IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 上海中車艾森迪海洋装備有限公司の特許一覧

特表2024-516138水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法
<>
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図1
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図2
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図3
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図4
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図5
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図6
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図7
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図8
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図9
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図10
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図11
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図12
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図13
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図14
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図15
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図16
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図17
  • 特表-水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】水中ケーブル敷設用溝堀装置および水中ケーブル敷設方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 5/10 20060101AFI20240405BHJP
   H02G 1/10 20060101ALI20240405BHJP
   H02G 9/02 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
E02F5/10 D
H02G1/10
H02G9/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563931
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2023-10-13
(86)【国際出願番号】 CN2022115856
(87)【国際公開番号】W WO2023159901
(87)【国際公開日】2023-08-31
(31)【優先権主張番号】202210170671.7
(32)【優先日】2022-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523390530
【氏名又は名称】上海中車艾森迪海洋装備有限公司
【氏名又は名称原語表記】CRRC SMD (SHANGHAI) , LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 321, Feizhou Road, Nanhui New Town, Pudong New Area Shanghai 201308, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 定華
(72)【発明者】
【氏名】劉 可安
(72)【発明者】
【氏名】塗 紹平
(72)【発明者】
【氏名】宋 俊輝
(72)【発明者】
【氏名】朱 俊
(72)【発明者】
【氏名】項 立楊
(72)【発明者】
【氏名】王 鴻飛
【テーマコード(参考)】
5G352
5G369
【Fターム(参考)】
5G352EA01
5G369BA02
5G369EA02
(57)【要約】
本発明は、水中ケーブル敷設領域に属し、具体的に、水中ケーブル敷設用溝掘装置および水中ケーブル敷設方法に関し、溝堀機と、溝堀機の後部に設置される犁先モジュールとを含む。前記犁先モジュールは、溝堀機に連結されるベース、ベースに設置されるブラケット、および駆動モジュールによってブラケットに設置されるジェット犁先を含む。前記ベースには、回転台が設置される。ブラケットは、回転台上に回転可能に設置される。ブラケットを回転台に沿って回動させる駆動部材と、ブラケットおよびベースを自由に回動させたり係止させたりするよう制御するための係止構造とをさらに含む。本発明のブラケットは、ベースに沿って自由に回動可能であり、さらに、ジェット犁先が自由に左右揺動可能であり、両側の土壌の押圧で自由に移動可能であり、すなわち、掘削される海溝に伴って自由に揺動する。これにより、犁先モジュールの機械構造が海溝の土壌から余分な作用力を受けることなく、溝堀機および犁先モジュールが過大な応力を受けて機械部材の変形や損傷をもたらすという結果を効果的に回避する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中ケーブル敷設用溝堀装置であって、
溝堀機(14)と、溝堀機(14)の後部に設置される犁先モジュールとを含み、
前記犁先モジュールは、溝堀機(14)に連結されるベース(2)、ベース(2)に設置されるブラケット(6)、および駆動モジュールによってブラケット(6)に設置されるジェット犁先(1)を含み、
前記ベース(2)には、回転台(3)が設置され、
ブラケット(6)は、回転台(3)上に回転可能に設置され、
ブラケット(6)を回転台(3)に沿って回動させる駆動部材(8)と、ブラケット(6)およびベース(2)を自由に回動させたり係止させたりするよう制御するための係止構造とをさらに含むことを特徴とする水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項2】
前記駆動部材(8)は、両端がベース(2)および回転台(3)上にヒンジ連結して設置されるエアシリンダまたは油圧シリンダであり、
係止構造は、エアシリンダまたは油圧シリンダのセルフロックとセルフロック解除の切換え構造であり、エアシリンダまたは油圧シリンダのシリンダブロックの両側を連結する管路(4)およびバルブ(5)を含み、
バルブ(5)は、管路(4)に連通するとエアシリンダまたは油圧シリンダのセルフロックを解除し、管路(4)との連通を遮断するとエアシリンダまたは油圧シリンダをセルフロックさせることを特徴とする請求項1に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項3】
前記係止構造は、ベース(2)に設置される駆動付きの係止ピン、およびブラケット(6)に設置される複数の係止孔を含み、
係止ピンは、係止孔に挿入されてブラケット(6)とベース(2)との回動連結による係止を完成することを特徴とする請求項1に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項4】
前記ジェット犁先(1)の外側または係止構造には、圧力センサが設置されることを特徴とする請求項1に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項5】
ブラケット(6)の両側には、前記ジェット犁先(1)および駆動モジュールがそれぞれ1組設置され、
駆動モジュールは、直線移動モジュール(9)および回転モジュール(10)を含み、
2組の直線移動モジュール(9)は、同軸に設置されて2つのジェット犁先(1)の相対的幅および相対的位置を調節し、
回転モジュール(10)は、直線移動モジュールの移動方向を軸線にしてジェット犁先(1)を回動させ、ジェット犁先(1)を下げたり上げたりすることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項6】
前記直線移動モジュール(9)は、ブラケット(6)に設置される摺動軸(901)を含み、
ジェット犁先(1)の端部には、摺動軸(901)に係合するリング(101)が設置され、
直線移動モジュール(9)は、リング(101)を摺動軸(901)に沿って移動させる第1直線駆動部材(902)をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項7】
前記直線移動モジュール(9)は、ブラケット(6)に設置されるエアシリンダまたは油圧シリンダであり、
ジェット犁先(1)の端部には、エアシリンダまたは油圧シリンダの出力軸に遊嵌するリング(101)が設置されることを特徴とする請求項5に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項8】
前記回転モジュール(10)は、両端がブラケット(6)およびジェット犁先(1)上にヒンジ連結して設置されるエアシリンダまたは油圧シリンダであり、
エアシリンダまたは油圧シリンダが伸縮してリング(101)を摺動軸(901)に沿って回動させることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置を含む水中ケーブル敷設方法であって、
溝堀機(14)および犁先モジュールで溝掘、ケーブル埋設作業を行い、係止構造を係止状態にし、ブラケット(6)をベース(2)に沿って自由に回動させることができないステップS1と、
溝堀機(14)が転舵する場合、係止構造を係止解除状態に変換し、ブラケット(6)をベース(2)に沿って自由に回動させることができるステップS2と、
溝堀機(14)の転舵を終了した後、駆動部材(8)でジェット犁先(1)を適切な角度に調節するとともに、係止構造を係止状態に再び変換するステップS3と、を含むことを特徴とする水中ケーブル敷設方法。
【請求項10】
ステップS2では、溝堀機が転舵するとともに、圧力が予め設定された値よりも大きいと圧力センサが感知した後、係止構造を係止解除状態に変換し、逆の場合、係止構造を係止状態に保持することを特徴とする請求項9に記載の水中ケーブル敷設方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中ケーブル敷設領域に属し、具体的に、水中ケーブル敷設用溝掘装置および水中ケーブル敷設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海底ケーブル敷設作業中に、ケーブルに微小曲りがある場合、車両がケーブルに伴って溝堀作業を行うべきである。その際、即時に曲がってジェット犁先と車輌全体本体との角度を変更しないと、海底以下に延びる犁先が海溝両側の土壌からの押圧力および車両全体との連結応力を受けることになり、機械部材の変形や損傷をもたらす。現在、車両全体とジェット犁先との角度を計算によって制御することも実現しにくく、水中において、ケーブルの敷設方向、掘削海溝と車両全体との角度関係を観測するための可視環境が優れないため、計算を実施しても、算出結果が理想的でなければ、犁先が押圧力を受けて壊れてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする技術的問題は、犁先の損傷を効果的に防止する水中ケーブル敷設用溝掘装置および水中ケーブル敷設方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の内容は、溝堀機と、溝堀機の後部に設置される犁先モジュールとを含む。前記犁先モジュールは、溝堀機に連結されるベース、ベースに設置されるブラケット、および駆動モジュールによってブラケットに設置されるジェット犁先を含む。前記ベースには、回転台が設置される。ブラケットは、回転台上に回転可能に設置される。ブラケットを回転台に沿って回動させる駆動部材と、ブラケットおよびベースを自由に回動させたり係止させたりするよう制御するための係止構造とをさらに含む。
【0005】
さらに、前記駆動部材は、両端がベースおよび回転台上にヒンジ連結して設置されるエアシリンダまたは油圧シリンダである。係止構造は、エアシリンダまたは油圧シリンダのセルフロックとセルフロック解除の切換え構造であり、エアシリンダまたは油圧シリンダのシリンダブロックの両側を連結する管路およびバルブを含む。バルブは、管路に連通するとエアシリンダまたは油圧シリンダのセルフロックを解除し、管路との連通を遮断するとエアシリンダまたは油圧シリンダをセルフロックさせる。
【0006】
さらに、前記係止構造は、ベースに設置される駆動付きの係止ピン、およびブラケットに設置される複数の係止孔を含む。係止ピンは、係止孔に挿入されてブラケットとベースとの回動連結による係止を完成する。
【0007】
さらに、前記ジェット犁先の外側または係止構造には、圧力センサが設置される。
【0008】
さらに、ブラケットの両側には、前記ジェット犁先および駆動モジュールがそれぞれ1組設置される。駆動モジュールは、直線移動モジュールおよび回転モジュールを含む。2組の直線移動モジュールは、同軸に設置されて2つのジェット犁先の相対的幅および相対的位置を調節する。回転モジュールは、直線移動モジュールの移動方向を軸線にしてジェット犁先を回動させ、ジェット犁先を下げたり上げたりする。
【0009】
さらに、前記直線移動モジュールは、ブラケットに設置される摺動軸を含む。ジェット犁先の端部には、摺動軸に係合するリングが設置される。直線移動モジュールは、リングを摺動軸に沿って移動させる第1直線駆動部材をさらに含む。
【0010】
さらに、前記直線移動モジュールは、ブラケットに設置されるエアシリンダまたは油圧シリンダである。ジェット犁先の端部には、エアシリンダまたは油圧シリンダの出力軸に遊嵌するリングが設置される。
【0011】
さらに、前記回転モジュールは、両端がブラケットおよびジェット犁先上にヒンジ連結して設置されるエアシリンダまたは油圧シリンダである。エアシリンダまたは油圧シリンダが伸縮してリングを摺動軸に沿って回動させる。
【0012】
本発明は、水中ケーブル敷設用溝堀装置を含む水中ケーブル敷設方法をさらに提供し、以下のステップを含む。
S1:溝堀機および犁先モジュールで溝堀、ケーブル埋設作業を行い、係止構造を係止状態にし、ブラケットをベースに沿って自由に回動させることができない。
S2:溝堀機が転舵する場合、係止構造を係止解除状態に変換し、ブラケットをベースに沿って自由に回動させることができる。
S3:溝堀機の転舵を終了した後、駆動部材でジェット犁先を適切な角度に調節するとともに、係止構造を係止状態に再び変換する。
【0013】
ステップS2では、溝堀機が転舵するとともに、圧力が予め設定された値よりも大きいと圧力センサが感知した後、係止構造を係止解除状態に変換し、逆の場合、係止構造を係止状態に保持する。
【0014】
本発明の有益な効果は以下通りである。
本発明のブラケットは、ベースにより溝堀機に連結されるとともに、係止構造によりベースに沿って自由に回転したり角度調整が係止したりすることで、多様な状況に適応する。駆動部材がブラケットをベースに沿って回転させる場合、ジェット犁先およびケーブルプレス機の揺れ方向を調整可能であり、さらに、ジェット犁先と水底ケーブルの初期の突き合いおよび後続のケーブル埋設過程における曲げ操作を容易にする。ケーブル埋設過程かつ曲げ過程(特に、水底の土壌が硬すぎる)または水底ケーブルが曲がる場合、係止構造で係止を解除し、ブラケットがベースに沿って自由に回動可能であり、さらに、ジェット犁先が自由に左右揺動可能であり、両側の土壌の押圧で自由に移動可能であり、すなわち、掘削される海溝に伴って自由に揺動する。これにより、犁先モジュールの機械構造が海溝の土壌から余分な作用力を受けることなく、溝堀機および犁先モジュールが過大な応力を受けて機械部材の変形や損傷をもたらすという結果を効果的に回避する。本発明によれば、従来、水中において、ケーブルの敷設方向、掘削海溝と車両全体との角度関係を観測するための可視環境が優れないため、ケーブルの敷設方向、掘削海溝と溝堀機との角度関係を計算によって制御しにくく、最終的に上述した場合に犁先モジュールが付勢されて押圧されて変形、損傷するといった問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の犁先モジュールの正面図である。
図2】本発明の犁先モジュールの上面図である。
図3】本発明の正面図である。
図4】本発明の犁先モジュールの幅調整を示す図である。
図5】本発明の犁先モジュールの角度調整を示す図である。
図6】本発明の犁先モジュールの下げ、上げを示す図である。
図7】本発明が水底ケーブルの上方に位置する場合の上面図である。
図8】本発明が水底ケーブルの上方に位置する場合の正面図である。
図9】本発明の遠い側のジェット犁先を下げた場合の上面図である。
図10】本発明の遠い側のジェット犁先を下げた場合の正面図である。
図11】本発明の2つのジェット犁先および水底ケーブル位置を調節する場合の上面図である。
図12】本発明の2つのジェット犁先および水底ケーブル位置を調節する場合の正面図である。
図13】本発明の他の犁先を下げた場合の上面図である。
図14】本発明の他の犁先を下げた場合の正面図である。
図15】本発明の2つのジェット犁先の幅調整を示す上面図である。
図16】本発明の2つのジェット犁先の幅調整を示す正面図である。
図17】本発明の水底ケーブルが曲がる場合を示す上面図である。
図18】本発明の係止構造の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図18に示すように、本発明は、水中ケーブル敷設用溝堀装置を提供し、溝堀機14と、溝堀機14の後部に設置される犁先モジュールとを含む。前記犁先モジュールは、溝堀機14に連結されるベース2、ベース2に設置されるブラケット6、および駆動モジュールによってブラケット6に設置されるジェット犁先1を含む。前記ベース2には、回転台3が設置される。ブラケット6は、回転台3上に回転可能に設置される。水中ケーブル敷設用溝堀装置は、ブラケット6を回転台3に沿って回動させる駆動部材8と、ブラケット6およびベース2を自由に回動させたり係止させたりするよう制御するための係止構造とをさらに含む。
【0017】
本発明のブラケット6は、ベース2により溝堀機14に連結されるとともに、係止構造によりベース2に沿って自由に回転したり角度調整が係止したりすることで、多様な状況に適応する。駆動部材8がブラケット6をベース2に沿って回転させる場合、ジェット犁先1およびケーブルプレス機11の揺れ方向を調整可能であり、さらに、ジェット犁先1と水底ケーブル15の初期の突き合いおよび後続のケーブル埋設過程における曲げ操作を容易にする。ケーブル埋設過程かつ曲げ過程(特に、水底の土壌が硬すぎる)または水底ケーブル15が曲がる場合、係止構造で係止を解除し、ブラケット6がベース2に沿って自由に回動可能であり、さらに、ジェット犁先1が自由に左右揺動可能であり、両側の土壌の押圧で自由に移動可能であり、すなわち、掘削される海溝に伴って自由に揺動する。これにより、犁先モジュールの機械構造が海溝の土壌から余分な作用力を受けることなく、溝堀機および犁先モジュールが過大な応力を受けて機械部材の変形や損傷をもたらすという結果を効果的に回避する。本発明によれば、従来、水中において、ケーブルの敷設方向、掘削海溝と車両全体との角度関係を観測するための可視環境が優れないため、ケーブルの敷設方向、掘削海溝と溝堀機14との角度関係を計算によって制御しにくく、最終的に上述した場合に犁先モジュールが付勢されて押圧されて変形、損傷するといった問題を解決する。
【0018】
前記駆動部材8は、両端がベース2および回転台3上にヒンジ連結して設置されるエアシリンダまたは油圧シリンダであり、好ましくは、油圧シリンダであり、係止および係止解除を容易に実現する。具体的には、図18に示すように、係止構造は、エアシリンダまたは油圧シリンダのセルフロックとセルフロック解除の切換え構造であり、エアシリンダまたは油圧シリンダのシリンダブロックの両側を連結する管路4およびバルブ5を含む。バルブ5は、管路4に連通するとエアシリンダまたは油圧シリンダのセルフロックを解除し、管路4との連通を遮断するとエアシリンダまたは油圧シリンダをセルフロックさせる。セルフロックの状態では、ブラケット6は、ベース2に沿って自由に回動できず、位置がロックされ、ジェット犁先1の角度および溝掘方向を容易に調節する。セルフロック解除の状態では、ブラケット6は、ベース2に沿って自由に回動可能である。こうすることで、ジェット犁先1が両側の土壌から押圧され、犁先モジュールの機械構造が海溝の土壌から余分な作用力を受けることなく、溝堀機および犁先モジュールが過大な応力を受けて機械部材の変形や損傷をもたらすという結果を効果的に回避する。本実施例に係る駆動部材8は、係止構造として、構造全体の複雑さを効果的に簡略化し、操作と制御が簡単かつ確実である。
【0019】
前記係止構造は、ベース2に設置される駆動付きの係止ピン、およびブラケット6に設置される複数の係止孔を含む。係止ピンは、係止孔に挿入されてブラケット6とベース2との回動連結による係止を完成する。このような形態であれば、係止が安定かつ確実である。
【0020】
前記ジェット犁先1の外側または係止構造には、圧力センサが設置される。圧力センサは、溝堀過程において、ジェット犁先1が転舵する場合に受けた圧力を容易に検知する。
【0021】
ブラケット6の両側には、前記ジェット犁先1および駆動モジュールはそれぞれ1組設置される。駆動モジュールは、直線移動モジュール9および回転モジュール10を含む。2組の直線移動モジュール9は、同軸に設置されて2つのジェット犁先1の相対的幅および相対的位置を調節する。回転モジュール10は、直線移動モジュールの移動方向を軸線にしてジェット犁先1を回動させ、ジェット犁先1を下げたり、上げたりする。こうすることで、ジェット犁先1は、型番の異なる水底ケーブル15の埋設および溝掘の幅に容易に適する。
【0022】
前記直線移動モジュール9は、ブラケット6に設置される摺動軸901を含む。ジェット犁先1の端部には、摺動軸901に係合するリング101が設置される。直線移動モジュール9は、リング101を摺動軸901に沿って移動させる第1直線駆動部材902をさらに含む。
【0023】
前記直線移動モジュール9は、ブラケット6に設置される摺動軸901を含む。ジェット犁先1の端部には、摺動軸901に係合するリング101が設置される。直線移動モジュール9は、リング101を摺動軸901に沿って移動させる第1直線駆動部材902をさらに含む。本実施例では、直線移動モジュール9の移動が容易になり、第1直線駆動部材902は油圧シリンダであることが好ましい。油圧シリンダが伸縮すると、リング101を摺動軸901に沿って直接運動させる。また、リング101が摺動軸901に外嵌され、ジェット犁先1が摺動軸901に沿って回動可能である。さらに、リング101および摺動軸901の配置により、ジェット犁先1の摺動と遊嵌を同時に実現し、移動と回動の同軸配置を容易にする。なお、前記回転モジュール10は、両端がブラケット6およびジェット犁先1にヒンジ連結して設置されるエアシリンダまたは油圧シリンダであり、リング101および摺動軸901の配置に合わせ、エアシリンダまたは油圧シリンダが伸縮してリング101を摺動軸901に沿って回動させる。また、本実施例では、回転モジュール10の両端は、ブラケット6およびジェット犁先1に球状にヒンジ連結されることで、リング101を摺動軸901に沿って摺動させた後でも効果的に係合可能である。
【0024】
本発明は、水中ケーブル敷設用溝堀装置を含む水中ケーブル敷設方法をさらに提供し、以下のステップを含む。
S1:溝堀機14および犁先モジュールで溝堀、ケーブル埋設作業を行い、係止構造を係止状態にし、ブラケット6をベース2に沿って自由に回動させることができない。
S2:溝堀機14が転舵する場合、係止構造を係止解除状態に変換し、ブラケット6をベース2に沿って自由に回動させることができる。具体的な操作としては、ジェット犁先1の外側または係止構造に設置される圧力センサにより、ジェット犁先1が海溝の両側の土壌から受けた押圧力が大き過ぎるとともに、溝堀機14との連結応力が大き過ぎる場合、係止構造でブラケット6とベースとの係止を解除し、ブラケット6をベースに沿って自由に回転させることが可能であり、逆の場合、動作しない。
S3:溝堀機14の転舵を終了した後、駆動部材8でジェット犁先1を適切な角度に調節するとともに、係止構造を係止状態に再び変換する。
【0025】
この方法によれば、構造の安定、確実性を保証し、水中において、水底ケーブル15の敷設方向、掘削海溝と車両全体との角度関係を観測するための可視環境が優れないため、犁先モジュールが押圧力を受けて壊れてしまうといった問題を解決する。
【0026】
当業者であれば、上述した実施例の説明が例示したものであり、本発明の保護範囲がこれらの例に限定されないことを理解されたい。本発明の思想によれば、上記の実施例または異なる実施例に技術的特徴を組み合わせたり、ステップを任意の順序で実現したりしてもよいし、上述した本発明の1つ以上の実施例の異なる形態の多くの他の変形が存在してもよいが、簡潔化のために詳細な説明を省略する。
【0027】
本発明の1つ以上の実施例は、本発明の広い範囲内に該当する置換や修正、変形を含む。そのため、本発明の1つ以上の実施例の精神および原理から逸脱しなければ、これらの実施例に対して様々な省略、修正、同等の置換、改善などを行うことができるが、いずれも本発明の保護範囲に属する。
【0028】
1 ジェット犁先
101 リング
2 ベース
3 回転台
4 管路
5 バルブ
6 ブラケット
8 駆動部材
9 直線移動モジュール
901 摺動軸
902 直線駆動部材
10 回転モジュール
11 ケーブルプレス機
14 溝堀機
15 水底ケーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-10-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中ケーブル敷設用溝堀装置であって、
溝堀機(14)と、溝堀機(14)の後部に設置される犁先モジュールとを含み、
前記犁先モジュールは、溝堀機(14)に連結されるベース(2)、ベース(2)に設置されるブラケット(6)、および駆動モジュールによってブラケット(6)に設置されるジェット犁先(1)を含み、
前記ベース(2)には、回転台(3)が設置され、
ブラケット(6)は、回転台(3)上に回転可能に設置され、
ブラケット(6)を回転台(3)に沿って回動させる駆動部材(8)と、ブラケット(6)およびベース(2)を自由に回動させたり係止させたりするよう制御するための係止構造とをさらに含むことを特徴とする水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項2】
前記駆動部材(8)は、両端がベース(2)および回転台(3)上にヒンジ連結して設置されるエアシリンダまたは油圧シリンダであり、
係止構造は、エアシリンダまたは油圧シリンダのセルフロックとセルフロック解除の切換え構造であり、エアシリンダまたは油圧シリンダのシリンダブロックの両側を連結する管路(4)およびバルブ(5)を含み、
バルブ(5)は、管路(4)に連通するとエアシリンダまたは油圧シリンダのセルフロックを解除し、管路(4)との連通を遮断するとエアシリンダまたは油圧シリンダをセルフロックさせることを特徴とする請求項1に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項3】
前記係止構造は、ベース(2)に設置される駆動付きの係止ピン、およびブラケット(6)に設置される複数の係止孔を含み、
係止ピンは、係止孔に挿入されてブラケット(6)とベース(2)との回動連結による係止を完成することを特徴とする請求項1に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項4】
前記ジェット犁先(1)の外側または係止構造には、圧力センサが設置されることを特徴とする請求項1に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項5】
ブラケット(6)の両側には、前記ジェット犁先(1)および駆動モジュールがそれぞれ1組設置され、
駆動モジュールは、直線移動モジュール(9)および回転モジュール(10)を含み、
2組の直線移動モジュール(9)は、同軸に設置されて2つのジェット犁先(1)の相対的幅および相対的位置を調節し、
回転モジュール(10)は、直線移動モジュールの移動方向を軸線にしてジェット犁先(1)を回動させ、ジェット犁先(1)を下げたり上げたりすることを特徴とする請求項に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項6】
前記直線移動モジュール(9)は、ブラケット(6)に設置される摺動軸(901)を含み、
ジェット犁先(1)の端部には、摺動軸(901)に係合するリング(101)が設置され、
直線移動モジュール(9)は、リング(101)を摺動軸(901)に沿って移動させる第1直線駆動部材(902)をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項7】
前記直線移動モジュール(9)は、ブラケット(6)に設置されるエアシリンダまたは油圧シリンダであり、
ジェット犁先(1)の端部には、エアシリンダまたは油圧シリンダの出力軸に遊嵌するリング(101)が設置されることを特徴とする請求項5に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項8】
前記回転モジュール(10)は、両端がブラケット(6)およびジェット犁先(1)上にヒンジ連結して設置されるエアシリンダまたは油圧シリンダであり、
エアシリンダまたは油圧シリンダが伸縮してリング(101)を摺動軸(901)に沿って回動させることを特徴とする請求項6記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の水中ケーブル敷設用溝堀装置を含む水中ケーブル敷設方法であって、
溝堀機(14)および犁先モジュールで溝掘、ケーブル埋設作業を行い、係止構造を係止状態にし、ブラケット(6)をベース(2)に沿って自由に回動させることができないステップS1と、
溝堀機(14)が転舵する場合、係止構造を係止解除状態に変換し、ブラケット(6)をベース(2)に沿って自由に回動させることができるステップS2と、
溝堀機(14)の転舵を終了した後、駆動部材(8)でジェット犁先(1)を適切な角度に調節するとともに、係止構造を係止状態に再び変換するステップS3と、を含むことを特徴とする水中ケーブル敷設方法。
【請求項10】
ステップS2では、溝堀機が転舵するとともに、圧力が予め設定された値よりも大きいと圧力センサが感知した後、係止構造を係止解除状態に変換し、逆の場合、係止構造を係止状態に保持することを特徴とする請求項9に記載の水中ケーブル敷設方法。
【国際調査報告】