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特表2024-516230がんのための治療及び診断方法並びに組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】がんのための治療及び診断方法並びに組成物
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/6869 20180101AFI20240405BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20240405BHJP
   C12Q 1/6827 20180101ALI20240405BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20240405BHJP
   A61K 31/282 20060101ALI20240405BHJP
   C12N 15/09 20060101ALN20240405BHJP
【FI】
C12Q1/6869 Z ZNA
C12Q1/686 Z
C12Q1/6827 Z
C07K16/28
A61P35/00
A61P11/00
A61K39/395 E
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/337
A61K31/282
C12N15/09 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566463
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 US2022026919
(87)【国際公開番号】W WO2022232503
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/182,307
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/226,634
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/256,873
(32)【優先日】2021-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509012625
【氏名又は名称】ジェネンテック, インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】509059941
【氏名又は名称】アイカーン・スクール・オブ・メディシン・アット・マウント・サイナイ
【氏名又は名称原語表記】ICAHN SCHOOL OF MEDICINE AT MOUNT SINAI
【住所又は居所原語表記】One Gustave L.Levy Place,New York,NY 10029 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハマー, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ホロヴィッツ, アミール
【テーマコード(参考)】
4B063
4C084
4C085
4C086
4C206
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA19
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR55
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084NA10
4C084NA13
4C084ZA591
4C084ZA592
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC751
4C085AA13
4C085AA14
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG04
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086MA02
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA10
4C086ZA59
4C086ZB26
4C086ZC75
4C206AA01
4C206AA02
4C206JB16
4C206KA01
4C206MA02
4C206MA04
4C206NA05
4C206ZA59
4C206ZB26
4C206ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA28
(57)【要約】
本発明は、例えばPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)又はNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンを患者に投与することによって、患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療するための方法及び組成物を提供する。患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のための組成物(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)又はNK細胞指向性治療剤、その医薬組成物、そのキット、及びその製造品)も提供される。また、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)又はNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)患者を同定するための方法も提供される。また、がん患者の治療法を選択するための方法も提供される。
【選択図】図3A及び3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、非小細胞肺がん(NSCLC)の治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法。
【請求項2】
患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法。
【請求項4】
ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法。
【請求項5】
患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法。
【請求項7】
NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、
(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;
(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することと
を含む、方法。
【請求項8】
工程(a)が、患者のゲノムがKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、
(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;
(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することと
を含む、方法。
【請求項10】
NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、
(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;
(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することと
を含む、方法。
【請求項11】
工程(a)が、患者のゲノムがKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、
(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;
(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することと
を含む、方法。
【請求項13】
PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法であって、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む、方法。
【請求項14】
PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法であって、
(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列全ゲノム配列決定(WGS)又は全エクソーム配列決定(WES)を実施することとと;
(b)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することと
を含む、方法。
【請求項15】
患者のゲノムがKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法であって、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む、方法。
【請求項17】
PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法であって、
(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;
(b)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することと
を含む、方法。
【請求項18】
PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法であって、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む、方法。
【請求項19】
PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法であって、
(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;
(b)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することと
を含む、方法。
【請求項20】
患者のゲノムがKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法であって、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む、方法。
【請求項22】
PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法であって、
(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;
(b)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することと
を含む、方法。
【請求項23】
NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法であって、
(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;
(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することと
を含む、方法。
【請求項24】
患者のゲノムがKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法であって、
(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;
(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することと
を含む、方法。
【請求項26】
NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法であって、
(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;
(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することと
を含む、方法。
【請求項27】
患者のゲノムがKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法であって、
(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;
(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することと
を含む、方法。
【請求項29】
PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することをさらに含む、請求項13から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
次世代配列決定、サンガー配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイ、又は一塩基多型(SNP)アレイを用いて、患者のゲノムにおけるHLA-C1、HLA-Bw4、KIR2DL3、及び/又はKIR3DL1の存在が決定される、請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
次世代配列決定が、生殖細胞系列全ゲノム配列決定又は生殖細胞系列全エクソーム配列決定を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
PCRに基づくアッセイが、定量的PCR(qPCR)、配列特異的プライマー(SSP)を用いたタイピング、又は配列特異的オリゴヌクレオチドプローブ(SSO)を用いたタイピングを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
ナチュラルキラー(NK)細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法。
【請求項34】
NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、
(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;
(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することと
を含む、方法。
【請求項35】
PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法であって、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することを含む、方法。
【請求項36】
PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法であって、
(a)患者から得られた腫瘍サンプルを、1つ又は複数のNK細胞マーカーに結合する1つ又は複数の抗体又はヌクレオチドプローブと接触させて、腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルを決定することと;
(b)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと
を含む、方法。
【請求項37】
NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法であって、
(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;
(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することと
を含む、方法。
【請求項38】
PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することをさらに含む、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
NK細胞浸潤のレベルが、NK細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定することによって、又は腫瘍サンプル中のNK細胞の数をカウントすることによって決定される、請求項33から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
NK細胞遺伝子シグネチャーが以下の遺伝子:CD160、CD244、CTSW、FASLG、GZMA、GZMB、GZMH、IL18RAP、IL2RB、KIR2DL4、KLRB1、KLRC3、KLRD1、KRLF1、KLRK1、NCR1、NKG7、PRF1、XCL1、及びXCL2のうちの1つ又は複数を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
NK細胞遺伝子シグネチャーが、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、又は20個全ての遺伝子を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
NK細胞浸潤の基準レベルが中央値レベルである、請求項33から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
中央値レベルが、NSCLC患者の集団の中央値レベルである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
利益が、全生存期間(OS)の改善又は無増悪生存期間(PFS)の改善に関する、請求項7から32及び34から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
利益が、OSの改善に関する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
利益が、PFSの改善に関する、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
改善が、PD-1軸結合アンタゴニストを含まない治療レジメンによる治療に対するものである、請求項44から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
NSCLCが非扁平上皮NSCLC又は扁平上皮NSCLCである、請求項1から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
NSCLCが非扁平上皮NSCLCである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
非扁平上皮NSCLCが転移性非扁平上皮NSCLCである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
NSCLCが扁平上皮NSCLCである、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
扁平上皮NSCLCが転移性扁平上皮NSCLCである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
患者が化学療法未経験である、請求項1から52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
治療レジメンが第一選択治療レジメンである、請求項1から53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト、及びPD-L2結合アンタゴニストから選択される、請求項1から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
PD-1軸結合アンタゴニストが、PD-L1結合アンタゴニストである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記PD-L1結合アンタゴニストが、抗PD-L1抗体である、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
抗PD-L1抗体が、(a)それぞれ、GFTFSDSWIH(配列番号3)、AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号4)及びRHWPGGFDY(配列番号5)の超可変領域(HVR)-H1、HVR-H2及びHVR-H3配列と、(b)それぞれ、RASQDVSTAVA(配列番号6)、SASFLYS(配列番号7)及びQQYLYHPAT(配列番号8)のHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3配列とを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
抗PD-L1抗体が、
(a)アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号9)を含むVHと、
(b)アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号10)を含むVLと
を含む、請求項57又は58に記載の方法。
【請求項60】
抗PD-L1抗体が、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、又はMDX-1105である、請求項57に記載の方法。
【請求項61】
抗PD-L1抗体がアテゾリズマブである、請求項57から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
抗PD-L1抗体が静脈内又は皮下投与される、請求項57から61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
アテゾリズマブが、840mgの用量で2週間ごとに静脈内投与される、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
アテゾリズマブが、1200mgの用量で3週間ごとに静脈内投与される、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
アテゾリズマブが、1680mgの用量で4週間ごとに静脈内投与される、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
PD-1軸結合アンタゴニストがPD-1結合アンタゴニストである、請求項55に記載の方法。
【請求項67】
PD-1結合アンタゴニストが抗PD-1抗体である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
抗PD-1抗体が、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MEDI-0680、スパルタリズマブ、セミプリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、又はドスタルリマブである、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
治療レジメンがタキサンをさらに含む、請求項1から68のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
タキサンがnab-パクリタキセル又はパクリタキセルである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
タキサンがnab-パクリタキセルである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
タキサンがパクリタキセルである、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
治療レジメンが、白金系化学療法剤をさらに含む、請求項1から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
白金系化学療法剤がカルボプラチンである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
治療レジメンが抗血管新生剤をさらに含む、請求項1から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
抗血管新生剤が抗VEGF抗体である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
抗VEGF抗体がベバシズマブである、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
NSCLCが転移性非扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンが、アテゾリズマブ、nab-パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む、請求項1から50及び53から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
アテゾリズマブが、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量で静脈内(IV)注入として投与され;nab-パクリタキセルが、各21日サイクルの1日目、8日目及び15日目に100mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンが、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分の濃度曲線下面積(AUC)で投与される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
NSCLCが転移性非扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンが、アテゾリズマブ、パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む、請求項1から50及び53から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項81】
アテゾリズマブが、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量でIV注入として投与され;パクリタキセルが、各21日サイクルの1日目に200mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンが、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分のAUCで投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
NSCLCが転移性非扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンが、アテゾリズマブ、ベバシズマブ、パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む、請求項1から50及び53から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
アテゾリズマブが、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量でIV注入として投与され;ベバシズマブが、各21日サイクルの1日目に15mg/kgの用量でIV注入として投与され;パクリタキセルが、各21日サイクルの1日目に200mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンが、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分のAUCで投与される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
NSCLCが転移性扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンが、アテゾリズマブ、nab-パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む、請求項1から48及び51から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
アテゾリズマブが、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量でIV注入として投与され;nab-パクリタキセルが、各21日サイクルの1日目、8日目及び15日目に100mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンが、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分の濃度曲線下面積(AUC)で投与される、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
NSCLCが転移性扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンが、アテゾリズマブ、パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む、請求項1から48及び51から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
アテゾリズマブが、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量でIV注入として投与され;パクリタキセルが、各21日サイクルの1日目、8日目及び15日目に175mg/m又は200mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンが、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分のAUCで投与される、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
追加の治療剤を患者に投与することをさらに含む、請求項1から87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
追加の治療剤が、免疫療法剤、細胞傷害性剤、成長阻害剤、放射線療法剤、抗血管新生剤及びこれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項91】
患者のゲノムがKIR2DL3の少なくとも1コピーをさらに含む、請求項90に記載の使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項92】
ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項93】
ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項94】
患者のゲノムがKIR3DL1の少なくとも1コピーをさらに含む、請求項93に記載の使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項95】
ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項96】
NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストであって、方法が、
(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;
(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することと
を含む、使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項97】
工程(a)が、患者のゲノムがKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む、請求項96に記載の使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項98】
NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストであって、方法が、
(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;
(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することと
を含む、使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項99】
NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストであって、方法が、
(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;
(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することと
を含む、使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項100】
工程(a)が、患者のゲノムがKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む、請求項99に記載の使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項101】
NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストであって、方法が、
(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;
(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することと
を含む、使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項102】
NK細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療に使用するためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項103】
NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストであって、方法が、
(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;
(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することと
を含む、使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト。
【請求項104】
ゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失していると決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのNK細胞指向性治療剤。
【請求項105】
NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法における使用のためのNK細胞指向性治療剤であって、方法が、
(a)患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、患者がNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することと;
(b)患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することと
を含む、NK細胞指向性治療剤。
【請求項106】
PD-1軸結合アンタゴニストと、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品。
【請求項107】
患者のゲノムがKIR2DL3の少なくとも1コピーをさらに含む、請求項106に記載の製造品。
【請求項108】
PD-1軸結合アンタゴニストと、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品。
【請求項109】
PD-1軸結合アンタゴニストと、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品。
【請求項110】
患者のゲノムがKIR3DL1の少なくとも1コピーをさらに含む、請求項109に記載の製造品。
【請求項111】
PD-1軸結合アンタゴニストと、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品。
【請求項112】
PD-1軸結合アンタゴニストと、ナチュラルキラー(NK)細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品。
【請求項113】
NK細胞指向性治療剤と、ゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失していると決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのNK細胞指向性治療剤を投与するための指示書とを含む製造品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、参照によりその全体が本明細書に援用される。2022年04月27日に作成された前記ASCIIコピーの名称は50474-256WO4_Sequence_Listing_4_28_22_ST25であり、サイズは9,636バイトである。
【0002】
技術分野
本発明は、例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び/又はNK細胞指向性治療剤を単独で、又はタキサン(例えば、nab-パクリタキセル又はパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、及び/又は抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブ)と組み合わせて患者に投与することによる、患者におけるがん(例えば、非小細胞肺がん(NSCLC)の治療及び診断における使用のための方法及び組成物に関連する。
【背景技術】
【0003】
がんは、依然としてヒトの健康に対する最も致命的な脅威のうちの1つである。米国では、毎年約130万人の患者が新たにがんに罹患しており、がんは心疾患に次いで2番目の死因であり、死亡の約4件の1を占めている。固形腫瘍が、これらの死亡の大部分の原因である。例えば、肺がんは世界中でがん死の主な原因である。2014年の米国における肺がんの新規患者数は224,210人(男性116,000人及び女性108,210人)、死亡者数は159,260人と推定された。ヨーロッパの同様のデータによると、2012年の肺がんの新規患者数は214,000人、死亡者数は268,000人であったと推定されている。NSCLCは2大肺がんの1つで、肺がん全体の約85%を占める。NSCLCの2つの主な組織型は、症例の半数以上を占める腺癌と、症例の約25%を占める扁平上皮癌である。
【0004】
したがって、当該技術分野では、がん(例えば、NSCLC)に対する改善された治療法が必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、特に、がんの治療及び診断のための方法、使用のための組成物、用途、及び製造品を提供する。
【0006】
一態様では、本発明は、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、非小細胞肺がん(NSCLC)の治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む方法を特徴とする。
【0007】
別の態様では、本発明は、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストを特徴とする。
【0008】
いくつかの態様では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む方法を特徴とする。
【0010】
別の態様では、本発明は、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストを特徴とする。
【0011】
別の態様では、本発明は、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む方法を特徴とする。
【0012】
別の態様では、本発明は、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストを特徴とする。
【0013】
いくつかの態様では、患者のゲノムは、KIR3DL1の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0014】
別の態様では、本発明は、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む方法を特徴とする。
【0015】
別の態様では、本発明は、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストを特徴とする。
【0016】
別の態様では、本発明は、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法を特徴とする。
【0017】
別の態様では、本発明は、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストを特徴とし、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0018】
いくつかの態様では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0019】
別の態様では、本発明は、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法を特徴とする。
【0020】
別の態様では、本発明は、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストを特徴とし、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0021】
別の態様では、本発明は、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法を特徴とする。
【0022】
別の態様では、本発明は、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストを特徴とし、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0023】
いくつかの態様では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0024】
別の態様では、本発明は、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法を特徴とする。
【0025】
別の態様では、本発明は、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストを特徴とし、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0026】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法を特徴とし、この方法は、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。
【0027】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列全ゲノム配列決定(WGS)又は全エクソーム配列決定(WES)を実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。
【0028】
いくつかの態様では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0029】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法を特徴とし、この方法は、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。
【0030】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。
【0031】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法を特徴とし、この方法は、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。
【0032】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。
【0033】
いくつかの態様では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0034】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法を特徴とし、この方法は、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。
【0035】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。
【0036】
別の態様では、本発明は、NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法を特徴とし、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0037】
いくつかの態様では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0038】
別の態様では、本発明は、NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法を特徴とし、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0039】
別の態様では、本発明は、NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法を特徴とし、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0040】
いくつかの態様では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0041】
別の態様では、本発明は、NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法を特徴とし、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0042】
いくつかの態様では、本方法は、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することをさらに含む。
【0043】
いくつかの態様では、本方法は、次世代配列決定、サンガー配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイ、又は一塩基多型(SNP)アレイを用いて、患者のゲノムにおけるHLA-C1、HLA-Bw4、KIR2DL3、及び/又はKIR3DL1の存在を決定することを含む。
【0044】
いくつかの態様では、本方法は、生殖細胞系列全ゲノム配列決定又は生殖細胞系列全エクソーム配列決定を含む次世代配列決定をさらに含む。
【0045】
いくつかの態様では、本方法は、定量的PCR(qPCR)、配列特異的プライマー(SSP)を用いたタイピング、又は配列特異的オリゴヌクレオチドプローブ(SSO)を用いたタイピングを含む、PCRに基づくアッセイをさらに含む。
【0046】
別の態様では、本発明は、ナチュラルキラー(NK)細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法を特徴とする。
【0047】
別の態様では、本発明は、NK細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療に使用するためのPD-1軸結合アンタゴニストを特徴とする。
【0048】
別の態様では、本発明は、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法を特徴とし、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0049】
別の態様では、本発明は、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストを特徴とし、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0050】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法を特徴とし、この方法は、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することを含む。
【0051】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得るNSCLCを有する患者を同定する方法を特徴とし、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルを、1つ又は複数のNK細胞マーカーに結合する1つ又は複数の抗体又はヌクレオチドプローブと接触させて、腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルを決定することと;(b)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することとを含む。
【0052】
別の態様では、本発明は、NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法を特徴とし、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0053】
いくつかの態様では、本方法は、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することをさらに含む。
【0054】
いくつかの態様では、NK細胞浸潤のレベルは、NK細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定することによって、又は腫瘍サンプル中のNK細胞の数をカウントすることによって決定される。
【0055】
いくつかの態様では、NK細胞遺伝子シグネチャーは以下の遺伝子のうちの1つ又は複数を含む:CD160、CD244、CTSW、FASLG、GZMA、GZMB、GZMH、IL18RAP、IL2RB、KIR2DL4、KLRB1、KLRC3、KLRD1、KRLF1、KLRK1、NCR1、NKG7、PRF1、XCL1、及びXCL2。
【0056】
いくつかの態様では、NK細胞遺伝子シグネチャーは、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、又は20個全ての遺伝子を含む。
【0057】
いくつかの態様では、NK細胞浸潤の基準レベルは中央値レベルである。
【0058】
いくつかの態様では、中央値レベルは、NSCLC患者の集団の中央値レベルである。
【0059】
いくつかの態様では、利益は全生存期間(OS)の改善又は無増悪生存期間(PFS)の改善に関する。
【0060】
いくつかの態様では、利益はOSの改善に関する。
【0061】
いくつかの態様では、利益はPFSの改善に関する。
【0062】
いくつかの態様では、改善は、PD-1軸結合アンタゴニストを含まない治療レジメンによる治療に対するものである。
【0063】
いくつかの態様では、NSCLCは非扁平上皮NSCLC又は扁平上皮NSCLCである。
【0064】
いくつかの態様では、NSCLCは非扁平上皮NSCLCである。
【0065】
いくつかの態様では、非扁平上皮NSCLCは、転移性非扁平上皮NSCLCである。
【0066】
いくつかの態様では、NSCLCは扁平上皮NSCLCである。
【0067】
いくつかの態様では、扁平上皮NSCLCは、転移性扁平上皮NSCLCである。
【0068】
いくつかの態様では、患者は化学療法未経験である。
【0069】
いくつかの態様では、治療レジメンは第一選択治療レジメンである。
【0070】
いくつかの態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト及びPD-L2結合アンタゴニストから選択される。
【0071】
いくつかの態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニストである。
【0072】
いくつかの態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体である。
【0073】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、(a)それぞれ、GFTFSDSWIH(配列番号3)、AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号4)及びRHWPGGFDY(配列番号5)の超可変領域(HVR)-H1、HVR-H2及びHVR-H3配列と、(b)それぞれ、RASQDVSTAVA(配列番号6)、SASFLYS(配列番号7)及びQQYLYHPAT(配列番号8)のHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3配列とを含む。
【0074】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、(a)アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS (配列番号9)を含むVHと、(b)アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR(配列番号10)を含むVLとを含む。
【0075】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ又はMDX-1105である。
【0076】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体はアテゾリズマブである。
【0077】
いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、静脈内又は皮下投与される。
【0078】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは、840mgの用量で2週毎に静脈内投与される。
【0079】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは、1200mgの用量で3週毎に静脈内投与される。
【0080】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは、1680mgの用量で4週毎に静脈内投与される。
【0081】
いくつかの態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニストである。
【0082】
いくつかの態様では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体である。
【0083】
いくつかの態様では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MEDI-0680、スパルタリズマブ、セミプリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ又はドスタルリマブである。
【0084】
ある態様では、治療レジメンはタキサンをさらに含む。
【0085】
いくつかの態様では、タキサンは、nab-パクリタキセル又はパクリタキセルである。
【0086】
いくつかの態様では、タキサンはnab-パクリタキセルである。
【0087】
いくつかの態様では、タキサンはパクリタキセルである。
【0088】
ある態様では、治療レジメンは白金系化学療法剤をさらに含む。
【0089】
いくつかの態様では、白金系化学療法剤はカルボプラチンである。
【0090】
いくつかの態様では、治療レジメンは、抗血管新生剤をさらに含む。
【0091】
いくつかの態様では、抗血管新生剤は抗VEGF抗体である。
【0092】
いくつかの態様では、抗VEGF抗体は、ベバシズマブである。
【0093】
いくつかの態様では、NSCLCは転移性非扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンは、アテゾリズマブ、nab-パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む。
【0094】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量で静脈内(IV)注入として投与され;nab-パクリタキセルは、各21日サイクルの1日目、8日目及び15日目に100mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンは、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分の濃度曲線下面積(AUC)で投与される。
【0095】
いくつかの態様では、NSCLCは転移性非扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンはアテゾリズマブ、パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む。
【0096】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量でIV注入として投与され;パクリタキセルは、各21日サイクルの1日目に200mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンは、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分のAUCで投与される。
【0097】
いくつかの態様では、NSCLCは転移性非扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンは、アテゾリズマブ、ベバシズマブ、パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む。
【0098】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量でIV注入として投与され;ベバシズマブは各21日サイクルの1日目に15mg/kgの用量でIV注入として投与され;パクリタキセルは、各21日サイクルの1日目に200mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンは、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分のAUCで投与される。
【0099】
いくつかの態様では、NSCLCは転移性扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンは、アテゾリズマブ、nab-パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む。
【0100】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量でIV注入として投与され;nab-パクリタキセルは、各21日サイクルの1日目、8日目及び15日目に100mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンは、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分の濃度曲線下面積(AUC)で投与される。
【0101】
いくつかの態様では、NSCLCは転移性扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンはアテゾリズマブ、パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む。
【0102】
いくつかの態様では、アテゾリズマブは、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量でIV注入として投与され;パクリタキセルは、各21日サイクルの1日目、8日目及び15日目に175mg/m又は200mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンは、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分のAUCで投与される。
【0103】
いくつかの態様では、方法は、追加の治療剤を患者に投与することをさらに含む。
【0104】
いくつかの態様では、追加の治療剤は、免疫療法剤、細胞傷害性薬剤、成長阻害剤、放射線療法剤、抗血管新生剤、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される。
【0105】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストと、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品を特徴とする。
【0106】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストと、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品を特徴とする。
【0107】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストと、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品を特徴とする。
【0108】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストと、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品を特徴とする。
【0109】
別の態様では、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストと、ナチュラルキラー(NK)細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品を特徴とする。
【0110】
別の態様では、本発明は、NK細胞指向性治療剤と、ゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失していると決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのNK細胞指向性治療剤を投与するための指示書とを含む製造品を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0111】
図1A】IMpower130、IMpower131、又はIMpower150臨床試験において、対照と比較した、ヒト白血球抗原(HLA)対立遺伝子HLA-C1及びキラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)遺伝子KIR2DL3をそれぞれ少なくとも1コピーずつ保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療された非小細胞肺がん(NSCLC)患者の全生存期間(OS)ハザード比(HR)を示すプロットである。治療効果(TE)、TEの標準誤差(seTE)、P値、重み(固定及びランダム)の推定値を示す。固定効果モデル及びランダム効果モデルを示す。
図1B】IMpower130、IMpower131、又はIMpower150臨床試験において、対照と比較した、HLA-C1及びKIR2DL3をそれぞれ少なくとも1コピーずつ保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたNSCLC患者の無増悪生存期間(PFS)HRを示すプロットである。
図2A】IMpower130、IMpower131、又はIMpower150臨床試験において、対照と比較した、HLA対立遺伝子HLA-Bw4及びKIR遺伝子KIR3DL1をそれぞれ少なくとも1コピーずつ保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたNSCLC患者のOS HRを示すプロットである。
図2B】IMpower130、IMpower131、又はIMpower150臨床試験において、対照と比較した、HLA-Bw4及びKIR3DL1をそれぞれ少なくとも1コピーずつ保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたNSCLC患者のPFS HRを示すプロットである。
図3A】IMpower130、IMpower131、又はIMpower150臨床試験において、対照と比較した、HLA-C1を少なくとも1コピー保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたNSCLC患者のOS HRを示すプロットである。
図3B】IMpower130、IMpower131、又はIMpower150臨床試験において、対照と比較した、HLA-C1を少なくとも1コピー保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたNSCLC患者のPFS HRを示すプロットである。
図4A】IMpower130、IMpower131、又はIMpower150臨床試験において、対照と比較した、HLA-Bw4を少なくとも1コピー保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたNSCLC患者のOS HRを示すプロットである。
図4B】IMpower130、IMpower131、又はIMpower150臨床試験において、対照と比較した、HLA-Bw4を少なくとも1コピー保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたNSCLC患者のPFS HRを示すプロットである。
図5A】Chowell et al.のデータ(例えば実施例1dを参照)又はMSK-IMPACT(例えば、Zehir et al. Nat. Med. 23:703-713, 2017を参照)において、対照と比較した、HLA-Bw4を少なくとも1コピー保有するとともに免疫チェックポイント遮断(ICB)を含む療法で治療されたNSCLC及び黒色腫患者のOS HRを示すプロットである。
図5B】Chowell et al.のデータ(例えば実施例1dを参照)又はMSK-IMPACTにおいて、対照と比較した、HLA-C1を少なくとも1コピー保有するとともに免疫チェックポイント遮断(ICB)を含む療法で治療されたNSCLC及び黒色腫患者のOS HRを示すプロットである。
図6A】IMpower131又はIMpower150臨床試験において、対照と比較した、中央値を超えるナチュラルキラー(NK)細胞スコアを有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたNSCLC患者のOS HRを示すプロットである。
図6B】IMpower131又はIMpower150臨床試験において、対照と比較した、中央値を超えるNK細胞スコアを有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたNSCLC患者のOS HRを示すプロットである。
図7A】列挙した臨床試験において、対照と比較した、中央値を超えるNK細胞スコアを有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療された患者のOS HRを示すプロットである。
図7B】列挙した臨床試験において、対照と比較した、中央値を超えるCD8Aレベルを有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療された患者のOS HRを示すプロットである。
図8A】IMmotion151臨床試験において、対照と比較した、HLA-C1及びKIR2DL3をそれぞれ少なくとも1コピーずつ保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療された腎細胞癌(RCC)患者のOS HRを示すプロットである。
図8B】IMmotion151臨床試験において、対照と比較した、HLA-C1及びKIR2DL3をそれぞれ少なくとも1コピーずつ保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたRCC患者のPFS HRを示すプロットである。
図9A】IMmotion151臨床試験において、対照と比較した、HLA-Bw4及びKIR3DL1をそれぞれ少なくとも1コピーずつ保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたRCC患者のOS HRを示すプロットである。
図9B】IMmotion151臨床試験において、対照と比較した、HLA-Bw4及びKIR3DL1をそれぞれ少なくとも1コピーずつ保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたRCC患者のPFS HRを示すプロットである。
図10A】IMmotion151臨床試験において、対照と比較した、HLA-C1を少なくとも1コピー保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたRCC患者のOS HRを示すプロットである。
図10B】IMmotion151臨床試験において、対照と比較した、HLA-C1を少なくとも1コピー保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたRCC患者のPFS HRを示すプロットである。
図11A】IMmotion151臨床試験において、対照と比較した、HLA-Bw4を少なくとも1コピー保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたRCC患者のOS HRを示すプロットである。
図11B】IMmotion151臨床試験において、対照と比較した、HLA-Bw4を少なくとも1コピー保有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたRCC患者のPFS HRを示すプロットである。
図12A】IMmotion150又はIMmotion151臨床試験において、対照と比較した、中央値を超えるNK細胞スコアを有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたRCC患者のOS HRを示すプロットである。
図12B】IMmotion150又はIMmotion151臨床試験において、対照と比較した、中央値を超えるNK細胞スコアを有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたRCC患者のPFS HRを示すプロットである。
図13A】IMmotion150又はIMmotion151臨床試験において、対照と比較した、中央値を超えるCD8Aレベルを有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたRCC患者のOS HRを示すプロットである。
図13B】IMmotion150又はIMmotion151臨床試験において、対照と比較した、中央値を超えるCD8Aレベルを有するとともにアテゾリズマブを含む療法で治療されたRCC患者のPFS HRを示すプロットである。
図14】示されたコホートにおいて、HLAクラスII対立遺伝子HLA-DRB1*15:01有するとともに免疫チェックポイント阻害剤(ICI)で治療された患者におけるICI関連肺炎のリスクを示すプロットである。GNEは Genentech;PICIはParker Institute for Cancer Immunotherapy;PMCはPeter MacCallum Cancer Centre;ORはオッズ比;CIは信頼区間;Wは重み。
図15】HLAクラスIのヘテロ接合性の消失(LOH)が転帰と関連していないことを示す、示されたコホートのOS HRを示すプロットである。このプロットは、示された試験のアテゾリズマブ群におけるクラスI LOHの有無を示している。
図16】TMBがLOHの転帰への影響を修正しないことを示す一連のプロットである。
図17】クラスI LOHがCD8A発現の低下と関連していることを示すプロットである。このプロットは、示された試験のアテゾリズマブ群におけるクラスI LOHの有無を示している。
図18】HLAクラスII LOHが不良転帰と関連していることを示す、示されたコホートのOS HRを示すプロットである。このプロットは、示された試験のアテゾリズマブ群におけるクラスII LOHの有無を示している。
【発明を実施するための形態】
【0112】
本発明は、がん、例えば、肺がん(例えば、NSCLC(例えば、非扁平上皮NSCLC若しくは扁平上皮NSCLC))又は腎がん(例えば、RCC)の治療及び診断方法並びに組成物を提供する。本発明は、少なくとも部分的には、患者のゲノムにおける特定のヒト白血球抗原遺伝子(例えば、HLA-C1若しくはHLA-Bw4)及び/又はキラー細胞免疫グロブリン様受容体遺伝子(例えば、KIR2DL3若しくはKIR3DL1)の存在が、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンからの治療利益の改善に関連するという、本明細書に記載される発見に基づいている。本発明はまた、少なくとも部分的には、患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤の上昇が、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンからの治療利益の改善に関連するという、本明細書に記載の発見に基づいている。本発明はまた、少なくとも部分的には、KIR2DL3又はKIR3DL1の1つ又は複数が欠失しているゲノムを有する患者が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得るという本明細書に記載の発見に基づいている。
【0113】
I.定義
以下の略語が本明細書で使用される:
【0114】
「ヒト白血球抗原C」及び「HLA-C」という用語は、HLAクラスI重鎖遺伝子を指す。クラスI分子は、細胞質タンパク質に由来するペプチドを提示することにより免疫系において中心的な役割を果たしており、ほぼすべての細胞に発現している。HLA-C受容体は、成熟HLA-C遺伝子産物重鎖とβ2-ミクログロブリン軽鎖とを含むヘテロ二量体である。重鎖は約45kDaで、その遺伝子には8つのエクソンが含まれる。通常、エクソン1はリーダーペプチドをコードし、エクソン2及び3はα-1ドメイン及びα-2ドメイン(どちらもペプチドと結合する)をコードし、エクソン4はα-3ドメインをコードし、エクソン5は膜貫通領域をコードし、エクソン6及び7は細胞質尾部をコードする。エクソン2及びエクソン3内の多型は、一般的に各クラスI分子のペプチド結合特異性の原因となっている。約6,600のHLA-C対立遺伝子が報告されている。HLA-C対立遺伝子はHLA-C1群及びHLA-C2群に分類される。HLA-Cに関する追加情報は、例えばUniProt受託番号P10321に記載されている。
【0115】
「HLA-C1」という用語は、α-1ドメインの80位におけるアスパラギン(Asn)残基を典型的な特徴とするHLA-C遺伝子対立遺伝子群を指す。例示的なHLA-C1対立遺伝子には、限定されないが、以下が含まれる:Cw*0102、Cw*0103、Cw*0104、Cw*0105、Cw*0302、Cw*0303、Cw*0304、Cw*0305、Cw*0306、Cw*0308、Cw*0309、Cw*0310、Cw*0311、Cw*0312、Cw*0313、Cw*0314、Cw*0701、Cw*0702、Cw*0703、Cw*0704、Cw*0705、Cw*0706、Cw*0708、Cw*0710、Cw*0711、Cw*0712、Cw*0713、Cw*0714、Cw*0715、Cw*0801、Cw*0802、Cw*0803、Cw*0804、Cw*0805、Cw*0806、Cw*0807、Cw*0808、Cw*0809、Cw*1202、Cw*1203、Cw*1206、Cw*1208、Cw*1301、Cw*1402、Cw*1403、Cw*1405、Cw*1507、Cw*1601、及びCw*1604。他のHLA-C1対立遺伝子が当該技術分野で知られている。例えば、IPD-IMGT/HLAデータベース(ebi.ac.uk/ipd/imgt/hla)を参照のこと。
【0116】
「HLA-C2」という用語は、α-1ドメインの80位におけるリジン(Lys)残基を典型的な特徴とするHLA-C遺伝子対立遺伝子群を指す。例示的なHLA-C2対立遺伝子には、限定されないが、以下が含まれる:Cw*0202、Cw*0203、Cw*0204、Cw*0205、Cw*0307、Cw*0401、Cw*0403、Cw*0404、Cw*0405、Cw*0406、Cw*0407、Cw*0408、Cw*0501、Cw*0502、Cw*0503、Cw*0504、Cw*0602、Cw*0603、Cw*0604、Cw*0605、Cw*0606、Cw*0607、Cw*0707、Cw*0709、Cw*1204、Cw*1205、Cw*1207、Cw*1404、Cw*1502、Cw*1503、Cw*1504、Cw*1505、Cw*1506、Cw*1508、Cw*1509、Cw*1510、Cw*1511、Cw*1602、Cw*1701、Cw*1702、Cw*1703、Cw*1801、及びCw*1802。他のHLA-C2対立遺伝子が当該技術分野で知られている。例えば、IPD-IMGT/HLAデータベースを参照のこと。
【0117】
「HLA-B」という用語は、HLAクラスI重鎖遺伝子を指す。HLA-B受容体は、成熟HLA-B遺伝子産物重鎖とβ2-ミクログロブリン軽鎖とを含むヘテロ二量体である。重鎖は約45kDaで、その遺伝子には8つのエクソンが含まれる。通常、エクソン1はリーダーペプチドをコードし、エクソン2及び3はα-1ドメイン及びα-2ドメイン(どちらもペプチドと結合する)をコードし、エクソン4はα-3ドメインをコードし、エクソン5は膜貫通領域をコードし、エクソン6及び7は細胞質尾部をコードする。エクソン2及びエクソン3内の多型は、一般的に各クラスI分子のペプチド結合特異性の原因となっている。HLA-Bに関する追加情報は、例えばUniProt Accession No.P01889に記載されている。Bw4又はBw6エピトープのいずれかは、事実上すべてのHLA-B分子によって発現する。Bw4はまた、いくつかのHLA-Aタンパク質(例えば、HLA-A*24:02、-A*32:01、及び-A*23:01)上にも見出される。
【0118】
「HLA-Bw4」という用語は、α-1ヘリックス内のBw4エピトープを特徴とするクラスI HLA対立遺伝子群を指す。Bw4エピトープは通常、α-1ヘリックス内の5つの残基(すなわち77、80、81、82、83位)によって定義され、血清学的にBw6エピトープと区別される。HLA-B*57:01又はHLA-B*15:13のようなHLA-Bw4分子は、Asn77、Ile80、Ala81、Leu82、及びArg83の存在を特徴とする。Bw4配列の残基82及び83は保存されているが、残りの残基は8つの異なるBw4モチーフを作成するために変化し得る。本明細書で使用される場合、この用語は、Bw4エピトープを含むHLA-B又はHLA-A分子を含む。
【0119】
「キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL3」及び「KIR2DL3」という用語は、別途記載のない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然KIR2DL3を指す。この用語は、「完全長」、未処理のKIR2DL3だけでなく、細胞内でのプロセシングから生じる任意の形態のKIR2DL3も包含する。この用語は、天然に存在するKIR2DL3のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。KIR2DL3は、HLA-C分子(例えばHLA-C1分子)と特定のHLA-B分子を認識する抑制性KIR遺伝子である(例えば、Pende et al. Front. Immunol. doi: 10.3389/fimmu.2019.01179, 2019を参照)。KIR2DL3は、CD158抗原様ファミリーメンバーB2、KIR-023GB、キラー抑制性受容体cl2-3、NKAT2a、NKAT2b、ナチュラルキラー関連転写物2、p58ナチュラルキラー細胞受容体クローンCL-6、p58.2 MHCクラスI特異的NK受容体、及びCD158b2としても当該技術分野で知られている。ヒトKIR2DL3に関する追加情報は、NCBI Gene ID: 3804にある。例示的なヒトKIR2DL3の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_015868.3に示されている。例示的なヒトKIR2DL3遺伝子によってコードされるアミノ酸配列は、UniProt受託番号P43628-1の下に示されている。
【0120】
「キラー細胞免疫グロブリン様受容体3DL1」及び「KIR3DL1」という用語は、別途記載のない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)などの哺乳動物を含む任意の脊椎動物源からの任意の天然KIR3DL1を指す。この用語は、「完全長」、未処理のKIR3DL1だけでなく、細胞内でのプロセシングから生じる任意の形態のKIR3DL1も包含する。この用語は、天然に存在するKIR3DL1のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。KIR3DL1は、HLA-B分子(例えばHLA-Bw4分子)及び一部のHLA-A Bw4アロタイプを認識する抑制性KIR遺伝子である。KIR3DL1は、CD158抗原様ファミリーメンバーE、HLA-BW4特異的抑制性NK細胞受容体、ナチュラルキラー関連転写物3(NKAT-3)、p70ナチュラルキラー細胞受容体クローンCL-2/CL-11、及びCD158eとしても当該技術分野で知られている。ヒトKIR3DL1に関する追加情報は、NCBI Gene ID: 3811にある。例示的なヒトKIR3DL1の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_013289.3に示されている。例示的なヒトKIR3DL1遺伝子によってコードされるアミノ酸配列は、UniProt受託番号P43629-1の下に示されている。
【0121】
「ナチュラルキラー細胞」及び「NK細胞」という用語は、がん細胞などを検出及び排除することができる、自然免疫系のリンパ球の一種を指す。NK細胞には、例えば、NK細胞の大部分を構成するとともに、骨髄、二次リンパ組織、肝臓及び皮膚にみられる、CD56bright(CD56highとも呼ばれる)細胞と、主に末梢血系にみられるとともに細胞傷害能を特徴とするCD56dim(CD56lowとも呼ばれる)細胞が含まれる。CD56dimNK細胞は、典型的にはCD16陽性であり、CD56dimCD16brightNK細胞と呼ばれる場合があり、CD56bright細胞は、CD16を獲得することによりCD56dim細胞へ移行し得る。
【0122】
「PD-1軸結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1シグナル伝達軸上のシグナル伝達に起因するT細胞機能障害を除去するようにPD-1軸結合パートナーの、その結合パートナーの1つ又は複数のいずれかとの相互作用を阻害し、その結果、T細胞機能(例えば、増殖、サイトカイン産生及び/又は標的細胞死滅)を回復又は増強する分子を指す。本明細書で使用される場合、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト及びPD-L2結合アンタゴニストを含む。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト又はPD-1結合アンタゴニストを含む好ましい態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニストである。
【0123】
「PD-L1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-L1と、PD-1及び/又はB7-1といったその結合パートナーのいずれか1つ又は複数との相互作用に起因するシグナル伝達を、低減、遮断、阻害、抑止、又は妨害する分子を指す。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、その結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、PD-1及び/又はB7-1への結合を阻害する。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、並びにPD-L1の、PD-1及び/又はB7-1といったその結合パートナーのうちの1つ又は複数との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止、又は妨害する分子を含む。一例では、PD-L1結合アンタゴニストは、機能不全のT細胞の機能不全を軽減する(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ように、PD-L1を介するシグナル伝達を介してTリンパ球上で発現される細胞表面タンパク質によって又はそれを介して媒介される負の共刺激性シグナルを低減する。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストはPD-L1に結合する。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体(例えば、抗PD-L1アンタゴニスト抗体)である。例示的な抗PD-L1アンタゴニスト抗体としては、アテゾリズマブ、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、MSB0010718C(アベルマブ)、SHR-1316、CS1001、エンバホリマブ、TQB2450、ZKAB001、LP-002、CX-072、IMC-001、KL-A167、APL-502、コシベリマブ、ロダポリマブ、FAZ053、TG-1501、BGB-A333、BCD-135、AK-106、LDP、GR1405、HLX20、MSB2311、RC98、PDL-GEX、KD036、KY1003、YBL-007及びHS-636が挙げられる。いくつかの態様では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、又はMSB0010718C(アベルマブ)である。特定の一態様では、PD-L1結合アンタゴニストはMDX-1105である。別の特定の態様では、PD-L1結合アンタゴニストはMEDI4736(デュルバルマブ)である。別の特定の態様では、PD-L1結合アンタゴニストはMSB0010718C(アベルマブ)である。他の態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、小分子、例えばGS-4224、INCB086550、MAX-10181、INCB090244、CA-170又はABSK041であり得、いくつかの例では経口投与され得る。他の例示的なPD-L1結合アンタゴニストとしては、AVA-004、MT-6035、VXM10、LYN192、GB7003及びJS-003が挙げられる。好ましい態様では、PD-L1結合アンタゴニストは、アテゾリズマブである。
【0124】
「PD-1結合アンタゴニスト」という用語は、PD-1の、PD-L1及び/又はPD-L2といったその結合パートナーのうちの1つ又は複数との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断する、阻害、抑止、又は妨害する分子を指す。PD-1(プログラム死1)は、当該技術分野で「プログラム細胞死1」、「PDCD1」、「CD279」、及び「SLEB2」とも呼ばれる。例示的なヒトPD-1は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q15116に示される。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、その結合パートナーのうちの1つ又は複数への結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、PD-L1及び/又はPD-L2への結合を阻害する。例えば、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、並びにPD-1とPD-L1及び/又はPD-L2との相互作用に起因するシグナル伝達を低減、遮断、阻害、抑止又は妨害する他の分子を含む。一例では、PD-1結合アンタゴニストは、機能不全のT細胞の機能不全を軽減する(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ように、PD-1を介するシグナル伝達を介してTリンパ球上で発現される細胞表面タンパク質によって又はそれを介して媒介される負の共刺激性シグナルを低減する。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストはPD-1に結合する。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、抗PD-1抗体(例えば、抗PD-1アンタゴニスト抗体)である。例示的な抗PD-1アンタゴニスト抗体としては、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MEDI-0680、PDR001(スパルタリズマブ)、REGN2810(セミプリマブ)、BGB-108、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタリマブ、レチファンリマブ、ササンリマブ、ペンプリマブ、CS1003、HLX10、SCT-I10A、ジンベレリマブ、バルスチリマブ、ゲノリムズマブ、BI 754091、セトレリマブ、YBL-006、BAT1306、HX008、ブジカリマブ、AMG404、CX-188、JTX-4014、609A、Sym021、LZM009、F520、SG001、AM0001、ENUM 244C8、ENUM 388D4、STI-1110、AK-103及びhAb21が挙げられる。特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはMDX-1106 (ニボルマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、MK-3475(ペンブロリズマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-L2 Fc融合タンパク質、例えばAMP-224である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはMED1-0680である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはPDR001(スパルタリズマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはREGN2810(セミプリマブ)である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはBGB-108である。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはプロルゴリマブである。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはカムレリズマブである。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはシンチリマブである。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはチスレリズマブである。別の特定の態様では、PD-1結合アンタゴニストはトリパリマブである。他のさらなる例示的なPD-1結合アンタゴニストとしては、BION-004、CB201、AUNP-012、ADG104及びLBL-006が挙げられる。
【0125】
「PD-L2結合アンタゴニスト」は、PD-L2と、PD-1といったその結合パートナーのいずれか1つ又は複数との相互作用に起因するシグナル伝達を、低減、遮断、阻害、抑止、又は妨害する分子を指す。PD-L2(プログラム死リガンド2)は、当該技術分野で「プログラム細胞死1リガンド2」、「PDCD1LG2」、「CD273」、「B7-DC」、「Btdc」及び「PDL2」とも呼ばれる。例示的なヒトPD-L2は、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9BQ51に示される。いくつかの例では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のその結合パートナーの1つ又は複数への結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のPD-1への結合を阻害する。例示的なPD-L2アンタゴニストは、抗PD-L2抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド、及びPD-L2と、PD-1といったその結合パートナーのいずれか1つ又は複数との相互作用に起因するシグナル伝達を、低減、遮断、阻害、抑止、又は妨害する他の分子を含む。一態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、機能不全のT細胞の機能不全を軽減する(例えば、抗原認識に対するエフェクター応答を増強する)ように、PD-L2を介するシグナル伝達を介してTリンパ球上で発現される細胞表面タンパク質によって又はそれを介して媒介される負の共刺激性シグナルを低減する。いくつかの態様では、PD-L2結合アンタゴニストはPD-L2に結合する。いくつかの態様では、PD-L2結合アンタゴニストはイムノアドヘシンである。他の態様では、PD-L2結合アンタゴニストは、抗PD-L2アンタゴニスト抗体である。
【0126】
「プログラム死リガンド1」及び「PD-L1」という用語は、本明細書では、天然配列のヒトPD-L1ポリペプチドを指す。天然配列PD-L1ポリペプチドは、Uniprot受託番号Q9NZQ7で提供される。例えば、天然配列PD-L1は、Uniprot受託番号Q9NZQ7-1(アイソフォーム1)に記載のアミノ酸配列を有し得る。別の例において、天然配列PD-L1は、Uniprot受託番号Q9NZQ7-2(アイソフォーム2)に記載のアミノ酸配列を有し得る。さらに別の例において、天然配列PD-L1は、Uniprot受託番号Q9NZQ7-3(アイソフォーム3)に記載のアミノ酸配列を有し得る。PD-L1はまた、当該技術分野において「プログラム細胞死1リガンド1」、「PDCD1LG1」、「CD274」、「B7-H」、及び「PDL1」とも称される。
【0127】
Kabatナンバリングシステムは一般に、可変ドメイン内の残基(およそ軽鎖の残基1-107及び重鎖の残基1-113)について言及する場合に用いられる(例えば、Kabat et al., Sequences of Immunological Interest. 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))。「EUナンバリングシステム」又は「EUインデックス」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域内の残基について言及する場合に使用される(例えば、上掲のKabat et alで報告されるEUインデックス)。「KabatにおけるようなEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基ナンバリングを指す。
【0128】
本明細書において、「アテゾリズマブ」は、PD-L1に結合するとともに配列番号1の重鎖配列及び配列番号2の軽鎖配列を含む、Fc操作され、ヒト化された非グリコシル化IgG1カッパ免疫グロブリンである。アテゾリズマブは、Fc領域アミノ酸残基のEUナンバリングを使用して重鎖上の297位に単一のアミノ酸置換(アスパラギンをアラニンへ)(N297A)を含み、Fc受容体への最小限の結合を有する非グリコシル化抗体をもたらす。アテゾリズマブは、2015年1月16日発行のWHO医薬品情報(医薬品の国際一般名)、提案されたINN:リスト112、Vol.28、No.4(485ページ参照)にも記載されている。
【0129】
「がん」及び「がん性」という用語は、制御されていない細胞成長を典型的に特徴とする哺乳動物における生理学的状態を指すか、又は説明する。がんの態様としては、固形腫瘍がん及び非固形腫瘍がんが挙げられる。がんの例には、限定されないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫、及び白血病、又はリンパ系悪性腫瘍が含まれる。このようながんのさらに具体的な例としては、限定するものではないが、膀胱がん(例えば、尿路上皮癌(UC)(転移性UC(mUC)を含む);筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)、及び非筋層浸潤性膀胱がん(NMIBC));腎臓がん若しくは腎がん(例えば、腎細胞癌(RCC));肺がん(小細胞肺がん、非小細胞肺がん、肺の腺癌、及び肺の扁平上皮癌を含む);尿路のがん、乳がん(例えば、HER2+乳がん及びトリプルネガティブ乳がん(TNBC)(これはエストロゲン受容体(ER-)、プロゲステロン受容体(PR-)、及びHER2(HER2-)陰性である);去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)などの前立腺がん;腹膜のがん;肝細胞がん;胃がん若しくは胃のがん(消化管がん及び消化管間質がんを含む);膵臓がん(例えば、膵管腺癌(PDAC));膠芽腫;子宮頸がん;卵巣がん;肝臓がん(例えば、肝細胞癌(HCC));肝癌;結腸がん;直腸がん;結腸直腸がん;子宮内膜癌若しくは子宮癌;唾液腺癌;前立腺がん;外陰がん;甲状腺がん;肝癌、肛門癌、陰茎癌、黒色腫(表在拡大型黒色腫、悪性黒子型黒色腫、末端黒子型黒色腫、及び結節型黒色腫を含む);多発性骨髄腫及びB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球性(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん性NHL;高悪性度免疫芽細胞性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度小型非分割細胞性NHL;巨大病変NHL;マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;及び及びワルデンストレームマクログロブリン血症を含む);慢性リンパ球性白血病(CLL);急性リンパ芽球性白血病(ALL);急性骨髄性白血病(AML)、有毛細胞白血病;慢性骨髄芽球性白血病(CML);移植後リンパ増殖性障害(PTLD);及び骨髄異形成症候群(MDS)、並びに母斑症と関連する異常血管増殖、浮腫(脳の腫瘍に関連するものなど)、メイグス症候群、脳がん、頭頸部がん、及び関連する転移が挙げられる。一例では、がんは肺がん(例えば、NSCLC、例えば、非扁平上皮NSCLC又は扁平上皮NSCLC)である。別の例では、がんは腎がん(例えばRCC)である。がんは、局所進行性又は転移性であり得る。いくつかの例では、がんは局所進行性である。他の例では、がんは転移性である。いくつかの例では、がんはステージIVがんである。いくつかの例では、がんは切除不能であり得る(例えば、切除不能な局所進行がん又は転移性がん)。
【0130】
「腫瘍」は、本明細書で使用される場合、悪性か良性かを問わず、全ての腫瘍性細胞の成長及び増殖、並びに全ての前癌性及び癌性細胞及び組織を指す。「がん」、「がん性」、「細胞増殖性障害」、「増殖性障害」、及び「腫瘍」という用語は、本明細書で言及される場合、相互排他的ではない。
【0131】
「細胞増殖性障害」及び「増殖性障害」という用語は、ある程度の異常な細胞増殖に関連する障害を指す。一実施態様では、細胞増殖性障害は、がんである。他の実施態様では、細胞増殖性障害は腫瘍である。
【0132】
「B細胞増殖性障害」又は「B細胞悪性腫瘍」という用語は、ある程度異常なB細胞増殖性に関連し、例えば、リンパ腫、白血病、骨髄腫、及び骨髄異形成症候群を含む疾患を指す。一実施態様では、B細胞増殖性障害は、非ホジキンリンパ腫(NHL)などのリンパ腫であり、例えば、DLBCL(例えば、再発性又は難治性DLBCL)、FL(例えば、再発性又は難治性FL又は形質転換FL)、又はMCLを含む。別の実施態様では、B細胞増殖性障害は、慢性リンパ性白血病(CLL)等の白血病である。さらに別の実施態様において、B細胞増殖性障害は、中枢神経系リンパ腫(CNSL)である。
【0133】
本明細書で使用される場合、「治療する」には、有効量の治療剤(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)若しくはNK細胞指向性治療薬)、又は治療剤の組み合わせ(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト及び1つ又は複数の追加の治療剤、例えば、タキサン(例えば、nab-パクリタキセル若しくはパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブなどの抗VEGF抗体)、及び/又はNK細胞指向性治療剤)での効果的ながん治療が含まれる。本明細書における治療には、とりわけ、アジュバント療法、ネオアジュバント療法、非転移性がん療法(例えば、局所進行性がん治療)及び転移性がん療法が含まれる。治療は、第一選択治療(例えば、患者は以前に治療されていない可能性がある、又は事前の全身療法を受けたことがない)又は第二選択治療若しくはそれ以降の治療であり得る。
【0134】
ここで、「有効量」とは、治療結果を達成する、治療剤(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)若しくはNK細胞指向性治療剤)、又は治療剤の組み合わせ(例えば、PD-1軸アンタゴニスト及び1つ又は複数の追加の治療剤、例えば、タキサン(例えば、nab-パクリタキセル若しくはパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブ)、及び/又はNK細胞指向性治療剤))の量を指す。いくつかの例では、治療剤又は治療剤の組み合わせの有効量は、生存期間(例えば、無病生存期間(DFS)、無増悪生存期間(PFS)及び/又は全生存期間(OS))の改善、全奏効率(ORR)の改善、完全奏効(CR)、病理学的完全奏効(pCR)、部分奏効(PR)、及び/又は奏効期間(DOR)の改善という臨床エンドポイントを達成する薬剤又は薬剤の組み合わせの量である。改善(例えば、奏効率(例えば、ORR、CR、及び/若しくはPR)、生存(例えば、PFS及び/若しくはOS)、又はDORに関する)は、適切な基準治療、例えば、PD-1軸結合アンタゴニストを含まない治療、及び/又はタキサン(例えば、nab-パクリタキセル若しくはパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブ)及び/又はNK細胞指向性治療剤を含まない治療に対するものであり得る。いくつかの態様では、改善は、PD-1軸結合アンタゴニストを含まない治療レジメンによる治療に対するものであり得る。
【0135】
本明細書で使用される場合、「完全奏効」及び「CR」は、全ての標的病巣の消滅を指す。
【0136】
本明細書で使用される場合、「部分奏効」及び「PR」は、治療前のベースラインSLDを基準として、標的病巣の最長径の合計(SLD)の少なくとも30%の減少を指す。
【0137】
本明細書で使用される場合、「全奏効率」、「客観的奏効率」及び「ORR」は、CR率とPR率の和を互換的に指す。
【0138】
本明細書で使用される場合、「無増悪生存期間」及び「PFS」は、その間にがんが悪化しない治療中及び治療後の時間の長さを指す。PFSは、患者がCR又はPRを経験した時間の量、及び患者が安定な疾患を経験した時間の量を含み得る。いくつかの例では、PFSは固形がんの治療効果判定のためのガイドライン(RECIST)バージョン1.1を用いて決定され得る。例えば、いくつかの例では、PFSは、無作為化の日付と、最初に記録された疾患進行又は死亡のいずれか早く発生する方の日付との間の時間として定義される。
【0139】
本明細書で使用される場合、「全生存期間」及び「OS」は、患者がまだ生存している、診断の日付又は疾患(例えばがん)の治療の開始のいずれかからの時間の長さを指す。例えば、いくつかの例では、OSは、無作為化の日付と何らかの原因による死亡の日付との間の時間として定義される。
【0140】
本明細書で使用される場合、「奏効期間」及びDORという用語は、腫瘍応答の記録から疾患の進行又は任意の原因による死亡のいずれか早く発生する方までの時間の長さを指す。
【0141】
本明細書で使用される場合、「化学療法剤」という用語は、がん(例えばNSCLC)の治療において有用な化合物を指す。化学療法剤の例には、EGFR阻害剤(低分子阻害剤(例えば、エルロチニブ(TARCEVA(登録商標)、Genentech/OSI Pharm.);PD183805(CI1033、2-プロペンアミド、N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-7-[3-(4-モルホリニル)プロポキシ]-6-キナゾリニル]-、二塩酸塩、Pfizer Inc.);ZD1839、ゲフィチニブ(IRESSA(登録商標))4-(3’-クロロ-4’-フルオロアニリノ)-7-メトキシ-6-(3-モルフォリノプロポキシ)キナゾリン、AstraZeneca);ZM 105180((6-アミノ-4-(3-メチルフェニル-アミノ)-キナゾリン、Zeneca);BIBX-1382(N8-(3-クロロ-4-フルオロ-フェニル)-N2-(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-ピリミド[5,4-d]ピリミジン-2,8-ジアミン、Boehringer Ingelheim);PKI-166((R)-4-[4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-1H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン-6-イル]-フェノール);(R)-6-(4-ヒドロキシフェニル)-4-[(1-フェニルエチル)アミノ]-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン);CL-387785(N-[4-[(3-ブロモフェニル)アミノ]-6-キナゾリニル]-2-ブチナミド);EKB-569(N-[4-[(3-クロロ-4-フルオロフェニル)アミノ]-3-シアノ-7-エトキシ-6-キノリニル]-4-(ジメチルアミノ)-2-ブテンアミド)(Wyeth);AG1478(Pfizer);AG1571(SU 5271;Pfizer);及びラパチニブ(TYKERB(登録商標)、GSK572016又はN-[3-クロロ-4-[(3-フルオロフェニル)メトキシ]フェニル]-6[5[[[2-メチルスルホニル)エチル]アミノ]メチル]-2-フラニル]-4-キナゾリナミンのような二重EGFR/HER2チロシンキナーゼ阻害剤);チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、EGFR阻害剤;TAK165(武田)などの低分HER2チロシンキナーゼ阻害剤;ErbB2受容体チロシンキナーゼの経口選択的阻害剤CP-724,714(Pfizer及びOSI);EGFRと優先的に結合するがHER2及びEGFR過剰発現細胞の両方を阻害するEKB-569(Wyethから入手可能)などの二重HER阻害剤;PKI-166(Novartis);カネルチニブ(CI-1033;Pharmacia)などの汎HER阻害剤;Raf-1シグナル伝達を阻害するアンチセンス剤ISIS-5132(ISIS Pharmaceuticals)などのRaf-1阻害剤;イマチニブメシル酸塩(GLEEVEC(登録商標)、Glaxo SmithKline)などの非HER標的チロシンキナーゼ阻害剤;スニチニブ(SUTENT(登録商標)、Pfizer)などの複数標的チロシンキナーゼ阻害剤;バタラニブ(PTK787/ZK222584、Novartis/Schering AG)などのVEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤;MAPK細胞外調節キナーゼI阻害剤CI-1040(Pharmacia);PD 153035,4-(3-クロロアニリノ)キナゾリンなどのキナゾリン;ピリドピリミジン;ピリミドピリミジン;ピロロピリミジン、例えばCGP 59326、CGP 60261及びCGP 62706;ピラゾロピリミジン、4-(フェニルアミノ)-7H-ピロロ[2,3-d]ピリミジン;クルクミン(ジフェルロイルメタン、4,5-ビス(4-フルオロアニリノ)フタルイミド);ニトロチオフェン部分を含有するチルホスチン;PD-0183805(Warner-Lamber);アンチセンス分子(例えば、HERをコードする核酸に結合するもの);キノキサリン(米国特許第5,804,396号);トリホスチン(米国特許第5,804,396号);ZD6474(AstraZeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);CI-1033(Pfizer)などの汎HER阻害剤;アフィニタック(ISIS 3521;Isis/Lilly);PKI 166(Novartis);GW2016(Glaxo SmithKline);CI-1033(Pfizer);EKB-569(Wyeth);セマキシニブ(Pfizer);ZD6474(AstraZeneca);PTK-787(Novartis/Schering AG);INC-1C11(イムクローン);及びラパマイシン(シロリムス、RAPAMUNE(登録商標)));ボルテゾミブ(VELCADE(登録商標)、Millennium Pharm.)などのプロテアソーム阻害剤;ジスルフィラム;エピガロカテキンガレート;サリノスポラミドA;カルフィルゾミブ;17-AAG(ゲルダナマイシン);ラジシコール;乳酸脱水素酵素A(LDH-A);フルベストラント(FASLODEX(登録商標)、AstraZeneca);レトロゾール(FEMARA(登録商標)、Novartis)、フィナスネート(VATALANIB(登録商標)、Novartis);オキサリプラチン(ELOXATIN(登録商標)、Sanofi)、5-FU(5-フルオロウラシル);ロイコボリン;ロナファミブ(SCH 66336);ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標)、Bayer Labs);AG1478、チオテパ及びCYTOXAN(登録商標)シクロホスファミドなどのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなどのアルキルスルホン酸塩;ベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパ、及びウレドーパなどのアジリジン;アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンエチオホスホラミド及びトリメチロメラミンを含むエチレンイミン及びメチルメラミン(methylamelamines);アセトゲニン(特にブラタシン及びブラタシノン);カンプトテシン(トポテカン及びイリノテカンを含む);ブリオスタチン;カリスタチン;CC-1065(そのアドゼレシン、カルゼレシン及びビゼレシン合成アナログを含む);クリプトフィシン(特にクリプトフィシン1及びクリプトフィシン8);副腎皮質ステロイド(プレドニゾン及びプレドニゾロンを含む);酢酸シプロテロン;5α-リダクターゼ(フィナステリド及びデュタステリドを含む);ボリノスタット、ロミデプシン、パノビノスタット、バルプロ酸、モセチノスタットドラスタチン;アルデスロイキン、タルクデュオカルマイシン(合成類似体KW-2189及びCB1-TM1を含む);エレウテロビン;パンクラチスタチン;サルコジクチン;スポンジスタチン;クロラムブシル、クロマファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルフラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなどのナイトロジェンマスタード;カルムスチン、クロロゾトシン、ホテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなどのニトロソウレア;例えば、カリケアマイシン、特にカリケアマイシンγ1及びカリケアマイシンω1などのエネジイン系抗生物質;ダイネミシンAを含むダイネミシン;クロドロネートなどのビスホスホネート;エスペラミシン;ネオカルジノスタチンクロモフォア及び関連するクロモプロテイン・エネディイン抗生物質クロモフォア)、アクラシノマイシン、アクチノマイシン、オートラマイシン、アザセリン、カクチノマイシン、カラビシン、カミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシン、及びデオキシドキソルビシン)、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシンCなどのマイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポルフィロマイシン、ピューロマイシン、ケラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメクス、ジノスタチン、ゾルビシン;メトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗薬;デノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなどの葉酸類似体;フルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジンなどのピリミジン類似体;カルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなどのアンドロゲン;アミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなどの抗副腎剤;フロリン酸などの葉酸補充薬;アセグラトン;アルドホスファミド配糖体;アミノレブリン酸;エニルラシル;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォファミン;デメコルシン;ジアジコン;エルフォミチン;酢酸エリプチニウム;エポチロン;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダイニン;メイタンシン及びアンサミトシンなどのメイタンシノイド;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダムノール;ニトラエリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ロソキサントロン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標)多糖体複合体(JHS Natural Products);ラゾキサン;リゾキシン;シゾフラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン(特にT-2毒素、ベラキュリンA、ロリジンA及びアングイジン);ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;クロランブシル;GEMZAR(登録商標)(ゲムシタビン);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;エトポシド(VP-16);イホスファミド;ミトキサントロン;ノバントロン;テニポシド;エダトレキセート;ダウノマイシン;アミノプテリン;カペシタビン(XELODA(登録商標));イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド;並びに上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、プロドラッグ及び誘導体が含まれる。
【0142】
また、化学療法剤としては、(i)腫瘍に対するホルモン作用を調節又は阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(NOLVADEX(登録商標);クエン酸タモキシフェンを含む)、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、ヨードキシフェン、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン、ケオキシフェン、LY117018、オナプリストン、及びFARESTON(登録商標)(クエン酸トレミフィン)を含む抗エストロゲン薬及び選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)など;(ii)副腎におけるエストロゲン産生を調節する酵素アロマターゼを阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール、アミノグルテチミド、MEGASE(登録商標)(酢酸メゲストロール)、AROMASIN(登録商標)(エキセメスタン;Pfizer)、フォルメスタニー(formestanie)、ファドロゾール、RIVISOR(登録商標)(ボロゾール)、FEMARA(登録商標)(レトロゾール;Novartis)及びARIMIDEX(登録商標)(アナストロゾール;AstraZeneca)など;(iii)抗アンドロゲン、例えばフルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、ロイプロリド及びゴセレリン;ブセレリン、トリプテレリン、酢酸メドロキシプロゲステロン、ジエチルスチルベストロール、プレマリン、フルオキシメステロン、全トランスレチノイン酸、フェンレチニド及びトロキサシタビン(a1,3-ジオキソランヌクレオシドシトシン類似体);(iv)プロテインキナーゼ阻害剤;(v)脂質キナーゼ阻害剤;(vi)アンチセンスオリゴヌクレオチド、特に、異常な細胞増殖に関与するシグナル伝達経路における遺伝子の発現を阻害するもの、例えば、PKC-アルファ、Ralf及びH-Rasなど;(vii)リボザイム、例えばVEGF発現阻害剤(例えば、ANGIOZYME(登録商標))及びHER2発現阻害剤;(viii)遺伝子治療ワクチンなどのワクチン、例えばALLOVECTIN(登録商標)、LEUVECTIN(登録商標)及びVAXID(登録商標);(ix)ビンカ(例えば、ビンクリスチン及びビンブラスチン)、NAVELBINE(登録商標)(ビノレルビン)、タキサン(例えば、パクリタキセル、nab-パクリタキセル、及びドセタキセル)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ドキソルビシン、エピルビシン、ダウノルビシン、エトポシド及びブレオマイシン)及びDNAアルキル化剤(例えば、タモキシゲン、プレドニゾン、ダカルバジン、メクロレタミン、シスプラチン、メトトレキサート、5-フルオロウラシル及びara-C)を含む増殖阻害剤;並びに(x)上記のいずれかの薬学的に許容される塩、酸、プロドラッグ、及び誘導体が挙げられる。
【0143】
本明細書で使用される場合の「細胞傷害剤」という用語は、細胞に有害である(例えば、細胞死を引き起こすか、増殖を阻害するか、そうでなければ細胞機能を妨害する)任意の薬剤を指す。細胞傷害剤としては、放射性同位体(例えばAt211、I131、I125、Y90、Re186、Re188、Sm153、Bi212、P32、Pb212、及びLuの放射性同位体);化学療法剤;核酸分解酵素などの酵素及びその断片;並びに細菌、真菌、植物又は動物由来の低分子毒素又は酵素的に活性な毒素(その断片及び/又はバリアントを含む)などの毒素が挙げられるが、これらに限定されない。例示的な細胞傷害剤は、抗微小管剤、白金配位錯体、アルキル化剤、抗生物質剤、トポイソメラーゼII阻害剤、代謝拮抗薬、トポイソメラーゼI阻害剤、ホルモン及びホルモン類似体、シグナル伝達経路阻害剤、非受容体チロシンキナーゼ血管新生阻害剤、免疫療法薬、アポトーシス促進剤、LDH-Aの阻害剤、脂肪酸生合成の阻害剤、細胞周期シグナル伝達阻害剤、HDAC阻害剤、プロテアソーム阻害剤、並びにがん代謝の阻害剤から選択され得る。一例では、細胞傷害剤は白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン又はシスプラチン)である。一例では、細胞傷害剤は、EGFRのアンタゴニスト、例えば、N-(3-エチニルフェニル)-6,7-ビス(2-メトキシエトキシ)キナゾリン-4-アミン(例えば、エルロチニブ)である。一例では、細胞傷害剤は、RAF阻害剤、例えばBRAF及び/又はCRAF阻害剤である。一例では、RAF阻害剤はベムラフェニブである。一例では、細胞傷害剤はPI3K阻害剤である。
【0144】
本明細書で使用される場合の「タキサン」は、チューブリンに結合し、微小管集合及び安定化を促進し、及び/又は微小管解重合を防止し得る薬剤(例えば、ジテルペン)である。例示的なタキサンには、限定されないが、パクリタキセル(すなわち、TAXOL(登録商標)、CAS # 33069-62-4)、ドセタキセル(すなわち、TAXOTERE(登録商標)、CAS # 114977-28-5)、ラロタキセル、カバジタキセル、ミラタキセル、テセタキセル、及び/又はオラタキセルが含まれる。本明細書に含まれるタキサンには、タキソイド10デアセチルバッカチンIII及び/又はその誘導体も含まれる。いくつかの実施態様では、タキサンは、アルブミンコーティングされたナノ粒子(例えば、ナノ-アルブミン結合(nab)-パクリタキセル、すなわち、ABRAXANE(登録商標)及び/又はnab-ドセタキセル、ABI-008)である。いくつかの実施態様では、タキサンは、nab-パクリタキセル(ABRAXANE(登録商標))である。いくつかの実施態様では、タキサンは、CREMAPHOR(登録商標)(例えば、TAXOL(登録商標))及び/又はTWEEN(登録商標)、例えばポリソルベート80(例えば、TAXOTERE(登録商標))に配合されている。いくつかの実施態様では、タキサンは、リポソームに封入されたタキサンである。いくつかの実施態様では、タキサンは、プロドラッグの形態及び/又はタキサンのコンジュゲート形態(例えば、パクリタキセル、パクリタキセルポリグルメクス、及び/又は炭酸リノレイル-パクリタキセルに共有結合的にコンジュゲートしたDHA)である。いくつかの実施態様では、パクリタキセルは、実質的に界面活性剤なし(例えば、例えば、TOCOSOL(登録商標)パクリタキセルのように、CREMAPHOR(登録商標)及び/又はTWEEN(登録商標)の非存在下で)で製剤化される。
【0145】
化学療法剤には、分子の不可欠な部分として白金を含有する有機化合物を含む「白金系」化学療法剤も含まれる。典型的には、白金系化学療法剤は、白金の配位錯体である。白金系化学療法剤は、当技術分野において「プラチン」と呼ばれることもある。白金系化学療法剤の例としては、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ネダプラチン、トリプラチンテトラニトレート、フェナントリプラチン、ピコプラチン、リポプラチン及びサトラプラチンが挙げられるが、これらに限定されない。白金系化学療法剤(例えば、シスプラチン又はカルボプラチン)は、1つ又は複数の追加の化学療法剤、例えばヌクレオシド類似体(例えば、ゲムシタビン)と組み合わせて投与され得る。
【0146】
本明細書で使用される「白金系化学療法」は、白金系化学療法剤を含む化学療法レジメンを指す。例えば、白金系化学療法は、白金系化学療法剤(例えば、シスプラチン又はカルボプラチン)を、例えばヌクレオシド類似体(例えば、ゲムシタビン)などの1つ又は複数の追加の化学療法剤と組み合わせて含み得る。
【0147】
「抗血管新生剤」又は「血管新生阻害剤」は、血管新生、脈管形成、又は望まれない血管透過性を、直接的又は間接的のいずれかで阻害する、低分子物質、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、単離されたタンパク質、組換えタンパク質、抗体、又はこれらのコンジュゲート若しくは融合タンパク質を指す。抗血管新生剤には、血管新生因子又はその受容体の血管新生活性を、結合して遮断する薬剤が含まれることが理解されるべきである。例えば、抗血管新生剤は、上記に定義される血管新生剤に対する抗体又は他のアンタゴニスト、例えば、VEGF-A又はVEGF-A受容体(例えば、KDR受容体又はFlt-1受容体)に対する抗体、GLEEVEC(商標)(イマチニブメシル酸塩)などの抗PDGFR阻害剤である。抗血管新生剤には、アンギオスタチン、エンドスタチンなどの天然血管新生阻害剤も含まれる。例えば、Klagsbrun and D’Amore, Annu. Rev. Physiol., 53:217-39 (1991); Streit and Detmar, Oncogene, 22:3172-3179 (2003) (e.g., Table 3 listing anti-angiogenic therapy in malignant melanoma); Ferrara & Alitalo, Nature Medicine 5(12):1359-1364 (1999); Tonini et al., Oncogene, 22:6549-6556 (2003)、及びSato Int. J. Clin. Oncol., 8:200-206 (2003)を参照のこと。
【0148】
「抗VEGF抗体」とは、十分な親和性及び特異性でVEGFに結合する抗体である。特定の実施態様では、抗体は、VEGFに対して十分に高い結合親和性を有し、例えば、抗体は、100nM-1pMのKd値でhVEGFに結合し得る。抗体親和性は、例えば、表面プラズモン共鳴系アッセイ(PCT出願公開第WO2005/012359号に記載されているようなBIAcore(登録商標)アッセイ等)、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、及び競合アッセイ(例えば、ラジオイムノアッセイ(RIA))によって決定され得る。
【0149】
特定の実施態様では、抗VEGF抗体は、VEGF活性が関与する疾患又は症状を標的とし、かつそれを妨害する際に治療剤として使用され得る。抗体はまた、例えば、治療薬としてのその効果を評価するために、他の生物学的活性アッセイにも供され得る。そのようなアッセイは、当技術分野で既知であり、抗体に対する標的抗原及び意図される使用に依存する。例としては、HUVEC阻害アッセイ、腫瘍細胞成長阻害アッセイ(例えば、国際公開第89/06692号に記載のもの)、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)及び補体媒介性細胞傷害性(CDC)アッセイ(米国特許第5,500,362号)、並びにアゴニスト活性又は造血アッセイ(国際公開第95/27062号を参照)が挙げられる。抗VEGF抗体は、通常、VEGF-B又はVEGF-C等の他のVEGFホモログにも、PIGF、PDGF、又はbFGF等の他の成長因子にも結合しない。一実施態様では、抗VEGF抗体は、ハイブリドーマATCC HB 10709によって産生される、モノクローナル抗VEGF抗体A4.6.1と同じエピトープに結合するモノクローナル抗体である。別の実施態様では、抗VEGF抗体は、ベバシズマブ(BV、AVASTIN(登録商標))として知られる抗体を含むが、これに限定されない、Presta et al. (Cancer Res. 57:4593-4599, 1997)に従って生成される組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。
【0150】
「rhuMAb VEGF」又は「BV」又は「AVASTIN(登録商標)」としても知られる抗VEGF抗体「ベバシズマブ」は、Presta et al.(Cancer Res.57:4593-4599,1997)に従って生成される組換えヒト化抗VEGFモノクローナル抗体である。これは、変異型ヒトIgG1フレームワーク領域と、ヒトVEGFの、その受容体への結合を遮断するマウス抗hVEGFモノクローナル抗体A.4.6.1由来の抗原結合相補性決定領域とを含む。フレームワーク領域の大部分を含む、ベバシズマブのアミノ酸配列の約93%はヒトIgG1に由来し、配列の約7%はマウス抗体A4.6.1に由来する。ベバシズマブは、分子量が約149,000ダルトンであり、グリコシル化されている。ベバシズマブ及び他のヒト化抗VEGF抗体は、2005年2月26日に発行された米国特許第6,884,879号にさらに記載されており、その開示全体は、参照により本明細書に明示的に援用される。追加の好ましい抗体としては、PCT出願公開の国際公開第2005/012359号に記載されているG6又はB20シリーズ抗体(例えば、G6-31、B20-4.1)が挙げられる。追加の好ましい抗体については、米国特許第7,060,269号、同第6,582,959号、同第6,703,020号、同第6,054,297号、国際公開第98/45332号、国際公開第96/30046号、国際公開第94/10202号、欧州特許第0666868号B1、米国特許出願公開第2006009360号、同第20050186208号、同第20030206899号、同第20030190317号、同第20030203409号、及び同第20050112126号、並びにPopkov et al.,(Journal of Immunological Methods 288:149-164,2004)を参照されたい。他の好ましい抗体としては、残基F17、M18、D19、Y21、Y25、Q89、191、K101、E103、及びC104を含むか、又はあるいは残基F17、Y21、Q22、Y25、D63、183、及びQ89を含む、ヒトVEGF上の機能的エピトープに結合する抗体が挙げられる。
【0151】
「NK細胞指向性治療剤」という用語は、NK細胞を含む薬剤、又はNK細胞の数、活性、若しくは機能を調節する薬剤を指す。一例では、NK細胞指向性治療剤は、養子細胞移入(例えば、同種NK細胞、自家NK細胞、市販のNK細胞、若しくはキメラ抗原受容体(CAR)-NK細胞を用いる)、サイトカイン療法、NK細胞エンゲージャー(例えば、二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)、三重特異性キラー細胞エンゲージャー(TriKE)、若しくは四重特異性キラー細胞エンゲージャー(TetraKE))、NK細胞チェックポイント受容体アンタゴニスト、又は腫瘍溶解性ウイルスを含む。例示的なNK細胞指向性治療剤は、例えば、Hodgins et al. J. Clin. Invest. 129(9):3499-3510, 2019に記載されている。
【0152】
「NK細胞エンゲージャー」という用語は、例えば、NK細胞(例えば、CD16、NKG2D、SLAMファミリータンパク質、NKp30、NKp44、若しくはNKp46)の表面上の1つ又は複数の標的(例えば、タンパク質、例えば、受容体)及び腫瘍細胞(例えば、CD30、CD33、EGFR、BCMAを含む腫瘍抗原、又は表Cに記載される任意の腫瘍抗原)の表面の1つ又は複数の標的(例えば、タンパク質、例えば、受容体)に結合することによって、NK細胞と腫瘍細胞を一緒にする分子を指す。NK細胞エンゲージャーは、多重特異性、例えば、二重特異性、三重特異性、又は四重特異性であってもよい。NK細胞エンゲージャーは、特定の標的に対して多価、例えば、2価、3価、4価、5価、又は6価であってもよい。例えば、NK細胞エンゲージャーは、CD16Aに対して少なくとも2価であってもよく、すなわち、少なくとも2つのCD16A抗原結合部分を含む。いくつかの実施例では、NK細胞エンゲージャーは、NK細胞上のエピトープに結合する少なくとも第1の標的化ドメインと、異なる標的、例えば腫瘍抗原(例えば表Cに記載される任意の腫瘍抗原)に結合する少なくとも第2の標的化ドメインとを含む。例示的なNK細胞エンゲージャーは、例えば、国際公開第2019/198051号;Reusch et al., mAbs, 6(3):727-738; 2014;米国特許第7129330号B1;米国特許第9035026号B2;国際公開第0111059号A1;Treder et al., Journal of Clinical Oncology, 34(15 suppl), 2016;及びEllwanger et al., J Immunother Cancer, 3(Suppl 2): 219, 2015に記載されている。いくつかの実施態様では、NK細胞エンゲージャーは、ナノ粒子ベースのNK細胞エンゲージャー、例えば、ナノ粒子ベースの三重特異的NK細胞エンゲージャー(ナノTriNKE)である;例えば、Au et al. Science Advances 6(27):eaba8564, 2020を参照のこと。例示的なNK細胞エンゲージャーには、例えば、IPH6101(Innate Pharma/Sanofi)が含まれる。
【0153】
「患者」という用語は、ヒト患者を指す。例えば、患者は成人であり得る。
【0154】
「抗体」という用語は、具体的には、それらが所望の生物学的活性を示す限り、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体等)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を包含する。一例では、抗体は完全長モノクローナル抗体である。
【0155】
本明細書で使用される場合のIgG「アイソタイプ」又は「サブクラス」という用語は、その定常領域の化学特性及び抗原特性によって決まる免疫グロブリンのサブクラスのいずれかを意味する。
【0156】
それらの重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体(免疫グロブリン)は、異なるクラスに割り当てられ得る。免疫グロブリンには5つの主なクラス: IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2にさらに分類され得る。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、γ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元立体配位はよく知られており、概して、例えば、Abbas et al. Cellular and Mol. Immunology, 4th ed. (W.B. Saunders, Co., 2000)に記載されている。抗体は、抗体と1つ又は複数の他のタンパク質又はペプチドとの共有結合又は非共有結合により形成される、より大きな融合分子の一部であってもよい。
【0157】
「全長抗体」、「インタクトな抗体」、及び「全抗体」という用語は、以下に記載の抗体断片ではない、その実質的にインタクトな形態の抗体を指すために本明細書で同義に使用される。この用語は、Fc領域を含む抗体を指す。
【0158】
本明細書中の「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部分を含む免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。この用語には、天然配列Fc領域及びバリアントFc領域が含まれる。一態様では、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、又はPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、宿主細胞によって産生された抗体は、重鎖のC末端から1つ又は複数、特に1つ又は2つのアミノ酸の翻訳後切断を受けることがある。したがって、完全長重鎖をコードする特定の核酸分子の発現によって、宿主細胞によって産生される抗体は、完全長重鎖を含み得るか、又は完全長重鎖の切断されたバリアントを含み得る。これは、重鎖の最後の2つのC末端アミノ酸がグリシン(G446)及びリジン(K447)である場合にあり得る。したがって、Fc領域のC末端リジン(Lys447)、又はC末端グリシン(Gly446)及びリジン(Lys447)が存在してもよく、又は存在していなくてもよい。Fc領域を含む重鎖のアミノ酸配列は、別途指示されない限り、本明細書ではC末端リジン(Lys447)なしで示される。一態様では、本明細書に開示される抗体に含まれる、本明細書で明記したFc領域を含む重鎖は、さらなるC末端グリシン-リジンジペプチド(G446及びK447)を含む。一態様では、本明細書に開示される抗体に含まれる、本明細書で明記したFc領域を含む重鎖は、さらなるC末端グリシン残基(G446)を含む。一態様では、本明細書に開示される抗体に含まれる、本明細書で明記したFc領域を含む重鎖は、さらなるC末端リジン残基(K447)を含む。一実施態様において、Fc領域は、重鎖の単一アミノ酸置換N297Aを含む。本明細書中で別途明記されない限り、Fc領域又は定常領域におけるアミノ酸残基のナンバリングは、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD, 1991に記載されているような、EUナンバリングシステム(EUインデックスとも呼ばれる)に従う。
【0159】
「ネイキッド抗体」とは、異種部分(例えば、細胞傷害性部分)又は放射標識にコンジュゲートしていない抗体を指す。ネイキッド抗体は、医薬組成物中に存在し得る。
【0160】
「抗体断片」は、好ましくはその抗原-結合領域を含む、インタクトな抗体の一部を含む。いくつかの例では、本明細書に記載の抗体断片は、抗原結合断片である。抗体断片の例としては、Fab、F(ab’)、及びFv断片、ダイアボディ、直鎖状抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv)、並びに抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
【0161】
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち集団を含む個々の抗体が、可能性のあるバリアント抗体(これらは例えば天然に存在する変異を含むか又はモノクローナル抗体調製物の製造中に生じ、そのようなバリアントは通常少量存在する)を除き、同一であり、及び/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、抗体の特徴を、抗体の実質的に均一な集団から得られると示すものであり、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、ハイブリドーマ法、組換えDNA法、ファージディスプレイ法、及びヒト免疫グロブリン遺伝子座の全部又は一部を含むトランスジェニック動物を利用する方法を含むがこれらに限定されない種々の技術によって作製されてもよい。
【0162】
本明細書で使用される場合の「超可変領域」又は「HVR」という用語は、配列内で超可変であるとともに抗原結合特異性を決定する、抗体可変ドメインの領域、例えば「相補性決定領域」(CDR)のそれぞれを意味する。
【0163】
一般に、抗体は、6つのCDR:VHに3つ(CDR-H1、CDR-H2、CDR-H3)、VLに3つ(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3)を含む。本明細書の例示的なCDRには、以下が含まれる:
(a)アミノ酸残基26-32(L1)、50-52(L2)、91-96(L3)、26-32(H1)、53-55(H2)、及び96-101(H3)に生じる超可変ループ(Chothia and Lesk, J. Mol. Biol. 196:901-917 (1987));
(b)アミノ酸残基24-34(L1)、50-56(L2)、89-97(L3)、31-35b(H1)、50-65(H2)、及び95-102(H3)に生じるCDR(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD (1991));並びに
(c)アミノ酸残基27c-36(L1)、46-55(L2)、89-96(L3)、30-35b(H1)、47-58(H2)、及び93-101(H3)に生じる抗原接触部(MacCallum et al. J. Mol. Biol. 262: 732-745 (1996))。
【0164】
別途指示がない限り、CDRは、上掲のKabat et al.に従って決定される。当業者は、CDRの表記は、上掲のChothia、上掲のMcCallum、又は、任意の他の科学的に受容された命名システムに従い決定することもできることを理解するであろう。
【0165】
「フレームワーク」又は「FR」は、相補性決定領域(CDR)以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは、一般に、4つのFRドメイン: FR1、FR2、FR3、及びFR4からなる。したがって、CDR及びFR配列は、一般に、VH(又はVL)中で以下の配列で現れる: FR1-CDR-H1(CDR-L1)-FR2- CDR-H2(CDR-L2)-FR3- CDR-H3(CDR-L3)-FR4。
【0166】
「Kabatにおけるような可変ドメイン残基ナンバリング」又は「Kabatにおけるようなアミノ酸位置ナンバリング」という用語、及びそれらの変形は、上掲のKabat et al.における抗体の編集物の重鎖可変ドメイン又は軽鎖可変ドメインに使用されるナンバリングシステムを指す。このナンバリング方式を使用して、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFR若しくはHVRの短縮、又はそれへの挿入に対応する、より少ないアミノ酸又は追加のアミノ酸を含み得る。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入物(Kabatによれば残基52a)を、重鎖FR残基82の後に挿入残基(例えば、Kabatによれば残基82a、82b及び82cなど)を含み得る。残基のKabatナンバリングは、所与の抗体に対して、抗体の配列と「標準の」Kabatによってナンバリングされた配列との相同領域での整列によって決定され得る。
【0167】
「添付文書」という用語は、治療用製品の市販パッケージに通例含まれる説明書であって、そのような治療用製品の使用に関する適応症、用法、用量、投与、併用療法、禁忌及び/又は警告に関する情報を含む説明書を指すために使用される。
【0168】
本明細書で使用される「~と組み合わせて」とは、別の治療手段に加えて1つの治療手段、例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の投与と、タキサン(例えば、nab-パクリタキセル若しくはパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブなどの抗VEGF抗体)、及び/又はNK細胞指向性治療剤の投与とを含む治療レジメンを投与することを指す。したがって、「~と組み合わせて」とは、患者への他の治療手段の投与前、投与中、又は投与後の1つの治療手段の投与を指す。
【0169】
1つ又は複数の他の薬物と「同時に」投与される薬物は、同一治療サイクル中、1つ又は複数の他の薬物と同じ治療日に、また場合によっては、1つ又は複数の他の薬物と同じ時間に投与される。例えば、3週間ごとに施されるがん療法の場合、同時に投与される薬物はそれぞれ、3週間のサイクルの1日目に投与される。
【0170】
「検出」という用語は、直接及び間接検出を含む、検出の任意の手段を含む。
【0171】
本明細書で使用される場合の「バイオマーカー」という用語は、サンプル中で検出され得る、予測、診断、及び/又は予後の指標、例えば、HLA遺伝子(例えば、HLA-C1若しくはHLA-Bw4)、KIR遺伝子(例えば、KIR2DL3若しくはKIR3DL1)、NK細胞浸潤、又はNK細胞シグネチャー(例えば、以下の遺伝子の内の1つ又は複数を含むNK細胞シグネチャー:CD160、CD244、CTSW、FASLG、GZMA、GZMB、GZMH、IL18RAP、IL2RB、KIR2DL4、KLRB1、KLRC3、KLRD1、KRLF1、KLRK1、NCR1、NKG7、PRF1、XCL1、及びXCL2)を指す。バイオマーカーは、ある特定の分子的、病理学的、組織学的、及び/又は臨床的特徴によって特徴付けられる疾患又は障害(例えば、がん)の特定のサブタイプの指標としての機能を果たし得る。いくつかの実施態様では、バイオマーカーは、遺伝子である。バイオマーカーとしては、ポリヌクレオチド(例えば、DNA及び/又はRNA)、ポリヌクレオチドコピー数の変化(例えば、DNAコピー数)、ポリペプチド、ポリペプチド及びポリヌクレオチド修飾(例えば、翻訳後修飾)、炭水化物、並びに/又は糖脂質に基づく分子マーカーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
本明細書で使用される場合の「CD160」という用語は、別途記載されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然型CD160(分化クラスター160;NK1;BY55;及びNK28としても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のCD160、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のCD160を包含する。この用語は、天然に存在するCD160のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトCD160の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_007053.4に示されている。ヒトCD160によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号Q6FH89の下に示されている。
【0173】
本明細書で使用される場合の「CD244」という用語は、別途記載されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然型CD244(分化クラスター244;ナチュラルキラー細胞受容体2B4;NAIL;NKR2B4;Nmrk;及びSLAMF4としても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のCD244、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のCD244を包含する。この用語は、天然に存在するCD244のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトCD244の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_016382.4に示されている。ヒトCD244によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号Q07763の下に示されている。
【0174】
本明細書で使用される場合の「CTSW」という用語は、別途指示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型CTSW(カテプシンW;LYPNとしても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の、未処理のCTSW、並びに細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のCTSWを包含する。この用語は、天然に存在するCTSWのバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトCTSWの核酸配列は、NCBI参照配列:NM_001335.4に示されている。ヒトCTSWによってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号P56202の下に示されている。
【0175】
本明細書で使用される場合の「FASLG」という用語は、別途指示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型FASLG(Fasリガンド、FAS;CD95L;及びCD178としても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の、未処理のFASLG、並びに細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のFASLGを包含する。この用語は、天然に存在するFASLGのバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトFASLGの核酸配列は、NCBI参照配列:NM_000639.3に示されている。ヒトFASLGによってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号P48023の下に示されている。
【0176】
本明細書で使用される場合の「GZMA」という用語は、別途指示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型GZMA(グランザイムA、CTLA3;及びHFSPとしても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の、未処理のGZMA、並びに細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のGZMAを包含する。この用語は、天然に存在するGZMAのバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトGZMAの核酸配列は、NCBI参照配列:NM_006144.4に示されている。ヒトGZMAによってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号P12544の下に示されている。
【0177】
本明細書で使用される場合の「GZMB」という用語は、別途指示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型GZMB(グランザイムB、CGL13及びCSPBとしても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の、未処理のGZMB、並びに細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のGZMBを包含する。この用語は、天然に存在するGZMBのバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトGZMBの核酸配列は、NCBI参照配列:NM_004131.6に示されている。ヒトGZMBによってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号P10144の下に示されている。
【0178】
本明細書で使用される場合の「GZMH」という用語は、別途指示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型GZMH(グランザイムH、CGL2;CTSGL2;及びCSPCとしても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の、未処理のGZMH、並びに細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のGZMHを包含する。この用語は、天然に存在するGZMHのバリアント、例えば、スプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトGZMHの核酸配列は、NCBI参照配列:NM_033423.5に示されている。ヒトGZMHによってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号P20718の下に示されている。
【0179】
本明細書で使用される場合の「IL18RAP」という用語は、別途指示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型IL18RAP(インターロイキン18受容体アクセサリタンパク質;CDw218bとしても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のIL18RAP、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のIL18RAPを包含する。この用語は、天然に存在するIL18RAPのバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトIL18RAPの核酸配列は、NCBI参照配列:NM_003853.4に示されている。ヒトIL18RAPによってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号O95256の下に示されている。
【0180】
本明細書で使用される場合の「IL2RB」という用語は、別途記載されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然型IL2RB(インターロイキン2受容体サブユニットベータ、IL15RB;CD122;及びP70-75としても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のIL2RB、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のIL2RBを包含する。この用語は、天然に存在するIL2RBのバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトIL2RBの核酸配列は、NCBI参照配列:NM_000878.5に示されている。ヒトIL2RBによってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号P14784の下に示されている。
【0181】
本明細書で使用される場合の「KIR2DL4」という用語は、別途記載されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然型KIR2DL4(キラー細胞免疫グロブリン様受容体2DL4、CD158D;及びKIR103ASとしても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のKIR2DL4、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のKIR2DL4を包含する。この用語は、天然に存在するKIR2DL4のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトKIR2DL4の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_002255.6に示されている。ヒトKIR2DL4によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号Q99706の下に示されている。
【0182】
本明細書で使用される場合の「KLRB1」という用語は、別途記載されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然型KLRB1(キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーB、メンバー1、NKR-P1A;及びCD161としても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のKLRB1、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のKLRB1を包含する。この用語は、天然に存在するKLRB1のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトKLRB1の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_002258.3に示されている。ヒトKLRB1によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号Q12918の下に示されている。
【0183】
本明細書で使用される場合の「KLRC3」という用語は、別途記載されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然型KLRC3(キラー細胞レクチン様受容体C3、NKG2Eとしても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のKLRC3、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のKLRC3を包含する。この用語は、天然に存在するKLRC3のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトKLRC3の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_002261.3に示されている。ヒトKLRC3によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号Q07444の下に示されている。
【0184】
本明細書で使用される場合の「KLRD1」という用語は、別途記載されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然型KLRD1(キラー細胞レクチン様受容体D1、CD94としても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のKLRD1、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のKLRD1を包含する。この用語は、天然に存在するKLRD1のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトKLRD1の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_002262.5に示されている。ヒトKLRD1によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号Q13241の下に示されている。
【0185】
本明細書で使用される場合の「KLRF1」という用語は、別途記載されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然型KLRF1(キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーFメンバー1、CLEC5Cとしても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のKLRF1、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のKLRF1を包含する。この用語は、天然に存在するKLRF1のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトKLRF1の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_016523.3に示されている。ヒトKLRF1によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号Q9NZS2の下に示されている。
【0186】
本明細書で使用される場合の「KLRK1」という用語は、別途記載されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然型KLRK1(キラー細胞レクチン様受容体サブファミリーKメンバー1、NKG2Dとしても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のKLRK1、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のKLRK1を包含する。この用語は、天然に存在するKLRK1のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトKLRK1の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_007360.4に示されている。ヒトKLRK1によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号P26718の下に示されている。
【0187】
本明細書で使用される場合の「NCR1」という用語は、別途記載されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然型NCR1(細胞傷害誘発受容体1、CD335;NKP46;及びLY94としても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のNCR1、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のNCR1を包含する。この用語は、天然に存在するNCR1のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトNCR1の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_004829.7に示されている。ヒトNCR1によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号O76036の下に示されている。
【0188】
本明細書で使用される場合の「NKG7」という用語は、別途記載されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及び齧歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源由来の任意の天然型NKG7(ナチュラルキラー細胞顆粒タンパク質7、GIG1;GMP-17;及びp15-TIA-1としても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のNKG7、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のNKG7を包含する。この用語は、天然に存在するNKG7のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトNKG7の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_005601.4に示されている。ヒトNKG7によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号Q16617の下に示されている。
【0189】
本明細書で使用される場合の「PRF1」という用語は、別途指示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型PRF1(パーフォリン-1、PFPとしても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のPRF1、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のPRF1を包含する。この用語は、天然に存在するPRF1のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトPRF1の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_005041.6に示されている。ヒトPRF1によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号P14222の下に示されている。
【0190】
本明細書で使用される場合の「XCL1」という用語は、別途指示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型XCL1(ケモカイン(Cモチーフ)リガンド、LTN及びSCYC1としても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のXCL1、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のXCL1を包含する。この用語は、天然に存在するXCL1のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトXCL1の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_002995.3に示されている。ヒトXCL1によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号P47992の下に示されている。
【0191】
本明細書で使用される場合の「XCL2」という用語は、別途指示されない限り、霊長類(例えば、ヒト)及びげっ歯類(例えば、マウス及びラット)といった哺乳動物を含む、任意の脊椎動物源に由来する任意の天然型XCL2(ケモカイン(Cモチーフ)リガンド、SCM1B及びSCYC2としても知られる)を指す。この用語は、「完全長」の未処理のXCL2、及び細胞内での処理によりもたらされる任意の形態のXCL2を包含する。この用語は、天然に存在するXCL2のバリアント、例えばスプライスバリアント又は対立遺伝子バリアントも包含する。例示的なヒトXCL2の核酸配列は、NCBI参照配列:NM_003175.4に示されている。ヒトXCL2によってコードされる例示的なタンパク質のアミノ酸配列は、UniProt受託番号Q9UBD3の下に示されている。
【0192】
個体に対する臨床的利益の増加に関連するバイオマーカーの「量」又は「レベル」は、生物学的サンプル中で検出可能なレベルである。これらは、当業者に公知であり、本明細書にも開示されている方法によって測定することができる。評価されるバイオマーカーの発現レベル又は量を使用して、治療への応答を決定することができる。
【0193】
「発現のレベル」又は「発現レベル」という用語は、一般に、交換可能に使用され、通常、生物学的サンプル中のバイオマーカーの量を指す。「発現」は、一般に、情報(例えば、遺伝子によってコードされる情報及び/又はエピジェネティック情報)が、細胞中に存在し、細胞中で機能する構造に変換されるプロセスを指す。したがって、本明細書で使用される場合、「発現」とは、ポリヌクレオチドへの転写、ポリペプチドへの翻訳、又はさらにポリヌクレオチド及び/若しくはポリペプチド修飾(例えば、ポリペプチドの翻訳後修飾)を指す場合がある。また、転写されたポリヌクレオチド、翻訳されたポリペプチド、又はポリヌクレオチド及び/若しくはポリペプチド修飾(例えば、ポリペプチドの翻訳後修飾)の断片は、それらが選択的スプライシングによって生成された転写物若しくは分解された転写物に由来するか、又は例えばタンパク質分解によるポリペプチドの翻訳後プロセシングに由来するかどうかにかかわらず、発現されたものとみなされるべきである。「発現した遺伝子」とは、mRNAとしてポリヌクレオチドに転写され、その後、ポリペプチドに翻訳されるものを含み、RNAに転写されるが、ポリペプチドに翻訳されないもの(例えば、転移及びリボソームRNA)も含む。
【0194】
「発現の増加」、「発現レベルの増加」、「レベルの増加」、「発現の上昇」、「発現レベルの上昇」、又は「レベルの上昇」とは、疾患若しくは障害(例えば、がん)に罹患していない1つ又は複数の固体又は内部対照(例えば、ハウスキーピングバイオマーカー)などの対照と比較した個体におけるバイオマーカーの発現の増加又はそのレベルの増加を指す。
【0195】
「発現の減少」、「発現レベルの減少」、「レベルの減少」、「発現の低減」、「発現レベルの低減」、又は「レベルの低減」とは、疾患若しくは障害(例えば、がん)に罹患していない1つ又は複数の個体又は内部対照(例えば、ハウスキーピングバイオマーカー)などの対照と比較した個体におけるバイオマーカーの発現の減少又はレベルの減少を指す。いくつかの実施態様では、低減した発現とは、発現がほとんど又はまったくないことである。
【0196】
「ハウスキーピングバイオマーカー」という用語は、全ての細胞型中に典型的には同様に存在するバイオマーカー又はバイオマーカーの群(例えば、ポリヌクレオチド及び/又はポリペプチド)を指す。いくつかの実施態様において、ハウスキーピングバイオマーカーは、「ハウスキーピング遺伝子」である。「ハウスキーピング遺伝子」は、本明細書において、その活性が細胞機能の維持に必須であるタンパク質をコードし、全ての細胞型に典型的には同様に存在する遺伝子又は遺伝子の群を指す。
【0197】
「診断」という用語は、分子的又は病理学的状態、疾患、又は状態(例えば、がん(例えばNSCLC))の同定又は分類を指すために本明細書で使用される。例えば、「診断」は、特定の種類のがんの同定を指しうる。「診断」は、例えば、病理組織学的基準によるか、又は分子的特徴(例えば、バイオマーカー(例えば、特定の遺伝子又は当該遺伝子によってコードされるタンパク質)の1つ又は組み合わせの発現によって特徴付けられるサブタイプ)による、がんの特定のサブタイプの分類を指す場合もある。
【0198】
本明細書で使用される「サンプル」という用語は、例えば、物理的、生化学的、化学的、及び/又は生理学的特性に基づいて、特徴づけられる及び/又は同定される細胞及び/又は他の分子の実体を含有する、目的の対象及び/又は個体から得られるか、又はそれに由来する組成物を指す。例えば、「疾患サンプル」という語句及びその変形は、特徴づけられる細胞及び/又は分子の実体を含有することが期待されるか又は含有することが知られている、目的の対象から得られた任意のサンプルを指す。サンプルには、組織サンプル、初代又は培養細胞又は細胞株、細胞上清、細胞溶解物、血小板、血清、血漿、硝子体液、リンパ液、滑液、卵胞液、精液、羊水、乳、全血、血液由来の細胞、尿、脳脊髄液、唾液、痰、涙、汗、粘液、腫瘍溶解物、及び組織培養培地、ホモジナイズされた組織などの組織抽出物、腫瘍組織、細胞抽出物、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0199】
「組織サンプル」又は「細胞サンプル」は、対象又は個体の組織から得られた同様の細胞の集合体を意味する。組織又は細胞サンプルの供給源は、新鮮な、凍結した、及び/又は保存された器官、組織サンプル、生検、及び/又は吸引液から等の固形組織;血漿等の血液又は任意の血液構成物;脳脊髄液、羊水、腹水、又は間質液等の体液;対象の妊娠又は発育における任意の時期の細胞であってもよい。組織サンプルは、初代又は培養細胞又は細胞株でもあり得る。任意に、組織又は細胞サンプルは、疾患組織/器官から得られる。例えば、「腫瘍サンプル」は、腫瘍(例えば、肝臓腫瘍)又は他のがん性組織から得られた組織サンプルである。組織サンプルは、細胞型(例えば、腫瘍細胞及び非腫瘍細胞、がん性細胞及び非がん性細胞)の混合集団を含有し得る。組織サンプルは、防腐剤、抗凝固剤、緩衝剤、固定剤、栄養剤、抗生物質などの、天然の組織と天然では混合していない化合物を含有し得る。
【0200】
「腫瘍浸潤免疫細胞」とは、本明細書で使用される場合、腫瘍又はそのサンプル中に存在する任意の免疫細胞を指す。腫瘍浸潤免疫細胞としては、腫瘍内免疫細胞、腫瘍周辺免疫細胞、他の腫瘍間質細胞(例えば、線維芽細胞)、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。このような腫瘍浸潤免疫細胞は、例えばTリンパ球(CD8+Tリンパ球及び/又はCD4+Tリンパ球など)、Bリンパ球、又は顆粒球(例えば、好中球、好酸球及び好塩基球)、単球、マクロファージ、樹状細胞(例えば、指状嵌樹状細胞)、組織球、及びナチュラルキラー細胞を含む他の骨髄系細胞であり得る。
【0201】
本明細書で使用される場合、「腫瘍細胞」は、腫瘍又はそのサンプル中に存在する任意の腫瘍細胞を指す。腫瘍細胞は、当該技術分野において公知である、及び/又は本明細書に記載されている方法を使用して、腫瘍サンプル中に存在し得る他の細胞、例えば、間質細胞及び腫瘍浸潤免疫細胞と区別され得る。
【0202】
本明細書で使用される場合、「基準サンプル」、「基準細胞」、「基準組織」、「対照サンプル」、「対照細胞」、又は「対照組織」は、比較目的のために使用されるサンプル、細胞、組織、標準物、又はレベルを指す。一実施態様では、基準サンプル、基準細胞、基準組織、対照サンプル、対照細胞、又は対照組織は、同じ対象又は個体の身体の健常な及び/又は非疾患部分(例えば、組織又は細胞)から得られる。例えば、基準サンプル、基準細胞、基準組織、対照サンプル、対照細胞、又は対照組織は、疾患細胞又は組織に隣接する健常な及び/又は非疾患細胞若しくは組織(例えば、腫瘍に隣接する細胞又は組織)であり得る。別の実施態様では、基準サンプルは、同じ対象又は個体の身体の未治療の組織及び/又は細胞から得られる。また別の実施態様では、基準サンプル、基準細胞、基準組織、対照サンプル、対照細胞、又は対照組織は、対象又は個体ではない個体の身体の健常な及び/又は非疾患性部分(例えば、組織又は細胞)から得られる。さらに別の実施態様では、基準サンプル、基準細胞、基準組織、対照サンプル、対照細胞、又は対照組織は、対象又は個体ではない個体の身体の未治療の組織及び/又は細胞から得られる。
【0203】
本明細書において、組織サンプルの「切片」は、組織サンプルの単一の部分又は片、例えば、組織サンプル(例えば、腫瘍サンプル)から切り取られた組織又は細胞の薄いスライスを意味する。組織サンプルの複数の切片が採取及び分析され得ることが理解されるべきである。ただし、組織サンプルの同じ切片が、形態学的レベル及び分子レベルの両方で分析され得るか、又はポリペプチド(例えば、免疫組織化学によって)及び/若しくはポリヌクレオチド(例えば、in situハイブリダイゼーションによって)に関して分析され得ることが理解されるものとする。
【0204】
「相関させる」又は「相関させること」とは、任意の方法で、第1の分析又はプロトコルの性能及び/又は結果を、第2の分析又はプロトコルの性能及び/又は結果と比較することを意味する。例えば、第2のプロトコルを行う際に第1の分析若しくはプロトコルの結果を使用してもよく、及び/又は、第2の分析若しくはプロトコルが行われるべきかどうかを決定するために、第1の分析若しくはプロトコルの結果を使用してもよい。ポリペプチド分析又はプロトコルの実施態様に関して、特定の治療レジメンが行われるべきかどうかを決定するために、ポリペプチド発現分析又はプロトコルの結果を使用してもよい。ポリヌクレオチド分析又はプロトコルの実施態様に関して、特定の治療レジメンが行われるべきかどうかを決定するために、ポリヌクレオチド発現分析又はプロトコルの結果を使用してもよい。
【0205】
「に基づく」という語句は、本明細書で使用される場合、1つ又は複数のバイオマーカーについての情報が、治療の決定、添付文書に提供される情報又はマーケティング/宣伝指針などを伝えるために使用されることを意味する。
【0206】
本明細書で使用される場合、「有害事象」又は「AE」という用語は、医学的処置又は手順に関連すると考えられても考えられなくてもよい医学的処置又は手順の使用に時間的に関連する任意の好ましくない意図しない徴候(異常な検査所見を含む)、症状又は疾患を指す。有害事象は、国立がん研究所有害事象共通用語規準(National Cancer Institute Common Terminology Criteria for Adverse Events)v5.0(NIH CTCAE)によって定義される「グレード」によって分類することができる。いくつかの態様では、AEは低グレードAE、例えばグレード1又はグレード2AEである。グレード1には、無症候性又は軽度の症状を有するAEが含まれる。グレード2には、中等度で、年齢相応の手段的日常生活動作(例えば、食事の準備、食料品又は衣服の買い物)が制限され、かつ局所的又は非侵襲的介入を示すAEが含まれる。他の例では、AEは高グレードAE、例えばグレード3、グレード4、又はグレード5のAEである。グレード3には、重篤又は医学的に重大であるが、直ちに生命を脅かすものではなく、入院又は長期の入院の必要を示すAEが含まれる。グレード4には、生命を脅かす結果をもたらし、緊急の介入を要するAEが含まれる。グレード5には、死をもたらし、又は死に関連するAEが含まれる。
【0207】
本明細書で使用される場合、「免疫介在性有害事象」又は「irAE」という用語は推定される免疫関連病因を有する、NIH CTCAEによって分類される有害事象又は「特別な関心のある有害事象」(「AESI」)を指す。いくつかの態様では、imAEは、免疫チェックポイント阻害剤療法の結果として生じるAESIである。いくつかの態様では、imAEは、気道、内分泌系(「内分泌imAE」)、皮膚(「皮膚科imAE」若しくは「皮膚imAE」)、又は胃腸管(「GI imAE」)に影響を及ぼす。いくつかの態様では、imAEは肺炎である。
【0208】
本明細書中で使用される場合、用語「免疫チェックポイント阻害剤」は、免疫反応の調節を変化させるために少なくとも1つの免疫チェックポイントタンパク質を標的とする治療剤、例えば、免疫反応を下方制御する、阻害する、上方制御する、又は活性化する治療剤を指す。用語「免疫チェックポイント遮断」は、免疫チェックポイント阻害剤を含む治療を指すために使用され得る。免疫チェックポイントタンパク質は、当該技術分野で公知であり、これらには、プログラム細胞死リガンド(PD-L1)、TIGIT、細胞傷害性Tリンパ球抗原4(CTLA-4)、プログラム細胞死1(PD-1)、プログラム細胞死リガンド2(PD-L2)、T細胞活性化のVドメインIg抑制因子(VISTA)、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、2B4、ICOS、HVEM、CD160、gp49B、PIR-B、KIRファミリー受容体、TIM-1、TIM-3、TIM-4、LAG-3、BTLA、SIRPアルファ(CD47)、CD48、2B4 (CD244)、B7.1、B7.2、ILT-2、ILT-4、LAG-3、BTLA、IDO、OX40、及びA2aRが含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、免疫チェックポイントタンパク質は、活性化されたT細胞の表面上に発現され得る。本発明の方法に有用な免疫チェックポイント阻害剤として作用し得る治療剤には、PD-L1、TIGIT、PD-1、CTLA-4、PD-L2、VISTA、B7-H2、B7-H3、B7-H4、B7-H6、2B4、ICOS、HVEM、CD160、gp49B、PIR-B、KIRファミリー受容体、TIM-1、TIM-3、TIM-4、LAG- 3、BTLA、SIRPアルファ(CD47)、CD48、2B4 (CD244)、B7.1、B7.2、ILT-2、ILT-4、LAG-3、BTLA、IDO、OX40、及びA2aRのうちの1つ又は複数を標的とする治療剤が含まれるが、これらに限定されない。免疫チェックポイント阻害剤は、1つ又は複数の標的免疫チェックポイントタンパク質の機能を増強又は抑制する。いくつかの態様では、免疫チェックポイント阻害剤は、本明細書中に記載されるようなPD-1軸結合アンタゴニスト、例えば、アテゾリズマブなどである。
【0209】
II.肺がんのための治療及び診断方法並びに組成物
本明細書において提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)のための治療及び診断方法であり、この方法では、患者は、NK細胞教育の改善に関連するHLA若しくはKIR遺伝子又はHLA/KIR対、例えば、HLA-C1の少なくとも1コピー、HLA-Bw4の少なくとも1コピー、KIR2DL3の少なくとも1コピー、及び/又はKIR3DL1の少なくとも1コピーを含む患者の遺伝子型に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンについて同定され、それについて選択され、及び/又はそれを投与され得る。例えば、いくつかの例では、本明細書において提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)のための治療及び診断方法であり、この方法では、患者は、HLA-C1の少なくとも1コピー及び/又はKIR2DL3の少なくとも1コピーを含む患者の遺伝子型に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンについて同定され、それについて選択され、及び/又はそれを投与され得る。別の例では、本明細書において提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)のための治療及び診断方法であり、この方法では、患者は、HLA-Bw4の少なくとも1コピー及び/又はKIR3DL1の少なくとも1コピーを含む患者の遺伝子型に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンについて同定され、それについて選択され、及び/又はそれを投与され得る。理論に束縛されることを望まないが、このような患者は、例えばNK細胞教育の改善により、NK細胞の活性又は機能が増加している場合がある。したがって、このような患者は、単独又はPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)との組み合わせによるNK細胞指向性治療剤からも利益を受け得る。
【0210】
また、本明細書において提供されるのは、がんのための治療及び診断方法であり、この方法では、患者は、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンについて同定され、それについて選択され、及び/又はそれを投与され得る。理論に束縛されることを望まないが、このような患者は、例えばNK細胞教育の改善により、NK細胞の活性又は機能が増加している場合がある。したがって、このような患者は、単独又はPD-1軸結合アンタゴニストとの組み合わせによるNK細胞指向性治療剤からも利益を受け得る。
【0211】
また、例えば、KIR2DL3又はKIR3DL1を発現するNK細胞が、それぞれHLA-C1又はHLA-Bw4を発現する細胞と接触され得る、NK細胞教育のためのin vitro方法も提供される。得られたNK細胞は、例えば、養子細胞療法、例えば、HLA欠損表現型を有する患者に対する養子細胞療法に使用され得る。
【0212】
一例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0213】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0214】
一例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0215】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)である。
【0216】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR3DL1の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0217】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR3DL1の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0218】
一例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0219】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)である。
【0220】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0221】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0222】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0223】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0224】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0225】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0226】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0227】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0228】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0229】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列全ゲノム配列決定(WGS)又は全エクソーム配列決定(WES)を実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0230】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。
【0231】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えばNSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。
【0232】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0233】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えばNSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0234】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。
【0235】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。
【0236】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0237】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0238】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0239】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0240】
前述の例のいずれかは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することをさらに含み得る。
【0241】
本明細書に記載される例のいずれかでは、患者のゲノムにおけるHLA-C1、HLA-Bw4、KIR2DL3、及び/又はKIR3DL1の存在は、任意の適切なアプローチを用いて決定することができる。例えば、いくつかの例では、次世代配列決定、サンガー配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイ、又は一塩基多型(SNP)アレイを用いて、患者のゲノムにおけるHLA-C1、HLA-Bw4、KIR2DL3、及び/又はKIR3DL1の存在が決定される。いくつかの例では、次世代配列決定は、生殖細胞系列全ゲノム配列決定又は生殖細胞系列全エクソーム配列決定を含む。いくつかの例では、PCRに基づくアッセイは、定量的PCR(qPCR)、配列特異的プライマー(SSP)を用いたタイピング、又は配列特異的オリゴヌクレオチドプローブ(SSO)を含む。
【0242】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ナチュラルキラー(NK)細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0243】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療に使用するためのPD-1軸結合アンタゴニストである。
【0244】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0245】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0246】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することを含む。
【0247】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルを、1つ又は複数のNK細胞マーカーに結合する1つ又は複数の抗体又はヌクレオチドプローブと接触させて、腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルを決定することと;(b)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することとを含む。任意の適切な抗体又はヌクレオチドプローブ、例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野で公知の任意のNK細胞マーカー、例えば、以下の遺伝子:CD160、CD244、CTSW、FASLG、GZMA、GZMB、GZMH、IL18RAP、IL2RB、KIR2DL4、KLRB1、KLRC3、KLRD1、KRLF1、KLRK1、NCR1、NKG7、PRF1、XCL1、及びXCL2のうちの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個すべて)に結合する抗体又はヌクレオチドプローブを使用してもよい。
【0248】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0249】
本明細書に記載の例のいずれかは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含み得る。
【0250】
本明細書に記載の例のいずれかでは、NK細胞の浸潤レベルは、任意の適切なアプローチを用いて決定することができる。例えば、いくつかの例では、NK細胞浸潤のレベルは、NK細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定することによって、腫瘍サンプル中のNK細胞の数をカウントすることによって、又は例えば免疫蛍光、免疫組織化学、ウェスタンブロット、フローサイトメトリー、若しくは任意の他の適切なアプローチによって、1つ又は複数のNK細胞マーカーの存在若しくはレベルを検出することによって、決定される。任意の適切なNK細胞マーカー又はNK細胞マーカーの組み合わせが使用され得る。いくつかの態様では、NK細胞マーカーは、共刺激受容体、例えば、TRAIL、CD16a、CD16b、NKG2D、NKG2C、4-1BB、OX40、CD27、2B4、DNAM-1、NKp30、NKp46、NKp44、NKp80、KIR2DS1、及びKIR2DS2である。いくつかの態様では、NK細胞受容体は共阻害受容体である。いくつかの態様では、共阻害受容体は、NKG2A、又はKIR、例えば、KIR3DL1、KIR2DL1、KIR2DL2、若しくはKIR2DL3である。
【0251】
本明細書に記載の例のいずれかでは、NK細胞遺伝子シグネチャーは、以下の遺伝子:CD160、CD244、CTSW、FASLG、GZMA、GZMB、GZMH、IL18RAP、IL2RB、KIR2DL4、KLRB1、KLRC3、KLRD1、KRLF1、KLRK1、NCR1、NKG7、PRF1、XCL1、及びXCL2のうちの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個すべて)を含み得る。いくつかの例では、NK細胞遺伝子シグネチャーは、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、又は20個全ての遺伝子を含む。いくつかの例では、NK細胞浸潤の基準レベルは中央値レベルである。いくつかの例では、中央値レベルは、がん(例えば、NSCLC)患者の集団の中央値レベルである。
【0252】
いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-C1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)又はHLA-Bw4の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-C1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-Bw4の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。
【0253】
いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)又はKIR3DL1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR3DL1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。
【0254】
前述の例のいずれかを含む本明細書に開示された例のいずれかは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することをさらに含み得る。任意の適切なNK細胞指向性治療剤、例えば、以下のセクションVに記載されている任意のNK細胞指向性治療剤が使用され得る。いくつかの例では、Hodgins et al. J. Clin. Invest. 129(9):3499-3510, 2019に記載されている任意のNK細胞指向性療法が使用され得る。一例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞、自家NK細胞、市販のNK細胞、キメラ抗原受容体(CAR)-NK細胞、サイトカイン療法、NK細胞エンゲージャー(例えば、二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)、三重特異性キラー細胞エンゲージャー(TriKE)、若しくは四重特異性キラー細胞エンゲージャー(TetraKE))、NK細胞チェックポイント受容体アンタゴニスト、又は腫瘍溶解性ウイルスを含む。
【0255】
一例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0256】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0257】
一例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0258】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)である。
【0259】
一例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR3DL1の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0260】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR3DL1の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0261】
一例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0262】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)である。
【0263】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0264】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法における使用のためのNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0265】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0266】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0267】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0268】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0269】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0270】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0271】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0272】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列全ゲノム配列決定(WGS)又は全エクソーム配列決定(WES)を実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0273】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。
【0274】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。
【0275】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0276】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0277】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。
【0278】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。
【0279】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンを選択することとを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0280】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンを選択することを含む。
【0281】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンを選択することとを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0282】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンを選択することを含む。
【0283】
本明細書に記載の実施例のいずれにおいても、患者のゲノムにおけるHLA-C1、HLA-Bw4、KIR2DL3、及び/又はKIR3DL1の存在は、任意の適切なアプローチを用いて決定することができる。例えば、いくつかの例では、次世代配列決定、サンガー配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイ、又は一塩基多型(SNP)アレイを用いて、患者のゲノムにおけるHLA-C1、HLA-Bw4、KIR2DL3、及び/又はKIR3DL1の存在が決定される。いくつかの例では、次世代配列決定は、生殖細胞系列全ゲノム配列決定又は生殖細胞系列全エクソーム配列決定を含む。いくつかの例では、PCRに基づくアッセイは、定量的PCR(qPCR)、配列特異的プライマー(SSP)を用いたタイピング、又は配列特異的オリゴヌクレオチドプローブ(SSO)を含む。
【0284】
本明細書に記載された例のいずれかは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含み得る。
【0285】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ナチュラルキラー(NK)細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0286】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療に使用するためのNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)である。
【0287】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0288】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法における使用のためのNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)であって、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0289】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することを含む。
【0290】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルを、1つ又は複数のNK細胞マーカーに結合する1つ又は複数の抗体又はヌクレオチドプローブと接触させて、腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルを決定することと;(b)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することとを含む。
【0291】
任意の適切な抗体又はヌクレオチドプローブ、例えば、本明細書に記載の又は当該技術分野で公知の任意のNK細胞マーカー、例えば、以下の遺伝子:CD160、CD244、CTSW、FASLG、GZMA、GZMB、GZMH、IL18RAP、IL2RB、KIR2DL4、KLRB1、KLRC3、KLRD1、KRLF1、KLRK1、NCR1、NKG7、PRF1、XCL1、及びXCL2のうちの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個すべて)に結合する抗体又はヌクレオチドプローブを使用してもよい。
【0292】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0293】
本明細書に記載された例のいずれかは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含み得る。
【0294】
本明細書に記載の例のいずれかでは、NK細胞の浸潤レベルは、任意の適切なアプローチを用いて決定することができる。例えば、いくつかの例では、NK細胞浸潤のレベルは、NK細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定することによって、腫瘍サンプル中のNK細胞の数をカウントすることによって、又は例えば免疫蛍光、免疫組織化学、ウェスタンブロット、フローサイトメトリー、若しくは任意の他の適切なアプローチによって、1つ又は複数のNK細胞マーカーの存在若しくはレベルを検出することによって、決定される。任意の適切なNK細胞マーカー又はNK細胞マーカーの組み合わせが使用され得る。いくつかの態様では、NK細胞マーカーは、共刺激受容体、例えば、TRAIL、CD16a、CD16b、NKG2D、NKG2C、4-1BB、OX40、CD27、2B4、DNAM-1、NKp30、NKp46、NKp44、NKp80、KIR2DS1、及びKIR2DS2である。いくつかの態様では、NK細胞受容体は共阻害受容体である。いくつかの態様では、共阻害受容体は、NKG2A、又はKIR、例えば、KIR3DL1、KIR2DL1、KIR2DL2、若しくはKIR2DL3である。
【0295】
本明細書に記載の例のいずれかでは、NK細胞遺伝子シグネチャーは、以下の遺伝子:CD160、CD244、CTSW、FASLG、GZMA、GZMB、GZMH、IL18RAP、IL2RB、KIR2DL4、KLRB1、KLRC3、KLRD1、KRLF1、KLRK1、NCR1、NKG7、PRF1、XCL1、及びXCL2のうちの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個すべて)を含み得る。いくつかの例では、NK細胞遺伝子シグネチャーは、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、又は20個全ての遺伝子を含む。いくつかの例では、NK細胞浸潤の基準レベルは中央値レベルである。いくつかの例では、中央値レベルは、がん、(例えばNSCLC)患者の集団の中央値レベルである。
【0296】
いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-C1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)又はHLA-Bw4の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-C1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-Bw4の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。
【0297】
いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)又はKIR3DL1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR3DL1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。
【0298】
任意の適切なNK細胞指向性治療剤、例えば、以下のセクションVに記載されている任意のNK細胞指向性治療剤が使用され得る。任意の適切なNK細胞指向性治療剤(本明細書に記載される任意のNK細胞指向性治療剤を含む)が使用され得る(例えば、以下のセクションVを参照)。いくつかの例では、Hodgins et al. J. Clin. Invest. 129(9):3499-3510, 2019に記載されている任意のNK細胞指向性療法が使用され得る。一例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞、自家NK細胞、市販のNK細胞、キメラ抗原受容体(CAR)-NK細胞、サイトカイン療法、NK細胞エンゲージャー(例えば、二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)、三重特異性キラー細胞エンゲージャー(TriKE)、若しくは四重特異性キラー細胞エンゲージャー(TetraKE))、NK細胞チェックポイント受容体アンタゴニスト、又は腫瘍溶解性ウイルスを含む。
【0299】
NK細胞指向性治療剤が患者に投与される先述の例のいずれかは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を患者に投与することをさらに含み得る。
【0300】
また本明細書では、NK細胞教育のためのin vitro方法も提供される。例えば、このような方法は、KIR2DL3又はKIR3DL1を発現するNK細胞を、HLA-C1又はHLA-Bw4を発現する細胞と、例えば、NK細胞教育に十分な条件下及び時間、接触させることを含み得る。そのような教育されたNK細胞は、例えば、養子細胞療法、例えば、HLA欠損表現型を有する患者に対する養子細胞療法に使用され得る。
【0301】
例えば、本明細書で提供されるのは、KIR2DL3を発現するNK細胞を、例えば、NK細胞教育に十分な条件下及び時間、HLA-C1を発現する細胞と接触させることを含む、NK細胞教育のin vitro 方法である。
【0302】
別の例では、本明細書で提供されるのは、KIR3DL1を発現するNK細胞を、例えば、NK細胞教育に十分な条件下及び時間、HLA-Bw4を発現する細胞と接触させることを含む、NK細胞教育のin vitro 方法である。
【0303】
このようなNK細胞は、KIR2DL3又はKIR3DL1を内因的に発現してもよいし、KIR2DL3又はKIR3DL1を発現するように操作されてもよい(例えば、遺伝子編集又は導入(例えば、レンチウイルス導入)を用いて)。任意の適切な操作アプローチが使用され得る。
【0304】
いくつかの例では、本明細書に記載されているようにin vitroで教育されたNK細胞は、養子細胞療法に使用され得る。例えば、いくつかの例では、本明細書に記載されるようにin vitroで教育されたNK細胞は、HLA欠損表現型を有する患者(例えば、NSCLC患者)を治療するために使用され得る。いくつかの例では、本明細書に記載されるようにin vitroで教育されたNK細胞は、ゲノムにHLA-C1、HLA-Bw4、KIR2DL3、及び/又はKIR3DL1が欠失しているがん(例えば、NSCLC)を有する患者を治療するために使用され得る。いくつかの例では、患者のゲノムにHLA-C1が欠失している。いくつかの例では、患者のゲノムにHLA-Bw4が欠失している。いくつかの例では、患者のゲノムにKIR2DL3が欠失している。いくつかの例では、患者のゲノムにKIR3DL1が欠失している。
【0305】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失していると決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0306】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失していると決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)の治療における使用のためのNK細胞指向性治療剤である。
【0307】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、患者がNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0308】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療する方法における使用のためのNK細胞指向性治療剤であって、この方法は、(a)患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、患者がNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0309】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することを含む。
【0310】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る、がん(例えば、NSCLC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が非存在であるか否かを決定することにより、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することとを含む。
【0311】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0312】
任意の適切なNK細胞指向性治療剤(本明細書に記載される任意のNK細胞指向性治療剤を含む)が使用され得る(例えば、以下のセクションVを参照)。いくつかの例では、Hodgins et al. J. Clin. Invest. 129(9):3499-3510, 2019に記載されている任意のNK細胞指向性療法が使用され得る。一例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞、自家NK細胞、市販のNK細胞、キメラ抗原受容体(CAR)-NK細胞、サイトカイン療法、NK細胞エンゲージャー(例えば、二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)、三重特異性キラー細胞エンゲージャー(TriKE)、若しくは四重特異性キラー細胞エンゲージャー(TetraKE))、NK細胞チェックポイント受容体アンタゴニスト、又は腫瘍溶解性ウイルスを含む。
【0313】
いくつかの例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞、自家NK細胞、市販のNK細胞、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞を含む。他の例では、NK細胞指向性治療剤は、自家NK細胞を含む。さらに他の例では、NK細胞指向性治療剤は、市販のNK細胞を含む。
【0314】
いくつかの例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又は市販のNK細胞は、KIR2DL3又はKIR3DL1を発現するように操作される。例えば、いくつかの例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又は市販のNK細胞は、KIR2DL3を発現するように操作される。例えば、他の例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又は市販のNK細胞は、KIR3DL1を発現するように操作される。
【0315】
いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-C1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)又はHLA-Bw4の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-C1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-Bw4の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。
【0316】
いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)又はKIR3DL1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR3DL1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。
【0317】
いくつかの例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又はKIR2DL3若しくはKIR3DL1を発現するように操作された市販のNK細胞による治療の結果、患者は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者となる。
【0318】
前述の例のいずれかは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンを、例えば、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療の前、それと同時、又はその後に、患者に投与することをさらに含み得る。
【0319】
いくつかの例では、利益は全生存期間(OS)の改善又は無増悪生存期間(PFS)の改善に関する。いくつかの例では、利益はOSの改善に関する。いくつかの例では、利益はPFSの改善に関する。いくつかの例では、改善は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含まない治療レジメンによる治療に対するものである。
【0320】
がんは任意の適切ながんであり得る。例えば、いくつかの例では、がんは、肺がん(例えば、NSCLC)、腎がん(例えば、腎細胞がん)、又は黒色腫である。
【0321】
いくつかの例では、がんはNSCLCである。いくつかの例では、NSCLCは非扁平上皮NSCLC又は扁平上皮NSCLCである。いくつかの例では、NSCLCは非扁平NSCLCである。いくつかの例では、非扁平上皮NSCLCは、局所進行性又は転移性非扁平上皮NSCLCである。いくつかの例では、非扁平上皮NSCLCは、転移性非扁平上皮NSCLCである。他の例では、NSCLCは扁平上皮NSCLCである。いくつかの例では、扁平上皮NSCLCは、局所進行性又は転移性扁平上皮NSCLCである。いくつかの例では、扁平上皮NSCLCは、転移性扁平上皮NSCLCである。
【0322】
例えば、一例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0323】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0324】
一例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0325】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブである。
【0326】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR3DL1の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0327】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR3DL1の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0328】
一例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0329】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブである。
【0330】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0331】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0332】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0333】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0334】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0335】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0336】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0337】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニストであって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0338】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、NSCLCを有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0339】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、NSCLCを有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0340】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、NSCLCを有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。
【0341】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、NSCLCを有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。
【0342】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、NSCLCを有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0343】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、NSCLCを有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0344】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、NSCLCを有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。
【0345】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、NSCLCを有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。
【0346】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0347】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0348】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0349】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0350】
前述の例のいずれかは、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することをさらに含み得る。
【0351】
本明細書に記載される例のいずれかでは、患者のゲノムにおけるHLA-C1、HLA-Bw4、KIR2DL3、及び/又はKIR3DL1の存在は、任意の適切なアプローチを用いて決定することができる。例えば、いくつかの例では、次世代配列決定、サンガー配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイ、又は一塩基多型(SNP)アレイを用いて、患者のゲノムにおけるHLA-C1、HLA-Bw4、KIR2DL3、及び/又はKIR3DL1の存在が決定される。いくつかの例では、次世代配列決定は、生殖細胞系列全ゲノム配列決定又は生殖細胞系列全エクソーム配列決定を含む。いくつかの例では、PCRに基づくアッセイは、定量的PCR(qPCR)、配列特異的プライマー(SSP)を用いたタイピング、又は配列特異的オリゴヌクレオチドプローブ(SSO)を含む。
【0352】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0353】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療に使用するためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)である。
【0354】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0355】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0356】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、NSCLCを有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することを含む。
【0357】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、NSCLCを有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルを、1つ又は複数のNK細胞マーカーに結合する1つ又は複数の抗体又はヌクレオチドプローブと接触させて、腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルを決定することと;(b)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することとを含む。
【0358】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCを有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0359】
本明細書に記載の例のいずれかは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含み得る。
【0360】
本明細書に記載の例のいずれかでは、NK細胞の浸潤レベルは、任意の適切なアプローチを用いて決定することができる。例えば、いくつかの例では、NK細胞浸潤のレベルは、NK細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定することによって、腫瘍サンプル中のNK細胞の数をカウントすることによって、又は例えば免疫蛍光、免疫組織化学、ウェスタンブロット、フローサイトメトリー、若しくは任意の他の適切なアプローチによって、1つ又は複数のNK細胞マーカーの存在若しくはレベルを検出することによって、決定される。
【0361】
本明細書に記載の例のいずれかでは、NK細胞遺伝子シグネチャーは、以下の遺伝子:CD160、CD244、CTSW、FASLG、GZMA、GZMB、GZMH、IL18RAP、IL2RB、KIR2DL4、KLRB1、KLRC3、KLRD1、KRLF1、KLRK1、NCR1、NKG7、PRF1、XCL1、及びXCL2のうちの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個すべて)を含み得る。いくつかの例では、NK細胞遺伝子シグネチャーは、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、又は20個全ての遺伝子を含む。いくつかの例では、NK細胞浸潤の基準レベルは中央値レベルである。いくつかの例では、中央値レベルは、NSCLC患者の集団の中央値レベルである。
【0362】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失していると決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0363】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失していると決定された、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療における使用のためのNK細胞指向性治療剤である。
【0364】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法であって、(a)患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、患者がNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0365】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NSCLCの治療を必要とする患者におけるNSCLCを治療する方法における使用のためのNK細胞指向性治療剤であって、この方法は、(a)患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、患者がNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0366】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る、NSCLCを有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することを含む。
【0367】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る、NSCLCを有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が非存在であるか否かを決定することにより、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することとを含む。
【0368】
別の例では、本明細書で提供されるのは、がん(例えば、NSCLC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0369】
任意の適切なNK細胞指向性治療剤(本明細書に記載される任意のNK細胞指向性治療剤を含む)が使用され得る(例えば、以下のセクションVを参照)。いくつかの例では、Hodgins et al. J. Clin. Invest. 129(9):3499-3510, 2019に記載されている任意のNK細胞指向性療法が使用され得る。一例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞、自家NK細胞、市販のNK細胞、キメラ抗原受容体(CAR)-NK細胞、サイトカイン療法、NK細胞エンゲージャー(例えば、二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)、三重特異性キラー細胞エンゲージャー(TriKE)、若しくは四重特異性キラー細胞エンゲージャー(TetraKE))、NK細胞チェックポイント受容体アンタゴニスト、又は腫瘍溶解性ウイルスを含む。
【0370】
いくつかの例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞、自家NK細胞、市販のNK細胞、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞を含む。他の例では、NK細胞指向性治療剤は、自家NK細胞を含む。さらに他の例では、NK細胞指向性治療剤は、市販のNK細胞を含む。
【0371】
いくつかの例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又は市販のNK細胞は、KIR2DL3又はKIR3DL1を発現するように操作される。例えば、いくつかの例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又は市販のNK細胞は、KIR2DL3を発現するように操作される。例えば、他の例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又は市販のNK細胞は、KIR3DL1を発現するように操作される。
【0372】
いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-C1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)又はHLA-Bw4の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-C1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-Bw4の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。
【0373】
いくつかの例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又はKIR2DL3若しくはKIR3DL1を発現するように操作された市販のNK細胞による治療の結果、患者は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者となる。
【0374】
前述の例のいずれかは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンを、例えば、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療の前、それと同時、又はその後に、患者に投与することをさらに含み得る。
【0375】
いくつかの例では、利益は全生存期間(OS)の改善又は無増悪生存期間(PFS)の改善に関する。いくつかの例では、利益はOSの改善に関する。いくつかの例では、利益はPFSの改善に関する。いくつかの例では、改善は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含まない治療レジメンによる治療に対するものである。
【0376】
いくつかの例では、がんは腎がんである。いくつかの例では、腎がんはRCCである。いくつかの例では、RCCは、局所進行性又は転移性RCCである。
【0377】
例えば、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0378】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0379】
一例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0380】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)である。
【0381】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR3DL1の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0382】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR3DL1の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0383】
一例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0384】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)である。
【0385】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0386】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0387】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0388】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0389】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0390】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。いくつかの例では、工程(a)は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0391】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0392】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)の治療における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0393】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、腎がん(例えば、RCC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0394】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、腎がん(例えばRCC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0395】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、腎がん(例えば、RCC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。
【0396】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、腎がん(例えばRCC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。
【0397】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、腎がん(例えば、RCC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0398】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、腎がん(例えばRCC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0399】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、腎がん(例えば、RCC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することを含む。
【0400】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、腎がん(例えばRCC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、生殖細胞系列WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することにより、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することを含む。
【0401】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0402】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0403】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。いくつかの例では、方法は、患者のゲノムが、KIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することをさらに含む。
【0404】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在が、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーの存在に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0405】
前述の例のいずれかは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することをさらに含み得る。
【0406】
本明細書に記載される例のいずれかでは、患者のゲノムにおけるHLA-C1、HLA-Bw4、KIR2DL3、及び/又はKIR3DL1の存在は、任意の適切なアプローチを用いて決定することができる。例えば、いくつかの例では、次世代配列決定、サンガー配列決定、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)に基づくアッセイ、又は一塩基多型(SNP)アレイを用いて、患者のゲノムにおけるHLA-C1、HLA-Bw4、KIR2DL3、及び/又はKIR3DL1の存在が決定される。いくつかの例では、次世代配列決定は、生殖細胞系列全ゲノム配列決定又は生殖細胞系列全エクソーム配列決定を含む。いくつかの例では、PCRに基づくアッセイは、定量的PCR(qPCR)、配列特異的プライマー(SSP)を用いたタイピング、又は配列特異的オリゴヌクレオチドプローブ(SSO)を含む。
【0407】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ナチュラルキラー(NK)細胞浸潤の基準レベルと比較して患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法であって、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0408】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)の治療に使用するためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)である。
【0409】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法であって、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0410】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法における使用のためのPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)であって、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0411】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、腎がん(例えば、RCC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することを含む。
【0412】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受け得る、腎がん(例えばRCC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルを、1つ又は複数のNK細胞マーカーに結合する1つ又は複数の抗体又はヌクレオチドプローブと接触させて、腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルを決定することと;(b)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することとを含む。
【0413】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することであって、NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加は、患者がPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者から得られた腫瘍サンプルが、NK細胞浸潤の基準レベルと比較してNK細胞浸潤のレベルが増加しているか否かを決定することと;(b)NK細胞浸潤の基準レベルと比較した患者から得られた腫瘍サンプル中のNK細胞浸潤のレベルの増加に基づいて、PD-1軸結合アンタゴニストを含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0414】
本明細書に記載の例のいずれかは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含み得る。
【0415】
本明細書に記載の例のいずれかでは、NK細胞の浸潤レベルは、任意の適切なアプローチを用いて決定することができる。例えば、いくつかの例では、NK細胞浸潤のレベルは、NK細胞遺伝子シグネチャーの発現レベルを決定することによって、腫瘍サンプル中のNK細胞の数をカウントすることによって、又は例えば免疫蛍光、免疫組織化学、ウェスタンブロット、フローサイトメトリー、若しくは任意の他の適切なアプローチによって、1つ又は複数のNK細胞マーカーの存在若しくはレベルを検出することによって、決定される。
【0416】
本明細書に記載の例のいずれかでは、NK細胞遺伝子シグネチャーは、以下の遺伝子:CD160、CD244、CTSW、FASLG、GZMA、GZMB、GZMH、IL18RAP、IL2RB、KIR2DL4、KLRB1、KLRC3、KLRD1、KRLF1、KLRK1、NCR1、NKG7、PRF1、XCL1、及びXCL2のうちの1つ又は複数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個すべて)を含み得る。いくつかの例では、NK細胞遺伝子シグネチャーは、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、少なくとも10個、少なくとも11個、少なくとも12個、少なくとも13個、少なくとも14個、少なくとも15個、少なくとも16個、少なくとも17個、少なくとも18個、少なくとも19個、又は20個全ての遺伝子を含む。いくつかの例では、NK細胞浸潤の基準レベルは中央値レベルである。いくつかの例では、中央値レベルは、腎がん(例えば、RCC)患者の集団の中央値レベルである。
【0417】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失していると決定された、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法であって、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することを含む、方法である。
【0418】
別の例では、本明細書で提供されるのは、ゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失していると決定された、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)の治療における使用のためのNK細胞指向性治療剤である。
【0419】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法であって、(a)患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、患者がNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む、方法である。
【0420】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)の治療を必要とする患者における腎がん(例えば、RCC)を治療する方法における使用のためのNK細胞指向性治療剤であって、この方法は、(a)患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、患者がNK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受ける可能性が高いことを示す、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンの有効量を患者に投与することとを含む。
【0421】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る、腎がん(例えば、RCC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することを含む。
【0422】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る、腎がん(例えば、RCC)を有する患者を同定する方法であって、この方法は、(a)患者から得られたDNAサンプルを断片化して断片化DNAを生成すること、断片化DNAにアダプターを添加して1つ又は複数のライブラリーを生成すること、及び1つ又は複数のライブラリーを配列決定することにより、WGS又はWESを実施することと;(b)患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が非存在であるか否かを決定することにより、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンから利益を受け得る患者として患者を同定することとを含む。
【0423】
別の例では、本明細書で提供されるのは、腎がん(例えば、RCC)を有する患者のための治療法を選択するための方法であって、この方法は、(a)患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することであって、患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在が、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者として患者を同定する、患者のゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失しているか否かを決定することと;(b)患者のゲノムにおけるKIR2DL3又はKIR3DL1の非存在に基づいて、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンを選択することとを含む。
【0424】
任意の適切なNK細胞指向性治療剤(本明細書に記載される任意のNK細胞指向性治療剤を含む)が使用され得る(例えば、以下のセクションVを参照)。いくつかの例では、Hodgins et al. J. Clin. Invest. 129(9):3499-3510, 2019に記載されている任意のNK細胞指向性療法が使用され得る。一例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞、自家NK細胞、市販のNK細胞、キメラ抗原受容体(CAR)-NK細胞、サイトカイン療法、NK細胞エンゲージャー(例えば、二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)、三重特異性キラー細胞エンゲージャー(TriKE)、若しくは四重特異性キラー細胞エンゲージャー(TetraKE))、NK細胞チェックポイント受容体アンタゴニスト、又は腫瘍溶解性ウイルスを含む。
【0425】
いくつかの例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞、自家NK細胞、市販のNK細胞、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞を含む。他の例では、NK細胞指向性治療剤は、自家NK細胞を含む。さらに他の例では、NK細胞指向性治療剤は、市販のNK細胞を含む。
【0426】
いくつかの例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又は市販のNK細胞は、KIR2DL3又はKIR3DL1を発現するように操作される。例えば、いくつかの例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又は市販のNK細胞は、KIR2DL3を発現するように操作される。例えば、他の例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又は市販のNK細胞は、KIR3DL1を発現するように操作される。
【0427】
いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-C1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)又はHLA-Bw4の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-C1の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。いくつかの例では、患者のゲノムは、HLA-Bw4の少なくとも1コピー(例えば、1若しくは2コピー)を含む。
【0428】
いくつかの例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又はKIR2DL3若しくはKIR3DL1を発現するように操作された市販のNK細胞による治療の結果、患者は、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンによる治療から利益を受け得る患者となる。
【0429】
前述の例のいずれかは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含む治療レジメンを、例えば、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンによる治療の前、それと同時、又はその後に、患者に投与することをさらに含み得る。
【0430】
いくつかの例では、利益は全生存期間(OS)の改善又は無増悪生存期間(PFS)の改善に関する。いくつかの例では、利益はOSの改善に関する。いくつかの例では、利益はPFSの改善に関する。いくつかの例では、改善は、PD-1軸結合アンタゴニストを含まない治療レジメンによる治療に対するものである。
【0431】
本明細書に記載される例のいずれかでは、患者は化学療法を受けていなくてもよい。
【0432】
本明細書に記載される例のいずれかでは、治療レジメンは第一選択治療レジメンであってもよい。
【0433】
任意の適切なPD-1軸結合アンタゴニスト(本明細書に記載されている任意のPD-1軸結合アンタゴニストを含む)が使用され得る(例えば、以下のセクションVを参照)。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト及びPD-L2結合アンタゴニストから選択される。
【0434】
いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストはPD-L1結合アンタゴニストである。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、(a)それぞれ、GFTFSDSWIH(配列番号3)、AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号4)及びRHWPGGFDY(配列番号5)の超可変領域(HVR)-H1、HVR-H2及びHVR-H3配列と、(b)それぞれ、RASQDVSTAVA(配列番号6)、SASFLYS(配列番号7)及びQQYLYHPAT(配列番号8)のHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3配列とを含む。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、(a)配列番号9のアミノ酸配列を含むVH;及び(b)配列番号10のアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、アテゾリズマブ、デュルバルマブ、アベルマブ、又はMDX-1105である。いくつかの例では、抗PD-L1抗体はアテゾリズマブである。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、静脈内又は皮下投与される。いくつかの例では、アテゾリズマブは840mgの用量で2週間ごとに静脈内投与される。いくつかの例では、アテゾリズマブは1200mgの用量で3週間ごとに静脈内投与される。いくつかの例では、アテゾリズマブは1680mgの用量で4週間ごとに静脈内投与される。
【0435】
他の例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニストである。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは抗PD-1抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MEDI-0680、スパルタリズマブ、セミプリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ又はドスタルリマブである。
【0436】
いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、有効量の1つ又は複数の追加の治療剤と組み合わせて投与される。例えば、いくつかの実施態様では、治療レジメンは、タキサン(例えば、nab-パクリタキセル若しくはパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、抗血管新生剤(例えば、アテゾリズマブなどの抗VEGF抗体)、NK細胞指向性療法(例えば、NK細胞エンゲージャー)、又はそれらの組み合わせを含む。
【0437】
いくつかの例では、治療レジメンは、タキサン(例えば、nab-パクリタキセル又はパクリタキセル)をさらに含む。いくつかの例では、タキサンはnab-パクリタキセルである。いくつかの例では、タキサンはパクリタキセルである。
【0438】
いくつかの例では、治療レジメンは白金系化学療法剤をさらに含む。いくつかの例では、白金系化学療法剤はカルボプラチンである。
【0439】
いくつかの例では、治療レジメンは抗血管新生剤をさらに含む。いくつかの例では、抗血管新生剤は抗VEGF抗体である。いくつかの例では、抗VEGF抗体はベバシズマブである。
【0440】
本明細書中に記載される例のいずれかは、追加の治療剤を患者に投与することをさらに含み得る。いくつかの例では、追加の治療剤は、免疫療法剤、細胞傷害性剤、成長阻害剤、放射線療法剤、抗血管新生剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの例では、免疫療法剤は、本明細書に記載される任意のNK細胞指向性剤を含む、NK細胞指向性剤である。
【0441】
前述の例のいずれでは、各投薬サイクルは、任意の適切な長さ、例えば、約7日、約14日、約21日、約28日又はそれより長い長さを有し得る。いくつかの例では、各投薬サイクルは約21日である。
【0442】
患者は、好ましくはヒトである。
【0443】
一般的な提案として、ヒトに投与されるPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)の治療有効量は、1つ又は複数の投与によるかどうかにかかわらず、患者の体重の1kg当たり約0.01から約50mgの範囲であることになる。
【0444】
いくつかの例示的な実施態様では、PD-1軸結合アンタゴニストは、約0.01から約45mg/kg、約0.01から約40mg/kg、約0.01から約35mg/kg、約0.01から約30mg/kg、約0.01から約25mg/kg、約0.01から約20mg/kg、約0.01から約15mg/kg、約0.01から約10mg/kg、約0.01から約5mg/kg、又は約0.01から約1mg/kgの用量で投与され、例えば、毎日、毎週、2週間ごと、3週間ごと、又は4週間ごとに投与される。
【0445】
一例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、約100mg、約200 mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約700mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約1100mg、約1200mg、約1300mg、約1400mg、又は約1500mgの用量でヒトに投与される。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、3週間毎に約1000mgから約1400mgの用量(例えば、3週間ごとに約1100mgから約1300mg、例えば、3週間ごとに約1150mgから約1250mg)で投与され得る。
【0446】
いくつかの例では、患者は、合計で1~50用量、例えば、1~50用量、1~45用量、1~40用量、1~35用量、1~30用量、1~25用量、1~20用量、1~15用量、1~10用量、1~5用量、2~50用量、2~45用量、2~40用量、2~35用量、2~30用量、2~25用量、2~20用量、2~15用量、2~10用量、2~5用量、3~50用量、3~45用量、3~40用量、3~35用量、3~30用量、3~25用量、3~20用量、3~15用量、3~10用量、3~5用量、4~50用量、4~45用量、4~40用量、4~35用量、4~30用量、4~25用量、4~20用量、4~15用量、4~10用量、4~5用量、5~50用量、5~45用量、5~40用量、5~35用量、5~30用量、5~25用量、5~20用量、5~15用量、5~10用量、10~50用量、10~45用量、10~40用量、10~35用量、10~30用量、10~25用量、10~20用量、10~15用量、15~50用量、15~45用量、15~40用量、15~35用量、15~30用量、15~25用量、15~20用量、20~50用量、20~45用量、20~40用量、20~35用量、20~30用量、20~25用量、25~50用量、25~45用量、25~40用量、25~35用量、25~30用量、30~50用量、30~45用量、30~40用量、30~35用量、35~50用量、35~45用量、35~40用量、40~50用量、40~45用量、又は45~50用量のPD-1軸結合アンタゴニストを投与される。特定の例では、用量は静脈内投与され得る。
【0447】
いくつかの例では、アテゾリズマブは、2週間ごとに約840mg、3週間ごとに約1200mg、又は4週間ごとに約1680mgの用量で患者に静脈内投与される。いくつかの例では、アテゾリズマブは、3週間ごとに1200mgの用量で患者に静脈内投与される。
【0448】
PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は任意の追加の治療剤(例えば、タキサン(例えば、nab-パクリタキセル若しくはパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブなどの抗VEGF抗体)、及び/又はNK細胞指向性療法(例えば、NK細胞エンゲージャー))は、当該技術分野で公知の任意の適切なやり方で投与され得る。例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は任意の追加の治療剤は、逐次的に(異なる日に)又は同時に(同じ日に又は同じ治療サイクル中に)投与され得る。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤の前に投与される。他の例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤の後に投与される。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は任意の追加の治療剤は、同じ日に投与され得る。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に投与される追加の治療剤の前に投与され得る。例えば、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に、化学療法より前に投与され得る。別の例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に、化学療法及び別の薬物(例えば、ベバシズマブ)の両方より前に投与され得る。他の例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に投与される追加の治療剤の後に投与され得る。さらに他の例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤と同時に投与される。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤として別個の組成物中に存在する。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の治療剤として同じ組成物中に存在する。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、同じ日に患者に投与される任意の他の治療剤とは別個の静脈内ラインを介して投与される。
【0449】
PD-1軸結合アンタゴニスト及び任意の追加の治療剤は、同じ投与経路によって又は異なる投与経路によって投与され得る。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、又は鼻腔内に投与される。いくつかの例では、追加の治療剤は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、眼窩内に、移植により、吸入により、髄腔内に、脳室内に、又は鼻腔内に投与される。
【0450】
好ましい実施態様において、PD-1軸結合アンタゴニストは静脈内投与される。一例では、アテゾリズマブは60分かけて静脈内投与され得、最初の注入が耐容されれば、その後の注入は全て30分かけて送達され得る。いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、静注又はボーラスとして投与されない。いくつかの例では、タキサン(例えば、nab-パクリタキセル若しくはパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブなどの抗VEGF抗体)、及び/又はNK細胞指向性療法(例えば、NK細胞エンゲージャー)は、静脈内投与される。
【0451】
いくつかの例では、NSCLCは転移性非扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンは、アテゾリズマブ、nab-パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む。いくつかの例では、アテゾリズマブは、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量で静脈内(IV)注入として投与され;nab-パクリタキセルは、各21日サイクルの1日目、8日目及び15日目に100mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンは、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分の濃度曲線下面積(AUC)で投与される。
【0452】
いくつかの例では、NSCLCは転移性非扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンはアテゾリズマブ、パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む。いくつかの例では、アテゾリズマブは、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量でIV注入として投与され;パクリタキセルは、各21日サイクルの1日目に200mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンは、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分のAUCで投与される。
【0453】
いくつかの例では、NSCLCは転移性非扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンは、アテゾリズマブ、ベバシズマブ、パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む。いくつかの例では、アテゾリズマブは、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量でIV注入として投与され;ベバシズマブは各21日サイクルの1日目に15mg/kgの用量でIV注入として投与され;パクリタキセルは、各21日サイクルの1日目に200mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンは、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分のAUCで投与される。
【0454】
いくつかの例では、NSCLCは転移性扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンは、アテゾリズマブ、nab-パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む。いくつかの例では、アテゾリズマブは、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量でIV注入として投与され;nab-パクリタキセルは、各21日サイクルの1日目、8日目及び15日目に100mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンは、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分の濃度曲線下面積(AUC)で投与される。
【0455】
いくつかの例では、NSCLCは転移性扁平上皮NSCLCであり、治療レジメンはアテゾリズマブ、パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む。いくつかの例では、アテゾリズマブは、各21日サイクルの1日目に1200mgの用量でIV注入として投与され;パクリタキセルは、各21日サイクルの1日目、8日目及び15日目に175mg/m又は200mg/mの用量でIV注入として投与され;カルボプラチンは、各21日サイクルの1日目に6mg/mL/分のAUCで投与される。
【0456】
いくつかの例では、腎がんは転移性RCCであり、治療レジメンはアテゾリズマブ及びベバシズマブを含む。いくつかの例では、アテゾリズマブは、各42日サイクルの1日目及び22日目に1200mgの用量でIV注入として投与され;ベバシズマブは、各42日サイクルの1日目及び22日目に15mg/mkの用量でIV注入として投与される。
【0457】
また、本明細書で提供されるのは、有効量のPD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び/又はタキサン(例えば、nab-パクリタキセル若しくはパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブなどの抗VEGF抗体)、及び/又はNK細胞指向性療法(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む治療レジメンを、別の抗がん剤又はがん療法と組み合わせて、患者に投与することを含む、患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療するための方法である。例えば、PD-1軸結合アンタゴニストは、追加の化学療法若しくは化学療法剤(上記の定義を参照);標的化療法若しくは標的化治療剤;免疫療法若しくは免疫療法剤、例えばモノクローナル抗体;1つ又は複数の細胞傷害性剤(上記の定義を参照);又はこれらの組み合わせと組み合わせて投与され得る。例えば、PD-1軸結合アンタゴニストは、ベバシズマブ、パクリタキセル、タンパク質結合パクリタキセル(例えば、nab-パクリタキセル)、カルボプラチン、シスプラチン、ペメトレキセド、ゲムシタビン、エトポシド、コビメチニブ、ベムラフェニブ、又はこれらの組み合わせと組み合わせて投与され得る。PD-1軸結合アンタゴニストは、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ)又は抗PD-1抗体であり得る。
【0458】
例えば、ベバシズマブを伴う又は伴わない化学療法とともに投与する場合、アテゾリズマブは、化学療法及びベバシズマブより前に、3週間ごとに1200mgの用量で投与され得る。別の例では、4~6サイクルの化学療法の完了後、かつベバシズマブが中止される場合、アテゾリズマブは、2週間ごとに840mg、3週間ごとに1200mg、又は4週間ごとに1680mgの用量で投与され得る。別の例では、アテゾリズマブは、840mgの用量で投与されてもよく、その後100mg/mのタンパク結合パクリタキセル(例えば、nab-パクリタキセル)が投与されてもよく、各28日サイクルについて、アテゾリズマブは、1日目及び15日目に投与され、タンパク結合パクリタキセルは、1日目、8日目、及び15日目に投与される。別の例では、カルボプラチン及びエトポシドとともに投与する場合、アテゾリズマブは、化学療法の前に、3週間ごとに1200mgの用量で投与され得る。さらに別の例では、カルボプラチン及びエトポシドの4サイクルの完了後に、アテゾリズマブは、2週間ごとに840mg、3週間ごとに1200mg、又は4週間ごとに1680mgの用量で投与され得る。別の例では、コビメチニブ(cobimenitib)及びベムラフェニブの28日サイクルの完了後に、アテゾリズマブは2週間ごとに840mgの用量で、コビメチニブは60mgの用量で1日1回(21日間投薬、7日間休薬)経口的に、ベムラフェニブは720mgの用量で1日2回経口的に投与され得る。
【0459】
いくつかの例では、治療は追加の治療をさらに含み得る。当該技術分野で公知であるか又は本明細書に記載される任意の適切な追加の療法が使用され得る。追加の療法は、放射線療法、外科手術、遺伝子療法、DNA療法、ウイルス療法、RNA療法、免疫療法、骨髄移植、ナノ療法、モノクローナル抗体療法、ガンマ線照射、又はこれらの組み合わせであり得る。
【0460】
いくつかの例では、追加の療法は、副作用制限剤(例えば、治療の副作用の発生及び/又は重症度を軽減することを意図した薬剤、例えば、抗悪心剤、コルチコステロイド(例えば、プレドニゾン又は同等物、例えば1~2mg/kg/日の用量)、ホルモン補充薬など)の投与である。
【0461】
III.PD-L1発現の評価
PD-L1の発現は、本明細書に記載されている使用のための方法及び組成物のいずれかに従って治療された患者において評価され得る。使用のための方法及び組成物は、患者から得られた生物学的サンプル(例えば、腫瘍サンプル)中のPD-L1の発現レベルを決定することを含み得る。他の例では、患者から得られた生物学的サンプル(例えば、腫瘍サンプル)中のPD-L1の発現レベルは、治療の開始前又は治療の開始後に決定されている。PD-L1発現は、任意の適切なアプローチを使用して決定され得る。例えば、PD-L1発現は、参照によりその全体が本明細書に援用される、米国特許出願公開第2018/0030138号及び同第2018/0037655号に記載されるように決定され得る。任意の適切な腫瘍サンプル、例えばホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)腫瘍サンプル、保管腫瘍サンプル、新鮮腫瘍サンプル又は凍結腫瘍サンプルが使用され得る。
【0462】
例えば、PD-L1の発現は、検出可能な発現レベルのPD-L1を発現する腫瘍浸潤免疫細胞によって構成される腫瘍サンプルのパーセンテージに関して、検出可能な発現レベルのPD-L1を発現する腫瘍サンプル中の腫瘍浸潤免疫細胞のパーセンテージとして、及び/又は検出可能な発現レベルのPD-L1を発現する腫瘍サンプル中の腫瘍細胞のパーセンテージとして決定され得る。前述の例のいずれかでは、腫瘍浸潤免疫細胞によって構成される腫瘍サンプルのパーセンテージは、例えば、抗PD-L1抗体(例えば、SP142抗体)を使用するIHCによって評価される、患者から得られた腫瘍サンプルの切片における腫瘍浸潤免疫細胞によって覆われる腫瘍面積のパーセンテージに関するパーセンテージであり得ることが理解されるべきである。例えば、SP142(Ventana)、SP263(Ventana)、22C3(Dako)、28-8(Dako)、E1L3N(Cell Signaling Technology)、4059(ProSci,Inc.)、h5H1(Advanced Cell Diagnostics)及び9A11を含む任意の適切な抗PD-L1抗体が使用され得る。いくつかの例では、抗PD-L1抗体はSP142である。他の例では、抗PD-L1抗体はSP263である。
【0463】
いくつかの例では、患者から得られる腫瘍サンプルは、腫瘍サンプル中の1%未満の腫瘍細胞において、腫瘍サンプル中の1%以上の腫瘍細胞において、腫瘍サンプル中の1%~5%未満の腫瘍細胞において、腫瘍サンプル中の5%以上の腫瘍細胞において、腫瘍サンプル中の5%~50%未満の腫瘍細胞において、又は腫瘍サンプル中の50%以上の腫瘍細胞において、検出可能な発現レベルのPD-L1を有する。
【0464】
いくつかの例では、患者から得られた腫瘍サンプルは、腫瘍サンプルの1%未満、腫瘍サンプルの1%超、腫瘍サンプルの1%~5%未満、腫瘍サンプルの5%超、腫瘍サンプルの5%~10%未満、又は腫瘍サンプルの10%超を含む腫瘍浸潤免疫細胞において検出可能な発現レベルのPD-L1を有する。
【0465】
いくつかの例では、腫瘍サンプルは、表1及び/又は表2にそれぞれ示される診断評定のための基準に従って、腫瘍浸潤免疫細胞及び/又は腫瘍細胞におけるPD-L1陽性についてスコア化され得る。
【0466】
表1.腫瘍浸潤免疫細胞(IC)IHC診断基準
【0467】
表2.腫瘍細胞(TC)IHC診断基準
【0468】
IV.PD-1軸結合アンタゴニスト
PD-1軸結合アンタゴニストには、PD-L1結合アンタゴニスト、PD-1結合アンタゴニスト及びPD-L2結合アンタゴニストが含まれ得る。任意の適切なPD-1軸結合アンタゴニストが使用され得る。
【0469】
A.PD-L1結合アンタゴニスト
いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、そのリガンド結合パートナーのうちの1つ又は複数への結合を阻害する。他の例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、PD-1への結合を阻害する。さらに他の例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、B7-1への結合を阻害する。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1の、PD-1及びB7-1の両方への結合を阻害する。PD-L1結合アンタゴニストは、限定されないが、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド又は小分子であり得る。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1を阻害する小分子(例えば、GS-4224、INCB086550、MAX-10181、INCB090244、CA-170、又はABSK041)である。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1及びVISTAを阻害する小分子である。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストはCA-170(AUPM-170としても知られる)である。いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは、PD-L1及びTIM3を阻害する小分子である。いくつかの例では、小分子は、国際公開第2015/033301号及び/又は国際公開第2015/033299号に記載されている化合物である。
【0470】
いくつかの例では、PD-L1結合アンタゴニストは抗PD-L1抗体である。様々な抗PD-L1抗体が本明細書において企図され、記載されている。本明細書の例のいずれかでは、単離された抗PD-L1抗体は、ヒトPD-L1、例えば、UniProtKB/Swiss-Prot受託番号Q9NZQ7-1に示されているようなヒトPD-L1又はそのバリアントに結合することができる。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、PD-L1とPD-1との間及び/又はPD-L1とB7-1との間の結合を阻害することができる。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、モノクローナル抗体である。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、Fab断片、Fab’-SH断片、Fv断片、scFv断片、及び(Fab’)2断片からなる群より選択される抗体断片である。いくつかの例では、抗PD-L1抗体はヒト化抗体である。いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、ヒト抗体である。例示的な抗PD-L1抗体としては、アテゾリズマブ、MDX-1105、MEDI4736(デュルバルマブ)、MSB0010718C(アベルマブ)、SHR-1316、CS1001、エンバホリマブ、TQB2450、ZKAB001、LP-002、CX-072、IMC-001、KL-A167、APL-502、コシベリマブ、ロダポリマブ、FAZ053、TG-1501、BGB-A333、BCD-135、AK-106、LDP、GR1405、HLX20、MSB2311、RC98、PDL-GEX、KD036、KY1003、YBL-007及びHS-636が挙げられる。本発明の方法において有用な抗PD-L1抗体及びそれらを作製する方法の例は、国際特許出願公開第2010/077634号及び米国特許第8,217,149号に記載されており、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0471】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、
(a)それぞれ、GFTFSDSWIH(配列番号3)、AWISPYGGSTYYADSVKG(配列番号4)及びRHWPGGFDY(配列番号5)のHVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3配列と、
(b)それぞれ、RASQDVSTAVA(配列番号6)、SASFLYS(配列番号7)及びQQYLYHPAT(配列番号8)のHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3配列と
を含む。
【0472】
一実施態様において、抗PD-L1抗体は、
(a)アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSS(配列番号9)を含む重鎖可変領域(VH)と、
(b)アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKR (配列番号10)を含む軽鎖可変領域(VL)と
を含む。
【0473】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、(a)配列番号9の配列と少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列若しくは配列番号9の配列を含むVH、(b)配列番号10の配列と少なくとも95%の配列同一性(例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%又は99%の配列同一性)を有するアミノ酸配列若しくは配列番号10の配列を含むVL、又は(c)(a)におけるようなVH及び(b)におけるようなVLを含む。
【0474】
一実施態様において、抗PD-L1抗体は、
(a)重鎖アミノ酸配列:EVQLVESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDSWIHWVRQAPGKGLEWVAWISPYGGSTYYADSVKGRFTISADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCARRHWPGGFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYASTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKALPAPIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSPG(配列番号1)と、
(b)軽鎖アミノ酸配列:DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQDVSTAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASFLYSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQYLYHPATFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号2)と
を含む。
【0475】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体はアベルマブ(CAS登録番号:1537032-82-8)である。MSB0010718Cとしても知られるアベルマブは、ヒトモノクローナルIgG1抗PD-L1抗体(Merck KGaA、Pfizer)である。
【0476】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体はデュルバルマブ(CAS登録番号:1428935-60-7)である。MEDI4736としても知られるデュルバルマブは、国際公開第2011/066389号及び米国特許出願公開第2013/034559号に記載されている、Fc最適化ヒトモノクローナルIgG1カッパ抗PD-L1抗体(MedImmune、AstraZeneca)である。
【0477】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体はMDX-1105(Bristol Myers Squibb)である。BMS-936559としても知られているMDX-1105は、国際公開第2007/005874号に記載されている抗PD-L1抗体である。
【0478】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体はLY3300054(Eli Lilly)である。
【0479】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体はSTI-A1014(Sorrento)である。STI-A1014はヒト抗PD-L1抗体である。
【0480】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体はKN035(Suzhou Alphamab)である。KN035は、ラクダファージディスプレイライブラリーから生成されたシングルドメイン抗体(dAB)である。
【0481】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、(例えば、腫瘍微小環境中のプロテアーゼによって)切断されると、抗体抗原結合ドメインを活性化して、例えば非結合性立体部分を除去することによって、その抗原を結合させることができるようにする、切断可能な部分又はリンカーを含む。いくつかの例では、抗PD-L1抗体はCX-072(CytomX Therapeutics)である。
【0482】
いくつかの例では、抗PD-L1抗体は、米国特許出願公開第20160108123号、国際公開第2016/000619号、国際公開第2012/145493号、米国特許第9,205,148号、国際公開第2013/181634号又は国際公開第2016/061142号に記載される抗PD-L1抗体由来の、6つのHVR配列(例えば、3つの重鎖HVR及び3つの軽鎖HVR)並びに/又は重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。
【0483】
なおさらなる特定の態様では、抗PD-L1抗体は、低下した又は最小のエフェクター機能を有する。なおさらなる特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクターレスFc変異(effector-less Fc mutation)」又は非グリコシル化(aglycosylation)変異に起因する。なおさらなる例では、エフェクターレスFc変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。なおさらなる例では、エフェクターレスFc変異は、定常領域内のN297A置換である。いくつかの例では、単離された抗PD-L1抗体は、非グリコシル化されている。抗体のグリコシル化は、典型的には、N結合型又はO結合型のいずれかである。N結合型とは、炭水化物部分のアスパラギン残基の側鎖への結合を指す。トリペプチド配列であるアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-トレオニン(Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、アスパラギン側鎖への炭水化物部分の酵素結合の認識配列である。したがって、ポリペプチド内でのこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在により、潜在的なグリコシル化部位が作製される。O結合型グリコシル化とは、糖類N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースのうちの1つの、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はトレオニンへの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンも使用され得る。抗体からのグリコシル化部位の除去は、(N結合型グリコシル化部位について)上述のトリペプチド配列のうちの1種が除去されるようにアミノ酸配列を改変することによって好都合に達成される。この改変は、グリコシル化部位内のアスパラギン、セリン又はトレオニン残基の別のアミノ酸残基(例えば、グリシン、アラニン又は保存的置換)との置換によって行われ得る。
【0484】
B.PD-1結合アンタゴニスト
いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストは、PD-1結合アンタゴニストである。例えば、いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、そのリガンド結合パートナーのうちの1つ又は複数への結合を阻害する。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、PD-L1への結合を阻害する。他の例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、PD-L2への結合を阻害する。さらに他の例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1の、PD-L1及びPD-L2両方への結合を阻害する。PD-1結合アンタゴニストは、限定されないが、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド又は小分子であり得る。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、イムノアドヘシン(例えば、定常領域(例えば、免疫グロブリン配列のFc領域)に融合されたPD-L1若しくはPD-L2の細胞外又はPD-1結合部分を含むイムノアドヘシン)である。例えば、いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、Fc融合タンパク質である。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストはAMP-224である。B7-DCIgとしても知られているAMP-224は、国際公開第2010/027827号及び同第2011/066342号に記載されているPD-L2-Fc融合可溶性受容体である。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、ペプチド又は低分子化合物である。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、AUNP-12(PierreFabre/Aurigene)である。例えば、国際公開第2012/168944号、国際公開第2015/036927号、国際公開第2015/044900号、国際公開第2015/033303号、国際公開第2013/144704号、国際公開第2013/132317号及び国際公開第2011/161699号を参照されたい。いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは、PD-1を阻害する小分子である。
【0485】
いくつかの例では、PD-1結合アンタゴニストは抗PD-1抗体である。様々な抗PD-1抗体が、本明細書に開示の方法及び使用において利用され得る。本明細書の例のいずれかでは、PD-1抗体は、ヒトPD-1又はそのバリアントに結合することができる。いくつかの例では、抗PD-1抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの例では、抗PD-1抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、scFv及び(Fab’)断片からなる群より選択される抗体断片である。いくつかの例では、抗PD-1抗体はヒト化抗体である。他の例では、抗PD-1抗体はヒト抗体である。例示的な抗PD-1アンタゴニスト抗体としては、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、MEDI-0680、PDR001(スパルタリズマブ)、REGN2810(セミプリマブ)、BGB-108、プロルゴリマブ、カムレリズマブ、シンチリマブ、チスレリズマブ、トリパリマブ、ドスタリマブ、レチファンリマブ、ササンリマブ、ペンプリマブ、CS1003、HLX10、SCT-I10A、ジンベレリマブ、バルスチリマブ、ゲノリムズマブ、BI 754091、セトレリマブ、YBL-006、BAT1306、HX008、ブジカリマブ、AMG404、CX-188、JTX-4014、609A、Sym021、LZM009、F520、SG001、AM0001、ENUM 244C8、ENUM 388D4、STI-1110、AK-103及びhAb21が挙げられる。
【0486】
いくつかの例では、抗PD-1抗体はニボルマブ(CAS登録番号:946414-94-4)である。ニボルマブ(Bristol-Myers Squibb/Ono)は、MDX-1106-04、MDX-1106、ONO-4538、BMS-936558及びOPDIVO(登録商標)としても知られており、国際公開第2006/121168号に記載の抗PD-1抗体である。
【0487】
いくつかの例では、抗PD-1抗体はペンブロリズマブ(CAS登録番号:1374853-91-4)である。ペンブロリズマブ(Merck)は、MK-3475、Merck 3475、ランブロリズマブ、SCH-900475及びKEYTRUDA(登録商標)としても知られており、国際公開第2009/114335号に記載の抗PD-1抗体である。
【0488】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、MEDI-0680(AMP-514;アストラゼネカ)である。MEDI-0680はヒト化IgG4抗PD-1抗体である。
【0489】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、PDR001(CAS登録番号1859072-53-9;ノバルティス)である。PDR001は、PD-1へのPD-L1及びPD-L2の結合を遮断するヒト化IgG4抗PD-1抗体である。
【0490】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、REGN2810(Regeneron)である。REGN2810は、ヒト抗PD-1抗体である。
【0491】
いくつかの例では、抗PD-1抗体はBGB-108(BeiGene)である。
【0492】
いくつかの例では、抗PD-1抗体はBGB-A317(BeiGene)である。
【0493】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、JS-001(Shanghai Junshi)である。JS-001はヒト化抗PD-1抗体である。
【0494】
いくつかの例では、抗PD-1抗体はSTI-A1110(Sorrento)である。STI-A1110は、ヒト抗PD-1抗体である。
【0495】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、INCSHR-1210(Incyte)である。INCSHR-1210は、ヒトIgG4抗PD-1抗体である。
【0496】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、PF-06801591(ファイザー)である。
【0497】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、TSR-042(ANB011としても知られている;Tesaro/AnaptysBio)である。
【0498】
いくつかの例では、抗PD-1抗体はAM0001(ARMO Biosciences)である。
【0499】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、ENUM 244C8 (エニュメラル・バイオメディカル・ホールディングス)である。ENUM 244C8は、PD-1へのPD-L1の結合を遮断することなくPD-1機能を阻害する抗PD-1抗体である。
【0500】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、ENUM 388D4(エニュメラル・バイオメディカル・ホールディングス)である。ENUM 388D4は、PD-1へのPD-L1の結合を競合的に阻害する抗PD-1抗体である。
【0501】
いくつかの例では、抗PD-1抗体は、国際公開第2015/112800号、国際公開第2015/112805号、国際公開第2015/112900号、米国特許出願公開第20150210769号、国際公開第2016/089873号、国際公開第2015/035606号、国際公開第2015/085847号、国際公開第2014/206107号、国際公開第2012/145493号、米国特許第9205148号、国際公開第2015/119930号、国際公開第2015/119923号、国際公開第2016/032927号、国際公開第2014/179664号、国際公開第2016/106160号、及び国際公開第2014/194302に記載されている、抗PD-1抗体由来の、6つのHVR配列(例えば、3つの重鎖HVR及び3つの軽鎖HVR)並びに/又は重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインを含む。
【0502】
なおさらなる特定の態様では、抗PD-1抗体は、低下した又は最小のエフェクター機能を有する。なおさらなる特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクターレスFc変異(effector-less Fc mutation)」又は非グリコシル化(aglycosylation)変異に起因する。なおさらなる例では、エフェクターレスFc変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。いくつかの例では、単離された抗PD-1抗体は、非グリコシル化されている。
【0503】
C.PD-L2結合アンタゴニスト
いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニストはPD-L2結合アンタゴニストである。いくつかの例では、PD-L2結合アンタゴニストは、PD-L2のそのリガンド結合パートナーへの結合を阻害する分子である。特定の態様において、PD-L2結合リガンドパートナーはPD-1である。PD-L2結合アンタゴニストは、限定されないが、抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド又は小分子であり得る。
【0504】
いくつかの例では、PD-L2結合アンタゴニストは抗PD-L2抗体である。本明細書の例のいずれかでは、抗PD-L2抗体は、ヒトPD-L2又はそのバリアントに結合することができる。いくつかの例では、抗PD-L2抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの例では、抗PD-L2抗体は、Fab、Fab’、Fab’-SH、Fv、scFv及び(Fab’)断片からなる群より選択される抗体断片である。いくつかの例では、抗PD-L2抗体はヒト化抗体である。他の例では、抗PD-L2抗体はヒト抗体である。なおさらなる特定の態様では、抗PD-L2抗体は、低下した又は最小のエフェクター機能を有する。なおさらなる特定の態様では、最小のエフェクター機能は、「エフェクターレスFc変異(effector-less Fc mutation)」又は非グリコシル化(aglycosylation)変異に起因する。なおさらなる例では、エフェクターレスFc変異は、定常領域内のN297A又はD265A/N297A置換である。いくつかの例では、単離された抗PD-L2抗体は、非グリコシル化されている。
【0505】
V.NK細胞指向性療法
本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤を含む治療レジメンを患者に投与することを含む、患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療するための方法である。使用のための関連組成物(例えば、医薬組成物)、キット、及び製品品も提供される。本明細書に記載される方法、使用のための組成物、キット、又は製造品のいずれも、以下に記載される薬剤のいずれかを含み得るか、又は関与し得る。
【0506】
任意の適切なNK細胞指向性治療剤を使用され得る。いくつかの例では、Hodgins et al. J. Clin. Invest. 129(9):3499-3510, 2019に記載されている任意のNK細胞指向性療法が使用され得る。一例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞、自家NK細胞、市販のNK細胞、キメラ抗原受容体(CAR)-NK細胞、サイトカイン療法、NK細胞エンゲージャー(例えば、二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)、三重特異性キラー細胞エンゲージャー(TriKE)、若しくは四重特異性キラー細胞エンゲージャー(TetraKE))、NK細胞チェックポイント受容体アンタゴニスト、NK細胞チェックポイント受容体アンタゴニスト、又は腫瘍溶解性ウイルスを含む。いくつかの例では、NK細胞指向性治療剤は、養子細胞移入(例えば、同種NK細胞、自家NK細胞、市販のNK細胞、又はキメラ抗原受容体(CAR)-NK細胞による)を含む。
【0507】
いくつかの例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞、自家NK細胞、市販のNK細胞、又はそれらの組み合わせを含む。いくつかの例では、NK細胞指向性治療剤は、同種NK細胞を含む。他の例では、NK細胞指向性治療剤は、自家NK細胞を含む。さらに他の例では、NK細胞指向性治療剤は、市販のNK細胞を含む。
【0508】
使用され得る例示的なNK細胞には、限定されるものではないが、Fate Therapeuticsによる、FT500(クローン性マスターiPSC株由来の普遍的な市販のNK細胞がん免疫療法;例えば、Cichocki et al. Sci. Trans. Med. 12(568):eaaz5618, 2020を参照)、FT516(高親和性158V、非切断性CD16(hnCD16)Fc受容体を発現するように操作されたクローン性マスターiPSC株由来の普遍的な市販のNK細胞がん免疫療法、これは、その下方制御を防ぎ、腫瘍標的抗体への結合を増強するように修飾されている;例えば、Zhu et al.Blood 135(6):399-410、2020)、FT536(4つの機能的修飾:MICA及びMICBのα3ドメインを標的とするCAR;ADCCを増強する高親和性158V、非切断性CD16(hnCD16)Fc受容体;NK細胞活性の増強を促進するIL-15受容体融合体(IL-15RF);並びにNK細胞の代謝適性、持続性、及び抗腫瘍機能を増強するCD38発現の除去を含む、クローン性マスター操作iPSC株由来の普遍的な市販のNK細胞がん免疫療法;例えば、de Andrade et al. Cancer Immunol. Res. 8:769-80, 2020を参照)、FT596(3つの抗腫瘍機能様式:B細胞抗原CD19を標的とするCAR;その下方制御を防ぐとともに腫瘍標的抗体への結合を増強するように修飾された、高親和性158V、非切断性CD16(hnCD16)Fc受容体;及びNK細胞活性の増強を促進するIL-15受容体融合体(IL-15RF)で操作されたクローン性マスターiPSC株由来の普遍的な市販のNK細胞がん免疫療法;例えば、Liu et al. New Engl. J. Med. 382:545-53, 2020を参照)、FT538(3つの機能的修飾:ADCCを増強するように修飾された、高親和性158V、非切断性CD16(hnCD16)Fc受容体;NK細胞活性の増強を促進するIL-15受容体融合対(IL-15RF);及びNK細胞のフラトリシドの可能性を緩和するためのCD38発現の除去を組み込むクローン性マスターiPSC株由来の普遍的な市販のNK細胞がん免疫療法)、FT573(4つの機能的修飾:B7H3を標的とするCAR;ADCCを増強する高親和性158V、非切断性CD16(hnCD16)Fc受容体;NK細胞活性の増強を促進するIL-15受容体融合体(IL-15RF);並びにNK細胞の代謝適性、持続性及び抗腫瘍機能を増強するCD38発現の除去)を組み込むクローン性マスター操作iPSC株由来の普遍な市販のNK細胞がん免疫療法)、並びにFT576(4つの機能的修飾:BCMAを標的とするCAR;ADCCを増強するように修飾された高親和性158V、非切断性CD16(hnCD16)Fc受容体、NK細胞活性の増強を促進するIL-15受容体融合対(IL-15RF)、及びNK細胞のフラトリシドの可能性を緩和するCD38発現の除去を組み込む、クローン性マスターiPSC株由来の普遍的な市販のNK細胞がん免疫療法)が含まれる。
【0509】
いくつかの例では、NK細胞(例えば、同種NK細胞、自家NK細胞、又は市販のNK細胞)は、KIR2DL3又はKIR3DL1を発現するように操作される。例えば、いくつかの例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又は市販のNK細胞は、KIR2DL3を発現するように操作される。例えば、他の例では、同種NK細胞、自家NK細胞、又は市販のNK細胞は、KIR3DL1を発現するように操作される。NK細胞(例えば、同種NK細胞、自家NK細胞、又は市販のNK細胞)は、遺伝子編集又は導入(例えば、レンチウイルス導入)を含む任意の適切なアプローチを用いて、KIR2DL3又はKIR3DL1を発現するように操作され得る。
【0510】
いくつかの例では、同種NK細胞は、細胞株、例えばNK92又はKyHG1に由来する。他の例では、同種NK細胞は、臍帯血又はiPSC由来であってもよい。
【0511】
いくつかの例では、NK細胞指向性治療薬は、キメラ抗原受容体(CAR-NK;NAR-Tとも呼ばれる)で形質導入されたナチュラルキラー細胞である。いくつかの態様では、キメラ抗原受容体(CAR)は、腫瘍抗原(例えば、表3の腫瘍抗原)と結合する抗原結合ドメイン(例えば、抗体又はその断片;T細胞受容体(TCR)又はその断片)、膜貫通ドメイン、並びに1つ又は複数の細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、一次シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)及び/又は共刺激シグナル伝達ドメイン(例えば、CD28、4-1BB)(国際公開第2017114497号;Hartmann et al., EMBO Molecular Medicine,9(9), 2017)を含む。細胞内シグナル伝達ドメインは、細胞傷害性を活性化するように作用し得る。
【0512】
いくつかの例では、CARはNK細胞の集団に導入される。NK細胞の集団は、例えば、国際公開第2017/117112号に記載されているように、フロースルーモジュールの使用によって、CARのために調製され得る。NK細胞は、自己、例えば患者に由来するもの、又は同種、例えばドナーに由来するものであり得る。いくつかの態様では、CAR-NK細胞は、静脈内又は腫瘍内で患者に導入される。
【0513】
表3:例示的な腫瘍抗原
【0514】
いくつかの例では、NK細胞指向性治療剤は、NK細胞エンゲージャー(例えば、二重特異性キラー細胞エンゲージャー(BiKE)、三重特異性キラー細胞エンゲージャー(TriKE)、又は四重特異性キラー細胞エンゲージャー(TetraKE))である。いくつかの例では、NK細胞エンゲージャーは、NK細胞(例えば、CD16、NKG2D、SLAMファミリータンパク質、NKp30、NKp44、若しくはNKp46)の表面上の1つ又は複数の標的(例えば、タンパク質、例えば、受容体)及び腫瘍細胞(例えば、CD30、CD33、EGFR、BCMAを含む腫瘍抗原、又は表3に記載される任意の腫瘍抗原)の表面上の1つ又は複数の標的(例えば、タンパク質、例えば、受容体)に結合する。例示的なNK細胞エンゲージャーは、例えば、国際公開第2019/198051号;Reusch et al., mAbs, 6(3):727-738; 2014;米国特許第7129330号B1;米国特許第9035026号B2;国際公開第0111059号A1;Treder et al., Journal of Clinical Oncology, 34(15 suppl), 2016;及びEllwanger et al., J Immunother Cancer, 3(Suppl 2): 219, 2015に記載されている。いくつかの実施態様では、NK細胞エンゲージャーは、ナノ粒子ベースのNK細胞エンゲージャー、例えば、ナノ粒子ベースの三重特異的NK細胞エンゲージャー(ナノTriNKE)である;例えば、Au et al. Science Advances 6(27):eaba8564, 2020を参照のこと。例示的なNK細胞エンゲージャーには、例えば、IPH6101(Innate Pharma/Sanofi)が含まれる。
【0515】
NK細胞エンゲージャーは、多重特異性、例えば、二重特異性、三重特異性、又は四重特異性であってもよい。
【0516】
NK細胞エンゲージャーは、特定の標的に対して多価、例えば、2価、3価、4価、5価、又は6価であってもよい。
【0517】
いくつかの例では、NK細胞エンゲージャーは、NK細胞上のエピトープに結合する第1の標的化ドメインと、異なる標的、例えば腫瘍抗原に結合する第2の標的化ドメインとを含む、二重特異性NK細胞エンゲージャーである。いくつかの態様では、二重特異性NK細胞エンゲージャーは、CD16aに結合する第1の標的化ドメインと、NK細胞の表面上に発現するタンパク質と、腫瘍マーカーCD30に結合する第2の標的化ドメインとを含む。いくつかの態様では、二重特異性NK細胞エンゲージャーは、CD16aに結合する第1の標的化ドメインと、上皮成長因子受容体(EGFR)又はEGFRvIIIに結合する第2の標的化ドメインとを含む。いくつかの態様では、二重特異性NK細胞エンゲージャーは、NKp46に結合する第1の標的化ドメインと、腫瘍抗原、例えば表3に列挙する腫瘍抗原に結合する第2の標的化ドメインとを含む。
【0518】
いくつかの例では、参照によりその全体が本明細書に援用される国際公開第2019/198051号に記載される任意のNK細胞エンゲージャーが使用され得る。
【0519】
任意の適切なNK細胞チェックポイント受容体アンタゴニストが使用され得る。NK細胞チェックポイント受容体アンタゴニストの例示的な非限定的例には、例えば、KIRアンタゴニスト(例えば、KIR2DL1-3及びKIR2DS1-2を標的とする、リルマブ(IPH2102)などの抗KIR抗体)、CD94/NKG2Aアンタゴニスト(例えば、抗CD94抗体又はタンパク質発現ブロッカー(PEBL)又は抗NKG2A抗体(例えば、モナリズマブ(IPH2201)又はPEBL)、CTLA-4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA-4抗体)、PD-1軸結合アンタゴニスト、LAG3アンタゴニスト(例えば、抗LAG3抗体)、又はTIM-3アンタゴニスト(例えば、抗TIM-3抗体)が含まれる。
【0520】
任意の適切なサイトカイン療法が使用され得る。例えば、サイトカイン療法は、1型インターフェロン、TLRアゴニスト、又はcGAS/STINGアゴニスト、IL-2、IL-12、IL-18、IL-15、それらの組み合わせ、又はそれらのバリアント(例えば、操作されたIL-2サイトカイン「super-2」又は操作されたIL-15サイトカインALT-803)を含み得る。
【0521】
任意の適切な腫瘍溶解性ウイルス、例えば、上掲のHodgins et al.に記載されている任意の腫瘍溶解性ウイルスが使用され得る。
【0522】
VII.医薬組成物及び製剤
PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)を含み、薬学的に許容される担体を任意に含む医薬組成物及び製剤も本明細書において提供される。本開示はまた、タキサン(例えば、nab-パクリタキセル又はパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブ)、及び/又はNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)、並びに任意選択的に薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物と製剤とを提供する。
【0523】
本明細書に記載の医薬組成物及び製剤は、所望の純度を有する活性成分(例えば、PD-1軸結合アンタゴニスト)を1つ又は複数の任意選択的な薬学的に許容される担体(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980)を参照)と混合することにより、例えば、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で調製され得る。
【0524】
例示的なアテゾリズマブ製剤は、氷酢酸、L-ヒスチジン、ポリソルベート20及びスクロースを含み、pHは5.8である。例えば、アテゾリズマブは、氷酢酸(16.5mg)、L-ヒスチジン(62mg)、ポリソルベート20(8mg)、及びスクロース(821.6mg)中に製剤化された1200mgのアテゾリズマブを含有する20mLバイアル中で提供されてもよく、pHは5.8である。別の例では、アテゾリズマブは、氷酢酸(11.5mg)、L-ヒスチジン(43.4mg)、ポリソルベート20(5.6mg)、及びスクロース(575.1mg)中に製剤化された840mgのアテゾリズマブを含有する14mLバイアルで提供されてもよく、pHは5.8である。
【0525】
VIII.製造品又はキット
別の態様では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニスト(例えば、アテゾリズマブ)及び/又はタキサン(例えば、nab-パクリタキセル又はパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブ)、及び/又はNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む製造品又はキットである。いくつかの例では、製造品又はキットは、患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療するため又はその進行を遅延させるためにPD-1軸結合アンタゴニストを使用するための説明書を含む添付文書をさらに含む。いくつかの例では、製造品又はキットは、患者におけるがんを治療するため又はその進行を遅延させるために、PD-1軸結合アンタゴニストを、タキサン(例えば、nab-パクリタキセル又はパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブ)、及び/又はNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)と組み合わせて使用するための説明書を含む添付文書を含む。本明細書に記載のPD-1軸結合アンタゴニスト及び/又はタキサン、白金系化学療法剤、抗血管新生剤、及び/又はNK細胞指向性治療剤のいずれかは、製造品又はキットに含められ得る。
【0526】
別の態様では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を含む製造品又はキットである。いくつかの例では、製造品又はキットは、患者におけるがん(例えば、NSCLC)を治療するため又はその進行を遅延させるためにNK細胞指向性治療剤を使用するための説明書を含む添付文書をさらに含む。
【0527】
いくつかの例では、PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又は任意の追加の治療剤(例えば、タキサン(例えば、nab-パクリタキセル若しくはパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブなどの抗体)、及び/又はNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー))は、同じ容器又は別個の容器内にある。適切な容器には、例えば、ボトル、バイアル、バッグ、及びシリンジが含まれる。容器は、ガラス、プラスチック(ポリ塩化ビニル若しくはポリオレフィン等)、又は金属合金(ステンレス鋼若しくはハステロイ等)等の様々な材料から形成され得る。いくつかの例では、容器は、製剤を保持し、容器上のラベル又は容器に関連するラベルは、使用上の指示を示し得る。製造品又はキットは、他の緩衝液、希釈剤、フィルター、針、シリンジ、及び使用説明書付きの添付文書を含む、商業的観点及び使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。いくつかの例では、製造品は、1つ又は複数の別の薬剤(例えば、さらなる化学療法剤又は抗新生物剤)をさらに含む。1つ又は複数の薬剤に好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、袋、及びシリンジが挙げられる。
【0528】
製造品又はキットのいずれかは、PD-1軸結合アンタゴニスト及び/又はタキサン(例えば、nab-パクリタキセル又はパクリタキセル)、白金系化学療法剤(例えば、カルボプラチン)、抗血管新生剤(例えば、ベバシズマブ)、及び/又はNK細胞指向性治療剤(例えば、NK細胞エンゲージャー)を、本明細書に記載される方法のいずれか、例えば、上記セクションIIに記載される方法のいずれかに従って患者に投与する投与するための指示を含み得る。
【0529】
別の例では、本明細書で提供されるのは、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストと、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR2DL3の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0530】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニストと、ゲノムがHLA-C1の少なくとも1コピー及びKIR2DL3の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品である。
【0531】
別の例では、本明細書で提供されるのは、本発明は、PD-1軸結合アンタゴニストと、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品である。いくつかの例では、患者のゲノムは、KIR3DL1の少なくとも1コピーをさらに含む。
【0532】
別の例では、本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニストと、ゲノムがHLA-Bw4の少なくとも1コピー及びKIR3DL1の少なくとも1コピーを含むと決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品である。
【0533】
本明細書で提供されるのは、PD-1軸結合アンタゴニストと、NK細胞浸潤の基準レベルと比較して、患者から得られた腫瘍サンプルにおいてNK細胞浸潤のレベルが増加していると決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのPD-1軸結合アンタゴニストを投与するための指示書とを含む製造品である。
【0534】
別の例では、本明細書で提供されるのは、NK細胞指向性治療剤と、ゲノムにKIR2DL3又はKIR3DL1が欠失していると決定された、がん(例えば、NSCLC)の治療を必要とする患者におけるNSCLCの治療のためのNK細胞指向性治療剤を投与するための指示書とを含む製造品である。
【実施例
【0535】
実施例1.免疫チェックポイント遮断で治療された非小細胞肺がん患者において、NK細胞教育とNK細胞浸潤に関与する免疫遺伝学的な変異が転帰と関連している
a.序論
ナチュラルキラー(NK)細胞は、抗腫瘍免疫応答に重要な役割を果たしている。腫瘍におけるNK細胞の存在量、NK細胞を標的とする多様な腫瘍免疫回避戦略、及び異なる組織型にわたるNK細胞サブセットの分布の差異とともに、患者のゲノムの免疫遺伝学的組成がNK細胞の有効性の重要な決定因子であると考えられている。
【0536】
特に、ヒト白血球抗原(HLA)及びキラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)遺伝子の遺伝子変異は、NK細胞の教育及び機能に影響を与える。NK細胞の教育は、機能的成熟及び自己寛容を達成するためのダイナミックなプロセスであり、良好なNK細胞の教育は、「自己喪失」表現型に対するより強い応答をもたらす。抑制性KIRタンパク質及びHLAタンパク質の対立遺伝子特異的相互作用がNK細胞の教育に寄与している(Pende et al., Front. Immunol., 10: Article 1179, 2019)。Bw4/Bw4ドナーのKIR3DL1+NK細胞は、MHC欠損腫瘍に対する反応性(IFNy産生)の増加を示すことが示されている(Kim et al., PNAS, 105(8): 3053-3058, 2008)。KIR2DL3及びKIR3DL1は主にKIR Aハプロタイプ上に発現し、一般に病原体に対する反応性の向上と関連している(Jamil and Khakoo,J Biomed Biotechnol, 2011: Article ID 298348, 2011)。
【0537】
b.方法
非小細胞肺がん(NSCLC)における3つのアテゾリズマブ(抗PD-L1)臨床試験(IMpower130、IMpower131、IMpower150)の患者1,395人の全生殖細胞系列配列決定データを用いて、HLA対立遺伝子変異及びKIR遺伝子の存在を推定した。IMpower130(NCT02367781)では、転移性非扁平上皮NSCLCにおける、アテゾリズマブ、nab-パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む治療レジメンの安全性及び有効性を、アテゾリズマブを含まない対照治療と比較して検討した。IMpower131試験(NCT02367794)では、転移性扁平上皮NSCLCにおける、アテゾリズマブ、パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む治療レジメン、又はアテゾリズマブ、nab-パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む治療レジメンの安全性及び有効性を、アテゾリズマブを含まない対照治療と比較して検討した。IMpower150試験(NCT02367794)では、転移性非扁平上皮NSCLCにおける、アテゾリズマブ、パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む治療レジメン、又はアテゾリズマブ、ベバシズマブ、パクリタキセル、及びカルボプラチンを含む治療レジメンの安全性及び有効性を、アテゾリズマブを含まない対照治療と比較して検討した。生殖細胞系列遺伝子解析に含められたアテゾリズマブ(アテゾ)群と対照群の患者数を表4に示す。
【0538】
表4.生殖細胞系列遺伝学的解析のための患者集団
【0539】
HLA対立遺伝子は、ソフトウェアHLA-HD(Kawaguchi et al.,Hum Mutat., 38(7):788-797, 2017)を用いて、生殖細胞系列全ゲノム配列決定データ(30倍カバレッジ)から計算により推定した。HLA対立遺伝子は、例えば、The IPD and IMGT/HLA database(Robinson et al.,Nucleic Acids Research, 43: D423-431, 2015)に記載されている。
【0540】
KIR遺伝の存在は、ソフトウェアKPI(Roe et al. Front. Immunol., 11: 583013, 2020)を用いて、生殖細胞系列全ゲノム配列決定データ(30倍カバレッジ)から計算により推定した。KIR遺伝子はコピー数にばらつきがあり、個体は、0本、1本、又はその両方の染色体でそれらを保有し得る。使用されたソフトウェア法は、個人の特定のKIR遺伝子の有無(0対1/2)を識別した。
【0541】
関連解析は初めに研究レベルで行われた。Cox比例ハザードモデルを用いて、遺伝子型又は遺伝子スコア(高/低定義の中央値分割)と全生存期間又は無増悪生存期間との関連を検討した。
【0542】
メタアナリシス(例えば、推定値及びその標準誤差に基づく固定効果メタアナリシス及びランダム効果メタアナリシス)には、Rのメタパッケージのメタゲノム機能(metagen function)を使用した。プーリングには逆分散法を用いた。
【0543】
以下のセクションc-fで詳述するように、結果は、抗PD-L1がん免疫療法に対する患者の応答には、NK細胞遺伝子型とNK細胞浸潤の程度がどちらも重要な役割を果たすことを示した。
【0544】
c.HLA-KIR相互作用はNSCLCにおけるアテゾリズマブ治療の転帰と関連する
KIR2DL3とそのリガンドであるHLA-C1の両方を少なくとも1コピー保有するアテゾリズマブで治療された患者は、このNK細胞教育相互作用のない患者と比較して、全生存期間(OS)及び無増悪生存期間(PFS)が長かった(N=955、HR=0.71、p=0.0002)(図1A及び1B)。試験の対照群では関連性は観察されなかった。
【0545】
同様に、KIR3DL1とそのリガンドであるHLA-Bw4の両方を少なくとも1コピー保有するアテゾリズマブで治療された患者は、この相互作用のない患者と比較してOSとPFSが長かった(HR=0.84、p=0.04)(図2A及び2B)。試験の化学療法対照群(N=440)では有意な関連は見られなかった。
【0546】
d.HLA-C1のキャリア状態はアテゾリズマブ治療の転帰と関連する
KIR相互作用に従って定義されたHLAリガンド群(HLA-C1のキャリア状態及びHLA-Bw4のキャリア状態)も同様に、患者のKIR遺伝子型を考慮することなく、アテゾリズマブで治療された患者の転帰(PFS及びOS)と関連することが判明した(図3A、3B、4A、及び4B)。
【0547】
さらに、HLA-C1のキャリア状態は、最近発表された黒色腫及びNSCLC患者のデータセットの解析において、免疫チェックポイント遮断による治療の転帰に有益であることが判明した(N=1,55、HR=0.74、p=0.01、Chowell et al., Science, 359(6375): 582-587, 2018による)(図5A及び5B)。
【0548】
e.NK細胞浸潤は、アテゾリズマブ治療の転帰と関連する
RNA配列データ(NK cell score; Cursons et al., Cancer Immunology Research, 7(7): 1162-1174, 2019)から得られた遺伝子シグネチャーを使用すると、アテゾリズマブで治療された患者における高い(中央値を超える)NK細胞浸潤は、OS延長と関連していることが判明した(N=619、HR=0.75、p=0.01)(図6A)。遺伝子シグネチャーは、20の遺伝子:CD160、CD244、CTSW、FASLG、GZMA、GZMB、GZMH、IL18RAP、IL2RB、KIR2DL4、KLRB1、KLRC3、KLRD1、KRLF1、KLRK1、NCR1、NKG7、PRF1、XCL1、及びXCL2を含んでいた。遺伝子シグネチャーは、Cursons et al., Cancer Immunology Research, 7(7): 1162-1174, 2019に記載されているように測定された。関連解析は、上記の実施例1bに記載されているように実施した。ここでも、対照群(N=288)では有意な関連は見られなかった(図6B)。
【0549】
注目すべきは、T細胞及びNK細胞の浸潤が相関していることである(図7A及び7B)。
【0550】
NKスコアRNAseq解析に含められたアテゾリズマブ群と対照群の患者数を表5に示す。
【0551】
表5.RNAseq解析のための患者集団
【0552】
実施例2.免疫チェックポイント遮断で治療された腎がん患者における、NK細胞教育及びNK細胞浸潤に関与する免疫遺伝学的な変異と転帰の評価
a.方法
実施例1に記載されているようにアテゾリズマブ(抗PD-L1)臨床試験IMmotion151による全生殖細胞系列配列決定データを用いて、HLA対立遺伝子変異及びKIR遺伝子の存在を推定した。IMmotion151試験(NCT02420821)では、手術不能、局所進行性又は転移性の腎細胞癌患者において、スニチニブを含む対照治療と比較した、アテゾリズマブ及びベバシズマブを含む治療レジメンの安全性及び有効性を検討した。
【0553】
NK細胞シグネチャー解析には、IMmotion150のデータも含まれた。IMmotion150試験(NCT01984242)では、手術不能、局所進行性又は転移性の腎細胞癌患者において、スニチニブを含む対照治療と比較した、アテゾリズマブ及びベバシズマブを含む治療レジメンの安全性及び有効性を検討した。
【0554】
b.HLA-KIR相互作用とRCCにおけるアテゾリズマブ治療の転帰との間の関連
KIR2DL3とそのリガンドであるHLA-C1の両方を少なくとも1コピー保有するアテゾリズマブで治療された患者のOS及びPFSのハザード比を、このNK細胞教育相互作用のない患者と比較して図8A及び8Bに示す。
【0555】
KIR3DL1とそのリガンドであるHLA-Bw4の両方を少なくとも1コピー保有するアテゾリズマブで治療された患者のOSとPFSのハザード比を、このNK細胞教育相互作用のない患者と比較して図9A及び9Bに示す。
【0556】
c.HLA-C1又はHLA-Bw4のキャリア状態とRCCにおけるアテゾリズマブ治療の転帰との間の関連
HLA-C1の少なくとも1コピーを保有するアテゾリズマブで治療された患者のOSとPFSのハザード比を図10Aと10Bに示す。
【0557】
HLA-Bw4の少なくとも1コピーを保有するアテゾリズマブで治療された患者のOSとPFSのハザード比を、図11A及び11Bに示す。
【0558】
d.NK細胞浸潤とRCCにおけるアテゾリズマブ治療の転帰との間の関連
実施例1に記載されているように決定された、NK細胞浸潤スコアが高い(中央値を超える)アテゾリズマブで治療された患者のOSとPFSのハザード比を図12A及び12Bに示す。
【0559】
CD8A発現レベルが高い(中央値を超える)アテゾリズマブで治療された患者のOSとPFSのハザード比を図13A及び13Bに示す。
【0560】
e.結論
IMmotion151臨床試験においてアテゾリズマブで治療されたRCC患者の奏効が、NSCLCについて実施例1に記載されているHLA-KIR遺伝子型及びNK細胞浸潤の程度に関して改善する傾向が観察された。RCCに対する効果推定値は、実施例1に記載されているNSCLC試験と同様の範囲であった。
【0561】
実施例3.免疫チェックポイント遮断で治療された非小細胞肺がん患者において、NK細胞教育とNK細胞浸潤に関与する免疫遺伝学的な変異が転帰と関連している
免疫介在性有害事象(imAE)は免疫チェックポイント阻害剤(ICI)で治療された患者によく発生し、肺炎は抗PD-1/PD-L1抗体で治療された患者の3~5%に発生することが知られている(Wang et al., Thorac Cancer, 11: 191-197, 2020)。ほとんどの症例はグレード1又は2の事象であり、免疫抑制で治療可能であるが、高グレードの事象は患者の少数派で発生し、致死的となることもある(Naidoo et al.,J Clin Oncol, 35: 709-717, 2016)。全ゲノム配列決定データが入手可能なGenentech(GNE社)の9つの臨床試験における1761人のアテゾリズマブ(抗PD-L1)で治療された患者のうち、72人(4.1%)が肺炎を発症した(表6)。試験には、IMmotion151(WO29637)、IMpassion130(WO29522)、IMpower110(GO29431)、IMpower130(GO29537)、IMpower131(GO29437)、IMpower132(GO29438)、IMpower133 (GO30081)、IMpower150(GO29436)、及びIMvigor211(GO29294)が含まれた。これらの研究は、腎細胞癌(RCC)、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)、非扁平上皮又は扁平上皮非小細胞肺がん(NSCLC)、小細胞肺がん(SCLC)、及び尿路上皮膀胱がんを有する患者が含まれた。
【0562】
表6.調査対象コホート
GNEは Genentech;PICIはParker Institute for Cancer Immunotherapy;PMCはPeter MacCallum Cancer Centre。
【0563】
HLA遺伝子型はHLA-HD(Kawaguchi et al., Hum Mutat, 38: 788-797, 2017)を用いて推定し、キャリアの頻度が>2%の87の対立遺伝子を含む関連研究を実施した。共通のハプロタイプの一部である2つのHLAクラスII対立遺伝子は、多重検査調整後、肺炎リスクと有意な関連を示し (HLA-DRB1*15:01、HLA-DQA1*01:02)、HLA-DRB1*15:01が最も強い関連を示した(p=0.0002、オッズ比(OR)=2.51)。対照群(N=1192)では関連性は観察されなかった。これらの結果を確認し、この関連性が異なるクラスのICIに一般化できるかどうかをテストするために、イルミナのゲノムワイドSNPアレイ(GSA v3) を使用して2つの追加コホートの遺伝子型を特定し、その後HIBAGを使用してHLA補完を行った(Zheng et al., Pharmacogenomics: 14: 192-200, 2014):コホートは、(1)Parker Institute for Cancer Immunotherapy(PICI)のAEROSMITH試験に関するパイロット研究から、肺炎を有するICI治療がん患者20人と肺炎を有しない対応対照20人、及び(2)Peter MacCallum Cancer Centre(PMC)の肺炎を有するICI治療黒色腫患者15人と肺炎を有しない黒色腫患者149人であった(表6)。PICIパイロットコホートでは、HLA-DRB1*15:01は 同程度のオッズ比(OR)(p=0.26、OR=2.75)にもかかわらず統計学的有意差には達しなかったが、PMCコホートではこの対立遺伝子は肺炎リスクと有意に関連していた(p=0.03、OR=3.92)。3つのコホートにわたるメタアナリシスの結果、1.2×10-5(OR=2.67、図14)という非常に有意なp値が得られ、この関連はICI間で一般化可能であることが示唆された。重要なことは、同じクラスIIハプロタイプが、線維化表現型を含む多様な肺炎症表現型と関連することが以前に示されたことである(Tian et al., Nat Commun, 8: 599, 2017; Fingerlin et al., BMC Genet., 17: 74, 2016; Voorter et al., Hum Immunol, 66: 826-835, 2005; Furukawa et al., PLoS One, 7: e33133, 2012)。
【0564】
まとめると、これらの結果から、HLAクラスIIの対立遺伝子変異がICI関連肺炎の潜在的危険因子であることが証明された。
【0565】
実施例4.HLAクラスIIのヘテロ接合性の消失(LOH)はアテゾリズマブ治療による不良転帰と関連する
本実施例で示された解析では、HLAクラスIの消失ではなく、HLAクラスIIの消失がアテゾリズマブ治療の不良転帰と関連することが示された。
【0566】
HLA発現の非存在又は減少は、遺伝的若しくはエピジェネティックな修飾、又は間接的な調節によるものである場合があり、抗腫瘍免疫応答を回避するための腫瘍進化の軌跡の結果である場合がある。MHCと複合体化した抗原ペプチドへのTCRの結合によってもたらされる抗原特異的シグナルは、「シグナル1」とも呼ばれる。がん免疫学における治療アプローチの大部分は、機能的抗原提示に依存しているため、HLA発現の消失又は下方制御は、腫瘍にとって強力な免疫回避戦略となり得る。原理的には、HLAの消失又は下方制御は、NK細胞によって相殺されるはずであるが、これは、異なる組織型にわたるNK細胞サブセットの分布の違い、腫瘍におけるNK細胞の存在量、NK細胞の有効性を調節する腫瘍免疫回避戦略、及び患者の腫瘍の免疫ゲノムの構成に影響される場合がある。
【0567】
HLAクラスI及びクラスIIのLOHは、患者がアテゾリズマブを投与された臨床試験の腫瘍全エクソーム配列決定(WES)データから計算により推定した。含められた試験は、IMpower131(GO29437)、IMpower133(GO30081)、IMpower150(GO29436)、POPLAR(NCT01903993)、及びIMmotion150(NCT01984242)であり、これらの研究はNSCLC、SCLC、又はmRCCを有する患者を含んでいた。
【0568】
HLAクラスI LOHは転帰と関連しなかった。LOHを有するアテゾリズマブ治療患者は、LOHを有しない患者に比べて全生存期間(OS)の悪化は示さなかった(図15)。完全なクラスIハプロタイプを消失した患者についても同様の結果が得られた。適応症、臨床試験、患者数、及びLOHを有する患者の割合の要約を表7に示す。試験の対照群では有意な関連性は観察されなかった。
【0569】
表7.臨床試験におけるLOHの割合
【0570】
さらに、腫瘍の変異負荷(TMB)は、クラスI LOHが転帰に及ぼす影響を修正しなかった(図16)。肺がんでは、低TMB設定と高TMB設定におけるLOHの影響の差は観察されなかった。中程度のTMBではLOHの頻度は高くなかった。しかし、クラスI LOHはCD8Aの発現低下と関連していた(図17)。理論に縛られることを望まないが、これらのデータは、CD8+T細胞の浸潤が減少する選択的プロセスを反映していることを示している可能性がある。
【0571】
予期せぬことに、HLAクラスIIの消失は転帰と関連していた。特に、HLAクラスII遺伝子のLOHの必要性は、メタ解析においてOS短縮との関連を示した(図18)。理論に縛られることを望まないが、このことは、最適な抗腫瘍応答にはHLAクラスI及びクラスIIの両方の新抗原を発現する腫瘍細胞が必要であることを示唆する知見と一致し得る。
【0572】
その他の実施態様
前述の発明は明確な理解のために例示及び実施例によってある程度詳細に説明されているが、説明及び実施例は、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
【配列表】
2024516230000001.app
【国際調査報告】