(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】膨張可能な容器を含むエアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
A24F 40/40 20200101AFI20240405BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240405BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557160
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 EP2022060434
(87)【国際公開番号】W WO2022223628
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】モンティコネ,ピエール・パオロ
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC10
4B162AC12
4B162AC50
4B162AD06
4B162AD15
(57)【要約】
本発明は、消耗品(12)とともに動作するように構成されたエアロゾル発生装置(10)であって、- 消耗品(12)の少なくとも一部を受け入れ、且つ加熱するように構成された加熱チャンバ(25)であって、少なくとも1つの可動要素を含む加熱チャンバ(25)、- 熱膨張性材料を収容する膨張可能な容器(28)であって、消耗品(12)が加熱チャンバ(25)に受け入れられるとき及び加熱チャンバ(28)が消耗品(12)の前記一部を加熱するように動作されるとき、熱膨張性材料の膨張により、可動要素に消耗品(12)の前記一部を圧縮させるように構成された膨張可能な容器(28)を含むエアロゾル発生装置(10)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消耗品(12)とともに動作するように構成されたエアロゾル発生装置(10、110、210、310)であって、
前記消耗品(12)の少なくとも一部を受け入れ、且つ加熱するように構成され、少なくとも1つの可動要素を含む、加熱チャンバ(25、125、225、325)と、
熱膨張性材料を収容し、前記消耗品(12)が前記加熱チャンバ(25、125、225、325)に受け入れられるとき及び前記加熱チャンバ(28、128、228、328)が前記消耗品(12)の前記一部を加熱するように動作されるとき、前記熱膨張性材料の膨張により、前記可動要素に前記消耗品(12)の前記一部を圧縮させるように構成された、膨張可能な容器(28、128、228、328)と
を含む、
エアロゾル発生装置(10、110、210、310)。
【請求項2】
前記熱膨張性材料は、前記膨張可能な容器(28、128、228、328)の内部に封止される、
請求項1に記載のエアロゾル発生装置(10、110、210、310)。
【請求項3】
前記熱膨張性材料は、アルカンである、
請求項1又は2に記載のエアロゾル発生装置(10、110、210、310)。
【請求項4】
前記熱膨張性材料は、パラフィンワックスである、
請求項3に記載のエアロゾル発生装置(10、110、210、310)。
【請求項5】
前記熱膨張性材料は、前記加熱チャンバ(25、125、225、325)の動作の予熱段階中に膨張するように選択される、
請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(10、110、210、310)。
【請求項6】
前記可動要素は、前記加熱チャンバ(225)の壁(232)から延びるように構成されたアクチュエータ(240)を形成する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(210)。
【請求項7】
前記可動要素は、アクチュエータ(342)に接続された前記加熱チャンバ(325)の壁(340)を形成する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(310)。
【請求項8】
前記アクチュエータ(240、342)は、前記膨張可能な容器(228、328)の膨張に対してさらに空洞内で摺動するように構成される、
請求項6又は7に記載のエアロゾル発生装置(210、310)。
【請求項9】
前記可動要素は、前記膨張可能な容器(28)の壁(40)によって形成される、
請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(10)。
【請求項10】
前記可動要素は、前記膨張可能な容器(128)の壁と接触して前記加熱チャンバ(125)の壁(140A、140B)を形成する、
請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(110)。
【請求項11】
前記膨張可能な容器(28、128)は、前記加熱チャンバ(25、125)と前記装置(10、110)の外面との間に断熱材を形成する、
請求項9又は10に記載のエアロゾル発生装置(10、110)。
【請求項12】
前記膨張可能な容器(28、128、228、328)は、少なくとも1つの弾性壁又は膜であって、前記熱消費材料の膨張率に応じてその形状を変化させることができる少なくとも1つの弾性壁又は膜を画定する、
請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(10、110、210、310)。
【請求項13】
前記加熱チャンバ(25、125、225、325)は、閉鎖端(30、130、230、330)と開放端(31、131、231、331)との間にチャンバ軸(X)に沿って延び、
前記開放端(31、131、231、331)は、前記チャンバ軸(X)に対して垂直に延びる開口部(21、121、221、321)を画定し、
前記可動要素は、前記チャンバ軸(X)に対して実質的に垂直に移動可能である、
請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(10、110、210、310)。
【請求項14】
前記加熱チャンバ(25、125、225、325)は、少なくとも1つの加熱要素(34、134、234、334)をさらに含み、
前記加熱要素(34、134、234、334)は、前記加熱チャンバ(25、125、225、325)の内部に配置された加熱ブレード、又は前記可動要素に組み込まれた1つ若しくはいくつかの加熱抵抗、又は前記加熱チャンバ(25、125、225、325)の周囲に配置されたコイルを形成する、
請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(10、110、210、310)。
【請求項15】
前記加熱チャンバ(25、125、225、325)は、互いに対向する少なくとも2つの可動要素を画定する、
請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置(10、110、210、310)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膨張可能な容器を含むエアロゾル発生装置に関する。
【0002】
本発明によるエアロゾル発生装置は、加熱されるときにエアロゾルを形成することができる、例えばエアロゾル形成基材としても知られる固体基材を含む消耗品とともに動作するように構成される。したがって、加熱非燃焼式装置としても知られるこのようなタイプのエアロゾル発生装置は、伝導、対流及び/又は放射により、基材を燃やすのではなく加熱して、吸入のためのエアロゾルを発生させるように適合される。
【背景技術】
【0003】
(気化器としても知られる)リスク低減装置又はリスク修正装置の人気及び使用は、紙巻きタバコ、葉巻、シガリロ及び巻きタバコなどの従来のタバコ製品の喫煙を止めることを望む常習的喫煙者を支援するための補助としてここ数年で急速に成長している。従来のタバコ製品においてタバコを燃やすのとは対照的に、気化可能物質を加熱又は加温する様々な装置及びシステムが入手可能である。
【0004】
一般的に入手可能なリスク低減装置又はリスク修正装置は、基材加熱式エアロゾル発生装置又は加熱非燃焼式装置である。このタイプの装置は、典型的には、湿った葉タバコ又は他の好適な気化可能材料を含むエアロゾル基材を典型的には150℃~350℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を発生させる。エアロゾル基材を、燃焼させるか又は燃やすのではなく、加熱することにより、ユーザが求める成分を含むが、燃焼及び燃やすことによる毒性及び発癌性のある副生成物を含まないエアロゾルが放出される。さらに、タバコ又は他の気化可能材料を加熱することによって生成されるエアロゾルは、典型的には、ユーザにとって不快となり得る、燃焼及び燃やすことに起因する焦げた味又は苦味を含まない。したがって、基材は、煙及び/又は蒸気をユーザにとってより口当たりのよいものにするためにそのような材料に典型的に添加される糖及び他の添加物を必要としない。
【0005】
エアロゾル形成基材を加熱しながらエアロゾルを形成することができるように、エアロゾル形成装置は、一般に、エアロゾル形成基材を受け入れ、且つ加熱するように設計された加熱チャンバを画定する。このような加熱方法を使用する間の課題は、基材の熱伝導率が低いことを含む。これにより、加熱時間が長くなり、エネルギー効率が低くなり、装置設計が嵩張る。
【0006】
基材の熱伝導率が低い問題は、主に基材中に閉じ込められた大量の空気に起因することが観察された。したがって、この問題は、閉じ込められた空気の大部分が除去されるように、好適な圧縮手段によってエアロゾル形成基材を圧縮することにより、少なくとも部分的に解決することができる。しかしながら、当技術分野で知られている圧縮手段は、エアロゾル発生装置を使用する間に多くの制約を課す可能性がある。特に、場合により、消耗品の装置への挿入及び/又は装置からの取り出しは、圧縮手段によって面倒になる可能性がある。他のいくつかの場合、圧縮手段は、手動の機械的アクションを必要とするが、ユーザが常に必要とされる労力をかけてそれを行うことはできない。他のいくつかの場合、圧縮手段は、バッテリ消費を増加させ、装置の内部電気回路をより複雑にする給電を必要とする場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的の1つは、装置に追加の制約を課すことなく、エアロゾル形成基材の圧縮を可能にするエアロゾル発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的のため、本発明は、消耗品とともに動作するように構成されたエアロゾル発生装置であって、
- 消耗品の少なくとも一部を受け入れ、且つ加熱するように構成された加熱チャンバであって、少なくとも1つの可動要素を含む加熱チャンバ、
- 熱膨張性材料を収容する膨張可能な容器であって、消耗品が加熱チャンバに受け入れられるとき及び加熱チャンバが消耗品の前記一部を加熱するように動作されるとき、熱膨張性材料の膨張により、可動要素に消耗品の前記一部を圧縮させるように構成された膨張可能な容器
を含むエアロゾル発生装置に関する。
【0009】
熱膨張性材料を収容する膨張可能な容器を使用することにより、消耗品のエアロゾル形成基材を加熱中に「自動的に」圧縮することが可能になる。それは、ユーザによる追加のアクションが必要とされず、圧縮を行うためにバッテリ電力が必要ないことを意味する。特に、膨張性材料の性質並びに/又は膨張性材料の寸法及び/若しくは配置は、加熱されている間に基材の最適な圧縮率を確保するように選択することができる。加えて、圧縮率は、エアロゾル形成基材の温度に関係付けられ得る。例えば、基材が加熱されていないとき、圧縮率は、実質的にゼロに等しい場合がある一方、基材がその最大温度まで加熱されるとき、圧縮率もその最大値を達成する場合がある。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、熱膨張性材料は、膨張可能な容器の内部に封止される。
【0011】
これらの特徴のため、熱膨張性材料を、エアロゾル形成基材及び加熱中に形成されるエアロゾルから完全に隔離することができる。これにより、基材及び熱膨張性材料を加熱している間のエアロゾルの味又は他の特性の劣化が防止される。
【0012】
いくつかの実施形態によれば、熱膨張性材料は、アルカンである。
【0013】
いくつかの実施形態によれば、熱膨張性材料は、パラフィンワックスである。
【0014】
これらの特徴のため、熱膨張性材料は、適正な温度範囲(例えば、予熱段階中)で良好な膨張率を呈し、低コストである。加えて、それは、食品用材料であり、ヒータのピーク温度に耐える。
【0015】
いくつかの実施形態によれば、熱膨張性材料は、加熱チャンバの動作の予熱段階中に膨張するように選択される。
【0016】
これらの特徴のため、エアロゾル発生装置を使用する準備ができたときに最大圧縮率を達成することができる。
【0017】
いくつかの実施形態によれば、可動要素は、加熱チャンバの壁から延びるように構成されたアクチュエータを形成する。
【0018】
これらの特徴のため、加熱チャンバの壁から独立した要素を使用して圧縮を達成することができる。
【0019】
いくつかの実施形態によれば、可動要素は、アクチュエータに接続された加熱チャンバの壁を形成する。
【0020】
これらの特徴のため、最適なエアロゾル発生を保証する、エアロゾル発生基材の実質的に表面全体に沿って広がる圧縮を達成することが可能である。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、前記アクチュエータは、膨張可能な容器の膨張に対してさらに空洞内で摺動するように構成される。
【0022】
これらの特徴のため、膨張可能な容器の膨張力は、固有の方向に沿った集中力に完全に伝達され得る。
【0023】
いくつかの実施形態によれば、可動要素は、膨張可能な容器の壁によって形成される。
【0024】
これらの特徴のため、最適なエアロゾル発生を保証する、エアロゾル発生基材の実質的に表面全体に沿って広がる圧縮を達成することが可能である。加えて、この場合、膨張可能な容器の壁の形状が消耗品の外部形状に正確に従うことができるため、より良好な圧縮を達成することができる。
【0025】
いくつかの実施形態によれば、可動要素は、膨張可能な容器の壁と接触して加熱チャンバの壁を形成する。
【0026】
これらの特徴のため、容器からの膨張力を加熱チャンバの壁全体に完全に伝達することができる。
【0027】
いくつかの実施形態によれば、膨張可能な容器は、加熱チャンバと装置の外面との間に断熱材を形成する。
【0028】
これらの特徴のため、膨張可能な容器は、追加的に、エアロゾル発生装置の外面から加熱チャンバを隔離することを可能にする隔離物として機能する。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、膨張可能な容器は、少なくとも1つの弾性壁又は膜であって、熱消費材料の膨張率に応じてその形状を変化させることができる少なくとも1つの弾性壁又は膜を画定する。
【0030】
これらの特徴のため、膨張可能な容器の形状を対応する接触面に適合させることにより、より良好な圧縮を達成することが可能である。
【0031】
いくつかの実施形態によれば、加熱チャンバは、閉鎖端と開放端との間にチャンバ軸に沿って延び、開放端は、チャンバ軸に対して垂直に延びる開口部を画定し、可動要素は、チャンバ軸に対して実質的に垂直に移動可能である。
【0032】
これらの特徴のため、細長い形状を呈する消耗品のためのより良好な圧縮を達成することが可能である。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、加熱チャンバは、少なくとも1つの加熱要素をさらに含み、前記加熱要素は、加熱チャンバの内部に配置された加熱ブレード、又は可動要素に組み込まれた1つ若しくはいくつかの加熱抵抗、又は加熱チャンバの周囲に配置されたコイルを形成する。
【0034】
これらの特徴のため、エアロゾル形成基材を加熱するために様々なタイプのヒータを使用することができる。
【0035】
いくつかの実施形態によれば、加熱チャンバは、互いに対向する少なくとも2つの可動要素を画定する。
【0036】
これらの特徴のため、エアロゾル形成基材をいくつかの部分で圧縮して、エアロゾル発生性能を高めることができる。
【0037】
本発明及びその利点は、非限定的な例としてのみ挙げられ、添付の図面を参照して記述される以下の説明を読むことでよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の第1の実施形態によるエアロゾル発生装置の断面概略図であり、エアロゾル発生装置は、消耗品を受け入れている。
【
図2】消耗品の一部が加熱されている間に圧縮されている、
図1の図と同様の図である。
【
図3】本発明の第2の実施形態によるエアロゾル発生装置の断面概略図であり、エアロゾル発生装置は、消耗品を受け入れている。
【
図4】消耗品の一部が加熱されている間に圧縮されている、
図3の図と同様の図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態によるエアロゾル発生装置の断面概略図であり、エアロゾル発生装置は、消耗品を受け入れている。
【
図6】消耗品の一部が加熱されている間に圧縮されている、
図5の図と同様の図である。
【
図7】本発明の第4の実施形態によるエアロゾル発生装置の断面概略図であり、エアロゾル発生装置は、消耗品を受け入れている。
【
図8】消耗品の一部が加熱されている間に圧縮されている、
図7の図と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明を説明する前に、本発明は、以下の説明に記載される構造の詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実践又は実行できることは、本開示の利益を享受する当業者に明らかであろう。
【0040】
本明細書で使用するとき、「エアロゾル発生装置」又は「装置」という用語は、以下でさらに詳細に解説するヒータ要素を用いて、ベイピングのためのエアロゾルを含めて、ユーザにエアロゾルを送達するためのベイピング装置を含み得る。装置デバイスは、携帯用であり得る。「携帯用」とは、ユーザが保持して使用する装置を指し得る。装置は、例えば、可変の時間量にわたってヒータ要素を作動させることにより、(定量のエアロゾルとは対照的に)可変量のエアロゾルを発生させるように適合され得、その発生は、トリガによって制御され得る。トリガは、ベイピングボタン及び/又は吸入センサなど、ユーザが作動させるものであり得る。吸入センサは、吸入強度並びに吸入継続時間に対する感度が高いものであり得、(タバコ、葉巻又はパイプなどの従来の可燃性喫煙物品の喫煙効果を模倣するように)可変量の蒸気を提供することを可能にし得る。装置は、ヒータ及び/又は加熱されたエアロゾル発生物質(エアロゾル前駆体)の温度を特定の目標温度まで駆動し、その後、その温度をエアロゾルの効率的な発生を可能にする目標温度に維持するための温度調節制御部を含み得る。
【0041】
本明細書で使用するとき、「エアロゾル形成基材」又は「基材」という用語は、例えば、ニコチン又はタバコ又は他の喫煙可能な材料及びエアロゾル形成剤を含み得る材料指し得る。タバコは、刻みタバコ、粒状タバコ、タバコ葉及び/又は再構成タバコなどの様々な材料の形態をとり得る。適切なエアロゾル形成剤としては、ポリオール(ソルビトール、グリセロール及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールなどのグリコール類など)、非ポリオール(一価アルコール、乳酸などの酸類、グリセロール誘導体、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセテート、クエン酸トリエチルなどのエステル、グリセリン又は植物性グリセリンなど)が挙げられる。いくつかの実施形態では、エアロゾル形成剤は、グリセロール、プロピレングリコール又はグリセロールとプロピレングリコールとの混合物であり得る。基材は、ゲル化剤、結合剤、安定剤及び湿潤剤の少なくとも1つも含み得る。
【0042】
本明細書で使用するとき、「エアロゾル」という用語は、固体粒子、液滴、気体の1つ又は複数としてエアロゾル形成基材の浮遊物を含み得る。前記浮遊物は、空気を含む気体の状態であり得る。本明細書のエアロゾルは、一般に、蒸気を指し得る/含み得る。エアロゾルは、エアロゾル形成基材の1つ又は複数の成分を含み得る。
【0043】
本明細書で使用するとき、「熱膨張性材料」又は「膨張性材料」という用語は、加熱されている間にその体積を増加させることができる任意の材料を指し得る。特に、このような材料は、所定の温度範囲内で加熱されている間に1よりも大きい膨張率を呈する。
【0044】
「膨張率」とは、熱膨張性材料の膨張した体積と基準体積との比率を意味する。基準体積は、周囲温度下の熱膨張性材料の体積に対応し得る。前記所定の温度範囲は、実質的にエアロゾル形成前駆体の加熱温度範囲に対応し、実質的に周囲温度に対応する第1の値から、エアロゾル形成基材の最大加熱温度に対応する第2の値まで及び得る。したがって、第2の値は、180℃~400℃、好ましくは200℃~350℃に及ぶ区間に含まれる可能性がある。前記所定の温度範囲内で、膨張は、例えば幾何学的要因に依存する複雑な曲線に従って増加することができる。典型的には、それは、3つの増加セグメント:中程度の膨張を伴う初期セグメント(「S」の下部)、最も著しい膨張を伴う中間セグメント(「S」の上昇部)及び中程度の膨張を伴う最終セグメント(「S」の上部)を含む「S」字形状を有することができる。中間セグメントは、最大周囲温度、例えば40℃と、ベイピングセッション中の装置のヒータの最小温度、例えば200℃との間で定義することができる。いくつかの実施形態によれば、最初の2つのセグメントは、エアロゾル形成基材の予熱段階に対応することができる。膨張性材料の性質に応じて、中間セグメントは、融点などの相変化点をさらに含むことができる。典型的には、融点は約50℃~70℃であり得る。
【0045】
本明細書で使用するとき、「予熱段階」という用語は、エアロゾルを発生させることができるようにエアロゾル形成基材を加熱するために必要な、エアロゾル発生装置の動作の初期段階と理解される。特に、予熱段階中、エアロゾル形成装置は、エアロゾル形成基材を周囲温度からエアロゾル発生を可能にする温度まで加熱するように構成される。この最後の温度は、180℃~400℃、好ましくは200℃~350℃に及ぶ区間に含まれ得る。予熱段階後、エアロゾル発生装置は、例えば、基材温度を一定に維持するか、又は所定の温度プロファイルに従うようにエアロゾル形成基材を加熱するように適合させることができる。
【0046】
本明細書で使用するとき、「アルカン」、又は「パラフィン」、又は「非環式飽和炭化水素」という用語は、すべての炭素-炭素結合が単結合である構造、例えば直鎖状周期構造に配置された水素及び炭素原子からなる化学元素を主に含む材料を指し得る。前記化学元素は、一般化学式CnH2n+2を有する。
【0047】
本明細書で使用するとき、「パラフィンワックス」、「石油ワックス」又は「ワックス」という用語は、20~40個の炭素原子を含有する炭化水素分子の混合物を主に含む材料を指し得る。好ましい実施形態によれば、このような混合物は、24個の炭素原子を含み、したがって一般化学式C24H50を有する。
【0048】
[本発明の第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態によるエアロゾル発生装置10を
図1及び
図2に示す。このエアロゾル発生装置10は、これらの図に同じく示す消耗品12とともに動作するように設計されている。
【0049】
特に、
図1に示すように、消耗品12は、基材部分14とフィルタ部分16とを含む。両方の部分14、16は、これらの部分を一緒にくっつける独特のラッパーを使用して包むことができる。他の例では、部分14、16は、異なるラッパーで包まれ、他の好適な手段によって一方が他方に固定され得る。ラッパー又は各ラッパーは、例えば、紙、及び/又は不織布、及び/又はアルミニウムを含み得る。ラッパー又は各ラッパーは、多孔性又は空気不透過性であり得る。消耗品12は、例えば円形の断面を画定するほぼ管状の形状を有することができる。別の例によれば、消耗品12は、長方形の断面を画定する。
【0050】
基材部分14は、以下にさらに詳細に解説するように、エアロゾル発生装置10の加熱チャンバによって加熱されることを意図したエアロゾル形成基材を収容する。加えて、いくつかの例によれば、基材部分14は、エアロゾル形成基材に組み込まれた1つ又はいくつかのサセプタを含み得る。サセプタは、磁場内に置かれたときに渦電流を発生させることができる導電体材料から形成され得る。渦電流により、サセプタは、エアロゾル形成基材を加熱してエアロゾルを発生させるのに適した熱を発生させる。磁場は、エアロゾル発生装置10の加熱システムに含まれるコイルによって発生させることができる。基材部分14は、少なくとも1つの上流セグメントがエアロゾル形成基材を収容し、下流セグメントがスペーサ又は冷却セグメントを形成する、2つ以上の隣接するセグメントを含み得る。下流セグメントは、例えば、紙又はPLA材料などの他の硬質材料で作られた管とすることができる。管は、中空であり得るか、又は部分的に充填され得るか、又は例えば半径方向及び/又は長手方向の内壁によって補強され得る。
【0051】
フィルタ部分16は、例えば、フィルタのように機能するコアを含む。コアは、例えば、発泡体又は詰め込まれたストランド若しくは繊維であり得る。いくつかの例では、フィルタ部分16は、装置10の使用中にユーザの唇及び/又は口と接触することを意図したマウスピースを形成することができる。他のいくつかの例では、フィルタ部分16は、ユーザの唇及び/又は口と接触することを意図した別個のマウスピースに挿入することができる。他のいくつかの例によれば、消耗品12は、基材部分14のみを含み得る。
【0052】
エアロゾル発生装置10は、消耗品12の挿入に適した挿入口21を画定するハウジング20を含む。ハウジング20は、装置10の異なる機能を実行するように設計された様々な要素を受け入れる装置10の内部空間を区切る。この内部空間は、例えば、装置10に電力を供給するためのバッテリ23と、装置10の動作を制御するための制御モジュール24と、消耗品12の少なくとも一部を受け入れ、且つ加熱するように構成された加熱チャンバ25と、消耗品12が加熱チャンバ25に部分的に受け入れられたときに消耗品12の圧縮を引き起こすように構成された使い捨て容器28とを受け入れることができる。これらの要素の中で、加熱チャンバ25及び使い捨て容器28についてのみさらに詳細に解説する。例えばバッテリ23及び制御モジュール24のような他の要素は、既知の技術を使用して実装することができる。
【0053】
加熱チャンバ25は、閉鎖端30と開放端31との間にチャンバ軸Xに沿って延び、消耗品12と実質的に同じ断面形状を有する。開放端31は、ハウジング20の挿入口21に開口している。
図1に示すように、加熱チャンバ25は、消耗品12の基材部分14がチャンバ軸Xに沿って加熱チャンバの内部に延びるように、開放端31を通して消耗品12の基材部分14を受け入れるように適合されている。加えて、上述したように、加熱チャンバ25は、基材部分14の少なくとも一部を加熱するように適合されている。
【0054】
この目的のため、加熱チャンバ25は、
図1の例では、加熱ブレードによって形成される加熱要素34を含む。このような加熱ブレードは、消耗品12の挿入中に消耗品12の基材部分14の内部に貫入するように構成される。加熱要素34の動作は、それ自体既知の制御方法を使用して制御モジュール24によって制御することができる。別の例によれば、加熱要素34は、加熱チャンバ25の周囲に配置されたコイルによって形成され、制御モジュール24によって制御される磁場をチャンバ25の内部に作り出すことができる。この場合、消耗品12の基材部分14は、上で解説した1つ又はいくつかのサセプタを含む。さらに別の例によれば、加熱チャンバ25は、加熱チャンバ25の少なくとも1つの壁に組み込まれた加熱抵抗によって形成され、基材部分14と接触するように設計された、1つ又はいくつかの加熱要素34を含み得る。前の例のように、これらの加熱要素34の動作は、制御モジュール24によって制御される。
【0055】
加熱チャンバ25は、チャンバ25が基材部分14を加熱するとき、消耗品12の基材部分14の少なくとも一部を圧縮するように構成された少なくとも1つの可動要素をさらに含む。特に、可動要素は、チャンバ軸Xに垂直な少なくとも横軸Yに従って基材部分14の前記一部に力を及ぼすように構成される。
【0056】
本発明の第1の実施形態によれば、可動要素は、膨張可能な容器28の少なくとも1つの壁によって形成される加熱チャンバ25の少なくとも1つの壁によって形成される。特に、本発明の第1の実施形態によれば、加熱チャンバ25の可動部は、膨張可能な容器28の壁40(以下圧縮壁40と称する)によって形成される。この圧縮壁40は、消耗品12が加熱チャンバ25に挿入されるとき、消耗品12の基材部分14と接触するように意図されている。
【0057】
加えて、
図1及び
図2に示す第1の実施形態の例によれば、膨張可能な容器28は、チャンバ軸Xに沿って延び、圧縮壁40を形成する内壁によって区切られる貫通孔を画定する円筒形状を形成する。換言すれば、この圧縮壁40は、加熱チャンバ25を横方向に、すなわちチャンバ軸Xに沿って区切る側壁を形成する。したがって、この例によれば、圧縮壁40は、消耗品12の基材部分14と周方向に接触し、その結果、加熱されるときにこの部分14を周方向に圧縮するように意図されている。
【0058】
本発明の第1の実施形態の他の例によれば、膨張可能な容器28は、加熱チャンバ25の側壁を少なくとも部分的に形成する少なくとも1つの壁を画定する他の好適な形状を有する。換言すれば、これらの例によれば、膨張可能な容器28は、消耗品12が加熱チャンバ25に受け入れられたときに消耗品12の基材部分14の少なくとも一部と接触するように設計された少なくとも壁を画定する任意の好適な形状を有することができる。例えば、使い捨て容器28は、基材部分14の周囲に部分的に延びるように設計された半円筒形状を形成することができる。
【0059】
膨張可能な容器28には、アルカン、好ましくはパラフィンワックスであり得る熱膨張性材料が充填される。周囲温度下、すなわち例えば0℃~30℃に含まれる温度下において、熱膨張性材料の体積は、基材部分14のエアロゾル形成基材の圧縮、とりわけ上流セグメント及び下流セグメントが上で解説したように定義される場合には基材部分14の上流セグメントの圧縮によって誘導される所望の体積変化よりも例えば4倍又は5倍大きい。一般的な場合、熱膨張性材料の量、その性質及び膨張可能な容器28の幾何学的形状は、所定の温度範囲において膨張可能な容器28の最適な膨張率(又は熱基材部分14の最適な圧縮率)を確保するように選択される。上述したように、所定の温度範囲は、実質的にエアロゾル形成前駆体の加熱温度範囲に対応し、実質的に周囲温度に対応する第1の値から、エアロゾル形成基材の最大加熱温度に対応する第2の値まで及び得る。したがって、第2の値は、180℃~400℃、好ましくは200℃~350℃に及ぶ区間に含まれる可能性がある。そのうえ、前記温度範囲は、エアロゾル発生基材の予熱段階に対応するセグメントを含むことができる。例えば、パラフィンワックスを使用する場合、その融点及び最も著しい膨張は、50℃~70℃の区間に含まれる可能性がある。この区間は、ユーザがベイピングセッションを開始するとき、膨張可能な容器28が基材14の最適な圧縮率を確保することができるように、基材14の予熱段階に含まれる。ユーザがベイピングセッションを終えるとき、膨張性材料は冷却され、膨張可能な容器28は、それを初期形状にして、基材部分14を解放することができる。
【0060】
熱基材部分14の最適な圧縮率は、その中に含まれるエアロゾル形成基材の性質に従って、とりわけエアロゾル形成基材中に閉じ込められた空気の体積に従って決定される。最適な圧縮率は、例えば最適なエアロゾル発生を保証し、例えば経験的に決定することができる。
【0061】
膨張可能な容器28の圧縮壁40は、
図2に示すように、横軸Yに従って熱膨張性材料の膨張とともに膨張することができる。したがって、圧縮壁40は、実質的に圧縮壁40との接触領域全体に沿って消耗品12の基材部分14を圧縮することができる。別の例によれば、圧縮壁40は、基材部分14の一部のみを圧縮するように構成される。例えば、基材部分14が上流セグメント及び下流セグメントを含むとき、圧縮壁40は、圧縮壁40の上流セグメントのみを圧縮するように構成される。この場合、圧縮壁40は、上流セグメントに面してのみ延びるか、又はこの上流セグメントに面する弾性部を画定することができる。
【0062】
圧縮壁40は、少なくとも部分的に可撓性材料、好ましくは弾性材料で作られている。特に、圧縮壁40は、シリコーン又はフッ化炭素のような典型的な食品用、弾性及び高温耐性のゴムで作ることができる。いくつかの例では、圧縮壁40は、弾性材料で作られた膨張可能な容器28の唯一の壁であり、膨張性材料28の他の壁は剛性である。他のいくつかの例によれば、膨張可能な容器28の壁は、すべて弾性材料で作られている。この最後の場合、膨張可能な容器28の他の壁の膨張は、装置10の機械的構造、とりわけハウジング20の機械的構造によって制限/制約することができる。
【0063】
本発明の第1の実施形態のいくつかの例(図示せず)によれば、圧縮壁40は、基材部分14を加熱することができる1つ又はいくつかの可撓性加熱抵抗を含み得る。特に、この場合、加熱抵抗は、圧縮壁40の製造中に圧縮壁40に組み込むことができる。例えば、加熱要素は、例えば、オーバーモールドによって圧縮壁40の弾性材料に埋め込むことができる。
【0064】
有利には、本発明によれば、膨張可能な容器28は、封止される。封止は、装置10の製造中にハウジング20の内部に膨張可能な容器28を挿入する前又は後に行うことができる。特に、第1の場合、熱膨張性材料を最初に膨張可能な容器28内に導入することができ、次に膨張可能な容器28を封止して、ハウジング20の内部に挿入することができる。第2の場合、膨張可能な容器28を最初にハウジング20の内部に挿入し、次に熱膨張性材料を充填して封止することができる。
【0065】
[本発明の第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態によるエアロゾル発生装置110を
図3及び
図4に示す。このエアロゾル発生装置110は、前の実施形態と関連して解説したのと同じ消耗品12とともに動作するように設計されている。
【0066】
加えて、前の場合と同様に、エアロゾル発生装置110は、消耗品12の挿入に適した挿入口121を画定し、とりわけバッテリ123、制御モジュール124、加熱チャンバ125及び膨張可能な容器128を含むハウジング120を含む。バッテリ123及び制御モジュール124は、上で解説したバッテリ23及び制御モジュール24と同様である。そのうえ、前の場合と同様に、加熱チャンバ125は、消耗品12の少なくとも一部を受け入れ、且つ加熱するように構成され、閉鎖端130と開放端131との間にチャンバ軸Xに沿って延びる。加熱チャンバ125は、加熱要素134と、チャンバ125が基材部分14を加熱するとき、消耗品12の基材部分14の少なくとも一部を圧縮するように構成された少なくとも1つの可動要素とを含む。最終的に、前の場合と同様に、加熱要素134も、例えば、加熱ブレード(
図3及び
図4に示すように)、又はコイル、又は加熱チャンバ125の少なくとも1つの壁に組み込まれた1つ若しくはいつくかの加熱抵抗によって形成され得る。
【0067】
前の場合とは逆に、本発明の第2の実施形態によれば、加熱チャンバ125の可動要素又は各可動要素は、膨張可能な容器128と接触するこの加熱チャンバ125の摺動可能な壁によって形成される。特に、
図3及び
図4の例では、加熱チャンバ125は、その対向する摺動可能な壁140A、140Bによって形成される2つの可動要素を含み、各摺動可能な壁140A、140Bは、膨張可能な容器128と接触する。この較正は、とりわけ、加熱チャンバ125及び消耗品12が長方形の断面を有するときに使用することができる。この実施形態の他の例によれば、摺動可能な壁の数は、2より多くすることができる。摺動可能な壁のそれぞれは、膨張可能な容器と接触することができ、膨張可能な容器128の膨張に対してさらに基材部分14の少なくとも一部を圧縮するように構成される。
【0068】
図3及び
図4の例によれば、各摺動可能な壁140A、140Bは、使い捨て容器128の膨張中に横軸Yに沿って摺動可能である。特に、この例によれば、各摺動可能な壁140A、140Bは、加熱チャンバ125を部分的に区切り、基材部分14の少なくとも一部と接触するように意図された内面と、膨張可能な容器128の少なくとも1つの壁と接触する外面とを画定する。例えば、基材部分14が上流セグメント及び下流セグメントを含むとき、各摺動可能な壁140A、140Bは、上流セグメントとのみ接触するように構成することができる。加えて、各摺動可能な壁140A、140Bは、基材部分14を加熱チャンバ125に受け入れ、そこから取り出すことができる第1の位置(
図3に示す)と、この部分14が摺動可能な壁140A、140B間で圧縮される第2の位置(
図4に示す)との間で、横軸Yに沿ったこの壁の摺動を可能にする案内手段(図示せず)上に取り付けることができる。したがって、これらの図の例では、壁140A、140Bは反対方向に摺動可能である。
【0069】
各摺動可能な壁140A、140Bは、膨張可能な容器128の膨張とともに、第1の位置から第2の位置まで摺動するように構成される。加えて、いくつかの例では、ハウジング120は、膨張可能な容器128が膨張していないとき、各摺動可能な壁140A、140Bを第2の位置から第1の位置まで戻らせるように構成された付勢手段を含み得る。他のいくつかの例によれば、各摺動可能な壁140A、140Bは、ユーザが消耗品12を装置110から取り出すとき、第2の位置から第1の位置まで戻るように構成される。
【0070】
前の実施形態と同様に、第2の実施形態のいくつかの例によれば、エアロゾル形成基材を加熱するために、1つ又はいくつかの加熱抵抗を壁140A、140Bに組み込むことができる。
【0071】
膨張可能な容器128は、上で解説した膨張可能な容器28と同様であり得る。特に、前の場合と同様に、膨張可能な容器128は、加熱されている間に容器の膨張を引き起こす熱膨張性材料を収容する。この目的のため、膨張可能な容器128は、摺動可能な壁140A、140Bをそれらの第2の位置へ摺動させることができる少なくとも1つの弾性壁を画定する。本発明の第2の実施形態によれば、膨張可能な容器128は、加熱チャンバ125とハウジング120の内面との間の空洞に配置される。
【0072】
前の実施形態と同じように、膨張可能な容器128は、加熱チャンバ125の周囲にそれを配置することを可能にする貫通孔を有する円筒形状を呈することができる。別の例によれば、膨張可能な容器128は、2つの独立した部品を形成することができ、各部品は、ハウジング120の内面と加熱チャンバ125の対応する壁140A、140Bとの間に配置される。この例によれば、膨張可能な容器128の各部品は、対応する摺動壁140A、140Bに対して独立して作用することができる。最終的に、前の実施形態と同様に、熱膨張性材料の量、その性質及び膨張可能な容器128の幾何学的形状は、膨張可能な容器128の最適な膨張率(又は熱基材部分14の最適な圧縮率)を確保するように選択される。
【0073】
[本発明の第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態によるエアロゾル発生装置210を
図5及び
図6に示す。前の場合と同様に、このエアロゾル発生装置210は、この実施形態と関連してさらに詳細に解説しないが、同じ消耗品12とともに動作するように設計されている。
【0074】
加えて、前の場合と同様に、エアロゾル発生装置210は、消耗品12の挿入に適した挿入口221を画定し、とりわけバッテリ223、制御モジュール224、加熱チャンバ225及び膨張可能な容器228を含むハウジング220を含む。バッテリ223及び制御モジュール224は、上で解説したバッテリ23及び制御モジュール24と同様である。そのうえ、前の場合と同様に、加熱チャンバ225は、消耗品12の少なくとも一部を受け入れ、且つ加熱するように構成され、閉鎖端230と開放端231との間にチャンバ軸Xに沿って延びる。
【0075】
前の場合とは逆に、加熱チャンバ225は、チャンバ軸Xに沿って延び、消耗品12が加熱チャンバ225の内部に受け入れられたときに消耗品12の基材部分14と接触するように意図された1つ又は複数の固定側壁232を画定し得る。この場合、加熱チャンバ225は、カップ形状の加熱チャンバ225を形成し得、
図5及び
図6の例に示すように、その側壁に組み込まれた1つ又はいくつかの加熱抵抗によって形成された加熱要素234を含み得る。他の例によれば、加熱要素234は、前の実施形態と関連して解説した加熱ブレード又は加熱チャンバ225の周囲に配置されたコイルによって形成することができる。
【0076】
本発明の第3の実施形態によれば、加熱チャンバ225は、消耗品12の基材部分14を圧縮するために加熱チャンバ225の側壁232から突出するように構成されたアクチュエータ240を形成する少なくとも1つの可動要素を含む。特に、アクチュエータ240は、膨張可能な容器228に接続されており、膨張可能な容器228の膨張とともに側壁232から突出するように構成される。この実施形態のいくつかの例では、加熱チャンバ225は、1つ又は複数の側壁から延びるいくつかの可動要素を含み得る。例えば、加熱チャンバ225が円管を形成するとき、可動要素は、基材部分14の少なくとも一部を圧縮するために、チャンバ225の側壁から延びる放射状リブを形成することができる。
【0077】
図5及び
図6の例では、アクチュエータ240は、横軸Yに従って壁232から突出するように構成された圧縮部241と、圧縮部241と膨張可能な容器228とを接続し、膨張可能な容器228の膨張中に横軸Yに従って圧縮部241を案内する案内部242とを含む。案内部142は、横軸Yに沿って延びる空洞に配置され得る。したがって、膨張可能な容器228の膨張中に、案内部242は、基材部分14が圧縮されていない第1の位置(
図5に示す)から基材部分14が圧縮される第2の位置(
図6に示す)まで圧縮部241を案内することができる。本発明の第2の実施形態と同様に、第3の実施形態のいくつかの例によれば、膨張可能な容器228が膨張していないとき、アクチュエータ240の圧縮部241を第2の位置から第1の位置まで押すために付勢手段を使用することができる。
【0078】
前の実施形態と同様に、膨張可能な容器228には、膨張性材料が充填される。膨張可能な容器228の内部容積は、膨張可能な膜250で封止された開口部を画定する剛性壁によって区切ることができる。膨張可能な膜250は、アクチュエータ240の案内部242に直接的又は間接的に接続されて、横軸Yに沿ってアクチュエータ240を空洞内に摺動させることができる。したがって、
図6に示すように、膨張可能な膜250は、容器228に収容された熱膨張性材料の膨張とともに、アクチュエータの案内部242を含む空洞内に膨張することができる。最終的に、前の実施形態と同様に、熱膨張性材料の量、その性質及び膨張可能な容器228の幾何学的形状は、膨張可能な容器228の最適な膨張率(又は熱基材部分14の最適な圧縮率)を確保するように選択される。
【0079】
膨張可能な容器228の他の例も可能である。例えば、放射状リブを形成する複数の可動要素の場合、膨張可能な容器228は、本発明の第1の実施形態と関連して解説したように、加熱チャンバ225の周囲に配置された独特の円筒部片を形成することができる。したがって、膨張可能な容器228の膨張は、各可動要素の側壁からの突出を引き起こすことができる。
【0080】
[本発明の第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態によるエアロゾル発生装置310を
図7及び
図8に示す。前の場合と同様に、このエアロゾル発生装置310は、この実施形態と関連してさらに詳細に解説しないが、同じ消耗品12とともに動作するように設計されている。
【0081】
加えて、前の場合と同様に、エアロゾル発生装置310は、消耗品12の挿入に適した挿入口321を画定し、とりわけバッテリ323、制御モジュール324、加熱チャンバ325及び膨張可能な容器328を含むハウジング320を含む。バッテリ323及び制御モジュール324は、上で解説したバッテリ23及び制御モジュール24と同様である。そのうえ、前の場合と同様に、加熱チャンバ325は、消耗品12の少なくとも一部を受け入れ、且つ加熱するように構成され、閉鎖端330と開放端331との間にチャンバ軸Xに沿って延びる。そのうえ、
図7及び
図8の例では、加熱チャンバ325は、上で解説した加熱ブレードと同様の加熱ブレードによって形成された加熱要素334を含む。他の例によれば、加熱要素324は、加熱チャンバ325の壁に組み込まれた1つ若しくはいくつかの加熱抵抗又は加熱チャンバ328の周囲に配置されたコイルによって形成され得る。
【0082】
本発明の第4の実施形態によれば、加熱チャンバ325は、アクチュエータ342に接続されたチャンバ325の摺動可能な壁340によって形成される少なくとも1つの可動要素を含む。摺動可能な壁340は、本発明の第2の実施形態と関連して説明した摺動可能な壁140A、140Bの1つと同様である。特に、本発明の第4の実施形態によれば、摺動可能な壁340は、アクチュエータ342により、基材部分14が圧縮されていない第1の位置(
図7に示す)から、基材部分14が圧縮される第2の位置(
図8に示す)まで横軸Yに沿って移動可能である。いくつかの実施形態では、壁340は、好適な付勢手段を使用して第2の位置から第1の位置まで押すことができる。
【0083】
アクチュエータ342は、摺動可能な壁340を膨張可能な容器328に接続し、膨張可能な容器328の膨張とともに横軸Yに従って摺動することができる。アクチュエータ342は、例えば摺動可能な壁340と容器328との間に形成された空洞内で摺動することができる。
【0084】
膨張可能な容器328は、本発明の第3の実施形態との関連で説明した膨張可能な容器228と同様である。特に、前の場合と同様に、膨張可能な容器328には、熱膨張性材料が充填される。膨張可能な容器328の内部容積は、膨張可能な膜350で封止された開口部を画定する剛性壁によって区切ることができる。膨張可能な膜350は、アクチュエータ342に直接的又は間接的に接続されて、横軸Yに沿ってアクチュエータ342を摺動させることができる。したがって、
図8に示すように、膨張可能な膜350は、容器328に収容された熱膨張性材料の膨張とともに、アクチュエータ342を含む空洞内に膨張することができる。
【0085】
最終的に、前の実施形態と同様に、熱膨張性材料の量、その性質及び膨張可能な容器328の幾何学的形状は、膨張可能な容器328の最適な膨張率(又は熱基材部分14の最適な圧縮率)を確保するように選択される。
【0086】
[本発明の他の実施形態]
本発明の他の実施形態も依然として可能である。例えば、これらの実施形態は、上で開示した実施形態の任意の組み合わせを含み得る。加えて、これらの実施形態では、可動要素の数及びそれらのそれぞれの配置は、任意の好適な方法で選択することができる。
【国際調査報告】