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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】移送装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 43/08 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
F04B43/08 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565258
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-20
(86)【国際出願番号】 EP2022059908
(87)【国際公開番号】W WO2022223404
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】102021002178.9
(32)【優先日】2021-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591204333
【氏名又は名称】ハイダック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】HYDAC TECHNOLOGY GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100227835
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 剛孝
(72)【発明者】
【氏名】ボルフガング ハーマン
(72)【発明者】
【氏名】フランク バウアー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター クロフト
【テーマコード(参考)】
3H077
【Fターム(参考)】
3H077AA01
3H077BB10
3H077CC03
3H077CC07
3H077DD09
3H077DD14
3H077EE25
3H077EE26
3H077FF06
3H077FF22
(57)【要約】
入口(12)、出口(14)及びこれらの間に接続され、駆動部(18)によって作動可能である移送部(10)を有する流体用の移送装置は、移送部(10)が、可変のチャンバ容積を有する流体密の媒体分離装置(16)を備え、媒体分離装置は、その収容チャンバ(21)を介して入口(12)又は出口(14)と流体的に接続され、かつ、駆動部(18)によって、チャンバ容積を増加させながら入口(12)を介して吸入ストロークの一部として流体を収容し、また、収容した流体をこのチャンバ容積を減少させながら出口(14)を介して排出ストロークの一部として排出する、ことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口(12)、出口(14)及びこれらの間に接続されると共に、駆動部(18)によって作動可能な移送部(10)を有する、流体用の移送装置において、
前記移送部(10)は、変動可能なチャンバ容積を有する流体密の媒体分離装置(16)を有し、前記媒体分離装置は、その収容チャンバ(21)を介して前記入口(12)又は前記出口(14)と流体伝導方式で接続され、かつ、前記駆動部(18)を用いて前記チャンバ容積を増加させながら、吸入ストロークの一部として、前記入口(12)を介して流体を収容し、前記チャンバ容積を減少させながら、排出ストロークの一部として、前記出口(14)を介して収容した該流体を排出する、ことを特徴とする移送装置。
【請求項2】
ベローズの内部の前記チャンバ容積が、吸入ストロークにおいて増加し、かつ、排出ストロークにおいて減少するように、前記媒体分離装置(16)は、前記駆動部(18)を用いて外部から流体的に制御される前記ベローズによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の移送装置。
【請求項3】
前記駆動部(18)は、油圧ドライブ(48)及びメインバルブ(50)を用いて制御可能な油圧作業シリンダ(46)を有する、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の移送装置。
【請求項4】
ピストン-ロッドユニット(60)を有する前記油圧作業シリンダ(46)は、好ましくはピストン側又はロッド側において、前記移送部(10)のための吸入ストローク及び排出ストロークを予め画定するために、予め画定可能な計量容積(54)の計量チャンバを使用し、好ましくは、該ロッド側又は該ピストン側において、前記メインバルブ(50)を介して前記作業シリンダ(46)が作動される、ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の移送装置。
【請求項5】
均一化された移送流量を得るために、排出ストロークを実行する、更なる移送部(10)が設けられており、他の移送部(10)は、吸入ストロークを実行し、かつ、その逆も実行する、ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の移送装置。
【請求項6】
更なる前記移送部(10)は、同様に、1つの前記計量チャンバ用の第1のピストンを介してピストンロッドに接続されている第2のピストンを有する前記作業シリンダ(46)に接続され、従って、予め画定することのできる計量容積(56)の更なる計量チャンバを形成する、ことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の移送装置。
【請求項7】
ガスを移送するために、各前記移送部(10)は圧縮部として機能し、
2つの前記圧縮部(10)は単段階の圧縮機を形成し、かつ、
複数の単段階の圧縮機(10)の接続は、多段階の圧縮機をもたらす、ことを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の移送装置。
【請求項8】
特に、以下の補正を行う移送装置であって、
前記作業シリンダ(46)における漏れを補償するために、少量の計量容積を前記作業シリンダ(46)の各計量チャンバ内へ導入し、又は、該計量チャンバから排出する、少なくとも1つの計量ユニット(52)が設けられている、ことを特徴とする請求項1から請求項7の何れか1項に記載の移送装置。
【請求項9】
-各前記計量ユニット(52)は、計量弁(68、70)を用いて計量インユニット(72)及び計量オフユニット(74)に接続され;
-各前記計量ユニット(52)は、二次圧力保護装置(76)によって保護され;
-前記作業シリンダ(46)の位置は、監視装置(80)によって検出可能とされ;
-特に、中圧及び高圧ガスアキュムレータ形式の、油圧式アキュムレータ(90)を用いて、移送流の均一化が行われ;
-個々の圧縮機段階(10)の間に少なくとも1つの冷却装置(92)が使用され;かつ/又は、
-汚染物センサ(30)を用いて、流体流、特にガス流が、各圧縮部(10)の排出側において監視される、
ことを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載の移送装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9の何れか1項に記載の移送装置の使用において、
水素のような、ガスを段階的に圧縮するために、同一構造の個別の圧縮部(10)が使用される、ことを特徴とする移送装置の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入口、出口及びこれらの間に接続され、駆動部によって作動可能な移送部を有する、流体用の移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、油圧システムにおけるエネルギ効率を改善するための移送装置であって、1つの作動状態においては油圧エネルギの消費者として作動し、他の作動状態においては油圧エネルギの生産者として作動するアクチュエータと、アクチュエータのある作動状態においては、エネルギを貯蔵するためにアクチュエータによってチャージ可能であり、他の作動状態においてはアクチュエータにエネルギを供給するために排出可能な油圧式アキュムレータと、を有する移送装置を開示す。アキュムレータピストンの流体側の異なる大きさの作業領域に隣接する複数の圧力チャンバが形成された、不連続で調整可能な油圧式ピストンアキュムレータが油圧式アキュムレータとして機能する。さらに、ピストンアキュムレータのガス側及びアクチュエータにかかるそれぞれの圧力レベルに応じて、ピストンアキュムレータの1つ又は複数の選択された圧力チャンバをアクチュエータに接続する作動装置が設けられている。
【0003】
この結果、アキュムレータのガス側の前充填圧に関係なく、かつそれぞれの負荷圧に関係なくエネルギを再利用することが可能になる。なぜならば、適切な大きさの有効領域を選択することによって、アキュムレータにおけるそれぞれ所望の圧力レベルをチャージ又はディスチャージのために利用することができるからである。これによって、すべての作動状態において、最適なエネルギ変換が可能である。ピストンアキュムレータのための既知のマルチピストン配置は、個々のピストンチャンバを互いに対して密閉するために、金属のピストンリング又はゴム弾性プラスチックシールのような、シールを必要とする。作動中に発生する大きい力と圧力のために、発生する摩擦力をできるだけ小さく抑え、摩耗を減少させ、かつできる限り漏れのない密閉を発生させるために、通常は付加的に、潤滑剤の使用も必要である。それにもかかわらず漏れは回避されず、かつ、摩擦によって個々のピストン及び関連するシール材の両方が摩耗する。これらの摩耗粒子は通常は小さいが、それでも、移送されるガスや液体の汚染をもたらし、その中には高純度のものがあり、その場合は、流体流内のきわめて精巧なフィルタ手段でしか除去されない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2013/079222号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この従来技術に基づいて、本発明の課題は、既知の解決策を改良して、移送又は圧縮される流体内に汚染物が入ることを回避できるように漏れのない移送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、特許請求項1の特徴を全体的に有する移送装置が解決する。
【0007】
特許請求項1の特徴部分に基づき、移送部は、可変のチャンバ容積を有する流体密の媒体分離装置を有し、この媒体分離装置は、その収容チャンバを介して、入口又は出口に流体伝導方式で接続され、駆動部によって、吸入ストロークの一部として入口を介して流体を収容し、チャンバ容積を増加させ、ストロークの一部として出口を介して収容された流体を排出し、チャンバ容積を減少させ、したがって、移送部においていかなる漏れ箇所も発生せず、かつ移送又は圧縮される流体内に汚染物が入り込まないことが保証されている。流体密の媒体分離装置は、駆動側からの媒体が移送側の流体へ達することはなく、この点で移送流体側への汚染物の入り込みも回避される。本発明に係る移送装置によって、あらゆる種類の液体といった非圧縮性流体だけでなく、例えば、プロセス中に圧縮される水素などの高純度ガスの形式の圧縮性媒体も移送することができる。圧縮性部分と非圧縮性部分で構成される流体を移送又は圧縮することもできる。この点において、液体側への作動ガスの望ましくない侵入も同様に防止される。
【0008】
本発明に係る移送装置の好ましい実施形態において、媒体分離装置がベローズで形成され、ベローズは、駆動部によって、ベローズの内部チャンバ容積が吸入ストロークにおいて増加し、排出ストロークにおいて減少するように、外部から駆動される。実際には、媒体分離装置として使用される、通常は従来のベローズの形式のベローズは、完全に媒体を密閉すると見なされる。つまり、媒体はベローズの壁を内側から外側へ、又は、その逆に通過することはできない、また、ステンレス鋼で適切に構成されているため、媒体分離装置は、水素用途での脆化に対しても耐性があると見なされる。ベローズの折りたたみ形状に基づいて、例えば、ブラダーアキュムレータのような他の油圧式アキュムレータと比較して、容積の観点から貯蔵容積と排出容積が比較的小さいだけである;エラストマーのアキュムレータと比較して、高いサイクル時間で移送動作が得られ、この間に、ベローズが収縮した状態で個々のベローズプリーツが互いに完全に接触するため、ベローズ全体の配置が安定し、かつ誤作動を回避する。
【0009】
本発明に係る移送装置の更なる好ましい実施形態において、駆動部は、油圧ドライブとメインバルブとによって制御可能な油圧作業シリンダを有する。このようにして、駆動部のための通常の油圧コンポーネントを使用しながら、圧縮部として作用することもできる移送部の作動が制御される。駆動部の上述したコンポーネントは、標準化されており、従って、簡単に、移送部又は圧縮部のための所望の移送及び圧縮出力に適合する。
【0010】
本発明に係る移送装置の更なる好ましい実施形態において、そのピストン-ロッド-ユニットを有する油圧作業シリンダは、好ましくはピストン側において、移送部のための吸入及び排出ストロークを予め画定するために、予め画定可能な計量容積の計量チャンバを使用し、かつ、好ましくはロッド側において、メインバルブを介して作業シリンダが作動されることが提供される。この計量容積は、ほぼ非圧縮性であり、その結果、いわゆるポンプシリンダとしての油圧作業シリンダの運動は、損失や遅延なく媒体分離装置へ伝達される。特に、小流量と低い圧力の場合には、ピストン側からロッド側へ機能を交換することもできる。このようにして、双方向に圧力伝達が可能である。
【0011】
本発明に係る移送装置の特に好ましい実施形態において、均一化された移送流量を得るために、排出ストロークを行う更なる移送部が設けられており、他の移送部は吸入ストロークを行い、また、その逆も行われる。このようにして、一方の移送部が常に加圧された流体の排出を保証し、他方の移送部が次の排出ストロークのために吸入ストロークにおいて流体を充填することにより、移送装置を実質的に連続的に作動させることができる。この場合に、更なる移送部が、同様に、1つの計量チャンバ用の第1のピストンを介してピストンロッドに接続される第2のピストンを有する作業シリンダに接続され、それにより、予め画定された計量容積を有する更なる計量チャンバが形成されることが有利である。このようにして、1つの作業シリンダ又はポンプシリンダのみによって、2つの移送部を同期させて移送装置を作動できる。
【0012】
本発明に係る移送装置の更なる好ましい実施形態において、ガスを移送するために、それぞれの移送部が圧縮部として機能し、2つの圧縮部が単段階の圧縮機を形成し、かつ、複数の単段階の圧縮機をまとめて接続することが1つの複数段の圧縮機をもたらすことが提供される。このようにして、ガス入口側に存在する低圧は、第1の圧縮機段階によって比較的に高い中圧になり、その中圧は、ガス出口側で第2の圧縮機段階によって高圧に変換される。
【0013】
本発明に係る移送装置の更なる好ましい実施形態において、特に作業シリンダにおける漏れを補償するために、少量の計量容積をそれぞれの計量チャンバ内へ導入する、又は、それから導出する少なくとも1つの計量ユニットが設けられている。この計量ユニットは、作業シリンダまたはポンプシリンダの計量容積に少量の容積を追加するため、又は、必要に応じて、この計量容積から容積を抜き取るために、好ましくは使用することができる。この目的のために、各計量ユニットは、好ましくは、計量バルブによって計量追加ユニットまたは計量取出ユニットに接続され、各計量ユニットは、二次圧力保護装置によって保護され得る。計量バルブは、非常に精密な計量プロセスを実行するために使用することができ、好ましくは圧力逃し弁で構成することができる前述の二次圧力保護装置は、過負荷から保護する役割を果たす。
【0014】
さらに、好ましくは、端部位置監視装置を介して作業シリンダの位置を検出可能にすることができる。このようにして、作業シリンダ又はポンプシリンダのための機能を監視することが可能であり、この場合に端部位置監視装置の代わりに、他の形式のシリンダ監視装置を使用することもできる。
【0015】
本発明に係る移送装置の更なる好ましい実施形態において、特に中圧及び高圧ガスアキュムレータの形式の、油圧式アキュムレータによって移送流の均一化が行われる。したがって、断続的な移送ストロークを有する1つの移送部のみであっても、ガス移送の範囲内においても、均一化された移送流を達成することが可能である。
【0016】
本発明に係る移送装置の更なる好ましい実施形態において、個々の圧縮機段階の間に少なくとも1つの冷却装置が挿入されている。特に、水素のようなガスを移送し、かつ圧縮するために多段階の圧縮を使用する場合には、温度が著しく上昇し、ガスの望ましくない膨張をもたらし、この結果、個々の移送部又は圧縮部の、この点で必要とされる駆動力の増加をもたらすことになるが、これは、圧縮機段階の間の上述した中間冷却によってっ防止できることが、明らかにされている。
【0017】
本発明に係る移送装置の更なる好ましい実施形態において、汚染物センサを用いて、流体流、特にガス流が、各圧縮部の排出側で監視されていることが提供される。ありそうにない汚染物であろうとも、確認された場合には、移送装置の該当する設備部分は、メンテナンスの一環として、汚染された、又は使用できなくなった部分を交換することができるようにするために、即座に停止できなければならない。特に、水素のような高純度のガスを移送又は輸送する場合に、例えば、燃料電池駆動などの使用の目的の範囲内で、ガス流内に粒子状の汚染物が混入してはならない。
【0018】
本発明に係る圧縮機ソリューションは、そのモジュール設計によって、サイズと数に応じた媒体分離装置の適切なスケーリングにより、要求される圧縮機の質量流への適合を容易にするだけでなく、圧縮比自体の適合も容易にする。さらに、制御の分野では、構成部品を備えた関連する油圧制御回路は単一であり、複数の移送部及び圧縮部に対して複数回実行されることはない。従って、移送装置の好ましい使用法は、個別の同一のコンプレッサー部品を使用して、水素ガスを段階的に圧縮することを提供する。これは、従来技術にはないものである。
【0019】
以下、図面による実施形態を参照して、本発明に係る移送装置をさらに詳細に説明する。図は原則的に示しており、縮尺は示していない:
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、移送装置の移送部の構成要素を示す。
図2図2は、共通の駆動部によって制御される2つの移送部を有する移送装置を示す。
図3図3は、図2に係る解決策を、流体コンポーネントで実現したものを示す。
図4図4は、移送装置全体を形成する、図2に示す2つの移送装置のシーケンスを示す。
図5図5は、図4に示す原理図に基づき、個々の構成要素によって実現された移送装置を示す。
図6図6は、1つの種類の汚染物センサを示す。
図7図7は、他の種類の汚染物センサを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1において全体として符号10で示される移送部は、流体伝導方式で入口12及び出口14に接続されている。さらに、移送部10は、ベローズの形式の、特にプリーツ付きベローズの形式の媒体分離装置16を備える。ベローズの形式の媒体分離装置16は、好ましくは、金属からなり、ベローズの外側の計量容積の液体を、密封された方法で、ベローズの内部で移送、又は、圧縮される流体から分離する。移送部10が、水素ガスのようなガスを移送するために使用される限り、移送部10は圧縮部として同様に機能する。ある実施形態において、プリーツ付きベローズ自体は、非常に薄い金属シートからなり、かつ、外側からもたらされる圧力とベローズ内部に広がる圧力とが、0.1bar未満(10kPa未満)だけ異なるように、高弾性に構成されている。これは、ほぼ1000bar(100,000kPa)の規模の圧力となり得る、外部から流体的に加えられる圧力が、ほぼ損失なしにベローズ内部の流体へ伝達されることを意味する。
【0022】
媒体分離装置16又はベローズのストローク容積は、それぞれ、ベローズを介して生じる圧力差の結果としてのベローズの強制的な過膨張をもたらすことがないように、終端位置における画定されたクリアランスを伴う駆動部18(図2)のポンプシリンダの最大運動によって発生し得る計量容積の変位よりも大きくなるように設計されている。したがって、設計されている。この状態を監視するために、駆動部18には、後に詳細に説明する監視装置と、互いに対向して配置され、この点においてあらゆる偏差を検出することができる媒体分離装置16のための2つの端部位置監視装置20とが設けられている。この種の偏差は、駆動部18に漏れが生じ、移送部10の計量容積の増加又は減少を発生させるという事実のために生じる。これはまた、ベローズの位置のずれを必然的にもたらし、その許容膨張を超えた場合には、ベローズの損傷につながる可能性がある。
【0023】
図1に示す媒体分離装置16は、実質的に2つの機能を果たす:
一方では、システムの2つの流体、すなわち計量容積で使用される湯圧油(hydraulic fluid)と、移送され、必要に応じて圧縮される高純度ガスとを互いに分離し、他方では、実際の搬送および圧縮機機能を果たす。
【0024】
流体システムを分離するために、ベローズ形式の媒体分離装置16は、密閉分離を可能にし、移送及び圧縮機能のために、ベローズは、大きいストローク容積を有する高弾性な変形性を保持する。さらに、圧縮プロセス中に、ガスチャンバ内の、すなわち、ベローズの内部空間又は収容チャンバ21内の、所望の圧縮比に応じて、きわめて高いガス温度が発生し、このガスチャンバは損傷することなく耐える必要がある。この要件は、適切に設計された金属ベローズで満たすことができる。
【0025】
移送及び圧縮機能のために、媒体分離装置16には、いわゆる圧縮弁として、反対方向に作用する2つの逆止弁22の形式の弁を備える。ベローズの形式の媒体分離装置16が、整備時において容易にかつ大きいガス損失なしに取り外すことができるようにするために、媒体分離装置は、関連する流体ダクトの入口12側に、図1に示すダイアグラムに従って、遮断状態において、入口12を介したベローズの内部への流体のアクセスを遮断する切り替え可能な方向制御弁24を有する。整備は可能な限り容易かつ迅速に実行されるべきであるので、この目的のために、標準化可能なインターフェイスとして、それぞれの媒体分離装置16の迅速な交換を可能にする、規定された分離接手26が設けられる。好ましい実施形態では、このような分離箇所27は、ベローズの真上に延びることもできる。同様に、媒体分離装置16を分解する前に、移送部10内の残留ガスなどの流体を安全に排出できるように、排出装置28が設置されている。2つの逆止弁22は、それぞれ媒体分離装置16へ通じる、入口12及び出口14としての独立した流体ラインと関連している。しかしながら、媒体分離装置16につながり、対向する端部でT字状に分岐し、ラインの一方の分岐が入口12を形成し、ラインの他方の分岐が出口14を形成する単一のラインのみを設けるオプション(図示せず)もある。逆止弁22と同様に、それぞれ1つの逆止弁がラインの関連する分岐に使用され、流体の妨げにならない供給と排出を確実にし、媒体分離装置16による移送ストローク中に流体源へ向けた望ましくない逆流を防止する。
【0026】
媒体分離装置16の適切な機能は、特に、金属ベローズのストローク中に関連する終端位置に到達したことを通知する終端位置監視装置の2つの信号発信器20によって、常時監視される。金属ベローズが、最大のチャンバ容積において最大に引き出された位置をとると、図1の方向から見て下側の端部位置監視装置20が作動し、最大移送ストロークにおいて、それに応じて最小チャンバ容積になると、上側の端部位置監視装置20が作動する。
【0027】
さらに、例えば、図6及び図7に例示するように、移送部10の出口側に汚染物センサ30が配置され、汚染物センサ30は、金属ベローズの漏れ密閉性を監視する。
【0028】
ベローズの上端部は、移送部10の筐体34を互いに分離された2つのチャンバに分割する分離プレート32と結合されており、汚染物センサ32は、上方側のチャンバ内に配置されると共に、移送部の入口側の排出装置28のための検出箇所にも配置されている。第2の下方側のチャンバは、下側をベローズプレート36によって密閉してシールされたベローズを収容し、ベローズの外側と関連する筐体部分の内側との間には、流体伝導接続部40を介して駆動部18と連通し、移送部又は圧縮部10を作動するための駆動部18の駆動計量容積のための接続部を形成する中間チャンバ又は流体チャンバ38が形成されている。
【0029】
流体の流れの可能な方向は、図1に矢印で示されている。したがって駆動部18によってベローズが伸長され、方向制御弁24がその流体伝達可能位置へ切り替えられると、図1を見る視線方向において、入口12及び右側の圧縮弁22を介して、移送すべき流体がベローズの収容チャンバ21内へ流入する。この点で、媒体分離装置16を介して吸入ストロークが達成される。ここでも、駆動部18の適切な制御によって、ベローズプレート36が上方へ移動し、ベローズ容積が減少するので、吸入ストロークにおいてベローズ内にストックされた流体が汚染物センサ30を経由し、左側の圧縮弁22が強制的に開放されると、移送部又は圧縮部10の出口14へ達する。このように出口14を介した対応する排出ストロークの間、右側の逆止弁又は圧縮弁22は、排出ストロークの間に流体が意図せずに再び入口12へ逆流することのないように閉鎖される。このような吸入ストロークと排出ストロークの実行は、駆動部18によって迅速な連続して達成され、それについては以下で詳細に説明する。
【0030】
もちろん、図1に示す移送部又は圧縮部10の作動中に移送休止が生じ、これは入口12を介したベローズによる吸入ストロークによって必然的に形成されている。この点で、移送部10又は圧縮部は断続的な移送動作のみを許容する。一方、図2及び図3に示す実施例においては、2つの移送部10が並列に接続され、これらは共通の駆動部18によって交互に制御される。図2に示すように、流体は、共通の供給導管42を介して移送部10の一方及び他方の入口12に供給される。各移送部10の出口14は、共通の排出導管44に順次接続される。このようにして、常に一方の移送部10が流体を排出導管44内へ移送し、他方の移送部10が吸入ストロークによって流体を供給導管12から取り込むことによって、移送又は輸送すべき媒体のためのほぼ連続的な移送動作を達成することができる。例えば、供給導管42を介してより低い圧力を有するガスが供給された場合に、2つの移送部又は圧縮部10によって排出導管44内で高圧下のガス排出が達成される。この場合は、例えば、1:10の高い圧縮比が達成される。
【0031】
駆動部18は、油圧ドライブ48とメインバルブ50とによって駆動可能な油圧作業シリンダ又はポンプシリンダ46を有する。さらに、図4には、ポンプシリンダ46と計量容積54及び56との間の接続導管内へ少量の補正容積を投入し、又はこれらの接続導管から少量の補正容積を取り出すことができる計量ユニット52を開示している。図3には、駆動部18の個々のコンポーネントが詳細に示されている。特に、駆動部18は、メインポンプとしての駆動可能なハイドロポンプ58の流量によって駆動される油圧駆動可能な作業シリンダ又はポンプシリンダ46を備え、シリンダ46のピストン-ロッドユニット60は、メインバルブ50の切換位置にしたがって双方向矢印に示すように往復移動する。メインポンプ58は、モータMによって回転数可変に駆動され、かつ、それによって所望の移送出力及び圧縮出力に調整することができる。シリンダ46は、シリンダ46と移送部10のそれぞれの媒体分離装置16との間に位置する一定の計量容積54、56を前後方向に移動させることにより、流体又はガスを圧縮してさらに移送するために必要な動力を供給する。メインポンプ58に加えて、油圧エネルギで様々な補助機能、すなわち、図3に示すように、計量ユニット52全体と、電磁的に作動可能な4/3方弁の形式のメインバルブ50のパイロット制御を供給できる制御ポンプ62がある。
【0032】
比較的小さい移送及び圧縮部10の場合に、メインバルブ50は、例えば、<100 l/minのような比較的小さい流量しか必要とされないので、単段階式で形成することもできる。しかし、図4図5に示す多段階の圧縮機においては、各圧縮機段階にメインポンプ58を有し、1つの単段階だけが、他の段階にも一緒に供給する付加的な制御ポンプ62(図5)を備える。駆動部18は、代替的に、例えば、クランク軸を介して回転駆動される、インラインピストンポンプ(図示せず)の形式の、ピストン機械を備えることもできる。
【0033】
それぞれの接続部40を介して互いに接続されている、作業シリンダ又はポンプシリンダ46とそれぞれの媒体分離装置16との間には、計量容積54、56と称される液体容積が存在し、シリンダ46とそれぞれの媒体分離装置16との間で前後方向に押される。この計量容積54,56は、ほぼ非圧縮性であり、シリンダ46の移動は損失又は遅延なくそれぞれの媒体分離装置16へ伝達され得る。この場合に、それぞれの計量容積54、56は、ピストン-ロッドユニット60のピストン面によって境界を画定されており、ロッド側が流体導管によってメインバルブ50の出口に接続されている。この点で、ピストン-ロッドユニット60のロッドは、シリンダ46を2つのロッド側の流体チャンバ64、66に分割している。
【0034】
計量ユニット52は、それぞれの計量容積54、56内へ小容積を加え、又はこの計量容積から小容積を引き出すことができ、作業シリンダ又はポンプシリンダ46の漏れを補償するために用いられる。この点で、計量ユニット52は、2つの小さい、自己完結型往復動ピストンからなり、このピストンは、一方の終端位置から他方の終端位置へ移動するために、画定され小さいストローク体積(好ましくは<10cm)を取り込み、他方の側において排出することができ、これは、計量イン又は計量アウトするために、関連する方向制御弁68、79を切り替えることによって開始される。往復動ピストンと関連する方向制御弁とを有する計量インユニットが、図3に符号72で示されており、対応する計量オフユニットが符号74で示されている。したがって、適宜増減される計量容積54又は56は、関連する計量弁68又は70によって制御される。必要な計量プロセスの完了後に、それぞれの計量弁68、70は再び遮断することができる。過負荷から保護するために、計量容積54、56は、さらに、逆止弁78を介して双方の計量容積54、56と接続される圧力制限弁からなる二次圧力保護装置76によって保護される。ピストン-ロッドユニット60の端部位置監視装置80又はストローク測定装置(図示せず)は、全体的な制御システムの一部として媒体分離装置16の端部位置監視装置20と協働し、シリンダ46を監視するために順番に使用される。
【0035】
図3がさらに示すように、供給ポンプ62は、メインポンプ58と同様に一次圧力保護装置82を備えており、従来の油圧式アキュムレータの形式のタンクアキュムレータ84も、メインポンプ58及び制御ポンプ62のための流体入口側に接続されている。さらに、個々のポンプ58、62のための入口側に、フィルタ86と冷却器88が設けられている。移送流を均質化するために、油圧式アキュムレータ90は排出導管44に接続されている。
【0036】
図3に示す本発明に係る解決策によれば、移送装置は実質的に駆動部18と移送部又は圧縮部10とからなり、規則的に圧縮されるガスの形式の圧縮部側の流体は、ベローズの形式のそれぞれの媒体分離装置16によって、規則的に油圧媒体の形式の計量容積である駆動部側の流体から分離されている。圧縮機のためのモジュール設計は、図2図3に示すダイアグラムによる、比較的大きい単段階の圧縮ユニットや、図4図5に示すダイアグラムによる、多段階のユニットへの拡張を容易にする。
【0037】
図4に示す多段階の、特に2段階の圧縮機設計では、図2による移送装置が流体的に直列に2回接続され、特に熱交換装置の形式の冷却装置92が、2つの圧縮機段階の間に組み込まれている。供給導管42を介して供給されたガスは、低圧領域内にあり、冷却装置としての中間冷却器92の上流にある第1の圧縮機によって中圧に高められる。この場合に、第1の圧縮機段階の作業シリンダ46は、前述の中圧のポンプシリンダ又はジェネレータとして機能する。中間冷却器92を通過した後に、ガスは、中圧導管94を介して、2つの移送部又は圧縮部10を有する第2の圧縮機段階の吸入側又は入口側へ順次到達する。こうして、第2の圧縮機段階の出口側において、ガス排出圧は高圧導管96内で高圧に高められる。このようにして図4に示す2段階の圧縮機によって、50bar(5,000kPa)のガス低圧が、例えば、約160bar(16,000kPa)の中圧に、高圧側では500bar(50,000kPa)の排出圧に高められる。このようにして、2段階の圧縮において、2つの圧縮段階で1:3.16の圧縮比が期待できる。図4に示す2段階の圧縮機の解決策を、1段あたりの圧縮比が1:3未満の、図3に示す他の単段階の圧縮機を付加することによって、3段階圧縮に拡張する場合に、特に水素の場合は、1000bar(100,000kPa)の範囲の圧力が達成される。きわめて低い15バールの圧力から始めても、3段階の圧縮によって、500bar(50,000kPa)から600bar(60,000kPa)の出口圧力を達成することができる。
【0038】
図4に示す2段階の圧縮機の基本構成が、図5にコンポーネント構成で示されており、個々の部品についてこれまでに説明した内容は、図5に示す多段階圧縮機にも当てはまる。この解決策は、中圧導管94に接続された油圧式アキュムレータ90が中圧ガスアキュムレータを形成し、かつ、高圧導管96に接続されているアキュムレータ90が、装置全体のための高圧ガスアキュムレータを形成するという点で、図3に示す先行する解決とは異なる。中圧ガスアキュムレータも、高圧ガスアキュムレータも、移送流の均一化に用いられる。図5内に、個々の移送部及び圧縮部10のために電気ケーブルが示されている限りにおいて、これらのケーブルは、端部位置監視装置20のためのセンサピックアップと汚染物センサ30の電子的評価に関する。
【0039】
このような汚染物センサ30の実施形態は、図6及び図7に詳細に示されている。すでに説明したように、計量容積54、56とそれぞれ移送すべきガス容積との間の分離箇所における漏れは、高い間接的コストをもたらし得る。したがって、出口14側における流出するガス流の導管内の金属ベローズのすぐ下流に、ガスの純度を監視する汚染物センサ30が配置されている。
【0040】
この種の汚染物センサ30は、種々の原理にしたがって構築することができるが、本実施例では、少なくとも2つの機能を満たさなければならない:
1.汚染物が発生し始めた最初の段階での汚染物を確定する、
2.フィルタによる初期汚染物の捕捉。
【0041】
汚染物を検出した場合に、汚染物の原因を除去し、かつ汚染された部品を交換するために、関連する設備部分をすぐに停止することができなければならず、そのために設備駆動は、短時間のあいだだけ中断される。図6に示す汚染物センサ30の技術的解決策において、フィルタフリース98の清浄表面の汚染物は、光センサシステムによって検出可能な著しい色の変化を引き起こす。この目的のために、参照符号100を有する光源が、光ビームを汚染物に敏感な表面を形成するフィルタフリース98の上側へ送出し、反射された光ビームは光センサ102によって検出される。光ビームガイドは、図6において、矢印で示される汚染物センサ30を通る通過方向と同様に示されている。流れが通過する際に、フィルタフリース98が出口側でセンサハウジング103から引き抜かれないようにするために、フィルタフリースは補強されたベース層104上に支持される。
【0042】
図7に示す汚染物センサ30は、同様な構造で作動するが、フィルタフリース98の上流及び下流の2つの圧力測定装置106によって、フィルタフリース98を通過する際の圧力差が測定される。汚染物の存在下で対応する流れ抵抗のしかるべき増加が検出された場合に、信号が出力される。圧力測定装置106による圧力差測定は、回路出力によって行われ、フィルタフリース98は、油を含浸させると、図6による清浄なフィルタフリース98よりも高い流れ抵抗を生じる含浸可能なフィルタマットとすることができる。
【0043】
2つのセンサ原理において、汚染物によって信号を発生させたフィルタフリース98は、交換することができるので、必要なに応じてそれぞれのセンサ30を引き続き利用することができる。
【0044】
高い圧縮比、例えば、≧では、圧縮機の熱動特性上、高い圧縮比では、過大な駆動力を必要とするため、図4及び図5に示す実施形態による多段階の圧縮機が一般的には使用される。この場合には、ガス温度も非常に高くなるため、特別な材料が使用されなければならない。圧縮機段階の間に中間冷却器を有する多段階の圧縮機は、より小さい駆動力で制御することができ、エネルギ的に言って効果的である。
【0045】
移送装置は、特に水素の用途に適しているが、完全に非圧縮性であり、移送する際に圧縮されない流体も含む他の流体の移送及び輸送にも使用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】