(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】PDE5阻害剤及びグルココルチコイド受容体拮抗剤の併用による認知症の予防及び治療のための組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/437 20060101AFI20240405BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240405BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240405BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A61K31/437
A61P25/28
A61P43/00 121
A61K31/519
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564423
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 KR2022005818
(87)【国際公開番号】W WO2022225378
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】10-2021-0052930
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521438191
【氏名又は名称】アリビオ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ジェジュン
(72)【発明者】
【氏名】カン,ビョンウ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB05
4C086GA16
4C086MA02
4C086NA14
4C086ZA15
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、アルツハイマー病又は認知症の治療のための、ホスホジエステラーゼ5阻害剤(PDE5阻害剤)であるミロデナフィル及びグルココルチコイド受容体(GR)拮抗剤であるCORT-108297の併用によるアミロイドβの除去に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認知症の予防又は治療のための組成物であって、前記組成物は、
ホスホジエステラーゼ5阻害剤と;
グルココルチコイド受容体拮抗剤とを有効成分として含み、
前記ホスホジエステラーゼ5阻害剤は、ミロデナフィル、その薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物からなる群から選択される少なくとも1つであり;
前記グルココルチコイド受容体拮抗剤は、CORT-108297、その薬学的に許容される塩、溶媒和物又は水和物からなる群から選択され;
少なくとも1つの前記ホスホジエステラーゼ5阻害剤及び前記グルココルチコイド受容体拮抗剤は、1:3~1:24のモル濃度比で同時投与され、アミロイドβ(Aβ)の除去に相乗効果を有することを特徴とする組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホスホジエステラーゼ5阻害剤(PDE5阻害剤)の1つであるミロデナフィル及びグルココルチコイド受容体(GR)拮抗剤の1つであるCORT-108297の同時投与によるアミロイドβの除去を介したアルツハイマー病及び認知症の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
認知症は、様々な遺伝的及び環境的リスク因子によって引き起こされる多面的な病因を有する後天性脳疾患であり、複数の認知障害に苦しむ臨床疾患を指す。認知症の最も一般的な原因は、主に高齢者に発生し、全認知症症例の約60~70%を占めると報告されているアルツハイマー病である(非特許文献1)。
【0003】
アミロイドβタンパク質(Aβ)は、遺伝性及び散発性アルツハイマー病の一般的な原因であることが知られており、活発に研究されている。Aβは、正常な人でさえ、人体全体で少量生成される。正常な人では、Aβは生成されてもすぐに分解され、人体に蓄積しないが、アルツハイマー病患者では、Aβが異常に大量に生成され、分解されずに組織内に蓄積するため、記憶や学習に重要な役割を果たす海馬や大脳皮質等に老人斑が形成されたり、過剰に蓄積したりする。蓄積したAβは、周囲の細胞に炎症反応を引き起こす。その結果、神経細胞が損傷を受け、脳の正常な機能を維持する神経回路が徐々に損なわれる。更に、蓄積したAβは、神経細胞を殺すシグナル伝達系を活性化するフリーラジカルを大量に生成する。
【0004】
Aβは、βセクレターゼによって切断されるアミロイド前駆体タンパク質の一部である。Aβには、それを構成するアミノ酸の数に応じて幾つかの形態がある。アルツハイマー病患者では、40又は42のアミノ酸からなるAβの比率が劇的に増加する。Aβをin vitroで培養した神経細胞で処理すると、神経細胞死が誘導され、細胞死のメカニズムは、アルツハイマー病患者に見られるアポトーシスの型と類似しているという報告が多い。Aβ1-42又はAβ1-43タンパク質による神経細胞の損傷は、アルツハイマー病の重要な原因の一つとして同定され(非特許文献2)(非特許文献3)、Aβ25‐35は、神経細胞に損傷を引き起こすAβ1-42又は43の重要な毒性フラグメントであることが知られている(非特許文献4)(非特許文献5)。
【0005】
認知症の治療に現在使用されている最も一般的なFDA承認薬には、AChEI及びN-メチル-D-アスパラギン酸受容体拮抗剤、抗酸化薬、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、抗炎症剤、スタチン、ホルモン等がある。製剤等様々な薬剤がこれらと互換性をもって使用されている。しかしながら、これらの薬剤は、症状の緩和、認知機能の遅延及び改善にのみ使用されており、認知症の根本的な治療は開発されていない。
【0006】
典型的なAChEIには、ドネペジル、リバスチグミン、及びガランタミンがあり、これらは神経伝達物質アセチルコリンの濃度を一時的に上昇させることにより対症療法的効果を有する。これらの薬剤は、軽度から中等度のアルツハイマー病、血管性認知症、パーキンソン病認知症、脳卒中又は皮質下虚血性血管疾患にも処方される(非特許文献6)。
【0007】
現在、世界の製薬会社は、β-セクレターゼの作用を阻害して、発生源でのAβの生成を遮断する薬剤の開発を試みている。近年、米国の製薬会社、大学、研究機関では、認知症治療の開発のために、薬用植物から抗酸化作用を示す成分を単離する研究が盛んに行われており、その中で認知症治療として使用され始めている成分としては、Ginkgo biloba L(イチョウ)(非特許文献7)(非特許文献8)及びHuperzia serrata Travis(トウゲシバ)(非特許文献9)(非特許文献10)がある。これらは、典型的な例である。更に、Curcuma longa L.(ウコン)から単離されたクルクミノイドも、認知症における治療効果を有することが報告されている(非特許文献11)(非特許文献12)(非特許文献13)。アミロイド代謝物の毒性を阻害することが知られているオタネニンジン、テトランドリン、イチョウエキス(EGB761)は、アルツハイマー病患者の神経細胞の生存を増加させたり、認知症症状の悪化速度を遅らせることが報告されている(非特許文献14)。
【0008】
一方、アルツハイマー認知症に対する満足な治療法はなく、有効な抗認知症薬剤も開発されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Ann Neurol.1993 May;33(5):494-501
【非特許文献2】Yan,S,D,et al.Nature 1997 Oct 16;389(6652):689-95.
【非特許文献3】Haass C,Selkoe DJ.Cell 1993 Dec 17;75(6):1039-42.
【非特許文献4】Pike CJ,Ramezan-Arab N,Cotman CW.J Neurochem 1997 Oct;69(4):1601-11.
【非特許文献5】Lorenzo A, Yankner BA.Ann NY Acad Sci 777,89-95,1996.
【非特許文献6】J Korean Med Assoc 2009;52(4):417-425.
【非特許文献7】Le Bars,P L et al.JAMA.1997 Oct 22-29;278(16):1327-32.
【非特許文献8】Oken,B S et al.Arch Neurol.1998 Nov;55(11):1409-15.
【非特許文献9】Badia,A et al.Bioorg Med Chem.1998Apr;6(4):427-40.
【非特許文献10】Skolnick,A A.JAMA.1997 Mar 12;277(10):776.
【非特許文献11】Bastianetto,S et al.Eur J Neurosci.2000 Jun;12(6):1882-90
【非特許文献12】Zangara,Andrea.Pharmacol Biochem Behav.2003 Jun;75(3):675-86.
【非特許文献13】Park SY,Kim DS.J Nat Prod.2002 Sep;65(9):1227-31
【非特許文献14】Bastianetto,S et al.Eur J Neurosci.2000 Jun;12(6):1882-90
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
認知症を含む変性神経疾患は、神経細胞の機能が低下又は消失することにより、引き起こされ、運動制御機能、認知機能、知覚機能、感覚機能等、私たちが感じることのできる身体の全ての機能に加えて、知覚することなく自己調節を行う自律神経機能等、様々な機能に異常を引き起こす。
【0011】
現在まで、認知症の原因は特定されていないので、根本的な治療はできておらず、市販されている5種類の薬剤は、一部の疾患の症状を緩和するのみであり、これらの薬剤は、認知症の進行を根本的に変えることのできない症状終了の効果のみを有する。
【0012】
本発明は、神経細胞死の直接の原因であるアミロイドβに対して、ミロデナフィル単独で、又は外傷後ストレス障害(PTDS)の治療薬として開発されているCORT-108297と併用することにより、アミロイドβを減少させ、神経細胞を保護することにより認知症を治療する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、ホスホジエステラーゼ5阻害剤及びグルココルチコイド受容体(GR)拮抗剤である。有効成分として含有する認知症の予防及び治療用組成物に関する。
【0014】
本発明では、認知症は、アルツハイマー型認知症、エイズ誘発性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、多発性梗塞性認知症、意味性認知症及び血管性認知症、ハンチントン病、パーキンソン病、及び筋萎縮性側索硬化症が含まれる。
【0015】
本発明のホスホジエステラーゼ5阻害剤は、ミロデナフィル、シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィル、ウデナフィル、ダサンタフィル、アバナフィル、並びにその薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び水和物からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0016】
薬学的に許容される塩とは、化合物が投与される生物に深刻な刺激を与えず、その化合物の生物活性及び物理的性質を損なわない化合物の製剤を意味する。薬学的に許容される塩は、実質的に無毒である薬学的に許容される有機酸及び無機酸を用いて、当該技術分野において周知の従来の方法によって調製される。酸は、塩酸、臭素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、スルホン酸(p-トルエンスルホン酸等)、酒石酸、ギ酸、クエン酸、酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、カプリン酸、イソブタン酸等の無機酸であり、マロン酸、コハク酸、フタル酸、グルコン酸、安息香酸、乳酸、フマル酸、マレイン酸、サリチル酸等の有機酸を含む。更に、アンモニウム塩等の塩基、ナトリウム又はカリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム又はマグネシウム塩等の塩、アルカリ土類金属塩等、ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン等の有機塩基の塩と、本発明の化合物を反応させることにより、アルギニンやリジン等のアミノ酸塩が生成されることができる。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、薬学的に許容される塩は、ミロデナフィル塩酸塩、シルデナフィルクエン酸塩、バルデナフィル塩酸塩等を例示することができる。
【0018】
水和物は、非共有結合性分子間力によって結合された化学量論的又は非化学量論的量の水を含む、本発明の化合物又はその塩を指す。
【0019】
溶媒和物は、非共有結合性分子間力によって結合された化学量論的又は非化学量論的量の溶媒を含む、本発明の化合物又はその塩を意味する。好ましい溶媒は、揮発性、無毒性である、及び/又はヒトへの投与に適した溶媒である。
【0020】
グルココルチコイド受容体(GR)拮抗剤)、CORT-108297、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ミフェプリストン、シクレソニド、ブデソニド、コルチゾン、フルニソリド;及びそれらの薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び水和物からなる群から選択される少なくとも1種。
【0021】
より好ましくは、本発明のホスホジエステラーゼ5阻害剤は、ミロデナフィル並びにその薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び水和物からなる群から選択される少なくとも1つであり、グルココルチコイド受容体(GR)拮抗剤は、CORT-108297並びにその薬学的に許容される塩、溶媒和物、及び水和物からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0022】
本発明のCORT-108297は、以下の構造を有する、(R)-(4a-エトキシメチル-1-(4-フルオロフェニル)-6-(4-トリフルオロメチル-ベンゼンスルホニル)-4,4a,5,6,7,8-ヘキサヒドロ-1H,1,2,6-トリアザ-シクロペンタ[b]ナフタレンである。
【0023】
【0024】
本発明の医薬組成物は、経口又は非経口で投与することができる。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、本発明の医薬組成物は、被験者に経口投与されるか、又は頭部以外の部位に非経口投与される。即ち、本発明の組成物は、脳組織、脳組織を取り巻く身体組織(例えば、頭皮)、及び隣接領域に直接投与されなくても、本発明において意図された効果を示すことができる。1つの特定の例では、非経口投与は、皮下投与、静脈内投与、腹部注入、経皮投与、又は筋肉内投与であり、別の特定の例では、皮下投与、静脈内投与、又は筋肉内投与である。
【0026】
本発明の医薬組成物に含まれる薬学的に許容される担体は、ラクトース、ブドウ糖、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム(acacia rubber)、リン酸カルシウム、アルギン酸、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油の製剤に一般的に使用されるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物は、上記成分に加えて、潤滑油、湿潤剤、甘味料、香味料、乳化剤、懸濁液、保存剤等を更に含むことができる。好適な薬理学的に許容される担体及び製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995)に詳細に記載される。
【0027】
本発明の医薬組成物は、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤を用いて、本発明が属する当業者が容易に実施できる方法に従って、単位用量形態又は多容量容器で調製されることができる。この場合、製剤は、溶液、懸濁液、又はエマルジョンの形態、油媒体又は水系媒体で、又はX剤、粉、顆粒、錠剤、フィルム、又はカプセルの形態であることができ、分散剤又は安定剤を更に含むことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、ホスホジエステラーゼ5阻害剤とグルココルチコイド受容体拮抗剤との併用によるアミロイドβ減少による認知症を抑制する効果に関する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態による、ミロデナフィル(AR1001)及びCORT-108297の併用治療による細胞内Aβの減少の実験結果である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を以下の実施形態に従って更に詳細に説明する。しかしながら、これらの実施形態は本発明の説明のためのものであり、本発明の範囲はこれらの実施形態によって制限されるものではない。
【0031】
[実験実施例1]細胞培養
【0032】
実験で用いられたSH-SY5Yヒト神経芽細胞腫細胞株は、American Type Culture Collection(ATCC;Manassas,VA,USA)から入手し、10%ウシ胎仔血清(FBS;オーストラリア原産、HyClone,Logan,UT,USA)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン(P/S;HyClone)をCO2インキュベーター(311-TIF,Thermo Fisher Scientific Forma,MA,USA)の中で、37℃、DMEM/F12完全培地(HyClone)を用いて5%CO2条件で、インキュベートした。
【0033】
[実験実施例2]all-trans-レチノイン酸(RA)を用いたSH-SY5Y細胞のニューロン様分化
【0034】
アミロイドβの量の変化を決定するために、2*?*5細胞をT-25フラスコに分注した。
【0035】
細胞接着と安定化のために、CO2インキュベーター(Thermo Fisher Scientific Forma)の中で、37℃、5%CO2条件下で、10%FBS(HyClone)及び1%P/S(HyClone)を含むDMEM/F12完全培地(HyClone)で24時間インキュベートした。
【0036】
細胞分注の24時間後、細胞培養培地はニューロン様分化のために除去され、1%FBS(HyClone)、1%P/S(HyClone)、10μMのall-trans-レチノイン酸(RA;Sigma-Aldrich,St.Louis,MO,USA)を含むDMEM/F12分化培地と取り換えた。
【0037】
分化の3日目に、培地は、新しいDMEM/F12分化培地に取り換えられた。分化の6日目に、未処理対照群の培地は、新しいDMEM/F12分化培地に取り替えられ、サンプル処理群の培地は、様々な条件下で新しいDMEM/F12分化培地を追加することによって様々な条件で取り換えられた。
【0038】
[実験実施例3]アミロイドβ(Aβ)1-42形成及び処理
【0039】
1%FBS(HyClone)及び1%P/S(HyClone)を含むDMEM/F12完全培地(HyClone)に、10μMまでのヒトAβ1-42(Abcam,Cambridge,MA,USA)を添加し、Aβ1-42オリゴマーを形成し、CO2インキュベーター(Thermo Fisher Scientific Forma)の中で、37℃で、5%CO2条件で3時間放置し、Aβ1-42オリゴマーを形成した。
【0040】
Aβ1-42変化を確認するために、既存の細胞培養培地をRA分化SH-SY5Yニューロン様細胞から除去し、Aβ1-42オリゴマー(10μM)を含むDMEM/F12完全培地(HyClone)で取り換え、CO2インキュベーター(Thermo Fisher Scientific Forma)の中で、37℃で、5%CO2条件で、72時間インキュベートし、Aβ1-42オリゴマーで誘導した細胞損傷を誘導した。
【0041】
72時間後、培地を除去し、10μMのAβ1-42オリゴマーのみ、又はミロデナフィル及びCORT-108297の併用を含むDMEM/F12完全培地(HyClone)で細胞を処理し、CO2インキュベーター(Thermo Fisher Scientific Forma)の中で、37℃で、5%CO2条件で、24時間インキュベートし、その後次の実験に移った。
【0042】
[実施例4]アミロイドβ42ヒトELISA(酵素結合免疫吸着測定法)測定結果
【0043】
細胞中のAβ42(pg/mL)量を測定するために、細胞を回収し、細胞溶解緩衝液で処理した。
【0044】
その後、14,000rpm4℃で10分間遠心分離した後、上清を移し、タンパク質を回収した。タンパク質の量は、Pierce(商標)BCAタンパク質アッセイキット(Thermo Fisher Scientific)を用いて定量した。その後、細胞内のAβ42の量は、ヒトAβ42 ELISAキット(Invitrogen)を用いて測定した。
【0045】
【0046】
まとめると、ミロデナフィル0.1μM及びCORT-108297 0.3μM併用処理群におけるAβ減少率は、7.06%であり;ミロデナフィル0.1μM及びCORT-108297 0.6μM併用処理群におけるAβ減少率は、9.52%であり;ミロデナフィル0.1μM及びCORT-108297 1.2μM併用処理群におけるAβ減少率は、12.32%であり;ミロデナフィル0.1μM及びCORT-108297 1.8μM併用処理群におけるAβ減少率は、14.95%であり;ミロデナフィル0.1μM及びCORT-1082972.4μM併用処理群におけるAβ減少率は、20.00%であり、これらの全ては、ミロデナフィル又はCORT-108297それぞれによる処理からのA及びBの合計の減少率よりも高かったので、相加的以上であり、相乗的効果があることが確認された。
【0047】
上述した本発明は一例に過ぎず、本発明が属する当業者であれば、本発明から種々の変形及び他の均一な実施形態が可能であることを十分に認識しているであろう。したがって、本発明が上述の詳細な説明で言及された形態に限定されないことがよく理解されるであろう。したがって、本発明の技術的保護の真の範囲は、添付の特許請求の範囲の技術的思想によって決定されるべきである。更に、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の精神、及びその範囲内の全ての変更、等価、及び代替を含むと理解されるべきである。
【国際調査報告】