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特表2024-516170洋上の又は陸上の構造物のためのガス状の二水素を液化する装置
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  • 特表-洋上の又は陸上の構造物のためのガス状の二水素を液化する装置 図1
  • 特表-洋上の又は陸上の構造物のためのガス状の二水素を液化する装置 図2
  • 特表-洋上の又は陸上の構造物のためのガス状の二水素を液化する装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】洋上の又は陸上の構造物のためのガス状の二水素を液化する装置
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20240405BHJP
   B01J 23/755 20060101ALI20240405BHJP
   C01B 3/00 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
F17C13/00 302A
B01J23/755 M
C01B3/00 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564572
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 FR2022050701
(87)【国際公開番号】W WO2022223909
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】2104153
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール、アウン
(72)【発明者】
【氏名】パーベル、ボリシェビキ
【テーマコード(参考)】
3E172
4G140
4G169
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD01
3E172EB03
3E172EB10
3E172HA04
3E172HA08
3E172HA12
4G140AB02
4G169AA02
4G169AA03
4G169BA08A
4G169BA38
4G169BB04A
4G169BB05A
4G169BB19A
4G169BC31A
4G169BC58A
4G169BC62A
4G169BC66A
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BD05A
4G169CB81
4G169CD10
4G169DA06
4G169EA08
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのタンク(3、5)に貯留される液体状態の二水素(9)の気化から生じるガス状の二水素を液化するための装置(11)に関する。液化装置(11)は、少なくとも1つの熱交換器(13)を備え、少なくとも1つの供給ブランチ(21)は、ガス状の二水素の少なくとも一部をタンク(3、5)からガス状の二水素の消費体に運ぶように構成され、供給ブランチの一部は、パラ水素のオルト水素への変換に関与する触媒(151)が内側に配置される熱交換器(13)を通過し、少なくとも1つの冷却ブランチ(23)が少なくとも1つの圧縮部材(25)を有し、熱交換器(13)を通過する冷却ブランチ(23)の一部は、冷却ブランチで循環する二水素の少なくとも一部を液化するために且つ供給ブランチで循環する二水素を加熱するために、第1パス(15)と熱を交換する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのタンク(3、5)に貯留される液体状態の二水素(9)の気化から生じるガス状の二水素を液化するための装置(11)であって、前記液化装置(11)は、複数のパス(15、17、19)を有する少なくとも1つの熱交換器(13)を備え、少なくとも1つの供給ブランチ(21)は、前記ガス状の二水素の少なくとも一部を前記タンク(3、5)からガス状の二水素の消費体に運ぶように構成され、前記供給ブランチの一部は、前記二水素のパラ異性体の前記二水素のオルト異性体への変換に関与する触媒(151)が内側に配置される第1パス(15)を介して前記熱交換器(13)を通過し、前記液化装置(11)は、前記ガス状の二水素の少なくとも一部を液化するように構成される少なくとも1つの冷却ブランチ(23)を備え、前記冷却ブランチ(23)は少なくとも1つの圧縮部材(25)を有し、前記冷却ブランチ(23)の一部は、前記圧縮部材(25)の後に配置される第2パス(17)を介して前記熱交換器(13)を通過し、前記第2パス(17)は、前記冷却ブランチ(23)で循環する前記二水素の少なくとも一部を液化するために、前記第1パス(15)と熱エネルギーを交換する、ガス状の二水素を液化するための装置(11)。
【請求項2】
前記触媒(151)は、ニッケル、銅、鉄又は金属水素化物のゲル、ニッケル、銅又は鉄フィルム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、水酸化マンガン、酸化鉄、ニッケル-シリコン複合体、活性炭及び/又はそれらの少なくとも1つの組み合わせの中から選択される、請求項1に記載の液化装置(11)。
【請求項3】
前記供給ブランチ(21)は、前記第1パス(15)の出口(155)の後に配置される圧縮装置(27)を備える、請求項1又は2に記載の液化装置(11)。
【請求項4】
前記冷却ブランチ(23)の別の部分は、第3パス(19)を介して前記熱交換器(13)を通過し、前記第3パス(19)の出口(195)は、前記冷却ブランチ(23)の接続部(231)によって前記第2パス(17)の入口(173)に接続され、前記接続部(231)は前記圧縮部材(25)を備える、請求項1~3のいずれか一項に記載の液化装置(11)。
【請求項5】
前記熱交換器(13)の前記第2パス(17)は、前記熱交換器(13)の前記第1パス(15)及び前記第3パス(19)と熱エネルギーを交換するように配置される、請求項4に記載の液化装置(11)。
【請求項6】
前記第2パス(17)の出口(175)の後の前記冷却ブランチ(23)に配置される気液分離器(29)を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の液化装置(11)。
【請求項7】
前記気液分離器(29)の液体出口(295)を、タンク(3、5)と流体連通させるように構成される、請求項6に記載の液化装置(11)。
【請求項8】
前記気液分離器(29)のガス出口(297)は、前記熱交換器(13)の前記第3パス(19)の入口(193)の前において前記冷却ブランチ(23)と流体連通する、請求項4と組み合わせられる請求項6又は7に記載の液化装置(11)。
【請求項9】
前記熱交換器(13)の前記第1パス(155)の入口(153)の前において前記供給ブランチ(21)に配置される集合点(33)と、前記圧縮部材(25)の前において前記冷却ブランチ(23)に配置される接合点(35)とを接続するバイパスブランチ(31)を備える、請求項4と組み合わせられる請求項1~8のいずれか一項に記載の液化装置(11)。
【請求項10】
液体二水素を収容する少なくとも1つのタンク(3、5)を備える液体状態の二水素を輸送すること及び/又は貯留することが意図される構造物(70)であって、前記浮体構造物(71)は、少なくとも1つの二水素消費体(7)と、請求項1~9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの液化装置(11)とを備え、前記少なくとも1つの消費体(7)は、前記液化装置(11)において少なくとも部分的に循環するガス状態の二水素によって燃料が供給されるように構成される、構造物(70)。
【請求項11】
前記熱交換器(13)の前記第1パス(15)における前記二水素の流れは、前記熱交換器(13)の前記第2パス(17)における前記二水素の流れとは反対の方向に向けられる、請求項10に記載の構造物(70)。
【請求項12】
前記熱交換器(13)の前記第1パス(15)における前記二水素の流れは、前記熱交換器(13)の前記第3パス(19)における二水素の流れと同じ方向に向けられる、請求項4と組み合わせられる請求項10又は11に記載の構造物(70)。
【請求項13】
液体状態の二水素のための移送システムであって、請求項10~12のいずれか一項に記載の構造物(70)と、前記構造物(70)に設置されるタンク(3、5)を浮体の又は陸上の貯留施設(77)に接続するように配置される断熱パイプライン(73、79、76、81)と、前記浮体の又は陸上の貯留施設(77)から前記構造物(70)の前記タンク(3、5)に又は前記構造物(70)の前記タンク(3、5)から前記浮体の又は陸上の貯留施設(77)に、前記断熱パイプラインを介して冷たい液体製品の流れを運ぶためのポンプと、を有するシステム。
【請求項14】
請求項10~12のいずれか一項に記載の構造物(70)からの積み込み又は積み下ろしのための方法であって、当該構造物(70)からの積み込み又は積み下ろしの間に、液体状態の二水素が、前記断熱パイプライン(73、79、76、81)を介して、浮体の又は陸上の貯留施設(77)から前記構造物(70)の前記タンク(3、5)に又は前記構造物(70)の前記タンク(3、5)から浮体の又は陸上の貯留施設(77)に運ばれる、方法。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか一項に記載の液化装置(11)によって、少なくとも1つのタンク(3、5)に貯留される液体状態の二水素の気化から生じるガス状の二水素を液化する方法であって、前記圧縮部材(25)によって前記ガス状の二水素を圧縮するステップと、前記圧縮されたガス状の二水素と前記タンク(3、5)から引き出されるガス状の二水素との間で前記熱交換器(13)において熱エネルギーを交換するステップとを含み、それによって、前記圧縮されたガス状の二水素が少なくとも部分的に液化され、前記熱エネルギーの交換のステップの間に、前記触媒の存在下で、前記引き出されるガス状の二水素に関する前記パラ異性体の前記オルト異性体への転化が起こる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの消費体に二水素が供給される浮体構造物又は陸上構造物の分野に関する。これらの構造物は、二水素を液体状態で貯留及び/又は輸送することを可能にする。それは、より具体的には、構造物の、特に浮体構造物又は陸上構造物の、少なくとも1つの消費体の燃料として使用されるガス状の二水素を液化する装置に関する。
【発明の概要】
【0002】
二水素をより容易に輸送及び/又は貯留するために、二水素は一般に、大気圧で二水素の気化温度よりも低い極低温まで冷却された液体状態にある。二水素は、例えば大気圧で-253℃まで冷却され、液体状態に移行する。そして、この液化二水素は、構造物の専用タンクに積み込まれる。
【0003】
しかし、そのようなタンクは、決して完全には断熱されているわけではなく、それによって液体状態の二水素の自然気化は避けられない。自然気化現象はボイルオフと呼ばれ、この自然気化の結果生じるガスはボイルオフガス(boil-off gas)と呼ばれ、その頭文字はBOGである。このように、構造物体のタンクは、液体形態の二水素とガス形態の二水素の両方を含む。
【0004】
タンクにガス状で存在する二水素の一部は、構造物の運転エネルギー要件を満たすのに、特にその推進力及び/又は構造物に搭載されている機器のための電気の生産に関し、提供される燃料電池などの消費体に供給するために使用されうる。ガス状の二水素の別の部分は、ベント(vent)を使用してそれによって二水素を失う代わりに、タンク内の圧力上昇を制限するために、再液化されうる。
【0005】
これらの液化装置は、特に二水素の特性の結果として、複雑で実現が難しいという欠点を有する。その液化効率は低く、それによって液体状態の二水素を輸送するにはコストが高いままであり、あまり利益にならない。
【0006】
本発明の目的は、液体状態の二水素の気化から生じるガス状の二水素を液化するための新規な装置を提案することにより、上述の欠点のうちの少なくとも1つを克服し、さらに他の利点に導くことである。
【0007】
本発明は、少なくとも1つのタンクに貯留される液体状態の二水素の気化から生じるガス状の二水素を液化するための装置を提案し、前記液化装置は、複数のパスを有する少なくとも1つの熱交換器を備え、少なくとも1つの供給ブランチは、前記ガス状の二水素の少なくとも一部を前記タンクからガス状の二水素の消費体に供給するように構成され、前記供給ブランチの一部が、前記二水素のパラ異性体の前記二水素のオルト異性体への変換に関与する触媒が内側に配置される第1パスを介して前記熱交換器を通過し、前記液化装置は、前記ガス状の二水素の少なくとも一部を液化するように構成される少なくとも1つの冷却ブランチを備え、前記冷却ブランチは少なくとも1つの圧縮部材を有し、前記冷却ブランチの一部は、前記圧縮部材の後に配置される第2パスを介して前記熱交換器を通過し、前記第2パスは、前記冷却ブランチで循環する前記二水素の少なくとも一部を液化するために、前記第1パスと熱エネルギーを交換する。
【0008】
本発明において、液化装置は、熱交換器内で、消費体によって燃料として使用されることが意図された極低温のガス状の二水素と、少なくとも部分的に液化されることが意図された極低温のガス状の二水素との間の熱エネルギーの交換を実施するように構成され、極低温のガス状の二水素は、1つ以上のタンクから来る。「極低温」は、-40℃より低い温度、或いは90℃よりさらに低い温度、好ましくは-150℃より低い温度を意味すると理解される。
【0009】
二水素には核スピン異性体と呼ばれる2つの形態があり、オルト水素とパラ水素とも呼ばれる。オルト水素は、分子の各原子に1つずつある2つのプロトンが互いに平行で同じ方向のスピンを持つ分子によって構成される二水素である。パラ水素は、分子の各原子に1つずつある2つのプロトンが逆平行なスピン(antiparallel spins)を持つ分子によって構成される二水素である。
【0010】
液体状態の二水素は、すなわち大気圧で-253℃以下の温度に関する二水素は、99.8%パラ水素で構成される。対照的に、周囲温度且つ熱平衡では、二水素は約75%のオルト水素且つ25%のパラ水素によって構成される。
【0011】
パラ水素からオルト水素への異性化の反応のエンタルピーは+525kJ/kgに等しく、吸熱反応であることを示す。一方、二水素の気化のエントロピーはたったの476kJ/kgである。しかし、パラ水素からオルト水素への異性化の反応は、数日のオーダーである。この関連において、たとえ二水素が気体であり且つ25℃であっても、パラ水素の割合が依然として非常に大きく優勢でありうることが理解される。
【0012】
タンクにおいて液体状態で貯留された二水素の気化によって生じるガス状の二水素は、消費体によって燃料として使用されることが意図されており、熱交換器の第1パスで循環する。第1パスは触媒を備え、当該触媒は、パラ水素のオルト水素への異性化反応を促進することを可能にし、したがって熱交換器の第2パスとの熱エネルギー交換の間、異性化反応のエネルギー吸収能力から役立つものを得ることを可能にする。
【0013】
液化されることが意図された極低温のガス状の二水素は、圧縮部材を通過し、その後、熱交換器の第2パス内に入り、そこで少なくとも部分的に液化されるようになっている。
【0014】
第2パスにおいて、圧縮されたガス状の二水素は、第1パスに存在するガス状の二水素に熱エネルギーを渡す。第1パスで循環するガス状の二水素は、第2パスから受ける熱エネルギーの吸収により、加熱されることに加え、触媒の存在下で急速に異性化される。第2パスで循環する圧縮されたガス状の二水素は、それが凝縮するまで、冷却される。
【0015】
こうして、液化装置は、1つ以上のタンクに貯留される液体状態の二水素の名目上の積荷の気化を、有益に利用することを可能にする。
【0016】
一実施形態によれば、触媒は、ニッケル、銅、鉄又は金属水素化物のゲル、ニッケル、銅又は鉄フィルム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、水酸化マンガン、酸化鉄、ニッケル-シリコン複合体、活性炭及び/又はそれらの少なくとも1つの組み合わせの中から選択される。
【0017】
一実施形態によれば、供給ブランチは、第1パスの出口の後に配置される少なくとも1つの圧縮装置を備える。言い換えれば、圧縮装置は、第1パスの出口と二水素の消費体との間に配置される。したがって、ガス状の二水素が供給ブランチにおいて循環する場合、それは熱交換器の第1パスを出た後、消費体に到達する前に、圧縮装置を通過する。圧縮装置は、特にガス状の二水素を供給ブランチで強制循環させることを可能にし、二水素の圧力も随意的に高くなる。
【0018】
一実施形態によれば、冷却ブランチの別の部分は、第3パスを介して熱交換器を通過し、第3パスの出口は、冷却ブランチの接続部によって第2パスの入口に接続され、接続部は圧縮部材を備える。したがって、二水素が冷却ブランチで循環する場合、それは熱交換器の第3パスを通過し、その後それは圧縮装置を通過し、その後それは熱交換器の第2パスを通過してそこで少なくとも部分的に液化されるようになっている。
【0019】
一実施形態によれば、熱交換器の第2パスは、熱交換器の第1パス及び第3パスと熱エネルギーを交換するように配置される。
【0020】
一実施形態によれば、液化装置は、第2パスの出口の後の冷却ブランチに配置される気液分離器を備える。熱交換器の第3パス、その後第2パスを連続して出た後に二水素が冷却ブランチで循環する場合、二水素は完全には液化していないかもしれない。したがってそれは、二相流体の形態でありうるものであり、すなわち第2パスを通過した後に二水素の一部は液体状であり且つ一部はガス状でありうるものであり、その二相はその後混合される。気液分離器は、特に、液体状の二水素をガス状の二水素から分離することを可能にする。
【0021】
一実施形態によれば、冷却ブランチは、熱交換器の第2パスの出口と気液分離器の入口との間に配置される膨張装置を備える。
【0022】
一実施形態によれば、液化装置は、気液分離器の液体出口を、タンクと流体連通させるように構成される。気液分離器の液体出口とタンクとの間の流体連通は、冷却パイプの第3部分によって確保されうる。したがって、液化された二水素は、ガス状の二水素が取り出されたタンクに戻されうるものであり、或いはそれは、ガス状の二水素が取り出されたタンクとは別の液体状態の二水素を貯留するためのタンクに送られうるものである。
【0023】
一実施形態によれば、気液分離器のガス出口は、熱交換器の第3パスの入口の前に冷却ブランチと流体連通する。より具体的には、気液分離器のガス出口と冷却ブランチに配置される接合点とを接続する接続ブランチによって、気液分離器のガス出口との流体連通が確保される。接合点は、熱交換器の第3パスの入口の前にある。その結果、気液分離器での二水素の気相は、冷却ブランチに送られうるものであり、そこで有益に利用される。
【0024】
一実施形態によれば、液化装置は、熱交換器の第1パスの入口の前に供給ブランチに配置される集合点と、圧縮部材(25)の前に冷却ブランチに配置される接合点とを接続するバイパスブランチを備える。
【0025】
一実施形態によれば、接合点は、熱交換器の第3パスの入口の前の冷却ブランチに配置される。つまり、集合点は、二水素が冷却ブランチで循環する場合、ガス状の二水素が取り出されるタンクのガス出口と、熱交換器との間にある。これにより、特に、供給ブランチで循環するものと同じタンクから来る二水素を使用することが可能になる。
【0026】
一実施形態によれば、接合点は、熱交換器の第3パスの出口と圧縮部材の入口との間の冷却ブランチに配置される。
【0027】
一実施形態によれば、熱交換器の第4パスがバイパスブランチを構成する。
【0028】
一実施形態によれば、熱交換器の第4パスは、熱交換器の第2パス及び第3パスと熱エネルギーを交換するように配置される。これにより、熱交換器の第2パスは、熱交換器の第1パス及び熱交換器の第4パスと熱エネルギーを交換するように配置される。そのような構造物の利点の1つは、バイパスブランチから来て熱交換器の第4パスを通過する二水素を、接続ブランチから来て熱交換器の第3パスを通過する二水素と混合する前に冷却することである。こうして、より低温の二水素が第2パスの入口で得られる。したがって、液化装置の再液化効率は向上する。さらに、液化装置のエネルギー消費が減少する。
【0029】
発明の別の主題は、液体状態の二水素を輸送すること及び/又は貯留することが意図された少なくとも1つのタンクを備える構造物、特に浮体構造物又は陸上構造物、であり、その構造物は、燃料としての二水素の少なくとも1つの消費体と、上述の特徴のうちの少なくとも1つを有する少なくとも1つの液化装置とを含み、その少なくとも1つの消費体は、前記液化装置で少なくとも部分的に循環するガス状態の二水素によって燃料が供給されるように構成される。消費体は、例えば、少なくとも1つの燃料電池を含むモーターであってもよい。タンクは、消費体のための燃料の容器を形成してもよい。
【0030】
一実施形態によれば、熱交換器の第1パスにおける二水素の流れは、熱交換器の第2パスにおける二水素の流れとは反対の方向に向けられる。言い換えれば、二水素が液化装置で循環する場合、熱交換器の第1パスにおける二水素の流れは、第2パスにおける二水素の流れに対する逆流を生じる。こうして、熱交換器の第1パスと第2パスと間の熱エネルギーの交換が増加する。
【0031】
一実施形態によれば、熱交換器の第1パスにおける二水素の流れは、熱交換器の第3パスにおける二水素の流れと同じ方向に向けられる。言い換えれば、二水素が液化装置で循環する場合、熱交換器の第1パスにおける二水素の流れは、第3パスにおける二水素の流れと並流となる。この関連において、熱交換器の第3パスにおける二水素の流れは、第2パスにおける二水素の流れと逆流することが理解される。
【0032】
一実施形態によれば、熱交換器の第4パスにおける二水素の流れは、第3パスにおける二水素の流れと同じ方向に向けられる。言い換えれば、二水素が液化装置で循環する場合、熱交換器の第4パスにおける二水素の流れは、第3パスにおける二水素の流れと並流となる。この関連において、熱交換器の第4パスにおける二水素の流れは、第2パスにおける二水素の流れと逆流することが理解される。
【0033】
発明はまた、液体状態の二水素のための移送システムであって、先行する特徴のうちの少なくとも一つを有する構造物と、構造物に、特に構造物の船体(hull)に、設置されるタンクを浮体の又は陸上の貯留施設に接続するように配置される断熱パイプラインと、浮体の又は陸上の貯留施設から構造物のタンクに又は構造物のタンクから浮体の又は陸上の貯留施設に、断熱パイプラインを介して冷たい液体製品の流れを送るためのポンプと、を有するシステムを提案する。
【0034】
発明はまた、先行する特徴のうちの少なくとも一つを有する構造物からの積み込み又は積み下ろしのための方法であって、当該構造物からの積み込み又は積み下ろしの間に、液体状態の二水素が、断熱パイプラインを介して、浮体の又は陸上の貯留施設から構造物のタンクに又は構造物のタンクから浮体の又は陸上の貯留施設に搬送される、方法を提供する。
発明はまた、上述した特徴の少なくとも1つを有する液化装置によって少なくとも1つのタンクに貯留される液体状態の二水素の気化から生じるガス状の二水素を液化するための方法を提案し、その方法は、少なくとも、ガス状の二水素を圧縮するステップと、圧縮されたガス状の二水素が液化されるように圧縮されたガス状の二水素とタンクから引き出されたガス状の二水素との間で熱エネルギーを交換するステップとを含み、引き出されたガス状の二水素に関するパラ異性体のオルト異性体への転化が、触媒の存在下で、熱エネルギーを交換するステップの間に起こる。
【0035】
一実施形態によれば、液化方法は、消費体に二水素を供給するために、熱エネルギーを交換するステップの後に、タンクから引き出されたガス状の二水素を圧縮するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0036】
発明のさらなる特徴及び利点は、以下の説明から及び添付の概略図面を参照して示す複数の非限定的な例示的実施形態から、より明らかになり、添付の概略図面において:
図1図1は、発明による液化装置の第1実施形態の概略図であり、液化装置が、浮体構造物の少なくとも1つのタンクに貯留される液体状態の二水素の気化から生じるガス状の二水素を液化するように構成される。
図2図2は、発明による液化装置の第2実施形態の概略図であり、液化装置は、浮体構造物の少なくとも1つのタンクに貯留される液体状態の二水素の気化から生じるガス状の二水素を液化するように構成される。
図3図3は、図1の液体二水素を輸送するための浮体構造物と、浮体構造物のタンクに対する積み込み/積み下ろしのためのターミナルの切断概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図は、発明をその実施のために詳細に示すが、それらはもちろん、必要に応じて、発明をより良く定めるのに使用されうることにまず留意されるべきである。また、すべての図において、同様の要素及び/又は同じ機能を果たす要素は、同じ番号付けを用いて示されることに留意されるべきである。
【0038】
図1は、二水素を輸送及び/又は貯留するための浮体構造物の少なくとも1つのタンク3、5に貯留された液体二水素を液化するための装置11を示す。液化装置11は、浮体構造物の少なくとも1つの消費体7及びタンク3、5と協働するように構成される。
【0039】
1つ又は複数のタンク3、5は、液体形態の二水素9を、すなわち液体状態の二水素を、収容する。タンクの断熱は完全ではないので、液体状態の二水素9の一部は自然に気化する。したがって、浮体構造物のタンク3、5は、液体状の二水素9とガス状の二水素10との両方を含む。
【0040】
液化装置11は、タンク3、5の少なくとも1つから来る二水素を消費体7に供給する。例として、消費体7は少なくとも1つの燃料電池を含むが、それは内燃機関又はタービンとしうる。
【0041】
液化装置11は、複数のパス15、17、19を有する少なくとも1つの熱交換器13と、ガス状の二水素10の少なくとも一部をタンク3、5の1つからガス状の二水素の消費体7にもたらすように構成される少なくとも1つの供給ブランチ21と、タンク3、5の一方からのガス状の二水素10の少なくとも一部を液化するように構成される少なくとも1つの冷却ブランチ23とを備える。
【0042】
供給ブランチ21の第1部分は、第1パス15を介して熱交換器13を通過し、当該第1パス15の内側には、二水素のパラ異性体から二水素のオルト異性体への変換に関与する触媒151が配置される。触媒151は、ニッケル、銅、鉄又は金属水素化物のゲル、ニッケル、銅又は鉄フィルム、鉄、コバルト、ニッケル、クロム、水酸化マンガン、酸化鉄、ニッケル-シリコン複合体、活性炭及び/又はそれらの少なくとも1つの組み合わせの中から選択される。
【0043】
供給ブランチ21は、熱交換器13の第1パス15の出口を二水素の消費体7に接続する供給ブランチ21の第2部分に配置される少なくとも1つの圧縮装置27を備える。したがって圧縮装置27は、第1パス15の出口155の後、すなわちその下流に、供給ブランチ21における二水素の循環の方向において、供給ブランチに配置される。
少なくとも1つのタンク3、5に保持されたガス状の二水素10が供給ブランチ21を通って消費体7に流れることができるように、供給ブランチ21は、二水素を貯留するための少なくとも1つのタンク3、5を、第1パス15の入口153に接続する第3部分を備える。
【0044】
供給ブランチ21の第3部分は、第1タンク3に接続された第1サブブランチ211と、第2タンク5に接続された第2サブブランチ213と、を備える。第1サブブランチ211及び第2サブブランチ213は、供給ブランチ21の集合点33で合流し、当該供給ブランチ21は、接続パイプによって熱交換器13の第1パス15の入口153に接続される。
【0045】
ガス状の二水素の出所を選択できるようにするために、すなわち第1タンク3からのガス状の二水素10及び/又は第2タンク5からのガス状の二水素10を選択できるようにするために、供給ブランチ21は、集合点33に配置されるバルブを備えていてもよい。
【0046】
これらのタンク3、5のうちの少なくとも1つから来るガス状の二水素10は、圧縮装置27によって供給ブランチ21で強制循環される。その後、ガス状の二水素はタンクから熱交換器13の第1パス15の入口153に流れ、その後、熱交換器13の第1パス15を通過する。
【0047】
第1パス15の入口153から第1パスの出口155へ流れることにより、二水素は、熱交換器13の第2パス17と熱エネルギーを交換する。そして第1パス15を流れるガス状の二水素が加熱される。例として、ガス状の二水素は、第1パス15の入口153において絶対圧1.1barで-240℃の温度を有し、第1パス15の出口155において1.1barで+25℃の温度を有する。
【0048】
熱交換器13の第1パス15の内側の触媒151の存在は、パラ水素からオルト水素への異性化の反応を促進することを可能にし、そのような反応は吸熱反応である。したがって、第1パス15において循環するガス状の二水素は、熱交換器13の第2パス17から来る更なる熱エネルギーを吸収しうる。第2パス17から第1パス15への熱の伝達が大幅に増加する。
【0049】
図1を参照すると、冷却ブランチ23は、少なくとも1つの二水素圧縮部材25を有する。冷却ブランチ23の第1部分は、圧縮部材25の後に配置される第2パス17を経由して熱交換器13を通過する。冷却ブランチ23において循環するガス状の二水素は、上記で説明したように、それによって、それが第2パス17内で冷却される前に、圧縮部材25によって圧縮される。この圧力の上昇は、第2パス17及びそれに続くものの内側で二水素の液化を促進する。
【0050】
図1に図示されているように、しかし任意の方法で、冷却ブランチ23の第2部分は、第3パス19を介して熱交換器13を通過する。第3パス19の出口195は、冷却ブランチ23の接続部231によって第2パス17の入口173に接続される。接続部231は圧縮部材25を支持する。
【0051】
熱交換器13の第2パス17は、熱交換器13の第1パス15及び第3パス19と熱エネルギーを交換するように配置される。
【0052】
また、液化装置11は、供給ブランチ21の集合点33と、冷却ブランチ23に配置される接合点35とを接続するバイパスブランチ31を備える。これは、特に、1つの同じタンクからのガス状の二水素を、供給ブランチ21において及び冷却ブランチ23において循環させることを可能にする。接合点35は圧縮部材25の前に配置される。より具体的には、図1に描かれた第1実施形態において、接合点は、熱交換器13の第3パス19の入口193の前に配置される。
【0053】
タンクのうちの少なくとも1つから来るガス状の二水素10は、タンク3、5の一方から熱交換器13の第3パス15の入口193に流れ、その後、熱交換器13の第3パス19を通過する。
【0054】
第3パス19の出口195において、二水素は圧縮部材25によって圧縮されて、熱交換器13の第2パスの入口173に送られる。言い換えれば、圧縮部材25を通るその通路の後の二水素の圧力は、圧縮部材25を通るその通路の前の二水素の圧力よりも大きい。
【0055】
この関連において、圧縮部材25は、その機能の結果として、圧縮部材25を通じて冷却ブランチ23におけるタンク3、5の少なくとも一方から来るガス状の二水素10の強制循環を可能にすることが理解される。
【0056】
その後、圧縮された二水素は熱交換器13の第2パス17において流れ、そこでそれは熱交換器13の第3パス19において流れる二水素に対して及び熱交換器13の第1パス15において流れる二水素に対して、熱エネルギーを渡す。したがって、第2パス17において循環する二水素は、少なくとも部分的に液体状態に移行するように状態を変化させる。それによって熱交換器13の第2パス17の出口175では、二水素の少なくとも一部が液化され、優先的には全ての二水素が液化される。
【0057】
熱交換器13のパス15、17間の熱エネルギーの交換を最適化するため、第2パス17における二水素の流れは、第1パス15における二水素の流れと逆流して生じる。熱交換器13のパス17、19間の熱の伝達をさらに改善するために、第2パス17における二水素の流れは、第3パス19における二水素の流れと逆流して生じる。第1パス15における二水素は、第3パス19における二水素の循環の方向と同じ方向に流れることが理解される。
【0058】
例として、二水素は、熱交換器13の第3パス19の入口193で-250℃の温度を有し、熱交換器13の第3パス19の出口195で+25℃の温度を有する。圧縮部材25は、温度+43℃に関して、二水素を35~45バールの圧力まで圧縮する。二水素は、熱交換器13の第2パス17の入口173で+43℃の温度を有し、熱交換器13の第2パス17の出口175で-240℃の温度を有する。
【0059】
熱交換器13の第2パス17の出口175では、二水素が少なくとも部分的に液化される。言い換えれば、二水素は、熱交換器13の第2パス17を通過した後、液相及び気相を有しうる。その後、2つの相が混合される。
【0060】
図1に描かれた実施形態において、液化装置11は、冷却ブランチ23に配置される気液分離器29を備える。その分離器は、第2パス17の出口175の後に配置される。熱交換器14の第2パス17を出た後、少なくとも部分的に液化した二水素は、気液分離器29の入口293に向かって流れる。
【0061】
この第1実施形態には描かれていない膨張装置が、気液分離器29に入る流体の圧力を低下させるように、第2パス17の出口175と気液分離器29の入口293との間に配置されてもよい。
【0062】
気液分離器29の液体出口295は、タンク3、5の少なくとも一方と流体連通しており、そのような流体連通は、冷却管23の第3部分41によって確保される。
【0063】
気液分離器29のガス出口297は、熱交換器13の第3パス19の入口193の前で、冷却ブランチ23と流体連通する。例として、二水素は気液分離器29のガス出口297において-254℃の温度を有する。
【0064】
気液分離器29のガス出口297の冷却ブランチ23との流体連通は、気液分離器29のガス出口297と冷却ブランチ23に配置される接合点35とを接続する接続ブランチ299によって確保される。
【0065】
二水素が液化装置11において循環する場合、熱交換器13の第2パス17を出た後、二水素は気液分離器29に送られて、二水素の液相が気相から分離される。
【0066】
気液分離器29に収容される二水素の液相は、冷却管23の第3部分41を介して、タンク3,5の一方に貯留された二水素の液相9に送られうる。気液分離器29に含まれる二水素の気相は、接続ブランチ299を介して接合点35において冷却ブランチ23内に導入されてもよく、そこで液化されるようにしてもよい。
【0067】
図2は、発明による液化装置の第2実施形態を示す。第2実施形態は、接合点35が第3パス19の出口195と冷却ブランチ23における圧縮部材25との間にある点と、バイパスブランチ31が第4パス20を介して熱交換器13を通過する点とで、第1実施形態と異なる。同一要素は同じ参照で示される。これらの同一要素の更なる詳細については、上記の説明を参照しうる。
【0068】
図2を参照すると、熱交換器13の第4パス20は、集合点33と接合点35とを接続するバイパスブランチ31を構成する。集合点31は、第1パス15の入口153の前の供給ブランチ21にある。
【0069】
接合点35は冷却ブランチ23にある。接合点35は、圧縮部材25の前に配置される。図2に描かれているように、接合点35は、第3パス19の出口195と第2パス17の入口173との間に、より具体的には圧縮部材25の入口の前に、配置される。
【0070】
気液分離器29のガス出口297は、接続ブランチ299を介して第3パス19の入口193と流体連通する。接続ブランチ299は、この第2実施形態において、冷却ブランチ23の第2部分を構成する。したがって、第3パス19に入る二水素は、気液分離器29を出る二水素の気相と同じ温度、すなわちこの第2実施形態では-254℃、を有する。
【0071】
熱交換器13の第4パス20は、バイパスブランチ31を構成する。第4パス20は、熱交換器13の第2パス17及び第3パス19と熱エネルギーを交換するように配置される。したがって、熱交換器13の第2パス17は、熱交換器13の第1パス15及び熱交換器13の第4パス20と熱エネルギーを交換するように配置される。
【0072】
図2を参照すると、熱交換器13の第4パス20におけるガス状の二水素の流れは、第3パス19におけるガス状の二水素の流れと同じ方向に方向付けられている。換言すれば、ガス状の二水素が液化装置11において循環する場合、熱交換器13の第4パス20における二水素の流れは、第3パス19における二水素の流れと並流である。さらに、熱交換器13の第4パス20におけるガス状の二水素の流れは、第2パス17における二水素の流れと逆流する。
【0073】
図2に示す第2実施形態による液化装置1に二水素が通過する場合、二水素は圧縮され冷却された状態で熱交換器13の第2パス17から出る。したがって、冷却管23における二水素が気液分離器29に入ると、それは膨張し、その結果、気液分離器29において二水素の液相及び二水素の気相を作り出す。
膨張装置28は、任意のやり方で、気液分離器29に流入する流体の圧力を低下させるように第2通路17の出口175と気液分離器29の入口293との間に配置されうる。
気液分離器29における二水素の液相は、タンク3、5のうちの1つに戻されうる。より具体的には、気液分離器29の液体出口295からタンク5内に延びる冷却パイプ23の第3部分41を介して、タンク5に収容される液相9に二水素の液相が直接送られ、それによって第3部分41の一端がタンク5に収容される液体二水素に浸漬される。
【0074】
気液分離器29における二水素の気相は、その一部に関し、熱交換器13の第3パス19を通過して冷却ブランチ23に送られる。
【0075】
気液分離器29から来るガス状態の熱交換器13の第3パス19の入口193における二水素は、第4パス20の入口203で二水素よりも低温である。そして第2実施形態では、熱交換器13の第4パス20によって、気液分離器29から来る気相の熱エネルギー吸収能力から役立つものを得ることを可能にする。
【0076】
したがって、第3パス19の出口195における二水素は、液化装置1が第4パスを有さない第1実施形態の場合よりも低温である。したがって、この第2実施形態における第2パス17の入口173における二水素は、より低温であり、したがって、第2パス17の出口175では第1実施形態よりもさらに冷却される。
【0077】
この第2実施形態において、二水素は第2パス17の出口175において、第1実施形態におけるよりも低温であるため、それは気液分離器29においてより少ない気相を作り出す。そのため、第1実施形態に比べ、接続ブランチ299を介してリサイクルされる二水素の量が少なくなり、液化装置の消費エネルギーが減少する。
【0078】
図3を参照すると、浮体構造物70の切断面図が、船又は浮体プラットフォームでありうる浮体構造物70の二重船体72に取り付けられた、角柱の全体形状の密閉された断熱タンク3、5を示す。タンク3、5の壁は、タンク3、5に収容された液体状態の二水素と接触することを意図した一次密封バリアと、一次密封バリアと船の二重船体72との間に配置される二次密封バリアと、一次密封バリアと二次密封バリアとの間及び二次密封バリアと二重船体72との間のそれぞれに配置される2つの断熱バリアとを有する。簡略化されたバージョンにおいて、浮体構造物70は単一の船体を有する。或いは、二水素タンクは真空下で断熱された球形タンクである。
【0079】
浮体構造物70の上部デッキに配置される積み込み/積み下ろしパイプライン73は、液体状態の二水素の積荷をタンク3、5から又はタンク3、5に移送するために、適切なコネクタによって、海上ターミナル又は港湾ターミナルに接続されることができる。
【0080】
図3は、積み込み及び/又は積み下ろしステーション75、水中パイプ76、及び陸上施設77を有する海上ターミナルの一例を示す。積み込み及び/又は積み下ろしステーション75は、可動性アーム74と、可動性アーム74を支持するタワー78とを有する固定された海上施設である。可動性アーム74は、積み込み/積み下ろしパイプライン73に接続可能な断熱されたフレキシブルホース79の束を支える。可動性アーム74は向きを変えることができ、あらゆる大きさの浮体構造物70に適応する。タワー78の内側に接続パイプ(図示せず)が延びている。積み込み及び/又は積み下ろしステーション75は、浮体構造物70が陸上施設77から又は陸上施設77に積み込み及び/又は積み下ろしされることを可能にする。後者は、液体状態の二水素を貯留するためのタンク80と、水中パイプ76によって積み込み及び/又は積み下ろしステーション75に接続された接続パイプ81とを備える。水中パイプ76は、積み込み及び/又は積み下ろしステーション75と陸上施設77との間で、液体状態の二水素を長距離にわたって、例えば5kmにわたって、移送することを可能にし、これは、積み込み及び/又は積み下ろし作業の間、浮体構造物70を海岸から長距離に保つことを可能にする。
【0081】
二水素の移送に必要な圧力を発生させるために、浮体構造物70に搭載されたポンプ、及び/又は陸上施設77に装備されるポンプ、及び/又は積み込み及び積み下ろしステーション75に装備されるポンプが使用される。或いは、圧力効果を介し、すなわちタンク3、5の圧力を上げることによって、二水素は積み下ろされてもよい。そのため、ポンプを使用せずに二水素が積み下ろされることができる。
【0082】
もちろん、発明は今しがた述べられた例に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱することなく、これらの例に多数の変更が加えられうる。例えば、発明による液化装置のその2つの実施形態は、浮体構造物との関連で説明されてきた。しかし、それらは陸上構造物において実装されうる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】