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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】ポリAテール長を測定する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20240405BHJP
   C12Q 1/68 20180101ALI20240405BHJP
   C12Q 1/34 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
C12N15/09 Z
C12Q1/68 100Z
C12Q1/34 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566454
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-07
(86)【国際出願番号】 US2022026913
(87)【国際公開番号】W WO2022232499
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/181,488
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517316797
【氏名又は名称】トランスレイト バイオ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ジョレル・イー・バルガス
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・エス・デュビンス
(72)【発明者】
【氏名】アニュシャ・ディアス
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・アビサル
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QQ53
4B063QR14
4B063QR55
4B063QR66
4B063QS16
4B063QS32
4B063QX01
4B063QX02
(57)【要約】
本発明は、とりわけ、mRNAを含む核酸中のホモポリマーヌクレオチド長を測定する方法を提供する。一部の態様では、本明細書では、mRNA中のポリAテール長を測定する方法であって、mRNAを副溝結合色素と結合させ、続くリボヌクレアーゼ消化およびキャピラリー電気泳動を含む方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
mRNA試料中のポリAテール長を測定する方法であって、
(a)mRNA試料を副溝結合色素と接触させる工程と;
(b)(a)からのmRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともにインキュベートする工程と;
(c)キャピラリー電気泳動(CE)により(b)からの試料をアッセイして、mRNAのポリAテール長を決定する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
副溝結合色素が、Sybr gold(商標)、Hoechst色素、または4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
副溝結合色素がSybr gold(商標)である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
1つまたはそれ以上のRNaseがRNaseAおよびRNaseT1から選択される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
1つまたはそれ以上のRNaseがRNase AおよびRNase T1を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
CEが蛍光ベースの検出と結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
CEがUV吸収分光検出と結合される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(a)からのmRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともにインキュベートする工程が、約15分間、30分間、45分間、または60分間である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
(a)からのmRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともにインキュベートする工程が約30分間である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ポリAテール長が25ヌクレオチドまたはそれ以上である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ポリAテール長が50ヌクレオチド~5,000ヌクレオチドである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ポリAテール長が、50もしくはそれ以上のヌクレオチド、100もしくはそれ以上のヌクレオチド、150もしくはそれ以上のヌクレオチド、または200もしくはそれ以上のヌクレオチドである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ポリAテール長が、100ヌクレオチド~1,500ヌクレオチドの間である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
ポリAテール長が、250ヌクレオチド~500ヌクレオチドの間である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
方法の1つまたはそれ以上の工程が自動化される、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
(a)からのmRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともにインキュベートする工程が自動化される、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
副溝結合色素が一本鎖RNA(ssRNA)に非共有結合的に結合する、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
副溝結合色素がインターカレーティング色素ではない、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
mRNA中のポリAテール長を測定する方法であって、
(a)mRNA試料をSybr gold(商標)副溝結合色素と接触させる工程と;
(b)(a)からのmRNA試料をRNase AおよびRNase T1とともにインキュベートする工程と;
(c)キャピラリー電気泳動(CE)により(b)からの試料をアッセイして、mRNAのポリAテール長を決定する工程と
を含む、方法。
【請求項20】
CEが蛍光ベースの検出と結合される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
CEがUV吸収分光検出と結合される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
(a)からのmRNA試料をRNase AおよびRNase T1とともにインキュベートする工程が、約15分間、30分間、45分間、または60分間である、請求項19~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
(a)からのmRNA試料をRNase AおよびRNase T1とともにインキュベートする工程が約30分間である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ポリAテール長が25もしくはそれ以上のヌクレオチド、50もしくはそれ以上のヌクレオチド、100もしくはそれ以上のヌクレオチド、150もしくはそれ以上のヌクレオチド、または200もしくはそれ以上のヌクレオチドである、請求項19~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
方法の1つまたはそれ以上の工程が自動化される、請求項19~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
ハイスループットである、請求項19~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
mRNA試料中のホモポリマーヌクレオチド長を測定する方法であって、
(a)mRNA試料を副溝結合色素と接触させる工程と;
(b)(a)からのmRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともにインキュベートする工程と;
(c)キャピラリー電気泳動(CE)により(b)からの試料をアッセイして、mRNAのホモポリマーヌクレオチド長を決定する工程と
を含む、方法。
【請求項28】
ホモポリマーヌクレオチド長が25ヌクレオチドまたはそれ以上である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ホモポリマーヌクレオチド長が50ヌクレオチド~5,000ヌクレオチドの間である、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
ホモポリマーヌクレオチド長が、50もしくはそれ以上のヌクレオチド、100もしくはそれ以上のヌクレオチド、150もしくはそれ以上のヌクレオチド、または200もしくはそれ以上のヌクレオチドである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
ホモポリマーヌクレオチドを含むヌクレオチドが、A、U、G、またはCから選択される、請求項27~30のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、全ての目的で全体を参照により本明細書に組み入れる、2021年4月29日に出願された米国仮特許出願第63/181,488号の優先権を主張する。
【0002】
配列表の参照による組み入れ
2022年4月15日に作成され、サイズが688バイトである「MRT-2220WOl_ST25.txt」と命名されたテキストファイルの内容は、全体を参照により本明細書に組み入れる。
【背景技術】
【0003】
メッセンジャーRNA療法(MRT)は、種々の疾患を処置する有望なアプローチである。MRTは、治療を必要とする患者にメッセンジャーRNA(mRNA)を投与することを伴う。投与されたmRNAは、患者の体内でmRNAによってコードされるタンパク質またはペプチドを生成する。mRNAは、典型的には、RNAポリメラーゼによる酵素反応を含むインビトロ転写系(IVT)を用いて合成される。IVT合成プロセスには、通常、5’-キャップ(キャッピング反応)および3’-ポリAテール(ポリアデニル化)を付加するための反応(複数可)が続く。
【0004】
効果的なmRNA療法は、患者にmRNAを送達し、患者の体内でmRNAによってコードされるタンパク質を効率的に生成することを必要とする。5’キャップおよび3’ポリAテールは、インビボでのmRNA送達およびタンパク質生成の最適化において役割を果たす。5’末端のキャップは分解を防ぎ、翻訳を改善する。3’末端のポリAテールは、エキソヌクレアーゼ分解からmRNAを保護し、mRNA療法のためのmRNAの完全性および安定性を改善する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
mRNA療法の品質管理測定としてポリAテール長の評価を行われる。正確なポリAテール長測定はまた、無傷であり、完全長であり、送達時に機能的タンパク質に翻訳される安定なmRNA治療薬を正確に定量することによって、用量を確立するために使用される。ポリAテール長を決定する現在利用可能な方法は、とりわけ精度が低いことを含む、ある特定の欠点を有する。
【0006】
ポリAテール長を決定するための現在の方法は、例えば、ポリA結合タンパク質アッセイを用いた測定を含み、ポリA結合タンパク質の少なくとも4モノマーに結合するのに十分な長さのポリAテールを必要とし、各モノマーは、およそ38ヌクレオチドのストレッチに結合する。他の方法には、逆転写工程を必要とするPCRアッセイに基づく連結媒介性ポリA測定、およびより長いポリAテールに対して不正確であり得るオリゴdTプライマーからのcDNA合成を用いることが含まれる。別の方法であるRNase Hベースの方法は、目的のmRNAからポリAテールを除去することを伴い、無傷のポリAテールを必要とするmRNA療法には適さない。
【0007】
mRNA療法のためのmRNAテール長を測定する方法には、例えば、キャピラリー電気泳動(CE)法およびRNase A法が含まれる。
【0008】
CE法は、酵素消化を必要とせず、約1時間の短い泳動時間で達成される。これは、最大48個の試料を同時に処理されるハイスループット方式で採用することができる。しかしながら、テール長が増加するにつれて、キャピラリー電気泳動における保持時間がシフトするため、測定されたテールの長さはしばしば不正確になる。CE方法は、一般に、ポリAテールを含むホモポリマーストレッチを有する弱いシグナルをもたらす、Agilent(商標)インターカレーティング色素などのインターカレーティング色素を採用する。
【0009】
RNase Aゲル法は、CおよびUの後で特異的分解を可能にする酵素消化を必要とし、ポリAテールを測定する状態にする。それは、再現性があり、テール長の一貫した測定を提供する。しかしながら、それは30分間の酵素消化工程と2時間30分間のゲル泳動時間を必要とする。この方法は、約10試料/ゲルのロースループットの方法で行われる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、とりわけ、mRNA試料中のポリAテール長を迅速およびハイスループットな方法で正確に測定する方法を提供する。本発明は、部分的に、副溝結合色素とmRNAとの結合、続くリボヌクレアーゼ(RNase)消化およびキャピラリー電気泳動(CE)が、mRNAのポリAテール長を決定する正確な方法を提供するという、驚くべき予期せぬ発見に基づく。一部の実施形態では、本方法の1つまたはそれ以上の工程は自動化される。一部の実施形態では、本方法はハイスループットである。
【0011】
50~200ヌクレオチドまたはそれ以上の長いポリAテール長を正確に測定することは、現在の方法を用いて困難である。本明細書では、50もしくはそれ以上、100もしくはそれ以上、150もしくはそれ以上、または200もしくはそれ以上のヌクレオチドの長いポリAテール長を、効率的であり、ハイスループットな方法で、確実であり、正確に測定することができる方法が提供される。一部の実施形態では、この方法を用いて測定されたポリAテール長は、理論的なテール長に等しい。一部の実施形態では、測定されたテール長は、100%正確である。一部の実施形態では、この方法を用いて測定されたポリAテール長は、理論的なテール長に近づく。一部の実施形態では、測定されたポリAテール長は、90%より大きく、91%より大きく、92%より大きく、93%より大きく、94%より大きく、95%より大きく、96%より大きく、97%より大きく、98%より大きく、または99%より大きく正確である。一部の実施形態では、測定されたポリAテール長は、50%より大きく、60%より大きく、70%より大きく、80%より大きく、または90%より大きく正確である。
【0012】
キャピラリー電気泳動(CE)は、典型的にはインターカレーティング色素を用いて行われる。一部の実施形態では、インターカレーティング色素は、Agilent(商標)インターカレーティング色素である。本発明は、部分的には、キャピラリー電気泳動において副溝結合色素を使用することによって得られる予期せぬ結果に基づく。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される方法において使用される色素は、副溝結合色素である。一部の実施形態では、副溝結合色素は、Sybr gold(商標)である。
【0013】
ポリAテールは螺旋状であり、平面状にスタックされた塩基で構成される。副溝結合色素は、水素結合および疎水性相互作用を介して非共有結合的にRNAに選択的に結合する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、Sybr gold(商標)を含む副溝結合色素は、塩基スタッキングに依存しない相互作用のために、ポリAテールによって形成される平面構造に結合することができると考えられる。Agilent(商標)インターカレーティング色素などのインターカレーティング色素は、インターカレーティング色素がポリAテールによって作製される平面構造に適切にπスタックすることができないため、水を含んだポリAシグナルを生成し、ポリAテール長測定が不正確になる。対照的に、Sybr gold(商標)は、一本鎖の二次構造によって形成される副溝に結合することによって、ポリAテールの螺旋構造に非共有結合的に結合し、ポリAテール長を正確に測定する方法を提供する(図1B)。
【0014】
一部の態様では、本明細書では、mRNA試料中のポリAテール長を測定する方法が提供され、本方法は:(a)mRNA試料を副溝結合色素と接触させる工程と;(b)(a)からのmRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともにインキュベートする工程と;(c)キャピラリー電気泳動(CE)により(b)からの試料をアッセイして、mRNAのポリAテール長を決定する工程とを含む。
【0015】
一部の実施形態では、本明細書では、副溝結合色素は、Sybr gold(商標)、Hoechst色素、または4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)である方法が提供される。一部の実施形態では、副溝結合色素はSybr gold(商標)である。一部の実施形態では、副溝結合色素はHoechst色素である。一部の実施形態では、副溝結合色素は4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)である。
【0016】
一部の実施形態では、本明細書では、mRNA試料がRNase AおよびRNase T1から選択される1つまたはそれ以上のRNaseとともにインキュベートされる方法が提供される。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のRNaseはRNase Aである。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のRNaseはRNase T1である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のRNaseは、RNase A1およびRNase T1を含む。RNase Aは、C残基とU残基の後でRNAを分解し、RNase T1はG残基の後で分解する。RNase AおよびRNase T1による消化は、ポリAテールだけが残ることを確実にする。
【0017】
一部の実施形態では、本明細書では、キャピラリー電気泳動(CE)が蛍光ベースの検出と結合される方法が提供される。
【0018】
一部の実施形態では、本明細書では、キャピラリー電気泳動(CE)がUV吸収分光検出と結合される方法が提供される。
【0019】
一部の実施形態では、mRNA試料は、1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともに約15分間、30分間、45分間、または60分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA試料は、1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともに約15分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA試料は、1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともに約30分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA試料は、1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともに約45分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA試料は、1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともに約60分間インキュベートされる。
【0020】
一部の実施形態では、ポリAテール長は25ヌクレオチドまたはそれ以上である。
【0021】
一部の実施形態では、ポリAテール長は、50ヌクレオチド~5,000ヌクレオチドの間である。一部の実施形態では、ポリAテール長は約50ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約100ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約150ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約250ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約300ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約350ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約450ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約500ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約550ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約600ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約650ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約700ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約750ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約800ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約850ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約900ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約950ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約1000ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約1200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約1400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約1600ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約1800ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約2000ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約2200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約2400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約2600ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約2800ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約3000ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約3200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約3400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約3600ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約3800ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約4000ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約4200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約4400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約4600ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約4800ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約5000ヌクレオチドである。
【0022】
一部の実施形態では、ポリAテール長は50またはそれ以上のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は100またはそれ以上のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は150またはそれ以上のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は200またはそれ以上のヌクレオチドである。
【0023】
一部の実施形態では、ポリAテール長は、100ヌクレオチド~1,500ヌクレオチドの間である。一部の実施形態では、ポリAテール長は約100ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約300ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約500ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約600ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約700ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約800ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約900ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約1000ヌクレオチドである。
【0024】
一部の実施形態では、ポリAテール長は、250ヌクレオチド~500ヌクレオチドの間である。一部の実施形態では、ポリAテール長は約250ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約260ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約270ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約280ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約290ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約300ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約310ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約320ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約330ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約340ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約350ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約360ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約370ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約380ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約390ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約410ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約420ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約430ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約440ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約450ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約460ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約470ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約480ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約490ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は約500ヌクレオチドである。
【0025】
一部の実施形態では、本方法の1つまたはそれ以上の工程は自動化される。
【0026】
一部の実施形態では、mRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともにインキュベートすることは自動化される。
【0027】
一部の実施形態では、副溝結合色素は、一本鎖RNA(ssRNA)に非共有結合的に結合する。
【0028】
一部の実施形態では、副溝結合色素は、インターカレーティング色素ではない。
【0029】
一部の態様では、本明細書では、mRNA中のポリAテール長を測定する方法が提供され、該方法は:(a)mRNA試料をSybr gold(商標)副溝結合色素と接触させる工程と;(b)(a)からのmRNA試料をRNase AおよびRNase T1とともにインキュベートする工程と;(c)キャピラリー電気泳動(CE)により(b)からの試料をアッセイして、mRNAのポリAテール長を決定する工程とを含む。
【0030】
一部の実施形態では、本方法は、蛍光ベースの検出と結合させたキャピラリー電気泳動(CE)を含む。
【0031】
一部の実施形態では、本方法は、UV吸収分光検出と結合させたキャピラリー電気泳動(CE)を含む。
【0032】
一部の実施形態では、本方法は、mRNA試料をRNase AおよびRNase T1とともに約15分間、30分間、45分間、または60分間インキュベートする工程を含む。一部の実施形態では、mRNA試料をRNase AおよびRNase T1とともにインキュベートする工程は約15分間である。一部の実施形態では、mRNA試料をRNase AおよびRNase T1とともにインキュベートする工程は約30分間である。一部の実施形態では、mRNA試料をRNase AおよびRNase T1とともにインキュベートする工程は約45分間である。一部の実施形態では、mRNA試料をRNase AおよびRNase T1とともにインキュベートする工程は約60分間である。
【0033】
一部の実施形態では、ポリAテール長は、25もしくはそれ以上のヌクレオチド、50もしくはそれ以上のヌクレオチド、100もしくはそれ以上のヌクレオチド、150もしくはそれ以上のヌクレオチド、または200もしくはそれ以上のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は、25またはそれ以上のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は、50またはそれ以上のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は、100またはそれ以上のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテール長は、150またはそれ以上のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAは、200またはそれ以上のヌクレオチドである。
【0034】
一部の実施形態では、本方法の1つまたはそれ以上の工程は自動化される。
【0035】
一部の実施形態では、本方法は、ハイスループットである。
【0036】
一部の態様では、本明細書では、mRNA試料中のホモポリマーヌクレオチド長を測定する方法が提供され、本方法は:(a)mRNA試料を副溝結合色素と接触させる工程と;(b)(a)からのmRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともにインキュベートする工程と;(c)キャピラリー電気泳動(CE)により(b)からの試料をアッセイして、mRNAのホモポリマーヌクレオチド長を決定する工程とを含む。
【0037】
一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は、25ヌクレオチドまたはそれ以上である。
【0038】
一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は、50ヌクレオチド~5,000ヌクレオチドの間である。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は50ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は100ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は150ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は250ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は300ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は350ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は450ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は500ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は550ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は600ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は650ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は700ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は750ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は800ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は850ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は900ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は950ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は1000ヌクレオチドである。
【0039】
一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は1100ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は1200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は1300ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は1400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は1500ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は1600ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は1700ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は1800ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は1900ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は2000ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は2100ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は2200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は2300ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は2400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は2500ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は2600ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は2700ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は2800ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は2900ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は3000ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は3100ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は3200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は3300ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は3400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は3500ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は3600ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は3700ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は3800ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は3900ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は4000ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は4100ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は4200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は4300ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は4400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は4500ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は4600ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は4700ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は4800ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は4900ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は5000ヌクレオチドである。
【0040】
一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は、50もしくはそれ以上のヌクレオチド、100もしくはそれ以上のヌクレオチド、150もしくはそれ以上のヌクレオチド、または200もしくはそれ以上のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は、50またはそれ以上のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は、100またはそれ以上のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は、150またはそれ以上のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は、200またはそれ以上のヌクレオチドである。
【0041】
一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチドトラクトを含むヌクレオチドは、A、U、G、またはCから選択される。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチドを含むヌクレオチドは、アデニンである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチドを含むヌクレオチドは、ウラシルである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチドを含むヌクレオチドは、グアニンである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチドを含むヌクレオチドは、シトシンである。
【0042】
本出願において、「または」の使用は、特に断らない限り、「および/または」を意味する。本開示で使用される場合、用語「含む(comprise)」、ならびに「含んでいる(comprising)」および「含む(comprises)」のような用語の変形は、他の添加剤、成分、整数または工程を除外することを意図しない。本出願で使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、同等物として使用される。両方の用語は、関連技術分野の当業者によって認識される任意の正常な揺らぎをカバーすることを意味する。
【0043】
本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲において明らかである。しかしながら、詳細な説明、図面、および特許請求の範囲は、本発明の実施形態を示しているが、限定ではなく、例示としてのみ示されていることを理解されたい。本発明の範囲内の種々の変更および修正は、当業者に明らかになる。
【0044】
図面は、限定のためではなく、例示目的のみのためのものである。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1A】核酸に対する異なるメカニズムによる色素および他のリガンドの結合を示す概略図である。この概略図において、例示的な二本鎖DNA分子は、例えば、インターカレーティング色素、主溝結合剤、副溝結合剤またはビスインターカレーターによって、色素結合位置を示すために使用される。
図1B図1Aに示されるように、色素が結合し得るように形成されるRNA二次構造を示す概略図である。
図2A】Sybr gold(商標)色素処理されたCE試料および従来のRNase A消化された試料について、25nt、50ntおよび114ntのポリAテール長を有する、同時転写的に付加されたポリAテールを含むEPO mRNAのRNase A分析を示すゲルを示す。
図2B】25nt、50ntおよび114ntのポリAテール長を有するEPO mRNAについて、y軸上の観察されたテール長とx軸上の理論的なテール長の間のグラフを示す。結果は、Agilent(商標)色素処理されたCE試料、Sybr gold(商標)色素処理されたCE試料、RNase A消化された試料、続くBiorad MW分析および理論的なテール長について示される。
図3A】Sybr gold(商標)結合、続くRNase A消化後の100~600ヌクレオチドのポリAテール長を有する例示的なEPO mRNAを示すキャピラリー電気泳動ゲルを示す。
図3B】Agilent(商標)インターカレーティング色素結合、続くRNase A消化後の100~600ヌクレオチドの間のポリAテール長を有する例示的なEPO mRNAを示すキャピラリー電気泳動ゲルを示す。
図4A】長さが100~600ヌクレオチドのポリAテールを有するEPO mRNAの従来のRNase A分析を示すゲルを示す。
図4B】100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するEPO mRNAについて、y軸上の観察されたテール長とx軸上の理論的なテール長の間のグラフを示す。結果は、Agilent(商標)色素処理されたCE試料、Sybr gold(商標)色素処理されたCE試料、RNase A消化された試料、続くBiorad MW分析および理論的なテール長について示される。
図5A】100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有する、1.2μgのSybr gold(商標)色素処理されたEPO mRNA試料のRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を示す。
図5B】100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有する、1.2μgのAgilent(商標)色素処理されたEPO mRNA試料のRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を示す。
図6A図6Aおよび図6Bは、Sybr gold(商標)色素処理されたEPO mRNA試料とAgilent(商標)色素処理されたEPO mRNA試料のシグナル強度の比較を示す図である。図6Aは、200ntのポリAテール長を有する、1.2μgのSybr gold(商標)色素処理されたEPO mRNAのRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を示す。
図6B図6Aおよび図6Bは、Sybr gold(商標)色素処理されたEPO mRNA試料とAgilent(商標)色素処理されたEPO mRNA試料のシグナル強度の比較を示す図である。図6Bは、200ntのポリAテール長を有する、1.2μgのAgilent(商標)色素処理されたEPO mRNAのRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を示す。
図7】RNase AおよびRNase A/T1消化された生成物を比較する、100~1800ヌクレオチドのポリAテール長を有するEPO mRNAについて、y軸上の観察されたテール長とx軸上の理論的なテール長の間のグラフを示す。
図8A】未消化対照と比較して、100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有するSybr gold(商標)色素処理されたCFTR mRNAのRNase A消化後のゲルを示す。
図8B】未消化対照と比較して、100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有するAgilent(商標)色素処理されたCFTR mRNAのRNase A消化後のゲルを示す。
図9A】未消化対照と比較して、100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有する、1.2μgのSybr gold(商標)色素処理されたCFTR mRNA試料のRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を示す。
図9B】未消化対照と比較して、100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有する、1.2μgのAgilent(商標)色素処理されたCFTR mRNA試料のRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を示す。
図10】100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するCFTR mRNAについて、y軸上の観察されたテール長とx軸上の理論的なテール長の間のグラフを示す。結果は、Agilent(商標)色素処理されたCE試料、Sybr gold(商標)色素処理されたCE試料、RNase A消化された試料、続くBiorad MW分析および理論的なテール長について示される。
図11A】未消化対照と比較して、100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有するSybr gold(商標)色素処理されたOTC mRNAのRNase A消化後のゲルを示す。
図11B】未消化対照と比較して、100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有するAgilent(商標)色素処理されたOTC mRNAのRNase A消化後のゲルを示す。
図12A】未消化対照と比較して、100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有する、1.2μgのSybr gold(商標)色素処理されたOTC mRNA試料のRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を示す。
図12B】未消化対照と比較して、100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有する、1.2μgのAgilent(商標)色素処理されたOTC mRNA試料のRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を示す。
図13】100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するOTC mRNAについて、y軸上の観察されたテール長とx軸上の理論的なテール長の間のグラフを示す。結果は、Agilent(商標)色素処理されたCE試料、Sybr gold(商標)色素処理されたCE試料、RNase A消化された試料、続くBiorad MW分析および理論的なテール長について示される。
図14A】未消化対照と比較して、100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有するSybr gold(商標)色素処理されたMMA mRNAのRNase A消化後のゲルを示す。
図14B】未消化対照と比較して、100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有するAgilent(商標)色素処理されたMMA mRNAのRNase A消化後のゲルを示す。
図15A】未消化対照と比較して、100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有する、1.2μgのSybr gold(商標)色素処理されたMMA mRNA試料のRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を示す。
図15B】未消化対照と比較して、100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有する、1.2μgのAgilent(商標)色素処理されたMMA mRNA試料のRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を示す。
図16】100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するMMA mRNAについて、y軸上の観察されたテール長とx軸上の理論的なテール長の間のグラフを示す。結果は、Agilent(商標)色素処理されたCE試料、Sybr gold(商標)色素処理されたCE試料、RNase A消化された試料、続くBiorad MW分析および理論的なテール長について示される。
【発明を実施するための形態】
【0046】
定義
本発明がより容易に理解されるようにするために、ある特定の用語をまず以下に定義する。以下の用語および他の用語についての追加の定義は本明細書を通して示される。本発明の背景を説明し、その実施に関する追加の詳細を提供するために本明細書で参照される刊行物および他の参考資料は参照によって本明細書に組み入れられる。
【0047】
およそまたは約:本明細書で使用される場合、「およそ」または「約」という用語は、目的の1つまたはそれ以上の値に適用される場合、言及される参照値に類似の値を指す。ある特定の実施形態では、「およそ」または「約」という用語は、別段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り(このような数が可能な値の100%を超える場合を除き)、上述の参照値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以内の、いずれかの方向での(より大きいかまたはより小さい)、該当する値の範囲を指す。
【0048】
バッチ:本明細書で使用される場合、「バッチ」という用語は、例えば、同じ製造サイクル中に単一製造順序に従って製造される、一度に合成されるmRNAの含量または量を指す。バッチとは、1セットの条件下で連続的に合成するために、酵素の単一アリコートおよび/またはDNA鋳型の単一アリコートを介して起こる1つの反応において合成されるmRNAの量を指すことができる。一部の実施形態では、バッチは、反応が進行するにつれて全ての試薬および/または成分が補充および/または補給されるわけではない反応から産生されるmRNAを含む。「バッチ」という用語は、所望の量を達成するために組み合わされる異なる時間に合成されたmRNAを意味しない。
【0049】
生物学的活性:本明細書で使用される場合、用語「生物学的に活性である」とは、生物学的システム、特に生物体において活性を有する任意の薬剤の特徴を指す。例えば、ある生物に投与された場合に、その生物に生物学的効果を有する薬剤は、生物学的に活性であると考えられる。
【0050】
送達:本明細書で使用される場合、用語「送達」は、局所送達と全身送達の両方を包含する。例えば、mRNAの送達は、mRNAが標的組織に送達され、コードされるタンパク質が発現されて標的組織内に保持される状況(「局所分配」または「局所送達」とも呼ばれる)、およびmRNAが標的組織に送達され、コードされるタンパク質が発現されて患者の循環系(例えば、血清)内に分泌され、全身に分配され、他の組織によって取り込まれる状況(「全身分配」または「全身送達」とも呼ばれる)を包含する。一部の実施形態では、送達は、例えば噴霧を含む、肺送達である。
【0051】
発現:本明細書で使用される場合、核酸配列の「発現」は、mRNAのポリペプチドへの翻訳、複数のポリペプチド(例えば、抗体の重鎖または軽鎖)のインタクトタンパク質(例えば、抗体)への組み立て、および/またはポリペプチドもしくは完全に組み立てられたタンパク質(例えば、抗体)の翻訳後修飾を指す。本出願において、「発現」および「産生」という用語、ならびにそれらの文法的同等物は、互換的に使用される。
【0052】
完全長mRNA:本明細書で使用される場合、「完全長mRNA」は、特定のアッセイ、例えば、ゲル電気泳動、またはキャピラリー電気泳動による分離を伴うUVを用いる検出およびUV吸収分光法を使用する場合に特徴付けられるものである。全長ポリペプチドをコードし、本明細書に記載される精製方法のいずれかに従って得られるmRNA分子の長さは、標的DNAから転写される完全長mRNA分子の長さの少なくとも50%、例えば、標的DNAから転写され、本明細書に記載される任意の方法に従って精製される前の完全長mRNA分子の長さの少なくとも60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.01%、99.05%、99.1%、99.2%、99.3%、99.4%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%である。
【0053】
機能的:本明細書で使用される場合、「機能的」生物学的分子は、それによって特徴付けられる特性および/または活性を示す形態の生物学的分子である。
【0054】
ホモポリマーまたはホモポリマーヌクレオチド:本明細書で使用される場合、「ホモポリマー」またはホモポリマーヌクレオチド」およびそれらの文法上同等物は、連続する同一の塩基の配列を指す。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチドを含むヌクレオチドは、A、U、G、またはCから選択される。一部の実施形態では、用語「ホモポリマー」または「ホモポリマーヌクレオチド」は、実質的に同一の塩基の配列を指す。例えば、一部の実施形態では、用語は、1つまたはそれ以上の非同一のヌクレオチドを有する連続した一連のヌクレオチドを含む。
【0055】
インターカレーティング色素:本明細書で使用する場合、インターカレーティング色素またはリガンドもしくは薬剤は、DNA二重螺旋の塩基対間で結合する。インターカレーティング色素は、塩基対の環構造に類似する疎水性複素環分子、例えば、エチジウムブロマイド、アクリジンオレンジおよびアクチノマイシンDである。一部の実施形態では、インターカレーティング色素は、Agilent(商標)インターカレーティング色素である。
【0056】
改善する、増加させる、または減少させる:本明細書で使用される場合、「改善する」、「増加させる」もしくは「減少させる」という用語、または文法上同等物は、本明細書に記載される処置の開始前の同じ個体における測定値、または本明細書に記載される処置の非存在下の対照となる対象(または複数の対照となる対象)における測定値などの、ベースライン測定値に対する値を示す。「対照となる対象」は、処置される対象とほぼ同じ年齢の、処置される対象と同じ形態の疾患に罹患している対象である。
【0057】
インビトロ:本明細書で使用される場合、「インビトロ」という用語は、多細胞生物内ではなく、人工的な環境、例えば、試験管または反応容器、細胞培養物等で起こるイベントを指す。
【0058】
インビボ:本明細書で使用される場合、「インビボ」という用語は、ヒトおよび非ヒト動物などの多細胞生物内で起こるイベントを指す。細胞系の文脈においては、この用語は、生細胞内で起こるイベントを指すために使用される(例えば、インビトロ系と対照的に)。
【0059】
単離された:本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、(1)(天然および/または実験設定のいずれにせよ)最初に産生された際に会合していた成分の少なくとも一部から分離された、ならびに/または(2)人の手によって産生、製造、および/もしくは製作された、物質および/または実体を指す。単離された物質および/または実体は、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超のこれらが最初に会合していた他の成分から分離される。一部の実施形態では、単離された薬剤が、約80%、約85%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、または約99%超純粋である。本明細書で使用される場合、物質は、他の成分を実質的に含まない場合に、「純粋」である。本明細書で使用される場合、単離された物質および/または実体のパーセント純度の計算は賦形剤(例えば、緩衝剤、溶媒、水等)を含むべきでない。
【0060】
メッセンジャーRNA(mRNA):本明細書で使用される場合、「メッセンジャーRNA(mRNA)」という用語は、少なくとも1つのポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを指す。mRNAは、本明細書で使用される場合、修飾RNAと未修飾RNAの両方を包含する。mRNAは、1つまたはそれ以上のコード領域および非コード領域を含有する。mRNAは、天然供給源から精製する、組換え発現系を使用して産生し、場合により精製する、化学的に合成すること等が可能である。適切な場合、例えば化学的に合成した分子の場合には、mRNAは、化学修飾塩基または糖、骨格修飾等を有する類似体などのヌクレオシド類似体を含むことができる。特に断らない限り、mRNA配列は5’から3’方向に提示される。
【0061】
副溝または副溝結合色素:本明細書で使用される場合、「副溝」とは、副溝結合色素が水素結合または疎水性相互作用によって結合する、DNA二重螺旋中の2つの溝のうち狭い方を指す。RNA分子において、副溝結合色素は、一本鎖核酸によって形成される二次構造に非共有結合的に結合する。一部の実施形態では、副溝結合色素は、Sybr gold(商標)、Hoechst色素、または4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)である。
【0062】
mRNAの完全性:本明細書で使用される場合、用語「mRNAの完全性」は、一般に、mRNAの品質を指す。一部の実施形態では、mRNA完全性とは、精製プロセス(例えば、本明細書に記載される方法)後に分解されないmRNAのパーセンテージを指す。mRNAの完全性は、TAEアガロースゲル電気泳動などの本明細書に特に記載される方法を用いるか、または銀染色によるSDS-PAGEによるか、または、当該技術分野において周知である方法、例えば、RNAアガロースゲル電気泳動(例えば、Ausubelら、John Wiley & Sons,Inc.、1997、Current Protocols in Molecular Biology)によって決定される。
【0063】
核酸:本明細書で使用される場合、用語「核酸」とは、その最も広い意味において、ポリヌクレオチド鎖に取り込まれるかまたは取り込まれ得る任意の化合物および/または物質を指す。一部の実施形態では、核酸は、ホスホジエステル結合を介してポリヌクレオチド鎖に組み込まれるか、または組み込むことができる化合物および/または物質である。一部の実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシド)を指す。一部の実施形態では、「核酸」は、個々の核酸残基を含むポリヌクレオチド鎖を指す。一部の実施形態では、「核酸」は、RNAならびに一本鎖および/または二本鎖DNAおよび/またはcDNAを包含する。さらに、「核酸」、「DNA」、「RNA」という用語、および/または同様の用語は、核酸類似体、すなわち、ホスホジエステル骨格以外を有する類似体を含む。例えば、当技術分野で公知であり、骨格中にホスホジエステル結合の代わりにペプチド結合を有する、いわゆる「ペプチド核酸」は本発明の範囲内にあると考えられる。「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」という用語は、互いの縮重バージョンである、および/または同じアミノ酸配列をコードする全てのヌクレオチド配列を含む。タンパク質をコードするヌクレオチド配列および/またはRNAはイントロンを含む。核酸は、天然供給源から精製する、組換え発現系を使用して産生し、場合により精製する、化学合成すること等が可能である。適切な場合、例えば化学的に合成した分子の場合には、核酸は、化学修飾塩基または糖、骨格修飾等を有する類似体などのヌクレオシド類似体を含むことができる。核酸配列は、特に指示しない限り、5’から3’方向に提示される。一部の実施形態では、核酸は、天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン);ヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、および2-チオシチジン);化学修飾塩基;生物修飾塩基(例えば、メチル化塩基);挿入塩基;修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース);および/または修飾リン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’-N-ホスホロアミダイト結合)であるか、またはこれらを含む。一部の実施形態では、本発明は、具体的には、送達を容易にするまたは達成するために化学的に修飾されていない核酸(例えば、ヌクレオチドおよび/またはヌクレオシドを含む、ポリヌクレオチドおよび残基)を意味する「未修飾核酸」に関する。一部の実施形態では、ヌクレオチドTおよびUは、配列記載において互換的に使用される。
【0064】
πスタック:本明細書で使用される場合、πスタックは、それらがπ結合を含むため、芳香族環間の引力的な非共有相互作用を指す。これらの相互作用は、DNA分子およびRNA分子内でのヌクレオベーススタッキングにおいて重要である。
【0065】
実質的に:本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、目的の特徴または特性の全部または全部に近い程度または度合いを示す定量的状態を指す。生物分野の当業者であれば、生物および化学現象が、完了するおよび/または完了まで進行するまたは絶対的な結果を達成するもしくは回避することがあったとしても稀であることを理解するだろう。したがって、「実質的に」という用語は、多くの生物および化学現象に固有の完全性の潜在的な欠如をとらえるために本明細書で使用される。
【0066】
詳細な説明
本発明は、とりわけ、mRNA試料中のポリAテール長を迅速およびハイスループットな方法で正確に測定する方法を提供する。本発明は、部分的に、副溝結合色素とmRNAとの結合、続くリボヌクレアーゼ(RNase)消化およびキャピラリー電気泳動(CE)が、mRNAのポリAテール長を決定する正確な方法を提供するという、驚くべき予期せぬ発見に基づく。キャピラリー電気泳動(CE)は、典型的には、インターカレーティング色素を用いて行われる。一部の実施形態では、インターカレーティング色素は、Agilent(商標)インターカレーティング色素である。本発明は、部分的には、キャピラリー電気泳動における副溝結合色素の使用に基づく。一部の実施形態では、副溝結合色素は、Sybr gold(商標)である。
【0067】
ポリAテールは螺旋状であるが;それらは平面状にスタックされた塩基で構成される。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、Sybr gold(商標)を含む副溝結合色素は、塩基スタッキングに依存しない相互作用のために、ポリAテールによって形成される平面構造に結合することができると考えられる。Agilent(商標)インターカレーティング色素などのインターカレーティング色素は、インターカレーティング色素がポリAテールによって作製される平面構造に適切にπスタックすることができないため、水を含んだポリAシグナルを生成する。対照的に、Sybr gold(商標)は、一本鎖の二次構造により形成される副溝に結合することによって、水素結合および疎水性シグナルを介して、ポリAテールの螺旋構造に非共有結合的に結合する(図1B)。
【0068】
本発明の種々の態様を下記にさらに説明する。
【0069】
mRNAポリAテール長の測定
下記の明細書により詳細に記載されるように、mRNAは、インビトロ転写(IVT)を含む種々の公知の方法のいずれかに従って合成される。一部の実施形態では、mRNAはキャップされ、ポリAテールが付加される。一部の実施形態では、ポリAテールは、転写後または転写と同時に付加される。ポリAテールは、mRNA治療製造品に安定性を付与する。
【0070】
一部の態様では、本明細書では、mRNA試料中のポリAテール長を測定する方法が提供され、本方法は:(a)mRNA試料を副溝結合色素と接触させる工程と;(b)(a)からのmRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)とともにインキュベートする工程と;(c)キャピラリー電気泳動(CE)により(b)からの試料をアッセイして、mRNAのポリAテール長を決定する工程とを含む。一部の実施形態では、本方法の1つまたはそれ以上の工程は自動化される。一部の実施形態では、本方法はハイスループットである。
【0071】
副溝結合色素
一部の態様では、本発明の方法は、部分的に、mRNAを含む核酸の副溝結合色素への結合に基づく(図1Aおよび図1B)。一部の実施形態では、副溝結合色素は、Sybr gold(商標)、Hoechst色素、または4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)である。一部の実施形態では、副溝結合色素は、Sybr gold(商標)である。一部の実施形態では、副溝結合色素は、Hoechst色素である。一部の実施形態では、副溝結合色素は、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)である。
【0072】
リボヌクレアーゼ
一部の実施形態では、本明細書では、mRNA試料が、RNase AおよびRNase T1から選択される1つまたはそれ以上のRNaseとともにインキュベートされる方法が提供される。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のRNaseはRNase Aである。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のRNaseはRNase T1である。一部の実施形態では、1つまたはそれ以上のRNaseは、RNase AlおよびRNase T1を含む。RNase AはC残基とU残基の後でRNAを分解し、一方、RNase T1はG残基の後で分解する。RNase AとRNase T1による消化は、ポリAテールだけが残ることを確実にする。
【0073】
一部の実施形態では、mRNA試料は、1つまたはそれ以上のRNaseとともに約15分間、30分間、45分間、または60分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA試料は、1つまたはそれ以上のRNaseとともに約15分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA試料は、1つまたはそれ以上のRNaseとともに約30分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA試料は、1つまたはそれ以上のRNaseとともに約45分間インキュベートされる。一部の実施形態では、mRNA試料は、1つまたはそれ以上のRNaseとともに約60分間インキュベートされる。
【0074】
キャピラリーゲル電気泳動
本発明の方法は、mRNAの等質量電荷比に基づく、mRNAの分離のための検出システムと結合させたキャピラリー電気泳動を採用する。キャピラリーゲル電気泳動法は、25ntから約5000ヌクレオチドより大きい種々の長さの消化生成物を分離する。長さは、標準サイズマーカーに基づいて正確に定量される。
【0075】
一部の実施形態では、キャピラリー電気泳動は、蛍光ベースの検出と結合される。例えば、一部の実施形態では、蛍光ベースの検出方法は、レーザー誘導性蛍光検出を含む。
【0076】
一部の実施形態では、キャピラリー電気泳動は、UV吸収分光検出と結合される。
【0077】
mRNAの合成
mRNAは、種々の公知である方法のいずれかに従って合成することができる。例えば、mRNAはインビトロ転写(IVT)を介して合成することができる。手短に言えば、IVTは、典型的にはプロモーターを含有する直鎖または環状DNA鋳型、リボヌクレオチド三リン酸のプール、DTTおよびマグネシウムイオンを含むことができる緩衝系、ならびに適切なRNAポリメラーゼ(例えば、T3、T7、またはSP6 RNAポリメラーゼ)、DNAse I、ピロホスファターゼ、および/またはRNAse阻害剤を用いて実施される。正確な条件は具体的な用途によって変化する。
【0078】
一部の実施形態では、本発明によるmRNAを調製するために、DNA鋳型をインビトロで転写する。適切なDNA鋳型は、典型的には、インビトロ転写のためのプロモーター、例えば、T3、T7またはSP6プロモーターを有し、続いて所望のmRNAおよび終止シグナルのための所望のヌクレオチド配列を有する。
【0079】
T3 RNAポリメラーゼを用いたmRNAの合成
一部の実施形態では、mRNAは、T3 RNAポリメラーゼを用い生成される。T3 RNAポリメラーゼは、T3バクテリオファージ由来のDNA依存性RNAポリメラーゼであり、一本鎖DNAまたは二本鎖DNAのいずれかの5’→3’方向でDNAからのRNAの形成を触媒し、修飾されたヌクレオチドを取り込むことができる。T3ポリメラーゼは極めてプロモーター特異的であり、T3プロモーターの下流のDNAのみを転写する。T3は、5’-AATTAACCCTCACTAAAGGGAGA-3’(配列番号1)のコンセンサスプロモーター配列に結合する。
【0080】
T7 RNAポリメラーゼを用いたmRNAの合成
一部の実施形態では、mRNAは、T7 RNAポリメラーゼを用いて生成される。T7 RNAポリメラーゼは、T7バクテリオファージ由来のDNA依存性RNAポリメラーゼであり、5’→3’方向でDNAからRNAの形成を触媒する。T7ポリメラーゼは極めてプロモーター特異的であり、T7プロモーターの下流のDNAのみを転写する。T7は、5’-TAATACGACTCACTATAGGGAGA-3’(配列番号2)のコンセンサスプロモーター配列に結合する。T7ポリメラーゼはまた、RNA合成のための補因子として二本鎖DNA鋳型およびMg2+イオンを必要とする。それはエラー率が非常に低い。
【0081】
SP6 RNAポリメラーゼを用いたmRNAの合成
一部の実施形態では、mRNAは、SP6 RNAポリメラーゼを用いて生成される。SP6 RNAポリメラーゼは、SP6プロモーター配列に対して高い配列特異性を有するDNA依存性RNAポリメラーゼである。SP6ポリメラーゼは、プロモーターから下流の一本鎖DNAまたは二本鎖DNA上のRNAの5’→3’インビトロ合成を触媒し、天然リボヌクレオチドおよび/または修飾リボヌクレオチドおよび/または標識リボヌクレオチドを重合転写産物に取り込む。SP6は、5’-ATTTACGACACACTATAGAAGAA-3’(配列番号3)のコンセンサスプロモーター配列に結合する。このような標識されたリボヌクレオチドの例としては、ビオチン-、フルオレセイン-、ジゴキシゲニン-、アミノアリル-、および同位体標識ヌクレオチドが挙げられる。
【0082】
DNA鋳型
典型的には、DNA鋳型は、完全に二本鎖であるか、または大部分が適切なプロモーター配列(例えば、T3、T7またはSP6プロモーター)を有する一本鎖のいずれかである。
【0083】
線状化プラスミドDNA(1つまたはそれ以上の制限酵素を介して線状化される)、線状化ゲノムDNAフラグメント(制限酵素および/または物理的手段を介する)、PCR産物、および/または合成DNAオリゴヌクレオチドは、それらが転写されるDNA配列の上流(および正方向)に二本鎖プロモーターを含むことを条件として、インビトロ転写のための鋳型として用いることができる。
【0084】
一部の実施形態では、線状化DNA鋳型は、平滑末端を有する。
【0085】
一部の実施形態では、転写されるDNA配列は、より効率的な転写および/または翻訳を促進するために最適化される。例えば、DNA配列は、シス調節エレメント(例えば、TATAボックス、終止シグナルおよびタンパク質結合部位)、人工組換え部位、カイ部位、CpGジヌクレオチド含有量、ネガティブCpGアイランド、GC含有量、ポリメラーゼスリップ部位、および/または転写に関連する他のエレメントに関して最適化される;DNA配列は、潜在的スプライス部位、mRNA二次構造、mRNAの安定な自由エネルギー、反復配列、RNA不安定モチーフ、および/またはmRNAプロセシングおよび安定性に関連する他のエレメントに関して最適化される;DNA配列は、コドン使用バイアス、コドン適合性、内部カイ部位、リボソーム結合部位(例えば、IRES)、未成熟ポリA部位、シャイン-ダルガーノ(SD)配列、および/または翻訳に関連する他のエレメントに関して最適化される;および/またはDNA配列は、コドンコンテキスト、コドン-アンチコドン相互作用、翻訳休止部位、および/またはタンパク質折り畳みに関連する他のエレメントに関して最適化される。当技術分野において公知である最適化方法、例えば、その全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第2011/0081708号に記載されるThermoFisherおよびOptimumGene(商標)によるGeneOptimizerを本発明で使用することができる。
【0086】
一部の実施形態では、DNA鋳型は、5’および/または3’非翻訳領域を含む。一部の実施形態では、5’非翻訳領域は、mRNAの安定性または翻訳に影響する1つまたはそれ以上のエレメント、例えば、鉄応答性エレメントを含む。一部の実施形態では、5’非翻訳領域は、長さが約50~500ヌクレオチドの間であり得る。
【0087】
一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、ポリアデニル化シグナルのうちの1つもしくはそれ以上、細胞内での位置のmRNAの安定性に影響するタンパク質の結合部位、またはmiRNAの1つもしくはそれ以上の結合部位を含む。一部の実施形態では、3’非翻訳領域は、長さが50~500ヌクレオチドの間またはそれ以上であり得る。
【0088】
例示的な3’および/または5’UTR配列は、センスmRNA分子の安定性を増加させるために、安定であるmRNA分子(例えば、グロビン、アクチン、GAPDH、チューブリン、ヒストン、またはクエン酸サイクル酵素)から誘導することができる。例えば、5’UTR配列は、ヌクレアーゼ耐性を改善し、および/またはポリヌクレオチドの半減期を改善するために、CMV前初期1(IE1)遺伝子の部分配列またはそのフラグメントを含み得る。また、ポリヌクレオチドをさらに安定化するために、ヒト成長ホルモン(hGH)をコードする配列またはそのフラグメントをポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の3’末端または非翻訳領域に含めることが考えられる。一般に、これらの修飾は、修飾されていない対応物と比較して、ポリヌクレオチドの安定性および/または薬物動態特性(例えば、半減期)を改善し、例えば、インビボヌクレアーゼ消化に対するこのようなポリヌクレオチドの抵抗性を改善するためになされる修飾を含む。
【0089】
大規模mRNA合成
一部の実施形態では、ポリAテールを有するmRNAは、大規模に合成される。一部の実施形態では、mRNAは、単一バッチで少なくとも100mg、150mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、700mg、800mg、900mg、1g、5g、10g、25g、50g、75g、100g、250g、500g、750g、1kg、5kg、10kg、50kg、100kg、1000kgまたはそれ以上で合成される。本明細書で使用される場合、「バッチ」という用語は、一度に合成されたmRNAの含量または量、例えば、単一の製造設定に従って製造されたmRNAの含量または量を指す。バッチとは、1セットの条件下で連続的に合成するために、酵素の単一アリコートおよび/またはDNA鋳型の単一アリコートを介して起こる1つの反応において合成されるmRNAの量を指すことができる。単一のバッチで合成されたmRNAは、所望の量を達成するために組み合わされる異なる時間に合成されたmRNAを含まない。
【0090】
本発明によれば、1~100mgのRNAポリメラーゼが、典型的には、生成されたmRNAの1グラム(g)あたり使用される。一部の実施形態では、生成されたmRNAの1gあたり約1~90mg、1~80mg、1~60mg、1~50mg、1~40mg、10~100mg、10~80mg、10~60mg、10~50mgのRNAポリメラーゼが使用される。一部の実施形態では、約5~20mgのRNAポリメラーゼを使用して、約1グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、約0.5~2グラムのRNAポリメラーゼを使用して、約100グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、約5~20グラムのRNAポリメラーゼを使用して、約1キログラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、少なくとも5mgのRNAポリメラーゼを使用して、少なくとも1グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、少なくとも500mgのRNAポリメラーゼを使用して、少なくとも100グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、少なくとも5グラムのRNAポリメラーゼを使用して、少なくとも1キログラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、生成されたmRNA1gあたり約10mg、20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、または100mgのプラスミドDNAが使用される。一部の実施形態では、約10~30mgのプラスミドDNAを使用して、約1グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、約1~3グラムのプラスミドDNAを使用して、約100グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、約10~30グラムのプラスミドDNAを使用して、約1キログラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、少なくとも10mgのプラスミドDNAを使用して、少なくとも1グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、少なくとも1グラムのプラスミドDNAを使用して、少なくとも100グラムのmRNAを生成する。一部の実施形態では、少なくとも10グラムのプラスミドDNAを使用して、少なくとも1キログラムのmRNAを生成する。
【0091】
一部の実施形態では、反応混合物中のRNAポリメラーゼの濃度は、約1~100nM、1~90nM、1~80nM、1~70nM、1~60nM、1~50nM、1~40nM、1~30nM、1~20nM、または約1~10nMであり得る。ある特定の実施形態では、RNAポリメラーゼの濃度は、約10~50nM、20~50nM、または30~50nMである。RNAポリメラーゼの100~10000単位/mlの濃度、例として、100~9000単位/ml、100~8000単位/ml、100~7000単位/ml、100~6000単位/ml、100~5000単位/ml、100~1000単位/ml、200~2000単位/ml、500~1000単位/ml、500~2000単位/ml、500~3000単位/ml、500~4000単位/ml、500~5000単位/ml、500~6000単位/ml、1000~7500単位/ml、および2500~5000単位/mlの濃度を用いることができる。
【0092】
反応混合物中の各リボヌクレオチド(例えば、ATP、UTP、GTP、およびCTP)の濃度は、約0.1mM~約10mM、例えば、約1mM~約10mMの間、約2mM~約10mMの間、約3mM~約10mMの間、約1mM~約8mMの間、約1mM~約6mMの間、約3mM~約10mMの間、約3mM~約8mMの間、約3mM~約6mMの間、約4mM~約5mMの間である。一部の実施形態では、各リボヌクレオチドは、反応混合物中で約5mMである。一部の実施形態では、反応において使用されるrNTP(例えば、ATP、GTP、CTPおよびUTPの組合せ)の全濃度は、1mM~40mMの間の範囲である。一部の実施形態では、反応において使用されるrNTP(例えば、ATP、GTP、CTPおよびUTPの組合せ)の全濃度は、1mM~30mMの間、または1mM~28mMの間、または1mM~25mMの間、または1mM~20mMの間の範囲である。一部の実施形態では、全rNTP濃度は30mM未満である。一部の実施形態では、全rNTP濃度は25mM未満である。一部の実施形態では、全rNTP濃度は20mM未満である。一部の実施形態では、全rNTP濃度は15mM未満である。一部の実施形態では、全rNTP濃度は10mM未満である。
【0093】
RNAポリメラーゼ反応緩衝液には、典型的には、塩/緩衝剤、例えば、Tris、HEPES、硫酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、および塩化マグネシウムが含まれる。
【0094】
反応混合物のpHは、約6~8.5、6.5~8.0、7.0~7.5であり得、一部の実施形態では、pHは7.5である。
【0095】
直鎖または線状化のDNA鋳型(例えば、上記されるように、所望の量のRNAを提供するのに十分な量/濃度で)、RNAポリメラーゼ反応緩衝液、およびRNAポリメラーゼを組み合わせて、反応混合物を形成する。反応混合物を約37℃~約42℃で30分~6時間、例えば約60~約90分間インキュベートする。
【0096】
一部の実施形態では、適切なRNAポリメラーゼ反応緩衝液(最終反応混合物のpHは約7.5である)中の約5mM NTP、約0.05mg/mL RNAポリメラーゼ、および約0.1mg/ml DNA鋳型を約37℃~約42℃で60~90分間インキュベートする。
【0097】
一部の実施形態では、反応混合物は、RNAポリメラーゼ特異的プロモーター、RNAポリメラーゼ、RNase阻害剤、ピロホスファターゼ、29mM NTP、10mM DTTおよび反応緩衝液(10×の場合は800mM HEPES、20mMスペルミジン、250mM MgCl、pH7.7)および所望の反応体積に十分な含量(QS)をRNaseフリー水とともに有する線状化二本鎖DNA鋳型を含有する。次に、この反応混合物を37℃で60分間インキュベートする。次に、ポリメラーゼ反応を、DNase IおよびDNase I緩衝液(10×の場合は100mM Tris-HCl、5mM MgClおよび25mM CaCl、pH7.6)の添加によってクエンチさせ、精製のための調製における二本鎖DNA鋳型の消化を促進する。この実施形態は、100グラムのmRNAを生成するのに十分であることが示されている。
【0098】
一部の実施形態では、反応混合物は、1~10mMの範囲の濃度のNTP、0.01~0.5mg/mlの範囲の濃度のDNA鋳型、および0.01~0.1mg/mlの範囲の濃度のRNAポリメラーゼを含み、例えば、反応混合物は、5mMの濃度のNTP、0.1mg/mlの濃度のDNA鋳型、および0.05mg/mlの濃度のRNAポリメラーゼを含む。
【0099】
ヌクレオチド
種々の天然に存在するかまたは修飾されたヌクレオシドを用いて、本発明によるmRNAを生成することができる。一部の実施形態では、mRNAは、天然ヌクレオシド(例えば、アデノシン、グアノシン、シチジン、ウリジン);ヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、シュードウリジン、(例えば、N-1-メチル-シュードウリジン)、2-チオウリジン、および2-チオシチジン);化学的に修飾された塩基;生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基);インターカレートされた塩基;修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース);および/または修飾されたリン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’-N-ホスホルアミダイト結合)であるかまたはそれを含む。
【0100】
一部の実施形態では、mRNAは、1つまたはそれ以上の非標準ヌクレオチド残基を含む。非標準ヌクレオチド残基は、例えば、5-メチル-シチジン(「5mC」)、シュードウリジン(「ψU」)、および/または2-チオ-ウリジン(「2sU」)を含み得る。このような残基の検討およびそれらのmRNAへの取り込みについては、例えば、米国特許第8,278,036号または国際公開第2011/012316号を参照されたい。mRNAはRNAであり得、U残基の25%が2-チオ-ウリジンであり、C残基の25%が5-メチルシチジンであるRNAとして定義される。RNAの使用のための教示は、米国特許出願公開第2012/0195936号および国際公開第2011/012316号に開示され、いずれも参照によりそれらの全体が本明細書に組み入れられる。非標準ヌクレオチド残基の存在は、mRNAを、同じ配列を有するが、標準残基のみを含有する対照mRNAよりも安定におよび/またはあまり免疫原性ではなくすることができる。さらなる実施形態では、mRNAは、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-ブロモウラシル、5-プロピニルウラシル、6-アミノプリン、2-アミノプリン、イノシン、ジアミノプリンおよび2-クロロ-6-アミノプリンシトシン、ならびにこれらの修飾および他の核酸塩基修飾の組合せから選択される1つまたはそれ以上の非標準ヌクレオチド残基を含むことができる。一部の実施形態は、フラノース環または核酸塩基に対する追加の修飾をさらに含むことができる。追加の修飾には、例えば、糖修飾または置換(例えば、2’-O-アルキル修飾、ロック核酸(LNA)の1つまたはそれ以上)が含まれる。一部の実施形態では、RNAは追加のポリヌクレオチドおよび/またはペプチドポリヌクレオチド(PNA)と複合体化またはハイブリダイズされる。糖修飾が2’-O-アルキル修飾である一部の実施形態では、このような修飾には、それだけに限らないが、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾、2’-O-メチル修飾、2’-O-メトキシエチル修飾および2’-デオキシ修飾が含まれる。一部の実施形態では、これらの修飾のいずれもヌクレオチドの0~100%-例えば、個別にまたは組み合わせて構成ヌクレオチドの0%、1%、10%、25%、50%、75%、85%、90%、95%超または100%で存在することができる。
【0101】
合成後プロセシング
典型的には、5’キャップおよび/または3’テールを合成後に付加することができる。キャップの存在は、ほとんどの真核細胞に見られるヌクレアーゼに対する耐性を提供するのに重要である。「テール」の存在は、mRNAをエキソヌクレアーゼ分解から保護するのに役立つ。
【0102】
5’キャップ
5’キャップは、典型的には、以下のように付加される:第1に、RNA末端ホスファターゼが5’ヌクレオチドから末端リン酸基のうちの1つを除去し、2つの末端リン酸を残す;次に、グアノシン三リン酸(GTP)がグアニル基転移酵素を介して末端リン酸に付加され、5’5’5三リン酸結合を生成し;次に、グアニンの7-窒素がメチル基転移酵素によってメチル化される。キャップ構造の例としては、限定されないが、m7G(5’)ppp(5’(A,G(5’)ppp(5’)AおよびG(5’)ppp(5’)Gが挙げられる。追加のキャップ構造は、参照により本明細書に組み入れる、2017年2月27日に出願された米国特許出願公開第2016/0032356号および米国仮特許出願第62/464,327号に記載されている。
【0103】
3’-ポリAテール
3’末端における「テール」の存在は、mRNAをエキソヌクレアーゼ分解から保護するのに役立つ。3’テールは、5’キャップを付加する前、後、または同時に付加される。
【0104】
一部の実施形態では、ポリAテールは、転写と同時に付加される。一部の実施形態では、ポリAテールは、転写後に付加される。一部の実施形態では、ポリCテールは、転写と同時に付加される。一部の実施形態では、ポリCテールは、転写後に付加される。
【0105】
一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが25~5,000ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが25ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが50ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが75ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが100ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが150ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが250ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが300ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが350ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが450ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが500ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが550ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが300ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが600ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが650ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが700ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが750ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが800ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが850ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが900ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが950ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが1000ヌクレオチドである。
【0106】
一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが1500ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが2000ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが2500ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが3000ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが3500ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが4000ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが4500ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ポリAテールは、長さが5000ヌクレオチドである。
【0107】
典型的には、テール構造は、ポリAおよび/またはポリCテールを含む。(A、アデノシン;C、シトシン)。一部の実施形態では、mRNAの3’末端のポリAまたはポリCテールは、それぞれ、少なくとも25のアデニンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも50のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも150のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも200のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも250のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも300のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも350のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも400のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも450のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも500のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも550のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも600のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも650のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも700のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも750のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも800のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも850のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも900のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも950のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、または少なくとも1kbのアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも2kbのアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも3kbのアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも4kbのアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、少なくとも5kbのアデノシンもしくはシトシンヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリAまたはポリCテールは、それぞれ約10~800個のアデノシンまたはシトシンヌクレオチド(例えば、約10~200個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~300個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~400個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~500個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~550個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約50~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約100~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約150~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約200~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約250~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約300~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約350~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約400~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約450~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約500~600個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~150個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約10~100個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、約20~70個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド、または約20~60個のアデノシンもしくはシトシンヌクレオチド)であることができる。一部の実施形態では、テール構造は、本明細書に記載される様々な長さのポリAテールとポリCテールの組合せである。一部の実施形態では、ポリAテール構造は、少なくとも50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアデノシンヌクレオチドを含む。一部の実施形態では、ポリAテール構造は、少なくとも50%、55%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のシトシンヌクレオチドを含む。
【0108】
本明細書に記載されるように、キャッピングおよび/またはテーリングがないと、早期中断mRNA転写産物のサイズがあまりに小さすぎて検出することができないために、5’キャップおよび/または3’テールの付加によって、インビトロ合成中に産生される中断転写産物の検出が容易になる。よって、一部の実施形態では、mRNAを純度(mRNA中に存在する中断転写産物のレベル)について試験する前に、5’キャップおよび/または3’テールを合成されたmRNAに付加する。一部の実施形態では、mRNAを精製する前に、5’キャップおよび/または3’テールを合成されたmRNAに付加する。他の実施形態では、mRNAを精製した後に、5’キャップおよび/または3’テールを合成されたmRNAに付加する。
【0109】
mRNAの精製
本発明に従って合成されたmRNAは、ショートマーを除去する工程なしで使用することができる。一部の実施形態では、本発明に従って合成されたmRNAをさらに精製することができる。種々の方法を用いて、本発明に従って合成されたmRNAを精製することができる。例えば、遠心分離、濾過および/またはクロマトグラフィー法を使用して、mRNAの精製を実施することができる。一部の実施形態では、合成されたmRNAは、エタノール沈殿もしくは濾過もしくはクロマトグラフィー、もしくはゲル精製または任意の他の適切な手段によって精製される。一部の実施形態では、mRNAはHPLCによって精製される。一部の実施形態では、mRNAは、当業者に周知の、標準フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール溶液中で抽出される。一部の実施形態では、mRNAはタンジェンシャルフローフィルトレーションを使用して精製される。適切な精製方法には、2018年2月27日に出願された「METHODS FOR PURIFICATION OF MESSENGER RNA」と題する米国特許出願公開第2016/0040154号、米国特許出願公開第2015/0376220号、国際特許出願第PCT/US18/19954号、および2018年2月27日に出願された「METHODS FOR PURIFICATION OF MESSENGER RNA」と題する国際特許出願第PCT/US18/19978号に記載されたものが含まれ、全て参照により本明細書に組み入れられ、本発明を実施するために使用することができる。
【0110】
一部の実施形態では、mRNAは、キャッピングおよびテーリング前に精製される。一部の実施形態では、mRNAは、キャッピングおよびテーリング後に精製される。一部の実施形態では、mRNAは、キャッピングおよびテーリングの前と後の両方で精製される。
【0111】
一部の実施形態では、mRNAは、遠心分離によってキャッピングおよびテーリングの前もしくは後のいずれかまたは前と後の両方で精製される。
【0112】
一部の実施形態では、mRNAは、濾過によってキャッピングおよびテーリングの前もしくは後のいずれかまたは前と後の両方で精製される。
【0113】
一部の実施形態では、mRNAは、タンジェンシャルフローフィルトレーション(TFF)によってキャッピングおよびテーリングの前もしくは後のいずれかまたは前と後の両方で精製される。
【0114】
一部の実施形態では、mRNAは、クロマトグラフィーによってキャッピングおよびテーリングの前もしくは後のいずれかまたは前と後の両方で精製される。
【0115】
mRNAの特徴付け
mRNAの完全長または中断転写産物は、当技術分野において利用可能な任意の方法を用いて検出および定量することができる。一部の実施形態では、合成されたmRNA分子は、ブロット法、キャピラリー電気泳動、クロマトグラフィー、蛍光、ゲル電気泳動、HPLC、銀染色、分光法、紫外線(UV)、もしくはUPLC、またはそれらの組合せを用いて検出される。当技術分野において公知である他の検出方法が、本発明に含まれる。一部の実施形態では、合成されたmRNA分子は、キャピラリー電気泳動による分離を伴うUV吸収分光法を用いて検出される。一部の実施形態では、mRNAを、ゲル電気泳動(「グリオキサールゲル電気泳動」)の前にまずグリオキサール色素によって変性させる。一部の実施形態では、合成されたmRNAをキャッピングまたはテーリング前に特性評価する。一部の実施形態では、合成されたmRNAをキャッピングおよびテーリング後に特性評価する。
【0116】
一部の実施形態では、本明細書に開示される方法によって生成されたmRNAは、完全長mRNA以外の不純物を10%未満、9%未満、8%未満、7%未満、6%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満で含む。不純物には、IVT汚染物質、例えば、タンパク質、酵素、遊離ヌクレオチドおよび/またはショートマーが含まれる。
【0117】
一部の実施形態では、本発明に従って生成されたmRNAは、ショートマーおよび中断転写産物を実質的に含まない。特に、本発明に従って生成されたmRNAは、キャピラリー電気泳動またはグリオキサールゲル電気泳動により検出不能なレベルのショートマーまたは中断転写産物を含有する。本明細書で使用される場合、「ショートマー」または「中断転写産物」という用語は、完全長未満である任意の転写産物を指す。一部の実施形態では、「ショートマー」または「中断転写産物」は、長さが100ヌクレオチド未満、90未満、80未満、70未満、60未満、50未満、40未満、30未満、20未満、または10未満のヌクレオチドである。一部の実施形態では、ショートマーは、5’-キャップおよび/または3’-ポリAテールを付加した後に検出または定量される。
【0118】
ホモポリマー核酸トラクト
一部の態様では、本発明は、mRNAを含む、核酸中のホモポリマーヌクレオチド長を測定する方法を提供し、mRNAを副溝結合色素と接触させる工程、続いて、mRNAを1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼで処理する工程、キャピラリー電気泳動を行い、ホモポリマーヌクレオチド長を決定する工程を含む。一部の実施形態では、本方法の1つまたはそれ以上の工程は自動化される。一部の実施形態では、本方法はハイスループットである。
【0119】
一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチドを含むヌクレオチドは、A、U、G、またはCから選択される。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチドを含むヌクレオチドは、アデニンである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチドを含むヌクレオチドは、ウラシルである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチドを含むヌクレオチドは、グアニンである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチドを含むヌクレオチドは、シトシンである。
【0120】
本発明の方法に従って測定されるホモポリマーヌクレオチド長は、約25ヌクレオチドから約5000ヌクレオチドより大きい範囲である。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は、約25ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約150ヌクレオチド、約200ヌクレオチドであるかまたは約200ヌクレオチドより大きい。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は、約25ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約150ヌクレオチド、約200ヌクレオチドであるかまたは約200ヌクレオチドより大きい。
【0121】
一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は50ヌクレオチド~5,000ヌクレオチドの間である。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は50ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は100ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は150ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は200ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は250ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は300ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は350ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は400ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は450ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は500ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は550ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は600ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は650ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は700ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は750ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は800ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は850ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は900ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は950ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は1000ヌクレオチドである。一部の実施形態では、ホモポリマーヌクレオチド長は約1100~5000ヌクレオチドの間である。
【0122】
ホモポリマーヌクレオチドは、いくつかの機能、例えば、タンパク質結合領域、上流プロモーターエレメント、およびヌクレオソーム構造におけるDNA位置の決定に役立つ。本発明の方法は、とりわけ、DNAおよびRNAを含む核酸中のホモポリマー配列の長さを測定する方法を提供する。
【0123】
一部の態様では、本発明は、さらに、繰り返し単位(SSR)、マイクロサテライト、ミニサテライトおよびマクロサテライトを含有するホモポリマーの長さを測定する方法を提供する。SSRは1~5bpのタンデム繰り返し単位で構成される。例えば、最も豊富なSSRは、ポリdA-ポリdTおよびポリdG-ポリdCであり、一般に非コード領域に見出され、しばしば長さが9bpより大きい。ポリdA-ポリdTトラクトはATに富む配列では一般的である。SSRは、配列特異的なDNA結合において役割を果たす。
【0124】
マイクロサテライトは、約10bp反復で構成され、しばしば6~8bp反復を含む、テロメアを含む領域に見出される。コード領域において、ホモポリマーから生じるフレームシフトエラーはがんをもたらす。いくつかのがんでは、腫瘍試料中のDNAマイクロサテライトの長さを測定することは、マイクロサテライトの不安定性の尺度(それらがより短いかより長いかにかかわらず)を明らかにし、がんの進行の指標を提供する。
【0125】
一部の実施形態では、本発明の方法は、10~100bpの繰り返し単位で構成されるミニサテライトの長さを測定するために使用される。ミニサテライトは、しばしばセントロメアおよびヘテロクロマチン領域に見出される。一部の実施形態では、本発明の方法は、100bpを超える繰り返し単位を含むマクロサテライトの長さを測定するために使用される。
【0126】
一部の実施形態では、本発明の方法は、ウイルス様粒子を作製するために使用されるポリAおよびポリUなどのRNAホモポリマーの長さを測定するために使用される。これらは、塩基の混合物を含む通常の組成物を有するRNAよりも利点を提供するためである。
【0127】
一部の実施形態では、本発明の方法は、ホモポリマーヌクレオチドを含む次世代シークエンシング読み取りにおける品質制御としてホモポリマーの長さを測定するために使用される。短い読み取りからの反復DNA配列組み立ては、マイクロサテライトなどの反復配列の長さを決定することができず、これらは、しばしば報告された配列から省略される。
【0128】
一部の実施形態では、本発明の方法は、タンデム反復、散在反復、転移因子、DNAトランスポゾン、レトロトランスポゾン、SINE(短鎖散在核エレメント)、LINE(長鎖散在核エレメント)、およびCRISPR配列中のホモポリマーヌクレオチドの長さを測定するために使用される。
【実施例
【0129】
本発明のある特定の化合物、組成物および方法は、ある特定の実施形態に従って特異性をもって記載されてきたが、以下の実施例は、本発明の化合物を例示するためにのみ役立ち、本発明の化合物を限定することを意図するものではない。
【0130】
mRNAの合成
下記の実施例の各々において、mRNAの合成は、完全なRNase不含条件下で行われた。以下の実施例では、mRNAは、線状DNA鋳型からのインビトロ転写を介して合成された。所望のmRNA前駆体(IVT)構築物を生成するために、約8mgの線形化DNA、rNTP(7.25mM)、DTT(10mM)、T7 RNAポリメラーゼ、RNase阻害剤、ピロホスファターゼおよび反応緩衝液(10×、800mM HEPES(pH8.0)、20mMスペルミジン、250mM MgCl、pH7.7)の混合物を、RNaseフリー水を用いて180mLの最終体積に調製された。反応混合物を37℃で20分~60分間の間の時間範囲でインキュベートする。完了後、混合物をDNase Iでさらに15分間処理し、適切にクエンチする。
【0131】
5’キャップおよび3’テールの付加
上述のIVT工程から精製されたmRNA生成物を65℃で10分間変性させた。別に、GTP(1.0mM)、S-アデノシルメチオニン、RNase阻害剤、2’-O-メチルトランスフェラーゼおよびグアニリルトランスフェラーゼの一部を、反応緩衝液(10×、500mM Tris-HCl(pH8.0)、60mM KCl、12.5mM MgCl)とともに1.6Lの最終濃度まで混合した。変性時に、mRNAを氷上で冷却し、次に反応混合物に添加した。合わせた溶液を、37℃で25~90分間の時間範囲でインキュベートした。完了後、ATP(2.0mM)、ポリAポリメラーゼおよびテーリング反応緩衝液(10×、500mM Tris-HCl(pH8.0)、2.5M NaCl、100mM MgCl)のアリコートを添加し、全反応混合物をさらに37℃で20~45分間の時間範囲でインキュベートした。完了後、最終反応混合物をクエンチし、適切に精製した。ポリAテール長は、一部の実施形態では、以下の実施例に記載されるように、本発明の方法に従って測定された。
【実施例1】
【0132】
150未満のヌクレオチドの短いテール長を有するEPO mRNAのポリAテール長の測定
この実施例は、約25nt、50nt、および114ntの例示的なテール長を有する例示的なEPO mRNA中のポリAテール長を測定する方法を示す。
【0133】
手短に言えば、例示的なEPO mRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)で消化した。この実施例では、一部の実施形態では、RNase Aを使用した。次に、mRNA試料をキャピラリー電気泳動によりアッセイして、mRNAのポリAテール長を決定した。
【0134】
mRNA試料を有機溶媒メタンアミド(ホルムアミド)とともに75℃で約10分間インキュベートした。次に、フラグメントアナライザー機器を用いてmRNA試料を泳動して、CEを行った。このプロセスの間、Sybr Gold色素は、試料を添加し、泳動を開始する前に、ストックの1:10,000希釈でRNA分離ゲルに添加された。その後、色素は、室温で水素結合および疎水性相互作用を介して非共有結合的にmRNA試料に結合した。
【0135】
Sybr gold(商標)色素処理されたCE試料および従来のRNase A消化された試料について25nt、50ntおよび114ntのポリAテール長を有する、同時転写的に添加されたポリAテールを含むEPO mRNAのRNase Aゲル分析を図2Aに示す。分析の結果は、25nt、50ntおよび114ntのポリAテール長を有するEPO mRNAについて、y軸上の観察されたテール長およびx軸上の理論的なテール長のグラフに示される(図2B)。結果は、Agilent(商標)色素処理された試料(非常に低い生シグナルからプロットした)、Sybr gold(商標)色素処理された試料、RNase A消化された試料、続くBiorad MW分析および理論的なテール長について示される。
【0136】
図2Bに示された結果から分かるように、観察されたテール長は、アッセイされた全3つのテール長、すなわち25nt、50nt、および114ntで、Agilent(商標)色素処理された試料において過大評価され、非常に不正確である。Sybr gold(商標)色素処理されたCE試料およびRNase A消化された試料、続くBiorad MW分析は、観察されたテール長と理論的なテール長の間に良好な相関を示した。
【0137】
全体として、この実施例の結果は、mRNAを副溝結合色素と結合させ、続くRNase消化およびキャピラリー電気泳動を行う方法によって、ポリAテール長を正確に測定したことを示した。本方法は高精度であり、観察されたポリAテール長は理論的なテール長と同等であった。この方法は、従来のRNase A消化、続くBiorad MW分析と精度が同等であった。
【実施例2】
【0138】
100ヌクレオチドより大きい長いテール長を有するEPO mRNAのポリAテール長の測定
この実施例は、約100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntの例示的なテール長を有する例示的なEPO mRNA中のポリAテール長を測定する方法を示す。
【0139】
手短に言えば、例示的なEPO mRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)で消化した。この実施例では、一部の実施形態では、RNase Aを使用した。次に、mRNA試料をキャピラリー電気泳動によりアッセイして、mRNAのポリAテール長を決定した。
【0140】
mRNA試料を有機溶媒メタンアミド(ホルムアミド)とともに75℃で約10分間インキュベートした。次に、フラグメントアナライザー機器を用いてmRNA試料を泳動して、CEを行った。このプロセスの間、Sybr Gold色素は、試料を添加し、泳動を開始する前に、ストックの1:10,000希釈でRNA分離ゲルに添加された。その後、色素は、室温で水素結合および疎水性相互作用を介して非共有結合的にmRNA試料に結合した。
【0141】
Sybr gold(商標)色素処理されたCEについて100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するポリAテールを含むEPO mRNAのRNase Aゲル分析を図3Aに示す。Agilent(商標)インターカレーティング色素処理されたCEについて100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するポリAテールを含むEPO mRNAのゲル分析を図3Bに示す。
【0142】
一部の実施形態では、ポリAテール長はまた、従来のRNase A法によって評価された。手短に言えば、mRNA試料はRNase Aで30分間消化され、2%アガロースゲル上で2時間30分、泳動された。生成物を図4Aに示す。次に、Biorad MW分析によりポリAテール長を分析した。
【0143】
分析の結果は、100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するEPO mRNAについて、y軸上の観察されたテール長およびx軸上の理論的なテール長のグラフに示される(図4B)。結果は、Agilent(商標)色素処理された試料(非常に低い生シグナルからプロットした)、Sybr gold(商標)色素処理された試料、RNase A消化された試料、続くBiorad MW分析および理論的なテール長について示される。
【0144】
図4Bに示された結果から分かるように、観察されたテール長は、アッセイされた全6つのテール長、すなわち100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntで、Agilent(商標)色素処理された試料において非常に不正確である。観察されたテール長は100ntで非常に過小評価され、200~600ntテール長で過大評価される。Sybr gold(商標)色素処理されたCE試料は、観察されたテール長と理論的なテール長の間に良好な相関を示した。Sybr gold(商標)で処理されたCE試料は、従来のRNase A法、続くBiorad MW分析よりも、観察されたテール長と理論的なテール長の間に改善された相関を示した。
【0145】
100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有する、1.2μgのSybr gold(商標)色素処理されたEPO mRNA試料のRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を図5Aに示す。100、200、300、400、500および600ntのポリAテール長を有する、1.2μgのAgilent(商標)色素処理されたEPO mRNA試料のRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を図5Bに示す。
【0146】
Sybr gold(商標)色素処理されたEPO mRNA試料とAgilent(商標)色素処理されたEPO mRNA試料のシグナル強度の比較を図6Aおよび6Bに示す。200ntのポリAテール長を有する、1.2μgのSybr gold(商標)色素処理されたEPO mRNAのRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を図6Aに示す。200ntのポリAテール長を有する、1.2μgのAgilent(商標)色素処理されたEPO mRNAのRNase A消化後のキャピラリー電気泳動図を図6Bに示す。
【0147】
全体として、この実施例の結果は、mRNAを副溝結合色素と結合させ、続くRNase消化およびキャピラリー電気泳動を行う方法によって、ポリAテール長を正確に測定したことを示した。本方法は高精度であり、観察されたポリAテール長は理論的なテール長と同等であった。本方法は、従来のRNase A消化、続くBiorad MW分析と精度が同等であった。
【実施例3】
【0148】
RNase A単独またはRNase AとRNase T1酵素の両方のいずれかを用いるmRNA消化を含む方法によるポリAテール長測定の精度の比較
この実施例は、RNase A単独またはRNase AとRNase T1酵素の両方のいずれかによるmRNA消化を含む方法を用いたポリAテール長測定の精度の比較を示す。
【0149】
RNase AはC残基とU残基の後でRNAを分解し、一方、RNase T1はG残基の後で分解する。RNase AとRNase T1による消化は、ポリAテールだけが残ることを確実にする。この実施例では、ポリAテール長測定の精度は、RNaseAまたはRNase AとRNase T1で消化された50~1800ヌクレオチドの範囲のポリAテール長を有する例示的なEPO mRNA試料について比較された。
【0150】
この実施例では、50~1800ヌクレオチド(例えば、50nt、100nt、200nt、500nt、1000nt、1500ntおよび1800nt)の理論的なポリAテール長を有するEPO mRNAの試料は、30分間、RNase Aで消化された。消化生成物を2%アガロースゲル上で泳動し、分子量をBIORAD上で評価して、ポリAテール長を決定した。グラフは、y軸上の観察されたテール長とx軸上の理論的なテール長の間をプロットした。
【0151】
並行して、50~1800ヌクレオチド(例えば、50nt、100nt、200nt、500nt、1000nt、1500ntおよび1800nt)の間のポリAテール長を有するEPO mRNAの試料は、30分間、RNase AおよびRNase T1で消化された。消化生成物を2%アガロースゲル上で泳動し、分子量をBIORAD上で評価して、ポリAテール長を決定した。グラフは、y軸上の観察されたテール長とx軸上の理論的なテール長の間をプロットした。
結果を図7および表1に示す。グラフは、観察されたテール長と理論的なテール長の間に相関を示した。観察されたテール長は理論的なテール長に近づいた。
【0152】
【表1】
【0153】
この例はまた、観察されたテール長が、50~1800ヌクレオチドの間のテール長を有するRNase AおよびRNase A/T1消化されたEPO mRNA試料において同等であることを示した。
【実施例4】
【0154】
100ヌクレオチドより大きい長いテール長を有するCFTR mRNAのポリAテール長を測定する方法
この実施例は、約100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntの例示的なテール長を有する例示的なCFTR mRNA中のポリAテール長を測定する方法を示す。
【0155】
手短に言えば、例示的なCFTR mRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)で消化した。この実施例では、一部の実施形態では、RNase Aを使用した。次に、mRNA試料をキャピラリー電気泳動によりアッセイして、mRNAのポリAテール長を決定した。
【0156】
mRNA試料を有機溶媒メタンアミド(ホルムアミド)とともに75℃で約10分間インキュベートした。次に、フラグメントアナライザー機器を用いてmRNA試料を泳動して、CEを行った。このプロセスの間、Sybr Gold色素は、試料を添加し、泳動を開始する前に、ストックの1:10,000希釈でRNA分離ゲルに添加された。その後、色素は、室温で水素結合および疎水性相互作用を介して非共有結合的にmRNA試料に結合した。400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有する未消化対照に対して、Sybr gold(商標)色素処理された試料について100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するポリAテールを含むCFTR mRNAのRNase Aゲル分析を図8Aに示す。400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有する未消化対照に対して、Agilent(商標)インターカレーティング色素処理されたCEについて100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntを有するポリAテールを含むCFTR mRNAのRNase Aゲル分析を図8Bに示す。
【0157】
400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有する未消化対照に対して、100nt、200nt、300nt、400nt、500nt、および600ntのポリAテール長を含むSybr gold(商標)色素処理されたCFTR mRNA試料のピークを示すキャピラリー電気泳動図を図9Aに示す。400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有する未消化対照に対して、100nt、200nt、300nt、400nt、500nt、および600ntのポリAテール長を含むAgilent(商標)インターカレーティング色素処理されたCFTR mRNA試料のピークを示すキャピラリー電気泳動図を図9Bに示す。結果は、Agilent(商標)色素処理された試料(図9B)のシグナル強度が、Sybr gold(商標)処理された試料(図9A)よりもはるかに低いことを示す。
【0158】
分析の結果は、100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するCFTR mRNAについて、y軸上の観察されたテール長およびx軸上の理論的なテール長のグラフに示される(図10)。結果は、Agilent(商標)色素処理された試料(非常に低い生シグナルからプロットした)、Sybr gold(商標)色素処理された試料、RNase A消化された試料、続くBiorad MW分析および理論的なテール長について示される。
【0159】
図10に見られるように、観察されたテール長は、100ntおよび200ntの長さで過小評価されるが、Agilent(商標)色素処理された試料では300~600ntの間のテール長で過大評価され、全体的に不正確なポリAテール長の測定結果となる。
【0160】
RNase A消化された試料、続くBiorad MW分析は、100ntなどの短いテール長についての理論的なテール長に匹敵する正確なテール長測定を示した。しかしながら、200~600ntの間の長さで、観察されたテール長は理論的なテール長と比較して過小評価された。
【0161】
Sybr gold(商標)処理された試料は100ntで正確な短いテール長測定を示した。より長いテール長は、200~600ntの間のテール長についてのRNase A法、続くBiorad MW測定で観察されたものよりも正確に測定された。
【実施例5】
【0162】
100ヌクレオチドより大きい長いテール長を有するOTC mRNAのポリAテール長を測定する方法
この実施例は、約100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntの例示的なテール長を有する例示的なOTC mRNA中のポリAテール長を測定する方法を示す。
【0163】
手短に言えば、例示的なOTC mRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)で消化した。この実施例では、一部では、RNase Aを使用した。次に、mRNA試料をキャピラリー電気泳動によりアッセイして、mRNAのポリAテール長を決定した。
【0164】
mRNA試料を有機溶媒メタンアミド(ホルムアミド)とともに75℃で約10分間インキュベートした。次に、フラグメントアナライザー機器を用いてmRNA試料を泳動して、CEを行った。このプロセスの間、Sybr Gold色素は、試料を添加し、泳動を開始する前に、ストックの1:10,000希釈でRNA分離ゲルに添加された。その後、色素は、室温で水素結合および疎水性相互作用を介して非共有結合的にmRNA試料に結合した。
【0165】
400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有する未消化対照に対して、Sybr gold(商標)色素処理された試料について100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するポリAテールを含むOTC mRNAのRNase Aゲル分析を図11Aに示す。400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有する未消化対照に対して、Agilent(商標)インターカレーティング色素処理されたCEについて100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するポリAテールを含むOTC mRNAのRNase Aゲル分析を図11Bに示す。
【0166】
400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有する未消化対照に対して、100nt、200nt、300nt、400nt、500nt、および600ntのポリAテール長を含むSybr gold(商標)色素処理されたOTC mRNA試料のピークを示すキャピラリー電気泳動図を図12Aに示す。400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有する未消化対照に対して、100nt、200nt、300nt、400nt、500nt、および600ntのポリAテール長を含むAgilent(商標)インターカレーティング色素処理されたOTC mRNA試料のピークを示すキャピラリー電気泳動図を図12Bに示す。結果は、Agilent(商標)色素処理された試料(図12B)のシグナル強度が、Sybr gold(商標)処理された試料(図12A)よりもはるかに低いことを示す。
【0167】
分析の結果は、100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するOTC mRNAについて、y軸上の観察されたテール長およびx軸上の理論的なテール長のグラフに示される(図13)。結果は、Agilent(商標)色素処理された試料(非常に低い生シグナルからプロットした)、Sybr gold(商標)色素処理された試料、RNase A消化された試料、続くBiorad MW分析および理論的なテール長について示される。
【0168】
図13に見られるように、観察されたテール長は、100ntの長さで過小評価されるが、Agilent(商標)色素処理された試料では200~600ntの間のテール長で過大評価され、全体的に不正確なポリAテール長の測定結果となる。
【0169】
RNase A消化された試料、続くBiorad MW分析は、100ntなどの短いテール長についての理論的なテール長に匹敵する正確なテール長測定を示した。しかしながら、200~600ntの間のテール長で、観察されたテール長は理論的なテール長と比較して過小評価された。
【0170】
Sybr gold(商標)処理された試料は100nt~400ntの間の正確なテール長測定を示した。500nt~600ntなどのより長いテール長は、100nt~600ntの間のテール長についてのRNase A法、続くBiorad MW測定で観察されたものよりも理論的なテール長により密接に対応した。
【実施例6】
【0171】
100ヌクレオチドより大きい長いテール長を有するMMA mRNAのポリAテール長を測定する方法
この実施例は、約100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntの例示的なテール長を有する例示的なMMA mRNA中のポリAテール長を測定する方法を示す。
【0172】
手短に言えば、例示的なMMA mRNA試料を1つまたはそれ以上のリボヌクレアーゼ(RNase)で消化した。この実施例では、一部の実施形態では、RNase Aを使用した。次に、mRNA試料をキャピラリー電気泳動によりアッセイして、mRNAのポリAテール長を決定した。
【0173】
mRNA試料を有機溶媒メタンアミド(ホルムアミド)とともに75℃で約10分間インキュベートした。次に、フラグメントアナライザー機器を用いてmRNA試料を泳動して、CEを行った。このプロセスの間、Sybr Gold色素は、試料を添加し、泳動を開始する前に、ストックの1:10,000希釈でRNA分離ゲルに添加された。その後、色素は、室温で水素結合および疎水性相互作用を介して非共有結合的にmRNA試料に結合した。
【0174】
400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有する未消化対照に対して、Sybr gold(商標)色素処理された試料について100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するポリAテールを含むMMA mRNAのRNase Aゲル分析を図14Aに示す。400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有する未消化対照に対して、Agilent(商標)インターカレーティング色素処理されたCEについて100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するポリAテールを含むMMA mRNAのRNase Aゲル分析を図14Bに示す。
【0175】
400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有する未消化対照に対して、100nt、200nt、300nt、400nt、500nt、および600ntのポリAテール長を含むSybr gold(商標)色素処理されたMMA mRNA試料のピークを示すキャピラリー電気泳動図を図15Aに示す。400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有する未消化対照に対して、100nt、200nt、300nt、400nt、500nt、および600ntのポリAテール長を含むAgilent(商標)インターカレーティング色素処理されたMMA mRNA試料のピークを示すキャピラリー電気泳動図を図15Bに示す。結果は、Agilent(商標)色素処理された試料(図15B)のシグナル強度が、Sybr gold(商標)処理された試料(図15A)よりもはるかに低いことを示す。
【0176】
分析の結果は、100nt、200nt、300nt、400nt、500ntおよび600ntのポリAテール長を有するMMA mRNAについて、y軸上の観察されたテール長およびx軸上の理論的なテール長のグラフに示される(図16)。結果は、Agilent(商標)色素処理された試料(非常に低い生シグナルからプロットした)、Sybr gold(商標)色素処理された試料、RNase A消化された試料、続くBiorad MW分析および理論的なテール長について示される。
【0177】
図16に見られるように、観察されたテール長は、100ntの長さで過小評価されるが、Agilent(商標)色素処理された試料では200~600ntの間のテール長で過大評価され、全体的に不正確なポリAテール長の測定結果となる。
【0178】
RNase A消化された試料、続くBiorad MW分析は、100ntなどの短いテール長についての理論的なテール長に匹敵する正確なテール長測定を示した。しかしながら、200~600ntの間のテール長で、観察されたテール長は理論的なテール長と比較して過小評価された。
【0179】
Sybr gold(商標)処理された試料は100nt~300ntの間の正確なテール長測定を示した。400nt~600ntなどのより長いテール長は、400nt~600ntの間のテール長についてのRNase A法、続くBiorad MW測定で観察されたものよりも理論的なテール長により密接に対応した。
【0180】
本明細書に記載される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。加えて、材料、方法、および実施例は、単に例示的であり、限定することを意図しない。別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されたものと類似または同等の方法および材料が、本発明の実施または試験において使用され得るが、適切な方法および材料が本明細書に記載される。
【0181】
等価物
当業者であれば、日常的な実験でしかないものを使用して、本明細書に記載される本発明の具体的な実施形態の多くの等価物を認識するか、または確認することができるだろう。本発明の範囲は、上記の明細書に限定されることを意図するものではなく、むしろ以下の特許請求の範囲に示される通りである。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14A
図14B
図15A
図15B
図16
【配列表】
2024516227000001.app
【国際調査報告】