IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイションの特許一覧

特表2024-516239自己調節データ決定のためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】自己調節データ決定のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1455 20060101AFI20240405BHJP
【FI】
A61B5/1455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566683
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(85)【翻訳文提出日】2023-12-27
(86)【国際出願番号】 US2022025386
(87)【国際公開番号】W WO2022231888
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/181,108
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ポール・ビー・ベンニ
(72)【発明者】
【氏名】アントニオ・アルバネーゼ
(72)【発明者】
【氏名】アヌシャ・アラトゥール・ランガラジャン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・エス・アギーレ
(72)【発明者】
【氏名】ブレナン・マイケル・シュナイダー
【テーマコード(参考)】
4C038
【Fターム(参考)】
4C038KK01
4C038KL07
(57)【要約】
自己調節機能情報を提供するための方法が提供される。この方法は、a)ある期間の間に組織領域を組織オキシメータで連続的に感知するステップであって、その感知が、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知するステップと、b)血圧感知装置を使用して、期間中の血圧レベルを連続的に測定するステップであって、その測定が、対象の血圧レベルを表す第二の信号を生成する、測定するステップと、c)第一の信号を使用して少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、第二の信号を使用して血圧レベルを、互いに対して評価するステップと、d)期間の最近の部分からの第一の信号および第二の信号を使用して、自己調節データの最近のプロファイルを生成するステップと、e)期間の履歴部分からの第一の信号および第二の信号を使用して、自己調節データの履歴プロファイルを生成するステップと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の自己調節機能状態に関する情報を提供するための方法であって、
ある期間の間、対象の組織領域を組織オキシメータで連続的に感知するステップであって、前記感知が、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知するステップと、
血圧感知装置を使用して、前記期間中に前記対象の血圧レベルを連続的に測定するステップであって、前記測定が、前記対象の前記血圧レベルを表す第二の信号を生成する、測定するステップと、
前記第一の信号を使用して前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、前記第二の信号を使用して前記対象の前記血圧レベルを、互いに対して評価するステップと、
前記互いに対して評価された前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび前記血圧レベルを表す自己調節データの最近のプロファイルを、前記期間の最近の部分からの前記第一の信号および前記第二の信号を使用して生成するステップと、
前記互いに対して評価された前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび前記血圧レベルを表す自己調節データの履歴プロファイルを、前記期間の履歴部分からの前記第一の信号および前記第二の信号を使用して生成するステップと、を含み、前記期間の前記履歴部分が、前記期間の前記最近の部分よりも長く、自己調節データの前記履歴プロファイルが、自己調節データの前記最近のプロファイルとは無関係である、方法。
【請求項2】
前記期間の前記履歴部分が、前記期間の全体にわたる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記期間の前記履歴部分が、前記期間の前記最近の部分に実質的に等しい量だけ前記期間の全体より短く継続する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記期間が、第一の時点T1と第二の時点T2との間に継続し、前記第二の時点が、前記第一の時点T1よりも遅く、
自己調節データの前記最近のプロファイルが、前記期間の前記最近の部分からの前記第一の信号および前記第二の信号を使用して生成され、前記期間の前記最近の部分が、前記第二の時点T2と第三の時点T3との間に継続し、前記第三の時点が、第二の時点T2よりも早く、前記第一の時点T1よりも遅く、
自己調節データの前記履歴プロファイルが、前記期間の前記履歴部分からの前記第一の信号および前記第二の信号を使用して生成され、前記期間の前記履歴部分が、前記第一の時点T1と前記第三の時点T3との間に継続する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記期間が、前記第一の時点T1と新しい第二の時点NT2との間に継続し、前記新しい第二の時点NT2が、前記第二の時点T2よりも遅く、
自己調節データの前記最近のプロファイルを使用して前記履歴プロファイルを更新し、
前記互いに対して評価された前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび前記血圧レベルを表す自己調節データの新しい最近のプロファイルを、前記期間の新しい最近の部分からの前記第一の信号および前記第二の信号を使用して生成し、前記期間の前記新しい最近の部分が、前記新しい第二の時点NT2と前記第二の時点T2との間に継続する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第一の信号を使用して前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、前記第二の信号を使用して前記対象の前記血圧レベルを、互いに対して評価する前記ステップが、
前記第一の信号の第一の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域組織酸素パラメータ値を決定するステップと、
前記第二の信号の第二の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域血圧値を決定するステップと、
前記周波数領域組織酸素パラメータ値および前記周波数領域血圧値を使用して、前記対象の自己調節状態を示すコヒーレンス(COHZ)値を決定するステップと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
自己調節データの前記最近のプロファイルおよび自己調節データの前記履歴プロファイルの両方が、前記COHZ値を前記血圧レベルの関数として含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記履歴プロファイルおよび前記最近のプロファイルを一緒に表示するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
対象の自己調節機能状態に関する情報を提供するための装置であって、
前記対象の組織領域を連続的に感知するように構成された近赤外分光法(NIRS)組織オキシメータと、
前記対象の血圧レベルを連続的に測定するように構成された血圧感知装置と、
前記NIRS組織オキシメータおよび前記血圧感知装置と通信するコントローラであって、前記コントローラが少なくとも一つのプロセッサおよび命令を格納するように構成されたメモリデバイスを含み、前記格納された命令が実行時に、前記コントローラに、
前記NIRS組織オキシメータを制御して、ある期間中に前記対象の組織領域を連続的に感知し、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成することと、
前記血圧感知装置を制御して、前記期間中の前記対象の血圧レベルを連続的に測定し、前記測定された前記対象の血圧レベルを表す第二の信号を生成することと、
前記第一の信号を使用して前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、前記第二の信号を使用して前記対象の前記血圧レベルを、互いに対して評価することと、
前記互いに対して評価された前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび前記血圧レベルを表す自己調節データの最近のプロファイルを、前記期間の最近の部分からの前記第一の信号および前記第二の信号を使用して生成することと、
前記互いに対して評価された前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび前記血圧レベルを表す自己調節データの履歴プロファイルを、前記期間の履歴部分からの前記第一の信号および前記第二の信号を使用して生成することと、をさせる、コントローラと、を備え、前記期間の前記履歴部分が、前記期間の前記最近の部分よりも長く、自己調節データの前記履歴プロファイルが、自己調節データの前記最近のプロファイルとは無関係である、装置。
【請求項10】
対象の脳自己調節機能状態に関する情報を提供するための方法であって、
ある期間中に対象の脳の左半球部分の少なくとも一部分を組織オキシメータで連続的に感知するステップであって、前記感知が、前記左半球内の少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知するステップと、
前記期間中に対象の脳の右半球部分の少なくとも一部分を前記組織オキシメータで連続的に感知するステップであって、前記感知が、前記右半球内の少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第二の信号を生成する、感知するステップと、
血圧感知装置を使用して、前記期間中に前記対象の血圧レベルを連続的に測定するステップであって、前記測定が、前記対象の前記血圧レベルを表す第三の信号を生成する、測定するステップと、
前記第一の信号および前記第三の信号を使用して、左半球自己調節データプロファイルを生成するステップと、
前記第二の信号および前記第三の信号を使用して、右半球自己調節データプロファイルを生成するステップと、
前記左半球自己調節データプロファイルおよび前記右半球自己調節データプロファイルを使用して、両側を組み合わせた自己調節プロファイルを生成するステップと、を含む、方法。
【請求項11】
前記左半球自己調節データプロファイルを生成する前記ステップが、前記第一の信号を使用して前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、前記第三の信号を使用して前記対象の前記血圧レベルを、互いに対して評価するステップを含み、
前記右半球自己調節データプロファイルを生成する前記ステップが、前記第二の信号を使用して前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、前記第三の信号を使用して前記対象の前記血圧レベルを、互いに対して評価するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第一の信号を使用して前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、前記第三の信号を使用して前記対象の前記血圧レベルを、互いに対して評価する前記ステップが、
前記第一の信号の周波数領域変換を実行することによって、左側の周波数領域組織酸素パラメータ値を決定するステップと、
前記第三の信号の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域血圧値を決定するステップと、
前記左側の周波数領域組織酸素パラメータ値および前記周波数領域血圧値を使用して、前記対象の左半球自己調節状態を示す左半球コヒーレンス(COHZ)値を決定するステップと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記左半球自己調節データプロファイルが、前記血圧レベルの関数として前記左半球COHZ値を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第二の信号を使用して前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、前記第三の信号を使用して前記対象の前記血圧レベルを、互いに対して評価する前記ステップが、
前記第二の信号の周波数領域変換を実行することによって、右側の周波数領域組織酸素パラメータ値を決定するステップと、
前記第三の信号の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域血圧値を決定するステップと、
前記右側の周波数領域組織酸素パラメータ値および前記周波数領域血圧値を使用して、前記対象の右半球自己調節状態を示す右半球コヒーレンス(COHZ)値を決定するステップと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記右半球自己調節データプロファイルが、前記血圧レベルの関数として前記右半球COHZ値を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
対象の脳自己調節機能状態に関する情報を提供するための装置であって、
前記対象の複数の組織領域を連続的に感知するように構成された近赤外分光法(NIRS)組織オキシメータと、
前記対象の血圧レベルを連続的に測定するように構成された血圧感知装置と、
前記NIRS組織オキシメータおよび前記血圧感知装置と通信するコントローラであって、前記コントローラが少なくとも一つのプロセッサおよび命令を格納するように構成されたメモリデバイスを含み、前記格納された命令が実行時に、前記コントローラに、
前記組織オキシメータを制御して、ある期間中に対象の脳の左半球部分の少なくとも一部分を組織オキシメータで連続的に感知することであって、前記感知が、前記左半球内の少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知することと、
前記組織オキシメータを制御して、前記期間中に対象の脳の右半球部分の少なくとも一部分を前記組織オキシメータで連続的に感知することであって、前記感知が、前記右半球内の少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第二の信号を生成する、感知することと、
前記血圧感知装置を制御して、前記期間中に前記対象の血圧レベルを連続的に測定することであって、前記測定が、前記対象の前記血圧レベルを表す第三の信号を生成する、測定することと、
前記第一の信号および前記第三の信号を使用して、左半球自己調節データプロファイルを生成することと、
前記第二の信号および前記第三の信号を使用して、右半球自己調節データプロファイルを生成することと、
前記左半球自己調節データプロファイルおよび前記右半球自己調節データプロファイルを使用して、両側を組み合わせた自己調節プロファイルを生成することと、をさせる、コントローラと、を備える、装置。
【請求項17】
対象の自己調節機能状態に関する情報を提供するための方法であって、
ある期間の間、対象の組織領域を組織オキシメータで連続的に感知するステップであって、前記期間が開始時点T1で開始し、前記感知が、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知するステップと、
血圧感知装置を使用して、前記期間中に前記対象の血圧レベルを連続的に測定するステップであって、前記測定が、前記対象の前記血圧レベルを表す第二の信号を生成する、測定するステップと、
前記第一の信号を使用して前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、前記第二の信号を使用して前記対象の前記血圧レベルを、互いに対して評価するステップと、
前記互いに対して評価された前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび前記血圧レベルを表す自己調節データの第一の開始プロファイルを、前記開始時点T1で開始し、プロファイル期間を時点T2まで延長する前記期間の一部分からの前記第一の信号および前記第二の信号を使用して生成するステップであって、前記プロファイル期間が2分以下である、生成するステップと、を含む、方法。
【請求項18】
自己調節データの前記第一の開始プロファイルを、前記時点T2で開始し、前記プロファイル期間を時点T3まで延長する前記期間の一部分からの前記第一の信号および前記第二の信号を使用して、前記互いに対して評価された前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび前記血圧レベルを表す、自己調節データの第二のプロファイルと置き換えるステップをさらに含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
脳自己調節指数(CAI)情報を提供するための方法であって、
ある期間中に対象の脳の一部分の少なくとも一部分を組織オキシメータで連続的に感知するステップであって、前記感知が、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知するステップと、
血圧感知装置を使用して、前記期間中に前記対象の血圧レベルを連続的に測定するステップであって、前記測定が、前記対象の前記血圧レベルを表す第二の信号を生成する、測定するステップと、
前記第一の信号および前記第二の信号を使用して、前記対象の自己調節状態を示す値を決定するステップと、
前記対象の自己調節状態を示す前記値を使用して、CAI値を時間の関数として生成するステップと、を含む、方法。
【請求項20】
前記第一の信号の第一の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域組織酸素パラメータ値を決定するステップと、
前記第二の信号の第二の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域血圧値を決定するステップと、をさらに含み、
前記第一の信号および前記第二の信号を使用した前記対象の自己調節状態を示す前記決定された値が、前記対象の自己調節状態を示すコヒーレンス値(COHZ)であり、前記COHZ値が、前記周波数領域組織酸素パラメータ値および前記周波数領域血圧値を使用して決定される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記CAI値を時間の関数として表示するステップをさらに含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
CAI値を時間の関数として生成する前記ステップが、前記決定されたCOHZ値の少なくとも一部が、加重平均CAI値を生成するために使用される、加重平均化ステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記決定されたCOHZ値を前記周波数領域血圧値の関数として使用して自己調節プロファイルを生成するステップであって、前記自己調節プロファイルが周波数領域血圧ビンの関数としてCOHZ値を含む、生成するステップをさらに含み、
前記対象の血圧値を決定するステップと、前記決定された血圧値と整列した前記ビンのうちの一つを識別するステップと、をさらに含み、
CAI値を時間の関数として生成する前記ステップが、前記決定された血圧値と整列した前記識別されたビンに関連付けられた前記COHZ値、および前記決定された血圧値と整列した前記識別されたビンに隣接したビンに関連付けられた前記COHZ値を使用して、加重平均CAI値を生成するステップを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
脳自己調節指数(CAI)情報を提供するための装置であって、
対象の組織領域を連続的に感知するように構成された近赤外分光法(NIRS)組織オキシメータと、
前記対象の血圧レベルを連続的に測定するように構成された血圧感知装置と、
前記NIRS組織オキシメータおよび前記血圧感知装置と通信するコントローラであって、前記コントローラが少なくとも一つのプロセッサおよび命令を格納するように構成されたメモリデバイスを含み、前記格納された命令が実行時に、前記コントローラに、
ある期間の間、前記組織オキシメータを制御して、前記対象の前記組織領域を前記組織オキシメータで連続的に感知することであって、前記感知が、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知することと、
前記血圧感知装置を制御して、前記期間中に前記対象の血圧レベルを連続的に測定することであって、前記測定が、前記対象の前記血圧レベルを表す第二の信号を生成する、測定することと、
前記第一の信号および前記第二の信号を使用して、前記対象の自己調節状態を示す値を決定することと、
前記対象の自己調節状態を示す前記値を使用して、CAI値を時間の関数として生成することと、をさせる、コントローラと、を備える、装置。
【請求項25】
前記格納された命令が実行時に、前記コントローラに、
前記第一の信号の第一の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域組織酸素パラメータ値を決定することと、
前記第二の信号の第二の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域血圧値を決定することと、をさらにさせて、
前記第一の信号および前記第二の信号を使用した前記対象の自己調節状態を示す前記決定された値が、前記対象の自己調節状態を示すコヒーレンス値(COHZ)であり、前記COHZ値が、前記周波数領域組織酸素パラメータ値および前記周波数領域血圧値を使用して決定される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記格納された命令が実行時に、前記コントローラに、さらに、加重平均CAI値を生成させる、請求項25に記載の装置。
【請求項27】
コンピュータプログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータプログラム命令が、少なくとも一つのコンピュータプロセッサによって実行可能であり、対象の自己調節機能状態に関する情報を提供する方法を実施し、前記方法が、
近赤外分光法(NIRS)組織オキシメータを制御して、ある期間中に対象の組織領域を連続的に感知するステップであって、前記感知が、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知するステップと、
血圧感知装置を制御して、前記期間中に前記対象の血圧レベルを連続的に測定するステップであって、前記測定が、前記対象の前記血圧レベルを表す第二の信号を生成する、測定するステップと、
前記第一の信号を使用して前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、前記第二の信号を使用して前記対象の前記血圧レベルを、互いに対して評価するステップと、
前記互いに対して評価された前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび前記血圧レベルを表す自己調節データの最近のプロファイルを、前記期間の最近の部分からの前記第一の信号および前記第二の信号を使用して生成するステップと、
前記互いに対して評価された前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび前記血圧レベルを表す自己調節データの履歴プロファイルを、前記期間の履歴部分からの前記第一の信号および前記第二の信号を使用して生成するステップと、を含み、前記期間の前記履歴部分が、前記期間の前記最近の部分よりも長く、自己調節データの前記履歴プロファイルが、自己調節データの前記最近のプロファイルとは無関係である、コンピュータプログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項28】
コンピュータプログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータプログラム命令が、少なくとも一つのコンピュータプロセッサによって実行可能であり、対象の脳自己調節機能状態に関する情報を提供する方法を実施し、前記方法が、
近赤外分光法(NIRS)組織オキシメータを制御して、ある期間中に対象の脳の左半球部分の少なくとも一部分を連続的に感知するステップであって、前記感知が、前記左半球内の少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知するステップと、
前記NIRS組織オキシメータを制御して、前記期間中に対象の脳の右半球部分の少なくとも一部分を連続的に感知するステップであって、前記感知が、前記右半球内の少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第二の信号を生成する、感知するステップと、
血圧感知装置を制御して、前記期間中に前記対象の血圧レベルを連続的に測定するステップであって、前記測定が、前記対象の前記血圧レベルを表す第三の信号を生成する、測定するステップと、
前記第一の信号および前記第三の信号を使用して、左半球自己調節データプロファイルを生成するステップと、
前記第二の信号および前記第三の信号を使用して、右半球自己調節データプロファイルを生成するステップと、
前記左半球自己調節データプロファイルおよび前記右半球自己調節データプロファイルを使用して、両側を組み合わせた自己調節プロファイルを生成するステップと、を含む、コンピュータプログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項29】
コンピュータプログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータプログラム命令が、少なくとも一つのコンピュータプロセッサによって実行可能であり、対象の自己調節機能状態に関する情報を提供する方法を実施し、前記方法が、
近赤外分光法(NIRS)組織オキシメータを制御して、ある期間中に対象の組織領域を連続的に感知するステップであって、前記期間が、開始時点T1に開始し、前記感知が、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知するステップと、
血圧感知装置を制御して、前記期間中に前記対象の血圧レベルを連続的に測定するステップであって、前記測定が、前記対象の前記血圧レベルを表す第二の信号を生成する、測定するステップと、
前記第一の信号を使用して前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、前記第二の信号を使用して前記対象の前記血圧レベルを、互いに対して評価するステップと、
前記互いに対して評価された前記少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび前記血圧レベルを表す自己調節データの第一の開始プロファイルを、前記開始時点T1で開始し、プロファイル期間を時点T2まで延長する前記期間の一部分からの前記第一の信号および前記第二の信号を使用して生成するステップであって、前記プロファイル期間が2分以下である、生成するステップと、を含む、コンピュータプログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項30】
コンピュータプログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記コンピュータプログラム命令が、少なくとも一つのコンピュータプロセッサによって実行可能であり、脳自己調節指数(CAI)情報を提供する方法を実施し、前記方法が、
近赤外分光法(NIRS)組織オキシメータを制御して、ある期間中に対象の脳の一部分の少なくとも一部分を連続的に感知するステップであって、前記感知が、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知するステップと、
血圧感知装置を制御して、前記期間中に前記対象の血圧レベルを連続的に測定するステップであって、前記測定が、前記対象の前記血圧レベルを表す第二の信号を生成する、測定するステップと、
前記第一の信号および前記第二の信号を使用して、前記対象の自己調節状態を示す値を決定するステップと、
前記対象の自己調節状態を示す前記値を使用して、時間の関数としてCAI値を生成するステップと、を含む、コンピュータプログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月28日に出願された、SYSTEM AND METHOD FOR AUTOREGULATION DATA DETERMINATIONと題された米国仮特許出願第63/181,108号に基づき、優先権を主張するものであり、その完全な開示はここに、参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の背景
1.技術分野
本開示は、概して医療装置および方法に関し、特に、自己調節を測定および/または監視するための医療装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
2.背景情報
自己調節は、様々な灌流圧のために器官(例えば、脳、心臓、腎臓など)への適切かつ安定(例えば、「一定」)な血流を維持することを目的とする哺乳類におけるプロセスである。身体のほとんどのシステムはある程度の自己調節を示すが、脳は過灌流および灌流不足に対して非常に敏感である。図1は、灌流圧を100mmHgから70mmHgに突然低減することの効果を示す。受動的血管床(すなわち、不十分な自己調節)では、圧力のこの急激な低下は、血流の急速かつ持続的な低下をもたらす。自己調節により、順調な流れに戻るために、血管抵抗が増加する。しかしながら、血管抵抗が変化し得る範囲には制限がある。動脈血管は、血管拡張薬または他の原因によって最大拡張点に到達し得、それにおいて、血管反応性(すなわち、血管抵抗を変える能力)が受動的になる。受動的状態では、血圧の変化は、血流の変化をもたらす場合がある。血流が十分に減少する場合、不十分な灌流および結果として生じる器官内の虚血が生じる場合がある。逆に、動脈血管は、最大収縮の状態に到達し得、それにおいて、血管反応性がまた受動的になる。血圧の増加は、器官への過剰な流れをもたらし得る。例えば、図2を参照されたい。
【0004】
異なる器官は、様々な程度の自己調節挙動を示す。腎循環、脳循環、および冠動脈循環は、典型的に優れた自己調節を示し、一方、骨格筋および臓器循環は、中程度の自己調節を示す。皮膚循環は、自己調節能力をほとんどまたは全く示さない。
【0005】
複数の因子(例えば、加齢と共に生じる動脈の硬化)は、血管反応性応答の特性を変化させ得、これらの因子はさらに、関連する自己調節特性を変化させ得る。したがって、血圧の変化による血流の自己調節範囲は、対象間で変化し得、一定であると仮定することができない。図3は、慢性の高血圧および低血圧に起因して、脳自己調節曲線がどのようにシフトし得るかを示す。特定の対象の自己調節が機能しているかどうか、および血圧変動性を管理するための潜在的な範囲を決定するための方法および装置は、臨床医にとって大きな助けとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第6456862号明細書
【特許文献2】米国特許第7072701号明細書
【特許文献3】米国特許第8078250号明細書
【特許文献4】米国特許第8396526号明細書
【特許文献5】米国特許第8965472号明細書
【特許文献6】米国特許第10117610号明細書
【特許文献7】米国特許第9913601号明細書
【特許文献8】米国特許第9848808号明細書
【特許文献9】米国特許第9456773号明細書
【特許文献10】米国特許第9364175号明細書
【特許文献11】米国特許第9923943号明細書
【特許文献12】米国特許第8788004号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
必要とされるのは、自己調節決定または測定を混乱させ得る因子を特定し考慮するものを含む、先行技術で既知のものよりも改善された、自己調節を監視するための装置および方法である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の態様によれば、対象の自己調節機能状態に関する情報を提供するための方法が提供される。この方法は、a)ある期間の間に対象の組織領域を組織オキシメータで連続的に感知するステップであって、その感知が、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知するステップと、b)血圧感知装置を使用して、期間中の対象の血圧レベルを連続的に測定するステップであって、その測定が、対象の血圧レベルを表す第二の信号を生成する、測定するステップと、c)第一の信号を使用して少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、第二の信号を使用して対象の血圧レベルを、互いに対して評価するステップと、d)互いに対して評価された少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび血圧レベルを表す、自己調節データの最近のプロファイルを、期間の最近の部分からの第一の信号および第二の信号を使用して生成するステップと、e)互いに対して評価された少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび血圧レベルを表す、自己調節データの履歴プロファイルを、期間の履歴部分からの第一の信号および第二の信号を使用して生成するステップと、を含み、期間の履歴部分は、期間の最近の部分よりも長く、自己調節データの履歴プロファイルは、自己調節データの最近のプロファイルとは無関係である。
【0009】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、期間の履歴部分は、期間全体にわたって継続してもよい。
【0010】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、期間の履歴部分は、期間の最近の部分に実質的に等しい量だけ、期間の全体よりも少なく継続してもよい。
【0011】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、期間は、第一の時点T1と第二の時点T2との間に継続してもよく、第二の時点は、第一の時点T1よりも遅い。自己調節データの最近のプロファイルは、期間の最近の部分からの第一の信号および第二の信号を使用して生成されてもよく、期間の最近の部分は、第二の時点T2と第三の時点T3との間に継続し、第三の時点は、第二の時点T2よりも早く、第一の時点T1よりも遅い。自己調節データの履歴プロファイルは、期間の履歴部分からの第一の信号および第二の信号を使用して生成されてもよく、期間の履歴部分は、第一の時点T1と第三の時点T3との間に継続する。
【0012】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、期間は、第一の時点T1と新しい第二の時点NT2との間に継続してもよく、新しい第二の時点NT2は、第二の時点T2よりも遅い。方法は、a)自己調節データの最近のプロファイルを使用して履歴プロファイルを更新するステップと、b)互いに対して評価された少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび血圧レベルを表す、自己調節データの新しい最近のプロファイルを、期間の新しい最近の部分からの第一の信号および第二の信号を使用して生成するステップと、をさらに含んでもよく、期間の新しい最近の部分は、新しい第二の時点NT2と第二の時点T2との間に継続する。
【0013】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、第一の信号を使用して少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、第二の信号を使用して対象の血圧レベルを、互いに対して評価するステップは、a)第一の信号の第一の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域組織酸素パラメータ値を決定するステップと、b)第二の信号の第二の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域血圧値を決定するステップと、c)周波数領域組織酸素パラメータ値および周波数領域血圧値を使用して、対象の自己調節状態を示すコヒーレンス(COHZ)値を決定するステップと、を含んでもよい。
【0014】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、自己調節データの最近のプロファイルおよび自己調節データの履歴プロファイルの両方は、血圧レベルの関数としてCOHZ値を含んでもよい。
【0015】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、方法は、履歴プロファイルおよび最近のプロファイルを一緒に表示するステップをさらに含んでもよい。
【0016】
本開示の別の態様によれば、対象の自己調節機能状態に関する情報を提供するための装置が提供される。装置は、近赤外分光法(NIRS)組織オキシメータ、血圧感知装置、およびコントローラを含む。NIRS組織オキシメータは、対象の組織領域を連続的に感知するように構成される。血圧感知装置は、対象の血圧レベルを連続的に測定するように構成されている。コントローラは、NIRS組織オキシメータおよび血圧感知装置と通信する。コントローラは、少なくとも一つのプロセッサと、命令を格納するように構成されたメモリデバイスと、を含む。格納された命令は実行時に、コントローラに、a)NIRS組織オキシメータを制御して、ある期間中に対象の組織領域を連続的に感知し、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成することと、b)血圧感知装置を制御して、期間中の対象の血圧レベルを連続的に測定し、測定された対象の血圧レベルを表す第二の信号を生成することと、c)第一の信号を使用して少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、第二の信号を使用して対象の血圧レベルを、互いに対して評価することと、d)互いに対して評価された少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび血圧レベルを表す、自己調節データの最近のプロファイルを、期間の最近の部分からの第一の信号および第二の信号を使用して生成することと、e)互いに対して評価された少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび血圧レベルを表す、自己調節データの履歴プロファイルを、期間の履歴部分からの第一の信号および第二の信号を使用して生成することと、をさせる。期間の履歴部分は、期間の最近の部分よりも長く、自己調節データの履歴プロファイルは、自己調節データの最近のプロファイルとは無関係である。
【0017】
本開示の別の態様によれば、対象の脳自己調節機能状態に関する情報を提供するための方法が提供される。この方法は、a)ある期間中に対象の脳の左半球部分の少なくとも一部分を組織オキシメータで連続的に感知するステップであって、その感知が、左半球内の少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知するステップと、b)期間中に対象の脳の右半球部分の少なくとも一部分を組織オキシメータで連続的に感知するステップであって、その感知が、右半球内の少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第二の信号を生成する、感知するステップと、c)血圧感知装置を使用して、期間中に対象の血圧レベルを連続的に測定するステップであって、その測定が、対象の血圧レベルを表す第三の信号を生成する、測定するステップと、d)第一の信号および第三の信号を使用して、左半球自己調節データプロファイルを生成するステップと、e)第二の信号および第三の信号を使用して、右半球自己調節データプロファイルを生成するステップと、f)左半球自己調節データプロファイルおよび右半球自己調節データプロファイルを使用して、両側を組み合わせた自己調節プロファイルを生成するステップと、を含む。
【0018】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、左半球自己調節データプロファイルを生成するステップは、第一の信号を使用して少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、第三の信号を使用して対象の血圧レベルを、互いに対して評価するステップを含んでもよく、右半球自己調節データプロファイルを生成するステップは、第二の信号を使用して少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、第三の信号を使用して対象の血圧レベルを、互いに対して評価するステップを含む。
【0019】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、第一の信号を使用して少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、第三の信号を使用して対象の血圧レベルを、互いに対して評価するステップは、a)第一の信号の周波数領域変換を実行することによって、左側の周波数領域組織酸素パラメータ値を決定するステップと、b)第三の信号の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域血圧値を決定するステップと、c)左側の周波数領域組織酸素パラメータ値および周波数領域血圧値を使用して、対象の左半球自己調節状態を示す左半球コヒーレンス(COHZ)値を決定するステップと、を含んでもよい。
【0020】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、左半球自己調節データプロファイルは、血圧レベルの関数として左半球COHZ値を含んでもよい。
【0021】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、第二の信号を使用して少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、第三の信号を使用して対象の血圧レベルを、互いに対して評価するステップは、a)第二の信号の周波数領域変換を実行することによって、右側の周波数領域組織酸素パラメータ値を決定するステップと、b)第三の信号の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域血圧値を決定するステップと、c)右側の周波数領域組織酸素パラメータ値および周波数領域血圧値を使用して、対象の右半球自己調節状態を示す右半球コヒーレンス(COHZ)値を決定するステップと、を含んでもよい。
【0022】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、右半球自己調節データプロファイルは、血圧レベルの関数として右半球COHZ値を含んでもよい。
【0023】
本開示の別の態様によれば、対象の脳自己調節機能状態に関する情報を提供するための装置が提供される。装置は、近赤外分光法(NIRS)組織オキシメータ、血圧感知装置、およびコントローラを含む。NIRS組織オキシメータは、対象の複数の組織領域を連続的に感知するように構成される。血圧感知装置は、対象の血圧レベルを連続的に測定するように構成されている。コントローラは、NIRS組織オキシメータおよび血圧感知装置と通信する。コントローラは、少なくとも一つのプロセッサと、命令を格納するように構成されたメモリデバイスと、を含む。格納された命令は実行時に、コントローラに、a)組織オキシメータを制御して、ある期間中に対象の脳の左半球部分の少なくとも一部分を組織オキシメータで連続的に感知することであって、その感知が、左半球内の少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知することと、b)組織オキシメータを制御して、期間中に対象の脳の右半球部分の少なくとも一部分を組織オキシメータで連続的に感知することであって、その感知が、右半球内の少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第二の信号を生成する、感知することと、c)血圧感知装置を制御して、期間中に対象の血圧レベルを連続的に測定することであって、測定が、対象の血圧レベルを表す第三の信号を生成する、測定することと、d)第一の信号および第三の信号を使用して、左半球自己調節データプロファイルを生成することと、e)第二の信号および第三の信号を使用して、右半球自己調節データプロファイルを生成することと、f)左半球自己調節データプロファイルおよび右半球自己調節データプロファイルを使用して、両側を組み合わせた自己調節プロファイルを生成することと、をさせる。
【0024】
本開示の別の態様によれば、対象の自己調節機能状態に関する情報を提供するための方法が提供される。この方法は、a)ある期間の間、対象の組織領域を組織オキシメータで連続的に感知するステップであって、期間が開始時点T1で開始し、その感知が、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知するステップと、b)血圧感知装置を使用して、期間中の対象の血圧レベルを連続的に測定するステップであって、その測定が、対象の血圧レベルを表す第二の信号を生成する、測定するステップと、c)第一の信号を使用して少なくとも一つの組織酸素化パラメータを、第二の信号を使用して対象の血圧レベルを、互いに対して評価するステップと、d)互いに対して評価された少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび血圧レベルを表す自己調節データの第一の開始プロファイルを、開始時点T1で開始し、プロファイル期間を時点T2まで延長する期間の一部分からの第一の信号および当該第二の信号を使用して生成するステップであって、プロファイル期間が2分以下である、生成するステップと、を含む。
【0025】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、方法は、自己調節データの第一の開始プロファイルを、時点T2で開始し、プロファイル期間を時点T3まで延長する期間の一部分からの第一の信号および第二の信号を使用して、互いに対して評価された少なくとも一つの組織酸素化パラメータおよび血圧レベルを表す、自己調節データの第二のプロファイルと置き換えるステップをさらに含んでもよい。
【0026】
本開示の別の態様によれば、脳自己調節指数(CAI)情報を提供するための方法が提供される。この方法は、a)ある期間中に対象の脳の一部分の少なくとも一部分を組織オキシメータで連続的に感知するステップであって、その感知が、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知するステップと、b)血圧感知装置を使用して、期間中の対象の血圧レベルを連続的に測定するステップであって、その測定が、対象の血圧レベルを表す第二の信号を生成する、測定するステップと、c)第一の信号および第二の信号を使用して、対象の自己調節状態を示す値を決定するステップと、d)対象の自己調節状態を示す値を使用して、CAI値を時間の関数として生成するステップと、を含む。
【0027】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、方法は、a)第一の信号の第一の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域組織酸素パラメータ値を決定するステップと、b)第二の信号の第二の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域血圧値を決定するステップと、をさらに含んでもよい。第一の信号および第二の信号を使用した対象の自己調節状態を示す決定された値は、対象の自己調節状態を示すコヒーレンス値(COHZ)、周波数領域組織酸素パラメータ値および周波数領域血圧値を使用して決定されるCOHZ値であり得る。
【0028】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、方法は、CAI値を時間の関数として表示するステップをさらに含んでもよい。
【0029】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、CAI値を時間の関数として生成するステップは、加重平均化ステップを含んでもよく、決定されたCOHZ値の少なくとも一部は、加重平均CAI値を生成するために使用される。
【0030】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、方法は、決定されたCOHZ値を周波数領域血圧値の関数として使用して、自己調節プロファイルを生成するステップをさらに含んでもよい。自己調節プロファイルは、周波数領域血圧ビンの関数としてCOHZ値を含んでもよい。方法は、対象の血圧値を決定するステップと、決定された血圧値と整列したビンのうちの一つを識別するステップと、をさらに含んでもよい。CAI値を時間の関数として生成するステップは、決定された血圧値と整列した識別されたビンに関連付けられたCOHZ値、および決定された血圧値と整列した識別されたビンに隣接したビンに関連付けられたCOHZ値を使用して、加重平均CAI値を生成するステップを含んでもよい。
【0031】
本開示の別の態様によれば、脳自己調節指数(CAI)情報を提供するための装置が提供される。装置は、近赤外分光法(NIRS)組織オキシメータ、血圧感知装置、およびコントローラを含む。NIRS組織オキシメータは、対象の組織領域を連続的に感知するように構成される。血圧感知装置は、対象の血圧レベルを連続的に測定するように構成されている。コントローラは、NIRS組織オキシメータおよび血圧感知装置と通信する。コントローラは、少なくとも一つのプロセッサと、命令を格納するように構成されたメモリデバイスと、を含む。格納された命令は実行時に、コントローラに、a)組織オキシメータを制御して、ある期間中に対象の組織領域を組織オキシメータで連続的に感知することであって、その感知が、少なくとも一つの組織酸素化パラメータを表す第一の信号を生成する、感知することと、b)血圧感知装置を制御して、期間中の対象の血圧レベルを連続的に測定することであって、その測定が、対象の血圧レベルを表す第二の信号を生成する、測定することと、c)第一の信号および第二の信号を使用して、対象の自己調節状態を示す値を決定することと、d)対象の自己調節状態を示す値を使用して、CAI値を時間の関数として生成することと、をさせる。
【0032】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、格納された命令は実行時に、コントローラに、a)第一の信号の第一の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域組織酸素パラメータ値を決定することと、b)第二の信号の第二の周波数領域変換を実行することによって、周波数領域血圧値を決定することと、をさらにさせてもよい。第一の信号および第二の信号を使用した対象の自己調節状態を示す決定された値は、対象の自己調節状態を示すコヒーレンス値(COHZ)であり、COHZ値は、周波数領域組織酸素パラメータ値および周波数領域血圧値を使用して決定される。
【0033】
上記および本明細書で説明されている態様または実施形態のいずれかでは、格納された命令は実行時に、コントローラに、さらに、加重平均CAI値を生成させてもよい。
【0034】
本開示の態様によれば、本明細書に記載の本開示の実施形態のうちの一つ以上を実装するための命令を含む、一つ以上の非一時的コンピュータ可読媒体が提供されてもよい。
【0035】
前述では、以下の発明の詳細な説明がより良く理解され得るように、本発明のいくつかの態様を概説した。本発明の特許請求の範囲の対象を形成する、本発明の追加の特徴および利点を以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1図1は、時間の関数としての自己調節パラメータの線図である。
図2図2は、灌流圧に対する血流の線図であり、拡張血管と収縮血管との間の関係および自己調節機能を示す。
図3図3は、脳灌流圧に対する脳血流の線図であり、正常な状態、低血圧状態、および高血圧状態を示す。
図4A図4Aは、本開示の実施形態による自己調節システムの図式表現である。
図4B図4Bは、本開示の実施形態による自己調節システムの図式表現である。
図5図5は、例示的な周波数領域方法の図式表現である。
図6図6は、自己調節プロファイルプロットの実施形態例である。
図7図7は、自己調節プロファイルプロットの実施形態例である。
図8図8は、自己調節プロファイルプロットの実施形態例である。
図9図9は、本開示の態様の一実施形態の機能図である。
図9A図9Aは、本開示の態様の一実施形態の機能図である。
図10図10は、周波数軸上に示される図9に示す複数の周波数帯域の図である。
図10A図10Aは、周波数軸上に示される図9Aに示す複数の周波数帯域の図である。
図11図11は、時間軸上に示される図9に示す複数の周波数帯域の図である。
図11A図11Aは、時間軸上に示される図9Aに示す複数の周波数帯域の図である。
図12図12は、複数のNIRSインデックスに対する自己調節プロットを示す線図である。
図12A図12Aは、複数の異なるNIRSインデックスを利用する本開示の実施形態の図式例を提供する。
図13図13は、位相と周波数との間の例示的な関係を示すチャートである。
図14図14は、本開示による例示的な周波数領域方法の一実施形態の図式表現である。
図15図15は、本開示の実施形態による自己調節データの例示的な表示である。
図16図16は、履歴自己調節機能プロファイル表示、最近の自己調節機能プロファイル表示、および履歴自己調節機能プロファイル表示と最近の自己調節機能プロファイル表示との組み合わせを含む、自己調節機能データの図式表現である。
図17図17は、脳左側自己調節機能プロファイル表示、脳右側自己調節機能プロファイル表示、および組み合わされた脳自己調節機能プロファイル表示を含む、自己調節機能データの図式表現である。
図18図18は、開始自己調節機能プロファイル方法論の概略フローチャートである。
図19図19は、脳自己調節指数(CAI)方法論の図式表現である。
図20図20は、CAI決定のための加重平均化技術の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図4Aおよび4Bを参照すると、自己調節測定および監視システム(「AMシステム20」)の非限定的な実施形態が図式的に示されている。本明細書に記載されるように、AMシステム20は、測定および/もしくは監視され得るデータ値(例えば、コヒーレンス値)、または対象の自己調節システム機能の状態を示すデータ値(例えば、対象の自己調節システムが機能している程度)を生成するように構成されてもよい。例示的なAMシステム20が示されている一方、図4Aおよび4Bに図示されている例示的な構成要素は、限定することを意図するものではなく、例えば、追加的または代替的な構成要素および/または実施が使用されてもよい。いくつかの実施形態(例えば、図4A)では、AMシステム20は、血圧感知装置22、組織オキシメータ24、他の装置32、コントローラ26、一つ以上の出力装置28、および単一のシステム装置に組み込まれてもよい一つ以上の入力装置30、例えば、感知ハードウェア(例えば、組織オキシメータに関連付けられたハードウェア、血圧センサに関連付けられたハードウェアなど)と一体的に接続されたコントローラ26を含んでもよい。他の実施形態(例えば、図4B)では、AMシステム20は、コントローラ26を含んでもよく、血圧感知装置22、組織オキシメータ24、一つ以上の入力装置30、および一つ以上の出力装置28と通信する(例えば、から信号データを受信する、かつ/または、に信号データを送信する)ように構成されてもよい。言い換えれば、これらの実施形態では、AMシステム20は、AMシステム20とは独立して機能することができる血圧感知装置22、AMシステム20とは独立して機能することができる組織オキシメータ24などと通信するように構成されてもよい。他の実施形態では、AMシステム20は、一体型および独立した形態でのこれらの装置のいくつかの組み合わせを含んでもよい。
【0038】
血圧感知装置22(「BP感知装置22」)は、対象の血圧(例えば、動脈血圧)を連続的に決定するように構成された任意のセンサまたは装置であってもよい。例えば、BP感知装置22は、動脈カテーテルライン、または連続的非侵襲的血圧装置、またはパルスオキシメトリセンサなどの連続的血圧測定を提供するように構成された装置であってもよい。しかしながら、本開示は、血圧感知/測定/監視装置22のこれらの特定の例を使用することに限定されない。BP感知装置22は、ある期間中の対象の血圧(例えば、動脈血圧)を示す血圧値信号を生成するように構成される。BP感知装置22は、AMシステムコントローラ26との通信のために構成され、例えば、血圧値信号をAMシステムコントローラ26に送信し、AMシステムコントローラ26から制御信号などを受信してもよい。BP感知装置22とAMシステムコントローラ26との間の通信は、任意の既知の手段、例えば、結線、無線などによってもよい。本明細書で使用される場合、(BP感知装置22が対象の血圧を連続的に決定することを説明するための)「連続的に」という用語は、BP感知装置22が、監視期間中に周期的に対象データを感知および収集することを意味し、その周期的基準は、臨床的に連続的であるとみなされてもよいほど十分に頻繁である。例えば、一部のBP感知装置22は、10秒ごとまたはそれ未満ごとにデータをサンプリングし、より頻繁(例えば、2秒ごとまたはそれ未満ごと)にデータをサンプリングするように構成され得る。
【0039】
組織オキシメータ24は、対象の組織における血流で変化する組織酸素化パラメータ(以下、個別に「NIRSインデックス」と称される、または集合的に「NIRSインデックス」と称される)、例えば、組織酸素飽和度(StO)、総ヘモグロビン血液量(THb)、相対総ヘモグロビン血液量(rTHb)、オキシヘモグロビン(HbO)およびデオキシヘモグロビン(Hb)の差次的変化、HbD(すなわち、HbO-Hb)などを連続的に感知するように構成されたデバイスであってもよい。許容可能な組織オキシメータ24の例は、近赤外分光法(「NIRS」)タイプの組織オキシメータ(NIRS組織オキシメータ)である。特許文献1~6(その各々がここに、参照によりその全体が組み込まれる)は、本開示内で使用され得る非侵襲的NIRS組織オキシメータの非限定的な例を開示している。本明細書で使用される場合、(組織酸素化パラメータを連続的に感知する組織オキシメータ24を説明するための)「連続的に」という用語は、組織オキシメータ24が、監視期間中に周期的に対象データを感知および収集することを意味し、その周期的基準は、臨床的に連続的であるとみなされてもよいほど十分に頻繁である。例えば、一部の組織オキシメータ24は、10秒ごとまたはそれ未満ごとにデータをサンプリングし、より頻繁に(例えば、2秒ごとまたはそれ未満ごとに)データをサンプリングするように構成され得る。
【0040】
組織オキシメータ24は、コントローラ部分と通信する一つ以上のセンサを含む。各センサは、一つ以上の光源(例えば、発光ダイオード、または「LED」)および一つ以上の光検出器(例えば、フォトダイオードなど)を含む。光源は、光の異なる波長、例えば、赤色または近赤外範囲の光の波長(400nm~1000nm)の光を放射するように構成される。一部のセンサの実施形態では、センサは、光源、近距離検出器、および遠距離検出器を含むように構成されてもよい。近距離検出器は、遠距離検出器よりも光源の近くに配置される。こうしたセンサの非限定的な例は、特許文献5に開示されている。組織オキシメータ24は、AMシステムコントローラ26との通信のために構成され、例えば、一つ以上のNIRSインデックスを表す信号をAMシステムコントローラ26に送信し、AMシステムコントローラ26から制御信号などを受信してもよい。組織オキシメータ24とAMシステムコントローラ26との間の通信は、任意の既知の手段、例えば、結線、無線などによるものでもよい。
【0041】
NIRS組織オキシメータ24は、NIRSインデックスのうちの一つ以上を決定するための一つ以上のアルゴリズムを利用する。本開示は、任意の特定のNIRS組織オキシメータ24、または感知された組織のNIRSインデックスを決定するための任意のアルゴリズムに限定されない。特許文献1~4および7~12はすべて、本開示で使用されてもよいNIRSインデックスを決定するためのアルゴリズムの非限定的な例を記述し、すべては参照によりそれらのそれぞれの全体が本明細書に組み込まれる。
【0042】
BP感知装置22または組織オキシメータ24の一方または両方は、呼吸数、呼吸努力、心拍数などの他のパラメータを測定するようにさらに構成されてもよい。BP感知装置22および組織オキシメータ24は、患者の身体の同じまたは異なる部分上に配置されてもよい。
【0043】
上述のように、BP感知装置22、組織オキシメータ24、および本明細書に特定される他の装置32は、AMシステム20内に統合されてもよく、またはAMシステム20に信号データを提供する独立した装置であるか、またはそれらの任意の組み合わせであってもよい。前述のデバイスのうちの一つ以上がAMシステム20から独立している実施形態では、その独立したデバイスは、任意の様式でAMシステムコントローラ26と通信してもよい。
【0044】
上述のように、AMシステム20は、コントローラ26を含み、一つ以上の出力装置28および一つ以上の入力装置30を含んでもよい。入力装置30の非限定的な例としては、ユーザーが、データ、コマンド、もしくは信号情報を入力する場合があるキーボード、タッチパッド、または他の装置、または結線もしくは無線での接続などを介して外部入力装置と通信するように構成されたポートが挙げられる。出力装置28の非限定的な例としては、AMシステム20によって生成される情報またはデータを表示または通信するように構成された任意のタイプの表示装置、プリンタ、または他の装置が挙げられる。AMシステム20は、結線接続または無線接続を介して、入力装置30または出力装置28と接続するように構成されてもよい。
【0045】
いくつかの実施形態では、AMシステムコントローラ26は、様々な受信された信号(一体型または独立した装置から受信された信号)を処理するように構成されてもよく(例えば、電気回路を介して)、それに対する特定の信号をそれに生成するように構成されてもよく、これは例えば、AMシステム20内の一つ以上の構成要素を制御するように構成された信号である。代替的に、AMシステム20は、それぞれの構成要素からの信号が一つ以上の中間処理装置に送信され、中間処理装置が次に、処理された信号またはデータをAMシステムコントローラ26に提供してもよいように構成されてもよい。以下で説明するように、AMシステムコントローラ26は、AMシステム20に本明細書に記載のステップまたは関数を実行させる格納された命令(例えば、アルゴリズム命令)を実行して、対象の自己調節システムに関連するデータ(例えば、測定値など)を生成して、通信するなどのために構成されてもよい。
【0046】
AMシステムコントローラ26は、任意のタイプのコンピューティングデバイス、計算回路、またはメモリ34に格納された一連の命令を実行することができる、任意のタイプのプロセスもしくは処理回路を含んでもよい。コントローラ26は、複数のプロセッサおよび/またはマルチコアCPUを含んでもよく、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コプロセッサ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、中央処理装置、フィールドプログラマブルゲートアレイ、プログラマブル論理デバイス、状態機械、論理回路、アナログ回路、デジタル回路などの任意のタイプのプロセッサ、およびそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。例えば、システムと一体型の、システム20と一体型の複数の構成要素(例えば、血圧感知装置22、組織オキシメータ24など)を含む上述のAMシステム20のそれら実施形態では、コントローラ26は、複数のプロセッサ(例えば、各構成要素それぞれ専用の独立したプロセッサ)を含んでもよく、それらすべてのプロセッサは、コントローラ26/AMシステム20の機能性を調整するAMシステム20の中央処理装置と通信してもよい。メモリに格納された命令は、AMシステム20を制御するための一つ以上のアルゴリズムを表してもよく、格納された命令は、コントローラ26によって実行され得る場合、任意の特定の形態(例えば、プログラムファイル、システムデータ、バッファ、ドライバ、ユーティリティ、システムプログラムなど)には限定されない。命令は、本明細書に記載の方法および機能を実施するように構成される。
【0047】
メモリ34は、一つ以上のプロセッサによって実行されるとき、一つ以上のプロセッサに特定の関数を実行させるか、または特定の関数を実行させる命令を格納するように構成された非一時的機械可読記憶媒体であってもよい。メモリ34は、単一のメモリデバイスまたは複数のメモリデバイスであってもよい。メモリデバイスは、ストレージエリアネットワーク、ネットワーク接続ストレージ、ならびにディスクドライブ、読み出し専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、静的メモリ、動的メモリ、フラッシュメモリ、キャッシュメモリ、および/またはデジタル情報を格納する任意のデバイスを含んでもよい。当業者であれば、本開示のレビューに基づいて、コントローラ26の実施は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせの使用を介して達成されてもよいことを理解するであろう。
【0048】
本明細書に記載の技術、ブロック、ステップ、および手段の実施は、様々な方法で行われてもよい。例えば、これらの技術、ブロック、ステップ、および手段は、ハードウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせで実装されてもよい。ハードウェア実施の場合、記載された関数およびステップを遂行するように構成された処理デバイス(例えば、格納された命令を実行することによって)は、一つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、デジタル信号処理装置(DSPD)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、本明細書に記載された関数および/またはそれらの組み合わせを実行するように設計された他の電子ユニット内に実施されてもよい。
【0049】
また、本開示の実施形態は、フローチャート、フロー図、ブロック図などとして示されるプロセスとして本明細書に説明されてもよいことに留意する。これらの構造のうちのいずれか一つは、動作を逐次的なプロセスとして記述し得るが、動作の多くは並列または同時に実施され得る。加えて、動作の順序は再配置されてもよい。プロセスは、方法、関数、手順、サブルーチン、サブプログラムなどに対応してもよい。
【0050】
本AMシステム20は、組織オキシメータ24のデータ(例えば、一つ以上のNIRSインデックスに関連する)および連続的血圧測定データのリアルタイムデータ収集を利用して、対象の自己調節機能に関連するデータを生成する。組織オキシメータ24およびBP感知装置22の特定の機能性(例えば、サンプリングレートなど)は、ARシステム20の動作に適切なものとして設定することができ、本開示は任意の特定の装置設定に限定されない。組織オキシメータ24データおよびBP感知装置22データ(例えば、信号形態での)は、ARシステムコントローラ26に送信され、そこで格納された命令を使用して処理されて、自己調節機能データを決定する。自己調節機能データは、少なくとも一つのNIRSインデックスと対象の血圧との間の関係を反映する。本明細書に記載されるように、互いに対するNIRSインデックスの変化および血圧レベルの変化は、対象の自己調節システム機能の産物であり得る。本開示は、それら変化を評価するように構成される。本開示は、NIRSインデックスと血圧との間の関係の指標としてコヒーレンス値(「COHZ」)がどのように決定されてもよいかを説明する。しかしながら、本開示は、COHZ値の形態の自己調節データに限定されない。例えば、本AMシステム20は、少なくとも一つのNIRSインデックスと血圧データとの間の相関を示す(例えば、時間領域に基づく)自己調節機能データを生成して、対象の自己調節データを決定するように構成されてもよい。
【0051】
図5は、所定のサンプリングウィンドウ(例えば、期間)にわたって同期的な血圧およびNIRSインデックスの値を取ることを含む例示的な周波数領域方法を図式的に描写する。本明細書に記載されるように、本開示の態様は、周波数領域方法を使用することに限定されない。この例示的な周波数領域方法では、血圧およびNIRSインデックス値はそれぞれ(例えば、フーリエ変換を介して)時間領域から周波数領域に変換され(血圧と周波数との対比、およびNIRSインデックスと周波数との対比のそれぞれのプロットとして示され、変換された組織酸素パラメータ値(例えば、NIRSインデックス)は、「周波数領域組織酸素パラメータ値」と呼ばれてもよく、変換された血圧値は、「周波数領域血圧値」と呼ばれてもよい)、変換されたデータは、周波数の単一帯域(すなわち、単一の周波数帯域)内でのそれらの間のコヒーレンスの程度を決定するためにさらに分析される。コヒーレンスの程度は、任意に割り当てられたゼロから1(0~1)のスケールという形で示されてもよく、そこでコヒーレンスの程度は、ゼロから1に増加する(コヒーレンス値と周波数との対比のプロットとして示される)。コヒーレンス値が1は、上述の圧力受動的条件を表す。逆に、ゼロに近づくコヒーレンス値は、NIRSインデックスと血圧のパラメータ間の関係間での関係性がますます小さいことを示す。単一の周波数帯域の実質的にすべての周波数を表すコヒーレンス値(「COHZ」)は、自己調節インデックス(「ARインデックス」)または圧力受動的インデックス(「PPI」)として使用されてもよい。本明細書の目的のために、「ARインデックス」及び圧力受動的インデックス「PPI」という用語は、実質的に同等であることが意図されており、明確にするために、「ARインデックス」という用語が以下に使用される。単一の周波数帯域に対する代表的なコヒーレンス値(「COHZ」)は、単一の周波数帯域内のコヒーレンス値の平均、または単一の周波数帯域内のすべての周波数にわたるコヒーレンス値を集合的に表す平均値、もしくは中央値、もしくは任意の類似の値であってもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、ある期間にわたって決定されるCOHZ値(単一の周波数帯域内)は、血圧増分(例えば、5mmHgごと)または増分血圧範囲(例えば、0mmHg~20mmHg、20mmHg~25mmHg、25mmHg~30mmHgなど)でビン化されてもよい。数時間にわたる自己調節プロファイルプロットの非限定的な例を図6図8に示し、この自己調節プロファイルプロットは、単一の周波数帯域内で決定されたCOHZ値に基づくものである。
【0053】
図6では、ブタ実験室データに基づく自己調節プロファイルプロットが示され、ARインデックスおよび代表的なStO値(すなわち、NIRSインデックス)のY軸、代表的な血圧範囲(5mmHgビンで示す)のX軸、および血圧ビン当たりのコヒーレンス値(「COHZ」)を示す。代表的なStO値は、帯域内のすべての周波数にわたるStO値を集合的に表す平均値(mean value)、平均値(average value)、中央値、または類似の値であってもよい。代替的な実施形態では、自己調節プロファイルプロットは、StO以外のNIRSインデックス、すなわち、THb、rTHb、HbOおよびHbの差次的変化、HbDなどを含んでもよい。図6で見ることができるように、COHZ値は、ARインデックスの観点から見ることができる。図6に示すデータは、対象のブタの自己調節が、約三十mmHg(30mmHg)未満の血圧値で次第に圧力受動的になることを示す。図6は、ARインデックス値が約0.3の水平線38を含み、それより上は、対象の自己調節システムがある程度で圧力受動的であると描写されてもよく(例えば、対象の自己調節システムが圧力受動的である程度は、ARインデックスがARインデックス値1に近づくにつれて増大する)、かつそれより下は、対象の自己調節機能が実質的に正常であるARインデックス値変曲点を反映する。本開示は、0.3のARインデックス値変曲点、または任意の特定のARインデックス値変曲点に限定されない。ARインデックス値変曲点は、経験的データに基づいてもよく、例えば、年齢、健康、喫煙者などの対象の特性などの因子に応じて変化してもよい。
【0054】
図7では、ヒト新生児データに基づく自己調節プロファイルプロットが示され、ARインデックスおよび代表的なStO(すなわち、NIRSインデックス)のY軸、代表的な血圧範囲(5mmHgビンで示す)のX軸、および血圧ビン当たりのコヒーレンス値(「COHZ」)を示す。上述のように、自己調節プロファイルプロットは、StO以外のNIRSインデックス、すなわち、THb、HbOおよびHbの差次的変化、HbDなどを含んでもよい。図7に示すデータは、ヒト新生児対象の自己調節が、約五十mmHg(50mmHg)よりも低い血圧値で次第に圧力受動的になることを示す。図7は、ARインデックス値が約0.3の水平線38を含み、それより上は、対象の自己調節システムがある程度で圧力受動的であると描写されてもよく、かつそれより下は、対象の自己調節機能が実質的に正常であるARインデックス値変曲点を反映する。上述のように、本開示は、0.3のARインデックス値変曲点、または任意の特定のARインデックス値変曲点に限定されない。
【0055】
図8では、ヒト新生児データに基づく自己調節プロファイルプロットが示され、ARインデックスおよび代表的なStO(すなわち、NIRSインデックス)のY軸、代表的な血圧範囲(5mmHgビンで示す)のX軸、および血圧ビン当たりのコヒーレンス値(「COHZ」)を示す。上述のように、自己調節プロファイルプロットは、StO以外のNIRSインデックス、すなわち、THb、rTHb、HbOおよびHbの差次的変化、HbDなどを含んでもよい。図8に示すデータは、ヒト新生児対象の自己調節が、約八十五mmHg(85mmHg)を超える血圧値で次第に圧力受動的になることを示す。図8は、ARインデックス値が約0.3の水平線38を含み、それより上は、対象の自己調節システムがある程度で圧力受動的であると描写されてもよく、かつそれより下は、対象の自己調節機能が実質的に正常であるARインデックス値変曲点を反映する。上述のように、本開示は、0.3のARインデックス値変曲点、または任意の特定のARインデックス値変曲点に限定されない。
【0056】
本開示の態様は、対象の自己調節機能の強化された測定(例えば、対象の自己調節システムが機能している程度)、または対象の自己調節機能の状態の強化された決定を提供してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、本開示は、異なる所定の周波数帯域からのCOHZ値を、異なるサンプリングウィンドウから取られたNIRS組織オキシメトリデータおよび生理学的(例えば、平均血圧)データから、同時に(またはほぼ同時に)決定および分析することと、異なる所定の周波数帯域内で決定されたCOHZ値から所与の時点でピークCOHZ値(すなわち、「MAX COHZ」値)を決定することと、を含む。MAX COHZ値は、周期的に(例えば、30秒ごとに)決定されてもよい。このようにして、さらなる分析に使用されるMAX COHZ値は、異なる所定の周波数帯域のいずれかから決定されたCOHZ値に基づくものであることができ、例えば、第一の時点では、MAX COHZ値は、第一の周波数帯域からのデータに基づいてもよく、別の時点では、MAX COHZ値は、異なる周波数帯域からのデータに基づいてもよい、などである。以下で説明するように、複数の異なる所定の周波数帯域からMAX COHZ値を決定する可能性は、単一の周波数帯域から決定されるのとは対照的に、AMシステム20の感度および正確さを増加させ、AMシステム20のリアルタイム応答検出を改善する(例えば、AMシステム20が対象の自己調節機能の問題をより迅速に検出する能力を改善する)と考えられる。
【0057】
図9を参照すると、代表的なコヒーレンス値(「COHZ」)は、少なくとも複数の所定の周波数帯域で(例えば、図5に関して上述したものと類似した方法で)決定されてもよく、リアルタイムピークコヒーレンス値(MAX COHZ)は、それらのCOHZ値から決定され(すなわち、それぞれの異なる周波数帯域で決定されたCOHZ値から決定され)てもよい。例えば、図9に示す例示的な方法論では、五つの異なる周波数帯域が示されている。周波数帯域番号1(「#1」)は、0.00333Hz~0.05Hzの帯域幅および5分間のサンプリングウィンドウを有する。周波数帯域番号2(「#2」)は、0.00166Hz~0.05Hzの帯域幅および10分のサンプリングウィンドウを有する。周波数帯域番号3(「#3」)は、0.000833Hz~0.05Hzの帯域幅および20分のサンプリングウィンドウを有する。したがって、周波数帯域番号#1~#3は、異なる帯域幅および異なるサンプリングウィンドウを表し、例えば、周波数帯域番号#1~#3内の周波数の範囲は、関連するサンプリングウィンドウの持続時間、例えば、5分、10分、20分などに少なくとも部分的に基づいて選択される。周波数帯域内の周波数の範囲はまた、組織オキシメータ24のサンプリングレート、または血圧感知装置22のサンプリングレート(または収集レート)、または両方もしくはいくつかのそれらの組み合わせを考慮して選択されてもよく、例えば、周波数帯域は、それぞれの装置のサンプリングレートが周波数帯域内に収まるように選択されてもよい。周波数帯域#1は、対象の血圧に急激な変化がある場合、コヒーレンス(例えば、容易に識別可能なコヒーレンス)を識別するのに有効であると理解される。周波数帯域#2は、対象の血圧の変化が、周波数帯域#1内で考慮されるものよりも急速ではない場合、コヒーレンス(例えば、容易に識別可能なコヒーレンス)を識別するのに有効であると理解される。周波数帯域#3は、対象者の血圧の変化が、周波数帯域#2内で考慮されるものよりも急速ではない場合、コヒーレンス(例えば、容易に識別可能なコヒーレンス)を識別するのに有効であると理解される。上述の周波数帯域#1~#3の周波数範囲は例であり、本開示はこれらの特定の周波数範囲に限定されない。周波数帯域番号#4は、0.05Hz~0.15Hzの帯域幅および5分間のサンプリングウィンドウを有する。周波数帯域#4内の周波数の範囲は、周波数帯域#1~#3内のものよりも高い周波数の範囲の評価を可能にするように選択され、対象の血圧の急速な変化がある場合のコヒーレンス(例えば、容易に識別可能なコヒーレンス)を識別するのに有効であると理解され、かつ/または呼吸効果(例えば、呼吸数など)を反映するように選択されてもよい。上述の周波数帯域#4の周波数範囲も一例であり、本開示はこの特定の周波数範囲に限定されない。周波数帯域番号#5は、0.08Hz~0.12Hzの帯域幅および5分間のサンプリングウィンドウを有する。周波数帯域#5内の周波数の範囲は、対象の生理学的特性(例えば、Mayer波)を評価するために選択されてもよく、Mayer波に関連するコヒーレンス(例えば、容易に識別可能なコヒーレンス)を識別するのに有効であると理解される。Mayer波は、圧受容器および化学受容器反射制御システムにおける振動によってもたらされる動脈血圧の周期的変化(例えば、「波」)である。Mayer波は、呼吸頻度よりも遅い周波数での動脈血圧振動として定義されてもよく、これは、遠心性の交感神経活動を伴う、最も強力な、著しいコヒーレンス(周波数領域における2つの変数の変動間の線形結合の強度)を示す。周波数帯域#5の周波数範囲も一例であり、本開示はこの特定の周波数範囲に限定されない。
【0058】
図9Aは、上述のような実施形態を示しており、COHZ値は、複数の所定の周波数帯域(図9で識別されたものとは異なる帯域)で決定されてもよく、リアルタイムMAX COHZ値は、それらのCOHZ値から決定されてもよい。この実施形態では、周波数帯域番号1(「#1」)は、0.00166Hz~0.0033Hzの帯域幅および10分間のサンプリングウィンドウを有する。周波数帯域番号2(「#2」)は、0.0034Hz~0.011667Hzの帯域幅および5分間のサンプリングウィンドウを有する。周波数帯域番号3(「#3」)は、0.0125Hz~0.020833Hzの帯域幅および5分間のサンプリングウィンドウを有する。周波数帯域番号4(「#4」)は、0.021667Hz~0.03Hzの帯域幅および5分間のサンプリングウィンドウを有する。周波数帯域番号5(「#5」)は、0.0125Hz~0.03Hzの帯域幅および八十秒間(80秒間)のサンプリングウィンドウを有する。図9Aに示すように、周波数帯域番号1は、非常に遅い血圧の変化を伴うコヒーレンスを識別するのに有用であり、周波数帯域番号2~4は、異なる程度の遅い血圧の変化に関連するコヒーレンスを識別するのに有用であり、周波数帯域番号5は、本明細書に記載するように、高速の開始期間中のコヒーレンスを識別するのに有用である。より具体的には、周波数帯域番号5の比較的短いサンプリングウィンドウは、監視期間の開始時に、脳自己調節指数(CAI)および自己調節機能の初期的かつより迅速な評価を与えるために使用され得る。より長いサンプリングウィンドウ(例えば、5分および10分のウィンドウ)は、サンプリングウィンドウを充填して、それぞれの監視期間の開始時にCAI値を計算することを可能にするために、より多くの時間を必要とする。例えば、サンプリングウィンドウが、コヒーレンス計算に利用される必要な処理(例えば、FFT)を実行するのに十分なデータを有するまでは、コヒーレンスは、計算されることができない。より長いサンプリングウィンドウ(例えば、5分間のウィンドウ)が、CAIデータを計算するのに十分なデータを有した後では、「開始」ウィンドウの使用(例えば、80秒)は、CAI計算では任意選択的に脱落または無視され得る。上述の周波数帯域#1~#5の周波数範囲は例であり、本開示はこれらの特定の周波数範囲に限定されない。上述の周波数帯域#1~#5のサンプリングウィンドウの持続時間は例であり、本開示はこれらの特定のサンプリングウィンドウ持続時間に限定されない。
【0059】
複数の所定の周波数帯域からMAX COHZを決定する本開示の実施形態は、上記に開示された周波数帯域または識別されたサンプリングウィンドウに限定されず、例えば、異なる期間のサンプリングウィンドウに関連付けられたより少ないまたはより多くの帯域が使用されてもよく、かつ/または異なるサンプリングウィンドウが使用されてもよい、などである。上記に開示された周波数帯域およびサンプリングウィンドウは、以下に説明するようにかなりの有用性を提供すると理解されるが、本開示はそれには限定されない。
【0060】
複数の所定の周波数帯域(例えば、図9および図9Aに示すような)内のCOHZ値を決定することによって、任意の所与の時点(例えば、上記に示されるような周期的決定を含む)で、最高のCOHZ値(すなわち、MAX COHZ値)を、異なる周波数帯域からCOHZピーク検出器36を介して選択することができる。MAX COHZ値は、例えば、図5で描写した方法論で示すように、単一の周波数帯域から決定されたCOHZ値と比較して、任意の所定の時点での自己調節機能に対して、より高い感受性を提供する。結果として、MAX COHZ値(および対応するARインデックス)は、リアルタイム(現在)の状況をよりよく示し、臨床医は、特に、対象の血圧が下側の自己調節閾値(例えば、「LLA」であり、これはグラフ解法において、下側の血圧偏向点として現れる)を下回る場合に、より迅速に警告を受けることができる。例えば、対象の血圧およびNIRSインデックス(例えば、StO)に急激な変化がある場合、より高い周波数帯域から決定されるCOHZ値は、より低い周波数帯域から決定されるCOHZ値よりも実質的に高い可能性が高い。したがって、「事象」(すなわち、対象の血圧およびNIRSインデックスの急速な変化)は、より高い周波数帯域内でより迅速に特定される。逆に、対象の血圧およびNIRSインデックス(例えば、StO)に遅い同時変化がある場合、より低い周波数帯域から決定されるCOHZ値は、より高い周波数帯域から決定されるCOHZ値よりも実質的に高い可能性が高い。したがって、「事象」(すなわち、対象の血圧およびNIRSインデックスの遅い変化)は、より低い周波数帯域内でより迅速に特定される。
【0061】
対象の自己調節機能の変化の表示(例えば、圧力受動的な状態など、自己調節機能が不全の場合)を、可能な限り迅速に決定することには、著しい臨床的価値がある。単一の周波数帯域を利用する周波数領域アプローチを介して対象の自己調節機能を監視する自己調節監視システムは、高いコヒーレンス値を報告するのがより遅くあり得、またはコヒーレンス値の大きさは、すべての個々の周波数コヒーレンス値の平均化によって、より低い周波数でのより低いコヒーレンス値によって希釈され得る。本開示の実施形態は、複数の所定の周波数帯域内のCOHZ値を決定し、そこからMAX COHZ値を決定することによって、これらの制限を軽減する。
【0062】
図10に示す図式は、図9に示されたおよび上述のものなどの周波数領域方法を示す。図10Aに示す図式は、図9Aに示されたかつ上述のものなどの周波数領域方法を示す。図10および図10Aでは、所定の周波数帯域#1~#5は、それぞれの周波数帯域の差異を示すために水平周波数軸上に示されている。
【0063】
図11に示す図式は、図9に示されたかつ上述の例示的な所定の周波数帯域#1~#5に対応する時間領域サンプリングウィンドウを示す。図11Aに示す図式は、図9Aに示されたかつ上述の例示的な所定の周波数帯域#1~#5に対応する時間領域サンプリングウィンドウを示す。図11に示す時間領域サンプリングウィンドウの配向は、本開示のいくつかの実施形態では、所与の時点(「T現在」)で生成される自己調節データが、直近の過去5分(「T-5分」)、10分(「T-10分」)、および20分(「T-20分」)を表す時間サンプリングウィンドウ、すなわち、少なくとも部分的に一致するサンプリングウィンドウに基づいてもよいことを示す。図11Aに示す時間領域サンプリングウィンドウの配向は、本開示のいくつかの実施形態では、所与の時点(「T現在」)で生成される自己調節データが、直近の過去80秒(「T-80秒」)、5分(「T-5分」)、および10分(「T-10分」)を表す時間サンプリングウィンドウ、すなわち、少なくとも部分的に一致するサンプリングウィンドウに基づいてもよいことを示す。上述のように、周波数帯域番号5の比較的短いサンプリングウィンドウ(例えば、80秒)を使用して、監視期間の開始時にCAIおよび自己調節機能の初期的な、より迅速な評価を与えることができる。より長いサンプリングウィンドウ(例えば、5分および10分のウィンドウ)は、サンプリングウィンドウを充填して、それぞれの監視期間の開始時にCAI値を計算することを可能にするために、より多くの時間を必要とする。例えば、サンプリングウィンドウが、コヒーレンス計算に利用される必要な処理(例えば、FFT)を実行するのに十分なデータを有するまでは、コヒーレンスは、計算されることができない。より長いサンプリングウィンドウ(例えば、5分間のウィンドウ)が、CAIデータを計算するのに十分なデータを有した後では、「開始」ウィンドウの使用(例えば、80秒)は、CAI計算では任意選択的に脱落または無視され得る。上述のように、上述の周波数帯域#1~#5のサンプリングウィンドウの周波数範囲および持続時間は、非限定的な例である。
【0064】
本開示の他の態様も、対象の自己調節機能の測定の強化を提供してもよい。上述のように、対象の自己調節機能は、ある期間にわたる同期的な血圧およびNIRSインデックス値を使用して評価されてもよく、その場合、血圧およびNIRSインデックス値はそれぞれ、時間領域から周波数領域に変換され、変換されたデータは、それらの間のコヒーレンスの程度を決定するためにさらに分析される。本開示のいくつかの実施形態では、このプロセスは、複数の異なるNIRSインデックスについて実行され(例えば、StO、THb、rTHb、HbOおよびHbの差次的変化、HbDなどのうちの少なくとも二つを使用して実行され)てもよい。一つのNIRSインデックスが、別のものよりも自己調節機能に対してより感受性が高い場合、本明細書に記載の自己調節機能決定プロセス(例えば、単一の周波数帯域内、または複数の周波数帯域内)を実施することは、対象の自己調節機能の変化について追加の感度および/またはより迅速な識別を提供することができる。図12は、例えば、第一のNIRSインデックス(例えば、StO)に基づく第一の自己調節プロット52(ARインデックスとBP範囲との対比)、第二のNIRSインデックス(例えば、THb)に基づく第二の自己調節プロット54、および第三のNIRSインデックス(例えば、HbOおよびHbの差次的変化)に基づく第三の自己調節プロット56を示す。前述のNIRSインデックスの各々についてのCOHZ値は、血圧ビンごとに互いに対して評価することができ、例えば、50mmHg~55mmHgビンについてのStOに関連するCOHZ値、50mmHg~55mmHgビンについてのTHbに関連するCOHZ値、および50mmHg~55mmHgビンについてのHbOおよびHbの差次的変化のCOHZ値などである。いくつかの実施形態では、評価プロセスは、そのビンについて最も高いCOHZ値を有するNIRSインデックスを選択することを含んでもよい。図12Aは、上記の方法論の図式例、ならびに前述の方法論がどのように表示される場合があるかの概略図を提供する。他の実施形態では、評価プロセスは、そのビンについての前述のNIRSインデックスに対するCOHZ値に基づいて、平均COHZ値(または平均値もしくは中央値など)を作成することを含んでもよい。一部の実例では、第一のNIRSインデックス値は、別のものよりも自己調節機能に対してより感受性が高くてもよく(または他の実例では、一つのNIRSインデックスは、生理学的事象による影響を受けてもよく、一方で別のNIRSインデックスは、同じ生理学的事象による影響を受けないか、または、より少なく受ける)、上述のように自己調節機能決定プロセスを実施することは、対象の自己調節機能の変化について追加の感度および/またはより迅速な識別を提供し得る。本開示は、複数の異なるNIRSインデックスを使用して、対象の自己調節機能を監視するための任意の特定の方法論に限定されない。例えば、第一の実施形態では、MAX COHZ値を決定するための本明細書に記載の方法論は、各NIRSインデックスに対して実施することができ、そのようなそれぞれの決定からのMAX COHZ値(すなわち、MAX COHZNIRSインデックス1、MAX COHZNIRSインデックス2、MAX COHZNIRSインデックス3など)は、その後、そこから最大値(例えば、MAX COHZNIRSインデックス)を選択するために互いに対して評価されてもよく、それは、その後、本明細書に記載の対象の自己調節機能を評価するために使用されてもよい。別の例として、複数の異なるNIRSインデックスは、MAX COHZ値決定の他の場所(例えば、より前)で利用されてもよい。例えば、各周波数帯域に対するCOHZ値を決定するためのプロセスの間、特定の周波数帯域内の各NIRSインデックスについてCOHZ値を決定してもよく(例えば、第一の周波数帯域について:COHZNIRSインデックス1-FB1、COHZNIRSインデックス2-FB1、COHZNIRSインデックス3-FB1)、ピークCOHZ値はそれらから選択され、プロセスは各周波数帯域に対して繰り返される。次いで、ピークコヒーレンス値(MAX COHZ)は、例えば、本明細書に記載される様式で、前述のCOHZ値から決定されてもよい。複数の異なるNIRSインデックスを使用して、対象の自己調節機能を監視するためのこれらの例示的な方法論は、例示であり、限定するものではないことを意味する。
【0065】
いくつかの実施形態では、その時点で分析されている複数の所定の周波数範囲から決定されるコヒーレンス値(COHZ)からMAX COHZ値が決定されると、例えば、血圧の小さな変化が検出された場合、MAX COHZ値は、血圧範囲(例えば、5mmHgごと)でビン化されてもよい。いくつかの実施形態では、MAX COHZ値は、所与の期間(例えば、時間)にわたって周期的に(例えば、30秒ごとに)連続的に決定されてもよく、それらのMAX COHZ値は、例えば、情報の表示を容易にするためにさらに処理されてもよい。例えば、ある期間にわたって収集された周期的に決定されたMAX COHZ値は、ビン化されてもよく、ビン化された値の代表的な値(例えば、平均(average)、平均(mean)、または中央値)は、自己調節プロファイルプロット、例えば、図6図8に示すものと類似した構造化されたプロット内に表示されてもよい。代表値が各ビンに対して決定されるビン化プロセスを含む実施形態では、代表値を生成するプロセス(例えば、平均(average)、平均(mean)、または中央値を決定すること)は、外れ値(例えば、偽陽性および偽陰性)を軽減する追加の利点を提供する場合がある。
【0066】
NIRSインデックス変化または血圧変化は、必ずしも対象の自己調節機能を示唆するわけではない。自己調節機能は、典型的には、NIRSインデックスおよび血圧の関連する変化に応答する。例えば、血圧変化の比較的短い期間(例えば、30秒)内でNIRSインデックスが変化する場合、NIRSインデックス変化および血圧変化に由来するCOHZ値は、対象の生理機能に起因し、自己調節機能の有効な指標を表す可能性が高い。逆に、血圧変化後、比較的長い期間(例えば、2分)発生するNIRSインデックス変化を考慮されたい。これらの二つの事象間の時間的分離は、それらが生理学的応答として互いに関係する可能性を低くする。したがって、これらの時間的に別個の変化に由来するCOHZ値は、対象の生理機能に起因する可能性が低く、COHZ値は、自己調節機能について貧弱な指標である可能性が高い。時間的に別個の変化は、低酸素症などの他の生理学的事象、または対象の動きなどの外部干渉に起因する可能性が高い。
【0067】
図13および図14を参照すると、本開示の実施形態は、対象の自己調節機能を評価する際のNIRSインデックス変化と血圧変化との間の時間的関係を考慮する。例えば、いくつかの実施形態では、特定の周波数帯域で決定されるコヒーレンス値は、「位相」範囲の観点から評価されてもよい。本明細書で使用される場合、「位相」または「位相範囲」という用語は、NIRSインデックス変化の発生と血圧変化の発生との間の所定の時間的関係、またはNIRSインデックス変化の発生と血圧変化との間の周波数関係を意味するために使用される。例えば、位相は、以下のように定義されてもよい。
【数1】
上記の数学的関係は、「位相」という用語がどのように定義され得るかの非限定的な例であり、本開示は、この特定の数学的関係に限定されない。いくつかの実施形態では、NIRSインデックス変化の発生と血圧変化との間の位相関係は、周波数領域で表現される前述の値と、周波数領域内の前述の値が互いに位相外れである程度と、の間の関係に関して表現されてもよい。
【0068】
コヒーレンス値の有効性を評価するために位相がどのように使用される場合があるかを説明するために、特定の周波数帯域(例えば、非常に低い周波数帯域)内で決定されたコヒーレンス値を考慮されたい。位相(例えば、血圧の変化とNIRSインデックスの変化との間の時間分離)が所定の位相範囲外である場合、それぞれの決定されたコヒーレンス値は破棄され得るか、またはその特定の周波数帯域に対するCOHZ決定に悪影響を与えない値(例えば、ゼロなどの低い値)を割り当てられ得る。個々の周波数の位相評価は、特定の周波数帯域に対するコヒーレンス値が処理(例えば、平均化)される前に実行されて、その特定の周波数帯域に対するCOHZ値が生成されてもよい。図13に示すように、血圧変化に対するNIRS応答時間の関数として許容可能な最大位相は、周波数と共に増加し、例えば、高い周波数では、すべての位相値は、対象の自己調節機能を評価する際に生理学的に有効であってもよく、一方で、非常に低い周波数では、対象の自己調節機能を評価する際に、限定された位相値のみが生理学的に有効であってもよい(例えば、血圧変化とNIRSインデックス変化との間の時間的関係は大きすぎるため、対象の生理機能に起因する可能性がより低い)。
【0069】
一部の実例では、対象は、より低い自己調節性血圧範囲を下回るかまたは上回る場合がある急性の血圧低下を経験する場合がある。こうした実例では、本ARシステムは、自己調節プロファイルプロットを含む、表示された自己調節情報を更新するように構成されてもよい(例えば、格納されたアルゴリズム命令を介して)。表示された情報は、閾値自己調節機能(その値はARインデックス値変曲線として描写されうる)を示す所定のARインデックス(またはPPIインデックス)値を超える高い値を含んでもよく、その値を超えると、対象の自己調節機能は次第に圧力受動的になる。
【0070】
本開示のいくつかの実施形態は、一つ以上の自己調節プロット、血圧およびNIRSインデックス信号を示す短いリアルタイムウィンドウ、ならびに対応するコヒーレンス信号を表示してもよい。本開示のいくつかの実施形態は、自己調節プロットのものと同様に、NIRSインデックスのビン化された値を血圧の関数として表示してもよい。NIRSインデックス値(例えば、StO値)のビン化は、血圧の少なくとも小さな変化でトリガーされてもよい。表示の実施形態の非限定的な例が図15に示されており、これは、自己調節プロファイルプロット40(例えば、ARインデックスまたはCOHZとBP範囲との対比)と、ビン化されたNIRSインデックス(例えば、StO2)値とBP範囲との対比の対応するプロット42と、血圧(例えば、平均血圧)、NIRSインデックス(例えば、StO2)、およびCOHZを時間の関数として示すリアルタイムウィンドウ44と、を示す表示を描写する。
【0071】
本開示のいくつかの実施形態では、自己調節プロファイルプロットは、監視期間全体についてのデータを反映してもよい。いくつかの実施形態では、自己調節プロファイルプロットは、監視期間全体よりも短い期間の間に収集されたデータを反映してもよい。本開示のARシステムは、これらの実施形態のいずれかを選択的に表示するように構成されてもよい。
【0072】
本開示のいくつかの実施形態では、AMシステム20は、図16に示すように、履歴自己調節プロファイルおよび最近の自己調節プロファイルの両方を生成するために構成されてもよい(例えば、格納された命令を介して)。履歴自己調節プロファイルは、監視期間のすべてまたは実質的にすべてにわたって収集されたCOHZ値を含んでもよい。この期間は、監視期間の「履歴部分」と呼ばれてもよい。監視期間の実質的にすべてである履歴部分の例は、履歴期間が監視期間全体から最近の期間を差し引いたものであり、例えば、監視期間全体が、第一の時点T1で開始され、かつ現在の時点T2まで継続するとされる場合、監視期間の実質的にすべてである履歴部分は、T1とT3との間に継続すると説明されてもよく、ここで、T3は、実質的にT1よりも遅いがT2よりも早い時点であり、最近の部分はT3からT2まで継続するものとして説明される。最近の自己調節プロファイルは、監視期間の最近の部分(例えば、最後の30分)にわたって収集されたCOHZ値を含み、これは典型的には、監視期間全体よりもずっと短い。監視期間の履歴部分および最近の部分の両方において、COHZ値は上述の様式で決定されてもよく、例えば、時間領域から周波数領域に変換された血圧およびNIRSインデックス値、ならびに単一の周波数帯域で、または本明細書に別途記載されるように決定されるCOHZ値を使用して決定されてもよい。監視期間の履歴部分または最近の部分内のCOHZ値は、それぞれの部分で収集されたデータから決定されたCOHZ値の平均(average)(または平均(mean)、または中央値など)であってもよい。履歴自己調節プロファイルおよび最近の自己調節プロファイルの両方において、それぞれの平均COHZ値は、血圧増分(例えば、5mmHgごと)、または増分血圧範囲(例えば、0mmHg~20mmHg、20mmHg~25mmHg、25mmHg~30mmHgなど)などでビン化されてもよい。履歴自己調節プロファイルの平均COHZ値は、収集された任意の極端なCOHZ値を軽減し、望ましいCOHZ傾向を提供する、COHZ値の「平滑化」表現を提示する。さらに、履歴自己調節プロファイルは、例えば、薬剤の投与などの特定の事象に応答して、または外科的処置中などに、対象の自己調節機能を評価する臨床医の能力を強化する場合がある。最近の自己調節プロファイル内のCOHZ値は、履歴自己調節プロファイルのCOHZ値とは独立し、対象の現在の自己調節機能を表す自己調節機能データを提供し、最近の劇的な変化について臨床医に迅速に通知することができる。あらゆる最近の自己調節機能の変化に関する迅速な知識により、臨床医が必要に応じて迅速な措置を講じることを可能にすることができる。図16に示すように、いくつかの実施形態では、AMシステム20は、履歴自己調節プロファイルおよび最近の自己調節プロファイルからのCOHZ値を組み合わせた編集プロファイル(以下、「最終自己調節プロファイル」と称する)を生成するようにさらに構成されてもよい(例えば、格納された命令を介して)。ここで使用される場合、「組み合わせ」という用語は、同じグラフ上にプロットされる、または同じデータ表に提示されるなどの、履歴自己調節プロファイルおよび最近の自己調節プロファイルからのCOHZ値を指す。履歴自己調節プロファイルおよび最近の自己調節プロファイルからのCOHZ値を組み合わせることには、それぞれのプロファイルからのCOHZ値の数学的加算は関与しない。履歴部分が監視期間全体から最近の部分を差し引いたものである実施形態では、履歴自己調節プロファイルおよび最終自己調節プロファイルの両方は、直前の最近の自己調節プロファイルからのCOHZ値が履歴自己調節プロファイルと組み合わされて、履歴自己調節プロファイルを更新するように、周期的に再読込されてもよい。次いで、更新された履歴自己調節プロファイルを、そのとき現在での最近の自己調節プロファイルと組み合わせて、更新された最終自己調節プロファイルを作成する。最終自己調節プロファイルは、履歴自己調節プロファイルおよび最近の自己調節プロファイルの両方の情報表示の利点、例えば、長期間にわたって収集されたCOHZ値の「平滑化」表現、COHZ傾向分析、およびあらゆる最近の自己調節機能の変化についての迅速な知識を提供する。
【0073】
本開示のいくつかの実施形態では、AMシステム20は、図17に示すように、左側の脳自己調節プロファイルおよび右側の自己調節プロファイルの両方を生成するために構成されてもよい(例えば、格納された命令を介して)。左側の自己調節プロファイルは、対象の脳の左半球を感知するために適用されたNIRSセンサから収集されたNIRSインデックスデータに基づいて、本明細書に記載の様式で決定されたCOHZ値に基づく。右側の自己調節プロファイルも、対象の脳の右半球を感知するために適用されたNIRSセンサから収集されたNIRSインデックスデータに基づいて、本明細書に記載の様式で決定されたCOHZ値に基づく。各側についてのCOHZ値は、所定の期間にわたって収集された血圧およびNIRSインデックスデータから決定されてもよく、またはCOHZ値は、監視期間全体にわたって収集された血圧およびNIRSインデックスデータに基づいてもよく、またはその両方であってもよい。図17に示すように、いくつかの実施形態では、AMシステム20は、左側の自己調節プロファイルおよび右側の自己調節プロファイルからのCOHZ値を組み合わせた編集プロファイル(以下、「両側を組み合わせた自己調節プロファイル」と称する)を生成するようにさらに構成されてもよい(例えば、格納された命令を介して)。この実施形態では、左側および右側の自己調節プロファイルからのCOHZ値は、各血圧ビンに対する最大COHZ(「MAX COHZ」)値が、両側を組み合わせた自己調節プロファイルに示されるように、組み合されてもよい。図17に示すものなど、自己調節機能プロファイル表示は、臨床医が脳組織に関連する最大COHZ値(すなわち、両側を組み合わせた自己調節プロファイル)について一つの場所を調べることを可能にするが、臨床医に半球特異的な自己調節機能データを提供もするという点で、有利である。潜在的な自己調節機能の問題がある場合、図17に示す表示により、臨床医は、問題が一方の脳の半球に固有であるか、または両方の半球に共通しているかを迅速に決定することができるようになる可能性が高い。
【0074】
既存の自己調節監視システムは、所定の期間(例えば、5分、10分など)感知した後に、自己調節機能データを生成してもよい。これらのシステムは、典型的には、前述の所定の期間後、例えば、5分の期間後、または10分の期間後などまで、自己調節データ機能を提供しない。
【0075】
本開示のいくつかの実施形態AMシステム20は、「開始」自己調節プロファイルを介してほぼ即座に自己調節機能データを生成することによって、既存のシステムのこの欠点を克服するように構成されてもよい(例えば、格納された命令を介して)。開始自己調節プロファイル内のCOHZ値は、自己調節監視の開始から収集されたデータ(例えば、NIRSインデックスおよび血圧データ)に基づいてもよい。例えば、AMシステム20は、最初の1分間などの開始期間中に収集された血圧およびNIRSインデックスデータに基づいて、自己調節機能データ(例えば、COHZ値)を生成し、その後、それに基づいて、自己調節プロファイル(例えば、COHZと血圧との対比)および/またはCAIデータを生成するように構成されてもよい。図17に概略的に示す実施形態では、AMシステム20は、監視期間の最初の1分間(または80秒など)の間に自己調節機能データ(例えば、血圧およびNIRSインデックス値)を収集し、そのデータを使用して、COHZ値および自己調節プロファイルを生成するように構成されている。図18に示す実施形態は、複数の異なる所定の周波数帯域(例えば、低周波数帯域(0.0033Hz~0.05Hz)、Mayer波に関連する中間周波数帯域(0.05Hz~0.12Hz)、および高周波数帯域(0.08Hz~0.12Hz)、または他の帯域)の観点から、COHZ値が抽出および編成されるステップ(格納された命令を介して実施される)を含む。各周波数帯域のCOHZ値は平均化され、その後、MAX COHZ値は、開始自己調節機能プロファイル(例えば、MAX COHZと血圧との対比)を生成するために使用される。別の実施形態では、かつ上述のように、短いサンプルウィンドウ周波数帯域(例えば、図9AのCOHZ周波数帯域#5)を使用してCOHZ値を生成してもよく、その後、それらのCOHZ値を使用して自己調節プロファイルおよび/またはCAI情報を生成してもよい。図9および図9Aに関連して上述した方法は、それぞれの周波数帯域におけるCOHZ値がどのように決定されてもよいか、かつMAX COHZ値がどのように決定されてもよいかの非限定的な例である。いくつかの実施形態では、AMシステム20は、「ローリング」開始プロファイルを生成するように構成されてもよい。例えば、AMシステムは、監視期間の最初の1分間(または80秒など)の間に自己調節機能データを収集し、そのデータを使用して、COHZ値および自己調節プロファイルを生成するように構成されてもよい。同じ収集およびデータ処理を繰り返して、第一の所定の期間(例えば、5分、10分など)の自己調節データが使用可能になるまで、次の1分間などについて自己調節機能データおよびプロファイルを生成してもよい。このようにして、最新の自己調節機能データおよびプロファイルのローリング表示が、開始期間中に臨床医が使用するために提供される。ローリング表示の特定の持続時間は、エンドユーザーのニーズまたは好みに適するように、AMシステム20への入力コマンドによって変更されてもよい(例えば、1分間の表示期間、2分間の表示期間など)。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態AMシステム20は、時間の関数として脳自己調節指数(CAI)データを生成するように構成されてもよい(例えば、格納された命令を介して)。CAIデータは、本明細書に記述されるように生成され、血圧(例えば、MAP)の関数として編成された、COHZデータ(または相関データ)に少なくとも部分的に基づく。これらの実施形態では、AMシステムは、対象の血圧値(例えば、MAP値)を決定するように構成される。その決定された値を使用して、AMシステムは、決定されたMAP値と整合するMAPビンを選択して、選択されたMAPビンに関連付けられたCOHZ値を識別する。次いで、そのCOHZ値を使用して、CAIデータ点が決定されてもよい。図19は、COHZ値対MAPビンのプロファイルプロット、およびCAI値(垂直軸)対時間(水平軸)のグラフを図式的に示す。CAIグラフは、有利なことに、CAIデータ、ならびに傾向を明らかにする場合がある履歴CAIデータを提供する。
【0077】
いくつかの実施形態では、AMシステム20は、加重平均化、フィルタリング、またはデータを平滑化して急激な差異を軽減するためのその他の方法で処理されたCAIデータを生成するように構成されてもよい(例えば、格納された命令を介して)。CAIデータを平滑化するために使用され得る非限定的な技術は、隣接するビン化されたMAP値内のCOHZ値に対して決定された血圧値に関連付けられたCOHZ値を加重平均化して、CAI値に到達することを伴う。例えば、MAP値が五(5)mmHgの増分(例えば、30mmHg~35mmHg、35mmHg~40mmHg、40mmHg~45mmHgなど)でビン化される場合、AMシステム20は、それぞれのビン内のその位置に対して決定されたMAP値を評価するように構成されてもよい。この例では、プロファイルの各MAPビンは、5mmHgの範囲、例えば、40mmHg~45mmHgを有する。41mmHgで決定されたMAP値は、MAPビン内の他の値よりも隣接するより低圧のMAPビン(すなわち、35mmHg~40mmHg)に大きさがより近いという点で「より低い」と描写されてもよく、逆に、44mmHgのMAP値は、隣接するより高圧のMAPビン(すなわち、45mmHg~50mmHg)に大きさがより近いという点で「より高い」と描写されてもよい。決定されたMAP値に関連付けられたCOHZ値は、それぞれのビン内のその大きさ位置に基づいて加重平均されて、CAI値に到達してもよい。加重平均の特定の非限定的な例は、図20に示す式を使用してもよい(MAPビンが5mmHgの範囲ビンであると仮定)。
【0078】
例示するために、決定されたMAP値が40.5mmHgであると仮定される場合、その決定されたMAP値は、40mmHg~45mmHgのMAPビンと整列するようになる。繰り返しになるが、例えば、35mmHg~40mmHgのMAPビン(すなわち、隣接するより低圧のMAPビン)のCOHZ値が0.65、40mmHg~45mmHgのMAPビン(すなわち、整列したMAPビン)のCOHZ値が0.55、45mmHg~50mmHgのMAPビン(すなわち、隣接するより高圧のMAPビン)のCOHZ値が0.62であるとさらに仮定することができる。CAI値の加重バージョンを決定するために、決定されたMAP値を、以下のように整列されたMAPビンに対してまず評価する。
【数2】
式中、「MAPビン」という用語は、整列されたMAPビン(40mmHg~45mmHg)内の最低MAP値(40mmHg)と等しい。したがって、図20に示す式を使用して、EQN.Aが適用され(0≦(MAP-MAPビン)<1)、CAI値は以下のように決定されてもよく、
【数3】
ここで、COHZ値の例が入力される。
【数4】
別の実施例として、決定されたMAP値が43.5mmHgである場合には、EQN.Dが適用され(3≦(43.5mmHg-40mmHg)<4)、CAI値は以下のように決定されてもよく、
【数5】
ここで、COHZ値の例が入力される。
【数6】
決定されたCAI値は、CAIグラフ、例えば、CAI値と時間との対比にプロットされてもよい。対象の決定されたMAPが再び決定される(例えば、MAP値は周期的に決定されてもよい)とき、上記のプロセス(または他の平滑化プロセス)を繰り返して、最新のCAIデータを生成することができる。
【0079】
図20に示す、加重の式から分かり得るように、加重の量(例えば、60%/40%対80%/20%)は、整列されたMAPビン内のMAP値に対する決定されたMAP値の大きさに応じて変化し得る。さらに、上記の実施例は、5mmHgの範囲を有するMAPビンに関して記載される。本出願は、5mmHg以外の範囲を有するMAPビンを有する自己調節プロファイルとともに利用されてもよく、加重パーセンテージは、より広範なMAPビン範囲を反映するように変更されてもよい。上述のように、上述の加重技術は、加重技術の一例であり、本開示はそれに限定されない。他の平滑化技術が代替的に使用されてもよい。本開示は、いかなる平滑化技術も使用する必要はない。
【0080】
図19に示すCAIグラフは、本開示の実施形態AMシステム20内でCAIデータがどのように表示される場合があるかの非限定的な例である。本開示はそれに限定されない。
【0081】
上記の実施形態は、血圧と、時間領域から周波数領域に変換されたNIRSインデックス値と、を使用して決定されたCOHZ値、および単一の周波数帯域で決定されたCOHZ値に関して、または本明細書に別途記載されるように、記載される。本開示は、周波数領域内で生成されるCOHZ値またはデータに限定されない。履歴自己調節プロファイル、最近の自己調節プロファイル、最終自己調節プロファイル、左プロファイル、右プロファイル、および/または組み合わせプロファイル、開始プロファイル、および/またはCAIデータ、またはそれらの任意の組み合わせへのデータの編成は、時間領域内で編成され、相関技術を使用して処理されたデータを使用して達成されてもよい。
【0082】
上記に示されるように、本明細書に記載の機能性は、例えば、ハードウェア、コンピュータ可読媒体に有形に具体化されたソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組み合わせで実装されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の機能性の少なくとも一部分は、一つ以上のコンピュータプログラムに実装されてもよい。こうしたそれぞれのコンピュータプログラムは、コンピュータプロセッサによって実行するために、機械可読記憶装置内の非一時的信号に有形に具体化されたコンピュータプログラム製品に実装されてもよい。本開示の方法ステップは、入力上で動作し、出力を生成することによって、本開示の機能を実施するために、コンピュータ可読媒体上に有形に具体化されたプログラムを実行するコンピュータプロセッサによって実行されてもよい。以下の特許請求の範囲内の各コンピュータプログラムは、アセンブリ言語、機械言語、高水準手続き型プログラミング言語、またはオブジェクト指向プログラミング言語などの任意のプログラミング言語で実装されてもよい。プログラミング言語は、例えば、コンパイルされまたは解釈されるプログラミング言語であってもよい。
【0083】
本開示の原理は、特定の装置および方法に関連して上述されてきたが、この説明は、例示としてのみなされ、本開示の範囲の限定としてなされないことが明確に理解されるべきである。実施形態の完全な理解を提供するために、上記の説明において具体的な詳細が与えられている。しかしながら、実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施されてもよいことが理解される。
【0084】
実施形態は、フローチャート、フロー図、ブロック図などとして示されるプロセスとして説明され得ることに留意する。これらの構造のうちのいずれか一つは、動作を逐次的なプロセスとして記述し得るが、動作の多くは並列または同時に実施され得る。加えて、動作の順序は再配置されてもよい。プロセスは、方法、関数、手順、サブルーチン、サブプログラムなどに対応してもよい。
【0085】
単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が別途明確に指示しない限り、一つまたは複数を指す。例えば、「試料を含む」という用語は、単一または複数の試料を含み、「少なくとも一つの試料を含む」という語句と同等であるとみなされる。「または」という用語は、文脈が別途明確に示さない限り、記載された代替要素の単一の要素、または二つ以上の要素の組み合わせを指す。本明細書で使用される場合、「備える(comprises)」は「含む(includes)」を意味する。したがって、「AまたはBを備える」とは、追加の要素を除外することなく、「AもしくはB、またはAおよびBを含む」ことを意味する。
【0086】
様々な接続が、本明細書および図面の要素の間に記載されることに留意する(その内容は、参照により本開示に含まれる)。これらの接続は一般的であり、別段の指定がない限り、直接的または間接的であってもよく、本明細書は、この点で限定することを意図していないことに留意する。取り付けられる、固定される、接続される、またはこれに類する用語への任意の言及は、永久的、取り外し可能、一時的、部分的、完全、および/または任意の他の可能な取り付けオプションを含んでもよい。
【0087】
本開示における要素、構成要素、または方法ステップは、要素、構成要素、または方法ステップが特許請求の範囲に明示的に記載されているかどうかにかかわらず、一般向けを意図するものではない。本明細書の特許請求の範囲の要素は、米国特許法(35 U.S.C.)112(f)の規定の下で解釈されるべきではない。ただし、当該要素が「~のための手段」という語句を使用して明示的に記載されている場合はその限りではない。本明細書で使用される場合、「含む」、「備える」という用語、またはそれらの任意の他の変形は、要素の列記を含むプロセス、方法、物品、または装置がそれらの要素だけでなく、明示的に列記されていない、またはそのようなプロセス、方法、物品、もしくは装置に固有の他の要素を含んでもよいように、非排他的包含を網羅することを意図する。
【0088】
本開示の様々な発明的態様、概念、および特徴が、例示的な実施形態において組み合わせて具現化されるように、本明細書に記載および図示されてもよいが、これらの様々な態様、概念、および特徴は、個々にまたは様々な組み合わせおよびその部分的組み合わせのいずれかで、多くの代替の実施形態において使用されてもよい。本明細書で明示的に除外されない限り、すべてのそのような組み合わせおよび部分的組み合わせは、本出願の範囲内にあることが意図されている。なおもさらに、代替の材料、構造、構成、方法、デバイス、および構成要素など、開示の様々な態様、概念、および特徴に関する様々な代替の実施形態が本明細書に記載され得るが、そのような記載は、現在既知であるかまたは後に開発されるかにかかわらず、利用可能な代替の実施形態の完全なまたは網羅的な列記であることを意図していない。当業者であれば、そのような実施形態が本明細書に明示的に開示されていない場合でさえ、本発明の態様、概念、または特徴のうちの一つ以上を本出願の範囲内で追加の実施形態および使用に容易に取り入れ得る。例えば、本明細書の詳細な説明部分内の上述の例示的な実施形態では、要素は、個々のユニットとして説明されてもよく、説明を容易にするために互いに独立して示されてもよい。代替的な実施形態では、こうした要素は、組み合わされた要素として構成されてもよい。
【0089】
さらに、開示の一部の特徴、概念、または態様が、本明細書において好ましい配置または方法であると説明され得るにもかかわらず、そのような説明は、明示的にそのように記載されない限り、そのような特徴が必須または必要であることを示唆することを意図していない。なおもさらに、例示的または代表的な値および範囲は、本出願の理解を助けるために含まれ得るが、そのような値および範囲は、限定的な意味で解釈されるべきではなく、明示的にそのように記載された場合のみ、重要な値または範囲であることを意図している。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図9A
図10
図10A
図11
図11A
図12
図12A
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
【国際調査報告】