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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】環状RNA
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20240405BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 15/67 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 15/31 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 15/09 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 15/85 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 15/87 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 15/90 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20240405BHJP
   C12P 19/34 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 38/20 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20240405BHJP
【FI】
C12N15/11 Z
C12N15/63 Z ZNA
C12N15/67 Z
C12N15/12
C12N15/31
C12N15/55
C12N15/09 100
C12N15/09 110
C12N15/85 Z
C12N15/87 Z
C12N15/90 100Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12N5/071
C12P19/34 A
A61K31/7105
A61K31/712
A61P27/02
A61P17/00
A61P17/06
A61P17/02
A61P35/00
A61P3/04
A61P7/06
A61K38/20
A61K38/16
A61K39/00 H
A61K35/28
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565371
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 US2022026564
(87)【国際公開番号】W WO2022232291
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/180,387
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514141673
【氏名又は名称】ファクター バイオサイエンス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】エンジェル,マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ローデ,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】スヴィフラ,アイシャ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C084
4C085
4C086
4C087
【Fターム(参考)】
4B064AF27
4B064CA02
4B064CA05
4B064CA06
4B064CA10
4B064CA19
4B064CC24
4B064DA01
4B064DA13
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA87X
4B065AA93X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA44
4C084DA12
4C084NA14
4C084ZA33
4C084ZA55
4C084ZA70
4C084ZA89
4C084ZB26
4C085AA03
4C085BA99
4C085EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZA55
4C086ZA70
4C086ZA89
4C086ZB26
4C086ZC52
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB44
4C087BB65
4C087CA12
4C087NA14
4C087ZC41
4C087ZC52
(57)【要約】
【課題】
改善された環状RNA(circRNA)組成物、及びcircRNAの作製方法が必要とされる。
【解決方法】
核酸内の実質的に相補的な領域のハイブリダイゼーション及びRNAリガーゼとの接触を含み得る、環状RNA(circRNA)の形成を促進する核酸構造。該核酸構造は、遺伝子編集応用及び/または治療応用に使用され得る。一部の実施形態では、該核酸は、構造:5’-X-Y-A-IRES-B-CDS-C-Y’-Z-3’を含み、構造中、X、Y、Y’、及びZは各々独立して、1つまたは複数のヌクレオチドを含み、Y及びY’は、実質的に相補的であり、X及びZは、実質的に相補的ではなく、IRESは、配列内リボソーム進入部位を含み、CDSは、コード配列を含み、A、B、及びCは各々独立して、1つもしくは複数のヌクレオチドを含むスペーサー、またはヌルである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造:
5’-X-Y-A-IRES-B-CDS-C-Y’-Z-3’、
の核酸を含み、構造中、
Y及びY’が各々独立して、1つまたは複数のヌクレオチドを含み、Y及びY’が、実質的に相補的であり、
X及びZが各々独立して、1つまたは複数のヌクレオチドを含み、X及びZが、実質的に相補的ではなく、
IRESが、配列内リボソーム進入部位を含み、
CDSが、コード配列を含み、
A、B、及びCが各々独立して、1つもしくは複数のヌクレオチドを含むスペーサー、またはヌルである、組成物。
【請求項2】
前記核酸がRNAである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記RNAが合成RNAである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記核酸が、例えば、RNAリガーゼと接触させられたときに、環状RNA(circRNA)を形成する、請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記CDSが、1つまたは複数のエクソンを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記CDSが、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードする、請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記目的のタンパク質が、可溶性タンパク質である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記目的のタンパク質が、表1、表2、または表3の任意の遺伝子のタンパク質産物を含めて、表1、表2、または表3から選択される、請求項6または請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記目的のタンパク質が、任意選択でOct4、Sox2、Klf4、c-Myc、l-Myc、Tert、Nanog、Lin28、Glis1、Utf1、Aicda、miR200マイクロ-RNA、miR291マイクロ-RNA、miR294マイクロ-RNA及びmiR295マイクロ-RNA、miR302マイクロ-RNA、miR367マイクロ-RNA、miR369マイクロ-RNA、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される、1つまたは複数のリプログラミング因子である、請求項6または請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
前記目的のタンパク質が、任意選択でヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)関連タンパク質、CRISPR/Cas9、Cas9、xCas9、Cas12a(Cpf1)、Cas13a、Cas14、CasX、CasY、クラス1 Casタンパク質、クラス2 Casタンパク質、及びMAD7、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される、1つまたは複数の遺伝子編集タンパク質である、請求項6または請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
前記目的のタンパク質が、(i)複数のリピート配列を含み、前記リピート配列のうちの少なくとも1つが、アミノ酸配列:LTPvQVVAIAwxyzGHGGまたはLTPvQVVAIAwxyzGTHGを含み、36~39アミノ酸長であり、前記配列中、「v」が、Q、D、またはEであり、「w」が、SまたはNであり、「x」が、H、N、またはIであり、「y」が、D、A、I、N、G、H、K、S、またはヌルであり、「z」が、GGKQALETVQRLLPVLCQDまたはGGKQALETVQRLLPVLCQAである、DNA結合ドメインと、(ii)ヌクレアーゼの触媒ドメインを含むヌクレアーゼドメインとを含む、1つまたは複数の遺伝子編集タンパク質である、請求項6または請求項7に記載の組成物。
【請求項12】
前記目的のタンパク質が、(i)複数のリピート配列を含み、前記リピート配列のうちの少なくとも1つが、アミノ酸配列:LTPvQVVAIAwxyzαを含み、36~39アミノ酸長であり、前記配列中、vが、Q、D、またはEであり、wが、SまたはNであり、xが、I、H、N、またはIであり、yが、D、A、I、N、H、K、S、G、またはヌルであり、zが、GGRPALE、GGKQALE、GGKQALETVQRLLPVLCQDHG、GGKQALETVQRLLPVLCQAHG、GKQALETVQRLLPVLCQDHG、GKQALETVQRLLPVLCQAHG、GGKQALETVQRLLPVLCQD、またはGGKQALETVQRLLPVLCQAであり、αが、4つの連続したアミノ酸である、DNA結合ドメインと、(ii)ヌクレアーゼの触媒ドメインを含むヌクレアーゼドメインとを含む、1つまたは複数の遺伝子編集タンパク質である、請求項6または請求項7に記載の組成物。
【請求項13】
αが、GHGG、HGSG、HGGG、GGHD、GAHD、AHDG、PHDG、GPHD、GHGP、PHGG、PHGP、AHGA、LHGA、VHGA、IVHG、IHGM、RHGD、RDHG、RHGE、HRGE、RHGD、HRGD、GPYE、NHGG、THGG、GTHG、GSGS、GSGG、GGGG、GRGG、及びGKGGから選択される、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記IRESが、cMyc、CVB3(コクサッキーウイルスB3)、EMCV(脳心筋炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、HRV(ヒトライノウイルス)、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記IRESが、ポリオウイルス(PV)、脳心筋炎(encephalomyelocarditis)ウイルス(EMCV)、古典的なブタ熱ウイルス(CSFV)、口蹄疫ウイルス(FMDV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、及びコオロギ麻痺ウイルス(CrPV)、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
前記核酸が、3’末端またはその近くにIIS型制限酵素部位をさらに含む、請求項1~15のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
Aが、1つまたは複数のヌクレオチドを含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記Aがヌルである、請求項1~16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
Y及びY’が、完全に相補的である、請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項20】
Y及びY’が、部分的に相補的である、請求項1~18のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項21】
X、Z、Y、及びY’が、ヘアピン構造を形成する、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項22】
前記ヘアピン構造が、緩いヘアピンである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記ヘアピン構造が、堅いヘアピンである、請求項21に記載の組成物。
【請求項24】
X、Z、Y、及びY’が、ヘアピン構造を形成しない、請求項1~20のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項25】
X、Z、Y、及びY’が、図2の構造を形成する、請求項1~24のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項26】
X及びZが、RNAリガーゼとの相互作用に好適である、請求項1~25のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項27】
前記RNAリガーゼが、一本鎖RNAリガーゼである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記一本鎖RNAリガーゼが、T4 RNAリガーゼ1、またはその天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記circRNAが、エキソヌクレアーゼから実質的に安定している、請求項4~28のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項30】
前記核酸が、インビトロ転写による合成に好適である、請求項1~29のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項31】
請求項1~30のいずれか1項に記載の核酸組成物または請求項4~30のいずれか1項に記載のcircRNA組成物と、薬学的に許容される担体、ビヒクル、または賦形剤とを含む、薬学的組成物。
【請求項32】
請求項1~30のいずれか1項に記載の組成物を含む宿主細胞。
【請求項33】
circRNAの作製方法であって、請求項1~30のいずれか1項に記載の核酸組成物を1つまたは複数のRNAリガーゼと接触させて、前記核酸の環状化及び前記circRNAの形成をもたらすことを含む、前記方法。
【請求項34】
前記RNAリガーゼが、一本鎖RNAリガーゼである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記一本鎖RNAリガーゼが、T4 RNAリガーゼ1、またはその天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記核酸が、インビトロ転写によって合成される、請求項33~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記核酸が、任意選択で5-メチルシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、シュードウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-メトキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-ヒドロキシシュードウリジン、5-メチルシュードウリジン、5-ヒドロキシメチルシュードウリジン、5-カルボキシシュードウリジン、5-メトキシシュードウリジン、及び5-ホルミルシュードウリジンから選択される、少なくとも1つの非標準ヌクレオチドを含む、請求項33~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記核酸が、いずれの非標準ヌクレオチドも欠いている、請求項33~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
細胞において目的のタンパク質を発現させる方法であって、前記細胞を請求項1~30のいずれか1項に記載の核酸組成物または請求項4~30のいずれか1項に記載のcircRNA組成物と接触させることを含む、前記方法。
【請求項40】
前記細胞が、軽度低温条件で接触させられる、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記軽度低温条件が、約30℃~約36℃である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
細胞において標的核酸を遺伝子編集する方法であって、前記細胞を請求項10~31のいずれか1項に記載の組成物または薬学的組成物と接触させることを含み、
a.前記組成物が、circRNAを含み、
b.前記CDSが、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードし、前記目的のタンパク質が、任意選択でヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)関連タンパク質、CRISPR/Cas9、Cas9、xCas9、Cas12a(Cpf1)、Cas13a、Cas14、CasX、CasY、クラス1 Casタンパク質、クラス2 Casタンパク質、MAD7、及びLTPvQVVAIAwxyzαを含むリピート配列を含む遺伝子編集タンパク質、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される、1つまたは複数の遺伝子編集タンパク質であり、
c.前記遺伝子編集タンパク質が、前記標的核酸に指向される、前記方法。
【請求項43】
前記細胞が、軽度低温条件、例えば、約30℃~約36℃で接触させられる、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記標的核酸が、表2から選択される遺伝子であるか、または表1もしくは表3から選択されるペプチドもしくはタンパク質をコードする、請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
前記方法が、例えば、前記細胞を請求項9または14~30のいずれか1項に記載の組成物と接触させることを含む、前記細胞をリプログラミングすることをさらに含む、請求項42~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
細胞をリプログラミングする方法であって、前記細胞を請求項9または14~31のいずれか1項に記載の組成物または薬学的組成物と接触させることを含み、
a.前記組成物が、circRNAを含み、
b.前記CDSが、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードし、前記目的のタンパク質が、任意選択でOct4、Sox2、Klf4、c-Myc、l-Myc、Tert、Nanog、Lin28、Glis1、Utf1、Aicda、miR200マイクロ-RNA、miR291マイクロ-RNA、miR294マイクロ-RNA及びmiR295マイクロ-RNA、miR302マイクロ-RNA、miR367マイクロ-RNA、miR369マイクロ-RNA、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される、1つまたは複数のリプログラミング因子である、前記方法。
【請求項47】
前記方法が、(a)分化細胞または非多能性細胞を用意することと、(b)前記分化細胞または前記非多能性細胞を培養することと、(c)前記分化細胞または前記非多能性細胞に前記circRNAをトランスフェクトすることとを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記トランスフェクトすることが、エレクトロポレーションを介する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
ステップ(c)が、分化状態または非多能性状態からより低い分化状態へのリプログラミングを補助する成分を含有する培地の存在下で起こる、請求項46~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
ステップ(c)を連続5日間の間に少なくとも2回繰り返すことをさらに含む、請求項46~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
1つまたは複数のより後のトランスフェクションにおいてトランスフェクトされる1つまたは複数のcircRNA分子の量が、1つまたは複数のより先のトランスフェクションにおいてトランスフェクトされる量よりも多い、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
ステップ(a)~(c)が、フィーダー細胞を使用することなく実施され、フィーダー細胞馴化培地の存在下で起こる、請求項46~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
ステップ(c)が、放射線照射したヒト新生児線維芽細胞フィーダー細胞を使用することなく実施され、フィーダー細胞馴化培地の存在下で起こる、請求項46~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記circRNA分子が、Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc、l-Myc、Tert、Nanog、Lin28、Glis1、Utf1、Aicda、miR200マイクロ-RNA、miR291マイクロ-RNA、miR294マイクロ-RNA及びmiR295マイクロ-RNA、miR302マイクロ-RNA、miR367マイクロ-RNA、miR369マイクロ-RNA、ならびにそれらの生物学的に活性な断片、類似体、バリアント、及びファミリーメンバーから選択される2、3、4、5、6、7、8、9、10、11個、またはそれよりも多くのリプログラミング因子(複数可)をコードする、請求項46~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記分化細胞または前記非多能性細胞が、生検に由来する、請求項47~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記分化細胞または前記非多能性細胞が、ヒト対象からのものである、請求項47~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記分化細胞または前記非多能性細胞が、皮膚パンチ生検試料に由来する、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記分化細胞または前記非多能性細胞が、皮膚細胞、例えば、線維芽細胞またはケラチノサイトである、請求項47~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記細胞をポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチン、RGDペプチド、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、及びラミニンの群の少なくとも1つの成員と接触させること、または前記細胞をポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチン、RGDペプチド、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、及びラミニンの群の少なくとも1つの成員とさらに接触させることをさらに含む、請求項46~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記circRNA分子が、任意選択で5-メチルシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、シュードウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-メトキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-ヒドロキシシュードウリジン、5-メチルシュードウリジン、5-ヒドロキシメチルシュードウリジン、5-カルボキシシュードウリジン、5-メトキシシュードウリジン、及び5-ホルミルシュードウリジンから選択される、少なくとも1つの非標準ヌクレオチドを含む、請求項46~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記circRNA分子が、いずれの非標準ヌクレオチドも欠いている、請求項46~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記培地が、免疫抑制剤を実質的に含まない、請求項49~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記細胞が、軽度低温条件、例えば、約30℃~約36℃で接触させられる、請求項46~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記方法が、例えば、前記細胞を請求項10~30のいずれか1項に記載の組成物と接触させることを含む、前記細胞を遺伝子編集することをさらに含む、請求項49~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記遺伝子編集が、表2から選択される遺伝子であるか、または表1もしくは表3から選択されるペプチドもしくはタンパク質をコードする核酸を標的とする、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
疾患、障害、または病態を処置する方法であって、
(a)細胞を請求項1~31のいずれか1項に記載の組成物もしくは薬学的組成物と接触させ、前記細胞を、それを必要とする患者に投与すること、または
(b)請求項1~31のいずれか1項に記載の組成物もしくは薬学的組成物を、それを必要とする患者に投与すること、を含む、前記方法。
【請求項67】
前記疾患、障害、または病態が、表1または表3から選択される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記circRNA分子が、T細胞受容体、キメラ抗原受容体、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、チェックポイント阻害剤、抗体、ナノボディ、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物のうちの1つまたは複数をコードする、請求項33~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記circRNA分子が、インターロイキン7、インターロイキン12、インターロイキン15、インターロイキン18、ドミナントネガティブTGF-β受容体II(dnTGF-βRII)、構成的に活性なAkt(caAkt)、もしくはCD40リガンド(CD40L)、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物のうちの1つまたは複数をコードする、請求項33~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記circRNAが、ワクチン接種を必要とする対象に導入されたときにワクチンとしての役目を果たす目的のタンパク質をコードする、請求項33~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記遺伝子編集が、前記細胞に修復鋳型として作用する核酸をトランスフェクトすることをさらに含む、請求項42~45または請求項64~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記修復鋳型が、遺伝子編集の領域、例えば、一本鎖切断もしくは二本鎖切断におけるDNA配列の挿入を引き起こすか、または前記遺伝子編集の前記領域における前記DNA配列を別様に変化させるかのいずれかである、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記遺伝子編集が、ゲノム内セーフハーバー遺伝子座、例えば、TRAC及びAAVS1を標的とする、請求項42~45、64~67、71、または72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記リプログラミングされた細胞が、幹細胞療法の関連においてそれを必要とする対象に提供される、請求項46~67のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年4月27日に出願された米国仮特許出願第63/180,387号の利益を主張する。前述の特許出願の内容全体は、参照により本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
線状RNA分子は、生物学的研究及び治療法の開発において多くの応用を有する。しかしながら、長い線状RNA分子の比較的短い半減期が、長期的なタンパク質翻訳が所望される応用におけるそれらの使用を限定し得る。環状RNA(circRNA)は、C.elegans、Drosophila melanogaster、マウス、及びヒトを含めた種々の生物に存在することが報告されており、マイクロRNAスポンジ及びタンパク質発現を含めた応用のために探索されている。circRNAを合成するための方法には、線状RNAの5’及び3’末端をライゲーションのために近接させるためのスプリント分子の使用、及びインビトロで転写された(iVT)RNA分子の5’及び3’末端を共有結合性で連結するための自己スプライシングイントロンと併せたリボザイム方法の使用が含まれる。しかしながら、これらの方法は、効率が低いという難点があるか、または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して除去されなければならない細胞毒性副産物をもたらす。必要とされるのは、改善されたcircRNA組成物、及びcircRNAの作製方法である。
【発明の概要】
【0003】
したがって、本開示は、複数の態様において、環状RNA(circRNA)の形成を促進するように操作されているRNA分子、circRNAを作製するための方法、及びcircRNA自体に関する。
【0004】
複数の態様では、本開示は、circRNAの作製方法及びそれからもたらされるcircRNAを提供する。
【0005】
複数の態様では、本開示は、細胞毒性副産物を実質的に含まないcircRNAの作製方法を提供する。複数の実施形態では、本開示は、circRNAを産出するためのライゲーションを補助するために線状RNAの2つの反応末端を予め配向させるための線状オリゴヌクレオチド(スプリント)を必要としない、circRNAの作製方法を提供する。複数の実施形態では、本開示は、circRNAを産出するためにリボザイムを必要としない、circRNAの作製方法を提供する。複数の実施形態では、本開示は、例えばライゲーション後に、HPLCに基づく精製を必要としない、circRNAの作製方法を提供する。
【0006】
本開示のある態様は、構造:5’-X-Y-A-IRES-B-CDS-C-Y’-Z-3’の核酸を含む組成物である。この態様では、Y及びY’は各々独立して、1つまたは複数のヌクレオチドを含み、Y及びY’は、実質的に相補的であり、X及びZは各々独立して、1つまたは複数のヌクレオチドを含み、X及びZは、実質的に相補的ではなく、IRESは、配列内リボソーム進入部位を含み、CDSは、コード配列を含み、A、B、及びCは各々独立して、1つもしくは複数のヌクレオチドを含むスペーサー、またはヌルである。
【0007】
複数の実施形態では、目的のタンパク質は、表1、表2、または表3の任意の遺伝子のタンパク質産物を含めて、表1、表2、または表3から選択される。
【0008】
一部の実施形態では、目的のタンパク質は、(i)複数のリピート配列を含み、該リピート配列のうちの少なくとも1つが、アミノ酸配列:LTPvQVVAIAwxyzGHGGまたはLTPvQVVAIAwxyzGTHGを含み、36~39アミノ酸長であり、配列中、「v」が、Q、D、またはEであり、「w」が、SまたはNであり、「x」が、H、N、またはIであり、「y」が、D、A、I、N、G、H、K、S、またはヌルであり、「z」が、GGKQALETVQRLLPVLCQDまたはGGKQALETVQRLLPVLCQAである、DNA結合ドメインと、(ii)ヌクレアーゼの触媒ドメインを含むヌクレアーゼドメインとを含む、1つまたは複数の遺伝子編集タンパク質である。
【0009】
種々の実施形態では、目的のタンパク質は、(i)複数のリピート配列を含み、該リピート配列のうちの少なくとも1つが、アミノ酸配列:LTPvQVVAIAwxyzαを含み、36~39アミノ酸長であり、配列中、vが、Q、D、またはEであり、wが、SまたはNであり、xが、I、H、N、またはIであり、yが、D、A、I、N、H、K、S、G、またはヌルであり、zが、GGRPALE、GGKQALE、GKQALETVQRLLPVLCQDHG、GGKQALETVQRLLPVLCQAHG、GKQALETVQRLLPVLCQDHG、GKQALETVQRLLPVLCQAHG、GGKQALETVQRLLPVLCQD、またはGGKQALETVQRLLPVLCQAであり、αが、4つの連続したアミノ酸である、DNA結合ドメインと、(ii)ヌクレアーゼの触媒ドメインを含むヌクレアーゼドメインとを含む、1つまたは複数の遺伝子編集タンパク質である。一部の実例では、αは、GHGG、HGSG、HGGG、GGHD、GAHD、AHDG、PHDG、GPHD、GHGP、PHGG、PHGP、AHGA、LHGA、VHGA、IVHG、IHGM、RHGD、RDHG、RHGE、HRGE、RHGD、HRGD、GPYE、NHGG、THGG、GTHG、GSGS、GSGG、GGGGから選択される。
【0010】
本開示の別の態様は、本明細書に開示されるいずれかの核酸組成物または本明細書に開示されるいずれかのcircRNA組成物と、薬学的に許容される担体、ビヒクル、または賦形剤とを含む、薬学的組成物である。
【0011】
本開示のなおも別の態様は、本明細書に開示されるいずれかの組成物を含む宿主細胞である。
【0012】
ある態様では、本開示は、circRNAの作製方法を提供する。該方法は、本明細書に開示されるいずれかの核酸組成物を1つまたは複数のRNAリガーゼと接触させて、該核酸の環状化及びcircRNAの形成をもたらすステップを含む。
【0013】
別の態様では、本開示は、細胞において目的のタンパク質を発現させる方法を提供する。該方法は、細胞を本明細書に開示されるいずれかの核酸または本明細書に開示されるいずれかのcircRNA組成物と接触させるステップを含む。
【0014】
なおも別の態様では、本開示は、細胞において標的核酸を遺伝子編集する方法を提供する。該方法は、細胞を本明細書に開示されるいずれかの組成物または本明細書に開示されるいずれかの薬学的組成物と接触させるステップを含む。この態様では、該組成物は、CDSが、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードし、該目的のタンパク質が、任意選択でヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(clustered regularly interspaced short palindromic repeat)(CRISPR)関連タンパク質、CRISPR/Cas9、Cas9、xCas9、Cas12a(Cpf1)、Cas13a、Cas14、CasX、CasY、クラス1 Casタンパク質、クラス2 Casタンパク質、MAD7、及びLTPvQVVAIAwxyzαを含むリピート配列を含む遺伝子編集タンパク質、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される、1つまたは複数の遺伝子編集タンパク質である、circRNAを含む。この態様では、遺伝子編集タンパク質は、標的核酸に指向される。
【0015】
複数の実施形態では、標的核酸は、表2から選択される遺伝子であるか、または表1もしくは表3から選択されるペプチドもしくはタンパク質をコードする。
【0016】
一部の実施形態では、該方法は、例えば、リプログラミング因子をコードするCDSを含むcirCRNAを含む本明細書に開示される組成物と細胞を接触させることを含む、細胞をリプログラミングすることをさらに含む。
【0017】
本開示のある態様は、細胞をリプログラミングする方法である。該方法は、細胞を本明細書に開示されるいずれかの組成物または本明細書に開示されるいずれかの薬学的組成物と接触させるステップを含む。この態様では、該組成物は、circRNAを含み、CDSは、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードし、目的のタンパク質が、任意選択でOct4、Sox2、Klf4、c-Myc、l-Myc、Tert、Nanog、Lin28、Glis1、Utf1、Aicda、miR200マイクロ-RNA、miR291マイクロ-RNA、miR294マイクロ-RNA及びmiR295マイクロ-RNA、miR302マイクロ-RNA、miR367マイクロ-RNA、miR369マイクロ-RNA、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される、1つまたは複数のリプログラミング因子である。一部の実例では、CDSは、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11個、またはそれよりも多くのリプログラミング因子(複数可)をコードする。
【0018】
種々の実施形態では、該方法は、(a)分化細胞または非多能性細胞を用意することと、(b)分化細胞または非多能性細胞を培養することと、(c)分化細胞または非多能性細胞にcircRNAをトランスフェクトすることとを含む。
【0019】
複数の実施形態では、該方法は、例えば、CDSが、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードし、該目的のタンパク質が、任意選択でヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)関連タンパク質、CRISPR/Cas9、Cas9、xCas9、Cas12a(Cpf1)、Cas13a、Cas14、CasX、CasY、クラス1 Casタンパク質、クラス2 Casタンパク質、MAD7、及びLTPvQVVAIAwxyzαを含むリピート配列を含む遺伝子編集タンパク質、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される、1つまたは複数の遺伝子編集タンパク質である、circRNAを含む本明細書のいずれかの組成物と細胞を接触させることを含む、細胞を遺伝子編集することをさらに含む。複数の実施形態では、遺伝子編集は、表2から選択される遺伝子であるか、または表1もしくは表3から選択されるペプチドもしくはタンパク質をコードする核酸を標的とする。
【0020】
本開示の別の態様は、疾患、障害、または病態を処置する方法である。該方法は、(1)細胞を本明細書に開示されるいずれかの組成物または本明細書に開示されるいずれかの薬学的組成物と接触させ、細胞を、それを必要とする患者に投与するステップ、または(2)本明細書に開示されるいずれかの組成物または本明細書に開示されるいずれかの薬学的組成物を、それを必要とする患者に投与するステップを含む。複数の実施形態では、疾患、障害、または病態は、表1または表3から選択される。
【0021】
本明細書に記載の任意の態様または実施形態は、本明細書に開示される任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】非相補的及び相補的配列エレメントを介したRNA環状化の向上の非限定的な図である。
図2】種々の5’及び3’のRNA塩基付加から予測される二次構造を示す。丸で囲まれた領域は、一番5’側のヌクレオチドを示す。
図3】circRNAの生成を示すゲルである(条件については図2を参照されたい)。
図4】circRNA合成中のRNA産物を示す。レーン1:インビトロ転写反応。レーン2:T4 RNAリガーゼ1を使用したivT産物の一晩のライゲーション。レーン3:子ウシ腸由来ホスファターゼ処理後のライゲーション産物。レーン4:子ウシ腸由来ホスファターゼ処理及び線状産物のRNase R消化後のライゲーション産物。
図5】ヒト初代皮膚線維芽細胞にcircRNAをエレクトロポレーションにより導入したトランスフェクションを示す。エレクトロポレーションから24時間後に取得した画像が示される。
図6】ヒト初代皮膚線維芽細胞にcircRNAをエレクトロポレーションにより導入したトランスフェクションを示す。エレクトロポレーションから48時間後に取得した画像が示される。
図7】ヒト初代皮膚線維芽細胞にcircRNAをエレクトロポレーションにより導入したトランスフェクションを示す。エレクトロポレーションから72時間後に取得した画像が示される。
図8】細胞の平均蛍光強度対時間を示す。120,000個のヒト初代皮膚線維芽細胞に、表示されるIRES、またはGFPをコードする線状RNAを含む750ngの環状RNAをエレクトロポレーションにより導入した。細胞をエレクトロポレーション後の表示される時点で撮像し、各緑色細胞の平均強度を算出した。明確化のために、時点72で、曲線は、上から下に、CVB3_v4、CVB3_v3、線状、EMCV、minE、及びCrPVである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、部分的には、circRNAを効率的な様態で産出する方法の発見に基づく。
【0024】
複数の態様では、本開示は、例えば、非相補的及び相補的配列エレメントを介して、circRNAを産出するように操作されているRNAを提供する。
【0025】
複数の態様では、本開示は、circRNAの作製方法及びそれからもたらされるcircRNAを提供する。
【0026】
circRNA及びcircRNAを含む組成物
circRNAは、頭部と尾部が接合されている一本鎖RNAを含む。circRNAは、D型肝炎ウイルス(HDV)及び植物ウイロイド等の病原性ゲノムにおいて最初に発見された。circRNAは、疾患の潜在的な分子マーカーとして機能し得、腫瘍を含めたヒト疾患の発症及び進行において重要な役割を果たし得る。
【0027】
本開示のcircRNAは、約100ヌクレオチド長、約200ヌクレオチド長、約300ヌクレオチド長、約400ヌクレオチド長、約500ヌクレオチド長、約600ヌクレオチド長、約700ヌクレオチド長、約800ヌクレオチド長、約900ヌクレオチド長、約1000ヌクレオチド長、約1100ヌクレオチド長、約1200ヌクレオチド長、約1300ヌクレオチド長、約1400ヌクレオチド長、約1500ヌクレオチド長、約2000ヌクレオチド長、約2500ヌクレオチド長、約3000ヌクレオチド長、約3500ヌクレオチド長、約4000ヌクレオチド長、約4500ヌクレオチド長、約5000ヌクレオチド長、約5500ヌクレオチド長、約6000ヌクレオチド長、約6500ヌクレオチド長、約7000ヌクレオチド長、約7500ヌクレオチド長、約8000ヌクレオチド長、約8500ヌクレオチド長、約9000ヌクレオチド長、約9500ヌクレオチド長、または約10000ヌクレオチド長であり得る。本開示のcircRNAは、少なくとも約100ヌクレオチド長、少なくとも約200ヌクレオチド長、少なくとも約300ヌクレオチド長、少なくとも約400ヌクレオチド長、少なくとも約500ヌクレオチド長、少なくとも約600ヌクレオチド長、少なくとも約700ヌクレオチド長、少なくとも約800ヌクレオチド長、少なくとも約900ヌクレオチド長、少なくとも約1000ヌクレオチド長、少なくとも約1100ヌクレオチド長、少なくとも約1200ヌクレオチド長、少なくとも約1300ヌクレオチド長、少なくとも約1400ヌクレオチド長、少なくとも約1500ヌクレオチド長、少なくとも約1600ヌクレオチド長、少なくとも約1700ヌクレオチド長、少なくとも約1800ヌクレオチド長、少なくとも約1900ヌクレオチド長、少なくとも約2000ヌクレオチド長、少なくとも約2500ヌクレオチド長、少なくとも約3000ヌクレオチド長、少なくとも約3500ヌクレオチド長、少なくとも約4000ヌクレオチド長、少なくとも約4500ヌクレオチド長、少なくとも約5000ヌクレオチド長、少なくとも約5500ヌクレオチド長、少なくとも約6000ヌクレオチド長、少なくとも約6500ヌクレオチド長、少なくとも約7000ヌクレオチド長、少なくとも約7500ヌクレオチド長、少なくとも約8000ヌクレオチド長、少なくとも約8500ヌクレオチド長、少なくとも約9000ヌクレオチド長、少なくとも約9500ヌクレオチド長、または少なくとも約10000ヌクレオチド長であり得る。本開示のcircRNAは、約100~約200ヌクレオチド長、約200~約300ヌクレオチド長、約300~約400ヌクレオチド長、約400~約500ヌクレオチド長、約500~約600ヌクレオチド長、約600~約700ヌクレオチド長、約700~約800ヌクレオチド長、約800~約900ヌクレオチド長、約900~約1000ヌクレオチド長、約1000~約1100ヌクレオチド長、約1100~約1200ヌクレオチド長、約1200~約1300ヌクレオチド長、約1300~約1400ヌクレオチド長、約1400~約1500ヌクレオチド長、約1500~約2000ヌクレオチド長、約2000~約2500ヌクレオチド長、約2500~約3000ヌクレオチド長、約3000~約3500ヌクレオチド長、約3500~約4000ヌクレオチド長、約4000~約4500ヌクレオチド長、約4500~約5000ヌクレオチド長、約5000~約5500ヌクレオチド長、約5500~約6000ヌクレオチド長、約6000~約6500ヌクレオチド長、約6500~約7000ヌクレオチド長、約7000~約7500ヌクレオチド長、約7500~約8000ヌクレオチド長、約8000~約8500ヌクレオチド長、約8500~約9000ヌクレオチド長、約9000~約9500ヌクレオチド長、または約9500~約10000ヌクレオチド長、及びそれらの間の任意の長さであり得る。
【0028】
線状前駆体からのcircRNAの調製は、とりわけ、環状化ステップに関連する負のエントロピーに起因して、重大な課題を提示し得る。最も顕著な副反応は、分子内結合の形成が環状化の代わりに線状前駆体のオリゴマー形成をもたらすことであり得る。
【0029】
複数の態様では、本開示は、circRNAを産出するための効率的な環状化に好適である、操作された核酸、例えば、RNAに関する。複数の態様では、本開示は、5’及び3’末端に近接してヘアピンループを形成し、かかるヘアピンループを含まないRNA配列よりも分子内ライゲーションをより良好に補助する、RNA配列に関する。
【0030】
複数の態様では、本開示は、構造:
5’-X-Y-A-IRES-B-CDS-C-Y’-Z-3’、
の核酸を含む組成物に関し、構造中、Y及びY’は各々独立して、1つまたは複数のヌクレオチドを含み、Y及びY’は、実質的に相補的であり、X及びZは各々独立して、1つまたは複数のヌクレオチドを含み、X及びZは、実質的に相補的ではなく、IRESは、配列内リボソーム進入部位を含み、CDSは、コード配列を含み、A、B、及びCは各々独立して、1つもしくは複数のヌクレオチドを含むスペーサー、またはヌルである。
【0031】
複数の実施形態では、該核酸はRNAである。複数の実施形態では、該RNAは合成RNAである。
【0032】
複数の実施形態では、該核酸は、例えば、RNAリガーゼと接触させられたときに、環状RNA(circRNA)を形成する。
【0033】
複数の実施形態では、CDSは、さらに1つのエクソンを含む。複数の実施形態では、CDSは、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードする。複数の実施形態では、目的のタンパク質は、可溶性タンパク質である。複数の実施形態では、目的のタンパク質は、表1、表2、または表3の任意の遺伝子のタンパク質産物を含めて、表1、表2、または表3から選択される。
【0034】
複数の実施形態では、目的のタンパク質は、任意選択でOct4、Sox2、Klf4、c-Myc、l-Myc、Tert、Nanog、Lin28、Glis1、Utf1、Aicda、miR200マイクロ-RNA、miR291マイクロ-RNA、miR294マイクロ-RNA及びmiR295マイクロ-RNA、miR302マイクロ-RNA、miR367マイクロ-RNA、miR369マイクロ-RNA、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される、1つまたは複数のリプログラミング因子である。
【0035】
複数の実施形態では、目的のタンパク質は、任意選択でヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)関連タンパク質、CRISPR/Cas9、Cas9、xCas9、Cas12a(Cpf1)、Cas13a、Cas14、CasX、CasY、クラス1 Casタンパク質、クラス2 Casタンパク質、及びMAD7、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される、1つまたは複数の遺伝子編集タンパク質である。
【0036】
複数の実施形態では、目的のタンパク質は、(i)複数のリピート配列を含み、該リピート配列のうちの少なくとも1つが、アミノ酸配列:LTPvQVVAIAwxyzGHGGまたはLTPvQVVAIAwxyzGTHGを含み、36~39アミノ酸長であり、配列中、「v」が、Q、D、またはEであり、「w」が、SまたはNであり、「x」が、H、N、またはIであり、「y」が、D、A、I、N、G、H、K、S、またはヌルであり、「z」が、GGKQALETVQRLLPVLCQDまたはGGKQALETVQRLLPVLCQAである、DNA結合ドメインと、(ii)ヌクレアーゼの触媒ドメインを含むヌクレアーゼドメインとを含む、1つまたは複数の遺伝子編集タンパク質である。
【0037】
複数の実施形態では、目的のタンパク質は、(i)複数のリピート配列を含み、該リピート配列のうちの少なくとも1つが、アミノ酸配列:LTPvQVVAIAwxyzαを含み、36~39アミノ酸長であり、配列中、vが、Q、D、またはEであり、wが、SまたはNであり、xが、I、H、N、またはIであり、yが、D、A、I、N、H、K、S、G、またはヌルであり、zが、GGRPALE、GGKQALE、GGKQALETVQRLLPVLCQDHG、GGKQALETVQRLLPVLCQAHG、GKQALETVQRLLPVLCQDHG、GKQALETVQRLLPVLCQAHG、GGKQALETVQRLLPVLCQD、またはGGKQALETVQRLLPVLCQAであり、αが、4つの連続したアミノ酸である、DNA結合ドメインと、(ii)ヌクレアーゼの触媒ドメインを含むヌクレアーゼドメインとを含む、1つまたは複数の遺伝子編集タンパク質である。複数の実施形態では、αは、GHGG、HGSG、HGGG、GGHD、GAHD、AHDG、PHDG、GPHD、GHGP、PHGG、PHGP、AHGA、LHGA、VHGA、IVHG、IHGM、RHGD、RDHG、RHGE、HRGE、RHGD、HRGD、GPYE、NHGG、THGG、GTHG、GSGS、GSGG、GGGG、GRGG、及びGKGGから選択される。
【0038】
複数の実施形態では、IRESは、cMyc、CVB3(コクサッキーウイルスB3)、EMCV(脳心筋炎ウイルス)、HCV(C型肝炎ウイルス)、HRV(ヒトライノウイルス)、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される。複数の実施形態では、IRESは、ポリオウイルス(PV)、脳心筋炎(encephalomyelocarditis)ウイルス(EMCV)、古典的なブタ熱ウイルス(CSFV)、口蹄疫ウイルス(FMDV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ウシウイルス性下痢ウイルス(BVDV)、及びコオロギ麻痺ウイルス(CrPV)、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される。
【0039】
複数の実施形態では、該核酸は、3’末端またはその近くにIIS型制限酵素部位をさらに含む。
【0040】
複数の実施形態では、Aは、1つまたは複数のヌクレオチド、例えば、約5~25、または約5~20、または約5~15、または約5~15個のヌクレオチド、例えば、約5、または約10、または約15、または約20、または約25個のヌクレオチドを含む。複数の実施形態では、Aはヌルである。
【0041】
複数の実施形態では、Bは、1つまたは複数のヌクレオチド、例えば、約5~25、または約5~20、または約5~15、または約5~15個のヌクレオチド、例えば、約5、または約10、または約15、または約20、または約25個のヌクレオチドを含む。複数の実施形態では、Bはヌルである。
【0042】
複数の実施形態では、Cは、1つまたは複数のヌクレオチド、例えば、約5~25、または約5~20、または約5~15、または約5~15個のヌクレオチド、例えば、約5、または約10、または約15、または約20、または約25個のヌクレオチドを含む。複数の実施形態では、Cはヌルである。
【0043】
複数の実施形態では、Aは、1つまたは複数のヌクレオチド、例えば、約1~200、または約50~200、または約100~200、または約150~200個のヌクレオチド、例えば、約50、または約75、または約100、または約150、または約200個のヌクレオチドを含む。
【0044】
複数の実施形態では、Bは、1つまたは複数のヌクレオチド、例えば、約1~200、または約50~200、または約100~200、または約150~200個のヌクレオチド、例えば、約50、または約75、または約100、または約150、または約200個のヌクレオチドを含む。
【0045】
複数の実施形態では、Cは、1つまたは複数のヌクレオチド、例えば、約1~200、または約50~200、または約100~200、または約150~200個のヌクレオチド、例えば、約50、または約75、または約100、または約150、または約200個のヌクレオチドを含む。
【0046】
複数の実施形態では、A、B、及びCは、同一である。複数の実施形態では、A、B、及びCのうちの2つは、同一である。複数の実施形態では、A、B、及びCは、同一でない。
【0047】
複数の実施形態では、Y及びY’は各々独立して、1つまたは複数のヌクレオチド、例えば、約1~25、または約1~20、または約1~15、または約1~15個のヌクレオチド、または約5~10個のヌクレオチド、例えば、約1、または約2、または約3、または約4、または約5、または約10、または約15、または約20、または約25個のヌクレオチドを含む。
【0048】
複数の実施形態では、X及びZは各々独立して、1つまたは複数のヌクレオチド、例えば、約1~25、または約1~20、または約1~15、または約1~15個のヌクレオチド、または約5~10個のヌクレオチド、例えば、約1、または約2、または約3、または約4、または約5、または約10、または約15、または約20、または約25個のヌクレオチドを含む。
【0049】
複数の実施形態では、Y及びY’は、完全に相補的である。複数の実施形態では、Y及びY’は、部分的に相補的である。
【0050】
複数の実施形態では、X、Z、Y、及びY’は、ヘアピン構造を形成する。複数の実施形態では、ヘアピン構造は、24個以下のヌクレオチドがヘアピン内で優先的に結合した緩いヘアピンである。複数の実施形態では、ヘアピン構造は、24個を超えるヌクレオチドがヘアピン内で優先的に結合した堅い(tight)ヘアピンである。複数の実施形態では、X、Z、Y、及びY’は、ヘアピン構造を形成しない。複数の実施形態では、X、Z、Y、及びY’は、図2に例示される構造のうちの1つを形成する。
【0051】
複数の実施形態では、X及びZは、RNAリガーゼとの相互作用に好適である。複数の実施形態では、RNAリガーゼは、一本鎖RNAリガーゼである。複数の実施形態では、一本鎖RNAリガーゼは、T4 RNAリガーゼ1、またはその天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物である。
【0052】
複数の実施形態では、circRNAは、エキソヌクレアーゼから実質的に安定している。
【0053】
複数の実施形態では、該核酸は、インビトロ転写による合成に好適である。
【0054】
複数の実施形態では、circRNA分子は、circRNA分子と同じ配列、または同等の配列を含む線状RNA分子よりも良好な、吸収、有効性、生物学的利用能、及び/または半減期等の薬物動態挙動を有する。
【0055】
複数の実施形態では、circRNA分子は、circRNA分子と同じ配列、または同等の配列を含む線状RNA分子よりも良好な安定性を有する。複数の実施形態では、circRNA分子は、circRNA分子と同じ配列、または同等の配列を含む線状RNA分子よりも良好な細胞内安定性を有する。
【0056】
複数の実施形態では、circRNA分子は、circRNA分子と同じ配列、または同等の配列を含む線状RNA分子よりも長い細胞内半減期を有する。
【0057】
複数の実施形態では、circRNA分子の細胞内半減期は、circRNA分子と同じ配列、または同等の配列を含む線状RNA分子よりも少なくとも約3時間長いか、または少なくとも約6時間長いか、または少なくとも約12時間長い。
【0058】
複数の実施形態では、circRNA分子の細胞内半減期は、circRNA分子と同じ配列、または同等の配列を含む線状RNA分子の少なくとも約1.5倍長いか、または少なくとも約3倍長いか、または少なくとも約5倍長いか、または少なくとも約10倍長いか、または少なくとも約30倍長いか、または少なくとも約100倍長い。
【0059】
複数の実施形態では、本明細書に開示される核酸分子を含む(例えば、構造:5’-X-Y-A-IRES-B-CDS-C-Y’-Z-3’の線状核酸を含む)組成物と、薬学的に許容される担体、ビヒクル、または賦形剤とを含む、薬学的組成物が提供される。
【0060】
複数の実施形態では、本明細書に開示されるcircRNA分子を含む組成物と、薬学的に許容される担体、ビヒクル、または賦形剤とを含む、薬学的組成物が提供される。
【0061】
複数の実施形態では、本明細書に開示される核酸分子を含む(例えば、構造:5’-X-Y-A-IRES-B-CDS-C-Y’-Z-3’の線状核酸を含む)、または本明細書に開示される核酸を含む組成物を含む、宿主細胞が提供される。
【0062】
複数の実施形態では、本明細書に開示されるcircRNA分子、または本明細書に開示されるcircRNA分子を含む組成物を含む、宿主細胞が提供される。
【0063】
作製方法
複数の実施形態では、本開示は、細胞毒性副産物を実質的に含まないcircRNAの作製方法を提供する。
【0064】
複数の実施形態では、本開示は、circRNAを産出するためのライゲーションを補助するために線状RNAの2つの反応末端を予め配向させるための線状オリゴヌクレオチド(スプリント)を必要としない、circRNAの作製方法を提供する。複数の実施形態では、本開示は、circRNAを産出するためにリボザイムを必要としない、circRNAの作製方法を提供する。複数の実施形態では、本開示は、circRNAを産出するためのライゲーションを補助するために線状RNAの2つの反応末端を予め配向させるための線状オリゴヌクレオチド(スプリント)を必要とせず、かつcircRNAを産出するためにリボザイムを必要としない、circRNAの作製方法を提供する。複数の実施形態では、本開示は、代替の方法、例えば、スプリントまたはリボザイムを伴う方法よりも良好なライゲーション効率を有する、circRNAの作製方法を提供する。
【0065】
複数の実施形態では、本開示は、例えばライゲーション後に、HPLCに基づく精製を必要としない、circRNAの作製方法を提供する。
【0066】
複数の実施形態では、本開示は、5’及び3’末端に近接してヘアピンループを形成し、分子内ライゲーションを補助し、かかる分子内ライゲーションが、例えば、かかるヘアピンループを含まないRNA配列と比べて改善されている、核酸(例えば、構造:5’-X-Y-A-IRES-B-CDS-C-Y’-Z-3’の線状RNA分子)を提供する。
【0067】
複数の実施形態では、本開示は、核酸(例えば、構造:5’-X-Y-A-IRES-B-CDS-C-Y’-Z-3’の線状RNA分子)を含む本明細書に開示される組成物を1つまたは複数のRNAリガーゼと接触させて、該核酸の環状化をもたらすことを含む、circRNAの作製方法を提供する。複数の実施形態では、RNAリガーゼは、一本鎖RNAリガーゼである。複数の実施形態では、一本鎖RNAリガーゼは、T4 RNAリガーゼ1、またはその天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物である。
【0068】
複数の実施形態では、該核酸(例えば、構造:5’-X-Y-A-IRES-B-CDS-C-Y’-Z-3’の線状RNA分子)は、インビトロ転写(iVT)で合成される。複数の実施形態では、該核酸は、iVT反応においてグアノシン一リン酸及びグアノシン三リン酸の両方を使用して合成される。複数の実施形態では、グアノシン一リン酸及びグアノシン三リン酸は、例えば、約1:1、または約2:1、または約5:1、または約10:1、または約20:1の比で存在する。
【0069】
複数の実施形態では、該核酸及び/またはcircRNAは、少なくとも1つの非標準ヌクレオチドを含む。複数の実施形態では、非標準ヌクレオチドは、5-メチルシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、シュードウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-メトキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-ヒドロキシシュードウリジン、5-メチルシュードウリジン、5-ヒドロキシメチルシュードウリジン、5-カルボキシシュードウリジン、5-メトキシシュードウリジン、及び5-ホルミルシュードウリジンから選択される。
【0070】
複数の実施形態では、該核酸及び/またはcircRNAは、いずれの非標準ヌクレオチドも欠いている。
【0071】
目的のタンパク質の発現/リプログラミング/遺伝子編集/疾患処置の方法
複数の実施形態では、本開示は、細胞において目的のタンパク質を発現させる方法を提供し、該方法は、細胞を、cirCRNAを含む本明細書に開示される組成物と接触させることを含む。
【0072】
複数の実施形態では、細胞は、軽度低温条件、例えば、約30℃~約36℃で接触させられる。
【0073】
複数の実施形態では、本開示は、細胞において標的核酸を遺伝子編集する方法を提供し、該方法は、細胞を本明細書に記載の組成物または薬学的組成物と接触させることを含み、該組成物は、circRNAを含み、CDSは、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードし、目的のタンパク質が、任意選択でヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、メガヌクレアーゼ、ニッカーゼ、規則的な間隔をもってクラスター化された短鎖反復回文配列(CRISPR)関連タンパク質、CRISPR/Cas9、Cas9、xCas9、Cas12a(Cpf1)、Cas13a、Cas14、CasX、CasY、クラス1 Casタンパク質、クラス2 Casタンパク質、MAD7、及び本明細書で定義されるLTPvQVVAIAwxyzαを含むリピート配列を含む遺伝子編集タンパク質、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される、1つまたは複数の遺伝子編集タンパク質であり、該遺伝子編集タンパク質は、標的核酸に指向される。一部の実例では、標的核酸は、表2から選択される遺伝子であるか、または表1もしくは表3から選択されるペプチドもしくはタンパク質をコードする。複数の実施形態では、本開示は、細胞の複製能を増加させる方法を提供し、該方法は、細胞を本明細書に記載の組成物または薬学的組成物と接触させることを含み、該組成物は、circRNAを含み、CDSは、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードする。複数の実施形態では、circRNAは、細胞の複製能を増加させるタンパク質をコードする。複数の実施形態では、コードされたタンパク質は、TERTである。複数の実施形態では、細胞は、造血細胞、造血幹細胞、T細胞、NK細胞、骨髄系細胞、マクロファージ、腫瘍浸潤リンパ球、骨髄浸潤リンパ球、末梢血リンパ球、及び毛包幹細胞から選択される。
【0074】
複数の実施形態では、circRNAは、細胞とタンパク質との間の相互作用を増加させるタンパク質をコードする。複数の実施形態では、コードされたタンパク質は、キメラ抗原受容体である。複数の実施形態では、細胞は、造血細胞、造血幹細胞、T細胞、NK細胞、骨髄系細胞、マクロファージ、腫瘍浸潤リンパ球、骨髄浸潤リンパ球、末梢血リンパ球、及び毛包幹細胞から選択される。
【0075】
複数の実施形態では、細胞は、軽度低温条件、例えば、約30℃~約36℃で接触させられる。
【0076】
複数の実施形態では、該方法は、細胞をリプログラミングすることをさらに含む。複数の実施形態では、本開示は、細胞をリプログラミングする方法を提供し、該方法は、細胞を本明細書に記載の組成物と接触させることを含み、該組成物は、circRNAであり、CDSは、1つまたは複数の目的のタンパク質をコードし、目的のタンパク質が、任意選択でOct4、Sox2、Klf4、c-Myc、l-Myc、Tert、Nanog、Lin28、Glis1、Utf1、Aicda、miR200マイクロ-RNA、miR291マイクロ-RNA、miR294マイクロ-RNA及びmiR295マイクロ-RNA、miR302マイクロ-RNA、miR367マイクロ-RNA、miR369マイクロ-RNA、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物から選択される、1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11個、またはそれよりも多く)のリプログラミング因子である。
【0077】
複数の実施形態では、方法は、(a)分化細胞または非多能性細胞を用意することと、(b)分化細胞または非多能性細胞を培養することと、(c)分化細胞または非多能性細胞にcircRNAをトランスフェクトすることとを含む。複数の実施形態では、トランスフェクトすることは、エレクトロポレーションを介して遂行される。複数の実施形態では、ステップ(c)は、分化状態または非多能性状態からより低い分化状態へのリプログラミングを補助する成分を含有する培地の存在下で起こる。複数の実施形態では、該方法は、ステップ(c)を連続5日間の間に少なくとも2回繰り返すことをさらに含む。複数の実施形態では、1つまたは複数のより後のトランスフェクションにおいてトランスフェクトされる1つまたは複数のcircRNA分子の量は、1つまたは複数のより先のトランスフェクションにおいてトランスフェクトされる量よりも多い。複数の実施形態では、ステップ(a)~(c)は、フィーダー細胞を使用することなく実施され、フィーダー細胞馴化培地の存在下で起こる。複数の実施形態では、ステップ(c)は、放射線照射したヒト新生児線維芽細胞フィーダー細胞を使用することなく実施され、フィーダー細胞馴化培地の存在下で起こる。複数の実施形態では、circRNA分子は、Oct4、Sox2、Klf4、c-Myc、l-Myc、Tert、Nanog、Lin28、Glis1、Utf1、Aicda、miR200マイクロ-RNA、miR291マイクロ-RNA、miR294マイクロ-RNA及びmiR295マイクロ-RNA、miR302マイクロ-RNA、miR367マイクロ-RNA、miR369マイクロ-RNA、ならびにそれらの生物学的に活性な断片、類似体、バリアント、及びファミリーメンバーから選択される1つまたは複数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11個、またはそれよりも多く)のリプログラミング因子(複数可)をコードする。複数の実施形態では、分化細胞または非多能性細胞は、生検に由来する。複数の実施形態では、分化細胞または非多能性細胞は、ヒト対象からのものである。複数の実施形態では、分化細胞または非多能性細胞は、皮膚パンチ生検試料に由来する。複数の実施形態では、分化細胞または非多能性細胞は、皮膚細胞(例えば、線維芽細胞またはケラチノサイト)である。複数の実施形態では、該方法は、細胞をポリ-L-リジン、ポリ-L-オルニチン、RGDペプチド、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、及びラミニンの群の少なくとも1つの成員と接触させることを含むか、またはそれをさらに含む。複数の実施形態では、該方法は、細胞を遺伝子編集することをさらに含む。
【0078】
複数の実施形態では、circRNA分子は、任意選択で5-メチルシチジン、5-ヒドロキシシチジン、5-ヒドロキシメチルシチジン、5-カルボキシシチジン、5-ホルミルシチジン、5-メトキシシチジン、シュードウリジン、5-ヒドロキシウリジン、5-メチルウリジン、5-ヒドロキシメチルウリジン、5-カルボキシウリジン、5-メトキシウリジン、5-ホルミルウリジン、5-ヒドロキシシュードウリジン、5-メチルシュードウリジン、5-ヒドロキシメチルシュードウリジン、5-カルボキシシュードウリジン、5-メトキシシュードウリジン、及び5-ホルミルシュードウリジンから選択される、少なくとも1つの非標準ヌクレオチドを含む。
【0079】
複数の実施形態では、circRNA分子は、いずれの非標準ヌクレオチドも欠いている。
【0080】
複数の実施形態では、培地は、免疫抑制剤を実質的に含まない。
【0081】
複数の実施形態では、細胞は、軽度低温条件、例えば、約30℃~約36℃で接触させられる。
【0082】
複数の実施形態では、該方法は、細胞を遺伝子編集することをさらに含む。
【0083】
複数の実施形態では、本開示は、疾患、障害、または病態を処置する方法を提供し、該方法は、(a)細胞を本明細書に記載の組成物(例えば、circRNAを含む)と接触させ、細胞を、それを必要とする患者に投与すること、または(b)該組成物(例えば、circRNAを含む)を、それを必要とする患者に投与することを含む。複数の実施形態では、疾患、障害、または病態は、表1または表3から選択される。
【0084】
複数の実施形態では、circRNA分子は、T細胞受容体、キメラ抗原受容体、二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)、チェックポイント阻害剤、抗体、ナノボディ、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物のうちの1つまたは複数をコードする。
【0085】
一部の実例では、circRNAをトランスフェクトされる細胞は、T細胞であり、circRNAは、トランスフェクトされた細胞がCAR-Tになるようにキメラ抗原受容体をコードする。他の実例では、circRNAをトランスフェクトされる細胞は、NK細胞であり、circRNAは、トランスフェクトされた細胞がCAR-NKになるようにキメラ抗原受容体をコードする。
【0086】
種々の実例では、(遺伝子編集を用いてまたは用いずに)リプログラミングされた細胞は、幹細胞療法の関連においてそれを必要とする対象に提供される。
【0087】
複数の実施形態では、circRNA分子は、インターロイキン7、インターロイキン12、インターロイキン15、インターロイキン18、ドミナントネガティブTGF-β受容体II(dnTGF-βRII)、構成的に活性なAkt(caAkt)、もしくはCD40リガンド(CD40L)、またはそれらの天然もしくは操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、もしくは融合構築物のうちの1つまたは複数をコードする。
【0088】
複数の実施形態では、疾患/適応症は、1つまたは複数のがんに関連する。1つまたは複数のがんは、腺様嚢胞癌、副腎腫瘍、アミロイドーシス、肛門癌、虫垂癌、星細胞腫、毛細血管拡張性運動失調症、ベックウィズ・ヴィーデマン症候群、胆管癌(bile duct caner)(胆管癌(Cholangiocarcinoma))、バート・ホッグ・デューベ症候群、膀胱癌、骨癌(骨の肉腫)、脳幹神経膠腫、脳腫瘍、乳癌、乳癌(炎症性)、乳癌(転移性)、男性の乳癌、カーニー複合、中枢神経系腫瘍(脳及び脊髄)、子宮頸癌、小児がん、結腸直腸癌、カウデン症候群、頭蓋咽頭腫、デスモイド腫瘍、線維形成性乳児神経節膠腫、上衣腫、食道癌、ユーイング肉腫、眼のがん、眼瞼のがん、家族性腺腫性ポリポーシス、家族性GIST、家族性悪性黒色腫、家族性膵臓癌、胆嚢癌、消化管間質腫瘍GIST、胚細胞腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、頭頸部癌、遺伝性乳癌及び卵巣癌、遺伝性びまん性胃癌、遺伝性平滑筋腫症及び腎細胞癌、遺伝性混合ポリポーシス症候群、遺伝性膵炎、遺伝性乳頭状腎癌、HIV/AIDS関連がん、若年性ポリポーシス症候群、腎臓癌、涙腺腫瘍、喉頭癌及び下咽頭癌、白血病-急性リンパ芽球性-ALL、白血病、急性リンパ性-ALL、白血病-急性骨髄性-ALL、白血病-急性骨髄性-AML、白血病-B細胞性前リンパ球性白血病及び有毛細胞白血病、白血病-慢性リンパ性-CLL、白血病-慢性骨髄性-CML、白血病-慢性T細胞リンパ性、白血病-好酸球性、リー・フラウメニ症候群、肝臓癌、肺癌-非小細胞、肺癌-小細胞、リンパ腫-ホジキン、リンパ腫-非ホジキン、リンチ症候群、肥満細胞症、髄芽細胞腫、黒色腫、髄膜腫、中皮腫、多発性内分泌腫瘍症1型、多発性内分泌腫瘍症2型、多発性骨髄腫、MUTYH/MYH関連ポリポーシス、骨髄異形成症候群-MDS、鼻腔癌及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、消化管神経内分泌腫瘍、肺神経内分泌腫瘍、膵臓神経内分泌腫瘍、神経内分泌腫瘍、神経線維腫症1型、神経線維腫症2型、母斑性基底細胞癌症候群、口腔癌及び口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、卵管癌、腹腔癌、膵臓癌、副甲状腺癌、陰茎癌、ポイツ・ジェガース症候群、褐色細胞腫及び傍神経節腫、脳下垂体腫瘍、胸膜肺芽腫、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、肉腫-カポジ、特定臓器の肉腫、肉腫-軟部組織、皮膚癌(非黒色腫)、皮膚癌(黒色腫)、小腸癌、胃癌、精巣癌、胸腺腫(thyoma)及び胸腺癌、甲状腺癌、結節性硬化症複合体、原発部位不明、子宮癌、膣癌、フォンヒッペル・リンドウ症候群、外陰癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(リンパ形質細胞性リンパ腫)、ウェルナー症候群、ウィルムス腫瘍、ならびに色素性乾皮症を含み得る。
【0089】
複数の実施形態では、遺伝子編集は、遺伝子編集の領域、例えば、一本鎖切断もしくは二本鎖切断におけるDNA配列の挿入を引き起こすか、または遺伝子編集の領域におけるDNA配列を別様に変化させるかのいずれかによって修復鋳型として作用する核酸を、細胞にトランスフェクトすることをさらに含む。
【0090】
一部の実例では、遺伝子編集は、ゲノム内セーフハーバー遺伝子座、例えば、TRAC及びAAVS1を標的とする。
【0091】
種々の実施形態では、circRNAは、ワクチン接種を必要とする対象に導入されたときにワクチンとしての役目を果たす目的のタンパク質をコードする。
【0092】
本開示のcircRNA及び核酸は、WO/2013/086008、WO/2014/071219、WO/2015/117021、WO/2016/131052、WO/2018/035377、WO/2019/191341、WO/2021/003462、WO2021/231549、またはWO2021/222389に記載される方法または組成物に適合され、それにおいて使用され得る。同文献の内容全体は、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
【表1-1】

【表1-2】

【表1-3】

【表1-4】

【表1-5】

【表2-1】

【表2-2】

【表2-3】

【表2-4】

【表2-5】

【表2-6】

【表2-7】

【表2-8】

【表2-9】

【表2-10】

【表2-11】

【表2-12】

【表2-13】

【表2-14】

【表2-15】

【表2-16】

【表2-17】

【表2-18】

【表2-19】

【表2-20】

【表2-21】

【表2-22】

【表2-23】

【表2-24】

【表2-25】

【表2-26】

【表2-27】

【表2-28】

【表3-1】

【表3-2】

【表3-3】

【表3-4】

【表3-5】

【表3-6】
【0093】
上記の表に列挙されるEntrezエントリーは、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
【0094】
表1、表2、または表3に特定される例示的なタンパク質、ペプチド、または遺伝子の各々について、本開示は、例示的なタンパク質、ペプチド、または遺伝子のその天然または操作されたバリアント、ファミリーメンバー、オルソログ、断片、または融合構築物を考慮し、それを包含する。
【0095】
定義
以下の定義は、本明細書に開示される本発明に関連して使用される。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0096】
「インビボ」という用語は、対象の身体で起こる事象を指す。
【0097】
「エクスビボ」という用語は、対象の身体から取り出された細胞、組織、及び/または臓器を処置することまたはそれに対して手技を実施することを伴う事象を指す。適切に、細胞、組織、及び/または臓器は、処置方法または外科手術方法において対象の身体に戻されてもよい。
【0098】
本明細書で使用されるとき、「バリアント」という用語は、ある特定の位置での1つまたは複数の置換、欠失、及び/または付加のために参照物質の核酸またはアミノ酸配列とは異なる核酸またはアミノ酸配列を含む核酸またはタンパク質を包含するが、これに限定されない。バリアントは、1つまたは複数の保存的置換を含み得る。保存的置換は、例えば、同様に荷電したまたは非荷電のアミノ酸の置換を伴ってもよい。
【0099】
本明細書で使用される「担体」または「ビヒクル」は、薬物投与に好適な担体材料を指す。本明細書で有用な担体及びビヒクルには、無毒であり、組成物の他の構成成分と有害な様態で相互作用しない、当該技術分野で既知の任意のかかる材料、例えば、任意の液体、ゲル、溶媒、液体希釈剤、可溶化剤、界面活性剤、脂質等が含まれる。
【0100】
「薬学的に許容される」という語句は、本明細書において、賢明な医療判断の範囲内で、合理的なベネフィット/リスク比に見合って、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題もしくは合併症を伴わずにヒト及び動物の組織と接触して使用するのに好適な、化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指す。
【0101】
「薬学的に許容される担体」または「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、ありとあらゆる溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、ならびに不活性成分を含むことが意図される。医薬品有効成分のためのかかる薬学的に許容される担体または薬学的に許容される賦形剤の使用は、当該技術分野で周知されている。いずれかの従来の薬学的に許容される担体または薬学的に許容される賦形剤が医薬品有効成分と不適合性でない限り、本発明の治療用組成物におけるその使用が企図される。他の薬物等の追加の医薬品有効成分もまた、記載される組成物及び方法に組み込まれ得る。
【0102】
本明細書で使用されるとき、「a」、「an」、または「the」は、1つまたは1つよりも多くを意味し得る。
【0103】
本明細書で「約」または「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値に対して許容される誤差範囲内であることを意味し、これは値がどのように測定または決定されるか、例えば、測定システムの限界に部分的に依存する。例えば、「約」は、当該技術分野における慣習に従って、1標準偏差以内または1標準偏差超を意味し得る。代替として、「約」は、所与の値の最大20%、最大15%、最大10%、最大5%、または最大1%の範囲を意味し得る。さらに、参照される数字表示に関連して使用されるときの「約」という用語は、参照される数字表示と、その数字表示の最大10%を足したまたは差し引いたものを意味する。例えば、「約50」という文言は、45~55の範囲を包含する。代替として、特に生物系またはプロセスに関して、この用語は、値の一桁以内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味し得る。本明細書及び特許請求の範囲において特定の値が記載される場合、別途定めのない限り、その特定の値に対して許容される誤差範囲内であることを意味する「約」という用語が想定されるべきである。
【0104】
本願全体を通して、種々の実施形態が範囲形式で提示され得る。範囲形式での記載は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本開示の範囲に対する一定不動の制限として解釈されるべきではないことを理解されたい。したがって、範囲の記載は、その範囲内の個々の数値と同様に、全ての考えられる部分範囲を具体的に開示していると見なされるべきである。例えば、1~6等の範囲の記述は、1~3、1~4、1~5、2~4、2~6、3~6等といった部分範囲、ならびにそれらの範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、及び6を具体的に開示していると見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
【0105】
本明細書で使用されるとき、「含む」という語及びその変形は、リストにおける項目の列挙により、本技術の組成物及び方法において同じく有用であり得る他の同様の項目が除外されることのないように、非限定的であることが意図される。同様に、「~できる、~得る(can)」及び「~てもよい、~得る(may)」という用語ならびにそれらの変形は、ある実施形態がある特定の要素または特徴を含むことができる(can)、または含んでもよい(may)という列挙が、それらの要素または特徴を含有しない本技術の他の実施形態を除外するものではないように、非限定的であることが意図される。
【0106】
本開示及び/または特許請求の範囲のいずれかで使用される「含む(comprise)」、「含む(comprising)」、「含有する(contain)」、「含有する(containing)」、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「有する(with)」という用語、またはそれらの変形は、「含む(comprising)」という用語と同様の様態で包括的であることが意図される。本明細書では、本発明を説明及び特許請求するために、「含む(comprising)」という開放形式の用語が使用されるが、本発明、またはその実施形態は、代替として、「からなる(consisting of)」または「から本質的になる(consisting essentially of)」等の代替的な用語を使用して説明されてもよい。
【0107】
本明細書で使用されるとき、「好ましい」及び「好ましくは」という語は、ある特定の状況下で、ある特定の有益性をもたらす本技術の実施形態を指す。しかしながら、同じまたは他の状況下で、他の実施形態もまた好ましい場合がある。さらに、1つまたは複数の好ましい実施形態の列挙は、他の実施形態が有用でないことを黙示するものではなく、他の実施形態を本技術の範囲から除外することを意図するものではない。
【0108】
処置するとは、疾患の徴候または症状を低減することを含めて、少なくとも疾患を改善させることまたは疾患の影響を回避することを意味する。
【0109】
本明細書に記載の任意の態様または実施形態は、本明細書に開示される任意の他の態様または実施形態と組み合わせることができる。
【0110】
均等物
本発明は、その具体的な実施形態に関連して説明されたが、さらなる修正が可能であることが理解され、本願は、一般に本発明の原理に従って、また本発明が関連する既知または通例の慣習の範囲内に入るような本開示からの逸脱を含めて、本明細書に定められる本質的な特徴に適用され得るような、また添付の特許請求の範囲に従うような、本発明の任意の変形例、用途、または適合を包含することが意図される。
【0111】
当業者であれば、本明細書に明確に記載される具体的な実施形態に対する多数の均等物を認識するか、またはほんの日常的な実験を使用して確認することができる。かかる均等物は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図される。
【0112】
参照による援用
本明細書で参照される全ての特許及び刊行物は、参照によりそれらの全体が本明細書に援用される。
【0113】
本明細書で考察される刊行物は、本願の出願日より前のそれらの開示のために提供されるにすぎない。本明細書中のいかなるものも、本発明が、先行発明に基づいてかかる刊行物に先行する権利を有しないことを認めるものとして解釈されるべきではない。
【0114】
本明細書で使用されるとき、全ての見出しは、単に編成のためのものであり、本開示をいかなる様態でも限定することを意図するものではない。いずれの個々の節の内容も、全ての節に等しく適用可能であり得る。
【0115】
配列
複数の実施形態では、本開示は、例えば、組成物として及び/または本明細書に記載の方法において使用するために、下記の配列のうちのいずれか、またはそれに対して少なくとも約95%、もしくは少なくとも約97%、もしくは少なくとも約98%の同一性を有する配列を提供する。
【0116】
複数の実施形態では、配列のGFP部分(太字及び下線付きの文字を参照されたい)は、circRNAを産出するために異なるコード配列と交換されてもよい。
【化1-1】

【化1-2】

【化1-3】

【化1-4】
【実施例
【0117】
実施例1:circRNAの設計
図1は、非相補的及び相補的配列エレメントを介してRNA環状化を向上させる方法の概略図を示す。具体的には、相補性領域の上流に5’及び3’オーバーハングが存在し、これが例えば、RNAリガーゼを介して環状化を駆動する。
【0118】
図1は、種々の5’及び3’のRNA塩基付加から予測される二次構造を示す。丸で囲まれた領域は、最も5’側のヌクレオチドを示す。本明細書では、緩いヘアピン、堅いヘアピン、及び遊離/結合の3つのバージョンが示され、試験される。
【0119】
実施例2:circRNAの構築
図2に記載されるcircRNAを合成し、ゲル電気泳動を介して評価した。図2は、遊離末端とそれに続く結合末端(例えば、図1)を使用する手法が環状RNAの効率的な生成を可能にすることを示す。
【0120】
図3は、circRNAの生成を示すゲルである(条件については図2を参照されたい)。
【0121】
図4は、環状RNA合成中のRNA産物を示す。レーン1:インビトロ転写反応。レーン2:T4 RNAリガーゼ1を使用したivT産物の一晩のライゲーション。レーン3:子ウシ腸由来ホスファターゼ処理後のライゲーション産物。レーン4:子ウシ腸由来ホスファターゼ処理及び線状産物のRNase R消化後のライゲーション産物。
【0122】
実施例3:circRNAによるトランスフェクション
circRNAを、細胞のトランスフェクションにおけるその効率に関して試験した。図5は、120,000個のヒト初代皮膚線維芽細胞に、表示されるIRES、またはGFPをコードする線状RNAを含む750ngの環状RNAをエレクトロポレーションにより導入した実験を示す。エレクトロポレーションから24時間後に取得した代表的な画像が示される。図6は、120,000個のヒト初代皮膚線維芽細胞に、表示されるIRES、またはGFPをコードする線状RNAを含む750ngの環状RNAをエレクトロポレーションにより導入した実験を示す。エレクトロポレーションから48時間後に取得した代表的な画像が示される。図7は、エレクトロポレーションから72時間後のGFP発現を示す。120,000個のヒト初代皮膚線維芽細胞に、表示されるIRES、またはGFPをコードする線状RNAを含む750ngの環状RNAをエレクトロポレーションにより導入した。エレクトロポレーションから72時間後に取得した代表的な画像が示される。
【0123】
図8は、細胞の平均蛍光強度対時間を示す。明確化のために、時点72で、曲線は、上から下に、CVB3_v4、CVB3_v3、線状、EMCV、minE、及びCrPVである。120,000個のヒト初代皮膚線維芽細胞に、表示されるIRES、またはGFPをコードする線状RNAを含む750ngの環状RNAをエレクトロポレーションにより導入した。細胞をエレクトロポレーション後の表示される時点で撮像し、各緑色細胞の平均強度を算出した。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】