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特表2024-516196対象者の骨盤部への電気的刺激を制御するための方法、システム及び電子ウェアラブルユニット
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  • 特表-対象者の骨盤部への電気的刺激を制御するための方法、システム及び電子ウェアラブルユニット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】対象者の骨盤部への電気的刺激を制御するための方法、システム及び電子ウェアラブルユニット
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565358
(86)(22)【出願日】2022-04-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 IB2022053798
(87)【国際公開番号】W WO2022224227
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】202141012868
(32)【優先日】2021-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】517265923
【氏名又は名称】インディアン インスティチュート オブ サイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アローラ、マニッシュ
(72)【発明者】
【氏名】シャー、コマル
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB23
4C053JJ01
4C053JJ11
4C053JJ24
4C053JJ25
4C053JJ36
4C053JJ40
(57)【要約】
本明細書には、対象者103の骨盤部への電気刺激113を制御するための方法、電気刺激システム(ESS)101及び電子ウェアラブルユニット301が開示されている。電子ウェアラブルユニット301は、非皮膚接触外面307、尿収集装置309を取外し可能に取り付けるための股部分を備える皮膚接触内面305、及び外面307と内面305とによって画定された空間内に取外し可能に配置されたESS101を含む。セッションを開始するための入力105が受信される。さらに、骨盤部における及び骨盤部の周囲の筋肉の活動レベル107、筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つが、セッションを通じて受信される。決定に基づき、対象者103の骨盤部への電気刺激113が制御される。したがって、本開示は、治療の可搬式実行を可能にし、さらに、電気刺激113を固定された身体姿勢における可搬式使用から複数の身体姿勢における携帯式使用への拡張を可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の骨盤部への電気刺激を制御する方法であって、
電気刺激システム(ESS)によって、セッションを開始するための1つ又は複数の入力を受信するステップと、
前記セッションを通じて、前記ESSによって、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び前記対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信するステップと、
前記ESSによって、前記複数の筋肉の前記活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び前記対象者の前記身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて前記骨盤部への前記電気刺激を制御するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記1つ又は複数の入力は、前記ESSと通信可能に結合されたユーザ機器(UE)及び前記ESSのユーザインターフェース(UI)のうちの少なくとも1つから受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ又は複数の入力は、前記セッションを開始すること及び1つ又は複数の作動モードの選択のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ又は複数の作動モードは、刺激モード及び運動モードを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記複数の筋肉は、前記対象者の骨盤底筋及び腹筋のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記受信するステップは、
前記ESSに関連した決定ユニットから前記複数の筋肉の前記活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び前記対象者の前記身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信するステップであって、前記決定ユニットは、前記複数の筋肉の前記活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び前記対象者の前記身体姿勢のうちの少なくとも1つを決定するように構成されている、ステップと、
機械学習モデルから、前記ESSに関連した決定ユニットから、前記複数の筋肉の前記活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び前記対象者の前記身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信するステップと
のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の筋肉の前記活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び前記対象者の前記身体姿勢のうちの少なくとも1つを決定するステップは、
1つ又は複数の入力が刺激モードに関するかどうかを決定するステップと、
前記対象者の前記複数の筋肉の前記活動レベルを決定するための1つ又は複数の第1の電極による前記複数の筋肉に関連した信号、
1つ又は複数の向きセンサによる前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び
前記1つ又は複数の向きセンサによる前記対象者の前記身体姿勢
のうちの少なくとも1つを監視するステップと
を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ又は複数の第1の電極のそれぞれは、前記対象者の前記骨盤部に隣接して配置されている、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記骨盤部への前記電気刺激を制御するステップは、
前記1つ又は複数の入力が刺激モードに関するという決定により、ESSにおいて構成されたパルス発生器ユニットをトリガするステップと、
前記複数の筋肉の前記活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び前記対象者の前記身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて電流を発生するように前記パルス発生器ユニットを制御するステップと、
前記ESSにおいて構成された1つ又は複数の第2の電極を介して前記電流に基づいて前記骨盤部への前記電気刺激を提供するステップと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記パルス発生器ユニットは、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記活動レベルを所定の値に維持するように制御される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記1つ又は複数の第2の電極のそれぞれは、刺激電極であり、前記対象者の骨盤、会陰、尾てい骨、仙骨、大腿上部及び腹部のうちの少なくとも1つに及びその周囲に配置されている、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
1つ又は複数の入力が運動モードに関するかどうかを決定するステップと、
前記骨盤部における及び前記骨盤部の周囲の前記複数の筋肉を伴う運動を前記対象者が行っている間に前記1つ又は複数の第1の電極によって前記対象者の前記複数の筋肉に関連した前記信号を監視するステップと、
前記信号に基づいて前記複数の筋肉の前記活動レベルを決定するステップと、
前記活動レベルに基づいて前記複数の筋肉の収縮を示すバイオフィードバックを生成するステップと、
前記バイオフィードバックを前記UEに提供するステップと
をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記ESSによって、前記ESSと通信可能に結合されたユーザ機器(UE)及び前記ESSのユーザインターフェース(UI)のうちの1つから1つ又は複数の電気刺激パラメータ値を受信するステップと、
前記電流強度値に基づいて前記電流を発生するために前記パルス発生器ユニットを制御するステップと、
前記1つ又は複数の第2の電極を介して前記電流に基づいて前記骨盤部に前記電気刺激を提供するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の筋肉の前記活動レベルに関連した情報、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向きに関連した情報、前記対象者の前記身体姿勢に関連した情報、及び前記セッションを通じて監視される前記電流に関連した情報のうちの少なくとも1つを前記UEへ送信するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の筋肉の前記活動レベルに関連した情報、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向きに関連した情報、前記対象者の前記身体姿勢に関連した情報、及び前記セッションを通じて監視される前記電流に関連した情報のうちの少なくとも1つを含む前記セッションのためのレポートを生成するステップと、
生成された前記レポートを前記UEへ送信するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
対象者の骨盤部への電気刺激を制御するための電気刺激システム(ESS)であって、
プロセッサと、
前記プロセッサに通信可能に結合されたメモリと
を含み、前記メモリは、プロセッサ実行可能命令を記憶し、前記プロセッサ実行可能命令は、実行時に、前記プロセッサに、
セッションを開始するための1つ又は複数の入力を受信させ、
前記セッションを通じて、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び前記対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信させ、
前記複数の筋肉の前記活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び前記対象者の前記身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて前記骨盤部への前記電気刺激を制御させる、ESS。
【請求項17】
前記1つ又は複数の入力は、前記ESSと通信可能に結合されたユーザ機器(UE)及び前記ESSのユーザインターフェース(UI)のうちの少なくとも1つから受信される、請求項16に記載のESS。
【請求項18】
前記1つ又は複数の入力は、前記セッションを開始すること及び1つ又は複数の作動モードの選択のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載のESS。
【請求項19】
前記1つ又は複数の作動モードは、刺激モード及び運動モードを含む、請求項16に記載のESS。
【請求項20】
前記複数の筋肉は、前記対象者の骨盤底筋及び腹筋のうちの少なくとも1つを含む、請求項16に記載のESS。
【請求項21】
前記プロセッサは、前記ESSに関連した決定ユニットから、前記複数の筋肉の前記活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び前記対象者の前記身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信するように構成され、
前記決定ユニットは、前記複数の筋肉の前記活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び前記対象者の前記身体姿勢のうちの少なくとも1つを決定するように構成され、
前記プロセッサは、機械学習モデルから、前記ESSに関連した決定ユニットから、前記複数の筋肉の前記活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び前記対象者の前記身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信するように構成されている、請求項16に記載のESS。
【請求項22】
前記プロセッサは、
前記1つ又は複数の入力が刺激モードに関するかどうかを決定し、
前記対象者の前記複数の筋肉の前記活動レベルを決定するための1つ又は複数の第1の電極による前記複数の筋肉に関連した信号、
1つ又は複数の向きセンサによる前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び
前記1つ又は複数の向きセンサによる前記対象者の前記身体姿勢
のうちの少なくとも1つを監視する
ように構成されている、請求項21に記載のESS。
【請求項23】
前記1つ又は複数の第1の電極のそれぞれは、前記対象者の前記骨盤部に隣接して配置されている、請求項22に記載のESS。
【請求項24】
前記プロセッサは、
前記1つ又は複数の入力が前記刺激モードに関することを決定すると、前記ESSにおいて構成されたパルス発生器をトリガし、
前記複数の筋肉の前記活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び前記対象者の前記身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて電流を発生するように前記パルス発生器を制御し、
前記ESSにおいて構成された1つ又は複数の第2の電極を通じて前記電流に基づいて前記対象者の前記骨盤部に電気刺激を提供する
ように構成されている、請求項16に記載のESS。
【請求項25】
前記プロセッサは、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記活動レベルを所定の値に維持するように前記パルス発生器ユニットを制御する、請求項24に記載のESS。
【請求項26】
前記1つ又は複数の第2の電極のそれぞれが、刺激電極であり、前記対象者の前記骨盤部に隣接して配置されている、請求項24に記載のESS。
【請求項27】
前記プロセッサは、
前記1つ又は複数の入力が運動モードに関するかどうかを決定し、
前記対象者が、前記骨盤部における及び前記骨盤部の周囲の前記複数の筋肉を伴う運動を行っている間、前記1つ又は複数の第1の電極によって前記対象者の前記複数の筋肉に関連した前記信号を監視し、
前記信号に基づいて前記複数の筋肉の前記活動レベルを決定し、
前記活動レベルに基づいて前記複数の筋肉の収縮を示すバイオフィードバックを生成し、
前記バイオフィードバックを前記UEに提供する
ように構成されている、請求項16に記載のESS。
【請求項28】
前記プロセッサは、
前記ESSと通信可能に結合されたユーザ機器(UE)及び前記ESSのユーザインターフェース(UI)のうちの1つから1つ又は複数の電気刺激パラメータ値を受信し、
前記電流強度値に基づいて前記電流を発生するように前記パルス発生器を制御し、
前記1つ又は複数の第2の電極を通じて前記電流に基づいて前記骨盤部に前記電気刺激を提供する
ように構成されている、請求項16に記載のESS。
【請求項29】
前記プロセッサは、
前記複数の筋肉の前記活動レベルに関連した情報、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向きに関連した情報、前記対象者の前記身体姿勢に関連した情報、及び前記セッションを通じて監視された前記電流に関連した情報のうちの少なくとも1つを前記UEへ送信する
ように構成されている、請求項16に記載のESS。
【請求項30】
前記プロセッサは、
前記複数の筋肉の前記活動レベルに関連した情報、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向きに関連した情報、前記対象者の前記身体姿勢に関連した情報、及び前記セッションを通じて監視された前記電流に関連した情報のうちの少なくとも1つを含む前記セッションのためのレポートを生成し、
前記生成された前記レポートを前記UEへ送信する
ように構成されている、請求項16に記載のESS。
【請求項31】
対象者の骨盤部への電気刺激を制御するための電子ウェアラブルユニットであって、
1つ又は複数の非電子ウェアラブル部分と、
電気刺激システム(ESS)の少なくとも一部を含む1つ又は複数の電子ウェアラブル部分と
を含み、前記ESSは、
セッションを開始するための1つ又は複数の入力を受信し、
前記セッションを通じて、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び前記対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信し、
前記複数の筋肉の前記活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び前記対象者の前記身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて前記骨盤部への前記電気刺激を制御する
ように構成されている、電子ウェアラブルユニット。
【請求項32】
前記電子ウェアラブル部分を前記非電子ウェアラブル部分に取外し可能に取り付けるための1つ又は複数のインターロックをさらに含む、請求項31に記載の電子ウェアラブルユニット。
【請求項33】
尿収集装置を取外し可能に取り付けるための股部分をさらに含む、請求項31に記載の電子ウェアラブルユニット。
【請求項34】
骨盤部への電気刺激を制御することによる対象者の骨盤部のリハビリテーションのための方法であって、
電気刺激システム(ESS)によって、セッションを開始するための1つ又は複数の入力を受信するステップと、
前記セッションを通じて、前記ESSによって、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び前記対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信するステップと、
前記ESSによって、前記複数の筋肉の前記活動レベル、前記複数の筋肉のうちの1つ又は複数の前記向き、及び前記対象者の前記身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて前記骨盤部への前記電気刺激を制御するステップと
を含む、方法。
【請求項35】
対象者の骨盤部に関連した疾患を管理する方法であって、請求項1に記載の方法によって前記骨盤部への電気刺激を制御することによる前記骨盤部のリハビリテーションを含む、方法。
【請求項36】
前記疾患は、膀胱、弱まった骨盤底筋、弱まった括約筋、神経損傷、仙骨神経の要求、陰部神経、筋肉剥離、骨盤底の皮膚の下の接続組織の裂断に関する条件、及び尿失禁、肛門及び便失禁、頻尿、弱まった膣筋肉トーン、骨盤手術、骨盤臓器脱、性機能障害に関連する1つ又は複数の条件、又はこれらのあらゆる組合せを含むグループから選択される、請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、電気的刺激、より具体的には、ただし排他的ではなく、対象者の骨盤部への電気的刺激を制御するための方法、電気的刺激システム(ESS)及び電子ウェアラブルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
骨盤底筋は、対象者の骨盤内の尾骨(尾てい骨)と恥骨との間に位置している。骨盤底筋は、膀胱、直腸、子宮(女性の対象者において)及びその他の腹部臓器を重力及びあらゆる加えられる下方圧力に対して支持している。また、骨盤底筋の弱まりは、骨盤手術、出産(女性の対象者において)、長期の咳、便秘、繰り返し重いものを持ち上げること、及び太り過ぎにより生じる。その結果、対象者における骨盤底筋の機能不全が生じる。
【0003】
一般的に、骨盤底筋の強化のための治療の第一選択として、骨盤底筋の運動が知られている。しかしながら、約50%の対象者は、自分自身で運動を正しく行うために骨盤底筋を識別し且つ分離することができない。さらに、対象者は、運動による治療に関連した規則的な進歩を評価することができない。その上、骨盤底筋運動及び/又は理学療法式オプションのための推奨されるクリニック訪問スケジュールは、毎日のペースでは非常に負担が大きい。これらは、長期コンプライアンスの欠如を生じ、対象者は、弱まった骨盤底筋の迅速な回復のための骨盤底筋運動を超えるオプションを望む。
【0004】
電気刺激は、特に尿失禁に悩む対象者にとって、対象者における骨盤底筋のリハビリテーションのための広く普及した治療ソリューションである。電気刺激において、骨盤底筋において収縮、及びその他のタイプの動き及び応答をトリガするために、弱まった骨盤底筋に電流が加えられる。このような反復行為は、弱まった骨盤底筋を強化し、これにより、電気刺激を骨盤底筋運動の潜在的な代替にしている。
【0005】
一般的に、尿失禁に悩む対象者にとって長期的な電気刺激が推奨される。臨床的要求に基づいて、常習的又は最大刺激が提供されてよい。常習的刺激は、毎日数時間にわたって低強度で提供されるのに対し、最大刺激は、より短期間にわたって最大許容強度の電流を使用する。通常は、両タイプともに、数か月にわたる定期的な適用が求められる。
【0006】
既存のシステムは、対象者が、可搬形式でこのような刺激式の治療を実行することを可能にする。しかしながら、有効な治療のために、対象者は、刺激セッションを通じて、固定された姿勢を維持する必要がある。幾つかのシナリオにおいて、対象者が長時間にわたって固定された姿勢を維持することが困難となり、ひいては実行不可能にする。これは、治療の進行を遅らせ、治療の有効性及び効率を低下させる。前記の理由により、対象者は、毎日長時間にわたる既存のシステムの使用を評価せず、したがって低コンプライアンスが一般的である。
【0007】
さらに、既存のシステムは、電気刺激を修正又は調整することなどのあらゆる手段によって、身体姿勢の変化に刺激治療を適合させることはない。実例として、対象者が立ち上がるとき、骨盤入口は前傾させられる。しかしながら、直立位置において、骨盤入口の骨アーチは、ほとんど鉛直の平面に向けられている。2つのケースにおいて、所与の筋肉における重力は異なる。同様に、重力の効果は、対象者が横たわっているとき排除され、対象者が、臀部の下に枕を置いて座っているとき、好ましい効果を有する。既存のシステムは、対象者の身体姿勢の変化により骨盤底筋に加えられる重力のこのような変化を見落としており、したがって、適切な電気刺激を提供することができない。
【0008】
さらに、既存のシステムにおいて、上述のように、様々な刺激パラメータのセッティングは手動で行われ、これは純粋に臨床医又は理学療法者の技能及び対象者の快適性レベルに依存する。これは、本質的に極めて主観的であり、しばしば治療の有効性を減じる。既存のシステムは開ループ形式で作動するが、刺激パラメータを調整する精度は、有効な治療のために保証されていない。
【0009】
さらに、既存のシステムは、対象者による尿失禁の条件の管理を容易にしない。実例として、対象者が職場を訪れるとき、尿を保持するための吸収パッドなどの尿収集装置と、治療のための既存のシステムのうちの1つとを同時に使用することができない。したがって、既存のシステムは、対象者に柔軟性及び快適性を提供せず、尿失禁に関連した社会的又は職場での困惑の恐怖を減じることができない。
【0010】
この開示の背景のセクションに開示されている情報は、発明の一般的な背景の理解を高めるためでしかなく、この情報が、当業者に既に公知の従来技術を形成することの承認又は何らかの形の示唆として理解されるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、対象者の骨盤部への電気的刺激を制御する方法を開示する。方法は、電気刺激システム(ESS)によって、セッションを開始するための1つ又は複数の入力を受信することを含む。1つ又は複数の入力を受信すると、方法は、セッションを通じて、ESSによって、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信することを含む。その後、方法は、ESSによって、複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて骨盤部への電気刺激を制御することを含む。
【0012】
さらに、本開示は、対象者の骨盤部への電気刺激を制御するための電気刺激システム(ESS)を開示している。ESSは、プロセッサと、プロセッサに通信可能に結合されたメモリとを含む。プロセッサは、セッションを開始するための1つ又は複数の入力を受信する。入力を受信すると、プロセッサは、セッションを通じて、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信する。複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて、プロセッサは、骨盤部への電気刺激を制御する。
【0013】
さらに、本開示は、対象者の骨盤部への電気刺激を制御するための電子ウェアラブルユニットを開示している。電子ウェアラブルユニットは、1つ又は複数の非電子ウェアラブル部品及び1つ又は複数の電子ウェアラブル部品を含む。1つ又は複数の電子ウェアラブル部品は、電気刺激システム(ESS)の少なくとも一部を含む。ESSは、セッションを開始するための1つ又は複数の入力を受信するように構成されている。さらに、ESSは、セッションを通じて、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信するように構成されている。さらに、ESSは、複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて骨盤部への電気刺激を制御するように構成されている。
【0014】
さらに、本開示は、骨盤部への電気刺激を制御することによる対象者の骨盤部のリハビリテーションのための方法を開示している。方法は、電気刺激システム(ESS)によって、セッションを開始するための1つ又は複数の入力を受信することを含む。1つ又は複数の入力を受信すると、方法は、セッションを通じて、ESSによって、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信することを含む。その後、方法は、ESSによって、複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて骨盤部への電気刺激を制御することを含む。
【0015】
さらに、本開示は、骨盤部への電気刺激を制御することによる対象者の骨盤部のリハビリテーションのための方法を開示している。方法は、電気刺激システム(ESS)によって、セッションを開始するための1つ又は複数の入力を受信することを含む。1つ又は複数の入力を受信すると、方法は、セッションを通じて、ESSによって、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信することを含む。その後、方法は、複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて骨盤部への電気刺激を制御することを含む。
【0016】
さらに、本開示は、対象者の骨盤部に関連した疾患を管理する方法を開示しており、前記方法は、骨盤部への電気刺激を制御することによる骨盤部のリハビリテーションを含む。
【0017】
前記概要は、例示的でしかなく、いかなる方法によっても限定するものであることは意図されていない。上記に記載された例示的な態様、実施例及び特徴に加え、図面及び以下の詳細な説明を参照することにより、更なる態様、実施例及び特徴が明らかになるであろう。
【0018】
本開示の一部に組み込まれ且つ本開示の一部を構成する添付の図面は、例示的な実施例を示しており、説明と共に、開示された原理を説明している。図面において、参照番号の最も左側の数字は、その参照番号が最初に表される図面を特定している。同じ特徴及び構成要素を指すために、図面を通じて同じ番号が使用されている。本発明の主題の実施例によるシステム及び/又は方法の幾つかの実施例は、ここで、例としてのみ、添付の図面に関して記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の幾つかの実施例による、対象者の骨盤部への電気刺激を制御するための例示的な環境を示す。
図2】本開示の幾つかの実施例による電気刺激システム(ESS)のブロック図を示す。
図3a】本開示の幾つかの実施例による、対象者の骨盤部への電気刺激を制御するための電子ウェアラブルユニットを示す。
図3b】本開示の幾つかの実施例による、対象者の骨盤部への電気刺激を制御するための電子ウェアラブルユニットを示す。
図3c】本開示の幾つかの実施例による、対象者の骨盤部に隣接する第1の電極及び第2の電極の配置を示す。
図3d】本開示の幾つかの実施例による、対象者の骨盤部に隣接する第1の電極及び第2の電極の配置を示す。
図4】本開示の幾つかの実施例による、対象者の骨盤部への電気刺激を制御する方法を示すフローチャートを示す。
図5】本開示と一貫した実施例を実行するための例示的なコンピュータシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書におけるあらゆる流れ図及びタイミング図は、本発明の主題の原理を具体化する例示的な装置の概念図を表すことが当業者によって認められるべきである。同様に、あらゆるフローチャート、流れ図、状態遷移図、疑似コード等は、コンピュータ可読媒体において実質的に表されてよく且つコンピュータ又はプロセッサによって、このようなコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているかどうかにかかわらず実行されてよい様々なプロセスを表すことが認められるであろう。
【0021】
本文献において、「例示的」という単語は、本明細書において「実例、例又は例示として働くことを」を意味するために使用されている。「例示的」として本明細書に記載された本発明の主題のあらゆる実施例又は実行は、必ずしも他の実施例よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。
【0022】
開示は、様々な修正及び代替的形態を生じるが、その特定の実施例は、図面において例として示されており、以下に詳細に記載される。しかしながら、開示を、開示された特定の形態に限定することは意図されておらず、反対に、開示は、開示の範囲内に含まれる全ての修正、均等物及び代替物を網羅することが理解されるべきである。
【0023】
含む(「comprises」、「comprising」、「includes」、「including」)という用語又はそのあらゆるその他の変化形は、非排他的包含を網羅することが意図されており、これにより、構成要素又はステップのリストを含むセットアップ、装置又は方法は、これらの構成要素又はステップを含むのみならず、明示的に列挙されていない又はこのようなセットアップ、装置又は方法に固有の他の構成要素又はステップを含んでよい。言い換えれば、「comprises...a」によって先行されるシステム又は装置における1つ又は複数の要素は、より多くの制約なしに、システム又は方法におけるその他の要素又は追加的要素の存在を排除しない。
【0024】
本開示の実施例は、対象者の骨盤部への電気刺激を制御するための方法、電気刺激システム(ESS)及び電子ウェアラブルユニットに関する。本開示において、電気刺激は、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて制御される。
【0025】
本開示は、対象者が、可搬式に治療を行うことを可能にし、さらに、固定された身体姿勢における可搬式使用から、通常の日々の活動を行いながら、複数の身体姿勢における歩行使用に拡張する。自動制御により、治療の自己実施のために対象者の専門知識及び領域知識は不要である。さらに、電気刺激は、複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つについてのリアルタイムの情報に基づいて自動的に調整される。このような複数の筋肉の活動レベルは、1つ又は複数の筋電図検査(EMG)電極によって取得される複数の筋肉に関連したリアルタイムのEMG信号から決定される。本記載において、1つ又は複数のEMG電極から受信されたEMG信号は、実例として考えられる。しかしながら、これは、限定として考えられるべきではない。会陰圧測定器などの機器から受信された圧力測定に基づく信号が、活動レベルを決定するために使用されてよい。当業者は、活動レベルがその他の電極/機器/装置を使用することによって測定されてよく、上記で言及された方法に限定されないことを認めるであろう。複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き及び/又は対象者の姿勢は、向きセンサを使用して決定される。したがって、本開示は、電気刺激がリアルタイムのフィードバックに基づいて制御される閉ループ制御メカニズムを提供する。これは、有効な治療のために刺激パラメータを調整する精度を保証する。リアルタイムのフィードバックにより、骨盤底筋に対する重力の効果は、電気刺激を提供するための電流を評価しながら自動的に考慮される。
【0026】
さらに、ESSは、刺激モード及び運動モードなどの複数の作動モードにおいて作動させられる。刺激モードにおいて、EMG読み取りに基づくリアルタイムフィードバックは、電気刺激を正確に制御するための閉ループシステムのための応答としての役割を果たす。これに対して、運動モードにおいて、EMG読み取りに基づくリアルタイムフィードバックは、対象者が複数の筋肉を伴う運動を行っているときに複数の筋肉の収縮に関する情報を対象者に提供するためのバイオフィードバックとしての役割を果たす。
【0027】
さらに、電子ウェアラブルユニットは、対象者が、電気刺激を制御し且つ同時に尿失禁の条件を管理することを可能にする。電子ウェアラブルユニットにおいて、皮膚接触表面は、対象者の股領域における及び股領域の周囲の部分を含み、それにより、対象者は、ESSを取り外すことなく、吸収パッドなどの尿収集装置を取り付けたり取り外したりすることができる。本開示において、対象者は、電子ウェアラブルユニットを通常の衣服の下に隠し、無線でESSに結合されてよいユーザ機器(UE)を利用して、目立たない形式で治療を行う。これは、対象者が、プライベートな場所にいることを要求することなく又は電子ウェアラブルユニットへのアクセスを要求することなく電気刺激を柔軟に制御することを可能にする。
【0028】
図1は、本開示の幾つかの実施例による、対象者の骨盤部への電気刺激を制御するための例示的な環境を示す。
【0029】
図1に示されているように、環境100は、電気刺激システム(ESS)101、及びESS101に関連した対象者103を含んでよい。ESS101は、無線ネットワーク及び有線ネットワークのうちの一方を介して少なくとも1つのユーザ機器(UE)と通信可能に結合されていてよい。無線ネットワークは、これらに限定されないが、Bluetooth、Bluetooth Low Energy(BLE)、Wi-Fi及びZigbeeを含んでよい。実例として、UEは、これらに限定されないが、スマートフォン、ラップトップ、デスクトップ、スマートウォッチ、スマートテレビ、スマートスピーカ、タブレット、パーソナルデジタルアシスタンス(PDA)及び遠隔監視装置のうちの1つを含んでよい。UEは、対象者103、臨床医、対象者103に関連した医療スタッフメンバー等によって作動させられてよい。ESS101は、屋内環境、屋外環境、一方から別への移行中等のうちの1つにおいて、対象者103の骨盤部に制御された電気刺激113を提供するために作動させられてよい。本記載は、対象者の骨盤部への電気刺激を制御することを述べている。しかしながら、電気刺激を制御する方法ステップは、対象者103の大腿上部、腰部、腕等の対象者のその他の領域に適用可能である。
【0030】
実施例において、ESS101は、セッションを開始するための1つ又は複数の入力105を受信してよい。ESS101は、ESS101のUE及びユーザインターフェース(UI)のうちの少なくとも一方から入力105を受信してよい。1つ又は複数の入力105は、セッションを開始及び停止すること並びに1つ又は複数の作動モードの選択のうちの少なくとも1つを含んでよい。さらに、前記入力105は、アナログインターフェース又はデジタルインターフェース若しくはそれらのあらゆる組合せを通じて受信されてよい。1つ又は複数の作動モードは、刺激モード及び運動モードを含んでよい。
【0031】
実施例において、ESS101は、1つ又は複数の入力105を受信すると、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、セッションを通じた対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つを受信してよい。複数の筋肉は、対象者103の骨盤底筋及び腹筋のうちの少なくとも1つを含んでよい。実施例において、ESS101は、ESSに関連した決定ユニットから、複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信してよい。決定ユニットは、複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを決定するように構成されている。別の実施例において、ESS101は、機械学習モデルから、ESSに関連した決定ユニットから、複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信してよい。ESS101は、1つ又は複数の入力105が刺激モードに関連するかどうかを決定してよい。ESS101は、1つ又は複数の入力105が刺激モードに関連することを決定すると、1つ又は複数の第1の電極229によって複数の筋肉に関連した筋電図検査(EMG)信号を監視してよい。1つ又は複数の第1の電極229のそれぞれは、EMG電極であってよく、対象者103の骨盤、会陰、大腿上部、仙骨、尾てい骨及び腹部領域のうちの少なくとも1つに及びその周囲に配置されてよい。さらに、ESS101は、1つ又は複数の向きセンサ233によって複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109及び/又は対象者103の身体姿勢111を監視してよい。複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109又は対象者103の身体姿勢111の決定は、骨盤部への電気刺激を制御するために必須である。選択的に、複数の筋肉の活動レベルが決定されてよい。
【0032】
代替的に、ESS101は、1つ又は複数の入力105が運動モードに関連することを決定してよい。さらに、ESS101は、対象者103が骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉を伴う運動を行っている間に、1つ又は複数の第1の電極229によって対象者103の複数の筋肉に関連したEMG信号を監視してよい。対象者の腹部領域は、本記載において骨盤部の周囲の領域と呼ばれる。ESS101は、EMG信号に基づいて複数の筋肉の活動レベル107を決定してよい。ESS101は、活動レベル107に基づいて複数の筋肉の収縮を示すバイオフィードバックを生成してよい。その後、ESS101は、UEにバイオフィードバックを提供してよい。
【0033】
1つ又は複数の第1の電極229は、それぞれの活動レベル107を測定するために骨盤底筋及び腹筋に関連したEMG信号を取得するように構成されていてよい。この場合、骨盤底筋の活動レベル107は、適用される電気刺激治療の効果を示してよい。これに対して、腹筋の活動レベル107は、咳、笑いなどの様々な現象により対象者の身体において自発的に発生され得る腹圧の存在を示してよい。これが対象者103の骨盤底筋の活動レベルに対して有し得る効果は、電気刺激113によって生じるものとは異なってよい。したがって、ESS101は、このような効果を骨盤底筋の活動レベル107におけるアーチファクトとして考えてよく、分析前に出力においてこれを適切に補償してよい。以下では互換的に「バイオフィードバック」と呼ばれてよい取得された出力は、少なくとも2つの電極を使用して測定されてよく、そのうち少なくとも一方は、基準点として作用しても又は作用しなくてもよい。バイオフィードバックは、治療のために使用される刺激パラメータの特定のセットに対する、複数の筋肉の応答を観察及び記録するために有用であってよい。
【0034】
バイオフォードバックは、対象者103のための治療の短期的及び長期的な有効性について判断を行うために有用であってよい。このデータは、さらに、必要であれば、治療のコースを変更するために有用であってよい。また、バイオフィードバックは、記録され、相談及び/又は更なるアドバイスのために対象者103に関連した臨床医と共有されてよい。バイオフィードバックは、また、電気刺激治療セッションの間に複数の筋肉によって提供され得るあらゆる形態の抵抗を検出するために有用であってよい。
【0035】
さらに、バイオフィードバックは、電気刺激治療セッションの間、複数の筋肉によって提供される疲労を検出するために有用であってよい。このような抵抗は、筋肉活動のしきい出力値に対して検出されてよい。しきい出力値は、経験及び/又は知識に基づいて、臨床又はその他の専門家によって到達されてよい。それは、プログラミング又は命令の手段に予め規定されてよい。さらに、このようなしきい値の決定のための方法及び関連するアルゴリズムは、プログラミング又は命令の手段に含まれていてよい。実施例において、検出は、適切に応答する前に、身体姿勢111及び複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109の両方における検出された変化と共に分析されてよい。複数の筋肉によるこのような抵抗の検出に応答して、ESS101は、対象者103の安全を保証するために電気刺激113の提供を終了してよい。
【0036】
さらに、バイオフィードバックは、電気刺激治療セッションの間、与えられた電流強度において筋肉収縮が十分なレベルであるときに検出するために有用であってよい。このような出力はセッションの初めに検出されてよい。なぜならば、信号強度はゼロから所定の値までゆっくりと増大させられているからである。複数の筋肉からのこのような出力の検出に応答して、ESS101は、電流の強度が自動的に調整されることを保証してよい。
【0037】
バイオフィードバックは、更なる分析のためにUEへ伝送される前に例えばフィルタリングによって信号処理を受けてよいデータを提供してよい。このような処理は、1つ又は複数の向きセンサ233の望ましくない影響、1つ又は複数の第1の電極229上の1つ又は複数の第2の電極231、及び運動アーチファクトなどの外部効果の望ましくない影響等を除去してよい。このような処理は、例えば、他の身体の動きにより出力に出現し得たアーチファクトエラー等の除去のために有用であってよい。
【0038】
別の実施例において、バイオフィードバックは、これらに限定されないが、筋肉の動き、筋肉温度等を測定するセンサを含んでよい電子センサモジュールを使用して提供されてよい。バイオフィードバックは、対象者103が骨盤底筋の運動を行っているとき、筋肉収縮の程度についての情報を受信するために有用であってもよい。対象者103は、骨盤底筋の運動を行っているとき、ESS101のUE又はUIを介して1つ又は複数の入力105を提供することにより、電気刺激113を加えることを終了してよい。このような作動モードは、運動モードと呼ばれてよい。
【0039】
実施例において、ESS101は、複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つに基づいて骨盤部への電気刺激113を制御してよい。ESS101は、1つ又は複数の入力105が刺激モードに関することを決定すると、パルス発生器ユニット235をトリガしてよい。ESS101は、複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つに基づいて電気刺激パラメータと共に電流の単一のチャネル又は電流の複数のチャネルを生成するためにパルス発生器ユニット235を制御してよい。ESS101は、複数の筋肉の活動レベル107が臨床的に所定の値に達するまでパルス発生器ユニット235を制御してよい。ESS101は、ESS101において構成された1つ又は複数の第2の電極231を通る電流に基づいて骨盤部への電気刺激113を提供してよい。1つ又は複数の第2の電極231のそれぞれは、刺激電極であってよく、対象者103の骨盤、会陰、尾てい骨、仙骨、大腿上部、及び腹部のうちの少なくとも1つに及びその周囲に配置されてよい。
【0040】
特定の治療セッションのために、ESS101は、電流に関連した1つ又は複数の波形特性を制御してよい。実例として、1つ又は複数の波形特性は、これらに限定されないが、パルスジオメトリタイプ、パルス幅、電流の周波数、エンベロープ持続時間、エンベロープデューティサイクル、及び信号強度を含んでよい。複数の治療セッションの間に、対象者103は、連続するセッションの間のインターバル時間、一日の最大セッション数、セッションが自動的に開始するための設定時間、セッションを設定するためのアラームなどの様々な入力パラメータを制御してよい。
【0041】
実施例において、ESS101は、ESS101に関連したUE及びESS101のUIのうちの1つから電流強度値を受信してよい。さらに、ESS101は、電流強度値に基づいて電流を発生するためにパルス発生器ユニット235を制御してよい。ESS101は、1つ又は複数の第2の電極231を通る電流に基づいて骨盤部への電気刺激113を提供してよい。幾つかの実施例において、ESS101において、1つ又は複数の電気的パラメータは、臨床的に許容可能な範囲の値により予め設定されてよく、対象者103によって修正することはできない。このような対策は、横たわった人が、臨床的に安全な範囲の外の与えられたパラメータのためのいかなる値も誤って使用することができないことを保証してよい。
【0042】
図2は、本開示の幾つかの実施例による電気刺激システム(ESS)のブロック図を示す。
【0043】
幾つかの実装において、ESS101は、電池200、入力/出力(I/O)インターフェース201、プロセッサ203、トランシーバアンテナ205、メモリ207、1つ又は複数の第1の電極229、1つ又は複数の第2の電極231、1つ又は複数の向きセンサ233、パルス発生器ユニット235及び分離回路237を含んでよい。電池200は、ESS101の構成要素に電源を提供してよい。実例として、電池200は、2000mAhリチウム充電池であってよい。ESS101における構成要素の作動は、充電器によるAC電気幹線からの電池200の充電中、継続してよい。好ましくは、ESS101における構成要素は、電気的危険を防止するために電池200が充填された後に作動させられてよい。ESS101において、I/Oインターフェース201は、セッションを開始するために1つ又は複数の入力105を受信してよい。I/Oインターフェース201は、電気刺激113を動的に制御するために電流強度値も受信してよい。この場合、I/Oインターフェース201は、ESS101と通信可能に結合されたユーザ機器(UE)との通信を行うために少なくとも1つのトランシーバアンテナ205に関連していてよい。実施例において、ESS101は、電池200の代わりに、AC電源からの直接電源により作動させられてよい。
【0044】
さらに、プロセッサ203は、トランシーバアンテナ205を介してセッションを開始するための1つ又は複数の入力105を受信してよい。1つ又は複数の入力105を受信すると、プロセッサ203は、セッションを通じて、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つを受信してよい。決定に基づいて、プロセッサ203は、対象者103の骨盤部への電気刺激113を制御してよい。加えて、プロセッサ203は、トランシーバアンテナ205を介して電流強度値及び/又はその他の電気刺激パラメータについての情報を受信し、受信された情報に基づいて対象者103の骨盤部への電気刺激113を制御してよい。前記方法ステップを行うために、プロセッサ203は、ESS101の様々なモジュール211及びメモリ207を利用してよい。
【0045】
ESS101において、メモリ207は、I/Oインターフェース201、プロセッサ203、モジュール211、1つ又は複数の第1の電極229、1つ又は複数の第2の電極231、及び1つ又は複数の向きセンサ233を介して受信されたデータ209を記憶してよい。1つの実施例において、データ209は、活動レベルデータ209、向きデータ209、身体姿勢データ209、電気刺激パラメータ値209、電流データ209、セッションデータ209、及びその他のデータ209を含んでよい。活動レベルデータ209は、各セッションの間に1つ又は複数の第1の電極229によって監視される対象者103の骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル107を含んでよい。向きデータ209は、各セッションの間に1つ又は複数の向きセンサ233によって監視される対象者103の複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向きを含んでよい。身体姿勢データ209は、各セッションの間に1つ又は複数の向きセンサ233によって監視される対象者103の身体姿勢を含んでよい。電気刺激パラメータ値209は、UE、又はESS101に関連したユーザインターフェース(UI)を介して、対象者103及び対象者103に関連した臨床医のうちの少なくとも一方から受信された、電流強度値、周波数、パルス持続時間、デューティサイクル等を含んでよい。電流データ209は、各セッションの間の活動レベル107、向き109、及び対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つに基づいて決定される電流値を含んでよい。セッションデータ209は、各セッションに関連した開始時間及び終了時間を含んでよい。その他のデータ209は、プロセッサ203、及びESS101の様々な機能を行うためのモジュール211によって生成された一時的データ及び一時的ファイルを含むデータを記憶してよい。
【0046】
幾つかの実施例において、メモリ207に記憶されたデータ209は、ESS101のモジュール211によって処理されてよい。実例において、モジュール211は、ESS101において構成されたプロセッサ203に通信可能に結合されている。モジュール211は、図2に示されているようにメモリ207の外側に存在してよく、別個のハードウェアとして実装されてよい。本明細書において使用される場合、モジュールという用語は、特定用途向け集積回路(ASIC)、電子回路、1つ又は複数のソフトウェア又はファームウェアプログラムを実行するプロセッサ(共有、専用又はグループ)及びメモリ207、組合せ論理回路、及び/又は記載された機能を提供するその他の適切な構成要素を指してよい。
【0047】
幾つかの実施例において、モジュール211は、例えば、入力モジュール213、受信モジュール、刺激モードモジュール217、運動モードモジュール219、制御モジュール221、レポート生成モジュール223、送信モジュール225、及びその他のモジュール227を含んでよい。その他のモジュール227は、装置107の様々な雑多な機能を行うために使用されてよい。前記モジュールは、単一のモジュール又は異なるモジュールの組合せとして表されてよいことが認められるであろう。さらに、当業者は、実装において、1つ又は複数のモジュール211が、開示の範囲を限定することなく、メモリ207に記憶されてよいことを認めるであろう。本開示に定義された機能を備えて構成されたときの前記モジュール211は、新規のハードウェアを生じる。
【0048】
実施例において、入力モジュール213は、I/Oインターフェース201を介してセッションを開始するための1つ又は複数の入力105を受信してよい。1つ又は複数の入力105は、セッションを開始及び停止すること、及び1つ又は複数の作動モードの選択のうちの少なくとも1つを含んでよい。1つ又は複数の作動モードは、刺激モード及び運動モードを含んでよい。入力モジュール213は、UE、及びESS101のUIのうちの少なくとも1つから1つ又は複数の入力105を受信してよい。さらに、入力モジュール213は、更なる処理のために受信モジュール215へ1つ又は複数の入力105を送信してよい。幾つかの実施例において、入力モジュール213は、I/Oインターフェース201を介して電気刺激パラメータ値も受信してよい。入力モジュール213は、更なる処理のために制御モジュール221へ電気刺激パラメータ値を送信してよい。
【0049】
実施例において、受信モジュール215は、1つ又は複数の入力105を受信すると、セッションを通じて、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つを受信してよい。複数の筋肉は、対象者103の骨盤底筋及び腹筋のうちの少なくとも1つを含んでよい。受信モジュール215は、刺激モードモジュール217及び運動モードモジュール219を含んでよい。特に、受信モジュール215は、1つ又は複数の入力105が刺激モードに関するか又は運動モードに関するかを決定してよい。受信モジュール215は、1つ又は複数の入力105が刺激モードに関することを決定すると、更なる処理を行うために刺激モードモジュール217をトリガしてよい。代替的に、受信モジュール215は、1つ又は複数の入力105が運動モードに関することを決定すると、更なる処理を行うために運動モードモジュール219をトリガしてよい。
【0050】
トリガすると、刺激モードモジュール217は、1つ又は複数の第1の電極229から複数の筋肉に関連した筋電図検査(EMG)信号を受信してよい。1つ又は複数の第1の電極229のそれぞれは、筋電図検査(EMG)電極であってよく、対象者103の骨盤、会陰、大腿上部、仙骨、尾てい骨及び腹部のうちの少なくとも1つに及びその周囲に配置されてよい。刺激モードモジュール217は、対象者103の複数の筋肉の活動レベル107を決定するために1つ又は複数の第1の電極229から受信されたEMG信号を利用してよい。同時に、刺激モードモジュール217は、1つ又は複数の向きセンサ233を利用して複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109及び対象者103の身体姿勢111を決定してよい。さらに、刺激モードモジュール217は、更なる処理のために活動レベル107、向き109、及び身体姿勢111を制御モジュール221へ送信してよい。
【0051】
実例として、刺激モードモジュール217は、身体姿勢の変化を検出し、1つ又は複数の向きセンサ233の相対的な向きに基づいて新たな身体姿勢111及び筋肉の向き109を識別してよい。実例として、刺激モードモジュール217は、対象者103の下腹部に位置決めされた向きセンサの向きを対象者103の大腿前面領域に位置決めされた別の向きセンサの向きと比較してよい。刺激モードモジュール117は、対象者103が座っている可能性が高いか又は立っている可能性が高いかを決定するために向きセンサ233の向きを比較してよい。相対的な向きが、座っている姿勢のものに十分に近いとき、刺激モードモジュール217は、骨盤筋肉組織における異なる構造の解剖学的配置が、座っている姿勢において予想される配置のものに類似していることを決定してよい。したがって、電気刺激出力を自動的に修正するようにパルス発生器ユニット235を制御するために適切な制御が制御モジュール221によって加えられてよい。この形式において、本開示は、対象者103のために有効であり得る、身体姿勢の変化に基づく治療修正を容易にしてよい。身体姿勢111は、これらに限定されないが、立っている状態、座っている状態、仰臥位、しゃがんだ状態、及び横たわった状態を含んでよい。さらに、刺激モードモジュール217は、1つ又は複数の向きセンサ233の相対的な向きの急速な変化を検出してよく、これは、対象者103が、ランニングなどの急速な動きを行っていることを示していてよい。このようなシナリオにおいて、EMG読み取りが影響されてよく、刺激モードモジュール217は、受信されたEMG信号を廃棄する。
【0052】
代替的に、運動モードモジュール219は、トリガ時に1つ又は複数の第1の電極229によって対象者103の複数の筋肉に関連したEMG信号を受信してよい。運動モードモジュール219は、対象者103が骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉を伴う運動を行っている間にEMG信号を受信してよい。運動モードモジュール219は、EMG信号に基づいて複数の筋肉の活動レベル107を決定してよい。運動モードモジュール219は、活動レベル107に基づいて複数の筋肉の収縮を示すバイオフィードバックを生成してよい。さらに、運動モードモジュール219は、更なる処理のために送信モジュール225へバイオフィードバックを送信してよい。
【0053】
実施例において、制御モジュール221は、複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つに基づいて骨盤部への電気刺激113を制御してよい。電気刺激113のタイプは、これらに限定されないが、干渉刺激、電気的筋肉刺激、機能的電気的刺激、経皮的電気刺激、及び神経筋刺激を含んでよい。特に、制御モジュール221は、刺激モードモジュール217から活動レベル107、向き109、及び対象者103の身体姿勢111を受信してよい。さらに、刺激モードに関する1つ又は複数の入力105が決定されると、制御モジュール221は、パルス発生器ユニット235をトリガしてよい。制御モジュール221は、複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つに基づいて、電気的刺激出力のパラメータ値、特に電流を決定してよい。さらに、制御モジュール221は、決定されたパラメータ値に基づいて電気的刺激、特に電流を発生するためにパルス発生器ユニット235を制御してよい。制御モジュール221は、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の活動レベルを所定の値に維持するためにパルス発生器ユニット235を制御してよい。実施例において、その値は臨床的に(臨床セットアップ又はその他における臨床医又は医療スタッフによって)決定されてよい。別の実施例において、値は、対象者の最大随意収縮に基づいていてよい。数日毎(例えば、2週間の固定期間)の後、ESS101は、筋肉を自発的に収縮させることをユーザに思い出させてよい。ESS101は、値を決定するためにこの期間の間、筋肉活動を記録してよい。加えて、制御モジュール221は、活動レベル107、向き109、身体姿勢111、対応する電流及び刺激パラメータ値を、更なる処理のためにレポート生成モジュール223及び送信モジュール225のうちの1つへ送信してよい。この場合、制御モジュール221は、UEの構成セッティング及び処理能力に基づいて、レポート生成モジュール223及び送信モジュール225のうちの1つを選択してよい。
【0054】
別の実施例において、制御モジュール221は、対象者103又は対象者103に関連した臨床医によって電気刺激113を動的に調整するために入力モジュール213から電流強度値などの電気刺激パラメータのための値を受信してよい。制御モジュール221は、複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111にかかわらず、1つ又は複数の受信された値に基づいて電流を発生するようにパルス発生器ユニット235を制御してよい。さらに、電気刺激113は、1つ又は複数の第2の電極231を介して、修正された電気刺激出力に基づいて骨盤部に提供されてよい。実施例において、レポート生成モジュール223は、制御モジュール221から、活動レベル、向き、対象者103の身体姿勢、及びセッションを通じて監視された対応する電気刺激パラメータ値を受信してよい。受信されたデータに基づいて、レポート生成モジュール223は、各セッションのためにESS101において局所的にレポートを生成してよい。さらに、レポート生成モジュール223は、レポートを送信モジュール225へ送信してよい。
【0055】
実施例において、送信モジュール225は、複数の筋肉の活動レベル107に関連した情報、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109に関連した情報、対象者103の身体姿勢に関連した情報及びセッションを通じて監視された電流に関連した情報をUEへ送信してよい。特に、送信モジュール225は、制御モジュール221から活動レベル、向き、対象者103の身体姿勢及び電気刺激パラメータ値を受信してよく、生データをUEへ送信してよい。ここで、ESS101の送信モジュール225から受信された生データを利用してUEにおいて局所的にレポートが生成されてよい。これは、ESS101におけるレポート生成のためのデータ処理に関連する計算の複雑さ及び電力消費を減じる。UEは、また、受信された生データをライブでユーザインターフェースディスプレイに表示してよい。代替的に、UEは、出力/バイオフィードバックについての情報を提供するために、異なるモード、即ち視覚、聴覚等を使用してよい。代替的な実施例において、送信モジュール225は、レポート生成モジュール223からレポートを受信してよい。さらに、送信モジュール225は、情報及び対象者103又は対象者103に関連した臨床医の潜在的な将来の使用のために、生成されたレポートをUEへ送信してよい。
【0056】
ESS101において、1つ又は複数の第1の電極229は、対象者103の複数の筋肉に関連したEMG信号を取得してよい。1つ又は複数の第1の電極229のそれぞれは、EMG電極であってよい。EMG電極は、単極、双極又はそれらのあらゆる組合せであってよい。さらに、EMG電極は、非侵襲的電極、侵襲的電極又はそれらのあらゆる組合せであってよい。非侵襲的電極は、これらに限定されないが、乾燥表面電極、湿潤表面電極、及び半乾燥表面電極を含んでよい。侵襲的電極は、これらに限定されないが、ニードル電極、及び2つの微細ワイヤ電極を含むニードルを含んでよい。1つ又は複数の第1の電極229のそれぞれは、対象者103の骨盤、会陰、大腿上部、尾てい骨、仙骨、及び腹部のうちの少なくとも1つに及びその周囲に配置されてよい。実例として、1つ又は複数の第1の電極229は、対象者103の骨盤底筋及び腹筋に関連したEMG信号を取得するために、腹部、へそ領域、腰部、仙骨部、寛骨部、鼠径部、陰部、及び会陰部に配置されてよい。
【0057】
ESS101において、1つ又は複数の第2の電極231は、電気刺激パラメータ値に基づいて骨盤部に電気刺激113を提供してよい。1つ又は複数の第2の電極231のそれぞれは、刺激電極であってよい。1つ又は複数の第2の電極は、パルス発生器ユニット235によって発生された電気刺激電流の単一又は複数のチャネルに応答し、これに応じて刺激を提供してよい。1つ又は複数の第2の電極に提供する前に、発生された電流において信号処理が行われてよい。信号処理は、これらに限定されないが、フィルタリング及びパルス整形を含んでよい。電流のタイプは、これらに限定されないが、非限定的な態様としてではあるが、単相、正弦波、ガルバニック、誘導電流、又はロシアンを含んでよい。提供されているパルスの数及び使用されている波形を含む、電流の特性及びその他の電気的パラメータは、変化してよく、本開示において、臨床的要求に応じて許容可能な、あらゆる数及び形状をそれぞれ含んでよい。さらに、1つ又は複数の第2の電極231は、対象者103の骨盤部に干渉電流(干渉治療とも呼ばれる)を提供するために用いられてよい。実例として、第2の電極の1つのセット及び第2の電極の別のセットはそれぞれ、第1の電流及び第2の電流を対象者103の骨盤部に提供してよく、これにより、複数の標的筋肉に標的電流が提供されてよい。標的電流は、第1の電流及び第2の電流の干渉により生じてよい。第2の電極の両セットは、それぞれが異なる周波数で動作する陰極-陽極対を構成してよい。さらに、セット内の第2の電極のそれぞれは、対象者103に加えられる電気刺激113に基づいて陰極及び陽極のうちの1つとして作動させられてよい。
【0058】
実施例において、1つ又は複数の向きセンサ233は、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109及び対象者103の身体姿勢111を測定してよい。実例として、1つ又は複数の向きセンサ233は、対象者103の脊柱の胸部に位置決めされてよい。実例として、1つ又は複数の向きセンサ233は、向き109及び身体姿勢111を検出するために慣性測定センサ及びフレックスセンサを利用してよい。実例として、角度値は、1つ又は複数の向きセンサ233によって取得される信号に基づいて決定されてよく、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109及び対象者103の身体姿勢111は、角度値に基づいて決定されてよい。
【0059】
実施例において、パルス発生器ユニット235は、複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109及び対象者103の身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて制御モジュール221によって決定される電気刺激出力、特に電流を発生してよい。実施例において、パルス発生器ユニット235は、パルス発生器及び選択的に関連した周辺機器を含んでよい。パルス発生器ユニット235は、1つ又は複数の第2の電極231と電気的に結合されていてよく、第2の電極231を介して、刺激パラメータ値、特に電流に基づく電気刺激113が対象者103の骨盤部に提供されてよい。パルス発生器ユニット235は、刺激モードにおいてのみ対象者103の骨盤部に電気刺激を提供するための決定されたパラメータ値で電流を発生してよい。言い換えれば、パルス発生器ユニット235は、運動モードの間は作動停止したままであってよい。代替的な実施例において、パルス発生器ユニット235は、対象者103の骨盤部に干渉治療を提供するための干渉電流を発生してよい。干渉治療において、パルス発生器ユニット235は、それぞれ異なる周波数を有する第1の電流及び第2の電流を発生してよい。第1の電流及び第2の電流が陰極-陽極対の異なるチャネルに提供されると、骨盤底における及びその周囲の標的領域において標的電流が発生されてよい。
【0060】
ESS101において、分離回路237は、1つ又は複数の第2の電極231のそれぞれと、対象者103の皮膚との間に接続されていてよい。分離回路237は、1つ又は複数の第2の電極のそれぞれから受信された電流値を、所定の電流値と比較してよい。電流値が所定の電流値を超過すると、分離回路237は、電気的危険を防止するために、1つ又は複数の第2の電極231から皮膚の電気接触を切断してよい。実例として、分離回路を形成するために、適切な変圧器が他の電子周辺機器と共に使用されてよい。
【0061】
実例として、1つ又は複数の第1の電極229及び1つ又は複数の第2の電極231は、対象者の座骨結節及び恥骨上部に配置されてよい。電気刺激113のモードは、表面タイプであってよい。500ohmの基準抵抗の場合、ピーク電流値及びピーク電圧値は、それぞれ最大で80mA及び40Vであってよい。パルスタイプ電流に関連したパルス数は、0~100Hzであってよい。パルスタイプ電流に関連したパルス持続時間は、100~250ミリ秒で変化させられてよい。電気刺激113に関連したパルス間休止期間は、10ミリ秒~2秒で変化してよい。
【0062】
図3a及び図3bは、本開示の幾つかの実施例による対象者の骨盤部への電気刺激を制御するための電子ウェアラブルユニットを示す。
【0063】
図3a及び図3bは、それぞれ電子ウェアラブルユニットの正面図及び背面図を示す。電子ウェアラブルユニット301は、非皮膚接触外面307、皮膚接触内面305、及びESS101を含んでよい。非皮膚接触外面306及び皮膚接触内面305は、電気的に絶縁されているか又は本質的に非導電性であってよい。皮膚接触内面305は、尿収集装置309を取外し可能に取り付けるための股部分を含んでよい。実例として、尿収集装置309は、これに限定されないが、吸収パッドを含んでよい。
【0064】
電子ウェアラブルユニット301において、ESS101は、非皮膚接触外面307及び皮膚接触内面305によって囲まれた空間内に取外し可能に配置されてよい。さらに、電子ウェアラブルユニット301は、ESS101をその空間内に取外し可能に配置するための1つ又は複数のインターロック313を含んでよい。図3a及び図3bに示されているように、ESS101は、電子ウェアラブルユニット301の布地の内側にはまるように設計されてよい。電子ウェアラブルユニット301は、ショーツとして形作られていてよく、これにより、1つ又は複数の第1の電極229、1つ又は複数の向きセンサ233、及び1つ又は複数の第2の電極231などのシステム構成要素は、対象者103が電子ウェアラブルユニット301を着用するときに損傷を受けないままであり、様々なパラメータ及び信号のモニタリングを正確に行う。電子ウェアラブルユニット301は、1つ又は複数の非電子ウェアラブル部分及び1つ又は複数の電子ウェアラブル部分を含む。1つ又は複数の電子ウェアラブル部分は、ESS101の少なくとも一部を含む。
【0065】
電子ウェアラブルユニット301において、内面305は、対象者103の皮膚組織と電気刺激113を提供するための1つ又は複数の第2の電極231との間の接触境界面を提供するために、カットアウトの1つ又は複数の領域を含んでよい。内面305の他の非カットアウト領域は、電気的に絶縁されているか又は本質的に非導電性であってよい。前記特徴は、刺激電極を介して提供される電流が、電気ショックなどの潜在的危険を防止するために対象者103の体液と接触しないことを保証してよい。前記特徴は、対象者103の尿失禁条件を管理するための尿収集装置309を利用することを可能にしてよい。電子ウェアラブルユニット301における絶縁特徴は、電流と尿収集装置309との接触が存在しないことを保証してよく、これは、電気刺激113が提供されているときにも対象者103が尿収集装置309を使用することを可能にする。加えて、電子ウェアラブルユニット301は、尿失禁管理装置の取付けのための設備を有してよい。例示として、尿失禁管理装置は、特定の活動の前に対象者103の尿道に挿入するための尿道インサートを含んでよい。尿道インサートは、漏れを防止するためのプラグとして機能してよく、排尿の前に取り外されてよい。
【0066】
実施例において、電子ウェアラブルユニット301は、ESS101を収容するためのポーチ状ホルダ311も含んでよい。ホルダ311は、コネクタの第1の端部を含んでよく、この第1の端部に、ESS101に取り付けられたコネクタの第2の端部が接続されてよい。言い換えれば、ホルダにおける各コネクタの端部のうちの一方は、ESS101と戦略的に取り付けられたコネクタの別の端部と接続されてよく、これにより、ESS101は、電子ウェアラブルユニット301と固定された位置にロックされる。
【0067】
図3a及び図3bに示されているように、電子ウェアラブルユニット301は、上部領域においてインターロック313を含んでよい。ESS101は、全ての電子アイテムのための接続周辺機器として機能してよい、ESS101の上部領域の後側315における中央電子ユニット303を含んでよい。中央電子ユニット303は、これらに限定されないが、プログラミングの手段、パルス発生器ユニット235、分離回路、電源、データ記憶の手段、無線インターフェース、接続ワイヤ、接続アタッチメント及び外部ホルダを含んでよい。ESS101の外側カバーは、電気刺激133セッションの間、皮膚との安全な接触を保証するために十分に絶縁されていてよい。インターロック313(例えば、ジッパー、ベルクロ(登録商標)等)は、ESS101の周囲に使用された様々なワイヤを保持してよく、それらを全て中央電子ユニット303に接続してよい。対象者103の後側315における中央電子ユニット303の配置は、対象者103が緩い衣服を着用しているときに最大限の隠蔽を保証してよい。ESS101の周辺機器は、インターロッキングのための設備を含む。このようなインターフェースは、ESS101を電子ウェアラブルユニット301と共に所定の位置にロックし、これにより、ESS101の1つ又は複数の第2の電極231は、臨床的要求に基づいて標的筋肉を刺激するために対象者103の皮膚表面の標的領域と接触してよい。また、このような着脱機構は、対象者103が定期的に電子ウェアラブルユニット301を洗浄することを容易にしてよく、電子ウェアラブルユニット301を、毎日の長時間の使用のために衛生的にする。さらに、このような着脱機構は、ユーザが、臨床的要求に従って1つ又は複数の第1の電極229及び第2の1つ又は複数の電極を交換することを可能にしてよい。
【0068】
電子ウェアラブルユニット301とのESS101のこのようなロックされた取付けは、対象者103が通常の日常的な活動を行うときに生じる様々な動きの間、1つ又は複数の第1の電極229及び1つ又は複数の第2の電極が所定の位置に固定されたままであることを保証してよい。さらに、1つ又は複数の第1の電極229及び1つ又は複数の第2の電極は、対象者103の動きを提供するために十分に可撓性であってよい。好ましい実施例において、薄い可撓性のフィルム上に、様々な電子接続及びエンティティをプリントするための導電性インクの使用は、同じことを解決するために採用されてよい。このような薄く可撓性のフィルムは、所望の形式で作動しながら、対象者103の動きを容易に提供してよい。
【0069】
実施例において、ESS101は、これらに限定されないが、電極間及び電極内接続及び1つ又は複数の向きセンサ233を接続するものを含む様々な電子接続のためのプリント回路の複数の層を含んでよい。非導電性材料の薄いフィルムから一般的に形成されているプリント回路の層は、プリント回路の可撓性ベースを形成している。導電性インクを含むプリント回路の層は、電流の伝送のための導電性経路を形成するために、ベース層に適用されている。このような薄い可撓性のフィルムは、隠された及び/又は目立たない形式で電気刺激治療を提供するために使用されてよい。実施例において、レイアウト設計は、ESS101が隠された形式で使用されてよいことを保証してよい。表面電極は、断面が薄くなるように電子ウェアラブルユニット301に配置されてよく、通常の衣服の下に隠されてよい。レイアウト設計は、電子ウェアラブルユニット301を着用している対象者103の後側315に配置されるようにパルス発生器ユニット235を配置してよい。このような位置決めは、パルス発生器ユニット235が通常のきつくない衣服の下に隠されたままであってよいことを保証してよい。
【0070】
電子ウェアラブルユニット301において、ESS101は、ESS101又はESS101のUIと通信可能に結合されたUE300からセッションを開始するための1つ又は複数の入力105を受信してよい。セッションを開始するための1つ又は複数の入力105は、対象者103又は対象者103に関連した臨床医から受信されてよい。ESS101は、セッションを通じて、1つ又は複数の第1の電極229及び1つ又は複数の向きセンサ233を利用して、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つを決定してよい。さらに、ESS101は、パルス発生器ユニット235及び1つ又は複数の刺激電極を利用して、複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つに基づいて骨盤部への電気刺激113を制御してよい。
【0071】
電子ウェアラブルユニット301において、ESS101は、無線ネットワーク及び有線ネットワークのうちの1つを通じてUE300と通信可能に結合されていてよい。好ましい実施例において、ESS101は、図3a及び図3bに示されているように、短距離無線ネットワーク、例えば、Bluetoothを介してUE300と通信可能に結合されていてよい。UE300は、これらに限定されないが、スマートフォン、ラップトップ、デスクトップ、スマートウォッチ、スマートテレビジョン、スマートスピーカ、タブレット、及びパーソナルデジタルアシスタンス(PDA)のうちの1つを含んでよい。ESS101の構成セッティングは、スタンドアロンのアプリケーションを有する外部のBluetoothインターフェースUE300又はウェブベースのインターフェースを介して制御されてよい。ESS101の構成セッティングは、UE300を介して対象者103又は対象者103に関連した臨床医によって制御されてよい。このような無線インターフェース化は、電子ウェアラブルユニット301の構成要素を調整、取外し又は交換することなくESS101を制御することを可能にする。無線インターフェース化は、対象者103が、特に公共の場所で、いかなる状態の恥ずかしさについて心配することなく、ESS101を目立たない形式で使用することを可能にする。
【0072】
実例として、対象者103は、一日の始めにESS101が装備された電子ウェアラブルユニット301を着用してよい。対象者103は、UE300の無線インターフェースが、対象者103が公共交通機関で移動する、職場の会議に出席する、及び社会的集会に出席する、のうちの1つを行うときに治療の所望の形態を提供することを可能にしてもよい。UE300の無線インターフェース化を介した目立たない形式でのESS101の使用は、対象者103が、いつでもどこでも治療計画に従うことを可能にしてよい。この場合、ESS101の可搬性及び対象者103の刺激経験が改善される。これは、臨床的セッティングを超えて電気刺激治療を拡張することがある。言い換えれば、対象者103は、通常の日常的な活動を行いながら治療計画に従うことができる。これは、対象者103からの長期的コンプライアンスを改善し、このことは、骨盤底運動、理学療法ソリューションなどを含む既存の治療ソリューションの主な欠点が長期的な患者コンプライアンスの欠如であるとすると、重要である。
【0073】
電子ウェアラブルユニット301における布地とのESS101の一体化は、一日、週日を通じて、対象者103による安全な使用を容易にしてよい。電子ウェアラブルユニット301のサイズ、材料、輪郭及び重量は、一日を通じて対象者103に所望の快適性を提供するためにカスタマイズされてよい。電子ウェアラブルユニット301の布地材料は、一日を通じて着用するために快適であるという要求、漏れを閉じ込める能力、臭いを閉じ込める能力、所定の場所に留まる能力、濡れたときに快適であること、及び対象者の皮膚を乾燥状態に保つ能力を満たすように選択されてよい。さらに、布地材料は、1つ又は複数の第1の電極229及び1つ又は複数の第2の電極231が対象者103の皮膚と完全に接触することを保証するために、ぴったりとした弾性的フィットを提供するために選択されてよい。電子ウェアラブルユニット301の容易な取外し及び着用を保証するために、対象者103が、必要なときに電子ウェアラブルユニット301を手で引っ張って開け得るように、弾性ホルダ317が設けられている。
【0074】
この形式においてESS101が装備された電子ウェアラブルユニット301は、対象者103が、通常の日常的な活動を行いながらいつでもどこでも電気刺激治療のカスタマイズされた形式を自己提供することを可能にしてよい。このような治療は、医療的専門知識を必要とすることなく、あらゆる横たわった人によって、臨床環境の外で行われてよい。ESS101が装備された電子ウェアラブルユニット301は、対象者103のための治療を最適化するためにESS101にリアルタイムのフィードバックを提供してよい。したがって、ESS101が装備された電子ウェアラブルユニット301は、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つに基づいて電流値を調整するための専門知識を持たない対象者103を支援してよい。
【0075】
さらに、電子ウェアラブルユニット301は、対象者103が、観察を行い、電気刺激治療セッションに直接関連していなくてよいエンティティについてのデータを記憶することを容易にしてよい。対象者103の尿失禁のケースにおけるこのようなエンティティは、これらに限定されないが、使用される吸収パッドの数、一日の漏れの量、排尿スケジュール及び尿を保持する時間を含んでよい。時間が経つと、このような記録は、骨盤底筋の強度の改善の尺度、結果的には治療の有効性の尺度として働いてよい。さらに、電子ウェアラブルユニット301は、対象者103が、制御された電気刺激113による対象者103の骨盤底筋の強化に関連した進歩レベルを監視することを可能にしてよい。積極的な進歩は、対象者103が治療を継続することを促してよい。さらに、否定的な結果は、対象者103が、臨床医と相談し、治療のコースを修正することを指示してよい。実施例において、1つ又は複数の通知が対象者103に提供されてよい。1つ又は複数の通知は、これらに限定されないが、ステータスメッセージ、警告メッセージ、アラート、アラーム、症状、サイン、あいさつのメッセージ、提案、又はそれらのあらゆる組合せを含んでよい。このような通知は、ディスプレイスクリーン、振動フィードバック、スピーカ、又はそれらのあらゆる組合せなどの1つ又は複数の電子装置を利用する視覚的、触覚的及び聴覚的フィードバックの媒体のうちの少なくとも1つによって提供されてよい。
【0076】
実例
実例として、対象者103は、弱まった骨盤底筋を有してよい。骨盤底筋の強化を行うために、対象者103は、図3a及び図3bに示された電子ウェアラブルユニット301を着用してよい。対象者103は、スマートフォンを操作してよく、スマートフォンには、制御された電気刺激113に役立つためのアプリケーションがインストールされてよい。電子ウェアラブルユニット301は、Bluetoothを介してスマートフォンに無線で結合されていてよい。刺激モードのためのタッチ入力105は、対象者103が仰臥位姿勢にあるときにスマートフォンのタッチスクリーン上で対象者103によって提供されてよい。
【0077】
図3c及び図3dは、それぞれ対象者103の正面図及び背面図を示しており、閉ループ形式で電気刺激113を制御するための第1の電極229及び第2の電極321の自動配置を例示している。対象者103が電子ウェアラブルユニット301を着用すると、1つ又は複数のEMG電極は、対象者103の会陰部、内股部、及び下腹部のうちの少なくとも1つに隣接して自動的に配置されてよい。また、1つ又は複数の刺激電極は、電子ウェアラブルユニット301を着用すると、対象者103の会陰部及び対象者の尾てい骨を通って仙骨から臀部まで延びる領域のうちの少なくとも1つに隣接して自動的に配置されてよい。1つ又は複数のEMG電極及び1つ又は複数の刺激電極は、複数の筋肉の活動レベル107を正確に測定し、適切な量の電気刺激113を対象者103の標的領域に提供するために、対象者103の皮膚と接触したままであってよい。
【0078】
図3c及び図3dに示されているように、E1、E2、E3、E4、E5、E8、E9などの7つのパッチEMG電極は、対象者103の骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉に関連したEMG信号を取得するために対象者103の骨盤部に隣接して自動的に配置されてよい。E1及びE2などの2つのパッチEMG電極は、対象者103の骨盤底筋に関連したEMG信号を取得するために、図3cに示されているように対象者103の鼠径部(股間領域とも呼ばれる)に自動的に配置されてよい。さらに、E3、E4、E4などの3つのパッチEMG電極は、対象者103の腹筋に関連したEMG信号を取得するために、図3cに示されているように対象者103の下腹部に自動的に配置されてよい。E8、E9などの2つのパッチEMG電極は、対象者103の骨盤底筋に関連したEMG信号を取得するために、図3dに示されているように対象者103の腸骨部に自動的に配置されてよい。また、E6、E7などの2つのパッチ刺激電極は、骨盤底筋及び骨盤部における及び骨盤部の周囲の神経に電気刺激113を提供するために、図3c及び図3dに示されているように対象者103の会陰領域に自動的に配置されてよい。
【0079】
スマートフォンからBluetoothを介して刺激モードのための1つ又は複数の入力105を受信すると、ESS101は、対象者103の骨盤底筋及び腹筋の活動レベル107を決定するために7つのパッチEMG電極E1、E2、E3、E4、E5、E8、E9を介してEMG信号を監視してよい。ESS101は、向きセンサ233によって筋肉の向き109及び対象者103の身体姿勢111をさらに監視してよい。活動レベル107、筋肉の向き109及び身体姿勢111に基づいて、ESS101は、100ミリ秒のパルス持続時間、及び10ミリ秒のパルス間休止期間を有する電流を発生するためにパルス発生器ユニット235を制御してよい。ESS101は、50Hzにおいて電気刺激113を提供してよい。対象者が仰臥位姿勢にあるとき、ESS101は、13ミリアンペアに電流を維持してよい。対象者103の仰臥位姿勢から立ち上がった姿勢への移行中、ESS101は、徐々に電流を29ミリアンペアに増大させてよく、これにより、骨盤底筋及び腹筋の活動レベルはその値に維持される。
【0080】
実例において、対象者103の身体姿勢111により、筋肉に対する重力の効果が増大し得る。立ち上がった姿勢において、重力は、骨盤底筋の収縮及び弛緩に関連した方向に沿って鉛直方向に下方へ加えられてよい。その結果、重力に抗って骨盤底筋の上方へ動きを引き起こすために、より大きな量の力が要求されてよい。このような上方への動きを引き起こすために、ESS101は、電流を13ミリアンペアから29ミリアンペアへ増大させる。前記の実例及びその値は、例示の目的でしかなく、制限的な意味で解釈されるべきでないことが理解されるであろう。
【0081】
図4は、本開示の幾つかの実施例による、対象者の骨盤部への電気刺激を制御する方法を示すフローチャートを示す。
【0082】
図4に示されているように、方法400は、対象者103の骨盤部への電気刺激113を制御する方法を示す1つ又は複数のブロックを含む。方法400が記載されている順序は、限定として解釈されることは意図されておらず、方法を実行するために、あらゆる数の記載された方法ブロックをあらゆる順序で組み合わせることができる。加えて、個々のブロックは、本明細書に記載された主題103の範囲から逸脱することなく方法から削除されてよい。さらに、方法は、あらゆる適切なハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組合せにおいて実行することができる。
【0083】
ブロック401において、方法は、電気刺激システム(ESS)101によって、セッションを開始するための1つ又は複数の入力105を受信することを含んでよい。1つ又は複数の入力105は、ESS101と通信可能に結合されたユーザ機器(UE)300及びESS101のユーザインターフェース(UI)のうちの少なくとも一方から受信されてよい。1つ又は複数の入力105は、セッションを開始及び停止させること、及び1つ又は複数の作動モードの選択のうちの少なくとも1つを含んでよい。1つ又は複数の作動モードは、刺激モード及び運動モードを含んでよい。
【0084】
ブロック403において、方法は、1つ又は複数の入力105を受信すると、セッションを通じて、ESSによって、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つを受信することを含んでよい。この場合、複数の筋肉は、対象者103の骨盤底筋及び腹筋のうちの少なくとも1つを含んでよい。
【0085】
特に、1つ又は複数の入力105が刺激モードに関するかどうかが決定されてよい。さらに、複数の筋肉に関連した筋電図検査(EMG)信号は、1つ又は複数の入力105が刺激モードに関連することを決定したときに対象者103の複数の筋肉の活動レベル107を決定するために1つ又は複数の第1の電極229によって監視されてよい。1つ又は複数の第1の電極229のそれぞれは、筋電図検査(EMG)電極であってよく、対象者103の骨盤部に隣接して配置されてよい。また、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109及び対象者103の身体姿勢111は、1つ又は複数の入力105が刺激モードに関するという決定により1つ又は複数の向きセンサ233によって監視されてよい。
【0086】
代替的に、1つ又は複数の入力105が運動モードに関することが決定されてよい。さらに、対象者103の複数の筋肉に関連したEMG信号は、対象者103が、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉を伴う運動を行っている間、1つ又は複数の第1の電極229によって監視されてよい。EMG信号に基づいて、複数の筋肉の活動レベル107が決定されてよい。活動レベル107に基づいて、複数の筋肉の収縮を示すバイオフィードバックが生成されてよい。さらに、バイオフィードバックは、UE300に提供されてよい。
【0087】
ブロック405において、方法は、ESS101によって、複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111のうちの少なくとも1つに基づいて骨盤部への電気刺激を制御することを含んでよい。特に、ESS101において構成されたパルス発生器ユニット235は、1つ又は複数の入力105が刺激モードに関するという決定によりトリガされてもよい。複数の筋肉の活動レベル107、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109、及び対象者103の身体姿勢111に基づいて、パルス発生器ユニット235は、電流を発生するように制御されてよい。さらに、電気刺激113は、ESS101において構成された1つ又は複数の第2の電極231を通る電流に基づいて骨盤部に提供されてよい。1つ又は複数の第2の電極231のそれぞれは、刺激電極であってよく、対象者103の骨盤、会陰、尾てい骨、仙骨、大腿上部、及び腹部のうちの少なくとも1つに又はその周囲に配置されてよい。この場合、パルス発生器ユニット235は、複数の筋肉の活動レベル107が所定の値を達成するまで制御されてよい。
【0088】
骨盤部への電気刺激113は、電気刺激パラメータ値を含む1つ又は複数の入力105に基づいて制御されてもよい。特に、電気刺激パラメータ値は、ESS101と通信可能に結合されたUE300及びESS101のUIのうちの一方から受信されてよい。電気刺激パラメータ値に基づいて、パルス発生器ユニット235は、電流を発生するように制御されてよい。電流に基づいて、電気刺激113が1つ又は複数の第2の電極231を介して骨盤部へ提供されてよい。
【0089】
さらに、複数の筋肉の活動レベル107に関連した情報、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109に関連した情報、対象者103の身体姿勢111に関連した情報、及びセッションを通じて監視された電流に関連した情報のうちの少なくとも1つが、UE300へ送信されてよい。UE300において、受信された情報に基づいてレポートが生成されてよい。
【0090】
代替的に、複数の筋肉の活動レベル107に関連した情報、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き109に関連した情報、対象者103の身体姿勢111に関連した情報、及びセッションを通じて監視された電流に関連した情報のうちの少なくとも1つを含むセッションのためのレポートが、生成されてよい。さらに、生成されたレポートは、UE300へ送信されてよい。
【0091】
本開示は、骨盤部への電気刺激を制御することによる対象者の骨盤部のリハビリテーションのための方法を開示している。実施例において、ESSは、骨盤部のリハビリテーションのために、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信してよい。
【0092】
本開示は、対象者の骨盤部に関連した疾患を管理及び/又は治療する方法も提供し、前記方法は、骨盤部への電気刺激を制御することによる骨盤部のリハビリテーションを含む。
【0093】
幾つかの実施例において、骨盤部への電気刺激は、上に記載のような方法によって制御され、方法は、電気刺激システム(ESS)によって、セッションを開始するための1つ又は複数の入力を受信することと、セッションを通じて、ESSによって、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信することと、ESSによって、複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて骨盤部への電気刺激を制御することと、を含む。
【0094】
幾つかの実施例において、疾患は、膀胱に関する条件、弱い骨盤底筋、弱い括約筋、神経損傷、仙骨神経の要求、陰部神経、筋肉の剥離、骨盤底の皮膚の下の結合組織の裂断、及び尿失禁、肛門及び便失禁、頻尿、弱い膣筋肉トーン、骨盤手術、骨盤臓器脱、性機能障害、又はそれらのあらゆる組合せを含む骨盤底機能不全に関連する1つ又は複数の条件から選択される。
【0095】
本開示は、例えば、対象者における尿失禁を管理及び/又は治療する方法にも関し、前記方法は、上に記載されているように骨盤部への電気刺激を制御することによる骨盤部のリハビリテーションを含む。
【0096】
したがって、幾つかの実施例において、尿失禁は、電気刺激システム(ESS)によって、セッションを開始するための1つ又は複数の入力を受信することと、セッションを通じて、ESSによって、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つを受信することと、ESSによって、複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて骨盤部への電気刺激を制御することと、を含む方法によって、対象者の骨盤部への電気刺激を制御することによって管理及び/又は治療される。
【0097】
コンピュータシステム
図5は、本開示と一貫した実施例を実行するための例示的なコンピュータシステム500のブロック図を示す。実施例において、コンピュータシステム500は、Wi-Fiシェアリングのために第1のトランシーバ装置101及び1つ又は複数の第2のトランシーバ装置105を同期させるためのシステムであってよい。コンピュータシステム500は、中央処理装置(「CPU」又は「プロセッサ」)502を含んでよい。プロセッサ502は、ユーザ又はシステム生成ビジネスプロセスを実行するためのプログラムコンポーネントを実行するための少なくとも1つのデータプロセッサを含んでよい。プロセッサ502は、集積システム(バス)コントローラ、メモリ管理制御ユニット、浮動小数点ユニット、グラフィックスプロセシングユニット、デジタル信号処理ユニット等の特別な処理ユニットを含んでよい。
【0098】
プロセッサ502は、I/Oインターフェース501を介して1つ又は複数の入力/出力(I/O)装置(511及び512)と通信するように配置されていてよい。I/Oインターフェース501は、制限なく、オーディオ、アナログ、デジタル、ステレオ、IEEE-1394、シリアルバス、ユニバーサルシリアルバス(USB)、赤外線、PS/2、BNC、同軸、コンポーネント、コンポジット、デジタルビジュアルインターフェース(DVI)、高精細マルチメディアインターフェース(HDMI(登録商標))、高周波(RF)アンテナ、S-ビデオ、ビデオグラフィックスアレイ(VGA)、IEEE 802.n/b/g/n/x、Bluetooth、セルラー(例えば、符号分割多重接続(CDMA)、高速パケットアクセス(HSPA+)、モバイル通信用グローバルシステム(GSM)、ロングタームエヴォリューション(LTE)等)等などの通信プロトコル/方法を採用してよい。I/Oインターフェース501を使用して、コンピュータシステム500は、1つ又は複数のI/O装置511及び512と通信してよい。
【0099】
幾つかの実施例において、プロセッサ502は、ネットワークインターフェース503を介して無線通信ネットワークと通信するように配置されていてよい。ネットワークインターフェース503は、無線通信ネットワークと通信してよい。ネットワークインターフェース503は、制限なく、直接接続、イーサーネット(例えば、ツイストペア10/100/1000Base T)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、トークンリング、IEEE802.11a/b/g/n/x等を含む接続プロトコルを採用してよい。
【0100】
無線通信ネットワークは、インターネット又はローカルエリアネットワーク(LAN)及び組織内のものなどの、複数のタイプのネットワークのうちの1つとして実装することができる。無線通信ネットワークは、専用ネットワーク又は共有ネットワークであってよく、これは、互いに通信するために、様々なプロトコル、例えば、ハイパーテキストトランスファプロトコル(HTTP)、伝送制御プロトコル/インターネットプロトコル(TCP/IP)、無線アプリケーションプロトコル(WAP)等を使用する複数のタイプのネットワークの接続を表す。さらに、通信ネットワーク201は、ルータ、ブリッジ、サーバ、コンピューティングデバイス、記憶装置等を含む様々なネットワーク装置を含んでよい。
【0101】
幾つかの実施例において、プロセッサ502は、ストレージインターフェース504を介してメモリ505(例えば、図5に示されているようにRAM513、ROM514等)と通信するように配置されていてよい。ストレージインターフェース504は、制限なく、シリアルアドバンストテクノロジーアタッチメント(SATA)、集積ドライブエレクトロニクス(IDE)、IEEE-1394、ユニバーサルシリアルバス(USB)、ファイバチャネル、スモールコンピュータシステムインターフェース(SCSI)等の接続プロトコルを採用する、メモリドライブ、リムーバブルディスクドライブ等を含むメモリ505に接続されてよい。メモリドライブは、さらに、ドラム、磁気ディスクドライブ、磁気光学ドライブ、光学ドライブ、Redundant Array of Independent Discs(RAID)、ソリッドステートメモリデバイス、ソリッドステートドライブ等を含んでよい。
【0102】
メモリ505は、制限なく、ユーザ/アプリケーション506、オペレーティングシステム507、ウェブブラウザ508、メールクライアント515、メールサーバ516、ウェブサーバ517等を含む、プログラム又はデータコンポーネントの集合を記憶してよい。幾つかの実施例において、コンピュータシステム500は、本発明に記載されているようにデータ、変数、レコード等のユーザ/アプリケーションデータ506を記憶してよい。このようなデータベースは、Oracle(登録商標)又はSybase(登録商標)などのフォールトトレラント、リレーショナル、スケーラブル、セキュアなデータベースとして実装されてよい。
【0103】
オペレーティングシステム507は、コンピュータシステム500のリソースマネジメント及びオペレーションを容易にしてよい。オペレーティングシステムの例は、制限なく、APPLE MACINTOSH(登録商標) OS X、UNIX(登録商標)、UNIX(登録商標)のようなシステムディストリビューション(例えば、BERKELEY SOFTWARE DISTRIBUTION(商標)(BSD)、FREEBSD(商標)、NETBSD(商標)、OPENBSD(商標)等)、LINUX DISTRIBUTIONS(商標)(例えば、RED HAT(商標)、UBUNTU(商標)、KUBUNTU(商標)等)、IBM(商標) OS2、MICROSOFT(商標)、WINDOWS(登録商標)(XP(商標)、VISTA(商標)/7/8/10等)、APPLE(登録商標) IOS(商標)、GOOGLE(登録商標) ANDROID(登録商標)、BLACKBERRY(登録商標) OS等を含む。ユーザインターフェースは、テキスト又はグラフィック設備を通じてプログラムコンポーネントの表示、実行、相互作用、操作又はオペレーション容易にしてよい。例えば、ユーザインターフェースは、カーソル、アイコン、チェックボックス、メニュー、ウィンドウ、ウィジェット等の、コンピュータシステム500に操作可能に接続されたディスプレイ上のコンピュータ相互作用インターフェースエレメントを提供してよい。制限なく、APPLE MACINTOSH(登録商標)オペレーティングシステム、IBM(商標) OS/2、MICROSOFT(商標) WINDOWS(登録商標)(XP(商標)、VISTA(商標)/7/8、10等)、Unix(登録商標) X-Windows、ウェブインターフェースライブラリ(例えば、AJAX(商標)、DHTML(商標)、ADOBE(登録商標)、FLASH(商標)、JAVASCRIPT(登録商標)、JAVA(登録商標)等)等を含む、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)が採用されてよい。
【0104】
さらに、本発明と一貫した実施例を実行する際に、1つ又は複数のコンピュータ可読記憶媒体が利用されてよい。コンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサによって可読の情報又はデータが記憶されてよいあらゆるタイプの物理的メモリを指す。したがって、コンピュータ可読記憶媒体は、本明細書に記載された実施例と一貫するステップ又はステージをプロセッサに実行させるための命令を含む、1つ又は複数のプロセッサによって実行するための命令を記憶してよい。「コンピュータ可読媒体」という用語は、有形的アイテムを含み且つ搬送波及び過渡信号を排除する、即ち非一時的であると理解されるべきである。実例は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードドライブ、コンパクトディスク(CD)ROM、デジタルビデオディスク(DVD)、フラッシュドライブ、ディスク、及びあらゆるその他の公知の物理的記憶媒体を含む。
【0105】
本開示の実施例の利点がここに示される。
実施例において、本開示は、対象者の骨盤部への電気刺激を制御するための方法、電気刺激システム(ESS)及び電子ウェアラブルユニットを提供する。
【0106】
実施例において、本開示は、骨盤部における及び骨盤部の周囲の複数の筋肉の活動レベル、複数の筋肉のうちの1つ又は複数の向き、及び対象者の身体姿勢のうちの少なくとも1つに基づいて対象者の骨盤部への電気刺激を動的に制御することを容易にする。これは、対象者が、可搬式に刺激ベースの治療を行い、さらにそれを通常の日常的な活動を妨げることなく複数の身体姿勢における携帯使用に拡張することを可能にする。
【0107】
実施例において、本開示は、有効な治療のために刺激パラメータを調整する際の正確性を保証する。この場合、電気刺激は、1つ又は複数のEMG電極によって取得される複数の筋肉に関連したリアルタイムEMG信号から決定される複数の筋肉のリアルタイム活動レベルに基づいて自動的に調整される。従来のシステムにおいて提供される開ループ制御機構とは反対に、本開示は閉ループ制御機構を提供し、この場合、電気刺激はリアルタイムフィードバックに基づいて制御され、これにより、正確性を保証する。リアルタイムフィードバックにより電気刺激を制御しながら骨盤底筋における重力の効果が自動的に考慮される。これは、対象者に特定の刺激ベース治療をカスタマイズすることも可能にし、これにより、有効性を高める。
【0108】
実施例において、本開示は、作動モードに基づいて電気刺激を制御することを容易にする。刺激モードにおいて、EMG読み取りに基づくリアルタイムフィードバックは、電気刺激を正確に制御するための閉ループシステムのための応答として機能する。これに対して、運動モードでは、EMG読み取りに基づくリアルタイムフィードバックは、複数の筋肉を伴う運動を対象者が行っている間に複数の筋肉の収縮に関する対象者に示すためのバイオフィードバックとして機能する。
【0109】
実施例において、本開示は、対象者が電気刺激を制御し且つ同時に尿失禁の条件を管理することを可能にする電子ウェアラブルユニットを提供する。電子ウェアラブルユニットにおいて、股部分を含む皮膚接触内面が、尿収集装置を取外し可能に取り付けるために設けられている。これは、対象者が、ESSを取り外すことなく尿収集装置を着脱することを可能にする。本開示の方法及び/又はシステムは、骨盤底筋のリハビリテーションのための医療としての使用が意図されている。
【0110】
「an embodiment」、「embodiment」、「embodiments」、「the embodiment」、「the embodiments」、「one or more embodiments」、「some embodiments」及び「one embodiment」という用語は、明示的に別段の定めがないかぎり、「発明の1つ又は複数(ただし全てではない)の実施例」を意味する。
【0111】
「including」、「comprising」、「having」という用語及びそれらの変化形は、明示的に別段の定めがないかぎり、「含むが限定されない」を意味する。アイテムの列挙されたリストは、明示的に別段の定めがないかぎり、あらゆる又は全てのアイテムが互いに排他的であることを示唆していない。
【0112】
「a」、「an」及び「the」という用語は、明示的に別段の定めがないかぎり、「1つ又は複数」を意味する。
【0113】
互いに通信する複数の構成要素を有する実施例の記載は、全てのこのような構成要素が必要とされることを示唆しない。反対に、発明の広範囲の様々な可能な実施例を例示するために、様々な選択的な構成要素が記載されている。
【0114】
1つの装置又は物品が本明細書に記載されているとき、1つの装置/物品の代わりに2つ以上の装置/物品(それらが協働するかどうかにかかわらず)が使用されてよいことは明らかとなるであろう。同様に、2つ以上の装置又は物品が本明細書に記載されている場合(それらが協働するかどうかにかかわらず)、2つ以上の装置又は物品の代わりに1つの装置/物品が使用されてよい又は示された数の装置又はプログラムの代わりに異なる数の装置/物品が使用されてよいことが明らかになるであろう。装置の機能及び/又は特徴は、代替的に、このような機能/特徴を有すると明確に記載されていない1つ又は複数の他の装置によって具体化されてよい。したがって、発明の他の実施例は、装置自体を含む必要はない。
【0115】
最後に、明細書において使用されている言語は、主に読みやすさ及び教育的目的のために選択されており、発明の主題を画定又は制限するために選択されていない場合がある。したがって、発明の範囲は、この詳細な記載によってではなく、これが基づく出願において発行されるあらゆる請求項によって限定されることが意図されている。したがって、本発明の実施例は、以下の請求項に示された発明の範囲の限定ではなく例示であることが意図されている。
【0116】
様々な態様及び実施例が本明細書に開示されているが、その他の態様及び実施例が当業者に明らかになるであろう。本明細書に開示された様々な態様及び実施例は、例示の目的であり、限定することを意図したものではなく、実際の範囲及び趣旨は以下の請求項によって示されている。
【符号の説明】
【0117】
100 環境
101 電気刺激システム(ESS)
103 対象者
105 1つ又は複数の入力
107 活動レベル
109 向き
111 身体姿勢
113 電気刺激
200 電源
201 I/Oインターフェース
203 プロセッサ
205 トランシーバアンテナ
207 メモリ
209 データ
209 活動レベルデータ
209 向きデータ
209 身体姿勢データ
209 電気刺激パラメータ値
209 電流データ
209 セッションデータ
209 その他のデータ
211 モジュール
213 入力モジュール
215 受信モジュール
217 刺激モードモジュール
219 運動モードモジュール
221 制御モジュール
223 レポート生成モジュール
225 送信モジュール
227 その他のモジュール
229 第1の電極
231 第2の電極
233 向きセンサ
235 パルス発生器ユニット
237 分離回路
300 ユーザ機器(UE)
301 電子ウェアラブルユニット
303 中央電子ユニット
305 皮膚接触内面
307 非皮膚接触外面
309 尿収集装置
311 ホルダ
313 インターロック
315 後側
317 弾性ホルダ
500 コンピュータシステム
501 I/Oインターフェース
502 プロセッサ
503 ネットワークインターフェース
504 ストレージインターフェース
505 メモリ
506 ユーザ/アプリケーション
507 オペレーティングシステム
508 ウェブブラウザ
509 トランシーバ
511 入力装置
512 出力装置
513 RAM
514 ROM
515 メールクライアント
516 メールサーバ
517 ウェブサーバ
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4
図5
【国際調査報告】