(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】光出力システム及び設計方法
(51)【国際特許分類】
H05B 47/16 20200101AFI20240405BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240405BHJP
H05B 47/165 20200101ALI20240405BHJP
B63B 59/06 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
H05B47/16
H05B47/105
H05B47/165
B63B59/06 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565892
(86)(22)【出願日】2022-04-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2022060200
(87)【国際公開番号】W WO2022228927
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】サルテルス バート アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ヒートブリンク ローラント ボウデワイン
(72)【発明者】
【氏名】ニーセン エドゥアルド マテウス ヨハネス
(72)【発明者】
【氏名】マルテンス ペーター
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA06
3K273PA09
3K273QA05
3K273QA07
3K273QA11
3K273QA33
3K273RA16
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA27
3K273TA28
3K273TA32
3K273TA41
3K273TA49
3K273UA22
(57)【要約】
本発明は、すべての関心領域に少なくとも最小光強度を与えるために関心領域に光を供給するための光出力システムを提供する。本システムは、(すべての関心領域について)最小光強度に達するために必要とされるよりも多い特定の種類の光源を有し、それらの光源はデューティサイクルを用いて動作させられる。デューティサイクルの比は、エネルギー節約並びに本システムの寿命の増加が得られるように、光源の数が最小数をそれだけ上回って増加した係数よりも大きい係数だけ低減される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
すべての関心領域に少なくとも最小光強度を与えるために前記関心領域に光を供給するための光出力システムであって、前記光出力システムは、
各々がそれぞれの動作光出力束を供給する第1の数の光源であって、前記光源のうちの前記第1の数より小さい第2の数の前記光源は、100%のデューティサイクルで且つ前記動作光出力束で動作されたときに、すべての前記関心領域に前記最小光強度を与えるのに十分であり、前記第1の数が前記第2の数の倍数αである、第1の数の光源と、
光出力周期期間中に或るデューティサイクルで前記第1の数の光源の各々を動作させ、それによって、前記関心領域内で与えられる最も低い光強度を前記最小光強度に向けて低減するためのコントローラであって、前記或るデューティサイクルの比βが1/αよりも小さい、コントローラと
を備えることを特徴とする、光出力システム。
【請求項2】
前記関心領域内の前記最も低い光強度が、光源間の空間に対応する1つ又は複数のロケーションにおいて生じるように、前記第1の数の光源がエリアにわたって又はボリューム全体にわたって分散される、請求項1に記載の光出力システム。
【請求項3】
産業用光出力システムを備える、請求項1又は2に記載の光出力システム。
【請求項4】
前記或るデューティサイクルの比が1/2αよりも小さいか、若しくは1/5αよりも小さいか、若しくは1/10αよりも小さいか、及び/又は、
前記倍数αが1.1~2の範囲内である、
請求項1から3のいずれか一項に記載の光出力システム。
【請求項5】
水中に沈んだ関心表面に生物付着防止光を供給するための、請求項1から4のいずれか一項に記載の光出力システム。
【請求項6】
前記或るデューティサイクルの周期が1秒~1週間の範囲内である、請求項5に記載の光出力システム。
【請求項7】
関心エリアに可視照明を与えるための請求項1から4のいずれか一項に記載の光出力システムであって、例えば、前記光出力システムは街灯出力システムを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の光出力システム。
【請求項8】
前記或るデューティサイクルの周期が10msを下回る、請求項7に記載の光出力システム。
【請求項9】
すべての関心領域に少なくとも最小光強度を与えるために前記関心領域に光を供給する方法であって、前記方法は、
各々がそれぞれの動作光出力束を供給する第1の数の光源を動作させるステップであって、前記光源のうちの前記第1の数より小さい第2の数の前記光源は、100%のデューティサイクルで且つ前記動作光出力束で動作されたときに、すべての前記関心領域に前記最小光強度を与えるのに十分であり、前記第1の数が前記第2の数の倍数αである、第1の数の光源を動作させるステップを有する方法において、
前記方法は、光出力周期期間中に或るデューティサイクルで前記第1の数の光源の各々を動作させ、それによって、前記関心領域内で与えられる最も低い光強度を前記最小光強度に向けて低減するステップであって、前記或るデューティサイクルの比βが1/αよりも小さい、前記関心領域内で与えられる最も低い光強度を前記最小光強度に向けて低減するステップを有することを特徴とする、方法。
【請求項10】
関心領域に光を与えるための光出力システムを設計するコンピュータ実装方法であって、前記コンピュータ実装方法は、
すべての前記関心領域に到達するように最小光強度を設定するステップと、
動作光出力束を供給する光源について、前記動作光出力束において、100%のデューティサイクルで且つ前記動作光出力束で動作されたときに、すべての前記関心領域に前記最小光強度を与えるのに十分である、前記光源の最小数を決定するステップと、
各々がそれぞれの前記動作光出力束を供給する第1の数の光源を選択するステップであって、前記第1の数が、前記最小数の1倍よりも大きい倍数αである、第1の数の光源を選択するステップと、
前記第1の数の光源の動作のための或るデューティサイクルを選択し、それによって、前記関心領域内で与えられる最も低い光強度を前記最小光強度に向けて低減するステップであって、前記或るデューティサイクルの比βが1/αよりも小さい、ステップと
を有することを特徴とする、コンピュータ実装方法。
【請求項11】
前記光出力システムについてのターゲット寿命を設定するステップを有し、前記第1の数の光源を選択することと、前記或るデューティサイクルを選択することとは、前記ターゲット寿命を考慮する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記或るデューティサイクルは、前記光源が、前記ターゲット寿命以上である寿命を有することになる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光出力システムのための設置コストと、前記光出力システムを動作させるためのエネルギーコストと、前記ターゲット寿命にわたって前記光出力システムをサービスするためのサービスコストとを決定するステップを有し、前記第1の数の光源を選択することと、前記或るデューティサイクルを選択することとが、前記設置コストと、前記エネルギーコストと、前記サービスコストとに基づく、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記方法は、総コストを最適化するために、前記第1の数の光源を選択するステップと、前記或るデューティサイクルを選択するステップとを有する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムであって、前記コンピュータプログラムコード手段は、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行させられるときに、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法を実施する、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、可視照明目的のために、又は生物付着防止(anti-biofouling)のためになどの表面処理目的のために、関心領域に光(可視又は不可視)を供給するための光出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの光出力システムは、より広いエリアをカバーするために、光源の分散したセットを利用する。一般に、強度は、光源に最も近くで最も高く、光源からの距離が増加するにつれて低下する。このことは以下の2つの主要な効果によるものである。
(i)光源から離れるほど、カバーされるエリアが広くなり、したがって強度が低下する。これにより、一般的な1/r2挙動をもつ低下が生じる(ここで、rは光源からの距離である)。
(ii)多くの適用例において、光がそれを通って進行する媒体は光の一部を吸収する。これにより、距離に伴う強度の指数関数的な低下が生じる。
【0003】
その結果、光源のセットからの組み合わせられた光分布は関心エリアにわたって不均一な光強度を有することになる。エリアにわたってより一定の強度プロファイルを生じさせるために光学構成要素が使用されるが、不均一性を回避することは困難であるか、又は実行不可能でさえある。
【0004】
分散型照明システムの一例は街路照明である。組み合わせられた光出力分布は、照明されるべきである街路(及び/又は舗道)のエリア(すなわち関心領域)がすべてのロケーションにおいて最小光強度に達することを保証する必要がある。
【0005】
分散型照明システムの別の例は防汚(anti-fouling)照明システムである。この場合も、処理されるべきエリア又はボリューム(すなわち関心領域)のすべてのロケーションにおいて、適切な防汚効果を保証するために最小強度に達する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
両方の事例において、この共通の目的を達成するために、複数の光源が、一般に、より広いエリアにわたって分散される。ある光源電力が与えられると、組み合わせられた強度がそこで最も低くなる、光源間のちょうど適正な(最小)強度を達成するために、光源間で許容される距離を計算することができる。光源を互いにさらに離して配置すると、それらの間にダークスポットが生じるが、それらを互いにより近付けると、必要とされる光源の量が不必要に増加し、したがってコスト(材料費並びにランニングコスト)が増加する。
【0007】
たいていの適用例についての光出力システムの1つの問題は、光源の寿命が限られている(一般に、UV LED並びに可視光LEDの両方について約10.000時間であり、蛍光灯についても同様である)ことである。例えば、道路、トンネル、船舶など、寿命が長いインフラストラクチャにおいて使用される光出力システムの場合、光出力システムの寿命はより長いほうが望ましい。
【0008】
寿命を増加させるための1つの選択肢は、例えば、光源の1つのセットをそれらの寿命の間使用し、次いで、さらなる寿命のために光源の別のセットに(リモートで)切り替えるために、所望の照明性能を与えるために必要とされるよりも多くの光源を与えることである。これによりサービスコスト及び交換コストは低減するが、初期設置コストは増加する。さらに、ランニングコストにおける利益はない。
【0009】
EP2765348は、均一な全体照度を与えるために、道路の異なるエリアを照明するために、異なるLEDが異なる照明角と異なる放射角とを利用する照明方法を開示している。
【0010】
米国特許第5451979号は、電源に過負荷がかからないように、いくつのLEDが通電されるかに応じてデューティサイクルが制御される、LEDディスプレイサインを開示している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は特許請求の範囲によって定義される。
【0012】
本発明の一態様による例によれば、すべての関心領域に少なくとも最小光強度を与えるために関心領域に光を供給するための光出力システムであって、本光出力システムは、
各々がそれぞれの動作光出力束を供給する第1の数の光源であって、前記光源のうちの前記第1の数より小さい第2の数の前記光源は、100%のデューティサイクルで且つ前記動作光出力束で動作させられたときに、すべての関心領域に前記最小光強度を与えるのに十分であり、第1の数が第2の数の倍数αである、第1の数の光源と、
光出力周期期間中に或るデューティサイクルで第1の数の光源の各々を動作させ、それによって、関心領域内で与えられる最も低い光強度を最小光強度に向けて低減するためのコントローラであって、或るデューティサイクルの比βが1/αよりも小さい、コントローラと
を備える、光出力システムが提供される。
【0013】
「光」という用語は、一般に、電磁放射を指すために使用され、可視光に限定されるものではない。本発明は、以下の例から明らかであるように、可視光出力システム及びUV光出力システムを主に対象としているが、本発明の原理は電磁スペクトル内のいかなる波長にも適用され得る。
【0014】
「光出力周期期間中」という用語は、単一種類の照明サイクルであると考えられる時間期間内にすべての光源が使用されることを意味するものである。例えば、夜間にはオンにし、日中にはオフにすることを伴う屋外の場合の照明のためのデューティサイクルは、照明はその場合光出力周期期間中に連続的であるので、本出願の文脈における「光出力周期期間中の」デューティサイクルではない。デューティサイクル周期期間は、したがって、十分に短いので、照明効果がデューティサイクルにわたって平均化され、デューティサイクル周期期間中に供給される所与の合計光束について光効果は同じである。したがって、1つの光出力周期期間は複数個のデューティサイクルを含み、各デューティサイクルは十分に短いので、そのデューティサイクルにわたる平均光強度のみが、与えられる照明効果に関連がある。例えば可視照明の場合、約10msよりも小さいデューティサイクル周期により、連続的であると知覚される照明が与えられ、「照明効果」は、その場合、眼によって連続的であると知覚される照明である。
【0015】
「動作光出力束」という用語は、光源が、意図された電力レベルにおいて永続的にオンにされて動作させられるときの光出力束を指すものである。したがって、動作光出力束は光源の光出力能力である。したがって、デューティサイクルで動作させられるとき、瞬間光出力束は同じであるが、経時的に平均化された光出力束はデューティサイクル比(すなわちデューティサイクル波形のオン時間とオフ時間との間の比)だけ低減される。
【0016】
本発明は、最小光強度を与えるために必要とされる光源よりも、(整数である必要がない)比αだけ多い光源を利用する。デューティサイクルを用いてそれらの光源を動作させることによって、各光源の寿命が増加する。これにより交換及び保守のコストが低減する。しかしながら、単に光源の数を増やし、比例してデューティサイクル比を低減する(例えば、光源の数を2倍にし、デューティサイクル比を50%にする)のではなく、デューティサイクルの比はさらに低減され、好ましくははるかに低減される。これにより、エネルギー消費量が低減され、それにより光源の初期追加コストが埋め合わせられるので、ランニングコストが低減する。初期コスト、エネルギーコスト並びにサービスコスト及び交換コストをすべて考慮に入れた場合、本発明はかなりの長期コスト削減を与える。
【0017】
第2の数の前記光源は、例えば、必要とされる最小光強度を達成することができる、(第1の数の光源と同じタイプの)いくつかの光源をもつ、概念的な(想像上の)照明システムに関することに留意されたい。この概念的な照明システムは、最小光強度を達成することができる最小数のそれらの特定の光源を有する。例えば、第2の数の光源は、最小数の光源、したがって最も低い初期投資を用いて関心領域にわたって最小光強度を達成する形で分散されると仮定することができる。
【0018】
本発明は、光源の数を増やし、(1つのセットを使用し、次いで別のセットを使用するのではなく)それらをすべて使用して光出力を与えることによって、より均一な全体的光分布が得られるという認識に基づく。このことは、水中、又は(例えば、ガラス、シリコーン又は透明なプラスチックから製造された)光ガイドを使用して光出力を分散させるときなど、光源間のかなりの光減衰があるいくつかの照明適用例において特に顕著である。このことは、デューティサイクルにより、単に光源の数の増加に比例するよりもはるかに光強度を低減することができることを意味する。特に、デューティサイクルの比は、関心領域内の任意の点において最小光強度に近付く前に、はるかに低減され得る。
【0019】
光出力システムの寿命は、光源のタイプにもよるが、ほぼ1/βに比例して増加する。例えば、β=0.1(10%)のデューティサイクルの比の場合、寿命は約10倍延長され得る。また、電力消費量は、(任意の所与のデューティサイクル周期中に照明を与えるためにすべてが動作している光源の数の増加を考慮に入れても)値αβによる倍数に基づいて低減する。この倍数αβは、β<1/αであるので、1よりも小さい値を有する。したがって、省電力化並びに寿命の増加が得られる(したがってサービスコストが低減する)。
【0020】
光強度は単位面積当たりの光束として表される。光は3Dボリュームに供給され、関心領域はその3Dボリューム内の表面である。しかしながら、「光強度」は、代わりに、光がボリュームを照明するためである例では、エネルギー密度であると考えられる。
【0021】
光源(第1の数)はすべて同時に動作させられる。このことは、しかしながら、それらが同時にオンにされる必要があることを意味しない。それらの光源は、一般的なデューティサイクル周期の異なる部分の間、オンにされることがある。それらの光源は、すべてが同じ光出力束を有しないことがあり、異なるタイプの異なる光源があり得る。光出力システムが異なるタイプの光源を有する場合でも、依然として、それらの光源のうちの1つ又は複数を省略し、残っているランプを関心エリアにわたって異なるパターンで並べ替えることによって、最小光強度を達成することができる。
【0022】
関心領域内の最も低い光強度が、光源間の空間に対応する1つ又は複数のロケーションにおいて生じるように、第1の数の光源が、好ましくは、エリアにわたって又はボリューム全体にわたって分散される。
【0023】
そのような分散型システムでは、各個々の光源は、それ自体のロケーションに対応する局所領域(すなわち、関心領域の一部分)に局所的に光を与え、その局所領域と、隣接する光源に対応する局所領域との間の空間にも局所に光を与えることを目的とする。したがって、一般に重複する共有された関心領域に光を供給するために光源出力が結合入力するのではなく、各光源が関心領域のそれぞれの部分に光を与えることを担当する。関心領域に到達する光強度パターンは、その場合、それらの局所領域間の最も低い強度のエリアを有し、これらは、最小光強度に達することを保証することが望まれるエリアである。
【0024】
各光源は、その場合、関心領域の意図された部分に光出力を与えるためのものであり、関心領域の1つの部分は、分散型光出力システムの隣接する光源についての関心領域の部分のみと重複する。
【0025】
光出力システムは、例えば産業用光出力システムを備える。このことは、光出力特性が特定の設定のために設計され、設計は、例えば、意図された設定の特定の光分布特性を考慮に入れて設置コスト及びランニングコストを最小にすることを目的とすることを意味する。産業用照明は、例えば、(道路、駐車場、スタジアムなど)広域照明システム又は(例えば、生物付着防止又は殺菌のための)専用不可視光供給システムを含む。
【0026】
デューティサイクルの比は、例えば、1/2αよりも小さいか、又は1/5αよりも小さいか、又は1/10αよりも小さい。
【0027】
平均電力レベルは、したがって、はるかに低くなり、例えば、より多い光源が動作させられていても、より少ない光源をもつシステムにおける平均電力レベルよりも1桁も低くなり得る。この省電力化は、(増加した数の光源がより接近することにより)生成される光の均一性が高くなり、最小光強度がより達成しやすくなったことに起因する。
【0028】
倍数αは、例えば1.1~2の範囲内である。
【0029】
デューティサイクル比βは、例えば0.5よりも小さく、例えば0.2よりも小さく、例えば0.1よりも小さく、例えば0.05よりも小さい。
【0030】
値αによって表される光源の数の穏やかな増加により、デューティサイクルの比βの大幅な低減と、対応するエネルギー節約とが可能になり得る。
【0031】
例の1つのセットでは、光出力システムは、水中に沈んだ関心表面に生物付着防止光を供給するためのものである。光源は、例えば、シリコーンパネルなどの光ガイドパネル中に埋め込まれる。
【0032】
光ガイド材料中の、又は水を通って進行するときの光の指数関数的な吸収は、光源の数を増やすことにより、最小光強度を達成するために必要とされる出力電力が急速に低減することを意味する。したがって、追加の光源にかかるわずかな追加の費用により、大きいエネルギー節約とシステム寿命の増加とが可能になる。
【0033】
この事例におけるデューティサイクル周期は、例えば1秒~1週間の範囲内、例えば1分~2日である。
【0034】
生物付着防止光の場合、照明の目的に影響を及ぼすことなしに光出力がそれにわたって平均化される、デューティサイクル周期は極めて長くなり得る。
【0035】
例の別のセットでは、光出力システムは関心エリアに可視照明を与えるためのものである。
【0036】
エリアを照明するための光源の数を増やし、それらの各々のデューティサイクルを同時に低減することによって、光出力システムの寿命は、例えば、光出力システムがそれの一部を形成する設備(建築物、トンネル、街灯インフラストラクチャなど)と同じ寿命までにも増加する。このようにして、サービスコストが低減する。このことは、インフラストラクチャ、例えば、道路、トンネル又は橋梁が、そのようなサービスのために使用停止される必要がある場合に特に顕著になる。
【0037】
光出力システムは、例えば街灯出力システムである。
【0038】
デューティサイクル周期は、その場合、10msを下回ることがあり、したがって、周波数は100Hzよりも大きいことがある。デューティサイクル周期は2.5msを下回ることがあり、したがって、周波数は400Hzを上回ることがある。
【0039】
可視照明の場合、照明の目的に影響を及ぼすことなしに光出力がそれにわたって平均化される、デューティサイクル周期は、人間の眼に点滅光として知覚されないように十分に短くなければならない。
【0040】
本発明はまた、すべての関心領域に少なくとも最小光強度を与えるために関心領域に光を供給する方法であって、本方法は、
各々がそれぞれの動作光出力束を供給する第1の数の光源を動作させるステップであって、前記光源のうちの前記第1の数より小さい第2の数の前記光源は、前記動作光出力束において、100%のデューティサイクルで且つ前記動作光出力束で動作されたときに、すべての関心領域に前記最小光強度を与えるのに十分であり、第1の数が第2の数の倍数αである、第1の数の光源を動作させるステップを有し、
本方法は、光出力周期中に或るデューティサイクルで第1の数の光源の各々を動作させ、それによって、関心領域内で与えられる最も低い光強度を最小光強度に向けて低減するステップであって、或るデューティサイクルの比βが1/αよりも小さい、関心領域内で与えられる最も低い光強度を最小光強度に向けて低減するステップを有する、方法を提供する。
【0041】
これにより、上記で定義された光出力システムを動作させる方法が提供される。
【0042】
本発明はまた、関心領域に光を与えるための光出力システムを設計するコンピュータ実装方法であって、本コンピュータ実装方法は、
すべての関心領域に到達するように最小光強度を設定するステップと、
動作光出力束を供給する光源について、前記動作光出力束において、100%のデューティサイクルで動作させられたときに、すべての関心領域に前記最小光強度を与えるのに十分である、前記光源の最小数を決定するステップと、
各々がそれぞれの前記動作光出力束を供給する第1の数の光源を選択するステップであって、第1の数が、最小数の1倍よりも大きい倍数αである、第1の数の光源を選択するステップと、
前記第1の数の光源の動作のため或るデューティサイクルを選択し、それによって、関心領域内で与えられる最も低い光強度を最小光強度に向けて低減するステップであって、或るデューティサイクルの比βが1/αよりも小さい、デューティサイクルを選択するステップと
を有する、コンピュータ実装方法を提供する。
【0043】
この方法は、エネルギー節約並びにシステム寿命の延長が得られるように、(光源間の間隔を設定することに相当する)特定の設備のための光源の最も好適な数の選択と、デューティサイクルを設定することとを伴う。
【0044】
本方法は、光出力システムについてのターゲット寿命を設定するステップを有し得、第1の数の光源を選択することと、デューティサイクルを選択することとが、ターゲット寿命を考慮する。
【0045】
このようにして、光出力システムの寿命は、例えば、光出力システムがそれの一部を形成するインフラストラクチャの寿命である、ターゲット寿命に達するか又はそれを超えるという点において、サービスコストを低減することができる。
【0046】
本方法は、光出力システムのための設置コストと、光出力システムを動作させるためのエネルギーコストと、ターゲット寿命にわたって光出力システムをサービスするためのサービスコストとを決定するステップを有し得、第1の数の光源を選択することと、デューティサイクルを選択することとが、設置コストと、エネルギーコストと、サービスコストとを考慮に入れる。
【0047】
このようにして、光出力システムの意図された寿命中の光出力システムの総コストを考慮に入れることができる。第1の数の光源及びデューティサイクルは、例えば、総コストを最適化するために選定される。この最適化された総コストは、単に総コストであることがあるが、それは、コストが発生するタイミング、又は他のコスト要因をも考慮に入れることがある。
【0048】
本発明はまた、コンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラムであって、そのコンピュータプログラムコード手段は、前記コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行させられるときに、上記で定義された方法を実施するように適応される、コンピュータプログラムを提供する。
【0049】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下で説明する実施形態から明らかになり、それらの実施形態を参照すれば解明されよう。
【0050】
本発明のより良い理解のために、及び本発明がどのように実施されるかをより明らかに示すために、次に、単に例として添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】街灯のセットを備える光出力システムを示す図である。
【
図2】生物付着防止光源をもつ、海水中に沈めるための冷却システムを示す図である。
【
図3】離間して並んでいる2つの光源についての光出力分布の一例を示す図である。
【
図4】本発明の手法を説明するための光出力分布の一例を示す図である。
【
図5】
図4の組み合わせられた光出力強度の強度が、デューティサイクル制御を適用することによってどのように低下するかを示す図である。
【
図6】正三角形構成における3つの光源の2D構成を示す図である。
【
図7】
図6の三角形構成についての2D関心領域にわたる光強度のグラフを示す図である。
【
図8】従来の設計手法のためのコスト対ピッチ関数を示す図である。
【
図9】代替の知られている設計手法のためのコスト対ピッチ関数を示す図である。
【
図10】本発明の設計手法のためのコスト対ピッチ関数を示す図である。
【
図11】関心領域に光を与えるための光出力システムを設計する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図を参照しながら本発明について説明する。
【0053】
発明を実施するための形態及び具体例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、例示の目的のためのものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれらの及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からより良く理解されよう。図は概略にすぎず、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。また、図全体にわたって同じ又は同様の部分を示すために同じ参照番号が使用されることを理解されたい。
【0054】
本発明は、すべての関心領域に少なくとも最小光強度を与えるために関心領域に光を供給するための光出力システムを提供する。本システムは、(すべての関心領域について)最小光強度に達するために必要とされるよりも多い特定の種類の光源を有し、それらの光源はデューティサイクルを用いて動作させられる。デューティサイクル比は、エネルギー節約並びに本システムの寿命の増加が得られるように、光源の数が最小数をそれだけ上回って増加した量に対応するよりも大きい量だけ低減される。
【0055】
図1は、街灯10のセットを備える光出力システムを示している。それらの街灯は、それぞれ、下の道路又は舗道の表面を照明するための所望の強度分布が得られるような光出力束を供給する。道路又は舗道のエリアが関心領域であり、光出力システムは、すべての関心領域において少なくとも最小光強度があるような光出力束を与えるためのものである。
【0056】
図2は、海水中に沈めるための冷却システム20を示している。本冷却システムは、熱交換器22、例えばフィンのセットを備え、フィンは、熱交換器を通してポンピングされる液体を冷却するための海水に対する大きい表面積を与える。熱交換器の熱伝達効率を低下させる、熱交換器の生物付着を防止するために、UV LEDなど、生物付着防止光源24が与えられる。
【0057】
図1及び
図2は、それぞれ、光源の動作を制御するためのコントローラ12を示している。
【0058】
生物付着防止照明の別の使用例は、船舶の船体に適用されるUV照明パネルの形態のものである。船体の表面の生物付着を防止することによって、抗力が低減され、したがって燃料が節約される。
【0059】
本発明は、したがって、異なるタイプの光に適用され得る。「光」という用語は、一般に、電磁放射を指すために使用され、可視光に限定されるものではない。本発明は、上記の例におけるものなど、可視光出力システム及びUV光出力システムを主に対象としているが、本発明の原理は電磁スペクトル内のいかなる波長にも適用され得る。
【0060】
図3は、離間して並んでいる2つの光源、LED1及びLED2についての光出力分布を示している。これは、(効果をはっきり示すために)極めて強い吸収作用を仮定している。これは、例えば、前記強い吸収作用を生じる霧があるときの、1つの線に沿った、街路照明システムによって道路表面に供給される光出力束から生じる光強度を表している。それは、1つの線に沿った、UV LEDによって供給される光出力束から生じる光強度を同様に表し得る。
【0061】
y軸は対数尺度とともに強度を示している。(光が関心領域に到達するためにそれを通って進行しなければならない媒体に依存する)吸収作用、並びに(1つの線について)1/rでの強度の低下のために、強度は光源間で著しく低下する。
【0062】
一般的な設計手順では、光源は、最小光強度が(
図3において値1として正規化されている)しきい値に達するのに十分に近接して配置される。このようにして、最小数の光源が使用され、したがって初期ハードウェアコストが最小になる。したがって、1mWのUVC LED、又は35WのUVCガス放電ランプ、又は100Wの可視光LED街灯など、固定(最大)出力をもつ光源が与えられると、理想的なピッチを計算することができる。ピッチが大きすぎると、最小強度しきい値に達しないダークスポットが残り、ピッチが小さすぎると、電力の浪費及びコストの増加が生じる。
【0063】
したがって、理想的なソリューションは、一般に、所与の光源についての、関心領域中の最も暗い点において最小所要強度に達するピッチに対応すると考えられる。光源は、照明期間中に(例えば、街路照明の場合は夜間に)永続的にオンで動作させられる。
【0064】
代替の手法は、異なる可能な光源から選択することである。例えば、一定のピッチによって規定される要件に適合するように、より高い又はより低い電力を有する光源が使用される。ピッチが小さいインフラストラクチャでは低電力光源の使用が可能であるが、ピッチが大きいインフラストラクチャでは、必要とされるより高電力の光源の量が少なくなる。ランプ及びピッチの最適な選定はランプの価格と電気コストとに依存する。
【0065】
このようにして、ピッチの所与の範囲について、光源電力の好適な選択によってコストの小幅な改善が得られる。特に、あるピッチ及び光源電力について、供給される最小光強度は、必要とされる最小光強度に対応しており、したがって、必要とされるよりも多く供給することで電力を浪費することがない。
【0066】
光出力システムの設計についての別の重要な問題はソリューションの望まれる寿命である。多くの適用例について、光出力システムがそれの一部を形成するべきインフラストラクチャは、光源の寿命をはるかに超える寿命を有する。例えば、道路照明の場合、道路照明インフラストラクチャは、光源の寿命(例えば2年)をはるかに超える何年もの間(例えば25年)設置されたままであることが予想される。これにより、大きいコストをかけて光源を交換することが避けられなくなる。このことは、橋梁又はトンネルの場合がそうであるように、交換中にインフラストラクチャ自体の機能を中断しなければならない場合に、特に顕著である。
【0067】
したがって、照明システムを設計するときには、サービス又は交換のコストも考慮に入れるべきである。
【0068】
例えば、インフラストラクチャの寿命に適合するように光源の寿命を延ばすための1つの知られている手法は、冗長を与えること、したがって、最初から多数の光源を備えることである。その場合、光源の異なるセットが連続してオンにされる。各セットは所望の機能を果たす(例えば、道路を照明する、又は表面の生物付着を防止する)ことが可能であり、1つのセットがそれの設計寿命に達した後に、次のセットが取って代わることができる。
【0069】
これは明らかにコストがかかる手法である。
【0070】
図4を使用して本発明の手法について説明する。
図4は、
図3中に表されているものと同じ光源を仮定している。
【0071】
図4は、3つの光源、LED1、LED2及びLED3からの光出力束から生じる光出力強度を示している。これは第1の数の光源である。各光源は、それぞれの動作光出力束を供給する、すなわち特定の電力を有する。この「動作光出力束」は、光源がそれの意図された動作電力(すなわち電流及び電圧)で連続的にオンにされたときの光出力である。
【0072】
この第1の数の光源(この例では3つ)は、必要とされる最小数(
図3に示されているように、この例では2つ)よりも大きい。したがって、
図3は、より小さい第2の数の前記光源を示している。このより小さい第2の数の光源は、動作光出力束で動作される(すなわち、意図された動作電力で連続的にオンにされる)ときに、上記で説明したように、すべての関心領域に最小光強度を与えるのに十分である。
【0073】
したがって、
図4の手法は、基本的に、全関心領域にわたって所望の最小光強度に達するのに必要とされるよりも多い光源を使用する。特に、第1の数は第2の数の倍数αである。この簡略化された例では、α=1.5である。
【0074】
図4は、3つの光源によって供給される光出力束から生じる光出力強度の(図中で「和」と標示されている)和を示している。間隔が近くなることは、光出力強度におけるリップルが著しく平坦になり、供給される最小光強度が、(関心領域の外側にあると仮定することができるエッジを無視すると)必要とされる最小光強度をはるかに超えることを意味する。
【0075】
1つの余分の光源により、最小光出力強度は(約3.75を上回るか又は約-3.75を下回るxの値における境界効果を除いて)100倍だけ増加することになる。
【0076】
このことは、第1の数の光源(
図4の3つの光源)の各々が、現在、デューティサイクルを用いて動作させられ、それによって、関心領域内で得られた最も低い光強度を最小光強度に向けて(又は最小光強度にまでも)低減することができることを意味する。このデューティサイクルは、光出力効果が連続的であると考えられるような周波数で適用される。したがって、デューティサイクル周期は、別個の機能光出力周期及び無光出力周期を定義するのではなく、「光出力周期期間中」にあると考えられる。したがって、単一種類の照明サイクルであると考えられる時間期間内ですべての光源が使用される。
【0077】
デューティサイクル周期は、したがって、照明効果がデューティサイクルにわたって平均化されるときに、意図された光出力効果がこの平均化プロセスによって変化しないほど十分に短い。したがって、1つの光出力周期期間(例えば、街路照明の場合の一例として12時間)は複数個のデューティサイクルを含み、各デューティサイクルは十分に短いので、そのデューティサイクルにわたる平均光強度のみが、与えられる照明効果に関連がある。防汚光の場合、一般に、1つの連続的な光出力周期期間がある。
【0078】
生物付着防止光の例の場合、1分の照明及びその後の9分のオフ(10分のデューティサイクル周期)についての光出力の効果は、1時間の照明及びその後の9時間のオフ(10時間のデューティサイクル周期)についての光出力の効果と同じであるが、それはこれらが同じ効果を与えるほど、微生物増殖が十分に遅いからである。より一般的には、生物付着防止光のためのデューティサイクル周期は、例えば、1分~2日など、1秒~1週間の範囲内である。
【0079】
可視照明の例の場合、光出力効果は、人間の脳がちらつきを知覚することなしに光を平均化するのと同じ長さである。デューティサイクル周期は、例えば、その場合、10ms未満である。
【0080】
デューティサイクル制御は、
図1及び
図2のコントローラ12などのコントローラによって実施される。デューティサイクルの比βは1/αよりも小さい。デューティサイクル動作は、(各光源の寿命はオン時間と相関するので)各光源の寿命が増加することを意味する。これにより、上記で説明したように、交換及び保守のコストが低減する。デューティサイクルの比は光源の数の増加に対してさらに低減するので、ランニングコストが低減する。電気ランニングコストはαβと相関しており、αβ<1である(ここで、1はデフォルト値、すなわち、
図3の構成についてのランニングコストである)。
【0081】
例えば10,000時間の一般的な寿命は、現在、その値の100倍、すなわち1,000,000時間後にようやく到達する。
【0082】
これは、LEDをオン及びオフに切り替えることが寿命に著しくは影響を及ぼさないからである。UVCガス放電ランプの場合、このことは完全には当てはまらないが、依然として同じ原理が適用する。したがって、余分の光源を追加し、それらの光源を大いに低減されたデューティサイクルで同時に動作させると、電力消費量の驚くべき大きい低減が達成されると同時に、寿命も大いに増加する。
【0083】
本発明は、したがって、光源の数を増やし(すなわちそれらをより近接して配置し)、それらをすべて(必ずしも時間上の同じ瞬間とは限らないが、同時に、すなわち、重複するデューティサイクル周期を)使用して、照明を与えることによって、
図4に示されているようなより均一な全体的光分布が得られ、これにより、デューティサイクル比を低減することによって光出力電力の著しい低減が可能になるという認識に基づく。隣接する光源が(オンオフ対オフオンの)逆位相をもつデューティサイクルを使用する場合、経時的な強度におけるリップルはさらに小さくなる。
【0084】
図5は、依然として最小光強度を満たしながら、
図4のプロット「和」の強度が、デューティサイクル制御を適用することによってどのように低下するかを示している。デューティサイクル低減前の強度プロファイルは「和1+2+3」であり、デューティサイクル制御後の得られた光強度プロファイルは「減衰した和1+2+3」として示されている。
【0085】
デューティサイクル比は(この簡略化された例の場合、α=1.5であるので、1/αである)0.66よりもはるかに小さいことがわかる。実際、
図5の対数尺度を考慮に入れると、ピーク強度は約300から3まで低減され、0.01のデューティサイクルを与える。したがって、この例では、エネルギー消費量は0.017倍に低減される。このことは、エネルギー消費量が60分の1に減少することを表している。
【0086】
得られる実際のエネルギー節約は特定の適用例に依存する。水中適用例の場合、(エリアにわたる光束拡散の1/r2効果と組み合わせられた)指数関数的減衰は、リップルがはるかに劇的に低減するようなものである。しかしながら、あり得る霧の条件をも考慮に入れるように道路照明システムを設計しなければならず、したがって、空気を通した透過のための光出力システムを設計するときでも、減衰関数が急峻になることをも仮定しなければならない。
【0087】
デューティサイクル比は、例えば1/2αよりも小さいか、又は1/5αよりも小さいか、又は1/10αよりも小さく、それぞれ50%、80%又は90%のエネルギー節約に対応する。これらのエネルギー節約は、その場合、所望の経済的ソリューションを与えるために、追加の光源の追加の初期費用と釣り合わせられる。
【0088】
倍数αは、例えば1.1~2の範囲内であり、デューティサイクル比βは、例えば0.5よりも小さいか、例えば0.2よりも小さいか、例えば0.1よりも小さいか、例えば0.05よりも小さい。
【0089】
厳密なソリューションは、特定の光出力システムと、光がそれを通して供給される媒体とに依存する。
【0090】
上記の簡略化された例は、1つの線に沿った光強度を表している。もちろん、本発明は2次元エリアに適用され得る。一列の街灯又は生物付着防止光源は、明らかに、1本の線よりもむしろ2Dエリアを照明するだけでなく、他の適用例では、駐車場又は他の広いエリアのための照明などの光源のグリッド、或いは実際には、船舶の船体の表面などの表面にUV光を与えるための生物付着防止光源のパネルを使用することがある。
【0091】
図6は、正三角形構成における3つの光源の2D構成を示し、特定の強度レベルまでの光強度分布の外側輪郭を点線(したがって等値線(iso-line))として示している。関心領域(例えば矩形の駐車場)はこの等値線内に含まれている。これは、360度下に放射する光源を仮定している。
図7は、2D関心領域にわたる光強度のグラフを示している。
【0092】
次に、設計プロセスの一部として選択することもできるピッチをもつ光源の2D構成を仮定して、上記で説明した標準的な設計手法と比較した本発明の手法のコスト削減について説明する。
【0093】
上記で説明した従来の設計手法では、あるランプ電力が与えられると、理想的なピッチが計算される。これは、最も低い強度点において、すなわち三角形の中央において依然として最小所要強度を達成する最大距離である。
【0094】
より小さいピッチが使用され得るが、これは初期コストの上昇及び運用コストの上昇につながる。したがって、従来の設計手法は、
図8に示されているようなコスト対ピッチグラフをもたらす。そのコストは、光源の設置コストと、(
図8中の光源寿命である)監視される時間期間中の電気ランニングコストとを考慮に入れる。
【0095】
予想されるように、ピッチが大きいほど、必要とされるLEDが少なく、したがって電気の使用量が少ないので、コストが低くなる。あるピッチ(この事例では7cm)を超えると、これがもたらす最小強度が要件を満たさないので、ソリューションは存在しない。
【0096】
図9は、異なる可能な光源が使用される上記で説明した代替形態についてのコスト対ピッチ関数を示している。この場合も、それは光源寿命に関係する。
【0097】
図9において、プロットに沿った各点は異なる電力光源についてのものであり、したがって、各ピッチについて、必要とされる電力光源は最小光強度要件を満たすように選定される。
【0098】
より高電力の光源のオプションにより、最大ピッチは7cmから10cmまで拡大する。
図8と比較して、この手法によって得られる追加の利益はごくわずかである。特に、いかなる所与のピッチについても、1つの光源設計が、所望の最小光出力強度により近い最小光出力強度を与え、したがって電力の浪費がより小さくなり得る。
【0099】
これらの標準的な手法では、光源寿命(例えば約10.000時間)後に光源を交換する必要がある。これは、いくつかの状況では極めて費用がかかることがある。交換が(手頃な)選択肢ではない状況では、標準的な手法はまったく働かず、知られているソリューションは、連続的に使用されるべき光源の完全な第2のセットを使用することである。
【0100】
次に、本発明の設計手法並びに得られるコスト利益について説明する。
【0101】
一定のLED電力が利用可能であることを仮定すると、本システムは、あらゆるピッチ値について、LEDが動作する必要があるデューティサイクルを計算することによって設計される。ピッチが大きすぎる場合、無効なソリューションに対応する、100%よりも大きいデューティサイクル値が得られる。100%のデューティサイクルは、標準的な設計手法に対応する有効なソリューションであるが、これはLED交換により寿命中に追加のコストを生じる。
【0102】
ピッチがより小さい場合、したがって、実際に必要とされるよりも多いLEDを使用する場合、5%など、100%を下回るデューティサイクルを使用することができ、そのようなデューティサイクルが使用されることになる。このことは、この例では(1/0.05)=20倍の有効寿命の増加につながる。
【0103】
適用例寿命が15年を目標とし、光源が、例えば1年の寿命を有する場合、さらなるLED交換は不要である。
【0104】
図10は、ピッチの関数としてコストグラフを示している。
【0105】
この事例では、コストは、この場合も、光源の設置コストと、(
図10では15年である)監視される時間期間中の電気ランニングコストとを考慮に入れる。しかしながら、コストは、現在、光源についての交換コストが現在(デューティサイクルに応じた)可変要素になっているので、光源についての交換コストをも考慮に入れるが、
図8及び
図9のコスト分析では、必要とされる交換の回数はピッチにかかわらず固定されている。
【0106】
【0107】
プロット110は、新しい設計手法によって達成されたコスト関数である。
【0108】
最適なピッチは、現在、より小さい値(この例では5cm)に、より重要なことには、大幅に低減されたコストでシフトしている。これに加えて、光源の交換は適用例寿命中にそれ以上必要とされない。
【0109】
プロット110における不連続性は、一定のピッチ値を上回るとLED交換が必要になることによって引き起こされることに留意されたい。ピッチ5cmにおけるコストの段階的増加は第1の交換に対応し、第2及び第3の交換により、6cm及び6.5cmにおける段階的増加が生じている。
【0110】
最適なピッチ値(したがって対応するデューティサイクル)は、現在、LEDが適用例寿命よりも長持ちするほど十分に低いデューティサイクル比で動作することができるピッチにおいて達成される。
【0111】
図11は、関心領域に光を与えるための光出力システムを設計する方法を示している。
【0112】
ステップ110において、最小光強度がすべての関心領域に達するように設定される。この最小光強度は外部(顧客)要件であり得る。例えば、それは追加の安全マージンを含むこともあり、含まないこともある。
【0113】
ステップ111において、光出力システムのためのターゲット寿命が設定される。これは、光源を含む設備のターゲット寿命に関係する。
【0114】
ステップ112において、所与の(すなわち、所与の動作光出力束、すなわち電力をもつ)光源設計について、すべての関心領域に、設定された最小光強度を与えるのに十分である光源の最小数が決定される。
【0115】
ステップ113において、第1の数の光源が選択され、第1の数は、最小数の1よりも大きい倍数αである。したがって、実際に必要とされるよりもα倍だけ多い光源が使用される。光源の数のこの決定は、上記で説明したように、光源ピッチを設定することに相当する。
【0116】
ステップ114において、光源の動作のための或るデューティサイクルが選択され、それによって、関心領域内で与えられる最も低い光強度を最小光強度に向けて低減する。或るデューティサイクルの比βは1/αよりも小さい。
【0117】
この方法は、したがって、エネルギー節約並びにシステム寿命の延長が得られるように、特定の設備のための光源の最も好適な数、したがってピッチの選択と、デューティサイクルを設定することとを伴う。ターゲット寿命を考慮に入れることは、サービスコスト及び交換コストをも考慮に入れることができることを意味する。上記で説明したように、これらは大きい段階的コスト増加を生じ得る。
【0118】
光源の数及びピッチの決定は全体的コスト分析に基づき、全体的コスト分析は、光出力システムのための設置コストと、光出力システムを動作させるためのエネルギーコストと、ターゲット寿命にわたって光出力システムをサービスするためのサービスコストとを考慮に入れ、第1の数の光源を選択するステップと、デューティサイクルを選択するステップとが、設置コストと、エネルギーコストと、サービスコストとを考慮に入れる。全体的コスト分析は、インフレーション、経時的な予想エネルギーコスト、借入コストなどを考慮に入れる。したがって、様々な状況によって異なるシステム最適化が適している。
【0119】
要約すると、本発明は、光源の分散したセットをもつ光出力システムに関し、運用コスト及び電気使用量の驚くべき減少、並びに有効寿命の増加を可能にする。これは、(実際に必要であるよりも)小さいピッチと、100%を下回るデューティサイクル、いくつかのソリューションでは100%よりも大幅に低いデューティサイクルで動作している光源とを組み合わせることに基づく。
【0120】
本手法は、所望の適用例又はインフラストラクチャ寿命が光源の寿命よりも長いとき、及び光源を交換するのにコストがかかる場合に、特に効果的である。重要な他の適用例は、エネルギーが乏しい場合、例えば、エネルギー源がバッテリー又は太陽エネルギーであるときである。
【0121】
本発明について、システム中のすべての光源が同じタイプのものであるという仮定に基づいて上記で説明した。これは、システムを設計する好ましいやり方であるが、本発明は、異なる光源タイプを用いても適用され得る。
【0122】
また、本発明について、システム中のすべての光源が同じデューティサイクルを用いて動作させられるという仮定に基づいて上記で説明した。このことは、主要なセット(すなわち第1の数の光源)の一部でない光出力システム内の追加の光源があり得ることを除外しない。
【0123】
本発明は、可視光及び不可視光のためのいかなるタイプの光源にも適用され得る。
【0124】
生物付着防止に加えて、光出力システムは、殺菌及び消毒目的のために、例えば空気中の表面(例えばドアの取っ手)を殺菌するために使用され得る。
【0125】
デューティサイクルは経時的に固定である必要はない。デューティサイクルは、システムの寿命にわたる可変パラメータであり得る。デューティサイクルは、例えば、LEDの劣化により、又は光源表面上に現れるほこり及びよごれにより、経時的に光出力の減少を引き起こす消耗を埋め合わせるために使用され得る。t=0におけるデューティサイクルは、例えば5%であり、寿命中に10%まで緩やかに増加し得る。すべてのライトは100%のデューティサイクルで動作するように初期設定され、したがって光出力を増加させる余地がないので、この利点は標準的なソリューションでは得られない。
【0126】
開示された実施形態の変形形態は、図面、本開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、特許請求される発明を実施するに際して、当業者によって理解され、実施され得る。特許請求の範囲において、「備える、有する」という単語は他の要素又はステップを除外せず、単数形の要素は複数を除外しない。
【0127】
相互に異なる従属請求項においていくつかの手段が記載されているという単なる事実は、これらの手段の組合せを有利に使用することができないことを示さない。
【0128】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと一緒に、又は他のハードウェアの一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体など、好適な媒体上に記憶/配布され得るが、インターネット又は他のワイヤード若しくはワイヤレス電気通信システムを介してなど、他の形態でも配布され得る。(オプション)
【0129】
「ように適応された」という用語が特許請求の範囲又は明細書において使用される場合、「ように適応された」という用語は「ように構成された」という用語と等価であることが意図されていることに留意されたい。
【0130】
特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきでない。
【国際調査報告】