(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】磁気吻合圧縮装置を送りかつ位置決めし、次いで吻合部を形成するためのシステム、装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61B 17/11 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A61B17/11
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564380
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 US2022025338
(87)【国際公開番号】W WO2022225919
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517022692
【氏名又は名称】ジーアイ ウィンドウズ, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】G.I. Windows, Inc.
【住所又は居所原語表記】381 University Ave., Westwood, MA 02090, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー エム. ウォレス
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン ピー. ボドゥッチ
(72)【発明者】
【氏名】デイン ティー. セドン
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160CC02
4C160CC32
4C160CC40
4C160MM43
(57)【要約】
本発明は、組織間に吻合部を形成するために所望の標的部位における磁気圧縮装置の留置および固定を改良するための固定装置を含むシステムを提供する。送り装置は、最適な留置とその後の吻合部形成とを達成するために、一旦標的組織に送られた装置の位置決めおよび/または操作に使用される、縫合糸またはワイヤ等の1つ以上のガイド部材を含む磁気圧縮装置の留置および固定に用いられるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者内の所望の標的部位における磁気圧縮装置の留置および固定を支援するための固定装置であって、当該固定装置は、
近位端部と、反対側の遠位端部と、前記近位端部および前記遠位端部を全体的に貫通して延びる中心開口とを有する本体を含むボタン部材であって、前記開口は、標的部位において第1の遠位吻合装置に結合された1つ以上のガイド部材を受容して通すように成形されかつ/または寸法設定されており、前記ボタン部材は、前記1つ以上のガイド部材に沿って、患者内の前記標的部位に向かって移動することができ、これにより、前記ボタン部材は、腸切開部および前記第1の吻合装置に対してセンタリングされている、ボタン部材と、
遠位端部と、反対側の近位端部とを含むプラグ部材であって、該プラグ部材の前記遠位端部は、前記ボタン部材の前記中心開口の少なくとも近位部分内に受容され、そこに摩擦嵌めにより保持されるように成形されかつ/または寸法設定され、これにより、前記1つ以上のガイド部材と、前記第1の吻合装置とを、組織および/または臓器の壁に対して所定の位置に固定する、プラグ部材と
を含む、固定装置。
【請求項2】
前記プラグ部材は、幅が先細になっており、前記近位端部は、前記遠位端部よりも広幅である、請求項1記載の固定装置。
【請求項3】
前記ボタン部材は、前記第1の吻合装置と第2の吻合装置との間に位置決めされるように成形されかつ/または寸法設定されている、請求項1または2記載の固定装置。
【請求項4】
前記ボタン部材の直径は、前記腸切開部の直径よりも大きい、請求項1から3までのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項5】
前記近位端部は、スロープ形状を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項6】
前記近位端部は、ドーム形状を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項7】
前記ボタン部材の前記遠位端部は、前記患者の中空体の第1の組織壁の一部に係合するように構成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項8】
前記中心開口の少なくとも前記近位部分は、前記ボタン部材の前記近位端部に隣接する前記中心開口の最近位開口から前記ボタン部材の前記遠位端部に隣接する前記中心開口の最遠位開口に向かって幅が先細になっている、請求項2記載の固定装置。
【請求項9】
前記ボタン部材および前記プラグ部材はそれぞれ、医療用グレード材料を含む、請求項1から8までのいずれか1項記載の固定装置。
【請求項10】
圧縮吻合装置の留置および固定を支援するための固定装置であって、
患者内の組織壁に対して標的部位に位置決めされた圧縮吻合装置の位置を保持する、遠位端部と反対側の近位端部との間の本体を含む、展開可能な自己集合式の固定部材を含み、
前記固定部材は、前記遠位端部と前記近位端部との間で腸切開部を捕捉することができ、かつ
前記固定装置は、前記圧縮吻合装置が第2の吻合装置に結合されるまで、前記圧縮吻合装置を前記組織壁に対して所定の位置に保持することができる、
固定装置。
【請求項11】
前記固定部材は、患者内で展開する前は、アクセス装置内に圧縮構成で格納されている、請求項10記載の装置。
【請求項12】
前記患者内への展開に際して、前記固定部材は展開構成へと拡張することができる、請求項10または11記載の装置。
【請求項13】
前記固定部材は、円形固定部材である、請求項10から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
前記固定部材は、バルーン固定部材である、請求項10から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項15】
前記固定部材は、「花弁」固定部材である、請求項10から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項16】
前記固定部材は、ラチェット固定部材である、請求項10から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
前記固定部材は、バルジチューブ固定部材である、請求項10から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項18】
前記固定部材は、渦巻ばね固定部材である、請求項10から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項19】
圧縮吻合装置の留置および固定を支援するための装置であって、
遠位端部と反対側の近位端部との間の本体を有する制限部材を含み、
該制限部材は、前記近位端部と前記遠位端部との間に一対の吻合装置を捕捉することができ、前記近位端部は、近位吻合装置に固く取り付けられており、前記遠位端部は、遠位吻合装置に固く取り付けられており、かつ
前記制限部材は、圧縮方向にのみ移動することができ、これにより、前記近位吻合装置と前記遠位吻合装置との間の距離のいかなる増大も防止する、
装置。
【請求項20】
前記制限部材は、患者内で展開する前は、アクセス装置内に圧縮構成で格納されている、請求項19記載の装置。
【請求項21】
前記患者内への展開に際して、前記制限部材は展開構成へと拡張することができる、請求項19または20記載の装置。
【請求項22】
前記制限部材は、前記展開構成から圧縮構成に収縮することができ、かつ前記患者から除去するために前記アクセス装置内に引っ込められる、請求項19から21までのいずれか1項記載の装置。
【請求項23】
前記制限部材は、バルーン制限部材である、請求項19から22までのいずれか1項記載の装置。
【請求項24】
前記制限部材は、ワイヤアレイ制限部材である、請求項19から22までのいずれか1項記載の装置。
【請求項25】
前記制限部材は、「花弁」制限部材である、請求項19から22までのいずれか1項記載の装置。
【請求項26】
前記制限部材は、バルジチューブ制限部材である、請求項19から22までのいずれか1項記載の装置。
【請求項27】
前記制限部材は、ラチェット制限部材である、請求項19から22までのいずれか1項記載の装置。
【請求項28】
前記制限部材は、サスペンダ制限部材である、請求項19から22までのいずれか1項記載の装置。
【請求項29】
前記制限部材は、鉄筋結合制限部材である、請求項19から22までのいずれか1項記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2021年4月20日に出願されたSYSTEMS, DEVICES, AND METHODS FOR DELIVERING AND POSITIONING MAGNETIC ANASTOMOSIS COMPRESSION DEVICES FOR SUBSEQUENT FORMATION OF ANASTOMOSESと題する米国仮特許出願第63/177200号(代理人整理番号121326-10901)の利益を主張し、これはその全体を参照することにより、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本特許出願の主題は、2020年12月1日に出願されたSYSTEMS, DEVICES, AND METHODS FOR FORMING ANASTOMOSESと題する米国特許出願第17/108840号(代理人整理番号121326-11101)の主題に関連する可能性があり、米国特許出願第17/108840号は、2019年6月3日の国際出願日を有する国際特許出願番号PCT/US2019/035202(代理人整理番号121326-11102)の一部継続出願であり、したがってその優先権を主張するものであり、国際特許出願番号PCT/US2019/035202は、2018年6月2日に出願された米国仮出願第62/679810号、2019年1月30日に出願された米国仮出願第62/798809号、および2019年2月22日に出願された米国仮出願第62/809354号の利益および優先権を主張するものであり、これらの内容はそれぞれ、その全体を参照することにより、本明細書に組み込まれる。
【0003】
技術分野
本発明は、展開可能な磁気圧縮装置に関し、より詳細には、磁気圧縮装置を所望の部位に展開しかつ位置決めし、これにより、組織、臓器等の間での吻合部形成の精度を向上させるためのシステム、装置および方法に関する。
【0004】
背景技術
胃腸(GI)系、心臓血管系または泌尿器系のバイパスは、典型的には2箇所の組織に穿孔し、これらの孔を、縫合糸またはステープルにより接続することにより形成される。バイパスは、典型的には系の比較的健常な部位の間に流体(例えば血液、栄養素)を経由させるために留置される一方で、疾患組織または機能不全組織をバイパスする。処置は、典型的には侵襲的であり、出血、感染、痛みおよび麻酔に対する副作用等のリスクに患者をさらす。追加的に、縫合糸またはステープルにより形成されたバイパスは、術後の漏れおよび癒着により合併症を引き起こす恐れがある。漏れは、結果として感染または敗血症を引き起こすことがあるのに対し、癒着は、結果として腸絞扼や腸閉塞等の合併症を引き起こすことがある。従来のバイパス処置は、内視鏡、腹腔鏡またはロボットを用いて完了することができるが、組織に穿孔された孔を接続するのに時間を要することがある。さらに、このような処置は、多くの外科施設では利用することができない特別な専門技術および機器を必要とする。
【0005】
縫合糸またはステープルの代わりに、外科医は、組織間に圧縮吻合部を形成するために機械的なカップリングまたは磁石を使用することができる。例えば、接続されるべき組織に圧縮カップリングまたは磁石対を送ることができる。強力な圧縮のために、カップリングまたは磁石の間に閉じ込められた組織は、その血液供給部から切り離される。これらの状況下で、組織は壊死して変質し、同時に新たな組織が圧縮点の周り、例えばカップリングの縁部において成長する。時間が経つと、カップリングを取り外すことができ、組織間には治癒した吻合部が残る。
【0006】
それにもかかわらず、磁石またはカップリングの留置は困難であるため、圧縮吻合を用いることができる位置は限られている。ほとんどの場合、磁石またはカップリングは、2つの別個のアセンブリとして送られねばならず、開けた外科領域またはかさばる送り装置のいずれかを必要とする。例えば、既存の磁気圧縮装置は、送り導管、例えば内視鏡器具チャネルまたは腹腔鏡ポートと共に展開されるのに十分小さな構造に限られている。これらの比較的小さな構造が使用された場合、形成される吻合部は小さく、短期開存性に悩まされる。さらに、磁石またはカップリングの留置が不正確な場合があり、このことは、望ましくない位置または不正確な位置での吻合部形成を招く恐れがある。
【0007】
したがって、人体内の組織間での圧縮吻合部形成を容易にする信頼性の高い装置および低侵襲処置に対する臨床ニーズが依然として存在する。
【0008】
概要
本発明の様々な実施形態は、体内に吻合部を低侵襲で形成するために改良された装置および技術を提供する。このような装置および技術は、肥満や糖尿病等の慢性疾患のための、より速く、より安価な治療を容易にする。またこのような技術は、癌等の疾患のための緩和治療に伴う時間を短縮すると共に痛みを低減させる。
【0009】
より具体的には、本発明は、組織間に吻合部を形成するために所望の標的部位における磁気圧縮装置の留置および固定を改良するための固定装置を提供する。固定装置は、最適な留置および吻合部形成を達成するために、一旦標的組織に送られた装置の位置決めおよび/または操作に使用される、縫合糸またはワイヤ等の1つ以上のガイド部材を含む磁気圧縮装置の留置および固定に用いられるように構成されている。
【0010】
例えば本明細書において説明する1つの実施形態では、圧縮吻合装置のための固定装置は、1つ以上のガイド部材を受容するように成形されかつ寸法設定されたボタン部材を含む。ガイド部材は、遠位圧縮吻合装置に結合されていてよく、ガイド部材は、ガイド部材に沿って送り装置から遠位吻合装置および標的部位に向かって移動可能であってよい。1つの実施形態では、次いでボタン部材は、腸切開部および遠位吻合装置に対してセンタリングされ得る。1つの実施形態によれば、ボタン部材の近位端部内に受容されるように成形されかつ寸法設定されたプラグ部材が、摩擦嵌めによりボタン部材内に固定されており、これにより、1つ以上のガイド部材と遠位吻合装置とを標的部位における所定の位置に固定する。
【0011】
様々な択一的な実施形態において、プラグ部材は、幅が先細になっており、近位端部が、遠位端部よりも広幅になっている。ボタン部材の中心開口も、最近位開口から最遠位開口に向かって幅が先細になっていてよい。ボタン部材は、遠位吻合装置と近位吻合装置との間に位置決めされるように成形されかつ/または寸法設定されていてもよい。ボタン部材は、形成された腸切開部の直径よりも大きな直径を有するように寸法設定されていてもよい。様々な択一的な実施形態において、ボタン部材の近位端部は、スロープ形状および/またはドーム形状であってよい。ボタン部材は、患者の中空体の第1の組織壁の一部に係合するように構成されていてもよい。ボタン部材とプラグ部材とは両方共、医療用グレード材料から製造され得る。
【0012】
1つの択一的な実施形態では、圧縮吻合装置を固定するための固定装置は、展開可能な自己集合式の固定部材を含む。自己集合式の固定部材は、患者内の組織壁に対して標的部位に位置決めされた圧縮吻合装置の位置を保持することができるようになっていてよい。様々な実施形態において、固定部材は、成形された腸切開部を部材の遠位端部と近位端部との間に捕捉し、圧縮吻合装置が第2の圧縮吻合装置と結合するまで圧縮吻合装置を所定の位置に保持することができるようになっていてよい。
【0013】
様々な択一的な実施形態において、固定部材は、送り装置内では圧縮されており、送り装置から出ると、展開構成へと拡張することができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、固定部材は、円形装置、バルーン装置、「花弁」装置、ラチェット装置、バルジチューブ装置、または渦巻ばね装置であってよい。
【0015】
1つの択一的な実施形態では、圧縮吻合装置の留置および固定を支援するための装置は、いくつかの実施形態において一対の圧縮吻合装置を部材の近位端部と遠位端部との間に捕捉することができる制限部材を含む。いくつかの実施形態では、制限部材は、遠位吻合装置に固く取り付けられていてよい。いくつかの実施形態では、制限部材は、圧縮方向にのみ移動することができ、これにより、近位吻合装置と遠位吻合装置との間の距離のいかなる増大も防止する。
【0016】
様々な択一的な実施形態において、制限部材は、送り装置内では圧縮され得、送り装置から出ると、展開構成へと拡張することができるようになっていてよい。いくつかの実施形態では、制限部材は、圧縮されて圧縮構成に戻り、これにより、送り装置内へ引っ込められて患者から除去されることができるようになっていてよい。
【0017】
様々な択一的な実施形態において、制限部材は、バルーン、ワイヤアレイ、「花弁」、バルジチューブ、ラチェット装置、サスペンダ装置、および/または鉄筋結合装置であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
請求する主題の特徴および利点は、それらと一致する実施形態の以下の詳細な説明から明らかになり、この説明は、添付の図面を参照して論ずるものである。
【
図1】本開示と一致する吻合部形成システムの概略図である。
【
図2】吻合部形成のためのいくつかの潜在的な解剖学的標的を示す図であり、矢印Aは胃から小腸、矢印Bは小腸から大腸、矢印Cは小腸から小腸、矢印Dは大腸から大腸、矢印Eは胃から大腸である。
【
図3】個々の磁石セグメントが自己集合し、より大きな磁気構造、この特定のケースでは八角形を形成するように、内視鏡器具チャネルを通じて送られる例示的な磁気吻合装置を示す図である。
【
図4A】組織を介して互いに引き付け合う2つの磁気吻合装置を示す図である。図示のように、装置はそれぞれ8つの磁気セグメントを有しているが、代替的な構成も可能である。2つの装置が結合すると、装置同士の間に閉じ込められた組織は壊死することになり、形成しようとする吻合部を生ぜしめる。択一的に、装置により結合された組織は、装置が結合した後に穿孔され、これにより、直ちに吻合部が形成されてもよい。
【
図4B】磁気引力により結合し合い、介在組織を捕捉する2つの磁気吻合装置を示す図である。いくつかの例では、取り囲まれた組織を切断するために内視鏡が使用され得る。
【
図5A】中空体の第1の部分内の標的部位に第1の磁気装置を送る針を示す図である。
【
図5B】次いで、標的部位に隣接する中空体の第2の部分内に第2の磁気装置が展開されたところを示す図である。
【
図6】
図6Aは、超音波内視鏡案内された針による、胆嚢内への磁石アセンブリの送出を示す図であって、この磁石アセンブリは次いで
図6Bに示すように、胃または十二指腸内の第2の磁石アセンブリと結合する。
【
図7】磁気吻合装置を展開して操作するための単一のガイド部材を示す図である。
【
図8A】複数のガイド部材を備えた自己閉鎖式の磁気吻合装置の展開を示す図である。
【
図8B】複数のガイド部材を備えた自己閉鎖式の磁気吻合装置の展開を示す図である。
【
図8C】複数のガイド部材を備えた自己閉鎖式の磁気吻合装置の展開を示す図である。
【
図8D】複数のガイド部材を備えた自己閉鎖式の磁気吻合装置の展開を示す図である。
【
図8E】複数のガイド部材を備えた自己閉鎖式の磁気吻合装置の展開を示す図である。
【
図8F】複数のガイド部材を備えた自己閉鎖式の磁気吻合装置の展開を示す図である。
【
図9A】アクセス装置の針を介して、標的部位における第1の組織の少なくとも第1の部分に腸切開部を形成するところを示す図である。
【
図9B】アクセス装置の針を介して、標的部位における第1の組織の少なくとも第1の部分に腸切開部を形成するところを示す図である。
【
図9C】第1の組織に対する第1の磁気吻合装置の送給および自己集合を示す図である。
【
図9D】第1の磁気吻合装置に結合されたガイド部材を操作することにより第1の磁気吻合装置を位置決めし、かつ固定装置を介して第1の磁気吻合装置を所定の位置に固定するところを示す図である。
【
図9E】第1の磁気吻合装置に結合されたガイド部材を操作することにより第1の磁気吻合装置を位置決めし、かつ固定装置を介して第1の磁気吻合装置を所定の位置に固定するところを示す図である。
【
図9F】第1の磁気吻合装置に結合されたガイド部材を操作することにより第1の磁気吻合装置を位置決めし、かつ固定装置を介して第1の磁気吻合装置を所定の位置に固定するところを示す図である。
【
図9G】第1の磁気吻合装置に結合されたガイド部材を操作することにより第1の磁気吻合装置を位置決めし、かつ固定装置を介して第1の磁気吻合装置を所定の位置に固定するところを示す図である。
【
図9H】第2の磁気吻合装置を、標的部位において第1の組織に隣接する第2の組織に送りかつ位置決めし、次いで、第1の磁気吻合装置と第2の磁気吻合装置とを磁気引力により互いに結合し、これにより、組織を圧縮した後に吻合部を形成するところを示す図である。
【
図9I】第2の磁気吻合装置を、標的部位において第1の組織に隣接する第2の組織に送りかつ位置決めし、次いで、第1の磁気吻合装置と第2の磁気吻合装置とを磁気引力により互いに結合し、これにより、組織を圧縮した後に吻合部を形成するところを示す図である。
【
図10】1つの例示的な実施形態による、腸切開部の、圧縮吻合装置とは反対の側から膨らませることができるバルーン固定機構を示す図である。
【
図11】1つの例示的な実施形態による、腸切開部の、圧縮吻合装置とは反対の側から自己展開することができる円形固定機構を示す図である。
【
図12】1つの例示的な実施形態による、腸切開部の、圧縮吻合装置とは反対の側から展開することができる「花弁」固定機構を示す図である。
【
図13】1つの例示的な実施形態による、腸切開部の、圧縮吻合装置とは反対の側から展開することができる固定機構であって、圧縮方向への移動のみを可能にし、圧縮吻合装置と固定機構との間の距離のいかなる増大も防止するラチェット機構も含む、固定機構を示す図である。
【
図14】1つの例示的な実施形態による、2つの端部を互いに向かって引っ張ることにより腸切開部の両側で拡張し、これにより、圧縮吻合装置を腸切開部の部位に固定するバルジチューブ固定機構を示す図である。
【
図15】1つの例示的な実施形態による、腸切開部の、圧縮吻合装置とは反対の側から展開することができる渦巻ばね固定機構を示す図である。
【
図16】1つの例示的な実施形態による、バルーン制限機構を示す図である。
【
図17】1つの例示的な実施形態による、ワイヤアレイ制限機構を示す図である。
【
図18】1つの例示的な実施形態による、「花弁」制限機構を示す図である。
【
図19】1つの例示的な実施形態による、バルジチューブ制限機構を示す図である。
【
図20】1つの例示的な実施形態による、圧縮方向への移動のみを可能にし、圧縮吻合装置と固定機構との間の距離のいかなる増大も防止するラチェット機構も含む制限機構を示す図である。
【
図21】1つの例示的な実施形態による、サスペンダを備えた制限機構を示す図である。
【
図22】1つの例示的な実施形態による、鉄筋結合制限機構を示す図である。
【0019】
本開示を完全に理解するためには、上述の図面に関連した、添付の特許請求の範囲を含む以下の詳細な説明を参照されたい。本開示は、例示的な実施形態に関連して説明されているが、本開示は、本明細書に示された特定の形式に限定されることを意図したものではない。状況により示唆された場合または好都合になる場合には様々な省略および均等の置換が予想される、ということは自明である。
【0020】
詳細な説明
本発明は、組織間に吻合部を形成するために所望の標的部位における磁気圧縮装置の留置を改良するためのシステムを提供する。システムは一般に、標的部位における中空体の組織の第1の部分と中空体の組織の第2の部分との間に吻合部を形成するために患者の中空体内に設けられ、中空体内の標的部位(所望の解剖学的位置)に吻合部を形成することを支援するように構成されたアクセス装置を含む。アクセス装置は、標的部位における組織の間に吻合部を形成するために、中空体の組織の第1の部分と第2の部分とへのアクセス手段を提供し、さらに、組織の第1および第2の部分または隣接する組織に対して第1および第2の植込み型の磁気吻合装置を送って位置決めするように構成されている。第1および第2の植込み型の磁気吻合装置は、標的部位における組織の壁の総厚さのうちの所定の組織領域を介して互いに磁気的に引き付け合い、所定の領域に圧縮力を働かせて吻合部を形成するように構成されている。
【0021】
本システムはさらに、組織間に吻合部を形成するために所望の標的部位における磁気圧縮装置の留置および固定を改良するための固定装置を含む。固定装置は、最適な留置および吻合部形成を達成するために、一旦標的組織に送られた装置の位置決めおよび/または操作に使用される、縫合糸またはワイヤ等の1つ以上のガイド部材を含む磁気圧縮装置の留置および固定に用いられるように構成されている。例えば、本明細書において説明する実施形態では、(磁気引力により互いに結合し、これにより、間に介在する、後に壊死して吻合部の形成を生ぜしめる組織を捕捉するように構成された)一対の自己集合式の磁気吻合装置の少なくとも一方は、これに結合された1つ以上のガイド部材を含む。各ガイド部材は、吻合装置の各部分に結合された遠位端部と、近位端部とを含んでいてよく、近位端部を操作すること(すなわち張力の増大または減少)により、吻合装置が所定の形状(すなわち多角形)に自己集合してから吻合装置の位置と向きとを操作することができる。
【0022】
第1の磁気吻合装置を標的組織部位に送って展開する際、1つ以上のガイド部材は通常、吻合装置から、送り針により形成された腸切開部を通り、かつ患者の中空体を通ってアクセス装置に向かって戻り、場合により患者の外側部分まで延びていてよい。例えば、吻合部が胃と胆嚢(または十二指腸と胆嚢)との間に形成される場合、第1の磁気吻合装置は胆嚢内に留置されて展開され、その後、第1の磁気吻合装置に結合されたガイド部材は、この吻合装置に取り付けられたまま、胃腸管を通りアクセス装置に向かって戻り、場合により患者の外部まで延びていてよい(すなわち、吻合装置から胆嚢内、胃内へのアクセス部位を通って食道に上り、口の外に延びていてよい)。
【0023】
本発明の固定装置は、第1の磁気吻合装置を標的部位において所定の位置に固定するように構成されており、これにより、外科医が第2の磁気吻合装置を標的部位に送って展開する間、第1の磁気吻合装置は標的部位に対して所定の位置に留まることを保証する。例えば、固定装置は通常、ボタン部材を含み、ボタン部材は、遠位端部と、反対側の近位端部と、遠位端部から近位端部まで延びる中心開口または貫通孔とを有する本体を含む。開口は、1つ以上のガイド部材を通して受容するように成形されかつ/または寸法設定されており、これにより、ボタン部材は通常、第1の磁気吻合装置から腸切開部を通って延びるガイド部材の長さに沿って移動することができる。
【0024】
例えば、第1の磁気吻合装置が標的部位において展開されると(すなわち、標的部位における第1の組織を貫通して形成された腸切開部を通過し、自己集合して所定の形状を形成すると)、腸切開部を通り戻って延びるガイド部材を、ボタン部材の本体の中心開口に通すことができる。その後、展開された第1の磁気吻合装置を引っ張り第1の組織の第1の側に係合させ、第1の磁気吻合装置を腸切開部に対して実質的にセンタリングするためには、外科医は教えられたガイド部材を引っ張るだけでよい。その後、ボタン部材は、本体の遠位端部が第1の組織の対向する側に係合するまで、(中心開口を通過する)ガイド部材の長さに沿って移動することができ、これにより、ボタン部材は、腸切開部および反対側の第1の磁気吻合装置に対してセンタリングされた状態になる。
【0025】
固定装置はさらに、プラグ部材を含み、プラグ部材は、ボタン部材の中心開口の少なくとも近位部分内に受容されかつそこに摩擦嵌めにより保持されるように成形されかつ/または寸法設定された遠位端部を含む。例えば、プラグ部材は、近位端部から遠位端部に向かって幅が先細になっていてよい(すなわち、近位端部における幅の方がより大きく、遠位端部における幅の方がより小さくなっていてよい)。したがって、教えられたガイド部材を引っ張ってボタン部材を第1の組織に係合させるように位置決めする際、外科医は、プラグ部材をボタンの中心開口内へ進めることができ、これにより実質的に、ボタン部材と対向する第1の磁気吻合装置とを、標的部位に対して所定の位置に固定する(すなわち、第1の組織壁の向かい合う両側に固定する)。より具体的には、プラグ部材は、ボタン部材と、ボタン部材の中心開口を通過するガイド部材とを、摩擦嵌めにより互いに固定する。いくつかの択一的な実施形態では、プラグ部材は、ボタン部材においてガイド部材を所定の位置に保持する任意の形式の摩擦嵌め装置より代替され得る。ガイド部材は、固定装置および対向する第1の磁気吻合装置が組織壁に沿って所定の位置に実質的に固定されると、切断されて除去され得る。
【0026】
固定装置を介して第1の磁気吻合装置を所定の位置に固定すると、次いでアクセス装置を介して第2の磁気吻合装置を送り、標的部位に展開することができる。標的組織部位に到達すると、第1および第2の磁気吻合装置は、標的部位において組織の壁(すなわち胆嚢壁および胃壁、上部および下部腸壁等)同士を合わせた厚さの所定の組織領域を介して互いに磁気的に引き付け合い、所定の領域に圧縮力を働かせて吻合部を形成することになる。いくつかの択一的な実施形態では、固定装置は、第1および第2の組織の両方に係合し、これにより、両方の組織を第1の吻合装置に対して圧縮し、第1の吻合装置を、第2の吻合装置と正確に対をなす位置に固定する。
【0027】
したがって、本開示の固定装置は、所望の標的部位における少なくとも第1の磁気圧縮装置の改善された留置および固定を提供し、これにより、その後の標的部位における第2の対応する磁気吻合装置の位置決めおよび留置を改善し、その結果、組織間に正確な吻合部が形成される。固定装置は、既に展開され、所望の標的組織部位に留置された第1の磁気吻合装置からのガイド部材を、第1の磁気吻合装置を実質的に所定の位置に固定するための手段として利用するように構成されており、これにより、第1の装置に結合されるべき後続の第2の対応する磁気吻合装置の高精度で改良された留置を保証し(すなわち、意図した標的部位に吻合装置が留置されて互いに結合されることを保証し)、これにより、最適な留置と吻合部形成とを達成する。
【0028】
図1は、所望の部位における磁気吻合装置16の改良された留置をもたらし、これにより、患者12内の組織間における吻合部形成の精度を向上させるための吻合部形成システム10の概略図である。システム10は一般に、アクセス装置14と、固定装置100と、磁気吻合装置16と、撮像モダリティ20とを含む。
【0029】
アクセス装置14は一般に、内視鏡、腹腔鏡、カテーテル、トロカール、ロボット装置、または他の送り装置を含むがこれらに限定はされないスコープを含み得る。吻合装置の留置は、開放領域において行われてもよい。本明細書に記載するほとんどの用途に関して、アクセス装置14は内視鏡であり、磁気吻合装置16a,16bを送るように構成された送り針28を含む。したがって、本開示のシステム10は、2つの磁気装置16a,16bを送るための単一の内視鏡14に依存する。本明細書においてより詳細に説明するように、外科医は、撮像モダリティ20により提供される標的部位の位置の視覚的描写に基づき患者12の中空体内に内視鏡14を進め、吻合部を形成するための所望の解剖学的位置に内視鏡14を位置決めすることができる。例えば撮像モダリティ20は、ディスプレイを含んでいてよく、超音波(US)、波長検出、X線に基づく撮像、照明、コンピュータ断層撮影(CT)、放射線撮影および蛍光透視またはこれらの組合せを含むが限定はされない医療画像処理を行うときに、標的部位を示す画像または他の視覚的描写がディスプレイにおいて外科医に表示される。次いで外科医は、中空体を通して内視鏡を進めるときに、このような視覚的描写に頼ることができ、これにより、アクセス装置14を、標的部位において組織の別の部分に隣接する組織の一部に位置決めし、これにより、磁気装置16a,16bの留置が正確である、ということが保証される。
【0030】
アクセス装置14が通過し得る中空体は、胃、胆嚢、膵臓、十二指腸、小腸、大腸、腸管、静脈および動脈を含む血管系等を含むが限定はされないことに留意されたい。
【0031】
いくつかの実施形態では、胃腸管内にバイパスを形成するために、自己集合式の磁気装置16a,16bが使用される。このようなバイパスは、癌性閉塞、体重減少または肥満の治療に使用され得るか、または糖尿病および代謝疾患(すなわち代謝手術)の治療にも使用され得る。
【0032】
図2は、本発明の装置により対処され得る様々な胃腸吻合標的を示し、このような標的は、胃から小腸(A)、胃から大腸(E)、小腸から小腸(C)、小腸から大腸(B)および大腸から大腸(D)を含む。したがって本発明は、体内、例えば胃腸管内に吻合部を低侵襲で形成するために改良された装置および技術を提供する。このような装置および技術は、肥満や糖尿病等の慢性疾患のための、より速く、より安価な治療を容易にする。またこのような技術は、胃癌または大腸癌といった癌等の疾患の緩和治療に伴う時間を短縮すると共に痛みを低減させる。
【0033】
例えば、アクセス装置14が通過し得る中空体が患者の腸管である場合、第1の部分は腸管の遠位部分であってよく、第2の部分は腸管の近位部分であってよい。腸管は、胃の幽門括約筋から肛門まで延びる消化管の任意のセグメントを含む。いくつかの実施形態では、吻合部は、病的組織、奇形組織または機能不全組織をバイパスするために形成される。いくつかの実施形態では、吻合部は、糖尿病、高血圧症、自己免疫疾患または筋骨格疾患等の他の疾患を減退または予防する取組みにおいて「通常の」消化プロセスを変化させるために形成される。システムは、標的部位における中空体の組織の第1の部分と、隣接する第2の中空体の組織との間に吻合部(例えば胃と胆嚢との間、十二指腸と胆嚢との間、胃から小腸、小腸から大腸、胃から大腸等に通じる門)を形成するために使用され得ることに留意されたい。
【0034】
内視鏡処置では、単一の内視鏡14を使用して自己集合式の磁気装置16を送ることができる。磁気装置16の展開は、
図3に概略的に示されている。図示のように、例示的な磁気吻合装置16が内視鏡14を介して送られ、これにより、個々の磁石セグメントが自己集合し、より大きな磁気構造、この特定のケースでは八角形を形成する。本明細書に記載された技術と共に使用する場合、装置が完成されたアセンブリとして展開されると、装置16は、さもなければ小さな送り導管14を介して、例えば標準的な内視鏡内で可能であったであろう大きさよりも大きな磁気構造体の送給を可能にする。より大きな磁石構造体もまた、より大きくより丈夫な吻合部の形成を可能にし、より大きな外科的成功を達成する。磁気装置16は、放射線不透過性かつエコー源性であるため、装置は、蛍光透視、直接可視化(透照または組織圧入)および超音波、例えば超音波内視鏡を使用して位置決めされ得る。装置16は、留置中の装置の極性の識別を補助するために、放射線不透過性の塗料または他のマーカーにより装飾されてもよい。
【0035】
本発明の磁気吻合装置16は一般に、送り形態および展開形態をとることができる複数の磁気セグメントを含む。送り構成は、典型的には線形であり、これにより、腹腔鏡の「鍵穴状開口」切開を介して、または内視鏡14もしくは同様の装置を用いて自然経路、例えば食道を介して送ることで、装置を組織に送ることができる。追加的に、送り形態は、典型的にはいくらか可撓性であり、これにより、装置は体内の様々な湾曲部を通ってガイドされ得る。装置16が送られると、装置16は送り構成から展開構成に自動的に変換されることにより、所望の形状およびサイズの展開構成をとることになる。送り構成から展開構成への自己変換は、磁気セグメントを介入なしに所望のように移動させる結合構造により導かれる。自己閉鎖式、自己開放式等の例示的な自己集合式の磁気吻合装置16は、米国特許第8870898号明細書、米国特許第8870899号明細書、米国特許第9763664号明細書および2015年7月22日に出願された米国特許出願第14/805916号明細書に記載されており、これらの内容はそれぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0036】
図4Aに示すように、一般に磁気吻合処置は、第1および第2の磁気構造体16a,16bをそれぞれ組織26,22の第1および第2の部分20,24に隣接して留置し、これにより、組織22および26を合わせることを含む。2つの装置16a,16bが接近させられると、磁気構造体16a,16bが結合して、組織22,26を合わせる。時間が経つと、装置16a,16bのサイズおよび形状の吻合部が形成され、装置は、組織から脱落することになる。特に、装置により取り囲まれた組織22,26は壊死させられて分解されることになり、組織間に開口を提供する。
【0037】
択一的に、結合された装置16aおよび16bは、装置間に閉じ込められた組織22,26への血流を止めるのに十分な圧縮力を生ぜしめるため、外科医は
図4Bに示すように、装置により囲まれた組織22,26に切開部を形成することにより、吻合部を形成することができる。
【0038】
さらに別の実施形態では、本明細書においてより詳細に説明すると共に
図9A~
図9Iに示すように、外科医は、まず組織22,26に切り込むかまたは穿刺し、次いで装置16aを中空体の部分20内に送り、これにより、装置16aを組織26の切開部の周りに留置することができる。次いで外科医は、装置16bを中空体の部分24に留置し、これにより、装置16bを組織22の切開部の周りに送り、次いで装置16aと16bとを互いに結合させ、これにより、装置16a,16bが切開部を取り囲むようにすることができる。従前と同様に、装置16a,16bが結合し合うと、切開部への血流は直ちに遮断される。
【0039】
本開示の図および構造体は、主に環状または多角形の構造体に関する一方で、本明細書に記載の送りおよび構成技術は、様々な展開可能な磁気構造体を形成するために使用され得ると理解される。例えば、自己集合する磁石は、円形、楕円形、正方形、六角形、八角形、十角形または閉じられた輪を形成する他の幾何学的な構造等の多角形構造に再集合することができる。装置16a,16bは、所望の性能を達成しかつ送り(および除去)をより簡単にするために、必要に応じて追加的に、ハンドル、縫合糸ループ、あご、および突起を含み得る。
【0040】
上述したように、自己集合式の磁気吻合装置16a,16bは、アクセス装置14を介して標的部位に送られてよい。例えば
図5Aに示すように、アクセス装置14は送り針28(例えば穿刺針)を含んでいてよく、送り針28は、第1の磁気吻合装置16aを(穿刺により)下側小腸内に送るために使用され、次いで第2の磁気装置16bが、標的部位に隣接する組織の位置において上側小腸内に展開させられる(
図5Bに図示)。送給は、蛍光透視または超音波内視鏡により案内され得ることに留意されたい。自己集合に続いて、これらの小腸磁気装置16a,16bは、標的部位における組織の壁の総厚さの所定の組織領域を介して互いに結合し合い(例えば互いに磁気的に引き付け合い)、所定の領域に圧縮力を働かせて吻合部を形成する。
【0041】
図6Aは、超音波内視鏡案内された針が、胆嚢62内に磁石アセンブリ16aを送るところを示しており、磁石アセンブリ16aは、次いで
図6Bに示すように、胃60または十二指腸61内の第2の磁石アセンブリ16bと結合する。よって、説明する処置は、バイパスされた組織を除去または遮断する処置と共に使用されてもよい。例えば超音波内視鏡(EUS)は、自己集合式の磁気吻合装置16aを留置するための、胆嚢62内へ案内される経胃的または経十二指腸的なアクセスを容易にするために使用され得る。胆嚢62へのアクセスが達成されると、胃60と胆嚢62との間または十二指腸61と胆嚢62との間に開放門戸を維持するための様々な戦略を用いることができる。別の実施形態では、内視鏡により胆石を回収し、流体排出することができる。例えば説明する方法を使用して、胆嚢62と胃60との間に吻合部を形成することができる。経胃的または経十二指腸的な方式で胆嚢62にアクセスすると、胆石を除去することができる。さらに、アルゴンプラズマ凝固法(APC)、光線力学的療法(PDT)、硬化剤(例えばエタノールアミンまたはエタノール)を含むがこれらに限定はされない任意の数のモダリティを使用して、胆嚢粘膜を切除することができる。
【0042】
上述のように、固定装置100は、組織22,26間に吻合部を形成するための、所望の標的部位における磁気圧縮装置16a,16bの留置および固定を改良する。固定装置100は、最適な留置および吻合部形成を達成するために、一旦標的組織に送られた装置の位置決めおよび/または操作に使用される、縫合糸またはワイヤ等の1つ以上のガイド部材30を含む磁気圧縮装置16a,16bの留置および固定に用いられるように構成されている。
【0043】
図7は、磁気吻合装置16を展開して操作するための単一のガイド部材30を示す。例えば、自己集合式の磁気装置16が組織に送られると、装置16の位置を操作することができる、ということが有益である。装置16は、鉗子等の従来のツールにより操作され得る一方で、展開された装置16の位置を、縫合糸またはワイヤ等のガイド部材30により操作する方がより簡単であることが多い。
図7および
図8A~
図8Fに示すように、自己集合式の磁気吻合装置16の位置および展開を制御するためには、様々な取付け点が使用され得る。
【0044】
例えば
図7に示すように、ガイド部材30は、単一の遠位セグメント16に結合され得、これにより、自己集合に際して、単一の遠位セグメント16は結果的に、並進的な移動の自由をもたらす取付け点を生ぜしめる。
図7に示す構成は、最遠位セグメントに加えられる閉鎖力を可能にする、という点でも注目に値する。つまり、1つ以上のセグメントが組織に絡まった場合、またはさもなければ自己集合が妨げられた場合には、ガイド部材30による近位側への引張力が装置16を補助して、自己集合を完了させることができる。自己集合が完了すると、装置16は上述のようにガイド部材30により位置決めされ、これにより、別の装置(図示せず)と結合して吻合部を形成することができる。
図7には示されていないが、装置16を所望の位置で展開するために、固体プッシャまたはガイドチューブ等の追加的な構造体が使用され得る、ということが想定されている。
【0045】
ガイド部材30は、所望の機械的特性および生体適合性を達成するように様々な材料から製造され得る。ガイド部材30は、金属、例えばワイヤ、例えばステンレス鋼ワイヤまたはニッケル合金ワイヤから構成され得る。ガイド部材は、綿または動物製品等の天然繊維から構成され得る。ガイド部材は、生分解性ポリマー等のポリマー、例えばポリ乳酸(PLA)等の、乳酸、ラクトン、またはグリコール酸の繰返し単位を含むポリマーから構成され得る。ガイド部材は、Tyvek(商標)(高密度ポリエチレン繊維)またはKevlar(商標)(パラ系アラミド繊維)等の高引張強度ポリマーから構成されてもよい。1つの実施形態では、ガイド部材30は、Ethicon Corp., Somerville, N.J.から入手可能なVICRYL(商標)(ポリグラクチン910)縫合糸等の生分解性縫合糸から構成されている。
【0046】
ガイド部材30は、複数の異なる構成および取付け機構により、自己集合式の磁気吻合装置16に結合され得る。ガイド部材30は、装置16に簡単に結ばれてもよいし、またはガイド部材30は、接着剤、例えばアクリレート接着剤、またはクリップ、ねじ、またはリベット等の締結具により装置16に取り付けられてもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、磁気吻合装置16は、複数のガイド部材30(1)~30(4)を含み得る。例えば
図8A、
図8B、
図8C、
図8D、
図8Eおよび
図8Fに示すように、自己集合式の磁気吻合装置16の位置および展開を制御するために、様々な取付け点が使用され得る。図示のように、4つのガイド部材30(1)~30(4)が、装置16の4つの別個のセグメントにそれぞれ結合されていてよい。各ガイド部材30は、吻合装置16の各部分に結合された遠位端部と、近位端部とを含んでいてよく、近位端部を操作すること(すなわち張力の増大または減少)により、吻合装置16が所定の形状(すなわち多角形)に自己集合してから吻合装置16の位置と向きとを操作することができる。例えば図示のように、ガイド部材30(1)は最遠位端部セグメントに結合されており、ガイド部材30(2)および30(3)は中間セグメント(最遠位端部セグメントと最近位端部セグメントとの間のセグメント)に結合されており、ガイド部材30(4)は最近位端部セグメントに結合されている。
【0048】
図9A~
図9Iは、第1の磁気吻合装置16aを標的部位に送って留置し、固定装置100を介して第1の磁気吻合装置16aを第1の組織26(すなわち遠位組織)に固定し、次いで第2の磁気吻合装置16bを標的部位における第2の組織22(すなわち近位組織)に送って留置し、第1の磁気吻合装置16aと第2の磁気吻合装置16bとが磁気結合することにより、第1の組織26と第2の組織22とを合わせ、次いで吻合部を形成するところを示す。
【0049】
図9Aおよび
図9Bは、アクセス装置14の針32またはその他の穿刺器具を介して、標的部位における遠位組織26の少なくとも第1の部分に腸切開部63を形成するところを示す。遠位組織26は、例えば腸壁を含み得る。外科医は、例えばアクセス装置を胃腸管内に通して標的部位(すなわち、吻合部形成が望まれる部位)を見つけることができる。
図9Bに示すように、組織壁26を穿刺する場合、針32はさらに、標的部位の位置を錨34式に固定するか、または他の形式で固定するように構成され得る。
図9Cは、第1の磁気吻合装置16aが、遠位組織壁26に形成された腸切開部63を通して内腔または中空体の腔内へ送られて自己集合するところを示す。上述したように、装置16aは、展開構成(すなわち八角形等の多角形)に自己集合するように構成されている。図示のように、装置16aはさらに、ガイド部材30を含む。
【0050】
図9D~
図9Gは、第1の磁気吻合装置16aに結合されたガイド部材30を操作することにより第1の磁気吻合装置16aを位置決めし、かつ固定装置100を介して第1の磁気吻合装置16aを所定の位置に固定するところを示す。例えば
図9Dに示すように、装置16aが完全に展開されると、1つ以上のガイド部材30は通常、吻合装置16aから腸切開部63を通って延びることができる。
【0051】
本発明の固定装置100は、第1の磁気吻合装置16aを標的部位において所定の位置に固定するように構成されており、これにより、外科医が第2の磁気吻合装置16bを標的部位に送って展開する間、第1の磁気吻合装置16aは標的部位に対して所定の位置に留まることを保証する。例えば
図9Eに示すように、固定装置100は通常、ボタン部材を含み、ボタン部材は、近位端部102と、反対側の遠位端部104と、遠位端部104から近位端部102まで延びる中心開口106または貫通孔とを有する本体を含む。開口106は、1つ以上のガイド部材30を通して受容するように成形されかつ/または寸法設定されており、これにより、ボタン部材100は通常、第1の磁気吻合装置16aから腸切開部63を通って延びるガイド部材30の長さに沿って移動することができ、固定装置100は組織26に向かって進むことになる。例えば、第1の磁気吻合装置16aが標的部位において展開されると(すなわち、標的部位における第1の組織26を貫通して形成された腸切開部63を通過し、自己集合して所定の形状を形成すると)、腸切開部63を通り戻って延びるガイド部材30を、ボタン部材100の本体の中心開口106に通すことができる。その後、
図9Eに示すように、展開された第1の磁気吻合装置16aを引っ張り遠位組織26の第1の側に係合させ、第1の磁気吻合装置16aを腸切開部63に対して実質的にセンタリングし、かつ第1の磁気装置16aを遠位組織26に対して固定するためには、外科医は教えられたガイド部材30を引っ張るだけでよい。その後、ボタン部材100は、本体の遠位端部104が遠位組織26の対向する側に係合するまで、中心開口106を通過するガイド部材30の長さに沿って移動することができ、これにより、ボタン部材100は、腸切開部63および反対側の第1の磁気吻合装置16aに対してセンタリングされた状態になる。
【0052】
図9Fおよび
図9Gに示すように、固定装置100はさらに、プラグ部材108を含み、プラグ部材108は、ボタン部材100の中心開口106の少なくとも近位部分内に受容されかつそこに摩擦嵌めにより保持されるように成形されかつ/または寸法設定された遠位端部を含む。
【0053】
例えば、プラグ部材108は、近位端部から遠位端部に向かって幅が先細になっていてよい(すなわち、近位端部における幅の方がより大きく、遠位端部における幅の方がより小さくなっていてよい)。したがって、教えられたガイド部材30を引っ張ってボタン部材100を第1の組織26に係合させるように位置決めする際、外科医は、プラグ部材108をボタン100の中心開口106内へ進めることができ、これにより実質的に、ボタン部材100と対向する第1の磁気吻合装置16aとを、標的部位に対して所定の位置に固定する(すなわち、遠位組織壁26の向かい合う両側に固定する)。
【0054】
より具体的には、プラグ部材108は、ボタン部材100と、ボタン部材100の中心開口106を通過するガイド部材30とを、摩擦嵌めにより互いに固定する。ガイド部材30は、固定装置100および対向する第1の磁気吻合装置16aが組織壁26に沿って所定の位置に実質的に固定されると、切断されて除去され得る。
【0055】
固定装置100を介して第1の磁気吻合装置16aを所定の位置に固定すると、次いで
図9Hおよび
図9Iに示すように、アクセス装置14を介して第2の磁気吻合装置16bを送り、標的部位に展開することができる。標的組織部位に到達すると、第1および第2の磁気吻合装置16a,16bは、標的部位において近位組織22の壁と遠位組織26の壁(すなわち胆嚢62の壁と胃60の壁、上部および下部腸壁等)とを合わせた厚さの所定の組織領域を介して互いに磁気的に引き付け合い、所定の領域に圧縮力を働かせて吻合部を形成することになる。固定装置100のボタン部材は、装置16a,16bが互いに磁気的に引き付け合って結合すると、第1の磁気吻合装置16aと第2の磁気吻合装置16bとの間に位置決めされ、これらの間に位置し続けるように成形されかつ/または寸法設定されている、ということに留意されたい。特に、ボタン部材100は、展開構成にあるときの各吻合装置16a,16bの多角形の内径よりも小さい直径を有しており、これにより、ボタン部材100が第1および第2の磁気吻合装置16a,16bの対応し合うセグメント間の磁気結合を妨げることはない。ただし、ボタン部材100の直径は、腸切開部63の直径よりも大きい。したがって、ボタン部材100は実質的に、壊死する組織の所定の領域内の位置に固定されたままであり、後に吻合部が形成されると排出されることになる。さらにボタン部材100は、装置16a,16b間の磁気結合に干渉する可能性をさらに防止または低減する輪郭を含み得る。例えば、ボタン部材100の少なくとも近位端部102は、スロープ状またはドーム状の形状を有していてよい。
【0056】
したがって、本開示の固定装置100は、所望の標的部位における少なくとも第1の磁気圧縮装置16aの改善された留置および固定を提供し、これにより、その後の標的部位における第2の対応する磁気吻合装置16bの位置決めおよび留置を改善し、その結果、組織間に正確な吻合部が形成される。固定装置100は、既に展開され、所望の標的組織部位に留置された第1の吻合装置16aからのガイド部材30を、第1の磁気吻合装置16aを実質的に所定の位置に固定するための手段として利用するように構成されており、これにより、第1の装置16aに結合されるべき後続の第2の対応する磁気吻合装置16bの高精度で改良された留置を保証し(すなわち、意図した標的部位に吻合装置が留置されて互いに結合されることを保証し)、これにより、最適な留置と吻合部形成とを達成する。
【0057】
追加的な例示的な実施形態は、中空体の第1の組織壁26に対して標的部位に位置決めされた圧縮吻合装置16の位置を保持する本体から成る、展開可能な自己集合式の固定機構を有する装置を含む。固定部材は、第2の圧縮吻合装置16bを固定された装置16aに結合させることができるまで、圧縮吻合装置16aとは反対の側から腸切開部63を捕捉して位置を保持する。固定部材は、吻合装置を操作して一対の吻合装置の極を整列させるために、中心軸線に沿って回転してもよい。
【0058】
図10は、1つの例示的な実施形態による、腸切開部63の、圧縮吻合装置16aとは反対の側から膨らませることができるバルーン固定機構64を示す。第1の磁気吻合装置16aの展開時に、バルーン固定機構64は、形成された腸切開部63を通して展開される。アクセス装置14内に格納されている間は収縮/圧縮された位置にあったバルーン機構64は、
図10に示すように展開構成に膨張させられる。バルーン固定機構64は、遠位吻合装置16aに係合し、吻合装置16aを第1の組織壁26に対して所定の位置に保持し、結果として生じる吻合部の正確な留置を保証する。いくつかの択一的な実施形態では、固定機構64は、両方の組織壁22,26に対して吻合装置16aを保持してもよい。固定機構64は、アクセス装置14が除去された後も患者の内部に留まっていてよい。固定機構64および吻合装置16a,16bは、時間の経過とともに、形成された吻合部から落ちて患者から除去されるか、または自然に消滅する。
【0059】
図11は、1つの例示的な実施形態による、腸切開部63の、圧縮吻合装置16aとは反対の側から自己展開することができる円形固定機構65を示す。第1の磁気吻合装置16aの展開時に、円形固定機構65は、形成された腸切開部63を通して展開される。アクセス装置14内に圧縮された位置で格納されていた円形機構65は、形状記憶材料から製造されていることにより、
図11に示すように展開構成へと拡張する。円形固定機構65は、遠位磁気吻合装置16aに係合し、吻合装置16aを第1の組織壁26に対して所定の位置に保持し、結果として生じる吻合部の正確な留置を保証する。いくつかの択一的な実施形態では、固定機構65は、両方の組織壁22,26に対して吻合装置16aを保持してもよい。固定機構65は、アクセス装置14が除去された後も患者の内部に留まっていてよい。固定機構65および吻合装置16a,16bは、時間の経過とともに、形成された吻合部から落ちて患者から除去されるか、または自然に消滅する。
【0060】
図12は、1つの例示的な実施形態による、腸切開部63の、圧縮吻合装置16aとは反対の側から展開することができる(例えば2つ、3つ、または4つ以上の、例えば形状記憶材料または他の材料から形成され得る)複数の湾曲した部材またはばねを含む「花弁」固定機構66を示す。「花弁」固定機構66は、アクセス装置14内に圧縮された位置で格納されている。遠位磁気吻合装置16aの送給時に、「花弁」固定機構66は、形成された腸切開部63を通して展開される。「花弁」固定機構66が展開されると、「花弁」固定装置66は形状記憶材料から製造されていることにより、
図12に示すように、その展開構成へと拡張する。「花弁」固定機構66は、遠位吻合装置16aに係合し、吻合装置16aを第1の組織壁26に対して所定の位置に保持し、結果として生じる吻合部の正確な留置を保証する。いくつかの択一的な実施形態では、固定機構66は、両方の組織壁22,26に対して吻合装置16aを保持してもよい。固定機構66は、アクセス装置14が除去された後も患者の内部に留まっていてよい。固定機構66および吻合装置16a,16bは、時間の経過とともに、形成された吻合部から落ちて患者から除去されるか、または自然に消滅する。
【0061】
図13は、1つの例示的な実施形態による、腸切開部の、圧縮吻合装置とは反対の側から展開することができる固定機構であって、圧縮方向への移動のみを可能にし、圧縮吻合装置16aと固定機構67との間の距離のいかなる増大も防止するラチェット機構67も含む、固定機構を示す。遠位磁気吻合装置16aの展開時に、ラチェット固定機構67は、形成された腸切開部63を通して展開される。アクセス装置14内に圧縮構成で格納されていたラチェット固定機構67は、
図13に示すように展開構成へと拡張する。ラチェット固定機構67は、遠位吻合装置16aに係合し、吻合装置を第1の組織壁26に対して所定の位置に保持する。ユーザがアクセス装置14を引き戻すと、ラチェット固定機構67のラチェット機構は、吻合装置16aを組織壁26に対してさらに圧縮し、圧縮方向への移動のみを可能にする。いくつかの択一的な実施形態では、固定機構67は、両方の組織壁22,26に対して吻合装置16aを保持してもよい。固定機構67は、アクセス装置14が除去された後も患者の内部に留まっていてよい。固定機構67および吻合装置16a,16bは、時間の経過とともに、形成された吻合部から落ちて患者から除去されるか、または自然に消滅する。
【0062】
図14は、1つの例示的な実施形態による、2つの端部を互いに向かって引っ張ることにより腸切開部63の両側で拡張し、これにより、圧縮吻合装置16aを腸切開部63の部位に固定するバルジチューブ固定機構68を示す図である。遠位吻合装置16aの展開時に、バルジチューブ固定機構68は、形成された腸切開部63を通して展開される。アクセス装置14内に圧縮構成で格納されていたバルジチューブ固定機構68は、ユーザがアクセス装置14を引き戻すと拡張し、
図14に示すように機構68の2つの端部が互いに向かって展開構成にもたらされる。バルジチューブ固定機構68は、形状記憶材料で製造されていることにより、展開構成に自動的に集合してもよい。バルジチューブ固定機構68は、遠位吻合装置16aに係合し、吻合装置16aを第1の組織壁26に対して所定の位置に保持し、結果として生じる吻合部の正確な留置を保証する。いくつかの択一的な実施形態では、固定機構68は、両方の組織壁22,26に対して吻合装置16aを保持してもよい。固定機構68は、アクセス装置14が除去された後も患者の内部に留まっていてよい。固定機構68および吻合装置16a,16bは、時間の経過とともに、形成された吻合部から落ちて患者から除去されるか、または自然に消滅する。
【0063】
図15は、1つの例示的な実施形態による、腸切開部63の、圧縮吻合装置16aとは反対の側から展開することができる渦巻ばね固定機構69を示す。遠位吻合装置16aの展開時に、渦巻ばね固定機構69は、形成された腸切開部63を通して展開される。アクセス装置14内に圧縮構成で格納されていた渦巻ばね固定機構は、形状記憶材料で製造されていることにより、
図15に示すように展開構成へと拡張する。渦巻ばね固定機構69は、遠位吻合装置16aに係合し、吻合装置16aを第1の組織壁26に対して所定の位置に保持し、結果として生じる吻合部の正確な留置を保証する。いくつかの択一的な実施形態では、固定機構69は、両方の組織壁22,26に対して吻合装置16aを保持してもよい。固定機構69は、アクセス装置14が除去された後も患者の内部に留まっていてよい。固定機構69および吻合装置16a,16bは、時間の経過とともに、形成された吻合部から落ちて患者から除去されるか、または自然に消滅する。
【0064】
もちろん、様々な択一的な実施形態では、他の形式の固定機構も可能である。いずれの固定機構も、圧縮方向への移動のみを可能にし、圧縮吻合装置と固定機構との間の距離のいかなる増大も防止するラチェット機構を含み得る、ということに留意されたい。
【0065】
追加的な例示的な実施形態は、2つの圧縮吻合装置間の最大分離距離を設定する制限部材を有する装置を含む。制限部材は、圧縮吻合装置16aに固く取り付けられかつ/または接触しており、第2の圧縮吻合装置16bからの接続部材および/または第2の圧縮吻合装置16bに取り付ける接続部材を受容する。いずれの形態の制限部材も、圧縮方向への移動のみを可能にし、2つの圧縮吻合装置16a,16b間の距離のいかなる増大も防止する。制限部材は、吻合装置を操作して一対の吻合装置の極を整列させるために、中心軸線に沿って回転してもよい。
【0066】
図16は、1つの例示的な実施形態による、バルーン制限機構70を示す。遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bの展開時に、バルーン制限機構70は、形成された腸切開部63を通して展開される。アクセス装置14内での格納中は圧縮/収縮構成で格納されていたバルーン制限機構は、
図16に示すように展開構成へと拡張/膨張する。バルーン制限機構70は、遠位側および近位側を有しており、これらはそれぞれ、遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bに係合する。係合すると、バルーン制限機構70は圧縮方向にのみ移動して、吻合装置16a,16bを共に組織壁22,26に対して接近させることができる。このことは、結果として生じる吻合部の正確な留置を保証する。制限機構70および吻合装置16a,16bは、時間の経過とともに、形成された吻合部から落ちて患者から除去されるか、または自然に消滅する。
【0067】
図17は、1つの例示的な実施形態による、ワイヤアレイ制限機構71を示す。遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bの展開時に、ワイヤアレイ制限機構71は、形成された腸切開部63を通して展開される。アクセス装置14内にある間は圧縮構成で格納されていたワイヤアレイ制限機構71は、形状記憶材料で製造されていることにより、
図17に示すように展開構成へと拡張する。ワイヤアレイ制限機構71は、遠位端部および近位端部を有しており、これらはそれぞれ、遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bに係合する。係合すると、ワイヤアレイ制限機構71は圧縮方向にのみ移動して、吻合装置16a,16bを共に組織壁22,26に対して接近させることができる。このことは、結果として生じる吻合部の正確な留置を保証する。制限機構71および吻合装置16a,16bは、時間の経過とともに、形成された吻合部から落ちて患者から除去されるか、または自然に消滅する。
【0068】
図18は、1つの例示的な実施形態による、(例えば2つ、3つ、または4つ以上の、例えば形状記憶材料または他の材料から形成され得る)複数の湾曲した部材またはばねを含む「花弁」制限機構72を示す。遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bの展開時に、「花弁」制限機構72は、形成された腸切開部63を通して展開される。圧縮構成で格納されていた「花弁」制限機構72は、形状記憶材料で製造されていることにより、
図18に示すように展開構成へと拡張する。「花弁」制限機構72は、遠位端部および近位端部を有しており、これらはそれぞれ、遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bに係合する。係合すると、「花弁」制限機構72は圧縮方向にのみ移動して、吻合装置16a,16bを共に組織壁22,26に対して接近させることができる。このことは、結果として生じる吻合部の正確な留置を保証する。制限機構72および吻合装置16a,16bは、時間の経過とともに、形成された吻合部から落ちて患者から除去されるか、または自然に消滅する。
【0069】
図19は、1つの例示的な実施形態による、バルジチューブ制限機構73を示す。遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bの展開時に、バルジチューブ制限機構は、形成された腸切開部63を通して展開される。アクセス装置14内にある間は圧縮構成で格納されていたバルジチューブ制限機構73は、ユーザがアクセス装置14を引き戻すと拡張し、
図19に示すように機構73の2つの端部が互いに向かって展開構成にもたらされる。バルジチューブ制限機構は、形状記憶材料で製造されていることにより、展開構成を自動的に構成してもよい。バルジチューブ制限機構73は、遠位端部および近位端部を有しており、これらはそれぞれ、遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bに係合する。係合すると、バルジチューブ制限機構73は圧縮方向にのみ移動して、吻合装置16a,16bを共に組織壁22,26に対して接近させることができる。このことは、結果として生じる吻合部の正確な留置を保証する。制限機構73および吻合装置16a,16bは、時間の経過とともに、形成された吻合部から落ちて患者から除去されるか、または自然に消滅する。
【0070】
図20は、1つの例示的な実施形態による、圧縮方向への移動のみを可能にし、圧縮吻合装置16aと固定機構74との間の距離のいかなる増大も防止するラチェット機構74も含む制限機構を示す。遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bの展開時に、ラチェット制限機構は、形成された腸切開部63を通して展開される。圧縮構成で格納されていたラチェット制限機構74は、形状記憶材料で製造されていることにより、
図20に示すように展開構成へと拡張する。ラチェット制限機構74は、遠位端部および近位端部を有しており、これらはそれぞれ、遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bに係合する。係合すると、ラチェット制限機構は、装置におけるラチェット機構に基づき、圧縮方向にのみ移動することができる。ユーザがアクセス装置14を引き戻すと、ラチェット機構は装置を圧縮方向にのみ移動させ、吻合装置16a,16bを共に組織壁22,26に対して接近させる。このことは、結果として生じる吻合部の正確な留置を保証する。制限機構74および吻合装置16a,16bは、時間の経過とともに、形成された吻合部から落ちて患者から除去されるか、または自然に消滅する。
【0071】
図21は、1つの例示的な実施形態による、サスペンダ75を備えた制限機構を示す。遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bの展開時に、サスペンダ制限機構75は、形成された腸切開部63を通して展開される。アクセス装置14内に圧縮された位置で格納されていたサスペンダ制限機構75は、形状記憶材料から製造されていることにより、
図21に示すように展開構成へと拡張する。サスペンダ制限機構75は、遠位端部および近位端部を有しており、これらはそれぞれ、遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bに係合する。係合すると、サスペンダ制限機構75は圧縮方向にのみ移動して、吻合装置16a,16bを共に組織壁22,26に対して接近させることができる。このことは、結果として生じる吻合部の正確な留置を保証する。制限機構75および吻合装置16a,16bは、時間の経過とともに、形成された吻合部から落ちて患者から除去されるか、または自然に消滅する。
【0072】
図22は、1つの例示的な実施形態による、鉄筋結合制限機構76を示す。遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bの展開時に、鉄筋結合制限機構76は、形成された腸切開部63を通して展開される。アクセス装置14内に圧縮構成で格納されていた鉄筋結合制限機構76は、形状記憶材料から製造されていることにより、
図22に示すように展開構成へと拡張する。鉄筋結合制限機構76は、遠位端部および近位端部を有しており、これらはそれぞれ、遠位吻合装置16aおよび近位吻合装置16bに係合する。係合すると、鉄筋結合制限機構は圧縮方向にのみ移動して、吻合装置16a,16bを共に組織壁22,26に対して接近させることができる。このことは、結果として生じる吻合部の正確な留置を保証する。制限機構76および吻合装置16a,16bは、時間の経過とともに、形成された吻合部から落ちて患者から除去されるか、または自然に消滅する。
【0073】
もちろん、様々な択一的な実施形態では、他の形式の制限機構も可能である。いずれの制限機構も、圧縮方向への移動のみを可能にし、圧縮吻合装置と固定機構との間の距離のいかなる増大も防止するラチェット機構を含み得る、ということに留意されたい。
【0074】
参照による組込み
本開示を通じて、特許、特許出願、特許公報、雑誌、書籍、論文、ウェブコンテンツ等の他の文献の参照および引用が行われている。これにより、このような文献は全て、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0075】
均等物
本発明は、その思想または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で実施され得る。したがって、上述した実施形態は、本明細書において説明した発明を限定するというよりもむしろ、全ての点で例示的であると考えられるべきである。よって本発明の範囲は、上述した説明よりもむしろ添付の特許請求の範囲により示され、したがって特許請求の範囲の均等の意味および範囲内にある全ての変更は、特許請求の範囲に包含されることを意図している。
【0076】
潜在的な請求項
本発明の様々な実施形態は、この段落の次の(かつ本願の最後に用意された実際の請求項の前の)段落に列挙された潜在的な請求項により特徴付けられてよい。これらの潜在的な請求項は、記載された本願の説明の一部を形成する。したがって、以下の潜在的な請求項の主題は、本願または本願に基づく優先権を主張する任意の出願を含む後の手続きにおいて、実際の請求項として呈示され得る。このような潜在的な請求項の包含は、実際の請求項が潜在的な請求項の主題をカバーしないことを意味すると解釈されるべきではない。よって、後の手続きにおいてこれらの潜在的な請求項を呈示しないという決定が、公衆に対する主題の寄贈と解釈されるべきではない。またこれらの潜在的な請求項は、訴求される様々な請求項を限定することを意図するものでもない。
【0077】
限定なしに請求され得る潜在的な主題(以下に示す実際の請求項との混同を避けるために、冒頭に文字「P」を付してある)は、以下を含む。
【0078】
P1. 患者内の所望の標的部位における磁気圧縮装置の留置および固定を支援するための固定装置であって、当該固定装置は、
近位端部と、反対側の遠位端部と、前記近位端部および前記遠位端部を全体的に貫通して延びる中心開口とを有する本体を含むボタン部材であって、前記開口は、患者の中空体の第1の組織壁に対する標的部位に位置決めされた第1の磁気圧縮装置に結合された1つ以上のガイド部材を受容して通過させることができるように成形されかつ/または寸法設定されており、前記ボタン部材は、前記1つ以上のガイド部材の長さに沿って、前記患者の中空体内の前記標的部位に向かって移動するように構成されている、ボタン部材と、
前記ボタン部材の前記中心開口の少なくとも近位部分内に受容されかつそこに摩擦嵌めにより保持され、これにより、前記ボタン部材を前記1つ以上のガイド部材の前記長さに沿った所定の位置に固定するように成形されかつ/または寸法設定された遠位端部を含むプラグ部材と
を含む、固定装置。
【0079】
P2. 前記ボタン部材の前記近位端部は、アーチ形の輪郭を有している、請求項P1記載の固定装置。
【0080】
P3. 前記ボタン部材の前記近位端部は、ドーム形状を有している、請求項P2記載の固定装置。
【0081】
P4. 前記ボタン部材の前記遠位端部は、前記患者の前記中空体の前記第1の組織壁の一部に係合するように構成されている、請求項P1記載の固定装置。
【0082】
P5. 前記ボタン部材の前記中心開口内に前記プラグ部材が位置決めされることにより、前記1つ以上のガイド部材の長さに沿った所定の位置に前記ボタン部材が固定されると、前記第1の磁気圧縮装置が、前記患者の前記中空体の前記第1の組織壁に対して所定の位置に固定される、請求項P4記載の固定装置。
【0083】
P6. 前記ボタン部材の前記中心開口内に前記プラグ部材が位置決めされることにより、前記ボタン部材が前記1つ以上のガイド部材の前記長さに沿った所定の位置に固定されると、前記ボタン部材と前記第1の磁気圧縮装置とが互いに同軸に整列させられる、請求項P5記載の固定装置。
【0084】
P7. 前記第1の磁気圧縮装置が完全展開構成である場合、前記ボタン部材は、前記第1の磁気圧縮装置の内径よりも小さい直径を有している、請求項P1記載の固定装置。
【0085】
P8. 前記ボタン部材は、前記第1の組織壁に形成された、前記1つ以上のガイド部材が通過する開口の直径よりも大きな直径を有している、請求項P1記載の固定装置。
【0086】
P9. 前記プラグ部材は、前記遠位端部とは反対側の近位端部を有している、請求項P1記載の固定装置。
【0087】
P10. 前記プラグ部材の前記遠位端部は、前記ボタン部材の前記中心開口の少なくとも前記近位部分の形状および/または輪郭に対して相補的な形状および/または輪郭を有している、請求項P9記載の固定装置。
【0088】
P11. 前記プラグ部材は、前記近位端部から前記遠位端部に向かって幅が先細になっている、請求項P10記載の固定装置。
【0089】
P12. 前記中心開口の少なくとも前記近位部分は、前記ボタン部材の前記近位端部に隣接する前記中心開口の最近位開口から前記ボタン部材の前記遠位端部に隣接する前記中心開口の最遠位開口に向かって幅が先細になっている、請求項P11記載の固定装置。
【0090】
P13. 前記プラグ部材の前記遠位端部の断面形状は、前記ボタン部材の前記中心開口の少なくとも前記近位部分の断面形状に相応して補完する、請求項P10記載の固定装置。
【0091】
P14. 前記ボタン部材および前記プラグ部材はそれぞれ、医療用グレード材料を含む、請求項P1記載の固定装置。
【0092】
P15. 当該固定装置は、内視鏡下で前記患者内に導入されるように成形されかつ/または寸法設定されている、請求項P1記載の固定装置。
【0093】
P16. 当該固定装置は、腹腔鏡下で前記患者内に導入されるように成形されかつ/または寸法設定されている、請求項P1記載の固定装置。
【0094】
P17. 中空体の第1の組織壁に対して標的部位に位置決めされた圧縮吻合装置の位置を保持する本体から成る、展開可能な自己集合式の固定部材を有する装置。前記固定部材は、第2の圧縮吻合装置を固定された前記装置に結合させることができるまで、腸切開部を捕捉して前記位置を保持する。
【0095】
P18. 前記固定部材は、バルーン固定部材である、請求項P17記載の装置。
【0096】
P19. 前記固定部材は、円形固定部材である、請求項P17記載の装置。
【0097】
P20. 前記固定部材は、「花弁」固定部材である、請求項P17記載の装置。
【0098】
P21. 前記固定部材は、ラチェット固定部材である、請求項P17記載の装置。
【0099】
P22. 前記固定部材は、バルジチューブ固定部材である、請求項P17記載の装置。
【0100】
P23. 前記固定部材は、渦巻ばね固定部材である、請求項P17記載の装置。
【0101】
P24. 2つの圧縮吻合装置間の最大分離距離を設定する制限部材を含む装置。前記制限部材は、圧縮吻合装置に固く取り付けられかつ/または接触しており、第2の圧縮吻合装置からの接続部材および/または第2の圧縮吻合装置に取り付ける接続部材を受容する。いずれの形態の前記制限部材も、圧縮方向への移動のみを可能にし、前記2つの圧縮吻合装置間の距離のいかなる増大も防止する。
【0102】
P25. 前記制限部材は、バルーン制限部材である、請求項P24記載の装置。
【0103】
P26. 前記制限部材は、ワイヤアレイ制限部材である、請求項P24記載の装置。
【0104】
P27. 前記制限部材は、「花弁」制限部材である、請求項P24記載の装置。
【0105】
P28. 前記制限部材は、バルジチューブ制限部材である、請求項P24記載の装置。
【0106】
P29. 前記制限部材は、ラチェット制限部材である、請求項P24記載の装置。
【0107】
P30. 前記制限部材は、サスペンダを含む、請求項P24記載の装置。
【0108】
P31. 前記制限部材は、鉄筋結合制限部材である、請求項P24記載の装置。
【国際調査報告】