(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】調整可能なコア密度を有する軽量な大規模サンドイッチ構造体の積層製造システム
(51)【国際特許分類】
B29C 64/386 20170101AFI20240405BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20240405BHJP
B29C 64/314 20170101ALI20240405BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20240405BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20240405BHJP
B33Y 80/00 20150101ALI20240405BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240405BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20240405BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240405BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20240405BHJP
B29C 44/00 20060101ALI20240405BHJP
B29C 44/60 20060101ALI20240405BHJP
B29C 48/92 20190101ALI20240405BHJP
【FI】
B29C64/386
B29C64/209
B29C64/314
B29C64/118
B29C64/393
B33Y80/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B33Y10/00
B33Y50/00
B29C44/00 E
B29C44/60
B29C48/92
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566436
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022026701
(87)【国際公開番号】W WO2022232374
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】トルセル,アンドリュー
(72)【発明者】
【氏名】カールステン,カーティス ビー.
(72)【発明者】
【氏名】ルコウスキ,ジュニア,フロリアン ピー.
【テーマコード(参考)】
4F207
4F213
4F214
【Fターム(参考)】
4F207AA13
4F207AA28
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4F214AR15
4F214UA11
4F214UB02
4F214UC02
4F214UG22
(57)【要約】
構造体(206)の応力モデル駆動スライスファイルを生成することと、可変密度発泡体コア材(208)で製造された構造体におけるモデル化された応力に対して可変密度発泡体コアの密度が変化するように、応力モデル駆動型スライスファイルに対して可変密度発泡体コアを付加製造することとを含む、付加製造の方法。付加製造された構造体(300)は、可変密度発泡体コアに結合された複合スキンを含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
付加製造方法であって、
構造体の応力モデル駆動スライスファイルを生成することと、
前記応力モデル駆動スライスファイルに対し、可変密度発泡体コア全体の密度が、前記可変密度発泡体コアで製造される前記構造体におけるモデル化された応力に対して変化するように前記可変密度発泡体コアを追加製造することを含む、
付加製造方法。
【請求項2】
前記可変密度発泡体コアをニアネットシェイプに付加製造することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記可変密度発泡体コアが、吸熱反応を発生させる化学発泡剤から製造される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記可変密度発泡体コアを付加製造することが、前記可変密度発泡体コア全体の前記密度を変化させるために、前記応力モデル駆動スライスファイルに対する比率で、選択された量の発泡剤を樹脂に添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
有限要素解析によって前記構造体における応力をモデル化することと、
前記モデル化された応力に応じて前記応力モデル駆動されるスライスファイルを利用して、前記可変密度発泡体コア全体の前記密度を変化させることをさらに含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記応力モデル駆動スライスファイルが、前記可変密度発泡体コアにおけるゼロ応力領域において密度をゼロに向かって駆動する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記応力モデル駆動スライスファイルが、前記ゼロ応力領域において、前記可変密度発泡体コアの元の幾何学的形状を維持する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記応力モデル駆動型スライスファイルが、ルックアップテーブルを介して前記構造体内の3D応力場を前記密度に関連付ける、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
可変密度発泡体コアを付加製造するための付加製造システムであって、
押出機と、
前記応力モデル駆動スライスファイルに対し、可変密度発泡体コア全体の密度が、前記可変密度発泡体コアで製造される前記構造体におけるモデル化された応力に対して変化するように前記可変密度発泡体コアを追加製造するために前記押出機を制御するよう構成された制御システムと、を有する、
付加製造システム。
【請求項10】
樹脂の供給源及び発泡剤の供給源に連通する重量式混合器と、
前記重量式混合器及び前記押出機と連通し、前記樹脂及び前記発泡剤を選択された比率で吐出し、連続的に所望の密度をもたらす混合ノズルをさらに含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記発泡剤が吸熱反応を発生させるか、またはミクロスフェアを含む、請求項10記載のシステム。
【請求項12】
前記重量式混合器と連通するダイ着色剤をさらに含み、前記ダイ着色剤は、前記可変密度発泡体コアの密度に関連する、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記構造体内の3D応力場を前記可変密度発泡体コア内の関連する密度に関連づけるルックアップテーブルをさらに含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記応力モデル駆動スライスファイルが、前記可変密度発泡体コアにおけるゼロ応力領域において密度をゼロに向かって駆動する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
付加製造された構造体であって、
可変密度発泡体コアと、
前記可変密度発泡体コアに結合した複合材スキンと、を有する、
構造体。
【請求項16】
前記可変密度発泡体コア全体の前記密度が、前記構造体内における関連領域の応力に相応する、請求項15に記載の構造体。
【請求項17】
前記可変密度発泡体コアの元の幾何学的形状が維持されたまま、前記可変密度発泡体コア内の前記密度が、前記構造体内のゼロ応力領域においてほぼゼロである、請求項15に記載の構造。
【請求項18】
前記可変密度発泡体コアに埋め込まれた機能性部材をさらに含む、請求項15に記載の構造体。
【請求項19】
前記可変密度発泡体コアに複数のダイ着色剤をさらに含み、前記ダイ着色剤の各色が前記可変密度フォームコアの前記密度に関連付けられている、請求項15に記載の構造体。
【請求項20】
前記可変密度発泡体コアが、ニアネットシェイプに付加製造されている、請求項15に記載の構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、付加製造に関し、より詳細には、付加製造応力モデル駆動型スライスファイルが、可変密度発泡体コアをプリントするための戦略を提供する、大型フォーマットの付加製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大規模な構造体を製造するための様々な製造技術が存在する。近年、付加製造法は、大規模な構造体の形成に適応している。これまで、このような大規模な付加製造構造は、比較的重く、製造が複雑であった。
【発明の概要】
【0003】
本開示において開示された1つの非限定的な実施形態による付加製造方法は、構造体の応力モデル駆動スライスファイルを生成することと、前記応力モデル駆動スライスファイルに対し、可変密度発泡体コア全体の密度が、前記可変密度発泡体コアで製造される構造体におけるモデル化された応力に対して変化するように可変密度発泡体コアを追加製造することを含む。
【0004】
本開示のさらなる態様は、可変密度発泡体コアをニアネットシェイプに付加製造することを含む。
【0005】
本開示のさらなる態様は、可変密度発泡体コアが、吸熱反応を発生させる化学発泡剤から製造されることを含む。
【0006】
本開示のさらなる態様は、可変密度発泡体コアを付加製造することが、可変密度発泡体コア全体の密度を変化させるために、応力モデル駆動スライスファイルに対する比率で、選択された量の発泡剤を樹脂に添加することを含む。
【0007】
本開示のさらなる態様は、有限要素解析によって構造体における応力をモデリングすることと、モデル化された応力に応じて応力モデル駆動スライスファイルを利用して可変密度発泡体コア全体の密度を変化させることを含む。
【0008】
本開示のさらなる態様は、応力モデル駆動スライスファイルが、可変密度発泡体コアにおけるゼロ応力領域において密度をゼロに向かって駆動することを含む。
【0009】
本開示のさらなる態様は、応力モデル駆動スライスファイルが、ゼロ応力領域において可変密度発泡体コアの元の幾何学的形状を維持することを含む。
【0010】
本開示のさらなる態様は、応力モデル駆動スライスファイルが、ルックアップテーブルを介して構造体内の3D応力場を密度に関連付けることを含む。
【0011】
本開示において開示された1つの非制限的な実施形態による可変密度発泡体コアを付加製造するための付加製造システムは、応力モデル駆動スライスファイルに対し、可変密度発泡体コア全体の密度が、可変密度発泡体コアで製造される構造体におけるモデル化された応力に対して変化するように可変密度発泡体コアを追加製造するために押出機を制御するよう構成された制御システムを有する。
【0012】
本開示のさらなる態様は、樹脂の供給源及び発泡剤の供給源に連通する重量式混合器と、重量式混合器及び押出機と連通し、樹脂及び発泡剤を選択された比率で吐出し、連続的に所望の密度をもたらす混合ノズルを含む。
【0013】
本開示のさらなる態様は、膨張性ミクロスフェアの発泡媒体を含む。
【0014】
本開示のさらなる態様は、重量式混合器と連通するダイ着色剤をさらに含み、ダイ着色剤は、可変密度発泡体コアの密度に関連する。
【0015】
本開示のさらなる態様は、構造体内の3D応力場を可変密度発泡体コア内の関連する密度に関連づけるルックアップテーブルを含む。
【0016】
本開示のさらなる態様は、応力モデル駆動スライスファイルが、可変密度発泡体コアにおけるゼロ応力領域において密度をゼロに向かって駆動することを含む。
【0017】
本開示において開示された1つの非限定的な実施形態による付加製造された構造体は、可変密度発泡体コアと、可変密度発泡体コアに結合された複合体スキンとを有する。
【0018】
本開示のさらなる態様は、可変密度発泡体コア全体の密度が、構造体内の関連する領域の応力に相応することを含む。
【0019】
本開示のさらなる態様は、可変密度発泡体コアの元の幾何学的形状が維持されたまま、可変密度発泡体コア内の密度が、構造体内のゼロ応力領域においてほぼゼロであることを含む。
【0020】
本開示のさらなる態様は、可変密度発泡体コアに埋め込まれた機能性部材を含む。
【0021】
本開示のさらなる態様は、可変密度発泡体コアに複数のダイ着色剤をさらに含み、ダイ着色剤の各色が可変密度フォームコアの密度に関連付けられていることを含む。
【0022】
本開示のさらなる態様は、可変密度発泡体コアがニアネットシェイプに付加製造されていることを含む。
【0023】
前述の特徴及び要素は、別段に明記されない限り、非排他的に様々な組み合わせで組み合わされてもよい。これらの特徴及び要素、ならびにそれらの動作は、下記の説明及び添付図面に照らして、より明らかになるであろう。しかし、下記の説明及び図面は、本質的に例示を意図し、限定する意図はないことを理解されたい。
【0024】
様々な特徴は、開示される非限定的な実施形態の次の詳細な説明を読めば、当業者には明らかになるであろう。図面中の構造は必ずしも一定の比率の縮尺ではない。さらに、図面における同様の参照数字は、いくつかの図面全体にわたって対応する部分を指定する。詳細な説明に付随する図面は、次のように簡単に説明することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】応力モデル駆動スライスファイルに従って可変密度発泡体コアを付加製造する方法のブロック図である。
【
図3】応力モデル駆動スライスファイルに対して可変密度発泡体コアを付加製造する方法の概略図である。
【
図4】可変密度発泡体コアを有する構成部材の断面図である。
【
図5】可変密度発泡体コアを有する構造体の応力モデルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、数十から数百フィートの大きさである車体、船体、支持構造体、シェルター構造等のような大規模構造体を、迅速かつコスト効率のよい方法で製造することができる付加製造プロセスに特に適用可能な付加製造システム20を概略的に示している。本明細書では、規模の感覚を提供するために特定の構造を参照する場合があるが、付加製造システム20は、そのような構造のみに限定されるものではなく、様々な構造体をそこから製造することができる。
【0027】
システム20は、樹脂供給源22、発泡剤供給源24、重量式混合器26、混合ノズル28、押出機30、及び制御システム32を含んでいる。重量式混合器26は、樹脂供給装置源22と発泡剤供給源24からの樹脂及び発泡剤を選択された比率で混合し、押出機30に供給する。ABS、ポリカーボネート、ポリスチレン等の各種熱可塑性供給原料(すなわち「樹脂」)、スリップ剤、着色剤及び化学発泡剤、膨張性ミクロスフェア、窒素等の発泡材料を、重量式混合器26によって混合することができる。
【0028】
重量式混合器26は、カスタム原料バッチを混合し、押出機30に搬送されるような独自の混合比を形成するために、複数の材料投入を受ける。その後、重量式混合器26は、押出機30に搬送される次のカスタムバッチの混合を直ちに許可する。すなわち、重量式混合器26は本質的に、連続的に変化する媒体の比率を連続的に提供する。
【0029】
混合ノズル28は、重量式混合器26によって供給される所望の比率の材料を受け取るために、押出機30の先端に配置される。材料は、押出機30に搬送され、そこで、押出機のスクリューの回転によってさらに混合されてもよい。熱可塑性樹脂は、押出機30内のヒーター及び押出機のスクリューにより誘発される圧縮によって発生する熱によって溶融されてもよい。これにより、押出機30には、成分の所望の比率で連続的に材料が供給される。押出機30は、制御システム32の命令のもとで可変密度発泡体コア36が成長させられるプロセス空間34内で可動である。
【0030】
制御システム32は、ハードウェア構造、ファームウェア構造、及び/またはソフトウェア構造を含んでいてもよく、これらは、ロジック60を介した応力モデル駆動スライスファイル40の生成を含む、本明細書に開示される機能を実行できるように構成される。特に図示されていないが、制御システム32は、サーバ、モバイルコンピューティングデバイス、コンピュータ支援製造(CAM)システム等の他の装置を含んでいてもよく、これらは、開示されている機能のうちの1つまたは複数を実施するために、通信ネットワーク42を介して相互に通信することができる。
【0031】
制御システム32は、コントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ等の少なくとも1つのプロセッサ44、メモリ46、及び入出力(I/O)サブシステム48を含んでいてもよい。制御システム32は、サーバ、エンタープライズコンピュータシステム、コンピュータのネットワーク、コンピュータと他の電子デバイスとの組み合わせ、または他の電子デバイス等の任意の種類のコンピューティングデバイスとして具現化することができる。特に図示されていないが、I/Oサブシステム48は、通常、I/Oコントローラ、メモリコントローラ、及び1つまたは複数のI/Oポート等を含んでいる。プロセッサ44及びI/Oサブシステム48は、メモリ46に通信可能に接続されていてよい。メモリ46は、任意のタイプのコンピュータメモリデバイス(例えば、種々の形態のランダムアクセスメモリ等の揮発性メモリ)として具現化することができる。
【0032】
I/Oサブシステム48は、データ記憶装置50、ディスプレイ52、通信サブシステム54、及びユーザインタフェース(UI)サブシステム56等の複数のハードウェア、ファームウェア、及び/またはソフトウェア構造に通信可能に結合されていてよい。データ記憶装置50は、応力モデル駆動スライスファイル40及びシステム20を動作させるための他のデータを格納するために、1つまたは複数のハードドライブまたはフラッシュメモリ、メモリカード、メモリスティック他の適切な永久記憶装置、及び/またはその他の永久記憶装置を含んでいてもよい。ディスプレイ52は、任意のタイプのデジタル表示装置、タッチスクリーン等として具現化することができる。ディスプレイ52は、2次元及び/または3次元グラフィックスを表示できるように構成または選択される。通信サブシステム54は、1つまたは複数の光学的、有線及び/または無線のネットワークインタフェースサブシステム、カード、アダプタ、または特定のコンピューティングデバイスの仕様及び/または設計に従って、必要とされる可能性のある他のデバイスを含んでいてもよい。ユーザインタフェースサブシステム56は、1つまたは複数のユーザ入力装置、タッチスクリーン、キーボード、仮想キーパッド等および1つまたは複数の出力装置、例えばスピーカ、ディスプレイ等を含んでいてもよい。
【0033】
図2を参照すると、制御システム32は、応力モデル駆動スライスファイル40によって能動的に支配される方法200を表すロジック60(
図1)を実行して、可変密度発泡体コア36を付加製造する。方法200の機能は、機能ブロック図の観点から開示されており、これらの機能は、専用のハードウェア回路またはマイクロプロセッサベースの電子制御実施形態で実行可能なプログラムされたソフトウェアルーチンのいずれかで実施され得ることが理解されるべきである。
【0034】
方法200は、応力モデル(
図5)を生成するために可変密度発泡体コア36を利用する構造体300(
図4)の応力(202)をモデル化することによって開始される。可変密度発泡体コア36を利用する構造体における予測される応力は、例えば、有限要素解析ソフトウェアによって実行されてもよい。
【0035】
次に、可変密度発泡体コア36を利用する構造体300内のモデル化された3次元応力場を可変密度発泡体コア36全体の所望の密度に関連付けることにより、応力モデルから密度データファイル(204、
図3も参照)が生成される。所望の密度は、特定の応力に関して所望の密度を推奨するルックアップテーブル、アルゴリズムまたはその他の所定の関係によって決定されてもよい。密度データファイルは、構造体300をセル(例えば、4×4×1インチ(102×102×25mm)セル)に分割し、次いで、各セルにおいて必要な密度を決定することができる。付加製造押出機経路を各セルのこのように分割することにより、可変密度発泡体コア36全体にわたって、かつ各セル内で固有の密度を得ることができる。
【0036】
次に、密度データファイルは、スライスファイル出力(206、
図3も参照)によって具現化されるように、例えばGコード機械コマンド(コンピュータ数値制御(CNC)プログラミング言語)生成等のスライサーソフトウェアに入力される。スライサーソフトウェアは、部材の3D形状を垂直方向(Z方向)に積層された層にスライスし、押出機30からの材料堆積の水平方向(X-Y)経路を画定し、応力モデル駆動スライスファイル40に従って付加製造押出機経路に沿って押出材密度を変化させるコマンドを統合する。すなわち、3次元密度データファイルは、複数のスライスに変換され、各スライスは、可変密度発泡体コア36の断面を画定する。応力モデル駆動スライスファイル40は、基本的に、X-Y-Z基準フレームにおける付加製造機械コマンドと、付加材料の供給速度を提供する機械コード(例えば、Gコード)である。その後、可変密度発泡体コア36は、完成するまで押出機経路に沿ってビードまたは押出物としてスライスごと、または層ごとに「成長」する。Z方向のスライス及びX-Y方向の押出材の堆積は、X-Y-Zの3自由度を有する付加製造装置により実施される可変密度発泡体コアの製造の一例である。しかしながら、3自由度を超える自由度を備え、構成された付加製造システムは、自由な形式で押出材を堆積させることができ、直交平面によって関連し、かつ拘束されるスライス及び押出成形品に限定されない。3自由度を超える自由度を有する積層造形装置は、面外押出経路を生成するように構成されたスライスソフトウェアによって生成されたスライスファイルを含むGコードによって駆動される。
【0037】
制御システム32は、可変密度フォームコア36を用いて製造された構造体300におけるモデル化された応力に対して可変密度フォームコア36の密度が変化するように、応力モデル駆動スライスファイル40に対して可変密度フォームコア36を付加製造するように押出機30を制御するように構成されている(208)。応力モデル駆動スライスファイル40は、制御システム32によって、可変密度フォームコア36を付加製造するためのプロセスパラメータを生成するために使用される。
【0038】
応力モデル駆動スライスファイル40は、可変密度発泡体コア36(
図5)内にあるべき密度遷移も特定する。例えば、高密度の発泡体は、取り付けハードポイント等の応力集中部の近傍に吐出することができ、低密度の発泡材は、負荷がほとんどまたは全くない領域に、その間の密度勾配を設けて吐出することができる。可変密度発泡体コア36の応力モデル駆動スライスファイル40からの押出機経路を作成し、次いでセルに沿って分割し、次いで各層の各セル間で材料密度の推移を定義することができる。その結果、応力モデル駆動スライスファイル40が得られ、押出機30は、可変密度発泡体コア36内で必要とされる材料比率に関して重量式混合器26と通信する間に、可変密度発泡体コア36を形成する経路を適切に規定するために応力モデル駆動スライスファイルを読み込み、使用することができる。重量式混合器26及び押出機30の経路は、造形シーケンス中に正しい材料が適切な時点にブレンドされるように制御される。可変密度発泡体コア36は、横方向に密度を変化させるために、隣り合うビードが密度を変化させるビード経路に沿って通過する押出機30によって付加製造することができる。吐出されるビードは、必ずしも100%直交するX-Y-Z方向である必要はなく、部材の形状に適合する他の方向であってもよい。すなわち、スライスファイルは、可変密度発泡体コア36を、各セルが所望の密度に関連付けられた立方体セルに変換することができ、この立方体セルは、押出機30によって吐出されたビードを介して構成される。セルは、密度が一定でも変化していてもよい連続的な押出ビードによって連結することができる。あるいは、セルは、密度勾配を形成するためにそれぞれ異なる密度を有してよいが、連続したビードからではない(すなわち、特定の密度を有するセルが充填され、次いで、次の漸増する密度を有するセルが、3D密度場全体が充填されるまで充填され、これにより、連続したビードではなく、可変密度発泡体の連続的な体積が形成される)。
【0039】
応力モデル駆動スライスファイル40は、所望の幾何学的形状を維持しながら、可変密度発泡体コア36内の密度を、可変密度発泡体コア36内のゼロ応力領域においてゼロに向かって駆動することができる。一般に、可変密度発泡体コア36内の空隙の量は、押出機30に供給される発泡剤の量によって制御することができる。発泡剤は、吸熱反応を発生させてもよく、85%以上の空隙含有率を有する可変密度発泡体コア36を有する発泡体の形成を促進するためにミクロスフェアを含んでもよい。空隙含有量は、熱可塑性樹脂中の達成可能な最大空隙含有量(すなわち、気泡)によって制限される場合がある。このようにして、発泡密度は個別のセルレベルで制御される。重力式混合器26内で、化学発泡剤と膨張性ミクロスフェアとが熱可塑性樹脂に比例的に混合される。窒素は、押出機のバレル内で熱可塑性樹脂と直接混合される。
【0040】
応力モデル駆動スライスファイル40は、重量式混合器26(210)で混合されるダイ着色剤を定義することもできる。ダイ着色剤のそれぞれの色は、可変密度発泡体コア36全体で利用され気泡密度の視覚的表示を提供するために可変密度発泡体コア36全体の密度と関連付けることができ、例えば、高密度の領域は暗赤色であり、より低い密度の領域は明赤色であり、ゼロ密度付近の領域は暗青色であり、その間の色の範囲を有している。これにより、後の目視検査が容易になる。
【0041】
システム20によって製造された可変密度発泡体コア36は、ニアネットシェイプを提供する。すなわち、可変密度発泡体コア36は、後で最終的な形状を得るために僅かな後続の減算的機械加工操作(212)しか必要とし得ない可変密度発泡体コア36のための僅かなオーバービルドまたは切削しろを提供することができる。約85%の空洞含有率では、密度は市販の発泡体ブロックと競合できるほど十分低いが、二アネットシェイプの可変密度で製造される。
【0042】
押出中に、センサ、インサート、導管、防弾性プレート等の機能性部材302(
図4)を可変密度発泡体コア36に埋め込むこともできる(214)。スライスファイルのGコードは、機能性部材302を層間の部分に挿入できるよう、機械操作に休止時間を設けて作成することができる。これにより、可変密度発泡体コア36の幾何学形状をプリントして、機能性部材302内にコンフォーマルキャビティを設けることができる。
【0043】
次に、複合構造スキン304(
図4)が、可変密度発泡体コア36に適用(216)され、応力が最適化された安価で軽量な構造体が提供される。可変密度発泡体コア36は、高強度の布地/樹脂マトリックスのスキンが巻き付けられる体積形状として機能する。標準的なサンドイッチ発泡体コア複合材の製造方法では、最終構造体の全体的な機能性を高める非発泡部品を挿入することは容易ではない。
【0044】
押出成形プロセスは、従来のプロセスに比べ、低コスト、軽量、リードタイムで、金型なしで複合材構造用の大規模なニアネットシェイプの可変密度発泡体コアの製造を容易にする。
【0045】
特定のステップの順序が示され、説明され、特許請求されているが、特に指示がない限り、ステップはどのような順序で実行されてもよく、分離され、または組み合わされてもよく、依然として本開示から恩恵を受けることが理解されるべきである。
【0046】
前述の説明は、その中で限定することによって定義されるのではなく、例示である。様々な非限定的な実施形態が本明細書に開示されるが、当業者であれば、上記の教示に照らし合わせて様々な修正例及び変更例は、添付の特許請求の範囲の範囲内に入ることを理解するであろう。したがって、添付の特許請求の範囲の範囲内で、具体的に説明したとは別様に本開示を実践し得ることが理解される。その理由により、添付の特許請求の範囲は、真の範囲及び内容を決定するために検討されるべきである。
【国際調査報告】