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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】調整可能な搬送体およびその方法
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20240405BHJP
   B62B 3/00 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
B62B3/02 C
B62B3/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023558374
(86)(22)【出願日】2022-03-22
(85)【翻訳文提出日】2023-11-10
(86)【国際出願番号】 EP2022057467
(87)【国際公開番号】W WO2022200335
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】20210363
(32)【優先日】2021-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516231257
【氏名又は名称】ウィール.ミー アクティーゼルスカブ
(74)【代理人】
【識別番号】100077838
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 憲保
(74)【代理人】
【識別番号】100129023
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 敬
(72)【発明者】
【氏名】ブロム-バッケ,アンドレアス
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050BB02
3D050CC04
3D050EE15
3D050GG01
(57)【要約】
表面上の搬送のための調整可能な搬送体(10)は、矩形を形成する少なくとも4つのサイドビーム(12)を有するフレーム(11)と、搬送体に連結された少なくとも4つの転動装置(13)とを備えている。各サイドビーム(12)は、収縮位置と伸長位置との間で互いに摺動可能な少なくとも2つの伸縮要素(14、15、16)と、ユーザ装置からの入力に基づいて少なくとも2つの伸縮要素を互いに摺動させるように構成されたアクチュエータユニットとを含んでいる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上での搬送のための調整可能な搬送体(10)であって、矩形を形成する少なくとも4つのサイドビーム(12)を有するフレーム(11)と、前記搬送体に連結された少なくとも4つの転動装置(13)とを含む搬送体(10)において、
前記サイドビーム(12)のうちの少なくとも2つの各々が、
収縮位置と伸長位置との間で互いに摺動可能な少なくとも2つの伸縮要素(14、15、16)と、
ユーザ装置から受信した前記入力に基づいて前記少なくとも2つの伸縮要素を互いに摺動させるように構成されたアクチュエータとを備える、調整可能な搬送体(10)。
【請求項2】
前記ユーザ装置から信号を受信するように構成された中央制御ユニット(44)と、
前記中央制御ユニットからの信号を取得して前記伸縮要素を移動させるアクチュエータユニット(43)と、
前記アクチュエータユニットが前記アクチュエータロッドを移動させたときに、前記伸縮要素(14、15、16)の位置を伸長位置または収縮位置に調整するように摺動する伸縮要素制御ユニット(45)とをさらに備える、請求項1に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項3】
前記ユーザ装置からの前記入力が、前記搬送体が搬送している前記物体の長さ、幅、高さの少なくとも1つである、請求項2に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項4】
前記搬送体に搭載され、各転動装置(13)を受容して前記搬送体に連結するように適合されたインターフェース要素(33)をさらに備える、請求項1に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項5】
各転動装置(13)は、中央制御ユニット(44)によって制御されたときの自律運転のための駆動手段と、通信手段と、センサとを備える、請求項1または4に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項6】
前記アクチュエータが、アクチュエータユニット(43)の内外に移動可能なアクチュエータロッドを有するリニアアクチュエータであり、前記アクチュエータロッドは、前記伸縮要素(14、15、16)のうちの1つに連結されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項7】
前記アクチュエータが、前記伸縮要素を前記収縮位置、前記伸長位置、または、それらの間の位置に摺動させるための命令を有する制御信号を受信する、請求項1~6のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項8】
前記転動装置(13)が自律型である、請求項1~7のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項9】
前記サイドビームが、前記伸縮要素を固定位置に係止するための係止要素を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項10】
前記伸縮要素の少なくとも1つが中空であり、少なくとも1つの前記伸縮要素が、前記中空の伸縮要素の内側断面よりも小さい外側断面を有し、より小さい断面を有する前記伸縮要素が、より大きい断面を有する前記伸縮要素内で摺動することを可能にする、請求項1~9のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項11】
前記少なくとも2つのサイドビームが3つの伸縮要素(14、15、16)を含み、1つの中間要素(15)が前記2つの外側要素(14、16)の内側で摺動可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項12】
前記矩形を横切って配置され、前記サイドビームのうちの2つに平行に、かつ、前記他方のサイド要素のうちの2つに直交して配置された少なくとも1つの横ビームをさらに含み、2つの直交ビームが交わる各コーナーに転動装置が配置されている、請求項1~11のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項13】
前記搬送体の位置を検出するためのセンサを備える、請求項1~12のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項14】
前記転動装置(13)は、メカナムホイールである、請求項1~13のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項15】
ユーザからの入力に基づいて、伸長可能位置と収縮可能位置との間で調整可能な搬送体(10)の位置を調整する方法であって、
ユーザ装置(41)からのユーザによる入力を送信するステップであって、前記入力は物体の寸法である、ステップと、
前記調整可能な搬送体(10)の前記中央制御ユニット(44)において信号を受信するステップと、
前記中央制御ユニット(44)からの前記信号を受信すると、アクチュエータユニット(43)によって前記伸縮要素の位置を制御するステップと、
前記物体の寸法に基づいて前記伸縮要素の位置を設定するステップとを有する、方法。
【請求項16】
前記物体の寸法は、長さ、幅、高さのうちの少なくとも1つである、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、表面上の物体の搬送のための搬送アセンブリに使用するための、自動調整可能な搬送体に関する。
【0002】
搬送アセンブリは、表面に沿った物体の移動を可能にするために物体に搭載または一体化するのに適していてもよく、または搬送アセンブリは、物体の搬送のための別体の装置であってもよい。
【0003】
本発明は、屋内外のさまざまな場所の間で移動される全ての種類の物体を移動させるのに適しており、移動は、例えば床などの表面に沿って行われる。
【背景技術】
【0004】
様々な装置、特に家具などを移動させる必要がある多くの状況があり、1つの場所から別の場所への装置の移動を容易にするためのホイールまたはローラ要素を備えてもよい。例えば、装置を再編成するため、または、装置を移動させて、装置が占有するスペースへのアクセスを得たり、または装置自体へのアクセスを提供するためである。
【0005】
本件出願人は、装置を表面に沿って移動させるための、家具や可動壁等の装置に一体化することの可能な転動装置を既に開発した。この転動装置は、物体の移動を容易にし、健康状態および転動装置が一体化されたさまざまな装置を持ち上げる能力にかかわらず、誰もが使用することができる。この装置は、特許文献1に記載されている。
【0006】
特許文献1の転動装置は、例えば、家具の脚部に取り付けられる円筒状スリーブ装置と、円筒状スリーブ装置内に移動可能に配置されたピストンとを備えている。ピストンには、ボール状または球状のホイールが配置されている。ピストンは、上方位置と下方位置との間で、ばねを備えるクリックシステムを用いて移動可能である。ピストンが下方位置にあるとき、家具は、家具が立設している床を横切って転動することができ、一方、ピストンが上方位置にあるとき、ホイールは、円筒状スリーブ装置の内側にあり、したがって、転動装置が配置された家具の脚部は床の上に静止する。したがって、小さな力が家具に加えられたときに、床を横切って不用意に転動することなく、家具は所望の位置に静止する。この解決策は完全に機械的である。
【0007】
特許文献2に記載されているさらなるバージョンにおいて、出願人は、転動装置の概念をさらに進化させた。特許文献2は、表面に沿って第1の位置から第2の位置に装置を自律的に移動させる構造のための転動装置を提示する。転動装置は、位置取得および与えられた位置および移動命令にしたがって転動要素の移動を制御する。特許文献3および特許文献1に記載されているように、転動要素は、転動装置に対して設定即ち固定垂直位置を有してもよいし、ホイール要素が表面に沿って移動するのを防止する格納位置と、ホイール要素が表面に沿って移動する準備ができている伸長位置との間で変位するように構成されてもよい。
【0008】
本出願人による特許文献4には、転動装置と、搬送体と、各転動装置のための少なくとも1つのインターフェース要素を含む、表面上で物体を搬送するための搬送アセンブリが記載されている。インターフェース要素は、転動装置を搬送体に連結するように適合されている。
【0009】
記載された装置およびシステムは、例えば、自律移動(搬送)ロボット(AMR)として使用することができる。AMRは、操舵、加速、制動を制御するために運転手の直接入力や事前設定スクリプトなしに動作が生じる、ロボットである。産業環境内では、AMRは、施設内を動的に移動するためのセンサおよびナビゲーションアルゴリズムを利用し、インフラフリーおよび機械学習機能は、新たな状況に遭遇するにつれてロボットがより効率的かつ正確になることを可能にする。これにより、AMRは、モニタリングなしで、変化する環境に自動的に適応することができる。
【0010】
特許文献5には、円筒状回転体を備えた作業装置が記載され、円筒状回転体は、草刈り、枝切り、伐採、耕耘、除雪など、作業装置が用いられる用途に基づいて伸縮するように構成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】ノルウェー特許第316760号明細書
【特許文献2】国際公開第2018/138320号
【特許文献3】欧州特許出願公開第3102429号明細書
【特許文献4】ノルウェー特許出願第20201025号明細書(ノルウェー特許出願公開第20201025号明細書)
【特許文献5】国際公開第2020/196733号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、例えば、表面上で物体を搬送するためのAMRまたはその他の種類の搬送アセンブリと共に使用するための調整可能な搬送体を提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、ユーザの特定のニーズに自動的に適応することが容易な、さまざまな物体に使用することができる搬送手段を提供することである。
【0014】
本発明のさらなる目的は、表面上で物体を搬送するための搬送アセンブリ、および、さまざまな物体のフレキシブルな搬送を提供する、物体に搭載または一体化するためのインターフェース要素を提供することである。
【0015】
本発明の目的は、特許請求の範囲の特徴によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一実施形態において、表面上の搬送のための調整可能な搬送体は、矩形を形成する少なくとも4つのサイドビームを有するフレームと、搬送体に連結された少なくとも4つの転動装置とを含む。各サイドビームは、収縮位置と伸長位置との間で互いに摺動可能な少なくとも2つの伸縮要素を含み、調整可能な搬送体は、アクチュエータを制御するアクチュエータユニットを備え、アクチュエータは、調整可能な搬送体内の中央制御ユニットからの信号に基づいて、少なくとも2つの伸縮要素を互いに摺動させるように構成されている。
【0017】
一実施形態において、アクチュエータユニットは、アクチュエータとアクチュエータロッドとを備えてもよい。アクチュエータは、リニアアクチュエータ、例えば、機械式リニアアクチュエータである。機械式リニアアクチュエータは、通常、回転運動を直線運動に変換することによって作動する。変換は、一般に、少数の単純なタイプの機構を介して行われる。
・ネジ:リードスクリュー、スクリュージャッキ、ボールネジおよびローラネジアクチュエータはすべて、ネジとして知られている簡単な機械の原理上で作動する。アクチュエータのナットを回転させることにより、ネジ軸が直線上を移動する。
・ホイールおよび車軸:ホイスト、ウインチ、ラックアンドピニオン、チェーン駆動装置、ベルト駆動装置、剛性チェーンおよび剛性ベルトアクチュエータは、ホイールおよび車軸の原理で作動する。回転ホイールは、ケーブル、ラック、チェーンまたはベルトを移動させて直線運動を生成する。
・カム:カムアクチュエータは、ウェッジと同様の原理で機能するが、比較的制限された走行を提供する。ホイール状のカムが回転すると、その偏心形状がシャフトの基部に推力を与える。
【0018】
一実施形態において、リニアアクチュエータは、アクチュエータユニットの内外に移動可能なアクチュエータロッドを有している。
【0019】
本発明の一実施形態において、アクチュエータは、ユーザ装置からの信号に基づく、自動制御アクチュエータであってもよい。アクチュエータは、アクチュエータロッドを内部に有するアクチュエータユニットと、アクチュエータユニットを制御するための信号を提供する中央制御ユニットとを備えてもよい。さらに、中央制御ユニットから得られた信号に基づいて、アクチュエータユニットは、ユーザによってユーザ装置上で入力された一組の寸法のとおりに伸縮要素を構成するように、伸縮要素制御ユニットに信号を送ってもよい。
【0020】
調整可能な搬送体は、搬送体に搭載され、各転動装置を受容して搬送体に連結するように適合されたインターフェース要素をさらに備えてもよい。
【0021】
幾つかの実施形態において、各転動装置は、中央制御ユニットによって制御されたときの自律運転のための駆動手段と、通信手段と、センサとを備えている。
【0022】
転動装置は、ホイールの全方向移動を容易にするメカナムホイールであってもよい。これにより、ユーザの所望に応じて搬送アセンブリの調整および移動が可能となる。ユーザ入力寸法を取得すると、中央制御ユニットはまた、ユーザからの寸法に応じて適合するようにメカナムホイールに信号を送る。全方向性によって、搬送アセンブリのフレームをホイールに対して静止位置に維持しながら、メカナムホイールが、長さおよび幅を適合させるように移動することが可能となる。これにより、搬送アセンブリを、ユーザが所望する任意の方向に移動させることができる。
【0023】
サイドビームはまた、伸縮要素を固定位置に係止するための係止要素を含んでもよい。
【0024】
1つの構成において、少なくとも2つのサイドビームは、3つの伸縮要素を含み、1つの中間要素は、アクチュエータユニットからの信号に基づいて2つの外側要素の内側で摺動することができ、アクチュエータユニットは、ユーザ装置からの信号を受信する中央制御ユニットによってさらに制御される。
【0025】
フレームは、矩形を横切って配置され、サイドビームのうちの2つに平行に、かつ、他のサイド要素の2つに直交して配置された少なくとも1つの横ビームをさらに含み、2つの直交ビームが交わる各コーナーに転動装置が配置されている。
【0026】
調整可能な搬送体は、搬送体の位置を検出するためのセンサを備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明による調整可能な搬送体を示す図である。
図2】伸長状態および収縮状態にある調整可能な搬送体を示す図である。
図3】表面上で物体を搬送するための、6つのホイールを有する搬送アセンブリの一例を示す図である。
図4】表面上で物体を搬送するための、6つのホイールを有する搬送アセンブリの一例を示す図である。
図5】ユーザの入力に基づいて自動的に制御される調整可能な搬送体のブロック図である。
図6】ユーザの入力に基づいて調整可能な搬送体および伸縮要素を自動的に制御する方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【0029】
表面上での搬送のための調整可能な搬送体10が図1ならびに図2図2Aおよび図2B)に示されている。調整可能な搬送体10は、矩形を形成する少なくとも4つのサイドビーム12を有するフレーム11と、搬送体に連結された少なくとも4つの転動装置とを備えている。サイドビーム12の各々は、例示的な実施形態において、収縮位置と伸長位置との間で互いに摺動可能な3つの伸縮要素14、15、16を含む。他の実施形態において、サイドビームのうちの2つのみが伸縮要素を備えてもよく、幾つかの実施形態において、2つまたは3つより多くの伸縮要素があってもよい。
【0030】
3つの伸縮要素14、15、16は、この例では、正方形の断面を有するが、他の実施形態では、断面は、円形、丸みを帯びた形、または三角形などのその他の形状を有してもよい。伸縮要素14の少なくとも1つは中空であり、他の伸縮要素15の外側断面よりも大きい内側断面を有し、より小さい断面を有する伸縮要素がより大きい断面を有する伸縮要素内で摺動することを可能にする。図示の例では、3つの伸縮要素14、15、16は、1つの中間要素15と2つの外側要素14、16とを含み、外側要素は中空である。中間要素15の外側断面は、外側要素14、16の内側断面よりも小さく、中間要素が外側要素の内側で摺動することを可能にする。
【0031】
このように、フレーム11のサイドビーム12を伸縮させることができ、したがって調整可能な搬送体10の形状や大きさを変更することができる。図2Aにおいて、4つのサイドビームはすべて、伸縮要素が伸長位置に摺動された伸長状態にある。図2Bにおいて、サイドビームはすべて、伸縮要素14、15、16が収縮位置にある収縮状態にある。図から分かるように、搬送体10の幅および長さは、図2Aにおいて図2Bにおけるよりも著しく大きい。当然ながら、両極間の任意の中間位置に要素を摺動させることができる。伸縮要素の全てを伸長するかひとつも伸長しない必要はなく、例えば、2つの平行ビームのみを伸長し他の2つを収縮させてもよい。
【0032】
このようにサイドビームの大きさを変えることができるため、調整可能な搬送体10をさまざまな環境に適合させることができ、同じ搬送体を狭い通路およびより広い空間がある部屋で使用することができる。例えば、2つの平行ビームを、調整可能な搬送体がドアを通過するときには収縮させ、次に、ドアを通過した後に伸長させることができる。サイドビームは、幾つかの実施形態において、サイドビームが所望の長さを維持することが望まれる状況のために、伸縮要素を固定位置に係止するための係止要素を備えることができる。
【0033】
調整可能な搬送体10は、伸縮要素を互いに対して摺動させるように構成されたアクチュエータを備えることができる。アクチュエータは、例えば、要素を移動させるように構成されたリニアアクチュエータまたは自動アクチュエータであり、図5および図6においてその詳細を後述する。リニアアクチュエータは、例えば、アクチュエータユニットに出入り可能なアクチュエータロッドを有していてもよい。このとき、アクチュエータロッドおよびアクチュエータは、アクチュエータを作動させたときに相対移動が駆動されるように、それぞれ、伸縮要素に連結されてもよい。アクチュエータは、収縮位置、伸長位置、これら2つの極端位置の間の位置などの所望の位置に伸縮要素を摺動させるための命令を有する制御信号を受信するための通信手段を備えることができる。制御信号は、例えば、ユーザ装置からユーザによって送られてもよい。
【0034】
転動装置は、中央制御ユニットによって制御されたとき自律運転を行うための駆動手段、通信手段、およびセンサを備えることができる。このことは、調整可能な搬送体が、さまざまな環境を通って運行することができる自律搬送体であり得ることを意味する。同じ中央制御ユニットが、アクチュエータも制御することができる。
【0035】
転動装置13は、メカナムホイールであってもよく、これは、中央制御ユニットによって制御され、搬送体がその全方向性によって任意の方向に移動するのを可能とし、ユーザ命令に基づいて調整される。メカナムホイールはまた、粗い表面、狭い空間を通っての輸送体の容易な運行、および、搬送アセンブリのフレーム11を静止状態に維持しながら移動中の長さや幅等の形状の変化を容易にする。
【0036】
運行を容易にするために、調整可能な搬送体は、搬送体の位置を検出するためのセンサ17を備えている。センサからのデータは、中央制御ユニットにおいて、運行のためおよび搬送体10の大きさや形状を決定するために用いてもよく、あるいは、データは、調整可能な搬送体を監視するために、ユーザ装置などの遠隔受信機に送られてもよい。
【0037】
転動装置13および/または搬送体の位置を検出して取得するさまざまな方法がある。1つの方法は、例えば、転動装置13に設置された動き検出センサなどの内部手段を使用することである。別の方法は、カメラなどの外部手段を使用すること、または、基準点から転動装置13までの距離を測定するためのLidarを使用することである。別の例は、転動装置13または調整可能な搬送体10に連結されたRFIDチップを使用することである。更に別の方法は、転動装置13の位置を決定するために、転動装置13に連結された超音波送信機またはBluetooth(登録商標)送信機を使用することである。正確な位置は、次いで、三角測量によって求めることができる。
【0038】
内部センサおよび位置検出装置は、動作中の領域における転動装置13の位置を追跡することができる。ホイールエンコーダおよび慣性計測ユニット(IMU)は、動き検出センサとして使用することができ、オドメトリは、センサからの生成データに基づいて現在位置を決定するために使用することができる。
【0039】
図3および図4は、表面上で物体を搬送するための搬送アセンブリ30の一例を示す。搬送アセンブリ30は、この例では、6つの転動装置31と、搬送体32と、転動装置31を搬送体32に連結するためのインターフェース要素33とを備えている。転動装置の数は、予定の用途に適合されてもよく、その他の構成において6よりも多くても少なくてもよい。より多くの重量またはより大きな物体を搬送することができるように、より多くの転動装置を使用することができる。この例では、搬送体32は、矩形を横切って、かつ、2つのサイドビーム34に平行で他の2つのサイドビーム35に直交して配置された横ビーム37を備え、2つの直交ビームが交わる各コーナーに転動装置が配置されている。
【0040】
図3および図4に示される本実施形態において、転動装置13はメカナムホイールであり、その全方向移動により、搬送アセンブリフレームをホイールと比べて相対的に静止させながら、伸縮ガイド要素に対応したユーザの入力寸法のとおりに移動するようにホイールを適合させることにより、搬送体を任意の方向に移動させることができる。
【0041】
搬送体32は、この例では、各々が2つの端部を有する細長形状材34、35からなり、各端部は、インターフェース要素に連結されるように適合された取付手段36を備えている。
【0042】
この実施形態において、取付手段36は、細長形状材の端部に連結されるように適合されたコーナー要素である。以下、コーナー要素についてより詳細に説明する。
【0043】
細長形状材34、35とコーナー要素36とは併せてフレームを形成し、これは、本実施形態では、搬送中に搬送対象物を支持することができる搬送体である。
【0044】
図5は、ユーザの入力に基づいて自動的に制御される調整可能な搬送体のブロック図を示す。図示されているのは、伸縮要素の伸長および収縮を制御するための制御要素を備えた調整可能な搬送体10の拡大図である。調整可能な搬送体10は、アセンブリ内の中央制御ユニット44と、アクチュエータユニット43と、伸縮要素制御ユニット45とを備えている。これらの要素は、ユーザ装置41上でユーザが指定または入力した寸法を達成するために、伸縮要素14、15、16をメカナムホイール13の移動に関連して摺動させることにより、伸縮要素14、15、16の自動調整および制御を可能にする。一実施形態において、この実施例のユーザ装置41はモバイル装置、タブレット、コンピュータなどであり、ユーザ装置41上のソフトウェア43を用いて構成されてもよい。ソフトウェア43は、インストールまたはダウンロードされたプログラムであってもよいし、ユーザ装置41上のアプリであってもよい。
【0045】
ユーザが、調整可能な搬送体10を用いて移動しようとする物品や商品の寸法を決定すると、ユーザは、ユーザ装置41上のソフトウェア43上で、例えば、長さおよび幅(横幅)などの寸法を入力することができる。入力された寸法に基づいて、ソフトウェア43は、無線または当分野において公知のその他の通信機構により信号を送信することによって、搬送アセンブリ10上の中央制御ユニット44と通信する。信号を取得した中央制御ユニット44は、アクチュエータユニット43と通信してアクチュエータユニット43を制御し、ユーザによって入力された寸法に基づいて伸縮要素14、15、16の位置を調整する。中央制御ユニット44はまた、メカナムホイール13に信号を送り、長さおよび幅の入力に基づいて、その動きを調整する。メカナムホイールは、移動体のフレームに関してその位置を適合させるように移動する。最後に、伸縮要素制御ユニット45が、ユーザによって入力された所望の寸法を達成するために、伸縮要素の実際の調整を実行してもよい。
【0046】
一実施形態において、ユーザは、物体の長さおよび幅に加えて、物体の高さを入力してもよく、それにより、搬送体10も、特定の物体の長さ、幅、および高さに基づいてその移動を容易にするように調整される。この特徴は、メカナムホイール13の全方向移動によって可能となる。
【0047】
一実施形態において、ユーザはまた、ユーザ装置41上で物体の寸法を動的に変更してもよい。この場合、中央制御ユニット44は、ユーザ装置41からの信号を新たな寸法と共に受信してもよい。次いで、中央制御ユニット44は、ユーザが入力した寸法のとおりに、伸縮ガイド要素14、15、16およびメカナムホイール13を動的に(即ち、作動中または作動前に)設定することができる。
【0048】
図6は、ユーザの入力に基づいて調整可能な搬送体および伸縮要素を自動的に制御する方法のフロー図である。この例では、ユーザは、ユーザ装置上で、第1の位置から第2の位置に移動させたい物体の寸法を入力する(ステップ601)。入力される寸法は、長さおよび幅であってもよい。この例では記載しないが、搬送体10の高さを設定することも可能である。ステップ602では、入力された寸法をユーザ装置41上のソフトウェア43によって確認し、データの有効性を判定および検証する。そして、ユーザ装置41は、搬送体上の中央制御ユニット44に信号を送る。その後、中央制御ユニット44は、アクチュエータユニット43に信号を送り(ステップ603)、アクチュエータユニットが伸縮部材14、15、16の位置を調整するのを容易にする。アクチュエータは、ユーザによって入力された事前設定寸法に基づいて、アクチュエータロッドを移動させ、伸縮部材14、15、16の位置決めを調整する(ステップ604)。この移動は、搬送アセンブリに対する転動装置の位置を調整することによって、転動装置(移動のための全方向性を有するメカナムホイール)13によって容易となる。そして、調整可能な搬送体10は、所望の物体を運ぶ準備ができ、ユーザによる所望の場所に物体を移動する。一実施形態において、調整可能な搬送体10は、上述のように、自律転動装置13によって移動される物体の下方にそれ自体を自動的に配置するように構成されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-05-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上での搬送のための調整可能な搬送体(10)を有する自律移動ロボットであって、矩形を形成する少なくとも4つのサイドビーム(12)を有するフレーム(11)と、前記搬送体に搭載され、転動装置(13)を受容して前記搬送体に連結するように適合されたインターフェース要素(33)と、前記搬送体に連結された少なくとも4つの転動装置(13)とを含む自律移動ロボットにおいて、
前記サイドビーム(12)のうちの少なくとも2つの各々が、
収縮位置と伸長位置との間で互いに摺動可能な少なくとも2つの伸縮要素(14、15、16)と、
ユーザ装置から受信した前記入力に基づいて前記少なくとも2つの伸縮要素を互いに摺動させるように構成されたアクチュエータとを備え
前記転動装置は自律型である、自律移動ロボット
【請求項2】
前記ユーザ装置から信号を受信するように構成された中央制御ユニット(44)と、
前記中央制御ユニットからの信号を取得して前記伸縮要素を移動させるアクチュエータユニット(43)と、
前記アクチュエータユニットが前記アクチュエータロッドを移動させたときに、前記伸縮要素(14、15、16)の位置を伸長位置または収縮位置に調整するように摺動する伸縮要素制御ユニット(45)とをさらに備える、請求項1に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項3】
前記ユーザ装置からの前記入力が、前記搬送体が搬送している前記物体の長さ、幅、高さの少なくとも1つである、請求項2に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項4】
各転動装置(13)は、中央制御ユニット(44)によって制御されたときの自律運転のための駆動手段と、通信手段と、センサとを備える、請求項1に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項5】
前記アクチュエータが、アクチュエータユニット(43)の内外に移動可能なアクチュエータロッドを有するリニアアクチュエータであり、前記アクチュエータロッドは、前記伸縮要素(14、15、16)のうちの1つに連結されている、請求項1~のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項6】
前記アクチュエータが、前記伸縮要素を前記収縮位置、前記伸長位置、または、それらの間の位置に摺動させるための命令を有する制御信号を受信する、請求項1~のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項7】
前記サイドビームが、前記伸縮要素を固定位置に係止するための係止要素を備える、請求項1~のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項8】
前記伸縮要素の少なくとも1つが中空であり、少なくとも1つの前記伸縮要素が、前記中空の伸縮要素の内側断面よりも小さい外側断面を有し、より小さい断面を有する前記伸縮要素が、より大きい断面を有する前記伸縮要素内で摺動することを可能にする、請求項1~のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項9】
前記少なくとも2つのサイドビームが3つの伸縮要素(14、15、16)を含み、1つの中間要素(15)が前記2つの外側要素(14、16)の内側で摺動可能である、請求項1~のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項10】
前記矩形を横切って配置され、前記サイドビームのうちの2つに平行に、かつ、前記他方のサイド要素のうちの2つに直交して配置された少なくとも1つの横ビームをさらに含み、2つの直交ビームが交わる各コーナーに転動装置が配置されている、請求項1~のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項11】
前記搬送体の位置を検出するためのセンサを備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項12】
前記転動装置(13)は、メカナムホイールである、請求項1~11のいずれか一項に記載の調整可能な搬送体(10)。
【請求項13】
ユーザからの入力に基づいて、伸長可能位置と収縮可能位置との間で調整可能な搬送体(10)の位置を調整する方法であって、
ユーザ装置(41)からのユーザによる入力を送信するステップであって、前記入力は物体の寸法である、ステップと、
前記調整可能な搬送体(10)の前記中央制御ユニット(44)において信号を受信するステップと、
前記中央制御ユニット(44)からの前記信号を受信すると、アクチュエータユニット(43)によって前記伸縮要素の位置を制御するステップと、
前記物体の寸法に基づいて前記伸縮要素の位置を設定するステップとを有する、方法。
【請求項14】
前記物体の寸法は、長さ、幅、高さのうちの少なくとも1つである、請求項13に記載の方法。
【国際調査報告】