(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】ネガティブ異常光視症を軽減し、グレアを低減する眼科用レンズ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565916
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 IB2022053971
(87)【国際公開番号】W WO2022229905
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】カマル ケー.ダース
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム ジェイコブ スペンナー ドーラ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド エル.ジンカーソン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA25
4C097BB01
4C097CC01
4C097DD04
4C097SA01
4C097SA08
4C097SA10
(57)【要約】
眼科用レンズが、後方光学面と、前方光学面と、後方光学面と前方光学面との間にある光学縁部とを備え、光学縁部が、周期的に変化する厚さを有する実質的に円形の周縁を形成し得る。光学縁部の厚さは、周期的に少なくとも2周期で変化し得る。追加的又は代替的に、眼科用レンズは、光学縁部に結合された光学スカートを備え得る。光学スカートは、光学縁部の周囲における光の透過を阻止するように構成され得る。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
後方光学面と、
前方光学面と、
前記後方光学面と前記前方光学面との間にある光学縁部であって、前記光学縁部が、周期的に少なくとも2周期で変化する厚さを有する実質的に円形の周縁を形成する、光学縁部と
を備える、眼科用レンズ。
【請求項2】
前記厚さが正弦曲線状に変化する、請求項1に記載の眼科用レンズ。
【請求項3】
前記前方光学面が中央光学部と周辺光学部とを備え、
前記光学縁部が、前記周辺光学部を前記後方光学面に結合する、
請求項1又は2に記載の眼科用レンズ。
【請求項4】
前記周辺光学部が約0.5ミリメートルから約3ミリメートルの範囲の幅を有する、請求項3に記載の眼科用レンズ。
【請求項5】
前記光学縁部に結合された光学スカートであって、前記光学スカートが、前記光学縁部の周囲における光の透過を阻止するように構成される、光学スカートを更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科用レンズ。
【請求項6】
前記光学スカートが、光を吸収するように構成された着色剤を含む、請求項5に記載の眼科用レンズ。
【請求項7】
前記着色剤が、明所視最大値を低減するように構成された染料を含む、請求項6に記載の眼科用レンズ。
【請求項8】
前記後方光学面が実質的に平面である、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科用レンズ。
【請求項9】
前記後方光学面上にリングを更に備える、請求項8に記載の眼科用レンズ。
【請求項10】
前記後方光学面の周縁に結合されたリングを更に備える、請求項8に記載の眼科用レンズ。
【請求項11】
前記周辺光学部から延びる1つ以上のハプティック部を更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の眼科用レンズ。
【請求項12】
前記ハプティック部が前記周辺光学部の両側から延びる、請求項11に記載の眼科用レンズ。
【請求項13】
前記ハプティック部が前記光学縁部の両側に結合される、請求項11又は12に記載の眼科用レンズ。
【請求項14】
前記ハプティック部が、前記光学縁部の前記厚さが最大となる周辺光学部に結合される、請求項11~13のいずれか一項に記載の眼科用レンズ。
【請求項15】
眼に埋め込むためのレンズであって、前記レンズが、
後方光学面と、
前方光学面と、
前記後方光学面と前記前方光学面との間にある光学縁部であって、前記光学縁部が、少なくとも2つの山と少なくとも2つの谷との間で変化する厚さを有する、光学縁部と
を備える、レンズ。
【請求項16】
前記光学縁部が、前記後方光学面及び前記前方光学面の周囲に実質的に円形の周縁を形成する、請求項15に記載のレンズ。
【請求項17】
前記前方光学面が中央光学部と周辺光学部とを備え、
前記光学縁部が、前記周辺光学部を前記後方光学面に結合する、
請求項15又は16に記載のレンズ。
【請求項18】
前記周辺光学部が、約0.5ミリメートルから約3ミリメートルの範囲の幅を有する、請求項17に記載のレンズ。
【請求項19】
前記光学縁部に結合された光学スカートであって、前記光学スカートが、前記光学縁部の周囲における光の透過を阻止するように構成される、光学スカートを更に備える、請求項15~18のいずれか一項に記載のレンズ。
【請求項20】
前記光学スカートが、光を吸収するように構成された着色剤を含む、請求項19に記載のレンズ。
【請求項21】
前記着色剤が明所視最大値を低減するように構成された染料を含む、請求項20に記載のレンズ。
【請求項22】
前記後方光学面が実質的に平面である、請求項15~18のいずれか一項に記載のレンズ。
【請求項23】
前記後方光学面上にリングを更に備える、請求項22に記載のレンズ。
【請求項24】
前記後方光学面の周縁に結合されたリングを更に備える、請求項22に記載のレンズ。
【請求項25】
前記周辺光学部から延びる1つ以上のハプティック部を更に備える、請求項15~24のいずれか一項に記載のレンズ。
【請求項26】
前記ハプティック部が前記周辺光学部の両側から延びる、請求項25に記載のレンズ。
【請求項27】
前記ハプティック部が前記光学縁部の両側に結合される、請求項25又は26に記載のレンズ。
【請求項28】
前記ハプティック部が、前記光学縁部の前記厚さが最大となる周辺光学部に結合される、請求項25~27のいずれか一項に記載のレンズ。
【請求項29】
眼に埋め込むためのレンズであって、前記レンズが、
後方光学面と、
前方光学面と、
前記後方光学面と前記前方光学面との間にある光学縁部と、
前記光学縁部に結合された光学スカートであって、前記光学スカートが、前記光学縁部の周囲における光の透過を阻止するように構成される、光学スカートと
を備える、レンズ。
【請求項30】
前記光学スカートが、光を吸収するように構成された着色剤を含む、請求項29に記載のレンズ。
【請求項31】
前記着色剤が555ナノメートルにおける明所視最大値を低減するように構成された染料を含む、請求項30に記載のレンズ。
【請求項32】
前記光学スカートが、ゴムエラストマを含む、又はこれから本質的になる、請求項29~31のいずれか一項に記載のレンズ。
【請求項33】
前記光学スカートが、紫外線、青色光、及び緑色光のうちの少なくとも1つを遮断する発色団を含む、請求項29~31のいずれか一項に記載のレンズ。
【請求項34】
前記光学スカートが、軟質アクリル樹脂を含む、又はこれから本質的になる、請求項29~31のいずれか一項に記載のレンズ。
【請求項35】
前記光学スカートが、
ブチルゴム、ラテックスゴム、天然ゴム、純ゴム、ネオプレンゴム、アクリロニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ハイパロンゴム、シリコーンゴム及びシロキサンエラストマ(ポリ(ジメチルシロキサン)など)、ポリウレタンゴム、バイトンゴム、エチレン-ブチレンゴム、イソブチレンゴム及びポリホスファゼンのエラストマ(ポリ(ビストリフルオロエトキシホスファゼン)、ポリ(ジメチルホスファゼン)、又はポリ(フェニルメチルホスファゼン)など)
を含む、又はこれらから本質的になる、請求項29~31のいずれか一項に記載のレンズ。
【請求項36】
中央光学部と、
前記中央光学部の周囲に同心円状に配置された周辺光学部であって、前記周辺光学部が、後方光学面と、前方光学面と、前記後方光学面と前記前方光学面との間にある光学縁部とを備える、周辺光学部と
を備える、眼科用レンズにおいて、
前記前方光学面が、前記光学縁部が変化する厚さを有するように起伏する、眼科用レンズ。
【請求項37】
前記厚さが正弦曲線状に変化する、請求項36に記載の眼科用レンズ。
【請求項38】
前記後方光学面が実質的に平面である、請求項36又は37に記載の眼科用レンズ。
【請求項39】
前記後方光学面上にリングを更に備える、請求項36又は37に記載の眼科用レンズ。
【請求項40】
前記後方光学面の周縁に結合されたリングを更に備える、請求項36又は37に記載の眼科用レンズ。
【請求項41】
前記周辺光学部から延びる1つ以上のハプティック部を更に備える、請求項36~40のいずれか一項に記載の眼科用レンズ。
【請求項42】
前記ハプティック部が、前記光学縁部の前記厚さが最大となる周辺光学部に結合される、請求項41に記載の眼科用レンズ。
【請求項43】
前記周辺光学部が、約1ミリメートルから約3ミリメートルの範囲の幅を有する、請求項36~42のいずれか一項に記載の眼科用レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、発明者がKamal K. Das及びDavid L. Jinkersonである、2021年4月29日に出願された「OPHTHALMIC LENS WITH MITIGATION & REDUCTION OF DYSPHOTOPSIAS」と題する、米国仮特許出願第63/181,584号の優先権の利益を主張するものであり、同仮特許出願は、あたかも本明細書に十分且つ完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
添付の特許請求の範囲に記載された本発明は、概して、眼内レンズを含むがこれに限定されない、眼科用レンズに関する。
【背景技術】
【0003】
人間の眼は、軽度の劣化から視力の完全な喪失までを引き起こす多くの疾患に罹患する可能性がある。コンタクトレンズ及び眼鏡は、一部の疾患を補うことができるが、他の場合には眼科手術が必要になり得る。いくつかの例では、インプラントが有益である又は望ましい場合がある。例えば、眼内レンズは、眼内の濁った天然水晶体に取って代わり、視力を改善することができる。
【0004】
眼内レンズ及び他のインプラントの利点は既知であるが、レンズ、送達システム、構成要素、及びプロセスの改善により、結果を改善し、患者に利益をもたらし続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
眼科手術のための新規且つ有用なシステム、装置、及び方法を添付の特許請求の範囲に記載する。特許請求の範囲に記載の主題を当業者が作製及び使用することを可能にするために、例示的な実施形態も提供する。
【0006】
例えば、いくつかの実施形態は、レンズを迂回する斜めの光の量を制限し得る眼内レンズを備えることができる、又はこれから本質的になることができ、このことは、ネガティブ異常光視症を実質的に低減又は解消し得る。いくつかの実施形態は、追加的又は代替的に、レンズの縁部から反射し得る斜めの光の角度を制限することができ、このことは、グレアを実質的に低減又は排除し得る。更なる特定の実施形態では、レンズは、光を縁部から遠ざけ、レンズを回避又は迂回させないようにし得る波又はへこみ(dip)を有する光学縁部を備え得る。このような特徴はまた、小切開手術のための送達に支障をきたすことなく、光学部の直径を大きくするのにも有利であり得る。例えば、光学縁部は、中央光学部から約0.5ミリメートルから約2.5ミリメートルまで延びる波状プロファイルを有し得る。いくつかの実施形態は、少なくとも7ミリメートルの光学部直径を有し得る。
【0007】
追加的又は代替的に、いくつかの実施形態は、光学縁部から突出する光学スカートを備えることができ、このこともまた、光学部の周囲における光の透過を阻止して、ネガティブ異常光視症を実質的に低減又は解消し得る。いくつかの実施形態では、光学スカートは、ハプティック部接合部の外側で光学部を囲み得る。更なる特定の実施形態では、光学スカートは、緑色染料、赤色染料、又はその両方などの光吸収着色剤を含むことができ、このことは、明所視最大値を低減し得る。
【0008】
より一般的には、眼科用レンズのいくつかの実施形態が、後方光学面と、前方光学面と、後方光学面と前方光学面との間にある光学縁部とを備え、光学縁部が、周期的に変化する厚さを有する実質的に円形の周縁を形成する。例えば、前方光学面、後方光学面、又はそれらの両方が起伏し、それによって厚さの変化する光学縁部を形成し得る。更なる特定の実施形態では、後方光学面は、前方光学面の起伏と同位相で起伏しても、又は位相を異にして起伏ししてもよく、位相角は変わり得る。更に他の例では、表面の起伏は、光学縁部の円周に沿った異なる位置で異なる振幅及び位相の不均一なパターンを有し得る。いくつかの実施形態では、光学縁部の厚さは、周期的に少なくとも2周期で変化し得る。更なる特定の実施形態では、厚さは正弦曲線状に変化し得る。いくつかの実施形態では、厚さは、少なくとも2つの山と少なくとも2つの谷との間で変化し得る。
【0009】
追加的又は代替的に、眼科用レンズのいくつかの実施形態は、光学縁部に結合された光学スカートを備え得る。光学スカートは、光学縁部の周囲における光の透過を阻止するように構成され得る。光学スカートのいくつかの実施形態は、光を吸収するように構成された着色剤を含み得る。例えば、着色剤は、光学部の周囲における斜め光の透過を更に助けるために、明所視最大値を低減するように構成された染料を含み得る。追加的又は代替的に、光学スカートは、紫外線、青色光、及び緑色光のうちの少なくとも1つを遮断する発色団を含み得る。光学スカートのいくつかの実施形態は、ゴムエラストマ又は軟質アクリル樹脂を含み得る、又はこれから構成され得る。
【0010】
いくつかの実施形態に関連して記載される特徴、要素、及び態様はまた、省略すること、組み合わせること、又は代替的な特徴に置換することができる。他の特徴、目的、利点、並びに特許請求の範囲に記載の主題を作製及び使用する好ましい態様は、例示的な実施形態に関する添付の図面を参照して以下により詳細に説明する。
【0011】
添付の図面は、いくつかの目的、利点、並びに特許請求の範囲に記載の主題のいくつかの実施形態を作製及び使用する好ましい態様を示す。例において、同様の参照番号は、同様の部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】眼に埋め込むのに適したレンズの一例の等角図である。
【
図4】眼に埋め込むのに適したレンズの別の例の上面図である。
【
図5】眼に埋め込むのに適したレンズの別の例の等角図である。
【
図7】眼に埋め込むのに適したレンズの別の例の等角底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の例示的な実施形態の説明は、添付の特許請求の範囲に記載される主題を当業者が作製及び使用することを可能にする情報を提供するが、当技術分野で既に公知の特定の詳細は省略する場合がある。従って、以下の詳細な説明は、例示的なものであり、限定的なものではないものと解釈される。
【0014】
例示的な実施形態はまた、添付の図面に描かれた様々な要素間の空間的関係又は様々な要素の空間的な向きを参照して本明細書で説明され得る。概して、そのような関係又は向きは、インプラントを受け入れる姿勢にある患者に一致するか又はそれに対する座標系を想定する。しかしながら、当業者に理解されるように、この座標系は、厳密な規定ではなく、単に記述的な便宜上のものである。
【0015】
図1は、いくつかの実施形態に関連し得る様々な特徴を示す、レンズ100の一例の等角図である。
図1の例に示すように、レンズ100は前方光学面105を備えることができ、前方光学面105は、中央光学部110と、中央光学部110の周囲に同心円状に配置された周辺光学部115とを備え得る、又はこれらから本質的なり得る。レンズ100は、特定の用途のために所望の結果を実現するために適宜変化し得る幅w
1を有し得る。約6ミリメートルから約8ミリメートルの幅w
1が、いくつかの実施形態では有利であり得る。更なる特定の例では、約6.5ミリメートルから約7.5ミリメートルの幅w
1が適し得る。周辺光学部115は、これも適宜変更され得る幅w
2を有する。約1ミリメートルから約3ミリメートルの幅w
2が、いくつかの実施形態では有利であり得る。レンズ100はまた、一般に、光学縁部120を備え、光学縁部120は、前方光学面105の周囲に可変厚さtを有する周縁を形成し得る。
図1の例では、光学縁部120は実質的に円形の周縁を形成する。
【0016】
図2は
図1のレンズ100の正面図であり、
図3は
図1のレンズ100の側面図であり、いくつかの実施形態に関連し得る更なる詳細を示している。
図2及び
図3の例では、レンズ100は、後方光学面205を更に備える。いくつかの例では、後方光学面205は、前方光学面105とは反対側を向く、中央光学部110及び周辺光学部115の表面によって形成され得る。
図2及び
図3の例に示すように、光学縁部120は、後方光学面205と前方光学面105とを接合し得る。
【0017】
図2及び
図3に示すように、光学縁部120は、周期的に変化する厚さtを有し得る。より詳細には、
図2の例は、前方光学面105と後方光学面205とが位相を異にして起伏し、その結果、厚さtが光学縁部120のこの部分にわたって山から山へ変化する実施形態を示している。
図2に示す光学縁部120のこの部分は、2つの山の間の略中間に1つの谷を有する。
図3もまた、光学縁部120の半分を示しており、厚さtはこの部分で谷から谷へ変化し、2つの谷の間の略中間で山まで増加する。このように、
図2及び
図3の例における光学縁部120は、周期的に2周期で変化する厚さtを有する。いくつかの例では、厚さtは正弦曲線状に変化し得る。追加的又は代替的に、厚さtは2周期超で変化し得る。
【0018】
図4は、レンズ100の別の例の上面図であり、より詳細には、レンズ100の前方光学面105の上面図であり、いくつかの実施形態に関連し得る更なる詳細を示している。例えば、
図4のレンズ100は、光学縁部120に結合され得る光学スカート405を備える。光学スカート405は、光学縁部120の周囲における光の透過を阻止するように構成され得る。光学スカート405は、異なる実施形態において変わり得る幅w
3を有し得る。例えば、約0.5ミリメートルから約1ミリメートルの範囲内の幅w
3が、いくつかの実施形態に適し得る。いくつかの実施形態では、光学スカート405は、光を吸収するように構成された着色剤を含み得る。例えば、光学スカート405は、約550~555ナノメートルの波長の光を吸収するように構成された着色剤を有し得る。更なる特定の実施形態では、着色剤は、光学部の周囲における斜めの光の透過を助けるために、明所視最大値を低減するように構成された染料を含み得る。追加的又は代替的に、光学スカート405は、紫外線、青色光、及び緑色光のうちの少なくとも1つを遮断し得る発色団を含み得る。
【0019】
光学スカート405に適した材料としては、ゴムエラストマ又は軟質アクリル樹脂が挙げられ、これらは折り畳みに適した引張特性を有し得る。適した材料の更なる特定の例としては、ブチルゴム、ラテックスゴム、天然ゴム、純ゴム、ネオプレンゴム、アクリロニトリルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)ゴム、エピクロルヒドリンゴム、ハイパロンゴム、シリコーンゴム及びシロキサンエラストマ(ポリ(ジメチルシロキサン)など)、ポリウレタンゴム、バイトンゴム、エチレン-ブチレンゴム、イソブチレンゴム及びポリホスファゼンのエラストマ(ポリ(ビストリフルオロエトキシホスファゼン)、ポリ(ジメチルホスファゼン)、又はポリ(フェニルメチルホスファゼン)など)が挙げられる。
【0020】
いくつかの実施形態では、光学スカート405は、レンズ100の製造工程中に光学縁部120に固定され得る。例えば、光学スカート405は、レンズウェーハに配置されてよく、レンズモノマー組成物がウェーハにキャストされ得る。モノマー組成物は、光学スカート405の内縁を上下に覆い、これにより、光学縁部120内に光学スカート405を挟み込み得る。例えば、1ミリメートルの幅w3を有する光学スカート405は、ウェーハに1.5ミリメートルのリングを0.5ミリメートル挿入し、これにより0.5ミリメートルのスカート接合部が提供されることによって製造され得る。
【0021】
図5は、いくつかの実施形態に関連し得る様々な特徴を示す、レンズ100の別の例の等角図である。例えば、レンズ100は、中央光学部110及び周辺光学部115を眼内に配置するための1つ以上のハプティック部505を備える。
図5の例に示すように、ハプティック部505のいくつかの実施形態は、周辺光学部115の両側から延び得る。追加的又は代替的に、ハプティック部505は、厚さtが最大である光学縁部120に結合されてもよく、このことは、レンズの機械的安定性を高め、レンズの回転安定性を高め、総容積を減少させることを可能にし、屈折結果を最適化するように光学体の軸方向の配置を改善し得る。
図5はまた、前方光学面105のみが起伏する実施形態を示している。
【0022】
図6は、いくつかの実施形態に関連し得る更なる詳細を示す、
図5のレンズ100の側面図である。例えば、
図6は、前方光学面105の起伏と実質的に平面の後方光学面205とによって形成された光学縁部120のプロファイルをより詳細に示している。図示のように、後方光学面205の平面構成は、鋭利な縁部を形成することができ、このことは、後嚢混濁のリスクを低減し得る。
【0023】
図7は、いくつかの実施形態に関連し得る様々な特徴を示す、レンズ100の別の例の等角底面図である。
図7では、例えば、レンズ100は、レンズ100の後側にリング705を備える。
図7の例に示すように、リング705は連続的であってもよく、後方光学面205に結合されてもよい。
図7の後方光学面205は実質的に平面である。一般に、リング705は、後方光学面205の周縁に沿って、又は後嚢混濁のリスクを低減するために内側に配置され得る。いくつかの実施形態では、更なるバリアが、光学縁部120とハプティック部505との間の接合部に追加されてもよく、このことは、後嚢混濁の可能性を更に低減し、大きく外れた軸外光の遮断に起因するグレア又は他の視覚障害を軽減し得る。
【0024】
図8は、リング705を更に示す
図7のレンズ100の側面図である。
図8の例では、リング705の周縁は、(
図7に示すように)後方光学面205と実質的に直交する縁部805を形成し得る。縁部805は、いくつかの実施形態において、後嚢混濁のリスクを著しく低減し得る。
【0025】
本明細書で説明されるシステム、装置、及び方法は、顕著な利点を提供し得る。例えば、レンズ100は、ネガティブ異常光視症、エッジグレア、又はその両方を実質的に低減又は解消し得る。更なる特定の実施形態では、レンズ100は、光を光学縁部から遠ざけ、レンズ100を回避又は迂回させないようにし得る様々な厚さを有する光学縁部を有し得る。位相を異にした起伏パターンは、視覚障害も軽減する組み合わせをもたらし得る。光学縁部の可変厚さは、追加的に、レンズ100の全体的な容積を減少させることができ、このことは、レンズ100を挿入するために必要な切開のサイズを増加させることなく、光学部の直径を増加させ得る。光学部のサイズを大きくすることにより、瞳孔の結像サイズを大きくでき、球面収差補正に影響を与えることなく機械的安定性を高めることもできる。また、いくつかの実施形態では、光学部のサイズを大きくすることにより、瞳孔の大きい患者に対する球面収差及び他の高次収差の補正を大きくし得る。
【0026】
追加的又は代替的に、レンズ100のいくつかの実施形態は、光学縁部から突出する光学スカートを有することができ、このことは、光学部の周囲における光の透過を阻止し、これにより、ネガティブ異常光視症を実質的に低減又は解消し得る。
【0027】
いくつかの例示的な実施形態において示してきたが、当業者であれば、本明細書で説明されるシステム、装置、及び方法は、添付の特許請求の範囲内の範囲に含まれる様々な変更形態及び修正形態が可能であることを認識されよう。更に、「又は」などの用語を用いた様々な代替形態の記載は、文脈上明らかに要求されない限り、相互排他性を必要とせず、また不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、文脈上明らかに要求されない限り、主題を単一の例に限定するものではない。販売、製造、組立、又は使用を目的として、構成要素を様々な構成で組み合わせたり又は排除したりすることもできる。例えば、いくつかの構成では、光学縁部120及び光学スカート405の特徴は、様々な仕方で組み合わされ得る。
【0028】
特許請求の範囲は、特に詳細に記載されていない更なる主題も包含することができる。例えば、特定の特徴、要素、又は態様は、新規性且つ進歩性を有する特徴を当業者に既に周知のものと区別するために必要でない場合には、特許請求の範囲から省略されることがある。いくつかの実施形態に関連して記載される特徴、要素、及び態様は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、省略すること、組み合わせること、又は同一の、均等な、若しくは同様の目的を果たす代替の特徴によって置換することもできる。
【国際調査報告】