(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】錠剤ディスペンサ
(51)【国際特許分類】
A61J 7/00 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A61J7/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566471
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 US2022026260
(87)【国際公開番号】W WO2022232082
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100113170
【氏名又は名称】稲葉 和久
(72)【発明者】
【氏名】ギリジャクマリ,グリーシュマ
(72)【発明者】
【氏名】カンディ,プラビーン
(72)【発明者】
【氏名】コダバンティ,アンクル
(72)【発明者】
【氏名】サハデヴァン,ジョーシン
(72)【発明者】
【氏名】シッダッパ,ラクシュマナ
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047NN03
4C047NN11
4C047NN20
(57)【要約】
錠剤ディスペンサ及び使用方法が本明細書において提供される。いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサは、ユーザがディスペンサから分配する所望の投与量を選択することを可能にする投与量アクチュエータを有する。選択された投与量を変更することは、錠剤ディスペンサの収集空間の容積を変更し得る。錠剤ディスペンサは、錠剤容器に取り付けられるように構成されてもよい。錠剤ディスペンサが錠剤容器に取り付けられた状態で、ユーザは錠剤容器を傾けて、錠剤容器からの錠剤を収集空間内に落下させることができる。次いで、収集空間からの錠剤は、患者への投与のために錠剤ディスペンサから分配され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤容器に取り付けられるように構成されたキャップと、
前記キャップに結合され、前記錠剤容器から錠剤を収容するように構成された収集空間であって、調節可能な容積を有する、収集空間と、
投与量アクチュエータであって、選択された投与量を変更するための前記投与量アクチュエータの作動が、前記収集空間の前記容積を変更する、投与量アクチュエータと、を備える、錠剤ディスペンサ。
【請求項2】
前記投与量アクチュエータが、前記収集空間に対して摺動するように構成されたスライダを備える、請求項1に記載の錠剤ディスペンサ。
【請求項3】
前記収集空間の前記容積が可動壁によって部分的に境界付けられ、前記可動壁が前記スライダに接続されている、請求項2に記載の錠剤ディスペンサ。
【請求項4】
前記収集空間が、前記収集空間と前記キャップとの間の流体連通が閉鎖される第1の構成と、前記収集空間と前記キャップとの間の流体連通が開放される第2の構成とを有する、請求項1に記載の錠剤ディスペンサ。
【請求項5】
前記収集空間が、収集器アームの一部であり、前記収集器アームが、前記キャップに枢動可能にはめ込まれ、前記収集器アームが、前記第1の構成と前記第2の構成との間で前記キャップに対して枢動するように構成される、請求項4に記載の錠剤ディスペンサ。
【請求項6】
ロック構成及びロック解除構成を有する安全ロックを更に備え、前記ロック構成において、前記安全ロックが、前記キャップに対する前記収集器アームの枢動を妨げ、前記ロック解除構成において、前記収集器アームが、前記キャップに対して自由に枢動する、請求項5に記載の錠剤ディスペンサ。
【請求項7】
前記錠剤容器から錠剤を収容するように構成された前記キャップ内の開口部と、
錠剤が前記キャップから分配される出口と、
前記キャップ内の通路であって、前記開口部を前記出口に接続する通路と、
前記通路内に配置された複数のペグとを更に備える、請求項1に記載の錠剤ディスペンサ。
【請求項8】
前記錠剤ディスペンサが錠剤容器に取り付けられている間に、請求項1に記載の錠剤ディスペンサを収容するように構成されたドックであって、前記ドックからの前記錠剤ディスペンサの取り外しを防止するクランプを有する、ドック。
【請求項9】
錠剤容器に取り付けられるように構成されたキャップであって、前記錠剤容器から錠剤を収容するように構成された開口部を有するキャップと、
錠剤が前記キャップから分配される出口と、
前記キャップ内の通路であって、前記開口部を前記出口に接続する通路と、
前記通路内に配置された複数のペグと、を備える、錠剤ディスペンサ。
【請求項10】
前記複数のペグが、ペグの第1列とペグの第2列とを含み、ペグの前記第1列がペグの前記第2列に対して互い違いになっている、請求項9に記載の錠剤ディスペンサ。
【請求項11】
前記複数のペグが、ゴルトンボード配置を形成する、請求項10に記載の錠剤ディスペンサ。
【請求項12】
前記ペグが等間隔に離間されている、請求項9に記載の錠剤ディスペンサ。
【請求項13】
前記キャップが、錠剤容器のねじ山と係合するように構成されたねじ山を含む、請求項9に記載の錠剤ディスペンサ。
【請求項14】
前記通路の少なくとも一部に沿った側壁を更に備え、前記側壁が、前記開口部から前記出口に向かう方向に先細りする漏斗を形成する、請求項9に記載の錠剤ディスペンサ。
【請求項15】
錠剤ディスペンサから錠剤を分配する方法であって、
前記錠剤ディスペンサを錠剤容器に結合することと、
収集空間の容積を設定するために投与量アクチュエータを使用して投与量を設定することと、
前記錠剤容器が前記錠剤ディスペンサに取り付けられている間に前記錠剤ディスペンサを傾けて、錠剤が前記錠剤容器から前記収集空間に移動することを可能にすることと、
前記錠剤を前記収集空間から前記錠剤ディスペンサの外に分配することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記錠剤ディスペンサ又は前記錠剤容器をタップして、前記錠剤を前記収集空間内に押し込むことを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記錠剤ディスペンサを前記錠剤容器に結合する前に、前記錠剤容器からキャップを取り外すことを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記錠剤容器と前記収集空間との間の流体連通を開放するために、前記錠剤容器に対して前記収集空間を回転させることを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記錠剤容器と前記収集空間との間の流体連通を閉鎖するために、前記錠剤容器に対して前記収集空間を回転させることを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記投与量を設定することが、前記収集空間の容積を部分的に境界付ける可動壁を摺動させることを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示される実施形態は、錠剤分配デバイス及び関連する使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
錠剤は、丸剤又はカプセル剤とも呼ばれ、一般的な剤形である。薬物送達の一般的で便利な経路は経口摂取によるものであり、錠剤は一般的に経口摂取される。錠剤はまた、他の投与経路(例えば、舌下(舌の下)、頬側(頬と歯肉との間)、直腸、又は膣内)を介して投与され得る。
【0003】
マイクロ錠剤とも呼ばれるミニ錠剤は、従来の錠剤よりも小さいサイズを有する錠剤である。ミニ錠剤は、サイズが小さいため、従来の錠剤よりも嚥下が容易である場合があり、したがって、小児患者及び/又は嚥下困難(例えば、嚥下障害)を有する患者への投与に有用であり得る。いくつかの例では、ミニ錠剤は、投与を容易にするために、投与前に食物に混合されてもよく、及び/又は液体に溶解されてもよい。また、ミニ錠剤は、サイズが小さいため、用量の柔軟性を可能にし得る。ミニ錠剤は、改変された放出プロファイルを達成するために、異なる機能性コーティングとともに適用することができる。
【発明の概要】
【0004】
本開示の例示的な実施形態によれば、錠剤容器に取り付けられるように構成されたキャップと、キャップに結合され、錠剤容器から錠剤を収容するように構成された収集空間とを備える錠剤ディスペンサが開示される。収集空間は、調節可能な容積を有する。錠剤ディスペンサは、投与量アクチュエータを更に備える。選択された投与量を変更するための投与量アクチュエータの作動は、収集空間の容積を変化させる。
【0005】
本開示の別の例示的な実施形態によれば、錠剤容器に取り付けられるように構成されたキャップと、錠剤がキャップから分配される出口とを備える錠剤ディスペンサが開示される。キャップは、錠剤容器から錠剤を収容するように構成された開口部を有する。錠剤ディスペンサは、キャップ内の通路と、通路内に配置された複数のペグとを更に備える。通路は、開口部を出口に接続する。
【0006】
本開示の更に別の例示的な実施形態によれば、錠剤ディスペンサから錠剤を分配する方法が開示される。本方法は、錠剤ディスペンサを錠剤容器に結合することと、投与量アクチュエータを使用して投与量を設定して、収集空間の容積を設定することと、錠剤容器が錠剤ディスペンサに取り付けられている間に錠剤ディスペンサを傾けて、錠剤が錠剤容器から収集空間に移動できるようにすることと、収集空間から錠剤ディスペンサの外に錠剤を分配することとを含む。
【0007】
前述の概念及び以下で検討される追加の概念は、任意の適切な組み合わせで構成され得ることを理解されたい。なぜなら、本開示はこの点で限定されないからである。更に、本開示の他の利点及び新規の特徴は、添付の図面に関連して考慮されるとき、様々な非限定的な実施形態の以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
添付の図面は、縮尺どおりに描かれていることは意図されていない。図面において、様々な図に図示される同一又はほぼ同一の各構成要素は、同様の番号で表され得る。明確にするために、すべての図面においてすべての構成要素に符号が付けられているわけではないことがある。図面では、
【
図1】錠剤ディスペンサの一実施形態の正面右側斜視図である。
【
図2】
図1の錠剤ディスペンサの背面右側斜視図である。
【
図3】錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリを形成するために錠剤容器と係合された
図1の錠剤ディスペンサを示す図である。
【
図4】
図3の錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリの分解図である。
【
図5】錠剤ディスペンサのキャップの斜視図である。
【
図7A】錠剤ディスペンサが第1の構成にある、錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリの断面図である。
【
図7B】錠剤ディスペンサが第2の構成にある、錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリの断面図である。
【
図8】錠剤ディスペンサを使用する一実施形態による、錠剤容器からキャップを取り外すステップを示す図である。
【
図9】錠剤ディスペンサを
図8の錠剤容器に係合させるステップを示す図である。
【
図10】所望の投与量を選択するために投与量アクチュエータを作動させるステップを示す図である。
【
図11】
図10の線11-11に沿った、
図10の投与量アクチュエータ及び収集器の断面図である。
【
図12】収集器を錠剤容器に対して収集構成に回転させるステップを示す図である。
【
図13】錠剤を錠剤容器から収集器へ移動させるために錠剤ディスペンサ及び/又は錠剤容器をタップするステップを示す図である。
【
図14】錠剤が移動する錠剤ディスペンサの特徴を示す図である。
【
図15】収集器を錠剤容器に対して分配構成に回転させるステップを示す図である。
【
図16】錠剤ディスペンサから錠剤を分配するために錠剤ディスペンサを反転させるステップを示す図である。
【
図17】一実施形態による、安全ロックの斜視図である。
【
図19】明確にするために安全ロックのばねアームが図から隠れているキャップ、安全ロック及び収集器の分解図である。
【
図20】明確にするためにばねアームが図から隠れている、
図19の安全ロックの上面斜視図である。
【
図22】一実施形態による錠剤ディスペンサの安全機能の図である。
【
図23】一実施形態による、ドックと係合された錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリを示す図である。
【
図25】ドックからの錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリの取り外しを示す図である。
【
図26】錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリのドックへのドッキングを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
いくつかの実施形態では、錠剤を分配するためのデバイス及び方法が提供される。いくつかの実施形態では、錠剤はミニ錠剤(マイクロ錠剤とも呼ばれる)である。
【0010】
錠剤、特にミニ錠剤は、個々に取り扱うことが困難な場合がある。ユーザは、所望の投与量を達成するために、複数の錠剤を保持する容器から正確な数の錠剤を取り出す必要があり得る。錠剤を取り出して取り扱うことは、ユーザにとって、特に器用さが制限されているユーザにとって困難であり得る。いくつかの実施形態では、約6mm以下の直径を有し得るミニ錠剤は、ユーザが取り扱うのに特に困難であり得る。したがって、本発明者らは、ユーザが所望の投与量を選択することを可能にし、選択された所望の投与量を達成するために正しい数の錠剤を分配する錠剤ディスペンサの必要性を認識している。
【0011】
いくつかの従来の錠剤処理デバイスでは、錠剤が落下して、錠剤が排出される出口を跨ぐ錠剤のアーチが形成され、錠剤の分配を妨げる詰まりが生じる場合がある。したがって、本発明者らは、錠剤アーチ形成を阻止するのに役立つ錠剤ディスペンサの必要性を認識している。
【0012】
本発明者らはまた、例えば子供による錠剤の望ましくないアクセスを防止するのに役立つ安全機能の必要性を認識している。
【0013】
したがって、本明細書で説明されるいくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサは、従来のディスペンサによる前述の必要性及び欠点のうちの1つ又は任意の組み合わせに対処することができる。いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサは、ユーザが錠剤の所望の投与量を選択し、分配することを可能にする投与量アクチュエータを備えてもよい。いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサは、錠剤アーチ形成を阻止するのに役立つ錠剤分配器を備える。いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサは、錠剤の分配を阻止する1つ以上の子供向き安全機能を含む。しかしながら、本明細書で説明される錠剤ディスペンサは、上記で特定されたニーズに対処することに限定されず、代わりに、上記で特定されたもの以外のニーズに対処することができることを理解されたい。
【0014】
一態様によれば、錠剤ディスペンサは、錠剤容器(例えば、複数の錠剤を保持する容器)に直接取り付けるように構成される。使用時には、ユーザは、錠剤容器からキャップを取り外し、キャップを錠剤ディスペンサと交換する。錠剤ディスペンサは、錠剤ディスペンサが錠剤容器にねじ込まれて錠剤ディスペンサを錠剤容器に取り付けるように、錠剤容器のねじ山と協働するねじ山を有してもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、ユーザは、錠剤ディスペンサ上で所望の投与量を設定することができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、錠剤ディスペンサ上の投与量セレクタを操作することによって、錠剤ディスペンサ上の投与量を設定する。いくつかの実施形態では、投与量セレクタはスライダである。スライダは、チャネル内で移動可能な可動壁に接続されてもよい。チャネル及び可動壁によって境界付けられる空間の容積は、錠剤容器から錠剤を収容する収集空間を含んでもよい。したがって、収集空間の容積は、スライダの位置によって設定され得る。したがって、スライダの位置は、収集空間に収めることができる錠剤の数を決定する。例えば、より大きい投与量選択からより小さい投与量選択へのスライダの移動は、収集空間の容積を減少させる方向に可動壁を移動させ得る。同様に、より小さい投与量選択からより大きい投与量選択へのスライダの移動は、収集空間の容積を増加させる方向に可動壁を移動させ得る。
【0016】
使用時に、錠剤ディスペンサが錠剤容器に取り付けられた状態で、ユーザは、容器内からの錠剤が重力によって収集空間内に落下するように、錠剤容器を傾けるか又は反転させることができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、錠剤が錠剤容器から出て収集空間に入ることを促すために、錠剤容器を繰り返しタップしてもよい。錠剤は、収集空間が錠剤で満たされるまで、収集空間内に落下し続けることができる。次いで、ユーザは、収集された錠剤を収集空間から分配することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサは、錠剤容器と収集空間との間に錠剤分配器を備えてもよく、錠剤分配器は、錠剤の計量された落下を容易にするのに役立つことができ、及び/又は錠剤アーチ形成を阻止するのに役立つことができる。いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサは、複数の離間したペグを有する錠剤分配器を備える。いくつかの実施形態では、ペグは、ゴルトンボード配置で配置されてもよい。ペグ間の間隔は、錠剤の通過を可能にするサイズであってもよい。いくつかの実施形態では、錠剤容器を出る錠剤は、収集空間に入る前に、最初に錠剤分配器を通って移動してもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、収集空間と錠剤容器との間の流体連通は、選択的に開閉されてもよい。使用前に、収集空間と錠剤容器との間の流体連通は閉鎖されてもよい。ユーザは、収集空間と錠剤容器との間の流体連通を開放し、錠剤容器を反転又は傾斜させて、錠剤を収集空間内に分配し、次いで、収集空間と錠剤容器との間の流体連通を閉鎖してもよい。いくつかの実施形態では、収集空間は、錠剤ディスペンサのキャップに枢動可能にはめ込まれた収集器の一部である。ユーザは、収集器(したがって、収集空間)を第1の構成から第2の構成に枢動させて、収集空間と錠剤容器との間の流体連通を開放してもよく、ユーザは、収集空間を枢動させて第1の構成に戻して、収集空間と錠剤容器との間の流体連通を閉鎖してもよい。いくつかの実施形態では、収集空間が第1の構成にあるとき、収集空間は、収集空間内の錠剤を錠剤ディスペンサから分配することを可能にするように外部環境に対して開放される。
【0019】
いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサは、1つ以上のチャイルドプルーフ特徴を有してもよい。いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサは、ロックが係合されたときに収集器が枢動するのを妨げるチャイルドプルーフロックを備える。いくつかの実施形態では、ドックは、錠剤容器に係合される錠剤ディスペンサを収容して保持するために提供されてもよい。ドックは、ドックからの錠剤ディスペンサ及び錠剤容器の取り外しを妨げるように機能するチャイルドプルーフクランプを含むことができる。
【0020】
錠剤は、処方薬又は市販薬であってもよい。錠剤容器は、患者が薬局又は他のドラッグストアから入手するものであってもよい。錠剤ディスペンサは、錠剤容器とともに、又は錠剤容器とは別個に患者に提供されてもよい。いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサは、異なる錠剤容器とともに再使用可能である。例えば、1つの錠剤容器が錠剤ディスペンサを使用して錠剤を使い果たした後、ユーザは、続いて、第2の錠剤容器とともに錠剤ディスペンサを使用してもよい。別の例として、ユーザは、例えば、異なるタイプの錠剤を分配するために、同じ錠剤ディスペンサを使用して異なる錠剤容器を切り替えることができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサは、ミニ錠剤を分配するように構成される。いくつかの実施形態では、ミニ錠剤は、約4、3.5、3、2.5、2、1.5、1又は0.5ミリメートル(mm)以下である最大寸法(例えば、直径)を有し得る。いくつかの実施形態では、ミニ錠剤は、少なくとも約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5又は4mmである最大寸法(例えば、直径)を有し得る。上記範囲の組み合わせも可能であることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、ミニ錠剤は、約1~4mm、1~3.5mm、1~3mm、1~2.5mm、1~2mm、1~1.5mm、1.5~4mm、2~4mm、2.5~4mm、3~4mm、3.5~4mm、1.5~3mm、1.5~2.5mm、又は1.5~2mmの最大寸法(例えば、直径)を有し得る。いくつかの実施形態では、ミニ錠剤は、直径及び高さを有する円筒形状を有し得る。
【0022】
他の実施形態では、錠剤ディスペンサは、より大きい錠剤を分配するように構成される。いくつかの実施形態では、錠剤は、少なくとも約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25mmの最大寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、錠剤は、約25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、又は5mm以下の最大寸法を有し得る。上記範囲の組み合わせも可能であることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、錠剤は、約5~25mm、5~20mm、5~15mm、5~10mm、5~9mm、5~8mm、5~7mm、5~6mm、10~25mm、15~25mm、20~25mm、又は10~20mmの最大寸法を有し得る。
【0023】
図面を参照すると、
図1は、ミニ錠剤を含む錠剤を分配するために使用され得る錠剤ディスペンサの一実施形態の正面右側斜視図であり、
図2は、背面右側斜視図である。錠剤ディスペンサ1は、キャップ10と、収集器30と、投与量アクチュエータ50とを備えることができる。キャップ10は、
図3に見られるように、錠剤容器に結合するように構成されてもよい。使用時に、錠剤は、錠剤容器4を出て、キャップ10に入り、キャップ内の錠剤分配器20を通過し、収集器30内の収集空間40に入り、次いで分配出口を通って収集空間から出ることができる。
【0024】
錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリの分解図を
図4に示す。キャップ10は、キャップカバー11と、キャップ本体12と、錠剤分配器20とを含んでもよい。収集器30は、チャネル42と、チャネル42を覆うカバー33とを含んでもよい。投与量アクチュエータ50は、チャネル42を通って摺動するように構成された可動壁52を有するスライダであってもよい。収集器の収集空間は、カバー33及び可動壁52によって境界付けられるチャネル42内の容積であってもよい。したがって、いくつかの実施形態では、投与量アクチュエータ50の位置は、収集空間の容積を決定することができる。投与量アクチュエータを作動させて投与量を増加させることにより、収集空間の容積を増加させることができ、投与量アクチュエータを作動させて投与量を減少させることにより、収集空間の容積を減少させることができる。
【0025】
投与量アクチュエータは、図の例示的な実施形態では手動スライダとして示されているが、投与量アクチュエータの他の配置も可能であることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、可動壁の位置は、動力装置又は貯蔵エネルギー装置、例えば、モータ、サーボ、ソレノイド、空気圧装置、又は任意の他の適切な装置を介して制御されてもよい。投与量アクチュエータは、純粋に機械的である必要はなく、代わりに、例えば、コントローラ及び/又はLCDディスプレイなどのディスプレイに信号を送信する、1つ以上のボタンを含んでもよい。
【0026】
いくつかの実施形態では、カバー33は、例えば、収集空間が錠剤で充填されたかどうかをユーザが判断するのを助けるために、ユーザがチャネル42を見る又は部分的に見ることを可能にするように透明である。いくつかの実施形態では、カバー33はまた、拡大レンズとして形作られ、例えば湾曲している。カバー33は、チャネル42内の内容物の視野を拡大するのを助けることができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサは、錠剤容器と収集空間との間に錠剤分配器を備えてもよく、錠剤分配器は、錠剤の計量された落下を容易にするのに役立つことができ、及び/又は錠剤アーチ形成を阻止するのに役立つことができる。錠剤分配器の例示的な一実施形態が、
図6A、
図6B及び
図6Cに示されている。錠剤分配器20は、互いに離間された複数のペグ25を含む。ペグ間の間隔は、錠剤アーチ形成の可能性を低減しながら、錠剤の通過を可能にするようなサイズであってもよい。錠剤ディスペンサが錠剤容器に結合された状態で、ユーザは、錠剤容器を傾けるか又は反転させて、重力によって錠剤をキャップ内に落下させる。錠剤は、重力によってキャップ10を通って移動し続ける。例示的な錠剤移動通路を
図6Aに示す。一部の錠剤は、移動通路28に沿って錠剤容器から分配器入口16を通ってキャップ10内に移動することができる。次に、錠剤は錠剤分配器20を通って移動し、キャップ出口26から出る。分配器入口16は、キャップ内への開口部15とキャップ出口26との間の中間開口部である。錠剤は、例示的な移動通路28がその間を通過するペグだけでなく、錠剤分配器のペグのいずれかの間を移動してもよいことを理解されたい。
【0028】
錠剤分配器20の上面図を
図6Cに示す。錠剤は、分配器入口16からキャップ出口26に向かって移動し、錠剤分配器のペグ25の間を通過する。錠剤分配器20は、例示的に、複数列のペグを含む。例えば、錠剤分配器20は、第1列のペグ21と、第2列のペグ22と、第3列のペグ23とを含む。ペグの各列は、等しい数のペグを有する必要はない。いくつかの実施形態では、分配器入口からキャップ出口に向かって移動するペグの各後続列は、ペグの数が減少している。しかしながら、いくつかの実施形態では、ペグの列は各々、等しい数のペグを有するか、又はいくつかの実施形態では、分配器入口からキャップ出口に向かって移動するペグの各後続列は、ペグの数が増加している。いくつかの実施形態では、錠剤分配器20は側壁27を含んでもよい。いくつかの実施形態では、側壁27間の距離は、分配器入口16からキャップ出口26に向かう方向に移動するにつれて減少し、錠剤をキャップ出口26に向かって方向付ける漏斗を形成する。いくつかの実施形態では、キャップ出口26に向かう側壁の一部は、キャップ出口26に向かって内側に漏斗状になり続けるギザギザ形状29を有する。このギザギザの形状29は、錠剤アーチが形成される可能性を低減するか、さもなければ、分配動作中に錠剤分配器内で錠剤が停滞するのを防止するように機能する。
【0029】
いくつかの実施形態では、ペグの隣接する列は、互い違いになっている。例えば、ペグ22の第2列はペグ21の第1列から互い違いにされてもよく、ペグ23の第3列はペグ22の第2列から互い違いにされてもよい。いくつかの実施形態では、ペグの交互の列は、互いに整列される。例えば、ペグ23の第3列の2つのペグは、ペグ21の第1列のペグの2つと位置合わせされてもよい。
図6Cの例示的な実施形態のようないくつかの実施形態では、錠剤分配器のペグは、五点形又は「ゴルトンボード」配置を形成する。
【0030】
いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサキャップを出る錠剤は、収集器の収集空間に入ることができる。一態様によれば、収集空間と錠剤ディスペンサキャップ(及び錠剤容器)との間の流体連通は、選択的に開閉することができる。
図7A及び
図7Bの例示的な実施形態に示されるように、収集空間と錠剤容器との間の流体連通の制御は、キャップ10に対する収集器30の回転位置によって達成される。収集器30は、
図7Aに示す第1の構成と、
図7Bに示す第2の構成とを有する。収集器30(したがって収集空間40)が第1の構成にあるとき、収集空間40とキャップ10との間の流体連通は閉鎖される。いくつかの実施形態では、収集器30(したがって収集空間40)が第1の構成にあるとき、収集空間40と錠剤容器4との間の流体連通は閉鎖される。
図7Aに示すように、第1の構成では、収集空間40への開口部41は、キャップ出口26からずれている。第1の構成では、収集器30の肩部43は、キャップ出口26に隣接し、したがって、錠剤がキャップ出口26から出るのを妨げる。
【0031】
図7Bに示される、本明細書で収集構成とも呼ばれる第2の構成では、収集器30は、容器錠剤4から離れるように回転されている。収集器30(したがって、収集空間40)が第2の構成にあるとき、収集空間40とキャップ10との間の流体連通が開放される。いくつかの実施形態では、収集器30(したがって、収集空間40)が第2の構成にあるとき、収集空間40と錠剤容器4との間の流体連通が開放される。
図7Bに示されるように、第2の構成では、収集空間40への開口部41は、キャップ出口26と位置合わせされ、したがって、収集空間40とキャップ10との間、及び収集空間40と錠剤容器4との間の流体連通を開放する。第2の構成では、収集器30の肩部43は、もはやキャップ出口26を塞がない位置に移動している。収集器30が第2の構成にあるとき、錠剤容器4からの錠剤は、キャップ10を通過して収集空間40に入ることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、収集器30が第1の構成にあるとき、収集空間40の長手方向軸140は、キャップ開口部15の長手方向軸102(いくつかの実施形態では、錠剤容器4の長手方向軸と一致してもよい)と平行である。いくつかの実施形態では、収集器30が第2の構成にあるとき、収集空間40の長手方向軸140は、キャップ開口部15の長手方向軸102(いくつかの実施形態では、錠剤容器4の長手方向軸と一致してもよい)に対して角度θである。いくつかの実施形態では、角度θは、少なくとも約10、20、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、100、120、140、160、180又は200度である。いくつかの実施形態では、角度θは、約200、180、160、140、120、100、90、85、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、20、又は10度以下である。上記範囲の組み合わせも可能である。例えば、いくつかの実施形態では、角度θは、約10度~約200度、約20度~約160度、約30度~約90度、約35度~約70度、又は約40度~約60度である。
【0033】
いくつかの実施形態では、収集器30は、キャップ10に回転可能にはめ込まれてもよい。
図4に示されるように、収集器30は、キャップ10のヒンジ14によって収容される枢動ピン38及び掃引ピン39を含んでもよい。
図6Bに示されるように、ヒンジ14は、第1のバレル18及び第2のバレル19を含んでもよく、第2のバレル19は、延長掃引通路117を有する。第1のバレル18は枢動ピン38を収容することができ、第2のバレル19は掃引ピン39を収容することができる。収集器は、枢動ピン38の周りでキャップ10に対して回転することができる。収集器30がキャップ10に対して回転している間、枢動ピン38は第1のバレル18内で回転することができ、掃引ピン39は回転と並進の両方を行うことができる。収集器30が第1の構成から第2の構成に移動されるとき、掃引ピン39は、延長掃引通路117を通って移動し、第2のバレル19に入る。収集器30が第2の構成から第1の構成に移動されるとき、掃引ピン39は、第2のバレル19から出て、延長掃引通路117を通って移動する。
【0034】
いくつかの実施形態では、錠剤が収集空間に入った後、収集空間内の錠剤は、錠剤ディスペンサから分配される。いくつかの実施形態では、錠剤は、ユーザが錠剤ディスペンサを分配構成に作動させるまで、収集空間から出ることを妨げる。いくつかの実施形態では、収集器は、錠剤ディスペンサが分配構成にあるとき、特定の回転位置にある。
【0035】
いくつかの実施形態では、分配構成は、上記で説明され、
図7Aに示される第1の構成と同じである。
図7Aに示すように、収集器30が第1の構成にあるとき、収集空間40への開口部41は、キャップ10の貫通孔であってもよいディスペンサ出口126と位置合わせされる。収集器30が第1の構成にあるときに錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリを反転させることにより、収集空間40内に収集された錠剤を収集空間40からディスペンサ出口126を通して落下させ、それによって錠剤ディスペンサから出すことができる。いくつかの実施形態では、収集空間とディスペンサ出口との間の流体連通は、選択的に開閉されてもよい。
図7Bに示されるように、収集器30が第2の構成にあるとき、収集空間40とディスペンサ出口126との間の流体連通は閉鎖される。
図7Aに示されるように、収集器30が第1の構成にあるとき、収集空間40とディスペンサ出口126との間の流体連通が開放される。
【0036】
いくつかの実施形態では、収集空間40への開口部41からの別個の異なるディスペンサ出口126が必要でない場合があることを理解されたい。いくつかの実施形態では、収集空間40自体への開口部41は、ディスペンサ出口として機能してもよい。
【0037】
分配構成は、第1の構成と同じである必要はないことも理解されたい。いくつかの実施形態では、分配構成及び第1の構成は、別個の異なる構成である。例えば、いくつかの実施形態では、分配構成では、収集器は、錠剤ディスペンサキャップに対して、第1及び第2の構成とは異なる位置(例えば、異なる回転位置)にある。
【0038】
いくつかの実施形態では、ディスペンサ出口弁又は他のカバーが、ディスペンサ出口を通した物体の一方向移動を可能にするために含まれる(例えば、錠剤は、ディスペンサ出口を通して錠剤ディスペンサから出ることができるが、錠剤ディスペンサの外部の物体は、ディスペンサ出口に入ることができない、又は入ることを阻止される)。ディスペンサ出口弁の一例は、リビングヒンジ又は他のヒンジ付き構成要素など、一方向のみに開放するフラップである。ディスペンサ出口弁又は他のカバーは、ディスペンサ出口又はその付近に配置されてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサを分配構成に置くために、ユーザは、アクチュエータと相互作用して、ディスペンサ出口を開放する。例えば、ユーザは、ディスペンサ出口の覆いを取るようにするボタンを押すことができる。或いは、ユーザは、ディスペンサ出口カバーを閉位置から開位置に摺動させてもよい。
【0040】
次に、
図8~
図16を参照して、ディスペンサ錠剤から錠剤を分配する際に含まれる一連の動作ステップの一実施形態について説明する。
図8~
図16の例示的な実施形態を参照すると、ユーザには、
図8に示すように、関連する錠剤容器キャップ5を有する錠剤容器4が提供される。ユーザは、錠剤容器キャップ5を回して錠剤容器4から持ち上げることによって、錠剤容器キャップ5を錠剤容器4から取り外す。ユーザは、錠剤容器キャップ5を錠剤ディスペンサ1のキャップ10に交換する。
図9に示すように、錠剤ディスペンサのキャップ10は、キャップ10を錠剤容器4上に下降させ、キャップ10を錠剤容器4上にねじ込むことによって錠剤容器4に取り付けられ、したがって錠剤ディスペンサキャップ10で錠剤容器の開口部6が覆われる。
図6A及び
図6Bに示すように、キャップ10は、錠剤容器のねじ山と係合するためのねじ山17を含むことができる。
【0041】
図9の錠剤ディスペンサは、収集空間とキャップとの間の流体連通が閉鎖される第1の構成で示されている。錠剤ディスペンサが錠剤容器に結合された後、錠剤ディスペンサが第1の構成にあるとき、収集空間と錠剤容器との間の流体連通も閉鎖される。
【0042】
図10及び
図11は、いくつかの実施形態によれば、ユーザが所望の投与量をどのように選択し得るかを示す。収集器30は、異なる投与量を示す複数の印37を含む。ユーザは、投与量アクチュエータの窓51が所望の投与量表示に重なるまで、例えば手動で投与量アクチュエータ50を摺動させる。
【0043】
図11の断面図に示されるように、可動壁52は、投与量アクチュエータ50の動きが可動壁52も動かすように、投与量アクチュエータ50に結合される。可動壁52は、収集器30のチャネル44を通って移動するように構成される。可動壁52は、収集空間40の下側境界を画定し、したがって、可動壁52の位置は、収集空間40の容積を画定する。投与量アクチュエータ50がより小さい投与量の印に向かって移動すると、収集空間40の容積が減少し、投与量アクチュエータ50がより大きい投与量の印に向かって移動すると、収集空間40の容積が増加する。
【0044】
いくつかの実施形態では、投与量アクチュエータは、投与量選択を支援する触覚フィードバック要素を含むことができる。
図11に示すように、投与量アクチュエータ50に結合された複数の窪み45及び突起54が相互作用して戻り止めを形成する。窪み45は、例示的に、収集器30のチャネル44に沿って配置され、各窪みは、対応する投与量表示と位置合わせされる。突起54が窪みに入ると、ユーザは、突起が所定の位置にクリックされたことを感知し(例えば、感じる及び/又は聞く)、ユーザに投与量選択の触覚及び/又は可聴フィードバックを与えることができる。窪みと突起との間の係合は、投与量アクチュエータに加えられる閾値力を超えるまで、投与量アクチュエータを所定の位置に保持する。そのような配置は、不注意な投与量変更の可能性を低減し得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、投与量アクチュエータ50、可動壁52、及び突起54は、互いに一体的に形成される。本明細書で使用される場合、互いに「一体的に形成される」部品は、それらが単一のモノリシック構成要素から形成されるように、例えば、ダイカスト若しくは射出成形などで単一ピースとして同時に鋳造されるか、又はスタンピング若しくはダイカットなどで単一材料から切断されるように、1つの構成要素として形成される。他の実施形態では、投与量アクチュエータ、可動壁、及び突起は別々に形成され、その後互いに取り付けられる。これらの製造配置の任意の組み合わせも同様に使用されてもよく、例えば、3つの構成要素のうちの2つが互いに一体的に形成され、第3の構成要素が後で取り付けられる。
【0046】
投与量アクチュエータを使用して投与量を選択した後、ユーザは、錠剤を錠剤容器から収集空間に入れるようにさせることができる。
図12に示すように、最初に、ユーザは、収集器30を錠剤ディスペンサキャップ10に対して錠剤容器4から離れる方向に回転させ、したがって錠剤ディスペンサを第2の構成に配置する。前述のように、第2の構成への収集器30の回転は、キャップ10と収集器の収集空間との間の流体連通を開放する。次に、
図13に示すように、ユーザは、錠剤容器及び錠剤ディスペンサアセンブリを傾けて、錠剤容器内の錠剤が重力によってキャップ10内に落下することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、キャップ10及び/又は錠剤容器4をタップして、錠剤を錠剤容器4からキャップ10内に移動させるか、錠剤をキャップ10内の錠剤分配器を通して移動させるか、錠剤をキャップ10から収集器30の収集空間内に移動させるか、又は上記の任意の組み合わせを行う。いくつかの実施形態では、タップ動作は、錠剤が収集空間に入ることを促すために、キャップ出口に向かう方向に向けられる。錠剤移動通路の更なる詳細が
図14に示されている。まず、錠剤が錠剤容器4から錠剤ディスペンサのキャップ10内に移動する。錠剤は、分配器入口16を通過して錠剤分配器20に入り、錠剤分配器20は、上述のように複数の離間したペグを含んでもよい。次に、錠剤を、例えば、
図14に示すように、ユーザが錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリを前方に傾け、キャップ10及び/又は錠剤容器4をタップすることによって、錠剤分配器20を通って移動させる。その後、錠剤はキャップ10を出て、収集器30の収集空間40に入る。
図14は、収集空間40に入った錠剤101のアレイを示す。いくつかの実施形態では、収集空間40の深さは、可動壁52によって境界付けられ、可動壁52の位置は、投与量アクチュエータ50の位置によって設定される。
【0047】
ユーザは、収集空間が錠剤で充填されるまで、収集空間内に錠剤をタップ、さもなければ促し続けることができる。いくつかの実施形態では、ユーザは、収集空間が錠剤で充填されたことを視覚的に確認してもよい。本明細書で論じられるように、収集器のカバー33は、収集空間が充填されたことを視覚的に確認するために、ユーザが収集空間40を見るか、又は部分的に見ることを可能にするように透明であってもよい。いくつかの実施形態では、カバー33は、ユーザが収集空間内の内容物をより良く視覚化するのを助けるために、光学的拡大効果を提供するように形作られる。
【0048】
いくつかの実施形態では、収集空間は、錠剤が収集空間内に一列縦隊(例えば、錠剤の線形アレイ)を形成することを促すようなサイズである。いくつかの実施形態では、収集空間の幅は、錠剤の幅又は直径よりもわずかに大きいだけである。いくつかの実施形態では、収集空間の幅は、錠剤の幅の少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25パーセント以内である。いくつかの実施形態では、収集空間の幅は、錠剤の幅の約25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1パーセント以内である。上記範囲の組み合わせも可能であることを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、収集空間の幅は、錠剤の幅の少なくとも約1~25、5~20、10~15、5~10、又は1~10パーセント以内である。
【0049】
収集空間は、錠剤が線形アレイを形成することを促すようなサイズにする必要はないことを理解されたい。代わりに、収集空間は、複数列の錠剤、又は組織化された配置を形成しない錠剤の収集など、任意の適切な配置で錠剤が空間を充填できるようなサイズであってもよい。
【0050】
収集空間が所望の数の錠剤で充填された後、錠剤は、収集空間及び錠剤ディスペンサから分配されてもよい。
図15に示すように、ユーザは、収集器30を容器4に向かって回転させて分配構成に戻すことができる。次に、ユーザは、
図16に示すように、錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリを反転させて、ディスペンサ出口126から錠剤101を分配することができる。
【0051】
図15の例示的な実施形態では、錠剤ディスペンサの分配構成は、錠剤容器と収集空間との間の流体連通が閉鎖される、
図9に示す第1の構成と同じである。
【0052】
一態様によれば、錠剤ディスペンサは、ロック解除するために特定の動作を必要とし得る1つ以上の安全機能を含み得る。安全機能は、錠剤の不注意な分配及び/又は例えば子供による錠剤の望ましくないアクセスの可能性を防止又は低減する。いくつかの実施形態では、安全機能(複数可)をロック解除するために必要とされる動作(複数可)は、大人よりも子供が行う方が困難であり得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、安全機能は、錠剤ディスペンサキャップ/錠剤容器と収集空間との間の閉鎖流体連通を維持する。いくつかの実施形態では、安全機能は、ユーザが安全機能をロック解除するまで、錠剤ディスペンサキャップに対する収集器の回転を妨げることによって、そのような配置を達成する。
【0054】
安全ロック110の例示的な実施形態が
図17に示される。安全インターロック110はまた、
図3及び
図4などの他の図において錠剤ディスペンサと例示的に一体化されている。安全ロック110は、キャップ10のカラー13の周りに嵌合するようなサイズのリング116を含む(例えば、カラー13については
図4参照)。安全ロック110は、リング116に結合された圧縮可能なばねを例示的に含む。
図17の例示的な実施形態では、ばねは、複数のばねアーム114を含む。リング116及びばねアーム114は、例示的な実施形態では一体的に形成されている。安全ロック110はまた、ユーザが安全ロックをロック解除するために相互作用し得るウィング112を含んでもよい。
【0055】
図に示される例示的な実施形態は、安全ロックばねのためのばねアームを含むが、この態様はそのように限定されないので、ばねのための他の配置が使用されてもよい。例えば、ばねは、コイルばね、板ばね、圧縮可能な発泡体、又は任意の他の適切なばねであってもよい。ばねは、安全ロック構成要素と一体化される必要はなく、代わりに、安全ロックとキャップとの間に配置される別個の異なる構成要素であってもよい。
【0056】
安全ロック110の例示的な動作が
図18に示されている。ユーザは、ウィング112を容器4から離れる方向に引っ張ることによって、安全ロック110を持ち上げるか又は引き上げる。安全ロック110を持ち上げると、安全ロック上のタブ111が収集器30上のキャッチ211をクリアし、したがって収集器30を解放してキャップ10に対して回転させる。安全ロック110を持ち上げると、ばねアーム114がキャップ10に対して圧縮される。ばねアーム114は、
図18の右下部分に圧縮状態で示されている。ユーザが安全ロック110に力を加えるのをやめると、ばねアーム114は、圧縮解除され、安全ロックをロック構成に押し戻す。ばねアーム114は、
図18の左側に非圧縮状態で示されている。したがって、ばねアーム114は、安全ロック110をロック位置に付勢する。
【0057】
いくつかの実施形態では、安全ロック及び収集器は、ユーザが安全ロックと直接相互作用することを必要とせずに、ロック構成に戻るように構成されてもよい。
図18に示すように、収集器30上のキャッチ211は傾斜面213を含み、安全ロック110上のタブ111は湾曲面115を含む。収集器30が第1の構成(いくつかの実施形態では同様に、分配構成)に向かって回転して戻されると、収集器キャッチ211の傾斜面213は、安全ロックタブ111の湾曲面115に対して摺動し、安全ロック110を押し上げ、ばねアーム114を圧縮させる。次いで、キャッチ211がタブ111をクリアし、収集器30が第1の構成に戻ることができる。いくつかの実施形態では、収集器30が第1の構成に戻るときに、触覚及び/又は可聴クリックを感じる/聞くことができる。
図19の分解図は、安全ロック110と、キャップ10と、収集器30との間の相互作用を示す(安全ロック110のばねアームは、明確にするために隠れている)。いくつかの実施形態では、安全ロック110は、キャップ10のボス122内に嵌合するようなサイズであるガイドピン113を含む。これらのガイドピンは、安全ロック110がキャップ10に向かって持ち上げられるときに、キャップ10に対する安全ロック110の線形運動をガイドするのに役立つ。ガイドピン113は
図20にも示されており、
図20では、安全ロック110のばねアームは明確にするために隠れている。ボス122は、キャップ10の下側を示す
図21にも示されている。
【0058】
一実施形態では、安全ロックは、錠剤ディスペンサが錠剤容器から不注意に分離する可能性を低減するように構成される。この実施形態では、安全ロックは、ディスペンサ1の取り付け機構が容器4から分離することを可能にするために、圧搾力によって変形可能である。
図22に示すように、錠剤ディスペンサ1を錠剤容器4から分離するために、ユーザは、安全ロックを径方向内向きに圧搾し、錠剤容器4から引き離す。
【0059】
いくつかの実施形態では、ドックは、錠剤ディスペンサからの錠剤の不注意な分配の可能性を低減するために提供される。ドックは、錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリを収容して保持するように構成される。いくつかの実施形態では、ドックは、ドックからの錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリの取り外しを防止するのに役立ち、錠剤容器からの錠剤ディスペンサの取り外しを防止するのに役立つクランプを含む。いくつかの実施形態では、クランプの解除は、子供が投与することが困難である量の力を必要とし得る。
【0060】
ドックの例示的な一実施形態が
図23に示されている。ドック80は、錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリと係合される。ドックは、ホルダ81及びトグルクランプ82を含み、トグルクランプ82は、ロックアーム83及びクランプ84を含む。ホルダ81は、錠剤容器4の少なくとも一部を収容する。トグルクランプのロックアーム83は、錠剤ディスペンサ1のキャップ10の一部に接触する。トグルクランプ82は、ホルダ81からの錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリの取り外しを妨げる。
図24に示されるドックの分解図は、ドックの様々な構成要素を示す。
【0061】
図25及び
図26は、ドックの動作を示す。錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリをドックから取り外すために、ユーザは、
図25に示すように、クランプ84を上方に回転させることによってトグルクランプを解除する。クランプ84を係合解除すると、ロックアーム83が解放され錠剤ディスペンサから回転するので、錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリがドックから取り外れるように解放される。トグルクランプを解除するために、閾値力が必要とされ得る。いくつかの実施形態では、閾値力は少なくとも約10~15ニュートンであるが、他の適切な閾値力が実施されてもよい。
【0062】
錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリをドッキングするために、アセンブリはホルダ81に挿入される。ユーザは、
図26に示すように、クランプ84を下方に回転させることによってトグルクランプをロックし、これにより、ロックアーム83が錠剤ディスペンサのキャップ上に下方にクランプされる。いくつかの実施形態では、錠剤ディスペンサは、錠剤ディスペンサ及び錠剤容器アセンブリがドックに固定され得る前に、第1の構成(例えば、錠剤容器と収集空間との間の流体連通が閉鎖される)に配置されなければならない。
【0063】
本教示は、様々な実施形態及び実施例と併せて説明されてきたが、本教示がそのような実施形態又は実施例に限定されることを意図するものではない。それどころか、本発明の教示は、当該技術分野の技術者によって理解されるように、様々な代替案、修正、及び同等物を包含する。したがって、前述の記載及び図面は、例としてのみのものである。
【国際調査報告】