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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】チップ温度調整方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/26 20200101AFI20240405BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
G01R31/26 H
H01L21/66 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564565
(86)(22)【出願日】2022-07-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 CN2022108887
(87)【国際公開番号】W WO2023168893
(87)【国際公開日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】202210238853.3
(32)【優先日】2022-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520310595
【氏名又は名称】杭州長川科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hangzhou Changchuan Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.410 Jucai Road, Bingjiang District, Hangzhou City, Zhejiang Province, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】梁 雨泉
(72)【発明者】
【氏名】張 ▲ち▼杰
(72)【発明者】
【氏名】邱 国志
【テーマコード(参考)】
2G003
4M106
【Fターム(参考)】
2G003AA10
2G003AB16
2G003AC03
2G003AD01
2G003AH05
4M106AA02
4M106CA59
4M106DH44
4M106DH45
4M106DH46
(57)【要約】
チップ温度調整方法であって、この方法では、温度センサー(1032)を用いて参照チップ(1031a)の温度データを複数回取得する工程を含み、参照チップ(1031a)の温度データが所定の温度範囲にない場合には、参照チップ(1031a)の温度データ及び所定の温度値に基づいて、アダプタ(101)の温度を調整するための第1温度補償値と、テストベース(102)の温度を調整するための第2温度補償値とを特定し、テストされるチップ(1031)をテストする場合には、第1温度調整ユニット(104)がアダプタ(101)の温度を調整するように制御するとともに、第2温度調整ユニット(105)がテストベース(102)の温度を調整するように制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テスト機器に適用し、前記テスト機器は、アダプタと、アダプタに嵌合設置されたテストベースと、前記アダプタ及びテストベースが嵌合して構成した、テストされるチップを置くためのテストチャンバーと、前記アダプタの温度を調整するための第1温度調整ユニットと、前記テストベースの温度を調整するための第2温度調整ユニットとを含み、前記テストチャンバー内に温度センサーが設けられたチップ温度調整方法であって、
前記温度センサーを用いて参照チップの温度データを複数回取得する工程であって、前記参照チップが、同一ロットの前記テストされるチップから選択される工程と、
前記参照チップの温度データが所定の温度範囲にない場合に、前記参照チップの温度データ及び所定の温度値に基づいて、前記アダプタの温度を調整するための第1温度補償値と、前記テストベースの温度を調整するための第2温度補償値とを特定する工程と、
前記テストされるチップをテストする場合には、前記テストされるチップの温度が前記所定の温度範囲にあるように、前記第1温度調整ユニットが前記第1温度補償値に基づいて前記アダプタの温度を調整するように制御するとともに、前記第2温度調整ユニットが前記第2温度補償値に基づいて前記テストベースの温度を調整するように制御する工程と、を含む、
ことを特徴とするチップ温度調整方法。
【請求項2】
前記参照チップの温度データ及び前記参照チップの所定の温度値に基づいて、前記アダプタの温度を調整するための第1温度補償値を特定する工程では、
前記参照チップの温度データに基づいて、対応する温度データ曲線を取得する工程と、
前記温度データ曲線に基づいて、前記テストされるチップの開始温度値を取得する工程と、
前記開始温度値及び前記所定の温度値に基づいて、第1温度補償値を特定する工程と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記開始温度値及び前記所定の温度値に基づいて、第1温度補償値を特定する工程では、
前記開始温度値と前記所定の温度値との差値、及び対応する第1比例係数に基づいて、前記第1温度補償値を特定する工程を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記開始温度値と前記所定の温度値との差値、及び対応する第1比例係数に基づいて、前記第1温度補償値を特定する工程では、
前記開始温度値をT1、前記所定の温度値をP、前記開始温度値と前記所定の温度値との差値をX、第1比例係数をMとすると、前記X、前記P及び前記T1は、下記式X=P-T1を満たし、前記第1温度補償値が下記式を満たす、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
A=X*M。
【請求項5】
前記参照チップの温度データ及び前記参照チップの所定の温度値に基づいて、前記テストベースの温度を調整するための第2温度補償値を特定する工程では、
前記参照チップの温度データに基づいて、対応する温度データ曲線を取得する工程と、
前記温度データ曲線に基づいて、前記テストされるチップ温度が安定状態に達した平均温度値を取得する工程と、
前記平均温度値及び所定の温度値に基づいて、第2温度補償値を特定する工程とを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記平均温度値及び前記所定の温度値に基づいて、第2温度補償値を特定する工程では、
前記平均温度値と前記所定の温度値との差値、及び対応する第2比例係数に基づいて、前記第2温度補償値を特定する工程を含む、
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記平均温度値と前記所定の温度値との差値、及び対応する第2比例係数に基づいて、前記第2温度補償値を特定する工程では、
前記平均温度値をT2、前記所定の温度値をP、前記平均温度値と前記所定の温度値との差値をY、第2比例係数をNとすると、前記Y、前記P及び前記T2は、下記式Y=P-T2を満たし、前記第2温度補償値Bが下記式を満たす、
ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
B=Y*N。
【請求項8】
前記温度センサーは、前記アダプタに設けられた第1温度センサーと、前記テストベースに設けられた第2温度センサーとを含み、前記第1温度センサーは、前記参照チップの第1温度データを複数回取得するためのものであり、前記第2温度センサーは、前記参照チップの第2温度データを複数回取得するためのものであり、前記参照チップの温度データ及び前記参照チップの所定の温度値に基づいて、前記アダプタの温度を調整するための前記第1温度補償値と、前記テストベースの温度を調整するための前記第2温度補償値とを特定する工程では、
まず、前記参照チップの第1温度データ及び前記所定の温度値に基づいて前記第1温度補償値を特定し、次に、前記参照チップの第2温度データ及び前記所定の温度値に基づいて前記第2温度補償値を特定する工程を含む、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
まず、前記参照チップの第1温度データ及び前記所定の温度値に基づいて前記第1温度補償値を特定し、次に、前記参照チップの第2温度データ及び前記所定の温度値に基づいて前記第2温度補償値を特定する工程では、
前記アダプタを用いて前記参照チップをピックアップし、前記第1温度センサーを用いて前記参照チップの第1温度データを複数回取得し、前記参照チップの第1温度データ及び前記所定の温度値に基づいて、前記第1温度補償値を特定する工程と、
前記アダプタを用いて前記参照チップを前記テストベースに置いた後、前記第2温度センサーを用いて前記参照チップの第2温度データを複数回取得し、前記参照チップの第2温度データ及び前記所定の温度値に基づいて、前記第2温度補償値を特定する工程と、を含む、
ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記温度センサーは、前記アダプタに設けられた第1温度センサーと、前記テストベースに設けられた第2温度センサーとを含み、前記第1温度センサーは、前記参照チップの第1温度データを複数回取得するためのものであり、前記第2温度センサーは、前記参照チップの第2温度データを複数回取得するためのものであり、前記参照チップの温度データ及び前記参照チップの所定の温度値に基づいて、前記アダプタの温度を調整するための前記第1温度補償値と、前記テストベースの温度を調整するための前記第2温度補償値とを特定する工程では、
前記参照チップの第1温度データ及び所定の温度値に基づいて前記第1温度補償値を特定するとともに、前記参照チップの第2温度データ及び所定の温度値に基づいて前記第2温度補償値を特定する工程を含む、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記温度センサーは、前記アダプタに設けられた第1温度センサーと、前記テストベースに設けられた第2温度センサーとを含み、前記第1温度センサーは、前記参照チップの第1温度データを複数回取得するためのものであり、前記第2温度センサーは、前記参照チップの第2温度データを複数回取得するためのものであり、前記参照チップの温度データ及び前記参照チップの所定の温度値に基づいて、前記アダプタの温度を調整するための前記第1温度補償値と、前記テストベースの温度を調整するための前記第2温度補償値とを特定する工程では、
まず、前記参照チップの第2温度データ及び所定の温度値に基づいて前記第2温度補償値を特定し、次に、前記参照チップの第1温度データ及び所定の温度値に基づいて前記第1温度補償値を特定する工程を含む、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2022年3月11日に出願され、出願番号が202210238853.3、発明名称が「チップ温度調整方法」である中国専利出願の優先権を要求し、その全部内容が引用により本願に組み合わせる。
【0002】
本願は、チップテスト分野に関し、特にチップ温度調整方法に関する。
【背景技術】
【0003】
テストされるチップをテストする場合に、テストされるチップの温度を所定のテスト温度の範囲に調整し、そしてテストする必要がある。
【0004】
関連技術におけるテスト機器の温度制御方法では、そのテスト機器が基台に少なくとも1つのアダプタが設けられ、このアダプタの温度制御装置は、このアダプタに設けられた加熱シート及び温度センサーと、この加熱シートの上に設けられた冷却チップとを含み、この冷却チップの上方にはヒートシンクが設けられ、アダプタが電子素子に当接してテストする場合には、加熱シートを用いて電子素子をテスト温度まで加熱することができるだけではなく、且つ電子素子の温度がテスト温度を超えると、電子素子が所定のテスト温度範囲でテストするように保持して、さらに製品のテスト合格率を確保するように、冷却チップの下方の冷端により、電子素子を急速に冷却することもできる。上記技術的解決策では、加熱シート及び冷端を用いてアダプタの温度を調整して、さらにテスト機器に対して温度調整を行うが、アダプタに設けられた温度センサーは、電子素子の表面温度を取得するに過ぎず、環境温度変化によって影響されやすいため、この温度制御方法は正確率が低い。
【発明の概要】
【0005】
本願の様々な実施例によれば、テスト機器に適用するチップ温度調整方法であって、前記テスト機器は、アダプタと、アダプタに嵌合設置されたテストベースとを含み、前記アダプタ及びテストベースは嵌合して、テストされるチップを置くためのテストチャンバーを構成し、前記テストチャンバー内には温度センサーが設けられ、前記テスト機器は、前記アダプタの温度を調整する第1温度調整ユニットと、前記テストベースの温度を調整する第2温度調整ユニットとがさらに含まれ、前記方法では、前記温度センサーを用いて参照チップの温度データを複数回取得する工程を含み、前記参照チップが、同一ロットのテストされるチップから選択されるものであり、前記参照チップの温度データが所定の温度範囲にない場合には、前記参照チップの温度データ及び前記参照チップの所定の温度値に基づいて、前記アダプタの温度を調整するための第1温度補償値と、前記テストベースの温度を調整するための第2温度補償値とを特定し、テストされるチップをテストする場合には、前記テストされるチップの温度が所定の温度範囲にあるように、前記第1温度調整ユニットが前記第1温度補償値に基づいて前記アダプタの温度を調整するように制御するとともに、前記第2温度調整ユニットが前記第2温度補償値に基づいて前記テストベースの温度を調整するように制御するチップ温度調整方法が提供される。
【0006】
いくつかの実施例において、前記参照チップの温度データ及び前記参照チップの所定の温度値に基づいて、前記アダプタの温度を調整するための第1温度補償値を特定する工程では、前記参照チップの温度データに基づいて、対応する温度データ曲線を取得する工程と、前記温度データ曲線に基づいて、前記テストされるチップの開始温度値を取得する工程と、前記開始温度値及び所定の温度値に基づいて、第1温度補償値を特定する工程と、を含む。
【0007】
いくつかの実施例において、前記開始温度値及び所定の温度値に基づいて第1温度補償値を特定する工程では、前記開始温度値と所定の温度値との差値、及び対応する第1比例係数に基づいて、前記第1温度補償値を特定する工程を含む。
【0008】
いくつかの実施例において、前記開始温度値と所定の温度値との差値、及び対応する第1比例係数に基づいて、前記第1温度補償値を特定する工程では、前記開始温度値をT1、所定の温度値をP、前記開始温度値と前記所定の温度値との差値をX、第1比例係数をMとすると、前記X、前記P及び前記T1は、下記式X=P-T1を満たし、前記第1温度補償値Aが下記式を満たす。
A=X*M。
【0009】
いくつかの実施例において、前記参照チップの温度データ及び前記参照チップの所定の温度値に基づいて、前記テストベースの温度を調整するための第2温度補償値を特定する工程では、前記参照チップの温度データに基づいて、対応する温度データ曲線を取得する工程と、前記温度データ曲線に基づいて、前記テストされるチップが安定した平均温度値を取得する工程と、前記平均温度値及び所定の温度値に基づいて、第2温度補償値を特定する工程と、を含む。
【0010】
いくつかの実施例において、前記平均温度値及び所定の温度値に基づいて第2温度補償値を特定する工程では、前記平均温度値と所定の温度値との差値、及び対応する第2比例係数に基づいて、前記第2温度補償値を特定する工程を含む。
【0011】
いくつかの実施例において、前記平均温度値と所定の温度値との差値、及び対応する第2比例係数に基づいて、前記第2温度補償値を特定する工程では、前記平均温度値をT2、前記所定の温度値をP、前記平均温度値と前記所定の温度値との差値をY、第2比例係数をNとすると、前記Y、前記P及び前記T2は、下記式Y=P-T1を満たし、前記第2温度補償値Bが下記式を満たす。
B=Y*N。
【0012】
いくつかの実施例において、前記温度センサーは、アダプタに設けられた第1温度センサーと、テストベースに設けられた第2温度センサーとを含み、前記第1温度センサーは、前記参照チップの第1温度データを複数回取得するためのものであり、前記第2温度センサーは、前記参照チップの第2温度データを複数回取得するためのものであり、前記参照チップの温度データ及び前記参照チップの所定の温度値に基づいて、前記アダプタの温度を調整するための第1温度補償値と、前記テストベースの温度を調整するための第2温度補償値とを特定する工程では、まず、前記参照チップの第1温度データ及び所定の温度値に基づいて前記第1温度補償値を特定し、次に、前記参照チップの第2温度データ及び所定の温度値に基づいて前記第2温度補償値を特定する工程を含む。
【0013】
いくつかの実施例において、まず、前記参照チップの第1温度データ及び所定の温度値に基づいて前記第1温度補償値を特定し、次に、前記参照チップの第2温度データ及び所定の温度値に基づいて前記第2温度補償値を特定する工程では、前記アダプタを用いて前記参照チップをピックアップし、前記第1温度センサーを用いて前記参照チップの第1温度データを複数回取得し、前記参照チップの温度データ及び前記参照チップの所定の温度値に基づいて、前記第1温度補償値を特定する工程と、前記アダプタを用いて前記参照チップを前記テストベースに置いた後、前記第2温度センサーを用いて前記参照チップの第2温度データを複数回取得し、前記参照チップの第2温度データ及び前記所定の温度値に基づいて、前記第2温度補償値を特定する工程と、を含む。
【0014】
いくつかの実施例において、前記温度センサーは、アダプタに設けられた第1温度センサーと、テストベースに設けられた第2温度センサーとを含み、前記第1温度センサーは、前記参照チップの第1温度データを複数回取得するためのものであり、前記第2温度センサーは、前記参照チップの第2温度データを複数回取得するためのものであり、前記参照チップの温度データ及び前記参照チップの所定の温度値に基づいて、前記アダプタの温度を調整するための第1温度補償値と、前記テストベースの温度を調整するための第2温度補償値とを特定する工程は、前記参照チップの第1温度データ及び所定の温度値に基づいて前記第1温度補償値を特定するとともに、前記参照チップの第2温度データ及び所定の温度値に基づいて前記第2温度補償値を特定する工程を含む。
【0015】
いくつかの実施例において、前記温度センサーは、アダプタに設けられた第1温度センサーと、テストベースに設けられた第2温度センサーとを含み、前記第1温度センサーは、前記参照チップの第1温度データを複数回取得するためのものであり、前記第2温度センサーは、前記参照チップの第2温度データを複数回取得するためのものであり、前記参照チップの温度データ及び前記参照チップの所定の温度値に基づいて、前記アダプタの温度を調整するための第1温度補償値と、前記テストベースの温度を調整するための第2温度補償値とを特定する工程では、まず、前記参照チップの第2温度データ及び所定の温度値に基づいて前記第2温度補償値を特定し、次に、前記参照チップの第1温度データ及び所定の温度値に基づいて前記第1温度補償値を特定する工程を含む。
【0016】
本願の1つ又は複数の実施例の詳細は、下記の図面及び説明で提出される。本願の他の特徴、目的及び利点については、明細書、図面及び特許請求の範囲から明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
ここで開示している実施例及び/又は例示をよりよく記載し説明するために、一又は複数の図面を参照してもよい。図面を説明するための追加の詳細または例は、開示された出願、現在説明されている実施形態および/または例、並びに現在理解されているこれらの出願の最適的形態のいずれかの範囲を限定するものとみなされるべきではない。
【0018】
図1】1つ又は複数の実施例によるテスト機器の構成模式図である。
図2】1つ又は複数の実施例によるチップ温度調整方法のフロー概略図である。
図3】1つ又は複数の実施例による第1温度補償値を特定するフロー概略図である。
図4】1つ又は複数の実施例による温度データ曲線における開始温度値の概略図である。
図5】1つ又は複数の実施例による第2温度補償値を特定するフロー概略図である。
図6】1つ又は複数の実施例による温度データ曲線において安定した平均温度値の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願の目的、技術的解決策及び利点をより明確化するために、以下、附図及び実施例を参照しながら、本願をさらに詳細に説明する。理解されるように、ここで説明される具体的な実施例は本願を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものではない。
【0020】
なお、本願の説明書、特許請求の範囲、および上記の図面における用語「第1」、「第2」等は、類似する対象を区別するために使用されるもので、特定の順序や前後順序を説明するために必要ではない。
【0021】
本願の実施例で提供される方法実施例は、テスト機器に適用可能である。図1は本願実施例におけるテスト機器の構成模式図である。図1に示すように、テスト機器は、アダプタ101と、アダプタ101に嵌合設置されたテストベース102とを含み、アダプタ101及びテストベース102は嵌合して、テストされるチップ1031を置くためのテストチャンバー103を構成し、テストチャンバー103内には温度センサー1032が設けられ、アダプタ101の温度を調整する第1温度調整ユニット104と、テストベース102の温度を調整する第2温度調整ユニット105とがさらに含まれる。
【0022】
いくつかの実施例において、第1温度調整ユニット104は、アダプタ101に設けられた加熱棒と、低温ガスを入力するための低温流路とを含み、第2温度調整ユニット105は、高温又は低温ガスを入力するための流路を含む。なお、第1温度調整ユニット104、第2温度調整ユニット105としては、他の温度調整構造が用いられてもよいが、本実施例でここを限定しない。
【0023】
いくつかの実施例において、図2に示すように、チップ温度調整方法が提供され、この方法を図1におけるテスト機器に適用する例として説明すると、下記の工程を含む。
【0024】
S201:温度センサー1032により参照チップ1031aの温度データを複数回取得する。
ここで、参照チップ1031aは、同一ロットのテストされるチップ1031から選択され、同一ロットのテストされるチップ1031の温度とほぼ同じである。
【0025】
S202:参照チップ1031aの温度データが所定の温度範囲にない場合に、参照チップ1031aの温度データ及び所定の温度値に基づいて、アダプタ101の温度を調整するための第1温度補償値と、テストベース102の温度を調整するための第2温度補償値とを特定する。
テストされるチップ1031をテストする場合には、テストされるチップ1031の温度を所定の温度範囲に調整する必要がある。本実施例で、参照チップ1031aを参照として利用すると、参照チップ1031aの温度が所定の温度範囲にあれば、テストされるチップ1031の温度を調整する必要がなく、参照チップ1031aの温度が所定の温度範囲になければ、アダプタ101の温度を調整する第1温度補償値と、テストベース102の温度を調整する第2温度補償値とを特定する必要があり、第1温度補償値及び第2温度補償値により、参照チップ1031aの温度を所定の温度範囲に調整することができる。なお、所定の温度範囲は、実際需要に応じて設定されてもよい。
【0026】
S203:テストされるチップ1031をテストする場合には、テストされるチップ1031の温度が所定の温度範囲にあるように、第1温度調整ユニット104が第1温度補償値に基づいてアダプタ101の温度を調整するように制御するとともに、第2温度調整ユニット105が第2温度補償値に基づいてテストベース102の温度を調整するように制御する。
【0027】
関連技術において、アダプタ101のみにより、テストされるチップの温度を調整する。本実施例で、テストされるチップをテストする場合には、第1温度調整ユニット104が第1温度補償値に基づいてアダプタ101の温度を調整するように制御するとともに、第2温度調整ユニット105が第2温度補償値に基づいてテストベース102の温度を調整するように制御し、即ち、アダプタ101及びテストベース102の2つの形態に対して温度調整を行い、アダプタ101により、テストされるチップ1031の温度を調整するほかに、テストベース102により、テストされるチップ1031の存在する環境温度も調整し、環境温度がテストされるチップ1031の実際温度にもっと近くなり、関連技術においてアダプタ101のみによりテストされるチップの温度を調整することよりも、本実施例において、テストされるチップの温度調整の精確率はより高くなる。
【0028】
なお、関連技術において、毎回のテストプロセスで、テストされるチップの温度補償値を取得してから、温度調整を行う必要があるので、テストされるチップに対する温度調整の効率は低い。本実施例で、同一ロットのテストされるチップ1031から参照チップ1031aを選択する。同一ロットのテストされるチップ1031の温度がほぼ同じであるため、参照チップ1031aの温度データ及び所定の温度値に基づいて、アダプタ101の温度を調整するための第1温度補償値と、テストベース102の温度を調整するための第2温度補償値とを特定することができる。そして、毎回のテストプロセスにおいてテストされるチップ1031の温度調整補償値を再取得する必要がなく、第1温度補償値及び第2温度補償値を、テストされるチップ1031の温度調整補償値とすることによって、テストされるチップ1031の温度調整効率を向上させて、テストされるチップ1031のテスト効率も向上させる。
【0029】
いくつかの実施例において、図3に示すように、参照チップ1031aの温度データ及び所定の温度値に基づいて、アダプタ101の温度を調整するための第1温度補償値を特定する工程は、下記の工程を含む。
【0030】
S301:参照チップ1031aの温度データに基づいて、対応する温度データ曲線を取得する。
収集された温度データは離散データで、温度データを直接的に分析することができないため、温度データに対してスムージングアルゴリズム処理を行い曲線特徴を具備させて、温度データ曲線を取得する。
【0031】
S302:温度データ曲線に基づいて、テストされるチップ1031の開始温度値を取得する。
【0032】
S303:開始温度値及び所定の温度値に基づいて、第1温度補償値を特定する。
【0033】
開始温度値と所定の温度値との差値、及び対応する第1比例係数に基づいて、第1温度補償値を特定する。ここで、第1比例係数は実際調整需要に応じて設定される。
【0034】
具体的には、図4に示すように、開始温度値がT1と定義され、所定の温度値がPと定義され、開始温度値と、所定の温度値との差値がXと定義され、第1比例係数がMと定義されると、前記X、前記P及び前記T1は、下記式X=P-T1を満たし、第1温度補償値がAと定義され、下記式を満たす。
A=X*M。
【0035】
開始温度値と、所定の温度値との差値を、第1比例係数に乗算して第1温度補償値が得られ、第1温度補償値を用いてアダプタ101の温度を調整する。
【0036】
いくつかの実施例において、図5に示すように、参照チップ1031aの温度データ及び所定の温度値に基づいて、テストベース102の温度を調整するための第2温度補償値を特定する工程は、下記の工程を含む。
【0037】
S401:参照チップ1031aの温度データに基づいて、対応する温度データ曲線を取得する。
収集された温度データは離散データで、温度データを直接的に分析することができないため、温度データに対してスムージングアルゴリズム処理を行い曲線特徴を具備させて、温度データ曲線を取得する。
【0038】
S402:温度データ曲線に基づいて、テストされるチップ1031の温度が安定した平均温度値を取得する。
【0039】
S403:平均温度値及び所定の温度値に基づいて、第2温度補償値を特定する。
【0040】
平均温度値と所定の温度値との差値、及び対応する第2比例係数に基づいて、第2温度補償値を特定する。ここで、第2比例係数は実際調整需要に応じて設定される。
【0041】
具体的に、図6に示すように、テストされるチップ1031の温度が安定状態に達した平均温度値がT2と定義され、所定の温度値がPと定義され、平均温度値と、所定の温度値との差値がYと定義され、第2比例係数がNと定義されると、前記Y、前記P及び前記T2は、下記式Y=P-T2を満たし、第2温度補償値がBと定義され、下記式を満たす。
B=Y*N。
【0042】
平均温度値と所定の温度値との差値を、第2比例係数に乗算して第2温度補償値を特定し、第2温度補償値を用いてテストベース102の温度を調整する。
【0043】
いくつかの実施例において、温度センサー1032は、アダプタ101に設けられた第1温度センサー1032aと、テストベース102に設けられた第2温度センサー1032bとを含み、第1温度センサー1032aは、参照チップ1031aの第1温度データを複数回取得するためのものであり、第2温度センサー1032bは、参照チップ1031aの第2温度データを複数回取得するためのものである。参照チップ1031aの温度データ及び所定の温度値に基づいて、アダプタ101の温度を調整するための第1温度補償値と、テストベース102の温度を調整するための第2温度補償値とを特定する方法では、まず、参照チップ1031aの第1温度データ及び所定の温度値に基づいて第1温度補償値を特定し、次に、参照チップ1031aの第2温度データ及び所定の温度値に基づいて第2温度補償値を特定する。
【0044】
具体的に、アダプタ101は参照チップ1031aをピックアップし、ピックアップ中に第1温度センサー1032aを用いて参照チップ1031aの第1温度データを複数回取得し、参照チップ1031aの第1温度データ及び所定の温度値に基づいて、第1温度補償値を特定し、第1温度補償値を用いてアダプタ101の温度を調整する。第1温度補償値を特定する方法は、上記実施例で説明されたが、ここでは重複して説明しない。アダプタ101は、参照チップ1031aをテストベース102の後に置いて、第2温度センサー1032bを用いて参照チップ1031aの第2温度データを取得し、参照チップ1031aの第2温度データ及び所定の温度値に基づいて、第2温度補償値を特定してから、第2温度補償値を用いてテストベース102の温度を調整する。第2温度補償値を特定する方法は上記実施例で説明されたが、ここでは重複して説明しない。
【0045】
上記実施例で、アダプタ101は参照チップ1031aをピックアップするプロセスにおいて第1温度補償値を用いてアダプタ101の温度を調整し、テストされるチップ1031がテストチャンバー103に置かれた後、第2温度補償値を用いてテストベース102の温度を調整し、テストされるチップ1031をテストチャンバー103に置いた後、アダプタ101及びテストベース102を温度調整することよりも、テストされるチップ1031の温度をより速く調整することができる。次に、第1温度補償値を用いてアダプタ101の温度を初期調整してから、第2温度補償値を用いてテストベース102の温度を細かく調整することによって、温度調整をより精確にする。
【0046】
いくつかの実施例において、温度センサー1032は、アダプタ101に設けられた第1温度センサー1032aと、テストベース102に設けられた第2温度センサー1032bとを含み、第1温度センサー1032aは、参照チップ1031aの第1温度データを複数回取得するためのものであり、第2温度センサー1032bは、参照チップ1031aの第2温度データを複数回取得するためのものである。参照チップ1031aの温度データ及び所定の温度値に基づいて、アダプタ101の温度を調整するための第1温度補償値と、テストベース102の温度を調整するための第2温度補償値とを特定する方法では、参照チップ1031aの第1温度データ及び所定の温度値に基づいて第1温度補償値を特定するとともに、参照チップ1031aの第2温度データ及び所定の温度値に基づいて第2温度補償値を特定する。
【0047】
上記実施例で、アダプタ101は、参照チップ1031aをテストベース102に置いた後、第1温度データを取得すると同時に、テストベース102は第2温度データを取得する。第1温度補償値及び第2温度補償値を同時に用いてアダプタ101及びテストベース102の温度をそれぞれ調整するため、調整の時間が短い。
【0048】
いくつかの実施例において、温度センサー1032は、アダプタ101に設けられた第1温度センサー1032aと、テストベース102に設けられた第2温度センサー1032bとを含み、第1温度センサー1032aは、参照チップ1031aの第1温度データを複数回取得するためのものであり、第2温度センサー1032bは、参照チップ1031aの第2温度データを複数回取得するためのものである。参照チップ1031aの温度データ及び所定の温度値に基づいて、アダプタ101の温度を調整するための第1温度補償値と、テストベース102の温度を調整するための第2温度補償値とを特定する方法では、まず、参照チップ1031aの第2温度データ及び所定の温度値に基づいて第2温度補償値を特定し、次に、参照チップ1031aの第1温度データ及び所定の温度値に基づいて第1温度補償値を特定する。
【0049】
上述実施例で、参照チップ1031aをテストチャンバー103に置いて、参照チップ1031aの第2温度データに基づいて第2温度補償値を特定し、第2温度補償値を用いてテストベース102の温度を調整し、その後、アダプタ101を押し下げて第1温度データを取得し、第1温度補償値を特定し、第1温度補償値を用いてアダプタ101の温度を調整することによって、テストされるチップ1031の温度を正確的に調整することができる。
【0050】
理解すべきこととしては、上記フローチャートの様々な工程は矢印に示すように順に示されているが、これらの工程は必ずしも矢印で示される順序で順に実行されるわけではない。本願において明確に説明しない限り、これらの工程の実行は順序が厳密に限定されることではなく、これらの工程は他の順序で実行されてもよい。また、上記フローチャートにおける工程の少なくとも一部は、複数の工程または段階を含んでもよく、これらの工程または段階は、必ずしも同時に実行される必要がないが、異なるタイミングで実行されてもよく、これらの工程または段階の実行順序は、必ずしも順に実行される必要がないが、他の工程、或いは他の工程における工程や段階の少なくとも一部と順番に、または交互に実行されてもよい。
【0051】
以上の実施例の各技術的特徴は任意の組み合わせを行うことができ、説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴のすべての可能な組み合わせについて説明しないが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、いずれも本明細書に記載の範囲であると考えられるべきである。
【0052】
上記し実施例は本発明のいくつかの実施形態のみを示し、その説明は具体的で詳細であるが、これによって本発明の特許範囲を限定するものと理解すべきではない。指摘すべきこととして、当業者にとって、本願の思想から逸脱することなく、さらにいくつかの変形及び改良を行うことができ、これらはいずれも本願の保護範囲に属する。したがって、本願特許の保護範囲は添付する特許請求の範囲を基準とすべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】