(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】フェニレンエーテルオリゴマーおよびフェニレンエーテルオリゴマーを含む硬化可能な熱硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 65/48 20060101AFI20240405BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20240405BHJP
C08J 5/24 20060101ALI20240405BHJP
C09D 171/12 20060101ALI20240405BHJP
C09J 171/12 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
C08G65/48
C08F290/06
C08J5/24 CEZ
C09D171/12
C09J171/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563874
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-10-17
(86)【国際出願番号】 IB2022053659
(87)【国際公開番号】W WO2022224144
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521198963
【氏名又は名称】エスエイチピーピー グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ターキン-タス アイレム
(72)【発明者】
【氏名】ダヒル ヤセル
【テーマコード(参考)】
4F072
4J005
4J038
4J040
4J127
【Fターム(参考)】
4F072AA08
4F072AD42
4F072AG03
4F072AH02
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4J127FA03
4J127FA07
4J127FA14
4J127FA15
4J127FA38
4J127FA41
(57)【要約】
直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーは、2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールから誘導された繰り返し単位を含み、(メタ)アクリレート末端基を有する。直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーは、硬化可能な組成物、熱硬化組成物、およびこれから形成された物品において特に有用となり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールから誘導された繰り返し単位を含み、(メタ)アクリレート末端基を有する直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマー。
【請求項2】
前記フェニレンエーテルオリゴマーは30重量パーセント未満の、2位および6位に同一の置換基を有する一価フェノールから誘導された繰り返し単位を含む、請求項1に記載の二官能性フェニレンエーテルオリゴマー。
【請求項3】
前記2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールから誘導された繰り返し単位は下記構造を有する、請求項1または2に記載のフェニレンエーテルオリゴマー。
【化1】
【請求項4】
前記フェニレンエーテルオリゴマーは下記構造を有し:
【化2】
式中、
Rはメチルまたは水素であり、
xおよびyは独立して0から30であり、ただし、xとyの合計は少なくとも2であることを条件とし、
R
1、R
2、R
3、およびR
4の各事象は独立して水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシを含み、少なくとも2つの炭素原子が前記ハロゲンと酸素原子を分離し、
zは0または1であり、
Yは、下記を含む構造を有し、
【化3】
式中、R
7の各事象は独立して水素およびC
1-12ヒドロカルビルを含み、R
8およびR
9の各事象は各々独立して水素、C
1-12ヒドロカルビル、またはC
1-6ヒドロカルビレンであり、R
8およびR
9は集合的にC
4-12アルキレン基を形成し、
好ましくは、R
1およびR
2の各事象はメチルであり、R
3およびR
4の各事象は水素であり、zは1であり、Yはイソプロピリデン基である、請求項1から3のいずれか1項に記載のフェニレンエーテルオリゴマー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーを製造する方法であって、
2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールを触媒の存在下で酸化重合させ、フェニレンエーテルオリゴマーを得る工程、および、
前記フェニレンエーテルオリゴマーを(メタ)アクリレート含有化合物と反応させ、前記直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーを得る工程、
を含む方法。
【請求項6】
前記酸化重合させる工程はさらに、ビスフェノール、好ましくはテトラメチルビスフェノールAの存在下である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1から4のいずれか1項に記載の直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーを含む、硬化可能な熱硬化性組成物。
【請求項8】
1つ以上の架橋剤、硬化剤、硬化触媒、硬化開始剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項7に記載の硬化可能な熱硬化性組成物。
【請求項9】
1つ以上の難燃剤、フィラー、カップリング剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項7または8に記載の硬化可能な熱硬化性組成物。
【請求項10】
請求項7から9のいずれか1項に記載の硬化可能な熱硬化性組成物の硬化された生成物を含む、硬化された熱硬化組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の硬化された熱硬化組成物の製造のための方法であって、前記硬化可能な熱硬化性組成物を、好ましくは50から250℃の温度で硬化させる工程を含む、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の硬化された熱硬化組成物を含む物品であって、
好ましくは、
前記物品は複合物、フォーム、繊維、層、コーティング、封入剤、接着剤、シーラント、成型部品、プリプレグ、ケーシング、鋳造品、積層板、またはそれらの組み合わせであり、または、
前記物品はメタルクラッド積層板、電子複合物、構造複合物、またはそれらの組み合わせである、物品。
【請求項13】
請求項7から9のいずれか1項に記載の硬化可能な熱硬化性組成物、および、
溶媒
を含む、ワニス組成物。
【請求項14】
請求項13に記載のワニス組成物から製造された物品であって、好ましくは、前記物品は繊維、層、コーティング、鋳造品、プリプレグ、複合物、積層板、またはメタルクラッド積層板である、物品。
【請求項15】
請求項14に記載の物品の製造のための方法であって、前記ワニス組成物を基材に含浸させ、プリプレグを形成する工程、および、前記ワニス組成物を硬化させる工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示はエンドキャップされたフェニレンエーテルオリゴマー、これを形成する方法、これを含む硬化可能な熱硬化性組成物、およびこれから誘導された物品に関する。
【背景技術】
【0002】
熱硬化性樹脂は、硬化して超硬質プラスチックを形成する材料である。これらの材料は多種多様の消費者および工業製品において使用することができる。例えば、熱硬化性物質が保護コーティング、接着剤、電子積層板(例えば、コンピュータ回路基板の作製において使用されるもの)、フローリング、および舗装用途、ガラス繊維強化パイプ、および自動車部品(リーフスプリング、ポンプ、および電気部品を含む)において使用される。ポリ(アリーレンエーテル)コポリマーは一般に良好な誘電特性を有する。プリント回路基板のための積層板などの、特に電子応用におけるそれらの広範な使用のために、より低い粘度を有する一方、比誘電率、誘電正接、耐熱性、および吸水性を維持または改善するポリ(アリーレンエーテル)コポリマーを含む硬化可能な熱硬化性組成物を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、当技術分野において、硬化可能な熱硬化性組成物において使用するのに望ましい特性の組を有する、エンドキャップされたアリーレンエーテルポリマーおよびオリゴマーが必要なままである。キャップされたアリーレンエーテル材料が、改善された比誘電率、誘電正接、耐熱性、および吸水性を有する硬化可能な熱硬化性組成物を提供することができるならば、さらに好都合となるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールから誘導された繰り返し単位を含み、(メタ)アクリレート末端基を有する直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーが提供される。
【0005】
2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールを触媒の存在下で酸化重合させ、フェニレンエーテルオリゴマーを得る工程、ならびに、フェニレンエーテルオリゴマーを(メタ)アクリレート含有化合物と反応させ、直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーを得る工程を含む、直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーを形成するためのプロセスもまた提供される。
【0006】
さらに、直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーを含む硬化可能な熱硬化性組成物および硬化可能な熱硬化性組成物から誘導された物品が提供される。
【0007】
上記および他の特徴は下記詳細な説明により例示される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明者らは便宜的に、2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールから誘導され、(メタ)アクリレート基でエンドキャップされたフェニレンエーテルオリゴマーは、2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールから誘導された繰り返し単位を有さないフェニレンエーテルオリゴマーを含む熱硬化性組成物よりも改善された特性を達成する、硬化可能な熱硬化性組成物に含めることができることを発見した。例えば、2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールから誘導されたフェニレンエーテルオリゴマーは、溶液粘度、誘電正接、樹脂流動、および比誘電率などの、改善された特性の組み合わせを提供することができる。
【0009】
したがって、本開示の態様は2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールから誘導された繰り返し単位を含む直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーである。そのため、フェニレンエーテルオリゴマーは下記構造を有する繰り返し単位を含む。
【化1】
【0010】
オリゴマーは2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールから誘導された上記繰り返し単位から構成することができ、または、2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールとは異なる一価フェノールから誘導された繰り返し単位を含むことができる。オリゴマーが追加の繰り返し単位を含む場合、フェニレンエーテルオリゴマーは、30重量パーセント未満の(フェニレンエーテルオリゴマーの総重量に基づき)、2位および6位に同一の置換基を有する一価フェノール(例えば、2,6-ジメチルフェノール、2,3,6-ジメチルフェノール、など、またはそれらの組み合わせ)から誘導された繰り返し単位を含む。好ましくは、フェニレンエーテルオリゴマーは、20重量パーセント未満、または15重量パーセント未満、または10重量パーセント未満、または5重量パーセント未満、または2重量パーセント未満、または1重量パーセント未満、または0.5重量パーセント未満または0.1重量パーセント未満の、2位および6位に同一の置換基を有する一価フェノールから誘導された繰り返し単位を含む。オリゴマーは、2位および6位に同一の置換基を有する一価フェノールから誘導された繰り返し単位を含まないことができる。一態様では、本開示のフェニレンエーテルオリゴマーは2-シクロヘキシルフェノールから誘導された繰り返し単位を排除する。
【0011】
フェニレンエーテルオリゴマーは(メタ)アクリレート末端基をさらに含む。そのため、フェニレンエーテルオリゴマーは、下記構造を有する末端基を有し:
【化2】
式中、Rは水素またはメチルである。一態様では、Rはメチル基であり、フェニレンエーテルオリゴマーはメタクリレート末端基を含む。一態様では、Rは水素であり、フェニレンエーテルオリゴマーはアクリレート末端基を含む。
【0012】
フェニレンエーテルオリゴマーは直鎖構造を有し、二官能性である。「二官能性」は本明細書では、フェニレンエーテルオリゴマーがオリゴマー鎖の両端に官能基を有することを意味する。オリゴマー鎖の両端に官能基を有する二官能性オリゴマーは「テレケリック」オリゴマーとも呼ばれる。そのため、フェニレンエーテルオリゴマーは、平均して、一オリゴマー鎖あたり2つの官能性末端基(すなわち、(メタ)アクリレート基)を有する。例えば、二官能性オリゴマーは、少なくとも1.5から2、または少なくとも1.70から2、または少なくとも1.8から2、または少なくとも1.9から2、または少なくとも1.95から2の(メタ)アクリレート基/分子、または最大1.99までの(メタ)アクリレート基/分子を有する。
【0013】
一態様では、フェニレンエーテルオリゴマーは下記構造を有し:
【化3】
式中、R
1およびR
2は各々独立してハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシであり、少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子を分離し、R
3およびR
4の各事象は各々独立して水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシであり、少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子を分離し、xおよびyは、独立して0から30、好ましくは0から20、より好ましくは0から15、さらにより好ましくは0から10、さらにいっそう好ましくは0から8であり、ただし、xとyの合計は少なくとも2、好ましくは少なくとも3、より好ましくは少なくとも4であることを条件とし、ならびに、Yは、下記を含む構造を有し:
【化4】
式中、R
7の各事象は独立して水素またはC
1-12ヒドロカルビルであり、R
8およびR
9の各事象は独立して水素、C
1-12ヒドロカルビル、またはC
1-6ヒドロカルビレンであり、R
8およびR
9は集合的にC
4-12アルキレン基を形成し、ならびに、zは0または1である。
【0014】
一態様では、フェニレンエーテルオリゴマーは下記構造を有し:
【化5】
式中、R
1-R
4は以上で規定される通りである。
【0015】
一態様では、フェニレンエーテルオリゴマーは下記構造を有し:
【化6】
式中、R
1-R
4は以上で規定される通りである。
【0016】
一態様では、R
1およびR
2の各事象はメチルであり、R
3およびR
4の各事象は水素であり、zは1であり、Yはイソプロピリデン基であり、フェニレンエーテルオリゴマーは下記構造を有する。
【化7】
【0017】
一態様では、R
1およびR
2の各事象はメチルであり、R
3およびR
4の各事象は水素であり、zは1であり、Yはイソプロピリデン基であり、フェニレンエーテルオリゴマーは下記構造を有する。
【化8】
【0018】
本開示のフェニレンエーテルオリゴマーは、2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールを触媒の存在下で酸化重合させ、フェニレンエーテルオリゴマーを提供することにより製造することができる。フェニレンエーテルオリゴマーは、モノマー、溶媒、および重合触媒を含む反応混合物への酸素の連続添加による、2-メチル-6-フェニルフェノールおよび二価フェノールを含むモノマーの重合により形成させることができる。
【0019】
二価フェノールは下記構造を有し:
【化9】
(4)
式中、R
1からR
4、Y
1、およびzは以上で規定される通りである。
【0020】
例えば、二価フェノールは、1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-エタン、1,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1,2-ジフェニルエタン、1,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ジフェニルエタン、1,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2’-ビナフトール、2,2’-ビフェノール、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2-ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1-フェニルプロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ペンタン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシナフチル)プロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルプロパン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2’-メチレンビス(4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス[4-メチル-6-(1-メチルシクロヘキシル)フェノール]、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビフェノール、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェノール、ビス(2-ヒドロキシフェニル)-メタン、ビス(4-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-3-メトキシフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-シクロヘキシルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フェニルメタン、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチル-4,4’-ビフェノール、オクタフルオロ-4,4’-ビフェノール、2,3,3’,5,5’-ペンタメチル-4,4’-ビフェノール、1,1-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、テトラブロモビスフェノール、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールS、2,2’-ジアリル-4,4’-ビスフェノールA、2,2’-ジアリル-4,4’-ビスフェノールS、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビスフェノールスルフィド、3,3’-ジメチルビスフェノールスルフィド、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビスフェノールスルホン、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0021】
分子酸素(O2)は空気または純粋酸素として提供することができる。重合触媒は遷移金属カチオンを含む金属錯体である。金属カチオンは周期表の第VIB、VIIB、VIIIB、またはIB族由来のイオン、またはそれらの組み合わせを含むことができる。これらの中で、クロム、マンガン、コバルト、銅、および前記イオンの少なくとも1つを含む組み合わせを使用することができる。一態様では、金属イオンは銅イオン(Cu+およびCu2+)である。金属カチオン源として機能することができる金属塩としては、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、ヨウ化第一銅、ヨウ化第二銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、硫酸テトラアミン第一銅(cuprous tetraamine sulfate)、硫酸テトラアミン第二銅(cupric tetraamine sulfate)、酢酸第一銅、酢酸第二銅、プロピオン酸第一銅、酪酸第二銅、ラウリン酸第二銅、パルミチン酸第一銅、安息香酸第一銅、ならびに対応するマンガン塩およびコバルト塩が挙げられる。以上で例示された金属塩のいずれかの使用の代わりに、金属または金属酸化物および無機酸、有機酸またはそのような酸の水溶液を添加し、対応する金属塩または水和物をその場で形成させることもまた可能である。例えば、酸化第一銅および臭化水素酸を添加して、臭化第一銅をその場で生成させることができる。
【0022】
重合触媒は少なくとも1つのアミンリガンドをさらに含む。アミンリガンドは、例えば、モノアミン、アルキレンジアミン、または前記の少なくとも1つを含む組み合わせとすることができる。モノアミンはジアルキルモノアミン(例えば、ジ-n-ブチルアミン、またはDBA)およびトリアルキルモノアミン(例えば、N,N-ジメチルブチルアミン、またはDMBA)を含む。ジアミンはアルキレンジアミン、例えば、N,N’-ジ-tert-ブチルエチレンジアミン、またはDBEDAを含む。好適なジアルキルモノアミンとしては、ジメチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジ-tert-ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジオクチルアミン、ジデシルアミン、ジベンジルアミン、メチルエチルアミン、メチルブチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、N-フェニルエタノールアミン、N-(p-メチル)フェニルエタノールアミン、N-(2,6-ジメチル)フェニルエタノールアミン、N-(p-クロロ)フェニルエタノールアミン、N-エチルアニリン、N-ブチルアニリン、N-メチル-2-メチルアニリン、N-メチル-2,6-ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、など、またはそれらの組み合わせが挙げられる。好適なトリアルキルモノアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、ブチルジメチルアミン、フェニルジエチルアミン、など、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0023】
好適なアルキレンジアミンとしては、下記式を有するものが挙げられ:
(Rd)2N-Rc-N(Rd)2
式中、Rcは置換または非置換二価残基であり、および、各Rdは独立して水素またはC1-8アルキルである。上記式のいくつかの例では、2または3つの脂肪族炭素原子が、2つのジアミン窒素原子間で最近接結合を形成する。特定のアルキレンジアミンリガンドとしては、Rcがジメチレン(-CH2CH2-)またはトリメチレン(-CH2CH2CH2-)であるものが挙げられる。Rdは独立して水素、メチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、またはC4-8α-三級アルキル基とすることができる。アルキレンジアミンリガンドの例としては、N,N,N’,N’テトラメチルエチレンジアミン(TMED)、N,N’-ジ-tert-ブチルエチレンジアミン(DBEDA)、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,3-ジアミノプロパン(TMPD)、N-メチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N’-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N,N’-ジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N-エチル-1,3-ジアミノプロパン、N-メチル-1,4-ジアミノブタン、N,N’-トリメチル-1,4-ジアミノブタン、N,N,N’-トリメチル-1,4-ジアミノブタン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,4-ジアミノブタン、N,N,N’,N’-テトラメチル-1,5-ジアミノペンタン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。一態様では、アミンリガンドは、ジ-n-ブチルアミン(DBA)、N,N-ジメチルブチルアミン(DMBA)、N,N’-ジ-tert-ブチルエチレンジアミン(DBEDA)、またはそれらの組み合わせである。触媒は、金属イオン源(例えば、酸化第一銅および臭化水素酸)とアミンリガンドを混合することによりその場で調製することができる。一態様では、重合触媒は銅イオン、臭化物イオン、およびN,N’-ジ-tert-ブチルエチレンジアミンを含む。
【0024】
官能化フェニレンエーテルオリゴマーを製造する方法は、フェニレンエーテルオリゴマー(例えば、「キャップされていない」ヒドロキシル末端フェニレンエーテルオリゴマー)を(メタ)アクリレート基を含む化合物と反応させて、官能化フェニレンエーテルオリゴマーを提供する工程をさらに含む。例えば、方法はヒドロキシル末端フェニレンエーテルオリゴマーを(メタ)アクリロイルクロリドと反応させる工程を含むことができる。フェニレンエーテルオリゴマーと(メタ)アクリレート基を含む化合物の間の反応は溶媒中とすることができる。いくつかの態様では、フェニレンエーテルオリゴマーは、粉末として得ることができ、それは、その後に、(メタ)アクリレート基を含む化合物および溶媒と合わせられる。他の態様では、キャップされていないフェニレンエーテルオリゴマーは酸化重合反応から、溶媒を除去せずに溶液として得ることができ、キャップされていないフェニレンエーテルオリゴマーは、溶媒溶液から粉末として単離されない。例えば、(メタ)アクリレート基を含む化合物は、2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールおよび二価フェノールを溶媒中で酸化重合させることから直接得られるキャップされていないフェニレンエーテルオリゴマーの溶液に直接添加することができ、この場合、溶媒は(メタ)アクリレート基を含む化合物と反応させる前に、反応生成物から除去されない。例示的な合成については、下記実施例においてさらに記載される。(メタ)アクリレート基およびヒドロキシル末端フェニレンエーテルオリゴマーに対して反応性のある基を含む好適な化合物は当業者により容易に決定することができる。
【0025】
フェニレンエーテルオリゴマーは600から5,000グラム/モル、例えば600から3,500グラム/モル、または1,000から5,000グラム/モル、または1,000から3,500グラム/モルの数平均分子量(Mn)を有することができる。数平均分子量は、例えば、ポリスチレン標準に対するゲル浸透クロマトグラフィーにより決定することができる。
【0026】
本開示のフェニレンエーテルオリゴマーは、0.15デシリットル/グラム未満、または0.02から0.15デシリットル/グラム、または0.03から0.10デシリットル/グラム、または0.035から0.075デシリットル/グラムの固有粘度を有することができる。固有粘度はウベローデ粘度計により25℃で、クロロホルム中で測定することができる。
【0027】
(メタ)アクリレート末端基を有する直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーを含む硬化可能な熱硬化性組成物もまた提供される。例えば、二官能性フェニレンエーテルオリゴマーは硬化可能な熱硬化性組成物中に、硬化可能な熱硬化性組成物の総重量に基づき、1から95重量パーセント(wt%)、または5から95wt%、または10から85wt%、または20から80wt%、30から70wt%、または5から30wt%、または5から15wt%の量で存在することができる。
【0028】
硬化可能な熱硬化性組成物は、1つ以上の架橋剤、硬化剤、硬化触媒、硬化開始剤、またはそれらの組み合わせをさらに含むことができる。いくつかの態様では、硬化可能な熱硬化性組成物は、1つ以上の難燃剤、フィラー、カップリング剤、またはそれらの組み合わせをさらに含むことができる。例えば、硬化可能な熱硬化性組成物は、1つ以上の架橋剤、硬化剤、硬化触媒、硬化開始剤、またはそれらの組み合わせを含むことができ、ならびに、1つ以上の難燃剤、フィラー、カップリング剤、またはそれらの組み合わせをさらに含むことができる。
【0029】
熱硬化性樹脂、架橋剤、およびカップリング剤の間にはかなりの重複がある。本明細書では、「架橋剤」という用語は、熱硬化性樹脂、架橋剤、カップリング剤、またはそれらの組み合わせとして使用することができる化合物を含む。例えば、場合によっては、熱硬化性樹脂である化合物はまた、架橋剤、カップリング剤、または両方として使用することができる。
【0030】
熱硬化性樹脂は特に制限されず、熱硬化性樹脂は単独で、または、2つ以上の熱硬化性樹脂(例えば、1つ以上の補助熱硬化性樹脂を含む)の組み合わせで使用することができる。例示的な熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、(ビス)マレイミド樹脂、(ポリ)ベンゾキサジン樹脂、ビニル樹脂(例えば、ビニルベンジルエーテル樹脂)、フェノール樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリールシクロブテン樹脂、パーフルオロビニルエーテル樹脂、硬化可能な不飽和(例えば、ビニル官能性)を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマー、など、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
エポキシ樹脂は一般に、熱硬化性樹脂において使用するのに好適である任意のエポキシ樹脂とすることができる。「エポキシ樹脂」という用語はこの状況では、例えば、C. A. May, Epoxy Resins,第2補遺版, (New York & Basle: Marcel Dekker Inc.), 1988に記載されるオキシラン環含有化合物の硬化可能な組成物を示す。エポキシ樹脂は下記を含むことができる:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールAから得られるものおよびビスフェノールAの2位、3位および5位の少なくとも1つの位置をハロゲン原子、6以下の炭素原子を有するアルキル基またはフェニル基で置換することにより得られた樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールFから得られるものおよびビスフェノールFの2位、3位および5位の少なくとも1つの位置をハロゲン原子、6以下の炭素原子を有するアルキル基またはフェニル基で置換することにより得られた樹脂、二価または三価以上のフェノール例えば、ヒドロキノン、レゾルシノール、トリス-4-(ヒドロキシフェニル)メタンおよび1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタンから誘導されたグリシジルエーテル化合物、フェノール、例えば、フェノールおよびo-クレゾールとホルムアルデヒドの間の反応生成物であるノボラック樹脂から誘導されたノボラック型エポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂およびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族エポキシ化合物、例えば、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロピル)シクロヘキシル]プロパン、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ジシクロペンタジエン含有ポリエポキシド、アニリン、p-アミノフェノール、m-アミノフェノール、4-アミノ-m-クレゾール、6-アミノ-m-クレゾール、4,4’-ジアミノジフェニル-エタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)-ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス(4-アミノ-フェノキシフェニル)プロパン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミン、p-キシリレン-ジアミン、m-キシリレンジアミン、1,4-シクロヘキサン-ビス(メチルアミン)、5-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、6-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチル-インダンなどから誘導されたアミン型エポキシ樹脂、複素環エポキシ化合物、およびグリシジルエステル型エポキシ化合物、例えば、芳香族カルボン酸、例えば、p-オキシ安息香酸、m-オキシ安息香酸、テレフタル酸、およびイソフタル酸のグリシジルエステルから誘導されるもの。「エポキシ樹脂」はまた、2つ以上のエポキシ基を含む化合物および芳香族ジヒドロキシ化合物(任意でハロゲン-置換させることができ、単独で、または2つ以上の組み合わせで使用することができる)の反応生成物を含むことができる。
【0032】
シアン酸エステルは制限されず、シアン酸エステルモノマー(重合して複数のシアン酸エステル(-OCN)官能基を含むポリマーを形成する)からなる任意の樹脂を使用することができる。シアン酸エステルモノマー、プレポリマー(すなわち、部分的に重合されたシアン酸エステルモノマーまたはシアン酸エステルモノマーのブレンド)、ホモポリマー、およびシアン酸エステル前駆体を用いて作製されたコポリマー、およびこれらの化合物の組み合わせ。例えば、シアン酸エステルは、Ian Hamerton、Blackie Academic and Professionalによる“Chemistry and Technology of Cyanate Ester Resins”、米国特許第3,553,244号、およびJP-A-7-53497号において開示される方法に従い調製することができる。例示的なシアン酸エステル樹脂は、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エタン、ビス(3,5-ジメチル-4-シアナトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、α,α’-ビス(4-シアナトフェニル)-m-ジイソプロピル-ベンゼン、ジシクロペンタジエン-フェノールコポリマーから調製されたシアン酸エステル樹脂、およびこれらのモノマーから調製されたプレポリマーを含む。プレポリマーの一例はPRIMASET BA-230S(Lonza)である。シアン酸エステルプレポリマーはホモポリマーとすることができ、または他のモノマーを組み入れたコポリマーとすることができる。そのようなコポリマーの例としては、三菱ガス化学(Mitsubishi Gas Chemical)から入手可能なBT樹脂、例えば、BT2160およびBT2170が挙げられ、それらは、シアン酸エステルモノマーおよびビスマレイミドモノマーを用いて製造されたプレポリマーである。他のシアン酸エステルポリマー、モノマー、プレポリマー、およびシアン酸エステルモノマーの他の非シアン酸エステルモノマーとのブレンドがUS7393904号、US7388057号、US7276563号、およびUS7192651号において開示される。
【0033】
ビスマレイミド樹脂は、単量体ビスマレイミドの求核剤、例えば、ジアミン、アミノフェノール、またはアミノベンズヒドラジドとの反応により、またはビスマレイミドのジアリルビスフェノールAとの反応により生成させることができる。例示的なビスマレイミド樹脂としては、1,2-ビスマレイミドエタン、1,6-ビスマレイミドヘキサン、1,3-ビスマレイミドベンゼン、1,4-ビスマレイミド-ベンゼン、2,4-ビスマレイミドトルエン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4’-ビスマレイミド-ジフェニルエーテル、3,3’-ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4’-ビスマレイミド-ジフェニルスルホン、4,4’-ビスマレイミドジシクロヘキシルメタン、3,5-ビス(4-マレイミドフェニル)ピリジン、2,6-ビスマレイミド-ピリジン、1,3-ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(マレイミドメチル)ベンゼン、1,1-ビス(4-マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,3-ビス(ジクロロマレイミド)ベンゼン、4,4’-ビス(シトラコン-イミド)ジフェニルメタン、2,2-ビス(4-マレイミドフェニル)プロパン、1-フェニル-1,1-ビス(4-マレイミド-フェニル)エタン、N,N-ビス(4-マレイミドフェニル)トルエン、3,5-ビスマレイミド-1,2,4-トリアゾールN,N’-エチレンビスマレイミド、N,N’-ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’-m-フェニレン-ビスマレイミド、N,N’-p-フェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニル-エーテルビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルスホンビスマレイミド(diphenylsufonebismaleimide)、N,N’-4,4’-ジシクロヘキシルメタン-ビスマレイミド、N,N’-α,α’-4,4’-ジメチレンシクロヘキサンビスマレイミド、N,N’-m-メタキシレン-ビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルシクロヘキサンビスマレイミド、およびN,N’-メチレン-ビス(3-クロロ-p-フェニレン)ビスマレイミド、ならびにUS3,562,223号、US4,211,860号、ならびに、US4,211,861号において開示されるもの、または例えば、US3,018,290号において記載される方法により調製されるものが挙げられる。
【0034】
ベンゾキサジン化合物は分子中にベンゾキサジン環を有する。例示的なベンゾキサジンモノマーは、アルデヒド、フェノール、および一級アミンの溶媒ありまたはなしでの反応から調製することができる。ベンゾキサジンを形成するためのフェノール化合物は、フェノールおよびポリフェノールを含む。ベンゾキサジンの形成での反応性の2つ以上のヒドロキシル基を有するポリフェノールの使用により、分枝、架橋、または分枝の架橋の組み合わされた生成物という結果になり得る。フェノール基をフェノール中に連結させる基はポリベンゾキサジンにおいて分枝点または連結基になり得る。
【0035】
ベンゾキサジンモノマーの調製において使用するための例示的なフェノールとしては、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、2-アリルフェノール、3-アリルフェノール、4-アリルフェノール、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロオキシナフタレン、2-(ジフェニル-ホスホリル)ヒドロキノン、2,2’-ビフェノール、4,4-ビフェノール、4,4’-イソプロピリデンジフェノール、4,4’-イソプロピリデンビス(2-メチル-フェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2-アリルフェノール)、4,4’(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(ビスフェノールM)、4,4’-イソプロピリデンビス(3-フェニルフェノール)4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン(diisoproylidene))-ビスフェノール、4,4’-エチリデンジフェノール、4,4’-オキシジフェノール、4,4’-チオジフェノール、4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-スルフィニルジフェノール、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4’(1-フェニルエチリデン)-ビスフェノール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジクロロエチレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’-(シクロペンチリデン)ジフェノール、4,4’-(シクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’-(シクロドデシリデン)ジフェノール、4,4’-(ビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン)ジフェノール、4,4’-(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ジフェノール、イソプロピリデン-ビス(2-アリルフェノール)、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソベンゾフラン-1(3H)-オン、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-オール、3,3,3’,3’-テトラメチル-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1,1’-スピロビ-[インデン]5,6’-ジオール、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4-ヒドロキシ-フェニル)エタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタンジシクロペンタジエニルビス(2,6-ジメチルフェノール)、ジシクロペンタジエニルビス(オルト-クレゾール)、ジシクロペンタジエニルビスフェノール、などが挙げられる。
【0036】
ベンゾキサジンを形成するために使用されるアルデヒドは任意のアルデヒド、例えば、1から10個の炭素原子を有するアルデヒドとすることができる。例えば、アルデヒドはホルムアルデヒドとすることができる。ベンゾキサジンを形成するために使用されるアミンは、芳香族アミン、脂肪族アミン、アルキル置換芳香族、または芳香族置換アルキルアミンとすることができる。アミンは、例えば、架橋のための多官能性ベンゾキサジンモノマーを調製するためにポリアミンとすることができる。
【0037】
ベンゾキサジンを形成するためのアミンは、それらが芳香環を含まない場合、1から40個の炭素原子を有し、そうして、それらは6から40個の炭素原子を有することができる。二官能性または多官能性のアミンは1つのポリベンゾキサジンをもう1つのものに連結させる分枝点となることができる。
【0038】
いくつかの実施例では、150から300℃での熱重合を、ベンゾキサジンモノマーを重合するために使用することができる。重合はバルクで、溶液から、またはそれ以外で実施可能である。カルボン酸などの触媒を使用して、重合温度を低減させ、または、同じ温度で重合速度を加速させることができる。
【0039】
ビニルベンジルエーテル樹脂は、フェノールのビニルベンジルクロリドなどのビニルベンジルハライドとの縮合から調製することができる。ビスフェノール-Aおよびトリスフェノールおよびポリフェノールが一般に使用され、ポリ(ビニルベンジルエーテル)が生成され、これが、架橋熱硬化性樹脂を生成するために使用され得る。例示的なビニルベンジルエーテルは、ビニルベンジルハライドの、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2-(ジフェニル-ホスホリル)ヒドロキノン、ビス(2,6-ジメチルフェノール)2,2’-ビフェノール、4,4-ビフェノール、2,2’,6,6’-テトラメチルビフェノール、2,2’,3,3’,6,6’-ヘキサメチルビフェノール、3,3’,5,5’-テトラブロモ-2,2’6,6’-テトラメチルビフェノール、3,3’-ジブロモ-2,2’,6,6’-テトラメチルビフェノール、2,2’,6,6’-テトラメチル-3,3’5-ジブロモビフェノール、4,4’-イソ-プロピリデンジフェノール、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジブロモフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジメチルフェノール)(テトラメチルビスフェノールA)、4,4’-イソプロピリデンビス(2-メチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデン(ispropylidene)ビス(2-アリルフェノール)、4,4’(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4’-イソプロピリデンビス(3-フェニルフェノール)4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン(diisoproylidene))ビスフェノール、4,4’-エチリデンジ-フェノール、4,4’-オキシジフェノール、4,4’-チオジフェノール、4,4’-チオビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-スルホニルジ-フェノール、4,4’-スルホニルビス(2,6-ジメチルフェノール)4,4’-スルフィニル-ジフェノール、4,4’-ヘキサフルオロイソプロピリデンビスフェノール、4,4’(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジクロロ-エチレン、ビス(4-ヒドロキシ-フェニル)メタン、ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’-(シクロペンチリデン)ジフェノール、4,4’-(シクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’-(シクロドデシリデン)ジフェノール4,4’-(ビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン)ジフェノール、4,4’-(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ジフェノール、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-イソベンゾフラン-1(3H)-オン、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-オール、1-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1,3,3,4,6-ペンタメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-オール、3,3,3’,3’-テトラメチル-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1,1’-スピロビ[インデン]-5,6’-ジオール、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)-プロパン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-フェニル)メタン、テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ジシクロペンタジエニル-ビス(2,6-ジメチルフェノール)、ジシクロペンタジエニルビスフェノール、などとの反応から生成されたそれらのビニルベンジルエーテルを含むことができる。
【0040】
アリールシクロブテンは下記構造の化合物から誘導されるものを含み:
【化10】
式中、Bは価数nの有機または無機ラジカルであり(カルボニル、スルホニル、スルフィニル、スルフィド、オキシ、アルキルホスホニル、アリールホスホニル、イソアルキリデン、シクロアルキリデン、アリールアルキリデン、ジアリールメチリデン、メチリデンジアルキルシラニル、アリールアルキルシラニル、ジアリールシラニルおよびC
6-20フェノール化合物を含む)、Xの各事象は独立してヒドロキシまたはC
1-24ヒドロカルビル(直鎖および分枝アルキルおよびシクロアルキルを含む)であり、ならびに、Zの各事象は独立して水素、ハロゲン、またはC
1-12ヒドロカルビルであり、ならびに、nは1から1000、または1から8であり、またはnは2、3、または4である。他の例示的なアリールシクロブテンおよびアリールシクロブテン合成法は、US4,743,399号、US4,540,763号、US4,642,329号、US4,661,193号、US4,724,260号、および5391,650号において見出すことができる。
【0041】
パーフルオロビニルエーテルは典型的には、フェノールおよびブロモテトラフルオロエタンから合成され、続いて、亜鉛触媒還元的脱離により、ZnFBrおよび所望のパーフルオロビニルエーテルが生成される。この経路により、ビス、トリス、および他のポリフェノールは、ビス、トリスおよびポリ(パーフルオロビニルエーテル)を生成することができる。それらの合成において有用なフェノールとしては、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン(napthalene)、2-(ジフェニル-ホスホリル)ヒドロキノン、ビス(2,6-ジメチルフェノール)2,2’-ビフェノール、4,4-ビフェノール、2,2’,6,6’-テトラメチルビフェノール、2,2’,3,3’,6,6’-ヘキサメチルビフェノール、3,3’,5,5’-テトラブロモ-2,2’6,6’-テトラ-メチルビフェノール、3,3’-ジブロモ-2,2’,6,6’-テトラメチルビフェノール、2,2’,6,6’-テトラメチル-3,3’5-ジブロモビフェノール、4,4’-イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジブロモフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2-メチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2-アリルフェノール)、4,4’(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)-ビスフェノール、4,4’-イソプロピリデンビス(3-フェニルフェノール)4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロピリデン(diisoproylidene))-ビスフェノール、4,4’-エチリデンジフェノール、4,4’オキシジフェノール、4,4’チオジフェノール、4,4’チオビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-スルホニルジフェノール、4,4’-スルホニルビス(2,6-ジメチルフェノール)4,4’-スルフィニルジフェノール、4,4’-ヘキサフルオロイソプロピリデン(isoproylidene)ビスフェノール、4,4’(1-フェニルエチリデン)-ビスフェノール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジクロロエチレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-メタン、ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’-(シクロペンチリデン)ジフェノール、4,4’-(シクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’-(シクロドデシリデン)ジフェノール4,4’-(ビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン)-ジフェノール、4,4’-(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ジフェノール、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソベンゾフラン-1(3H)-オン、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-オール、1-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1,3,3,4,6-ペンタメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-オール、3,3,3’,3’-テトラメチル-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1,1’-スピロビ[インデン]-5,6’-ジオール(スピロビインダン)、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-フェニルホスフィンオキシド、ジシクロペンタジエニルビス(2,6-ジメチルフェノール)、ジシクロペンタジエニルビス(2-メチルフェノール)、ジシクロペンタジエニルビスフェノール、などが挙げられる。
【0042】
架橋剤は、これはまた補助架橋剤を含むが、特に制限されない。架橋剤は単独で、または、2つ以上の異なる架橋剤の組み合わせで使用することができる。例示的な架橋剤および補助架橋剤は、硬化可能なビニル官能性を有するオリゴマーまたはポリマーを含む。そのような材料は、架橋可能な不飽和を有するオリゴマーおよびポリマーを含む。例としては、ブタジエンに基づく不飽和結合を有するスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、およびニトリルブタジエンゴム(NBR)、イソプレンに基づく不飽和結合を有する天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、およびハロゲン化ブチルゴム、ジシクロペンタジエン(DCPD)、エチリデンノルボルネン(ENB)、または1,4-ジヘキサジエン(1,4-HD)に基づく不飽和結合を有するエチレン-α-オレフィンコポリマーエラストマー(例えば、エチレン、α-オレフィン、およびジエンを共重合することにより得られたエチレン-α-オレフィンコポリマー、例えば、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)およびエチレン-ブテン-ジエンターポリマー(EBDM))が挙げられる。例としてはまた、水素化ニトリルゴム、フルオロカーボンゴム、例えば、ビニリデンフルオリド-ヘキサフルオロプロペンコポリマーおよびビニリデンフルオリド-ペンタフルオロプロペンコポリマー、エピクロロヒドリンホモポリマー(CO)、エピクロロヒドリンおよびエチレンオキシドから調製されたコポリマーゴム(ECO)、エピクロロヒドリンアリルグリシジルコポリマー、プロピレンオキシドアリルグリシジルエーテルコポリマー、プロピレンオキシドエピクロロヒドリンアリルグリシジルエーテルターポリマー、アクリルゴム(ACM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、ポリスルフィドゴム(T)およびエチレンアクリルゴムも挙げられる。さらなる例としては、様々な液体ゴム、例えばいくつかの型の液体ブタジエンゴム、およびアニオンリビング重合により調製された1,2-ビニル連結を有するブタジエンポリマーである液体アタクチックブタジエンゴムが挙げられる。液体スチレンブタジエンゴム、液体ニトリルブタジエンゴム(Ube Industries, Ltd.によるCTBN、VTBN、ATBN、など)、液体クロロプレンゴム、液体ポリイソプレン、ジシクロペンタジエン型炭化水素ポリマー、およびポリノルボルネン(例えば、Elf Atochemにより販売)を使用することもまた可能である。
【0043】
高レベルの1,2付加を含むポリブタジエン樹脂が熱硬化性マトリクスに望ましい。例としては、Ricon Resins, Inc.により商標名RICON、RICACRYL、およびRICOBOND樹脂で販売されている官能化ポリブタジエンおよびポリ(ブタジエン-スチレン)ランダムコポリマーが挙げられる。これらは、両方の低いビニル含量を含むブタジエン、例えば、RICON 130、131、134、142、高いビニル含量を含むポリブタジエン、例えば、RICON 150、152、153、154、156、157、およびP30D、スチレンおよびブタジエンのランダムコポリマー、例えば、RICON 100、181、184、および無水マレイン酸グラフトポリブタジエンおよびそれから誘導されたアルコール縮合物例えば、RICON 130MA8、RICON MA13、RICON 130MA20、RICON 131MAS、RICON 131MA10、RICON MA17、RICON MA20、RICON 184MA6およびRICON 156MA17を含む。接着を改善するために使用することができるポリブタジエン、例えば、RICOBOND 1031、RICOBOND 1731、RICOBOND 2031、RICACRYL 3500、RICOBOND 1756、RICACRYL 3500、ポリブタジエンRICON 104(25%ポリブタジエンを含むヘプタン)、RICON 257(35%ポリブタジエンを含むスチレン)、およびRICON 257(35%ポリブタジエンを含むスチレン)、(メタ)アクリル官能化ポリブタジエン、例えば、ポリブタジエンジアクリレートおよびポリブタジエンジメタクリレートもまた、含まれる。これらの材料は商標名RICACRYL 3100、RICACRYL 3500、およびRICACRYL 3801で販売されている。官能性ポリブタジエン誘導体、例えば、例として、RICON 150D、152D、153D、154D、P30D、RICOBOND01731HS、およびRICOBOND 1756HSの粉末分散物もまた、含まれる。さらにブタジエン樹脂は、ポリ(ブタジエン-イソプレン)ブロックおよびランダムコポリマー、例えば、3,000から50,000g/molの分子量を有するもの、および、3,000から50,000g/molの分子量を有するポリブタジエンホモポリマーを含む。無水マレイン酸官能基、2-ヒドロキシエチルマレイン酸官能基、またはヒドロキシル化官能基で官能化されたポリブタジエン、ポリイソプレン、およびポリブタジエン-イソプレンコポリマーもまた、含まれる。
【0044】
硬化可能なビニル官能性を有するオリゴマーおよびポリマーのさらなる例としては、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびシトラコン酸に基づく不飽和ポリエステル樹脂、アクリロイル基、またはメタクリロイル基を含む不飽和エポキシ(メタ)アクリレート樹脂、ビニルまたはアリル基を含む不飽和エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエーテル(メタ)アクリレート樹脂、ポリアルコール(メタ)アクリレート樹脂、アルキドアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、スピロアセタールアクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ジアリルテトラブロモフタレート樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂、およびポリエチレンポリチオール樹脂が挙げられる。例えば、架橋剤。他の例示的な架橋剤は、多官能性架橋モノマー、例えば、1モノマー分子あたり2つ以上の(メタ)アクリレート部分を有する(メタ)アクリレートモノマーをさらに含む。例示的な多官能性モノマーとしては、下記が挙げられる:ジ(メタ)アクリレート、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、など、トリ(メタ)アクリレート、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,2,4-ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリ(メタ)アクリレート、など、トリ(メタ)アリル、例えば、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、クエン酸のトリ(メタ)アリルエステル、リン酸のトリ(メタ)アリルエステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、など、テトラ(メタ)アクリレート、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなど、ペンタ(メタ)アクリレート、例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、など、ヘキサ(メタ)アクリレート、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、など、グリシジル化合物、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテル、1-クロロ-2,3-エポキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ブロモ-3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、2-(エポキシエチルオキシ)-エチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシブチルオキシ)-エチル(メタ)アクリレート、など、ポリチオール化合物、例えば、トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、など、シラン、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、ビニルトリス(メチルエチルオキシイミノ)シラン、ビニルトリス-(アセトキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルオキシイミノ)シラン、メチルトリス(アセトキシム)シラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン、テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジ-t-ブトキシ-ジアセトキシシラン、メチルトリス(エチルラクテート)シラン、ビニルトリス(エチルラクテート)シラン、など、カルボジイミド、例えば、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド、など、またはそれらの組み合わせ。硬化可能な熱硬化性組成物は任意で、架橋触媒、例えば、カルボン酸塩を含むことができる。
【0045】
硬化可能な熱硬化性組成物が架橋剤を含む場合、架橋剤は、硬化可能な熱硬化性組成物の総重量に基づいて、1から60wt%、または5から45wt%、または10から30wt%の量で含めることができる。
【0046】
硬化可能な熱硬化性組成物は1つ以上の硬化剤を含むことができる。本明細書では、「硬化剤」という用語は、硬化剤、ハードナー、など、または両方と様々に称される化合物を含む。
【0047】
例示的な硬化剤およびハードナーとしては、アミン、アルコール、フェノール、カルボン酸、酸無水物、などが挙げられる。例えば、フェノールハードナーは、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、ビフェニル-変性フェノールアラルキル樹脂、ビスフェノール、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、テトラフェニロール(tetraphenylol)エタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール-フェノール共縮合ノボラック樹脂、ナフトール-クレゾール共縮合ノボラック樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、またはそれらの組み合わせを含む。無水物ハードナーの例としては、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物(MHHPA)、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、スチレン-無水マレイン酸コポリマー(SMA)、およびオレフィン-無水マレイン酸コポリマー、例えば、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。他の硬化剤およびハードナーは下記などの化合物を含む:ジシアンジアミド、ポリアミド、アミドアミン、フェナルカミン、マンニッヒ塩基、無水物、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、アミン-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、カルボン酸官能性ポリエステル、ポリスルフィド、ポリメルカプタン、イソシアネート、シアン酸エステル化合物、またはそれらの任意の組み合わせ。他の例示的な硬化剤としては、三級アミン、ルイス酸、および不飽和を有するオリゴマーまたはポリマーが挙げられる。
【0048】
硬化可能な熱硬化性組成物が硬化剤を含む場合、硬化剤は、硬化可能な熱硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01から50wt%、または0.1から30wt%、または0.1から20wt%の量で含めることができる。
【0049】
硬化可能な熱硬化性組成物は硬化触媒を含むことができる。本明細書では、「硬化触媒」という用語は、硬化加速剤、硬化促進剤、硬化触媒、および硬化共触媒と様々に称される化合物を含む。
【0050】
例示的な硬化加速剤は、例えば、1から4個のヘテロ原子を含む置換または非置換C3-6複素環を含み、各ヘテロ原子は独立して同じかまたは異なり、窒素、酸素、リン、ケイ素、または硫黄である、複素環加速剤を含む。複素環加速剤としては下記が挙げられる:ベンゾトリアゾール、トリアジン、ピペラジン、例えば、アミノエチルピペラジン、N-(3-アミノプロピル)ピペラジン、など、イミダゾール、例えば、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、3-メチルイミダゾール、4-メチルイミダゾール、5-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、3-エチルイミダゾール、4-エチルイミダゾール、5-エチルイミダゾール、1-n-プロピルイミダゾール、2-n-プロピルイミダゾール、1-イソプロピルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-n-ブチルイミダゾール、2-n-ブチルイミダゾール、1-イソブチルイミダゾール、2-イソブチルイミダゾール、2-ウンデシル-1H-イミダゾール、2-ヘプタデシル-1H-イミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1,3-ジメチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-フェニルイミダゾール、2-フェニル-1H-イミダゾール、4-メチル-2-フェニル-1H-イミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニル-4,5-ジ(2-シアノエトキシ)メチルイミダゾール、環状アミジン、例えば、4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、ジアザビシクロウンデセン、2-フェニルイミダゾリン、など、N,N-ジメチルアミノピリジン、スルファミデート(sulfamidate)、またはそれらの組み合わせ。
【0051】
アミン硬化加速剤としては下記が挙げられる:イソホロンジアミン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、1,2-および1,3-ジアミノプロパン、2,2-ジメチルプロピレンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,12-ジアミノドデカン、4-アザヘプタメチレンジアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン、ジシアナミド、ジアミドジフェニルメタン、ジアミドジフェニルスルホン酸(アミン付加物)、4,4’-メチレンジアニリン、ジエチルトルエンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、テトラエチレンペンタミン、3-ジエチルアミノプロピルアミン、3,3’-イミノビスプロピルアミン、2,4-ビス(p-アミノベンジル)アニリン、テトラエチレンペンタミン、3-ジエチルアミノプロピルアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2-および1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-3,6-ジエチルシクロヘキサン、1,2-ジアミノ-4-エチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-3,6-ジエチルシクロヘキサン、1-シクロヘキシル-3,4-ジミノシクロヘキサン(diminocyclohexane)、4,4’-ジアミノンジシクロヘキシルメタン(diaminondicyclohexylmethane)、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルプロパン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3-アミノ-1-シクロヘキサンアミノプロパン、1,3-および1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m-およびp-キシリレンジアミン、またはジエチルトルエンジアミン、または三級アミン硬化加速剤、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、α-メチルベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノクレゾール、またはトリ(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール、またはそれらの組み合わせ。
【0052】
硬化加速剤は潜在性カチオン性硬化触媒とすることができ、例えば、下記が挙げられる:ジアリールヨードニウム塩、ホスホン酸エステル、スルホン酸エステル、カルボン酸エステル、ホスホンイリド、トリアリールスルホニウム塩、ベンジルスルホニウム塩、アリールジアゾニウム塩、ベンジルピリジニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、イソキサゾリウム塩、など、またはそれらの組み合わせ。ジアリールヨードニウム塩は、構造[(R10)(R11)I]+X-を有することができ、式中、R10およびR11は各々独立して、任意で、C1-20アルキル、C1-20アルコキシ、ニトロ、およびクロロから選択される1から4の一価ラジカルで置換されたC6-14一価芳香族炭化水素ラジカルであり、ならびに、X-はアニオンである。追加の硬化加速剤は構造[(R10)(R11)I]+SbF6
-を有することができ、式中、R10およびR11は各々独立して、任意で、1から4のC1-20アルキル、C1-20アルコキシ、ニトロ、またはクロロで置換されたC6-14一価芳香族炭化水素であり、例えば、4-オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートである。
【0053】
硬化加速剤は金属塩錯体、例えば、酢酸、ステアリン酸、グルコン酸、クエン酸、安息香酸、およびそれらの混合物の銅(II)、スズ(II)、およびアルミニウム(III)塩から選択される脂肪族または芳香族カルボン酸の銅(II)、アルミニウム(III)、亜鉛、コバルト、スズ塩とすることができる。例えば、硬化加速剤は下記とすることができる:β-ジケトネートの銅(II)またはアルミニウム(III)塩、アセチルアセトネートの銅(II)、鉄(II)、鉄(III)、コバルト(II)、コバルト(III)、またはアルミニウム(III)塩、オクトエートの亜鉛(II)、クロム(II)、またはマンガン(II)塩、またはそれらの組み合わせ。
【0054】
硬化可能な熱硬化性組成物が硬化触媒を含む場合、硬化触媒は、硬化可能な熱硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01から5wt%、または0.05から5wt%、または0.1から5wt%の量で含めることができる。
【0055】
硬化可能な熱硬化性組成物は任意で、過酸化物化合物などの硬化開始剤を含むことができる。例示的な過酸化物硬化開始剤としては、下記が挙げられる:過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、メチルエチルケトンペルオキシド、ラウリルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、t-ブチルベンゼンヒドロペルオキシド、t-ブチルペルオクトエート(peroctoate)、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロペルオキシド、ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルジオキシ)バレレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-ヘキス-3-イン、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、α,α’-ビス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジクミルペルオキシド、ジ(t-ブチルペルオキシ)イソフタレート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)オクタン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、1,1-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ(トリメチルシリル)ペルオキシド、トリメチルシリルフェニルトリフェニルシリルペルオキシド、など、またはそれらの組み合わせ。
【0056】
硬化可能な熱硬化性組成物が硬化開始剤を含む場合、硬化開始剤は、硬化可能な熱硬化性組成物の総重量に基づいて、0.1から5wt%、または0.5から5wt%、または1から5wt%の量で含めることができる。
【0057】
難燃剤としては、例えば、リン、臭素、または塩素を含む有機化合物が挙げられる。非臭素化および非塩素化リン含有難燃剤が、ある一定の適用では規制上の理由で、好ましい可能性があり、例えば有機ホスフェートおよびリン-窒素結合を含む有機化合物である。
【0058】
リン系難燃剤の例としては、下記が挙げられる:ホスフェート、ホスファゼン、亜リン酸エステル、ホスフィン、ホスフィナート、ポリホスフェート、およびホスホニウム塩。ホスフェートとしては、下記が挙げられる:トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、イソプロピル化トリフェニルホスフェート、フェニルビス(ドデシル)ホスフェート、フェニルビス(ネオペンチル)ホスフェート、フェニルビス(3,5,5’-トリメチルヘキシル)ホスフェート、エチルジフェニルホスフェート、2-エチルヘキシルジ(p-トリル)ホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)p-トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ(ノニルフェニル)ホスフェート、ビス(ドデシル)p-トリルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2-クロロエチルジフェニルホスフェート、p-トリルビス(2,5,5’-トリメチルヘキシル)ホスフェート、2-エチルヘキシルジフェニルホスフェート、キシレニル-ジフェニルホスフェート、クレシル-ジフェニルホスフェート、1,3-フェニレンビス(ジ-2,6-キシレニルホスフェート)、9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド(DOPO)、テトラフェニルジホスフェート(RDP)、縮合リン酸化合物、例えば、芳香族縮合リン酸化合物、ならびに、環状リン酸化合物、ヒドロキノンのビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAのビス(ジフェニル)ホスフェート、など、またはそれらのオリゴマーまたはポリマー対応物、またはそれらの組み合わせ。
【0059】
ホスファゼン化合物の例は、環状および鎖状ホスファゼン化合物を含む。環状ホスファゼン化合物(シクロホスファゼン)は環状構造を有し、リン-窒素二重結合が分子内に存在する。ホスフィナート化合物の例としては、下記が挙げられる:アルミニウムジアルキルホスフィナート、アルミニウムトリス-(ジエチルホスフィナート)、アルミニウムトリス-(メチルエチルホスフィナート)、アルミニウムトリス-(ジフェニルホスフィナート)、亜鉛ビス-(ジエチルホスフィナート)、亜鉛ビス-(メチルホスフィナート)、亜鉛ビス-(ジフェニルホスフィナート)、チタニルビス-(ジエチルホスフィナート)、チタニルビス-(メチルエチルホスフィナート)、およびチタニルビス-(ジフェニルホスフィナート)。ポリリン酸化合物の例としては、下記が挙げられる:ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、およびポリリン酸メレム。ホスホニウム塩化合物の例としては、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートが挙げられる。亜リン酸エステル化合物の例としては、トリメチルホスファイトおよびトリエチルホスファイトが挙げられる。リン-窒素結合を含む難燃剤化合物としては、塩化ホスホニトリル、リンエステルアミド、リン酸アミド、ホスホン酸アミド、ホスフィン酸アミド、およびトリス(アジリジニル)ホスフィンオキシドが挙げられる。
【0060】
ハロゲン化材料はまた、難燃剤として使用することができ、例えばビスフェノール、例えば、2,2-ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-プロパン、ビス-(2-クロロフェニル)-メタン、ビス(2,6-ジブロモフェニル)-メタン、1,1-ビス-(4-ヨードフェニル)-エタン、1,2-ビス-(2,6-ジクロロフェニル)-エタン、1,1-ビス-(2-クロロ-4-ヨードフェニル)エタン、1,1-ビス-(2-クロロ-4-メチルフェニル)-エタン、1,1-ビス-(3,5-ジクロロフェニル)-エタン、2,2-ビス-(3-フェニル-4-ブロモフェニル)-エタン、2,6-ビス-(4,6-ジクロロナフチル)-プロパン、ならびに、2,2-ビス-(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパン2,2ビス-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-プロパンである。他のハロゲン化材料としては下記が挙げられる:1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジブロモベンゼン、1,3-ジクロロ-4-ヒドロキシベンゼン、およびビフェニル、例えば、2,2’-ジクロロビフェニル、ポリ臭素化1,4-ジフェノキシベンゼン、2,4’-ジブロモビフェニル、および2,4’-ジクロロビフェニルならびにデカブロモビフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエタン、ならびにオリゴマーおよびポリマーハロゲン化芳香族化合物、例えば、臭素化スチレン、4,4-ジブロモビフェニル、エチレン-ビス(テトラブロモフタルイミド)、またはビスフェノールAおよびテトラブロモビスフェノールAのコポリカーボネートおよびカーボネート前駆体、例えば、ホスゲン。金属共力剤、例えば、酸化アンチモンもまた、難燃剤と共に使用することができる。
【0061】
無機難燃剤、例えば、C1-16アルキルスルホン酸塩、例えば、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム(Rimar塩)、パーフルオロオクタン(perfluoroctane)スルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸テトラエチルアンモニウム、およびジフェニルスルホンスルホン酸カリウムの塩、Na2CO3、K2CO3、MgCO3、CaCO3、およびBaCO3などの塩、またはフルオロ-アニオン錯体、例えば、Li3AlF6、BaSiF6、KBF4、K3AlF6、KAlF4、K2SiF6、またはNa3AlF6もまた使用することができる。
【0062】
硬化可能な熱硬化性組成物が難燃剤を含む場合、難燃剤は、硬化可能な熱硬化性組成物の総重量に基づいて、1wt%超、または1から20wt%、または5から20wt%の量で含めることができる。
【0063】
硬化可能な熱硬化性組成物は、無機または有機フィラー、例えば、微粒子フィラー、繊維フィラー、など、またはそれらの組み合わせをさらに含むことができる。任意の無機および有機フィラーが、当技術分野で知られているものを含めて、制限なく使用され得る。
【0064】
例示的なフィラーとしては、例えば、下記が挙げられる:粘土、タルク、カオリン、ウォラストナイト、雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、チオ尿素、ガラス粉末、BまたはSn系フィラー、例えば、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛およびヒドロキシスズ酸亜鉛、金属酸化物、例えば、酸化亜鉛および酸化スズ、アルミナ、シリカ(融解石英、ヒュームドシリカ、球状シリカ、および結晶シリカを含む)、窒化ホウ素(球状窒化ホウ素を含む)、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、マグネシア、ケイ酸マグネシウム、三酸化アンチモン、ガラス繊維(チョップド、ミルド、またはクロス)、ガラスマット、ガラス球、中空ガラスミクロスフェア、アラミド繊維、石英、など、またはそれらの組み合わせ。他の例示的な無機フィラーとしては、下記が挙げられる:粉末化チタンセラミック、例えば、バリウム、鉛、ストロンチウム、カルシウム、ビスマス、マグネシウム、などのチタン酸塩のいずれか一つ。無機フィラーとしてはまた、水和物、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライト、およびヒドロタルサイトも挙げられる。いくつかの態様では、フィラーは本明細書で開示されるカップリング剤で処理することができる。
【0065】
ガラス繊維はE、A、C、ECR、R、S、D、およびNEガラス、ならびに石英に基づくものを含む。ガラス繊維は任意の好適な直径、例えば、2から30マイクロメートル(μm)、または5から25μm、または5から15μmを有することができる。配合前のガラス繊維の長さは制限されず、2から7ミリメートル(mm)、または1.5から5mmとすることができる。あるいは、より長いガラス繊維または連続ガラス繊維を使用することができる。好適なガラス繊維は、オーウェンスコーニング(Owens Corning)、日本電気硝子(Nippon Electric Glass)、PPG、およびジョンズ・マンビル(Johns Manville)などの供給元から市販されている。
【0066】
有機フィラーは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリフェニレンスルフィド粉末、およびポリ(エーテルスルホン)粉末、ポリ(フェニレンエーテル)粉末、ポリスチレン、ジビニルベンゼン樹脂、など、またはそれらの組み合わせとすることができる。
【0067】
フィラーは、熱膨張係数(CTE)および熱伝導率要求に基づいて選択することができる。例えば、Al2O3、BN、AlN、またはそれらの組み合わせが高い熱伝導率を有するエレクトロニクスモジュールのために使用できる。例えば、MgOは、増加した熱伝導率および増加したCTEのために使用できる。例えば、SiO2(例えば、アモルファスSiO2)は、低いCTEおよび小さな比誘電率を有する軽量モジュールのために使用できる。
【0068】
硬化可能な熱硬化性組成物がフィラーを含む場合、フィラーは、硬化可能な熱硬化性組成物の総重量に基づいて、1wt%超、または1から50wt%、または1から30wt%、または10から30wt%の量で含めることができる。
【0069】
カップリング剤は、接着促進剤とも呼ばれ、クロム錯体、シラン、チタン酸塩、ジルコン-アルミン酸塩、オレフィン-無水マレイン酸コポリマー、反応性セルロースエステル、などを含む。例示的なオレフィン-無水マレイン酸コポリマーとしては、下記が挙げられる:無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、またはそれらの組み合わせ。例示的なシランとしては、下記が挙げられる:エポキシシラン化合物、アミノシラン化合物、メタクリルオキシシラン化合物、ビニルシラン化合物、またはそれらの組み合わせ。
【0070】
アミノシランカップリング剤の例は、γ-アミノプロピルトリメトキシ-シラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチル-ジメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、およびN-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシランである。例示的なエポキシシランカップリング剤としては、下記が挙げられる:γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、およびγ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン。メタクリルオキシシランカップリング剤の例としては下記が挙げられる:γ-メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピル-トリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピルジエトキシシラン、およびγ-メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン。
【0071】
他の例示的なシランカップリング剤としては下記が挙げられる:ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリ-エトキシシラン、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾリルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、ビス(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)テトラスルフィド、3-メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、ジメトキシメチルシリルプロピル-N,N-ジメチルチオ-カルバモイルテトラスルフィド、ジメトキシメチルシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、など、またはそれらの組み合わせ。シランカップリング剤は、ポリスルフィド架橋を形成する2から4個の硫黄原子を有するポリスルフィドシランカップリング剤とすることができる。例えば、カップリング剤は、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジ、トリ、またはテトラスルフィドとすることができる。
【0072】
硬化可能な熱硬化性組成物がカップリング剤を含む場合、カップリング剤は、硬化可能な熱硬化性組成物の総重量に基づいて、0.01から5wt%、または0.05から5wt%、または0.1から5wt%の量で含めることができる。
【0073】
硬化可能な熱硬化性組成物は任意で、溶媒を含むことができる。溶媒は、例えば、C3-8ケトン、C3-8N,N-ジアルキルアミド、C4-16ジアルキルエーテル、C6-12芳香族炭化水素、C1-3塩素化炭化水素、C3-6アルキルアルカノエート、C2-6アルキルシアニド、またはそれらの組み合わせとすることができる。特定的なケトン溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。特定的なC4-8N,N-ジアルキルアミド溶媒としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。特定的なジアルキルエーテル溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジオキサン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。特定的な芳香族炭化水素溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、ジビニルベンゼン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。芳香族炭化水素溶媒は、非ハロゲン化とすることができる。特定的なC3-6アルキルアルカノエートとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、またはそれらの組み合わせが挙げられる。特定的なC2-6アルキルシアニドとしては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、またはそれらの組み合わせが挙げられる。特定的なC2-6アルキルシアニドとしては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、またはそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、溶媒は、下記とすることができる:N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、N,N-ジメチルメトキシアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシルピロリジノン、N-メチルカプロラクタム、1,3-ジメチル-2-イミダゾリドン、1,2-ジメトキシエタン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、テトラヒドロフラン、γ-ブチロラクトン、γ-カプロラクトン、ジメチルスルホキシド、ベンゾフェノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジグライム、トリグリム、テトラグライム、N,N-ジメチルエチレン尿素、N,N-ジメチルプロピレン尿素、テトラメチル尿素、プロピレングリコールフェニルエーテル、アニソール、ベラトロール、o-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トリクロロエタン、塩化メチレン、クロロホルム、ピリジン、ピコリン、乳酸エチル、酢酸n-ブチル、ブチルセロソルブアセテート、ブチルカルビトールアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチルカルビトールアセテート、炭酸プロピレン、スルホラン、イオン性液体、またはそれらの組み合わせ。
【0074】
溶媒が使用される場合、硬化可能な熱硬化性組成物は、硬化可能な熱硬化性組成物の総重量に基づいて、2から99wt%の溶媒を含むことができる。例えば、溶媒量は、硬化可能な熱硬化性組成物の総重量に基づいて、5から80wt%、または10から60wt%、または20から50wt%とすることができる。溶媒は、一部分において、硬化可能な熱硬化性組成物の粘度を調整するように選択することができる。よって、溶媒量は、キャップされたポリ(アリーレンエーテル)コポリマーの型および量、硬化添加物などの他の成分の型および量、任意の補助熱硬化性樹脂(複数可)の型および量、ならびに、硬化可能な熱硬化性組成物の任意のその後の処理、例えば、複合物の調製のための補強構造の硬化可能な熱硬化性組成物での含浸のために使用される処理温度を含む変数に依存する可能性がある。溶媒は無水とすることができる。例えば、溶媒は溶媒の総重量に基づいて、100百万分率(ppm)未満、または50ppm未満、または10ppm未満の水を含むことができる。
【0075】
硬化可能な熱硬化性組成物は、硬化可能な不飽和モノマー組成物をさらに含むことができ、モノマー組成物は、例えば、単官能性スチレン化合物(例えば、スチレン)、単官能性(メタ)アクリル化合物、など、またはそれらの組み合わせを含むことができる。例えば、硬化可能な不飽和モノマー組成物は、アルケン含有モノマーまたはアルキン含有モノマーとすることができる。例示的なアルケンおよびアルキン含有モノマーとしてはイェーガー(Yeager)らの米国特許第6,627,704号で記載されるものが挙げられ、ならびに、ハイルマン(Heilman)らの米国特許第4,304,705号において開示される(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、およびビニルアザラクトンが挙げられる。例示的な単官能性モノマーとしては、下記が挙げられる:モノ(メタ)アクリレート、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル、など、またはそれらの組み合わせ。
【0076】
硬化可能な熱硬化性組成物は、任意で、1つ以上の追加の添加物をさらに含むことができる。追加の添加物としては、例えば、下記が挙げられる:染料、顔料、着色剤、抗酸化剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、消泡剤、潤滑剤、分散剤、流動改質剤、ドリップ抑制剤(drip retardant)、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、流れ促進剤、加工助剤、基剤接着剤、離型剤、強化剤、低収縮添加剤、応力緩和添加物、など、またはそれらの組み合わせ。存在する場合、追加の添加物は、硬化可能な熱硬化性組成物の総重量に基づき、任意の有効量、例えば0.01から20wt%、または0.01から10wt%、または0.01から5wt%、または0.01から1wt%の量で含めることができる。
【0077】
硬化可能な熱硬化性組成物は、二官能性フェニレンエーテルオリゴマーおよび本明細書で開示される他の任意的な成分を任意の好適な方法を使用して合わせることにより調製することができる。
【0078】
硬化可能な熱硬化性組成物の硬化された生成物を含む硬化された熱硬化組成物もまた提供される。硬化可能な熱硬化性組成物を硬化させることができる方法に特別な制限はない。硬化可能な組成物は、例えば、熱硬化させることができ、または、照射技術、例えばUV照射または電子ビーム照射を使用することにより硬化させることができる。例えば、硬化された生成物は、本明細書で規定される硬化可能な熱硬化性組成物を、溶媒を蒸発させ、硬化を達成するのに十分な時間および温度で加熱することにより得ることができる。熱硬化が使用される場合、温度は、30から400℃、または50から250℃、または100から250℃とすることができる。加熱は、1分から24時間、または1分から6時間、または3時間から5時間の間とすることができる。硬化は部分的に硬化された、しばしばタックフリーの樹脂を生成するように行うことができ、次いで、それはより長い期間、または、前記範囲内の温度で加熱することにより完全に硬化される。本明細書では、「硬化された」という用語は、部分的に硬化された、または完全に硬化された生成物を包含する。
【0079】
硬化された熱硬化組成物は1つ以上の望ましい特性を有することができる。例えば、熱硬化組成物は165℃以上、好ましくは170℃以上、より好ましくは165から180℃のガラス転移温度を有することができる。熱硬化組成物はまた、便宜的に、低い比誘電率(Dk)、低い誘電正接(Df)、および低減された吸湿性を示すことができる。例えば、熱硬化組成物は10GHzの周波数で、3.0未満、好ましくは2.75未満、より好ましくは2.6未満の比誘電率を有することができる。熱硬化組成物は10GHzの周波数で0.01未満、または0.005未満の誘電正接を有することができる。よって、本開示のフェニレンエーテルオリゴマーを含む熱硬化組成物はエレクトロニクス用途において使用するのに特によく適したものとすることができる。
【0080】
硬化可能な熱硬化性組成物および硬化された熱硬化組成物は様々な用途および使用において使用することができ、従来の熱硬化性組成物が使用される任意の用途が挙げられる。例えば、硬化可能な熱硬化性組成物または硬化された熱硬化組成物を含む有用な物品は、複合物、フォーム、繊維、層、コーティング、封入剤、接着剤、シーラント、成型部品、プリプレグ、ケーシング、積層板、メタルクラッド積層板、電子複合物、構造複合物、またはそれらの組み合わせの形態とすることができる。例示的な使用および用途としては、コーティング、例えば、保護コーティング、シーラント、耐候性コーティング、耐擦傷性コーティング、および電気絶縁性コーティング、接着剤、バインダ、接合剤、複合材料、例えば、炭素繊維およびガラス繊維強化材を使用したものが挙げられる。コーティングとして使用される場合、開示された化合物および組成物は様々な下地基材の表面上に堆積させることができる。例えば、組成物は金属、プラスチック、ガラス、繊維サイジング、セラミック、石、木材、またはそれらの任意の組み合わせの表面上に堆積させることができる。開示された組成物は、金属容器(例えば、アルミニウムまたは鋼)、例えば、塗料および表面被覆業界におけるパッケージングおよび封じ込めのために一般的に使用されるものの表面上のコーティングとして使用することができる。硬化可能な熱硬化性組成物およびそれから誘導された硬化された熱硬化組成物はまた、電気部品およびコンピュータ部品を形成する際での使用に特によく適したものとすることができる。
【0081】
複合物を形成する方法は、補強構造を硬化可能な熱硬化性組成物で含浸させる工程、硬化可能な熱硬化性組成物を部分的に硬化させ、プリプレグを形成させる工程、ならびに、複数のプリプレグを積層させる工程を含むことができる。補強構造は、多孔性ベース材料、例えば、繊維プリフォームまたは基材、または、セラミック、ポリマー、ガラス、炭素、またはそれらの組み合わせを含む他の多孔性材料とすることができる。例えば、多孔性ベース材料は織または不織ガラス布、ガラス繊維織物、または炭素繊維とすることができる。物品が繊維プリフォームを含む場合、物品を製造する方法は、プリフォームを硬化可能な組成物でコートするまたは含浸させることにより、物品を硬化可能な熱硬化性組成物から形成する工程を含むことができる。含浸された繊維状プリフォームは任意で溶媒を除去する前または後で成形することができる。いくつかの態様では、硬化可能な熱硬化性組成物層は織または不織ガラス布をさらに含むことができる。例えば、硬化可能な層は、ガラス布を硬化可能な組成物で含浸させ、含浸されたガラス布から溶媒を除去することにより調製することができる。例示的な補強構造は、例えば、匿名(ヘクセル・コーポレーション((Hexcel Corporation)))、“Prepreg Technology”、2005年3月、出版番号FGU 017b、匿名(ヘクセル・コーポレーション)、“Advanced Fibre Reinforced Matrix Products for Direct Processes”、2005年6月、出版番号ITA272、ならびに、Bob Griffiths、“Farnborough Airshow Report 2006”、CompositesWorld.com、2006年9月において記載される。補強構造の重量および厚さは複合物の使用目的に従い、繊維強化樹脂複合物の生成における当業者によく知られている判断基準を使用して選択される。補強構造物は、硬化可能な熱硬化性組成物の熱硬化性成分に好適な様々な仕上げを含むことができる。
【0082】
硬化可能な熱硬化性組成物から物品を製造する方法は、硬化可能な熱硬化性組成物を部分的に硬化させ、プリプレグを形成させる工程、または硬化可能な熱硬化性組成物を完全に硬化させ、複合品を形成させる工程を含むことができる。本明細書における「硬化された組成物」の特性への言及は、実質的に完全に硬化された組成物を示す。例えば、プリプレグから形成された積層板における樹脂は典型的には実質的に完全に硬化されている。熱硬化技術分野における当業者は、試料が部分的に硬化されているか、または、実質的に完全に硬化されているかについて、必要以上の実験をせずに決定することができる。硬化は硬化可能な組成物から溶媒を除去する前または後とすることできる。加えて、物品は、溶媒の除去前または溶媒の除去後、硬化前、部分硬化後、または完全硬化後、例えば熱成形によりさらに成形することができる。一態様では、物品は形成され、および、溶媒が除去され、物品が部分的に硬化され(Bステージ)、任意で成形され、ならびに、次いで、さらに硬化される。
【0083】
複合物を形成する商業規模の方法が当技術分野で知られており、本明細書で記載される硬化可能な熱硬化性組成物は既存のプロセスおよび機器に容易に適合可能である。例えば、プリプレグはしばしば処理器上で生成される。処理器の主構成要素はフィーダーローラー、樹脂含浸タンク、処理器オーブン、および受取ローラーを含む。補強構造(例えば、E-ガラス)は、通常、巻かれて大きなスプールとされる。次いで、スプールがフィーダーローラーに取り付けられ、これが、回転し、徐々に補強構造を繰り出す。次いで、補強構造は、硬化可能な熱硬化性組成物を含む樹脂含浸タンクを通って移動する。硬化可能な組成物は、補強構造に含浸する。タンクから出て行った後、コートされた補強構造は垂直処理器オーブンを通って上方に移動し、オーブンは典型的には175から200℃の温度であり、溶媒が蒸発される。樹脂はこの時点で重合し始める。複合物がタワーから出てくると、それは十分硬化され、そのため、ウェブは湿っておらず、粘着性がない。しかしながら、硬化プロセスは、積層板が製造された時に追加の硬化が起きることができるように、完了手前で中止される。次いで、ウェブはプリプレグを受取ローラー上まで回転させる。
【0084】
硬化可能な熱硬化性組成物を含む、または、これから誘導される電気および電子物品もまた、提供される。物品としては、医療または航空宇宙業界において使用されるプリント回路を含むものが挙げられる。さらに他の物品としては、アンテナおよび同様の物品が挙げられる。プリント回路基板などの物品が、例えば、照明、太陽エネルギー、ディスプレイ、カメラ、音響および映像機器、パーソナルコンピューター、携帯電話、電子手帳、および同様の装置、またはオフィスオートメーション機器において使用される。例えば、電気部品は積層板を含むプリント回路基板上に実装させることができる。様々な用途のために硬化可能な組成物から調製された他の例示的な物品としては、銅張積層板(CCL)、例えば、メタルコア銅張積層板(MCCCL)、複合品、およびコート物品、例えば多層物品が挙げられる。
【0085】
誘電体層は、硬化可能な熱硬化性組成物から調製することができ、回路アセンブリ、例えば、銅張積層板などのメタルクラッド積層板において有用となり得る。例えば、積層板は、誘電体層、誘電体層上に配置された導電性金属回路層、および任意で、誘電体層上、導電性金属層の反対側に配置された放熱金属マトリクス層を含むことができる。誘電体層は任意で、繊維プリフォーム(例えば、織物層)を含むことができる。例えば、誘電体層は、ガラス布層をさらに含むことができる。
【0086】
導電性金属層は、回路の形態とすることができ、銅、亜鉛、スズ、黄銅、クロム、モリブデン、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ステンレス鋼、鉄、金、銀、白金、チタン、など、またはそれらの組み合わせとすることができる。他の金属としては、下記が挙げられる:銅モリブデン合金、ニッケル-コバルト鉄合金、例えば、カーペンター・テクノロジー社(Carpenter Technology Corporation)から入手可能なコバール(KOVAR)、ニッケル-鉄合金、例えば、ナショナルエレクトロニックアロイズ社(National Electronic Alloys, Inc.)から入手可能なインバー(INVAR)、バイメタル、トリメタル、2層の銅および1層のインバーから誘導されるトリメタル、および2層の銅および1層のモリブデンから誘導されるトリメタル。例示的な金属層は、銅または銅合金を含む。あるいは、鍛造銅箔を使用することができる。導電性金属層は2から200マイクロメートル(μm)、または5から50μm、または5から40μmの厚さを有することができる。
【0087】
放熱金属マトリクス層は、熱伝導性金属、例えば、アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、銅、鉄、鋼、など、またはそれらの組み合わせとすることができる。熱伝導性、導電性金属は使用することができるが、ただし、金属は金属回路層から電気的に絶縁されることを条件とする。好ましい支持金属マトリクス層は0.1から20ミリメートル(mm)、または0.5から10mm、または0.8から2mmの厚さを有することができる。
【0088】
導電性金属層および支持金属マトリクス層は、誘電体層への接着の増強のために高い表面粗さを有するように前処理することができる。処理方法は、例えば、金属層の接着を増強するために、洗浄、火炎処理、プラズマ放電、コロナ放電、などを含む。誘電体層は、導電性金属層または放熱層に、接着剤を使用せずに、しっかりと接着することができ、または、接着剤は誘電体層の導電性金属層または放熱層への接着を改善するために使用することができる。複合物シートを金属に接着させるために使用される例示的な接着剤としては、ポリイミド接着剤、アクリル接着剤、エポキシ、など、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0089】
銅張積層板は、1つ以上の誘電体層、1つ以上の導電性金属層、および支持金属マトリクス層の、加圧下での、熱硬化性接着剤を使用しない熱ラミネートにより製造することができる。誘電体層は、硬化可能な熱硬化性組成物から調製することができ、熱ラミネート工程前に、層を形成させるための溶液流延プロセスにより調製することができる。例えば、誘電体層、導電性金属層、および放熱層は、接着剤を含まないプロセスにより、加圧下で共に熱ラミネートすることができ、積層板が形成される。導電性金属層は任意で、ラミネート前に回路の形態とすることができ、または、導電性金属層は任意でエッチングすることができ、ラミネート後に電気回路が形成される。ラミネートはホットプレスまたはロールカレンダー法、例えば、ロールツーロール法により実施することができる。銅張積層板における導電性金属層は、さらに、パターニングすることができ、プリント回路基板が提供される。さらに、銅張積層板は成形することができ、シート、チューブ、またはロッドの形状を有する回路基板が提供される。
【0090】
あるいは、回路アセンブリのための積層板は、溶液流延法により製造することができ、この場合、硬化可能な熱硬化性組成物が導電性金属層上に直接鋳造され、続いて、放熱金属マトリクス層へラミネートされる。例えば、硬化可能な熱硬化性組成物は、放熱金属マトリクス層上に直接鋳造することができ、続いて導電性金属層へラミネートされる。
【0091】
追加の層を含む多層積層板はまた、ホットプレスまたはロールカレンダー法などのプロセスにより、1段階でまたは2つ以上の連続工程での熱ラミネートによって製造することができる。例えば、7つ以下の層が、または16以下の層が積層板中に存在することができる。一態様では、積層板は1段階でまたは2つ以上の連続工程で、布-熱硬化樹脂-金属-熱硬化樹脂-布-熱硬化樹脂-金属箔の連続層またはより少ない層を有するそれらの部分的組み合わせで形成させることができ、そのため、積層板は金属箔の任意の層と布の任意の層の間に熱硬化フィルムの層を含む。別の態様では、第1の積層板は1段階でまたは2つ以上の連続工程で、熱硬化樹脂の2つの層間に布の層、例えば、熱硬化樹脂の2つの層間にガラス織布の層を有して形成させることができる。次いで、第2の積層板が、金属箔を第1の積層板の熱硬化側にラミネートさせることにより調製され得る。
【0092】
硬化可能な熱硬化性組成物から調製されたプリント回路基板は、0.1から20mm、特定的には0.5から10mmの全厚を有することができ、全厚は層、誘電体層、導電性金属層、および支持金属マトリクス層の各々を含むアセンブリを示す。回路アセンブリは、0.5から2mm、特定的には0.5から1.5の全厚を有することができる。誘電体層の厚さに特別な制限はなく、5から1500μm、または5から750μm、または10から150μm、または10から100μmとすることができる。例えば、プリント回路基板は、発光ダイオード(LED)用途において使用するためのメタルコアプリント回路基板(MCPCB)とすることができる。
【0093】
硬化可能な熱硬化性組成物は、例えば、多層品の調製においてコーティングとして使用することができる。コーティングを製造する方法は、硬化可能な熱硬化性組成物および任意でフルオロポリマーを合わせる工程、ならびに基材上でコーティングを形成する工程を含むことができる。例えば、多層品は、硬化可能な熱硬化性組成物を含む層を形成させ、層から溶媒を除去し、および任意で硬化させプライマー層を提供し、セラミック(例えば、Al2O3、TiO2、ZrO2、Cr2O3、SiO2、MgO、BeO、Y2O3、Al2O3-SiO2、MgO-ZrO2、SiC、WC、B4C、TiC、Si3N4、TiN、BN、AlN、TiB、ZrB2、など)、熱可塑性ポリマー、フルオロポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-エチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、など)、またはそれらの組み合わせを含む第2の層をプライマー層上で形成させ、多層品を提供し、および任意で多層品を熱処理し硬化可能な熱硬化性組成物を硬化させることにより製造することができる。いくつかの態様では、第2の層は、硬化可能な熱硬化性組成物をさらに含むことができる。
【0094】
硬化可能な熱硬化性組成物のための追加の用途としては、例えば、下記が挙げられる:酸浴容器、中和槽、航空機部材、橋桁、橋床、電解槽、排気筒、スクラバー、スポーツ用品、階段、歩道、自動車外装パネル、例えば、フードおよびトランクリッド、フロアパン、空気取入口、パイプおよびダクト、例えばヒーターダクト、工業用ファン、ファンハウジング、およびブロワー、工業用ミキサ、艇体およびデッキ、海上ターミナルフェンダー、タイルおよびコーティング、羽目、事務機ハウジング、トレー、例えばケーブルトレイ、コンクリート改質材、食洗機および冷蔵庫部品、電気封止材、電気パネル、タンク、例えば電気精錬タンク、硬水軟化装置タンク、燃料タンク、および様々なフィラメント巻きタンクおよびタンクライニング、家具、ガレージドア、格子、防護具、旅行かばん、屋外自動車両、加圧タンク、光導波路、レドーム、手すり、鉄道部品、例えば、タンク車、ホッパ車カバー、車ドア、トラック荷台ライナー、衛星テレビ受信用アンテナ、看板、太陽エネルギーパネル、電話スイッチギヤハウジング、トラクタ部品、変圧器カバー、トラック部品、例えば、フェンダー、フード、ボディ、運転手台、および荷台、回転機のための絶縁、例えば、対地絶縁、ターン絶縁、および相分離絶縁、整流子、心線絶縁およびコードおよびレーシングテープ、駆動軸継手、プロペラ羽根、ミサイル部品、ロケットモータケース、翼断面、サッカーロッド、胴体セクション、ウィングスキンおよびフレア、エンジンナセル、貨物口、テニスラケット、ゴルフクラブシャフト、釣竿、スキー板およびスキーストック、自転車部品、横向リーフスプリング、ポンプ、例えば、自動車スモッグポンプ、電気部品、埋め込み、および工具、例えば、電気ケーブル継手、巻線および高密度マルチエレメントアセンブリ、電気機械装置のシーリング、バッテリーケース、レジスタ、ヒューズおよびサーマルカットオフ装置、プリント配線板用コーティング、鋳造アイテム、例えば、コンデンサ、変圧器、クランクケースヒータ、小さな成型電子部品、例えば、コイル、コンデンサ、レジスタ、および半導体、化学処理、パルプおよび紙、発電、および廃水処理における鋼の代わりとして、スクラブ塔、構造適用のための引抜成形部品、例えば構造部材、格子、およびガードレール、水泳プール、水泳プール滑り台、温水浴槽、およびサウナ、フード適用下のための駆動軸、複写機のための乾式トナー樹脂、船舶工具および複合物、熱シールド、潜水艦船体、プロトタイプ生成、実験モデルの開発、積層トリム、穴開け治具、接着治具、検査具、工業用金属成形金型、航空機ストレッチブロックおよびハンマー形、真空成形型、フローリング、例えば、生成およびアセンブリ領域、クリーンルーム、機械製作所、制御室、実験室、立体駐車場、フリーザー、冷却器、および屋外搬出口のためのフローリング、帯電防止用途のための導電性組成物、装飾的フローリングのため、架橋のための伸縮継手、構造用コンクリートにおける亀裂のパッチおよび修復のための注入可能なモルタル、タイル用グラウチング、機械レール、金属だぼ、ボルトおよびポスト、油および燃料貯蔵タンクの修復、および多くの他の用途。
【0095】
物品および材料を調製するのに有用なプロセスとしては、熱硬化性樹脂の処理のための技術分野に一般に知られているものが挙げられる。そのようなプロセスは、例えば、Engineered Materials Handbook, Volume 1, Composites, ASM International Metals Park, Ohio, copyright 1987 Cyril A. Dostal Senior Ed, pp. 105-168および497-533、ならびに“Polyesters and Their Applications” by Bjorksten Research Laboratories, Johan Bjorksten (pres.) Henry Tovey (Ch. Lit. Ass.), Betty Harker (Ad. Ass.), James Henning (Ad. Ass.), Reinhold Publishing Corporation, New York, 1956において見られるように、文献において記載されている。処理技術は下記を含み:樹脂トランスファ成形、シート成形、バルクモールディング、引抜成形、射出成形、例えば反応射出成形(RIM)、大気圧成型(APM)、鋳造、例えば遠心および静的鋳造、開放鋳型鋳造、ラミネート、例えば湿式または乾式レイアップおよびスプレーレイアップ、下記もまた、含まれる:接触成形、例えば、円筒接触成形、圧縮成形、例えば、真空補助樹脂トランスファ成形および化学的補助樹脂トランスファ成形、マッチドツール成形(matched tool molding)、オートクレーブ硬化、空気中での熱硬化、真空バギング、引抜成形、Seeman複合樹脂注入製造処理(Seeman’s Composite Resin Infusion Manufacturing Processing)(SCRIMP)、オープンモールディング、樹脂およびガラスの連続併用、ならびに、フィラメントワインディング、例えば円筒形フィラメントワインディング。例えば、物品は樹脂トランスファ成形プロセスにより調製することができる。
【0096】
硬化可能な熱硬化性組成物から誘導された物品もまた提供され、物品は複合物、フォーム、繊維、層、コーティング、封入剤、接着剤、シーラント、成型部品、プリプレグ、ケーシング、鋳造品、積層板、またはそれらの組み合わせであり、または、物品はメタルクラッド積層板、電子複合物、構造複合物、またはそれらの組み合わせである。物品は、本明細書で開示されるように、例えば、鋳造、成型、押し出し加工、などにより、および、形成された物品から溶媒を除去して製造することができる。いくつかの態様では、物品は、層とすることができ、硬化可能な組成物を基材上に鋳造し、鋳造層を形成させることにより形成させることができる。溶媒は様々な手段により、例えば、鋳造層を加熱する、鋳造層を熱および圧力下で加熱することにより、例えば鋳造層を別の基材にラミネートさせることにより除去することができる。いくつかの態様では、上記方法により調製した物品は、接着剤、パッケージング材料、コンデンサフィルム、または回路基板層を含むことができる。いくつかの態様では、硬化可能な組成物から調製された物品は、誘電体層、または基材上に配置されたコーティング、例えばワイヤまたはケーブルコーティングとすることができる。例えば、物品は、回路材料、例えば、照明または通信用途において使用される例えばプリント回路基板における誘電体層とすることができる。硬化可能な組成物から調製された他の例示的な物品は1つ以上の塗装層とすることができる。硬化可能な組成物は、他の硬化可能な熱硬化性組成物ために本明細書で開示される物品を調製するために使用することができる。
【実施例】
【0097】
この開示は非限定的である下記実施例によりさらに説明される。
【0098】
下記実施例のために使用される材料が表1に記載される。
【0099】
【0100】
酸化的カップリング重合反応を、バブリング反応器、オーバーヘッドかくはん器、熱電対、窒素パッドおよび酸素バブリングのための浸漬管が取り付けられた500mlジャケット付きガラス反応器において実施した。誘導体化またはエンドキャッピング反応を、加熱マントル、ディーンスターク凝縮器、熱電対、および追加の漏斗が取り付けられた500mlガラス反応器において実施した。
【0101】
その後の硬化のための硬化可能な組成物の鋳造を、Specac製の手動水圧プレスを使用して実施した。
【0102】
PPE-CMPオリゴマーを下記手順に従い合成した。トルエン(42.45グラム)、CMP(42.3グラム)、TMBPA(5.76グラム)、DMBA(4.32グラム)、DBA(0.28グラム)、ならびにDBEDA(0.075グラム)、PTC-1(0.04グラム)、およびトルエン(0.13グラム)の混合物を500mlバブリング重合容器に入れ、窒素下で撹拌した。触媒溶液(0.02グラムのCu2Oおよび0.33グラムの48%HBr)を上記反応混合物に添加した。触媒溶液の添加後、酸素流を開始させた。温度を25℃から32℃まで15分で傾斜させ、115分で49℃まで増加させた。酸素流を1500分間維持し、その時点で流れを停止させ、0.46グラムのNTAおよび5.68グラムの水を反応混合物に添加した。得られた混合物を60℃で2時間撹拌した。層を遠心分離により分離させ、軽い相をトルエンの除去により単離した。オリゴマーを、110℃の真空オーブンにて窒素下で一晩乾燥させた後に得た。
【0103】
PPE-CMP-2MAオリゴマーを下記手順に従い合成した。PPE-CMPオリゴマー(36グラム)を、加熱マントル、ディーンスターク凝縮器、かくはん器および熱電対が取り付けられた500ml三口丸底フラスコ中のトルエン(75グラム)に溶解した。溶液を120℃まで加熱し、共沸蒸留により水を除去した。水の除去後、反応混合物を85℃まで冷却し、DMAP(0.36グラム)を添加した。DMAPの完全溶解後、MAA(6.63グラム)を20分にわたり添加漏斗を使用して添加した。反応温度を110℃まで上昇させ、反応物を4時間撹拌した。PPE-CMP-2MAをメタノール中への沈殿により単離した。粉末をさらに、真空および窒素下、110℃で一晩乾燥させた。
【0104】
硬化可能な組成物を、PPE-CMP-2MAをクロロホルムに溶解することにより調製した。クロロホルムを真空および窒素下で乾燥粉末が得られるまで除去した。乾燥粉末を化学レオロジーのために使用し、性能評価のためにさらに硬化させた。硬化鋳造物を、組成物を部分的に硬化させること(例えば、ゲル化時間まで)により調製した。部分的に硬化させた組成物を40ミリメートル直径のダイに移し、ダイをホットダイプレスに入れた。試料を、温度を150℃まで加圧下(1トン)で増加させることにより硬化させた。温度が150℃に到達するとすぐに、次いで、試料を70℃まで冷却させ、ダイをオーブンに移し、試料を200℃で、120分間真空下で硬化させた。
【0105】
組成物を、下記試験手順を使用して特徴付けした。
【0106】
核磁気共鳴(NMR)分光分析:オリゴマーの化学構造および組成を、NMR分析により決定した。全ての1HNMRスペクトルを400.14MHzの観測周波数で動作するVarian Mercury Plus400機器上で獲得した。
【0107】
ゲル浸透クロマトグラフィーをポリスチレン標準に対して実施し、数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を決定するために使用した。
【0108】
溶液粘度測定:低粘度材料のためのULアダプターが取り付けられたDV2+ pro Brookfield粘度計を使用した。測定を実施し、ウオータジャケットにより制御された25℃でスピンドル00を使用してMEK中の50wt%オリゴマーの溶液粘度を決定した。
【0109】
示差走査熱量測定(DSC):オリゴマーのガラス転移温度(Tg)をTA Instruments示差走査熱量計を25℃から300℃まで20℃/min温度傾斜で使用して測定した。分析を窒素下で実施した。全ての試料重量は8から11ミリグラムの範囲内であった。T-zeroパンを使用した。
【0110】
発熱の熱および硬化の程度もまた、DSCを使用して、25℃から300℃の温度傾斜を用いて、10℃/min温度傾斜で決定した。全ての試料重量は8から11ミリグラムの範囲内であった。硬化の程度を、未硬化組成物と部分的に硬化された(Bステージ)組成物からの発熱の熱の比により決定した。
【0111】
ゲル化時間をTA Instruments製のAres G2レオメータを使用し、窒素雰囲気下、1mmの標的ギャップを有する25mm平行板を用いて測定した。80℃の開始温度および5℃/分の傾斜率、30%の一定ひずみおよび10Rad/sの角周波数を有する、振動温度傾斜を使用した。
【0112】
粘度測定(下記表では「樹脂流動」と呼ばれる)を、TA Instruments製のAres G2レオメータを使用し、窒素雰囲気下、1mmの標的ギャップを有する25mm平行板を用いて実施した。80℃の開始温度および3℃/分の傾斜率、1%の一定ひずみおよび10Rad/sの角周波数を有する、振動温度傾斜を使用した。
【0113】
熱重量分析(TGA)を、硬化試料の分解を特徴付けるために実施した。10℃/minの温度傾斜率を使用し、25℃から開始し、800℃まで傾斜させた。
【0114】
誘電測定を、10GHzでの比誘電率(Dk)および誘電正接(Df)の測定のためにスプリットポスト誘電体共振器(SPDR)取付け具が取り付けられたAgilent Technologies E5071Cネットワーク分析計を使用して実施した。
【0115】
吸湿性を、鋳造物を50℃の水浴に入れることにより特徴付けた。試料を浴から取り出し、生乾きさせ、重量を24時間毎に測定した。
【0116】
<実施例1>
PPE-CMP-2MAを上記合成に従い調製した。PPE-CMP-2MAの構造を溶液 NMR分光法により確認した。1H NMR分光法により、オリゴマーの末端基はメタクリレート単位であり、2の平均官能性を有する二官能性オリゴマーが得られたことも確認した。
【0117】
表2は実施例1のPPE-CMP-2MAオリゴマーの特性のいくつかを示す。
【0118】
【0119】
硬化可能な組成物を表3に従い調製した。配合物のレオロジーおよび硬化挙動を溶媒除去後に測定した。硬化材料の性能もまた、表3に示される。実施例1のオリゴマーを含む組成物の性能を、2,6-ジメチルフェノールから誘導された繰り返し単位を含む二官能性PPE-メタクリレートオリゴマー(比較例1として示される)と比較した。
【0120】
【0121】
【0122】
表3に示されるように、PPE-CMP-2MAオリゴマーは誘電性能の改善を示した。よって、本明細書で記載される材料は電子材料、特定的には、プリント回路基板のためのプリプレグ積層板およびメタルクラッド積層板における使用によく適していると考えられる。
【0123】
<比較例2>
CP-PPEオリゴマーを上記CMP-PPEオリゴマーと比較するために、下記手順に従い合成した。トルエン(168グラム)、CP(49グラム)、TMBPA(6.40グラム)、DMBA(1.68グラム)、DBA(0.56グラム)、ならびに0.088グラムのDBEDA、0.047グラムのPTC-1、および0.15グラムのトルエンの混合物を500ミリリットルバブリング重合容器に入れ、窒素下で撹拌した。触媒溶液(0.42グラム、0.03グラムのCu2Oおよび0.39グラムの(48%)HBr)を上記反応混合物に添加した。触媒溶液の添加後、酸素流を開始させた。温度を25℃から39.4℃まで15分で傾斜させ、70分で48.9℃まで増加させた。酸素流を130分間維持し、その時点で流れを停止させ、1.0グラムのNTAおよび6.0グラムの水を反応混合物に添加した。得られた混合物を60℃で2時間撹拌した。層を遠心分離により分離させ、軽い相をメタノール中への沈殿により単離した。沈殿粒子を濾過し、110℃の真空オーブンにて窒素下で一晩乾燥させた後分析した。
【0124】
CP-PPEオリゴマーを1Hおよび31P NMR分光法により特徴付けた。全ての1H NMRスペクトルを599.90MHzの観測周波数で動作するAgilent DD2 600機器上で獲得した。全ての試料についてのスペクトルを定量条件下で収集した。およそ30mgの2-シクロヘキシル(cycloheyl)フェノール最終ppt試料を1ミリリットルの1,1,2,2-テトラクロロエタン-d2に添加した。スペクトルパラメータは、9615Hzスペクトル幅、1.7s取得時間(16Kデータ点)、4.20μsパルス幅(45°フリップ角)、および15sパルス遅延を含んだ。s2pulパルスシークエンスを使用した。典型的には、32の取得は、良好な信号対雑音比を達成するのに十分であった。データ処理を、NetNMRソフトウェアを使用し、0.25Hz線広がりおよび多項式ベースライン補正ルーチンと用いて実施した。
【0125】
31P-NMR分光法を、様々なポリマー試料におけるフェノール官能性の同定および定量化のために使用した。この技術はポリマーフェノール残基の2-クロロ-1,3,2-ジオキサホスホランによる誘導体化を含む。この反応により、芳香環置換のみが異なる、様々な構造的に類似する2-アリールオキシ-1,3,2-ジオキサホスホランが生成する。31P-核のその電子環境に対する感応性のために、様々なフェノール末端基は、それらの対応するホスフェート誘導体の31P-化学シフトから同定することができる。フェノール末端基に加えて、この方法はまた、多くの樹脂においてアルコールおよび酸官能性を定量することができる。内部標準、2,4-ジブロモフェノールの使用により、ポリマー樹脂のヒドロキシル末端基官能性の定量化を決定することができる。
【0126】
全てのスペクトルを、31Pについて242.84MHzで動作するAgilent DD2 600分光計上で獲得した。機器には、5mm OneNMR(商標)PFGプローブが取り付けられた。およそ80mgの試料を、0.95mg/mlの2,4-ジブロモフェノール(内部標準)および15mg/mlのCr(acac)3(データ取得時間を低減させるためのT1緩和増強試薬)を含む4.0mlのクロロホルム-dに溶解した。加えて、ピリジンを酸捕捉剤として1mlピリジン/100ml CDCl3内部標準原液で添加する。試料および内部標準重量を小数第4位まで記録する。デカップラをパルス遅延中にゲートオフさせ、NOEを排除し、走査間でのリン核の完全緩和を確保した。取得パラメータは、3sのパルス遅延および45°フリップ角を含んだ。また、23.6kHzスペクトル幅(100から200ppm領域)および32Kデータ点では、1.39s取得時間という結果になった。典型的には、1024走査が十分な信号対雑音比のために必要とされた。ブロードバンドプロトンデカップリングを、Waltz-16パルスシークエンスを使用して実施した。内部標準、2,4-ジブロモ-フェノールシグナルを化学シフト基準として使用した(δ=130.24ppm)。得られたスペクトルを、1Hz指数関数アポディゼーションを使用して処理し、多項式フィットルーチンを使用してベースライン補正した。全てのデータ処理を、NetNMRソフトウェアを使用して実施した。
【0127】
シクロヘキシルフェノールおよびテトラメチルビスフェノールAコポリマー(CP-PPE)を、以上で記載される通り、酸化的カップリング重合により合成した。材料を沈殿させ、未反応モノマーをより良好な構造分析のために除去した。NMR分光法を使用し、化学構造を決定した。モノマーの残存量を31P NMRにより決定した。非置換6位での分枝を1H NMR分光法により芳香環内のプロトン数に基づいて確認した。直鎖ポリマーが得られた場合、プロトン数は3であるはずであるが、しかしながら、2.5と決定した。よって、CP-PPEオリゴマーは分枝構造を示した。
【0128】
この開示は下記態様をさらに包含する。
【0129】
態様1:2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールから誘導された繰り返し単位を含み、(メタ)アクリレート末端基を有する直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマー。
【0130】
態様2:態様1の二官能性フェニレンエーテルオリゴマーであって、フェニレンエーテルオリゴマーは30重量パーセント未満の、2位および6位に同一の置換基を有する一価フェノールから誘導された繰り返し単位を含む、二官能性フェニレンエーテルオリゴマー。
【0131】
態様3:態様1または2のフェニレンエーテルオリゴマーであって、2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールから誘導された繰り返し単位が下記構造を有する、フェニレンエーテルオリゴマー。
【化11】
【0132】
態様4:態様1から3のいずれかのフェニレンエーテルオリゴマーであって、フェニレンエーテルオリゴマーは下記構造を有し:
【化12】
式中、Rはメチルまたは水素であり、xおよびyは、独立して0から30であり、ただし、xとyの合計は少なくとも2であることを条件とし、R
1、R
2
、R
3、およびR
4の各事象は独立して、水素、ハロゲン、非置換もしくは置換C
1-12一級もしくは二級ヒドロカルビル、C
1-12ヒドロカルビルチオ、C
1-12ヒドロカルビルオキシ、またはC
2-12ハロヒドロカルビルオキシを含み、少なくとも2つの炭素原子がハロゲンと酸素原子を分離し、zは0または1であり、Yは下記を含む構造を有し;
【化13】
式中、R
7の各事象は独立して水素およびC
1-12ヒドロカルビルを含み、R
8およびR
9の各事象は各々独立して水素、C
1-12ヒドロカルビル、またはC
1-6ヒドロカルビレンであり、R
8およびR
9は集合的にC
4-12アルキレン基を形成し、好ましくは、R
1およびR
2の各事象はメチルであり、R
3およびR
4の各事象は水素であり、zは1であり、Yはイソプロピリデン基である。
【0133】
態様5:態様1から4のいずれかの直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーを製造する方法であって、2-メチル-6-シクロヘキシルフェノールを触媒の存在下で酸化重合させ、フェニレンエーテルオリゴマーを得る工程、ならびに、フェニレンエーテルオリゴマーを(メタ)アクリレート含有化合物と反応させ、直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーを得る工程を含む、方法。
【0134】
態様6:態様5の方法であって、酸化重合させる工程はさらに、ビスフェノール、好ましくはテトラメチルビスフェノールAの存在下である、方法。
【0135】
態様7:態様1から4のいずれかの直鎖二官能性フェニレンエーテルオリゴマーを含む硬化可能な熱硬化性組成物。
【0136】
態様8:態様7の硬化可能な熱硬化性組成物であって、1つ以上の架橋剤、硬化剤、硬化触媒、硬化開始剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、硬化可能な熱硬化性組成物。
【0137】
態様9:態様7または8の硬化可能な熱硬化性組成物であって、1つ以上の難燃剤、フィラー、カップリング剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、硬化可能な熱硬化性組成物。
【0138】
態様10:態様7から9のいずれか1つ以上の硬化可能な熱硬化性組成物の硬化された生成物を含む、硬化された熱硬化組成物であって、好ましくは、熱硬化組成物は、示差走査熱量測定を用いて決定すると、165℃以上、好ましくは170℃以上、より好ましくは165から180℃のガラス転移温度を有し、熱硬化組成物は10GHzの周波数で3.0未満、好ましくは2.75未満、より好ましくは2.6未満の比誘電率を有し、ならびに、熱硬化組成物は10GHzの周波数で0.01未満、または0.005未満の誘電正接を有する、硬化された熱硬化組成物。
【0139】
態様11:態様10の硬化された熱硬化組成物の製造のための方法であって、硬化可能な熱硬化性組成物を、好ましくは50から250℃の温度で硬化させる工程を含む、方法。
【0140】
態様12:態様10の硬化された熱硬化組成物を含む物品であって、好ましくは、物品は複合物、フォーム、繊維、層、コーティング、封入剤、接着剤、シーラント、成型部品、プリプレグ、ケーシング、鋳造品、積層板、またはそれらの組み合わせであり、または、物品はメタルクラッド積層板、電子複合物、構造複合物、またはそれらの組み合わせである、物品。
【0141】
態様13:態様7から9のいずれか1つの硬化可能な熱硬化性組成物、および溶媒を含むワニス組成物。
【0142】
態様14:態様13のワニス組成物から製造された物品であって、好ましくは、繊維、層、コーティング、鋳造品、プリプレグ、複合物、積層板、またはメタルクラッド積層板である、物品。
【0143】
態様15:態様14の物品の製造のための方法であって、ワニス組成物を基材中に含浸させ、プリプレグを形成する工程、ならびに、ワニス組成物を硬化させる工程を含む、方法。
【0144】
組成物、方法、および物品は選択的に、本明細書で開示される任意の適切な材料、工程、または成分を含み、これから構成され、またはこれから本質的に構成され得る。組成物、方法、および物品は加えて、またはその代わりに、組成物、方法、および物品の機能または目的の達成に別段必要とされない、任意の材料(または種)、工程、または成分を欠いている、または実質的に含まないように考案することができる。
【0145】
本明細書で開示される全ての範囲は終点を含み、終点は独立して、互いに組み合わせ可能である。「組み合わせ」はブレンド、混合物、合金、反応生成物、などを含む。「第1の」、「第2の」などという用語は順序、量、または重要性を示さず、むしろ、1つの要素を別の要素と識別するために使用される。「1つの(a、an)」または「その(the)」という用語は量の制限を示さず、本明細書で別記されない限り、または、文脈により明確に否定されない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。「または」は、別段の明確な規定がない限り、「および/または」を意味する。明細書全体を通して、「一態様」への言及は、態様との関連で記載される特定の要素が、本明細書で記載される少なくとも1つの態様に含まれ、他の態様では存在してもしなくてもよいことを意味する。「それらの組み合わせ」という用語は、本明細書では、列挙された要素の1つ以上を含み、限定されておらず、1つ以上の、指名されていない同様の要素の存在を可能にする。加えて、記載された要素は様々な態様において、任意の好適な様式で組み合わせることができることが理解されるべきである。
【0146】
本明細書で反対のことが特定されない限り、全ての試験標準は本出願の出願日、または、優先権が主張されている場合、試験標準が現れる最先の優先権出願の出願日の時点で効力のある最新の標準である。
【0147】
別に規定されない限り、本明細書で使用される技術および科学用語は、本出願が属する分野の当業者により普通に理解されるものと同じ意味を有する。引用される全ての特許、特許出願、および他の参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本出願内の用語が組み込まれる参考文献内の用語と矛盾または対立する場合、本出願の用語が、組み込まれる参考文献の対立する用語に優先する。
【0148】
化合物は、標準命名法を用いて記載される。例えば、任意の示された基により置換されていないいずれの位置も、示された結合、または水素原子により満たされたその原子価を有すると理解される。2つの文字または記号間にないダッシュ(「-」)は、置換基のための結合点を示すために使用される。例えば、-CHOはカルボニル基の炭素を介して結合される。
【0149】
本明細書では、「ヒドロカルビル」という用語は、それだけで使用されるか、あるいは、別の用語の接頭辞、添え字、または断片として使用されるかに関係なく、炭素および水素のみを含有する残基を示す。残基は脂肪族もしくは芳香族、直鎖、環状、二環式、分枝、飽和、または不飽和とすることができる。それはまた、脂肪族、芳香族、直鎖、環状、二環式、分枝、飽和、および不飽和炭化水素部分の組み合わせを含有することができる。しかしながら、ヒドロカルビル残基が置換されたと記載される場合、それは、置換残基の炭素および水素メンバーに加えて任意で、ヘテロ原子を含有してもよい。よって、置換されたと特定的に記載される場合、ヒドロカルビル残基はまた、1つ以上のカルボニル基、アミノ基、ヒドロキシル基、などを含有することができ、または、ヒドロカルビル残基の骨格内にヘテロ原子を含有することができる。「アルキル」という用語は、分枝または直鎖、飽和脂肪族炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、ならびにn-およびs-ヘキシルを意味する。「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖、一価炭化水素基を意味する(例えば、エテニル(-HC=CH2))。「アルコキシ」は、酸素を介して連結されるアルキル基(すなわち、アルキル-O-)、例えばメトキシ、エトキシ、およびsec-ブチルオキシ基を意味する。「アルキレン」は、直鎖または分枝鎖、飽和、二価脂肪族炭化水素基を意味する(例えば、メチレン(-CH2-)または、プロピレン(-(CH2)3-))。「シクロアルキレン」は、二価環状アルキレン基、-CnH2n-xを意味し、式中、xは環化(複数可)にとって代わられる水素の数である。「シクロアルケニル」は1つ以上の環および環内の1つ以上の炭素-炭素二重結合を有する一価基を意味し、全ての環員は炭素である(例えば、シクロペンチルおよびシクロヘキシル)。「アリール」は、特定数の炭素原子を含む芳香族炭化水素基、例えば、フェニル、トロポン、インダニル、またはナフチルを意味する。「アリーレン」は二価アリール基を意味する。「アルキルアリーレン」はアルキル基で置換されたアリーレン基を意味する。「アリールアルキレン」はアリール基で置換されたアルキレン基を意味する(例えば、ベンジル)。接頭辞「ハロ」は、1つ以上のフルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード置換基を含む基または化合物を意味する。異なるハロ原子(例えば、ブロモおよびフルオロ)の組み合わせ、またはクロロ原子のみが存在することができる。接頭辞「ヘテロ」は、化合物または基が、ヘテロ原子である少なくとも1つの環員(例えば、1、2、または3つのヘテロ原子)を含むことを意味し、ヘテロ原子(複数可)は各々、独立してN、O、S、Si、またはPである。「置換された」は、化合物または基が、水素の代わりに、各々、独立して、C1-9アルコキシ、C1-9ハロアルコキシ、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、C1-6アルキルスルホニル(-S(=O)2-アルキル)、C6-12アリールスルホニル(-S(=O)2-アリール)、チオール(-SH)、チオシアノ(-SCN)、トシル(CH3C6H4SO2-)、C3-12シクロアルキル、C2-12アルケニル、C5-12シクロアルケニル、C6-12アリール、C7-13アリールアルキレン、C4-12ヘテロシクロアルキル、およびC3-12ヘテロアリールとすることができる少なくとも1つの(例えば、1、2、3、または4つの)置換基で置換されたことを意味し、ただし、置換された原子の標準原子価を超えないことを条件とする。基内で示される炭素原子の数はいずれの置換基も除外する。例えば、-CH2CH2CNはニトリルで置換されたC2アルキル基である。
【0150】
特定の態様について記載してきたが、現在のところ、予期されない、または、予期され得ない代替、改変、変更、改善および実質的な等価物について、出願人または当業者は、思い着くことができる。したがって、出願された、補正される可能性のある添付の特許請求の範囲は、そのような代替、改変、変更、改善および実質的な等価物を全て包含することが意図される。
【国際調査報告】