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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】腫瘍浸潤リンパ球療法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240405BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240405BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20240405BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240405BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20240405BHJP
   C07K 19/00 20060101ALN20240405BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20240405BHJP
   C07K 14/725 20060101ALN20240405BHJP
【FI】
A61K39/395 D
A61P43/00 121
A61P35/00
A61K35/17
A61K39/395 N
A61K45/00
A61K31/337
A61P35/04
C12N5/0783
C12N5/10
C07K16/18 ZNA
C07K19/00
C07K16/28
C07K14/725
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565952
(86)(22)【出願日】2022-04-27
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 CA2022050636
(87)【国際公開番号】W WO2022226641
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/180,279
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507196491
【氏名又は名称】アレシア・バイオセラピューティクス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マリオ・フィリヨン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA01
4B065BA30
4B065CA24
4B065CA44
4C084AA22
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086GA16
4C086MA03
4C086MA04
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB37
4C087BB64
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA12
4C087MA02
4C087NA05
4C087ZB26
4C087ZC75
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
本開示は、一般的に抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療による以前の処置を受けた対象から単離した自己腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の投与によってがんを処置する方法に関する。本開示の方法は、抗がん治療を対象に投与すること、TILを単離すること、及びTILを対象に再注入することを含む。本開示はまた、in vitro又はex vivoの腫瘍浸潤リンパ球(TIL)生成方法における抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片の使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんを有する対象を処置する方法であって、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療を前記対象に投与すること、前記対象の腫瘍から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を単離して増大させること、並びにTILの調製物を前記対象に再注入することを含む方法。
【請求項2】
がんを有する対象を処置する方法であって、前記対象の腫瘍から単離した腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の調製物を投与することを含み、前記対象が、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療による以前の処置を受けている方法。
【請求項3】
TILの調製物が、in vitro又はex vivoの腫瘍浸潤リンパ球生成方法によって単離され増大される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記抗がん治療が、単剤としての抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記抗がん治療が、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及び化学療法剤を含む併用療法である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記化学療法剤が、アルキル化剤、代謝拮抗剤、アルカロイド、抗腫瘍抗生物質、又はその組合せから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記化学療法剤が、ドセタキセル又はパクリタキセルである、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記腫瘍が切除可能である、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記対象が機能的免疫系を有する、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記TILの調製物が、生検によって単離された腫瘍又は腫瘍断片から得られる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記in vitro又はex vivoの腫瘍浸潤リンパ球の調製物の生成方法が、腫瘍断片を抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片と接触させる工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片が、腫瘍浸潤リンパ球の調製物を生成する方法の1つ又は複数の相の間、存在する及び/又は維持される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記TILの調製物が遺伝子改変されていない、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記TILの調製物が、遺伝子改変されているTILを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記TILの調製物が、キメラ抗原受容体を発現するTILを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記TILの調製物が、トランスジェニックT細胞受容体を発現するTILを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記対象の腫瘍が原発腫瘍である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記対象の腫瘍が転移巣である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片が、腫瘍微小環境における免疫細胞の浸潤をもたらすために十分な用量、及び/又は投与間隔、及び/又は処置期間で投与される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
ドセタキセルが、腫瘍の化学療法誘発性免疫原性モジュレーションを可能にするために十分な用量、及び/又は投与間隔、及び/又は処置期間で投与される、請求項7から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号9に記載される軽鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域、及び配列番号10に記載される重鎖可変領域のCDRを含む重鎖可変領域を含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号9に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号10に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片が、配列番号11に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖、及び配列番号12に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記抗体又はその抗原結合性断片が、クラステリンとの結合に関して、配列番号9に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域及び配列番号10に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む抗体と競合することが可能である、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記TILの調製物がCD4+ T細胞を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記TILの調製物がCD8+ T細胞を含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記TILの調製物が、少なくとも50%のCD8+リンパ球を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記TILの調製物がB細胞を含む、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記TILの調製物がNK細胞を含む、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記TILの調製物がNK T細胞を含む、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記TILの調製物が、腫瘍抗原認識に関して選択される、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記TILの調製物が中間から高レベルのINFγを分泌する、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片が、TILの単離前又はTILの注入後におよそ3mg/kg~およそ20mg/kgの間の用量で投与される。請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片が、およそ6mg/kgの用量で投与される、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片が、およそ9mg/kgの用量で投与される、請求項1から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片が、およそ12mg/kgの用量で投与される、請求項1から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
ドセタキセルが、TILの単離前又はTILの注入後におよそ60mg/m2~およそ100mg/m2の用量で投与される、請求項7から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
ドセタキセルが、およそ60mg/m2の用量で投与される、請求項7から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
ドセタキセルが、およそ75mg/m2の用量で投与される、請求項7から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記対象が、前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ12mg/kgの用量の週に1回及びドセタキセルのおよそ75mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される、請求項7から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記対象が、前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ12mg/kgの用量の週に1回及びドセタキセルのおよそ60mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される、請求項7から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記対象が、前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ9mg/kgの用量の週に1回及びドセタキセルのおよそ75mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される、請求項7から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が、前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ9mg/kgの用量の週に1回及びドセタキセルのおよそ60mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される、請求項7から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が、前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ6mg/kgの用量の週に1回及びドセタキセルのおよそ75mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される、請求項7から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記対象が、前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ6mg/kgの用量の週に1回及びドセタキセルのおよそ60mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される、請求項7から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記対象が、前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ3mg/kgの用量の週に1回及びドセタキセルのおよそ75mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される、請求項7から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記対象が、前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ3mg/kgの用量の週に1回及びドセタキセルのおよそ60mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される、請求項7から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルが同じ日に投与される、請求項7から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及び/又はドセタキセルが、およそ1時間の時間枠に及ぶ注入によって投与される、請求項7から48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルが、TILの単離前に少なくとも2サイクルの処置で投与される、請求項7から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルが、TILの注入後に少なくとも2サイクルの処置で投与される、請求項7から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記対象が癌腫を有する、請求項1から51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記癌腫が転移性である、請求項1から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記対象が、子宮内膜がん、乳がん、肝臓がん、前立腺がん、腎臓がん、膀胱がん、子宮頸がん、卵巣がん、結腸直腸がん、膵臓がん、肺がん、胃がん、頭頚部がん、甲状腺がん、胆管癌、中皮腫、又は黒色腫を有する、請求項1から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記対象が、転移性子宮内膜がん、転移性乳がん、転移性肝臓がん、転移性前立腺がん、転移性腎臓がん、転移性膀胱がん、転移性子宮頸がん、転移性卵巣がん、転移性結腸直腸がん、転移性膵臓がん、転移性肺がん、転移性胃がん、転移性頭頚部がん、転移性甲状腺がん、転移性胆管癌、転移性中皮腫、又は転移性黒色腫を有する、請求項1から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記対象が、免疫抑制状態ではないか、又は前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片による処置の前若しくは前記抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセル併用療法による処置の前7日以内に免疫抑制剤の投薬を受けていない、請求項1から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記対象が、TILの注入前にリンパ球枯渇前処置を受けている、請求項1から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記対象がヒト対象である、請求項1から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
請求項1から58のいずれか一項に記載の方法によって得られた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の調製物。
【請求項60】
がんを有する対象を、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療によって処置する、前記対象の腫瘍から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を単離して増大させる方法によって得られた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の調製物。
【請求項61】
前記対象が、単剤としての又は化学療法剤との併用療法としての抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片によって処置されているか又は処置される、請求項60に記載のTILの調製物。
【請求項62】
遺伝子改変されていない、請求項60又は61に記載のTILの調製物。
【請求項63】
遺伝子改変されているTILを含む、請求項60又は61に記載のTILの調製物。
【請求項64】
キメラ抗原受容体を発現する、請求項63に記載のTILの調製物。
【請求項65】
トランスジェニックT細胞受容体を発現するTILを含む、請求項63に記載のTILの調製物。
【請求項66】
注入バッグで提供される、請求項60から65のいずれか一項に記載のTILの調製物。
【請求項67】
大部分のCD45+細胞を含む、請求項60から66のいずれか一項に記載のTILの調製物。
【請求項68】
大部分のCD3+細胞を含む。請求項60から67のいずれか一項に記載のTILの調製物。
【請求項69】
大部分のCD4+細胞を含む、請求項60から68のいずれか一項に記載のTILの調製物。
【請求項70】
大部分のCD8+細胞を含む、請求項60から68のいずれか一項に記載のTILの調製物。
【請求項71】
少なくとも50%のCD8+リンパ球を含む、請求項69に記載のTILの調製物。
【請求項72】
中間から高レベルのINFγを分泌するTILを含む、請求項60から66のいずれか一項に記載のTILの調製物。
【請求項73】
CD4+又はCD8+細胞である大部分の細胞を含む、請求項60から66のいずれか一項に記載のTILの調製物。
【請求項74】
養子細胞療法に使用するためのものである、請求項60から72のいずれか一項に記載のTILの調製物。
【請求項75】
請求項60から74のいずれか一項に記載のTILの調製物を含む製品。
【請求項76】
請求項1から58のいずれか一項に記載の方法によって得られた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)培養物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的に、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療による以前の処置を受けた対象から単離した自己腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の投与によってがんを処置する方法に関する。本開示の方法は、抗がん治療を対象に投与すること、TILを単離すること、及びTILを対象に再注入することを含む。本開示はまた、in vitro又はex vivoの腫瘍浸潤リンパ球(TIL)生成方法における抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
固形腫瘍の免疫細胞療法は、2つの異なるアプローチ:腫瘍浸潤リンパ球(TIL)から単離した天然に存在する腫瘍特異的T細胞の養子移入、又は腫瘍抗原に対して特異的なトランスジェニックT細胞受容体(tg-TCR)若しくはT細胞シグナル伝達分子のエンドドメインに融合されたモノクローナル抗体の一本鎖可変領域で構成されるキメラ抗原受容体(CAR)を発現する遺伝子改変Tリンパ球の移入からなる。
【0003】
TIL療法は、世界中の施設で複数の臨床試験が行われるという長い開発の歴史があり、進行黒色腫、より最近では子宮頸がんにおいて長期間持続する臨床奏効率(約50%)を一貫して実証している。
【0004】
TIL処置の明白な利点は、定義された及び定義されていない腫瘍抗原の両方をT細胞が認識するという広い性質、tg-TCR又はCAR形質導入T細胞の単一の特異性ではなく、全ての可能なMHC分子の状況であること、及びtg-TCR T細胞のMHCカバレッジが限定的であることである。On-target/off-tumor毒性は、TIL療法では比較的まれであるが、遺伝子改変T細胞療法が直面する主要な問題である。
【0005】
したがって、TILの養子移入を使用する難治性がんの処置は、不良な予後を有する患者の治療に対して強力なアプローチを表す。Gattinoniら、Nat. Rev. Immunol. 2006、6、383~393頁。IL-2ベースのTIL増大後の「急速増大プロセス」(REP)はその速度及び有効性のために好ましいTIL増大方法となっている(Dudleyら、Science 2002、298、850~54頁; Dudleyら、J. Clin. Oncol. 2005、23、2346~57頁; Dudleyら、J. Clin. Oncol. 2008、26、5233~39頁; Riddellら、Science 1992、257、238~41頁; Dudleyら、J. Immunother. 2003、26、332~42頁)。REPは、14日間にわたってTILの1,000倍増大をもたらし得るが、フィーダー細胞として、しばしば複数のドナーからの過剰量(例えば、200倍)の放射線照射同種末梢血単核球細胞(PBMC、単核球(MNC)としても公知である)並びに抗CD3抗体(OKT3)及び高用量のインターロイキン2(IL-2)を必要とする(Dudleyら、J. Immunother. 2003、26、332~42頁)。REP手順を行ったTILは、黒色腫を有する患者における宿主免疫抑制後の養子細胞療法に成功している。現在の注入許容パラメーターは、TILの組成(例えば、CD28、CD8、又はCD4陽性)並びにREP産物の倍率増大及び生存率の読出しに依存する。
【0006】
TILを調製して増大させる方法は、例えば、これらに限定されないが、Jin J.ら、J Immunother. 35(3):283~292頁、2012、Dudley、M. E.ら、J Immunother. 26(4): 332~342頁、2003、2018年1月5日に出願され、2018年10月4日に国際公開第2018/182817号として公開された国際特許出願PCT/US2018/01633号、及び2019年9月24日に出願され、2020年4月2日に国際公開第2020/068816号として公開された国際特許出願PCT/US2019/052681号、2015年4月10日に出願され、2015年10月15日に国際公開第2015/157636号として公開された国際特許出願PCT/US2015/025313号、2019年9月24日に出願され、2020年4月2日に国際公開第2020/068816号として公開された国際特許出願PCT/US2019/052681号(それらの全ての内容全体が参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。
【0007】
残念なことに、一部の患者は、免疫細胞による浸潤が不良である腫瘍を有し、したがって養子細胞療法が有する有用性は限定的であると予想される。
【0008】
In vivo抗腫瘍免疫応答のモジュレーション及び養子細胞療法のために腫瘍中のTILの存在を増加させることがなおも必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際特許出願PCT/US2018/01633号
【特許文献2】国際公開第2018/182817号
【特許文献3】国際特許出願PCT/US2019/052681号
【特許文献4】国際公開第2020/068816号
【特許文献5】国際特許出願PCT/US2015/025313号
【特許文献6】国際公開第2015/157636号
【特許文献7】国際公開第2020/068816号
【特許文献8】国際特許出願PCT/CA2021/050572号
【特許文献9】国際特許出願PCT/CA2022/050632号
【特許文献10】国際特許出願PCT/CA2006/001505号
【特許文献11】国際公開第2007/030930号
【特許文献12】国際特許出願PCT/CA2010/0001882号
【特許文献13】国際公開第2011/063523号
【特許文献14】米国特許出願公開第2018/0282694号
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Gattinoniら、Nat. Rev. Immunol. 2006、6、383~393頁
【非特許文献2】Dudleyら、Science 2002、298、850~54頁
【非特許文献3】Dudleyら、J. Clin. Oncol. 2005、23、2346~57頁
【非特許文献4】Dudleyら、J. Clin. Oncol. 2008、26、5233~39頁
【非特許文献5】Riddellら、Science 1992、257、238~41頁
【非特許文献6】Dudleyら、J. Immunother. 2003、26、332~42頁
【非特許文献7】Jin J.ら、J Immunother. 35(3):283~292頁、2012
【非特許文献8】Dudley、M. E.ら、J Immunother. 26(4): 332~342頁、2003
【非特許文献9】Ojimaら、Expert Opin Ther Pat. 2016: 26(1): 1~20頁
【非特許文献10】Gacerez、A.T.ら、J Cell Physiol. 231(12):2590~2598頁(2016)
【非特許文献11】Sadelain、M.ら、Cancer Discovery、3(4):388~98頁(2013)
【非特許文献12】Zhang、C.ら、Biomarker Research、5:22頁(2017)
【非特許文献13】Antibody Engineering Vol. 2、Chapter 3 by Andrew C.R. Martin
【発明の概要】
【0011】
本出願人は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片による処置が、腫瘍内免疫浸潤の増加をもたらすことを意外にも発見した(その各々の全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2021年4月27日に出願された国際特許出願PCT/CA2021/050572号、及び2022年4月26日に出願された国際特許出願PCT/CA2022/050632号を参照されたい)。
【0012】
転移性非小細胞肺がんを有する対象において抗クラステリン抗体(AB-16B5、別名、ヒト化16B5)及びドセタキセルを含む併用処置を評価することを目的とする第II相臨床試験の予備的データ(NCT04364620)は、類似の腫瘍内免疫細胞浸潤を示している(2022年4月26日に出願された国際特許出願PCT/CA2022/050632号を参照されたい)。
【0013】
したがって、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療が、腫瘍微小環境における免疫細胞の浸潤を促進するためにがんを有する対象に投与され得る。したがって、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、養子細胞療法に使用するために処置した対象の腫瘍から生成される。
【0014】
本開示は、がんを有する対象を処置する方法であって、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療を対象に投与する工程、対象の腫瘍から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を単離して増大させる工程、並びにTILの調製物を対象に再注入する工程を含む方法を提供する。
【0015】
一部の実施形態では、方法は、本明細書に開示されるTILの調製物を投与することを伴う。一部の実施形態では、TILの調製物は、1つ又は複数のTIL培養物で構成される。一部の実施形態では、TILの調製物はTIL培養物である。
【0016】
本開示に従って、抗がん治療は、単一の抗がん剤として提供される抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片からなる。
【0017】
本開示に従って、抗がん治療は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及び別の抗がん剤を含む。したがって、抗がん治療は併用療法であり得る。
【0018】
一部の実施形態では、併用療法は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及び放射線療法を含む。
【0019】
他の実施形態では、併用療法は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及び化学療法を含む。
【0020】
本開示はまた、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療によって処置した対象から単離した腫瘍から単離して増大させた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)によってがんを処置する方法も提供する。
【0021】
一部の実施形態では、対象は、TIL注入の前にリンパ球枯渇前処置を受ける。
【0022】
一部の実施形態では、TILを、TILの調製物を生成するためにin vitro又はex vivoの腫瘍浸潤リンパ球生成方法によって単離して増大させる。一部の実施形態では、方法はTILを培養することを伴う。
【0023】
一部の実施形態では、方法は、TIL培養物から腫瘍細胞を除去する工程を含み得る。
【0024】
一部の実施形態では、方法は、TIL培養物からCD45+細胞を選択する工程を含み得る。
【0025】
一部の実施形態では、方法は、TIL培養物からCD3+細胞を選択する工程を含み得る。
【0026】
一部の実施形態では、方法は、TIL培養物からCD4+細胞を選択する工程を含み得る。
【0027】
一部の実施形態では、方法は、TIL培養物からCD8+細胞を選択する工程を含み得る。
【0028】
一部の実施形態では、方法は、中間から高レベルのINFγ分泌を有する細胞を選択する工程を含み得る。
【0029】
一部の実施形態では、TILは、in vitroでのその抗腫瘍活性に関して選択される。
【0030】
典型的に、抗腫瘍活性を有するTILは、自己養子細胞療法に使用するために選択される。
【0031】
一部の実施形態では、TILは、単一の作用剤として抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療によって処置されているか又は処置される対象から単離される。
【0032】
一部の実施形態では、TILは、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及び化学療法剤を含む併用療法によって処置されているか又は処置される対象から単離される。
【0033】
化学療法剤の例示的な実施形態としては、アルキル化剤、代謝拮抗剤、アルカロイド、抗腫瘍抗生物質、又はその組合せが挙げられる。
【0034】
一部の例では、アルキル化剤は、アルトレタミン、ブスルファン、カルボプラチン、カルムスチン、シスプラチン、シクロホスファミド、ダカルバジン、イホスファミド、ロムスチン、メルファラン、テモゾロミド、トラベクテジン、又はその誘導体若しくはアナログから選択され得る。
【0035】
一部の例では、代謝拮抗剤は、例えば、5-フルオロウラシル、6-メルカプトプリン、アザシチジン、カペシタビン、クロファラビン、シタラビン、フロクスウリジン、フルダラビン、ゲムシタビン、メトトレキサート、ペメトレキセド、ペントスタチン、プララトレキサート、トリフルリジン、チピラシル、又はその誘導体若しくはアナログから選択され得る。
【0036】
一部の例では、アルカロイドは、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、タキサン類、エトポシド、テニポシド、イリノテカン、トポテカン、又はその誘導体若しくはアナログから選択され得る。
【0037】
タキサンの例示的な実施形態としては、ドセタキセル、パクリタキセル、及びその誘導体又はアナログ、例えば、これらに限定されないが、Abraxane(登録商標)、カバジタキセル、ラロタキセル、ミラタキセル、オルタタキセル、テセタキセル、及びその全内容が参照により本明細書に組み入れられる、Ojimaら、Expert Opin Ther Pat. 2016: 26(1): 1~20頁に記載されるその他が挙げられる。
【0038】
一部の例では、抗腫瘍抗生物質は、例えばダウノルビシン、ドキソルビシン、リポソーム化ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン、バルルビシン、その誘導体又はアナログから選択され得る。
【0039】
一部の実施形態では、化学療法剤はドセタキセルである。
【0040】
一部の実施形態では、化学療法剤はパクリタキセルである。
【0041】
一部の実施形態では、腫瘍は切除可能である。
【0042】
一部の実施形態では、対象は、機能的免疫系を有する。
【0043】
一部の実施形態では、TILは、生検によって単離された腫瘍又は腫瘍断片から得られる。
【0044】
一部の実施形態では、TILは、初回培養相及び増大相を含む方法によって得られる。
【0045】
本開示に従って、in vitro又はex vivoの腫瘍浸潤リンパ球生成方法は、腫瘍断片を、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片と接触させる工程を含み得る。
【0046】
本開示に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、腫瘍浸潤リンパ球生成方法の初回培養相の間に存在し得る、及び/又は維持され得る。
【0047】
或いは、本開示に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、腫瘍浸潤リンパ球生成方法の増大相の間に存在し得る、及び/又は維持され得る。
【0048】
一部の実施形態では、本開示の方法は、遺伝子改変されていないTILを投与することを含む。しかしながら、TILを遺伝子改変して、それらにタンパク質又はペプチドを発現又は過剰発現させることが可能である。
【0049】
一部の実施形態では、TILの調製物は遺伝子改変されていない。
【0050】
一部の実施形態では、TILの調製物は、遺伝子改変されたTILを含む。
【0051】
一部の実施形態では、TILの調製物は、キメラ抗原受容体を発現するTILを含む。
【0052】
一部の実施形態では、TILの調製物は、トランスジェニックT細胞受容体を発現するTILを含む。
【0053】
一部の実施形態では、TILの調製物は、原発腫瘍から単離したTILを含む。
【0054】
一部の実施形態では、TILの調製物は、転移巣から単離したTILを含む。
【0055】
本開示に従って、TILは、本明細書に記載される抗がん治療による以前の処置を受けている対象から単離され得る。
【0056】
例示的な実施形態では、対象は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片、及びタキサン、例えばドセタキセル又はパクリタキセルによる以前の処置を受けていてもよい。
【0057】
本開示に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、腫瘍微小環境への免疫細胞の浸潤をもたらすために十分な用量、及び/又は投与間隔、及び/又は処置期間で投与され得る。
【0058】
本開示に従って、ドセタキセルは、腫瘍の化学療法誘発性免疫原性モジュレーションを可能にするために十分な用量、及び/又は投与間隔、及び/又は処置期間で投与され得る。
【0059】
本開示に従って、方法は、配列番号9に記載される軽鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域、及び配列番号10に記載される重鎖可変領域のCDRを含む重鎖可変領域を含む抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を投与することを含む。
【0060】
本開示に従って、方法は、配列番号9に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号10に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を投与することを含む。
【0061】
本開示に従って、方法は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖、及び配列番号12に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含む抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を投与することを含む。
【0062】
本開示に従って、方法は、クラステリンに結合するために、配列番号9に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号10に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を投与することを含む。
【0063】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、TILの単離前に投与される。一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及び化学療法剤は、TILの単離前に投与される。一部の実施形態では、1つ又は複数の処置サイクルが、TILの単離前に投与される。
【0064】
一部の実施形態では、本明細書に記載される抗がん治療はまた、養子細胞療法後に投与され得る。
【0065】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、TILの調製物の注入後に投与される。一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及び化学療法剤は、TILの注入後に投与される。一部の実施形態では、1つ又は複数の処置サイクルは、TILの注入後に投与される。
【0066】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、TILの単離前又はTILの注入後におよそ3mg/kg~およそ20mg/kgの間の用量で投与される。
【0067】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ6mg/kgの用量で投与される。
【0068】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ9mg/kgの用量で投与される。
【0069】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ12mg/kgの用量で投与される。
【0070】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、毎週投与される。
【0071】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、TILの単離前又はTILの注入後におよそ60mg/m2~およそ100mg/m2の間の用量で投与される。
【0072】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、3週間毎に1回投与される。
【0073】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、およそ60mg/m2の用量で投与される。
【0074】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、およそ75mg/m2の用量で投与される。
【0075】
一部の実施形態では、対象は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ12mg/kgの用量の週に1回、及びドセタキセルのおよそ75mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される。
【0076】
一部の実施形態では、対象は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ12mg/kgの用量の週に1回、及びドセタキセルのおよそ60mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される。
【0077】
一部の実施形態では、対象は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ9mg/kgの用量の週に1回、及びドセタキセルのおよそ75mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される。
【0078】
一部の実施形態では、対象は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ9mg/kgの用量の週に1回、及びドセタキセルのおよそ60mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される。
【0079】
一部の実施形態では、対象は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ6mg/kgの用量の週に1回、及びドセタキセルのおよそ75mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される。
【0080】
一部の実施形態では、対象は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ6mg/kgの用量の週に1回、及びドセタキセルのおよそ60mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される。
【0081】
一部の実施形態では、対象は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ3mg/kgの用量の週に1回、及びドセタキセルのおよそ75mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される。
【0082】
一部の実施形態では、対象は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のおよそ3mg/kgの用量の週に1回、及びドセタキセルのおよそ60mg/m2の用量の3週間毎に1回によって処置される。
【0083】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルは、同じ日に投与される。
【0084】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及び/又はドセタキセルは、およそ1時間の時間枠に及ぶ注入によって投与される。
【0085】
一部の実施形態では、本開示の方法は、本明細書に記載される対象を処置するためである。
【0086】
一部の実施形態では、対象は癌腫を有する。
【0087】
一部の実施形態では、対象は転移性癌を有する。
【0088】
一部の実施形態では、対象は、子宮内膜がん、乳がん、肝臓がん、前立腺がん、腎臓がん、膀胱がん、子宮頸がん、卵巣がん、結腸直腸がん、膵臓がん、肺がん、胃がん、頭頚部がん、甲状腺がん、胆管癌、中皮腫、又は黒色腫を有する。
【0089】
一部の実施形態では、対象は、転移性子宮内膜がん、転移性乳がん、転移性肝臓がん、転移性前立腺がん、転移性腎臓がん、転移性膀胱がん、転移性子宮頸がん、転移性卵巣がん、転移性結腸直腸がん、転移性膵臓がん、転移性肺がん、転移性胃がん、転移性頭頚部がん、転移性甲状腺がん、転移性胆管癌、転移性中皮腫、又は転移性黒色腫を有する。
【0090】
一部の実施形態では、対象は、免疫抑制状態ではないか、又は抗クラステリン抗体若しくはその抗原結合性断片による処置前若しくは抗クラステリン抗体若しくはその抗原結合性断片及びドセタキセル併用療法による処置前の14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2日以内又は1日以内に免疫抑制剤の投薬を受けていない。
【0091】
一部の実施形態では、対象はヒト対象である。
【0092】
本開示の方法は、CD4+ T細胞を含むTIL又はTIL培養物の調製をもたらし得る。
【0093】
本開示の方法は、CD8+ T細胞を含むTIL又はTIL培養物の調製をもたらし得る。
【0094】
本開示の方法は、B細胞を含むTIL又はTIL培養物の調製をもたらし得る。
【0095】
本開示の方法は、NK細胞を含むTIL又はTIL培養物の調製をもたらし得る。
【0096】
本開示の方法は、NK T細胞を含むTIL又はTIL培養物の調製をもたらし得る。
【0097】
本開示の方法は、抗腫瘍活性を有するTIL又はTIL培養物の調製をもたらし得る。
【0098】
したがって、本開示は、本明細書に記載される方法によって得られた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の調製物を提供する。
【0099】
したがって、本開示は、本明細書に記載される方法によって得られた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)培養物を提供する。
【0100】
したがって、本開示はまた、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療によってがんを有する対象を処置する方法によって得られた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の調製物も提供する。
【0101】
一部の実施形態では、TILの調製物は、増大させたTILの調製物である。
【0102】
本開示はまた、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療によってがんを有する対象を処置する方法によって得られたTIL培養物も提供する。
【0103】
一部の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、単剤として、又は化学療法剤との併用療法としての抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片によって処置されているか又は処置される対象から得られる。
【0104】
一部の実施形態では、TILは遺伝子改変されていない。
【0105】
他の実施形態では、TILは遺伝子改変されている。
【0106】
一部の実施形態では、TILの調製物は、遺伝子改変されているTILを含む。
【0107】
一部の実施形態では、TILの調製物は、キメラ抗原受容体を発現するTILを含む。
【0108】
一部の実施形態では、TILの調製物は、トランスジェニックT細胞受容体を発現するTILを含む。
【0109】
一部の実施形態では、TILの調製物は、注入バッグで提供される。
【0110】
一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の調製物は、大部分のCD45+細胞を含む。
【0111】
一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の調製物は、大部分のCD3+細胞を含む。
【0112】
一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の調製物は、大部分のCD4+細胞を含む。
【0113】
一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の調製物は、大部分のCD8+細胞を含む。
【0114】
一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物(TIL)の調製物は、大部分のCD4+又はCD8+細胞である細胞を含む。
【0115】
一部の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、少なくとも50%のCD8+リンパ球を含み得る。他の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、少なくとも60%のCD8+リンパ球を含み得る。なお他の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、少なくとも70%のCD8+リンパ球を含み得る。追加の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、少なくとも75%のCD8+リンパ球を含み得る。追加の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、75%より多くのCD8+リンパ球を含み得る。腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、中間から高レベルのINFγを分泌し得る。
【0116】
例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも50%のCD8+リンパ球を含む、腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成され得る。他の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも50%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのINFγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成され得る。他の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも60%のCD8+リンパ球を含み、高レベルのINFγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成される。追加の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも70%のCD8+リンパ球を含み、高レベルのINFγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成される。なお追加の例示的な実施形態では、瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも75%のCD8+リンパ球を含み、高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成される。なお追加の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が75%より多くのCD8+リンパ球を含み、高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成される。
【0117】
一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球培養物の各々は、同じ腫瘍から得られ得る。別の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球培養物の各々は、異なる腫瘍から得られ得る。
【0118】
他の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、10%未満のCD4+リンパ球を含み得る。なお他の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は7.5%未満のCD4+リンパ球を含み得る。他の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、5%未満のCD4+リンパ球を含み得る。他の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、2%のCD4+リンパ球又はそれより少ないCD4+リンパ球を含み得る。
【0119】
腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、製品として提供され得る。製品の例示的な実施形態としては、バイアル、フラスコ、シリンジ、注入バッグ、及びその他が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
図1】4T1肺転移は、免疫学的に「冷たい」であり、免疫リンパ球浸潤を防止する。CD3+及びCD8+ T細胞は、4T1肺転移の辺縁部に存在し、これは、リンパ球浸潤を防止する、上皮間葉転換の結果としての限定的腫瘍微小環境の創出に起因する。
図2A】16B5抗体sCLU mAbによるEMTの阻害は、4T1肺転移におけるB(B220)及びT(CD3、CD4、CD8)リンパ球浸潤をもたらす。
図2B】単剤としてのAB-16B5によって処置した患者のヒト腫瘍生検の写真である。
図2C】単剤としてのAB-16B5によって処置した患者のヒト腫瘍生検の写真である。
図2D】単剤としてのAB-16B5によって処置した患者のヒト腫瘍生検の写真である。
図3】単剤療法又はドセタキセルとの併用としてAB-16B5によって処置した4T1移植動物における転移性肺結節の数のグラフである。
図4A】単剤療法又はドセタキセルとの併用としてAB-16B5によって処置した動物からの4T1肺転移に、B及びTリンパ球が浸潤していることを示す図である。4T1肺転移を、移植後36日目に解剖し、フローサイトメトリーによる免疫表現型決定のために、コラゲナーゼ及びヒアルロニダーゼによって処理した。
図4B】単剤療法又はドセタキセルとの併用としてAB-16B5によって処置した動物からの4T1肺転移に、B及びTリンパ球が浸潤していることを示す図である。4T1肺転移を、移植後36日目に解剖し、フローサイトメトリーによる免疫表現型決定のために、コラゲナーゼ及びヒアルロニダーゼによって処理した。
【発明を実施するための形態】
【0121】
本開示の更なる範囲、応用性、及び利点は、以降に示す非限定的な詳細な説明から明らかとなるであろう。しかしながら、この詳細な説明は、添付の図面を参照して本開示の例示的な実施形態を示しているが、単なる例に過ぎないことを理解すべきである。
【0122】
定義
特に示していない限り、二量体ドメインに関して示されるアミノ酸ナンバリングは、EUナンバリングシステムに従う。
【0123】
実施形態を記載する文脈(特に特許請求の範囲の文脈)における「1つの(a)」及び「1つの(an)」及び「その」という用語の使用及び類似の言及は、本明細書において特に示されていない限り、又は文脈と明白に矛盾しない限り、単数形と複数形の両方を含むと解釈すべきである。
【0124】
特に具体的に述べていない限り、又は文脈から明らかである場合を除き、本明細書で使用される場合、「又は」という用語は、包括的であり、「又は」と「及び」の両方を含むと理解される。
【0125】
「及び/又は」という用語は、本明細書で使用される場合、他方の存在下又は非存在下での指定された特色又は構成要素の各々の特定の開示と考えるべきである。
【0126】
「含む(comprising)」、「有する」、「含む(including)」、及び「含有する」という用語は、特に記されていない限り、制約がない用語(すなわち、「含むがこれらに限定されない」ことを意味する)であると解釈すべきである。「からなる」という用語は、限定的であると解釈すべきである。
【0127】
本開示の目的に関して「処置」という用語は、治療的処置及び予防的処置手段の両方を指す。処置を必要とする対象は、障害を既に有する対象、並びに障害を有する傾向がある対象、又は障害を防止すべき対象を含む。
【0128】
「EMTシグネチャー」という用語は、本明細書で使用される場合、上皮表現型の喪失及び/又は間葉表現型の獲得を示す変化を指し、これは細胞レベルで観察可能である、及び/又は遺伝子レベル若しくはタンパク質レベルで観察可能若しくは測定可能である。
【0129】
所定の値に関する「約」又は「およそ」という用語は、値の変動が企図されることを意味する。一部の実施形態では、「約」又は「およそ」という用語は、一般的に所定の値又は範囲の+/-20パーセント以内、+/-10パーセント以内、+/-5パーセント以内、+/-4パーセント以内、+/-3パーセント以内、+/-2パーセント以内、又は+/-1パーセント以内の範囲を意味する。
【0130】
対象に関する「機能的免疫系」という用語は、対象の免疫系が、がん若しくは投薬によって本質的に影響を受けないこと、又は対象が免疫抑制状態ではないことを意味する。
【0131】
方法及び使用
抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療の投与は、腫瘍微小環境における腫瘍細胞の浸潤を促進する。腫瘍浸潤リンパ球を、原発腫瘍又は腫瘍転移巣から単離し、in vitroで増大させる。腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、養子細胞療法に使用され得る。
【0132】
したがって、本開示は、がんを有する対象を処置する方法であって、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療を対象に投与する工程、対象の腫瘍から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を単離及び増大させる工程、並びにTILの調製物を対象に再注入する工程を含む方法を提供する。
【0133】
本開示はまた、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療によって処置された対象から単離した腫瘍から単離して増大させた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)によってがんを処置する方法も提供する。
【0134】
したがって、TILは、少なくとも1つの抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片による以前の処置を受けた対象から単離され得る。
【0135】
一部の例では、抗がん治療は、TIL単離の少なくとも2週間前に投与される。他の例では、抗がん治療は、TIL単離の少なくとも3週間前に投与される。なお他の例では、抗がん治療は、TIL単離の少なくとも4週間前に投与される。更なる例では、抗がん治療は、TIL単離の少なくとも5週間前に投与される。なお更なる例では、抗がん治療は、TIL単離の少なくとも6週間前に投与される。
【0136】
一部の実施形態では、抗がん治療は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルを含む併用療法である。抗がん治療は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を週に1回及びドセタキセルを3週間毎に1回投与することで構成される処置サイクルとして投与され得る。
【0137】
例示的な実施形態では、抗がん治療は、少なくとも1サイクルの処置で投与される。別の例示的な実施形態、抗がん治療は、少なくとも2サイクルの処置で投与される。なお別の例示的な実施形態、抗がん治療は、2サイクルより多い処置で投与される。
【0138】
本開示の方法はまた、養子細胞療法の後に抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療を投与する工程も含み得る。
【0139】
一部の実施形態では、抗がん治療は、養子細胞療法の少なくとも1週間後に投与され得る。別の実施形態では、抗がん治療は、養子細胞療法の少なくとも2週間後に投与され得る。なお別の実施形態では、抗がん治療は、養子細胞療法の少なくとも3週間後に投与され得る。更なる実施形態では、抗がん治療は、養子細胞療法の少なくとも4週間後に投与され得る。
【0140】
一部の実施形態では、その後の抗がん治療は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルを含む併用療法である。その後の抗がん治療は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を週に1回及びドセタキセルを3週間毎に1回投与することからなる処置サイクルとして投与され得る。
【0141】
例示的な実施形態では、その後の抗がん治療は、少なくとも1サイクルの処置で投与される。別の例示的な実施形態では、その後の抗がん治療は、少なくとも2サイクルの処置で投与される。なお別の例示的な実施形態では、その後の抗がん治療は、2サイクルより長い処置で投与される。
【0142】
一部の実施形態では、TILは、当業者に公知の方法によって得られ得る。
【0143】
一部の実施形態では、TILは、in vitro又はex vivoの腫瘍浸潤リンパ球生成方法によって単離され、増大する。
【0144】
TILは通常、初回培養相及び増大相を含む方法によって処理される。
【0145】
初回培養相は、腫瘍消化物及び/又は腫瘍断片を、典型的に24ウェルプレートにおいて培養することによって行われ得る。初回培養相の間、TILは、細胞培養培地中に浮遊するようになってもよく、腫瘍細胞は細胞培養プレートに接着するようになってもよい。
【0146】
腫瘍断片は、本明細書に開示される抗がん治療によって処置された対象から得られた原発腫瘍又は腫瘍転移巣を起源とし得る。
【0147】
初回培養相は、腫瘍細胞の存在下でTILを培養することを伴う。一部の実施形態では、各断片を個別に培養して、個別のTIL培養物を得る。
【0148】
初回培養相に関して、TIL培養物にサイトカインを供給してもよい。サイトカインの例示的な実施形態としては、IL-2(組み換えヒトIL-2)、IL-7(組み換えヒトIL-7)、IL-15(組み換えヒトIL-15)及びその組合せが挙げられる。
【0149】
初回培養相は典型的に、2~5週間の範囲の期間行われる。一部の例では、初回培養相は少なくとも2週間行われる。他の例では、初回培養相は少なくとも3週間行われる。なお他の例では、初回培養相は、少なくとも4週間行われる。更なる例では、初回培養相は、少なくとも4週間より長い間行われる。
【0150】
各TIL培養物を、初回培養相の間又は終了時に試験して、望ましい抗腫瘍活性を有する培養物を同定してもよい。或いは、各TIL培養物を、初回培養相の間又は終了時に試験して、最高の割合のリンパ球を有する培養物を同定してもよい。一部の例では、Tリンパ球を、例えばこれらに限定されないが、CD3、CD45、又はその組合せ等のマーカーを使用してサイトメトリーによって同定してもよい。一部の例では、細胞傷害性リンパ球の最高の割合を有するTIL培養物を選択してもよい。
【0151】
所定のTIL培養物の抗腫瘍活性は、例えば腫瘍細胞の存在下で分泌されるINFγレベルによって評価され得る。より詳しくは、ベースラインINFγ分泌と比較した腫瘍細胞の存在下でのINFγ分泌の増加は、所定のTIL培養物の潜在的抗腫瘍活性を示し得る。なお他の例では、所定のTIL培養物の抗腫瘍活性は、活性化マーカーの発現によって決定され得る。活性化マーカーの例示的な実施形態はCD37である。活性化マーカーの発現は、例えばサイトメトリーによって決定され得る。抗腫瘍活性を試験する他の方法を使用してもよい。
【0152】
抗腫瘍活性を示すTILが、対象に投与するために特に企図される。
【0153】
一部の実施形態では、ベースラインと比較して腫瘍細胞と同時培養した場合にINFγ分泌の証拠又はINFγ分泌の増加を示すTIL培養物を、増大相のために選択してもよい。
【0154】
例示的な実施形態では、100pg/mlに等しいか又はそれより高いIFNγ分泌レベルが、増大相への選択のために特に企図される。
【0155】
他の例示的な実施形態では、300pg/ml(中間レベル)に等しいか又はそれより高いIFNγ分泌レベルが、増大相への選択のために特に企図される。
【0156】
なお他の例示的な実施形態、500pg/ml(高レベル)に等しいか又はそれより高いIFNγ分泌レベルが、増大相への選択のために特に企図される。
【0157】
一部の実施形態では、INFγ分泌は、少なくとも2週間培養後に決定される。他の実施形態では、INFγ分泌は、少なくとも3週間培養後に決定される。他の実施形態では、INFγ分泌は、少なくとも4週間培養後に決定される。
【0158】
一部の実施形態では、細胞傷害性T細胞の最高の割合を有するTIL培養物を、増大相のために、又は対象に投与するために選択してもよい。例えば、最高の割合のCD8+ Tリンパ球を有するTIL培養物が選択される。別の例では、少なくとも50%のCD8+ Tリンパ球を有するTIL培養物が選択される。
【0159】
望ましい特徴を有するTIL培養物を増大相の前若しくは後にプールしてもよく、又は或いは個々のTIL培養物を増大させてもよい。
【0160】
一部の実施形態では、増大相は、TIL培養物から腫瘍細胞を除去すること、又は培養物から免疫細胞を単離することを伴い得る。一部の例では、CD8+ T細胞は、対象にその後移入するために培養物から特に選択され得る。
【0161】
増大相に関して、望ましければ、TIL培養物にまた、サイトカインを供給してもよい。サイトカインの例示的な実施形態としては、IL-2(組み換えヒトIL-2)、IL-7(組み換えヒトIL-7)、IL-15(組み換えヒトIL-15)及びその組合せが挙げられる。望ましければ、1つ又は複数のサイトカインを増大相から除外してもよい。
【0162】
増大相は、典型的に1~5週間の範囲の期間、行われる。一部の例では、増大相は、少なくとも1週間行われ得る。他の例では、増大相は少なくとも2週間行われ得る。なお他の例では、増大相は少なくとも3週間行われ得る。更なる例では、増大相は少なくとも4週間行われ得る。
【0163】
TIL調製物を、抗腫瘍活性に関して更に試験してもよい。
【0164】
本開示の方法は、TIL培養物又はTIL調製物を処理して、それらの特徴を改善する工程を伴い得る。処理する工程は、初回培養相を通して又は増大相を通して1つ又は複数の時点で行われ得る。
【0165】
例えば、TIL培養物又はTIL調製物を処理して、抗腫瘍活性に負の影響を及ぼし得る構成要素を除去してもよい。別の例では、TIL培養物又はTIL調製物を処理して、細胞傷害性リンパ球の成長又は活性を妨害し得る構成要素を除去してもよい。
【0166】
一部の例示的な実施形態では、TIL培養物又はTIL調製物を処理してTRegを除去してもよい。
【0167】
他の例示的な実施形態では、TIL培養物又はTIL調製物を処理してNKT細胞を除去してもよい。
【0168】
一部の実施形態では、方法は、TIL培養物又はTIL調製物から腫瘍細胞を除去する工程を含み得る。
【0169】
一部の実施形態では、方法は、TIL培養物又はTIL調製物からCD45+細胞を選択する工程を含み得る。
【0170】
一部の実施形態では、方法は、TIL培養物又はTIL調製物からCD4+細胞を選択する工程を含み得る。
【0171】
一部の実施形態では、方法は、TIL培養物又はTIL調製物からCD8+細胞を選択する工程を含み得る。
【0172】
一部の実施形態では、方法は、100pg/mlに等しいか又はそれより高いレベルでINFγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。
【0173】
一部の実施形態では、方法は、300pg/ml(中間レベル)に等しいか又はそれより高いレベルでINFγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。
【0174】
一部の実施形態では、方法は、500pg/ml(高レベル)に等しいか又はそれより高いレベルでINFγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。
【0175】
一部の実施形態では、方法は、少なくとも50%のCD8+リンパ球を含む腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。他の実施形態では、方法は、少なくとも60%のCD8+リンパ球を含む腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。なお他の実施形態では、方法は、少なくとも70%のCD8+リンパ球を含む腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。更なる実施形態では、方法は、少なくとも75%のCD8+リンパ球を含む腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。追加の実施形態では、方法は、75%より多くのCD8+リンパ球を含む腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。
【0176】
更なる実施形態では、方法は、CD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのINFγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。
【0177】
したがって、一部の例では、方法は、少なくとも50%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのINFγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。他の例では、方法は、少なくとも60%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのINFγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。なお他の例では、方法は、少なくとも70%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。追加の例では、方法は、少なくとも75%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。追加の例では、75%より多くのCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物を選択する工程を含み得る。
【0178】
一部の実施形態では、方法は、CD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのINFγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物又はTIL調製物をプールする工程を含み得る。
【0179】
したがって、一部の実施形態では、方法は、各々が少なくとも50%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物をプールする工程を含み得る。他の例示的な実施形態では、方法は、各々が少なくとも60%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物をプールする工程を含み得る。追加の例示的な実施形態では、方法は、各々が少なくとも70%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物をプールする工程を含み得る。なお追加の例示的な実施形態では、方法は、各々が少なくとも75%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物をプールする工程を含み得る。他の例示的な実施形態では、方法は、各々が75%より多くのCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物をプールする工程を含み得る。
【0180】
例示的な実施形態では、方法は、中間レベルのINFγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物を選択及び/又はプールする工程を含み得る。
【0181】
例示的な実施形態では、方法は、高レベルのINFγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物を選択及び/又はプールする工程を含み得る。
【0182】
同様に、多様な特徴を有するTILの調製物をプールしてもよい。
【0183】
一部の実施形態では、TILの調製物は、本明細書に記載される対象から得られる。
【0184】
一部の実施形態では、TILの調製物は、単剤として抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片によって処置されているか又は処置される対象から得られる。
【0185】
一部の実施形態では、TILの調製物は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及び化学療法剤を含む併用療法によって処置されているか又は処置される対象から得られる。
【0186】
一部の実施形態では、化学療法剤はドセタキセルである。
【0187】
一部の実施形態では、腫瘍は切除可能である。
【0188】
一部の実施形態では、対象は機能的免疫系を有する。
【0189】
一部の実施形態では、TILは、生検によって単離された腫瘍又は腫瘍断片から得られる。
【0190】
本開示に従って、in vitro又はex vivoの腫瘍浸潤リンパ球生成方法は、腫瘍断片を、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片と接触させる工程を含む。
【0191】
本開示に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、腫瘍浸潤リンパ球生成方法の初回培養相の間に存在し得る、及び/又は維持され得る。
【0192】
本開示に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、腫瘍浸潤リンパ球生成方法の増大相の間に存在し得る、及び/又は維持され得る。
【0193】
TILを遺伝子改変してもよく、しなくてもよい。例えば、TILは、キメラ抗原受容体を発現し得る。キメラ抗原受容体の基本的構造は、文献に記載されている(例えば、Gacerez、A.T.ら、J Cell Physiol. 231(12):2590~2598頁(2016)、Sadelain、M.ら、Cancer Discovery、3(4):388~98頁(2013)、Zhang、C.ら、Biomarker Research、5:22頁(2017))。キメラ抗原受容体は通常、典型的に一本鎖Fvの形態の細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0194】
他の例では、TILは、トランスジェニックT細胞受容体を発現し得る。
【0195】
TILは、原発腫瘍又は腫瘍転移巣から単離され得る。
【0196】
本開示に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、腫瘍微小環境における免疫細胞の浸潤をもたらすために十分な用量、及び/又は投与間隔、及び/又は処置期間で投与され得る。
【0197】
本開示に従って、ドセタキセルは、腫瘍の化学療法誘発性免疫原性モジュレーションを可能にするために十分な用量、及び/又は投与間隔、及び/又は処置期間で投与され得る。
【0198】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、本明細書に開示される通りである。例えば、一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5である。
【0199】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、TILの単離前に投与される。一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及び化学療法剤は、TILの単離前に投与される。一部の実施形態では、1つ又は複数の処置サイクルが、TILの単離前に投与される。
【0200】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、TILの注入後に投与される。一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及び化学療法剤は、TILの注入後に投与される。一部の実施形態では、1つ又は複数の処置サイクルは、TILの注入後に投与される。
【0201】
一部の実施形態では、TILの調製物はCD3+ T細胞を含む。
【0202】
一部の実施形態では、TILの調製物は、CD4+ T細胞を含む。
【0203】
一部の実施形態では、TILの調製物は、CD8+ T細胞を含む。
【0204】
一部の実施形態では、TILの調製物は、B細胞を含む。
【0205】
一部の実施形態では、TILの調製物は、NK細胞を含む。
【0206】
一部の実施形態では、TILの調製物は、NK T細胞を含む。
【0207】
一部の実施形態では、TILの調製物は、腫瘍抗原認識に関して選択される。
【0208】
本開示に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、本明細書に開示される投薬量、レジメン、及び/又はスケジュールで投与され得る。
【0209】
本開示に従って、ドセタキセルは、本明細書に開示される投薬量。レジメン、及び/又はスケジュールで投与され得る。
【0210】
本開示に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルの組合せは、本明細書に開示される投薬量、レジメン、及び/又はスケジュールで投与され得る。
【0211】
本開示に従って、対象は、癌腫、例えば転移性癌腫を有し得る。
【0212】
本開示は、そのなお別の態様において、がんを有する対象を処置する方法であって、腫瘍断片を、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片と接触させる工程を含むin vitro又はin vivo方法によって得られた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を、単剤として又は化学療法との併用療法として投与することを含む方法を提供する。
【0213】
一部の実施形態では、対象は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片又は併用療法によって以前に処置されていてもよい。
【0214】
一部の実施形態では、対象は、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片又は併用療法によって以前に処置されていない。
【0215】
本開示に従って、TILは、対象に再注入される。TIL注入プロトコールは、文献に記載されている。一部の実施形態では、対象は、TILの注入前にリンパ球枯渇前処置を受ける。一部の実施形態では、対象はIL-2を受ける。
【0216】
例えば、TIL産物の注入前に、患者は、シクロホスファミド(60mg/kg/日を2日間静脈内)及びフルダラビン(25mg/m2/日を5日間静脈内)からなる非骨髄破壊的リンパ球枯渇前処置を受け得る。TILの静脈内養子移入の後に、静脈内IL-2(Proleukin)(600000IU/kg/用量で8時間毎に認容されるまで又は最大15用量)を投与してもよい。
【0217】
TIL及びTIL培養物の調製
本開示はまた、本明細書に記載される方法によって得た腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の調製物も提供する。
【0218】
本開示はまた、本明細書に記載される方法によって得たTIL培養物も提供する。
【0219】
「TILの調製物」及び「TIL調製物」という表現は互換的に使用される。
【0220】
一般的に、「TILの調製物」という表現は、養子細胞療法における投与のための組成物を指すために使用される。「TIL培養物」という表現は、一般的に、単離された、増大された、又は単離及び/若しくは増大されるプロセスにある組成物を指す。「TIL培養物」は、単一の細胞クローン又は混合細胞集団を起源とし得る。一部の実施形態では、TILの調製物は、単一のTIL培養物又は幾つかのTIL培養物で構成され得る。
【0221】
「TILの調製物」又は「TIL培養物」は、類似又は同一の特徴を有し得ると理解すべきである。一部の実施形態では、TILの調製物はTIL培養物である。
【0222】
一部の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、本明細書に記載される対象から得られる。
【0223】
一部の実施形態では、TILの調製物は、増大させたTILの調製物である。
【0224】
したがって、本開示は、がんを有する対象を対象への抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片によって処置し、対象の腫瘍から腫瘍浸潤リンパ球(TIL)を単離及び増大させる方法によって得られた、増大させた腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の調製物又はTIL培養物も提供する。
【0225】
一部の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、単剤として又は化学療法剤との併用療法として抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片によって処置されているか又は処置される対象から得られる。
【0226】
一部の実施形態では、TILは、遺伝子改変されていない。
【0227】
一部の実施形態では、TILは、遺伝子改変されている。
【0228】
一部の実施形態では、TILは、キメラ抗原受容体を発現する。
【0229】
一部の実施形態では、TILは、トランスジェニックT細胞受容体を発現する。
【0230】
一部の実施形態では、TILは、注入バッグで提供される。
【0231】
腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、中間から高レベルのINFγを分泌し得る。
【0232】
例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、100pg/mlに等しいか又はそれより高いレベルでINFγを分泌する。
【0233】
他の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、300pg/ml(中間レベル)に等しいか又はそれより高いレベルでINFγを分泌する。
【0234】
なお他の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、500pg/ml(高レベル)に等しいか又はそれより高いレベルでINFγを分泌する。
【0235】
一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物(TIL)又はTIL培養物は、大部分のCD45+細胞を含む。例えば、一部の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、少なくとも80%のCD45+細胞を含み得る。例えば、他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、少なくとも90%のCD45+細胞を含み得る。他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、少なくとも95%のCD45+細胞を含み得る。なお他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、少なくとも99%のCD45+細胞を含み得る。他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、CD45+細胞のみを含み得る。
【0236】
一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の調製物は、大部分のCD4+細胞を含む。例えば、一部の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、50%より多くのCD4+細胞を含み得る。他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、少なくとも60%のCD4+細胞を含み得る。なお他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、少なくとも70%のCD4+細胞を含み得る。一部の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、少なくとも80%のCD4+細胞を含み得る。追加の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、少なくとも90%のCD4+細胞を含み得る。他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、少なくとも95%のCD4+細胞を含み得る。なお他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、少なくとも99%のCD4+細胞を含み得る。他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、CD4+細胞のみを含み得る。
【0237】
一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物(TIL)又はTIL培養物は、大部分のCD8+細胞を含む。一部の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、少なくとも50%のCD8+リンパ球を含み得る。例えば、一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、50%より多くのCD8+細胞を含み得る。他の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、少なくとも60%のCD8+細胞を含み得る。なお他の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、少なくとも70%のCD8+細胞を含み得る。なお他の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、少なくとも75%のCD8+細胞を含み得る。一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、少なくとも80%のCD8+細胞を含み得る。追加の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、少なくとも90%のCD8+細胞を含み得る。他の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、少なくとも95%のCD8+細胞を含み得る。なお他の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、少なくとも99%のCD8+細胞を含み得る。他の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、CD8+細胞のみを含み得る。一部の例では、CD8+細胞は、CD8+ Tリンパ球である。
【0238】
一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物はCD8+リンパ球を含み得て、中間から高レベルのINFγを分泌し得る。
【0239】
一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々がCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成され得る。
【0240】
例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも50%のCD8+リンパ球を含む腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成され得る。他の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも50%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成され得る。他の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも60%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成され得る。追加の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも70%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成され得る。なお追加の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも75%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成される。なお追加の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも80%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成される。なお追加の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも85%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成される。なお追加の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも90%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成される。なお追加の例示的な実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物は、各々が少なくとも95%のCD8+リンパ球を含み、中間から高レベルのIFNγを分泌する腫瘍浸潤リンパ球培養物で構成される。
【0241】
一部の実施形態では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物(TIL)又はTIL培養物は、大部分のCD4+又はCD8+である細胞を含む。例えば、一部の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、CD4+又はCD8+である50%より多くの細胞を含み得る。他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、CD4+又はCD8+である少なくとも60%の細胞を含み得る。なお他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、CD4+又はCD8+である少なくとも70%の細胞を含み得る。一部の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、CD4+又はCD8+である少なくとも80%の細胞を含み得る。追加の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、CD4+又はCD8+である少なくとも90%の細胞を含み得る。他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、CD4+又はCD8+である少なくとも95%の細胞を含み得る。他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、CD4+又はCD8+である少なくとも99%の細胞を含み得る。他の実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、CD4+又はCD8+である細胞のみを含み得る。
【0242】
他の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、10%未満のCD4+リンパ球を含み得る。なお他の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、7.5%未満のCD4+リンパ球を含み得る。他の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、5%未満のCD4+リンパ球を含み得る。他の例では、腫瘍浸潤リンパ球の調製物又はTIL培養物は、2%のCD4+リンパ球又はそれより少ないCD4+リンパ球を含み得る。
【0243】
例示的な実施形態では、TILの調製物又はTIL培養物は、100pg/mlに等しいか又はそれより高いINFγ分泌レベルによって特徴付けられる。
【0244】
別の例示的な実施形態、TILの調製物又はTIL培養物は、300pg/ml(中間レベル)に等しいか又はそれより高いINFγ分泌レベルによって特徴付けられる。
【0245】
なお別の例示的な実施形態、TILの調製物又はTIL培養物は、500pg/ml(高レベル)に等しいか又はそれより高いINFγ分泌レベルによって特徴付けられる。
【0246】
一部の実施形態では、本明細書に開示されるTILの調製物は、それを必要とする対象に投与される。TILの調製物は、それが当初単離された対象に対して自己である。
【0247】
本開示の方法において、TILの調製物は、対象に注入される。典型的に、細胞108~1011個が、対象を処置するために使用される。対象は、養子細胞療法の前にリンパ球枯渇処置を受けてもよい。
【0248】
対象はまた、高用量のIL-2を受け得る。高用量IL-2の例示的な実施形態としては、600,000IU/kg又は720,000IU/kgが挙げられる。高用量IL-2は、8時間毎のIV注入によって提供され得る。高用量IL-2は、最大15の連続用量で提供され得る。連続用量は、例えば5日間にわたって提供され得る。
【0249】
抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片
一部の実施形態では、本開示の抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、上皮間葉転換を阻害することが可能である。
【0250】
一部の実施形態では、本開示の抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒトクラステリン(配列番号41、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、国際公開第2007/030930号として公開された国際特許出願PCT/CA2006/001505号、及び国際公開第2011/063523号として公開された国際特許出願PCT/CA2010/0001882号を参照されたい)のβサブユニットのC末端部分のアミノ酸421及び443に結合することが可能である。
【0251】
一部の実施形態では、本開示の抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒトクラステリン(配列番号41、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、国際公開第2007/030930号として公開されたPCT/CA2006/001505号、及び国際公開第2011/063523号として公開されたPCT/CA2010/0001882号を参照されたい)のβサブユニットのC末端部分のアミノ酸421及び443内に含まれるエピトープに結合することが可能である。
【0252】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、本開示の抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片のCDRを含む。
【0253】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、本開示の抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片と、クラステリン(例えば、分泌されたクラステリン(sCLU)又は腫瘍関連sCLU(TA-sCLU))に対する結合に関して、又は配列番号41に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する結合に関して競合することが可能である抗体又はその抗原結合性断片である。
【0254】
一部の実施形態では、CDRは、当業者に公知の方法を使用して同定され、これは、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、Antibody Engineering Vol. 2、Chapter 3 by Andrew C.R. Martinにおいて論評されている。
【0255】
特定の実施形態では、全てのCDRは、最も一般的に使用される定義であるKabat定義を使用して同定されている(Wu and Kabat、1970)。
【0256】
特定の実施形態では、全てのCDRは、コンタクト定義(MacCallumら、1996)を使用して同定され、これはこれらが抗原との相互作用に関与する残基であることから抗体の親和性を改変するために突然変異誘発を実施しようとする人にとって最も有用であると考えられている。
【0257】
特定の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号9に記載される軽鎖可変領域の相補性決定領域(CDR)を含む軽鎖可変領域、及び配列番号10に記載される重鎖可変領域のCDRを含む重鎖可変領域を含む。
【0258】
一部の例示的な実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号1に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL2、及び配列番号3に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0259】
一部の例示的な実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号4に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号5に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH2、及び配列番号6に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。
【0260】
一部の例示的な実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号35に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号36に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH2、及び配列番号37に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。
【0261】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号1に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL2、配列番号3に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL3を含む軽鎖可変領域、及び配列番号4に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号5に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号6に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。
【0262】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号1に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号2に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL2、配列番号3に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL3を含む軽鎖可変領域、及び配列番号35に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号36に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号37に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。
【0263】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号7に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号8に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0264】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号7に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号8に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0265】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号7に記載されるアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号8に記載されるアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0266】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号7に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域及び配列番号8に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む抗体と、クラステリン(例えば、分泌されたクラステリン(sCLU)又は腫瘍関連sCLU(TA-sCLU))の結合に関して、又は配列番号41に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する結合に関して競合することが可能である。
【0267】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号9に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号10に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0268】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号9に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号10に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0269】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号9に記載されるアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号10に記載されるアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0270】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号9に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域及び配列番号10に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む抗体と、クラステリン(例えば、分泌されたクラステリン(sCLU)又は腫瘍関連sCLU(TA-sCLU))の結合に関して、又は配列番号41に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する結合に関して競合することが可能である。
【0271】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖、及び配列番号12に記載されるアミノ酸配列少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0272】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号12に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0273】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖、及び配列番号12に記載されるアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0274】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号11に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖及び配列番号12に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む抗体と、クラステリン(例えば、分泌されたクラステリン(sCLU)又は腫瘍関連sCLU(TA-sCLU))の結合に関して、又は配列番号41に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する結合に関して競合することが可能である。
【0275】
他の特定の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号16に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL2、配列番号17に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0276】
一部の例示的な実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号18に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号19に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号20に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。
【0277】
一部の例示的な実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号38に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号39に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号40に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。
【0278】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号16に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL2、配列番号17に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL3を含む軽鎖可変領域、及び配列番号18に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号19に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号20に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。
【0279】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号15に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL1、配列番号16に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL2、配列番号17に記載されるアミノ酸配列を有するCDRL3を含む軽鎖可変領域、及び配列番号38に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH1、配列番号39に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH2、配列番号40に記載されるアミノ酸配列を有するCDRH3を含む重鎖可変領域を含む。
【0280】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号21に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号22に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0281】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号21に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号22に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0282】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号21に記載されるアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号22に記載されるアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0283】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号21に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域及び配列番号22に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む抗体と、クラステリン(例えば、分泌されたクラステリン(sCLU)又は腫瘍関連sCLU(TA-sCLU))の結合に関して、又は配列番号41に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する結合に関して競合することが可能である。
【0284】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号23に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号24に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する重鎖可変領域を含む。
【0285】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号23に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号24に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0286】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号23に記載されるアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域、及び配列番号24に記載されるアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。
【0287】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号23に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域及び配列番号24に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む抗体と、クラステリン(例えば、分泌されたクラステリン(sCLU)又は腫瘍関連sCLU(TA-sCLU))の結合に関して、又は配列番号41に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する結合に関して競合することが可能である。
【0288】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号25に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖、及び配列番号26に記載されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有する重鎖を含む。
【0289】
抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号25に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖、及び配列番号26に記載されるアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖を含む。
【0290】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号25に記載されるアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する軽鎖、及び配列番号26に記載されるアミノ酸配列と同一であるアミノ酸配列を有する重鎖を含む。
【0291】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、配列番号25に記載されるアミノ酸配列を有する軽鎖、及び配列番号26に記載されるアミノ酸配列を有する重鎖を含む抗体と、クラステリン(例えば、分泌されたクラステリン(sCLU)又は腫瘍関連sCLU(TA-sCLU))の結合に関して、又は配列番号41に記載されるアミノ酸配列を含むポリペプチドに対する結合に関して競合することが可能である。
【0292】
なお他の特定の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、Table 5(表5)に記載される抗体又はその抗原結合性断片のCDR、可変領域、又は鎖全体のアミノ酸配列を含む。16B5、21B12、20E11、11E2、及び16C11として同定された抗体のアミノ酸配列は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2006年9月13日に出願され、2007年3月22日に国際公開第2007/030930号として公開された国際特許出願PCT/CA2006/001505号に開示されている。マウス16B5、ヒト化16B5、マウス21B12、及びヒト化21B12は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2010年11月24日に出願され、2011年6月3日に国際公開第2011/063523号として公開された国際特許出願PCT/CA2010/001882号に開示されている。
【0293】
なお更に特定の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、Table 5(表5)に記載される抗体又はその抗原結合性断片の1つ又は複数と競合することができ得る。
【0294】
対象
本開示の一部の態様及び実施形態では、対象はヒト対象である。
【0295】
本開示の一部の態様及び実施形態では、対象は、がんを有する対象である。
【0296】
本開示の他の態様及び実施形態では、対象は、がんを有し、機能的免疫系を有する。
【0297】
一部の実施形態では、対象は癌腫を有する。
【0298】
一部の実施形態では、対象は、子宮内膜がん、乳がん、肝臓がん、前立腺がん、腎臓がん、膀胱がん、子宮頸がん、卵巣がん、結腸直腸がん、膵臓がん、肺がん、胃がん、頭頚部がん、甲状腺がん、胆管癌、中皮腫、又は黒色腫を有する。
【0299】
一部の実施形態では、対象は、転移性癌を有する。
【0300】
一部の実施形態では、対象は、転移性子宮内膜がん、転移性乳がん、転移性肝臓がん、転移性前立腺がん、転移性腎臓がん、転移性膀胱がん、転移性子宮頸がん、転移性卵巣がん、転移性結腸直腸がん、転移性膵臓がん、転移性肺がん、転移性胃がん、転移性頭頚部がん、転移性甲状腺がん、転移性胆管癌、転移性中皮腫、又は転移性黒色腫を有する。
【0301】
一部の実施形態では、対象は、非小細胞肺がん(NSCLC)を有する。
【0302】
一部の実施形態では、対象は、転移性NSCLCを有する。
【0303】
一部の実施形態では、対象は、ステージIII~IVのNSCLCを有する。
【0304】
一部の実施形態では、対象は乳がんを有する。
【0305】
一部の実施形態では、対象は、転移性乳がんを有する。
【0306】
一部の実施形態では、対象は前立腺がんを有する。
【0307】
一部の実施形態では、対象は、転移性前立腺がんを有する。
【0308】
一部の実施形態では、対象は胃がんを有する。
【0309】
一部の実施形態では、対象は、転移性胃がんを有する。
【0310】
一部の実施形態では、対象は頭頚部がんを有する。
【0311】
一部の実施形態では、対象は転移性頭頚部がんを有する。
【0312】
一部の実施形態では、対象は、甲状腺がんを有する。
【0313】
一部の実施形態では、対象は、転移性甲状腺がんを有する。
【0314】
一部の実施形態では、対象は卵巣がんを有する。
【0315】
一部の実施形態では、対象は転移性卵巣がんを有する。
【0316】
一部の実施形態では、対象は子宮内膜がんを有する。
【0317】
一部の実施形態では、対象は、転移性子宮内膜がんを有する。
【0318】
一部の実施形態では、対象は肝臓がんを有する。
【0319】
一部の実施形態では、対象は転移性肝臓がんを有する。
【0320】
一部の実施形態では、対象は結腸直腸がんを有する。
【0321】
一部の実施形態では、対象は転移性結腸直腸がんを有する。
【0322】
一部の実施形態では、対象は膵臓がんを有する。
【0323】
一部の実施形態では、対象は転移性膵臓がんを有する。
【0324】
一部の実施形態では、対象は胆管癌を有する。
【0325】
一部の実施形態では、対象は、転移性胆管癌を有する。
【0326】
一部の実施形態では、対象は中皮腫を有する。
【0327】
一部の実施形態では、対象は転移性中皮腫を有する。
【0328】
一部の実施形態では、対象は黒色腫を有する。
【0329】
一部の実施形態では、対象は転移性黒色腫を有する。
【0330】
一部の実施形態では、対象は、免疫学的に冷たいであると特徴付けられた腫瘍を有するか、又は有することに関して選択される。
【0331】
一部の実施形態では、対象は、免疫療法に非応答性である免疫学的に温かい又は熱いであると特徴付けられる腫瘍を有するか、又は有することに関して選択される。
【0332】
一部の実施形態では、対象は、上皮間葉転換(EMT)シグネチャーの徴候を示す腫瘍を有するか、又は有することに関して選択される。
【0333】
本明細書で使用される場合、「腫瘍」という用語は、原発腫瘍又は腫瘍転移巣若しくは病変を指す。
【0334】
一部の実施形態では、対象は、第一選択の免疫チェックポイント療法後に進行した癌腫を有するか又は有することに関して選択される。
【0335】
一部の実施形態では、対象は、免疫チェックポイント療法及び白金含有ダブレット処置による以前の処置が失敗した癌腫を有するか又は有することに関して選択される。
【0336】
一部の実施形態では、対象は、同時又は連続的に投与した免疫チェックポイント療法及び白金含有ダブレット処置による以前の処置が失敗した癌腫を有するか又は有することに関して選択される。
【0337】
一部の実施形態では、対象は、抗体PD1又はPDL-1免疫チェックポイント抗体及び白金含有ダブレット処置による以前の処置が失敗した癌腫を有するか又は有することに関して選択される。
【0338】
一部の実施形態では、対象は、イピリムマブ、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、セミプリマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、又はデュルバルマブ及び白金含有ダブレット処置による以前の処置が失敗した癌腫を有するか又は有することに関して選択される。
【0339】
一部の実施形態では、対象は、同時又は連続的な抗体PD1又はPDL-1免疫チェックポイント抗体及び白金含有ダブレット処置による以前の処置が失敗した癌腫を有するか又は有することに関して選択される。
【0340】
一部の実施形態では、対象は、免疫抑制状態ではない。
【0341】
一部の実施形態では、対象は、処置の14日、7日、6日、5日、4日、3日、2日又は1日以内に免疫抑制性剤の投薬を受けていない。一部の実施形態では、対象は、処置前にコルチコステロイドを受けていてもよい。
【0342】
一部の実施形態では、対象は、ドセタキセルによる以前の処置を受けていない。
【0343】
一部の実施形態では、対象は、少なくとも2サイクルの処置で処置される。
【0344】
一部の実施形態では、対象は、TILの注入前にリンパ球枯渇前処置を受ける。
【0345】
投薬量、処置レジメン、及びスケジュール
本開示の一態様に従って、対象は、腫瘍浸潤リンパ球の単離前に、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療によって処置される。
【0346】
したがって、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、腫瘍微小環境における免疫細胞の浸潤をもたらすために十分な用量で投与される。
【0347】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片の用量は、治療的に有効かつ安全な用量である。
【0348】
本開示に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、腫瘍微小環境における免疫細胞の浸潤をもたらすために十分な投与間隔で投与される。
【0349】
本開示に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、腫瘍微小環境における免疫細胞の浸潤をもたらすために十分な処置期間で投与される。
【0350】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、腫瘍微小環境における免疫細胞の浸潤をもたらすために十分な用量、投与間隔、及び/又は処置期間で投与される。
【0351】
本開示の別の態様に従って、対象は、腫瘍浸潤リンパ球の単離前に抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルを含む併用療法によって処置される。
【0352】
一部の実施形態では、ドセタキセルの用量は、治療的に有効かつ安全な用量である。
【0353】
本開示に従って、ドセタキセルは、腫瘍の化学療法誘発性免疫原性モジュレーションを可能にするために十分な投与間隔で投与される。
【0354】
本開示に従って、ドセタキセルは、腫瘍の化学療法誘発性免疫原性モジュレーションを可能にするために十分な処置期間で投与される。
【0355】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、腫瘍の化学療法誘発性免疫原性モジュレーションを可能にするために十分な用量、及び/又は投与間隔、及び/又は投与間隔で投与される。
【0356】
したがって、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルは、腫瘍微小環境における免疫細胞の浸潤をもたらすため、及び/又は腫瘍の化学療法誘発性免疫原性モジュレーションを可能にするために十分な用量で投与される。
【0357】
本開示のなお別の態様に従って、対象は、腫瘍浸潤リンパ球の再注入後に抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を含む抗がん治療によって処置される。
【0358】
本開示の更なる態様に従って、対象は、腫瘍浸潤リンパ球の再注入後に抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルを含む抗がん治療によって処置される。
【0359】
本開示の例示的な実施形態に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、週に1回投与される。
【0360】
本開示の別の例示的な実施形態に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は週に2回投与される。
【0361】
本開示のなお別の例示的な実施形態に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は週に3回投与される。
【0362】
本開示の更に例示的な実施形態に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、2週間毎に1回投与される。
【0363】
本開示のなお更に例示的な実施形態に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、3週間毎に1回投与される。
【0364】
本開示の追加の例示的な実施形態に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、4週間毎に1回投与される。
【0365】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、TILの単離前少なくとも2週間の期間にわたって毎週投与される。他の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、TILの単離前少なくとも3週間の期間にわたって毎週投与される。なお他の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、TILの単離前少なくとも4週間の期間にわたって毎週投与される。更なる実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、TILの単離前、少なくとも5週間の期間にわたって毎週投与される。なお更なる実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、TILの単離前少なくとも6週間の期間にわたって毎週投与される。本開示に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ3mg/kg~およそ20mg/kgの間の用量で投与される。
【0366】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ3.0mg/kgの用量で投与される。
【0367】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ4.0mg/kgの用量で投与される。
【0368】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ5.0mg/kgの用量で投与される。
【0369】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ6.0mg/kgの用量で投与される。
【0370】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ7.0mg/kgの用量で投与される。
【0371】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ8.0mg/kgの用量で投与される。
【0372】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ9.0mg/kgの用量で投与される。
【0373】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ10.0mg/kgの用量で投与される。
【0374】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ11.0mg/kgの用量で投与される。
【0375】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ12.0mg/kgの用量で投与される。
【0376】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ13.0mg/kgの用量で投与される。
【0377】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ14.0mg/kgの用量で投与される。
【0378】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ15.0mg/kgの用量で投与される。
【0379】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ16.0mg/kgの用量で投与される。
【0380】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ17.0mg/kgの用量で投与される。
【0381】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ18.0mg/kgの用量で投与される。
【0382】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ19.0mg/kgの用量で投与される。
【0383】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ20.0mg/kgの用量で投与される。
【0384】
本開示に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片はヒト化16B5であり、およそ3mg/kg~およそ20mg/kgの間の用量で投与される。
【0385】
本開示に従って、ヒト化16B5は、およそ4mg/kg~およそ20mg/kgの間の用量で投与される。
【0386】
本開示に従って、ヒト化16B5は、およそ5mg/kg~およそ20mg/kgの間の用量で投与される。
【0387】
本開示に従って、ヒト化16B5は、およそ6mg/kg~およそ20mg/kgの間の用量で投与される。
【0388】
本開示に従って、ヒト化16B5は、およそ6mg/kg~およそ18mg/kgの間の用量で投与される。
【0389】
本開示に従って、ヒト化16B5は、およそ6mg/kg~およそ17mg/kgの間の用量で投与される。
【0390】
本開示に従って、ヒト化16B5は、およそ6mg/kg~およそ16mg/kgの間の用量で投与される。
【0391】
本開示に従って、ヒト化16B5は、およそ6mg/kg~およそ15mg/kgの間の用量で投与される。
【0392】
本開示に従って、ヒト化16B5は、およそ6mg/kg~およそ14mg/kgの間の用量で投与される。
【0393】
本開示に従って、ヒト化16B5は、およそ6mg/kg~およそ13mg/kgの間の用量で投与される。
【0394】
本開示に従って、ヒト化16B5は、およそ6mg/kg~およそ12mg/kgの間の用量で投与される。
【0395】
本開示に従って、ヒト化16B5は、およそ7mg/kg~およそ12mg/kgの間の用量で投与される。
【0396】
本開示に従って、ヒト化16B5は、およそ8mg/kg~およそ12mg/kgの間の用量で投与される。
【0397】
本開示に従って、ヒト化16B5は、およそ9mg/kg~およそ12mg/kgの間の用量で投与される。
【0398】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ3.0mg/kgの用量で投与される。
【0399】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ4.0mg/kgの用量で投与される。
【0400】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ5.0mg/kgの用量で投与される。
【0401】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ6.0mg/kgの用量で投与される。
【0402】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ7.0mg/kgの用量で投与される。
【0403】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ8.0mg/kgの用量で投与される。
【0404】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ9.0mg/kgの用量で投与される。
【0405】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ10.0mg/kgの用量で投与される。
【0406】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ11.0mg/kgの用量で投与される。
【0407】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ12.0mg/kgの用量で投与される。
【0408】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ13.0mg/kgの用量で投与される。
【0409】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ14.0mg/kgの用量で投与される。
【0410】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ15.0mg/kgの用量で投与される。
【0411】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ16.0mg/kgの用量で投与される。
【0412】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ17.0mg/kgの用量で投与される。
【0413】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ18.0mg/kgの用量で投与される。
【0414】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ19.0mg/kgの用量で投与される。
【0415】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、ヒト化16B5であり、およそ20.0mg/kgの用量で投与される。
【0416】
本開示の例示的な実施形態に従って、ドセタキセルは1週間毎に1回投与される。
【0417】
本開示の別の例示的な実施形態に従って、ドセタキセルは、2週間毎に1回投与される。
【0418】
本開示のなお別の例示的な実施形態に従って、ドセタキセルは3週間毎に1回投与される。
【0419】
本開示の更に例示的な実施形態に従って、ドセタキセルは、4週間毎に1回投与される。
【0420】
本開示の更に例示的な実施形態に従って、ドセタキセルは、5週間毎に1回投与される。
【0421】
本開示の更に例示的な実施形態に従って、ドセタキセルは、6週間毎に1回投与される。
【0422】
本開示に従って、ドセタキセルは、およそ60mg/m2~およそ100mg/m2の用量で投与される。
【0423】
本開示に従って、ドセタキセルは、およそ60mg/m2~およそ95mg/m2の間の用量で投与される。
【0424】
本開示に従って、ドセタキセルは、およそ60mg/m2~およそ90mg/m2の間の用量で投与される。
【0425】
本開示に従って、ドセタキセルは、およそ60mg/m2~およそ85mg/m2の間の用量で投与される。
【0426】
本開示に従って、ドセタキセルは、およそ60mg/m2~およそ80mg/m2の間の用量で投与される。
【0427】
本開示に従って、ドセタキセルは、およそ60mg/m2~およそ75mg/m2の間の用量で投与される。
【0428】
本開示に従って、ドセタキセルは、およそ70mg/m2~およそ75mg/m2の間の用量で投与される。
【0429】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、およそ60mg/m2の用量で投与される。
【0430】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、およそ65mg/m2の用量で投与される。
【0431】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、およそ70mg/m2の用量で投与される。
【0432】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、およそ75mg/m2の用量で投与される。
【0433】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、およそ80mg/m2の用量で投与される。
【0434】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、およそ85mg/m2の用量で投与される。
【0435】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、およそ90mg/m2の用量で投与される。
【0436】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、およそ95mg/m2の用量で投与される。
【0437】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、およそ100mg/m2の用量で投与される。
【0438】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ12mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、およそ75mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0439】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ12mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、およそ60mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0440】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ9mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、およそ75mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0441】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ9mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、およそ60mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0442】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ6mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、およそ75mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0443】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ6mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、およそ60mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0444】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ3mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、およそ75mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0445】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ3mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、およそ60mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0446】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片はヒト化16B5であり、12mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、75mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0447】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片はヒト化16B5であり、12mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、60mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0448】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片はヒト化16B5であり、9mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、75mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0449】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片はヒト化16B5であり、9mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、60mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0450】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片はヒト化16B5であり、6mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、75mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0451】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片はヒト化16B5であり、6mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、60mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0452】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片はヒト化16B5であり、3mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、75mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0453】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片はヒト化16B5であり、3mg/kgの用量で週に1回投与され、ドセタキセルは、60mg/m2の用量で3週間毎に1回投与される。
【0454】
処置サイクルは、例えば21日間持続する。1サイクルの処置の間に、対象は、例えば抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片を週に1回及びドセタキセルを3週間毎に1回受け得る。対象は、2回又はそれより多くの連続する処置サイクルを受け得る。
【0455】
一部の実施形態では、処置サイクルは、対象が抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルの両方を受けた後、およそ7日間の後に終了すると考えられる。
【0456】
例えば、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルの両方が毎週投与される場合、処置サイクルは7日間であると考えられる。
【0457】
例えば、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片が毎週投与され、ドセタキセルが2週間毎に投与される場合、処置サイクルは14日間であると考えられる。
【0458】
例えば、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片が毎週投与され、ドセタキセルが3週間毎に投与される場合、処置サイクルは21日間であると考えられる。
【0459】
一部の例示的な実施形態では、1サイクルの処置はおよそ21日間である。
【0460】
一部の例示的な実施形態では、本質的に全ての処置サイクルがおよそ21日間である。
【0461】
一部の例示的な実施形態では、各処置サイクルは、およそ21日間である。
【0462】
したがって、本開示に従って、対象は、21日毎に新しい処置サイクルを受け得る。
【0463】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも1サイクルの処置を受け得る。
【0464】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも2サイクルの処置を受け得る。
【0465】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも3サイクルの処置を受け得る。
【0466】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも4サイクルの処置を受け得る。
【0467】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に4サイクル又はそれより多くの処置を受け得る。
【0468】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも5サイクルの処置を受け得る。
【0469】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも6サイクルの処置を受け得る。
【0470】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも7サイクルの処置を受け得る。
【0471】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも8サイクルの処置を受け得る。
【0472】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも9サイクルの処置を受け得る。
【0473】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも10サイクルの処置を受け得る。
【0474】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも11サイクルの処置を受け得る。
【0475】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも12サイクルの処置を受け得る。
【0476】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも13サイクルの処置を受け得る。
【0477】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも14サイクルの処置を受け得る。
【0478】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも15サイクルの処置を受け得る。
【0479】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも16サイクルの処置を受け得る。
【0480】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも17サイクルの処置を受け得る。
【0481】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも18サイクルの処置を受け得る。
【0482】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも19サイクルの処置を受け得る。
【0483】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に少なくとも20サイクルの処置を受け得る。
【0484】
本開示に従って、対象は、TILの単離前に20サイクルより多くの処置を受け得る。
【0485】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも1サイクルの処置を受け得る。
【0486】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも2サイクルの処置を受け得る。
【0487】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも3サイクルの処置を受け得る。
【0488】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも4サイクルの処置を受け得る。
【0489】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に4サイクル又はそれより多くの処置を受け得る。
【0490】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも5サイクルの処置を受け得る。
【0491】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも6サイクルの処置を受け得る。
【0492】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも7サイクルの処置を受け得る。
【0493】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも8サイクルの処置を受け得る。
【0494】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも9サイクルの処置を受け得る。
【0495】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも10サイクルの処置を受け得る。
【0496】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも11サイクルの処置を受け得る。
【0497】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも12サイクルの処置を受け得る。
【0498】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも13サイクルの処置を受け得る。
【0499】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも14サイクルの処置を受け得る。
【0500】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも15サイクルの処置を受け得る。
【0501】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも16サイクルの処置を受け得る。
【0502】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも17サイクルの処置を受け得る。
【0503】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも18サイクルの処置を受け得る。
【0504】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも19サイクルの処置を受け得る。
【0505】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に少なくとも20サイクルの処置を受け得る。
【0506】
本開示に従って、対象は、TILの注入後に20サイクルより多くの処置を受け得る。
【0507】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ1時間の時間枠に及ぶ注入によって投与される。
【0508】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、およそ1時間の時間枠に及ぶ注入によって投与される。
【0509】
本開示に従って、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルは同じ日に投与される。
【0510】
抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルは、個別に投与され得る。
【0511】
抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片及びドセタキセルは、連続的に投与され得る。
【0512】
一部の実施形態では、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、およそ1時間の時間枠に及ぶ注入によって投与され、ドセタキセルは、その後同じ日におよそ1時間の時間枠に及ぶ注入によって投与される。
【0513】
一部の実施形態では、ドセタキセルは、およそ1時間の時間枠に及ぶ注入によって投与され、抗クラステリン抗体又はその抗原結合性断片は、その後同じ日におよそ1時間の時間枠に及ぶ注入によって投与される。
【実施例1】
【0514】
腫瘍微小環境における免疫細胞の浸潤に及ぼすAB-16B5の効果
Balb/cマウスに、5×105個の4T1細胞を第4乳腺脂肪体に正所性に移植した。動物に、食塩水処置を週に3回IP投与した。原発腫瘍を、移植後16日目に外科的に切除した。動物を36日目に屠殺し、肺を摘出した。組織をパラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋のために処理した。組織切片を、抗マウスCD3、抗マウスCD8、及び抗マウスB220抗体によってプロービングした。シグナルを、西洋ワサビペルオキシダーゼ特異的二次抗体によって顕色し、ヘマトキシリン及びエオジンによって対比染色した。図1に表す結果は、4T1肺転移が、腫瘍におけるB及びTリンパ球の浸潤を防止する免疫学的に冷たい微小環境を創出することを示している。輪郭を描いた領域は、CD3及びCD8 Tリンパ球がEMTの結果として腫瘍辺縁部に限定されていることを示す。
【0515】
4T1腫瘍を有する動物を、AB-16B5抗体(マウス16B5)の10mg/kgの週3回のIPによって処置した。原発腫瘍を移植後16日目に外科的に切除した。動物を36日目に屠殺し、肺を摘出した。組織をパラホルムアルデヒド中で固定し、パラフィン包埋のために処理した。組織切片を、抗マウスCD3、抗マウスCD8、及び抗マウスB220抗体によってプロービングした。シグナルを、西洋ワサビペルオキシダーゼ特異的二次抗体によって顕色し、ヘマトキシリン及びエオジンによって対比染色した。図2に表す結果は、CD3及びCD8 T細胞が高密度で浸潤した肺転移が、より少なく、かなり小さかったことを示している。同様に、16B5処置腫瘍における形質細胞透過の証拠も認められた。
【0516】
したがって、AB-16B5は、免疫コンピテントマウスにおける腫瘍微小環境における免疫細胞の浸潤を可能にする。AB-16B5は、腫瘍に対して強力な免疫応答を刺激するためにより温かい腫瘍微小環境を創出するための新規治療的道筋を表し得る。
【0517】
並行して、単剤としてAB-16B5(ヒト化16B5)によって処置した患者のヒト腫瘍生検を分析した(図2B~2E)。転移性甲状腺がんを有する患者及び手術不能な転移性胃がんを有する患者から得た針生検を切片にし、ヘマトキシリン及びエオジンによって染色した。肺に転移した甲状腺がんを有する患者からの処置時生検を、AB-16B5による2回目のサイクルの処置後に得た。図2Bに示すように、本質的に全ての腫瘍断片が壊死性であった。リンパ形質細胞浸潤物が、断片の辺縁部に沿ってディスプレイ上に観察された。ヘモシデリン沈着マクロファージが壊死領域の内部に観察され、一部は、壊死に関連する赤血球溢出を反映した(示していない)。図2Cは、同じ患者からの腫瘍断片の辺縁部に沿った形質細胞で構成される血管周囲浸潤物を示す。転移性胃がん症例からの処置前の生検の分析は、びまん性未分化型胃がん(印環細胞)が浸潤した胃粘膜の幾つかの断片を示した。ディスプレイ上の断片は、主に急性の好中球浸潤物を伴う壊死病巣を示した。図2Eは、3つの腫瘍断片で構成されるAB-16B5による2回目のサイクルの処置後に得られた処置時生検を示す。より大きい断片は、正常な表層部胃粘膜からなり、小さい断片には、好中球及び単核免疫細胞浸潤物の混合物が浸潤した。
【実施例2】
【0518】
腫瘍微小環境における免疫細胞の浸潤に及ぼすAB-16B5及びドセタキセルの併用療法の効果。
免疫コンピテントマウスがんモデルを、マウス16B5を使用するAB-16B5単剤療法又はAB-16B5及びドセタキセルの併用療法による処置によって免疫応答の程度を試験するために選択した。
【0519】
各々が10匹の雌性Balb/cマウスからなる5つの群を、本試験に割付した(以下のTable 1(表1)を参照されたい)。全ての動物が、4T1マウス乳癌細胞の第4乳腺脂肪体への皮下移植を受けた。処置を、移植日(1日目として定義される)に開始した。群1(Gr. 1)の動物は、試験期間中食塩水ビヒクル対照のIPによる処置を受けた。群2(Gr. 2)の動物は、10mg/kgドセタキセルの週に1回5週間のIP投与を受けた。群3(Gr. 3)の動物は、10mg/kgドセタキセルを週に1回2週間、及び10mg/kg AB-16B5を週に2回5週間を受けた。群4(Gr. 4)の動物は、10mg/kgドセタキセルの週に1回及び5mg/kg 16B5の週に2回を、各々5週間の処置コースで受けた。群5(Gr. 5)の動物は、AB-16B5を週に2回5週間受けた。36日目、原発腫瘍を切除し、37日目、動物を屠殺し、肺表面上の肉眼で可視可能な転移結節数を計数した。
【0520】
【表1】
【0521】
図3に示す結果は、群4及び群5からの動物の肺が、食塩水対照処置マウスより少ない転移性肺結節を含んだことを示している。同様に、ドセタキセルの単剤療法において試験したマウスは、食塩水対照群と同程度に多くの転移性肺結節を有した。16B5と組み合わせたドセタキセルによる2週間の処置は、群1及び群2より少ない転移性肺結節をもたらしたが、処置に対する応答は、群4及び群5ほど広範ではなかった。群4では、結節を検出できなかった動物が、任意の他の群より多かった。これらの結果は、AB-16B5単剤療法又はドセタキセルとの併用療法が、免疫コンピテントマウスにおける転移性の浸潤を有効に阻害することを示唆している。これらの結果はまた、処置の経過全体にわたってAB-16B5及びドセタキセルを投与することが好ましくなり得ることを示唆している。
【0522】
移植後16日に切除した原発腫瘍を、コラゲナーゼ及びヒアルロニダーゼによって処理し、免疫細胞を、抗CD45抗体をコーティングした磁気ラテックスビーズを使用する正の選択によって精製した。精製した細胞を、IL2及びIL7を補充した培養培地を含有する小さいペトリ皿に移し、表現型解析を実施した。群1及び群2の動物から採取した原発腫瘍には非常に少ないCD45+が存在することが見出された。これに対し、群3、群4、及び群5の動物から採取した腫瘍ではより多くの免疫細胞が存在した。
【0523】
4T1腫瘍細胞を移植したマウスのドセタキセル(DTX 5W)による処置は、相対的に効果がなかった。4T1腫瘍は、ドセタキセルを含む多くの化学療法剤に対して耐性を引き起こすEMT高シグネチャーを有する。もしかしたら腫瘍をドセタキセルに一過性に曝露すると腫瘍の耐性の増加をもたらしたことから、マウスをドセタキセルによって2週間、及び16B5によって5週間処置しても、単剤療法での16B5による処置と同程度に有効ではなかった。ドセタキセルと16B5の5週間の併用は、最も有効な治療レジメンであることが証明された。ドセタキセルによって引き起こされるシェディングされた(shed)抗原の増加及びEMTの阻害の組合せは、16B5単剤療法と比較してこの群におけるより少ない肺転移につながる免疫応答の増加をもたらした。
【0524】
したがって、単剤療法のAB-16B5及びAB-16B5とドセタキセルとの併用は、免疫コンピテントマウスにおける腫瘍微小環境における免疫細胞の浸潤を可能にする。
【実施例3】
【0525】
腫瘍浸潤リンパ球の特徴付け、精製、及び産生
Balb/cマウスに、5×105個の4T1細胞を第4乳腺脂肪体に正所性に移植した。動物は、ドセタキセル10mg/kgを週1回IPと組合せた、AB-16B5(マウス16B5)10mg/kgの週に2回腹腔内(IP)(群15:動物1501、1502、及び1503)、又はAB-16B5 10mg/kgを週に2回(群25:動物)IPを受けた。原発腫瘍を移植後16日目に外科的に切除した。動物を36日目に屠殺し、肺を摘出して、各々の可視可能な肺転移を注意深く解剖した。各々の可視可能な転移結節を、あるとすれば切除して、腫瘍浸潤リンパ球の急速増大プロトコールのために処理した。転移結節を2~3mm角の小片に細切し、FBS、IL2、IL7、ITS(1,000U/mL IL2、2.0ng/mL IL7、及び1×インスリン-トランスフェリン-セレンカクテル(Gibco社41400-045))を補充した培養培地を含有する24ウェルプレートにおいて個々に成長させた。
【0526】
3週間培養後、細胞100,000個を、リンパ球培養物(群15からの3匹の動物及び群25からの3匹の動物に対応する6つの培養物)の各々から採取して、100,000個の4T1腫瘍細胞と共に直接培養した。一晩同時培養後、上清をELISAによるINFγ定量のために回収した。
【0527】
4T1細胞の存在下でのリンパ球培養物からのINFγ分泌の結果は、肺転移結節から単離したリンパ球が、高レベルでINFγを分泌し、平均最高レベルは、ドセタキセル-16B5群で観察された(Table 2(表2)を参照されたい)。これらの結果は、抗体sCLU 16B5mAbによるEMTの阻害が、腫瘍におけるTリンパ球の浸潤を可能にする「温かい」腫瘍微小環境の生成に寄与することを確認する。
【0528】
【表2】
【0529】
リンパ球を、抗CD3及び抗CD28 モノクローナル抗体によって刺激した。各ドナー動物からのリンパ球をプールして、CD45(リンパ球共通抗原)、CD3、CD4、CD8、及びCD19(B細胞バイオマーカー)(図4A及び図4B)に対する抗体によるフローサイトメトリー分析のために処理した。得られた単細胞調製物をまず、免疫細胞に対応する細胞を選択するためにそのサイズについて選択した。それらを更に、FSC/SSCプロット上でゲートを設定して死細胞及びデブリを除去した。次に、フローサイトメトリー分析を、CD45、CD3、CD19、CD3、CD4、及びCD8に対する抗体によって実施した。CD45陽性の免疫細胞を、CD3及びCD19(P3)でゲートを設定した。CD3+細胞を更に、CD4及びCD8(Q1-LR)でゲートを設定した。
【0530】
結果は、両方の群についてCD45+細胞の80~90%細胞生存率を示した。群15からのCD45+細胞(図4A)は、40.2%~55.0%のCD19細胞及び14.0%~21.1%のCD3+細胞を含んだ。CD3+細胞は、63.7%~66.5%のCD4+ T細胞及び20.6%~27.0% CD8+ T細胞を含んだ。群25のCD45+細胞(図4B)は、14.0%~35.0%のCD19細胞及び21.3%~42.0%のCD3+細胞を含んだ。CD3+細胞は、47.5%~67.8%のCD4+ T細胞及び25.9%~41.1%のCD8+ T細胞を含んだ。
【実施例4】
【0531】
ドセタキセルと組み合わせたAB-16B5によって処置したマウスからの腫瘍浸潤Tリンパ球の免疫反応性の評価
Balb/cマウスに、5×105個の4T1細胞を、第4乳腺脂肪体に正所性に移植した。動物は、AB-16B5(マウス16B5)10mg/kgの週に2回腹腔内(IP)をドセタキセル10mg/kgの週に1回IPと組み合わせて受けた。原発腫瘍を移植後21日目に外科的に切除した。動物を36日目に屠殺し、肺を摘出して、各々の可視可能な肺転移を注意深く解剖した。18個のリンパ球培養物は、1~3個の小さい肺転移を24ウェル G-Rexマルチウェルプレート(Wilson-Wolf社、# 80192M)に含有した。TILを、600IU/mL IL2を含有する規定のR&D Systems(商標)社のExCellerateヒトT細胞増大培地(#CCM030)中で増大させた。培養3週間後、細胞100,000個を、各TIL培養物から採取し、PBS中で洗浄し、100,000個の4T1腫瘍細胞と共に培養した。一晩同時培養後、上清を除去し、INFγ濃度をELISAによって評価した。4T1細胞の存在下でTIL培養物からのINFγ分泌の結果は、肺転移結節から単離したリンパ球が様々なレベルのINFγを分泌することを示している。現在の文献に基づき、IFNγレベルが300pg/mLより低いT細胞培養物は、弱いと考えられ; 300pg/mL~500pg/mLの間でそれらを含む培養物は中間であると考えられ、及び500pg/mLを超える培養物は高いと考えられることが確立された(Table 3(表3)を参照されたい)。
【0532】
【表3】
【0533】
Table 3(表3)から明らかであるように、全てのTIL培養物は、100pg/mlに等しいか又はそれより高いINFγ分泌レベルを有した。これらのTIL培養物のうち14個が300pg/mlに等しいか又はそれより高いINFγ分泌レベルを示し、18個のTIL培養物中11個が、500pg/mlに等しいか又はそれより高いINFγ分泌レベルを示した。
【0534】
リンパ球を、フローサイトメトリーによって更に分析した。リンパ球を抗CD3及び抗CD28 モノクローナル抗体によって刺激した。各培養物からのリンパ球を、CD45、CD3、CD4、及びCD8に対する抗体によるフローサイトメトリー分析のために処理した。得られた単細胞調製物を最初に、免疫細胞に対応する細胞を選択するためにそのサイズに基づいて選択した。それらを、FSC/SSCプロット上でゲートを設定して死細胞及びデブリを除去した。次に、フローサイトメトリー分析を、CD45、CD3、CD4、及びCD8に対する抗体によって実施した。CD45陽性の免疫細胞を、CD3でゲートを設定した。結果は、73%~95%の生存細胞がCD3陽性であったことを示した。CD3+細胞を更にCD4及びCD8でゲートを設定した。結果は、免疫反応性のTILを成長させるために使用した条件がCD8+ T細胞を富化するために都合がよいことを示した。興味深いことに、低いIFNγ産生を有する培養物、例えば#3及び#5は、より高い含有量のCD4+ T細胞を有し、このことはCD4+ 制御性T細胞の存在を示唆し得る。
【0535】
【表4】
【実施例5】
【0536】
詳細なTILの急速増大
以下の急速増大プロトコールは、Jin J.ら、J Immunother. 35(3):283~292頁、2012(その全内容物が参照により本明細書に組み入れられる)に由来する。
【0537】
初回培養相
TILを、最初に酵素的腫瘍消化物及び鋭的剥離によって産生された腫瘍断片(1~8mm3)から培養する。腫瘍消化物を、酵素培地(RPMI 1640、2mM Glutmax、10μg/mLゲンタマイシン、30単位/mL DNase、及び1.0mg/mLコラゲナーゼ)中でのインキュベーション後に機械的解離(GentleMACS、Miltenyi Biotec社、Auburn、CA)によって生成した。腫瘍を酵素培地に入れた直後に、腫瘍をおよそ1分間、機械的に解離させた。次に溶液を、37℃、5% CO2で30分間インキュベートした後、再度およそ1分間、機械的に解離させた。再度37℃、5% CO2で30分間インキュベートした後、腫瘍に、およそ1分間、3回目の機械的解離を行った。3回目の機械的解離後、大きい組織片が存在する場合、37℃、5% CO2での更に30分間のインキュベーションを行って又は行わずに1回又は2回の追加の機械的解離を試料に適用した。最終のインキュベーションの終了時、細胞浮遊液が多数の赤血球又は死細胞を含有した場合、フィコールを使用する密度勾配分離を実施してこれらの細胞を除去する。
【0538】
TIL培養物を、24ウェルプレート(Costar 24ウェル細胞培養クラスター、平底、Corning Incorporated社、Corning、NY)で開始する場合、各ウェルに、1×106個の腫瘍消化細胞又はサイズおよそ1~8mm3の1つの腫瘍断片を、IL-2(6000IU/mL、Chiron Corp.社、Emeryville、CA)を有する完全培地(CM)2mL中に播種した。CMは、グルタミンを有し、10%ヒトAB血清、25mM Hepes及び10μg/mLゲンタマイシンを補充したRPMI 1640からなった。培養を、40mL容量及び10cm2ガス透過性シリコン底を有するガス透過性フラスコ(G-Rex10、Wilson Wolf Manufacturing社、New Brighton、MN、USA)(図1)で開始する場合、各フラスコに、10~40×106個の生存腫瘍消化細胞又は5~30個の腫瘍断片を、IL-2(組み換えヒトIL-2)を有するCM 10~40mL中にロードした。G-Rex10及び24ウェルプレートをいずれも、37℃、5% CO2の湿潤インキュベーター中でインキュベートし、培養開始後5日目に、培地の半分を除去して新しいCM及びIL-2と交換し、5日後、培地の半分を2~3日毎に交換する。
【0539】
増大相
TILの急速増大プロトコール(REP)を、T-175フラスコ及びガス透過性バッグ又はガス透過性G-Rex(登録商標)フラスコを使用して実施する。T-175フラスコ中のTIL REPに関して、培地150mL中に再浮遊させた1×106個のTILを、各T-175フラスコに加えた。TILを、「フィーダー」細胞としての放射線照射(50Gy)同種末梢血単核球細胞(PBMC)と共に1対100の比で培養し、細胞を、3000IU/mLのIL-2及び30ng/mLの抗CD3を補充したCM及びAIM-V培地(50/50培地)の1対1混合物中で培養する。T-175フラスコを、37℃、5% CO2でインキュベートする。培地の半分を5日目に、3000IU/mLのIL-2を有する50/50培地を使用して交換する。7日目に、2つのT-175フラスコからの細胞を、3リットルバッグ、及び5%ヒトAB血清及び3000IU/mL IL2を有するAIM V 300mL中で組み合わせる。各バッグ中の細胞数を毎日又は2日毎に計数し、新しい培地を加えて、細胞数を0.5~2.0×106個/mLの間に維持する。
【0540】
100cm2ガス透過性シリコン底を有する500mL容量のフラスコ(G- Rex100、Wilson Wolf)(図1)中のTIL REPに関して、5×106個又は10×106個のTILを、5%ヒトAB血清、3000IU/mLのIL-2及び30ng/mlの抗体CD3を補充した50/50培地400mL中に放射線照射同種PBMCと共に1対100の比で培養する。G-Rex100フラスコを37℃、5% CO2でインキュベートする。5日目に、上清250mLを採取し、遠心管に入れて、1500rpm(491×g)で10分間遠心分離する。TILペレットを、5%ヒトAB血清、3000IU/mLのIL-2を有する新しい培地150mL中に再浮遊させ、元のG-Rex100フラスコに戻す。TILをG-Rex100フラスコ中で連続的に増大させ、7日目に各G-Rex100中のTILを、各フラスコ中に存在する培地300mL中に再浮遊させ、細胞浮遊液を3つの100mLアリコートに分割し、これを使用して3つのG-Rex100フラスコに播種した。次に、AIM-V with 5%ヒトAB血清及び3000IU/mLのIL-2を有するAIM V 150mLを、各フラスコに加える。G-Rex100フラスコを、37℃、5% CO2でインキュベートし、4日後。3000IU/mLのIL-2を有するAIM V 150mLを、各G-Rex100フラスコに加える。細胞を培養14日目に採取する。
【0541】
Wardellら、(その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願公開第2018/0282694号)は、TILを増大させるための及び本開示に応用可能なTILの治療集団を産生するための改善された及び短縮されたプロセスを開示する。
【0542】
望ましければ、抗CD28抗体及び/又は抗4-1Bを、増大相の間に添加してもよい。
【0543】
細胞数、生存率、フローサイトメトリー
CD3、CD4、CD8、及びCD56の発現を、FACSCantoフローサイトメーター(BD Biosciences社)を使用してBD Biosciences社(BD Biosciences、San Jose、CA)の抗体によるフローサイトメトリーによって測定する。細胞を、使い捨てc-チップ血球計算盤(VWR、Batavia、IL)を使用して手作業で計算し、生存率を、トリパンブルー染色を使用して評価する。
【0544】
サイトカイン放出アッセイ
TILを、OKT3抗体による刺激又は自己腫瘍消化物との同時培養に応答したインターフェロンガンマ(IFN-γ)分泌に関して評価する。OKT3刺激の場合、TILを十分に洗浄し、2連のウェルを、PBS中で希釈した0.1又は1.0μg /mLのOKT-3抗体を予めコーティングした96ウェル平底プレート中CM 0.2mL中の細胞1×105個によって調製する。一晩インキュベーション後、上清を採取し、上清中のIFN-γをELISA(Pierce/Endogen社、Woburn、MA)によって測定する。同時培養アッセイに関して、TIL細胞を、自己腫瘍細胞と共に96ウェルプレートに入れる、24時間インキュベーション後、上清を採取し、IFN-γ放出をELISAによって測定した。
【0545】
本明細書に記載される実施形態及び実施例は例証であり、特許請求の範囲を制限することを意味しない。代替物、改変及び透過物を含む前述の実施形態の変形形態は、本発明者らによって特許請求の範囲に包含されると意図される。本出願で列挙した引用は参照により本明細書に組み入れられる。
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【0546】
【表5-1】
【0547】
【表5-2】
【0548】
【表5-3】
【0549】
【表5-4】
【0550】
【表5-5】
【0551】
【表5-6】
【0552】
【表5-7】
【0553】
【表5-8】
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
【配列表】
2024516221000001.app
【国際調査報告】