており(Germackら、J.Pharmacol.Exp.Ther. 316(2006年)、およびMoniotteら、Circulation 103(2001年))、β3-ARの負の変力作用は有害であり、β3-AR活性の低下は心不全の処置に有益である可能性があるという仮説もある。Rozecら、Arch. Mal. Coeur Vaiss. 96(2003年)およびMoniotteら、Cardiovasc. Drug Rev. 20(2002年)を参照されたい。いくつかの研究では、β-AR刺激が一酸化窒素合成酵素(NOS)経路の活性化を通じてヒトの心収縮力の低下を誘導することが示されている(例えば、Gauthierら、J. Clin. Invest. 102(1998年)参照)。したがって、β3-ARアンタゴニストによる処置は、NOS経路を不活性化するのに役立ち、その結果、心臓収縮力を増大させる可能性がある。しかし、治療法はβ3-ARの拮抗作用(アンタゴニズム)と作動作用(アゴニズム)の両方をターゲットとしている。
【0004】
例えば、β3アドレナリン受容体アンタゴニストは、HFrEFを誘発したラットにおいて、投与量を増やすと心収縮力が改善する傾向を示した(例えば、米国特許第10,470,797号参照)。β-3アドレナリン受容体アゴニストも潜在的な心不全治療薬として研究されている。最近の2つの臨床試験では、β3-ARアゴニストであるミラベグロンの心不全における使用について言及されている。BEAT-HF試験では、ニューヨーク心臓協会(New York Heart Association(NYHA))クラスII-IIIの心不全患者で、スクリーニング時の心エコー検査で左心室駆出率(LVEF)が40%未満の対象にミラベグロンが投与された。BEAT-HF試験は主要評価項目(LVEFの変化)を達成できなかった。例えば、Bundgaard,Hら、European J. of Heart Failure,2017年;19:566-575頁を参照されたい。
【0005】
現在進行中のβ3-LVH試験では、心エコー検査による左心室重量指数(left ventricular mass index)の増加、または少なくとも1つの壁セグメントにおける拡張末期壁の厚さが13mmを超える患者におけるミラベグロンの効果が検討されている。BEAT-HF試験とは対照的に、β3-LVH試験ではHFpEFにおけるミラベグロンの使用が検討されている(例えば、Pouleur,A.C.ら、ESC Heart Failure,2018年;5:831-842頁参照)。HFpEFに対する処置法は、これまでのところ限られた成功例しかない。
【0006】
β3-ARと心不全に関するこれらの先行研究にもかかわらず、アドレナリン受容体の調節が心不全を患っている患者または心不全のリスクのある患者にどのような利益をもたらすのかは依然として不明のままである。また、心不全に関連する公衆衛生上の負担が増大していることを考えると(先進国では成人の2~3%が罹患している、例えば、Benjaminら、Circulation.2017年3月7日;135(10):e146-e603を参照)、心不全の効果的な処置に対する医学的ニーズは依然として大きい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、完全アゴニストのイソプロテレノールと比較した、β-アドレナリン受容体におけるビベグロンおよびミラベグロンの応答濃度曲線を示す。
図2図2Aは、ビベグロンによる4週間の処置後の誘発性心筋梗塞マウスにおける左心室短縮率の測定パーセンテージを示す。図2Bは、ビベグロンによる4週間の処置後の誘発性心筋梗塞マウスにおける左心室駆出率の測定パーセンテージを示す。
図3図3Aは、ビベグロンによる4週間の処置後の誘発心筋梗塞マウスにおける測定された一回拍出量をマイクロリットル(μL)で示す。図3Bは、ビベグロンによる4週間の処置後の誘発性心筋梗塞マウスにおける測定された心拍出量をミリリットル/分(mL/分)で示す。
図4図4Aは、ビベグロンによる4週間の処置後の誘発性心筋梗塞マウスにおけるイソプロテレノールの用量の増加に伴う左心室収縮圧の最大速度(mmHg/秒)の変化を示す。図4Bは、ビベグロンによる4週間の処置後の誘発性心筋梗塞マウスにおけるイソプロテレノールの用量の増加に伴う左心室弛緩圧の最小速度(mmHg/秒)の変化を示す。図4Cは、ビベグロンによる4週間の処置後の誘発性心筋梗塞マウスにおけるイソプロテレノールの用量の増加に伴う心拍数(bpm)の変化を示す。
図5図5A~5Fは、誘発性心筋梗塞マウスの心臓に対する、さまざまな用量のビベグロンによる4週間の処置の効果を示す組織切片である。図5Gは、ビベグロンによる4週間の処置後の誘発性心筋梗塞マウスにおける測定された左心室内腔面積を示す。図5Hは、ビベグロンによる4週間の処置後の誘発性心筋梗塞マウスにおける測定された梗塞心筋の割合(%)を示す。
図6図6は、ビベグロンによる4週間の処置後の誘発性心筋梗塞マウスにおけるビベグロン血漿力価(ng/mL)のグラフを示す。
【発明の概要】
【0008】
特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象の駆出率保存型心不全(heart failure with preserved ejection fraction(HFpEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を処置する方法であって、治療有効量のビベグロンを前記対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様において、本開示は、駆出率保存型心不全(heart failure with preserved ejection fraction(HFpEF))を予防する方法であって、治療有効量のビベグロンを前記対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、前記対象は、約40%超の左心室駆出率を有する。いくつかの態様では、前記対象は、50%超の左心室駆出率を有する。特定の態様では、前記処置することが、HFpEFの進行を停止すること、HFpEFに関連する1つ以上の症状を軽減すること、またはその両方を含む。
【0009】
特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象の駆出率低下型心不全(heart failure with reduced ejection fraction(HFrEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を処置する方法であって、治療有効量のビベグロンを前記対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様において、本開示は、駆出率低下型心不全(heart failure with reduced ejection fraction(HFrEF))を予防する方法であって、治療有効量のビベグロンを前記対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、前記対象は、約50%未満の左心室駆出率を有する。いくつかの態様では、前記対象は、約40%未満の左心室駆出率を有する。いくつかの態様では、前記処置することが、HFrEFの進行を停止すること、HFrEFに関連する1つ以上の症状を軽減すること、またはその両方を含む。
【0010】
特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象において、β-アドレナリン受容体をアゴナイズし、β-アドレナリン受容体、β-アドレナリン受容体、またはβ-アドレナリン受容体とβ-アドレナリン受容体の両方をアンタゴナイズする方法であって、前記方法は、1)β-アドレナリン受容体をアゴナイズするために、前記対象に治療有効量のビベグロンを投与すること、および2)β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする、β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする、またはβ-アドレナリン受容体とβ-アドレナリン受容体の両方をアンタゴナイズする治療有効量の治療薬を前記対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、前記対象は、心不全、その1つ以上の症状、またはその両方を患っている。いくつかの態様では、前記対象は、駆出率保存型心不全(heart failure with preserved ejection fraction(HFpEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を有する。いくつかの態様では、前記対象は、駆出率低下型心不全(heart failure with reduced ejection fraction(HFrEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を有する。いくつかの態様では、前記対象は、ミッドレンジ駆出率型心不全(heart failure with mid-range ejection fraction(HFmrEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を有する。いくつかの態様では、前記β-アドレナリン受容体をアゴナイズすることが、前記対象の心血管系におけるβ-アドレナリン受容体をアゴナイズすることを含む。いくつかの態様では、前記β-アドレナリン受容体をアゴナイズすることが、前記対象の心筋におけるβ-アドレナリン受容体をアゴナイズすることを含む。
【0011】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、ビベグロンの前記治療有効量が1日あたり約10mg~約450mgである。特定の態様では、ビベグロンの前記治療有効量が1日あたり約50mg~約450mgである。特定の態様では、ビベグロンの前記治療有効量が1日あたり約50mg~約300mgである。特定の態様では、ビベグロンの前記治療有効量が1日あたり約90mg~約450mgである。いくつかの態様では、ビベグロンの前記治療有効量が1日あたり約100mg~約400mgである。いくつかの態様では、ビベグロンの前記治療有効量が1日あたり約50mg~約200mgである。
【0012】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、前記方法は、前記対象に第2の治療薬を投与することをさらに含む。いくつかの態様では、前記第2の治療薬が、抗高リポタンパク血症薬(例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチンなどのHMG-CoA還元酵素阻害剤;エゼチミブ、フィブリン酸誘導体、ナイアシン、胆汁酸封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラムなど)などの他の薬剤)、抗動脈硬化薬、抗血栓・線溶薬、血液凝固薬(例えば、アプロチニン、トラネキサム酸、イプシロン-アミノカプロン酸、またはアミノメチル安息香酸)、抗不整脈薬(例えば、アミオダロン、フレカイニド、イブチリド、リドカイン、プロカインアミド、プロパフェノン、キニジン、またはトカイニド)、降圧薬(例えば、フロセミド、ブメタニド、アミロリドヒドララジン、ミノキシジル、スピロノラクトン、クロニジン、またはメチルドーパ)、昇圧薬(例えば、ノルエピネフリン、エピネフリン、バソプレシン、ドーパミン、フェニレフリン、またはドブタミン)、利尿薬(例えば、クロルタリドン、ヒドロクロチアジド、メトラゾン、インダパミド、ブメタニド、エタクリン酸、またはフロセミド)、スタチン(例えば、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチン)、抗血小板薬(例えば、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、チカグレロル、プラスグレル、またはカングレロル)、SGLT2阻害薬(例えば、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、オレンパグリフロジン)、うっ血性心不全治療薬、抗狭心症薬(例えば、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、またはニトログリセリンなどの硝酸塩;ジルチアゼム、ニフェジピン、ニモジピン、ベラパミルなどのカルシウムアンタゴニスト;アテノロール、ピンドロール、プロプラノロール、メトプロロールなどのベータ遮断薬、またはラノラジン)、抗菌薬、レニン・アンジオテンシン系(RAS)遮断薬(例えば、カプトプリル、イミダプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、デラプリル、テルミサルタン、アリスキレン、またはモエキシプリル)、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA)(例えば、スピロノラクトンまたはエプレレノン)、ACE阻害薬(例えば、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、またはキナプリル)、アンジオテンシン受容体遮断薬(例えば、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、またはバルサルタン)、ネプリライシン阻害薬アンタゴニスト(例えば、サクビトリル/バルサルタン)、アルファ-2受容体アゴニスト(例えば、グアナベンズ、グアンファシン、クロニジン、チザニジン、メデトミジン、またはデクスメデトミジン)、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0013】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、前記ビベグロンが経口投与される。いくつかの態様では、前記ビベグロンが非経口的に投与される。いくつかの態様では、前記ビベグロンが静脈内投与される。
【0014】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい収縮期血圧の最大平均変化を経験する。いくつかの態様では、ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約1.5mmHg~約4.0mmHg小さい収縮期血圧の最大平均変化の増加を経験する。いくつかの態様では、ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい収縮期血圧の平均24時間変化を経験する。いくつかの態様では、ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約1.0mmHg~約10.0mmHg小さい収縮期血圧の平均24時間変化の増加を経験する。いくつかの態様では、ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい心拍数の最大上昇を経験する。いくつかの態様では、ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約2bpm~約14bpm小さい心拍数の最大平均上昇の増加を経験する。いくつかの態様では、ミラベグロンの前記治療有効量が約50mg~約300mgである。
【0015】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、ビベグロンが1日1回投与される。いくつかの態様では、ビベグロンが食事とともに投与される。いくつかの態様では、ビベグロンが食事なしで投与される。特定の態様では、ビベグロンが遊離塩基として投与される。いくつかの態様では、ビベグロンがその薬学的に許容される塩として投与される。
【0016】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、前記対象の収縮機能が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビベグロンを投与される前の前記対象の収縮機能と比較して増加または改善される。
【0017】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、前記対象の収縮機能の前記増加または改善が短縮率によって測定される。いくつかの態様では、前記対象の短縮率が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する。いくつかの態様では、前記対象の短縮率が、ビベグロンを投与されていない対象よりも約2%~約15%増加する。いくつかの態様では、前記対象の短縮率が、ビベグロンを投与されていない対象よりも約5%~約10%増加する。
【0018】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、前記対象の収縮機能の前記増加または改善が駆出率によって測定される。いくつかの態様では、前記対象の駆出率が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する。いくつかの態様では、前記対象の駆出率が、ビベグロンを投与されていない対象よりも約2%~約20%増加する。いくつかの態様では、前記対象の駆出率が、ビベグロンを投与されていない対象よりも約10%~約20%増加する。
【0019】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、前記対象の左心室の血液量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビベグロンを投与される前の前記対象の血液量と比較して増加または改善される。
【0020】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、前記対象の血液量の前記増加または改善が、前記対象の左心室の一回拍出量によって測定される。いくつかの態様では、前記対象の左心室の一回拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する。いくつかの態様では、前記対象の左心室の前記一回拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約25%~約75%増加する。いくつかの態様では、前記対象の左心室の前記一回拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約30%~約65%増加する。
【0021】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、前記対象の血液量の前記増加または改善が心拍出量によって測定される。いくつかの態様では、前記対象の心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する。いくつかの態様では、前記対象の心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約25%~約75%増加する。いくつかの態様では、前記対象の心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約30%~約65%増加する。
【発明の詳細な説明】
【0022】
ビベグロン、(6S)-N-[4-[[(2S,5R)-5-[(R)-ヒドロキシ(フェニル)メチル]ピロリジン-2-イル]メチル]フェニル]-4-オキソ-7,8-ジヒドロ-6H-ピロロ[1,2-a]ピリミジン-6-カルボキサミドは、細胞ベースのin vitroアッセイにおいて、β-ARおよびβ-ARよりもβ-ARの活性化に対して9,000倍を超える選択性を示す、強力で選択性の高いβ-3アドレナリン受容体アゴニストである。Edmondsonら、J.Med.Chem.59:609-623頁(2016年)を参照されたい。
【化1】
【0023】
ビベグロンは、米国特許第8,399,480号、第8,653,260号および第8,247,415号において、β-ARアゴニストとして開示されている。ビベグロンを調製するための合成方法は、米国公開番号US2017/0145014、US2015/0087832、US2016/0176884、およびUS2014/0242645に開示されている。引用された刊行物はすべて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0024】
ビベグロンは過活動膀胱の処置での使用が承認されているが、特にミラベグロンなどの他のアゴニストと比較したそのβ-ARに対する選択性は、ビベグロンが心不全の処置にも有効である可能性があることを裏付けている。β-ARは心血管系内で複数の機能を持つと考えられており、そのうちの少なくとも1つは主に心血管系を保護する役割を果たす。例えば、HFrEFの処置に用いられるいくつかのβ-AR遮断薬の使用は、β-ARシグナル伝達経路の改善と関連している。CannavoおよびKoch,J Cardiovasc Pharmacol 2017年;69:71-78頁を参照されたい。したがって、高選択性ビベグロンによるβ-ARの直接アゴニズム、または高選択性ビベグロンとベータ遮断薬によるβ-ARの二重アゴニズムとβ-ARのアンタゴニズムは、心血管系におけるβ-ARの保護的役割を改善するはずである。
【0025】
以前、β-ARアンタゴニストでありβ-ARアゴニストでもあるネビボロール(nebivolol)が、HFpEFのサブグループを含む高齢患者の心不全の処置に一定の効果を示したことが報告されている(例えば、Eur. Heart J. 2005年2月;26(3):215-225頁参照)。特定の理論に束縛されるものではないが、β-ARアンタゴニストではなく、高選択性β-ARアゴニストであるビベグロンは、心不全に対してさらに有効である可能性がある。
【0026】
特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象においてβ-アドレナリン受容体をアゴナイズする方法であって、治療有効量のビベグロンを前記対象に投与することを含む、方法を提供する。特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象において、β-アドレナリン受容体をアゴナイズし、β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする方法であって、前記方法は、1)β-アドレナリン受容体をアゴナイズするために、前記対象に治療有効量のビベグロンを投与すること、および2)β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする治療有効量の治療薬を前記対象に投与することを含む、方法を提供する。特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象において、β-アドレナリン受容体をアゴナイズし、β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする方法であって、前記方法は、1)β-アドレナリン受容体をアゴナイズするために、前記対象に治療有効量のビベグロンを投与すること、および2)β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする治療有効量の治療薬を前記対象に投与することを含む、方法を提供する。特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象において、β-アドレナリン受容体をアゴナイズし、β-アドレナリン受容体とβ-アドレナリン受容体の両方をアンタゴナイズする方法であって、前記方法は、1)β-アドレナリン受容体をアゴナイズするために、前記対象に治療有効量のビベグロンを投与すること、および2)β-アドレナリン受容体とβ-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする治療有効量の1つ以上の治療薬を前記対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0027】
定義
本開示をより容易に理解できるようにするために、最初に特定の用語を定義する。本出願で使用される場合、本明細書で明示的に規定されている場合を除き、以下の各用語は以下に示す意味を有するものとする。追加の定義は、本出願全体にわたって規定される。
【0028】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。用語「a」(または「an」)、ならびに用語「1つ以上」および「少なくとも1つ」は、本明細書では互換的に使用され得る。特定の態様では、用語「a」または「an」は「単一(single)」を意味する。他の態様では、用語「a」または「an」は、「2つ以上」または「複数(multiple)」を含む。
【0029】
さらに、本明細書で使用される「および/または」は、2つの指定された特徴または構成要素の各々について、他方の特徴または構成要素の有無にかかわらず具体的に開示されているものとみなされる。したがって、本明細書において「Aおよび/またはB」などの表現で使用される「および/または」という用語は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A(単独)」、および「B(単独)」を含むことを意図している。同様に、「A、B、および/またはC」などの表現で使用される「および/または」という用語は、以下の各態様を包含することを意図している:A、B、およびC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;AおよびC;AおよびB;BおよびC;A(単独);B(単独);およびC(単独)。
【0030】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関連する技術分野における当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0031】
本明細書および特許請求の範囲全体を通じて数値に関連して使用される「約」という用語は、当業者によく知られており許容可能な精度の範囲を意味する。特定の態様では、そのような精度の範囲は±10%である。他の態様では、そのような精度の範囲は±5%である。
【0032】
本明細書で使用される「アゴナイズ」という用語は、化合物が受容体に結合し、その受容体の意図された応答、またはそれに類似した応答を生じる場合を指す。
【0033】
本明細書で使用される「アンタゴナイズ」という用語は、化合物が受容体に結合し、その受容体が意図された応答を生成するのを部分的または完全に阻止する場合を指す。
【0034】
本明細書において、「対象(subject)」および「対象(subjects)」という用語は、「患者(patient)」および「患者(patients)」と同義であり、互換的に使用することができる。
【0035】
本明細書で使用される「遊離塩基」という用語は、塩の形態ではなく、塩基性化合物そのものを指す。例えば、ビベグロン遊離塩基は、(6S)-N-[4-[[(2S,5R)-5-[(R)-ヒドロキシ(フェニル)メチル]ピロリジン-2-イル]メチル]フェニル]-4-オキソ-7,8-ジヒドロ-6H-ピロロ[1,2-a]ピリミジン-6-カルボキサミドを指す。
【0036】
「薬学的に許容される塩」という用語は、対象への使用に安全かつ有効で、所望の生物学的活性を有する化合物の塩を意味する。
【0037】
塩基性化合物の薬学的に許容される塩は、有機酸または無機酸の塩であり得る。いくつかの態様において、有機酸および無機酸には、限定されるものではないが、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、クエン酸、マレイン酸、マンデル酸、コハク酸、およびメタンスルホン酸が含まれる(参照によりその全体が本明細書に組み込まれるJ.Pharm.Sci.,66,2(1977年)参照)。
【0038】
「駆出率」という用語は、左心室が心臓の収縮(収縮期と呼ばれる)ごとにどれだけの血液を送り出すかをパーセンテージで表した測定値を指す。典型的に、およびいくつかの態様では、20歳を超える成人の正常な駆出率は約53%~約73%である。
【0039】
「駆出率保存型心不全」および「HFpEF」という用語は、拡張期(すなわち、充填期)に左心室に血液が適切に満たされないために、心臓から送り出される血液の量が減少する状態を指す。HFpEFは、二次的に心筋機能不全を引き起こす末梢損傷(一般に併存疾患に関連するものなど)によって特徴づけられる場合がある。高い血圧(高血圧)によって引き起こされる左心室肥大が一般的な例である。特定の態様では、HFpEFを有する対象は、約50%超の駆出率を有する。特定の態様では、HFpEFを有する対象は、50%以上の駆出率を有する。いくつかの態様では、HFpEFを有する対象は、約40%超の駆出率を有する。いくつかの態様では、HFpEFを有する対象は、40%以上の駆出率を有する。
【0040】
「駆出率低下型心不全」および「HFrEF」という用語は、左心室が収縮期(すなわち、駆出期)に十分な力で収縮しないために、心臓から送り出される血液の量が減少する状態を指す。HFrEFは、一次的な心筋損傷(例えば、心筋梗塞、ウイルス性心筋症、遺伝子異常、心毒性)によって特徴づけられる場合がある。特定の態様では、HFrEFを有する対象は、約50%未満の駆出率を有する。特定の態様では、HFrEFを有する対象は、50%未満の駆出率を有する。いくつかの態様では、HFrEFを有する対象は、約40%未満の駆出率を有する。いくつかの態様では、HFrEFを有する対象は、40%未満の駆出率を有する。いくつかの態様では、中等度から重度のHFrEFを有する対象は、35%未満の駆出率を有する。
【0041】
特定の態様では、約40%と約50%との間の駆出率を有する対象は、ミッドレンジ駆出率(「HFmrEF」、例えばAndronic, A.ら、Maedica,2016年,11,320-324頁参照)を有すると称する場合がある。いくつかの態様では、本開示は、それを必要とする対象のHFmrEf型心不全(heart failure with HFmrEf)、その1つ以上の症状、またはその両方を処置または予防する方法であって、治療有効量のビベグロンを前記対象に投与することを含む、方法を提供する。
【0042】
「短縮率」という用語は、例えば収縮期および拡張期中の左心室壁の動きを反映する左心室直径の変化のパーセンテージで表される測定値を指す。
【0043】
「一回拍出量」とは、収縮期または各収縮期の心臓収縮中に左心室から送り出される血液量を、体積単位(例えば、リットルなど)で表した測定値を指す。
【0044】
「心拍出量」という用語は、1分間に左心室から送り出される血液の総量を、1分あたりの体積(例えば、リットル)の単位で表した測定値を指す。
【0045】
「治療有効量」という用語は、所望の生物学的結果、治療的結果、および/または予防的結果をもたらす量を指す。その結果は、疾患の1つ以上の兆候、症状、または原因の軽減、改善、緩和、軽減、遅延、および/または軽減、あるいは生体系の他の所望の変化であり得る。単独で投与される個々の有効成分に適用される場合、この用語はその成分のみを指す。組み合わせて適用される場合、この用語は、併用、連続投与、同時投与のいずれであっても、治療効果をもたらす有効成分の組み合わせた量を指す。有効量は、1回の投与量で投与することも、複数回の投与量に分割することもでき、そのような投与量の合計が有効量となる。例えば、有効量を一定期間にわたる2回の別々の投与で提供することができ、合計して有効量の製剤が提供される。
【0046】
本明細書において、「処置された」、「処置する」または「処置」という用語は、心不全の1つ以上の症状(疲労または運動能力の低下を含むが、これらに限定されない)または特徴の部分的または完全な緩和、寛解、改善、管理、軽減、発症の遅延、進行の抑制、重症度の軽減、発生率の低下、またはそれらの任意の組み合わせを指す。特定の態様において、「処置する」という用語は、HFrEFに関連する1つ以上の症状を軽減することを指す。いくつかの態様において、「処置する」という用語は、HFpEFに関連する1つ以上の症状を軽減することを指す。いくつかの態様において、「処置する」という用語は、HFrEFの進行を止めることを指す。いくつかの態様において、「処置する」という用語は、HFpEFの進行を止めることを指す。いくつかの態様において、「処置する」という用語は、心不全の1つ以上の症状を軽減することと、HFrEFの進行を止めることの組み合わせを指す。いくつかの態様において、「処置する」という用語は、心不全の1つ以上の症状を軽減することと、HFpEFの進行を止めることの組み合わせを指す。いくつかの態様において、「処置する」という用語は、心臓の構造リモデリングを逆転させることを指す。
【0047】
一般に、「処置」という用語は、対象の関心のある疾患または病理学的状態の結果として引き起こされる影響に対抗することを指し、(i)疾患または病理学的状態の進行を阻害する、言い換えれば、その発症もしくは進行、またはそのような障害もしくは状態の1つ以上の症状を遅らせるもしくは停止すること、(ii)疾患または病理学的状態を緩和する、言い換えれば、前記疾患もしくは病理学的状態、またはその症状を退行させること、(iii)疾患もしくは病理学的状態、またはそのような障害もしくは状態の1つ以上の症状を安定させること、(iv)疾患もしくは病理学的状態、またはそのような障害もしくは状態の1つ以上の症状を正常な状態に戻すこと、(v)疾患もしくは病理学的状態、またはそのような障害もしくは状態の1つ以上の症状を予防すること、および(vi)それらの任意の組み合わせ、を含む。
【0048】
本明細書において、「予防する」という用語は、心不全の発症を部分的にまたは完全に遅延させること、心不全の1つ以上の症状、特徴、または臨床症状(疲労または運動能力の低下を含むが、これらに限定されない)の発症を部分的にまたは完全に遅延させること、心不全の1つ以上の症状、特徴、または兆候(疲労または運動能力の低下を含むが、これらに限定されない)の発症を部分的にまたは完全に遅延させること、心不全からの進行を部分的にまたは完全に遅延させること、および/または心不全に関連する病態を発症するリスクを低下させることを指す。
【0049】
本明細書において、「作用発現」という用語は、投与により薬物の効果が顕著になるまでにかかる時間を指す。
【0050】
処置方法
特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象において、駆出率保存型心不全(HFpEF)および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法を提供する。特定の態様では、対象は約50%超の左心室駆出率を有する。特定の態様では、対象は約45%超の左心室駆出率を有する。特定の態様では、対象は約40%超の左心室駆出率を有する。いくつかの態様では、対象は、約40%超、約41%超、約42%超、約43%超、約44%超、約45%超、約46%超、約46%超、約48%超、約49%超、または約50%超の左心室駆出率を有する。好ましくは、対象は50%超の左心室駆出率を有する。
【0051】
特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象において、駆出率低下型心不全(HFrEF)および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法を提供する。特定の態様では、対象は約50%未満の左心室駆出率を有する。特定の態様では、対象は約45%未満の左心室駆出率を有する。特定の態様では、対象は約40%未満の左心室駆出率を有する。特定の態様では、対象は、約40%未満、約41%未満、約42%未満、約43%未満、約44%未満、約45%未満、約46%超、約46%未満、約48%未満、約49%未満、または約50%未満の左心室駆出率を有する。好ましくは、対象は50%未満の左心室駆出率を有する。
【0052】
特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象において、β-アドレナリン受容体をアゴナイズし、β-アドレナリン受容体、β-アドレナリン受容体、またはβ-アドレナリン受容体とβ-アドレナリン受容体の両方をアンタゴナイズする方法であって、前記方法は、1)β-アドレナリン受容体をアゴナイズするために、前記対象に治療有効量のビベグロンを投与すること、および2)β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする、β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする、またはβ-アドレナリン受容体とβ-アドレナリン受容体の両方をアンタゴナイズする治療有効量の治療薬を前記対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、対象は心不全を患っている。いくつかの態様では、対象は、駆出率保存型心不全(HFpEF)、その1つ以上の症状、またはその両方を有する。いくつかの態様では、対象は、駆出率低下型心不全(HFrEF)、その1つ以上の症状、またはその両方を有する。いくつかの態様では、対象は、ミッドレンジ駆出率型心不全(HFmrEF)、その1つ以上の症状、またはその両方を有する。
【0053】
特定の態様において、本開示は、それを必要とする対象においてβ-アドレナリン受容体をアゴナイズする方法であって、治療有効量のビベグロンを前記対象に投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、対象は心不全を患っている。いくつかの態様では、対象は、駆出率保存型心不全(HFpEF)、その1つ以上の症状、またはその両方を有する。いくつかの態様では、対象は、駆出率低下型心不全(HFrEF)、その1つ以上の症状、またはその両方を有する。いくつかの態様では、対象は、ミッドレンジ駆出率型心不全(HFmrEF)、その1つ以上の症状、またはその両方を有する。
【0054】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、β-アドレナリン受容体をアゴナイズすることが、対象の心血管系におけるβ-アドレナリン受容体をアゴナイズすることを含む。いくつかの態様では、β-アドレナリン受容体をアゴナイズすることが、対象の心筋におけるβ-アドレナリン受容体をアゴナイズすることを含む。いくつかの態様では、ビベグロンが経口投与される。いくつかの態様では、ビベグロンが非経口的に投与される。いくつかの態様では、ビベグロンが静脈内投与される。いくつかの態様では、ビベグロンの治療有効量が1日当たり約50mg~約450mgである。いくつかの態様では、ビベグロンの治療有効量が1日当たり約50mg~約300mgである。いくつかの態様では、ビベグロンの治療有効量が1日当たり約100mg~約200mgである。いくつかの態様では、ビベグロンが1日1回投与される。いくつかの態様では、ビベグロンが食事とともに投与される。いくつかの態様では、ビベグロンが食事なしで投与される。いくつかの態様では、ビベグロンが遊離塩基として投与される。いくつかの態様では、ビベグロンがその薬学的に許容される塩として投与される。
【0055】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、β-アドレナリン受容体をアゴナイズすることが、対象に第2の治療薬を投与することをさらに含む。いくつかの態様では、第2の治療薬が、抗高リポタンパク血症薬、抗動脈硬化薬、抗血栓・線溶薬、血液凝固薬、抗不整脈薬、降圧薬、昇圧薬、利尿薬、スタチン、抗血小板薬、SGLT2阻害薬、うっ血性心不全治療薬、抗狭心症薬、抗菌薬、レニン・アンジオテンシン系(RAS)遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA)、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体遮断薬、ネプリライシン阻害薬アンタゴニスト、アルファ-2受容体アゴニスト、およびそれらの組み合わせから選択される。
【0056】
典型的に、および本明細書に記載の方法の特定の態様では、対象は、処置期間にわたるビベグロンの投与後に、以下に記載する有益な結果を含むがこれらに限定されない、1つ以上の有益な結果を経験することができる。
【0057】
特定の態様において、本開示は、駆出低下型心不全(HFrEF)を有するかまたは有するリスクのある対象において、磁気共鳴画像法(MRI)、超音波、心エコー検査、および/またはコンピュータ断層撮影法(CT)によって測定される左心室駆出率(LVEF)を増加させる方法を提供する。いくつかの態様では、HFrEFを有する対象は、約3か月~約6か月の期間後に、磁気共鳴画像法(MRI)、超音波、心エコー検査、および/またはコンピュータ断層撮影法(CT)によって測定される左心室駆出率(LVEF)の増加を経験する。いくつかの態様では、HFrEFを有する対象は、約3か月、約4か月、約5か月、および/または約6か月の期間後に、磁気共鳴画像法(MRI)、超音波、心エコー検査、および/またはコンピュータ断層撮影法(CT)によって測定される左心室駆出率(LVEF)の増加を経験する。
【0058】
いくつかの態様では、対象は、処置期間後に右心カテーテル法によって評価される血行動態の変化を経験する。いくつかの態様では、対象は、処置期間後に、右心カテーテル検査によって評価される、心拍出量、肺楔入圧、肺および全身の血管抵抗、ならびにQT間隔を含むがこれらに限定されない1つ以上のパラメータの変化を経験する。いくつかの態様では、対象は、約3時間~約6か月の処置期間後に、これらのパラメータの1つ以上の変化を経験する。いくつかの態様では、対象は、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約12時間、約18時間、約1日、約3日、約5日、約1週間、約2週間、約3週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、および/または約6か月の処置期間後に、これらのパラメータの1つ以上の変化を経験する。
【0059】
心不全を有する対象は肺水腫を経験する可能性がある。いくつかの態様では、対象は、肺機能および/または肺水腫に関連する症状の改善を経験する。いくつかの態様では、対象は、約3時間~約6か月の処置期間後に、肺機能および/またはうっ血性肺水腫に関連する症状の改善を経験する。いくつかの態様にでは、対象は、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約12時間、約18時間、約1日、約3日、約5日、約1週間、約2週間、約3週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、および/または約6か月の処置期間後に、肺機能および/または肺水腫に関連する症状の改善を経験する。
【0060】
いくつかの態様において、対象は、処置期間後に以下のパラメータのうちの1つまたは以上を経験する:N末端脳性ナトリウム利尿ペプチド(N-terminal brain natriuretic peptide(NT proBNP))の減少;6分間の歩行距離の増加;心拍出量/一回拍出量(CO/SV)の増加;左心室内径拡張終期(LVIDd)の減少;拡張機能の改善;左心房(LA)容積の減少;LV(左心室)直径の減少;QT間隔の変化なし;およびNHYA機能クラスの改善。いくつかの態様では、対象は、約3時間~約12か月の処置期間後に、これらのパラメータの1つ以上の変化を経験する。いくつかの態様では、対象は、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約12時間、約18時間、約1日、約3日、約5日、約1週間、約2週間、約3週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、および/または約12か月の処置期間後に、これらのパラメータの1つ以上の変化を経験する。
【0061】
いくつかの態様では、対象は処置期間後に有益な心臓構造リモデリングを経験する。いくつかの態様では、対象は、約3か月~約18か月の処置期間後に有益な心臓構造リモデリングを経験する。いくつかの態様では、対象は、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約12か月、約13か月、約14か月、約15か月、約16か月、約17か月、および/または約18か月の処置期間後に有益な心臓構造リモデリングを経験する。
【0062】
いくつかの態様において、HFpEFを有するかまたは有するリスクのある対象は、処置期間後に左心室重量指数(left ventricular mass index(LVMI))の変化を経験する。いくつかの態様では、対象は、約3か月~約18か月の処置期間後に、左心室重量指数(LVMI)の変化を経験する。いくつかの態様では、対象は、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約12か月、約13か月、約14か月、約15か月、約16か月、約17か月、および/または約18か月の処置期間後に、左心室重量指数(LVMI)の変化を経験する。いくつかの態様では、左心室重量指数はg/mで測定され、心エコー検査または心臓MRIで測定された左心室重量を体表面で除したものと定義される。
【0063】
特定の態様において、HFpEFを有するかまたは有するリスクのある対象は、処置期間後に、心線維症の減少、拡張機能の変化、および左心房寸法の減少から選択される1つ以上のパラメータを経験する(例えば、Yamamotoら、Eur. J. Heart Fail.2013年;15(1):110-118頁参照)。いくつかの態様では、対象は、約3か月~約18か月の処置期間後に、これらのパラメータの1つ以上の変化を経験する。いくつかの態様では、対象は、約3か月、約4か月、約5か月、約6か月、約7か月、約8か月、約9か月、約10か月、約11か月、約12か月、約13か月、約14か月、約15か月、約16か月、約17か月、および/または約18か月の処置期間後に、これらのパラメータの1つ以上の変化を経験する。
【0064】
いくつかの態様において、対象は、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビベグロンを投与される前の対象の経験と比較して、入院期間の短縮を経験する。いくつかの態様では、対象は、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビグロンを投与される前の前記対象の経験と比較して、入院間の日数の増加を経験する。いくつかの態様では、対象は、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビグロンを投与される前の前記対象の経験と比較して、入院リスクの低下を経験する。いくつかの態様では、対象は、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビグロンを投与される前の前記対象の経験と比較して、最初の入院までの期間の増加を経験する。いくつかの態様では、対象は、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビグロンを投与される前の前記対象の経験と比較して、死亡リスクの低下を経験する。いくつかの態様では、対象は、約3時間~約6か月の処置期間後に、これらのパラメータの1つ以上の変化を経験する。いくつかの態様では、対象は、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約12時間、約18時間、約1日、約3日、約5日、約1週間、約2週間、約3週間、約1か月、約2か月、約3か月、約4か月、約5か月、および/または約6か月の処置期間後に、これらのパラメータの1つ以上の変化を経験する。
【0065】
有効成分の有効用量、例えば、対象の心血管系または対象の心筋におけるβ3-アドレナリン受容体をアゴナイズするため、心不全および/またはその1つ以上の症状を処置するため、駆出率保存型心不全(HFpEF)または駆出率低下型心不全(HFrEF)を処置または予防するために使用される有効成分の有効用量は、投与方法と状態の重症度によって異なる可能性がある。このような用量は、当業者であれば容易に確認することができる。特定の態様では、1日当たりのビベグロンの投与量は、約1mg~約1000mg、約2mg~約1000mg、約3mg~約1000mg、約4mg~約1000mg、約5mg~約1000mg、約10mg~約1000mg、約15mg~約1000mg、約20mg~約1000mg、約25mg~約1000mg、約30mg~約1000mg、約40mg~約1000mg、約50mg~約1000mg、約60mg~約1000mg、約70mg~約1000mg、約80mg~約1000mg、約90mg~約1000mg、約100mg~約1000mg、約150mg~約1000mg、約200mg~約1000mg、約250mg~約1000mg、約300mg~約1000mg、約350mg~約1000mg、約400mg~約1000mg、約450mg~約1000mg、約500mg~約1000mg、約550mg~約1000mg、約600mg~約1000mg、約650mg~約1000mg、約700mg~約1000mg、約750mg~約1000mg、約800mg~約1000mg、約850mg~約1000mg、約900mg~約1000mg、または約950mg~約1000mgである。
【0066】
特定の態様において、本開示は、心不全および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、1日当たり約1mg~約100mgの量のビベグロンをそれを必要とする対象に経口投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、1日当たり投与されるビベグロンの量は、約1mg~約90mg、約1mg~約80mg、約1mg~約70mg、約1mg~約60mg、または約1mg~約50mgである。
【0067】
特定の態様において、本開示は、駆出率保存型心不全(HFpEF)および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、1日当たり約1mg~約100mgの量のビベグロンをそれを必要とする対象に経口投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、1日当たり投与されるビベグロンの量は、約1mg~約90mg、約1mg~約80mg、約1mg~約70mg、約1mg~約60mg、または約1mg~約50mgである。好ましい態様では、対象は、駆出率が約50%超のHFpEFを有し、1日当たり約1mg~約100mgの量のビベグロンが投与される。
【0068】
特定の態様において、本開示は、駆出率低下型心不全(HFrEF)および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、1日当たり約1mg~約100mgの量のビベグロンをそれを必要とする対象に経口投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、1日当たり投与されるビベグロンの量は、約1mg~約90mg、約1mg~約80mg、約1mg~約70mg、約1mg~約60mg、または約1mg~約50mgである。好ましい態様では、対象は、駆出率が約40%未満のHFrEFを有し、1日当たり約1mg~約100mgの量のビベグロンが投与される。
【0069】
特定の態様において、本開示は、心不全および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、1日当たり約5mg~約100mgの量のビベグロンをそれを必要とする対象に経口投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、1日当たり投与されるビベグロンの量は、約5mg~約90mg、約5mg~約80mg、約5mg~約70mg、約5mg~約60mg、または約5mg~約50mgである。
【0070】
特定の態様において、本開示は、駆出率保存型心不全(HFpEF)および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、1日当たり約5mg~約100mgの量のビベグロンをそれを必要とする対象に経口投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、1日当たり投与されるビベグロンの量は、約5mg~約90mg、約5mg~約80mg、約5mg~約70mg、約5mg~約60mg、または約5mg~約50mgである。好ましい態様では、対象は、駆出率が約50%超のHFpEFを有し、1日当たり約5mg~約100mgの量のビベグロンが投与される。
【0071】
特定の態様において、本開示は、駆出率低下型心不全(HFrEF)および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、1日当たり約5mg~約100mgの量のビベグロンをそれを必要とする対象に経口投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、1日当たり投与されるビベグロンの量は、約5mg~約90mg、約5mg~約80mg、約5mg~約70mg、約5mg~約60mg、または約5mg~約50mgである。好ましい態様では、対象は、駆出率が約40%未満のHFrEFを有し、1日当たり約5mg~約100mgの量のビベグロンが投与される。
【0072】
特定の態様において、本開示は、心不全および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、1日当たり、約45mg~約600mg、約45mg~約450mg、または約45mg~約300mgの量のビベグロンをそれを必要とする対象に経口投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、前記方法は、1日当たり、約50mg~約600mg、約50mg~約450mg、または好ましくは約50mg~約300mgのビベグロンを経口投与することを含む。
【0073】
特定の態様において、本開示は、駆出率保存型心不全(HFpEF)および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、1日当たり、約45mg~約600mg、約45mg~約450mg、または約45mg~約300mgの量のビベグロンをそれを必要とする対象に経口投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、前記方法は、1日当たり、約50mg~約600mg、約50mg~約450mg、または好ましくは約50mg~約300mgのビベグロンを経口投与することを含む。好ましい態様では、対象は、駆出率が約50%超のHFpEFを有し、1日当たり約50mg~約300mgの量のビベグロンが投与される。
【0074】
特定の態様において、本開示は、駆出率低下型心不全(HFrEF)および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、1日当たり、約45mg~約600mg、約45mg~約450mg、または約45mg~約300mgの量のビベグロンをそれを必要とする対象に経口投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、前記方法は、1日当たり、約50mg~約600mg、約50mg~約450mg、または好ましくは約50mg~約300mgのビベグロンを経口投与することを含む。好ましい態様では、対象は、駆出率が約40%未満のHFrEFを有し、1日当たり約50mg~約300mgの量のビベグロンが投与される。
【0075】
特定の態様において、本開示は、心不全および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、1日当たり25mg~500mgの量のビベグロンをそれを必要とする対象に経口投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、1日当たり投与されるビベグロンの量は、約25mg~約450mg、約25mg~約400mg、約25mg~約350mg、約25mg~約300mg、約25mg~約250mg、約25mg~約200mg、約25mg~約150mg、約30mg~約145mg、約35mg~約140mg、約40mg~約135mg、約45mg~約130mg、約50mg~約125mg、約55mg~約120mg、約60mg~約115mg、約65mg~約110mg、約70mg~約105mg、約75mg~約100mg、約80mg~約95mg、または約85mg~約90mgである。
【0076】
特定の態様において、本開示は、駆出率保存型心不全(HFpEF)および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、1日当たり25mg~500mgの量のビベグロンをそれを必要とする対象に経口投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、1日当たり投与されるビベグロンの量は、約25mg~約450mg、約25mg~約400mg、約25mg~約350mg、約25mg~約300mg、約25mg~約250mg、約25mg~約200mg、約25mg~約150mg、約30mg~約145mg、約35mg~約140mg、約40mg~約135mg、約45mg~約130mg、約50mg~約125mg、約55mg~約120mg、約60mg~約115mg、約65mg~約110mg、約70mg~約105mg、約75mg~約100mg、約80mg~約95mg、または約85mg~約90mgである。
【0077】
特定の態様において、本開示は、駆出率低下型心不全(HFrEF)および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、1日当たり25mg~500mgの量のビベグロンをそれを必要とする対象に経口投与することを含む、方法を提供する。いくつかの態様では、1日当たり投与されるビベグロンの量は、約25mg~約450mg、約25mg~約400mg、約25mg~約350mg、約25mg~約300mg、約25mg~約250mg、約25mg~約200mg、約25mg~約150mg、約30mg~約145mg、約35mg~約140mg、約40mg~約135mg、約45mg~約130mg、約50mg~約125mg、約55mg~約120mg、約60mg~約115mg、約65mg~約110mg、約70mg~約105mg、約75mg~約100mg、約80mg~約95mg、または約85mg~約90mgである。
【0078】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は、約25mg~約600mg、約50mg~約550mg、約75mg~約500mg、約90mg~約450mg、約100mg~約400mg、約125mg~約350mg、または約150mg~約300mgである。いくつかの態様において、本開示は、心不全および/またはその1つ以上の症状を処置または予防する方法であって、1日当たり約100mg~約200mgまたは約200mg~約300mgの量のビベグロンをそれを必要とする対象に経口投与することを含む、方法を提供する。
【0079】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は、約60mg~約90mg、約65mg~約85mg、または約70mg~約80mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は、60mg~90mg、65mg~85mg、または70mg~80mgである。
【0080】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は、約1mg、約5mg、約10mg、約15mg、約20mg、25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約425mg、約450mg、約475mg、もしくは約500mg、または先行するいずれか2つの値の間の範囲である。
【0081】
いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は約1mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は1mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は約25mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は25mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は約50mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は50mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は約75mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は75mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は約100mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は100mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は約150mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は150mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は約200mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は200mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は約250mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は250mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は約300mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は300mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は約350mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は350mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は約400mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は400mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は約450mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は450mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は約500mgである。いくつかの態様では、本明細書に記載の方法において1日当たり投与されるビベグロンの量は500mgである。
【0082】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンの第1用量が第1の期間投与され、その後ビベグロンの第2用量が投与され、第2用量は第1用量よりも多い。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第1用量は約1mg~約150mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第1用量は約5mg~約100mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第1用量は約10mg~約75mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第1用量は約25mg~約100mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第1用量は約50mg~約150mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第1用量は約50mg~約100mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第1用量は約50mg~約75mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第2用量は約75mg~約400mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第2用量は約75mg~約350mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第2用量は約75mg~約300mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第2用量は約75mg~約250mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第2用量は約75mg~約200mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第2用量は約75mg~約150mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第2用量は約75mg~約100mgである。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第1の期間は約1週間~約12週間である。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第1の期間は約1週間~約8週間である。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第1の期間は約2週間~約12週間である。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、第1の期間は約2週間~約8週間である。
【0083】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、ビベグロンの用量は、約0.5mg/kg/日~約15mg/kg/日である。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンの用量は、約1mg/kg/日~約10mg/kg/日である。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンの用量は、約2mg/kg/日~約9mg/kg/日である。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンの用量は、約3mg/kg/日~約8mg/kg/日である。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンの用量は、約4mg/kg/日~約7mg/kg/日である。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンの用量は、約0.5mg/kg/日、1mg/kg/日、約2mg/kg/日、約3mg/kg/日、約4mg/kg/日、約5mg/kg/日、約6mg/kg/日、約7mg/kg/日、約8mg/kg/日、約9mg/kg/日、約10mg/kg/日、約11mg/kg/日、約12mg/kg/日、約13mg/kg/日、約14mg/kg/日、約15mg/kg/日、または先行するいずれか2つの値の間の範囲である。
【0084】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンは1日1回、1日2回、または1日3回投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンは1日1回投与される。
【0085】
いくつかの態様では、本方法は、処置期間にわたって対象にビベグロンを投与することを含む。「処置期間」という用語は、薬物が対象に投与される期間を意味する。例えば、処置期間は約2週間~約10年とすることができる。いくつかの態様では、処置期間は、約2週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約14週間、約16週間、約18週間、約20週間、約24週間、約52週間、約74週間、約104週間、約156週間、約208週間、約260週間、約312週間、約364週間、約416週間、約468週間、または約520週間とすることができる。いくつかの態様では、処置期間は、約2週間、約4週間、約6週間、約8週間、約10週間、約12週間、約14週間、約16週間、約18週間、約20週間、約24週間、約52週間、約76週間、約104週間、約156週間、約208週間、約260週間、約312週間、約364週間、約416週間、約468週間、または約520週間より長くすることができる。処置期間および処置レジメンの他の期間は、本出願を通じて含まれ、さらに、例えば、処置期間中にビベグロンを投与するために使用することができる投与量、投与経路、および投与間隔を例示する。薬の有効性は、特定のパラメータを測定し、処置期間にわたるベースラインからの変化を計算することによって評価できる。
【0086】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンは、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、または約6週間の作用発現を有する。いくつかの態様では、ビベグロンは約1週間の作用発現を有する。いくつかの態様では、ビベグロンは約2週間の作用発現を有する。実施例に示されるように、本明細書に記載の方法によるビベグロンの投与は、ビベグロンによる処置の開始から約2週間以内の作用発現をもたらす。
【0087】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象は哺乳動物である。いくつかの態様では、対象はヒトまたは動物である。いくつかの態様では、対象はヒトである。いくつかの態様では、対象は雄である。いくつかの態様では、対象は雌である。
【0088】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象の年齢は約2歳~約85歳の間である。いくつかの態様では、対象は約5歳~約80歳の間である。いくつかの態様では、対象は約10歳~約75歳の間である。いくつかの態様では、対象は約15歳~約65歳の間である。
【0089】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象は18歳以上である。いくつかの態様では、対象は約18歳~約85歳の間である。いくつかの態様では、対象は約18歳~約80歳の間である。いくつかの態様では、対象は約18歳~約75歳の間である。いくつかの態様では、対象は約18歳~約70歳の間である。いくつかの態様では、対象は約18歳~約65歳の間である。
【0090】
本明細書に記載の方法において、哺乳動物、特にヒトに有効量のビベグロンを提供するために、任意の適切な投与経路を使用することができる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、肺、経鼻などが使用され得る。剤形には、錠剤、トローチ、分散液、懸濁液、溶液、カプセル、クリーム、軟膏、エアロゾルなどが含まれる。
【0091】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンは食事とともに投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンは食後に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンは食後60分以内、食後2時間以内、または食後3時間以内に投与される。
【0092】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンは食事なしで投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンは食前に投与される。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンは、食事の3時間以上前、食事の2時間以上前、または食事の60分以上前に投与される。
【0093】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、当該方法は、対象に投与する前に、ビベグロンを含む医薬単位用量組成物を粉砕することを含む。本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象は、ビベグロンを含む粉砕された医薬単位用量を経口投与される。
【0094】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象は、CYP3A阻害薬などのシトクロムP450阻害薬と、以下のCYPの基質である薬物とを同時に投与、服用、または曝露される:CYP1A2、2B6、2C8、2C9、2C19、2D6、および3A4。
【0095】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象は、P糖タンパク質阻害薬を同時に投与、服用、またはその他の方法で曝露される。
【0096】
CYP3A/P糖タンパク質阻害薬には、限定されるものではないが、アミオダロン、カルベジロール、クラリスロマイシン、ドロネダロン、イトラコナゾール、ラパチニブ、ロピナビルおよびリトナビル、プロパフェノン、キニジン、ラノラジン、リトナビル、サキナビルおよびリトナビル、テラプレビル、チプラナビルおよびリトナビル、ベラパミル、クルクミン、シクロスポリンA、エルトロンボパグ、アタザナビルおよびリトナビル、クラリスロマイシン、シクロスポリン、エリスロマイシン、ゲムフィブロジル、リファンピン(単回投与)、シメプレビル、p-アミノ馬尿酸(PAH)、プロベネシド、テリフルノミド、シメチジン、ドルテグラビル、イサブコナゾール、ラノラジン、トリメトプリム、およびバンデタニブが含まれる。
【0097】
本明細書に記載の方法に従ってビベグロンを服用している対象の血圧(BP)および心拍数(HR)のベースラインからの変化は、プラセボを服用している対象と実質的に変わらない。いくつかの態様では、対象は処置期間にわたるベースラインからの収縮期血圧(SBP)の平均最大変化を経験し、当該平均最大変化は、プラセボを服用している対象のそれから2.0mmHg未満、2.0mmHg未満、1.9mmHg未満、1.8mmHg未満、1.7mmHg未満、1.6mmHg未満、1.5mmHg未満、1.4mmHg未満、1.3mmHg未満、1.2mmHg未満、1.1mmHg未満、1.0mmHg未満、0.9mmHg未満、0.8mmHg未満、0.7mmHg未満、0.6mmHg未満、または0.5mmHg未満である。
【0098】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象は処置期間にわたるベースラインからの拡張期血圧(DBP)の平均最大変化を経験し、当該平均最大変化は、プラセボを服用した対象のそれと比べて2.0mmHg未満、1.9mmHg未満、1.8mmHg未満、1.7mmHg未満、1.6mmHg未満、1.5mmHg未満、1.4mmHg未満、1.3mmHg未満、1.2mmHg未満、1.1mmHg未満、1.0mmHg未満、0.9mmHg未満、0.8mmHg未満、0.7mmHg未満、0.6mmHg未満、または0.5mmHg未満Hgである。
【0099】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象は、10mmHg未満、9.5mmHg未満、9mmHg未満、8.5mmHg未満、8mmHg未満、7.5mmHg未満、7mmHg未満、6.5mmHg未満、6mmHg未満、5.5mmHg未満、または5mmHg未満の、処置期間にわたるベースラインからの収縮期血圧(SBP)の平均最大変化を経験する。
【0100】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象は、7mmHg未満、6.5mmHg未満、6mmHg未満、5.5mmHg未満、5mmHg未満、4.5mmHg未満、4mmHg未満、3.5mmHg未満、3mmHg未満、2.5mmHg未満、または2mmHg未満の、処置期間にわたるベースラインからの拡張期血圧(DBP)の平均最大変化を経験する。
【0101】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい収縮期血圧の最大平均変化を経験する。いくつかの態様では、ビベグロンを投与された対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約1.5mmHg~約4.0mmHg小さい収縮期血圧の最大平均変化の増加を経験する。
【0102】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、ビベグロンを投与された対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい収縮期血圧の平均24時間変化を経験する。いくつかの態様では、ビベグロンを投与された対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約1.0mmHg~約10.0mmHg小さい収縮期血圧の平均24時間変化の増加を経験する。
【0103】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい心拍数の最大平均上昇を経験する。いくつかの態様では、ビベグロンを投与された対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約2bpm~約14bpm小さい心拍数の最大平均上昇の増加を経験する。
【0104】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、対象(例えば、HFrEFを有する対象)の収縮機能が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビベグロンを投与される前の対象の収縮機能と比較して増加または改善される。特定の態様では、対象(例えば、HFrEFを有する対象)の収縮機能の増加または改善が短縮率によって測定される。いくつかの態様では、対象(例えば、HFrEFを有する対象)の短縮率が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する。
【0105】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約25%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約24%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約23%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約22%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約21%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約20%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約19%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約18%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約17%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約16%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約15%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約14%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約13%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約12%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約10%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約9%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約8%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約7%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約6%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約2%~約5%増加する。
【0106】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象の短縮率は約3%~約15%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約4%~約14%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約5%~約13%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約6%~約12%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約7%~約11%増加する。いくつかの態様では、対象の短縮率は約7%~約10%増加する。
【0107】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象の短縮率は少なくとも約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%もしくは約50%、または先行する値のいずれかの間の間隔だけ増加する。
【0108】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、対象(例えば、HFrEFを有する対象)の収縮機能の増加または改善が駆出率によって測定される。いくつかの態様では、対象(例えば、HFrEFを有する対象)の駆出率が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する。
【0109】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象の駆出率は、ビベグロンを投与されていない対象よりも約2%~約25%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約24%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約23%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約22%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約21%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約20%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約19%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約18%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約17%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約15%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約14%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約13%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約12%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約11%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約10%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約9%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約8%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約7%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約6%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約2%~約5%増加する。
【0110】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象の駆出率は約5%~約25%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約6%~約24%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約7%~約23%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約8%~約22%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約9%~約21%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約10%~約20%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約11%~約19%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約12%~約18%増加する。いくつかの態様では、対象の駆出率は約13%~約17%増加する。
【0111】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象の駆出率は少なくとも約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%もしくは約50%、または先行する値のいずれかの間の間隔だけ増加する。
【0112】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、対象(例えば、HFrEFを有する対象)の左心室の血液量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビベグロンを投与される前の対象の血液量と比較して増加または改善される。特定の態様では、対象(例えば、HFrEFを有する対象)の血液量の増加または改善が、対象の左心室の一回拍出量によって測定される。いくつかの態様では、対象(例えば、HFrEFを有する対象)の左心室の一回拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する。
【0113】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象の左心室の一回拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約2μL~約25μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約24μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約23μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約22μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約21μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約20μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約19μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約18μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約17μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約16μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約15μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約14μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約13μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約12μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約11μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約10μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約9μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約8μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約2μL~約5μL増加する。
【0114】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、一回拍出量が約10μL~約25μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約11μL~約24μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約12μL~約23μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約13μL~約22μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約14μL~約21μL増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が約15μL~約20μL増加する。いくつかの態様では、対象の左心室の一回拍出量が、少なくとも約2μL、約3μL、約4μL、約5μL、約6μL、約7μL、約8μL、約9μL、約10μL、約11μL、約12μL、約13μL、約14μL、約15μL、約16μL、約17μL、約18μL、約19μL、約20μL、約25μL、約30μL、約35μL、約40μL、約45μLもしくは約50μL増加するか、または先行する値のいずれかの間の間隔だけ増加する。
【0115】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象の左心室の一回拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約1%~約100%増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が、ビベグロンを受けていない対象と比較して約5%~約95%増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が、ビベグロンを受けていない対象と比較して約10%~約90%増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が、ビベグロンを受けていない対象と比較して約15%~約85%増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が、ビベグロンを受けていない対象と比較して約20%~約80%増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が、ビベグロンを受けていない対象と比較して約25%~約75%増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が、ビベグロンを受けていない対象と比較して約30%~約70%増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が、ビベグロンを受けていない対象と比較して約30%~約65%増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が、ビベグロンを受けていない対象と比較して約35%~約65%増加する。いくつかの態様では、一回拍出量が、ビベグロンを受けていない対象と比較して約40%~約60%増加する。
【0116】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、一回拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約90%、約95%もしくは約100%増加するか、または先行する値のいずれかの間の間隔だけ増加する。
【0117】
本明細書に記載の方法の特定の態様では、対象(例えば、HFrEFを有する対象)の血液量の増加または改善が心拍出量によって測定される。いくつかの態様では、対象(例えば、HFrEFを有する対象)の心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する。
【0118】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象の心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約2mL/分~約20mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約19mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約18mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約17mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約16mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約15mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約14mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約14mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約13mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約12mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約11mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約10mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約9mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約8mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約7mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約6mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約5mL/分増加する。
【0119】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象の心拍出量は約2mL/分~約15mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約3mL/分~約14mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約4mL/分~約13mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約5mL/分~約12mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約6mL/分~約11mL/分増加する。いくつかの態様では、対象の心拍出量は約7mL/分~約10mL/分増加する。
【0120】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象の心拍出量は、少なくとも約2mL/分、約3mL/分、約4mL/分、約5mL/分、約6mL/分、約7mL/分、約8mL/分、約9mL/分、約10mL/分、約11mL/分、約12mL/分、約13mL/分、約14mL/分、約15mL/分、約20mL/分、約25mL/分、約30mL/分、約35mL/分、約40mL/分、約45mL/分もしくは約50mL/分、または先行する値のいずれかの間の間隔だけ増加する。
【0121】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、対象の左心室の心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約1%~約100%増加する。いくつかの態様では、心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約5%~約95%増加する。いくつかの態様では、心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約10%~約90%増加する。いくつかの態様では、心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約15%~約85%増加する。いくつかの態様では、心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約20%~約80%増加する。いくつかの態様では、心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約25%~約75%増加する。いくつかの態様では、心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約30%~約70%増加する。いくつかの態様では、心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約30%~約65%増加する。いくつかの態様では、心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約35%~約65%増加する。いくつかの態様では、心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約40%~約60%増加する。
【0122】
本明細書に記載の方法のいくつかの態様では、心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約90%、約95%もしくは約100%増加するか、または先行する値のいずれかの間の間隔だけ増加する。
【0123】
特定の態様では、本開示の方法は、前記対象に第2の治療薬を投与することをさらに含み得る。特定の態様では、第2の治療薬は、抗高リポタンパク血症薬、抗動脈硬化薬、抗血栓・線溶薬、血液凝固薬、抗不整脈薬、降圧薬、昇圧薬、利尿薬、スタチン、抗血小板薬、SGLT2阻害薬、うっ血性心不全治療薬、抗狭心症薬、抗菌薬、レニン・アンジオテンシン系(RAS)遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA)、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体遮断薬、ネプリライシン阻害薬アンタゴニスト(「ARNI」とも呼ばれる)、アルファ-2受容体アゴニスト、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの態様では、抗高リポタンパク血症薬は、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチンなどのHMG-CoA還元酵素阻害剤、またはエゼチミブ、フィブリン酸誘導体、ナイアシン、胆汁酸封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラムなど)などの他の薬剤から選択される。いくつかの態様では、血液凝固薬は、アプロチニン、トラネキサム酸、イプシロン-アミノカプロン酸、またはアミノメチル安息香酸から選択される。いくつかの態様では、抗不整脈薬は、アミオダロン、フレカイニド、イブチリド、リドカイン、プロカインアミド、プロパフェノン、キニジン、またはトカイニドから選択される。いくつかの態様では、降圧薬は、フロセミド、ブメタニド、アミロリドヒドララジン、ミノキシジル、スピロノラクトン、クロニジン、またはメチルドーパから選択される。いくつかの態様では、昇圧薬は、ノルエピネフリン、エピネフリン、バソプレシン、ドーパミン、フェニレフリン、またはドブタミンから選択される。いくつかの態様では、利尿薬は、クロルタリドン、ヒドロクロチアジド、メトラゾン、インダパミド、ブメタニド、エタクリン酸、またはフロセミドから選択される。いくつかの態様では、スタチンは、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、またはシンバスタチンから選択される。いくつかの態様では、抗血小板薬は、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジン、チカグレロル、プラスグレル、またはカングレロルから選択される。いくつかの態様では、SGLT2阻害薬は、カナグリフロジン、ダパグリフロジン、オレンパグリフロジンから選択される。いくつかの態様では、抗狭心症薬は、二硝酸イソソルビド、一硝酸イソソルビド、またはニトログリセリンなどの硝酸塩;ジルチアゼム、ニフェジピン、ニモジピン、またはベラパミルなどのカルシウムアンタゴニスト;アテノロール、ピンドロール、プロプラノロール、またはメトプロロールなどのベータ遮断薬、またはラノラジンから選択される。いくつかの態様では、レニン・アンジオテンシン系(RAS)遮断薬は、カプトプリル、イミダプリル、ゾフェノプリル、カンデサルタン、デラプリル、テルミサルタン、アリスキレン、またはモエキシプリルから選択される。いくつかの態様では、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA)は、スピロノラクトンまたはエプレレノンから選択される。いくつかの態様では、ACE阻害薬は、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、モエキシプリル、ペリンドプリル、またはキナプリルから選択される。いくつかの態様では、アンジオテンシン受容体遮断薬は、アジルサルタン、カンデサルタン、エプロサルタン、イルベサルタン、ロサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン、またはバルサルタンから選択される。いくつかの態様では、ネプリライシン阻害薬アンタゴニストは、サクビトリル/バルサルタンから選択される。いくつかの態様では、アルファ-2受容体アゴニストは、グアナベンズ、グアンファシン、クロニジン、チザニジン、メデトミジン、またはデクスメデトミジンから選択される。本明細書に記載される方法において使用するためのさらなる第2の治療薬は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれ、毎年更新されるPhysician’s Desk Referenceに記載されており、例えば、上記の薬剤を同定している。
【0124】
いくつかの態様では、HFrEFを処置するための本開示の方法は、以下の第2の治療薬のうちの1つ以上を投与することをさらに含む:利尿薬、RAS遮断薬、ベータ遮断薬、および/またはMRA、スタチン、抗血小板療法、SGLT2阻害薬、またはそれらの組み合わせ。
【0125】
いくつかの態様では、HFrEFを処置するための本開示の方法は、以下の第2の治療薬のうちの1つ以上を投与することをさらに含む:アンジオテンシン受容体遮断薬-ネプリライシン阻害薬アンタゴニスト(「ARNI」とも呼ばれる)、ベータ遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬、またはそれらの組み合わせ。いくつかの態様では、HFrEFを処置するための本開示の方法は、ARNI、ベータ遮断薬、MRA、およびSGLT2阻害薬のそれぞれを投与することをさらに含む。
【0126】
いくつかの態様では、HFrEFを処置するための本開示の方法は、以下の第2の治療薬のうちの1つ以上を投与することをさらに含む:アンジオテンシン受容体遮断薬-ネプリライシン阻害薬アンタゴニスト(「ARNI」とも呼ばれる)、ベータ遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬、ACE阻害薬、またはそれらの組み合わせ。いくつかの態様では、HFrEFを処置するための本開示の方法は、ARNI、ベータ遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬、およびACE阻害薬のそれぞれを投与することをさらに含む。
【0127】
いくつかの態様では、HFpEFを処置するための本開示の方法は、以下の第2の治療薬のうちの1つ以上を投与することをさらに含む:利尿薬、RAS遮断薬、SGLT2阻害薬、MRA、降圧薬、またはそれらの組み合わせ。
【0128】
いくつかの態様では、HFpEFを処置するための本開示の方法は、以下の第2の治療薬のうちの1つ以上を投与することをさらに含む:1つ以上の利尿薬、降圧薬、SGLT2阻害薬、またはそれらの組み合わせ。いくつかの態様では、HFpEFを処置するための本開示の方法は、1つ以上の利尿剤、降圧薬、およびSGLT2阻害薬のそれぞれを投与することをさらに含む。いくつかの態様では、1つ以上の利尿薬はラシックス(Lasix)を含む。
【0129】
医薬単位用量組成物
いくつかの態様において、本開示はビベグロンを含む組成物を提供する。特定の態様において、組成物はビベグロンを含むことができ、経口投与(経鼻胃管を含む)、膀胱内投与、直腸投与、局所投与、非経口投与(皮下投与、筋肉内投与、および静脈内投与を含む)、肺投与(鼻吸入または口腔吸入)、または経鼻投与に適した形態であり得る。どのような場合でも、最も適切なルートは、処置される状態の性質および重症度によって異なる。組成物は、単位剤形で都合よく提供され、薬学の分野で周知の方法のいずれかによって調製され得る。
【0130】
特定の態様において、本開示は、本明細書に開示されるビベグロンの用量を含む、経口投与に適した医薬単位用量組成物を提供する。経口剤形には、例えば、液体製剤、錠剤、カプセル、およびゲルキャップなどの形態が含まれることが当業者には認識されている。いくつかの態様では、単位用量組成物は、錠剤およびカプセルなどの固体剤形である。いくつかの態様では、単位用量組成物は錠剤である。
【0131】
薬学的に許容される賦形剤は、乳糖、微結晶セルロース、デンプン、炭酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、コロイド状二酸化ケイ素、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロースなど、一般に安全であると認められている賦形剤である。いくつかの態様では、本明細書に開示される医薬単位用量組成物は、希釈剤、崩壊剤、結合剤、および滑沢剤を含む。一般に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるRemington’s Pharmaceutical Sciences、第20版、Mack Publishing、イーストン、ペンシルベニア州(2000年)を参照されたい。
【0132】
いくつかの態様において、本明細書に開示される医薬単位用量組成物は、マンニトール、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、およびステアリン酸マグネシウムを含む。
【0133】
経口剤形は、標準的な医薬品製造技術によって調製することができる。そのような技術には、例えば、湿式造粒、湿式粉砕、流動床乾燥、乾式粉砕、潤滑、打錠、および水性フィルムコーティングが含まれる。
【0134】
他のさまざまな材料が、コーティングとして、または投与単位の物理的形態を改変するために存在してもよい。例えば、錠剤は、シェラック、砂糖、またはその両方でコーティングされていてもよい。シロップまたはエリキシルには、有効成分に加えて、甘味料としてスクロース、防腐剤としてメチルパラベンおよびプロピルパラベン、色素、およびチェリーフレーバーまたはオレンジフレーバーなどの香料が含まれることがある。
【0135】
いくつかの態様において、本明細書に記載の組成物は非経口的に投与することができる。これらの活性化合物の溶液または懸濁液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と適切に混合した水中で調製することができる。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、および油中のそれらの混合物中で調製することもできる。通常の保存および使用条件下では、これらの製剤には微生物の増殖を防ぐための防腐剤が含まれる。
【0136】
いくつかの態様では、注射使用に適した医薬形態には、無菌水溶液または分散液、および無菌注射用溶液または分散液を即時調製するための無菌粉末が含まれる。いずれの場合も、形態は無菌でなければならず、容易に注射できる程度に流動性がなければならない。また、製造および保存の条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、それらの適切な混合物、および植物油を含む溶媒または分散媒体であり得る。
【0137】
表皮への局所投与の場合、ビベグロンは軟膏、クリーム、ローション、または経皮パッチとして製剤化され得る。軟膏およびクリームは、例えば、水性または油性の基剤に適切な増粘剤および/またはゲル化剤を加えて製剤化され得る。
【0138】
口腔内への局所投与に適した製剤には、風味基剤(通常はスクロースとアカシアまたはトラガカント)にビベグロンを含む口内錠;ゼラチンとグリセリンまたはスクロースとアカシアなどの不活性基剤中にビベグロンを含むトローチ;および適切な液体担体中にビベグロンを含む洗口剤が含まれる。
【0139】
溶液または懸濁液は、従来の手段により鼻腔に直接適用される。スプレーの場合、これは例えば定量噴霧スプレーポンプによって達成され得る。
【0140】
気道への投与は、ビベグロンが適切な噴射剤とともに加圧パックで提供されるエアロゾル製剤によっても達成され得る。組成物がエアロゾルとして、例えば鼻エアロゾルとして、または吸入によって投与される場合、これは、例えばスプレー、ネブライザー、ポンプネブライザー、吸入装置、定量吸入器、または乾燥粉末吸入器を使用して実施することができる。
【0141】
特定の態様では、ビベグロンは、本明細書に記載の心不全の処置/予防/抑制または改善に使用される他の薬剤と組み合わせて使用され得る。このような他の薬剤は、ビベグロンと同時にまたは逐次的に、一般的に使用される経路および量で投与され得る。ビベグロンが1つ以上の他の薬剤と同時に使用される場合、そのような他の薬剤を含む医薬単位剤形は本開示の範囲内である。したがって、本開示の医薬組成物には、ビベグロンに加えて上述した1つ以上の他の有効成分も含有するものが含まれる。
【0142】
いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、約1mg~約1000mgのビベグロンを含む。いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、約2mg~約1000mg、約3mg~約1000mg、約4mg~約1000mg、約5mg~約1000mg、約10mg~約1000mg、約15mg~約1000mg、約20mg~約1000mg、約25mg~約1000mg、約30mg~約1000mg、約40mg~約1000mg、約50mg~約1000mg、約60mg~約1000mg、約70mg~約1000mg、約80mg~約1000mg、約90mg~約1000mg、約100mg~約1000mg、約150mg~約1000mg、約200mg~約1000mg、約250mg~約1000mg、約300mg~約1000mg、約350mg~約1000mg、約400mg~約1000mg、約450mg~約1000mg、約500mg~約1000mg、約550mg~約1000mg、約600mg~約1000mg、約650mg~約1000mg、約700mg~約1000mg、約750mg~約1000mg、約800mg~約1000mg、約850mg~約1000mg、約900mg~約1000mg、または約950mg~約1000mgのビベグロンを含む。
【0143】
いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、25mg~500mgのビベグロンを含む。いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、約25mg~約450mg、約25mg~約400mg、約25mg~約350mg、約25mg~約300mg、約25mg~約250mg、約25mg~約200mg、約25mg~約150mg、約30mg~約145mg、約35mg~約140mg、約40mg~約135mg、約45mg~約130mg、約50mg~約125mg、約55mg~約120mg、約60mg~約115mg、約65mg~約110mg、約70mg~約105mg、約75mg~約100mg、約80mg~約95mg、または約85mg~約90mgのビベグロンを含む。
【0144】
いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、約55mg~約100mg、約60mg~約100mg、約65mg~約100mg、約70mg~約100mg、約75mg~約100mg、約80mg~約100mg、約85mg~約100mg、約90mg~約100mg、または約95mg~約100mgのビベグロンを含む。
【0145】
いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、約60mg~約90mg、約65mg~約85mg、または約70mg~約80mgのビベグロンを含む。いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、50mg~100mg、60mg~90mg、65mg~85mg、または70mg~80mgのビベグロンを含む。
【0146】
いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、約45mg~約600mg、約45mg~約450mg、または約45mg~約300mgのビベグロンを含む。いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、約50mg~約600mg、約50mg~約450mg、または約50mg~約300mgのビベグロンを含む。
【0147】
いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、約25mg、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、約90mg、約95mg、約100mg、約105mg、約110mg、約115mg、約120mg、約125mg、約130mg、約135mg、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、約160mg、約165mg、約170mg、約175mg、約180mg、約185mg、約185mg、約190mg、約195mg、約200mg、約225mg、約250mg、約275mg、約300mg、約325mg、約350mg、約375mg、約400mg、約450mg、または約500mgのビベグロンを含む。いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、約50mgのビベグロンを含む。いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、50mgのビベグロンを含む。いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、約75mgのビベグロンを含む。いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、75mgのビベグロンを含む。いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、約100mgのビベグロンを含む。いくつかの態様では、本開示の医薬単位用量組成物は、100mgのビベグロンを含む。
【0148】
いくつかの態様において、本開示は、本明細書に開示されるビベグロンの用量を含む医薬単位用量組成物を提供し、当該組成物は、限定されるものではないが、投与説明書とともに容器、パック、ディスペンサー、またはそれらの組み合わせに含まれる。
【0149】
本開示はまた、以下を提供する。
【0150】
(1)それを必要とする対象の駆出率保存型心不全(heart failure with preserved ejection fraction(HFpEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を処置または予防する際の使用のためのビベグロン、ここで、治療有効量のビベグロンが前記対象に投与される。
【0151】
(2)前記対象は、約40%超の左心室駆出率を有する、(1)に記載の使用のためのビベグロン。
【0152】
(3)前記対象は、約50%超の左心室駆出率を有する、(1)または(2)に記載の使用のためのビベグロン。
【0153】
(4)ビベグロンの前記治療有効量が1日あたり約90mg~約450mgである、(1)~(3)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0154】
(5)ビベグロンの前記治療有効量が1日当たり約100mg~約400mgである、(4)に記載の使用のためのビベグロン。
【0155】
(6)ビベグロンの前記治療有効量が1日あたり約100mg~約200mgである、(5)に記載の使用のためのビベグロン。
【0156】
(7)第2の治療薬が前記対象に投与される、(1)~(6)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0157】
(8)前記第2の治療薬が、抗高リポタンパク血症薬、抗動脈硬化薬、抗血栓・線溶薬、血液凝固薬、抗不整脈薬、降圧薬、昇圧薬、利尿薬、スタチン、抗血小板薬、SGLT2阻害薬、うっ血性心不全治療薬、抗狭心症薬、抗菌薬、レニン・アンジオテンシン系(RAS)遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA)、ACE阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、アルファ-2受容体アゴニスト、およびそれらの組み合わせから選択される、(7)に記載の使用のためのビベグロン。
【0158】
(9)前記ビベグロンが経口投与される、(1)~(8)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0159】
(10)前記ビベグロンが静脈内投与される、(1)~(9)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0160】
(11)ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい収縮期血圧の最大平均変化を経験する、(1)~(10)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0161】
(12)ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約1.5mmHg~約4.0mmHg小さい収縮期血圧の最大平均変化の増加を経験する、(1)~(11)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0162】
(13)ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい収縮期血圧の平均24時間変化を経験する、(1)~(12)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0163】
(14)ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約1.0mmHg~約10.0mmHg小さい収縮期血圧の平均24時間変化の増加を経験する、(1)~(13)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0164】
(15)ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい心拍数の最大上昇を経験する、(1)~(14)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0165】
(16)ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約2bpm~約14bpm小さい心拍数の最大平均上昇の増加を経験する、(1)~(15)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0166】
(17)ミラベグロンの前記治療有効量が約50mg~約300mgである、(11)~(16)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0167】
(18)前記処置することが、HFpEFの進行を停止すること、HFpEFに関連する1つ以上の症状を軽減すること、またはその両方を含む、(1)~(17)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0168】
(19)それを必要とする対象の駆出率低下型心不全(heart failure with reduced ejection fraction(HFrEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を処置または予防する際の使用のためのビベグロン、ここで、治療有効量のビベグロンが前記対象に投与される。
【0169】
(20)前記対象は、約50%未満の左心室駆出率を有する、(19)に記載の使用のためのビベグロン。
【0170】
(21)前記対象は、約40%未満の左心室駆出率を有する、(19)または(20)に記載の使用のためのビベグロン。
【0171】
(22)ビベグロンの前記治療有効量が約90mg~約450mgである、(19)~(21)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0172】
(23)ビベグロンの前記治療有効量が1日当たり約100mg~約400mgである、(22)に記載の使用のためのビベグロン。
【0173】
(24)ビベグロンの前記治療有効量が1日当たり約100mg~約200mgである、(23)に記載の使用のためのビベグロン。
【0174】
(25)第2の治療薬が前記対象に投与される、(19)~(24)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0175】
(26)前記第2の治療薬が、抗高リポタンパク血症薬、抗動脈硬化薬、抗血栓・線溶薬、血液凝固薬、抗不整脈薬、降圧薬、昇圧薬、利尿薬、スタチン、抗血小板薬、SGLT2阻害薬、うっ血性心不全治療薬、抗狭心症薬、抗菌薬、レニン・アンジオテンシン系(RAS)遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA)、ACE阻害薬、カルシウムチャネル遮断薬、アルファ-2受容体アゴニスト、およびそれらの組み合わせから選択される、(25)に記載の使用のためのビベグロン。
【0176】
(27)前記ビベグロンが経口投与される、(19)~(26)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0177】
(28)前記ビベグロンが静脈内投与される、(19)~(26)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0178】
(29)ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい収縮期血圧の最大平均変化を経験する、(19)~(28)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0179】
(30)ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約1.5mmHg~約4.0mmHg小さい収縮期血圧の最大平均変化の増加を経験する、(19)~(29)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0180】
(31)ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい収縮期血圧の平均24時間変化を経験する、(19)~(30)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0181】
(32)ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約1.0mmHg~約10.0mmHg小さい収縮期血圧の平均24時間変化の増加を経験する、(19)~(31)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0182】
(33)ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも小さい心拍数の最大上昇を経験する、(19)~(32)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0183】
(34)ビベグロンを投与された前記対象は、治療有効量のミラベグロンを投与された対象よりも約2bpm~約14bpm小さい心拍数の最大平均上昇の増加を経験する、(19)~(33)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0184】
(35)ミラベグロンの前記治療有効量が約50mg~約300mgである、(30)~(34)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0185】
(36)前記処置することが、HFrEFの進行を停止すること、HFrEFに関連する1つ以上の症状を軽減すること、またはその両方を含む、(19)~(35)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0186】
(37)ビベグロンが1日1回投与される、(1)~(36)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0187】
(38)ビベグロンが食事とともに投与される、(37)に記載の使用のためのビベグロン。
【0188】
(39)ビベグロンが食事なしで投与される、(38)に記載の使用のためのビベグロン。
【0189】
(40)ビベグロンが遊離塩基として投与される、(1)~(39)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0190】
(41)ビベグロンがその薬学的に許容される塩として投与される、(1)~(39)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0191】
(42)前記対象の収縮機能が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビベグロンを投与される前の前記対象の収縮機能と比較して増加または改善される、(1)~(41)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0192】
(43)前記対象の収縮機能の前記増加または改善が短縮率によって測定される、(42)に記載の使用のためのビベグロン。
【0193】
(43)に記載の使用のためのビベグロン。
(44)前記対象の短縮率が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する、(43)に記載の使用のためのビベグロン。
【0194】
(45)前記対象の短縮率が、ビベグロンを投与されていない対象よりも約2%~約15%増加する、(44)に記載の使用のためのビベグロン。
【0195】
(46)前記対象の短縮率が、ビベグロンを投与されていない対象よりも約5%~約10%増加する、(45)に記載の使用のためのビベグロン。
【0196】
(47)前記対象の収縮機能の前記増加または改善が駆出率によって測定される、(42)に記載の使用のためのビベグロン。
【0197】
(48)前記対象の駆出率が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する、(47)に記載の使用のためのビベグロン。
【0198】
(49)前記対象の駆出率が、ビベグロンを投与されていない対象よりも約2%~約20%増加する、(48)に記載の使用のためのビベグロン。
【0199】
(50)前記対象の駆出率が、ビベグロンを投与されていない対象よりも約10%~約20%増加する、(49)に記載の使用のためのビベグロン。
【0200】
(51)前記対象の左心室の血液量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビベグロンを投与される前の前記対象の収縮機能と比較して増加または改善される、(1)~(50)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0201】
(52)前記対象の血液量の前記増加または改善が、前記対象の左心室の一回拍出量によって測定される、(51)に記載の使用のためのビベグロン。
【0202】
(53)前記対象の左心室の一回拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する、(52)に記載の使用のためのビベグロン。
【0203】
(54)前記対象の左心室の前記一回拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約25%~約75%増加する、(53)に記載の使用のためのビベグロン。
【0204】
(55)前記対象の左心室の前記一回拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約30%~約65%増加する、(54)に記載の使用のためのビベグロン。
【0205】
(56)前記対象の血液量の前記増加または改善が心拍出量によって測定される、(49)に記載の使用のためのビベグロン。
【0206】
(57)前記対象の心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して増加する、(56)に記載の使用のためのビベグロン。
【0207】
(58)前記対象の心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約25%~約75%増加する、(57)に記載の使用のためのビベグロン。
【0208】
(59)前記対象の心拍出量が、ビベグロンを投与されていない対象と比較して約30%~約65%増加する、(58)に記載の使用のためのビベグロン。
【0209】
(60)ビベグロンは、約4週間、約3週間、または約2週間の作用発現を有する、(1)~(59)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0210】
(61)ビベグロンは、約2週間以内の作用発現を有する、(60)に記載の使用のためのビベグロン。
【0211】
(63)前記対象は、ビベグロンを投与されていない対象と比較して、またはビグロンを投与される前の前記対象の経験と比較して、入院期間の短縮、入院間の日数の増加、入院リスクの低下、最初の入院までの期間の増加、および入院回数の減少のうちの1つ以上を経験する、(1)~(61)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0212】
(63)それを必要とする対象においてβ-アドレナリン受容体をアゴナイズする際の使用のためのビベグロン、ここで、治療有効量のビベグロンが、β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする、β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする、またはβ-アドレナリン受容体とβ-アドレナリン受容体の両方をアンタゴナイズする治療有効量の治療薬と組み合わせて、前記対象に投与される。
【0213】
(64)それを必要とする対象において、β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする、β-アドレナリン受容体をアンタゴナイズする、またはβ-アドレナリン受容体とβ-アドレナリン受容体の両方をアンタゴナイズする際の使用のための治療薬、ここで、治療有効量の前記治療薬が治療有効量のビベグロンと組み合わせて前記対象に投与される。
【0214】
(65)それを必要とする対象において、β-アドレナリン受容体をアゴナイズする際の使用のためのビベグロンと、β-アドレナリン受容体、β-アドレナリン受容体、またはβ-アドレナリン受容体およびβ-アドレナリン受容体の両方をアンタゴナイズする際の使用のための治療薬、ここで、治療有効量のビベグロンと治療有効量の前記治療薬の組み合わせが前記対象に投与される。
【0215】
(66)それを必要とする対象においてβ-アドレナリン受容体をアゴナイズする際の使用のためのビベグロン、ここで、治療有効量のビベグロンが前記対象に投与される。
【0216】
(67)前記対象は、心不全、その1つ以上の症状、またはその両方を患っている、(63)~(66)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0217】
(68)前記対象は、駆出率保存型心不全(heart failure with preserved ejection fraction(HFpEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を有する、(63)~(67)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0218】
(69)前記対象は、駆出率低下型心不全(heart failure with reduced ejection fraction(HFrEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を有する、(63)~(67)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0219】
(70)前記対象は、ミッドレンジ駆出率型心不全(heart failure with mid-range ejection fraction(HFmrEF))、その1つ以上の症状、またはその両方を有する、(63)~(67)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0220】
(71)前記β-アドレナリン受容体をアゴナイズすることが、前記対象の心血管系におけるβ-アドレナリン受容体をアゴナイズすることを含む、(63)~(70)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0221】
(72)前記β-アドレナリン受容体をアゴナイズすることが、前記対象の心筋におけるβ-アドレナリン受容体をアゴナイズすることを含む、(63)~(71)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0222】
(73)前記ビベグロンが経口投与される、(63)~(72)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0223】
(74)前記ビベグロンが静脈内投与される、(63)~(72)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0224】
(75)ビベグロンの前記治療有効量が1日当たり約50mg~約450mgである、(63)~(74)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0225】
(76)ビベグロンの前記治療有効量が1日当たり約50mg~約300mgである、(75)に記載の使用のためのビベグロン。
【0226】
(77)ビベグロンの前記治療有効量が1日当たり約100mg~約200mgである、(76)に記載の使用のためのビベグロン。
【0227】
(78)第2の治療薬が前記対象に投与される、(63)~(77)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0228】
(79)前記第2の治療薬が、抗高リポタンパク血症薬、抗動脈硬化薬、抗血栓・線溶薬、血液凝固薬、抗不整脈薬、降圧薬、昇圧薬、利尿薬、スタチン、抗血小板薬、SGLT2阻害薬、うっ血性心不全治療薬、抗狭心症薬、抗菌薬、レニン・アンジオテンシン系(RAS)遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト(MRA)、ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体遮断薬、ネプリライシン阻害薬アンタゴニスト、アルファ-2受容体アゴニスト、およびそれらの組み合わせから選択される、(78)に記載の使用のためのビベグロン。
【0229】
(80)ビベグロンが1日1回投与される、(63)~(79)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0230】
(81)ビベグロンが食事とともに投与される、(80)に記載の使用のためのビベグロン。
【0231】
(82)ビベグロンが食事なしで投与される、(80)に記載の使用のためのビベグロン。
【0232】
(83)ビベグロンが遊離塩基として投与される、(63)~(82)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0233】
(84)ビベグロンがその薬学的に許容される塩として投与される、(63)~(82)のいずれかに記載の使用のためのビベグロン。
【0234】
本明細書に記載される態様を、以下に示す実施例を参照してさらに詳しく説明する。これらの実施例は、説明のみを目的として提供されており、本明細書に記載される態様は、決してこれらの実施例に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの態様は、本明細書で提供される教示の結果として明らかとなるあらゆる変形を包含するものと解釈されるべきである。
【実施例
【0235】
例1:β-アドレナリン受容体に対するビベグロンとミラベグロンの選択性および最大応答
【0236】
β-アドレナリン受容体に対するビベグロンおよびミラベグロンの効力および最大効果と、各β-アドレナリン作動性受容体に対する選択性が決定された。ビベグロンおよびミラベグロン活性に関する細胞機能アッセイは、β-ARまたはβ-AR発現するチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞と、β-ARを発現するヒト胎児腎臓(HEK)293細胞を用いて実施された。細胞をビベグロン、ミラベグロン、または適切なコントロール(βおよびβにはイソプロテレノール、βにはプロカテロール)とともにインキュベートした。応答は、環状アデノシン一リン酸の均一な時間分解蛍光を用いて定量化された。最大半値有効濃度(EC50)および最大応答(Emax)の値は、非線形最小二乗回帰分析によって決定された。
【0237】
HEK293細胞をビベグロンまたはミラベグロンで処理すると、β-ARにおける濃度依存的な応答が生じた(図1)。β-ARにおける平均(SEM)EC50値は、ビベグロンについては2.13(0.25)nM、ミラベグロンについては10.0(0.56)nMであった。10μMの濃度では、イソプロテレノールに対するβ-アドレナリン活性はビベグロンで104%、ミラベグロンで88%であった。CHO細胞では、β-アドレナリン活性はビベグロンとミラベグロンでそれぞれ0%と3%であり、β-アドレナリン活性はビベグロンとミラベグロンでそれぞれ2%と15%であった。β-ARにおけるビベグロンおよびミラベグロンのEmaxは、ビベグロンおよびミラベグロンについてそれぞれ99.2%および80.4%と見積もられた。
【0238】
表1は、完全アゴニストコントロールであるイソプロテレノール(βおよびβ)およびプロカテロール(β)と比較した、β-、β-、およびβ-アドレナリン受容体における平均アゴニスト活性を示している。表に示すように、測定可能なβアゴニスト活性と若干のβアゴニスト活性を示したミラベグロンに比べて、ビベグロンは測定可能なβアゴニスト活性を示さず、βアゴニスト活性も低かった。ビベグロンもミラベグロンも、予想通り、β-ARに対して有意なアゴニスト活性を示した。しかし、ビベグロンはほぼ排他的なβ活性を示し、β-ARの活性化においてミラベグロンより約5倍強力であった(β-ARにおける平均EC50値は、ビベグロンで2.13nM、ミラベグロンで10.0nM)。ビベグロンはまた、より高い最大β応答を示し、ほぼ100%であった。
【0239】
【表1】
【0240】
特定の理論に束縛されるものではないが、β-3アドレナリン受容体に対するビベグロンの優れた選択性は、それが心不全の処置に有効である可能性があることを示唆している。
【0241】
例2:マウスの心筋梗塞(MI)後慢性心不全(HF)に対するビベグロンの効果
【0242】
この実験の目的は、心筋梗塞(MI)後の慢性HFのマウスにおける構造リモデリング(例:肥大および/または線維症)および機能リモデリング(例:心室機能)に対するビベグロンの効果を検討することである。これらの研究の具体的な目的は、MI後のマウスの非侵襲的、侵襲的、形態学的および組織学的評価を用いて心臓の構造および機能のパラメータを測定することにより、心臓リモデリングに対する用量応答処置効果を明らかにすることである。
【0243】
マウスの心筋梗塞は、慢性虚血性心不全の実験モデルとしてよく使用されている。左冠状動脈前下行枝が完全に結紮されているため、大きな左心室梗塞が発生し、MI後2週間以内に有害なLVリモデリングと重大な機能不全が生じる。このモデルでは線維症も顕著であり、頑健で再現性が高く、外科的処置による死亡率も低い。このモデルは20年以上使用されており(例えば、Gao, E.ら、Circulation Research、2010年;107:1445-1453頁を参照)、潜在的な新規HF治療薬を試験するのに使用されてきた(Schumacher, S.ら、Science Translational Medicine、2015年;7:277頁)。
【0244】
10~12週齢のC57B/6野生型マウスに心筋梗塞を誘発し、2週間後に心エコー図を用いて各マウスの心筋梗塞の重症度を評価した。マウスは、誘発された梗塞の類似性および重症度に基づいて処置のために無作為化された。適切な用量で満たされ、各動物の背中の肩甲骨領域の皮下に埋め込まれたミニポンプ(Azlet社製)を2週間使用する連続注入によってビベグロンまたはビヒクルのいずれか(1~3用量)をマウスに投与することから開始した。2週間の時点で同じ場所でミニポンプを新しいミニポンプと交換し、合計4週間投与を行った。心機能は、0、2、4および6週間目に心エコー検査(Echo)によって評価した。一部のマウスには末端カテーテル挿入を行い。血行動態圧とアドレナリン作動性反応性を測定した。4週間の処置期間の終わり(すなわち、MIが誘発されてから6週間後)に、心機能を測定し、心臓の組織検査のためにマウスを犠牲にし、終末血を採取してビベグロンの血清濃度を確認した。
【0245】
ビヒクルおよび最高用量のビベグロンで処置した偽手術群がコントロールとして含まれた。ビヒクルで処置した心筋梗塞後マウスの1群もコントロールとして研究に組み入れた。6つの条件について2つのグループ分けを行い、複数の反復を可能にした。各グループには1条件につき7~8匹のマウスがいた。試験した2つのグループは3~4週間ずらした。
【0246】
特定のプロトコル
【0247】
まず、10匹~20匹のマウスを1週間、浸透圧ポンプにビベグロンを入れて試験し、特定の緩衝液でポンプから放出される血清濃度を測定した。
【0248】
この時点で、6つの実験条件(以下のA~F)×2グループ(再現性のために時間差で)が試験された。ビベグロンは溶解した形で提供され、マウスの皮膚の下に配置された浸透圧ミニポンプを介して送達された。ビヒクルはネガティブコントロール動物に使用した。ビベグロンの3つの用量(低、中、高)を試験した。
【0249】
グループ1(1グループあたり7匹または8匹のマウス)
A.偽-ビヒクル
B.偽-ビベグロン(高用量)
C.MI-ビヒクル
D.MI-ビベグロン-低用量
E.MI-ビベグロン-中用量
F.MI-ビベグロン-高用量
【0250】
グループ2(1グループあたり7匹または8匹のマウス) - グループ1の3~4週間後に繰り返された。
A.偽-ビヒクル
B.偽-ビベグロン(高用量)
C.MI-ビヒクル
D.MI-ビベグロン-低用量
E.MI-ビベグロン-中用量
F.MI-ビベグロン-高用量
【0251】
スケジュール
1.0日目(1~2週間の環境順応後) - 手術前エコー
2.LAD結紮(MI)または偽処置を実施
3.14日目 - エコーと無作為グループ分け
4.14日目 - ビヒクルおよび薬剤の投与を4週間開始
5.28日目 - エコー(オペレーターはグループに対して盲検化) - ポンプを交換し、さらに2週間投与する
6.42日目 - エコー(オペレーターはグループに対して盲検化)
7.42日目 - 一部は血行動態とISO用量応答に使用し、すべての動物を犠牲にした。一部は組織学に使用し、一部はRNA/タンパク質分析に使用した。血清濃度を測定するため、犠牲となって時点で血液も採取した。
【0252】
方法
【0253】
手術方法:Gao, E.ら、Circulation Research, 2010年;107:1445-1453頁およびSchumacher, S.ら、Science Translational Medicine, 2015年;7:277頁に記載されているように、マウスに麻酔をかけ、胸部部分切開によりLADの完全結紮を行った。その後、マウスを回復させた。
【0254】
非侵襲的測定:心エコー検査は、動物およびヒトに広く使用されている非侵襲的、非放射性、無痛のイメージング技術である。これはソナーに似た原理で動作し、超音波を使用してマウスへのストレスを最小限に抑えながら内臓、特に心臓の2次元画像を作成する。これらのマウスMI研究では、マウスは上記のプロトコルに記載されているように連続心エコー検査を受けた。
【0255】
侵襲的測定:血行動態測定は、上記のプロトコルに記載されているように、研究の最後に行われた。ここでも、施設IACUCプロトコルに従って、マウスに麻酔をかけた;頸動脈を摘出し、Millar圧力カテーテルを挿入した。血行動態測定値が収集され、心機能が分析された。
【0256】
研究期間の終わりに、その後の化合物の分析のために血液サンプルが処理され、バイオマーカーが決定された。研究の終わりに、上記のように、心臓はホルマリンで保存されるか(切片作製および染色のため)、または瞬間凍結(心臓全体のRNA、DNA、およびタンパク質の単離のため)された。
【0257】
読み出し
心臓機能(研究終了時の心エコー検査および血行動態学的圧力測定):
ベースラインでの左心室圧とイソプロテレノール投与後の左心室圧
[心エコー検査:左心室(LV)質量、LVチャンバーサイズ、LV容積、駆出率(EF)および短縮率(FS)
収縮期動脈血圧
心拍数(HR)の決定
【0258】
心臓構造(形態学および組織学):
【0259】
心臓重量/体重または心臓重量/脛骨長、心臓形態(心室の長さとサイズ)、線維症、筋細胞サイズ、炎症
【0260】
収縮機能である短縮率(左心室壁の動き)と駆出率(収縮期に送り出される血液の割合)を測定し、結果を表2、ならびに、それぞれ図2Aおよび2Bに示す。この実験では、低用量は体重1キログラムあたり1ミリグラム(mg/kg)のビベグロンを指し、中用量は3mg/kg、高用量は10mg/kgを指す。ビヒクルはビベグロンを含まないブランク溶液を指し、偽は心筋梗塞(MI)を誘発しないが手術を再現したものを指す。
【0261】
【表2】
【0262】
表2および図2Aは、6週間にわたる短縮率(%)の変化を示している。その結果、心筋梗塞誘発後4週間(すなわち6週目)のビベグロン処置により、ビヒクル処置マウスと比較して、短縮率に用量依存的な相関が認められ、全体的な短縮率の改善も認められた。さらに、最高量のビベグロンを投与されたマウスは、4週目(すなわち、投与後2週目)で短縮率の改善を示した。
【0263】
表2および図2Bは、6週間にわたる駆出率(%)の変化を示す。その結果、心筋梗塞誘発後4週間のビベグロン処置により、ビヒクル処置マウスと比較して、駆出率の改善に用量依存的な相関が認められ、全体的な駆出率の改善も認められた。短縮率と同様に、最高量のビベグロンを投与されたマウスは、4週目(すなわち、投与後2週目)で駆出率の改善を示した。HFpEFでは短縮率の減少がみられるので(例えば、J.Cardiovasc.Pharmacol.vol.51,1,2008年1月、62-70頁を参照)、このデータはHFrEFとHFpEFの両方の処置におけるビベグロンの使用を支持するものである。
【0264】
短縮率と駆出率の両方について、高用量のビベグロンで処置した偽マウスとビヒクルのみの溶液で処置した偽マウスは、元のベースライン機能からの逸脱をほとんどまたは全く示さず、健康な心臓では手術またはビベグロンのいずれからも悪影響が引き起こされないことが示された。
【0265】
左心室の血液量は、一回拍出量(収縮期に送り出される血液のマイクロリットル(μl))と心拍出量(1分間に送り出される血液のミリリットル(mL/min))によって測定され、結果は表3とそれぞれ図3Aおよび3Bに示されている。図3Aおよび図3Bは、心筋梗塞誘発マウスにおけるビベグロン処置4週間後の一回拍出量および心拍出量の増加における用量依存的相関、ならびに、心筋梗塞誘発後4週間処置しても一回拍出量および心拍出量のいずれにも改善がみられなかったビヒクル処置マウスと比較した全体的な左心室血液量の増加を示している。さらに、最高量のビベグロンを投与されたマウスは、4週目(すなわち、投与後2週間目)で一回拍出量および心拍出量の改善を示した。4週目(すなわち投与2週間後)における一回拍出量および心拍出量の用量応答関係が実証された。一回拍出量と心拍出量はHFrEFとHFpEFの両方で低下するので、このデータはHFrEFとHFpEFの両方の処置におけるビベグロンの使用を支持するものである。
【0266】
【表3-1】
【表3-2】
【0267】
一回拍出量と心拍出量の両方について、高用量のビベグロンで処置した偽マウスとビヒクルのみの溶液で処置した偽マウスは、元のベースライン機能からの逸脱をほとんどまたは全く示さず、健康な心臓では手術またはビベグロンのいずれからも悪影響が引き起こされないことが示された。
【0268】
ビベグロンを組み合わせたイソプロテレノールの用量を増加させながら、左心室の収縮中の圧力変化の最大速度(dp/dt max)と、左心室の弛緩中の圧力変化の最小速度(dp/dt min)を測定した。結果をそれぞれ図4Aおよび4Bに示す。
【0269】
図4Aに示すように、ビベグロンによる処置後、収縮に伴う圧力変化の最大速度は増加し、ビベグロンが血流を改善したことを示している。同様の結果が図4Bにも見られ、ビベグロンによる処置が左心室の弛緩時の圧力変化の最小速度を減少させたことを示している。これらの結果は、ビベグロンによる処置が心筋梗塞誘発マウスの血流を改善することをさらに裏付けるものである。
【0270】
心臓血行動態の両方の測定値(図4Aおよび4B)において、効果は用量依存的であり、ビベグロンの用量が高いほど大きな改善がみられた。
【0271】
図4Cに示されるように、ビベグロンで処置した心筋梗塞誘発マウスは、イソプロテレノールの用量を増加させて処置すると、ビベグロンを投与しなかったマウスよりも高い心拍数の増加を示した。
【0272】
組織像は、染色時に4つのチャンバーがすべて見えるように、マウスの心臓を垂直に切開することによって得た。左心室腔の面積は、マッソントリクローム染色により測定した。結果を図5A-5Fに示す。濃い色は健康な心筋を示し、明るい色は梗塞心筋の最大の構成要素である結合組織を示す。図に示すように、ビヒグロンを投与されたマウスの心臓は、ビヒクルのみを投与されたマウスよりも濃い色の量が多く、このことはビグロンによる処置が梗塞後の健康な心筋の量を増加させることを示している。これらの結果は、表4ならびに図5Gおよび5Hに示すように定量化された。
【0273】
【表4】
【0274】
図5Gは、心筋梗塞後に増加するLV内腔の面積を、ビヒクルで処置したマウスと比較して、さまざまな量のビベグロンで処置したマウスにおいて示したものである。図に示すように、ビベグロンで処置したマウスは、ビヒクルで処置したマウスよりもLV内腔の量が少なかった。
【0275】
図5Hは、ビベグロンによる4週間の処置後の梗塞心筋のパーセンテージを示す。図に示すように、ビベグロンで処置したマウスは、ビヒクルで処置したマウスよりも梗塞心筋のパーセンテージが低かった。さらに、最高用量のビベグロンで処置したマウスは、どの処置マウスよりも梗塞心筋のパーセンテージが低かった。
【0276】
高用量のビベグロンで処置した偽マウスと、ビヒクルのみの溶液で処置した偽マウスは、LV内腔面積が最も小さく、梗塞心筋もなかったことから、健康な心臓では手術またはビベグロンのいずれからも悪影響が引き起こされないことが示された。
【0277】
心筋梗塞誘発後の4週間の処置後(すなわち6週目)に血漿力価を測定した。結果を図6に示す。結果は、4週間の処置後、マウス血漿中のビベグロンの存在が投与量と一致したことを示している。最低用量のビベグロンを投与されたマウスは、中用量および高用量を投与されたマウスよりもビベグロンの存在が低かった。予想通り、ビヒクル処置マウスは、血漿力価においてビベグロンの存在を示さなかった。
【0278】
例3:心不全患者におけるビベグロンの臨床研究
【0279】
この研究の目的は、現在標準治療を受けているクラスII-IIIのHF(ニューヨーク心臓協会(NYHA)基準による)と診断された患者における、ビベグロンによる処置の心臓への影響を検討することである。患者には毎日ビグロンが投与され、最大耐用量まで増量される。3か月後、次の結果が測定される:
短縮率の増加(心エコー図により測定);
バイオマーカーNT proBNPのレベルの減少;および
6分間の歩行距離の増加。
【0280】
HFrEF(LVEF約40%未満)、HFpEF(LVEF約50%超)、およびHFmrEF(LVEF40%~50%)の患者の転帰が比較される。
【0281】
結果が統計的に決定的でない場合、必要に応じて研究をさらに3か月間延長したり、追加の患者を追加したりすることができる。
【0282】
ここまで本発明を十分に説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲またはそのいかなる態様にも影響を及ぼすことなく、条件、処方、およびその他のパラメータの広範かつ同等の範囲内で同様のことを実施できることが理解されよう。
【0283】
本発明の他の態様は、本明細書および本明細書に開示された発明の実施態様を考慮すれば、当業者には明らかであろう。本明細書および実施例は例示的なものとしてのみ考慮されることを意図しており、本発明の真の範囲および精神は以下の特許請求の範囲によって示される。
【0284】
本明細書で引用されるすべての特許、特許出願、およびその他の刊行物は、その全体が参照により本明細書に完全に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】