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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】飛行機器基礎本体
(51)【国際特許分類】
   B64F 5/10 20170101AFI20240405BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
B64F5/10
B64C1/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565221
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 EP2022061071
(87)【国際公開番号】W WO2022229197
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021110631.1
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523142939
【氏名又は名称】ウイングコプター・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ヘッセルバルト・ヨナタン
(57)【要約】
【解決手段】本発明は、繊維強化された複合材料から成る、飛行機器の飛行機器基礎本体1、および、飛行機器基礎本体1の製造のための方法に関する。前記飛行機器基礎本体1は、縦長の胴体部3として形成された担持構造部を有している。2つの翼部から成る翼部対体は、縦長の前記胴体部3の側方において配置されている。これら翼部4は、前記胴体部3の長手方向軸線5に対して平行な水平飛行方向への水平飛行運動の際に、前記飛行機器2のための揚力が生成されるように形成されている。これら翼部に、駆動装置の収容のための、複数の収容装置が形成されている。前記飛行機器基礎本体1は、上側シェル7と、下側シェル8とから形成されている。前記上側シェル7と前記下側シェル8とは、共通の結合面9に沿って、互いに結合されている。前記胴体部3の尾部10に、尾翼11が配置されている。前記尾翼11は、尾翼面対体12によって形成されている。前記尾翼面対体の案内面13は、水平飛行方向において、互いにV字形に整向されている。前記上側シェル7は、それぞれに1つの部材から成るように製造されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維強化された複合材料から成る、飛行機器の飛行機器基礎本体(1)であって、
前記飛行機器基礎本体(1)が、縦長の胴体部(3)として形成された担持構造部を有しており、
2つの翼部から成る翼部対体が、縦長の前記胴体部(3)の側方において配置されており、
これら翼部(4)が、前記胴体部(3)の長手方向軸線(5)に対して平行な水平飛行方向への水平飛行運動の際に、前記飛行機器(2)のための揚力が生成されるように形成されており、
これら翼部に、駆動装置の収容のための、複数の収容装置が形成されており、
前記飛行機器基礎本体(1)が、上側シェル(7)と、下側シェル(8)とから形成されており、
前記上側シェル(7)と前記下側シェル(8)とが、共通の結合面(9)に沿って、互いに結合されており、
前記胴体部(3)の尾部(10)に、尾翼(11)が配置されており、および、前記尾翼(11)が、尾翼面対体(12)によって形成されており、
前記尾翼面対体の案内面(13)が、水平飛行方向において、互いにV字形に整向されている、
上記飛行機器基礎本体(1)において、
前記上側シェル(7)、及び/または、前記下側シェル(8)が、それぞれに1つの部材から成るように製造されている、
ことを特徴とする飛行機器基礎本体(1)。
【請求項2】
前記案内面(13)は、直接的に前記尾部(10)に配置されており、且つ、前記尾部(10)に移行しており、従って、前記尾翼(11)が、前記上側シェル(7)の一部であるか、または、前記下側シェル(8)の一部であることを特徴とする請求項1に記載の飛行機器基礎本体(1)。
【請求項3】
前記上側シェル(7)と前記下側シェル(8)とは、繊維強化合成物質複合材料から製造されていることを特徴とする請求項1または2に記載の飛行機器基礎本体(1)。
【請求項4】
前記上側シェル(7)と前記下側シェル(8)とは、
この上側シェル(7)とこの下側シェル(8)とによって、内側容積部(14)が取り囲まれ、従って、前記飛行機器基礎本体(1)が中空体として構成されているように構成されていること、および、前記結合面(9)に沿って互いに結合され得ること、
を特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の飛行機器基礎本体(1)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一つに記載の、飛行機器(2)の飛行機器基礎本体(1)の製造のための方法であって、
前記飛行機器基礎本体が、上側シェル(7)と下側シェル(8)とによって形成され、
ラミネート工程において、前記上側シェル(7)と前記下側シェル(8)との造形が、硬化可能な材料の1つまたは複数の層の成形および配置によって複製され、
引き続いての硬化工程において、1つまたは複数の層が、圧力および温度の付与によって硬化され、
このことによって、前記上側シェル(7)と前記下側シェル(8)とが形成される、
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記上側シェル(7)及び/または前記下側シェル(8)の造形は、
前記硬化可能な材料の1つまたは複数の層による、工具型(15)の内張りによって行われることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ラミネートは、プリプレグ半製品(16)の1つまたは複数の層から成ることを特徴とする請求項5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記プリプレグ半製品(16)は、予め与えられた裁断片(17)を有することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記プリプレグ半製品(16)は、前記裁断片(17)の内で、異なる厚さを有していることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記上側シェル(7)と前記下側シェル(8)との定められた領域のために、前記工具型(15)は、
前記ラミネートの前記ラミネート工程において、それぞれに前記定められた領域のために適合している、予め与えられた、前記プリプレグ半製品(16)の裁断片(17)によって、内張りされることを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記硬化工程は、オートクレーブ装置内において実施されることを特徴とする請求項5から10のいずれか一つに記載の方法。
【請求項12】
前記上側シェル(7)と前記下側シェル(8)とは、前記硬化工程に後続する接合工程において、接合方法によって互いに結合されることを特徴とする請求項5から11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項13】
前記上側シェル(7)と前記下側シェル(8)とは、前記硬化工程に先行する接合工程において、硬化されていない状態において、組み合わせられることを特徴とする請求項5から11のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
前記ラミネート工程において、
前記上側シェル(7)と前記下側シェル(8)との硬化可能な材料の1つまたは複数の前記層は、オーバーラップ領域内で互いに当接状態にされ得、
従って、前記硬化工程において、前記上側シェル(7)と前記下側シェル(8)とが、モノリシックな飛行機器基礎本体(1)へと結合することを特徴とする請求項5から11のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化された複合材料から成る、飛行機器の飛行機器基礎本体、および、飛行機器基礎本体の製造のための方法に関し、
前記飛行機器基礎本体が、縦長の胴体部として形成された担持構造部を有しており、
2つの翼部から成る翼部対体が、縦長の前記胴体部の側方において配置されており、
これら翼部が、前記胴体部の長手方向軸線に対して平行な水平飛行方向への水平飛行運動の際に、前記飛行機器のための揚力が生成されるように形成されており、
これら翼部に、駆動装置の収容のための、複数の収容装置が形成されており、
前記飛行機器基礎本体が、上側シェルと、下側シェルとから形成されており、
前記上側シェルと前記下側シェルとが、共通の結合面に沿って、互いに結合されており、
前記胴体部の尾部に、尾翼が配置されており、および、前記尾翼が、尾翼面対体によって形成されており、
前記尾翼面対体の案内面が、水平飛行方向において、互いにV字形に整向されている。
【背景技術】
【0002】
航空の領域内において、飛行機器の構造部材および立体構造部材は、しばしば、繊維強化された複合材料から製造され、その際、繊維強化された複合材料に、同様に繊維強化合成物質複合材料も含まれる。その際、繊維強化された複合材料でもって、合成物質マトリックス内に埋め込まれた繊維が意味される。
航空の領域内において、しばしば、例えば、炭素繊維強化された合成物質(簡素に、CFK)が使用され、その際、炭素繊維は、合成物質マトリックス内に埋め込まれている。このマトリックスは、繊維の結合のため、並びに、これら繊維の間の中間スペースの充填のために利用される。
マトリックス材料として、しばしば、エポキシ樹脂が使用され、その際、同様に熱硬化性樹脂(Duroplaste)、または、同様に熱可塑性樹脂(Thermoplaste)も、マトリックス材料として使用される。炭素繊維強化された合成物質は、同時に高い剛性における、小さな質量によって特徴付けられている。
合成物質マトリックス内に埋め込まれた繊維が、ガラス繊維から形成されている、ガラス繊維強化された合成物質も、航空の領域内において使用可能である。
【0003】
炭素繊維強化された合成物質から製造された構造部材は、通常、いわゆる異方性の特性を有しており、その際、強度および剛性が、繊維方向に対して横向きの方向よりも、繊維方向において著しくより大きい。
異方性の特性、即ち、方向に依存しない特性を形成するために、繊維層は、これら繊維層が異なる複数の方向に指向するように整向および配置され得る。それに加えて、繊維層の予め与えられた配置および整向によって、所望された強度と剛性とは、所望された方向において、および、構造部材領域内において調節可能である。
【0004】
構造部材を、繊維強化された合成物質から、もしくは、繊維強化合成物質複合材料から製造するために、飛行機構造内において、いわゆるプリプレグ製造方法が使用される。この製造方法において、予め含浸された織物もしくは調製された織物状の半製品は、合成樹脂内において浸透され、且つ、ただ軽度の硬化に至るまで熱的に処理され、従って、これら予め含浸された織物もしくは調製された織物状の半製品が、ひと重ねずつ取り扱い可能である。
そのようなウェブ形状もしくは層形状のプリプレグ半製品は、通常、ある程度の付着性を有しており、且つ、これに伴って、所望された構造部材-形状が形成されるまで、良好に、相応する成形工具内において、もしくは、層状に重なり合って、配置され得る。プリプレグ半製品の所望された層が配置されている場合、これら所望された層は、(熱的に)硬化され得る。
これらプリプレグ構造部材の硬化のために、いわゆるオートクレーブ装置(Autoklaven)が使用され、前記オートクレーブ装置内において、プリプレグ構造部材は、10barに至るまでの超過圧力のもとで、および、数時間にわたって、120°Cから200°Cに至るまでの温度において処理され、このことによって、真空状態にされたプリプレグ構造部材の完全な硬化が達成され得る。
【0005】
飛行機構造内において、または、例えばドローンのような遠隔制御可能な飛行機器の構造においても、飛行機器基礎本体は、しばしば、異なる材料および製造方法によって製造される。その際、しばしば、縦長の胴体部、および、この縦長の胴体部に配置された翼部追体のような、高負荷をかけられる担持構造部は、炭素繊維強化された合成物質から製造され、その際、この様式の大きな面積の飛行機器コンポーネントのために、プリプレグ製造方法が使用される。
このプリプレグ製造方法において、通常、工具型が、プリプレグ半製品によって内張りされるので、これに伴って、大抵の場合、飛行機器基礎本体のただ半割りディスク形状の部材だけが製造され得る。通常、飛行機器基礎本体は、これに伴って、2つのシェル半分体に、上側シェルと下側シェルとに分割される。上側シェルと下側シェルとは、それぞれに、個々に、これら上側シェルおよび下側シェルのそれぞれの工具型内において製造される。
硬化されたプリプレグ構造部材は、引き続いて、裁断によって、工具型の内張りの際に突き出た、余剰のプリプレグ半製品から所望された形状にされ、従って、裁断されたプリプレグ構造部材が、上側シェルと下側シェルとを形成する。
【0006】
翼部と胴体部との間の特に安定的な結合を形成可能とするために、これら翼部4と、胴体部の上側シェルまたは下側シェルとは、しばしば、既に、プリプレグ製造方法において、相応して配置されたプリプレグ半製品によって、1つのプリプレグ構造部材へと結合され、従って、硬化が、モノリシックな構造部材へと行われる。
【0007】
同様に、案内面のような尾翼コンポーネントも、プリプレグ製造方法によって製造される。その際、しかしながら、個々の飛行機器コンポーネントまたは尾翼コンポーネントのそれぞれの造形および配置に応じて、モノリシックな尾翼の製造は可能ではない。
むしろ、互いに別個に、且つ、個々に繊維強化された合成物質から製造された、飛行機器コンポーネントまたは尾翼コンポーネントは、引き続いて、飛行機器基礎本体もしくは尾翼へと組み立てられる必要がある。この目的のために、尾翼コンポーネントは、例えば、飛行機器基礎本体もしくは胴体部の上側シェルと組み立てられる。
その際、組み立ては、例えば、接着、リベット固定、または、ねじ止めのような接合方法によって行われる。この様式の接合方法によって生成される接合位置もしくは接合領域は、通常、飛行機器コンポーネントの強度との比較において、より小さな強度を有している。更に、この様式の接合領域は、それぞれの接合結合の形成のための、接着剤、リベット、または、ねじの局部的な蓄積に基づいて、大きな質量を有している。
【0008】
多数の接合位置と接合領域との使用によって、これに伴って、飛行機器の全重量は増大し、このことによって、飛行機器の飛行時間もしくは到達距離が、増大された質量によって増大される駆動ユニットの出力需要に基づいて低減される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、特に重量低減された、且つ、同時に安定的な、飛行機器を使用に供することは、本発明の課題と見なされる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、前記上側シェル、及び/または、前記下側シェルが、それぞれに1つの部材から成るように製造されていることによって解決される。これに伴って、接合位置の数は少なく、従って、特に重量低減された飛行機器が製造可能である。モノリシックな上側シェルに基づいて、この上側シェルおよび飛行機器の、特に大きな剛性および強度は、形成可能である。
上側シェル及び/または下側シェルの、それぞれに1つの部材から成る製造により、
この上側シェル及び/またはこの下側シェルの外側面は、この上側シェル及び/またはこの下側シェルが、水平飛行方向において、空気動力学的な外側面形状を有するように製造され得る。
【発明の効果】
【0011】
飛行機器基礎本体の特に大きな割合分が、1つの部材から成るように製造可能であるために、発明の思想の有利な変形において、前記案内面が、直接的に前記尾部に配置されており、且つ、前記尾部に移行しており、従って、前記尾翼が、前記上側シェルの一部であるか、または、前記下側シェルの一部であることは意図されている。
これに伴って、同様に異なる複数の尾翼コンポーネントから成る尾翼も、1つの部片から製造され得る。接合位置の、このことによる少ない数に基づいて、特に重量低減された飛行機器は製造可能である。尾翼が上側シェルの一部である場合に関して、V字形に互いに整向された案内面の表面は、上方へと向いている。
これに伴って、尾翼は、上側シェルと共に1つの部材から成るように製造可能である。尾翼が下側シェルの一部である限り、案内面の表面は下方へと向いており、従って、この尾翼は、この下側シェルと共に1つの部材から成るように製造可能である。
【0012】
特に高い強度を有する飛行機器基礎本体を、同時に少ない重量において製造するために、前記上側シェルと前記下側シェルとは、繊維強化合成物質複合材料から製造されている。
有利には、上側シェルと下側シェルとは、炭素繊維強化された合成物質から製造されており、この炭素繊維強化された合成物質が、繊維強化合成物質複合材料の概念に含まれる。例えばガラス繊維強化された合成物質のような、他の繊維強化された複合材料との比較において、この炭素繊維強化された合成物質は、特に小さな比重を有している。
これに伴って、炭素繊維強化された合成物質から製造された上側シェル及び/または下側シェルは、特に軽量に構成され得、従って、特に重量低減された飛行機器基礎本体が製造可能である。
【0013】
特に重量低減された飛行機器基礎本体が製造され得るために、この飛行機器基礎本体の有利な実施形態において、前記上側シェルと前記下側シェルとは、
この上側シェルとこの下側シェルとによって、内側容積部が取り囲まれ、従って、前記飛行機器基礎本体が中空体として構成されているように構成されていること、および、前記結合面に沿って互いに結合され得ることは意図されている。
有利には、中空体状の飛行機器基礎本体内において、飛行機器の作動のために必要な、電気的な、および、制御に関連する、器具類が格納され得る。
GPS受信機、無線送信機、無線受信機、カメラ、バッテリー、または、駆動モータと並んで、同様に電気導線も中空体内に格納され得、且つ、雨、風、および、衝撃のような周囲の影響から保護され得る。
【0014】
冒頭に提示された課題は、同様に、請求項1から4までによる、飛行機器の飛行機器基礎本体の製造のための方法によっても解決され、その際、
前記飛行機器基礎本体が、上側シェルと下側シェルとによって形成され、
ラミネート工程において、前記上側シェルと前記下側シェルとの造形が、硬化可能な材料の1つまたは複数の層の成形および配置によって複製され、
引き続いての硬化工程において、1つまたは複数の層が、圧力および温度の付与によって硬化され、
このことによって、前記上側シェルと前記下側シェルとが形成される。
有利には、硬化可能な材料として、含浸樹脂によって予め含浸されたプリプレグ半製品が使用され、その際、このプリプレグ半製品は、ある程度の付着性とある程度の形状安定性を有しており、従って、プリプレグ半製品から形成されたプリプレグ構造部材の造形が行われ得る。
【0015】
飛行機器基礎本体の造形が、特に迅速に複製可能であるために、発明の思想の有利な変形において、前記上側シェル及び/または前記下側シェルの造形が、
前記硬化可能な材料の1つまたは複数の層による、工具型の内張りによって行われることは意図されている。
工具型の内張りによって、上側シェル及び/または下側シェルの形状は、有利には、複製可能である。
それに加えて、硬化可能な材料の1つまたは複数の層は、特に均等に相並んでまたは重なり合って配置され得、従って、特に薄壁状の上側シェル及び/または下側シェルが製造可能であり、且つ、これに伴って、特に重量低減された飛行機器基礎本体もしくは飛行機器が製造可能である。
【0016】
本発明の有利な実施形態において、前記ラミネートが、プリプレグ半製品の1つまたは複数の層から成ることは意図されている。
これに伴って、ラミネート工程の間じゅう、飛行機器基礎本体の厚さは、上側シェル及び/または下側シェルの異なる領域内で確定可能である。
【0017】
工具型の全ての領域を、完全に且つ均等に内張り可能とするために、本発明の有利な実施形態において、前記プリプレグ半製品が、予め与えられた裁断片を有することは意図されている。
大きな裁断片によって、工具型の大きな面が、特に迅速に内張りされ得る。小さな裁断片の使用のもとで、工具型の所定の領域は、プリプレグ半製品の1つまたは複数の層によって補強され得、従って、飛行機器基礎本体の所望された剛性及び/または強度が形成され得る。
【0018】
飛行機器基礎本体の所望された剛性及び/または強度を形成するために、本発明に従う方法の有利な実施形態において、前記プリプレグ半製品が、前記裁断片の内で、異なる厚さを有していることは意図されている。
それに加えて、飛行機器基礎本体の所望された剛性及び/または強度を達成するために、プリプレグ半製品のただ1つの層だけが使用される必要があるので、プリプレグ半製品が、これらプリプレグ半製品でもっての工具型の内張りのためのラミネート工程が特に迅速に行われ得るように、準備されていることは可能である。
【0019】
工具型の全ての領域を、完全に内張り可能とするために、本発明の有利な実施形態において、
前記上側シェルと前記下側シェルとの定められた領域のために、前記工具型が、
前記ラミネートの前記ラミネート工程において、それぞれに前記定められた領域のために適合している、予め与えられた、前記プリプレグ半製品の裁断片によって、内張りされることは意図されている。
これに伴って、特に、工具型の円形部、湾曲部または移行部は、特に均等にプリプレグ半製品によって内張りされ得る。これに伴って、飛行機器基礎本体の特に均等な厚さは形成可能である。
【0020】
硬化可能な材料の特に均等な硬化のために、発明の思想の有利な実施形態において、前記硬化工程が、オートクレーブ装置内において実施されることは意図されている。
本発明に従い、硬化工程は、しかしながら旧来の炉内においても可能であり、且つ、意図されており、このことによって、少ない経費が、工具型内へと挿入されるプリプレグ半製品の準備作業のために必要である。更に、硬化は、同様に加熱された工具型内でも実施され得る。これに伴って、硬化可能な材料の特に迅速且つ均等な硬化が行われ得る。
【0021】
上側シェルと下側シェルとの、特に容易な結合のために、発明の思想の有利な実施形態において、前記上側シェルと前記下側シェルとが、前記硬化工程に後続する接合工程において、接合方法によって互いに結合されることは意図されている。
有利には、上側シェルと下側シェルとは、接着によって互いに接合され、このことによって、一貫した、且つ、均等な結合面は生成される。これに伴って、飛行機器基礎本体の特に均等な剛性及び/または強度は形成可能である。
【0022】
モノリシックな構造部材を、特に容易に製造するために、発明の思想の有利な変形において、前記上側シェルと前記下側シェルとが、前記硬化工程に先行する接合工程において、硬化されていない状態において、組み合わせられることは意図されている。
その場合に、下側シェルとの上側シェルの接合は、この上側シェル及び/またはこの下側シェルの所望された結合領域内における、硬化可能な材料の熱的な軟化によって行われ、その際、軟化された結合領域が、互いに当接の状態にされ、従って、これら上側シェルと下側シェルとが互いに結合されるか、または、少なくとも、ある程度の付着結合を生じさせられる。
後続の硬化工程において、上側シェルと下側シェルとの強固な硬化された結合が形成される。
【0023】
本発明に従う方法の有利な実施形態において、前記ラミネート工程において、
前記上側シェルと前記下側シェルとの硬化可能な材料の1つまたは複数の前記層が、オーバーラップ領域内で互いに当接状態にされ得、
従って、前記硬化工程において、前記上側シェルと前記下側シェルとが、モノリシックな飛行機器基礎本体へと結合することは意図されている。
その際、このオーバーラップ領域内で、下側シェルの硬化可能な材料の1つまたは複数の層に対する、上側シェルの硬化可能な材料の1つまたは複数の層のオーバーラップは、硬化可能な材料の、相応する配置および整向だけによって形成される。先行するまたは後続の接合工程は必要ではない。
それに加えて、これに伴って、上側シェルと下側シェルとの結合のための如何なる接合位置も必要ではなく、従って、特に重量低減された飛行機器基礎本体が製造可能である。
【0024】
本発明の更に有利な実施形態を、図内において図示された実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】透視の眺望における、飛行機器の飛行機器基礎本体の概略図である。
図2図1内において図示されている切断線A-Aに沿っての断面の眺望における、上側シェルと下側シェルとから成る飛行機器基礎本体の概略図である。
図3】飛行機器基礎本体の尾翼の領域内における、この工具型内へと挿入されたプリプレグ半製品を共に示した、平面の眺望における、上側シェルの製造のための工具型の部分領域の概略図である。
図4】飛行機器基礎本体の尾翼の領域内における、上側シェルの製造のための工具型内へと挿入されたプリプレグ半製品を共に示した、図3内において図示されている切断線B-Bに沿っての断面の眺望における、工具型の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1内において、飛行機器2の飛行機器基礎本体1の概略図が、透視の眺望において示されている。この飛行機器基礎本体1は、炭素繊維強化された合成物質から製造されている。
飛行機器基礎本体1は、縦長の胴体部3として形成された担持構造部を有している。2つの翼部4から成る翼部対体は、縦長の胴体部3の側方において配置されている。
これら翼部4は、胴体部3の長手方向軸線5に対して平行な水平飛行方向への水平飛行運動の際に、飛行機器2のための揚力が生成されるように形成されている。これら翼部4に、図1内において図示されていない駆動装置の収容のための、複数の収容装置6が形成されている。
飛行機器基礎本体1は、上側シェル7と、図1内において図示されていない下側シェル8とから形成されている。上側シェル7と下側シェル8とは、図1内において図示されていない共通の結合面9に沿って、互いに結合されている。
胴体部3の尾部10に、尾翼11が配置されており、この尾翼が、案内面13から成る尾翼面対体12によって形成されている。尾翼面対体12のこれら案内面13は、互いにV字形に整向されており、且つ、上側シェル7の一部である。
【0027】
図2内において、上側シェル7と下側シェル8とから成る飛行機器基礎本体1の概略図が、図1内において図示されている切断線A-Aに沿っての断面の眺望において示されている。
上側シェル7と下側シェル8とは、共通の結合面9に沿って互いに結合されている。その際、この上側シェル7とこの下側シェル8とが、この上側シェル7とこの下側シェル8とによって、1つの内側容積部14が取り囲まれており、従って、飛行機器基礎本体1が中空体として構成されているように構成されており、且つ、この結合面9に沿って互いに結合されている。
尾翼面対体12のこれら案内面13は、互いにV字形に整向されており、且つ、上側シェル7の一部である。
接合工程において、上側シェル7と下側シェル8とは、接合方法によって互いに結合される。有利には、上側シェル7と下側シェル8とは、接着によって互いに接合されており、このことによって、一貫した且つ均等な結合面9が生成される。
【0028】
図3内において、上側シェル7の製造のための工具型15の部分領域の概略図が、飛行機器基礎本体1の尾翼11の領域内における、この工具型15内へと挿入されたプリプレグ半製品16と共に、平面の眺望において示されている。
工具型15の内張りによって、上側シェル7及び/または下側シェル8の形状は、有利には複製可能である。プリプレグ半製品16の1つまたは複数の層は、特に均等に相並んでまたは重なり合って配置され得、且つ、特に工具型に対して適合され得る。プリプレグ半製品16は、異なる予め与えられた複数の裁断片17から成っている。
大きな裁断片17の使用のもとで、工具型15の大きな面が、特に迅速に内張りされ得、且つ、小さな裁断片17の使用のもとで、この工具型15の所定の領域が、特に精確に内張りされ得る。
【0029】
図4内において、上側シェル7の製造のための工具型15の概略図が、飛行機器基礎本体1の尾翼11の領域内における、この工具型15内へと挿入されたプリプレグ半製品16と共に、図3内において図示されている切断線B-Bに沿っての断面の眺望において示されている。
その際、尾翼11もしくは案内面13の形状は、工具型15の内張りによって複製される。飛行機器基礎本体1の所望された剛性及び/または強度を形成するために、本発明に従い、プリプレグ半製品16が、裁断片内で、異なる厚さを有していることは意図されている。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】