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特表2024-516108非ウイルス性担体を同定および使用するための迅速な設計、構築、試験、および学習技術
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】非ウイルス性担体を同定および使用するための迅速な設計、構築、試験、および学習技術
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/87 20060101AFI20240405BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 15/863 20060101ALI20240405BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20240405BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 49/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 21/02 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
C12N15/87 Z
C12N15/85 Z
C12N15/863 Z
C12Q1/686 Z
A61K9/51
A61K9/14
A61K31/7088
A61K48/00
A61K47/32
A61K49/00
A61P21/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562184
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 US2022023902
(87)【国際公開番号】W WO2022216977
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/172,069
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504306714
【氏名又は名称】バテル・メモリアル・インスティテュート
【氏名又は名称原語表記】BATTELLE MEMORIAL INSTITUTE
【住所又は居所原語表記】505 King Avenue, Columbus, OH 43201-2693 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100157956
【弁理士】
【氏名又は名称】稲井 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(74)【代理人】
【識別番号】100221545
【弁理士】
【氏名又は名称】白江 雄介
(72)【発明者】
【氏名】ズオン,アンソニー ディ
(72)【発明者】
【氏名】ハック,ダニエル ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,チェリー
(72)【発明者】
【氏名】シムズ,ジュニア,ケネス アール
(72)【発明者】
【氏名】ケーリス,マイケル エス
(72)【発明者】
【氏名】シャンク,ザッカリー アール
(72)【発明者】
【氏名】コルバート,アシュリー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マキュー,アンドレア ディ
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ,エマ ケイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルリック,ケイレブ ティ
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,シャノン ディ
(72)【発明者】
【氏名】ホイ,ジョアンナ エル
【テーマコード(参考)】
4B063
4C076
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA19
4B063QQ03
4B063QQ41
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR62
4B063QS17
4B063QS25
4B063QX02
4C076AA31
4C076AA65
4C076AA95
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB15
4C076BB21
4C076BB27
4C076CC09
4C076EE10
4C076EE12
4C076EE13
4C076FF70
4C084AA13
4C084MA38
4C084MA43
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA66
4C084NA13
4C084ZA94
4C085HH13
4C085JJ20
4C085KA27
4C085KB68
4C085LL17
4C086AA01
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA38
4C086MA43
4C086MA52
4C086MA56
4C086MA66
4C086NA13
4C086ZA94
(57)【要約】
本開示は、インビボスクリーニングおよびインビボ治療的デリバリー用のバーコード化ポリマーナノ粒子、ならびにそのための方法に関する。より具体的には、本発明は、治療的デリバリーおよび薬物デリバリーナノ粒子の高スループットインビボスクリーニング用の、ポリヌクレオチドバーコードと会合した可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)ポリマー組成物などのポリマーナノ粒子に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーを含む非ウイルス性デリバリー媒体、および
b.核酸コンストラクト
を含む、組成物。
【請求項2】
非ウイルス性デリバリー媒体がポリマーナノ粒子を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
核酸コンストラクトが、静電相互作用を介して非ウイルス性デリバリー媒体に会合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
核酸コンストラクトが、1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーの正に荷電したポリマーセグメントと核酸コンストラクトの負に荷電したポリヌクレオチドセグメントとの静電相互作用によって非ウイルス性デリバリー媒体と会合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
核酸コンストラクトが、核酸コンストラクトの5’および/または3’末端上のビオチン分子と、1つもしくは複数のナノ粒子形成ポリマー上のビオチンに結合する分子との間の高親和性、非共有結合性相互作用によって非ウイルス性デリバリー媒体と会合している、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
核酸コンストラクトが、カルボキシ終端ポリマーセグメントと核酸コンストラクトの間の共有結合によって非ウイルス性デリバリー媒体と会合し、核酸コンストラクトが5’および/または3’末端に1級アミンを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
核酸コンストラクトが:
a.2つのプライマー結合セグメント;および
b.2つのプライマー結合セグメントの間にある1つまたは複数の固有のポリヌクレオチドバーコード
を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
プライマー結合セグメントが、長さ約15塩基対~約30塩基対の範囲である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
プライマー結合セグメントが、汎用プライマー結合セットである、請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
1つまたは複数のポリヌクレオチドバーコードが、長さ6~20ヌクレオチドの固有の配列を含む、請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
ポリヌクレオチドバーコードが、任意の2つの固有のポリヌクレオチドバーコード配列間に少なくとも2~6塩基のハミング距離をさらに含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
核酸コンストラクトが、ポリヌクレオチドバーコードの3’末端に約6~約12個のランダム塩基をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
ポリヌクレオチドバーコードの3’末端にある約6~約12個のランダムな塩基が、PCR重複物のバイオインフォマティクス的除去のためである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
核酸コンストラクトが、長さ約42ヌクレオチド~約210ヌクレオチドの範囲である、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーが、制御されたリビング/ラジカル重合と適合するモノマー単位を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーが、可逆的不活性化ラジカル重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)、ヨウ素移動重合(ITP)、セレニウム中心ラジカル媒介重合、テルル化物媒介重合(TERP)、スチビン媒介重合または開環重合によって調製される、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーが、ビニル基を含有するモノマーから調製される、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーが、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)において使用される薬剤などの連鎖移動薬剤を使用して調製される、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーが、
a. RAFT共重合プロセスにおける第1の連鎖移動薬剤から得られる第1のキャップ形成単位を含む第1の終端;
b. 第1の反応性機能的単位に共有結合しており、分子量(M)約1kDa~約200kDaの範囲および重合度約10~約2500の範囲を有する1つまたは複数のモノマー単位から調製される第1のブロック;
c. 適宜、第1のブロックに共有結合しており、分子量(M)約1kDa~約200kDaの範囲および重合度約20~約2000の範囲を有する1つまたは複数のモノマー単位から調製される第2のブロック;ならびに
d. 第1または第2の連鎖移動薬剤から得られる第2のキャップ形成単位を含む第2の終端
を含むRAFTブロックコポリマーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
非ウイルス性デリバリー媒体が、全体の分子量(M)約25kDa~約60kDaの範囲、全体の重合度約700~約900の範囲、標的サイズ約10~約60nmの範囲、および最大コロナ対コア比(CCR)約1.5~約3.5のうち1つまたは複数を有する、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
第1のブロックが、2-ジメチルアミノエチルアクリラート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、(ヒドロキシエチル)メタクリラートおよびメチルメタクリラートからなる群から選択される1つまたは複数のモノマー単位から調製される、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
第1のブロックが、2-ジメチルアミノエチルアクリラート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、(ヒドロキシエチル)メタクリラートまたはメチルメタクリラートのうちの1つから調製される、請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
第2のブロックが、2-ジメチルアミノエチルアクリラート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、(ヒドロキシエチル)メタクリラートおよびメチルメタクリラートからなる群から選択される1つまたは複数のモノマー単位から調製される、請求項19に記載の組成物。
【請求項24】
第2のブロックが、2-ジメチルアミノエチルアクリラート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、(ヒドロキシエチル)メタクリラートおよびメチルメタクリラートからなる群からそれぞれ独立に選択される2種の異なるモノマー単位から調製されるランダムコポリマーである、請求項19に記載の組成物。
【請求項25】
第2のブロックが、2-ジメチルアミノエチルアクリラート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、(ヒドロキシエチル)メタクリラートおよびメチルメタクリラートからなる群からそれぞれ独立に選択される3種の異なるモノマー単位から調製されるランダムコポリマーである、請求項19に記載の組成物。
【請求項26】
第2のブロックが、2-ジメチルアミノエチルアクリラート、ブチルメタクリラートおよびアクリル酸プロピル;または2-ジメチルアミノエチルアクリラートおよびブチルメタクリラート;または2-ジメチルアミノエチルアクリラート、ブチルメタクリラートおよびアクリル酸エチルから調製されるランダムコポリマーである、請求項19に記載の組成物。
【請求項27】
各連鎖移動薬剤が、トリチオ炭酸ビス(カルボキシメチル)、トリチオ炭酸ビス(2-アミノ-2-オキソエチル)、トリチオ炭酸ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンジル]、4-シアノ-4-(エチルスルファニルチオカルボニル)スルファニルペンタン酸、4-シアノ-4-[(フェニルカルボノチオイル)チオ]ペンタン酸および4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸からなる群からそれぞれ独立に選択される、請求項19に記載の組成物。
【請求項28】
第1のキャップ形成単位が、式
【化1】
であり、*が第1のブロックに対する共有結合の地点を表す、請求項19に記載の組成物。
【請求項29】
第2のキャップ形成単位が、式
【化2】
であり、*が、第2のブロックに対する共有結合の地点を表し、Rが、-SC-C12アルキルまたはCである、請求項19に記載の組成物。
【請求項30】
デリバリー媒体として使用するための所望のポリマーナノ粒子のインビボスクリーニングの方法であって、(a)2つ以上の型のポリマーナノ粒子を含むライブラリーであって、各ポリマーナノ粒子が、異なるポリヌクレオチドバーコードを含む核酸コンストラクトと会合しているライブラリーを調製することと、(b)動物にライブラリーを投与することと、(c)動物から細胞または組織を取り出すことと、(d)動物の細胞または組織から核酸コンストラクトを単離することと、(e)動物の細胞または組織中の核酸コンストラクトを検出することと、(f)デリバリー媒体として使用するための所望のポリマーナノ粒子を同定することとを含む、方法。
【請求項31】
核酸コンストラクトと会合したポリマーナノ粒子が、請求項1~29のいずれか一項に記載のものである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
ヌクレオチド配列データを得るために、核酸コンストラクトが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温増幅、配列決定またはその組合せからなる群から選択される方法によって検出される、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
ポリマーナノ粒子が、ペイロードを搭載される、請求項30に記載の方法。
【請求項34】
ペイロードが、発光性分子である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
発光を使用して、画像化を介して体内分布または細胞取り込みを追跡する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
動物への投与が、筋肉内、静脈内、腹膜内、経口または肺経路を介する、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
核酸コンストラクトが、第1の有機化合物と混合し、有機相を細胞または組織試料の水性相とインキュベートし、水性相から有機相を分離し、有機相を第2の有機化合物と混合し、混合物をインキュベートし、混合物から核酸コンストラクトを沈殿させ、蒸発によって有機相を除去し、水性組成物中に核酸コンストラクトを再懸濁することによって細胞および組織から単離される、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
有機相が、フェノールクロロホルムを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
核酸コンストラクトが、核酸コンストラクトの水性組成物を7.4を超えるpHに滴定することによって細胞または組織中の陽イオン性物質から分離される、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
核酸コンストラクトが、細胞または組織材料に対する結合親和性より大きい核酸コンストラクトに対する結合親和性で核酸コンストラクトを分子と結合することによって細胞または組織中の材料から分離される、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
核酸コンストラクトが、サイズ排除クロマトグラフィーを介して細胞または組織中の材料から分離される、請求項30に記載の方法。
【請求項42】
核酸コンストラクトが、透析または透析ろ過を介して細胞または組織中の材料から分離される、請求項30に記載の方法。
【請求項43】
核酸コンストラクトが、ろ過を介して細胞または組織中の材料から分離される、請求項30に記載の方法。
【請求項44】
核酸コンストラクトが、酵素を使用してタンパク質を消化することによって細胞または組織中の材料から分離される、請求項30に記載の方法。
【請求項45】
酵素がプロテイナーゼKである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
ポリマーナノ粒子と会合した核酸コンストラクトが、単離された核酸コンストラクトを少なくとも1000倍で先ず希釈し、次いでプライマーを使用してPCRにより核酸コンストラクトを増幅することにより検出される、請求項30に記載の方法。
【請求項47】
PCRステップのプライマーが、アンプリコンの検出前に酵素的に消化される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
ヌクレオチド配列データが、fastQファイルに変換され;fastQファイルが公知のポリヌクレオチドバーコードにマッピングされ、ポリヌクレオチドバーコードが列挙される、請求項32に記載の方法。
【請求項49】
疾患のある患者を処置する方法であって、請求項30に記載のインビボスクリーニング方法において同定した、ペイロードをさらに含むポリマーナノ粒子を患者に投与することと、患者において疾患を処置することとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下で、2021年4月7日に出願の米国特許仮出願第63/172,069号の優先権を主張し、そのすべての開示を参照により本明細書に組み込む。
【0002】
本開示は、インビボ(in vivo)スクリーニングおよびインビボ治療的デリバリー用のバーコード化ポリマーナノ粒子、ならびにそのための方法に関する。より具体的には、本発明は、治療的デリバリーおよび薬物デリバリーナノ粒子の高スループットインビボスクリーニング用の、ポリヌクレオチドバーコードと会合した可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)ポリマー組成物などのポリマーナノ粒子に関する。
【背景技術】
【0003】
遺伝子医薬(遺伝子療法、遺伝子サイレンシング、スプライシング調節因子、およびヌクレアーゼに基づく遺伝子編集を含む)は、ワクチン、感染性疾患処置、抗微生物処置、抗ウイルス処置、最も注目すべきは、遺伝子疾患処置を含めて、革命的な処置をもたらすことになる。しかしながら、遺伝子医薬の有効性または安全性を減少させるおそれがある組織および細胞を回避しながら、処置される必要がある特定の組織および細胞へこれらの遺伝子医薬ペイロードをインビボデリバリーすることは、有意な課題を提起する。さらなる課題には、大きな遺伝子ペイロードまたは複数のペイロードをデリバリーする能力がある。アデノ随伴ウイルス(AAV)は、遺伝子医薬のデリバリーに最も広く使用されているツールであるが、AAVは、大きな遺伝子ペイロードまたは複数のペイロード[クラスター化された規則的間隔のパリンドローム様短反復(CRISPR)/Cas9システムなど]をデリバリーすることができず、それらのペイロードは、細胞媒介性応答である抗AAV抗体の生成を含めた不要な免疫応答を誘発する場合もある。患者においてAAVによって引き起こされる免疫応答のいくつかは、潜在的に致死的な免疫応答である。
【0004】
CRISPR/Cas9システムに基づく治療は、正確でプログラム可能な遺伝子編集のこのシステムの能力のため、多くの遺伝子疾患を処置する優れた潜在性を有する。CRISPR/Cas9システムを使用する遺伝子編集および修復は、ランダムなindel突然変異を誘導することにより切断の部位を修復する非相同末端結合(NHEJ)と既存の鋳型に基づいて切断部位を修復する相同組換え修復(HDR)を含めた、2つの主要な機序を有する。予め設計された鋳型が、HDR特異的修復に使用され得るので、この機序に基づく療法は、異なる様々な遺伝子疾患の治癒に合わせて調整することができる。しかしながら、主要な課題は、HDR修復は、CRISPR/Cas9、小さいガイドRNA(sgRNA)およびドナーDNA鎖を特定の位置に同時にデリバリーする必要があるということである。標的した同じ位置へ複数の巨大分子を確実に同時デリバリーすることは、現在のところ実現不可能なので、この要件はインビボ適用の場合に特に制限になる。例えば、Cas9酵素配列およびガイドRNA複合体は、AAVに組み込むには大きすぎる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、遺伝子デリバリーシステムを含めた有効な非ウイルス性デリバリーシステムが必要である。リポソームなどの現在最高水準の非ウイルス性遺伝子デリバリーシステムは、低い生体適合性および容易にそれらを操作または機能化できないなど、多くの欠点を有する。さらなる懸念は、このような非ウイルス性遺伝子デリバリーシステムは、細胞内または細胞間区画を通過するので様々な酵素によって容易に分解され、これらのシステムが、複数の大きなペイロードをパッケージングすることができないことである。
【0006】
本発明者らは、バーコード化ポリマーナノ粒子(例えば、RAFTポリマーなどの制御されたリビング/ラジカル重合から得られるポリマー)デリバリー組成物を設計した。これらの組成物は、生体適合性であり、非毒性であり、多くの方法でプログラムされ得るという優位性を有する。例えば、バーコード化ポリマーナノ粒子デリバリー組成物は、早期の分解を回避することを可能にし、免疫応答を回避することを可能にし、細胞内の画像化ならびに治療的遺伝子および他の治療的分子の制御されたデリバリーを可能にする官能基を有するようにプログラムされ得る。したがって、これらの非ウイルス性デリバリー組成物は、免疫回避、組織指向性細胞内デリバリー、ならびに大きな遺伝子ペイロードまたは複数のペイロードをデリバリーする能力を実現することによって遺伝子医薬のペイロードおよび他のペイロードの安定性、安全性および/または有効性を増強させ得る。
【0007】
本開示は、これらの非ウイルス性デリバリー組成物を、遺伝子デリバリーを大いに加速し、限定された遺伝子デリバリー媒体に存在する短所を解決することになる迅速な設計、構築、試験、および学習(DBTL)技術と組み合わせる。今日の編集療法が臨床に移行することを急ぐのに加えて、これらの技術は、より大きく、分子的により多様性がある遺伝子ペイロード、ならびに他のペイロードの一般的なデリバリーを可能にし、遺伝子疾患および他の疾患の処置を改善し続けることになると予想される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一部の態様において、本開示は、1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーを含む非ウイルス性デリバリー媒体および核酸コンストラクトを含む組成物を提供する。
【0009】
一部の態様において、本開示は、デリバリー媒体として使用するための所望のポリマーナノ粒子のインビボスクリーニングの方法を提供し、本方法は、(a)2つ以上の型のポリマーナノ粒子を含むライブラリーであって、各ポリマーナノ粒子が、異なるポリヌクレオチドバーコードを含む核酸コンストラクトと会合しているライブラリーを調製することと、(b)動物にライブラリーを投与することと、(c)動物から細胞または組織を取り出すことと、(d)動物の細胞または組織から核酸コンストラクトを単離することと、(e)動物の細胞または組織中の核酸コンストラクトを検出することと、(f)デリバリー媒体として使用するための所望のポリマーナノ粒子を同定することとを含む。
【0010】
一部の態様において、本開示は、疾患のある患者を処置する方法を提供し、この方法は、本明細書に記載されるインビボスクリーニング方法において同定した、ポリヌクレオチドもしくはタンパク質ペイロードまたは小分子治療用ペイロードなどの薬物ペイロードをさらに含むポリマーナノ粒子を患者に投与することと、患者において疾患を処置することとを含む。
【0011】
以下の条項およびその組合せは、本明細書に記述される本発明の様々な追加の例示的な態様を提供する。「例示的実施形態の詳細な説明」および「実施例」という表題の節を含めて、この特許出願の他の任意の節に記述される様々な実施形態は、以下の付番された条項に記述される本発明の下記の実施形態のいずれかに適用可能である。
【0012】
1.
a.1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーを含む非ウイルス性デリバリー媒体、および
b.核酸コンストラクト
を含む組成物。
【0013】
2. 非ウイルス性デリバリー媒体がポリマーナノ粒子を含む、条項1の組成物。
【0014】
3. 核酸コンストラクトが、静電相互作用を介して非ウイルス性デリバリー媒体に会合している、条項1または2の組成物。
【0015】
4. 核酸コンストラクトが、1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーの正に荷電したポリマーセグメントと核酸コンストラクトの負に荷電したポリヌクレオチドセグメントとの静電相互作用によって非ウイルス性デリバリー媒体と会合している、条項1~3のいずれか1つの組成物。
【0016】
5. 核酸コンストラクトが、核酸コンストラクトの5’および/または3’末端上のビオチン分子と、1つもしくは複数のナノ粒子形成ポリマー上のビオチンに結合する分子との間の高親和性、非共有結合性相互作用によって非ウイルス性デリバリー媒体と会合している、条項1~3のいずれか1つの組成物。
【0017】
6. 核酸コンストラクトが、カルボキシ終端ポリマーセグメントと核酸コンストラクトの間の共有結合によって非ウイルス性デリバリー媒体と会合し、核酸コンストラクトが5’および/または3’末端に1級アミンを含む、条項1~3のいずれか1つの組成物。
【0018】
7. 核酸コンストラクトが:
a.2つのプライマー結合セグメント;および
b.2つのプライマー結合セグメントの間にある1つまたは複数の固有のポリヌクレオチドバーコード
を含む、先行する条項のいずれか1つの組成物。
【0019】
8. プライマー結合セグメントが、長さ約15塩基対~約30塩基対の範囲である、条項7の組成物。
【0020】
9. プライマー結合セグメントが、汎用プライマー結合セットである、条項7または8の組成物。
【0021】
10. 1つまたは複数のポリヌクレオチドバーコードが、長さ6~20ヌクレオチドの固有の配列を含む、条項7~9のいずれか1つの組成物。
【0022】
11. ポリヌクレオチドバーコードが、任意の2つの固有のポリヌクレオチドバーコード配列間に少なくとも2~6塩基のハミング距離をさらに含む、条項10の組成物。
【0023】
12. 核酸コンストラクトが、ポリヌクレオチドバーコードの3’末端に約6~約12個のランダム塩基をさらに含む、先行する条項のいずれか1つの組成物。
【0024】
13. ポリヌクレオチドバーコードの3’末端にある約6~約12個のランダム塩基が、PCR重複物のバイオインフォマティクス的除去のためである、条項12の組成物。
【0025】
14. 核酸コンストラクトが、長さ約42ヌクレオチド~約210ヌクレオチドの範囲である、先行する条項のいずれか1つの組成物。
【0026】
15. 1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーが、制御されたリビング/ラジカル重合と適合するモノマー単位を含む、先行する条項のいずれか1つの組成物。
【0027】
16. 1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーが、可逆的不活性化ラジカル重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)、ヨウ素移動重合(ITP)、セレニウム中心ラジカル媒介重合、テルル化物媒介重合(TERP)、スチビン媒介重合または開環重合によって調製される、先行する条項のいずれか1つの組成物。
【0028】
17. 1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーが、ビニル基を含有するモノマーから調製される、先行する条項のいずれか1つの組成物。
【0029】
18. 1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーが、可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)において使用される薬剤などの連鎖移動薬剤を使用して調製される、先行する条項のいずれか1つの組成物。
【0030】
19. 1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーが、
a. RAFT共重合プロセスにおける第1の連鎖移動薬剤から得られる第1のキャップ形成単位を含む第1の終端;
b. 第1の反応性機能的単位に共有結合しており、分子量(M)約1kDa~約500kDaの範囲および重合度約10~約2500の範囲を有する1つまたは複数のモノマー単位から調製される第1のブロック;
c. 適宜、第1のブロックに共有結合しており、分子量(M)約1kDa~約500kDaの範囲および重合度約20~約2000の範囲を有する1つまたは複数のモノマー単位から調製される第2のブロック;ならびに
d. 第1または第2の連鎖移動薬剤から得られる第2のキャップ形成単位を含む第2の終端
を含むRAFTブロックコポリマーである、先行する条項のいずれか1つの組成物。
【0031】
20. 非ウイルス性デリバリー媒体が、全体の分子量(M)約25kDa~約60kDaの範囲、全体の重合度約700~約900の範囲、標的サイズ約10~約60nmの範囲、および最大コロナ対コア比(CCR)約1.5~約3.5のうち1つまたは複数を有する、条項19の組成物。
【0032】
21. 第1のブロックが、2-ジメチルアミノエチルアクリラート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、(ヒドロキシエチル)メタクリラートおよびメチルメタクリラートからなる群から選択される1つまたは複数のモノマー単位から調製される、条項19または20の組成物。
【0033】
22. 第1のブロックが、2-ジメチルアミノエチルアクリラート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、(ヒドロキシエチル)メタクリラートまたはメチルメタクリラートのうちの1つから調製される、条項19または20の組成物。
【0034】
23. 第2のブロックが、2-ジメチルアミノエチルアクリラート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、(ヒドロキシエチル)メタクリラートおよびメチルメタクリラートからなる群から選択される1つまたは複数のモノマー単位から調製される、条項19~22のいずれか1つの組成物。
【0035】
24. 第2のブロックが、2-ジメチルアミノエチルアクリラート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、(ヒドロキシエチル)メタクリラートおよびメチルメタクリラートからなる群からそれぞれ独立に選択される2種の異なるモノマー単位から調製されるランダムコポリマーである、条項19~23のいずれか1つの組成物。
【0036】
25. 第2のブロックが、2-ジメチルアミノエチルアクリラート、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、(ヒドロキシエチル)メタクリラートおよびメチルメタクリラートからなる群からそれぞれ独立に選択される3種の異なるモノマー単位から調製されるランダムコポリマーである、条項19~23のいずれか1つの組成物。
【0037】
26. 第2のブロックが、2-ジメチルアミノエチルアクリラート、ブチルメタクリラートおよびアクリル酸プロピル;または2-ジメチルアミノエチルアクリラートおよびブチルメタクリラート;または2-ジメチルアミノエチルアクリラート、ブチルメタクリラートおよびアクリル酸エチルから調製されるランダムコポリマーである、条項19~25のいずれか1つの組成物。
【0038】
27. 各連鎖移動薬剤が、トリチオ炭酸ビス(カルボキシメチル)、トリチオ炭酸ビス(2-アミノ-2-オキソエチル)、トリチオ炭酸ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンジル]、4-シアノ-4-(エチルスルファニルチオカルボニル)スルファニルペンタン酸、4-シアノ-4-[(フェニルカルボノチオイル)チオ]ペンタン酸および4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸からなる群からそれぞれ独立に選択される、条項19~26のいずれか1つの組成物。
【0039】
28. 第1のキャップ形成単位が、式
【0040】
【化1】
であり、*が第1のブロックに対する共有結合の地点を表す、条項19~27のいずれか1つの組成物。
【0041】
29. 第2のキャップ形成単位が、式
【0042】
【化2】
であり、*が、第2のブロックに対する共有結合の地点を表し、Rが、-SC-C12アルキルまたはCである、条項19~28のいずれか1つの組成物。
【0043】
30. デリバリー媒体として使用するための所望のポリマーナノ粒子のインビボスクリーニングの方法であって、(a)2つ以上の型のポリマーナノ粒子を含むライブラリーであって、各ポリマーナノ粒子が、異なるポリヌクレオチドバーコードを含む核酸コンストラクトと会合しているライブラリーを調製することと、(b)動物にライブラリーを投与することと、(c)動物から細胞または組織を取り出すことと、(d)動物の細胞または組織から核酸コンストラクトを単離することと、(e)動物の細胞または組織中の核酸コンストラクトを検出することと、(f)デリバリー媒体として使用するための所望のポリマーナノ粒子を同定することとを含む、方法。
【0044】
31. 核酸コンストラクトと会合したポリマーナノ粒子が、条項1~29のいずれか1つによるものである、条項30の方法。
【0045】
32. ヌクレオチド配列データを得るために、核酸コンストラクトが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温増幅、配列決定またはその組合せからなる群から選択される方法によって検出される、条項30または31の方法。
【0046】
33. ポリマーナノ粒子が、ペイロードを搭載される、条項30~32のいずれか1つの方法。
【0047】
34. ペイロードが、発光性分子である、条項33の方法。
【0048】
35. 発光を使用して、画像化を介して体内分布または細胞取り込みを追跡する、条項34の方法。
【0049】
36. 動物への投与が、筋肉内、静脈内、腹膜内、経口または肺経路を介する、条項30~35のいずれか1つの方法。
【0050】
37. 核酸コンストラクトが、第1の有機化合物と混合し、有機相を細胞または組織試料の水性相とインキュベートし、水性相から有機相を分離し、有機相を第2の有機化合物と混合し、混合物をインキュベートし、混合物から核酸コンストラクトを沈殿させ、蒸発によって有機相を除去し、水性組成物中に核酸コンストラクトを再懸濁することによって細胞および組織から単離される、条項30~36のいずれか1つの方法。
【0051】
38. 有機相が、フェノールクロロホルムを含む、条項37の方法。
【0052】
39. 核酸コンストラクトが、核酸コンストラクトの水性組成物を、7.4を超えるpHに滴定することによって細胞または組織中の陽イオン性物質から分離される、条項37の方法。
【0053】
40. 核酸コンストラクトが、細胞または組織材料に対する結合親和性より大きい核酸コンストラクトに対する結合親和性で核酸コンストラクトを分子と結合することによって細胞または組織中の材料から分離される、条項30の方法。
【0054】
41. 核酸コンストラクトが、サイズ排除クロマトグラフィーを介して細胞または組織中の材料から分離される、条項30の方法。
【0055】
42. 核酸コンストラクトが、透析または透析ろ過を介して細胞または組織中の材料から分離される、条項30の方法。
【0056】
43. 核酸コンストラクトが、ろ過を介して細胞または組織中の材料から分離される、条項30の方法。
【0057】
44. 核酸コンストラクトが、酵素を使用してタンパク質を消化することによって細胞または組織中の材料から分離される、条項30の方法。
【0058】
45. 酵素がプロテイナーゼKである、条項44の方法。
【0059】
46. ポリマーナノ粒子と会合した核酸コンストラクトが、単離された核酸コンストラクトを少なくとも1000倍で先ず希釈し、次いでプライマーを使用してPCRにより核酸コンストラクトを増幅することにより検出される、条項30の方法。
【0060】
47. PCRステップのプライマーが、アンプリコンの検出前に酵素的に消化される、条項46の方法。
【0061】
48. ヌクレオチド配列データが、fastQファイルに変換され;fastQファイルが公知のポリヌクレオチドバーコードにマッピングされ、ポリヌクレオチドバーコードが列挙される、条項32の方法。
【0062】
49. 疾患のある患者を処置する方法であって、条項30~48のいずれか1つのインビボスクリーニング方法において同定した、ペイロードをさらに含むポリマーナノ粒子を患者に投与することと、患者において疾患を処置することとを含む方法。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1は、自動化合成、高スループット試験、および機械学習設計に基づく非ウイルス性遺伝子デリバリーを開発するためのDBTLサイクルを例示する単純化した流れ図を示す概念図である。
図2図2は、遺伝子編集、細胞毒性および炎症に対するデータを生成するための、様々なサイズ、電荷および疎水性を持つPNPの大規模で多様性があるライブラリーの自動化多重合成を示す概念図である。
図3図3(a)~3(b)は、グラフニューラルネットワーク構成[3(a)]およびSMILES入力からのゼータ電位予測[3(b)]を示す概念図である。
図4図4は、本開示の核酸コンストラクトの代表的な一例の例示であり、本開示のプライマー結合セグメント[塩基対(bp)](示されるコンストラクト中で20bpおよび21bp)、ポリヌクレオチドバーコード(示されるコンストラクト中で8bp)およびランダム配列断片(示されるコンストラクト中で7bp)の長さを示す。
図5図5(a)~5(c)は、静電的ローディング反応[図5(a)]、アビジン-ストレプトアビジンコンジュゲーション[図5(b)]および直接アミド化[図5(c)]を使用する核酸コンストラクト標識反応方法の概略図である。
図6図6は、ポリマーナノ粒子に静電的に結合した核酸コンストラクトの増幅を示すeゲルである。核酸コンストラクトによる試料中の二重バンドの存在から、バーコードが、PNPに結合したことが確認される。非試験対照(NTC)に二重バンドがないことから、肯定的な結果が確認される。
図7図7は、96種の固有のバーコードのプールされた試料からのDNAバーコード増幅を示す一連のeゲルであり、それぞれは、原型PNPに結合している。図中の各フレームは、48チャネルゲル電気泳動の1列である。各ゲルの第1の段はDNAラダーであり、一番下のバンドは、およそ100塩基である。100bpの印近くの各段内の明るいバンドは、バーコードに由来するアンプリコンを示す。
図8図8は、HEK-293細胞の培養液にスパイクされた後に抽出された、原型PNPに結合された96種の固有のバーコードのプールされた試料からのDNAバーコード増幅を示すeゲルである。図中の各フレームは、48チャネルゲル電気泳動の1列である。各ゲルの第1の段はDNAラダーであり、一番下のバンドは、およそ100塩基である。100bpの印近くの各段内の明るいバンドは、バーコードに由来するアンプリコンを示す。
図9図9は、HEK-293細胞にスパイクした後の、固有のバーコードを持つ10種の固有のPNPからのDNAバーコード増幅を示すeゲルである。二重バンドの存在は、バーコード増幅の証拠であり、バーコードを有することが公知の陽性対照試料に存在し、リン酸緩衝食塩水のみの非試験対照(NTC)試料には観察されない。
図10図10は、図7の10種の固有のバーコード化PNPのそれぞれが、蛍光TdTomatoタンパク質を発現するプラスミドに搭載されたことを示す一連の画像である。搭載されたPNPが、HEK-293細胞にそれぞれ与えられた。48時間後、細胞を、Texas Redフィルタを用いて蛍光顕微鏡によって撮像し、画像を上に示す。
図11図11(a)~11(e)は、蛍光カーゴプラスミドをコードしているtd-tomatoを保有する代表的なPNP[図11(a)~11(c)]で処置したHEK293T細胞の細胞事象分布を図示するフローサイトメトリー散布図、ならびに88種の様々なPNPのライブラリーのトランスフェクション効率および生存率を図示するヒートマップ〔PNPライブラリートランスフェクション効率[図11(d)]およびPNPライブラリー生存率[図11(e)]〕を示す。図11(a)において、グラフ中で横棒によって示される曲線下面積は、細胞の84.17%を占める。
図12図12(a)~12(d)は、示したマウス組織から抽出したPCR増幅したバーコードのゲル画像[図12(a)および12(b)];単一のマウス器官からの96種の個々のバーコードすべてを検出する能力を実証する配列決定データ、図中(a)は低用量を示し、(b)は高用量を示す[図12(c)];および単一器官における各バーコードの相対的存在量を図示するグラフ[図12(d)]を示す。
図13図13は、様々なモル比のPNP対BC(即ち、バーコードのモルで割ったポリマーのモル)で結合されたバーコードを持つPNPの試料に対して実行したPCRから生成されるバーコード(BC)アンプリコンに対応するバンドを示す電気泳動ゲルである。バーコード化PNP試料すべてにバンドが存在することから、バーコードが、20:1~10000:1(モルPNP:モルBC)の範囲の比でバーコードで標識したPNPに対するPCRによって検出され得ることが確認される。
【発明を実施するための形態】
【0064】
本発明は、インビボスクリーニングおよびインビボ治療的デリバリー用のバーコード化ポリマーナノ粒子、ならびにそのための方法に関する。より具体的には、本発明は、治療的デリバリーおよび薬物デリバリーナノ粒子の高スループットインビボスクリーニング用の、ポリヌクレオチドバーコードと会合した可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)ポリマー組成物などの制御されたリビング/ラジカル重合産物などのポリマーナノ粒子に関する。一実施形態において、ペイロードは、3kBもしくはより大きい核酸、または別のポリヌクレオチドもしくはタンパク質もしくは小分子治療的もしくは発光性分子などの他の任意の適切なペイロードであり得る。
【0065】
本発明は、構造および機能における高度な同調性、免疫系による有害反応もしくは分解からペイロードを保護する機会、ならびに表面電荷または粒子サイズによる受動的細胞標的化を用いるプラットフォームとしてのバーコード化ポリマーナノ粒子組成物(例えば、RAFTコポリマーなど、制御されたリビング/ラジカル重合プロセスから得られるポリマーナノ粒子)の使用に関する。これらのデリバリーシステムはまた、コンピュータを使った設計に適しており、ウイルス性デリバリー組成物の製造プロセスより高い収率および少ない精製ステップで、強力で商業規模の製造プロセスに適切な経路を有する。
【0066】
一実施形態において、核酸コンストラクトと会合したポリマーナノ粒子(例えば、RAFTポリマーなど、制御されたリビング/ラジカル重合プロセスから得られるポリマーナノ粒子)を含む組成物が提供される。別の実施形態において、デリバリー媒体として使用するための核酸コンストラクトと会合した所望のポリマーナノ粒子(例えば、RAFTポリマーなど、制御されたリビング/ラジカル重合プロセスから得られるポリマーナノ粒子)を同定するためのインビボスクリーニング方法が提供される。別の実施形態において、スクリーニング方法において同定したポリマーナノ粒子を患者に投与することを含む、疾患のある患者を処置する方法が提供される。
【0067】
一実施形態において、デリバリー媒体として使用するための所望のポリマーナノ粒子のインビボスクリーニングの方法は、(a)2つ以上の型のポリマーナノ粒子を含むライブラリーであって、各ポリマーナノ粒子が、異なるポリヌクレオチドバーコードを含む核酸コンストラクトと会合しているライブラリーを調製することと、(b)動物にライブラリーを投与することと、(c)動物から細胞または組織を取り出すことと、(d)動物の細胞または組織から核酸コンストラクトを単離することと、(e)動物の細胞または組織中の核酸コンストラクトを検出することと、(f)デリバリー媒体として使用するための所望のポリマーナノ粒子を同定することとを含む。様々な実施形態において、核酸コンストラクトは、例えば、動物の細胞もしくは組織中にある核酸のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温増幅、または配列決定によって検出され得る。
【0068】
別の実施形態において、インビボスクリーニング方法において同定した、ポリヌクレオチドもしくはタンパク質ペイロードまたは小分子治療的もしくは発光性分子ペイロードなどの薬物ペイロードをさらに含むポリマーナノ粒子を患者に投与することと、患者において疾患を処置することとを含む、疾患のある患者を処置する方法が提供される。
【0069】
様々な実施形態において、核酸コンストラクトと会合したポリマーナノ粒子のインビボスクリーニングの方法または処置の方法のために核酸コンストラクトと会合したポリマーナノ粒子のライブラリーを投与するのに適切な任意の経路が、非経口投与を含めて使用され得る。そのような非経口投与に適切な経路には、静脈内、動脈内、腹膜内、くも膜下腔内、硬膜外、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、腫瘍内、筋肉内および皮下デリバリーがある。一実施形態において、非経口投与の手段には、有針(極微針を含める)注射器、無針注射器および注入技術がある。他の実施形態において、経口または肺投与経路が使用され得る。
【0070】
一態様において、バーコード化ポリマーナノ粒子のライブラリーは、ポリマーナノ粒子と会合した核酸コンストラクトを動物へ投与する前にプールおよび濃縮され得る。ライブラリー調製および配列決定の方法は、Green and Sambrook, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual", 4th Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2012)に記述されており、参照により本明細書に組み込む。
【0071】
様々な実施形態において、細胞または組織試料は、本明細書に記述される核酸コンストラクトと会合したポリマーナノ粒子の存在について分析され得る。試料は、例えば、尿、鼻汁、経鼻洗浄液、内耳液、気道内清掃液、気管支洗浄液、肺胞洗浄液、髄液、骨髄穿刺液、痰、胸腔内液、滑液、心膜液、腹膜液、唾液、涙、胃液分泌物、便、生殖器官分泌物、リンパ液、全血、血清、血漿からなる群から選択される動物由来の任意の組織、細胞もしくは液状試料、または動物由来の任意の組織もしくは細胞試料であり得る。典型的な組織または細胞試料には、脳組織もしくは細胞、筋組織もしくは細胞、皮膚組織もしくは細胞、心臓組織もしくは細胞、腎臓組織もしくは細胞、胃組織もしくは細胞、肝臓組織もしくは細胞、尿路組織もしくは細胞、消化管路組織もしくは細胞、頭頸部組織もしくは細胞、肺組織もしくは細胞、生殖器官組織もしくは細胞、膵臓組織もしくは細胞、または動物由来の他の任意の組織もしくは細胞型がある。
【0072】
動物から細胞または組織を取り出し、動物の細胞または組織から核酸コンストラクトを単離するための例示的な態様において、核酸コンストラクトは、動物の細胞または組織から取り出される。様々な実施形態において、動物の組織または細胞から採取される核酸コンストラクト(例えば、DNAまたはRNA)は、細胞を破裂させ、溶解物から核酸コンストラクトを単離することによって取り出すことができる。細胞を破裂させ、核酸を単離する技術は、当業者に周知であり、取り出し技術は、ビーズ-打撃技術を使用することによるなどの均質化を含む。他の実施形態において、核酸コンストラクトは、フェノール-クロロホルムなどの界面活性剤または溶媒を使用して細胞を破裂させることによって単離されてもよい。別の態様において、核酸コンストラクトは、遠心分離、透析、透析ろ過、ろ過、サイズ排除、加圧技術、プロテイナーゼKによるタンパク質の消化を含むがこれに限定されない物理的方法、または例えば核酸を結合するビーズなど核酸に対して親和性がある物質を使用することによって溶解物から分離され得る。
【0073】
例示的な一実施形態において、核酸コンストラクトは、有機相(例えば、フェノールクロロホルム)と水性相(例えば、水)の混合物による処置によって細胞または組織から取り出される。有機相(例えば、フェノールクロロホルム)は単離され、核酸コンストラクトは、pHを、例えばpH7.4に上げることによって沈殿させることができる。有機相(例えば、フェノールクロロホルム)は、蒸発され得、核酸コンストラクトは、水に懸濁され、PCRおよび/または配列決定に適切な濃度に希釈され得る。一実施形態において、単離された核酸コンストラクトは、充分な洗浄後に水または緩衝液のいずれかに懸濁される。
【0074】
他の実施形態において、Qiagen(商標)、Nuclisensm(商標)、Wizard(商標)(Promega)、QiaAmp96 DNA Extraction Kit(商標)およびQiacube HT(商標)機器、ならびにPromegam(商標)などの市販のキットが、核酸コンストラクトの単離に利用可能である。PCRおよび/または配列決定用の核酸を調製する方法は、Green and Sambrook, "Molecular Cloning: A Laboratory Manual", 4th Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, (2012)にも記述されており、参照により本明細書に組み込む。
【0075】
ポリヌクレオチドバーコードは、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、等温増幅、配列決定および/または画像化を使用することによって検出され得る。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、実験室において核酸を分析するために開発された。PCRは、次世代塩基配列決定法(NG)として公知の新世代のデバイスおよび方法へと過去10年にわたって進化した。NGSは、より安価な価格で核酸のより速い検出および増幅を提供する。NGSデバイスおよび方法は、核酸が大規模並列、高スループットプラットフォームで増幅されるので、迅速な配列決定が可能になる。
【0076】
例示的な態様において、核酸コンストラクトは、ポリヌクレオチドバーコードを検出するために次世代塩基配列決定法(例えば、Illumina、ThermoFisher、またはPacBioもしくはOxford Nanopore Technologies配列決定プラットフォームを使用する)、合成による配列決定法、パイロシークエンス法、ナノ細孔配列決定法を含めた任意の適切な配列決定方法を使用して配列決定され得、またはその修飾もしく組合せが使用され得る。一実施形態において、配列決定は、アンプリコン配列決定であり得る。別の実施形態において、配列決定は、全ゲノム配列決定であり得る。別の実施形態において、配列決定は、エキソーム/標的化ハイブリダイゼーション配列決定であり得る。また、核酸配列決定の方法は当業者に周知であり、Sambrook et al., "Molecular Cloning: A Laboratory Manual", Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記述されており、参照により本明細書に組み込む。
【0077】
一態様において、核酸コンストラクトは、ポリヌクレオチドバーコードを含むことができ、バーコードは、ポリヌクレオチドバーコードを同定するためのどんな公知のゲノムにも存在しない固有の配列を含む。別の実施形態において、異なるポリヌクレオチドバーコード(例えば、88または96種の異なるポリヌクレオチドバーコード)を含む異なる核酸コンストラクトのセットを使用して、1回の配列決定行程で試料を多重化することが可能になり得る。
【0078】
様々な実施形態において、ポリヌクレオチドバーコードは、長さ約5~約35塩基対、長さ約5~約34塩基対、長さ約5~約33塩基対、長さ約5~約32塩基対、長さ約5~約31塩基対、長さ約5~約30塩基対、長さ約5~約29塩基対、長さ約5~約28塩基対、長さ約5~約27塩基対、長さ約5~約26塩基対、長さ約5~約25塩基対、長さ約5~約21塩基対、長さ約5~約22塩基対、長さ約5~約23塩基対、長さ約5~約24塩基対、長さ約5~約15塩基対、長さ約5~約16塩基対、長さ約5~約17塩基対、長さ約5~約18塩基対、長さ約5~約19塩基対、長さ約5~約20塩基対、長さ約5~13塩基対、長さ約5~14塩基対、長さ約5~12塩基対、長さ約5~11塩基対、長さ約5~10塩基対、長さ約5~9塩基対、長さ約5~8塩基対、長さ約6~10塩基対、長さ約7~10塩基対、長さ約8~10塩基対、または長さ約6~約20塩基対であり得る。
【0079】
ポリヌクレオチドバーコードの様々な実施形態が、以下の表1に示される(標示「ポリヌクレオチドバーコード」)。これらのポリヌクレオチドバーコードは、核酸コンストラクトにおいて単独で、または例えば、2種もしくはより多くのポリヌクレオチドバーコード、3種もしくはより多くのポリヌクレオチドバーコード、4種もしくはより多くのポリヌクレオチドバーコードの組合せ、等で使用され得る。2種以上のポリヌクレオチドバーコードが使用される実施形態において、ポリヌクレオチドバーコード間のハミング距離は、約2~約6ヌクレオチドであることができ、または任意の適切な数のヌクレオチドが、ハミング距離を形成することができ、またはポリヌクレオチドバーコード間にヌクレオチドは存在しない。
【0080】
表1
【表1-1】



【表1-2】



【表1-3】



【表1-4】



【表1-5】



【表1-6】



【表1-7】



【表1-8】



【表1-9】



【表1-10】



【表1-11】



【表1-12】



【表1-13】



【表1-14】



【表1-15】



【表1-16】


【0081】
別の実施形態において、ランダム配列断片が、ポリヌクレオチドバーコードの5’および/または3’末端に連結され得、ランダム配列断片を使用して、例えばPCR重複物のバイオインフォマティクス的除去をすることができる。ランダム配列断片は、核酸コンストラクトに長さを追加するために使用することもでき、配列決定後のポリヌクレオチドバーコードの始まりまたは末端を同定するためのバイオインフォマティクス分析のマーカーとして機能を果たすこともできる。別の実施形態において、核酸コンストラクトは、少なくとも第1および第2のランダム配列断片を含み、第1のランダム配列断片は、ポリヌクレオチドバーコードの5’末端に連結され得、第2のランダム配列断片は、ポリヌクレオチドバーコードの3’末端に連結され得る。別の実施形態において、1つまたは少なくとも1つのランダム配列断片がポリヌクレオチドバーコードの5’および/または3’末端に連結される。一態様において、ランダム配列断片を必要に応じて伸長させて、短い挿入が失われる可能性がある全ゲノム配列決定などの異なる適用のためにより長い核酸コンストラクトを作製することができる。
【0082】
様々な実施形態において、ランダム配列断片は、長さ約5~約18塩基対、長さ約5~約19塩基対、長さ約5~約20塩基対、長さ約5~約13塩基対、長さ約5~約14塩基対、長さ約5~約15塩基対、長さ約5~約16塩基対、長さ約5~約17塩基対、長さ約5~約9塩基対、長さ約5~約10塩基対、長さ約5~約11塩基対、長さ約5~約12塩基対、長さ約5~約8塩基対、長さ約6~約10塩基対、長さ約7~約10塩基対、または長さ約8~約10塩基対であり得る。
【0083】
別の例示的な態様において、ポリヌクレオチドバーコードは、ポリヌクレオチドバーコードを含む核酸コンストラクトが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および/または配列決定プロトコールの間に増幅され得るように、プライマー結合セグメントに挟まれてもよい(即ち、直接または間接的にポリヌクレオチドバーコードに連結される)。一態様において、プライマー結合セグメントは、1つもしくは複数の汎用プライマーまたは汎用プライマーセットへの結合に有用であり得る。例示的な一実施形態において、汎用プライマーは、配列決定のためのインデックスアダプターの結合を可能にするオーバーハング配列を含有することができる。この態様において、プライマーは、対象となる任意のプライマーであり得る。この実施形態において、第1のプライマー結合セグメントは、その3’末端で第1のランダム配列断片の5’末端に連結され得、第2のプライマー結合セグメントは、その5’末端でランダム配列断片間にポリヌクレオチドバーコードを含む第2のランダム配列断片の3’末端に連結され得る。別の実施形態において、第1のプライマー結合セグメントは、その3’末端でポリヌクレオチドバーコードの5’末端に連結され得、第2のプライマー結合セグメントは、その5’末端で、ポリヌクレオチドバーコードの3’末端に連結されているランダム配列断片(例として図1を参照のこと)の3’末端に連結され得る。別の実施形態において、第1のプライマー結合セグメントは、その3’末端でランダム配列断片の5’末端に連結され得、第2のプライマー結合セグメントは、その5’末端でポリヌクレオチドバーコードの3’末端に連結され得、ポリヌクレオチドバーコードは、その5’末端でランダム配列断片の3’末端に連結される。さらに別の実施形態において、第1のプライマー結合セグメントは、その3’末端でポリヌクレオチドバーコードの5’末端に連結され得、第2のプライマー結合セグメントは、その5’末端でポリヌクレオチドバーコードの3’末端に連結され得る。
【0084】
プライマー結合セグメントが、核酸コンストラクトに含まれる実施形態において、プライマー結合セグメントは、長さ約15塩基対~約30、約15塩基対~約29塩基対、約15塩基対~約28塩基対、約15塩基対~約26塩基対、約15塩基対~約24塩基対、約15塩基対~約22塩基対、約15塩基対~約20塩基対、16塩基対~約28塩基対、約16塩基対~約26塩基対、約16塩基対~約24塩基対、約16塩基対~約22塩基対、約16塩基対~約20塩基対、17塩基対~約28塩基対、約17塩基対~約26塩基対、約17塩基対~約24塩基対、約17塩基対~約22塩基対、約17塩基対~約20塩基対、18塩基対~約28塩基対、約18塩基対~約26塩基対、約18塩基対~約24塩基対、約18塩基対~約22塩基対、または約18塩基対~約20塩基対の範囲であり得る。
【0085】
核酸コンストラクトの典型的な配列が、以下に示される。/5AmMC6/は、ポリマーナノ粒子への結合のための5’アミン修飾である。*は、安定性のためのホスホロチオエート結合修飾である。A*G*A*CGTGTGCTCTTCCGATCT配列は、5’プライマー結合セグメント配列である。GCTACATAATは、典型的なバーコードポリヌクレオチド配列である。Nは、ランダム配列断片を表す。AGATCGGAAGAGCGTCG*T*G*Tは、3’プライマー結合セグメント配列である。
【0086】
/5AmMC6/A*G*A*CGTGTGCTCTTCCGATCTGCTACATAATNNNNNNNNNNAGATCGGAAGAGCGTCG*T*G*T
上に記載の様々な実施形態のすべてにおいて、全体の核酸コンストラクトは、長さ約30塩基対~約240塩基対、約30塩基対~約230塩基対、約30塩基対~約220塩基対、約30塩基対~約210塩基対、約30塩基対~約200塩基対、約30塩基対~約190塩基対、約30塩基対~約180塩基対、約30塩基対~約170塩基対、約30塩基対~約160塩基対、約30塩基対~約150塩基対、約30塩基対~約140塩基対、約30塩基対~約130塩基対、約30塩基対~約120塩基対、約30塩基対~約110塩基対、約30塩基対~約100塩基対、約30塩基対~約90塩基対、約30塩基対~約80塩基対、約30塩基対~約70塩基対、約30塩基対~約60塩基対、約30塩基対~約50塩基対、約30塩基対~約40塩基対、40塩基対~約120塩基対、約40塩基対~約110塩基対、約40塩基対~約100塩基対、約40塩基対~約90塩基対、約40塩基対~約80塩基対、約40塩基対~約70塩基対、約40塩基対~約60塩基対、約40塩基対~約50塩基対、50塩基対~約120塩基対、約50塩基対~約110塩基対、約50塩基対~約100塩基対、約50塩基対~約90塩基対、約50塩基対~約80塩基対、約50塩基対~約70塩基対、約50塩基対~約60塩基対、または約42塩基対~約210塩基対の範囲であり得る。
【0087】
核酸コンストラクトは、ポリマーナノ粒子と会合しており、典型的なポリマーナノ粒子対核酸コンストラクト比の範囲は、約20:1~約10000:1、約20:1~約9000:1、約20:1~約8000:1、約20:1~約7000:1、約20:1~約6000:1、約20:1~約5000:1、約20:1~約4000:1、約20:1~約3000:1、約20:1~約2000:1、約20:1~約1000:1、約20:1~約900:1、約20:1~約800:1、約20:1~約700:1、約20:1~約600:1、約20:1~約500:1、約20:1~約400:1、約20:1~約300:1、約20:1~約200:1、または約20:1~約100:1である。
【0088】
例示的な一態様において、バーコード化ポリマーナノ粒子は、本開示によるデリバリー媒体として使用されてもよい。一部の実施形態において、非ウイルス性デリバリー媒体は、1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーを含む。一部の実施形態において、非ウイルス性デリバリー媒体は、ポリマーナノ粒子を含む。一部の実施形態において、非ウイルス性デリバリー媒体は、脂質性の系でない。一部の実施形態において、非ウイルス性デリバリー媒体は、制御されたリビング/ラジカル重合プロセスから作製されるポリマーナノ粒子を含む。使用されるモノマー単位が、可逆的不活性化ラジカル重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)、ヨウ素移動重合(ITP)、セレニウム中心ラジカル媒介重合、テルル化物媒介重合(TERP)、スチビン媒介重合、開環重合、またはそのような重合プロセスなどの制御されたリビング/ラジカル重合に適合する限り、モノマー単位の同一性が特に限定されないことが理解されるであろう。一部の実施形態において、ポリマーナノ粒子は、多様なセットのブロックコポリマーを合成し、ペイロードと複合体を形成する能力をスクリーニングするために、RAFT共重合によって作製されてもよい。一態様において、ポリマーナノ粒子(例えば、RAFTコポリマー)は、連鎖移動薬剤を使用してRAFTコポリマーにペイロードをグラフトし、その後ポリマーをデリバリー媒体へと組み立てることによるなど、構成するポリマーにペイロードを化学的に結合させることによって作製されてもよい。
【0089】
様々な実施形態において、ペイロードは、共有結合、静電相互作用およびリガンド親和性相互作用のいずれかまたはすべてを使用してポリマーナノ粒子組成物と組み合わせられてもよい。一態様において、共有結合方法は、安定性の改善(「棚上」とインビボの両方)、分離および抽出の容易さ、ならびに高感度検出のためにペイロードとポリマーナノ粒子の間に安定なアミド結合を形成するためのEDC/NHSの使用を含む。別の例示的な態様において、静電的結合方法は、ペイロードと静電的に複合体形成する陽イオン性ポリマーナノ粒子の使用を含む。別の実施形態において、リガンド親和性結合は、アビジンとビオチンなどのリガンドの使用を含み、両方とも、EDC/NHS化学によってポリマーナノ粒子およびペイロードに共有結合されて、ペイロードとポリマーナノ粒子との安定な組合せを生ずる。
【0090】
RAFT重合が、当業者に一般に公知であることが理解されるであろう。米国特許第9,006,193号、第9,464,300号および第9,476,063号に記述されるものなど、これまでに調査されてきたRAFT重合に適切な試薬、モノマーおよび条件は、本明細書に記述されるコポリマー、方法および組成物に使用することができ、それぞれの開示をその全体を参照により組み込む。
【0091】
本開示に関連して有用な連鎖移動薬剤(CTA)は、当業者に公知である。CTAの同一性は、特に限定されない。RAFT重合の基礎を形成する連鎖移動ステップが、鎖と成長ラジカルの間の官能性鎖末端基[一般にチオカルボニルチオ基、Z-C(=S)S-R]の可逆的移動を含むことが理解されるであろう。全体のプロセスは、RAFT剤(CTA)のR-とZ-C(=S)S-基の間のモノマーの挿入から構成され、それらの基は、得られたポリマー鎖の大多数のαおよびω末端基を形成する。本開示に関連する使用に適切なCTAには、それだけには限らないが、トリチオ炭酸(Z=S-アルキル)、ジチオ安息香酸(Z=Ph)、ジチオカルバマート(Z=N-アルキル)、キサントゲン酸塩(Z=Oアルキル)、等がある[Sebastien Perrier, Macromolecules 2017 50 (19), 7433-7447を参照のこと]。一部の実施形態において、RAFT共重合は、上に記載の方法によってペイロードに結合させるのに利用可能な末端を持つカルボキシ終端ポリマーを得るために、1つまたは複数の終端カルボキシ基を含有する連鎖移動薬剤(CTA)を使用して達成されてもよい。
この実施形態において、得られたモノ-またはジ-カルボキシ終端ポリマーが、低pH(例えば、pH6未満)の緩衝液中に分散される場合、ポリマーの両方の末端は露出しており、EDC/NHS化学による標識に利用可能である。この実施形態において、ポリマーが生理的pH(およそpH7)へ移されると、コアブロックは自己組織化し、細胞のエンドソーム区画における酸性化により放出され、露出されるように疎水性コア内にペイロードを封入する。一部の実施形態において、第1または第2の連鎖移動薬剤は、トリチオ炭酸ビス(カルボキシメチル)、ビス(2-アミノ-2-オキソエチル)トリチオ炭酸、トリチオ炭酸=ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシカルボニル)ベンジル]、4-シアノ-4-(エチルスルファニルチオカルボニル)スルファニルペンタン酸、4-シアノ-4-[(フェニルカルボノチオイル)チオ]ペンタン酸、および4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸、2-シアノ-2-プロピルベンゾジチオアート、シアノメチルメチル(フェニル)カルバモジチオアート、2-シアノ-2-プロピルドデシルトリチオカルボナート、2-(ドデシルチオカルボノチオイルチオ)-2-メチルプロピオン酸、シアノメチルドデシルトリチオカーボナート、2-シアノ-2-プロピル4-シアノベンゾジチオアート、等からなる群から選択され得る。
【0092】
本開示に関連して有用なRAFTが、様々なポリマー組成物であり得ることが理解されるであろう。例えば、本開示に関連して有用なRAFTポリマーは、単一のポリマーブロックを含むランダムブロックポリマー、もしくは2つのポリマーブロックを含むジブロックRAFTコポリマー、もしくは3つのポリマーブロックを含むトリブロックRAFTコポリマーであることができ、またはさらなる数のブロックが使用され得る。当業者は、RAFT重合によるブロックポリマーの調製が、当業者に公知であり、そのような重合プロセスが、本開示に適用され得ることを容易に認識することになる[Goby, et. al., Nat. Commun. 4:2505 doi: 10.1038/ncomms3505 (2013)を参照のこと]。
【0093】
一部の実施形態において、本明細書において調製されるRAFTコポリマーは、以下の構造:
CTACap-[ブロック1]-[ブロック2]-CTACap
によって記述され得、各CTACapは、RAFTコポリマーを調製するプロセスにおいて使用される連鎖移動薬剤から得られるキャップ形成単位である。ブロック1およびブロック2それぞれの調製に使用されるCTAは、同一であることもまたは異なることもできる。一部の実施形態において、ブロック1およびブロック2のそれぞれの調製に使用されるCTAは、同一である(例えば、macroCTA)。一部の実施形態において、ブロック1およびブロック2のそれぞれの調製に使用されるCTAは、異なる。一部の実施形態において、ブロック1およびブロック2の一方または両方の調製に使用されるCTAは、RAFTコポリマーに生体分子、薬物または標識を共有結合するための官能基を含む。一部の実施形態において、共有結合は、エステルまたはアミド結合によることができる。一部の実施形態において、共有結合は、EDC-NHS化学によることができる。一部の実施形態において、第1のキャップ形成単位は、式
【0094】
【化3】
であり、*は第1のブロックに対する共有結合の地点を表す。一部の実施形態において、第2のキャップ形成単位は、式
【0095】
【化4】
であり、*は、第2のブロックに対する共有結合の地点を表し、Rは、-SC-C12アルキルまたはCである。
【0096】
一部の実施形態において、RAFTコポリマーは、静電相互作用、高親和性、非共有結合、アビジン-ストレプトアビジンコンジュゲーションを含めたいくつかの方法を介して、または直接共有結合、例えば、アミド結合によってDNA分子、特に本開示の核酸コンストラクトと会合され得る。一部の実施形態において、RAFTコポリマーは、生体分子と複合体形成する静電相互作用を介してDNA分子、特に本開示の核酸コンストラクトと会合され得る。一部の実施形態において、RAFTコポリマーは、生体分子と複合体形成する静電相互作用を介してDNA分子、特に本開示の核酸コンストラクトと会合され得る。一部の実施形態において、RAFTコポリマーは、高親和性、非共有結合、アビジン-ストレプトアビジンコンジュゲーションを介してDNA分子、特に本開示の核酸コンストラクトと会合され得る。一部の実施形態において、RAFTコポリマーは、直接共有結合、例えば、アミド結合によってDNA分子、特に本開示の核酸コンストラクトと会合され得る。
【0097】
図5(a)~5(e)に示すように、本明細書に記述されるPNPは、静電相互作用、アビジン-ストレプトアビジンコンジュゲーションを介して、または直接共有結合によって本開示の核酸コンストラクトと会合され得る。簡潔には、図5(a)~5(e)に示すように、図に提供される標識は、以下の通りである:001.静電的ローディングの場合には正に荷電したコロナを持つポリマーナノ粒子(PNP)。002.リン酸基による負電荷がある核酸コンストラクト。003.静電的に搭載されたPNP核酸コンストラクト複合体。004.PNPのコロナ内にあるポリマー鎖の終末端上のカルボキシラート基。005.アミンで停止している核酸コンストラクトの5’末端上の1級アミン基。006.核酸コンストラクトの3’末端上のリン酸基。007.アミン終端の核酸コンストラクトとカルボキシラートで停止しているPNPの間の直接アミド化反応で形成されるアミド結合。008.アビジンなどのビオチン結合タンパク質上の1級アミン。010.PNPのコロナ内にあるポリマー鎖の終末端上のカルボキシラート基とアビジンなどのビオチン結合タンパク質上の1級アミンとの間で形成されるアミド結合。011.5’終端にビオチン官能基を含む核酸コンストラクト。012.正に荷電したPNPが、負に荷電した核酸コンストラクトと混合された場合に起こる静電的カップリング反応。013.PNPのコロナ内にあるポリマー鎖の終末端上のカルボキシラート基とアミンで停止した核酸コンストラクト上の1級アミンとの間のEDA-NHC反応を介して実施される直接アミド化反応。014.PNPのコロナ内にあるポリマー鎖の終末端上のカルボキシラート基とアビジンなどのビオチン結合タンパク質上の1級アミンとの間のEDA-NHC反応を介して実施される直接アミド化反応。015.核酸コンストラクトの5’末端上のビオチンとPNPのコロナ上のカルボキシラート終端にコンジュゲートされたアビジンとのカップリング。
【0098】
一部の実施形態において、ブロック1およびブロック2のそれぞれは、RAFT重合プロセスを使用して重合される1つまたは複数のモノマー単位を含むことができる。使用されるモノマー単位が、可逆的不活性化ラジカル重合、原子移動ラジカル重合(ATRP)、可逆的付加開裂連鎖移動重合(RAFT)、ヨウ素移動重合(ITP)、セレニウム中心ラジカル媒介重合、テルル化物媒介重合(TERP)、スチビン媒介重合、開環重合、またはそのような重合プロセスなどの制御されたリビング/ラジカル重合に適合する限り、モノマー単位の同一性が特に限定されないことが理解されるであろう。適切なモノマー単位には、それだけには限らないが、2-ジメチルアミノエチルアクリラート(DMAEMA)、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート(DEAEMA)、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリラート(DPAEMA)、ブチルメタクリラート(BMA)、アクリル酸エチル(EAA)、アクリル酸プロピル(PAA)、(ヒドロキシエチル)メタクリラート(HEMA)、メチルメタクリラート(MMA)、アクリル酸(AA)、アセト酢酸アニリド(AAA)、4-アミノベンゾニトリル(ABN)、9-アントラセニルメチルアクリラート(ACMA)、9-アントラセニルメチルメタクリラート(ACMMA)、アミノエチルメタクリラート(AEM)、2-(2-アミノエチルアミノ)エチルメタクリラート(AEAEMA)、4-(2-アクリルオキシエトキシ)-2-ヒドロキシベンゾフェノン(AEHBP)、2-アミノエチルメタクリラート(AEMA)、N-(2-アミノエチル)メタクリルアミド(AEMAA)、3-アミノ-2-ヒドロキシプロピルメタクリラート(AEAHPMA)、3-アミノプロピルメタクリルアミド(AHPMA)、アリルメタクリラート(ALMA)、アクリルアミド(AM)、アミドアミン(AMA)、3-メタクリルアミド-3-メチルブタン酸(AMBA)、2-アリルオキシベンズアルデヒド(AOBA)、[2-(アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド(AOETMA)、3-(アクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシプロピルメタクリラート(AOHOPMA)、4-アミノフェネチルアルコール(APA)、N-(3-アミノプロピル)メタクリルアミド(APMA)、5-(3-(アミノ)-プロポキシ)-2-ニトロベンジルメタクリラート(APNBMA)、N-[N’-(2-アミノエチル)-2-アミノエチル]アスパルトアミド[Asp(DET)]、2-アジドエチルメタクリラート(AzEMA)、2,2’-ビチオフェン(2-2-BTP)、t-ブチルアクリラート(BA)、ブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール(BAADA)、N-(t-BOC-アミノプロピル)メタクリルアミド(BAPMAA)、t-ブチル2-ブロモアクリラート(BBA)、4-ブチルベンゾイルクロリド(BBC)、1,3-ブタジエン(BD)、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール(BEPD)、ジ-t-ブチルイミノジアセタート(BIDA)、3-(ブロモメチル)-5-((トリメチルシリル)エチニル)ベンゼンスルホニルフルオリド(BMTMSEBS)、2-(ベンジルオキシ)エタノール(BOE)、4-t-ブトキシスチレン(BOS)、分枝状ポリエチレンイミン(BPEI)、3-ブロモ-5-((トリメチルシリル)エチニル)ベンゼンスルホニルフルオリド(BTMSEBS)、ε-カプロラクトン(CAP)、カルボキシベタインメタクリラート(CBMA)、2-シアノエチルN,N-ジイソプロピルクロロホスホロアミダイト(CEDPCPP)、N-シクロへキシルマレイミド(CHMI)、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリラート(CHPMA)、ドデシルアクリラート(DA)、N,N-ジアリルアクリルアミド(DAA)、ジアリルメチルアミン(DAMA)、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)、2,5-ジアミノピリジン(DAP)、5,5’-ジブロモ-4,4’-ジドデシル-2,2’-ビチオフェン(DBDDBT)、5,5’-ジブロモ-4,4’-ジテトラデシル-2,2’-ビチオフェン(DBDTBT)、2,5-ジブロモ-3-ヘキシルチオフェン(DBHTP)、ジクロロメチルビニルシラン(DCMVS)、2-(ジエチルアミノ)エタンチオール塩酸塩(DEAET)、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート(DEAEMA)、ジエチルオキサルプロピオナート(DEOP)、DL-ラクチド(DLL)、N,N-ジメチルアミノ-2-エチルメタクリラート)(DMA)、N-[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]-メタクリルアミド(DMAPMA)、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]ジメチル-(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド(DMAPS)、N,N’-ジメチルブチルアミン(DMBA)、N,N’-ジメチルエタノールアミン(DMEA)、N,N-ジメチルアミノ-2-エチルアクリラートまたは2-(ジメチルアミノ)エチルアクリラート(DMAEA)、1-(ジメチルアミノ)ピロール(DMAP)、4,5-ジメトキシ-2-ニトロベンジルアルコール(DMONBA)、3,4-ジメトキシチオフェン(DMOT)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DMPC)、2-デオキシ-2-メタクリルアミドグルコピラノース(DOMAAG)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(DOTAP)、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPyPE)、3-ドデシルチオフェン(3-DT)、N-[2-(2-ピリジルジチオ)]エチルメタクリルアミド(DTEMA)、アクリル酸エチル(EAA)、エチル2-(ブロモメチル)アクリラート(EBMA)、エチル1-シアノ-1-シクロプロパンカルボキシラート(ECCPC)、3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)、エチレングリコールジメタクリラート(EGDMA)、エチレングリコールフェニルエーテルアクリラート(EGPEA)、エチルメタクリラート(EMA)、3-(フルオロスルホニル)-5-((トリメチルシリル)エチニル)安息香酸(3FTMSEBA)、3-ホルミル-5-((トリメチルシリル)エチニル)ベンゼンスルホニルフルオリド(3FTMSEBS)、4-ホルミル-2-((トリメチルシリル)エチニル)ベンゼンスルホニルフルオリド(4FTMSEBS)、5-フルオロ-2,3-チオフェンジカルボキシアルデヒド(5FTPDCA)、N-アセチル-D-ガラクトース(GalNAc)、N-アセチル-D-グルコース(GlcNAc)、グリシジルメタクリラート(GMA)、グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)、5,7-ヘキサデカジイン酸(HDDA)、2-ヒドロキシエチルメタクリラート(HEMA)、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルアクリラート(HFIPA)、1,1,4,7,10,10-ヘキサメチルトリエチレンテトラミン(HMTETA)、4-ヒドロキシブチルアクリラート(HOBA)、2-(4-ヒドロキシフェニルアゾ)安息香酸(HPABA)、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルアクリラート(HPFBA)、N-(2-ヒドロキシプロピル)-メタクリルアミド(HPMA)、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルアクリラート(HXFBA)、イソボルニルアクリラート(IBA)、4-ヨードベンゾイルクロリド(IBC)、イソボルニルメタクリラート(IBMA)、N-(イソブトキシメチル)アクリルアミド(IBMAA)、イソデシルアクリラート(IDA)、無水マレイン酸(MA)、[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロリド(MAETMA)、メタクリロイル-L-リジン(MAL)、メタクリルオキシスクシンイミド(MAS)、メタクリルアミドトレハロース(MAT)、メチルヘプタデカノアート(MHD)、1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒド(MICA)、2-N-メチルマレイミド(MMI)、メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシル無水物(MNDCA)、メトキシエチルメタクリラート(MOEMA)、2-(2-メトキシエトキシ)エチルメタクリラート(MOEOEMA)、3-メチル-3-オキセタンメタノール(MOM)、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)、4-ビニル安息香酸メチル(MVB)、2-ナフチルアクリラート(NA)、N-(アクリルオキシ)スクシンイミド(NAS)、o-ニトロベンジルメタクリラート(NBMA)、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N-(メタアクリルオキシ)スクシンイミドメタクリラート(NHSMA)、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)、2-ナフチルメタクリラート(NMA)、N-(メタクリロイルオキシ)スクシンイミド(NMS)、N-(n-オクタデシル)アクリルアミド(NODAA)、4-ニトロ-N-プロピルベンジルアミン塩酸塩(NPBAHC)、オリゴエチレングリコールメタクリラート(OEGMA)、オリゴエチレンイミン(OEI)、3-フェニルチオフェン(3-PTP)、ポリ(N-メチル4-ビニルピリジンヨウ化物)(P4VPQ)、ポリ(2-アミノエチルメタクリルアミド)(PAEMA)、N-(N’-{N’’-[N’’’-(2-アミノエチル)-2-アミノエチル]-2-アミノエチル}-2-アミノエチル)-アスパルトアミド[Asp(TEP)]、4-ペンテン酸無水物(PAN)、ペンタブロモベンジルアクリラート(PBBA)、ペンタブロモベンジルメタクリラート(PBBMA)、ペンタブロモフェニルアクリラート(PBPA)、ペンタブロモフェニルメタクリラート(PBPMA)、ポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)、トランス-2-フェニルシクロプロピルイソシアナート(PCPI)、1,5-ペンタンジオール(PD)、2-フェニル-1,3-ジオキサン-5-オール(PDO)、ピリジルジスルフィドエチルメタクリラート(PDSEMA)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(エチレングリコール)アクリラート(PEGA)、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリラート(PEGMEMA、ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリラート(PEGEEMA)、ポリ(エチレングリコール)メタクリラート(PEGMA)、ペンタエチレンヘキサミン(PEHA)、ポリ(エチレンイミン)(PEI)、ペンタエリスリトールテトラアクリラート(PETA)、ペンタフルオロフェニル(PFP)、ペンタフルオロフェニルアクリラート(PFPA)、ペンタフルオロフェニルメタクリラート(PFPMA)、ポリ(グルタミン酸)(PGA)、ポリ(グリコアミドアミン)(PGAA)、ポリ(グリシジルブチルアミン)(PGBA)、エタノールアミンで官能化されたポリ(グリシジルメタクリラート)(PGEA)、ポリ(グリシジルメタクリラート)(PGMA)、ポリ(N-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミド)(PHPMA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L-グルタミン酸)(PLG)、ポリ(乳-共同-グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L-リジン)(PLL)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(ラウリルメタクリラート)(PLMA)、ポリ(メタクリル酸)(PMAA)、ポリ-(2-デオキシ-2-メタクリルアミドグルコピラノース)(PMAG)、ポリ-(メチルメタクリラート)(PMMA)、ポリ(2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン)(PMPC)、ポリ[N-(3-(メタクリロイルアミノ)プロピル)-N,N-ジメチル-N-(3-スルホプロピル)アンモニウムヒドロキシド](PMPD)、ポリ(n-ブチルアクリラー
ト)(PnBA)、ポリ(n‐ブチルメタクリラート)(PnBMA)、ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAM)、ポリ(オリゴエチレングリコールメタクリラート)(POEGMA)、ポリ(プロピレングリコール)(PPG)、ポリ(プロピレンイミン)(PPI)、3,4-プロピレンジオキシチオフェン(ProDOT)、ポリ(スチレン)(PS)、ポリ(ナトリウム4-スチレンスルホナート)(PSS)、ポリ(トリブチル-(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド)(PTBP)、ポリ(トリエチル-(4-ビニルベンジル)ホスホニウムクロリド)(PTEP)、ポリ((2-トリメチルアミノ)エチルメタクリラートクロリド)(PTMAEMA)、ポリ((ビニルベンジル)トリメチルアンモニウム)(PVBTMA)、ポリ(2-ビニル-4,4-ジメチルアズラクトン)(PVDMA)、ポリ(N-エチル-4-ビニルピリジニウムブロミド)(PVP)、四級化ポリ-DMAEMA(QPDMAEMA)、スルホベタインメタクリラート(SBMA)、3-スルホプロピルメタクリラートカリウム塩(SPMAP)、チオコレステロール(TC)、チオフェン-2,5-ジボロン酸ビス(ピナコール)エステル(TDABP)、トリエチレングリコールジメタクリラート(TEGDMA)、トリフルオロエチレン(TFE)、2,2,2-トリフルオロエチルアクリラート(TFEA)、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリラート(TFEMA)、テトラヒドロフルフリルアクリラート(THFA)、トリアリルイソシアヌラート(TIC)、トリメチレンカーボネート(TMC)、4,4’-トリメチレンジピペリジン(TMDP)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)(TMPTMP)、(トリメチルシリル)メタクリラート(TMSMA)、トリフェニルカルベニウムペンタクロロスタンナート(TPCPCS)、3-ビニルベンズアルデヒド(3VBA)、4-ビニルピリジニウムクロリド(4VP)、ビニルアクリラート(VA)、酢酸ビニル(VAT)、4-ビニル安息香酸(VBA)、(ビニルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド(VBTAC)、1-ビニルイミダゾール(VI)、1-ビニル-2-ピロリドン(VP)、m-キシリレンジアミン(XDA)、ステアリン酸亜鉛(ZS)、等がある。
【0099】
一部の実施形態において、本明細書に記載のRAFTコポリマーのブロック1および/またはブロック2を作製するために使用されるモノマー単位は、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリラート(DMAEEA)、2-(ジエチルアミノ)エチルメタクリラート(DEAEEA)、2-(ジイソプロピルアミノ)エチルメタクリラート(DIEAMA)、ブチルメタクリラート(BMA)、アクリル酸エチル(EAA)、アクリル酸プロピル(PAA)、(ヒドロキシエチル)メタクリラートおよびメチルメタクリラート(MMA)からなる群から選択される。
【0100】
一部の実施形態において、本明細書に提供されるRAFTコポリマーは、式:
CTACap-[(B1M1)m-B1M2-B1M3-(B1M2)-m-B1M1-B1M3-(B1M3)-m-B1M1-B1M2]-[(B2M1)n-B2M2-B2M3-(B2M2)-n-B2M1-B2M3-(B2M3)-n-B2M1-B2M2-CTACap
によって記述できる。
【0101】
例えば、25単位のブロック1中の1種のモノマー、および合計n35単位に対して平均モノマー単位比20:10:5を有するブロック2中の3種の異なるモノマーを有する本明細書に記載のRAFTコポリマーは、一般式
CTACap-[B1M1]25-[(B2M1)20-(B2M2)10-(B2M3)]-CTACap
によって記述できる。
【0102】
RAFT重合を使用して調製されるポリマーが、単位、したがって分子量の分布を有するランダムなポリマーであることがさらに理解されるであろう。したがって、上の例におけるブロック2の漫画表記は、上に記載の比でB2M1、B2M2およびB2M3の35個のモノマー単位を含むランダムコポリマーである。
【0103】
別の例示的な実施形態において、ポリマーナノ粒子組成物を1つまたは複数のポリマーでコーティングして、免疫応答から組成物を保護するまたはエンドソーム脱出を増強させることができる。一実施形態において、1つまたは複数のポリマーは、ポリエチレングリコールを含む。別の実施形態において、1つまたは複数のポリマーは、ポリエチレングリコールポリ-L-リジンを含む。さらに別の実施形態において、1つまたは複数のポリマーは、ポリエチレンイミンを含む。さらなる実施形態において、1つまたは複数のポリマーは、ポリエチレングリコールポリ-L-リジンおよびポリエチレンイミンを含む。
【0104】
本明細書に記載されるRAFTコポリマーのパラメータおよび特性を調整することが、本明細書に記載の組成物および方法におけるその使用に有利であり得ることが理解されるであろう。したがって、単体または本明細書に記載のライブラリー形式のいずれかでRAFTコポリマーを調製する方法は、RAFTコポリマーの特定のパラメータおよび特性を提供することができる。
【0105】
一部の実施形態において、本明細書に記載のRAFTブロックポリマーは、全体の分子量(M)(即ちすべてのブロックの合計)約1kDa~約1000kDa、もしくは約2kDa~約500kDa、もしくは約2kDa~約160kDaの範囲、全体の重合度約10~約3500、もしくは約20~約2500、もしくは約30~約900の範囲、サイズ約10nm~約10000nmの範囲、および最大コロナ対コア比(CCR)約1~約4のうち1つまたは複数を有する。一部の実施形態において、全体の分子量(M)は、約30kDa~約120kDa、約40kDa~約110kDa、約50kDa~約100kDa、約60kDa~約90kDa、約40kDa~約80kDa、および約40kDa~約60kDaの範囲である。一部の実施形態において、全体の重合度は、約40~約850、約60~約800、約100~約700、約200~約600、または約300~約500の範囲である。一部の実施形態において、サイズは、約10nm~約10000nm、または約20nm~約5000nm、または約50nm~約3000nm、または約20nm~約1000nm、または約50nm~約1000nm、または約30nm~約500nm、または約200nm~約2000nm、または約100nm~約0500nm、または約100nm~約500nm、または約10nm~約50nm、約15nm~約45nm、約20nm~約40nm、または約25nm~約35nmの範囲である。一部の実施形態において、最大コロナ対コア比(CCR)は、4未満、または3未満、約1~約3.8、約1.2~約3.5、約1.5~約3、約1.5~約2.5、もしくは約1~約2である。
【0106】
一部の実施形態において、第1のブロックは、1つまたは複数のモノマー単位から調製され得、分子量(M)約1kDa~約500kDa、または約10kDa~約200kDa、または約10kDa~約160kDa、または約1kDa~約80kDaの範囲、および重合度約10~約3500、または約10~約2500、または約20~約2000、または約50~約1200、または約50~約1000の範囲を有する。一部の実施形態において、第1のブロックの分子量(M)は、約1kDa~約500kDa、または約2kDa~約400kDa、または約5kDa~約200kDa、または約10kDa~約160kDa、または約15kDa~約100kDa、または約25kDa~約60kDa、または約30kDa~約55kDa、約30kDa~約50kDa、または約30kDa~約40kDa、等の範囲であり得る。一部の実施形態において、第1のブロックの重合度は、約30~約350、約50~約300、約70~約250、約80~約240、約100~約200、等の範囲である。
【0107】
一部の実施形態において、第2のブロックは、1つまたは複数のモノマー単位から調製され得、分子量(M)約1kDa~約500kDa、または約10kDa~約200kDa、または約10kDa~約160kDa、または約1kDa~約80kDaの範囲、重合度約10~約3500、または約10~約2500、または約20~約2000、または約50~約1200、または約50~約1000の範囲を有し得る。一部の実施形態において、第2のブロックの分子量(M)は、約10kDa~約70kDa、約15kDa~約65kDa、約20kDa~約60kDa、約25kDa~約55kDa、約30kDa~約50kDa、約35kDa~約45kDa、約5kDa~約15kDa、等の範囲である。一部の実施形態において、第2のブロックの重合度は、約3~約2500;または約20~約2000、または約30~約1500、または約40~約1200、または約10~約500、または約12~約450、または約20~約400、または約25~約350、または約50~約300、または約100~約250、または約150~約200、または約5~約50、または約5~約20、等の範囲である。
【0108】
一部の実施形態において、第3、第4またはその後のブロックは、1つまたは複数のモノマー単位から調製され得、それぞれは、分子量(M)約1kDa~約500kDa、または約10kDa~約200kDa、または約10kDa~約160kDa、または約1kDa~約80kDaの範囲、および重合度約10~約3500、または約10~約2500、または約20~約2000、または約50~約1200、または約50~約1000の範囲を有することができる。一部の実施形態において、第3、第4またはその後のブロックの分子量、(M)は、約10kDa~約70kDa、約15kDa~約65kDa、約20kDa~約60kDa、約25kDa~約55kDa、約30kDa~約50kDa、約35kDa~約45kDa、約5kDa~約15kDa、等の範囲である。一部の実施形態において、第3、第4またはその後のブロックの重合度は、約3~約2500;または約20~約2000、または約30~約1500、または約40~約1200、または約10~約500、または約12~約450、または約20~約400、または約25~約350、または約50~約300、または約100~約250、または約150~約200、または約5~約50、または約5~約20、等の範囲である。
【0109】
一部の実施形態において、本開示に関連して単一の連鎖移動薬剤が、RAFT重合プロセスに使用され得る。一部の実施形態において、2つ以上のブロックを有するブロックポリマーの場合、本開示に関連して1つまたは複数の連鎖移動薬剤が、RAFT重合プロセスに使用され得る。一部の実施形態において、2つのブロックを有するブロックポリマーの場合、第1の連鎖移動薬剤および第2の連鎖移動薬剤(それらは同一の場合もまたは異なる場合もある)が、本開示に関連するRAFT重合プロセスの各ステップで使用され得る。一部の実施形態において、3つのブロックを有するブロックポリマーの場合、第1の連鎖移動薬剤、第2の連鎖移動薬剤および第3の連鎖移動薬剤(それらは同一の場合もまたは異なる場合もある)が、本開示に関連するRAFT重合プロセスの各ステップで使用され得る。
【0110】
本明細書に記述されるRAFT重合方法ステップおよび精製ステップにおいて、様々な溶媒が使用され得ることが理解されるであろう。適切な溶媒には、2-クロルエタノール、酢酸(氷)、アセトン、アセトニトリル、アセトフェノン、アニリン、ベンズアルデヒド、酢酸ベンジル、二硫化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、ジ(エチレングリコール)、ジ(プロピレングリコール)、ジアセトンアルコール、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチレングリコール、ホルムアルデヒド(37%溶液)、ホルムアミド、ギ酸、ギ酸(96%)、ヘキサンイソブタノール、イソプロパノール、酢酸イソプロピル、イソプロピルエーテル、m-クレゾール、メタノール、酢酸メチル、メチルエチルケトン、鉱油、N,N-ジメチルホルムアミド、n-ブタノール、n-オクタン、n-プロパノール、プロピレングリコール、ピリジン、t-ブタノール、テトラヒドロフラン、トリフルオロ酢酸、水、等、およびその組合せがあるが、これに限定されない。
【0111】
一部の実施形態において、1つまたは複数のナノ粒子形成ポリマーは、
a. RAFT共重合プロセスにおける第1の連鎖移動薬剤から得られる第1のキャップ形成単位を含む第1の終端;
b. 第1の反応性機能的単位に共有結合しており、分子量(M)約1kDa~約500kDaの範囲および重合度約10~約2500の範囲を有する1つまたは複数のモノマー単位から調製される第1のブロック;
c. 適宜、第1のブロックに共有結合しており、分子量(M)約1kDa~約500kDaの範囲および重合度約10~約2500の範囲を有する1つまたは複数のモノマー単位から調製される第2のブロック;
d. 適宜、第1および/または第2のブロックに共有結合しており、分子量(M)約1kDa~約500kDaの範囲および重合度約10~約2500の範囲を有する1つまたは複数のモノマー単位から調製される第3のブロック;
e. 適宜、第1、第2および/または第3のブロックに共有結合しており、分子量(M)約1kDa~約500kDaの範囲および重合度約10~約2500の範囲を有する1つまたは複数のモノマー単位から調製される第4のブロック;
f. 適宜、第1、第2、第3および/または第4のブロックに共有結合しており、分子量(M)約1kDa~約500kDaの範囲および重合度約10~約2500の範囲を有する1つまたは複数のモノマー単位から調製される第5のブロック;ならびに
g. 第1、第2、第3または第4の連鎖移動薬剤から得られる第2のキャップ形成単位を含む第2の終端
を含むRAFTブロックコポリマーである。
【0112】
本明細書に記述されるポリマーナノ粒子に対する例示的なペイロードは:核酸(例えば、DNAまたはRNA)、pDNA、オリゴデオキシリボ核酸(ODN)、dsDNA、ssDNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド、アンチセンスRNA、siRNA、メッセンジャーRNA、ガイドRNA(例えば、小ガイドRNA)、リボ核タンパク質、CRISPR/Cas9システムに使用されるドナーDNA鎖、および例えば、Cas9といったCRISPR関連酵素などの酵素、ZFN、専用設計のホーミングエンドヌクレアーゼ、TALENSシステムなど他の遺伝子編集システムに使用される酵素、他の遺伝子編集エンドヌクレアーゼ、ならびに逆転写酵素を含む群から選択される組成物のうちいずれか1つまたは組合せを含むことができる。
【0113】
別の態様において、本開示は機械学習モデルを使用して最高の候補を速やかに同定する。例示的な実施形態において、グラフニューラルネットワーク(GNN)が、このプロセスに使用される。ポリマーは、3つの規模:モノマー、ブロックおよび完全ポリマーで特徴付けられ得る。モノマーは、結合してブロックを形成し、ブロックは、結合して完全なポリマーを形成する。ポリマー特性は、3つの規模すべてでポリマーの特徴によって決まる。モノマー、ブロックおよびポリマー間の関係は、有向グラフで捕捉され得る。次いで、情報をグラフ中のノード間で共有して、3つすべての規模:モノマー、ブロックおよびポリマーで完全ポリマーの数値表記を作ることができる。これらの数値表記を次いでニューラルネットワークで使用して、ポリマーの特性を予測することができる。例示的な実施形態におけるポリマー特性の予測に対するGNNの使用は、2つの主要な利益を提供する:第1に、グラフは、正確な予測に重要な3つの規模すべてで、ポリマーの特徴をモデル化することができ;第2に、グラフは、いくつかのポリマー構造に対応することができる柔軟なモデリング構造を提供する。
【0114】
機械学習モデルは、公開データと予備試験データの組合せに対して先ず訓練され、上に記載の大規模データセットで補充される。例示的な実施形態は、PNPの高スループットな特徴付けおよびスクリーニングを加速するための3ループ深層学習サイクルを含む。3つの深層学習ループは、PNPの物理的特性、インビトロ(in vitro)生物活性およびインビボ生物活性をそれぞれ特徴付ける。各ループは、GNN深層学習モデル(図3aを参照のこと)を利用して、候補PNPを特徴付ける。GNNは、モノマーを入力(グラフのノード)と定義する簡易的な分子入力ライン記入システム(simplified molecular-input line-entry system)(SMILES)の文字列を取り込み、グラフのエッジが、モノマー間の関係、およびそれらがどのように組み合わされてPNPを形成するかを定義する。グラフのエッジにより、ポリマーに関する追加の情報(例えば、モノマーの比および重合度)をGNNに組み込むことが可能になる。
【0115】
現在開示されている構成は、少なくとも3つの固有の優位性を提示する。第1に、深層学習モデルは、ポリマーのフィンガープリントに依存しない。むしろ、深層学習モデルは、SMILES文字列から適切な数値埋め込みを学習することになる。第2に、グラフは、PNPの様々なファミリーを容易に表すための柔軟性をモデルに与える。第3に、入力としてSMILES文字列を使用することにより、列挙されたSMILES文字列を用いて限られた訓練データセットが強化され、利用可能な訓練データの量が増大し、モデル成績を改善することが可能になる。このGNN構成の試験は、非ウイルス性遺伝子デリバリー媒体の決定的な特徴であるゼータ電位(図3bを参照のこと)を予測するのに優れた能力を示した。一旦訓練されたら、これらの深層学習モデルは、高スループットシステムにおいて生物活性の要件を満たす候補PNPの合成および特徴付けの優先順位付けに使用されることになる。反復データを使用して、能動的学習サイクルにおいてモデルを微調整し、それにより今後の成績を改善することができる。
【0116】
一部の実施形態において、データ強化を実行して、機械学習モデルを訓練するために使用されるデータのサイズおよび多様性を人工的に増大させてもよい(結果的にモデル成績を増大させる)。深層学習モデルは、訓練のために比較的大きなデータセットを必要とし、小さなデータセットには過剰適合する場合がある。前述の通り、GNNは、モノマーを入力と定義するSMILES文字列を取り込む。モノマー(ポリマーの構成ブロック)は、単一の標準的なSMILES文字列を有するが、複数の選択的なSMILES文字列表現も有する。SMILES列挙を実行して標準的なSMILES文字列からこれらの選択的形態を生成することができ、したがって、訓練データセットのサイズを何倍にも増大させる。次いで、ニューラルネットワークモデルは、データサイズおよび表現の多様性の増大を活用して成績を改善することができる。
【0117】
他の実施形態において、修飾トランスフォーマーモデル(GNNではなく)を使用してポリマー特性を予測してもよい(したがって、他の適用において、塩基編集タンパク質をデリバリーするための非ウイルス性担体の最高の候補を速やかに同定する)。修飾トランスフォーマーモデルは、入力の相対的位置情報を活用してモノマー文字列入力のための数値埋め込みを作成する。これらの数値埋め込みは、ポリマー特性の予測のための深層学習および統計モデルに次いで使用され得る。さらに、トランスフォーマーモデルは、逐次データを処理することができる他の多くの深層学習構成と比較してより計算機的に効率的である。元のトランスフォーマー構成は、符号化および復号化構成からなる。符号器は、データの入力配列を取り込み、高次元の埋め込みを出力し、一方復号器は、入力として高次元の埋め込みを取り込み、符号器に入力した元のまたは類似の配列を予測しようと試みる。本開示は、逐次出力を予測する必要がないので、トランスフォーマーの符号化部分のみ使用して、物理的およびインビトロ/インビボの両方でポリマー特性を予測する。
【0118】
さらに別の態様において、本開示の例示的な実施形態により、ALSのマウスモデルにおけるSOD1標的化CBEのPNP媒介性デリバリーにとって最高の候補を選択することが可能になる。EGFPまたはSOD1を安定して発現するミクログリア細胞株における機能的遺伝子編集試験が、これらの最高の候補を使用して次いで実行され得る。さらに、PNP媒介性CBEデリバリーの有効および安全性は、ALSのG93A-SOD1マウスモデルにおいて評価され得る。マウスにおいてALSの進行を遅らせるCBE塩基編集の従前の成功は、CBE塩基編集が、新規のALS遺伝子編集療法の臨床転換にもつながる可能性を示す。
【0119】
図面および前述の説明において特定の例示的な実施形態について詳細に記述してきたが、そのような実例および説明は、典型的な性質のものであり、限定的なものではないと見なされ、例示的な実施形態だけが示され、記述されており、本開示の精神の範囲内になるすべての変更および修飾が、保護されることが望まれることが理解される。本明細書に記述される装置、システムおよび方法の様々な特徴から生じる本開示の複数の優位性が存在する。本開示の装置、システムおよび方法の別の実施形態が、記述される特徴のすべてを含むことはできないが、そのような特徴の優位性の少なくとも一部の利益を含み得ることは注目されよう。当分野の技術者は、本開示の特徴の1つまたは複数を組み込んだ装置、システムおよび方法の独自の遂行を容易に考案し得る。
【実施例
【0120】
[実施例1]
【0121】
バーコード設計
この例に使用される核酸コンストラクトは、ポリヌクレオチドの中央に8~10ヌクレオチドを含む固有の部分を含み、固有の部分は、プールされる他の任意のバーコードから少なくとも3塩基のハミング距離の要件によってさらに限定された。バーコードの3’末端に直接、ランダムな7~10塩基が、PCR重複物のバイオインフォマティクス的除去のために含まれる。この中心配列は、配列決定ライブラリーを調製する間にインデックスアダプターを付加するための突出部を含有する汎用プライマーアニーリング部位に挟まれている。図4は、これらのバーコードの代表的な実例を示す。これらの核酸コンストラクトは、5’末端におけるビオチン官能基またはアミン官能基を考慮して設計された。
[実施例2]
【0122】
ポリマーナノ粒子合成
ジブロックコポリマーを、表2に挙げた試薬および量を用いて可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合を使用してPCT349529(21477779.1)に記載の通り合成した。ブロック1試薬を丸底フラスコ中で組み合わせ、アルゴンでパージし、加熱マントルを使用して60℃に6時間加熱した。反応産物を、4回のペンタン:エーテル80:20沈殿洗浄および遠心分離のサイクルを使用して精製し、真空内で乾燥させた。ブロック1産物を、ブロック2に対するmacroRAFT剤として使用し、算出した試薬容量(ブロック1の理論的分子量情報に基づいて算出した)を、ブロック2反応のために丸底中で組み合わせた。反応混合物を、60℃で24時間加熱する前にアルゴンパージした。反応産物を、同じ精製プロセスを使用して精製し、真空内で乾燥させた。得られたポリマーを、毎日複数回水を交換しながら脱イオン水中で4日間透析した。最終的に、透析した材料を4日間凍結乾燥し、実験に使用するために室温で貯蔵した。
【0123】
表2.バーコード化PNPを合成するために使用した試薬および量
【表2-1】

【表2-2】

[実施例3]
【0124】
組成物例1(CE1):ポリマーナノ粒子に対する核酸コンストラクト(DNAバーコードを含有する)の静電結合
RAFTコポリマーを、上の方法および表2に挙げた試薬にしたがって合成した。ポリマーを、濃度およそ5mg/mLでリン酸緩衝食塩水中に分散させた。静電的ローディングのために(図5a)、核酸コンストラクト(ポリヌクレオチドバーコードを含む図4に示した設計による)を、濃度およそ100μM(およそ1.9mg/mL)でトリスEDTA緩衝液に溶解させた。これらの保存溶液をPBSと一緒に混合して、最終濃度0.05mg/mLポリマーおよび0.00389mg/mL核酸コンストラクトの溶液を作製した。それらを、室温で少なくとも30分間インキュベートして、正荷電を持つポリマーを負荷電を持つ核酸コンストラクトと結合させた。試料を、amicon ultra-4遠心分離管(MWCO 30kDa、最大3.5mL/管)に移し、4000×gで15分間遠心分離してあらゆる結合していない核酸コンストラクトを除去した。濾液(結合していない核酸コンストラクトを含有する)を廃棄し、残留物に無菌PBSを添加して最終濃度0.05mg/mLポリマーおよび0.00389mg/mL核酸コンストラクトにした。静電的に結合される核酸コンストラクトは、核酸コンストラクト上の汎用プライマー結合セグメントに結合するように設計されたプライマーを使用するPCRによって増幅された。アンプリコンを、アガロースゲルによるゲル電気泳動によって検出した。レーン中の二重のバンドの存在(図6)は、アンプリコンの存在を示し、核酸コンストラクトがPNPに結合していることを示す。
[実施例4]
【0125】
組成物例2(CE2):アビジン-ビオチン連結を介するPNPへの核酸コンストラクトコンジュゲーション
少なくとも1つのカルボキシ終端基を含有するCTAを使用して作製されるRAFTコポリマーは、アビジンでさらに官能化された(図5b)。RAFTコポリマーを、およそ12mg/mLでMES緩衝液中に移した。試料を、30分間超音波処理した。EDC試薬およびスルホNHS試薬を、PNPに対して試薬それぞれモル比10:1および25:1でポリマーに添加した。試料を、室温で少なくとも10分間インキュベートして、反応を起こさせた。反応容量を、分画分子量30kDaの膜によっておよそ3000×gでおよそ15分間の遠心分離によって濾過した。濾液を廃棄し、残留物に無菌PBSを添加して10mg/mLポリマーに再構成した。アビジン(36.9mg)を反応に添加し、室温で15分間インキュベートした。試料を、amicon ultra-4遠心分離管(MWCO 30kDa)(最大3.5mL/管)に移し、4000×gで15分間遠心分離した。濾液を廃棄し、残留物に無菌PBSを添加して最終濃度8mg/mLポリマーにした。5’末端に結合したビオチンを含む核酸コンストラクトを、1モル核酸コンストラクトに対して10モルポリマーのモル比でアビジン官能化ポリマーに添加した。試料を少なくとも15分間インキュベートした。試料を、amicon ultra-4遠心分離管(MWCO 30kDa、最大3.5mL/管)に移し、4000×gで15分間遠心分離してあらゆる結合していない核酸コンストラクトを除去した。濾液(結合していない核酸コンストラクトを含有する)を廃棄し、残留物に無菌PBSを添加して最終濃度8mg/mLポリマーにした。コンジュゲートされる核酸コンストラクトは、核酸コンストラクト上の汎用プライマー結合セグメントに結合するように設計されたプライマーを使用するPCRによって増幅された。アンプリコンを、アガロースゲルによるゲル電気泳動によって検出した。レーン中の二重のバンドの存在(図6および図7)は、アンプリコンの存在を示し、核酸コンストラクトがPNPに結合していることを示す。
【0126】
核酸コンストラクトで標識されたPNPの具体化に使用され得るPNP対バーコード比の範囲を試験するために、上の方法を使用して、PNP対核酸コンストラクト比を最低20:1程度~最高10000:1程度(モルポリマー対モル核酸コンストラクト)に変動させてアビジン-ビオチン連結(図5a)を使用してPNPに核酸コンストラクトを付加した。図13は、これらの様々なPNP対核酸コンストラクト比を持つ核酸コンストラクトに対するPCR反応から生じる核酸コンストラクトのアンプリコンに対応するバンドを含むゲル電気泳動グラフを示し、この比が核酸コンストラクトPNP組成物の具体化に使用できる範囲であることを示す。
【0127】
アビジン-ビオチンコンジュゲーション方法を使用して、表2に記述されるポリマーのアリコート96個に96種の固有のバーコードを結合させ、各アリコート中のナノ粒子の集団に固有のバーコードが結合している同じポリマーからなる96種のアリコートを生成した。これらの96種のアリコートを、単一バイアル中に容量的に同等な量のアリコートを組み合わせることによってプールし、すべての集団が、表2に記述されるポリマーから形成されたポリマーミセルおよび96種の固有のバーコードの集団からの固有のバーコードを含む、バーコード化PNPの96種の固有の集団の分散液を生成した。
【0128】
アビジン-ビオチンコンジュゲートした核酸コンストラクト-PNPのプールした試料を、HEK-293T細胞にスパイクした。細胞を、培地100μL中に、ウェル当たり20000個細胞で96ウェルプレートに播種し、終夜接着させておいた。播種24時間後、96種の固有のバーコードを持つPNPのプールされた試料を、用量およそ0.024mg/mL PNPで各ウェルに添加し、37℃で終夜インキュベーター内に置いた。翌日、バーコードを、製造業者のプロトコールにしたがってQIAamp 96 DNA抽出キットおよびQiacube HT機器を使用して試料から抽出した。コンジュゲートされたバーコードは、バーコード上の汎用プライマー結合配列に結合するように設計されたプライマーを使用するPCRによって増幅された。アンプリコンを、アガロースゲルによるゲル電気泳動によって検出した。レーン中の二重のバンドの存在(図8)は、アンプリコンの存在を示し、核酸コンストラクトがPNPに結合していることを示す。
【0129】
アビジン-ビオチン連結を介してコンジュゲートされた96種の固有のバーコードを含むPNPのプールされた試料を、マウスに投与した(後述するインビボスクリーニングプロトコールを使用した)。投薬24時間後に、マウスを屠殺し、組織をバーコード化PNPの存在について分析した。PCRを使用して組織試料のバーコードを増幅し、アジレント断片分析を使用して核酸コンストラクト-PNPの存在を検出し、陽性対照に合致する暗いバンドを核酸コンストラクト-PNPの存在の指標とした(図12a)。この実験は、固有の核酸コンストラクトでPNPを標識し、マウスに投与し、次いでPCRによってその体内分布を検出する能力を具体化した。肝臓組織において96種の固有のバーコードすべてを識別する深層配列決定技術をさらに使用した。ライブラリー調製、配列決定および配列分析を、下記の通り実行した。96種の固有のバーコードすべてを、可算で、他と識別可能な方法で検出した(図12cおよび図12d)。これは、本組成物により、投薬24時間後のマウス組織において、一意的にバーコード化したPNPの検出が可能になるだけでなく、動物組織中の他のすべての一意的にバーコード化したPNPと各一意的にバーコード化したPNPとの定量的識別が可能になることも示す。
[実施例5]
【0130】
ポリマーナノ粒子ライブラリー用のRAFTコポリマーの調製
簡潔には、ブロック1試薬(モノマー、連鎖移動薬剤、開始剤および溶媒)を、ポリプロピレン96ウェルU底マイクロプレート(Greiner Bio-One)、ポリプロピレン96ウェルクラスタ管(Corning)、ポリプロピレンEppendorf微量遠心管(Sigma-Aldrich)、またはポリプロピレン50mLもしくは15mL円錐管(VWR)のウェル中で組み合わせ、VWR 1400E Sheldon真空オーブン内に置いた。20mLガラスバイアルを溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド)およそ10~15mLで満たし、バイアルをオーブン内に置いて、雰囲気飽和の供給源とした。オーブンを、およそ3L/分でおよそ45分間アルゴンでパージし、60℃~75℃に6~24時間加熱した。反応完了時に、ウェルまたは管にアセトンを添加してポリマーの固化を防止し、ウェルまたは管を密閉し、室温で終夜放置した。翌日、反応産物溶液を、1.5mL Eppendorf管へ移し(必要に応じて)、少なくとも3回の、適切な精製溶媒溶液(例えば、80:20ペンタン:エーテル、イソプロピルアルコール、メタノール等)を使用する沈殿洗浄および遠心分離サイクルによって精製し、真空内で乾燥させた。ブロック1産物を、ブロック2に対するmacroRAFT剤として使用し、算出した試薬容量(ブロック1の理論的または実際の分子量情報に基づいて算出した)を、ブロック2反応のためにポリプロピレン96ウェルU底マイクロプレート(Greiner Bio-One)、ポリプロピレン96ウェルクラスタ管(Corning)、ポリプロピレンEppendorf微量遠心管(Sigma-Aldrich)、またはポリプロピレン50mLもしくは15mL円錐管(VWR)中で組み合わせた。反応混合物を、60℃~75℃に6~24時間加熱する前に、およそ3L/分でおよそ45分間アルゴンパージしたVWR 1400E Sheldon真空オーブン内に置いた。反応産物を、ブロック1ライブラリー材料に使用したのと同じ精製プロセスを使用して精製し、真空内で乾燥させた。得られたポリマーを、アセトンもしくはクロロホルムのいずれかに再懸濁し、実験的使用の必要に応じて分注し(これらの移動溶媒は、材料使用の前に蒸発される)、乾燥状態で室温に貯蔵する、または脱イオン水に溶解し、冷凍し、実験的使用の前に凍結乾燥した。サイズを、Wyatt Technology DynaPro Plate Reader IIIを使用して測定した。ブロック1材料の分子量を、DynaPro Plate Reader IIIを使用して測定した。DynaPro Plate Reader IIIのモル質量性能の閾値を上回るナノ粒子サイズは、これらのポリマーライブラリーのブロック2分子量の測定を防げた。高スループットポリマーライブラリーのすべての分子量を、重み平均分子量(M)として報告する。
【0131】
96種のPNPの試験的PNPライブラリーのブロック1ならびにブロック2の合成に使用した試薬、量および反応条件の概要を、それぞれ下の表3および4に示す。PNP 22、61および89~96を、HEK細胞研究のための10種の固有のPNPとして使用した。PNP 1~88を、フローサイトメトリー研究のための固有のPNPとして使用した。表3略語:ACVA、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸);AIBN(アゾビスイソブチロニトリル);BMA(ブチルメタクリラート);CTP、4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸;DMAEMA、ジメチルアミノエチルメタクリラート;DMF、N,N-ジメチルホルムアミド;ECT、4-シアノ-4-[(エチルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸;MMA、メチルメタクリラート。表4略語:ACVA、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸);AIBN、アゾビスイソブチロニトリル;BMA、ブチルメタクリラート;CTP、4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸;DMAEMA、ジメチルアミノエチルメタクリラート;DMF、N,N-ジメチルホルムアミド;ECT、4-シアノ-4-[(エチルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸;HEMA、2‐ヒドロキシエチルメタクリラート;MMA、メチルメタクリラート。表5略語:PDI、多分散指数。
【0132】
ブロック1のモル質量およびPNPサイズ(例えば、直径)を決定する静的光散乱(SLS)ならびに動的光散乱(DLS)測定を、Wyatt TechnologyのDynaPro Plate Reader IIIを使用して決定した。データの収集および処理を、DYNAMICSソフトウェアで行った。SLSおよびDLSデータを、以下の条件で入手した:
溶媒:水
温度:25℃
試料容量:200μL
データ収集設定:1収集当たり5秒間を5回の収集
【0133】
表3.パイロットPNPライブラリーに使用したブロック1試薬および反応条件の概要
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【0134】
表4.パイロットPNPライブラリーに使用したブロック2試薬および反応条件の概要
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【表4-9】
【表4-10】
【表4-11】

【0135】
表5.パイロットPNPライブラリー特徴付けデータの概要
【表5-1】

【表5-2】

[実施例6]
【0136】
組成物例3(CE3):アミン終端核酸コンストラクトによるPNPの直接アミド化のための核酸コンストラクトコンジュゲーション
少なくとも1つのカルボキシ終端基を含有するCTAを使用して作製されるRAFTコポリマーは、アミン終端DNAバーコードでさらに官能化された。RAFTコポリマーを、およそ12mg/mLでMES緩衝液中に移した。試料を、30分間超音波処理した。EDC試薬およびスルホNHS試薬を、PNPに対して試薬それぞれモル比10:1および25:1でポリマーに添加した。試料を、室温で少なくとも10分間インキュベートして、反応を起こさせた。反応容量を、分画分子量30kDaの膜によっておよそ3000×gでおよそ15分間の遠心分離によって濾過した。濾液を廃棄し、残留物に無菌PBSを添加して10mg/mLポリマーに再構成した。5’末端に結合した1級アミン基を含む核酸コンストラクトを、ポリマーに添加し、試料を少なくとも15分間インキュベートした。試料を、amicon ultra-4遠心分離管(MWCO 30kDa、最大3.5mL/管)に移し、4000×gで15分間遠心分離してあらゆる結合していない核酸コンストラクトを除去した。濾液(結合していない核酸コンストラクトを含有する)を廃棄し、残留物に無菌PBSを添加して最終濃度8mg/mLポリマーにした。コンジュゲートされたバーコードは、核酸コンストラクト上のプライマー結合セグメントに結合するように設計されたプライマーを使用するPCRによって増幅された。アンプリコンを、アガロースゲルによるゲル電気泳動によって検出した。レーン中の二重のバンドの存在(図9)は、アンプリコンの存在を示し、核酸コンストラクトがPNPに結合していることを示す。
【0137】
直接アミド化方法を使用して、10種の固有のバーコードを10個の固有のPNPに結合させた。10個の固有のPNPを、実施例5に示される試薬により調製した。
【0138】
その後、直接アミド化方法を使用して、固有のDNAバーコード10種を各PNPに結合させ、各固有の標識を得た。核酸コンストラクト-PNPにtdTomato赤色蛍光タンパク質の発現をコードしているpDNAを搭載し、次いでHEK-293T細胞を96ウェルプレートに1ウェル当たり20000個細胞で播種した24時間後におよそ0.024mg/mL PNPで処置するために使用した。それらの細胞を、さらに48時間インキュベートしておき、その時に、ペイロードの発現をTexas Redフィルタセットを使用して蛍光顕微鏡によって観察した(図10)。赤色蛍光画像によって示されるように、これは、核酸コンストラクト-PNPが、哺乳動物細胞に取り込まれ、ペイロードをデリバリーする能力があるという証拠を提供する。
【0139】
直接アミド化方法を次いで使用して、88種の固有のバーコードを88個の固有のPNPに結合させた。88個の固有のPNPを、実施例5に示される試薬により調製した。アミド化方法を次いで使用して、固有のDANバーコード88種を各PNPに結合させ、各固有の標識を得た。核酸コンストラクト-PNPにtdTomato赤色蛍光タンパク質の発現をコードしているpDNAを搭載し、次いでHEK-293T細胞を96ウェルプレートに1ウェル当たり20000個細胞で播種した24時間後におよそ0.024mg/mL PNPで処置するために使用した。それらの細胞を、さらに48時間インキュベートしておき、その時に、ペイロードの発現を、Cytoflexを使用してフローサイトメトリーによって測定した[図11(a)~図11(c)]。これにより、核酸コンストラクト-PNPのいくつかが、哺乳動物細胞によって取り込まれ得るという証拠を得た。細胞にゾンビ色素を使用するリブ/デッド染色も行い、細胞生存率をフローサイトメトリーによって測定し[図11(d)~(e)]、PNPの細胞毒性が比較的低く、大多数のPNPについて細胞生存率数が75%より大きいことを示した。
[実施例7]
【0140】
インビトロおよびインビボで核酸コンストラクト-PNPをスクリーニングする方法
アビジン-ビオチン連結を介して結合させた96種の固有のバーコードを持つ、表2の製法により作製したポリマーナノ粒子のプールされた試料を使用して、HEK293T細胞におけるインビトロでの細胞取り込みおよび細胞毒性を測定し、マウスにおいてインビボ投与の体内分布を測定した。核酸コンストラクト-PNPを、無菌の食塩液中に処方し、インビボ投薬前に最長1ヵ月間4℃で貯蔵した。細胞取り込み効率および細胞毒性を、HEK293T細胞を使用してpDNA処置濃度250ngまたは150ng/ウェルで0.024mg/mL PNPを用いてインビトロで評価した。細胞取り込みを、蛍光顕微鏡によって実証した。動物を、性別によって類似の群平均体重を維持するように設計された層別無作為化プログラムを使用して用量群に割り当てた。動物は、単回のボーラス尾静脈静脈内注射投与によって、対照または試験物質を投与される。試験用量は0~150mg/kgの範囲であり、有害な臨床的事象が150mg/kgで35%の動物に観察された。血液および組織を、すべての動物から採取し、液体窒素中で瞬間凍結させる。
[実施例8]
【0141】
インビトロ生体試料からの核酸コンストラクト-PNPの抽出。
組織10~20mgをトリス-EDTA溶解緩衝液に入れ、TissueLyserビーズ破砕システムおよび5mmステンレス鋼ビーズを使用して均質化する。溶液が外見上均質になるまで均質化を、25Hzで、5~7分間隔で実施する。次いでプロテイナーゼKを、溶解物に添加してタンパク質を消化し、Thermomixer内で、55℃で2~4時間インキュベートする。DNAは、製造業者のプロトコールにしたがってQIAamp 96 DNA抽出キットおよびQiacube HT機器を使用して組織溶解物から抽出される。単離された試料の濃度および純度は、NanoDropを使用して決定される。
[実施例9]
【0142】
核酸コンストラクト中のポリヌクレオチドバーコードのPCR増幅
ポリメラーゼ連鎖反応を使用して、抽出した核酸コンストラクトからアンプリコンを作製する。PCRを、バーコード上の汎用増幅部位にアニールする単一セットの汎用プライマーを使用して実行し、それにより1回の反応で試料内の固有のバーコードすべてを増幅する。試料内のバーコードの陽性増幅は、電気泳動(アガロースゲルまたはバイオアナライザ)を使用して決定され、およそ120bpのバンドの存在によって示される。
[実施例10]
【0143】
核酸コンストラクトのライブラリー調製および配列決定。
配列決定ライブラリーを、第1ステージPCR増幅の間に生成されるアンプリコンから調製する。汎用プライマーは、配列決定のためのインデックスアダプターの結合を可能にするオーバーハング配列も含有する。Illumina Unique Dual Indexesを、PCRによるアンプリコンの突出部にアニールする。個々のインデックス付きライブラリーを、次いで等量でプールし、製造業者のプロトコールにしたがってNucleoSpin Gel and PCR Cleanupキットを使用して精製する。最終的な配列決定ライブラリーのモル濃度を、Qubit dsDNA High Sensitivity AssayキットおよびQubit Fluorometerを使用して決定する。ライブラリーを、2% PhiXでスパイクし、1.8pMまで希釈し、High Output 300サイクルNextSeq配列決定カートリッジにロードする。ペアエンド配列決定を、NextSeq550機器を使用して実行する。
[実施例11]
【0144】
配列分析およびバイオインフォマティクス
各試料IDから統合したリードを、PE FASTQファイルに逆多重化し、単一のファイルに統合する。統合したリードを処理して、5’と3’両方のフランキングアダプターを含有するものを同定する。次いで整えたリードを、正しいバーコード長を含有する配列を選択して数を減らす。バーコードカウントを、選択して数を減らした配列から生成し、それらがスパイクされているかランダムかによってタグ付けする。次いでバーコードカウントを、試料中のFASTQリード数に対して標準化する。
【0145】
仮説例
例として、例示的な実施形態において、現在開示されている迅速なDBTL技術は、スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)における機能獲得型変異の毒性に起因する筋萎縮性側索硬化症(ALS)の形態に対する遺伝子療法を開発するために使用され得る。この遺伝子療法は、非ウイルス性遺伝子デリバリー媒体を介してCRISPRに基づく編集タンパク質をデリバリーして、疾患の進行をモジュレートするが効率的なウイルス性形質導入は困難なままの細胞型であるミクログリアにおける突然変異体SOD1タンパク質の産生を不活性化することを含み得る。これにより、ALSに対して安全で効率的な治療的「奇襲」編集が可能になる。
【0146】
本明細書に記述される方法で処置され得る典型的な疾患は、ALSである。ALSは、脊髄および脳における運動ニューロンの選択的消失によって特徴付けられる急速に進行する、麻痺性で常に致命的な障害である。ほとんどの場合ALSは散発性であるが、SOD1(スーパーオキサイドアニオンを酸素と過酸化水素に通常変換する偏在的に発現される金属酵素)において優性遺伝する突然変異は、すべての遺伝または家族型ALSの最高20%を占める。塩基編集は、二本鎖切断(DSB)の要件なしにDNA内に標的した単一塩基置換を導入することができる最近現れた遺伝子編集様式である。塩基編集は、Cas9ニッカーゼとして公知の、触媒的に損なわれたCas9ヌクレアーゼ変異体と核酸塩基デアミナーゼ酵素との融合からなる。この例は、塩基編集の能力、特にシチジン塩基編集(CBE)を利用して、標的遺伝子配列中のCGA、CAGまたはCAAトリプレットにおけるC>T塩基転移を触媒することになり、短縮したタンパク質の形成を防止するために細胞によって使用される監視機構であるナンセンス変異媒介性分解によって標的mRNAの分解を誘発するインフレーム終止コドンを創出する。この方法を使用して、SOD1は、DSBを必要とせず、確率論的および突然変異誘発性NHEJ修復経路を利用しない様式で不活性化されることになり、したがってALSに対するCRISPR-Cas9の臨床的実施が直面する主要な制約の2つを克服する。したがって、第1世代CRISPRは、遺伝子編集の「カットアンドペースト」と考えられているが、塩基編集により、ゲノムへの正確な単一塩基編集が可能になり、革命的なALS処置に対する新たな機序を開く「消しゴムと鉛筆」機能と考えられている。しかしながら、遺伝子デリバリーにおける革新は、遺伝子編集自体の技術における革新に著しく遅れている。したがって、ALSの進行の促進に関係する特定の細胞型への塩基編集システムの効率的なデリバリーが、障害を処置するための安全で効率的な実施を妨げる重要な制約となっている。非ウイルス性デリバリー媒体を使用して、これらの制約の多くを解決することになる。
【0147】
この実例において、迅速なDBTL技術は、多様なポリマーナノ粒子ライブラリーの自動化された高スループット合成、バーコード化ライブラリーのインビトロおよびインビボ並列スクリーニング、ならびに迅速な反復のために大規模データセットを分析し、新たなライブラリーを予測するために機械学習アルゴリズムを使用して、数百個もの多様なポリマーナノ粒子候補によって反復することができる。図1は、自動化合成、高スループット試験、および機械学習設計に基づく非ウイルス性遺伝子デリバリーを開発するためのDBTLサイクルを例示する単純化した流れ図を示す。
【0148】
仮説例
一態様において、CBE mRNAを封入している数百個のポリマーナノ粒子(PNP)のライブラリーは、高スループットインビトロおよびインビボプラットフォームでスクリーニングされ得る。例示的な実施形態において、500個を超えるPNPが、合成され、一意的に標識され、DNAバーコード化によって追跡される。可逆的付加開裂連鎖移動(RAFT)重合に基づく非常に用途が広いPNPプラットフォームは、その柔軟性、再現性および拡張可能性のため使用されることになる。K. Sims et al., "Rigor and reproducibility in polymer nanoparticle synthesis and characterization," Rsc Advances 2020, 10 (5), 2513-2518を参照のこと(参照により本明細書に組み込む)。図2に示すように、RAFT重合プラットフォームを使用して、サイズ、電荷および化学的構成が多様に変化した高度に単分散のPNPを生成することができる。PNPを機能化して細胞侵入ペプチドを結合し、それにより媒体と積荷両方に対してより高次の機能性および保護を可能にすることができる。一部の実施形態において、PNPは、アビジン-ビオチンコンジュゲーションを介して量子ドットおよび他のバイオマーカーで標識されてもよい。A. Duong et al., "Scalable, Semicontinuous Production of Micelles Encapsulating Nanoparticles via Electrospray," Langmuir 2014, 30 (14), 3939-3948を参照のこと(参照により本明細書に組み込む)。ミクログリア非ウイルス性デリバリー媒体と塩基編集ペイロードのこの組合せは、ALSに対する新たな療法をもたらす潜在性を有するので、非常に革新的である。さらに、本開示のDBTL技術を一般化して、ALSに関係する他の細胞型を利用可能にできる先進の非ウイルス性デリバリー媒体の創作を可能にできる。
【0149】
ライブラリー合成後、上述の通り、これらのPNPは、GFP発現によって毒性、炎症およびmRNAデリバリー効率についてミクログリアの細胞株において次いでインビトロで迅速に試験され得る。並行して、全ライブラリーの体内分布および毒性が、くも膜下注入によりALSのG93A-SOD1マウスモデルの脳脊髄液(CSF)へデリバリーされるロードされたナノ粒子を使用し、インビトロ画像化システム(IVIS)によって追跡することができる生物発光ルシフェラーゼをコードしているmRNAを使用して評価され得る。このスクリーニングにより、粒子の物理的特徴、インビトロ生物活性およびインビボ体内分布および毒性を含めた3つの大きなデータセットを得られるべきであり、それらを、総合して、第2の反復において合成されることになる新規の非ウイルス性デリバリー媒体ライブラリーの情報に基づいた設計の基礎を生成することになる。次いでこの新規のライブラリーは、突然変異体SOD1タンパク質を発現するように修飾されたミクログリアの細胞株において機能的な遺伝子編集試験について試験され得る。PNPは、GFPおよびSOD1を不活性化するように設計され、蛍光測定および配列決定によって検出されるCBEをコードしているmRNAを搭載し得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図7-4】
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
【配列表】
2024516108000001.app
【国際調査報告】