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特表2024-516115レンチウイルスベクター、B型肝炎を処置する為のレンチウイルス粒子、並びにその調製方法及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】レンチウイルスベクター、B型肝炎を処置する為のレンチウイルス粒子、並びにその調製方法及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/867 20060101AFI20240405BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240405BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 39/29 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
C12N15/867 Z ZNA
C12N7/01
A61K35/76
A61P31/20
A61K39/29
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562250
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 EP2022059281
(87)【国際公開番号】W WO2022214599
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】202110374234.2
(32)【優先日】2021-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】510031453
【氏名又は名称】テラヴェクティス
【氏名又は名称原語表記】THERAVECTYS
(71)【出願人】
【識別番号】523381745
【氏名又は名称】シャンハイ ジンウェイ バイオテクノロジー カンパニー リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】515299461
【氏名又は名称】アンスティチュ パスツール
(74)【代理人】
【識別番号】100118599
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100160738
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 由加里
(72)【発明者】
【氏名】シャルノー,ピーエル,アラン
(72)【発明者】
【氏名】ブルジン,マリリン
(72)【発明者】
【氏名】チウ,チャオ
(72)【発明者】
【氏名】ティエン,イェ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェシン,バンジャマン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA96Y
4B065AA97X
4B065AA97Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
4C085AA03
4C085BA89
4C085BA91
4C085CC08
4C085DD62
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC83
4C087CA12
4C087NA05
4C087ZB33
(57)【要約】
本発明は、B型肝炎感染を処置する為のレンチウイルスベクター粒子及びレンチウイルスベクター粒子を開示する。本発明のレンチウイルスベクター及び粒子は、B型肝炎ウイルス抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。B型肝炎ウィルスのラージS抗原は特に、候補として選択され、そして、B型肝炎ウイルス感染症を処置及び/又は予防する為の、B型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病の処置及び/又は予防の為の、医薬組成物若しくはワクチンにおいて適用されることができ、それにより、それらを必要とする患者において優れた治療効果及び予防効果がもたらされる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B型肝炎の処置の為のレンチウイルスベクターであって、該レンチウイルスベクターは、少なくとも1つのB型肝炎ウイルス抗原をコードするヌクレオチド配列を含み、該B型肝炎ウイルス抗原は、コア抗原(HBcAg)、PreS1抗原(PreS1)及びラージS抗原(LargeS)からなる群から選択されることを特徴とする、前記レンチウイルスベクター。
【請求項2】
前記コードされたB型肝炎ウイルス抗原が、ラージS抗原(LargeS)である、請求項1に記載の、B型肝炎を処置する為のレンチウイルスベクター。
【請求項3】
前記コア抗原(HBcAg)のアミノ酸配列は、配列番号1に示されている配列であり;及び/又は前記PreS1抗原(PreS1)のアミノ酸配列は、配列番号4若しくは配列番号7に示されている配列であり;及び/又は前記ラージS抗原(LargeS)のアミノ酸配列は、配列番号10又は配列番号13に示されている配列である、請求項1又は2に記載の、B型肝炎を処置する為のレンチウイルスベクター。
【請求項4】
前記コア抗原(HBcAg)のコードヌクレオチド配列は、配列番号3に示されている配列であり;及び/又は前記PreS1抗原(PreS1)のコードヌクレオチド配列は、配列番号6若しくは配列番号9に示されている配列であり;及び/又は前記ラージS抗原(LargeS)のコードヌクレオチド配列は、配列番号12又は配列番号15に示されている配列である、請求項1~3のいずれか1項に記載の、B型肝炎を処置する為のレンチウイルスベクター。
【請求項5】
B型肝炎を処置する為のレンチウイルス粒子を調製する方法であって、
a)請求項1~4のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクターと、Gag、Rev及び/又はPolタンパク質を発現するパッケージングベクターと、エンベロープタンパク質を発現するエンベロープベクターとを、宿主細胞に同時トランスフェクションすること、又は請求項1~4のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクターを、エンベロープタンパク質と、Gag、Rev及びPolタンパク質のうちの1以上とを発現することができる宿主細胞内にトランスフェクションすること;
b)前記トランスフェクトされた宿主細胞を培養して、前記レンチウイルスベクターをレンチウイルスベクター粒子内にパッケージングすること;及び、
c)工程b)において生成された該レンチウイルスベクター粒子を収穫すること
の工程を含む、前記方法。
【請求項6】
B型肝炎の処置の為のレンチウイルス粒子の調製物であって、前記レンチウイルス粒子が、請求項1~4のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクターを含む、又は請求項5に記載の方法により調製される、前記調製物。
【請求項7】
B型肝炎ウイルス感染症の処置及び/又は予防することを必要とする対象における、B型肝炎ウイルス感染症の処置及び/又は予防の為の、又はB型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病の処置及び/又は予防の為の、請求項1~4のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター、又は請求項6に記載の、レンチウイルス粒子の調製物。
【請求項8】
前記対象が哺乳動物である、請求項7に記載のレンチウイルスベクター又はレンチウイルス粒子の調製物。
【請求項9】
B型肝炎ウイルス感染症の処置及び/又は予防することを必要とする対象における、B型肝炎ウイルス感染症の処置及び/又は予防の為の、又はB型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病の処置及び/又は予防することを必要とする対象における、B型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病の処置及び/又は予防の為の、医薬組成物であって、該医薬組成物が、請求項1~4のいずれか1項に記載のレンチウイルスベクター又は請求項6に記載の、レンチウイルス粒子の調製物と、医薬的に許容可能な担体とを含む、前記医薬組成物。
【請求項10】
前記対象が哺乳動物である、請求項9に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、生物医学の分野に関し、具体的には、レンチウイルスベクター、並びにB型肝炎を処置及び/又は予防する為のレンチウイルス粒子、並びにその調製方法及び用途に関する。
【背景技術】
【0002】
B型肝炎ウイルス(HBV:hepatitis B virus)感染症は、世界中で深刻な公衆衛生上の問題の1つである。HBV感染症は、慢性B型肝炎、肝硬変、及び肝細胞癌の重要な原因である。慢性HBV感染症の臨床処置の為に通常使用される薬物は、主に、ヌクレオシドアナログ及びインターフェロンを含む。ヌクレオシドアナログは、肝臓細胞におけるHBV DNAを完全には除去することができず、長期使用は、薬物耐性変異体株の出現を容易にもたらすことができ、薬物離脱後にリバウンドすることができる。インターフェロン処置の経過(通常、48週間)後、HBeAg抗体陽転の発生率は、わずか33%であり、HBsAg転化率は、10%未満である。インターフェロン単剤療法は、HBsAgについて3%~7%の陰性転化率を有し、この陰性転化率は、ヌクレオシドアナログの陰性転化率よりもわずかに高いのみであり、インターフェロンの多くの副作用も、その用途を制限する。
【0003】
現在、広く使用されているB型肝炎タンパク質ワクチンは、体液性免疫を誘導し、防御抗体を産生して、予防の目的を達成する。多数の研究は、防御抗体が細胞外ウイルス粒子のみを排除することができるが、細胞内ウイルスを排除することができないことを見出しており、感染患者を処置することは困難である。抗ウイルス処置後、HBsAg陽性の人々における肝細胞癌の発生率は、HBsAg陰性の人々の発生率よりも有意に高い。HBsAg陰性転化は、肝臓機能の改善、組織病理の改善、及び長期予後の改善に関連する。これは、現在、最新の内外の慢性B型肝炎予防ガイドラインによって推奨されている。理想的な処置のゴールは、機能的治癒、つまり、HBsAg陰性であり、すなわち、機能的治癒又は臨床的治癒は、現在の慢性B型肝炎処置の主なゴールである。当技術分野は、依然として、HBV感染症を処置及び/又は予防する為に使用されることができる、又はHBVによって引き起こされる疾病を処置及び/又は予防することができる、薬物を必要としている。
【0004】
中国特許出願公開第109923212A号明細書においてレンチウイルスベクターに挿入されたHBV配列は、遺伝子型A及びCの表面抗原、Pol、HBx、MHC I及びMHC IIエピトープ配列、並びに遺伝子型A及びCの表面B細胞エピトープである。VLPと組み合わされ、示された結果は、免疫原性の結果のみであり、治療効果は未知である。中国特許出願公開第1209340A号明細書によって開示された抗原配列は、ヨーロッパ及び中央アフリカにおいて主に分布するHBV遺伝子型A配列に割り当てられる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の内容
本発明は、B型肝炎の処置の為のレンチウイルスベクターを提供する。該レンチウイルスベクターは、少なくとも1つのB型肝炎ウイルス抗原をコードするヌクレオチド配列を含み、該B型肝炎ウイルス抗原は、コア抗原(HBcAg)、PreS1抗原(PreS1)及びラージS抗原(LargeS)からなる群から選択される。好ましくは、該コードされるB型肝炎ウイルス抗原は、該ラージS抗原(LargeS)である。
【0006】
該コア抗原(HBcAg)のアミノ酸配列は、配列番号1に示されている配列であってもよく;及び/又は該PreS1抗原(PreS1)のアミノ酸配列は、配列番号4若しくは配列番号7に示されている配列であってもよく;及び/又は該ラージS抗原(LargeS)のアミノ酸配列は、配列番号10又は配列番号13に示されている配列であってもよい。
【0007】
該コア抗原(HBcAg)のコードヌクレオチド配列は、配列番号3に示されている配列であってもよく;及び/又は該PreS1抗原(PreS1)のコードヌクレオチド配列は、配列番号6若しくは配列番号9に示されている配列であってもよく;及び/又は該ラージS抗原(LargeS)のコードヌクレオチド配列は、配列番号12又は配列番号15に示されている配列であってもよい。
【0008】
本発明はまた、B型肝炎を処置する為のレンチウイルス粒子を調製する方法であって、
a)本発明に従うレンチウイルスベクターと、Gag、Rev及び/又はPolタンパク質を発現するパッケージングベクター(packaging vector)と、エンベロープタンパク質を発現するエンベロープベクターとを、宿主細胞に同時トランスフェクションすること、又は本発明に従うレンチウイルスベクターを、エンベロープタンパク質と、Gag、Rev及びPolタンパク質のうちの1以上とを発現することができる宿主細胞内にトランスフェクションすること;
b)該トランスフェクトされた宿主細胞を培養して、該レンチウイルスベクターをレンチウイルスベクター粒子内にパッケージングすること;及び、
c)工程b)において生成された該レンチウイルスベクター粒子を収穫すること
の工程を含むことを特徴とする、上記方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、B型肝炎の処置の為のレンチウイルス粒子の調製物を提供する。該レンチウイルス粒子の調製物は、本発明に従うレンチウイルスベクターを含むか、又は該レンチウイルス粒子は、本発明に従う調製方法によって調製される。
【0010】
本発明はまた、B型肝炎ウイルス感染症の処置及び/又は予防することを必要とする対象における、B型肝炎ウイルス感染症の処置及び/又は予防の為の、又はB型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病の処置及び/又は予防することを必要とする対象における、B型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病の処置及び/又は予防の為の、本発明に従うレンチウイルスベクター、又は本発明に従う、レンチウイルス粒子の調製物を提供する。本発明に従うレンチウイルスベクター、又は本発明に従うレンチウイルス粒子の調製物は、特に、医薬的に許容可能な担体とともに、特に、医薬組成物において、例えばワクチンにおいて、実行されうる。
【0011】
本発明に従う対象は、特に、哺乳類、例えばヒト、でありうる。
【0012】
本発明はまた、型肝炎ウイルス感染症を処置及び/又は予防することを必要とする対象における、B型肝炎ウイルス感染症を処置及び/又は予防する為の、又はB型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病を処置及び/又は予防することを必要とする対象における、B型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病を処置及び/又は予防する為の、医薬組成物であって、本発明に従うレンチウイルスベクター、又は本発明に従うレンチウイルス粒子の調製物と、医薬的に許容可能な担体とを含む、上記医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明の有益な効果は、以下を含む。
本発明の免疫原は、中国における大部分の流行株の配列をカバーすることができ、本発明に従う非組み込みレンチウイルスベクターは、抗原提示を最適化することができ、且つ該非組み込みレンチウイルスベクターの安全性を確実にする前提の下で、免疫寛容を破壊することができる。本明細書に含まれる動物実験データは、該非組み込みレンチウイルスベクターの良好な免疫原性を証明し、野生のマウスにおいて強い免疫応答を誘導することができる。慢性HBV感染症のマウスモデルにおいて、重要な臨床転換の可能性を有する、HBV抗原及びウイルスDNAの排除、抗体の陽性への転化、並びに強いT細胞免疫応答を活性化する能力を含む、有意な治療効果も確認されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1a図1aは、プラスミドマップである。
図1b図1bは、プラスミドマップである。
図2図2は、本明細書に提示されている試験の実験タイムラインを示す。
図3図3は、マウスにおけるHBsAgの検出を示す。図3A図3Eは、レンチウイルスJW27、JW28、JW27+JW28、JW29及びJW30を筋肉内注射されたAAV-HBV感染マウスを示す(横軸:時間(週);縦軸:HBsAg(IU/mL))。
図4図4は、マウスにおけるHBV-DNAの検出である。図4A図4Eは、レンチウイルスJW27、JW28、JW27+JW28、JW29及びJW30を筋肉内注射されたAAV-HBV感染マウスを示す(横軸:時間(週);縦軸:HBV-DNA Log10(IU/mL))。
図5図5A図5Eは、誘導されたT細胞応答を分析する為のマウスIFN-γ ELISPOTアッセイを使用する結果を示すグラフであり、ここで、図5A図5Eは、順に、JW27グループ、JW28グループ、JW27グループ+JW28グループ、JW29グループ及びJW30グループである(縦軸:左から右に:HBsAgプール(pool);PreS1-GT Bプール(pool);PreS1-GT Cプール(pool);PreS2プール(pool)及びコアプール(core pool);縦軸:SFC/106個の脾細胞)。
図6図6は、左から右及び上から下に以下の順序:JW27-259、JW27-273、JW27-269、JW28-225、JW28-264、JW28-266、JW27+JW28-234、JW27+JW28-236、JW27+JW28-201、JW29-211;JW29-249、JW29-268、JW30-226、JW30-227及びJW30-260で、様々な試験されたマウスの肝臓組織におけるHBcAg免疫組織化学的検査の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
具体的な実行
本発明は、実施態様と併せて下記に更に説明及び記載されているが、該記載されている実施態様は、本発明の実施態様の一部分のみであって、全ての実施態様でない。本発明及び該実施態様に基づいて、創造的な作業なく、当業者によって得られた全ての他の発明及び実施態様は、本発明の保護範囲内であるべきである。
【0016】
以下の例において使用される材料及び試薬は、他に規定されない限り、商業的供給源から得られることができる。
【0017】
他に指示又は定義されない限り、使用される全ての語は、当業者によって理解されるであろう本分野におけるその語の通常の意味を有する。参照は、例えば、標準的なマニュアル、例えばSambrook et al.,"Molecular Cloning:A Laboratory Manual;2000";Lewin,"Genes VIII";及び、Roitt et al.,"Immunology"(8th edition)、並びに一般的な既存の技術に対して行われる。加えて、他に規定されない限り、具体的に詳述されない、全ての方法、工程、技法及び操作は、自体既知の様式で行われることができ、且つ行われており、このことは、本発明の分野における当業者によって理解されるであろう。例えば、該標準的なマニュアル、上記で言及された一般的な先行技術、及びそれらにおいて引用された他の参考文献も参照される。
【0018】
本明細書において使用される場合、語「及び/又は」は、該語によって接続された事項の全ての組み合わせを包含し、あたかも各組み合わせが本明細書に個々にリストされているかのように処理されるものとする。例えば、「A及び/又はB」は、「A」、「A及びB」、及び「B」を包含する。例えば、「A、B及び/又はC」は、「A」、「B」、「C」、「A及びB」、「A及びC」、「B及びC」、及び「A及びB及びC」を包含する。
【0019】
語「含有する(contains)」又は「含む(comprises)」が、タンパク質又は核酸の配列を記載する為に本明細書において使用される場合、該タンパク質又は核酸は、該配列から構成されうるか、又は該タンパク質若しくは核酸の一方若しくは両方の末端に追加のアミノ酸若しくはコアを有しうるが、本発明に記載されている活性を依然として有する。加えて、ポリペプチドのN末端の開始コドンによってコードされるメチオニンが、ある特定の実際的な条件下で保持されるが(例えば、特異的な発現系において発現される場合)、該ポリペプチドの機能に実質的に影響を及ぼさないことが、当業者には明らかである。それ故に、本明細書及び特許請求の範囲の文章においてポリペプチドの特異的なアミノ酸配列が記載されている場合、N末端の開始コドンによってコードされる該メチオニンを含有しなくてもよいが、該メチオニンを含有するポリペプチドもカバーする。コードヌクレオチド配列は、対応して、開始コドンも含有し、逆もまた同様でありうる。
【0020】
「ポリヌクレオチド」、「核酸配列」、「ヌクレオチド配列」又は「核酸断片」は、互換的に使用され、任意的に合成ヌクレオチド塩基、非天然ヌクレオチド塩基又は変化されたヌクレオチド塩基を含有する、一本鎖又は二本鎖のRNA又はDNAポリマーである。ヌクレオチドは、以下の通り、該ヌクレオチドの1文字名称によって参照される:「A」はアデノシン又はデオキシアデノシン(それぞれ、RNA又はDNAについて)であり、「C」はシチジン又はデオキシシチジンであり、「G」はグアノシン又はデオキシグアノシンであり、「U」はウリジンを意味し、「T」はデオキシチミジンを意味し、「R」はプリン(A又はG)を意味し、「Y」はピリミジン(C又はT)を意味し、「K」はG又はTを意味し、「H」はA又はC又はTを意味し、「D」はA、T又はGを意味し、「I」はイノシンを意味し、「N」は任意のヌクレオチドを意味する。
【0021】
「ポリペプチド」、「ペプチド」、及び「タンパク質」は、本発明において互換的に使用され、アミノ酸残基のポリマーを云う。該語は、1以上のアミノ酸残基が、天然に存在するアミノ酸の人工化学アナログに対応するアミノ酸ポリマー、及び天然に存在するアミノ酸ポリマーに適用する。該語「ポリペプチド」、「ペプチド」、「アミノ酸配列」及び「タンパク質」は、改変された形態、限定されるものでないが、グリコシル化、脂質連結、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマカルボキシル化、ヒドロキシル及びADPリボシル化を含む改変された形態も含みうる。
【0022】
「調節配列」及び「調節エレメント」は、互換的に使用され、コード配列の上流(5'非コード配列)、中央、又は下流(3'非コード配列)を云い、転写、RNAプロセシング、関連するコード配列のプロセシング、又は翻訳されたヌクレオチド配列の安定性に影響を及ぼす。調節配列は、限定されるものでないが、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、及びポリアデニル化認識配列を含みうる。
【0023】
本明細書において使用される場合、語「作動可能に連結された」は、ヌクレオチド配列の転写が転写制御エレメントによって制御及び調節されるような、核酸配列(例えば、コード配列又はオープンリーディングフレーム)への調節エレメント(例えば、限定されるものでないが、プロモーター配列、転写終結配列等)の接続を云う。調節エレメント領域を核酸分子に作動可能に連結する為の技法は、既知である。
【0024】
語「処置」又は「処置すること」は、考慮された状態(例えば、疾患)、該状態の症状を治癒する、癒す、軽減する、緩和する、変更する、是正する、寛解する、改善する、若しくは影響を及ぼす、又は疾患の症状、合併症、生化学的兆候の開始を予防する、若しくは遅延させる、又はそうでなければ統計学的に有意な様式で、該疾患、状態、若しくは障害の更なる発生を停止させる、若しくは阻害する、目的で活性薬剤を投与することを云う。
【0025】
語「予防する」、「予防すること」及び「予防」は、考慮された疾患及び/又は該疾患の症状の1つ若しくは全部をもたらす可能性を低減することを云う。
【0026】
1.B型肝炎ウイルス(HBV)抗原を発現するレンチウイルスベクター、レンチウイルス粒子、及びその調製方法
本発明は、B型肝炎ウイルス抗原をコードするヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクターを提供する。
【0027】
本明細書において使用される場合、「レンチウイルスベクター」は、シス作用性レンチウイルスRNA又はDNA配列を含有する導入遺伝子を宿主細胞に形質導入する為に使用される、レンチウイルスに由来する核酸構築物を云う。該レンチウイルスベクターは、複製欠損でありうる、例えば、該レンチウイルスベクターは、機能的レンチウイルスタンパク質、例えばGag、Pol、Rev、及び/又はEnvタンパク質、のコード配列を欠く。該複製欠損レンチウイルスベクターが、レンチウイルス粒子にパッケージングされる場合、該レンチウイルスタンパク質(例えば、Gag、Pol、Rev、及び/又はEnv)は、トランスで提供されることを必要とする。
【0028】
レンチウイルスベクターは、RNA又はRNAの形態で存在することができる。例えば、該レンチウイルスベクターは、組換えDNA分子、例えばプラスミド、の形態でありうる(レンチウイルス移入ベクターとも呼ばれる)。レンチウイルスベクターは、一本鎖RNA分子の二量体である、完全レンチウイルス粒子に含有されるゲノム核酸分子を云うこともできる。レンチウイルスベクターは、宿主細胞に組み込まれるDNA配列を云うこともできる。
【0029】
レンチウイルスベクターは、例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV(human immunodeficiency virus)-1又はHIV-2)、サル免疫不全ウイルス(SIV:monkey immunodeficiency virus)、ウマ感染性脳炎ウイルス(EIAV:equine infectious encephalitis virus)、ヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV:goat arthritis encephalitis virus)、ウシ免疫不全ウイルス(BIV:cattle Immunodeficiency virus)及びネコ免疫不全ウイルス(FIV:Feline Immunodeficiency Virus)に由来することができ、該レンチウイルスベクターは、病原性に関与する遺伝的決定因子を除去し、外来発現カセットを導入するように改変されている。
【0030】
幾つかの好ましい実施態様において、該レンチウイルスベクターは、非組み込み性レンチウイルスベクターである。非組み込みレンチウイルスベクターは、ヒトゲノムへのウイルスDNA組み込みの潜在的なリスクを有効に回避することができる。
【0031】
本明細書において互換的に使用される「レンチウイルス粒子」又は「レンチウイルスベクター粒子」は、レンチウイルスタンパク質及びその関連するレンチウイルスゲノムを含有するパッケージングされたウイルス粒子(例えば、本明細書に記載されているレンチウイルスベクター)を云い、パッケージングされたウイルス粒子は、宿主細胞に感染することができ、且つ該ウイルスゲノムによってコードされる該タンパク質を該宿主中で発現することができる。
【0032】
本発明に従うB型肝炎ウイルス抗原は、異なる遺伝子型又は異なる血清型のB型肝炎ウイルス由来の抗原でありうる。例えば、該HBVは、遺伝子型A、B、C、D、E、F、G、及びHから選択されることができる。好ましくは、該HBVは、遺伝子型Cである。代替的には、該HBVは、血清型ayw1、ayw2、ayw3、ayw4、ayr、adw2、adw4、adrq+及びadrq-から選択されうる。好ましくは、該HBVは、血清型adw又はadrである。幾つかの好ましい実施態様において、該HBVは、遺伝子型C、血清型adrである。
【0033】
本発明のレンチウイルスベクターにおいてコードされる該B型肝炎ウイルス抗原は、コア抗原(HBcAg)、PreS1抗原(PreS1)及びラージS抗原(LargeS)、又はそれらの組み合わせからなる群から選択される。幾つかの好ましい実施態様において、該コードされたB型肝炎ウイルス抗原は、ラージS抗原(LargeS)である。
【0034】
幾つかの実施態様において、該B型肝炎ウイルスコア抗原(HBcAg)は、配列番号1に示されているアミノ酸配列を含む。幾つかの実施態様において、該B型肝炎ウイルスコア抗原(HBcAg)のコードヌクレオチド配列は、ヒトにおける発現の為にコドン最適化される。幾つかの実施態様において、該B型肝炎ウイルスコア抗原(HBcAg)をコードする該ヌクレオチド配列は、配列番号2又は3に示されている。
【0035】
幾つかの実施態様において、該コードされたB型肝炎ウイルスPreS1抗原(PreS1)は、配列番号4又は7に示されているアミノ酸配列を含む。幾つかの実施態様において、該B型肝炎ウイルスPreS1抗原(PreS1)のコードヌクレオチド配列は、ヒトにおける発現の為にコドン最適化される。幾つかの実施態様において、該B型肝炎ウイルスPreS1抗原(PreS1)の該コードヌクレオチド配列は、配列番号5、6、8又は9において、特に配列番号6又は9において、示されている。
【0036】
幾つかの実施態様において、該コードされたB型肝炎ウイルスラージS抗原(LargeS)は、配列番号10又は13に示されているアミノ酸配列を含む。幾つかの具体的な実施態様において、該B型肝炎ウイルスラージS抗原(LargeS)のコードヌクレオチド配列は、ヒトにおける発現の為にコドン最適化される。幾つかの実施態様において、該B型肝炎ウイルスラージS抗原(LargeS)の該コードヌクレオチド配列は、配列番号11、12、14又は15において、特に配列番号12又は15において、示されている。
【0037】
幾つかの好ましい実施態様において、該コードされたB型肝炎ウイルス抗原は、B型肝炎ウイルスラージS抗原(LargeS)である。幾つかの好ましい実施態様において、該コードされたB型肝炎ウイルスラージS抗原(LargeS)は、配列番号13に示されているアミノ酸配列を含む。幾つかの好ましい実施態様において、該B型肝炎ウイルスラージS抗原(LargeS)のコードヌクレオチド配列は、配列番号15に示されている。
【0038】
幾つかの実施態様において、該B型肝炎ウイルスをコードするヌクレオチド配列は、調節エレメントに作動可能に連結される。幾つかの実施態様において、該調節エレメントは、プロモーターである。好適なプロモーターは、例えば、β2ミクログロブリンプロモーター(β2m)でありうる。β2mプロモーターの例は、国際特許出願公開WO2013/174630号パンフレットに見られることができる。
【0039】
幾つかの実施態様において、該レンチウイルスベクターは、以下:5'LTR、ψ、RRE、cPPT/CTS、WPRE及び3'LTRから選択される1以上又は全ての作動可能に連結されたエレメントを更に含む。幾つかの実施態様において、該3'LTRは、U3領域を欠く(ΔU3)。
【0040】
別の観点において、本発明は、B型肝炎ウイルス抗原をコードするヌクレオチド配列を含有するレンチウイルスベクター粒子を調製する方法であって、
a)本発明のレンチウイルスベクターと、Gag、Rev及び/又はPolを発現する1以上のパッケージングベクターと、エンベロープタンパク質を発現するエンベロープベクターとを、好適な宿主細胞に同時トランスフェクションすること、又は本発明のレンチウイルスベクターを、Gag、Rev、Pol、及び/又はエンベロープタンパク質を発現することができる好適な宿主細胞内にトランスフェクションすること;
b)該トランスフェクトされた宿主細胞を培養して、該レンチウイルスベクターをレンチウイルスベクター粒子内にパッケージングすること;及び、
c)工程b)において生成された該レンチウイルスベクター粒子を収穫すること
の工程を含む、上記方法を提供する。
【0041】
幾つかの実施態様において、Gag、Rev、Pol及び/又はエンベロープタンパク質を発現することができる該好適な宿主細胞は、本発明のレンチウイルスベクターをトランスフェクションする前に、Gag、Rev及び/又はPolを発現させる為に使用されている。各種のパッケージングベクター、及びエンベロープタンパク質を発現するエンベロープベクターのトランスフェクションがまた行われうる。
【0042】
該エンベロープタンパク質が、パッケージングの為に好適であり、且つ標的細胞に侵入する為に好適である限り、任意の他のウイルス又は非ウイルスエンベロープタンパク質が、シュードタイプ化されたパッケージングの為に使用されることができる。幾つかの実施態様において、該エンベロープタンパク質は、水疱性口内炎ウイルス(VSV-G)のエンベロープ糖タンパク質である。例えば、該エンベロープタンパク質は、インディアナ(Indiana)血清型(GenBankアクセッション番号J02428)又はニュージャージー(New Jersey)血清型(GenBankアクセッション番号P04882)の水疱性口内炎ウイルスエンベロープタンパク質でありうる。
【0043】
Gag、Rev及び/又はPolを発現する1以上の好適なパッケージングベクター、並びにレンチウイルスをパッケージングする為に好適なエンベロープタンパク質を発現するエンベロープベクターが、容易に得られることができることは、本分野において及び当業者に知られている。幾つかの実施態様において、前述のレンチウイルスベクターは、プラスミドである。
【0044】
レンチウイルスベクター粒子を調製する為の好適な宿主細胞は、限定されるものでないが、293細胞、例えば293T細胞、を包含する。
【0045】
本発明に好適な、レンチウイルスベクターを構築する及びウイルス粒子をパッケージングする一般的な方法は、中国特許又は中国特許出願公開第101291688A号明細書、同第102083462B号明細書、同第104039968B号明細書、同第102083462B号明細書等に見られることができる。
【0046】
別の観点において、本発明は、B型肝炎ウイルス抗原をコードするヌクレオチド配列を含むレンチウイルスベクター粒子(レンチウイルス粒子の調製物とも称される)であって、本発明のレンチウイルスベクターを含むか、又は上記で言及した本発明の方法によって調製される、上記レンチウイルスベクター粒子を提供する。
【0047】
2.疾患の処置及び/又は予防
別の観点において、本発明は、本発明のレンチウイルスベクター及び/又はレンチウイルスベクター粒子(レンチウイルス粒子の調製物とも称される)が、B型肝炎ウイルス感染症の処置及び/又は予防することを必要とする対象における、B型肝炎ウイルス感染症の処置及び/又は予防の為に、又はB型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病の処置及び/又は予防することを必要とする対象における、B型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病の処置及び/又は予防の為に、調製されることを提供する。
【0048】
別の観点において、本発明は、B型肝炎ウイルス感染症を処置及び/又は予防することを必要とする対象における、B型肝炎ウイルス感染症を処置及び/又は予防する為の、又はB型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病を処置及び/又は予防することを必要とする対象における、B型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病を処置及び/又は予防する為の、医薬組成物であって、本発明の少なくとも1つのレンチウイルスベクター粒子、及び医薬的に許容可能な担体を含む、上記医薬組成物を提供する。幾つかの実施態様において、該医薬組成物は、B型肝炎治療用ワクチンである。
【0049】
本明細書において使用される場合、「医薬的に許容可能な担体」は、患者に対する有意に有害な毒性効果を引き起こすことなく、製剤化を助ける為に又は製剤を安定化する為に有効医薬成分に添加されることができる物質であり、限定されるものでないが、崩壊剤、接着剤、充填剤、緩衝剤、等張剤、安定剤、抗酸化剤、界面活性剤又は滑沢剤を含む。
【0050】
「B型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病」は、限定されるものでないが、B型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる、肝炎;肝硬変;腹水、食道静脈瘤、自発性腹膜炎及び肝性脳症を含む、肝硬変に関連する合併症;肝臓がん;肝不全;腎臓の疾患;血管の炎症又は腫脹;貧血;等を包含する。
【0051】
幾つかの実施態様において、該医薬組成物は、2以上の本発明のレンチウイルスベクターを含み、そのそれぞれが、異なるB型肝炎ウイルス抗原をコードするヌクレオチド配列を含む。例えば、該医薬組成物は、2種類の本発明のレンチウイルスベクター粒子を含みe得、ここで、第1のレンチウイルスベクター粒子が、B型肝炎ウイルスコア抗原(HBcAg)をコードするヌクレオチド配列を含み、第2のレンチウイルスベクター粒子が、B型肝炎ウイルスPreS1抗原(PreS1)をコードするヌクレオチド配列を含む。
【0052】
本明細書において使用される場合、語「対象」は、哺乳動物、例えばヒト、を云う。幾つかの実施態様において、該対象は、B型肝炎ウイルスに感染している。幾つかの実施態様において、該対象は、B型肝炎ウイルスに感染していない。幾つかの実施態様において、該対象は、B型肝炎ウイルスに感染しており、B型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病の症状を示している。幾つかの実施態様において、該対象は、B型肝炎ウイルスに感染しているが、B型肝炎ウイルス感染症によって引き起こされる疾病の症状を示していない。
【0053】
幾つかの実施態様において、該B型肝炎ウイルスは、遺伝子型A、B、C、D、E、F、G、及びHから選択されうる。好ましくは、該B型肝炎ウイルスは、遺伝子型Cである。幾つかの実施態様において、該B型肝炎ウイルスは、血清型ayw1、ayw2、ayw3、ayw4、ayr、adw2、adw4、adrq+及びadrq-から選択されうる。好ましくは、該B型肝炎ウイルスは、血清型adw又はadrである。幾つかの好ましい実施態様において、該B型肝炎ウイルスは、遺伝子型C、血清型adrである。
【0054】
「治療有効量」又は「治療有効用量」は、対象への投与後に治療効果を生じるのに少なくとも十分である、物質、化合物、材料、又は該化合物を含有する組成物の量を云う。それ故に、「治療有効量」又は「治療有効用量」は、該疾患又は障害の症状を処置する、予防する、治癒する、寛解する、遮断する、又は部分的に遮断する為に必要な量である。
【0055】
本発明のレンチウイルスベクター粒子の該「治療有効量」は、好ましくは、B型肝炎ウイルス量の低減、B型肝炎の症状の重症度の低減、該疾患の無症候期間の頻度及び期間の増加、又は疾患によって引き起こされる苦しみ、引き起こされる傷害若しくは身体障害の予防をもたらす。例えば、B型肝炎感染症の処置の為に、「治療有効量」は、好ましくは、該B型肝炎ウイルス量を、処置を受けていない対象と比べて、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、低減する。より好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約100%、低減する。代替的には、該「治療有効量」は、好ましくは、対象におけるHBsAgレベルを、少なくとも約10%、好ましくは少なくとも約20%、より好ましくは少なくとも約30%、より好ましくは少なくとも約40%、より好ましくは少なくとも約50%、より好ましくは少なくとも約60%、より好ましくは少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約95%、より好ましくは少なくとも約100%、低減する。
【0056】
幾つかの具体的な実施態様において、本発明のレンチウイルスベクター粒子の投与用量は、1用量あたり約1×107TU/ml~約1×108TU、例えば約1×107TU、約2×107TU、約3×107TU、約4×107TUを包含しうる。該レンチウイルスベクター粒子は、約5×107TU、約6×107TU、約7×107TU、約8×107TU、約9×107TU、約10×107TU、好ましくは約5×107TU、である。TU(形質導入単位)は、生物活性を有する(例えば、標的細胞に感染及び侵入することができる)ウイルス粒子の数を云う。
【0057】
本発明のレンチウイルスベクター粒子又は医薬組成物は、本分野において既知の1以上の方法を使用して、1以上の投与経路を通して投与されることができる。当業者は、投与の経路及び/又は様式が、所望の結果に従って異なることを理解する。好適な投与の経路は、限定されるものでないが、筋肉内投与、皮下投与、皮内投与、経口投与等を包含する。幾つかの実施態様において、本発明のレンチウイルスベクター粒子又は医薬組成物は、筋肉内注射及び/又は静脈内注射によって投与される。
【0058】
本発明のレンチウイルスベクター粒子(レンチウイルスベクター粒子の調製物とも称される)又は医薬組成物の例示的な処置レジメンは、週に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、1か月に1回、3か月毎に1回、3か月毎に1回~6か月に1回でありうるか、又は最初の投薬間隔は、わずかに短く(例えば、週に1回から3週間毎に1回)、その後の投薬間隔は、増加される(例えば、1か月に1回から3~6か月毎に1回)。本発明のレンチウイルスベクター又は医薬組成物は、1回、2回、又はそれ以上の回数、投与されることができる。幾つかの具体的な実施態様において、本発明のレンチウイルスベクター粒子又は医薬組成物は、2回、例えば、最初の週に1回及び第2の週に再び1回、投与される。
【0059】
3.LVの構築及び生成方法
コア抗原(HBcAg)、PreS1抗原(PreS1)、及び/又はラージS抗原(LargeS)を発現する本発明の組換えレンチウイルスベクターの構築の為に、B型肝炎ウイルス株FMC#97に由来するHBcAg、PreS1及びラージSの配列は、GenBankからダウンロードされ、コドン最適化された。HBcAg、PreS1及びラージSをコードする哺乳動物のコドン最適化された配列は、FLAP-SP1b2m-WPREmプラスミドのBamHI及びXhoI制限酵素部位にクローニングされて、pFLAP-SP1b2m-導入遺伝子-WPREmが作成された。プラスミドは、maxiprepキット(Macherey-Nagel、Duren、Germany)を用いて生成された。配列は、二本鎖シークエンシングによって確認された。
【0060】
レンチウイルス粒子は、HEK293T細胞の一過性リン酸カルシウム共トランスフェクションによって生成された。簡潔には、HEK293T細胞は、プラスミドベクターpFLAP-SP1b2m-導入遺伝子-WPREm、インディアナ血清型又はニュージャージープラスミドのVSV-Gエンベロープ、及び封入pSD-GP-niNDK(D64V)プラスミドで同時トランスフェクトされた。該ウイルス粒子は、トランスフェクション48時間後に採取され、-80℃で保管された。ウイルス力価は、アフィディコリンによるHEK293T細胞の形質導入とそれに続くqPCRによって決定された。
【0061】
別の観点において、本発明は、本発明のレンチウイルスベクター、好適なパッケージングベクター、好適なパッケージングベクター、及び/又は好適な宿主細胞、例えば293細胞、を含む、レンチウイルスベクター粒子を生成する為のウイルス生成方法を提供する。試薬は、細胞トランスフェクション試薬も包含しうる。
【0062】
実施例
【0063】
実施例1.候補のB型肝炎治療用レンチウイルスワクチンの構築
1.1.B型肝炎の遺伝子型及び血清型分類
B型肝炎ウイルスは、再生成の間に、該B型肝炎ウイルスのゲノムヌクレオチド配列の変異を受けることができ、この変異は、時々、該ウイルスの生物学的特徴の変化をもたらすことができる。異なる遺伝子型のHBV間のヌクレオチドの相違が使用されて、HBV伝播の経路を追跡し、感染源を特定し、伝播の関係及び病態形成を決定することができる。現在のところ、特定された10のHBVの遺伝子型が存在し、該10の遺伝子型の地理的分布が明らかになっている。該遺伝子型のうち、遺伝子型Aは、北西ヨーロッパ及び中央アフリカに主に分布し、遺伝子型B及びCは、アジアにおいて一般的であり、遺伝子型Dは、地中海地域及び中東からインドにおいて優性な遺伝子型であり、遺伝子型Eは、西アフリカで主に見られる。F及びH型は、南アメリカでより一般的であり、遺伝子型Gは、中央アメリカに由来しうる。中国のほとんどの地域において、HBVに感染した患者は、主にB及びC遺伝子型であり、95%超を占めるが、A及びD遺伝子型の報告は、一部の少数民族地域においてのみ見られる。中国におけるHBV遺伝子型の地理的分布の特徴も相当に異なる。該C遺伝子型は、ほとんどの地域において90%超で、北部で主に蔓延しているが、該B遺伝子型は、南部で蔓延している。研究は、遺伝子型Bと比較して、遺伝子型Cの感染症が、より深刻な肝臓疾患、例えば肝硬変及び肝臓がん、を引き起こすより高いリスクを有することを示している。
【0064】
HBVは、9の血清型:ayw1、ayw2、ayw3、ayw4、ayr、adw2、adw4、adrq+及びadrq-に分けられることができる。該血清型は、エンベロープタンパク質の一部のアミノ酸の相違を反映するのみであり、該ウイルスの系統発生関係を真に反映せず、遺伝子配列における単一核酸変化は、該血清型を変化させえ、そのようにして該血清型は、遺伝子配列におけるHBVの相違を真に反映しない。研究は、血清型と遺伝子型との間に厳密な対応が存在しないことを見出している。異なる血清型は、同じ遺伝子型に属することができ、同じ血清型は、異なる遺伝子型に分布されることができる(表1を参照されたい)。中国において、該血清型は、大部分が、adw及びadrサブタイプである。
【0065】
【表1】
【0066】
1.2.抗原の設計及びコドン最適化
3つの免疫原が研究標的として選択された:コア抗原(HBcAg)、PreS1抗原(PreS1抗原)及びラージS抗原(PreS1、PreS2及び表面抗原HBsAgを含む、ラージS抗原)。中国におけるHBVの主な遺伝子型が、B及びC型の、遺伝子型B、血清型adwのHBV株536207(GenBank:AY220698.1)、及び遺伝子型C、血清型adr型のHBV株FMU#14(GenBank:AF411408.1)であるので、その全長配列は、2848~3205位がpreS1コード遺伝子である合計3215塩基、2848~835位がラージSコード遺伝子である合計360塩基、1901~2452位が合計552塩基を有するコアコード遺伝子である合計1203塩基を有する。該遺伝子型CのHBV株のHBsAgアミノ酸配列アライメントに従って、204番目のアミノ酸が、ほとんどがSerであること、及びこのウイルス株の該204番目のアミノ酸が、Argであり、その結果、調節されたコドンAGAが、AGCである(配列において強調)ことが見出された。加えて、該コア遺伝子の高い相同性に起因して、異なるウイルス株間に4つのアミノ酸の相違のみが存在する。該B及びCウイルス株によってコードされる該コアタンパク質のアミノ酸配列を比較した後、5番目、83番目、87番目、及び97番目のアミノ酸が選択された。最も頻繁に存在するアミノ酸コード配列。得られた各抗原の具体的なコード配列は以下の通りである。
【0067】
HBV遺伝子型B preS1 コード配列(配列番号5)
ATGGGAGGTTGGTCTTCCAAACCTCGAAAAGGCATGGGGACAAATCTTTCTGTCCCCAATCCCCTGGGATTCTTCCCCGATCATCAGTTGGACCCTGCATTCAAAGCCAACTCAGAAAATCCAGATTGGGACCTCAACCCGCACAAGGACAACTGGCCGGACGCCAACAAGGTGGGAGTGGGAGCATTCGGGCCAGGGTTCACCCCTCCCCATGGGGGACTGTTGGGGTGGAGCCCTCAGGCTCAGGGCCTACTCACAACTGTGCCAGCAGCTCCTCCTCCTGCCTCCACCAATCGGCAGTTAGGAAGGCAGCCTACTCCCTTATCTCCACCTCTAAGGGACACTCATCCTCAGGCCTGA
【0068】
HBV遺伝子型B ラージS(large S) コード配列(配列番号11)
ATGGGAGGTTGGTCTTCCAAACCTCGAAAAGGCATGGGGACAAATCTTTCTGTCCCCAATCCCCTGGGATTCTTCCCCGATCATCAGTTGGACCCTGCATTCAAAGCCAACTCAGAAAATCCAGATTGGGACCTCAACCCGCACAAGGACAACTGGCCGGACGCCAACAAGGTGGGAGTGGGAGCATTCGGGCCAGGGTTCACCCCTCCCCATGGGGGACTGTTGGGGTGGAGCCCTCAGGCTCAGGGCCTACTCACAACTGTGCCAGCAGCTCCTCCTCCTGCCTCCACCAATCGGCAGTTAGGAAGGCAGCCTACTCCCTTATCTCCACCTCTAAGGGACACTCATCCTCAGGCCATGCAGTGGAACTCCACCACTTTCCACCAAACTCTTCAAGATCCCAGAGTCAGGGCCCTGTACTTTCCTGCTGGTGGCTCCAGTTCAGGAACAGTGAGCCCTGCTCAAAATACTGTCTCTGCCATATCGTCAATCTTATCGAAAACTGGGGACCCTGTACCGAACATGGAGAACATCGCATCAGGACTCCTAGGACCCCTGCTCGTGTTACAGGCGGGGTTTTTCTTGTTGACAAAAATCCTCACAATACCACAGAGTCTAGACTCGTGGTGGACTTCTCTCAATTTTCTAGGGGGAACACCCGTGTGTCTTGGCCAAAATTCGCAGTCCCAAATCTCCAGTCACTCACCAACCTGTTGTCCTCCAATTTGTCCTGGTTATCGCTGGATGTATCTGCGGCGTTTTATCATATTCCTCTGCATCCTGCTGCTATGCCTCATCTTCTTGTTGGTTCTTCTGGACTATCAAGGTATGTTGCCCGTTTGTCCTCTAATTCCAGGATCATCAACAACCAGCACCGGACCATGCAAAACCTGCACGACTCCTGCTCAAGGAACCTCTATGTTTCCCTCATGTTGCTGTACAAAACCTACGGACGGAAACTGCACCTGTATTCCCATCCCATCATCTTGGGCTTTCGCAAAATTCCTATGGGAGTGGGCCTCAGTCCGTTTCTCTTGGCTCAGTTTACTAGTGCCATTTGTTCAGTGGTTCGTAGGGCTTTCCCCCACTGTCTGGCTTTCAGTTATATGGATGATTTGGTTTTGGGGGCCAAGTCTGTACAACATCTTGAGTCCCTTTATGCCGCTGTTACCAATTTTCTTTTGTCTTTGGGTATACATTTAA
【0069】
HBV遺伝子型B preS1 コード配列(配列番号8)
ATGGGAGGTTGGTCTTCCAAACCTCGAAAAGGCATGGGGACGAATCTTTCTGTTCCCAATCCTCTGGGATTCTTTCCCGATCACCAGTTGGACCCTGCGTTCGGAGCCAACTCAAACAATCCAGATTGGGACTTCAACCCCAACAAGGATCACTGGCCAGAGGCAAATCAGGTAGGAGCGGGAGCATTCGGGCCAGGGTTCACCCCACCACACGGCGGTCTTTTGGGGTGGAGCCCTCAGGCTCAAGGCATATTGACAACAGTGCCAGTAGCACCTCCTCCTGCCTCCACCAATCGGCAGTCAGGGAGACAGCCTACTCCCATCTCTCCACCTCTAAGAGACAGTCATCCTCAGGCCTGA
【0070】
HBV遺伝子型C ラージS(large S) コード配列(配列番号14)
ATGGGAGGTTGGTCTTCCAAACCTCGAAAAGGCATGGGGACGAATCTTTCTGTTCCCAATCCTCTGGGATTCTTTCCCGATCACCAGTTGGACCCTGCGTTCGGAGCCAACTCAAACAATCCAGATTGGGACTTCAACCCCAACAAGGATCACTGGCCAGAGGCAAATCAGGTAGGAGCGGGAGCATTCGGGCCAGGGTTCACCCCACCACACGGCGGTCTTTTGGGGTGGAGCCCTCAGGCTCAAGGCATATTGACAACAGTGCCAGTAGCACCTCCTCCTGCCTCCACCAATCGGCAGTCAGGGAGACAGCCTACTCCCATCTCTCCACCTCTAAGAGACAGTCATCCTCAGGCCATACAGTGGAATTCCACAACATTCCACCAAGCTCTGCTAGACCCCAGAGTGAGGGGCCTATACTTTCCTGCTGGTGGCTCCAGTTCCGGAACAGTAAACCCTGTTCCGACTACTGCCTCACCCACATCGTCAATCTTCTCGAGGACTGGGGACCCTGCACCGAACATGGAGAACACAACATCAGGATTCCTAGGACCCCTGCTCGTGTTACAGGCGGGGTTTTTCTTGTTGACAAGAATCCTCACAATACCACAGAGTCTAGACTCGTGGTGGACTTCTCTCAATTTTCTAGGGGGAGCACCCACGTGTCCTGGCCAAAATTCGCAGTCCCCAACCTCCAATCACTCACCAACCTCTTGTCCTCCAATTTGTCCTGGCTATCGCTGGATGTGTCTGCGGCGTTTTATCATATTCCTCTTCATCCTGCTGCTATGCCTCATCTTCTTGTTGGTTCTTCTGGACTACCAAGGTATGTTGCCCGTTTGTCCTCTACTTCCAGGAACATCAACTACCAGCACAGGACCATGCAAGACCTGCACGATTCCTGCTCAAGGAACCTCTATGTTTCCCTCTTGTTGCTGTACAAAACCTTCGGACGGAAACTGCACTTGTATTCCCATCCCATCATCCTGGGCTTTCGCAAGATTCCTATGGGAGTGGGCCTCAGTCCGTTTCTCCTGGCTCAGTTTACTAGTGCCATTTGTTCAGTGGTTCGTAGGGCTTTCCCCCACTGTTTGGCTTTCAGTTATATGGATGATGTGGTATTGGGGGCCAAGCCTGTACAACATCTTGAGTCCCTTTTTACCTCTATTACCAATTTTCTTTTGTCTTTGGGTATACATTTGA
【0071】
HBVコア(HBV Core) コード配列(配列番号2)
ATGGACATTGACCCGTATAAAGAATTTGGAGCTTCTGTGGAGTTACTCTCTTTTTTGCCTTCTGACTTCTTTCCTTCTATTCGAGATCTCCTCGACACCGCCTCTGCTCTGTATCGGGAGGCCTTAGAGTCTCCGGAACATTGTTCACCTCACCATACGGCACTCAGGCAAGCTATTCTGTGTTGGGGTGAGTTAATGAATCTAGCCACCTGGGTGGGAAGTAATTTGGAAGATCCAGCATCCAGGGAATTAGTAGTCAGCTATGTCAACGTTAATATGGGCCTAAAAATCAGACAACTATTGTGGTTTCACATTTCCTGTCTTACTTTTGGGAGAGAAACTGTTCTTGAATATTTGGTGTCTTTTGGAGTGTGGATTCGCACTCCTCCCGCATATAGACCGCCAAATGCCCCTATCTTATCAACACTTCCGGAAACTACTGTTGTTAGACGAAGAGGCAGGTCCCCTAGAAGAAGAACTCCCTCGCCTCGCAGACGAAGGTCTCAATCGCCGCGTCGCAGAAGATCTCAATCTCGGGAATCTCAATGTTAG
【0072】
上記のコード配列は、遺伝子合成の為にSuzhou GENEWIZ Companyに提供されている。合成の前に、優先度に従って、GC含量、高レベルの構造、及び各宿主における制限酵素部位の排除が、ヒトコドンに従って最適化される。該最適化された配列は下記の通りである:
【0073】
HBV遺伝子型B preS1 コドン最適化された配列(adw-preS1)(配列番号6)
ATGGGCGGCTGGAGCAGCAAGCCCAGAAAGGGCATGGGCACCAACCTGAGCGTGCCCAACCCCCTGGGCTTCTTCCCCGACCACCAGCTGGACCCCGCCTTCAAGGCCAACAGCGAGAACCCCGACTGGGACCTGAACCCCCACAAGGACAACTGGCCTGACGCCAACAAGGTGGGCGTGGGAGCTTTCGGCCCTGGCTTCACCCCTCCCCATGGAGGACTGCTGGGCTGGAGCCCTCAGGCTCAGGGACTGCTGACCACAGTGCCCGCTGCTCCTCCTCCTGCCAGCACCAACAGGCAGCTGGGCAGACAGCCCACACCCCTGAGCCCTCCTCTGAGAGACACCCACCCCCAGGCCTGA
【0074】
HBV遺伝子型BラージS(large S) コドン最適化された配列(adw-LargeS)(配列番号12)
ATGGGAGGCTGGTCCTCCAAACCCAGGAAGGGCATGGGCACAAACCTGTCCGTGCCCAACCCTCTGGGCTTTTTCCCCGACCACCAGCTGGACCCCGCCTTCAAGGCTAACAGCGAGAACCCCGACTGGGACCTGAATCCCCACAAGGACAATTGGCCCGATGCCAATAAGGTGGGCGTGGGCGCCTTCGGCCCTGGATTTACACCCCCCCATGGAGGACTGCTGGGATGGTCCCCTCAGGCCCAAGGCCTGCTGACCACAGTGCCCGCTGCTCCTCCCCCTGCTTCCACCAATAGACAGCTCGGCAGACAGCCCACACCCCTGTCCCCTCCTCTGAGGGACACCCATCCCCAGGCCATGCAGTGGAATAGCACCACCTTCCACCAGACACTGCAGGACCCCAGGGTGAGAGCCCTGTACTTCCCCGCCGGAGGTTCTAGCAGCGGAACAGTGAGCCCCGCCCAGAACACAGTGTCCGCCATCAGCAGCATTCTGTCCAAGACAGGCGACCCCGTGCCCAACATGGAGAACATCGCCAGCGGACTCCTGGGACCTCTCCTGGTGCTGCAGGCCGGCTTCTTCCTGCTGACCAAGATCCTGACCATCCCCCAGAGCCTGGATTCCTGGTGGACCAGCCTGAACTTTCTGGGAGGCACCCCCGTGTGCCTGGGCCAGAATAGCCAGAGCCAGATCTCCTCCCACAGCCCTACCTGCTGCCCCCCTATCTGCCCTGGATACAGGTGGATGTACCTGAGGAGGTTCATCATCTTCCTGTGCATTCTGCTGCTGTGCCTCATCTTTCTGCTGGTGCTGCTGGATTACCAGGGCATGCTGCCTGTGTGTCCCCTGATCCCCGGCAGCAGCACCACAAGCACCGGCCCCTGTAAGACCTGTACCACCCCCGCCCAGGGAACCTCCATGTTCCCTTCCTGCTGCTGCACCAAGCCCACCGACGGCAACTGTACATGCATCCCCATTCCCAGCAGCTGGGCCTTTGCTAAATTCCTGTGGGAGTGGGCCTCCGTGAGATTCAGCTGGCTGTCCCTGCTGGTGCCTTTCGTGCAGTGGTTCGTGGGACTGTCCCCCACAGTGTGGCTGTCCGTGATCTGGATGATCTGGTTCTGGGGCCCCAGCCTGTACAACATCCTGAGCCCTTTCATGCCCCTGCTGCCCATCTTCTTTTGCCTCTGGGTGTACATTTGA
【0075】
HBV遺伝子型C preS1 コドン最適化された配列(adr-preS1)(配列番号9)
ATGGGCGGATGGTCCTCCAAGCCTAGAAAGGGCATGGGCACCAATCTGTCCGTGCCCAACCCCCTGGGCTTTTTCCCCGATCACCAGTTAGATCCTGCCTTCGGCGCCAACAGCAACAACCCTGACTGGGACTTCAACCCCAACAAGGATCACTGGCCCGAGGCCAATCAAGTGGGCGCTGGAGCTTTCGGCCCTGGCTTCACACCTCCCCATGGAGGACTGCTGGGCTGGTCCCCTCAGGCCCAGGGAATTCTCACAACAGTGCCCGTGGCCCCTCCTCCCGCTAGCACCAACAGGCAGAGCGGCAGGCAGCCCACACCTATCAGCCCCCCTCTGAGAGATTCCCACCCCCAGGCCTGA
【0076】
HBV遺伝子型CラージS(large S) コドン最適化された配列(adr-LargeS)(配列番号15)
ATGGGCGGATGGTCCTCCAAGCCTAGAAAGGGCATGGGCACCAATCTGTCCGTGCCCAACCCCCTGGGCTTTTTCCCCGATCACCAGTTAGATCCTGCCTTCGGCGCCAACAGCAACAACCCTGACTGGGACTTCAACCCCAACAAGGATCACTGGCCCGAGGCCAATCAAGTGGGCGCTGGAGCTTTCGGCCCTGGCTTCACACCTCCCCATGGAGGACTGCTGGGCTGGTCCCCTCAGGCCCAGGGAATTCTCACAACAGTGCCCGTGGCCCCTCCTCCCGCTAGCACCAACAGGCAGAGCGGCAGGCAGCCCACACCTATCAGCCCCCCTCTGAGAGATTCCCACCCCCAGGCCATCCAGTGGAATAGCACCACCTTCCACCAAGCCCTGCTCGACCCTAGGGTGAGGGGCCTGTACTTTCCCGCTGGCGGCAGCTCCAGCGGCACAGTGAATCCCGTGCCCACAACCGCCTCCCCTACCTCCTCCATTTTCAGCAGAACCGGCGACCCCGCCCCCAACATGGAGAACACAACCTCCGGCTTTCTCGGCCCTCTGCTGGTGCTGCAGGCCGGCTTCTTCCTGCTGACCCGTATTTTAACCATCCCCCAGAGCCTGGACTCCTGGTGGACCTCCCTGAACTTCCTGGGAGGAGCCCCTACCTGTCCCGGACAGAACTCCCAGTCCCCTACCAGCAATCACTCCCCCACCAGCTGCCCTCCTATCTGCCCCGGCTACAGGTGGATGTGTCTGAGGAGGTTCATCATCTTCCTGTTCATCCTGCTGCTGTGCCTCATTTTCCTGCTGGTGCTGCTGGACTACCAGGGCATGCTGCCCGTGTGTCCTCTGCTGCCCGGCACAAGCACCACAAGCACCGGCCCCTGCAAGACCTGTACCATCCCCGCCCAGGGCACCTCCATGTTTCCCTCCTGCTGCTGCACCAAGCCCTCCGATGGCAACTGCACCTGCATCCCTATCCCCTCCTCCTGGGCCTTCGCCAGATTCCTGTGGGAATGGGCTTCCGTGAGGTTCTCCTGGCTGTCCCTGCTGGTGCCCTTTGTGCAGTGGTTTGTGGGCCTGAGCCCTACAGTGTGGCTGTCCGTGATCTGGATGATGTGGTATTGGGGCCCCTCCCTGTACAACATCCTGAGCCCCTTCCTGCCCCTGCTGCCCATCTTCTTCTGCCTGTGGGTGTACATCTGA
【0077】
HBVコア コドン最適化された配列(配列番号3)
ATGGACATCGACCCTTACAAGGAGTTCGGCGCCAGCGTGGAGCTCCTGAGCTTCCTGCCCAGCGACTTCTTTCCCAGCATCAGAGACCTGCTGGACACCGCCAGCGCCCTGTACAGGGAAGCCCTGGAGAGCCCCGAGCACTGTAGCCCTCACCACACCGCCCTCAGACAGGCCATCCTGTGCTGGGGCGAGCTGATGAACCTGGCCACCTGGGTGGGAAGCAACCTGGAAGACCCCGCCTCCAGGGAGCTGGTGGTGTCCTACGTGAACGTGAACATGGGCCTGAAGATCAGGCAGCTGCTGTGGTTCCACATCAGCTGCCTGACCTTCGGCAGAGAAACCGTGCTGGAGTACCTGGTGAGCTTCGGCGTCTGGATCAGAACCCCTCCTGCCTACAGACCCCCTAACGCCCCCATCCTGTCCACCCTGCCCGAGACCACAGTGGTGAGGAGGAGAGGCAGGAGCCCCAGAAGGAGGACCCCTAGCCCCAGGAGGAGGAGAAGCCAGTCCCCCAGGAGAAGAAGGTCCCAGTCCAGGGAGAGCCAGTGCTGA
【0078】
各配列の5'は、BamH I制限酵素部位GGATCCに挿入され、3'は、Xhol制限酵素部位CTCGAGに挿入された。合成後、標的遺伝子配列は、真核細胞発現ベクターpcDNA3.1(+)に構築された。シークエンシングは、免疫原遺伝子が全長で正しかったことを検証した。選択された抗原のアミノ酸配列は下記の通りである。
【0079】
HBVコア アミノ酸配列(配列番号1)
MDIDPYKEFGASVELLSFLPSDFFPSIRDLLDTASALYREALESPEHCSPHHTALRQAILCWGELMNLATWVGSNLEDPASRELVVSYVNVNMGLKIRQLLWFHISCLTFGRETVLEYLVSFGVWIRTPPAYRPPNAPILSTLPETTVVRRRGRSPRRRTPSPRRRRSQSPRRRRSQSRESQC
【0080】
HBV B型 preS1 アミノ酸配列(配列番号4)
MGGWSSKPRKGMGTNLSVPNPLGFFPDHQLDPAFKANSENPDWDLNPHKDNWPDANKVGVGAFGPGFTPPHGGLLGWSPQAQGLLTTVPAAPPPASTNRQLGRQPTPLSPPLRDTHPQA
【0081】
HBV C型 preS1 アミノ酸配列(配列番号7)
MGGWSSKPRKGMGTNLSVPNPLGFFPDHQLDPAFGANSNNPDWDFNPNKDHWPEANQVGAGAFGPGFTPPHGGLLGWSPQAQGILTTVPVAPPPASTNRQSGRQPTPISPPLRDSHPQA
【0082】
HBV B型 ラージS(large S) アミノ酸配列(配列番号10)
MGGWSSKPRKGMGTNLSVPNPLGFFPDHQLDPAFKANSENPDWDLNPHKDNWPDANKVGVGAFGPGFTPPHGGLLGWSPQAQGLLTTVPAAPPPASTNRQLGRQPTPLSPPLRDTHPQAMQWNSTTFHQTLQDPRVRALYFPAGGSSSGTVSPAQNTVSAISSILSKTGDPVPNMENIASGLLGPLLVLQAGFFLLTKILTIPQSLDSWWTSLNFLGGTPVCLGQNSQSQISSHSPTCCPPICPGYRWMYLRRFIIFLCILLLCLIFLLVLLDYQGMLPVCPLIPGSSTTSTGPCKTCTTPAQGTSMFPSCCCTKPTDGNCTCIPIPSSWAFAKFLWEWASVRFSWLSLLVPFVQWFVGLSPTVWLSVIWMIWFWGPSLYNILSPFMPLLPIFFCLWVYI
【0083】
HBV C型 ラージS(large S) アミノ酸配列(配列番号13)
MGGWSSKPRKGMGTNLSVPNPLGFFPDHQLDPAFGANSNNPDWDFNPNKDHWPEANQVGAGAFGPGFTPPHGGLLGWSPQAQGILTTVPVAPPPASTNRQSGRQPTPISPPLRDSHPQAIQWNSTTFHQALLDPRVRGLYFPAGGSSSGTVNPVPTTASPTSSIFSRTGDPAPNMENTTSGFLGPLLVLQAGFFLLTRILTIPQSLDSWWTSLNFLGGAPTCPGQNSQSPTSNHSPTSCPPICPGYRWMCLRRFIIFLFILLLCLIFLLVLLDYQGMLPVCPLLPGTSTTSTGPCKTCTIPAQGTSMFPSCCCTKPSDGNCTCIPIPSSWAFARFLWEWASVRFSWLSLLVPFVQWFVGLSPTVWLSVIWMMWYWGPSLYNILSPFLPLLPIFFCLWVYI
【0084】
1.3.レンチウイルスの構築
HBV C型 preS1、ラージS及びコア抗原を含有する組換えプラスミドは、パッケージングベクター及びエンベロープベクターで同時トランスフェクトされて、レンチウイルスパッケージングが行われた。使用されたプラスミドベクター構造は図1に示されている。該合成されたレンチウイルスの対応するシリアル番号は、JW27(配列番号1に示されているアミノ酸配列を発現する配列番号3に示されているHBVコアのコドン最適化された核酸配列を含む)、JW28(配列番号7に示されているアミノ酸配列を発現する配列番号9に示されているHBV遺伝子型C preS1のコドン最適化された核酸配列を含む)及びJW29(配列番号13に示されているアミノ酸配列を発現する配列番号15に示されているHBV遺伝子型CラージSのコドン最適化された核酸配列を含む)である。加えて、対照グループは、JW30と名付けられた、挿入された緑色蛍光タンパク質GFPを有するレンチウイルスであり、該挿入されたGFP配列は以下の通りである。
【0085】
GFPコード配列(配列番号16)
ATGAGTAAAGGAGAAGAACTTTTCACTGGAGTTGTCCCAATTCTTGTTGAATTAGATGGTGATGTTAATGGGCACAAATTTTCTGTCAGTGGAGAGGGTGAAGGTGATGCAACATACGGAAAACTTACCCTTAAATTTATTTGCACTACTGGAAAACTACCTGTTCCATGGCCAACACTTGTCACTACTTTCGGTTATGGTGTTCAATGCTTTGCGAGATACCCAGATCATATGAAACAGCATGACTTTTTCAAGAGTGCCATGCCTGAAGGTTATGTACAGGAAAGAACTATATTTTTCAAAGATGACGGGAACTACAAGACACGTGCTGAAGTCAAGTTTGAAGGTGATACCCTTGTTAATAGAATCGAGTTAAAAGGTATTGATTTTAAAGAAGATGGAAACATTCTTGGACACAAATTGGAATACAACTATAACTCACACAATGTATACATCATGGCAGACAAACAAAAGAATGGAATCAAAGTTAACTTCAAAATTAGACACAACATTGAAGATGGAAGCGTTCAACTAGCAGACCATTATCAACAAAATACTCCAATTGGCGATGGCCCTGTCCTTTTACCAGACAACCATTACCTGTCCACACAATCTGCCCTTTCGAAAGATCCCAACGAAAAGAGAGACCACATGGTCCTTCTTGAGTTTGTAACAGCTGCTGGGATTACACATGGCATGGATGAACTATACAAATAA
【0086】
実施例2.AAV8-1.3HBVマウスモデルにおけるB型肝炎治療用レンチウイルスワクチンの効果の評価
2.1 実験方法
マウスHBV感染モデルの確立
6~8週齢又は約20gの体重のC57bl/6jマウスを使用した。該マウスは、Beijing Weitonglihua Companyから購入された。該購入後、該マウスは、約1週間、動物室の環境に適応させた。AAV8-1.3HBV 5.1010GC(ゲノムコピー)/マウスが尾静脈に注射され、該注射体積は200μLであった。該使用されたAAV8-1.3HBV(Guangzhou Paizhen Biotechnology Co.,Ltd.から購入)は、遺伝子型D HBVであり、該遺伝子型D HBVのゲノム配列は、配列番号17に示されている配列である。
【0087】
B型肝炎治療用レンチウイルスワクチンの免疫化
マウスは、4週間、尾静脈にAAV8-1.3HBVを注射されて、持続感染モデルが確立された。該マウスは、後肢の筋肉に、JW27、JW28、JW29及びJW30レンチウイルスを注射された。該注射体積は5.107TUであり、該注射体積は50μLであった。JW27は、HBV遺伝子型Cコア抗原を発現するレンチウイルスであり、JW28は、HBV遺伝子型C preS1抗原を発現するレンチウイルスであり、JW29は、HBV遺伝子型CラージS抗原(preS1+preS2+HBsAg)抗原を発現するレンチウイルスであり、JW30は、GFPを発現する対照レンチウイルスである。
【0088】
HBsAg検出
3μLの血清を297μLのPBSに添加して、100倍希釈物を調製し、該希釈物を、HBsAg検出の為に、Jinyu Medicalに送る。検出キットはAbbott B型肝炎ウイルス表面抗原定量的決定キット(化学発光微粒子イムノアッセイ法)であり、検出限界は5IU/mLである。
【0089】
マウス血清HBV-DNA検出
Hunan Shengxiang Biomedicalのウイルス核酸定量的決定キット(一工程法)を使用し、操作工程は、指示に従って行われる。
【0090】
抗HBs検出
3μLの血清を297μLのPBSに添加して、100倍希釈物を調製し、該希釈物を、抗HBs検出の為に、Jinyu Medicalに送る。検出キットはAbbott B型肝炎ウイルス表面抗体定量的決定キット(化学発光微粒子イムノアッセイ)であり、検出限界は10IU/mLである。
【0091】
肝臓組織のHE及びIHC検出
マウスは、クロラール水和物の腹腔内注射によって麻酔された。該マウスが深く麻酔された後、該マウスの胸腔は、ハサミを用いて開かれ、5mlのPBSが、心尖から注射されて、肝臓が白くなるまで、肝臓の色の変化が観察された。ホルマリン固定剤中に入れた肝臓組織の一部分を取り、パラフィン包埋の為にRibiology(Shanghai Ruibaohe Biotechnology Co.,Ltd.)に移し、次いでHE染色及びHBcAg+染色を行う。
【0092】
マウスIFN-ガンマElispot検出
単一細胞取得及び刺激:
マウスの頸椎脱臼後、該マウスを75%のアルコールに5分間浸漬し;該マウスの腹腔を開き、脾臓を取り出し、該脾臓を5mLの1640培地に入れ;該脾臓をガーゼを用いて破砕し、該破砕物を15mLの遠心分離管に移し、600gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し;3mlの溶解物を用いて再懸濁させ、十分に混合し;3分間の溶解後、10%のFCSを含有する5mLの1640培地を添加し;600gで5分間遠心分離し、上清を廃棄し;懸濁後、1mlの完全培地カウントを用いて再懸濁させ;それぞれ、コア、PreS1、PreS2及びHBsAgの刺激の為に、ペプチドライブラリーを使用し、各ペプチドの最終作業濃度は、2ug/mLであり、PMA+イオノマイシン刺激を陽性対照として使用する。
【0093】
細胞画分のIFN-ガンマElispot試験:
(1)細胞を96ウェルプレートに1×106個/100μLの濃度、ウェルあたり100μLで添加し、100μLのIL-2刺激性ペプチドを必要により添加し、各ペプチドの最終濃度は2μg/mLであり、37℃、5%の二酸化炭素で6日間インキュベートし、3日目に該培地の半分を交換し、同じ濃度のIL-2及び刺激性ペプチドを添加する。
(2)Elispotプレートの抗体終夜コーティング:抗IFN-ガンマ抗体を、実験の為に必要なウェルの数に従って、滅菌PBSに1:200希釈し(指示によって推奨される通り)、100μL/ウェルを該Elispotプレートに添加し、4℃で終夜インキュベートする。
(3)終夜インキュベートされた該Elispotプレートを取り出し、ウェル中の液体を廃棄し、200μLの完全培地を添加する(1回洗浄して、3分間放置し、廃棄する)。200μLの完全培地を添加し、室温で2時間シールする。
(4)閉鎖後、該培養培地を廃棄し、陽性及び陰性ウェル対照に加えて、対照グループ及び処置グループの細胞を100~150μLの最終体積に再懸濁させる。穏やかに混合した後、加湿ボックスに入れ、37℃、5%の二酸化炭素のインキュベーター中で、約24時間インキュベートする。
(5)培養物を廃棄する。200μLの蒸留水/ウェルを添加して、2回洗浄し、各回3~5分間放置し、次いで、それを廃棄する。吸収紙上で、残っている液体を叩くようにして乾燥させる。200μL/ウェルのPBS+0.05%のTweenを添加し、3回洗浄する。
(6)ビオチンにコンジュゲートされた検出抗体を1:250でPBS+10%のNCSに希釈し、100μL/ウェルを添加し、室温で2時間インキュベートする。
(7)液体を廃棄し、200μL/ウェルのPBS+0.05%のTweenを添加し、3回洗浄する。各回1~2分後に廃棄する。
(8)ストレプトアビジン-HRPをPBS+10%のNCSに1:100の比で希釈し、100μL/ウェルを添加し、室温で1時間インキュベートする。
(9)反応溶液を廃棄し、200μL/ウェルのPBS+0.05%のTweenを添加し、4回洗浄する。各回1~2分後に廃棄する。200μl/ウェルのPBSを添加し、2回洗浄し、廃棄する。
(10)発色緩衝液1mlあたり1滴の発色基質を添加する。混合した後、それを100μLウェルに添加する。室温で反応させ、5~60分間光を避ける。明確な赤いスポットが現れると、水道水で5分間ボードを穏やかにすすいで、反応を停止させる。
(11)該ボードを自然乾燥させる。
【0094】
実験設計
実験タイムラインは、図2に示されている。実験スケジュールは、下記の表2に示されている。10週目におけるJW27、JW28及びJW30の3回目の注射は、ニュージャージーVSV-Gでコートされたレンチウイルスで免疫された。血清は、HBsAg、HBeAg及びHBV-DNA検出の為に、毎週、収集された。
【0095】
【表2】
【0096】
2.2 実験の結果
HBVマウスモデル
この実験において、5E+10 GC(ゲノムコピー)のAAV8-1.3HBVウイルスが、174~273と番号付けられた(雄について174~223、雌について224~273)100匹のマウス、50匹の雄及び雌、に尾静脈により注射された。2週間後、10匹の雄及び10匹の雄が、マウスがHBVに感染したかどうかを検証する為のHBsAg及びHBV DNA試験の為に無作為に選択された。結果は、下記の表3及び表4に示されている。
【0097】
【表3】
【0098】
【表4】
【0099】
結果は、AAV8-1.3HBVが、該選択されたマウスにおいて成功裏に感染を引き起こしたことを示す。4週間で、100匹のマウスは、HBsAg及びHBV DNAについて試験された。HBsAg(下記の表5)及びHBV DNA(下記の表6)のデータに従って、100匹のマウス全てが、HBVに成功裏に感染していたことを見られることができる。
【0100】
【表5】
【0101】
【表6】
【0102】
グループ分け
個体の相違に起因して、マウスにおけるHBsAg及びHBV DNAのレベルは、均一でない。個体間の相違を低減する為に、類似の表面抗原及びウイルスパラメーターを有する25匹のマウスを、雄及び雌マウスから選択し、無作為に5つのグループに分け、それぞれ5匹の雄及び5匹のメスは、下記の表7に示されているように、グループ分けされる。
【0103】
【表7】
【0104】
治療用レンチウイルスワクチンによる免疫化
マウスにおける持続的HBV感染モデルの確立を確認した後、該5つのグループは、治療用ワクチンで免疫化され、該5つのグループは、LV-JW27、LV-JW28、LV-JW27+28、LV-JW29及びLV-JW30を筋肉内注射された。該ワクチンの注射用量は5E+7 TU/ボトルであり、該体積は50μlである。そのうち、LV-JW27+28は、組み合わされた免疫化であり、左及び右の脚筋に、それぞれ、LV-JW27及びLV-JW28を注射される。2回目の免疫化ブーストは、1週間後に行われた。該2回目の免疫化の5週間後、3回目の免疫化が行われた。該3回目の免疫化ブーストは、ニュージャージーVSV-Gでエンベロープ化されたレンチウイルスと置き換えられた。該用量は5E+7 TU/マウスであり、該体積は50μlであった。JW29ニュージャージーVSV-Gでエンベロープ化されたレンチウイルスの欠如に起因して、LV-JW27、LV-JW28、LV-JW27+28、及びLV-JW30の4つのグループのみが、該3回目の免疫化ブーストを与えられた。
【0105】
マウスにおけるB型肝炎感染症に対する治療用レンチウイルスワクチンの効果
末梢血におけるHBsAgレベルの変化
最初の免疫化の4週間後から、末梢血は、血清中のHBsAg及びHBV DNAの検出の為に、毎週収集された。最も明らかな効果は、JW29グループ(図3D)であった。5匹の雄マウスは、該最初の免疫化後にHBsAgの急激な低下を示し、3匹の雌マウスは、9週間後、HBsAgが低下し続けた。60%の陰性転化率で、19週間までに、陰性になった3匹のマウスHBsAg、27週間で陰性になった5匹のHBsAg、及び38週間で陰性になった6匹のHBsAgがあった(下記の表8)。JW27グループ(図3A)において、1匹の雄マウスが、7週間で死んだ。該最初の免疫化後、該5匹の雄マウスについてのHBsAgが減少し、次いで、戻った。15週間後、該グループの9匹のマウスのHBsAgは低下し続け、38週間で、該9匹のうちの4匹がHBsAg陰性を達成した(表8)。JW28グループ(図3B)において、該最初の免疫化から15週間まで、HBsAgは、変動する状態であり、比較的安定なままであった。15週間後、HBsAgは、観察期間の最後まで減少した。1匹のHBsAgが陰性になった(表8)。処置全体において、有意な効果がない。JW27+JW28組み合わせ免疫化グループ(図3C)において、該グループのマウスのHBsAgは、該最初の免疫化から10週間での該3回目の免疫化まで安定なままであった。10週間の免疫化後、4匹のマウスのHBsAgが、それらが陰性になるまで、継続的に低下し始めた。27週間で、5匹が、抗原陰性を達成し、38週間の観察の最後までに、合計で6匹が、該グループにおいてHBsAg陰性を達成した(表8)。JW30グループは、対照グループ(図3E)であった。自身によってHBVを排出する1匹のマウスを除いて、残りの9匹のHBsAgは、観察期間の間、安定なままであった。
【0106】
【表8】
【0107】
末梢血におけるHBV DNAレベルの変化
JW27グループ(図4A)におけるマウスの末梢血のHBV DNAは、該最初の免疫化から15週間までの間に徐々に増加し、高レベルを維持した。38週間まで、4匹の雄マウスのHBV DNAは、高レベルのままであったが、有意に減少しなかった一方で、5匹の雌マウスは、15週間後にHBV DNAが低下し始め、38週間で、3匹のメスマウスは、HBV DNAクリアランスを達成した(下記の表9)。JW27グループ(図4B)におけるマウスの末梢血のHBV DNAも、該最初の免疫化から15週間まで徐々に増加し、次いで、全体的に高レベルを維持した。38週間までに、1匹のマウスが陰性になり(表9)、残りの9匹は、明らかな効果なく、高レベルを維持したままであった。JW27+JW28組み合わせ免疫化グループ(図4C)の末梢血のHBV DNAも、該最初の免疫化から15週間まで、安定に維持されたか、又は増加傾向であった。15週間後、8匹のHBV DNAは、有意に減少し、2匹のマウスは、38週間で、HBV DNAが陰性になるのを達成した(表9)。JW29グループ(図4D)のマウスの末梢血HBV DNAは、該最初の免疫化から13週間まで、変動し、全体的に比較的安定なレベルで維持された。15週間後、6匹のマウスのHBV DNAが、有意に減少し、これは23週間でも存在した。5匹のマウスが、HBV DNA陰性を達成し、4匹の雌マウス及び2匹の雄マウスの合計で6匹のマウスのHBV DNAが、38週間までに陰性になり(表9)、これらの6匹も、HBsAg陰性を達成し、癒された状態に達した。JW30対照グループ(図4E)において、自身によって陰性になった1匹のマウスを除いて、残りの9匹のHBV DNAは、観察期間の間、安定なままであった。
【0108】
【表9】
【0109】
末梢血における抗HBsを排除するHBV DNAの検出
表面抗体は、B型肝炎ウイルスに対して身体によって産生される防御抗体である。表面抗体の出現は、HBV感染に対して特異的免疫を有し、血清中のウイルスが検出不能になったことを示す。抗HBsは、異なる時点で、JW27、JW28、JW27+JW28、JW29、及びJW30グループにおいてマウスの末梢血の血清中で検出され、結果は、以下の表に示されている(下記の表10):JW27グループ、JW28グループ及びJW29グループにおける抗体転換の時点は全て、HBsAgが陰性になる時点に対応する。
【0110】
【表10】
【0111】
マウス脾臓細胞IFN-γ ELISPOT検出
JW27グループ、JW28グループ、JW27グループ+JW28グループ、JW29グループ及びJW30グループの脾臓細胞は、分離され、終夜培養の為に試験ウェルに添加され、特異的抗原の遺伝子型B preS1ポリペプチド、遺伝子型C preS1ポリペプチド、preS2ポリペプチド、コアポリペプチド及びHBsAgは、同時に添加された。
【0112】
結果は、JW29グループが最も強く、JW27グループ、JW28グループ、JW27グループ+JW28グループ及びJW29グループが全て、特異的抗原に対する免疫応答を有していたことを示した(図5)。
【0113】
肝臓組織のHBcAg免疫組織化学的検査
各グループの個々の肝臓組織のHBcAg免疫組織化学結果は、顕微鏡下、200倍の視野で、図6に示されている。HBcAg陽性細胞の数を計算する為にそれぞれ3視野を取り、陽性率を得る為に平均値を取る。結果は、下記の表11において示されている。
【0114】
【表11】
【0115】
2.3 結論
要約すると、本発明のB型肝炎治療用レンチウイルスワクチン、特に、LargeS抗原を発現することができる治療用ワクチンは、良好なB型肝炎治療効果を有し、HBsAgクリアランス及びHBV DNAクリアランスを達成することができる。
図1a
図1b
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
2024516115000001.app
【国際調査報告】