(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】冷却中の皮膚の凍結を判定するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 18/02 20060101AFI20240405BHJP
A61F 7/00 20060101ALI20240405BHJP
A61F 7/10 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
A61B18/02
A61F7/00 330
A61F7/10 322
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023565506
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-11-08
(86)【国際出願番号】 EP2022061241
(87)【国際公開番号】W WO2022229277
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519110847
【氏名又は名称】ハイ テクノロジー プロダクツ,エス.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リャウラド リコット,アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】モレノ ビラフランカ,ホセ ミゲル
(72)【発明者】
【氏名】ヴィレナ ガルシア,ホルヘ
(72)【発明者】
【氏名】ベルモンテ,デヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ヴィエラ,グレゴリオ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァケロ ガヤルド,ノエリア
【テーマコード(参考)】
4C099
4C160
【Fターム(参考)】
4C099AA02
4C099CA01
4C099EA08
4C099JA02
4C099LA08
4C099PA01
4C160JJ02
4C160MM22
(57)【要約】
本開示は、アプリケータ、そのようなアプリケータを備える冷却システム、及び被験者の皮膚のひだの冷却治療のための方法に関する。凍結事象を判定するための方法は、アプリケータの接触板と戻り電極との間の電気インピーダンスを測定することを含む。方法は、考えられる移動を判定することも含み、これはまた、電気インピーダンスの測定値に基づいてもよい。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の皮膚部分を冷却することによって、脂肪組織を低減するための冷却システムであって、ベースステーションと、1つ以上のアプリケータであって、
前記被験者の前記皮膚部分を冷却するために、前記被験者の前記皮膚部分と接触するための冷却面を有する冷却素子を備える、1つ以上のアプリケータと、を備え、
前記冷却素子が、導電性であり、前記冷却面が、実質的に非導電性であり、
前記冷却システムが、前記冷却素子と前記被験者の身体上に配置されるように構成された第1の戻り電極との間の電気インピーダンスに基づいて、前記被験者の前記皮膚の凍結を判定するように構成されている、冷却システム。
【請求項2】
前記アプリケータの前記冷却素子が、金属接触板、任意選択でアルミニウム板である、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記アプリケータの前記冷却面が、陽極酸化アルミニウム層である、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
電気インピーダンスを判定するための電流が、35mA未満、具体的には、1mA未満、より具体的には、0.5mA以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記アプリケータが、可撓性チューブで前記ベースステーションに結合されており、前記可撓性チューブが、前記ベースステーションと前記アプリケータとの間に電気及び/又は電子及び/又は空気圧接続を提供するように構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記第1の戻り電極が、前記被験者の末端上に配置されるように構成されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項7】
前記電気インピーダンスの変動に基づいて、前記被験者の前記皮膚の凍結を判定するように構成された、請求項1~6のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記冷却システムが、前記電気インピーダンスの時間微分に基づいて、前記皮膚の前記凍結を判定するように構成されている、請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記冷却システムが、前記冷却素子に対する前記被験者の移動又は前記皮膚部分の移動を判定するように更に構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記システムが、移動センサ電極と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスを判定することによって、前記冷却素子に対する前記被験者の前記移動又は前記皮膚部分の前記移動を判定するように構成されている、請求項9に記載の冷却システム。
【請求項11】
冷却治療中の凍結事象を、
前記冷却素子と前記被験者上に配置された前記第1の戻り電極との間の第1の電気インピーダンスを判定すること、
判定された前記第1の電気インピーダンスの時間微分を判定すること、
移動を検出するための機構を使用して、前記冷却素子に対する前記被験者の移動及び/又は前記被験者の皮膚部分の移動を含む、移動を判定すること、
前記第1の電気インピーダンスの前記時間微分が、第1の時間スロット中の1つ以上の凍結条件を満たす場合、かつ同じ時間スロット内の移動に起因する前記第1の電気インピーダンスの歪みが破棄される場合、前記凍結事象を判定することによって、判定するように構成された、請求項1~10のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項12】
前記第1の電気インピーダンスの前記時間微分が、一次時間微分であり、第1の凍結条件は、前記第1の電気インピーダンスの前記一次時間微分が、第1の時間スロット中に第1の凍結閾値を上回ることである、請求項11に記載の冷却システム。
【請求項13】
前記第1の凍結閾値が、前記一次時間微分の測定値に少なくとも部分的に基づいて判定される、請求項12に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記第1の時間スロット内の移動に起因する歪みは、考えられる移動の表示が、移動を検出するための前記機構から導出されない場合、又は移動を検出するための前記機構から導出された考えられる移動が、前記凍結条件の成立を引き起こすのに十分でない場合、破棄される、請求項11~13のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項15】
前記冷却システムが、移動センサ電極と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスを判定することによって、考えられる移動を検出するように構成されており、任意選択で、前記冷却システムは、前記第1の時間スロット中の前記移動センサ電極と前記移動センサ戻り電極との間の前記電気インピーダンスの一次時間微分が移動閾値を上回る場合、考えられる移動を検出するように構成されている、請求項14に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月28日に出願された欧州特許出願第21382374.3号からの優先権を主張する。
【0002】
本開示は、冷却中の皮膚の凍結事象を判定する方法及びシステムに関する。本開示は、そのようなシステムのアプリケータ、及び電気インピーダンスを測定することに基づいて、凍結事象を判定するための方法に関する。
【0003】
本開示はまた、脂肪組織を局所的に低減するための被験者の治療、特に、美容治療のための方法及びシステムに関し、より具体的には、安全な様式で脂肪組織を局所的に低減するための方法及びシステムに関する。
【0004】
US2016/0045755は、脂肪の低減に使用するためのシステム及び方法を開示している。いくつかの実施形態では、これらは、組織を加熱するためのコンデンサを形成する電極を有するアプリケータを含む。
【0005】
US2012/0022518は、体脂肪の低減及び輪郭形成のための脂肪組織への高周波及び凍結療法用途の送達を可能にするシステム及び方法を開示している。
【0006】
WO2007/093998は、脂肪組織の治療のための方法及び装置を開示する。方法は、脂肪組織の領域に超音波エネルギーを印加することを含む。一実施形態では、RF電界は、超音波エネルギーと一緒に脂肪組織の領域内に生成される。
【0007】
US2002/0049483は、皮膚界面を有するテンプレートを含む皮膚表面に流体冷却媒体を導入するための流体送達装置を開示している。エネルギー送達デバイスは、テンプレートに結合される。
【背景技術】
【0008】
背景
脂肪吸引は、患者の過剰な体脂肪を減らすために長年実践されてきた。被験者の皮膚のひだに低温を印加することによって、脂肪組織を局所的に低減することを目的とした、はるかに侵襲性の低い治療もまた、長年にわたって商業的に提供されてきた。皮下脂肪組織は、他の組織よりも冷たさにより敏感であることが見出されている。皮膚に低温を印加することによって、下にある脂質が豊富な細胞が損傷し、破壊されるのに対し、他の組織は損傷しないか、又は損傷が少ない。時間が経つにつれて、脂質が豊富な細胞は自然なアポトーシスプロセスによって死滅し、消失する。それによって、脂肪を局所的に低減するための美容治療を提供することができる。
【0009】
この種の低温治療の場合、空洞を含む1つ以上のアプリケータを有する治療装置が知られている。吸引は、空洞に適用されて、被験者の皮膚のひだを吸い込むことができる。1つ以上の熱伝導性(金属)接触板が、空洞の内部に提供されてもよい。熱電冷却素子(ペルチェ素子)を使用して、板を低温に冷却することができる。熱電冷却素子が最も広く使用されているにもかかわらず、例えば、導電性板を冷却する低温流体に基づく代替の冷却方法も使用され得る。
【0010】
接触板は、実質的に直線であってもよい。1つ以上の接触板は、アプリケータの空洞内に提供されてもよい。被験者の身体の領域に適合する単一の湾曲した接触板又は複数の湾曲した接触板も使用され得る。
【0011】
何らかの形態の温度制御は、通常、接触板の温度、ひいては皮膚の温度を制御するために提供される。いくつかの既知のデバイスでは、皮膚の温度は、治療中に測定され得る。代わりに、他の既知のデバイスでは、導電性板の温度が治療中に測定される。
【0012】
皮膚のひだを吸い込むことによって、皮膚と冷却素子(例えば、金属接触板)との間の改善された接触が達成される。更に、金属板の間に皮膚のひだを絞ることによって、局所的な血流を低減することができる。したがって、領域への熱の供給を低減することができ、冷却をより効果的にすることができる。皮膚のひだの吸引に依存しないアプリケータも知られている。
【0013】
患者への痛みを伴う重度の傷害のリスクは、そのような治療中の皮膚の凍結又は皮膚内の結晶形成に関連する。約0℃以下では、曝露時間に応じて皮膚の凍結が起こり得ることが知られている。
【0014】
皮膚の凍結を回避するために、凍結保護剤の使用が知られている。凍結保護剤は、生物組織を凍結損傷(すなわち、大きな氷結晶の形成による)から保護するために使用することができる物質である。
【0015】
そのような低温治療における凍結保護剤の使用に関連する課題のうちの1つは、凍結保護剤による皮膚の効果的な保護に関連する。低温治療が効果的であるために、治療は、長期間、例えば、30分超、より具体的には、45分超、更には1時間超の間、金属板に対して-5℃以下、例えば、-10℃以下の温度を印加し得る。
【0016】
US7,367,341は、制御された冷却による脂質が豊富な細胞の選択的破壊に使用するための方法に関する。皮膚の温度を監視及び制御するこれらの方法で用いられるフィードバック機構が記載されている。そのようなフィードバック機構は、例えば、温度を局所的に測定するための侵襲的な熱電対を含み得る。また、結晶形成を監視するために、超音波撮像、音響、光学及び機械的測定が言及されている。電気フィードバックデバイスは、表皮内の氷の形成によって引き起こされる表皮の電気インピーダンスの変化を監視するために使用され得る。これらの監視システムは、侵襲的な温度測定以外には詳細には説明されていない。
【0017】
WO2009/026471は、皮下脂質が豊富な組織からの熱からの熱の除去中の事象を監視又は検出するシステムを開示している。いくつかの実施例では、システムは、被験者の皮膚と接触している治療デバイスで温度の増加を検出し、温度の増加が治療事象に関連していると判定し、判定に基づいて、アクションを実行する。いくつかの実施例では、システムは、治療デバイスを遮断するか、オペレータに警告するか、又は判定された治療事象に応答して、冷却を低減する。
【0018】
これらの従来技術のシステムのいくつかに関連する1つの欠点は、それらが複雑であり、したがって、局所的に脂肪組織を低減するためのシステムに統合するのにコストがかかることである。これらの従来技術システムの多くに関連する別の欠点は、被験者の皮膚の局所的な凍結事象が検出されない可能性があることである。すなわち、プローブ又はセンサのすぐ近くにない皮膚の一部分に凍結が発生した場合、凍結が広がるまで凍結は検出されないことがある。凍結が検出された場合は、すでに損傷が発生している可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
依然として、皮膚の安全かつ効果的な治療を提供することができ、前述の問題のうちの1つ以上を回避又は軽減することができるデバイスの必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
概要
第1の態様では、被験者の皮膚部分を冷却するためのシステムのためのアプリケータが提供される。アプリケータは、被験者の皮膚部分を冷却するために、被験者の皮膚部分と接触するための冷却面を有する冷却素子を備える。冷却素子は導電性であり、冷却面は、冷却素子の残りの部分よりも低い導電性を有する。冷却システムは、冷却素子と被験者の身体上に配置されるように構成された第1の戻り電極との間の電気インピーダンスを判定するように構成されている。
【0021】
この態様によるアプリケータでは、電気インピーダンスを使用して、凍結事象を判定してもよい。この態様によるアプリケータでは、電気的インピーダンスは、従来技術から知られている点ごとの測定ではなく、冷却面のかなりの部分と第1の戻り電極との間で測定される。したがって、凍結事象の判定は、従来技術よりもより信頼性が高い場合がある。
【0022】
より低い導電率は、表面の導電率が冷却素子の導電率よりも少なくとも30%、具体的には、少なくとも50%低いことを意味する。特定の実施例では、冷却素子の表面は、実質的に非導電性であり得る。本開示を通して使用されるような実質的な非導電性は、1.000Ω.cm、又はそれ以上、具体的には、10.000Ω.cm以上の電気抵抗率を意味すると理解され得る。
【0023】
いくつかの実施例では、冷却素子は、金属接触板、任意選択で、冷却面として陽極酸化アルミニウム層を有するアルミニウム板であり得る。アルミニウムは、高い熱伝導率を有し、したがって、効果的かつ効率的な冷却素子を有する。陽極酸化されたアルミニウムは、比較的容易に提供され得る。その電気的特性は、その組成によって異なるが、例えば、109Ω.cm以上、更には1011Ω.cm以上の高い電気抵抗率を有することができる。
【0024】
いくつかの実施例では、冷却素子に電流を提供するための電気ケーブルであって、電気ケーブルは、ねじで冷却素子に取り付けられる。
【0025】
いくつかの実施例では、電気インピーダンスを判定するための電流は、35mA未満、具体的には、1mA未満、より具体的には、0.5mA以下である。非常に小さな電流を使用して電気インピーダンスを測定することができるため、冷却治療中のユーザ体験に悪影響を及ぼすことはない。
【0026】
いくつかの実施例では、アプリケータは、被験者の移動を測定するための加速度計を備え得る。他の実施例では、他の電極間の電気インピーダンスを使用して、被験者の、又は被験者の皮膚のひだに対するアプリケータの考えられる移動を判定してもよい。
【0027】
更なる態様では、ベースステーションと、本明細書に開示される実施例のうちのいずれかによる1つ以上のアプリケータと、を備える、被験者の皮膚部分を冷却するための冷却システムが提供される。アプリケータは、任意選択で、可撓性チューブを介して、ベースステーションに結合されるように構成されている。実施例では、そのような可撓性チューブは、制御ベースステーションとアプリケータとの間に電気及び/又は電子及び/又は空気圧接続を提供するように構成されてもよい。
【0028】
制御回路、電力供給、及び空気圧システムは、ベースステーション内に提供されてもよい。ベースステーションから、アプリケータを制御してもよい。測定値(例えば、温度、インピーダンス)は、アプリケータにおいて測定され、ベースステーションに提供され得る。実施例では、制御回路のうちのいくつかは、個々のアプリケータに提供されてもよい。
【0029】
いくつかの実施例では、第1の戻り電極は、被験者の末端上に配置されるように構成されている。電気インピーダンスの測定を改善するために、冷却素子と戻り電極との間の一定の距離が有益である。被験者の腕及び脚は、具体的には、冷却治療が腹部、顎下組織又は臀部に対して行われる場合、この目的に好適であってもよい。
【0030】
いくつかの実施例では、冷却システムは、電気インピーダンスに基づいて、特に電気インピーダンスの変動に基づいて、被験者の皮膚の凍結を判定するように更に構成され得る。凍結事象が電気インピーダンスに基づいて判定される場合、アプリケータは、移動を測定するための特定の追加の補助システムを必要としない。
【0031】
いくつかの実施例では、冷却システムは、電気インピーダンスの時間微分に基づいて、皮膚の凍結を判定するように更に構成され得る。電気インピーダンスの変動(及び具体的には時間微分)は、測定された電気インピーダンスの絶対値よりも凍結事象のより良い指標であることが見出されている。
【0032】
凍結事象とは別に、また、移動は、電気インピーダンスを使用して判定されてもよい。移動及び凍結事象の両方が同じ電気パラメータを使用して測定される場合、システム又はコンポーネントを組み合わせて異なる機能を統合し、複雑さを低減し、システムの独立した障害を低減することができる。システムは、移動センサ電極と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスを判定することによって、冷却素子に対する被験者の移動又は皮膚部分の移動を判定するように構成されてもよい。任意選択で、移動センサ戻り電極は、第1の戻り電極、すなわち、凍結事象の測定に使用されるのと同じ電極であってもよい。
【0033】
移動センサ電極は、皮膚のひだに対するアプリケータの移動が両方のシステムによって測定され得るように、皮膚のひだを受容するように構成されたアプリケータの空洞の近く又は周囲に配されてもよい。代わりに、冷却素子を伴うシステムだけが重要な事象を測定し、移動を検出するための他のシステムが測定しない場合、実際の事象の可能性が増加する。このようにして、偽陰性及び偽陽性の両方が低減され得る。
【0034】
更なる態様では、冷却治療中の凍結事象を判定する方法が提供される。冷却素子は、冷却治療中に被験者の皮膚部分を冷却する。方法は、冷却素子と被験者上に配置された第1の戻り電極との間の第1の電気インピーダンスを判定することと、判定された第1の電気インピーダンスの時間微分を判定することと、を含む。方法は、移動を検出するための機構を使用して、冷却素子に対する被験者の移動及び/又は被験者の皮膚部分の移動を含む、移動を判定することを更に含む。方法は、第1の電気インピーダンスの時間微分が、第1の時間スロット中の1つ以上の凍結条件を満たす場合、かつ同じ時間スロット内の移動に起因する第1の電気インピーダンスの歪みが破棄される場合、凍結事象を判定することによって、判定することを含む。
【0035】
偽陽性を低減するために、2つ以上の凍結条件が確立され得る。考えられる移動を判定するための2つ以上の基準が、偽陰性を低減するために確立され得る。
【0036】
時間微分は、時間に対する関数(この場合は、測定された第1の電気インピーダンス)の微分として理解され得る。判定された第1の電気インピーダンスの時間微分は、特に、一次時間微分又は二次時間微分であり得る。
【0037】
第1の時間スロット内の移動に起因する歪みは、考えられる移動の表示が、移動を検出するための機構から導出されない場合、又は移動を検出するための機構から導出された考えられる移動が、凍結条件の成立を引き起こすのに十分でない場合、破棄されてもよい。
【0038】
本開示全体を通して、「第1の時間微分」は、一次時間微分として理解されてもよく、すなわち、それは、時間に対する変数の変化率を表す。本開示を通して、「第1の時間微分」、「第1の時間微分」及び「一次微分」は、互換的に使用され得る。
【0039】
更に更なる態様では、脂肪組織を低減する方法、特に、脂肪組織を低減するための美容方法が提供される。方法は、本明細書に開示される実施例のうちのいずれかによる冷却システムを提供することと、被験者の皮膚部分と冷却システムの冷却素子との間に接触を提供することと、例えば、最大70分、90分、120分以上の期間にわたって被験者の皮膚部分を冷却することと、を含む。方法はまた、冷却中に本明細書に開示されるような凍結事象を判定する方法を実行することも含む。
【0040】
実施例では、凍結事象が検出された場合、かつ/又はアラームが生成され得る場合、かつ/又は(冷却の代わりに)一時的な加熱が、被験者の皮膚への損傷を回避するために行われ得る場合、皮膚部分の冷却が中断され得る。
【0041】
実施例では、方法は、冷却素子と第1の戻り電極との間の電気インピーダンスを判定することによって、かつ/又は移動電極と移動戻り電極との間の電気インピーダンスを判定することによって、冷却システムの正しい機能をチェックすることを更に含み得る。皮膚との適切な接触が提供される場合、電気インピーダンスは、予想される範囲内にある。そのような測定値は、皮膚のひだが接触板と接触していることを判定するために、冷却治療の開始中に、又は開始時に、又は冷却治療の開始前にさえ使用されてもよい。凍結保護剤(パッド)が使用される場合、凍結保護剤パッドの適切な配置は、電気インピーダンスを測定することによってもチェックされ得る。
【0042】
本開示を通して、「皮膚」という用語は、凍結事象に関連して使用される場合、真皮、表皮、又はその両方を指し得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本開示の非限定的な実施例は、添付の図面を参照して、以下に説明される。
【0044】
【
図2A】アプリケータ及びそのようなアプリケータを含む冷却システムの実施例を概略的に示す。
【
図2B】アプリケータ及びそのようなアプリケータを含む冷却システムの実施例を概略的に示す。
【
図3】実施例による脂肪組織を低減する方法を概略的に示す。
【
図4】実施例による冷却治療中の凍結事象を判定する方法を概略的に示す。
【
図5】冷却治療中の凍結事象を判定するための方法の更なる実施例を概略的に示す。
【
図6】冷却治療中の凍結事象を判定するための方法の更なる実施例を概略的に示す。
【
図7】実施例によるインピーダンスセンサの信号及びそのような信号を評価する方法を概略的に示す。
【
図7A】実施例によるインピーダンスセンサの信号及びそのような信号を評価する方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0045】
図1は、脂肪組織を低減する方法、特に脂肪組織を低減するための美容方法で使用され得る冷却システムの実施例を概略的に示す。
【0046】
方法は、
図1に示されるような冷却システムを提供することを含み得る。
図1の冷却システムは、ベースステーション100と、1つ以上のアプリケータ110、120と、を備える。ベースステーションは、冷却治療に関する情報を示してもよい画面を含むユーザインターフェース150を含んでもよい。
【0047】
ユーザインターフェース150は、触覚画面を含んでもよい。触覚画面及び/又は1つ以上の制御ボタン若しくはハンドルは、冷却治療のための好適な冷却治療及び/又はパラメータを調整するために使用されてもよい。
【0048】
アプリケータ110、120は各々、可撓性チューブ又はホース105、115を介して、ベースステーションに接続され得る。そのような可撓性チューブ105、115は、ベースステーションとアプリケータとの間に電気及び/又は電子及び/又は空気圧接続を提供するように構成されてもよい。
【0049】
ベースステーションは、電源、例えば、プラグを備えた電気ケーブルを有してもよい。
【0050】
アプリケータは、被験者の身体の異なる部分の冷却に適合された異なるサイズ及び形状を有し得る。脂肪組織を低減する方法では、被験者の皮膚のひだをアプリケータの空洞に導入してもよく、被験者の皮膚の一部分をアプリケータの冷却素子と接触させてもよい。
【0051】
冷却治療は、最大90分間の期間中に被験者の皮膚部分を冷却することを含み得る。冷却される皮膚部分に応じて、かつ治療の目的に応じて、持続時間及び他の設定(例えば、温度)は変化し得る。
【0052】
実施例では、皮膚部分を冷却することは、冷却素子の温度を0~-15℃、具体的には、-5℃~-13℃に制御することを含む。被験者の皮膚部分は、大腿部、臀部、腹部、顎下組織、膝、背中、顔、及び腕のうちの1つ以上であり得る。冷却システムは、複数のアプリケータを含んでもよく、複数の皮膚のひだを同時に治療することができる。
【0053】
長期間0℃未満の温度では、皮膚の凍結が発生する可能性がある。そのような凍結を回避するために、凍結保護剤を有するパッド又は吸収剤を使用してもよい。凍結保護剤は、皮膚を保護するために皮膚と冷却素子との間に提供されてもよい。
【0054】
本開示の実施例では、冷却治療を通して、凍結事象を判定する方法を連続的に実施してもよい。凍結事象が検出された場合、冷却治療は中断されてもよく、さもなければ、被験者の皮膚への損傷又は傷害を回避するために変更されてもよい。凍結事象が検出された場合、皮膚部分の冷却が中断されてもよい。実施例では、方法は、凍結事象が検出された場合、冷却素子を一時的に加熱することを含み得る。実施例では、オペレータが治療を手動で変更し、治療を中断し、ベースステーションなどを切断することによって介入できるように、凍結事象が検出された場合に、可聴アラーム又は視覚アラームが生成され得る。
【0055】
図2A及び2Bは、被験者90の皮膚のひだを治療するためのアプリケータ10及び冷却システムの実施例を概略的に示す。
図1の実施例と同様に、
図2Bの冷却システムは、ユーザインターフェース150を有するベースステーション100、及び複数のアプリケータ110、120、160を含み得る。アプリケータは、
図2Aに示されるアプリケータ10に類似していてもよい。
【0056】
アプリケータ10は、皮膚のひだを受容するための空洞2を含んでもよい。吸引システムに接続されたオリフィスは、空洞2の底部に提供されてもよい。皮膚のひだをアプリケータに吸い込むためのポンプ及び電源は、ベースステーションに組み込まれてもよい。可撓性チューブ又はホース5は、アプリケータ10を対応するベースステーションに接続し得る。アプリケータ10は、チューブ5に結合するための好適な結合を含み得る。吸引又は真空を提供することは、治療される皮膚のひだと、空洞内に配された1つ以上の接触板3との間の接触を確実にするのに役立つことができる。
【0057】
治療される皮膚のひだに応じて、アプリケータは、1つ以上の直線接触板、例えば、空洞の反対側の位置にある2つの接触板を含んでもよい。他の実施例では、湾曲してもよく、かつ/又はカップのような形状であってもよい単一の接触板。
【0058】
被験者の皮膚部分を冷却するためのシステムのためのアプリケータ10は、被験者の皮膚部分を冷却するために、被験者の皮膚部分と接触するための冷却面を有する冷却素子3を備える。冷却素子は導電性であり、冷却面は、冷却素子の残りの部分よりも低い導電性を有する。冷却システムは、冷却素子3と被験者の身体上に配置されるように構成された第1の戻り電極190との間の電気インピーダンスを判定するように構成されてもよい。
【0059】
冷却素子3は、金属接触板、任意選択で、アルミニウム板であってもよい。アルミニウム板は、比較的良好な熱伝導率を有し得る。アプリケータは、金属接触板を冷却するように構成された熱電冷却器を更に備え得る。接触板の各々は、ペルチェ素子で冷却されてもよい。ペルチェ素子に供給される電力を制御することによって、接触板の温度、したがって、皮膚のひだの冷却を制御することができる。温度センサは、皮膚と接触して配されてもよく、又は代替的に、接触板、又はペルチェ素子の温度を測定してもよい。
【0060】
冷却面は、実質的に電気的に非導電性であり得る。冷却面のより高い抵抗率は、接触板全体がインピーダンス測定のための電極として機能し得ることを意味する。冷却面は、電気的に非導電性のコーティングを含む。冷却面は、陽極酸化アルミニウム層であってもよい。
【0061】
アプリケータ10は、冷却素子に電流を提供するための電気ケーブルを備えてもよく、電気ケーブルは、ねじで冷却素子に取り付けられる。電気インピーダンスを判定するための電流は、35mA未満、具体的には、1mA未満、より具体的には、0.5mA以下であり得る。
【0062】
アプリケータ10は、移動を判定するための機構を更に備え得る。移動は、アプリケータの移動、アプリケータに対する皮膚のひだの移動、又は被験者の移動を含み得る。そのような移動は、電気インピーダンスの測定に影響を与える可能性があり、したがって、凍結事象の判定の信頼性に影響を与える可能性がある。
【0063】
いくつかの実施例では、アプリケータ10は、被験者の移動を測定するための加速度計を含み得る。他の実施例では、更なるインピーダンス測定を使用して、移動を検出してもよい。
【0064】
いくつかの実施例では、第1の戻り電極190は、被験者の末端上に配置されるように構成されてもよい。接触板3と第1の戻り電極190との間の電気インピーダンスは、皮膚の考えられる凍結を判定するために測定され得る。
【0065】
冷却システムは、電気インピーダンスに基づいて、特に、アプリケータからの電気インピーダンスに関する信号を受信し、信号を分析することによって、電気インピーダンスの変動に基づいて、被験者の皮膚の凍結を判定するように構成され得る。
【0066】
実施例では、冷却システムは、電気インピーダンスの時間微分に基づいて、皮膚の凍結を判定するように構成され得る。特に、電気インピーダンスの変動は、凍結事象の信頼できる指標であり得ることが見出されている。
【0067】
実施例では、冷却システムは、(
図2Aにおける)移動センサ電極14と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスを判定することによって、冷却素子に対する被験者の移動又は皮膚部分の移動を判定するように更に構成されている。
図2Bでは、移動センサ電極14は、アプリケータに統合されている。移動センサ電極は、例えば、ねじなどの締結具によって、又は接着剤若しくは任意の他の好適な手段によって、アプリケータに取り付けられてもよい。実施例では、考えられる凍結を判定するために電気インピーダンスを測定するための好適なシステムでアプリケータをアップグレード又は改造することができるキットを提供することができる。
【0068】
代替的な実施例では、移動センサ電極180は、アプリケータから分離され得る。
【0069】
実施例では、移動センサ戻り電極は、第1の戻り電極190、すなわち、接触板と組み合わせて使用される同じ戻り電極であり得る。
【0070】
図3は、実施例による脂肪組織を低減する方法を概略的に示す。本明細書に開示される実施例のうちのいずれにおいても、治療される皮膚のひだは、被験者の以下の領域のうちの1つであり得る:大腿、臀部、腹部、顎下組織、膝、背中、顔、腕。本明細書に開示される実施例のうちのいずれにおいても、いくつかの皮膚のひだは、同時に治療されてもよい。例えば、単一の治療デバイスは、2つ以上のアプリケータを含んでもよく、アプリケータは、異なる皮膚のひだに同時に適用されてもよい。
【0071】
ブロック210において、冷却のための構成が、判定されてもよい。構成は、特に、どの身体部分が治療されるかに依存し得る。特に、冷却温度及び冷却時間を構成してもよい。冷却温度は、治療された領域内の被験者の身体の温度(例えば、表皮で測定された温度)、又は冷却素子の温度に関連し得る。
【0072】
実施例では、治療デバイスの接触板は、0℃未満、より具体的には、-5℃未満の温度で15~90分間維持されてもよい。特に、接触板は、20~75分間皮膚と接触して維持されてもよい。治療時間は、治療されている皮膚の領域に適合され得る。皮膚のいくつかの領域の治療時間は、例えば、30~50分であってもよく、皮膚の他の領域の治療時間は、例えば、60~75分であってもよい。
【0073】
いくつかの実施例では、冷却システムのベースステーションは、いくつかの所定の記憶された冷却プログラムを有し得る。オペレータは、選択される治療又は治療される身体部分を単に選択し得る。代替的に、ベースステーションは、どのアプリケータが作動しているか、又はベースステーションに接続されているかを判定することができ得る。アプリケータが単一の領域でのみ使用することができる場合、ベースステーションは、したがって、治療されている領域又は身体部分を自動的に認識し、好適な構成を自動的に選択し得る。代替的に、ベースステーションは、アプリケータを認識することができるが、オペレータは、特定のアプリケータで治療することができる異なる領域又はゾーンのどの特定の領域、ゾーン又は身体部分が治療されるかを示す(例えば、ベースステーション上で選択する)。
【0074】
皮膚のひだは、アプリケータに導入され得る。凍結保護剤は、アプリケータ内の皮膚のひだと接触板との間に配されてもよい。ブロック220では、脂肪組織を冷却して局所的に脂肪を低減する目的で、皮膚のひだを特に冷却してもよい。
【0075】
冷却治療の間、ブロック230で連続的な監視を行い、凍結事象を検出し得る。そのような凍結事象がブロック230で検出された場合、凍結は、冷却システムの切断、接触板の(一時的な)ウォームアップ、冷却システムのシャットダウン及び他を含む、本明細書でコメントされる様々な方法のうちのいずれかで、ブロック240で緩和され得る。
【0076】
図4は、実施例による冷却治療中の凍結事象を判定する方法を概略的に示す。冷却治療中、インピーダンスは、実質的に連続的に測定され得る。ブロック310でインピーダンスを測定することは、金属接触板と第1の戻り電極との間で電気インピーダンスが測定されることを意味する。測定インピーダンスは、例えば、1kHz~1000kHzの周波数、具体的には、10kHz~200kHzの間で行われ得る。
【0077】
ブロック320において、測定されたインピーダンスに基づいて、ユーザの皮膚の考えられる凍結事象が判定され得る。電気インピーダンスが凍結事象を疑わないような方法で発生する場合、フロー図は、ブロック340に進み、結論は、凍結事象がないということである。方法が連続的であること、すなわち、測定インピーダンスが連続的に実行され得、したがって、凍結に関して連続的な結論に達し得ることは明らかであるべきである。
【0078】
ブロック320において、考えられる凍結事象が検出される場合、ブロック350において、考えられる移動があるかどうかの判定が行われてもよい。実施例では、移動はブロック330で連続的に測定され得る。ブロック310で測定された電気インピーダンスが、凍結が検出されるような方法で発生し、同時に移動が検出されない場合、ブロック360で凍結事象があるという結論に達し得る。考えられる移動をチェックする理由は、移動が凍結事象と同様のインピーダンス変化を引き起こす可能性があるため、誤検知を低減することである。
【0079】
この実施例によれば、考えられる移動は、連続的に測定され得るが、考えられる移動の評価は、凍結事象が疑われる場合にのみ行われる。
【0080】
代替的な実施例を
図5に示す。
図4のように、冷却素子と被験者上に配置された第1の戻り電極との間の移動及び電気インピーダンスを連続的に測定し得る(ブロック310、330)。移動は、移動センサ電極と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスを判定することによって測定され得る。移動センサ戻り電極は、第1の戻り電極であってもよい。
【0081】
互いに独立して、かつ連続的に、考えられる凍結素子が検出され得、考えられる移動が検出され得る(ブロック320、340)。
【0082】
凍結事象が疑われない限り、ブロック340において、凍結事象が存在せず、したがって、冷却治療を中断又は修正する理由がないという結論に達する。凍結事象が疑われる場合、移動が凍結事象の判定に影響を与えた可能性があるかどうかを検証する。同時に、凍結素子が疑われ、移動がこれを引き起こすことができないという判定がなされる場合、ブロック360で、凍結事象が発生した、又は発生しているという結論に達する。
【0083】
図5の実施例では、更なるブロック370が導入されている。凍結事象が疑われ、同時に移動が疑われる場合、実際の凍結事象があるかどうかを判定するために更なるチェックが行われる。ブロック370において、更なる評価は、移動検出のために測定された電気インピーダンスの発生又は変動と、凍結事象を判定するために測定された電気インピーダンスとを比較することによって行われ得る。凍結事象が発生した場合、電気インピーダンスは、両方の測定で増加し得るが、冷却素子と戻り電極との間でより顕著であり得る。
【0084】
図4及び5の実施例のうちのいずれかにおいて、電気インピーダンスについて1つ以上の凍結条件が満たされる場合、凍結事象が疑われ得る。
【0085】
実施例のうちのいずれかにおいて、冷却素子が被験者の皮膚部分を冷却する、冷却治療中の凍結事象を判定する方法は、冷却素子と被験者上に配置された第1の戻り電極との間の第1の電気インピーダンスを判定すること(ブロック310)と、判定された第1の電気インピーダンスの時間微分を判定することと、を含む。
【0086】
特に、一次時間微分が使用されてもよい。一次時間微分は、第1の電気インピーダンスの変化の速度を示し、一次時間微分が閾値を上回る場合、考えられる凍結事象を確実に示すことができることが見出されている。
【0087】
他の実施例では、二次時間微分が使用されてもよい。二次時間微分は、第1の電気インピーダンスの加速度を示す。二次時間微分の経時的な外れ値はまた、考えられる凍結事象を示し得る。一実施例では、二次tim微分の絶対値は、閾値と比較されてもよい。
【0088】
方法は、移動を検出するための機構を使用して、冷却素子に対する被験者の移動及び/又は被験者の皮膚部分の移動を含む、移動を判定すること(ブロック320)を更に含み得る。
【0089】
凍結事象は、第1の電気インピーダンスの一次時間微分が、第1の時間スロット中の1つ以上の凍結条件を満たす場合、かつ同じ時間スロット内の移動に起因する第1の電気インピーダンスの歪みが破棄される場合、判定され得る。第1の凍結条件は、第1の電気インピーダンスの一次時間微分が、第1の時間スロットの間に第1の凍結閾値を上回ることである。
【0090】
いくつかの実施例では、第1の凍結閾値は、第1の時間微分の測定値に少なくとも部分的に基づいて判定される。実施例では、第1の凍結閾値は、経時的に変化し得る。
【0091】
更なる実施例を
図6に示す。ブロック405において、冷却素子と第1の戻り電極との間の電気インピーダンスに関する信号を受信してもよい。ブロック410において、フィルタは、受信された信号に適用されてもよい。特に、平均化フィルタが適用されてもよく、例えば、個々の測定点の数が合計され、平均化され、単一の測定時間(平均化された測定点の中央)に相関されてもよい。
【0092】
実施例では、インピーダンス測定は、1kHz~1.000kHz、具体的には、50~200kHz、より具体的には、約100kHzの周波数で行われ得る。
【0093】
平均化フィルタのサンプル時間は、0.1秒~数秒、具体的には、0.5秒~2.5秒であってもよい。
【0094】
同様に、ブロック505において、移動センサ電極と移動戻り電極との間の電気インピーダンスに関する信号が受信される。ブロック510において、同様の平均化フィルタが適用されてもよい。測定周波数及び平均化は、移動のインピーダンス測定値及び潜在的な凍結事象を検出するためのインピーダンス測定値と同じ又は同じ桁であってもよい。
【0095】
フィルタリング後、ブロック415、515において、両方の測定値の時間微分、特に一次時間微分が判定され得る。ブロック430及び440において、複数の凍結条件は、電気インピーダンスの一次時間微分に対して定義されてもよい。
【0096】
第1の凍結条件(ブロック430)は、第1の電気インピーダンスの一次時間微分が、第1の凍結閾値を上回るか、又は第1の時間スロットの間に所定の第1の凍結閾値の間にあることであり得る。したがって、凍結閾値は、電気インピーダンスの変化率の値に対応する。いくつかの実施例では、第1の凍結閾値は、経時的に変化し得る。任意選択で、一次時間微分の個々の値ではなく、むしろ2つ以上の時間内のモーメントの平均値を閾値と比較してもよい。
【0097】
一実施例では、
Impedance_variation=(電流インピーダンス変動-最後のインピーダンス変動)/2(式1)
Peak=impedance_variation/first_threshold_value(式2)
First_threshold_value=(fixed_threshold*gain_threshold)+(abs[impedance_variation]*gain_impedance)(式3)
【0098】
式1は、電気インピーダンスの一次時間微分の2つの時間スロットにわたる平均を表す。式2は、ピーク値を、電気インピーダンスの一次時間微分と閾値との間の比として定義する。ピークが所定のレベルにある場合、凍結事象が検出され得る。ピークが低い場合、電気インピーダンス変動が低すぎるため、凍結が発生する可能性は低い。ピークが高すぎる場合、電気インピーダンスの非常に急速な変動(例えば、皮膚と冷却素子又は同様のものとの間の接触の喪失)の別の原因がなければならないため、凍結事象は可能性が低い。式3は、特定の冷却治療における特定のコンポーネントからの測定値を考慮して、第1の閾値が経時的にどのように変化し得るかを示す。
【0099】
第2の凍結条件は、ブロック440で定義されてもよい。この実施例における第2の凍結条件は、第2の時間スロット中の一次時間微分の(自然な)対数値の積分が第2の凍結閾値を上回ることであり、第2の時間スロットは、第1の時間スロットよりも長い。
Ln_value=Σ(ln(peak)/second time slot(式4)
【0100】
第2の時間スロットは、第1の時間スロットよりも長くてもよい。第1の時間スロット(一次時間微分の場合)は、1~5秒、具体的には、1~4秒であり得る。第2の時間スロットは、より長くてもよい。一実施例では、第2の時間スロットは、5秒であってもよい。
【0101】
第1及び第2の凍結条件の両方が満たされた場合、アルゴリズムは、以下に説明するように、ブロック450又はブロック540に進む。凍結条件のうちのいずれか1つが満たされない場合、凍結が発生していないという結論がブロック490で引き出される。
【0102】
同時に、移動センサ電極と戻り電極との間の電気インピーダンスの一次時間微分は、ブロック515で判定され得、ブロック530では、第1の移動基準が定義され得る。
【0103】
第1の時間スロットの間の移動センサ電極と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスの一次時間微分が、移動閾値を上回る場合、又は所定の移動閾値の間である場合、考えられる移動が導出されてもよい(ブロック530)。ブロック530では、同様の式1~3が、移動センサに関連する信号に適用されてもよい。
移動閾値は、一次時間微分の測定値に少なくとも部分的に基づいて判定され得る。第1の移動閾値は、経時的に変化し得る。
【0104】
ブロック530で移動が判定されない、又は移動が疑われず、ブロック430及びブロック440で凍結が疑われる場合、ブロック450で第3の凍結条件をチェックしてもよい。
【0105】
実施例では、一次時間微分(特に、冷却素子と戻り電極との間の電気インピーダンス)は、第1のスパンを有する時間窓にわたって、及び第2のスパンを有する時間窓にわたって判定され得、第2のスパンは、第1のスパンよりも長くなる。実際には、異なる平均化フィルタが適用され得る。例えば、32個の測定点に基づく第1の平均化フィルタが適用されてもよく、同時に、64個の測定値に基づく第2の平均化フィルタが適用されてもよい。32及び64は、例として単に言及されるだけであることは明らかであるべきである。実施例では、「Haar」フィルタが使用される。
【0106】
ブロック450における第3の凍結条件は、第1の時間スロットの間に、第1のスパンにわたって判定された一次時間微分(この実施例では、32個の点を有する平均化フィルタ)が、第2のスパンにわたって測定された一次時間微分(64個の点を有する平均化フィルタ)と実質的に異なることで定義されてもよい。凍結が発生した場合、より短い時間スパンにわたって平均化フィルタを用いた一次時間微分は、より長い時間スパンにわたって平均化フィルタを用いた一次時間微分とは異なるであろう。代わりに、平均が有意に異なるわけではない場合、第3の凍結条件は満たされず、ブロック490で凍結事象がないという結論に達する。
【0107】
ブロック430、440で、第1及び第2の凍結条件が満たされ、ブロック530で移動基準が満たされる場合、移動が電気インピーダンス測定値を歪めたかどうかを更に判定してもよい。
【0108】
実施例では、第1の時間スロット内の移動に起因する歪みは、考えられる移動の表示が、移動を検出するための機構から導出されない場合、又は移動を検出するための機構から導出された考えられる移動が、凍結条件の成立を引き起こすのに十分でない場合、破棄されてもよい。
【0109】
したがって、方法は、第1の電気インピーダンスの時間微分及び移動センサ電極と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスに基づいて、追加の基準をチェックすることを含み得る。
【0110】
追加の基準は、第1の電気インピーダンスの時間微分と、移動センサ電極と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスの時間微分との比が、閾値を上回ることである。
Ratio=Impedance_variation_freezing/impedance_variation_movement(式5)
【0111】
式5の比が特定の閾値を上回っている場合、これは、凍結のための電気インピーダンスの一次時間微分が、移動のための電気インピーダンスの一次時間微分よりも有意に高いことを示す。
【0112】
いくつかの実施例では、追加の基準は、第1の時間スロット、すなわち、第1及び第2の凍結条件と同じ時間スロットについて判定され得る(ブロック540)。他の実施例では、追加の基準は、第1の時間スロットの後に判定され得る。
【0113】
図7及び7Aは、実施例によるインピーダンスセンサの信号及びそのような信号を評価する方法を概略的に示す。
図7では、上部に、凍結(冷却素子と戻り電極との間、参照符号600)及び移動(移動電極と対応する電極との間、参照符号610)のためのインピーダンス測定値のフィルタリングされた信号が示されている。
【0114】
平均化フィルタ及び導出された一次時間微分を適用した後、結果は、それぞれ参照符号602、及び612で図の下部に示される。
図7では、凍結事象が疑われ得る2つの異なる時間窓、A及びBが識別されている。特に、窓Bでは、特定の「ジャンプ」又は電気インピーダンスの増加が認識され得る。
【0115】
凍結事象を判定するための方法の
図4、5、及び6の前述の実施例は、以下のようにこれらの3つの時間窓に適用され得る。
【0116】
図7Aは、時間窓Aをより詳細に示す。参照符号620は、経時的に変化する一次時間微分の閾値を示す。式1~3を参照すると、閾値は、最小ピーク値に対応し得る。
図7Aにおいて、平均化フィルタを適用した後の結果として生じる信号は、フィルタリングされていない信号よりも特定の増加の識別をより容易に可能にすることが見られ得る。例えば、
図6の実施例を参照すると、時間窓Aにおいて、第1の凍結条件が満たされていることが判明し得るが、第2の凍結条件が満たされていないことが見出され得る。その結果、凍結事象が検出されず、冷却治療が正常に続く可能性がある。
【0117】
時間窓Bでは、第1及び第2の凍結条件が満たされていることが見出され得る。同時に、移動センサはまた、対応する閾値を上回るピークを示す。すなわち、
図6のブロック530において、電気インピーダンスの十分な増加もまた、移動センサ電極と戻り電極との間で測定されるため、考えられる移動が検出される。
図6の実施例を適用すると、アルゴリズムはブロック540に渡され、両方の電気インピーダンスの一次時間微分の比較が行われ得る。時間窓Bの場合、式5で定義される比が満たされていることが見出され得、凍結事象が発生した、又は発生しているという結論に達することができる。
【0118】
電気インピーダンスセンサの測定値を使用して、アプリケータ及び皮膚のひだの正しい位置決めを判定することもできる。センサの測定値が、特に、治療の開始時に異常なパターンを示す場合、これは、アプリケータが正しく配置されていないこと、凍結防止パッドが好適に配置されていないこと、又は別の問題、したがって、使用者の皮膚が適切に保護されていないこと、及び/又は冷却治療が効果的でないことを示し得る。
【0119】
本明細書に開示される方法の実施例は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及びそれらの組み合わせで実装されてもよい。
【0120】
本明細書の開示に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、回路、及びアルゴリズムステップが、電子ハードウェア、コンピュータソフトウェア、又は両方の組み合わせとして実装され得ることを当業者は更に理解するであろう。ハードウェア及びソフトウェアのこの互換性を明確に説明するために、様々な例示的なコンポーネント、ブロック、モジュール、回路、及びステップが、それらの機能性の点で、全般的に上記で説明されている。そのような機能性がハードウェア又はソフトウェアとして実装されるかどうかは、システム全体に課される特定のアプリケーション及び設計の制約に依存する。当業者は、特定の用途ごとに様々な方法で説明された機能性を実装し得る。
【0121】
本明細書の開示に関連して説明される様々な例示的な論理ブロック、モジュール、及び回路は、本明細書で説明される機能を実行するように設計された1つ以上の汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、クラウドコンピューティングアーキテクチャ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、又は他のプログラマブルロジックデバイス(PLC)、別個のゲート又はトランジスタ論理、別個のハードウェアコンポーネント、又はそれらの任意の組み合わせで実装又は実行され得る。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替的に、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、又は状態機械であり得る。プロセッサはまた、コンピューティングデバイス、例えば、DSPとマイクロプロセッサとの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと併せた1つ以上のマイクロプロセッサ、又は任意の他のそのような構成の組み合わせとして実装され得る。
【0122】
本開示の様々な態様は、以下の番号付き条項に記載される。
条項1.被験者の皮膚部分を冷却するためのシステムのためのアプリケータであって、
被験者の皮膚部分を冷却するために、被験者の皮膚部分と接触するための冷却面を有する冷却素子を備える、アプリケータと、を備え、
冷却素子が、導電性であり、冷却面が、冷却素子の残りの部分よりも低い導電性を有し、
冷却システムが、冷却素子と被験者の身体上に配置されるように構成された第1の戻り電極との間の電気インピーダンスを判定するように構成されている、アプリケータ。
条項2.冷却素子が、金属接触板、任意選択でアルミニウム板である、条項1に記載のアプリケータ。
条項3.金属接触板を冷却するように構成された熱電冷却器を更に備える、条項2に記載のアプリケータ。
条項4.冷却面が、陽極酸化アルミニウム層である、条項2又は3に記載のアプリケータ。
条項5.冷却面が、実質的に非導電性である、条項1~4のいずれか一項に記載のアプリケータ。
条項6.冷却面が、電気的に非導電性のコーティングを含む、条項5に記載のアプリケータ。
条項7.冷却素子に電流を提供するための電気ケーブルを備え、電気ケーブルがねじで冷却素子に取り付けられる、条項1~6のいずれか一項に記載のアプリケータ。
条項8.皮膚のひだを受容するように構成された空洞を含み、冷却素子が空洞内に配され、皮膚のひだを冷却するように構成されている、条項1~7のいずれか一項に記載のアプリケータ。
条項9.電気インピーダンスを判定するための電流が、35mA未満、具体的には、1mA未満、より具体的には、0.5mA以下である、条項1~8のいずれか一項に記載のアプリケータ。
条項10.被験者の移動を測定するための加速度計を備える、条項1~9のいずれか一項に記載のアプリケータ。
条項11.ベースステーションと、ベースステーションに結合されるように構成された条項1~10のいずれか一項に記載の1つ以上のアプリケータと、を備える、被験者の皮膚部分を冷却するための冷却システム。
条項12.アプリケータが、可撓性チューブでベースステーションに結合されている、条項11に記載の冷却システム。
条項13.可撓性チューブが、制御ベースステーションとアプリケータとの間に電気及び/又は電子及び/又は空気圧接続を提供するように構成されている、条項12に記載の冷却システム。
条項14.第1の戻り電極が、被験者の末端上に配置されるように構成されている、条項11~13のいずれか一項に記載の冷却システム。
条項15.電気インピーダンスに基づいて、特に、電気インピーダンスの変動に基づいて、被験者の皮膚の凍結を判定するように更に構成された、条項11~14のいずれか一項に記載の冷却システム。
条項16.冷却システムが、電気インピーダンスの時間微分に基づいて、皮膚の凍結を判定するように更に構成されている、条項15に記載の冷却システム。
条項17.冷却システムが、冷却素子に対する被験者の移動又は皮膚部分の移動を判定するように更に構成されている、条項11~16のいずれか一項に記載の冷却システム。
条項18.システムが、移動センサ電極と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスを判定することによって、冷却素子に対する被験者の移動又は皮膚部分の移動を判定するように構成されている、条項17に記載の冷却システム。
条項19.移動センサ戻り電極が、第1の戻り電極である、条項18に記載の冷却システム。
条項20.移動センサ電極が、アプリケータ上に配される、条項18又は19に記載の冷却システム。
条項21.移動センサ電極が、皮膚のひだを受容するように構成されたアプリケータの空洞の近く又は周りに配される、条項20に記載の冷却システム。
条項22.移動センサ電極が、特に、接着剤又は締結具を用いて、アプリケータに取り付けられる、請求項20又は21に記載のシステム。
条項23.冷却治療中に凍結事象を判定する方法であって、冷却素子が、被験者の皮膚部分を冷却し、方法が、
冷却素子と被験者上に配置された第1の戻り電極との間の第1の電気インピーダンスを判定することと、
判定された第1の電気インピーダンスの時間微分を判定することと、
移動を検出するための機構を使用して、冷却素子に対する被験者の移動及び/又は被験者の皮膚部分の移動を含む、移動を判定することと、
第1の電気インピーダンスの時間微分が、第1の時間スロット中の1つ以上の凍結条件を満たす場合、かつ同じ時間スロット内の移動に起因する第1の電気インピーダンスの歪みが破棄される場合、凍結事象を判定することと、を含む、方法。
条項24.判定された第1の電気インピーダンスの時間微分が、第1の電気インピーダンスの二次時間微分である、条項23に記載の方法。
条項25.判定された第1の電気インピーダンスの時間微分が、第1の電気インピーダンスの一次時間微分である、条項23に記載の方法。
条項26.第1の凍結条件は、第1の電気インピーダンスの一次時間微分が、第1の時間スロットの間に第1の凍結閾値を上回ることである、条項25に記載の方法。
条項27.第1の凍結閾値が、第1の時間微分の測定値に少なくとも部分的に基づいて判定される、条項26に記載の方法。
条項28.第1の凍結閾値が、経時的に変化する、条項27に記載の方法。
条項29.第2の凍結条件は、第2の時間スロット中の一次時間微分の対数値の積分が第2の凍結閾値を上回ることであり、第2の時間スロットが、第1の時間スロットよりも長い、請求項26~28のいずれか一項に記載の方法。
条項30.一次時間微分が、第1のスパンを有する時間窓にわたって、及び第2のスパンを有する時間窓にわたって判定され、第2のスパンが、第1のスパンよりも長い、請求項26~29のいずれか一項に記載の方法。
条項31.第3の凍結条件は、第1の時間スロットの間に、第1のスパンにわたって判定された第1の時間微分が、第2のスパンにわたって測定された第1の時間微分と実質的に異なることである、条項30に記載の方法。
条項32.第1の時間スロット内の移動に起因する歪みは、考えられる移動の表示が、移動を検出するための機構から導出されない場合、又は移動を検出するための機構から導出された考えられる移動が、凍結条件の成立を引き起こすのに十分でない場合、破棄される、条項23~31のいずれか一項に記載の方法。
条項33.考えられる移動を検出することは、移動センサ電極と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスを判定することを含む、条項23~32のいずれか一項に記載の方法。
条項34.移動センサ戻り電極が、第1の戻り電極である、条項33に記載の方法。
条項35.第1の時間スロット中の移動センサ電極と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスの一次時間微分が移動閾値を上回る場合、考えられる移動が導出される、条項33又は34に記載の方法。
条項36.移動閾値が、一次時間微分の測定値に少なくとも部分的に基づいて判定される、条項35に記載の方法。
条項37.移動閾値が、経時的に変化する、条項36に記載の方法。
条項38.第1の電気インピーダンスの時間微分、及び移動センサ電極と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスに基づいて、追加の基準をチェックすることを更に含む、条項35~37のいずれか一項に記載の方法。
条項39.追加の基準が、第1の電気インピーダンスの時間微分と、移動センサ電極と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスの時間微分との比が、閾値を上回ることである、条項38に記載の方法。
条項40.追加の基準が、第1の時間スロットについて判定される、条項39に記載の方法。
条項41.追加の基準が、第1の時間スロットの後に判定される、条項39に記載の方法。
条項42.脂肪組織を低減する方法、特に、脂肪組織を低減するための美容方法であって、
条項11~22のいずれか一項に記載の冷却システムを提供することと、
被験者の皮膚部分と冷却システムの冷却素子との間に接触を提供することと、
任意選択で、最大90分間の期間中に被験者の皮膚部分を冷却することと、
冷却中に、条項23~41のいずれか一項に記載の方法を実施することと、を含む、方法。
条項43.皮膚部分を冷却することは、冷却素子の温度を0~-15℃、特に、-5℃~-13℃に制御することを含む、条項42に記載の方法。
条項44.凍結事象が検出されると、皮膚部分の冷却が中断される、条項42又は43に記載の方法。
条項45.凍結事象が検出された場合に、冷却素子を一時的に加熱することを含む、条項42~44のいずれか一項に記載の方法。
条項46.凍結事象が検出された場合に、アラームが生成される、条項42~45のいずれか一項に記載の方法。
条項47.被験者の皮膚部分が、大腿部、臀部、腹部、顎下組織、膝、背中、顔、腕のうちの1つ以上である、条項42~46のいずれか一項に記載の方法。
条項48.冷却素子と第1の戻り電極との間の電気インピーダンスを判定することによって、かつ/又は移動電極と移動戻り電極との間の電気インピーダンスを判定することによって、冷却システムの正しい機能をチェックすることを更に含む、条項42~47のいずれか一項に記載の方法。
【0123】
いくつかの実施例のみが本明細書に開示されているが、他の代替例、修正例、使用、及び/又はその等価物が可能である。更に、説明された実施例の全ての考えられる組み合わせも網羅される。したがって、本開示の範囲は、特定の実施例によって限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲の公正な読み取りによってのみ判定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の皮膚部分を冷却することによって、脂肪組織を低減するための冷却システムであって、ベースステーションと、1つ以上のアプリケータであって、
前記アプリケータが、
前記被験者の前記皮膚部分を冷却するために、前記被験者の前記皮膚部分と接触するための冷却面を有する冷却素子を備える、1つ以上のアプリケータと、を備え、
前記冷却素子が、導電性であり、前記冷却面が、実質的に非導電性であり、
前記冷却システムが、前記冷却素子と前記被験者の身体上に配置されるように構成された第1の戻り電極との間の電気インピーダンスの時間微分に基づいて、前記被験者の前記皮膚の凍結を判定するように構成されて
おり、
前記冷却システムが、移動センサ電極と移動センサ戻り電極との間の電気インピーダンスを判定することによって、前記冷却素子に対する前記被験者の移動又は前記皮膚部分の移動を判定するように更に構成されている、冷却システム。
【請求項2】
前記アプリケータの前記冷却素子が、金属接触板、任意選択でアルミニウム板である、請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記アプリケータの前記冷却面が、陽極酸化アルミニウム層である、請求項2に記載の冷却システム。
【請求項4】
電気インピーダンスを判定するための電流が、35mA未満、具体的には、1mA未満、より具体的には、0.5mA以下である、請求項
3に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記アプリケータが、可撓性チューブで前記ベースステーションに結合されており、前記可撓性チューブが、前記ベースステーションと前記アプリケータとの間に電気及び/又は電子及び/又は空気圧接続を提供するように構成されている、請求項
1に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記第1の戻り電極が、前記被験者の末端上に配置されるように構成されている、請求項
1に記載の冷却システム。
【請求項7】
冷却治療中の凍結事象を、
前記冷却素子と前記被験者上に配置された前記第1の戻り電極との間の第1の電気インピーダンスを判定すること、
判定された前記第1の電気インピーダンスの時間微分を判定すること、
移動を検出するための機構を使用して、前記冷却素子に対する前記被験者の移動及び/又は前記被験者の皮膚部分の移動を含む、移動を判定すること、
前記第1の電気インピーダンスの前記時間微分が、第1の時間スロット中の1つ以上の凍結条件を満たす場合、かつ同じ時間スロット内の移動に起因する前記第1の電気インピーダンスの歪みが破棄される場合、前記凍結事象を判定することによって、判定するように構成された、請求項
1に記載の冷却システム。
【請求項8】
前記第1の電気インピーダンスの前記時間微分が、一次時間微分であり、第1の凍結条件は、前記第1の電気インピーダンスの前記一次時間微分が、第1の時間スロット中に第1の凍結閾値を上回ることである、請求項
7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記第1の凍結閾値が、前記一次時間微分の測定値に少なくとも部分的に基づいて判定される、請求項
8に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記第1の時間スロット内の移動に起因する歪みは、考えられる移動の表示が、移動を検出するための前記機構から導出されない場合、又は移動を検出するための前記機構から導出された考えられる移動が、前記凍結条件の成立を引き起こすのに十分でない場合、破棄される、請求項
7~
9のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項11】
前記冷却システムは、前記第1の時間スロット中の前記移動センサ電極と前記移動センサ戻り電極との間の前記電気インピーダンスの一次時間微分が移動閾値を上回る場合、考えられる移動を検出するように構成されている、請求項
10に記載の冷却システム。
【国際調査報告】