特表 2024-516190 カートリッジポンプ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公表特許公報(A)

(11)【公表番号】

(43)【公表日】2024-04-12

(54)【発明の名称】カートリッジポンプ

(51)【国際特許分類】

   F04C 15/00 20060101AFI20240405BHJP

【ＦＩ】

F04C15/00 E

【審査請求】有

【予備審査請求】未請求

(21)【出願番号】P 2023565300

(86)(22)【出願日】2022-04-07

(85)【翻訳文提出日】2023-10-23

(86)【国際出願番号】 DE2022200069

(87)【国際公開番号】W WO2022223086

(87)【国際公開日】2022-10-27

(31)【優先権主張番号】102021204072.1

(32)【優先日】2021-04-23

(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE

(81)【指定国・地域】

(71)【出願人】

【識別番号】520361450

【氏名又は名称】ハンオン システムズ エーエフペー ドイチュラント ゲーエムベーハー

(74)【代理人】

【識別番号】110000051

【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】プリンツホーン，カール

(72)【発明者】

【氏名】ジンケ，ボリス

(72)【発明者】

【氏名】ベルグ，セルゲイ

(72)【発明者】

【氏名】ウェーデ，オリバー

【テーマコード（参考）】

3H044

【Ｆターム（参考）】

3H044AA02

3H044BB00

3H044CC14

3H044DD01

3H044DD28

(57)【要約】

【課題】コスト効率がよく、運搬可能で、安全に設置できるカートリッジポンプを提供する。
【解決手段】
本発明によるカートリッジポンプは、ねじ結合なしで非弾性かつ分離不能に支持される少なくとも１つの構成要素を含む。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

ねじ結合なしで非弾性で取り外し不可能な方法で支持される少なくとも１つの構成要素を含むことを特徴とするカートリッジポンプ（１０）。

【請求項2】

前記少なくとも１つの構成要素は、少なくとも１つのブッシング（ｂｕｓｈｉｎｇ）（１４）またはワッシャ（ｗａｓｈｅｒ）によってピン（１２）に向かって圧着されて支持されていることを特徴とする請求項１に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【請求項3】

前記カートリッジポンプの少なくとも１つの構成要素は、軸方向に移動不能に支持されていることを特徴とする請求項１又は２に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【請求項4】

少なくとも一つのピン（１２）にサークリップ（ｃｉｒｃｌｉｐ）がさらに設置されていることを特徴とする請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【請求項5】

前記構成要素は、流入部（１８）、ポンプ部（２０）、コントロールプレート（２２）、ポンプホルダー（２４）及び／又はモーターハウジング（２６）であることを特徴とする請求項１乃至請求項４のいずれか１項に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【請求項6】

少なくとも１つのピン（１２）は、前記カートリッジポンプ（１０）の個々の部品を貫通して延びていることを特徴とする請求項２乃至請求項５のいずれか１項に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【請求項7】

少なくとも１つのブッシング（１４）またはワッシャは、モーターハウジング（２６）に配置されていることを特徴とする請求項２乃至請求項６のいずれか１項に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【請求項8】

少なくとも１つのブッシング（１４）またはワッシャは、前記カートリッジポンプ（１０）の外部側にある前記ポンプの個々の部品を固定するために、前記ピン（１２）の端部に位置することを特徴とする請求項２乃至請求項７のいずれか１項に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【請求項9】

前記少なくとも１つの構成要素は、圧着式（ｆｏｒｃｅ－ｆｉｔｔｉｎｇ ｍａｎｎｅｒ）で支持されていることを特徴とする請求項１乃至請求項８のいずれか１項に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【請求項10】

前記少なくとも１つの構成要素とピン（１２）に取り付けられたブッシング（１４）またはワッシャとの間には、圧着式嵌合が形成されていることを特徴とする請求項９に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【請求項11】

前記カートリッジポンプ（１０）の前記構成要素の間には、前記圧着式嵌合が形成されていることを特徴とする請求項９又は１０に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【請求項12】

少なくとも１つのピン（１２）は、前記少なくとも１つのピンの一方の端部、好ましくは前記ピンの両側の端部が、前記少なくとも１つの構成要素の少なくとも１つの断面を越えて突出するように、前記少なくとも１つの構成要素を貫通して延びることを特徴とする請求項１乃至請求項１１のいずれか１項に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【請求項13】

前記ピン（１２）から少なくとも前記ブッシングまたはワッシャが圧着される部分は、円筒状に構成されることを特徴とする請求項２に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【請求項14】

前記ピン（１２）は実質的に円筒状に構成されていることを特徴とする請求項２乃至請求項１３のいずれか１項に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【請求項15】

１つの回転子軸が、前記少なくとも１つの支持された構成要素を貫通し、または少なくとも１つの支持された構成要素を貫通することを特徴とする請求項１乃至請求項１４のいずれか１項に記載のカートリッジポンプ（１０）。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、カートリッジポンプに関する。

【0002】

特に自動車分野では、カートリッジポンプは、例えば適切なハウジングに取り付けられたオイルポンプとして提供され、これによりポンプの構成要素が中央に配置される。

【背景技術】

【0003】

このようなカートリッジポンプは、欧州特許ＥＰ ３０８１７４１ Ａ２を通じて知られている。従来、よく知られているカートリッジポンプは、ピンがあり、ピンがポンプの複数の構成要素を貫通し延長され、ポンプの構成要素が非弾性の分離不可能な方法で接続されるように、ブッシングまたはベルビルスプリングを支持するサークリップを取り付けるために使用される。この方法により、カートリッジポンプを輸送することができ、設置後、ポンプの構成要素が適切な方法で回転できるようになる。特に、弾性ばね要素を使用する場合、しかしながら、寿命の間にばねの張力が低下するという問題がある。また、常にカートリッジポンプを特に簡単に構成することが、このような方式のカートリッジポンプの目標となる。

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

このような背景から、本発明は、カートリッジポンプをコスト効率よく、運搬可能で、安全に設置できるように製造できるようにすることを目的とする。

【0005】

前記目的は、請求項１によるカートリッジポンプによって解決される。

【課題を解決するための手段】

【0006】

したがって、カートリッジポンプの少なくとも１つの構成要素は、ネジを使用せずに、非弾性、非分離性、特に圧着式で支持される。その結果、可動性が保証され、特定のスプリング要素とのねじ結合も同時に省略することができる。これにより、構成が簡素化され、弾性ばね要素を使用する場合に発生する前記の問題を回避することができる。

【0007】

また、設置時に固定具を取り外す必要がないため、設置がより簡単になる。カートリッジポンプの構成要素はこのままで一緒に支持されているため、組み立てや分解を行う必要がなく、カートリッジポンプは簡単な方法で取り外すことができる。最後に、例えば、以下に説明するブッシングの形態、または１つ以上のワッシャで構成される固定手段は、局所的に非常に限定的であり、例えば、何らかの方法で構成されるピンの位置から直ちに隣接している場合にのみ制限される。したがって、入口または出口のような開放状態を維持する必要があるポンプ領域が固定手段によって覆われることを有利な方法で回避することができる。

【0008】

本発明によるカートリッジポンプの好ましいさらなる変形例は、請求項に開示されている。

【0009】

少なくとも１つの構成要素を支持することは、特に、常に一般的に存在し、ポンプの複数の構成要素を貫通する少なくとも１つのピンにブッシングまたはワッシャを圧着することによって容易に実現できる。このような構成は、例えば直径約３ｍｍの比較的薄いピンを用いて有利な方法で実現することも可能であり、例えば、ねじ結合よりも特に費用対効果が高い。このようなブッシングは、ブッシングの組み立ておよび分解を容易にするために、ピンの自由端に位置する拡大ヘッドを有利に備えることができる。そのようなブッシングまたはワッシャの軸方向サイズは、好ましくはピンの軸方向サイズより数倍小さい。

【0010】

好ましくは、ピンは、実質的に円形および／または円形の断面を有する円筒形である。好ましくは、ブッシングまたはワッシャが圧着されるピンの断面には、溝、ノッチ、またはその他の不連続面がない。言い換えれば、好ましくは、圧着されたブッシングまたはワッシャの領域において、ピンは実質的に円筒形の形状が変形しない。しかしながら、前記の事実は、ピンに、サークリップが嵌合する溝、またはノッチを備えることを排除するものではない。

【0011】

好ましくは、ピンは、ピンが少なくとも１つの（軸方向）端部、より好ましくは両側の（軸方向）端部を有する少なくとも１つの支持された構成要素の部分上部に（好ましくは、ピンが貫通する少なくとも１つの支持された構成要素の部分上部に）軸方向に延びるように、少なくとも１つの支持された構成要素を貫通して延びる。

【0012】

ポンプ部品は、例えば、前述のピンに沿って、完全に動かないように支持される必要はないが、ポンプ部品が動かない状態で支持されること、すなわち、クリアランスなしで支持されることが好ましい。これにより、例えば、輸送期間中の動きによる損傷を避けることができる。

【0013】

原理的には、例えば、圧着ブッシュのような前述の手段は、非弾性で分離不可能な方法でポンプ構成要素を支持するために、ピンの両端部に設けることができる。しかしながら、代替的に、ピンは一方の端部に単一の拡大断面を有することができる。

【0014】

ピンの両端に取り付けられるブッシング、ワッシャ、またはブッシング、ワッシャ、および／またはサークリップの組み合わせにより、少なくとも１つの構成要素またはポンプ構成要素は、フォームフィッティングでピンによって支持することができる。しかしながら、少なくとも１つの構成要素またはポンプ構成要素は、ブッシング、ワッシャ、またはブッシング、ワッシャ、および／またはサークリップの組み合わせにより、圧着式でピンに支持することができる。圧着式は、特に、ブッシング、ワッシャ、またはブッシング、ワッシャ、および／またはサークリップの組み合わせと少なくとも１つの構成要素との間に形成される。ブッシング、ワッシャおよびサークリップに代わるものとして、他の手段または他の手段の組み合わせも、前記形状適合および／または圧着式支持を形成するのに適していると考えることができる。

【0015】

また、この方法では、個別に支持されるポンプ構成要素間に圧着式支持が形成される。特に、予め決定された力を用いてポンプ構成要素を一緒に押し付けることも可能である。これにより、ピンに対する少なくとも１つの構成要素またはポンプ構成要素のねじれ、および個々のポンプ構成要素間のねじれも防止される。

【0016】

本発明は、特に、前記の方法で支持される構成要素が流入部、ポンプ部、コントロールプレート、ポンプホルダー、および／またはモーターハウジングである場合、特定の範囲で利点を発揮する。特に、言及された構成要素の一部または全部が、特に１つ以上のピンとブッシングまたはワッシャで支持される場合がある。単一のポンプでは、単一のポンプ部品または単一のポンプホルダーを備えることができる。例えば、ベーンポンプ、ジェローターまたは他のタイプの容積式ポンプをポンプ部で支持することができる。複数のポンプでは、複数のポンプ部品及び／又は複数のポンプホルダーが支持され、例えば、各ケースに１つのジロータ、ベーンポンプ又は他のタイプの容積式ポンプが支持される。前記の入口部分は、基本的にポンプ入口を有するプレートであることができる。

【0017】

少なくとも１つのピンがカートリッジポンプの関連する各部品を貫通し、カートリッジポンプの各部品がそれに応じて所定の位置に固定される場合、特に効率的な構成が達成される。

【0018】

さらに、使用可能な設置スペースの効率的な使用と簡単な組み立てプロセスのために、少なくとも１つのブッシングまたはワッシャがモーターハウジングに配置されている場合、利点が得られる。

【0019】

少なくとも１つのブッシングまたはワッシャがカートリッジポンプの外側に位置する場合、取り付け性の面で特に有利である。

【図面の簡単な説明】

【0020】

図面に示された本発明の実施形態は、以下のように詳細に説明することができる。図面はそれぞれ以下を示している。

【図1】本発明に係るカートリッジポンプの部分断面図である。

【図2】図１に示すカートリッジポンプの一部分の詳細図である。

【図3】図２に示された詳細の代替図である。

【図4】第２実施例の部分断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0021】

図１に示すように、本発明に係るカートリッジポンプ１０は、ポンプの様々な構成要素を同時に固定するために、構成要素を貫通して延びる２つのピン１２を備える。この実施例では、ばね要素を必要とせずに、特にこの実施例では間隔を空けることなく、非接着式に前記の構成要素を支持するために、ブッシング１４は、対応するピン１２の外側の端部、すなわち図１の下側の端部に押圧され、ワッシャは図１の上側の端部に押圧される。

【0022】

図２は、カートリッジポンプ１０の包囲部材及び一端に位置するブッシングを詳細に示している。ピン１２は、特にピンが各ブッシング１４の範囲を超えて突出しないか、または少なくとも一方の端部上にわずかに突出するように、寸法を定めることができる。

【0023】

さらに、図３から、ブッシング１４が、組立工程中の取り扱いを容易にするために、ピン１２の自由端に拡大ヘッド１ ６を有することができることがさらに明らかである。

【0024】

第２実施例として、図４は、下から上への図面の表現に従って、そして本発明の態様に従って、流入部１８、第１ポンプのポンプ部２０、コントロールプレート２２、第２ポンプのポンプホルダー２４、およびモーターハウジング２６を一緒に固定する複数のポンプを示している。図１によれば、モーターハウジング２６の内部にワッシャ１４が示されており、図３によれば、ポンプインサートの外側にブッシングが示されており、カートリッジポンプを構成している。しかしながら、図１に示されたブッシング１４は、拡大ヘッド１６またはワッシャなしでここに備えることができることは言うまでもない。同様に、どちらの実施形態においても、ブッシングまたはワッシャ１４の代わりに、その位置に追加のサークリップを備えた、または追加のサークリップなしで、他の言及された固定装置を備えることができる。

【0025】

図４を参照して、図１から図１を参照して説明したモーターハウジング２６と下部ブッシング１４の間に示されている構成要素は、上から下へ順に、コントロールプレート、ポンプ部分、流入部分である可能性がある。

【符号の説明】

【0026】

１０ カートリッジポンプ
１２ ピン
１４ ブッシング
１６ 拡大ヘッド
１８ 流入部
２０ ポンプ部
２２ コントロールプレート
２４ ポンプホルダー
２６ モーターハウジング

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【国際調査報告】