(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】改良されたエラストマー積層造形用組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240405BHJP
C08L 73/00 20060101ALI20240405BHJP
C08L 53/02 20060101ALI20240405BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20240405BHJP
C08K 5/098 20060101ALI20240405BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20240405BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20240405BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240405BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20240405BHJP
B32B 25/00 20060101ALI20240405BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L73/00
C08L53/02
C08L77/00
C08K5/098
B33Y70/00
B29C64/118
B33Y80/00
B29C64/314
B32B25/00
B32B27/30 B
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023559096
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-11-24
(86)【国際出願番号】 US2022025038
(87)【国際公開番号】W WO2022225816
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514073570
【氏名又は名称】ジャビル インク
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】フライ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン,ザッカリー
(72)【発明者】
【氏名】レッシュ,レヴィ
【テーマコード(参考)】
4F100
4F213
4J002
【Fターム(参考)】
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK12A
4F100AK12B
4F100AK46A
4F100AK46B
4F100AK54A
4F100AK54B
4F100AK56A
4F100AK56B
4F100AK73A
4F100AK73B
4F100AL02A
4F100AL02B
4F100AL09A
4F100AL09B
4F100BA02
4F100CA23A
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4J002EG036
4J002EG046
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4J002GF00
(57)【要約】
積層造形に有用な組成物は、脂肪族ポリケトンとブレンドされた熱可塑性エラストマーで構成され、該熱可塑性エラストマーは、ポリケトンの分離ドメインが分散した連続相である。この組成物は、該組成物の加熱及び押出を利用して、組成物の融着層で構成される物品を印刷する押出物を形成する、積層印刷法に有用である。該組成物は、押出成形をベースとしたエラストマー積層造形物品の形成を容易にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ポリケトンとブレンドされた熱可塑性エラストマーであって、ポリケトンの分離ドメインが分散した連続相である、熱可塑性エラストマー
を含む、組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエーテルブロックアミドエラストマー、又はそれらの組合せである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリケトンが、前記組成物の約1質量%から25質量%の量で存在する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、A-B-A又はA-B-A-B-Aのいずれかの形態を有するブロック共重合体であり、ここで、Aはビニル芳香族ポリマーブロックであり、Bは共役ジエンブロックである、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、スチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン(SEBS)熱可塑性エラストマーである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリケトンが、前記ポリケトン及び熱可塑性エラストマーの1質量%から15質量%の量で存在する、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記ドメインが、約0.1マイクロメートルから1ミリメートルの平均サイズを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ドメインが、約0.1マイクロメートルから500マイクロメートルの平均サイズを有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が前記ポリエーテルブロックアミド共重合体を含み、前記組成物が、
約30~60のショアD硬度値、
少なくとも約5MPaの破断点における引張強度、
少なくとも約150MPaの弾性係数、又は
300%を超える垂直方向の破断伸び
のうちの1つ以上を有する、請求項2から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物がフィラメントである、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記フィラメントが約1ミリメートルから約3ミリメートルの直径を有する、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
摩擦調整剤をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記摩擦調整剤がステアレートである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記熱可塑性エラストマーがポリエーテルブロックアミド共重合体である、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、約30から60のショアD硬度及び少なくとも約300%の破断伸びを有する、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物のショアD硬度が前記ポリエーテルブロックアミド共重合体のショアD硬度の20%以内であり、前記組成物が前記ポリエーテルブロックアミド共重合体の引張係数より少なくとも約50%大きい引張係数を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
互いに融着されてなる請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物の少なくとも2つの層を含む積層造形物品。
【請求項18】
前記物品が溶融フィラメント製造によって形成される、請求項17に記載の積層造形物品。
【請求項19】
積層造形物品を形成する方法であって、
(i)請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物を加熱し、印刷ヘッドを通して押出成形して、押出物を形成する工程、及び
(ii)前記押出物を複数の融着層へと制御可能に堆積して、前記積層造形物品を形成する工程
を含む、方法。
【請求項20】
前記押出成形する工程が、Bowdenチューブを有する3Dプリンタによるものである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が、約0.5ミリメートルから3ミリメートルの直径を有するフィラメントである、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
互いに融着又は接着した複数の層を含む積層造形物品を含む物品であって、少なくとも2つの層が、脂肪族ポリケトンとブレンドされた熱可塑性エラストマーを含む組成物を含み、前記熱可塑性エラストマーが、ポリケトンの分離ドメインが分散した連続相である、物品。
【請求項23】
前記ポリケトンが、前記熱可塑性エラストマー及びポリケトンの1質量%から25質量%の量で存在する、請求項22に記載の物品。
【請求項24】
前記熱可塑性エラストマーが、スチレン-(ブタジエン)-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-イソプレン-ブチレン-スチレン(SIBS)、及び/又はスチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン(SEBS)、又はポリエーテルブロックアミド共重合体(PEBA)のうちの1つ以上を含む、請求項23に記載の物品。
【請求項25】
前記層がさらに摩擦調整剤を含む、請求項22から24のいずれか一項に記載の物品。
【請求項26】
ポリケトンの前記ドメインが、約0.5マイクロメートルから500マイクロメートルの平均サイズを有する、請求項25に記載の物品。
【請求項27】
前記層がさらに充填剤を含む、請求項26に記載の物品。
【請求項28】
前記物品が溶融フィラメント製造によって形成される、請求項22から27のいずれか一項に記載の物品。
【請求項29】
熱可塑性エラストマーと、シアヌレート化合物、細断されたポリアミド、及びそれらの組合せからなる群より選択される接着促進剤とのポリマーブレンドを含む組成物であって、前記細断されたポリアミドが、該細断されたポリアミドの約0.5質量%から5質量%の量の細断用化合物によって細断される、組成物。
【請求項30】
前記接着促進剤が前記ポリアミドであり、前記細断用化合物がトリメリット酸無水物又はヘキサヒドロフタル酸無水物である、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記ポリアミドがナイロン6,69である、請求項29又は30に記載の組成物。
【請求項32】
前記接着促進剤が前記シアヌレート化合物であり、該シアヌレート化合物がメラミンシアヌレートである、請求項29に記載の組成物。
【請求項33】
前記接着促進剤が、前記熱可塑性エラストマー及び接着促進剤の5質量%から20質量%である、請求項29から32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記熱可塑性エラストマーが、軟質ポリエーテルと硬質ポリアミドを含む、請求項29から33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
積層造形物品を形成する方法であって、
(i)請求項29から34のいずれか一項に記載の組成物を加熱し、印刷ヘッドを通して押出成形し、押出物を形成する工程、及び
(ii)前記押出物を複数の融着層へと制御可能に堆積して、前記積層造形物品を形成する工程
を含む、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法によって製造された前記物品を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、積層造形に有用なエラストマー熱可塑性組成物に関する。特に、該組成物は溶融フィラメント製造(FFF)に有用である。
【背景技術】
【0002】
三次元(3D)印刷プロセスとしても知られる、さまざまな積層造形プロセスを使用して、ある特定の材料を特定の位置及び/又は層に融着又は接着することによって三次元物体を形成することができる。材料をコンピュータ制御下で結合又は固化して(例えば、コンピュータ支援設計(CAD)モデルから作業して)、液体分子、ポリマーを含む押出材料、又は粉末粒子などの材料を使用して三次元物体を生成することができ、これらは、層ごとの手法及び印刷ヘッド堆積手法を含むさまざまな方法で融着及び/又は積層することができる。さまざまなタイプの積層造形プロセスには、結合剤噴射、指向性エネルギー堆積、材料押出、材料噴射、粉末床溶融、シート積層、液槽光重合、及び溶融フィラメント製造が含まれる。
【0003】
溶融フィラメント製造(FFF)は、1つ以上の熱可塑性材料を含みうる連続フィラメントを使用する積層造形プロセスである。フィラメントは、移動する加熱された押出機印刷ヘッドを通じてコイルから吐出され、印刷ヘッドから3次元で堆積されて印刷された物体を形成する。印刷ヘッドは、2次元(例えば、x-y平面)内で移動して、一度に印刷される物体の1つの水平面又は層を堆積する。印刷ヘッド及び/又は印刷される物体は、第3の次元(例えば、x-y平面に対するz軸)内に移動して、以前に堆積された層に接着する後続の層を開始するが、これについては特許文献1及び2にさらに記載されている。この技法はフィラメントの溶融及び押出成形を必要とすることから、材料は熱可塑性ポリマーに限定されていた。典型的には、FFF法による印刷に最も成功している熱可塑性物質は、脂肪族ポリアミド(例えば、ナイロン6,6)である。
【0004】
熱可塑性ポリウレタン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などの熱可塑性エラストマー(TPE)は、FFFによって積層造形されていると報告されているが、吸水性及び反りのない物品を印刷することが困難であること、さらにはプリンタの印刷ヘッド及びガイドチューブの送り装置に固着を引き起こすなどの問題により、商業的には実質的な成功を収めていない。特に、TPEフィラメントは、その柔軟性と粘着性に起因して、低摩擦チューブ(例えば、テフロン(登録商標)などのフッ素ポリマーチューブ)を通して加熱された押出印刷ヘッドまでフィラメントを押し出すBowden押出機を使用して印刷を成功させるのが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,121,329号明細書
【特許文献2】米国特許第5,503,785号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述したような材料の3D印刷の問題、特にBowden押出機を使用して印刷する能力の問題の1つ以上を回避する熱可塑性エラストマー組成物を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
熱可塑性エラストマー共重合体(TPE)は、脂肪族ケトンとブレンドすると、弾性係数が増加し(より硬くなり)、摩擦係数が減少(粘着性が低下)するが、著しく硬くなるか、又は破断伸びが低下したりすることはない(所望のエラストマー特性を維持する)ことが見出された。これらの独特で予想外の特性の組合せは、特にBowdenチューブを備えた3Dプリンタを使用する場合に、エラストマー物品の積層造形を容易にする。
【0008】
本発明の第1の態様は、脂肪族ポリケトンとブレンドされた熱可塑性エラストマーを含む積層造形組成物であり、熱可塑性エラストマーは、ポリケトンの分離ドメインが分散した連続相である。該積層組成物は、上述のFFFなどの任意の押出ベースの積層造形法、又はベース層及び後続の層上に制御可能に堆積されるノズルを通じた粉末又はペレットの加熱及び融着を包含する他の押出法で使用することができる。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様の組成物を加熱し、印刷ヘッドを通して押出成形して押出物を形成する工程、及び、押出物を複数の融着層へと制御可能に堆積して、積層造形物品を形成する工程を含む、積層造形物品を形成する方法である。
【0010】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様の組成物の互いに融着された少なくとも2つの層で構成された積層造形物品である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の技術の説明は、1つ以上の発明の主題、製造、及び使用の本質において単に例示的なものであり、本出願、又は本出願に対する優先権を主張して提出される可能性のある他の出願、又はそこから発行される特許において請求されるいずれかの特定の発明の範囲、用途、又は使用を制限することを意図したものではない。別途明示的に示されている場合を除き、この説明におけるすべての数値量は、技術の最も広い範囲を説明する際に、「約」という言葉によって修飾されているものとして理解されるべきであり、すべての幾何学的及び空間的記述子は、「実質的に」という言葉によって修飾されているものとして理解されるべきである。数値に適用される場合の「約」は、計算又は測定により値に若干の誤差が許容されることを示している(値の正確さに対する何らかの手法で;値に近似している又は合理的に近い;ほぼ)。何らかの理由で、「約」及び/又は「実質的に」によってもたらされる不正確さが、この通常の意味で当該技術分野において他の方法で理解されない場合、本明細書で用いられる「約」及び/又は「実質的に」は、少なくとも、そのようなパラメータを測定又は使用する通常の方法から生じうる変動を示す。
【0012】
組成物は、熱可塑性エラストマー(TPE)で構成される。TPEは、スチレン系熱可塑性エラストマー(STPE)、ポリエーテルブロックアミドエラストマー(PEBA)、又はそれらの混合物でありうる。STPEは、重合ビニル芳香族単量体の少なくとも2つの異なるブロックと、重合共役アルケン単量体の少なくとも1つのブロックから構成されるブロック共重合体であり、各ブロック共重合体は、炭素原子数最大20までのビニル芳香族単量体と、次式の共役アルケン単量体との少なくとも2つのブロックを有する:
R2C=CR-CR=CR2
式中、各Rは、存在ごとに独立して、水素、又は炭素数1から4のアルキルであり、任意の2つのR基が環を形成してもよい。共役ジエン単量体は、少なくとも4個の炭素かつ約20個以下の炭素を有する。共役アルケン単量体は、2つ以上の共役二重結合を有するいずれかの単量体でありうる。このような単量体には、例えば、ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-メチル-1,3-ペンタジエン、及び同様の化合物、並びにそれらの混合物が含まれる。ブロック共重合体は、複数の特定の重合共役アルケン単量体を含むことができる。言い換えれば、ブロック共重合体は、例えば、ポリメチルペンタジエンブロックとポリイソプレンブロック、又は(一又は複数の)混合ブロックを含むことができる。概して、ブロック共重合体は、互いに結合した2つ以上の単量体単位の長い伸びを含む。適切なブロック共重合体は、典型的には、共役アルケン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とのブロックの総重量に基づいて、約30:70から約95:5まで、40:60から約90:10まで、又は50:50から65:35までの共役アルケン単量体単位ブロックのビニル芳香族単量体単位ブロックに対する量を有する。
【0013】
ビニル単量体は、典型的には、次式の単量体である:
Ar-C(R1)=C(R1)2
式中、各R1は、存在ごとに独立して、水素若しくはアルキルであるか、又は別のR1とともに環を形成し、Arは、フェニル、ハロフェニル、アルキルフェニル、アルキルハロフェニル、ナフチル、ピリジニル、又はアントラセニルであり、ここで、任意のアルキル基は1から6個の炭素原子を含み、任意選択的に官能基で一置換又は複数置換されていてもよい。置換された官能基の例には、ハロ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボニル、及びカルボキシル基などの基が含まれる。典型的には、ビニル芳香族単量体は、20個以下の炭素と単一のビニル基とを有する。一実施形態では、Arはフェニル又はアルキルフェニルであり、典型的にはフェニルである。典型的なビニル芳香族単量体には、スチレン(それによってシンジオタクチックポリスチレンブロックが生成される条件を含む)、α-メチルスチレン、ビニルトルエンのすべての異性体、とりわけパラビニルトルエン、エチルスチレンのすべての異性体、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、及びそれらの混合物が含まれる。ブロック共重合体は、複数の重合ビニル芳香族単量体を含むことができる。言い換えれば、ブロック共重合体は、純粋なポリスチレンブロックと純粋なポリ-α-メチルスチレンブロックとを含むことができ、あるいは任意のブロックがこのような単量体の混合物で構成されていてもよい。望ましくは、Aブロックはスチレンで構成され、Bブロックは、ブタジエン、イソプレン、又はそれらの混合物で構成される。一実施形態では、共役ジエン単量体由来の残存する二重結合が水素化される。
【0014】
本発明のSTPEブロック共重合体には、トリブロック、ペンタブロック、マルチブロック、テーパーブロック、及びスターブロック((AB)n)のポリマー(A(B’A’)xByで示される)が含まれ、ここで、すべての存在ごとに、Aはビニル芳香族ブロック又は混合ブロックであり、Bは不飽和アルケニルブロック又は混合ブロックであり、A’は、存在ごとに、Aと同じであっても、異なる成分又はMwであってもよく、B’は、存在ごとに、Bと同じであっても、異なる成分又はMwであってもよく、nはスター上のアームの数であり、かつ2から10、一実施形態では3から8、別の実施形態では4から6の範囲であり、xは≧1であり、yは0又は1である。一実施形態では、ブロックポリマーは対称的であり、例えば、各末端に等しいMwのビニル芳香族ポリマーブロックを有するトリブロックなどである。典型的には、STPEブロック共重合体は、A-B-A又はA-B-A-B-A型のブロック共重合体であろう。望ましくは、Bブロックは水素化されており、二重結合のかなりの部分(約50%、70%、又はさらには90%)が水素化され、二重結合の実質的にすべて(99%又は99.9%)が水素化される。
【0015】
STPEブロック共重合体は、Mwが約6,000、とりわけ約8,000の個々の重量平均分子量ブロックから、約15,000、約45,000までの合計重量芳香族ブロックを有する、ビニル芳香族単量体単位ブロックを有することができる。(一又は複数の)共役アルケン単量体単位ブロックの合計重量平均分子量は、約20,000、特に約30,000、さらに特に約40,000から約150,000まで、とりわけ約130,000まででありうる。
【0016】
STPEは、スチレン-(ブタジエン)-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-イソプレン-ブチレン-スチレン(SIBS)、及び/又はスチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン(SEBS)であることが望ましい。典型的には、スチレンブロックは熱可塑性の特性をもたらし、ブタジエンブロックはエラストマーの特性をもたらし、次のように表すことができる:
【0017】
【0018】
式中、x、y、及びzは、上記のブロックのMwを実現するための整数である。SBSの選択的水素化では、ブタジエン成分のC=C結合が排除されてエチレンとブチレンの中間ブロックが生成されるため、スチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン(SEBS)が得られる。SEBSは、耐熱性、機械的特性、及び耐薬品性が向上していることを特徴とすることができる。SEBSの構造例は次式で表すことができる:
【0019】
【0020】
式中、x、y、z、m、及びnは、上記のブロックのMwを実現するための任意の整数である。STPEは、スチレン-(ブタジエン)-スチレン、スチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン又はそれらの組合せで構成されることが望ましい。一実施形態では、STPEはSEBSで構成されており、供給源であるSBSの不飽和結合の実質的にすべてが水素化されている。
【0021】
PEBAは、当技術分野で知られているものなど、任意の有用なポリエーテルブロックアミドエラストマーでありうる。有用なPEBAの例は、各々が参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第3,384,681号;同第3,473,956号;同第3,549,724号;同第3,946,089号;同第4,031,164号;同第4,438,240号;及び、同第4,550,157号の各明細書に記載されている。PEBAは、ポリエーテルブロックアミド及びポリエーテルエステルブロックアミドであるポリマーを含むことができるものと理解される。
【0022】
例示的に、ポリエーテルアミドブロック共重合体は、ポリアミドとポリエーテルのブロックを含む。このようなブロックポリエーテルアミドポリマーは、次の繰り返し式で表すことができる:
【0023】
【0024】
式中、Sは、典型的には約500から6000の分子量を有する二官能性ポリエーテルポリマー(例えば、H2N-S-NH2)の残基である第1の鎖であり、Lは、アミド又は尿素のいずれかである連結基(例えば、-NH-CO-又は-NHCONH-)であり、Axは、-CONH-繰り返し単位を有するポリアミド又は-NH-CO-NH-繰り返し単位を有するポリウレアの単位構造を表し、ここで、各繰り返し単位は鎖内の炭素原子に結合しており、xは少なくとも1であり、yはブロック共重合体の平均分子量が少なくとも約30,000g/モルとなるような値である。PEBAのポリエーテルセグメントは、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド、オキシテトラメチレン又はそれらの組合せなどの2から8個の炭素を有するものなど、オキシアルケンの繰り返し単位でありうる。
【0025】
ポリエーテルエステルブロックアミド共重合体は、次の繰り返し式で表すことができる:
【0026】
【0027】
式中、Rは、例えば、ジカルボン酸ポリアミドの2つの末端カルボン酸基の喪失から誘導されるポリアミド部分を表し、R’は、例えば、ポリオキシアルキレングリコール又はジアミンからの2つの末端ヒドロキシ又はアミノ基の喪失によって誘導されるポリオキシアルキレン部分である。
【0028】
有用なTPEは、典型的には、ショアA硬度値が約50~90又は60から80(ASTM D 2240/ISO868/ISO7619)、引張強度が垂直方向に約3~8、4~7、又は5~6MPa(ASTM D412/ISO37)、100%での引張強度が垂直方向に約2から6、3~5.5、又は3.5~4.5MPa(ASTM D412/ISO 37)、垂直方向の破断伸びが約200%~700%、300%~600%、又は400%~500%(ASTM D412/ISO37)、引裂強度が垂直方向に約15kN/mから60kN/m、20kN/mから50kN/m、25kN/mから45kN/m、又は34kN/mから42kN/m(ASTM D624/ISO34)、比重(相対密度)が約0.8から1.0(ASTM D792/ISO1183)である。STPEの210℃におけるメルトフローレート(MFR)は、任意の有用なMFRであってよいが、典型的には、210℃、2.16Kg(ASTM D1238)で約10、20、50、60、70、80、90g/10分から150、140、130、120、又は110g/10分までである。
【0029】
TPEは、FFFによって物品を形成するときに、STPEが印刷され、前後の層に融着又は接着するのに十分な流動性を有するように、印刷条件で特定のレオロジー挙動を示すことが望ましい。例えば、STPEの粘度は、積層造形堆積温度(約180℃、190℃、200℃、又は210℃から約250℃、240℃、又は230℃までなどの押出温度)において、ずり減粘挙動を示すことが望ましい。特に、低剪断(1秒-1)における見かけの粘度は、高剪断(5000秒-1)における粘度と比較して、約200、150、100、50、又は25倍大きく、低剪断(1秒-1)における粘度は約1000から5000Pa・sである。粘度は、当技術分野で知られているものなど、任意の適切なレオメータによって測定することができる。例えば、適切なレオメータは、Instron CEAST 20キャピラリレオメータ(Instron of Norwood社、米国マサチューセッツ州所在)である。
【0030】
適切なSTPEとしては、Kuraray社(米国テキサス州ヒューストン所在)のSEPTON及びHYBRARなどの商品名で市販されているものが挙げられる。適切でありうるSTPEは、Audia Elastomers社(米国ペンシルベニア州ワシントン所在)からも商品名TPEで入手可能である。他の適切なSTPEとしては、Dynasol社から商品名CALPRENE、Kraton Corporation社(米国テキサス州ヒューストン所在)から商品名KRATONで入手可能なSTPE、Mexpolimeros社(メキシコ国所在)、及び旭化成株式会社(日本国)から商品名ASAPRENE及びTUFPRENEで入手可能なものを挙げることができる。適切なPEBAには、次の商品名を有するものが含まれうる:PEBAX(Arkema Inc.社(米国ペンシルベニア州所在)から入手可能);HYTREL(Dupont社(米国デラウェア州所在)から入手可能);及び、VESTAMID(Evonik社(ドイツ国所在)から入手可能)。TPEはまた、DSM社(オランダ国)から入手可能な商品名ARNITELの下で入手可能なものなど、熱可塑性エラストマーコポリエステルであってもよい。
【0031】
本発明のブレンドの製造に使用することができるポリケトンポリマーは、一酸化炭素と少なくとも1つのエチレン性不飽和炭化水素との直鎖状脂肪族交互共重合体である。ポリケトンポリマーの前駆体として有用でありうる適切なエチレン性不飽和炭化水素は、20個までの炭素原子、好ましくは10個までの炭素原子を有し、エチレン、並びにプロピレン、ブチレン、イソブチレン、1-ヘキセン、1-オクテン、及び1-ドデセンを含む他のα-オレフィンなどの脂肪族であるか、又は脂肪族分子上にアリール置換基を有する、特にエチレン性不飽和の炭素原子上にアリール置換基を有するアリール脂肪族である。この後者のクラスのエチレン性不飽和炭化水素の例としては、スチレン、p-メチルスチレン、m-プロピルスチレン、及びp-エチルスチレンが挙げられる。望ましくは、ポリケトンポリマーは、一酸化炭素とエチレンの共重合体、又は一酸化炭素、エチレン、及び少なくとも3つの炭素原子の第2の炭化水素、特にプロピレンなどのα-オレフィンのターポリマーである。ポリケトンポリマーの構造は線状交互ポリマーの構造であり、該ポリマーは、エチレン性不飽和炭化水素の各分子に対して実質的に1分子の一酸化炭素を含む。一酸化炭素、エチレン、及び第2の炭化水素のターポリマーが本発明のブレンド中のブレンド成分として用いられる場合、ターポリマー内には、第2の炭化水素の部分を組み込んだ単位ごとに、エチレンの部分を組み込んだ少なくとも2つの単位が存在することになる。好ましくは、第2の炭化水素の部分を組み込んだ単位ごとに、エチレンの部分を組み込んだ約10から約100の単位が存在するであろう。ポリマー鎖は、次の繰り返し式で表すことができる:
【0032】
【0033】
式中、S’は、エチレン性不飽和を介した第2の炭化水素の重合によって得られる部分である。-CO-(CH2-CH2)-単位及び-CO-(S’)-単位はポリマー鎖中にランダムに存在し、D:Zの比は約0.5以下である。一酸化炭素とエチレンの共重合体がブレンド成分として用いられる改変では、第2の炭化水素は存在せず、ポリケトンポリマーは上式で表され、ここでD=0である。yが0以外の場合、すなわちターポリマーが用いられる場合には、約0.01から約0.1のD:Z比が好ましい。ポリマー鎖の末端基又は「キャップ」は、ポリケトンの製造中にどのような物質が存在するか、及びポリマーが精製されたかどうか、及びどのように精製されたかに応じて決まる。ポリマーの正確な特性は特定の末端基に大きく依存しないため、ポリマーは上記のポリマー鎖の式で正確に表される。特に興味深いのは、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定して、数平均分子量が約1,000から約200,000のポリケトン、特に数平均分子量が約20,000から約90,000のものである。このようなポリマーの物理的特性は、分子量、ポリマーが共重合体であるかターポリマーであるか、及びターポリマーの場合には存在する第2の炭化水素の割合に部分的に依存するであろう。このようなポリマーの典型的な融点は、約175℃から約300℃、望ましくは約210℃から約270℃である。ポリマーは、典型的には、60℃、m-クレゾール中、標準的な細管粘度測定デバイスで測定して、約0.5から約8、又は約0.8から約4の極限粘度数(LVN)を有する。
【0034】
ポリケトンの例には、次の商品名で市販されているものが含まれうる:AKROTEK(Akro Plastic社(中国)から入手可能)、及びPOKETONE(Hyosung社(大韓民国)から入手可能)。
【0035】
TPEとポリケトンは、ポリケトンが、TPEの連続マトリクス内に分散された分離ドメインとしてブレンドされたポリマー中に存在するような割合でブレンドされる。概して、ポリケトンの量は、40%、30%、25%、又は20%未満から、少なくとも約1質量%、2質量%、又は5質量%などの所望の剛性及び摩擦を実現するのに十分な量までである。望ましくは、球相当径の平均ドメインサイズは、約0.1マイクロメートル、0.2マイクロメートル、0.5マイクロメートル、又は1マイクロメートルから約500マイクロメートル、250マイクロメートル、100マイクロメートル、50マイクロメートル、25マイクロメートル、又は10マイクロメートルまでである。サイズは、当技術分野で知られているものなど、顕微鏡写真技法によって決定することができ、デジタル画像分析又は顕微鏡写真に適用されるラインインターセプト法などの手動技法を使用することができる。ドメインは、典型的には、回転楕円体であるが、卵形などの任意の形状であってもよい。
【0036】
ポリマーを加熱及びブレンドするのに有用な任意の方法、例えばポリマーを溶融ブレンドして組成物を形成するための知られている方法を使用することができる。加熱する場合は、典型的には、剪断を適用して望ましいドメインサイズ及び分散を実現する。例示的には、加熱及びブレンドは、当技術分野で知られているような単軸又は二軸スクリュ押出機において実施することができる。剪断量は、ポリケトンの所望のブレンド及びドメインサイズを実現するのに有用な任意の量でありうる。押出機は、TPE中のポリケトンのブレンド及び分散を促進するために、ある温度に保持することも、押出機の長さに沿って勾配を持たせることもできる。
【0037】
組成物は、積層造形に有用な、又はさらなる所望の特性を付与するために有用な他の添加剤から構成されてもよく、接着促進剤(3D印刷物品の「z方向」の層間の接着)、可塑剤、摩擦調整剤、充填剤などを含んでもよい。摩擦調整剤には、ステアリン酸アルカリ土類金属塩、ステアリン酸遷移金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛)などのステアリン酸塩が含まれうる。
【0038】
充填剤は、3D印刷された物品の望ましい特性又は特徴の実現を促進するのに有用でありうる。典型的には、充填剤は、約0.05m2/gから約120m2/gの比表面積を有するが、望ましくは、0.1、0.5、1、2m2/gから約50、25、20、又は10m2/gまでの比表面積を有する。充填剤粒子は、個別の粒子であっても、ヒュームドシリカ及びカーボンブラックに一般的に見られるような硬い凝集体であってもよい。望ましくは、充填剤は個別の粒子である。充填剤の量は、組成物の所望の特性を実現するのに十分な量が存在する限り、組成物に対して広い範囲にわたって変化しうる。典型的には、充填剤の量は、組成物の約1質量%、2質量%、5質量%、10質量%から70質量%、60質量%、50質量%、40質量%、又は30質量%である。充填剤の特定の量は、得られる組成物、フィラメント、又はそれから形成される物品の剛性、引張強度、靱性、耐熱性、色、及び透明度などの1つ以上の所望の特性を実現するために調整することもできる。
【0039】
概して、充填剤は任意の形状(例えば、板状、ブロック状、針状、ウィスカ球状、又はそれらの組合せ)でありうる。望ましくは、充填剤は、アスペクト比が少なくとも2から50である、針状形態を有し、ここで針状性とは、形態が針状であるか、又は板状であることを意味するが、好ましくは板状である。針状とは、2つのより小さい同等の寸法(通常は高さ及び幅と呼ばれる)と、1つの大きい寸法(通常は長さ)が存在することを意味する。板状とは、2つのある程度同等の大きな寸法(通常は幅及び長さ)と、1つのより小さい寸法(通常は高さ)が存在することを意味する。より好ましくは、アスペクト比は、少なくとも3、4、又は5から25、20、又は15である。平均アスペクト比は、粒子のランダムな代表サンプル(例えば、100から200個の粒子)の最長寸法及び最短寸法を測定する顕微鏡技術によって決定することができる。
【0040】
充填剤の粒子サイズは、処理可能性及び機械的特性に対する所望の効果が実現されないほど大きすぎても(例えば、フィラメントの最小寸法にわたるか、又は積層造形で通常遭遇する条件下で曲げるとフィラメントが破損しやすくなる)小さすぎてもならない、有用なサイズである必要がある。有用なサイズを規定する際、粒子サイズ及びサイズ分布は、メジアン径(D50)、D10、D90、及び最大サイズ制限によって与えられる。サイズは、低固体負荷量での液体中の固体の分散体を使用する、レーザ光散乱法(レイリー又はミー、ミー散乱が好ましい)によって測定される体積による球相当直径である。D10は、粒子の10%がより小さいサイズを有するサイズであり、D50(中央値)は、粒子の50%がより小さいサイズを有するサイズであり、D90は、体積で粒子の90%がより小さいサイズを有するサイズである。概して、充填剤は、0.1マイクロメートルから25マイクロメートルの球相当直径中央値(D50)粒子サイズ、0.05から5マイクロメートルのD10、20から60マイクロメートルのD90を有し、実質的に、約100マイクロメートル、又はさらには50マイクロメートルを超える粒子はなく、また約0.01マイクロメートルより小さい粒子はない。望ましくは、中央値は、0.5から5又は10マイクロメートルであり、D10は0.2から2マイクロメートルであり、D90は、5、10、又は20から40マイクロメートルである。
【0041】
充填剤は、当技術分野で知られているものなど、任意の有用な充填剤でありうる。充填剤の例には、セラミック、金属、炭素(例えば、グラファイト、カーボンブラック、グラフェン)、印刷温度で溶融又は分解しないポリマー微粒子(例えば、架橋ポリマー微粒子、加硫ゴム微粒子など)、植物ベースの充填剤(例えば、木材、ナッツの殻、穀物、及びもみ殻の粉又は粒子)が含まれる。例示的な充填剤には、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、珪灰石、粘土、硫酸カルシウム、マイカ、無機ガラス(例えば、シリカ、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルカリアルミノケイ酸塩など)、酸化物(例えば、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、シリカ「石英」、及びカルシア)、炭化物(例えば、炭化ホウ素及び炭化ケイ素)、窒化物(例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム)、酸窒化物の組合せ、酸炭化物、又はそれらの組合せが含まれる。ある特定の実施形態では、充填剤は、タルク、粘土鉱物、細断された無機ガラス、金属繊維又はカーボンファイバー、ムライト、マイカ、珪灰石、又はそれらの組合せなどの針状充填剤を含む。特定の実施形態では、充填剤はタルクで構成される。
【0042】
可塑剤は、熱可塑性ポリマーとポリケトンの両方と混和性のポリマーでありうる。例示的に、熱可塑性ポリマーはPEBAであり、可塑剤はポリアミドである。ポリアミド可塑剤は、例えば、知られている商用グレードのナイロン(例えば、ナイロン6;ナイロン6,6;ナイロン4,6;ナイロン6,9;ナイロン5,10;ナイロン6,10;ナイロン11;ナイロン6,12、及びナイロン12)を使用し、参照することによって本明細書に組み込まれる、同時係属中の国際出願第PCT/US2021/019391号明細書に記載されている鎖切断方法に従ってそれを細断することによって形成することができる。概して、このような可塑剤では、分子量は、約5000g/モル又は10,000から約500,000又は100,000g/モルであり、メルトフローレート(MFR)は、210℃、2.16Kg(ASTM D1238)において少なくとも約50、60、70、80、90g/10分から任意の実用的な流量である150、140、130、120、又は110g/10分までである。
【0043】
組成物は、溶融フィラメント製造法などのさまざまな3D印刷法に有用なさまざまな形態へと形成することができる。例えば、組成物を粉末、ペレット、ロッド、又はフィラメントへと形成し、その後加熱及び融着させることができる。例示的に、方法はFFFであり、ここで、フィラメントは、さまざまな印刷ヘッドを使用してさまざまな物体を印刷するためのさまざまな溶融フィラメント製造法において使用するために、断面形状、直径、及び長さ寸法を決定することができる。フィラメントは、印刷プロセスで使用しながら形成することができ、あるいは、後で印刷プロセスにおいて使用するために事前に形成して保管することもできる。フィラメントは、保管及び分配に役立てるためにスプールに巻き付けることができる。フィラメントは、熱間押出法及び冷間押出法など、さまざまなダイを使用するさまざまな押出法を含むさまざまな方法で成形することができる。
【0044】
ある特定の実施形態では、溶融フィラメント製造法は、アイテムを印刷するために組成物の材料押出を使用することができ、ここで、組成物の原料が押出機を通して押し出される。フィラメントは、スプール上に巻き付けられたフィラメントの形態で三次元印刷装置又はシステム内で使用することができる。三次元印刷装置又はシステムは、コールドエンド及びホットエンドを含むことができる。コールドエンドは、ギアベース又はローラベースの供給デバイスを使用してスプールからフィラメントを引き出し、フィラメントを扱い、ステッピングモータによって供給速度を制御することができる。コールドエンドはフィラメント原料をホットエンドへとさらに前進させることができる。ホットエンドは、加熱チャンバ及びノズルを含むことができ、加熱チャンバには、フィラメントを溶融して薄い液体へと変換する液化装置が含まれる。これにより、溶融組成物がノズルから出て、堆積される表面に接着することができる薄い粘着性のビードを形成することができる。ノズルは、任意の有用な直径を有することができ、典型的には、所望の解像度に応じて、0.1又は0.2mmから3mm又は2mmの間の直径を有する。組成、印刷される物体、及び印刷プロセスの所望の解像度に応じて、さまざまなタイプのノズル及び加熱方法を使用することができる。
【0045】
ある特定の実施形態では、溶融フィラメント製造装置又はシステムは、押出機を使用することができ、ここで、ステッピングモータ及びホットエンドと連動して、フィラメントが溶融され、そこから押出成形される。ステッピングモータは、フィラメントを掴み、フィラメントをホットエンドへと供給し、フィラメント組成物を溶融して印刷面に堆積させることができる。溶融フィラメント製造装置又はシステムは、ダイレクトドライブ押出機又はBowden押出機を使用することができる。ダイレクトドライブ押出機は、印刷ヘッド自体にステッピングモータを有することができ、フィラメントをホットエンドに直接押し込むことができる。この構成は、x軸に沿って移動するときにステッピングモータの力を伝達する印刷ヘッドを有する。Bowden押出機は、印刷ヘッドから離れたフレーム上にモータを有することができ、Bowdenチューブを採用している。モータは、フィラメントをBowdenチューブ(例えば、PTFEチューブ)を通して印刷ヘッドへと送ることができる。チューブは、フィラメントを固定モータから可動ホットエンドまで誘導し、印刷プロセス中のホットエンドの動きによってフィラメントが切れる又は伸びるのを防ぐ。
【0046】
組成物は、本明細書に記載される物品へと印刷することができる。例えば、組成物から形成されたフィラメントを提供することができ、溶融フィラメント製造プロセスにおいてフィラメントを使用して物体を印刷することができる。フィラメントを提供することは、組成物を押出成形してフィラメントを形成することを含むことができる。ある特定の実施形態では、組成物を押出成形することは、ダイレクトドライブ押出機及びBowden押出機のうちの一方を使用して組成物のフィラメントから3D印刷物品を形成することを含むことができる。
【0047】
物品は、本明細書で提供される溶融フィラメント製造プロセスによって調製することができる。このような物品は、記載した組成物から形成されたフィラメントを提供し、溶融フィラメント製造プロセスにおいてフィラメントを使用して物体を印刷して、本発明の組成物の少なくとも2つの層で構成される積層造形物品を形成することによって調製することができる。フィラメントは、加熱の有無にかかわらず、典型的には加熱しながら組成物をダイを通して押出成形することによって形成することができる。このような溶融フィラメント製造プロセスを使用した三次元印刷によって製造された物体は、機械加工、フライス加工、研磨、コーティング、塗装、メッキ、堆積などによってさらに加工することができる。
【実施例】
【0048】
以下の非限定的な実施例は、本技術のさらなる態様を実証する。
【0049】
各実施例及び比較例について、ポリマー及び任意の添加剤は、別々のオーガーフィーダによって直径27mmのバレル二軸押出機(長さ/直径=40)に供給され、供給口に直接供給される。バレルの温度は約210℃から215℃である。スクリュ速度は300rpmである。全体的な実施速度は約70~90ポンド/時である。成分を表1に示す。特に明記されていない限り、すべての組成物は重量パーセントによるものである。ブレンド組成物を形成するために用いられる成分を表2に示す。実施例及び比較例の結果を表3及び4に示す。
【0050】
実施例22~29は、上記と同様にして作製し、Ultimaker S5を使用して3D印刷し、剥離試験片を形成した。実施例22~24は、80%のPEBAX4033(Arkema社)及び20%のNYLENE6,69を用いて製造し(約1質量パーセントのヘキサヒドロフタル酸無水物「HHPA」(Sigma Aldrich社)を用いて、参照することによって本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/US2021/019391号明細書の実施例1に記載される方法で細断)、255℃で印刷する。実施例25は、265℃で印刷したことを除き、実施例22~24と同じである。実施例26は、米国ロードアイランド州ジェームスタウン所在のThe Chemical Company社から入手したトリメリット酸無水物(TMA)で細断することを除き、実施例22~24と同じ方法で製造する。比較例8は、細断されたナイロン可塑剤(例えば、ナイロン可塑剤としてPA6,69)を使用しないことを除き(ニートPEBAX4033)、実施例22~24と同じ方法で製造する。実施例27は、細断されたナイロン可塑剤の代わりに、接着促進剤であるSigma Aldrich社から入手した10%のメラミンシアヌレート(MC)を使用することを除き、実施例22~24と同じ方法で製造する。実施例28は、5質量%のMCを使用することを除き、実施例27と同じである。試験片のz方向強度を示す剥離試験の結果を表4に示す。
【0051】
静的摩擦係数(静止摩擦係数)及び動的摩擦係数(動摩擦係数)は、ASTM D1894に従って測定される。使用したスレッドの重量は1Kgであり、使用した荷重セルは50KNセルである。
【0052】
ショア硬度は、ASTM D2240/ISO868/ISO7619に従って決定される。引張強度(TS)、破断伸び(EAB)、及び弾性係数(EM)は、ASTM D638に従って決定される。
【0053】
比較例8~13の積層物品剥離試験片の剥離強度は、上述のように、剥離試験を行う際に2つのタブを掴んだままにして一方の端から長さに沿って150mm(一端で50mmの間隙)延びる内層(一層の厚さ)を有する、長さ200mm(x方向)×幅25mm(y方向)×50mm(z方向)の剥離試験片を印刷することによって決定される。剥離試験は、剥離試験グリップとInstronモデル3369を使用して、引張速度500mm/分で実施される。材料は、1つの層内のノッチに沿って裂け、凝集破壊と接着破壊の組み合わせを示す。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【手続補正書】
【提出日】2024-02-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、積層造形に有用なエラストマー熱可塑性組成物に関する。特に、該組成物は溶融フィラメント製造(FFF)に有用である。
【背景技術】
【0002】
三次元(3D)印刷プロセスとしても知られる、さまざまな積層造形プロセスを使用して、ある特定の材料を特定の位置及び/又は層に融着又は接着することによって三次元物体を形成することができる。材料をコンピュータ制御下で結合又は固化して(例えば、コンピュータ支援設計(CAD)モデルから作業して)、液体分子、ポリマーを含む押出材料、又は粉末粒子などの材料を使用して三次元物体を生成することができ、これらは、層ごとの手法及び印刷ヘッド堆積手法を含むさまざまな方法で融着及び/又は積層することができる。さまざまなタイプの積層造形プロセスには、結合剤噴射、指向性エネルギー堆積、材料押出、材料噴射、粉末床溶融、シート積層、液槽光重合、及び溶融フィラメント製造が含まれる。
【0003】
溶融フィラメント製造(FFF)は、1つ以上の熱可塑性材料を含みうる連続フィラメントを使用する積層造形プロセスである。フィラメントは、移動する加熱された押出機印刷ヘッドを通じてコイルから吐出され、印刷ヘッドから3次元で堆積されて印刷された物体を形成する。印刷ヘッドは、2次元(例えば、x-y平面)内で移動して、一度に印刷される物体の1つの水平面又は層を堆積する。印刷ヘッド及び/又は印刷される物体は、第3の次元(例えば、x-y平面に対するz軸)内に移動して、以前に堆積された層に接着する後続の層を開始するが、これについては特許文献1及び2にさらに記載されている。この技法はフィラメントの溶融及び押出成形を必要とすることから、材料は熱可塑性ポリマーに限定されていた。典型的には、FFF法による印刷に最も成功している熱可塑性物質は、脂肪族ポリアミド(例えば、ナイロン6,6)である。
【0004】
熱可塑性ポリウレタン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)などの熱可塑性エラストマー(TPE)は、FFFによって積層造形されていると報告されているが、吸水性及び反りのない物品を印刷することが困難であること、さらにはプリンタの印刷ヘッド及びガイドチューブの送り装置に固着を引き起こすなどの問題により、商業的には実質的な成功を収めていない。特に、TPEフィラメントは、その柔軟性と粘着性に起因して、低摩擦チューブ(例えば、テフロン(登録商標)などのフッ素ポリマーチューブ)を通して加熱された押出印刷ヘッドまでフィラメントを押し出すBowden押出機を使用して印刷を成功させるのが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,121,329号明細書
【特許文献2】米国特許第5,503,785号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述したような材料の3D印刷の問題、特にBowden押出機を使用して印刷する能力の問題の1つ以上を回避する熱可塑性エラストマー組成物を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
熱可塑性エラストマー共重合体(TPE)は、脂肪族ケトンとブレンドすると、弾性係数が増加し(より硬くなり)、摩擦係数が減少(粘着性が低下)するが、著しく硬くなるか、又は破断伸びが低下したりすることはない(所望のエラストマー特性を維持する)ことが見出された。これらの独特で予想外の特性の組合せは、特にBowdenチューブを備えた3Dプリンタを使用する場合に、エラストマー物品の積層造形を容易にする。
【0008】
本発明の第1の態様は、脂肪族ポリケトンとブレンドされた熱可塑性エラストマーを含む積層造形組成物であり、熱可塑性エラストマーは、ポリケトンの分離ドメインが分散した連続相である。該積層組成物は、上述のFFFなどの任意の押出ベースの積層造形法、又はベース層及び後続の層上に制御可能に堆積されるノズルを通じた粉末又はペレットの加熱及び融着を包含する他の押出法で使用することができる。
【0009】
本発明の第2の態様は、第1の態様の組成物を加熱し、印刷ヘッドを通して押出成形して押出物を形成する工程、及び、押出物を複数の融着層へと制御可能に堆積して、積層造形物品を形成する工程を含む、積層造形物品を形成する方法である。
【0010】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様の組成物の互いに融着された少なくとも2つの層で構成された積層造形物品である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の技術の説明は、1つ以上の発明の主題、製造、及び使用の本質において単に例示的なものであり、本出願、又は本出願に対する優先権を主張して提出される可能性のある他の出願、又はそこから発行される特許において請求されるいずれかの特定の発明の範囲、用途、又は使用を制限することを意図したものではない。別途明示的に示されている場合を除き、この説明におけるすべての数値量は、技術の最も広い範囲を説明する際に、「約」という言葉によって修飾されているものとして理解されるべきであり、すべての幾何学的及び空間的記述子は、「実質的に」という言葉によって修飾されているものとして理解されるべきである。数値に適用される場合の「約」は、計算又は測定により値に若干の誤差が許容されることを示している(値の正確さに対する何らかの手法で;値に近似している又は合理的に近い;ほぼ)。何らかの理由で、「約」及び/又は「実質的に」によってもたらされる不正確さが、この通常の意味で当該技術分野において他の方法で理解されない場合、本明細書で用いられる「約」及び/又は「実質的に」は、少なくとも、そのようなパラメータを測定又は使用する通常の方法から生じうる変動を示す。
【0012】
組成物は、熱可塑性エラストマー(TPE)で構成される。TPEは、スチレン系熱可塑性エラストマー(STPE)、ポリエーテルブロックアミドエラストマー(PEBA)、又はそれらの混合物でありうる。STPEは、重合ビニル芳香族単量体の少なくとも2つの異なるブロックと、重合共役アルケン単量体の少なくとも1つのブロックから構成されるブロック共重合体であり、各ブロック共重合体は、炭素原子数最大20までのビニル芳香族単量体と、次式の共役アルケン単量体との少なくとも2つのブロックを有する:
R2C=CR-CR=CR2
式中、各Rは、存在ごとに独立して、水素、又は炭素数1から4のアルキルであり、任意の2つのR基が環を形成してもよい。共役ジエン単量体は、少なくとも4個の炭素かつ約20個以下の炭素を有する。共役アルケン単量体は、2つ以上の共役二重結合を有するいずれかの単量体でありうる。このような単量体には、例えば、ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2-メチル-1,3-ペンタジエン、及び同様の化合物、並びにそれらの混合物が含まれる。ブロック共重合体は、複数の特定の重合共役アルケン単量体を含むことができる。言い換えれば、ブロック共重合体は、例えば、ポリメチルペンタジエンブロックとポリイソプレンブロック、又は(一又は複数の)混合ブロックを含むことができる。概して、ブロック共重合体は、互いに結合した2つ以上の単量体単位の長い伸びを含む。適切なブロック共重合体は、典型的には、共役アルケン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とのブロックの総重量に基づいて、約30:70から約95:5まで、40:60から約90:10まで、又は50:50から65:35までの共役アルケン単量体単位ブロックのビニル芳香族単量体単位ブロックに対する量を有する。
【0013】
ビニル単量体は、典型的には、次式の単量体である:
Ar-C(R1)=C(R1)2
式中、各R1は、存在ごとに独立して、水素若しくはアルキルであるか、又は別のR1とともに環を形成し、Arは、フェニル、ハロフェニル、アルキルフェニル、アルキルハロフェニル、ナフチル、ピリジニル、又はアントラセニルであり、ここで、任意のアルキル基は1から6個の炭素原子を含み、任意選択的に官能基で一置換又は複数置換されていてもよい。置換された官能基の例には、ハロ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボニル、及びカルボキシル基などの基が含まれる。典型的には、ビニル芳香族単量体は、20個以下の炭素と単一のビニル基とを有する。一実施形態では、Arはフェニル又はアルキルフェニルであり、典型的にはフェニルである。典型的なビニル芳香族単量体には、スチレン(それによってシンジオタクチックポリスチレンブロックが生成される条件を含む)、α-メチルスチレン、ビニルトルエンのすべての異性体、とりわけパラビニルトルエン、エチルスチレンのすべての異性体、プロピルスチレン、ブチルスチレン、ビニルビフェニル、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、及びそれらの混合物が含まれる。ブロック共重合体は、複数の重合ビニル芳香族単量体を含むことができる。言い換えれば、ブロック共重合体は、純粋なポリスチレンブロックと純粋なポリ-α-メチルスチレンブロックとを含むことができ、あるいは任意のブロックがこのような単量体の混合物で構成されていてもよい。望ましくは、Aブロックはスチレンで構成され、Bブロックは、ブタジエン、イソプレン、又はそれらの混合物で構成される。一実施形態では、共役ジエン単量体由来の残存する二重結合が水素化される。
【0014】
本発明のSTPEブロック共重合体には、トリブロック、ペンタブロック、マルチブロック、テーパーブロック、及びスターブロック((AB)n)のポリマー(A(B’A’)xByで示される)が含まれ、ここで、すべての存在ごとに、Aはビニル芳香族ブロック又は混合ブロックであり、Bは不飽和アルケニルブロック又は混合ブロックであり、A’は、存在ごとに、Aと同じであっても、異なる成分又はMwであってもよく、B’は、存在ごとに、Bと同じであっても、異なる成分又はMwであってもよく、nはスター上のアームの数であり、かつ2から10、一実施形態では3から8、別の実施形態では4から6の範囲であり、xは≧1であり、yは0又は1である。一実施形態では、ブロックポリマーは対称的であり、例えば、各末端に等しいMwのビニル芳香族ポリマーブロックを有するトリブロックなどである。典型的には、STPEブロック共重合体は、A-B-A又はA-B-A-B-A型のブロック共重合体であろう。望ましくは、Bブロックは水素化されており、二重結合のかなりの部分(約50%、70%、又はさらには90%)が水素化され、二重結合の実質的にすべて(99%又は99.9%)が水素化される。
【0015】
STPEブロック共重合体は、Mwが約6,000、とりわけ約8,000の個々の重量平均分子量ブロックから、約15,000、約45,000までの合計重量芳香族ブロックを有する、ビニル芳香族単量体単位ブロックを有することができる。(一又は複数の)共役アルケン単量体単位ブロックの合計重量平均分子量は、約20,000、特に約30,000、さらに特に約40,000から約150,000まで、とりわけ約130,000まででありうる。
【0016】
STPEは、スチレン-(ブタジエン)-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-イソプレン-ブチレン-スチレン(SIBS)、及び/又はスチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン(SEBS)であることが望ましい。典型的には、スチレンブロックは熱可塑性の特性をもたらし、ブタジエンブロックはエラストマーの特性をもたらし、次のように表すことができる:
【0017】
【0018】
式中、x、y、及びzは、上記のブロックのMwを実現するための整数である。SBSの選択的水素化では、ブタジエン成分のC=C結合が排除されてエチレンとブチレンの中間ブロックが生成されるため、スチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン(SEBS)が得られる。SEBSは、耐熱性、機械的特性、及び耐薬品性が向上していることを特徴とすることができる。SEBSの構造例は次式で表すことができる:
【0019】
【0020】
式中、x、y、z、m、及びnは、上記のブロックのMwを実現するための任意の整数である。STPEは、スチレン-(ブタジエン)-スチレン、スチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン又はそれらの組合せで構成されることが望ましい。一実施形態では、STPEはSEBSで構成されており、供給源であるSBSの不飽和結合の実質的にすべてが水素化されている。
【0021】
PEBAは、当技術分野で知られているものなど、任意の有用なポリエーテルブロックアミドエラストマーでありうる。有用なPEBAの例は、各々が参照することによって本明細書に組み込まれる、米国特許第3,384,681号;同第3,473,956号;同第3,549,724号;同第3,946,089号;同第4,031,164号;同第4,438,240号;及び、同第4,550,157号の各明細書に記載されている。PEBAは、ポリエーテルブロックアミド及びポリエーテルエステルブロックアミドであるポリマーを含むことができるものと理解される。
【0022】
例示的に、ポリエーテルアミドブロック共重合体は、ポリアミドとポリエーテルのブロックを含む。このようなブロックポリエーテルアミドポリマーは、次の繰り返し式で表すことができる:
【0023】
【0024】
式中、Sは、典型的には約500から6000の分子量を有する二官能性ポリエーテルポリマー(例えば、H2N-S-NH2)の残基である第1の鎖であり、Lは、アミド又は尿素のいずれかである連結基(例えば、-NH-CO-又は-NHCONH-)であり、Axは、-CONH-繰り返し単位を有するポリアミド又は-NH-CO-NH-繰り返し単位を有するポリウレアの単位構造を表し、ここで、各繰り返し単位は鎖内の炭素原子に結合しており、xは少なくとも1であり、yはブロック共重合体の平均分子量が少なくとも約30,000g/モルとなるような値である。PEBAのポリエーテルセグメントは、エチレンオキシド又はプロピレンオキシド、オキシテトラメチレン又はそれらの組合せなどの2から8個の炭素を有するものなど、オキシアルケンの繰り返し単位でありうる。
【0025】
ポリエーテルエステルブロックアミド共重合体は、次の繰り返し式で表すことができる:
【0026】
【0027】
式中、Rは、例えば、ジカルボン酸ポリアミドの2つの末端カルボン酸基の喪失から誘導されるポリアミド部分を表し、R’は、例えば、ポリオキシアルキレングリコール又はジアミンからの2つの末端ヒドロキシ又はアミノ基の喪失によって誘導されるポリオキシアルキレン部分である。
【0028】
有用なTPEは、典型的には、ショアA硬度値が約50~90又は60から80(ASTM D 2240/ISO868/ISO7619)、引張強度が垂直方向に約3~8、4~7、又は5~6MPa(ASTM D412/ISO37)、100%での引張強度が垂直方向に約2から6、3~5.5、又は3.5~4.5MPa(ASTM D412/ISO 37)、垂直方向の破断伸びが約200%~700%、300%~600%、又は400%~500%(ASTM D412/ISO37)、引裂強度が垂直方向に約15kN/mから60kN/m、20kN/mから50kN/m、25kN/mから45kN/m、又は34kN/mから42kN/m(ASTM D624/ISO34)、比重(相対密度)が約0.8から1.0(ASTM D792/ISO1183)である。STPEの210℃におけるメルトフローレート(MFR)は、任意の有用なMFRであってよいが、典型的には、210℃、2.16Kg(ASTM D1238)で約10、20、50、60、70、80、90g/10分から150、140、130、120、又は110g/10分までである。
【0029】
TPEは、FFFによって物品を形成するときに、STPEが印刷され、前後の層に融着又は接着するのに十分な流動性を有するように、印刷条件で特定のレオロジー挙動を示すことが望ましい。例えば、STPEの粘度は、積層造形堆積温度(約180℃、190℃、200℃、又は210℃から約250℃、240℃、又は230℃までなどの押出温度)において、ずり減粘挙動を示すことが望ましい。特に、低剪断(1秒-1)における見かけの粘度は、高剪断(5000秒-1)における粘度と比較して、約200、150、100、50、又は25倍大きく、低剪断(1秒-1)における粘度は約1000から5000Pa・sである。粘度は、当技術分野で知られているものなど、任意の適切なレオメータによって測定することができる。例えば、適切なレオメータは、Instron CEAST 20キャピラリレオメータ(Instron of Norwood社、米国マサチューセッツ州所在)である。
【0030】
適切なSTPEとしては、Kuraray社(米国テキサス州ヒューストン所在)のSEPTON及びHYBRARなどの商品名で市販されているものが挙げられる。適切でありうるSTPEは、Audia Elastomers社(米国ペンシルベニア州ワシントン所在)からも商品名TPEで入手可能である。他の適切なSTPEとしては、Dynasol社から商品名CALPRENE、Kraton Corporation社(米国テキサス州ヒューストン所在)から商品名KRATONで入手可能なSTPE、Mexpolimeros社(メキシコ国所在)、及び旭化成株式会社(日本国)から商品名ASAPRENE及びTUFPRENEで入手可能なものを挙げることができる。適切なPEBAには、次の商品名を有するものが含まれうる:PEBAX(Arkema Inc.社(米国ペンシルベニア州所在)から入手可能);HYTREL(Dupont社(米国デラウェア州所在)から入手可能);及び、VESTAMID(Evonik社(ドイツ国所在)から入手可能)。TPEはまた、DSM社(オランダ国)から入手可能な商品名ARNITELの下で入手可能なものなど、熱可塑性エラストマーコポリエステルであってもよい。
【0031】
本発明のブレンドの製造に使用することができるポリケトンポリマーは、一酸化炭素と少なくとも1つのエチレン性不飽和炭化水素との直鎖状脂肪族交互共重合体である。ポリケトンポリマーの前駆体として有用でありうる適切なエチレン性不飽和炭化水素は、20個までの炭素原子、好ましくは10個までの炭素原子を有し、エチレン、並びにプロピレン、ブチレン、イソブチレン、1-ヘキセン、1-オクテン、及び1-ドデセンを含む他のα-オレフィンなどの脂肪族であるか、又は脂肪族分子上にアリール置換基を有する、特にエチレン性不飽和の炭素原子上にアリール置換基を有するアリール脂肪族である。この後者のクラスのエチレン性不飽和炭化水素の例としては、スチレン、p-メチルスチレン、m-プロピルスチレン、及びp-エチルスチレンが挙げられる。望ましくは、ポリケトンポリマーは、一酸化炭素とエチレンの共重合体、又は一酸化炭素、エチレン、及び少なくとも3つの炭素原子の第2の炭化水素、特にプロピレンなどのα-オレフィンのターポリマーである。ポリケトンポリマーの構造は線状交互ポリマーの構造であり、該ポリマーは、エチレン性不飽和炭化水素の各分子に対して実質的に1分子の一酸化炭素を含む。一酸化炭素、エチレン、及び第2の炭化水素のターポリマーが本発明のブレンド中のブレンド成分として用いられる場合、ターポリマー内には、第2の炭化水素の部分を組み込んだ単位ごとに、エチレンの部分を組み込んだ少なくとも2つの単位が存在することになる。好ましくは、第2の炭化水素の部分を組み込んだ単位ごとに、エチレンの部分を組み込んだ約10から約100の単位が存在するであろう。ポリマー鎖は、次の繰り返し式で表すことができる:
【0032】
【0033】
式中、S’は、エチレン性不飽和を介した第2の炭化水素の重合によって得られる部分である。-CO-(CH2-CH2)-単位及び-CO-(S’)-単位はポリマー鎖中にランダムに存在し、D:Zの比は約0.5以下である。一酸化炭素とエチレンの共重合体がブレンド成分として用いられる改変では、第2の炭化水素は存在せず、ポリケトンポリマーは上式で表され、ここでD=0である。yが0以外の場合、すなわちターポリマーが用いられる場合には、約0.01から約0.1のD:Z比が好ましい。ポリマー鎖の末端基又は「キャップ」は、ポリケトンの製造中にどのような物質が存在するか、及びポリマーが精製されたかどうか、及びどのように精製されたかに応じて決まる。ポリマーの正確な特性は特定の末端基に大きく依存しないため、ポリマーは上記のポリマー鎖の式で正確に表される。特に興味深いのは、ゲル浸透クロマトグラフィーで測定して、数平均分子量が約1,000から約200,000のポリケトン、特に数平均分子量が約20,000から約90,000のものである。このようなポリマーの物理的特性は、分子量、ポリマーが共重合体であるかターポリマーであるか、及びターポリマーの場合には存在する第2の炭化水素の割合に部分的に依存するであろう。このようなポリマーの典型的な融点は、約175℃から約300℃、望ましくは約210℃から約270℃である。ポリマーは、典型的には、60℃、m-クレゾール中、標準的な細管粘度測定デバイスで測定して、約0.5から約8、又は約0.8から約4の極限粘度数(LVN)を有する。
【0034】
ポリケトンの例には、次の商品名で市販されているものが含まれうる:AKROTEK(Akro Plastic社(中国)から入手可能)、及びPOKETONE(Hyosung社(大韓民国)から入手可能)。
【0035】
TPEとポリケトンは、ポリケトンが、TPEの連続マトリクス内に分散された分離ドメインとしてブレンドされたポリマー中に存在するような割合でブレンドされる。概して、ポリケトンの量は、40%、30%、25%、又は20%未満から、少なくとも約1質量%、2質量%、又は5質量%などの所望の剛性及び摩擦を実現するのに十分な量までである。望ましくは、球相当径の平均ドメインサイズは、約0.1マイクロメートル、0.2マイクロメートル、0.5マイクロメートル、又は1マイクロメートルから約500マイクロメートル、250マイクロメートル、100マイクロメートル、50マイクロメートル、25マイクロメートル、又は10マイクロメートルまでである。サイズは、当技術分野で知られているものなど、顕微鏡写真技法によって決定することができ、デジタル画像分析又は顕微鏡写真に適用されるラインインターセプト法などの手動技法を使用することができる。ドメインは、典型的には、回転楕円体であるが、卵形などの任意の形状であってもよい。
【0036】
ポリマーを加熱及びブレンドするのに有用な任意の方法、例えばポリマーを溶融ブレンドして組成物を形成するための知られている方法を使用することができる。加熱する場合は、典型的には、剪断を適用して望ましいドメインサイズ及び分散を実現する。例示的には、加熱及びブレンドは、当技術分野で知られているような単軸又は二軸スクリュ押出機において実施することができる。剪断量は、ポリケトンの所望のブレンド及びドメインサイズを実現するのに有用な任意の量でありうる。押出機は、TPE中のポリケトンのブレンド及び分散を促進するために、ある温度に保持することも、押出機の長さに沿って勾配を持たせることもできる。
【0037】
組成物は、積層造形に有用な、又はさらなる所望の特性を付与するために有用な他の添加剤から構成されてもよく、接着促進剤(3D印刷物品の「z方向」の層間の接着)、可塑剤、摩擦調整剤、充填剤などを含んでもよい。摩擦調整剤には、ステアリン酸アルカリ土類金属塩、ステアリン酸遷移金属塩(例えば、ステアリン酸亜鉛)などのステアリン酸塩が含まれうる。
【0038】
充填剤は、3D印刷された物品の望ましい特性又は特徴の実現を促進するのに有用でありうる。典型的には、充填剤は、約0.05m2/gから約120m2/gの比表面積を有するが、望ましくは、0.1、0.5、1、2m2/gから約50、25、20、又は10m2/gまでの比表面積を有する。充填剤粒子は、個別の粒子であっても、ヒュームドシリカ及びカーボンブラックに一般的に見られるような硬い凝集体であってもよい。望ましくは、充填剤は個別の粒子である。充填剤の量は、組成物の所望の特性を実現するのに十分な量が存在する限り、組成物に対して広い範囲にわたって変化しうる。典型的には、充填剤の量は、組成物の約1質量%、2質量%、5質量%、10質量%から70質量%、60質量%、50質量%、40質量%、又は30質量%である。充填剤の特定の量は、得られる組成物、フィラメント、又はそれから形成される物品の剛性、引張強度、靱性、耐熱性、色、及び透明度などの1つ以上の所望の特性を実現するために調整することもできる。
【0039】
概して、充填剤は任意の形状(例えば、板状、ブロック状、針状、ウィスカ球状、又はそれらの組合せ)でありうる。望ましくは、充填剤は、アスペクト比が少なくとも2から50である、針状形態を有し、ここで針状性とは、形態が針状であるか、又は板状であることを意味するが、好ましくは板状である。針状とは、2つのより小さい同等の寸法(通常は高さ及び幅と呼ばれる)と、1つの大きい寸法(通常は長さ)が存在することを意味する。板状とは、2つのある程度同等の大きな寸法(通常は幅及び長さ)と、1つのより小さい寸法(通常は高さ)が存在することを意味する。より好ましくは、アスペクト比は、少なくとも3、4、又は5から25、20、又は15である。平均アスペクト比は、粒子のランダムな代表サンプル(例えば、100から200個の粒子)の最長寸法及び最短寸法を測定する顕微鏡技術によって決定することができる。
【0040】
充填剤の粒子サイズは、処理可能性及び機械的特性に対する所望の効果が実現されないほど大きすぎても(例えば、フィラメントの最小寸法にわたるか、又は積層造形で通常遭遇する条件下で曲げるとフィラメントが破損しやすくなる)小さすぎてもならない、有用なサイズである必要がある。有用なサイズを規定する際、粒子サイズ及びサイズ分布は、メジアン径(D50)、D10、D90、及び最大サイズ制限によって与えられる。サイズは、低固体負荷量での液体中の固体の分散体を使用する、レーザ光散乱法(レイリー又はミー、ミー散乱が好ましい)によって測定される体積による球相当直径である。D10は、粒子の10%がより小さいサイズを有するサイズであり、D50(中央値)は、粒子の50%がより小さいサイズを有するサイズであり、D90は、体積で粒子の90%がより小さいサイズを有するサイズである。概して、充填剤は、0.1マイクロメートルから25マイクロメートルの球相当直径中央値(D50)粒子サイズ、0.05から5マイクロメートルのD10、20から60マイクロメートルのD90を有し、実質的に、約100マイクロメートル、又はさらには50マイクロメートルを超える粒子はなく、また約0.01マイクロメートルより小さい粒子はない。望ましくは、中央値は、0.5から5又は10マイクロメートルであり、D10は0.2から2マイクロメートルであり、D90は、5、10、又は20から40マイクロメートルである。
【0041】
充填剤は、当技術分野で知られているものなど、任意の有用な充填剤でありうる。充填剤の例には、セラミック、金属、炭素(例えば、グラファイト、カーボンブラック、グラフェン)、印刷温度で溶融又は分解しないポリマー微粒子(例えば、架橋ポリマー微粒子、加硫ゴム微粒子など)、植物ベースの充填剤(例えば、木材、ナッツの殻、穀物、及びもみ殻の粉又は粒子)が含まれる。例示的な充填剤には、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、珪灰石、粘土、硫酸カルシウム、マイカ、無機ガラス(例えば、シリカ、アルミノケイ酸塩、ホウケイ酸塩、アルカリアルミノケイ酸塩など)、酸化物(例えば、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、シリカ「石英」、及びカルシア)、炭化物(例えば、炭化ホウ素及び炭化ケイ素)、窒化物(例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム)、酸窒化物の組合せ、酸炭化物、又はそれらの組合せが含まれる。ある特定の実施形態では、充填剤は、タルク、粘土鉱物、細断された無機ガラス、金属繊維又はカーボンファイバー、ムライト、マイカ、珪灰石、又はそれらの組合せなどの針状充填剤を含む。特定の実施形態では、充填剤はタルクで構成される。
【0042】
可塑剤は、熱可塑性ポリマーとポリケトンの両方と混和性のポリマーでありうる。例示的に、熱可塑性ポリマーはPEBAであり、可塑剤はポリアミドである。ポリアミド可塑剤は、例えば、知られている商用グレードのナイロン(例えば、ナイロン6;ナイロン6,6;ナイロン4,6;ナイロン6,9;ナイロン5,10;ナイロン6,10;ナイロン11;ナイロン6,12、及びナイロン12)を使用し、参照することによって本明細書に組み込まれる、同時係属中の国際出願第PCT/US2021/019391号明細書に記載されている鎖切断方法に従ってそれを細断することによって形成することができる。概して、このような可塑剤では、分子量は、約5000g/モル又は10,000から約500,000又は100,000g/モルであり、メルトフローレート(MFR)は、210℃、2.16Kg(ASTM D1238)において少なくとも約50、60、70、80、90g/10分から任意の実用的な流量である150、140、130、120、又は110g/10分までである。
【0043】
組成物は、溶融フィラメント製造法などのさまざまな3D印刷法に有用なさまざまな形態へと形成することができる。例えば、組成物を粉末、ペレット、ロッド、又はフィラメントへと形成し、その後加熱及び融着させることができる。例示的に、方法はFFFであり、ここで、フィラメントは、さまざまな印刷ヘッドを使用してさまざまな物体を印刷するためのさまざまな溶融フィラメント製造法において使用するために、断面形状、直径、及び長さ寸法を決定することができる。フィラメントは、印刷プロセスで使用しながら形成することができ、あるいは、後で印刷プロセスにおいて使用するために事前に形成して保管することもできる。フィラメントは、保管及び分配に役立てるためにスプールに巻き付けることができる。フィラメントは、熱間押出法及び冷間押出法など、さまざまなダイを使用するさまざまな押出法を含むさまざまな方法で成形することができる。
【0044】
ある特定の実施形態では、溶融フィラメント製造法は、アイテムを印刷するために組成物の材料押出を使用することができ、ここで、組成物の原料が押出機を通して押し出される。フィラメントは、スプール上に巻き付けられたフィラメントの形態で三次元印刷装置又はシステム内で使用することができる。三次元印刷装置又はシステムは、コールドエンド及びホットエンドを含むことができる。コールドエンドは、ギアベース又はローラベースの供給デバイスを使用してスプールからフィラメントを引き出し、フィラメントを扱い、ステッピングモータによって供給速度を制御することができる。コールドエンドはフィラメント原料をホットエンドへとさらに前進させることができる。ホットエンドは、加熱チャンバ及びノズルを含むことができ、加熱チャンバには、フィラメントを溶融して薄い液体へと変換する液化装置が含まれる。これにより、溶融組成物がノズルから出て、堆積される表面に接着することができる薄い粘着性のビードを形成することができる。ノズルは、任意の有用な直径を有することができ、典型的には、所望の解像度に応じて、0.1又は0.2mmから3mm又は2mmの間の直径を有する。組成、印刷される物体、及び印刷プロセスの所望の解像度に応じて、さまざまなタイプのノズル及び加熱方法を使用することができる。
【0045】
ある特定の実施形態では、溶融フィラメント製造装置又はシステムは、押出機を使用することができ、ここで、ステッピングモータ及びホットエンドと連動して、フィラメントが溶融され、そこから押出成形される。ステッピングモータは、フィラメントを掴み、フィラメントをホットエンドへと供給し、フィラメント組成物を溶融して印刷面に堆積させることができる。溶融フィラメント製造装置又はシステムは、ダイレクトドライブ押出機又はBowden押出機を使用することができる。ダイレクトドライブ押出機は、印刷ヘッド自体にステッピングモータを有することができ、フィラメントをホットエンドに直接押し込むことができる。この構成は、x軸に沿って移動するときにステッピングモータの力を伝達する印刷ヘッドを有する。Bowden押出機は、印刷ヘッドから離れたフレーム上にモータを有することができ、Bowdenチューブを採用している。モータは、フィラメントをBowdenチューブ(例えば、PTFEチューブ)を通して印刷ヘッドへと送ることができる。チューブは、フィラメントを固定モータから可動ホットエンドまで誘導し、印刷プロセス中のホットエンドの動きによってフィラメントが切れる又は伸びるのを防ぐ。
【0046】
組成物は、本明細書に記載される物品へと印刷することができる。例えば、組成物から形成されたフィラメントを提供することができ、溶融フィラメント製造プロセスにおいてフィラメントを使用して物体を印刷することができる。フィラメントを提供することは、組成物を押出成形してフィラメントを形成することを含むことができる。ある特定の実施形態では、組成物を押出成形することは、ダイレクトドライブ押出機及びBowden押出機のうちの一方を使用して組成物のフィラメントから3D印刷物品を形成することを含むことができる。
【0047】
物品は、本明細書で提供される溶融フィラメント製造プロセスによって調製することができる。このような物品は、記載した組成物から形成されたフィラメントを提供し、溶融フィラメント製造プロセスにおいてフィラメントを使用して物体を印刷して、本発明の組成物の少なくとも2つの層で構成される積層造形物品を形成することによって調製することができる。フィラメントは、加熱の有無にかかわらず、典型的には加熱しながら組成物をダイを通して押出成形することによって形成することができる。このような溶融フィラメント製造プロセスを使用した三次元印刷によって製造された物体は、機械加工、フライス加工、研磨、コーティング、塗装、メッキ、堆積などによってさらに加工することができる。
【実施例】
【0048】
以下の非限定的な実施例は、本技術のさらなる態様を実証する。
【0049】
各実施例及び比較例について、ポリマー及び任意の添加剤は、別々のオーガーフィーダによって直径27mmのバレル二軸押出機(長さ/直径=40)に供給され、供給口に直接供給される。バレルの温度は約210℃から215℃である。スクリュ速度は300rpmである。全体的な実施速度は約70~90ポンド/時である。成分を表1に示す。特に明記されていない限り、すべての組成物は重量パーセントによるものである。ブレンド組成物を形成するために用いられる成分を表2に示す。実施例及び比較例の結果を表3及び4に示す。
【0050】
実施例22~29は、上記と同様にして作製し、Ultimaker S5を使用して3D印刷し、剥離試験片を形成した。実施例22~24は、80%のPEBAX4033(Arkema社)及び20%のNYLENE6,69を用いて製造し(約1質量パーセントのヘキサヒドロフタル酸無水物「HHPA」(Sigma Aldrich社)を用いて、参照することによって本明細書に組み込まれる国際出願第PCT/US2021/019391号明細書の実施例1に記載される方法で細断)、255℃で印刷する。実施例25は、265℃で印刷したことを除き、実施例22~24と同じである。実施例26は、米国ロードアイランド州ジェームスタウン所在のThe Chemical Company社から入手したトリメリット酸無水物(TMA)で細断することを除き、実施例22~24と同じ方法で製造する。比較例8は、細断されたナイロン可塑剤(例えば、ナイロン可塑剤としてPA6,69)を使用しないことを除き(ニートPEBAX4033)、実施例22~24と同じ方法で製造する。実施例27は、細断されたナイロン可塑剤の代わりに、接着促進剤であるSigma Aldrich社から入手した10%のメラミンシアヌレート(MC)を使用することを除き、実施例22~24と同じ方法で製造する。実施例28は、5質量%のMCを使用することを除き、実施例27と同じである。試験片のz方向強度を示す剥離試験の結果を表4に示す。
【0051】
静的摩擦係数(静止摩擦係数)及び動的摩擦係数(動摩擦係数)は、ASTM D1894に従って測定される。使用したスレッドの重量は1Kgであり、使用した荷重セルは50KNセルである。
【0052】
ショア硬度は、ASTM D2240/ISO868/ISO7619に従って決定される。引張強度(TS)、破断伸び(EAB)、及び弾性係数(EM)は、ASTM D638に従って決定される。
【0053】
比較例8~13の積層物品剥離試験片の剥離強度は、上述のように、剥離試験を行う際に2つのタブを掴んだままにして一方の端から長さに沿って150mm(一端で50mmの間隙)延びる内層(一層の厚さ)を有する、長さ200mm(x方向)×幅25mm(y方向)×50mm(z方向)の剥離試験片を印刷することによって決定される。剥離試験は、剥離試験グリップとInstronモデル3369を使用して、引張速度500mm/分で実施される。材料は、1つの層内のノッチに沿って裂け、凝集破壊と接着破壊の組み合わせを示す。
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0059】
実施形態1
脂肪族ポリケトンとブレンドされた熱可塑性エラストマーであって、ポリケトンの分離ドメインが分散した連続相である、熱可塑性エラストマー
を含む、組成物。
【0060】
実施形態2
前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエーテルブロックアミドエラストマー、又はそれらの組合せである、実施形態1に記載の組成物。
【0061】
実施形態3
前記ポリケトンが、前記組成物の約1質量%から25質量%の量で存在する、実施形態1又は2に記載の組成物。
【0062】
実施形態4
前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、A-B-A又はA-B-A-B-Aのいずれかの形態を有するブロック共重合体であり、ここで、Aはビニル芳香族ポリマーブロックであり、Bは共役ジエンブロックである、実施形態1から3のいずれか一つに記載の組成物。
【0063】
実施形態5
前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、スチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン(SEBS)熱可塑性エラストマーである、実施形態1から4のいずれか一つに記載の組成物。
【0064】
実施形態6
前記ポリケトンが、前記ポリケトン及び熱可塑性エラストマーの1質量%から15質量%の量で存在する、実施形態1から5のいずれか一つに記載の組成物。
【0065】
実施形態7
前記ドメインが、約0.1マイクロメートルから1ミリメートルの平均サイズを有する、実施形態1から6のいずれか一つに記載の組成物。
【0066】
実施形態8
前記ドメインが、約0.1マイクロメートルから500マイクロメートルの平均サイズを有する、実施形態7に記載の組成物。
【0067】
実施形態9
前記組成物が前記ポリエーテルブロックアミド共重合体を含み、前記組成物が、
約30~60のショアD硬度値、
少なくとも約5MPaの破断点における引張強度、
少なくとも約150MPaの弾性係数、又は
300%を超える垂直方向の破断伸び
のうちの1つ以上を有する、実施形態2から8のいずれか一つに記載の方法。
【0068】
実施形態10
前記組成物がフィラメントである、実施形態1から9のいずれか一つに記載の組成物。
【0069】
実施形態11
前記フィラメントが約1ミリメートルから約3ミリメートルの直径を有する、実施形態10に記載の組成物。
【0070】
実施形態12
摩擦調整剤をさらに含む、実施形態1から11のいずれか一つに記載の組成物。
【0071】
実施形態13
前記摩擦調整剤がステアレートである、実施形態12に記載の組成物。
【0072】
実施形態14
前記熱可塑性エラストマーがポリエーテルブロックアミド共重合体である、実施形態1から13のいずれか一つに記載の組成物。
【0073】
実施形態15
前記組成物が、約30から60のショアD硬度及び少なくとも約300%の破断伸びを有する、実施形態14に記載の組成物。
【0074】
実施形態16
前記組成物のショアD硬度が前記ポリエーテルブロックアミド共重合体のショアD硬度の20%以内であり、前記組成物が前記ポリエーテルブロックアミド共重合体の引張係数より少なくとも約50%大きい引張係数を有する、実施形態15に記載の組成物。
【0075】
実施形態17
互いに融着されてなる実施形態1から16のいずれか一つに記載の組成物の少なくとも2つの層を含む積層造形物品。
【0076】
実施形態18
前記物品が溶融フィラメント製造によって形成される、実施形態17に記載の積層造形物品。
【0077】
実施形態19
積層造形物品を形成する方法であって、
(i)実施形態1から16のいずれか一つに記載の組成物を加熱し、印刷ヘッドを通して押出成形して、押出物を形成する工程、及び
(ii)前記押出物を複数の融着層へと制御可能に堆積して、前記積層造形物品を形成する工程
を含む、方法。
【0078】
実施形態20
前記押出成形する工程が、Bowdenチューブを有する3Dプリンタによるものである、実施形態19に記載の方法。
【0079】
実施形態21
前記組成物が、約0.5ミリメートルから3ミリメートルの直径を有するフィラメントである、実施形態18に記載の方法。
【0080】
実施形態22
互いに融着又は接着した複数の層を含む積層造形物品を含む物品であって、少なくとも2つの層が、脂肪族ポリケトンとブレンドされた熱可塑性エラストマーを含む組成物を含み、前記熱可塑性エラストマーが、ポリケトンの分離ドメインが分散した連続相である、物品。
【0081】
実施形態23
前記ポリケトンが、前記熱可塑性エラストマー及びポリケトンの1質量%から25質量%の量で存在する、実施形態22に記載の物品。
【0082】
実施形態24
前記熱可塑性エラストマーが、スチレン-(ブタジエン)-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-イソプレン-ブチレン-スチレン(SIBS)、及び/又はスチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン(SEBS)、又はポリエーテルブロックアミド共重合体(PEBA)のうちの1つ以上を含む、実施形態23に記載の物品。
【0083】
実施形態25
前記層がさらに摩擦調整剤を含む、実施形態22から24のいずれか一つに記載の物品。
【0084】
実施形態26
ポリケトンの前記ドメインが、約0.5マイクロメートルから500マイクロメートルの平均サイズを有する、実施形態25に記載の物品。
【0085】
実施形態27
前記層がさらに充填剤を含む、実施形態26に記載の物品。
【0086】
実施形態28
前記物品が溶融フィラメント製造によって形成される、実施形態22から27のいずれか一つに記載の物品。
【0087】
実施形態29
熱可塑性エラストマーと、シアヌレート化合物、細断されたポリアミド、及びそれらの組合せからなる群より選択される接着促進剤とのポリマーブレンドを含む組成物であって、前記細断されたポリアミドが、該細断されたポリアミドの約0.5質量%から5質量%の量の細断用化合物によって細断される、組成物。
【0088】
実施形態30
前記接着促進剤が前記ポリアミドであり、前記細断用化合物がトリメリット酸無水物又はヘキサヒドロフタル酸無水物である、実施形態29に記載の組成物。
【0089】
実施形態31
前記ポリアミドがナイロン6,69である、実施形態29又は30に記載の組成物。
【0090】
実施形態32
前記接着促進剤が前記シアヌレート化合物であり、該シアヌレート化合物がメラミンシアヌレートである、実施形態29に記載の組成物。
【0091】
実施形態33
前記接着促進剤が、前記熱可塑性エラストマー及び接着促進剤の5質量%から20質量%である、実施形態29から32のいずれか一つに記載の組成物。
【0092】
実施形態34
前記熱可塑性エラストマーが、軟質ポリエーテルと硬質ポリアミドを含む、実施形態29から33のいずれか一つに記載の組成物。
【0093】
実施形態35
積層造形物品を形成する方法であって、
(i)実施形態29から34のいずれか一つに記載の組成物を加熱し、印刷ヘッドを通して押出成形し、押出物を形成する工程、及び
(ii)前記押出物を複数の融着層へと制御可能に堆積して、前記積層造形物品を形成する工程
を含む、方法。
【0094】
実施形態36
実施形態35に記載の方法によって製造された前記物品を含む物品。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ポリケトンとブレンドされた熱可塑性エラストマーであって、ポリケトンの分離ドメインが分散した連続相である、熱可塑性エラストマー
を含む、組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエーテルブロックアミドエラストマー、又はそれらの組合せである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリケトンが、前記組成物の約1質量%から25質量%の量で存在する、
請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、A-B-A又はA-B-A-B-Aのいずれかの形態を有するブロック共重合体であり、ここで、Aはビニル芳香族ポリマーブロックであり、Bは共役ジエンブロックである、
請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、スチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン(SEBS)熱可塑性エラストマーである、
請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物がフィラメントであ
り、該フィラメントが約1ミリメートルから約3ミリメートルの直径を有する、
請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
摩擦調整剤をさらに含む、
請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記摩擦調整剤がステアレートである、
請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記熱可塑性エラストマーがポリエーテルブロックアミド共重合体である、
請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
互いに融着されてなる
請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物の少なくとも2つの層を含む積層造形物品。
【請求項11】
前記物品が溶融フィラメント製造によって形成される、
請求項10に記載の積層造形物品。
【請求項12】
積層造形物品を形成する方法であって、
(i)
請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を加熱し、印刷ヘッドを通して押出成形して、押出物を形成する工程、及び
(ii)前記押出物を複数の融着層へと制御可能に堆積して、前記積層造形物品を形成する工程
を含む、方法。
【請求項13】
前記押出成形する工程が、Bowdenチューブを有する3Dプリンタによるものである、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱可塑性エラストマーが、スチレン-(ブタジエン)-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-イソプレン-ブチレン-スチレン(SIBS)、及び/又はスチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン(SEBS)、又はポリエーテルブロックアミド共重合体(PEBA)のうちの1つ以上を含む、
請求項10に記載の
積層造形物品。
【請求項15】
前記層がさらに充填剤を含む、
請求項10に記載の
積層造形物品。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族ポリケトンとブレンドされた熱可塑性エラストマーであって、ポリケトンの分離ドメイン
を分散
させた
、連続相であ
る熱可塑性エラストマー
を含む、組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性エラストマーが、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエーテルブロックアミドエラストマー、又はそれらの組合せである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリケトンが、前記組成物
の1質量%から25質量%の量で存在する、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、A-B-A又はA-B-A-B-Aのいずれかの形態を有するブロック共重合体であり、ここで、Aはビニル芳香族ポリマーブロックであり、Bは共役ジエンブロックである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記スチレン系熱可塑性エラストマーが、スチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン(SEBS)熱可塑性エラストマーである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物がフィラメントであり、該フィラメント
が1ミリメートルか
ら3ミリメートルの直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
摩擦調整剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記摩擦調整剤がステアレートである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記熱可塑性エラストマーがポリエーテルブロックアミド共重合体である、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
互いに融着されてなる請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物の少なくとも2つの層を含む積層造形物品。
【請求項11】
前記物品が溶融フィラメント製造によって形成される、請求項10に記載の積層造形物品。
【請求項12】
積層造形物品を形成する方法であって、
(i)請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物を加熱し、印刷ヘッドを通して押出成形して、押出物を形成する工程、及び
(ii)前記押出物を複数の融着層へと制御可能に堆積して、前記積層造形物品を形成する工程
を含む、方法。
【請求項13】
前記押出成形する工程が、Bowdenチューブを有する3Dプリンタによるものである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱可塑性エラストマーが、スチレン-(ブタジエン)-スチレン(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)、スチレン-イソプレン-ブチレン-スチレン(SIBS)、及び/又はスチレン-(エチレン-ブチレン)-スチレン(SEBS)、又はポリエーテルブロックアミド共重合体(PEBA)のうちの1つ以上を含む、請求項10に記載の積層造形物品。
【請求項15】
前記層がさらに充填剤を含む、請求項10に記載の積層造形物品。
【国際調査報告】