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特表2024-516247キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーおよび組成物、製造方法、およびそれにより作製される物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーおよび組成物、製造方法、およびそれにより作製される物品
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/48 20060101AFI20240405BHJP
   C08F 299/02 20060101ALI20240405BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
C08G65/48
C08F299/02
C08F290/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566831
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-12-25
(86)【国際出願番号】 IB2022054048
(87)【国際公開番号】W WO2022234438
(87)【国際公開日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】21172126.1
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521198963
【氏名又は名称】エスエイチピーピー グローバル テクノロジーズ ベスローテン フェンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピンギトーレ アンドリュー トーマス
(72)【発明者】
【氏名】マフッド ジェームズ アラン
(72)【発明者】
【氏名】ターキン-タス アイレム
(72)【発明者】
【氏名】ダヒル ヤセル
【テーマコード(参考)】
4J005
4J127
【Fターム(参考)】
4J005AA24
4J005BA00
4J005BD00
4J005BD02
4J005BD03
4J127AA01
4J127AA02
4J127AA04
4J127AA06
4J127BB031
4J127BB111
4J127BB161
4J127BB221
4J127BC021
4J127BC131
4J127BD211
4J127BE041
4J127BE04Y
4J127BE371
4J127BE37Y
4J127BF221
4J127BF22X
4J127BF241
4J127BF24X
4J127BG051
4J127BG05X
4J127BG05Y
4J127BG061
4J127BG06X
4J127BG141
4J127BG14X
4J127BG351
4J127BG35X
4J127CB351
4J127CC291
4J127EA05
4J127FA01
4J127FA03
4J127FA07
4J127FA14
4J127FA15
(57)【要約】
反応性末端基を含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、ビスフェノールモノマー;ベンジル系ジハロゲン化物、第三級シクロアルキルジハロゲン化物、またはそれらの組合せに由来する繰り返し単位をさらに含み、場合により、分岐剤をさらに含む、キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性末端基を含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、
ビスフェノールモノマー;
ベンジル系ジハロゲン化物、第三級シクロアルキルジハロゲン化物、またはそれらの組合せ;および
場合により分岐剤
に由来する繰り返し単位をさらに含み;
前記ビスフェノールモノマーが、式
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

または
【化7】

[式中、
、RおよびR14は、それぞれ独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;
15は、水素、C1~6アルキル、または置換もしくは非置換フェニルであり;
20およびR21は、それぞれ独立して、C1~3アルキルまたはフェニルであり;
各Rは水素であるか、または両方のR基は、それらが結合した炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成し;
kは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の整数であり;
p、qおよびjは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4の整数である]
のモノマーを含むことを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項2】
請求項1に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記ビスフェノールモノマーが、ビスフェノールAをさらに含むことを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項3】
請求項1または2に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、平均で1分子当たり1.1から2つの反応性末端基、または1分子当たり1.4から2つの反応性末端基、または1分子当たり1.8から2つの反応性末端基を有することを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、各反応性末端基が、独立して、水素、または式
【化8】

[式中、
は、式
【化9】

[式中、RおよびRの各出現は、独立して、水素またはC1~12アルキルである]のうちの1つを有する二価連結基であり;
5aは、エポキシド含有基、シアネート含有基、または1つもしくは2つのカルボン酸基で置換されているC1~12ヒドロカルビルであり;
、RおよびRの各出現は、独立して、水素、C1~18ヒドロカルビル、C2~18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボン酸、イミデートまたはチオカルボン酸であり;
、R10、R11、R12およびR13の各出現は、独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、ヒドロキシ、アミノ、マレイミド、カルボン酸またはC2~20アルキルエステルである]の基であり、ただし、前記ビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、水素ではない少なくとも1つの反応性末端基を含むことを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、分岐剤に由来する繰り返し単位を含むことを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項6】
請求項5に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記分岐剤が、式(4):
【化10】

(4)
[式中、
Tは、C1~20アルキル、C1~20アルコキシ、C7~12アリールアルキルまたはC7~12アルキルアリールであり;
Yの各出現は、独立して、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C7~12アリールアルキル、C7~12アルキルアリールまたはニトロであり;
yの各出現は、独立して、0、1、2、3または4の整数である]
の三置換フェノールを含むことを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記ビスフェノールモノマーが、式
【化11】

[式中、
およびRは、各出現においてそれぞれ独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;
14は、各出現において独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;
pおよびqは、それぞれ独立して、0から4の整数であり;
kは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の整数である]
のものであることを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項8】
請求項7に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記ビスフェノールモノマーが、4,4’-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノールを含むことを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項9】
請求項1に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記ビスフェノールポリエーテルオリゴマーが、式
【化12】

[式中、
、R、RおよびR14は、それぞれ独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;
15は、水素、C1~6アルキル、または置換もしくは非置換フェニルであり;
p、q、tおよびjは、それぞれ独立して、0から4の整数であり;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、または
【化13】

[式中、
は、式
【化14】

[式中、RおよびRの各出現は、独立して、水素またはC1~12アルキルである]のうちの1つを有する二価連結基である]によって表される基であり、
5aは、エポキシド含有基、シアネート含有基、または1つもしくは2つのカルボン酸基で場合により置換されているC1~12ヒドロカルビルであり、
、RおよびRの各出現は、独立して、水素、C1~18ヒドロカルビル、C2~18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボン酸、イミデートまたはチオカルボン酸であり、
、R10、R11、R12およびR13の各出現は、独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、ヒドロキシ、アミノ、マレイミド、カルボン酸またはC2~20アルキルエステルであり;
ただし、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素原子ではなく;
nは、2から20、好ましくは3から16の整数である]
のものであることを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項10】
請求項1に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記ビスフェノールポリエーテルオリゴマーが、式
【化15】

[式中、
、R、RおよびR14は、それぞれ独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;
15は、水素、C1~6アルキル、または置換もしくは非置換フェニルであり;
p、q、tおよびjは、それぞれ独立して、0から4の整数であり;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、または
【化16】

[式中、
は、式
【化17】

[式中、
およびRの各出現は、独立して、水素またはC1~12アルキルである]のうちの1つを有する二価連結基である]によって表される基であり、
5aは、エポキシド含有基、シアネート含有基、または1つもしくは2つのカルボン酸基で場合により置換されているC1~12ヒドロカルビルであり、
、RおよびRの各出現は、独立して、水素、C1~18ヒドロカルビル、C2~18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボン酸、イミデートまたはチオカルボン酸であり、
、R10、R11、R12およびR13の各出現は、独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、ヒドロキシ、アミノ、マレイミド、カルボン酸またはC2~20アルキルエステルであり;
ただし、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素原子ではなく;
Aは、
【化18】

または
【化19】

[式中、*および*’は、隣接する原子との結合部位を表し;
αは、1から10、好ましくは3から10の整数であり;
βは、1から10、好ましくは3から10の整数であり;
ただし、α+βは2から10である]である]
のものであることを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを形成するための方法であって、プロセスが、
前記ビスフェノールモノマーと;
前記ベンジル系ジハロゲン化物、前記第三級シクロアルキルジハロゲン化物またはそれらの組合せと;
場合により前記分岐剤と;を、
触媒組成物の存在下、溶媒中で重縮合させるステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記重縮合させるステップが、塩基性触媒の存在下で実施されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法であって、
フェノール末端基を含むビスフェノールポリエーテルオリゴマーと;
キャッピング剤と;を、
前記キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを含む反応混合物を得るために有効な条件下で反応させるステップ、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1から10のいずれか1項に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを含むことを特徴とする硬化可能な熱硬化型組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の硬化可能な熱硬化型組成物に由来する物品であって、前記物品が、複合材、発泡体、繊維、層、コーティング、カプセル材、接着剤、封止剤、鋳造構成部品、プリプレグ、ケーシング、キャスト物品、積層板、またはそれらの組合せである;好ましくは、前記物品が、メタルクラッド積層板、電子複合材、構造用複合材、またはそれらの組合せであることを特徴とする物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2021年5月4日に出願された欧州出願第21172126.1号の利益を主張し、その全体を本願に引用して援用する。
【0002】
本開示は、ビスフェノールポリエーテルオリゴマー、それを含む組成物、それらの製造のための方法、およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
熱硬化型樹脂は、保護コーティング、接着剤、電子積層板(プリント回路基板の製作において使用されるもの等)、床材および舗装用途、ガラス繊維強化パイプ、ならびに自動車部品(重ね板ばね、ポンプおよび電気構成部品を含む)等の多種多様な消費者向製品および工業製品において使用されうる。
【0004】
ポリエーテル樹脂またはそれから作製された官能化オリゴマーは、硬化した熱硬化型製品において望ましい特性を実現するために、硬化可能な組成物中の添加剤として使用されうる。これらのオリゴマーは、総合的に多用途であり、エポキシ、シアン酸エステル、マレイミド、アクリレートおよびベンゾオキサジン樹脂等の熱硬化型樹脂と組み合わされうる。
【0005】
データストレージおよびデータ伝送の需要の増大により、電子技術応用のための高密度および多層プリント回路基板の必要性が高まってきている。プリント回路基板等のデバイスの複雑さが増大するにつれて、小型化によって引き起こされる自由な設計空間の削減ならびに高性能材料を通過するシグナル伝送および帯域幅という新たな要件に対応する需要が増大する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、より低い誘電率および散逸率を持つ材料が依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
反応性末端基を含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、ビスフェノールモノマー;ベンジル系ジハロゲン化物(benzylic dihalide)、第三級シクロアルキルジハロゲン化物(tertiary cycloalkyl dihalide)またはそれらの組合せと;場合により分岐剤に由来する繰り返し単位をさらに含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーが提供される。
【0008】
キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを形成するためのプロセスであって、ビスフェノールモノマーと;ベンジル系ジハロゲン化物、第三級シクロアルキルジハロゲン化物、またはそれらの組合せと、場合により分岐剤とを、触媒組成物の存在下、溶媒中で重縮合(polycondensing)させることを含むプロセスも提供される。
【0009】
キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを含む硬化可能な熱硬化型組成物および硬化可能な熱硬化型組成物に由来する物品も、提供される。
【0010】
上述したおよび他の特色は、以下の詳細な記述、実施例および請求項によって例示される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、芳香族ポリエーテル熱硬化型組成物の脂肪族含有量を増大させて、対応する硬化した熱硬化型製品の誘電性能および熱特性を改善することに関する。本発明者らは、改善された誘電性能を実現し、望ましい熱特性を有する、低分子量二官能芳香族ポリエーテルオリゴマーを発見した。ポリエーテルオリゴマーは、例えば、芳香族ビスフェノールモノマーと、ベンジル系および/または第三級シクロアルキルジハロゲン化物との、好ましくは触媒の存在下での重縮合反応(polycondensation reaction)を介して取得されうる。二官能芳香族ポリエーテルのフェノール末端基は、芳香族ビスフェノールモノマーに有利な化学量論的不均衡を使用して取得されうる。一部の態様では、二官能芳香族ポリエーテルオリゴマーのフェノール末端基の1つ以上は、さらに変性して他の官能基を含みうる。
【0012】
反応性末端基を含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーが、本明細書において提供される。キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、ビスフェノールモノマー;ベンジル系ジハロゲン化物、第三級シクロアルキルジハロゲン化物、またはそれらの組合せに由来する繰り返し単位を含む。一部の態様では、キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、ビスフェノールモノマー;ベンジル系ジハロゲン化物、第三級シクロアルキルジハロゲン化物、またはそれらの組合せ;および架橋剤に由来する繰り返し単位を含む。
【0013】
反応性末端基を含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、式(1)
【化1】

(1)
[式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;nは、2から20、好ましくは3から16の整数であり;p、qおよびtは、それぞれ独立して、0から4の整数である]のオリゴマーを含みうる。p、qまたはtが4未満である場合、環の各炭素の原子価は水素によって満たされていることが理解されよう。
【0014】
式(1)において、Lは、-(Rで場合により置換されている二価連結基であり、各Rは、独立して、水素、C1~12アルキル、C1~12シクロアルキル、C7~12アリールアルキル、C1~12ヘテロアルキルまたは環式C7~12ヘテロアリールアルキル;または式-C(=R)-の基であり、式中、Rは、二価C1~12炭化水素基である。例えば、各Lは、置換もしくは非置換ベンジルジハロゲン化物または置換もしくは非置換第三級シクロアルキルジハロゲン化物に由来する二価連結基であってもよい。
【0015】
一部の態様では、各Lは、式(2):
【化2】

(2)
[式中、各Xは、独立して、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲンであり;Rは、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;tは、0から4の整数である]のベンジルジハロゲン化物に由来しうる。好ましくは、XはClである。式(2)のベンジル系ジハロゲン化物の具体例は、α,α’-ジブロモ-p-キシレン、α,α’-ジクロロ-p-キシレン、ジ(クロロメチル)ベンゼン、および前述のうちの少なくとも1つを含む組合せを含む。
【0016】
一部の態様では、各Lは、式(3):
【化3】

(3)
[式中、各Xは、独立して、Cl、BrおよびIから選択されるハロゲンである]の第三級シクロアルキルジハロゲン化物に由来しうる。好ましくは、XはBrである。
【0017】
式(1)において、Xは、2つのヒドロキシ置換芳香族基を接続している架橋基であり、各Cアリーレン基の架橋基およびヒドロキシ置換基は、Cアリーレン基上で互いにオルト、メタまたはパラ(特にパラ)に配置されている。一部の態様では、架橋基Xは、単結合、-O-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-C(O)-、またはC1~60有機基である。C1~60有機基は、環状または非環状、芳香族または非芳香族であってもよく、ハロゲン、酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リン、またはそれらの組合せ等のヘテロ原子をさらに含みうる。C1~60有機基は、それに接続しているCアリーレン基が、C1~18有機架橋基の共通のアルキリデン炭素にまたは異なる炭素にそれぞれ接続されるように配置されうる。ある実施形態では、pおよびqはそれぞれ1であり、RおよびRはそれぞれ、各アリーレン基上のヒドロキシ基に対してメタに配置されているC1~3アルキル基、具体的にはメチルである。
【0018】
例えば、Xは、C3~18シクロアルキリデン、式-C(R)(R)-のC1~25アルキリデン、または式-C(=R)-の基であってもよい。基RおよびRは、それぞれ独立して、水素、C1~12アルキル、C1~12シクロアルキル、C7~12アリールアルキル、C1~12ヘテロアルキルまたは環式C7~12ヘテロアリールアルキルである。Rは、二価C1~12炭化水素基である。この種の基は、メチレン、シクロヘキシルメチレン、エチリデン、ネオペンチリデンおよびイソプロピリデン、ならびに2-[2.2.1]-ビシクロヘプチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンチリデン、シクロドデシリデンおよびアダマンチリデンを含む。
【0019】
一部の態様では、Xは、C1~18アルキレン、C3~18シクロアルキレン、縮合(fused)C6~18シクロアルキレン、または式-J-G-J-の基であり、式中、JおよびJは、同じまたは異なるC1~6アルキレンであり、Gは、C3~12シクロアルキリデンまたはC6~16アリーレンである。
【0020】
例えば、Xは、式(4)
【化4】

(4)
[式中、R、R、RおよびRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、酸素またはC1~12炭化水素基であり;Qは、直接結合、炭素、または二価酸素、硫黄、または-N(Z)-であり、Zは、水素、ハロゲン、ヒドロキシ、C1~12アルキル、C1~12アルコキシ、C6~12アリールまたはC1~12アシルであり;rは、0から2であり、tは、1または2であり、qは、0または1であり、kは、0から3であり、ただし、R、R、RおよびRのうちの少なくとも2つが一緒になって、縮合脂環式(fused cycloaliphatic)、芳香族またはヘテロ芳香族環である]の置換C3~18シクロアルキリデンであってもよい。縮合環(fused ring)が芳香族である場合、式(4)に示す通りの環は、環が縮合(fused)されている不飽和炭素-炭素連結(carbon-carbon linkage)を有するであろうことが理解されよう。kが1であり、qが0である場合、式(4)に示す通りの環は、4個の炭素原子を含有し、kが2である場合、式(4)に示す通りの環は、5個の炭素原子を含有し、kが3である場合、環は、6個の炭素原子を含有する。ある態様では、2つの隣接する基が(例えば、RおよびRが一緒になって)芳香族基を形成し、別の態様では、RおよびRが一緒になって、1つの芳香族基を形成し、RおよびRが一緒になって、第2の芳香族基を形成する。RおよびRが一緒になって芳香族基を形成する場合、Rは、二重結合した酸素原子、すなわちケトンであってもよく、またはQは-N(Z)-であってもよく、Zはフェニルである。
【0021】
式(1)において、RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または
【化5】

[式中、Yは、式
【化6】

[式中、RおよびRの各出現は、独立して、水素またはC1~12アルキル、好ましくは水素またはC1~6-アルキルである]のうちの1つを有する二価連結基である]によって表される基であり;ただし、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素原子ではない。
【0022】
5aは、エポキシド含有基、シアネート含有基、または1つもしくは2つのカルボン酸基で場合により置換されているC1~12ヒドロカルビルである。R、RおよびRの各出現は、独立して、水素、C1~18ヒドロカルビル、C2~18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボン酸、イミデートまたはチオカルボン酸である。R、R10、R11、R12およびR13の各出現は、独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、ヒドロキシ、アミノ、マレイミド、カルボン酸またはC2~20アルキルエステルである。
【0023】
一部の態様では、キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、式(1a):
【化7】

(1a)
[式中、R、R、X、R、R、p、qおよびtは、式(1)で定義されている通りであり;各Rは、独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;nは、2から20、好ましくは3から16の整数である]
によって表されうる。
【0024】
一部の態様では、キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、式(1b):
【化8】

(1b)
[式中、RおよびRは、式(1)で定義されている通りであり;nは、2から20、好ましくは3から16の整数である]
によって表されうる。
【0025】
が置換C3~18シクロアルキリデンであるビスフェノールポリエーテルオリゴマーの例は、式(1c):
【化9】

(1c)
[式中、R、R、R、R、p、qおよびtは、式(1)で定義されている通りであり;各Rは、独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;各R14は、独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;R15は、水素、C1~6アルキル、または置換もしくは非置換フェニルであり;jは、0から4の整数であり;nは、2から20、好ましくは3から16の整数である]のビスフェノールポリエーテルフタルイミジンオリゴマー
を含む。
【0026】
一部の態様では、ビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、式(1d):
【化10】

(1d)
を有し、R、RおよびRの各出現は、独立して、水素、C1~18ヒドロカルビル、C2~18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボン酸、イミデートまたはチオカルボン酸である。
【0027】
ビスフェノールモノマーおよびベンジル系ジハロゲン化物、第三級シクロアルキルジハロゲン化物、またはそれらの組合せに加えて、ビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、分岐剤に由来する繰り返し単位をさらに含みうる。分岐剤は、ヒドロキシル、カルボキシル、無水カルボン酸、ハロホルミル、および前述の官能基の混合物から選択される少なくとも3つの官能基を含有する多官能有機化合物を含む。具体例は、トリメリット酸、無水トリメリット酸、トリス-フェノールTC(1,3,5-トリス((p-ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリス-フェノールPA(4(4(1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)-エチル)アルファ,アルファ-ジメチルベンジル)フェノール)、4-クロロホルミルフタル酸無水物、トリメシン酸、トリメリット酸三塩化物(TMTC)、トリス-p-ヒドロキシフェニルエタン(THPE)、イサチン-ビス-フェノール、およびベンゾフェノンテトラカルボン酸を含む。
【0028】
例示的な分岐剤は、式(4):
【化11】

(4)
[式中、Tは、C1~20アルキル、C1~20アルコキシ、C7~12アリールアルキルまたはC7~12アルキルアリールであり;Yは、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C7~12アリールアルキル、C7~12アルキルアリールまたはニトロであり;yは、0から4の整数である]の三置換フェノール
を含む。
【0029】
他の例示的な分岐剤は、式(5):
【化12】

(5)
[式中、Zは、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C7~12アリールアルキル、C7~12アルキルアリールまたはニトロであり、zは、0から3である]の塩化トリアシル
等の芳香族トリアシルハロゲン化物を含む。
【0030】
また他の例示的な分岐剤は、式(6):
【化13】

(6)
のイサチン-ビス-フェノールを含む。
【0031】
ビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、1つ以上の式(7):
【化14】

(7)
[式中、R、R、pおよびqは、式(1)のオリゴマーにおけるものと同じである]のビスフェノールモノマー、およびベンジル系ジハロゲン化物(2)、第三級シクロアルキルジハロゲン化物(3)、またはそれらの組合せを、触媒組成物の存在下、溶媒中で反応させて、ビスフェノールポリエーテルオリゴマーを得ることによって調製されうる。例えば、反応は、アルカリ金属塩、例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等の塩基性触媒の存在下で行われうる。
【0032】
例えば、ビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、1つ以上の式(7a)
【化15】

(7a)
[式中、R、R、pおよびqは、式(1)のオリゴマーにおけるものと同じであり;各R14は、独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;R15は、水素、C1~6アルキル、または置換もしくは非置換フェニルであり;jは、0から4の整数である]のビスフェノールモノマー、およびベンジル系ジハロゲン化物(2)、第三級シクロアルキルジハロゲン化物(3)、またはそれらの組合せを、オリゴマーを得るために有効な条件下で反応させることによって調製されうる。
【0033】
特定の態様では、ビスフェノールモノマー(7):
【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

【化23】

[式中、R、R、X、pおよびqは、式(1)のオリゴマーにおけるものと同じであり;各R14は、独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;R15は、水素、C1~6アルキル、または置換もしくは非置換フェニルであり;jは、0から4の整数であり;kは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10(あるいは1、2、3、4または5;あるいは2、3または4;あるいは3)の整数であり;R20およびR21は、それぞれ独立して、C1~3アルキルまたはフェニルであり;各Rは水素であるか、または両方のRは、一緒になって、カルボニル基である]は、以下のうちの1つ以上
によって表されうる。
【0034】
一部の態様では、キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、2つ以上の異なるビスフェノールの組合せを使用して製造されたコポリマーであってもよい。例えば、ビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、式(1d):
【化24】

(1d)
[式中、R、R、R、R、pおよびqは、式(1)のオリゴマーにおけるものと同じであり;Rおよびtは、式(1a)のオリゴマーにおけるものと同じであり;R14、R15およびjは、式(5a)におけるものと同じであり;aは、1から10、好ましくは3から10の整数であり;Bは、1から10、好ましくは3から10の整数であり;ただし、α+βは2から10、好ましくは6から10である]
によって表されうる。
【0035】
式(1d)において、Aは、以下の式:
【化25】

【化26】

[式中、R、R、R14、R15、pおよびqは、式(1d)のコポリマーにおけるものと同じであり、*および*’は、隣接する原子との結合部位を表す]のうちの1つ
によって表されうる。
【0036】
合成の条件は、反応物質に応じて広く変動しうる。概して、合成は、不活性溶媒、例えば、クロロベンゼン、トルエン、ベンゼン等、具体的には、ジメチルスルホキシド、スルホラン、テトラヒドロフラン、N-メチルピロリジノン、N,N-ジメチルアセトアミド等の極性非プロトン性溶媒中でかき混ぜながら行われる。反応は、大気圧またはより高圧で、および昇温、例えば30から180℃で行われうる。一部の態様では、反応は、100ppm未満の水の存在で行われる。
【0037】
およびRのうちの少なくとも一方が水素である場合、ビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、少なくとも1つのフェノール末端基(-PhOH)を含み、これを、キャッピング剤と、式(1)のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを含む反応混合物を得るために有効な条件下で反応させることができる。キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、特定の末端基を有する機能性オリゴマーであり、キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを作製する方法は、ヒドロキシ終端ビスフェノールポリエーテルオリゴマーをキャッピング剤と反応させるステップをさらに含みうる。例えば、キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを形成するためのプロセスは、キャッピング剤と、フェノール末端基を含むビスフェノールポリエーテルオリゴマーとを、キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを含む反応混合物を得るために有効な条件下で反応させることをさらに含みうる。
【0038】
キャッピング剤は、特に限定されず、不飽和、エポキシ、ベンゾオキサジン、イソシアネート、シアン酸エステル、メラミン、シアノフェニル、マレイミド、フタロニトリル、シクロアルキルフェニル、エトキシレート、ウレタン、無水物、アリルヒドロキシプロピル等、またはそれらの組合せを含む、化合物でありうる。当業者ならば、キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーの所望の機能性に基づき、キャッピング剤を決定することができる。例えば、ビニルベンジルエーテル末端基は、ビニルベンジルハロゲン化物(例えば、塩化ビニルベンジル)である硬化剤を使用して調製することができ、(メタ)アクリル末端基は、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物または(メタ)アクリル無水物である硬化剤を使用して調製することができる。
【0039】
キャッピング剤およびフェノール末端基を含むビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、溶媒中で反応する。一部の態様では、フェノール末端基を含むビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、単離された生成物として取得され、その後、キャッピング剤および溶媒と組み合わされる。例えば、キャッピング剤は、フェノール末端基を含むビスフェノールポリエーテルオリゴマーの溶液に直接添加されうる。
【0040】
ビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、架橋スチレン-ジビニルベンゼンカラムを使用しポリカーボネート基準物質に対して較正されたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された際に、300から5,000ダルトン(Da)、具体的には500から2,000Daの重量平均分子量(M)を有しうる。GPC試料は、1ミリリットル当たり1ミリグラム(mg/mL)の濃度で調製され、毎分1.5mLの流速で溶離される。
【0041】
キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、平均で1分子当たり1.1から2つの反応性末端基、または1分子当たり1.4から2つの反応性末端基、または1分子当たり1.5から2つの反応性末端基、または1分子当たり1.6から2つの反応性末端基、または1分子当たり1.8から2つの反応性末端基、または1分子当たり1.9から2つの反応性末端基を有しうる。好ましくは、キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、1分子当たり1.5よりも多い反応性末端基を含む。
【0042】
キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを含む硬化可能な熱硬化型組成物も提供される。例えば、キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、硬化可能な熱硬化型組成物中に、硬化可能な熱硬化型組成物の総重量に基づき、1から95重量パーセント(wt%)、または5から95wt%、または10から85wt%、または20から80wt%、30から70wt%、または5から30wt%、または5から15wt%の量で存在しうる。熱硬化型組成物は溶媒を含みうる。
【0043】
硬化可能な熱硬化型組成物は、架橋剤、硬化剤、硬化触媒、硬化開始剤、またはそれらの組合せのうちの1つ以上をさらに含みうる。一部の態様では、硬化可能な熱硬化型組成物は、難燃剤、フィラー、カップリング剤、またはそれらの組合せのうちの1つ以上をさらに含みうる。例えば、硬化可能な熱硬化型組成物は、架橋剤、硬化剤、硬化触媒、硬化開始剤、またはそれらの組合せのうちの1つ以上をさらに含むことができ、難燃剤、フィラー、カップリング剤、またはそれらの組合せのうちの1つ以上をさらに含みうる。また他の態様では、硬化可能な熱硬化型組成物は、架橋剤、開始剤および溶媒を含む。
【0044】
熱硬化型樹脂、架橋剤およびカップリング剤の間にはかなりの重複がある。本明細書で使用される場合、用語「架橋剤」は、熱硬化型樹脂、架橋剤、カップリング剤、またはそれらの組合せとして使用されうる化合物を含む。例えば、一部の事例において、熱硬化型樹脂である化合物は、架橋剤、カップリング剤、または両方としても使用されうる。
【0045】
熱硬化型樹脂は特に限定されず、熱硬化型樹脂は、単独でまたは2つ以上の熱硬化型樹脂(例えば、1つ以上の補助的な熱硬化型樹脂を含む)の組合せで使用されうる。例示的な熱硬化型樹脂は、エポキシ樹脂、シアン酸エステル樹脂、(ビス)マレイミド樹脂、(ポリ)ベンゾオキサジン樹脂、ビニル樹脂(例えば、ビニルベンジルエーテル樹脂)、フェノール樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリールシクロブテン樹脂、パーフルオロビニルエーテル樹脂、硬化可能な不飽和(例えば、ビニル官能基)を持つモノマー、オリゴマーもしくはポリマー等、またはそれらの組合せを含む。
【0046】
エポキシ樹脂は、一般的に、熱硬化型樹脂において使用するのに好適である任意のエポキシ樹脂でありうる。この文脈における用語「エポキシ樹脂」は、例えば、シー・エー・メイ(C.A.May),Epoxy Resins,2.sup.nd Edition,(New York&Basle:Marcel Dekker Inc.),1988において記述されている通りのオキシラン環含有化合物の硬化可能な組成物を指す。エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、例を挙げると、ビスフェノールAから取得されたもの、ならびにビスフェノールAの2位、3位および5位のうちの少なくとも1つの位置を、ハロゲン原子、6個以下の炭素原子を有するアルキル基、またはフェニル基で置換することによって取得された樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂、例を挙げると、ビスフェノールFから取得されたもの、ならびにビスフェノールFの2位、3位および5位のうちの少なくとも1つの位置を、ハロゲン原子、6個以下の炭素原子を有するアルキル基、またはフェニル基で置換することによって取得された樹脂;ヒドロキノン、レゾルシノール、トリス-4-(ヒドロキシフェニル)メタンおよび1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン等の二価または三価以上のフェノールに由来する、グリシジルエーテル化合物;ビスフェノールAノボラック(novolak)型エポキシ樹脂およびクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を含む、フェノールおよびo-クレゾール等のフェノール類とホルムアルデヒドとの間の反応生成物であるノボラック樹脂に由来するノボラック型エポキシ樹脂;環状脂肪族エポキシ化合物、例を挙げると、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス[4-(2,3-エポキシプロピル)シクロヘキシル]プロパン、ビニルシクロヘキセンジオキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;ジシクロペンタジエン含有ポリエポキシド;アニリン、p-アミノフェノール、m-アミノフェノール、4-アミノ-m-クレゾール、6-アミノ-m-クレゾール、4,4’-ジアミノジフェニル-エタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエテル、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(3-アミノフェノキシ)-ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)-ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2-ビス(4-アミノ-フェノキシフェニル)プロパン、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、2,4-トルエンジアミン、2,6-トルエンジアミン、p-キシリレン-ジアミン、m-キシリレンジアミン、1,4-シクロヘキサン-ビス(メチルアミン)、5-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチルインダン、6-アミノ-1-(4’-アミノフェニル)-1,3,3-トリメチル-インダン等に由来する、アミン型エポキシ樹脂;複素環式エポキシ化合物、およびグリシジルエステル型エポキシ化合物、例えば、芳香族カルボン酸、例を挙げると、p-オキシ安息香酸、m-オキシ安息香酸、テレフタル酸およびイソフタル酸のグリシジルエステルに由来するものを含みうる。「エポキシ樹脂」は、2つ以上のエポキシ基を含有する化合物と芳香族ジヒドロキシ化合物との反応生成物を含むこともでき、これは、場合によりハロゲン置換されていてよく、単独であっても2つ以上の組合せであってもよい。
【0047】
シアン酸エステルは限定されず、重合して複数のシアン酸エステル(-OCN)官能基を含有するポリマーを形成するシアン酸エステルモノマーで構成される任意の樹脂が使用されうる。シアン酸エステル前駆体を使用して作製された、シアン酸エステルモノマー、プレポリマー(すなわち、部分的に重合したシアン酸エステルモノマーまたはシアン酸エステルモノマーの混和物)、ホモポリマーおよびコポリマー、ならびにこれらの化合物の組合せ。例えば、シアン酸エステルは、“Chemistry and Technology of Cyanate Ester Resins,”by イアン・ハマートン(Ian Hamerton),Blackie Academic and Professional;米国特許第3,553,244号および特開平第7-53497号において開示されている方法に従って調製されうる。例示的なシアン酸エステル樹脂は、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-プロパン、ビス(4-シアナトフェニル)エタン、ビス(3,5-ジメチル-4-シアナトフェニル)メタン、2,2-ビス(4-シアナトフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、α,α’-ビス(4-シアナトフェニル)-m-ジイソプロピル-ベンゼン、ジシクロペンタジエン-フェノールコポリマーから調製されたシアン酸エステル樹脂、およびこれらのモノマーから調製されたプレポリマーを含む。プレポリマーの一例は、PRIMASET BA-230S(Lonza)である。シアン酸エステルプレポリマーは、ホモポリマーでありうるか、または他のモノマーを組み込んだコポリマーでありうる。そのようなコポリマーの例は、三菱ガス化学株式会社から入手可能なBT樹脂、例を挙げると、シアン酸エステルモノマーおよびビスマレイミドモノマーで作製されたプレポリマーであるBT2160およびBT2170を含む。他のシアン酸エステルポリマー、モノマー、プレポリマー、およびシアン酸エステルモノマーの他の非シアン酸エステルモノマーとの混和物は、米国特許第7393904号、米国特許第7388057号、米国特許第7276563号および米国特許第7192651号において開示されている。
【0048】
ビスマレイミド樹脂は、モノマーのビスマレイミドの、ジアミン、アミノフェノールもしくはアミノベンズヒドラジド等の求核試薬との反応によって、またはビスマレイミドのジアリルビスフェノールAとの反応によって、生成されうる。例示的なビスマレイミド樹脂は、1,2-ビスマレイミドエタン、1,6-ビスマレイミドヘキサン、1,3-ビスマレイミドベンゼン、1,4-ビスマレイミド-ベンゼン、2,4-ビスマレイミドトルエン、4,4’-ビスマレイミドジフェニルメタン、4,4’-ビスマレイミド-ジフェニルエーテル、3,3’-ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4’-ビスマレイミド-ジフェニルスルホン、4,4’-ビスマレイミドジシクロヘキシルメタン、3,5-ビス(4-マレイミドフェニル)ピリジン、2,6-ビスマレイミド-ピリジン、1,3-ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(マレイミドメチル)ベンゼン、1,1-ビス(4-マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,3-ビス(ジクロロマレイミド)ベンゼン、4,4’-ビス(シトラコン-イミド)ジフェニルメタン、2,2-ビス(4-マレイミドフェニル)プロパン、1-フェニル-1,1-ビス(4-マレイミド-フェニル)エタン、N,N-ビス(4-マレイミドフェニル)トルエン、3,5-ビスマレイミド-1,2,4-トリアゾール N,N’-エチレンビスマレイミド、N,N’-ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N’-m-フェニレン-ビスマレイミド、N,N’-p-フェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニル-エーテルビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルスホンビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジシクロヘキシルメタン-ビスマレイミド、N,N’-α,α’-4,4’-ジメチレンシクロヘキサンビスマレイミド、N,N’-m-メタキシレン-ビスマレイミド、N,N’-4,4’-ジフェニルシクロヘキサンビスマレイミド、およびN,N’-メチレン-ビス(3-クロロ-p-フェニレン)ビスマレイミド、ならびに、米国特許第3,562,223号、米国特許第4,211,860号および米国特許第4,211,861号において開示されているもの、または例えば米国特許第3,018,290号において記述されている通りの方法によって調製されるものを含む。
【0049】
ベンゾオキサジン化合物は、分子中にベンゾオキサジン環を有する。例示的なベンゾオキサジンモノマーは、溶媒を用いるまたは用いない、アルデヒド、フェノールおよび第一級アミンの反応により調製されうる。ベンゾオキサジンを形成するためのフェノール化合物は、フェノールおよびポリフェノールを含む。ベンゾオキサジンを形成する際に反応性である2つ以上のヒドロキシル基を持つポリフェノールの使用により、分枝鎖状、架橋された、または分枝鎖状および架橋された生成物の組合せをもたらすことができる。フェノール基をフェノールに接続している基は、ポリベンゾオキサジン中の分枝点または接続基でありうる。
【0050】
ベンゾオキサジンモノマーの調製において使用するための例示的なフェノール類は、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、2-アリルフェノール、3-アリルフェノール、4-アリルフェノール、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロオキシナプタレン、2-(ジフェニル-ホスホリル)ヒドロキノン、2,2’-ビフェノール、4,4-ビフェノール、4,4’-イソプロピリデンジフェノール、4,4’-イソプロピリデンビス(2-メチル-フェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2-アリルフェノール)、4,4’(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール(ビスフェノールM)、4,4’-イソプロピリデンビス(3-フェニルフェノール)4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロイリデン)-ビスフェノール、4,4’-エチリデンジフェノール、4,4’-オキシジフェノール、4,4’-チオジフェノール、4,4’-スホニルジフェノール、4,4’-スルフィニルジフェノール、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4’(1-フェニルエチリデン)-ビスフェノール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジクロロエチレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’-(シクロペンチリデン)ジフェノール、4,4’-(シクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’-(シクロドデシリデン)ジフェノール 4,4’-(ビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン)ジフェノール、4,4’-(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ジフェノール、イソプロピリデン-ビス(2-アリルフェノール)、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソベンゾフラン-1(3H)-オン、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-オール、3,3,3’,3’-テトラメチル-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1,1’-スピロビ-[インデン]5,6’-ジオール、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4-ヒドロキシ-フェニル)エタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタンジシクロペンタジエニルビス(2,6-ジメチルフェノール)、ジシクロペンタジエニルビス(オルト-クレゾール)、ジシクロペンタジエニルビスフェノール等を含む。
【0051】
ベンゾオキサジンを形成するために使用されるアルデヒドは、1から10個の炭素原子を有するアルデヒド等の任意のアルデヒドでありうる。例えば、アルデヒドは、ホルムアルデヒドでありうる。ベンゾオキサジンを形成するために使用されるアミンは、芳香族アミン、脂肪族アミン、アルキル置換芳香族または芳香族置換アルキルアミンでありうる。アミンは、例えば架橋のために多官能ベンゾオキサジンモノマーを調製するための、ポリアミンでありうる。
【0052】
ベンゾオキサジンを形成するためのアミンは、1から40個の炭素原子を含み、芳香族環を含むのでない限り、6から40個の炭素原子を含みうる。二または多官能のアミンは、1つのポリベンゾオキサジンを別のものと接続するための分枝点でありうる。
【0053】
一部の例では、ベンゾオキサジンモノマーを重合するために150から300℃の熱重合を使用することができる。重合は、バルクで、溶液から、または他の方法で行うことができる。カルボン酸等の触媒を使用して、重合温度を低減させるまたは同じ温度で重合速度を加速させることができる。
【0054】
ビニルベンジルエーテル樹脂は、フェノールの、塩化ビニルベンジル等のビニルベンジルハロゲン化物との縮合(condensation)により調製することができる。ビスフェノール-Aおよびトリスフェノールおよびポリフェノールを一般的に使用して、架橋された熱硬化型樹脂を生成するために使用されうるポリ(ビニルベンジルエーテル)を生成する。例示的なビニルベンジルエーテルは、ビニルベンジルハロゲン化物の、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、2-(ジフェニル-ホスホリル)ヒドロキノン、ビス(2,6-ジメチルフェノール)2,2’-ビフェノール、4,4-ビフェノール、2,2’,6,6’-テトラメチルビフェノール、2,2’,3,3’,6,6’-ヘキサメチルビフェノール、3,3’,5,5’-テトラブロモ-2,2’6,6’-テトラメチルビフェノール、3,3’-ジブロモ-2,2’,6,6’-テトラメチルビフェノール、2,2’,6,6’-テトラメチル-3,3’5-ジブロモビフェノール、4,4’-イソ-プロピリデンジフェノール、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジブロモフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジメチルフェノール)(テラメチルビスフェノールA)、4,4’-イソプロピリデンビス(2-メチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(ispropylidenebis)(2-アリルフェノール)、4,4’(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4’-イソプロピリデンビス(3-フェニルフェノール)4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロイリデン)ビスフェノール、4,4’-エチリデンジ-フェノール、4,4’-オキシジフェノール、4,4’-チオジフェノール、4,4’-チオビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-スホニルジ-フェノール、4,4’-スルホニルビス(2,6-ジメチルフェノール) 4,4’-スルフィニル-ジフェノール、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ビスフェノール、4,4’(1-フェニルエチリデン)ビスフェノール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジクロロ-エチレン、ビス(4-ヒドロキシ-フェニル)メタン、ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’-(シクロペンチリデン)ジフェノール、4,4’-(シクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’-(シクロドデシリデン)ジフェノール 4,4’-(ビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン)ジフェノール、4,4’-(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ジフェノール、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-イソベンゾフラン-1(3H)-オン、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-オール、1-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1,3,3,4,6-ペンタメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-オール、3,3,3’,3’-テトラメチル-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1,1’-スピロビ[インデン]-5,6’-ジオール、ジヒドロキシベンゾ-フェノン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)-プロパン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-フェニル)メタン、テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルホスフィンオキシド、ジシクロペンタジエニル-ビス(2,6-ジメチルフェノール)、ジシクロペンタジエニルビスフェノール等との反応により生成された、それらのビニルベンジルエーテルを含みうる。
【0055】
アリールシクロブテンは、構造
【化27】

[式中、Bは、価数nの有機または無機ラジカル(カルボニル、スルホニル、スルフィニル、硫化物、オキシ、アルキルホスホニル、アリールホスホニル、イソアルキリデン、シクロアルキリデン、アリールアルキリデン、ジアリールメチリデン、メチリデンジアルキルシラニル、アリールアルキルシラニル、ジアリールシラニルおよびC6~20フェノール化合物を含む)であり;Xの各出現は、独立して、ヒドロキシまたはC1~24ヒドロカルビル(直鎖状および分枝鎖状アルキルおよびシクロアルキルを含む)であり;Zの各出現は、独立して、水素、ハロゲンまたはC1~12ヒドロカルビルであり;nは、1から1000もしくは1から8であるか、またはnは、2、3または4である]の化合物に由来するものを含む。他の例示的なアリールシクロブテンおよびアリールシクロブテン合成の方法は、米国特許第4,743,399号、米国特許第4,540,763号、米国特許第4,642,329号、米国特許第4,661,193号、米国特許第4,724,260号および同第5391,650号において見ることができる。
【0056】
パーフルオロビニルエーテルは、典型的には、フェノールおよびブロモテトラフルオロエタンから合成され、続いて、亜鉛触媒による還元的脱離により、ZnFBrおよび所望のパーフルオロビニルエーテルを生成する。このルートにより、ビス、トリスおよび他のポリフェノールは、ビス、トリスおよびポリ(パーフルオロビニルエーテル)を生成することができる。これらの合成において有用なフェノール類は、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン(dihydroxynapthalene)、2-(ジフェニル-ホスホリル)ヒドロキノン、ビス(2,6-ジメチルフェノール)2,2’-ビフェノール、4,4-ビフェノール、2,2’,6,6’-テトラメチルビフェノール、2,2’,3,3’,6,6’-ヘキサメチルビフェノール、3,3’,5,5’-テトラブロモ-2,2’6,6’-テトラ-メチルビフェノール、3,3’-ジブロモ-2,2’,6,6’-テトラメチルビフェノール、2,2’,6,6’-テトラメチル-3,3’5-ジブロモビフェノール、4,4’-イソプロピリデンジフェノール(ビスフェノールA)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジブロモフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2-メチルフェノール)、4,4’-イソプロピリデンビス(2-アリルフェノール)、4,4’(1,3-フェニレンジイソプロピリデン)-ビスフェノール、4,4’-イソプロピリデンビス(3-フェニルフェノール)4,4’-(1,4-フェニレンジイソプロイリデン)-ビスフェノール、4,4’-エチリデンジフェノール、4,4’オキシジフェノール、4,4’チオジフェノール、4,4’チオビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-スホニルジフェノール、4,4’-スルホニルビス(2,6-ジメチルフェノール)4,4’-スルフィニルジフェノール、4,4’-(ヘキサフルオロイソプロイリデン)ビスフェノール、4,4’(1-フェニルエチリデン)-ビスフェノール、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ジクロロエチレン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-メタン、ビス(2,6-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’-(シクロペンチリデン)ジフェノール、4,4’-(シクロヘキシリデン)ジフェノール、4,4’-(シクロドデシリデン)ジフェノール 4,4’-(ビシクロ[2.2.1]ヘプチリデン)-ジフェノール、4,4’-(9H-フルオレン-9,9-ジイル)ジフェノール、3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)イソベンゾフラン-1(3H)-オン、1-(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-オール、1-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1,3,3,4,6-ペンタメチル-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-5-オール、3,3,3’,3’-テトラメチル-2,2’,3,3’-テトラヒドロ-1,1’-スピロビ[インデン]-5,6’-ジオール(スピロビインダン)、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)-フェニルホスフィンオキシド、ジシクロペンタジエニルビス(2,6-ジメチルフェノール)、ジシクロペンタジエニルビス(2-メチルフェノール)、ジシクロペンタジエニルビスフェノール等を含む。
【0057】
補助的な架橋剤も含む架橋剤は、特に限定されない。架橋剤は、単独でまたは2つ以上の異なる架橋剤と組み合わせて使用されうる。例示的な架橋剤および補助的な架橋剤は、硬化可能なビニル官能基を持つオリゴマーまたはポリマーを含む。そのような材料は、架橋可能な不飽和を有するオリゴマーおよびポリマーを含む。例は、ブタジエンをベースとする不飽和結合を有するスチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)およびニトリルブタジエンゴム(NBR);イソプレンをベースとする不飽和結合を有する天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)およびハロゲン化ブチルゴム;ジシクロペンタジエン(DCPD)、エチリデンノルボルネン(ENB)または1,4-ジヘキサジエン(1,4-HD)をベースとする不飽和結合を有するエチレン-α-オレフィンコポリマーエラストマー(例えば、エチレン、α-オレフィンおよびジエンを共重合することによって取得されるエチレン-α-オレフィンコポリマー、例を挙げると、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー(EPDM)およびエチレン-ブテン-ジエンターポリマー(EBDM))を含む。例は、水素化ニトリルゴム、フルオロカーボンゴム、例を挙げると、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペンコポリマーおよびフッ化ビニリデン-ペンタフルオロプロペンコポリマー、エピクロルヒドリンホモポリマー(CO)、エピクロルヒドリンおよびエチレンオキシドから調製されるコポリマーゴム(ECO)、エピクロルヒドリンアリルグリシジルコポリマー、プロピレンオキシドアリルグリシジルエーテルコポリマー、プロピレンオキシドエピクロルヒドリンアリルグリシジルエーテルターポリマー、アクリルゴム(ACM)、ウレタンゴム(U)、シリコーンゴム(Q)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、多硫化ゴム(T)ならびにエチレンアクリルゴムも含む。さらなる例は、種々の液状ゴム、例えば数種類の液状ブタジエンゴム、およびアニオンリビング重合によって調製された1,2-ビニル接続を持つブタジエンポリマーである液状アタクチックブタジエンゴムを含む。液状スチレンブタジエンゴム、液状ニトリルブタジエンゴム(Ube Industries,Ltd.製のCTBN、VTBN、ATBN等)、液状クロロプレンゴム、液体ポリイソプレン、ジシクロペンタジエン型炭化水素ポリマー、およびポリノルボルネン(例えばElf Atochemによって販売されているような)を使用することも可能である。
【0058】
1,2付加のレベル上昇を含有するポリブタジエン樹脂は、熱硬化型マトリックスに望ましい。例は、Ricon Resins,Inc.によって商標名RICON、RICACRYLおよびRICOBOND樹脂で販売されている、官能化ポリブタジエンおよびポリ(ブタジエン-スチレン)ランダムコポリマーを含む。これらは、いずれも低いビニル含有量を含有するブタジエン、例を挙げると、RICON 130、131、134、142;高いビニル含有量を含有するポリブタジエン、例を挙げると、RICON 150、152、153、154、156、157およびP30D;RICON100、181、184を含むスチレンおよびブタジエンのランダムコポリマー、ならびに、無水マレイン酸グラフトポリブタジエンおよびそれに由来するアルコール縮合物(alcohol condensates)、例を挙げると、RICON 130MA8、RICON MA13、RICON 130MA20、RICON 131MAS、RICON 131MA10、RICON MA17、RICON MA20、RICON 184MA6およびRICON 156MA17を含む。RICOBOND 1031、RICOBOND 1731、RICOBOND 2031、RICACRYL 3500、RICOBOND 1756、RICACRYL 3500を含む接着を改善するために使用されうるポリブタジエン;ポリブタジエンRICON 104(ヘプタン中25%ポリブタジエン)、RICON 257(スチレン中35%ポリブタジエン)およびRICON 257(スチレン中35%ポリブタジエン);(メタ)アクリル官能化ポリブタジエン、例を挙げると、ポリブタジエンジアクリレートおよびポリブタジエンジメタクリレートも含まれる。これらの材料は、商標名RICACRYL 3100、RICACRYL 3500およびRICACRYL 3801で販売されている。例えば、RICON 150D、152D、153D、154D、P30D、RICOBOND 0 1731 HSおよびRICOBOND 1756HSを含む、官能ポリブタジエン誘導体の粉末分散体も含まれる。さらなるブタジエン樹脂は、3,000から50,000g/molまでの分子量を持つもの等のポリ(ブタジエン-イソプレン)ブロックおよびランダムコポリマー、ならびに3,000から50,000g/molまでの分子量を有するポリブタジエンホモポリマーを含む。無水マレイン酸官能基、2-ヒドロキシエチルマレイン酸官能基または水酸化官能基で官能化された、ポリブタジエン、ポリイソプレンおよびポリブタジエン-イソプレンコポリマーも含まれる。
【0059】
硬化可能なビニル官能基を持つオリゴマーおよびポリマーのさらなる例は、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびシトラコン酸をベースとする不飽和ポリエステル樹脂;アクリロイル基またはメタクリロイル基を含有する不飽和エポキシ(メタ)アクリレート樹脂;ビニルまたはアリル基を含有する不飽和エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート樹脂、ポリエーテル(メタ)アクリレート樹脂、ポリアルコール(メタ)アクリレート樹脂、アルキドアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂、スピロアセタールアクリレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ジアリルテトラブロモフタレート樹脂、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート樹脂およびポリエチレンポリチオール樹脂を含む。例えば、架橋剤。他の例示的な架橋剤は、モノマー1分子当たり2つ以上の(メタ)アクリレート部分を有する(メタ)アクリレートモノマー等の多官能架橋モノマーをさらに含む。例示的な多官能モノマーは、ジ(メタ)アクリレート、例を挙げると、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールエトキシレートジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート等;トリ(メタ)アクリレート、例を挙げると、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,2,4-ブタントリオールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリ(メタ)アクリレート等;トリ(メタ)アリル、例を挙げると、トリ(メタ)アリルシアヌレート、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート、クエン酸のトリ(メタ)アリルエステル、リン酸のトリ(メタ)アリルエステル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート等;テトラ(メタ)アクリレート、例を挙げると、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等;ペンタ(メタ)アクリレート、例を挙げると、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等;ヘキサ(メタ)アクリレート、例を挙げると、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート等;グリシジル化合物、例を挙げると、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテル、1-クロロ-2,3-エポキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ブロモ-3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、2-(エポキシエチルオキシ)-エチル(メタ)アクリレート、2-(3,4-エポキシブチルオキシ)-エチル(メタ)アクリレート等;ポリチオール化合物、例を挙げると、トリメチロールプロパントリス(メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)等;シラン、例を挙げると、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、ビニルトリス(メチルエチルオキシイミノ)シラン、ビニルトリス-(アセトキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルオキシイミノ)シラン、メチルトリス(アセトキシム)シラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン、テトラアセトキシ-シラン、メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジ-t-ブトキシ-ジアセトキシシラン、メチルトリス(乳酸エチル)シラン、ビニルトリス(乳酸エチル)シラン等;カルボジイミド、例を挙げると、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミド等;またはそれらの組合せを含む。硬化可能な熱硬化型組成物は、カルボン酸塩等の架橋触媒を場合により含みうる。
【0060】
硬化可能な熱硬化型組成物が架橋剤を含む場合、架橋剤は、硬化可能な熱硬化型組成物の総重量に基づき、1から60wt%、または5から50wt%、または10から40wt%の量で含まれうる。
【0061】
硬化可能な熱硬化型組成物は、1つ以上の硬化剤を含みうる。本明細書で使用される場合、用語「硬化剤」は、硬化剤、硬膜剤等としてまたは両方として様々に記述される化合物を含む。
【0062】
例示的な硬化剤および硬膜剤は、アミン、アルコール、フェノール、カルボン酸、酸無水物等を含む。例えば、フェノール系硬膜剤は、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂、ビフェニル変性フェノールアラルキル樹脂、ビスフェノール、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、テトラフェニロールエタン樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ナフトール-フェノール共縮合ノボラック樹脂(naphthol-phenol co-condensed novolac resins)、ナフトール-クレゾール共縮合ノボラック樹脂(naphthol-cresol co-condensed novolac resins)、アミノトリアジン変性フェノール樹脂、またはそれらの組合せを含む。無水物硬膜剤の例は、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸(MHHPA)、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、スチレン-無水マレイン酸コポリマー(SMA)およびオレフィン-無水マレイン酸コポリマー、例を挙げると、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、またはそれらの組合せを含む。他の硬化剤および硬膜剤は、ジシアンジアミド、ポリアミド、アミドアミン、フェナルカミン、マンニッヒ塩基、無水物、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、アミン-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、カルボン酸官能ポリエステル、ポリスルフィド、ポリメルカプタン、イソシアネート、シアン酸エステル化合物、またはそれらの任意の組合せ等の化合物を含む。他の例示的な硬化剤は、第三級アミン、ルイス酸、および不飽和を持つオリゴマーまたはポリマーを含む。
【0063】
硬化可能な熱硬化型組成物が硬化剤を含む場合、硬化剤は、硬化可能な熱硬化型組成物の総重量に基づき、0.01から50wt%、または0.1から30wt%、または0.1から20wt%の量で含まれうる。
【0064】
硬化可能な熱硬化型組成物は、硬化触媒を含みうる。本明細書で使用される場合、用語「硬化触媒」は、硬化加速剤、硬化促進剤、硬化触媒および硬化共触媒として様々に記述される化合物を含む。
【0065】
例示的な硬化加速剤は、1から4個の環ヘテロ原子を含む置換または非置換C3~6複素環等の複素環式加速剤を含み、各ヘテロ原子は、独立して、同じであるかまたは異なっており、窒素、酸素、リン、ケイ素または硫黄である。複素環式加速剤は、ベンゾトリアゾール;トリアジン;ピペラジン、例を挙げると、アミノエチルピペラジン、N-(3-アミノプロピル)ピペラジン等;イミダゾール、例を挙げると、1-メチルイミダゾール、2-メチルイミダゾール、3-メチルイミダゾール、4-メチルイミダゾール、5-メチルイミダゾール、1-エチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、3-エチルイミダゾール、4-エチルイミダゾール、5-エチルイミダゾール、1-n-プロピルイミダゾール、2-n-プロピルイミダゾール、1-イソプロピルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール、1-n-ブチルイミダゾール、2-n-ブチルイミダゾール、1-イソブチルイミダゾール、2-イソブチルイミダゾール、2-ウンデシル-1H-イミダゾール、2-ヘプタデシル-1H-イミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1,3-ジメチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-フェニルイミダゾール、2-フェニル-1H-イミダゾール、4-メチル-2-フェニル-1H-イミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニル-4,5-ジ(2-シアノエトキシ)メチルイミダゾール;環状アミジン、例を挙げると、4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、ジアザビシクロウンデセン、2-フェニルイミダゾリン等;N,N-ジメチルアミノピリジン;スルファミデート;またはそれらの組合せを含む。
【0066】
アミン硬化加速剤は、イソホロンジアミン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、1,2-および1,3-ジアミノプロパン、2,2-ジメチルプロピレンジアミン、1,4-ジアミノブタン、1,6-ジアミノヘキサン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,9-ジアミノノナン、1,12-ジアミノドデカン、4-アザヘプタメチレンジアミン、N,N’-ビス(3-アミノプロピル)ブタン-1,4-ジアミン、ジシアナミド、ジアミドジフェニルメタン、ジアミドジフェニルスルホン酸(アミン付加物)、4,4’-メチレンジアニリン、ジエチルトルエンジアミン、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、テトラエチレンペンタミン、3-ジエチルアミノプロピルアミン、3,3’-イミノビスプロピルアミン、2,4-ビス(p-アミノベンジル)アニリン、テトラエチレンペンタミン、3-ジエチルアミノプロピルアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,2-および1,3-ジアミノシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-3,6-ジエチルシクロヘキサン、1,2-ジアミノ-4-エチルシクロヘキサン、1,4-ジアミノ-3,6-ジエチルシクロヘキサン、1-シクロヘキシル-3,4-ジミノシクロヘキサン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’-ジアミノジシクロヘキシルプロパン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、3-アミノ-1-シクロヘキサンアミノプロパン、1,3-および1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、m-およびp-キシリレンジアミン、もしくはジエチルトルエンジアミン;または第三級アミン硬膜加速剤(hardening accelerator)、例を挙げると、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、α-メチルベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルアミノピリジン、N,N-ジメチルアミノエタノール、N,N-ジメチルアミノクレゾール、もしくはトリ(N,N-ジメチルアミノメチル)フェノール;またはそれらの組合せを含む。
【0067】
硬化加速剤は、例えば、ジアリールヨードニウム塩、ホスホン酸エステル、スルホン酸エステル、カルボン酸エステル、ホスホン酸イリド、トリアリールスルホニウム塩、ベンジルスルホニウム塩、アリールジアゾニウム塩、ベンジルピリジニウム塩、ベンジルアンモニウム塩、イソオキサゾリウム塩等、またはそれらの組合せを含む、潜在性カチオン硬化触媒でありうる。ジアリールヨードニウム塩は、構造[(R10)(R11)I]を有することができ、R10およびR11は、それぞれ独立して、C1~20アルキル、C1~20アルコキシ、ニトロおよびクロロから選択される1から4つまでの一価ラジカルで場合により置換されている、C6~14一価芳香族炭化水素ラジカルであり;X-は、アニオンである。追加の硬化加速剤は、構造[(R10)(R11)I]SbF を有することができ、R10およびR11は、それぞれ独立して、1から4つまでのC1~20アルキル、C1~20アルコキシ、ニトロまたはクロロで場合により置換されているC6~14一価芳香族炭化水素;例えば、4-オクチルオキシフェニル フェニル ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネートである。
【0068】
硬化加速剤は、酢酸塩、ステアリン酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩の銅(II)、スズ(II)およびアルミニウム(III)塩から選択される脂肪族または芳香族カルボン酸の銅(II)、アルミニウム(III)、亜鉛、コバルト、スズ塩、ならびにそれらの混合物等の金属塩錯体でありうる。例えば、硬化加速剤は、β-ジケトネートの銅(II)もしくはアルミニウム(III)塩;アセチルアセトネートの銅(II)、鉄(II)、鉄(III)、コバルト(II)、コバルト(III)もしくはアルミニウム(III)塩;オクトエートの亜鉛(II)、クロム(II)もしくはマンガン(II)塩;またはそれらの組合せでありうる。
【0069】
硬化可能な熱硬化型組成物が硬化触媒を含む場合、硬化触媒は、硬化可能な熱硬化型組成物の総重量に基づき、0.01から5wt%、または0.05から5wt%、または0.1から5wt%の量で含まれうる。
【0070】
硬化可能な熱硬化型組成物は、過酸化物化合物等の硬化開始剤を場合により含みうる。例示的な過酸化物硬化開始剤は、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミル、過酸化メチルエチルケトン、過酸化ラウリル、シクロヘキサノンペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、t-ブチルベンゼンヒドロペルオキシド、t-ブチルペルオクトエート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、t-ブチルペルオキシ2-エチルヘキシルカーボネート、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロペルオキシド、ブチル-4,4-ビス(tert-ブチルジオキシ)吉草酸塩、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)-ヘキサ-3-イン、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルクミルペルオキシド、α,α’-ビス(t-ブチルペルオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、過酸化ジクミル、ジ(t-ブチルペルオキシ)イソフタレート、t-ブチルペルオキシベンゾエート、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルペルオキシ)オクタン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(過酸化ベンゾイル)ヘキサン、1,1-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ジ(トリメチルシリル)ペルオキシド、トリメチルシリルフェニルトリフェニルシリルペルオキシド等、またはそれらの組合せを含みうる。
【0071】
硬化可能な熱硬化型組成物が硬化開始剤を含む場合、硬化開始剤は、硬化可能な熱硬化型組成物の総重量に基づき、0.1から5wt%、または0.5から5wt%、または1から5wt%の量で含まれうる。
【0072】
難燃剤は、例えば、リン、臭素または塩素を含む、有機化合物を含む。非臭素化および非塩素化リン含有難燃剤、例えばリン-窒素結合を含有する有機リン酸塩および有機化合物は、規制上の理由によりある特定の用途において好ましいことがある。
【0073】
リン難燃剤の例は、リン酸塩、ホスファゼン、亜リン酸エステル、ホスフィン、ホスフィン酸塩、ポリリン酸塩およびホスホニウム塩を含む。
【0074】
ハロゲン化材料、例えば、ハロゲン化ビスフェノール、ハロゲン化芳香族、オリゴマーのおよびポリマーのハロゲン化芳香族化合物、またはビスフェノールAおよびテトラブロモビスフェノールAのコポリカーボネート、およびカーボネート前駆体、例えばホスゲンも、難燃剤として使用されうる。金属共力剤、例えば酸化アンチモンも、難燃剤とともに使用されうる。
【0075】
無機難燃剤、例えば、例を挙げると、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム(ライマー(Rimar)塩)、パーフルオロオクタンスルホン酸カリウム、パーフルオロヘキサンスルホン酸テトラエチルアンモニウムおよびジフェニルスルホンスルホン酸カリウム等のC1~16アルキルスルホン酸塩の塩;NaCO、KCO、MgCO、CaCOおよびBaCO等の塩、またはLiAlF、BaSiF、KBF、KAlF、KAlF、KSiFもしくはNaAlF等のフルオロ-アニオン錯体も、使用されうる。
【0076】
硬化可能な熱硬化型組成物が難燃剤を含む場合、難燃剤は、硬化可能な熱硬化型組成物の総重量に基づき、1wt%より大きい、または1から20wt%、または5から15wt%の量で含まれうる。
【0077】
硬化可能な熱硬化型組成物は、無機または有機フィラー、例を挙げると、粒子状フィラー、繊維状フィラー等、またはそれらの組合せをさらに含みうる。限定されないが、当技術分野において公知であるものを含む任意の無機および有機フィラーが使用されうる。
【0078】
例示的なフィラーは、例えば、粘土、タルク、カオリン、珪灰石、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム;アルミナ、チオ尿素、ガラス粉末、BまたはSnベースのフィラー、例を挙げると、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛およびヒドロキシスズ酸亜鉛;金属酸化物、例を挙げると、酸化亜鉛および酸化スズ、アルミナ、シリカ(溶融シリカ、ヒュームドシリカ、球状シリカおよび結晶質シリカを含む)、窒化ホウ素(球状窒化ホウ素を含む)、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、マグネシア、ケイ酸マグネシウム、三酸化アンチモン、ガラス繊維(チョップド、ミルドまたはクロス)、ガラスマット、小さなガラス球、中空ガラス微小球、アラミド繊維、石英等、またはそれらの組合せを含む。他の例示的な無機フィラーは、粉末チタンセラミック、例を挙げると、バリウム、鉛、ストロンチウム、カルシウム、ビスマス、マグネシウム等のチタン酸塩のいずれか1つを含む。無機フィラーは、水和物、例を挙げると、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、ゼオライトおよびハイドロタルサイトも含む。一部の態様では、フィラーは、本明細書で開示される通りのカップリング剤で処理されうる。
【0079】
ガラス繊維は、E、A、C、ECR、R、S、DおよびNEガラス、ならびに石英をベースとするものを含む。ガラス繊維は、2から30マイクロメートル(μm)、または5から25μm、または5から15μmまで等の任意の好適な直径を有することができる。化合物化前のガラス繊維の長さは、限定されず、2から7ミリメートル(mm)、または1.5から5mmでありうる。代替的に、より長いガラス繊維または連続したガラス繊維が使用されうる。好適なガラス繊維は、Owens Corning、日本電気硝子株式会社、PPGおよびJohns Manville等の供給業者から市販されている。
【0080】
有機フィラーは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン粉末、ポリフェニレンスルフィド粉末、およびポリ(エーテルスルホン)粉末、ポリ(フェニレンエーテル)粉末、ポリスチレン、ジビニルベンゼン樹脂等、またはそれらの組合せでありうる。
【0081】
フィラーは、熱膨張係数(CTE)および熱伝導性の要件に基づいて選択されうる。例えば、Al、BN、AlN、またはそれらの組合せは、高い熱伝導性を持つ電子モジュールに使用されうる。例えば、MgOは、熱伝導性の増大およびCTEの増大のために使用されうる。例えば、SiO(例えば、非晶質SiO)は、低いCTEおよび小さい誘電率を有する軽量モジュールに使用される。
【0082】
硬化可能な熱硬化型組成物がフィラーを含む場合、フィラーは、硬化可能な熱硬化型組成物の総重量に基づき、1wt%より大きい、または1から50wt%、または1から30wt%、または10から30wt%の量で含まれうる。
【0083】
接着促進剤とも称されるカップリング剤は、クロム錯体、シラン、チタン酸塩、ジルコアルミネート(zircon-aluminates)、オレフィン-無水マレイン酸コポリマー、反応性セルロースエステル等を含む。例示的なオレフィン-無水マレイン酸コポリマーは、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、またはそれらの組合せを含みうる。例示的なシランは、エポキシシラン化合物、アミノシラン化合物、メタクリロキシシラン化合物、ビニルシラン化合物、またはそれらの組合せを含みうる。
【0084】
硬化可能な熱硬化型組成物がカップリング剤を含む場合、カップリング剤は、硬化可能な熱硬化型組成物の総重量に基づき、0.01から5wt%、または0.05から5wt%、または0.1から5wt%の量で含まれうる。
【0085】
硬化可能な熱硬化型組成物は、溶媒を場合により含みうる。溶媒は、例えば、C3~8ケトン、C3~8N,N-ジアルキルアミド、C4~16ジアルキルエーテル、C6~12芳香族炭化水素、C1~3塩素化炭化水素、C3~6アルカン酸アルキル、C2~6シアン化アルキル、またはそれらの組合せであってもよい。
【0086】
溶媒が利用される場合、硬化可能な熱硬化型組成物は、硬化可能な熱硬化型組成物の重量合計に基づき、2から99wt%の溶媒を含みうる。例えば、溶媒量は、硬化可能な熱硬化型組成物の重量合計に基づき、5から80wt%、または10から70wt%、または20から60wt%でありうる。溶媒は、1つには、硬化可能な熱硬化型組成物の粘度を調整するために選択されうる。
【0087】
硬化可能な熱硬化型組成物は、硬化可能な不飽和モノマー組成物をさらに含むことができ、これは、例えば、単官能スチレン系化合物(例えば、スチレン)、単官能(メタ)アクリル化合物等、またはそれらの組合せを含みうる。例えば、硬化可能な不飽和モノマー組成物は、アルケン含有モノマーまたはアルキン含有モノマーでありうる。例示的なアルケンおよびアルキン含有モノマーは、Yeagerらの米国特許第6,627,704号において記述されているものを含み、Heilmanらの米国特許第4,304,705号において開示されている通りの(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドンおよびビニルアザラクトンを含む。例示的な単官能モノマーは、モノ(メタ)アクリレート、例を挙げると、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル等、またはそれらの組合せを含む。
【0088】
硬化可能な熱硬化型組成物は、場合により、1つ以上の追加の添加剤をさらに含みうる。追加の添加剤は、例えば、染料、顔料、着色剤、抗酸化剤、熱安定剤、光安定剤、可塑剤、消泡剤、滑沢剤、分散剤、流動性改良剤、防滴剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、流動促進剤、加工助剤、基板接着剤、離型剤、強化剤、低収縮添加剤、応力緩和添加剤等、またはそれらの組合せを含む。存在する場合、追加の添加剤は、任意の有効な量で、例えば、硬化可能な熱硬化型組成物の総重量に基づき、0.01から20wt%、または0.01から10wt%、または0.01から5wt%、または0.01から1wt%の量で含まれうる。
【0089】
硬化可能な熱硬化型組成物は、任意の好適な方法を使用して、キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーおよび本明細書で開示される他の任意選択の成分を組み合わせることによって調製されうる。
【0090】
硬化可能な熱硬化型組成物の硬化した生成物を含む、硬化した熱硬化型組成物も提供される。硬化可能な熱硬化型組成物を硬化しうる方法に対して特定の制限はない。硬化可能な組成物は、例えば、熱的にまたはUV照射もしくは電子ビーム照射を含む照射技術を使用することによって硬化されうる。例えば、硬化した生成物は、本明細書で定義されている硬化可能な熱硬化型組成物を、溶媒を蒸発させ、硬化を達成するために十分な時間および温度で加熱することによって取得されうる。加熱硬化が使用される場合、温度は、30から400℃、または50から250℃、または100から250℃でありうる。加熱は、1分間から24時間、または1分間から6時間、または3時間から5時間にわたるものでありうる。硬化は、部分的に硬化したおよび多くの場合タックフリー樹脂を生成し、次いでこれを、より長期間にわたってまたは先述の範囲内の温度で加熱することによって完全に硬化するように、段階分けされうる。本明細書で使用される場合、用語「硬化した」は、部分的に硬化したまたは完全に硬化した生成物を包括する。
【0091】
硬化した熱硬化型組成物は、1つ以上の望ましい特性、例を挙げると、改善された散逸率、平衡吸水率等、またはそれらの組合せを実現することができる。
【0092】
開示されている硬化可能な熱硬化型組成物および硬化した組成物は、従来の熱硬化型組成物が使用されるあらゆる用途を含む様々な用途および使用において使用されうる。例えば、硬化可能な熱硬化型組成物または硬化した熱硬化型組成物を含む有用な物品は、複合材、発泡体、繊維、層、コーティング、カプセル材、接着剤、封止剤、鋳造構成部品、プリプレグ、ケーシング、積層板、メタルクラッド積層板、電子複合材、構造用複合材、またはそれらの組合せの形態でありうる。例示的な使用および用途は、保護コーティング、封止剤、耐候性コーティング、傷防止コーティングおよび電気絶縁コーティング等のコーティング;接着剤;バインダー;膠;炭素繊維およびガラス繊維強化材を使用するもの等の複合材料を含む。コーティングとして利用される場合、開示されている化合物および組成物は、様々な下地基板の表面上に堆積しうる。例えば、組成物は、金属、プラスチック、ガラス、繊維サイジング、セラミック、石材、木材、またはそれらの任意の組合せの表面上に堆積しうる。開示されている組成物は、塗装および表面被覆産業において梱包および格納に一般的に使用されるもの等の金属容器(例えば、アルミニウムまたは鋼)の表面上にコーティングとして使用されうる。硬化可能な熱硬化型組成物およびそれに由来する硬化した熱硬化型組成物は、電気構成部品およびコンピューター構成部品を形成する際に使用するためにも特によく適している場合がある。
【0093】
複合材を形成する方法は、補強構造に硬化可能な熱硬化型組成物を含侵すること;硬化可能な熱硬化型組成物を部分的に硬化させてプリプレグを形成すること;および複数のプリプレグを積層させることを含みうる。補強構造は、多孔質基材、例を挙げると、繊維プリフォームもしくは基板、またはセラミック、ポリマー、ガラス、炭素を含む他の多孔質材料、またはそれらの組合せでありうる。例えば、多孔質基材は、ガラス織布もしくは不織布、ガラス繊維布、または炭素繊維でありうる。物品が繊維プリフォームを含む場合、物品を製造する方法は、プリフォームに硬化可能な組成物をコーティングするまたは含侵することによって、硬化可能な熱硬化型組成物から物品を形成することを含みうる。含浸した繊維プリフォームは、場合により、溶媒を除去する前または後に形作られうる。一部の態様では、硬化可能な熱硬化型組成物層は、ガラス織布または不織布をさらに含みうる。例えば、硬化可能な層は、ガラス布に硬化可能な組成物を含侵し、含浸したガラス布から溶媒を除去することによって調製されうる。例示的な補強構造は、例えば、Anonymous(Hexcel Corporation),“Prepreg Technology”,March 2005,Publication No.FGU 017b;Anonymous(Hexcel Corporation),“Advanced Fibre Reinforced Matrix Products for Direct Processes”,June 2005,Publication No.ITA 272;およびボブ・グリフィス(Bob Griffiths),“Farnborough Airshow Report 2006”,CompositesWorld.com,September 2006において記述されている。補強構造の重量および厚さは、繊維強化樹脂複合材の生成における当業者に周知の基準を使用し、複合材の意図される使用に従って選択される。強化構造は、硬化可能な熱硬化型組成物の熱硬化型成分に好適である種々の仕上げ剤を含有することができる。
【0094】
硬化可能な熱硬化型組成物から物品を製造する方法は、硬化可能な熱硬化型組成物を部分的に硬化させてプリプレグを形成すること、または硬化可能な熱硬化型組成物を完全に硬化させて複合材物品を形成することを含みうる。「硬化した組成物」の特性への本明細書における言及は、実質的に完全に硬化している組成物を指す。例えば、プリプレグから形成された積層板中の樹脂は、典型的には、実質的に完全に硬化している。熱硬化技術分野の当業者ならば、試料が必要以上の実験をすることなく部分的に硬化するかまたは実質的に完全に硬化するかを決定することができる。硬化は、硬化可能な組成物から溶媒を除去する前であっても後であってもよい。加えて、物品は、溶媒の除去前もしくは溶媒の除去後に、硬化前に、部分的硬化後に、または完全硬化後に、例えば熱成形によってさらに形作られうる。ある態様では、物品が形成され、溶媒が除去される;物品が部分的に硬化する(B段階);場合により形作られる;次いでさらに硬化する。
【0095】
複合材を形成する商業規模の方法は当技術分野において公知であり、本明細書において記述される硬化可能な熱硬化型組成物は、既存のプロセスおよび機器に容易に適応可能である。例えば、プリプレグは、多くの場合、トリータ(treater)で生成される。トリータの主要な構成部品は、フィーダーローラー、樹脂含浸タンク、トリータオーブン(treater oven)およびレシーバーローラーを含む。補強構造(例えば、Eガラス)は、通常、大型スプールに巻き取られる。次いで、スプールがフィーダーローラー上に置かれ、これが回転して、補強構造をゆっくりと圧延する。次いで、補強構造は、硬化可能な熱硬化型組成物を含有する樹脂含浸タンクを通って移動する。硬化可能な組成物が補強構造に含浸する。タンクから浮上した後、コーティングされた補強構造は、典型的には175から200℃の温度である縦型のトリータオーブンを通って上方へ移動し、溶媒が蒸発し、樹脂は重合し始める。複合材が塔から出てくる際、ウェブが湿っても粘ついてもいないように十分に硬化している。しかしながら、硬化プロセスは、積層板が作製された際に追加の硬化が起こりうるように完成手前で停止される。次いで、ウェブはプリプレグをレシーバーロールに巻き付ける。
【0096】
硬化可能な熱硬化型組成物を含むまたはそれに由来する電気および電子物品も提供される。物品は、医療または航空宇宙産業において使用されるようなプリント回路を含むものを含む。また他の物品は、アンテナおよび類似物品を含む。プリント回路基板等の物品は、例えば、照明、太陽エネルギー、ディスプレイ、カメラ、オーディオおよびビデオ機器、パーソナルコンピューター、携帯電話、電子メモ帳、ならびに同様のデバイス、またはオフィスオートメーション機器において使用される。例えば、電気部品を、積層板を含むプリント回路基板に載置することができる。種々の用途のために硬化可能な組成物から調製された他の例示的な物品は、銅クラッド積層板(CCL)、例えば、メタルコア銅クラッド積層板(MCCCL)、複合材物品、およびコーティングされた物品、例えば多層物品を含みうる。
【0097】
誘電体層は硬化可能な熱硬化型組成物から調製することができ、回路アセンブリ、例えば、銅クラッド積層板等のメタルクラッド積層板において有用となりうる。例えば、積層板は、誘電体層、誘電体層上に配置された伝導性金属回路層、および場合により、伝導性金属層の反対側の誘電体層上に配置された熱を放散する金属マトリックス層を含みうる。誘電体層は、繊維プリフォーム(例えば、布層)を場合により含みうる。例えば、誘電体層は、ガラス布層をさらに含みうる。
【0098】
伝導性金属層は、回路の形態であることができ、銅、亜鉛、スズ、真鍮、クロム、モリブデン、ニッケル、コバルト、アルミニウム、ステンレス鋼、鉄、金、銀、白金、チタン等、またはそれらの組合せでありうる。他の金属は、銅モリブデン合金、Carpenter Technology Corporationから入手可能なKOVAR等のニッケルコバルト鉄合金、National Electronic Alloys,Inc.から入手可能なINVAR等のニッケル鉄合金、バイメタル、トリメタル、2層の銅および1層のINVARに由来するトリメタル、ならびに2層の銅および1層のモリブデンに由来するトリメタルを含む。例示的な金属層は、銅または銅合金を含む。代替的に、圧延銅箔が使用されうる。伝導性金属層は、2から200マイクロメートル(μm)、または5から50μm、または5から40μmの厚さを有することができる。
【0099】
熱を放散する金属マトリックス層は、熱伝導性金属、例を挙げると、アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、銅、鉄、鋼等、またはそれらの組合せでありうる。金属が金属回路層から電気的に絶縁されているという条件で、熱伝導性、導電性金属が使用されうる。好ましい支持金属マトリックス層は、0.1から20ミリメートル(mm)、または0.5から10mm、または0.8から2mmの厚さを有することができる。
【0100】
伝導性金属層および支持金属マトリックス層は、誘電体層への接着増強のために高い表面粗さを有するように前処理されうる。処理方法は、例えば金属層の接着を増強するために、洗浄、火炎処理、プラズマ放電、コロナ放電等を含む。誘電体層は、接着剤を使用することなく伝導性金属層もしくは放熱層(heat dissipation layer)と堅固に接着することができるか、または接着剤を使用して、伝導性金属層もしくは放熱層への誘電体層の接着を改善することができる。複合材シートを金属に接合するために使用される例示的な接着剤は、ポリイミド接着剤、アクリル接着剤、エポキシ等、またはそれらの組合せを含む。
【0101】
銅クラッド積層板は、圧力下での1つ以上の誘電体層、1つ以上の伝導性金属層および支持金属マトリックス層の熱積層により、熱硬化型接着剤を使用せずに作製されうる。誘電体層は、硬化可能な熱硬化型組成物から調製することができ、熱積層ステップの前に、溶媒キャスティングプロセスによって調製されて層を形成することができる。例えば、誘電体層、伝導性金属層および熱放散層は、圧力下での接着剤不使用プロセスによって一緒に熱的に積層されて、積層板を形成することができる。導電性金属層は、場合により、積層化前の回路の形態でありうるか、または伝導性金属層は、場合により、積層後にエッチングされて電気回路を形成することができる。積層化は、ホットプレスまたはロールカレンダリング法、例えば、ロールツーロール法によるものでありうる。銅クラッド積層板中の伝導性金属層をさらにパターン化して、プリント回路基板を得ることができる。さらに、銅クラッド積層板を形作って、シート、チューブまたは棒の形状を有する回路基板を得ることができる。
【0102】
代替的に、回路アセンブリ用の積層板は、硬化可能な熱硬化型組成物を導電性金属層に直接キャスティングし、続いて、熱を放散する金属マトリックス層への積層を行う、溶液キャスティング法によって作製されうる。例えば、硬化可能な熱硬化型組成物は、熱を放散する金属マトリックス層に直接キャストされ、続いて、導電性金属層への積層が行われうる。
【0103】
追加の層を含む多層積層板も、ホットプレスまたはロールカレンダリング法のようなプロセスによる1つのステップまたは2つ以上の連続的なステップでの熱積層によって作製されうる。例えば、積層板中には、7層以下、または16層以下が存在しうる。ある態様では、積層板は、1つのステップまたは2つ以上の連続的なステップで、布-熱硬化物(thermoset)-金属-熱硬化物-布-熱硬化物-金属箔の逐次層またはより少ない層を持つそのサブ組合せを持ち、積層板が金属箔のいずれかの層と布のいずれかの層との間に熱硬化型フィルムの層を含むように形成されうる。別の態様では、第1の積層板は、1つのステップまたは2つ以上の連続的なステップで、2層の熱硬化物の間に布の層、例を挙げると、2層の熱硬化物の間にガラス織布の層を持って形成されうる。次いで、第1の積層板の熱硬化物側に金属箔を積層することにより、第2の積層板が調製されうる。
【0104】
硬化可能な熱硬化型組成物は、例えば多層物品の調製において、コーティングとして使用されうる。コーティングを製造する方法は、硬化可能な熱硬化型組成物および場合によりフッ素ポリマーを合わせること、ならびに基板上にコーティングを形成することを含みうる。例えば、多層物品は、硬化可能な熱硬化型組成物を含む層を形成すること、層から溶媒を除去し、場合により硬化させて下塗層を得ること、セラミック(例えば、Al、TiO、ZrO、Cr、SiO、MgO、BeO、Y、Al-SiO、MgO-ZrO、SiC、WC、BC、TiC、Si、TiN、BN、AlN、TiB、ZrB等)、熱可塑性ポリマー、フッ素ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレンコポリマー、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン-エチレンコポリマー、ポリフッ化ビニリデン等)、またはそれらの組合せを含む第2の層を下塗層上に形成して多層物品を得ること、および場合により多層物品を熱的に処理して硬化可能な熱硬化型組成物を硬化させることによって、製造されうる。一部の態様では、第2の層は、硬化可能な熱硬化型組成物をさらに含みうる。
【0105】
硬化可能な熱硬化型組成物の追加の用途は、例えば、酸浴容器;中和タンク;航空機構成部品;橋桁;橋の床板;電解槽;排気筒;気体洗浄装置;運動用具;階段;歩道;フードおよびトランクの蓋等の自動車用外板パネル;フロアパン;空気取り入れ口;ヒーターダクトを含むパイプおよびダクト;工業用ファン、ファンハウジングおよび送風機;工業用ミキサー;船体および甲板;海上ターミナル用フェンダー;タイルおよびコーティング;建築パネル;事務機ハウジング;ケーブルトレイを含むトレイ;コンクリート改質剤;食器洗い機および冷蔵庫の部品;電気カプセル材;電気パネル;電解精製タンク、軟水器タンク、燃料タンクおよび種々のフィラメント巻きタンクを含むタンクならびにタンクライニング;家具;ガレージのドア;格子;保護ボディギア;旅行かばん;屋外用自動車;圧力タンク;光導波路;レドーム;手すり;タンク車等の鉄道部品;ホッパー車のカバー;車のドア;トラックの荷台ライナー;衛星放送受信アンテナ;看板;太陽エネルギーパネル;電話交換機ハウジング;トラクター部品;変圧器カバー;フェンダー、フード、車体、運転台および寝台等のトラック部品;接地面絶縁体、ターン絶縁体および相分離絶縁体を含む回転機用の絶縁体;整流子;心線絶縁体およびコードならびにレーシングテープ;ドライブシャフトカップリング;プロペラブレード;ミサイル構成部品;ロケットモーターケース;翼セクション;吸盤ロッド;胴体セクション;翼外皮およびフレアリング;エンジンナセル;貨物ドア;テニスラケット;ゴルフクラブシャフト;釣り竿;スキー板およびスキーストック;自転車部品;横向き板バネ;自動車用スモッグポンプ等のポンプ;電力ケーブル接続部等の電気構成部品、埋め込みおよびツーリング;ワイヤー巻線および高密度に充填された多素子アセンブリ;電気機械装置の封止;電池ケース;抵抗器;ヒューズおよび熱カットオフデバイス;プリント配線板用のコーティング;蓄電器、変圧器、クランクケースヒーター等のキャスティングアイテム;コイル、蓄電器、抵抗器および半導体を含む小型成型電子部品;化学加工、パルプおよび紙、発電ならびに廃水処理における鋼の置きかえとして;気体洗浄塔;構造部材、格子および安全レールを含む構造用途のための引抜成形部品;水泳用プール、水泳用プールの滑り台、温水浴槽およびサウナ;フード下用途のための駆動軸;複写機用乾式トナー樹脂;海上ツーリングおよび複合材;熱シールド;潜水艦の船体;プロトタイプ生成;実験モデルの開発;積層トリム;穴あけ治具;接合ジグ;検査治具;工業用金属成形金型;航空機用ストレッチブロックおよびハンマー型枠;真空造型ツール;生成および組立エリア、クリーンルーム、機械工場、制御室、研究室、駐車場、冷凍庫、クーラーならびに屋外荷積みドック用の床材を含む床材;帯電防止用途のための導電性組成物;装飾床材のため;橋用の伸縮継手;構造用コンクリートにおけるひび割れの修繕および修理用の注入可能なモルタル;タイルのグラウト注入;機械レール;金属ダボ;ボルトおよび支柱;油および燃料の貯蔵タンクの修理、ならびに多数の他の用途を含む。
【0106】
物品および材料を調製するために有用なプロセスは、熱硬化型樹脂の加工のために当技術分野において一般的に公知であるものを含む。そのようなプロセスは、例えば、Engineered Materials Handbook,Volume 1,Composites,ASM International Metals Park,Ohio,copyright 1987シリル・エー・ドスタル(Cyril A.Dostal)Senior Ed,pp.105-168 and 497-533、および“Polyesters and Their Applications”by Bjorksten Research Laboratories,ヨハン・ビヨルクステン(Johan Bjorksten)(pres.)ヘンリー・トービー(Henry Tovey)(Ch.Lit.Ass.),ベティ・ハーカー(Betty Harker)(Ad.Ass.),ジェームズ・ヘニング(James Henning)(Ad.Ass.),Reinhold Publishing Corporation,New York,1956のような文献において記述されている。加工技術は、樹脂トランスファー成形;シート成形;バルク成形;引抜;反応射出成形(RIM)を含む射出成形;大気圧成形(APM);遠心および静的キャスティング、開放鋳型によるキャスティングを含むキャスティング;湿式または乾式レイアップおよびスプレーレイアップを含む積層を含み;円筒接触成形を含む接触成形;圧縮成形;真空補助樹脂トランスファー成形および化学的に補助された樹脂トランスファー成形を含む;適合ツール成形;オートクレーブ硬化;空気中での熱硬化;真空バギング;引抜;ゼーマンの複合材樹脂注入成形加工(Seeman’s Composite Resin Infusion Manufacturing Processing)(SCRIMP);開放成形、樹脂およびガラスの連続した組合せ;ならびに円筒状フィラメント巻線を含むフィラメント巻線も含まれる。例えば、物品は、樹脂トランスファー成形プロセスによって調製されうる。
【0107】
ある態様では、硬化可能な熱硬化型組成物に由来する物品であって、複合材、発泡体、繊維、層、コーティング、カプセル材、接着剤、封止剤、鋳造構成部品、プリプレグ、ケーシング、キャスト物品、積層板、またはそれらの組合せであるか;あるいは、物品は、メタルクラッド積層板、電子複合材、構造用複合材、またはそれらの組合せである、物品が提供される。物品は、本明細書で開示される通り、例えば、キャスティングすること、成形すること、押出すること等、および形成された物品から溶媒を除去することによって製造されうる。一部の態様では、物品は層であることができ、硬化可能な組成物を基板上にキャスティングして、キャスト層を形成することによって形成されうる。溶媒は、キャスト層を加熱すること、キャスト層を熱および圧力下で加熱することによって、例えば、キャスト層を別の基板に積層することによってを含む、任意の数の手段によって除去されうる。一部の態様では、上述した方法によって調製される物品は、接着剤、包装材料、蓄電器フィルムまたは回路基板層を含みうる。一部の態様では、硬化可能な組成物から調製される物品は、誘電体層、または基板上に配置されたコーティング、例えばワイヤーもしくはケーブルコーティングでありうる。例えば、物品は、例えば照明または通信用途で使用される、回路材料中、例えばプリント回路基板中の誘電体層でありうる。硬化可能な組成物から調製される他の例示的な物品は、1つ以上の塗装層でありうる。硬化可能な組成物を使用して、他の硬化可能な熱硬化型組成物について本明細書で開示される通りの物品を調製することができる。
【実施例
【0108】
実施例において使用した成分を、表1にまとめる。
【0109】
【表1】
【0110】
重量平均分子量(M)は、ポリスチレン標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定した。数平均分子量(M)は、600メガヘルツ(MHz)の周波数でのプロトン核磁気共鳴(H-NMR)分光法によっておよびポリスチレン標準を使用するGPCによって測定した。平均的な機能性の程度は、600MHzの周波数でのH-NMR分光法によって決定した。ガラス転移温度(T)は、示差走査熱量測定(DSC)によって、25から300℃、20℃/分の加熱速度で測定した。溶液粘度は、MEKまたはトルエンのいずれか中のオリゴマーの50wt%溶液を使用し、25℃(ブルックフィールド粘度計;スピンドル00)で測定した。粘度測定は、窒素下、1mmのターゲットギャップ付きの25mmの平行平板を使用して行った。発振温度ランピングは、80℃の開始温度および3℃/分の加熱ランプ速度を用い、1%の一定ひずみおよび10Rad/sの角周波数で使用した。ゲル化時間は、窒素下、1mmのターゲットギャップ付きの25mmの平行平板を使用して測定した。発振温度ランピングは、80℃の開始温度および5℃/分の加熱ランプ速度を用い、30%の一定ひずみおよび10Rad/sの角周波数で使用した。誘電測定は、スプリットポスト共振器、SPDRおよび治具が装備されたAgilent Technologies E5071Cネットワーク分析器を使用して実施した。Hewlett Packard 16453A平行平板治具が装備されたKeysight E4991Bインピーダンス分析器を、100MHzから10GHzにおけるDkおよびDf測定に使用する。
【0111】
<実施例1>
[ポリエーテルオリゴマー(BPI-DCX)の合成]
BPI(62グラム(g))、DCX(31.6g)、水(150g)、トルエン(300g)、MTBA溶液(4g)および水酸化ナトリウムの40%w/w水溶液(21.2g)を、三つ口モートンフラスコに投入した。モートンフラスコに、メカニカルオーバーヘッドスターラー(300~350rpm)、窒素パッドおよび熱電対を装備した。IR THERMO-O-WATCHコントローラーを介して反応温度を70℃に設定し、この温度を16時間にわたって維持した。所望のMwが(GPC分析を介して)実現された後、フラスコの内容物を分液漏斗に移し、希HCl水溶液(0.1モル濃度(M))で洗浄し、続いて、脱イオン水で3回洗浄した。生成物は、5倍の過剰体積のメタノールと混合した有機層からの沈殿によって取得された。オリゴマーを真空濾過によって収集し、減圧下で乾燥させた。
【0112】
<実施例2>
[ポリエーテルオリゴマー(BPI-DCX-THPE)の合成]
BPI(29.45g)、THPE(3.06g)、DCX(15.8g)、水(75g)、トルエン(150g)、MTBA溶液(4g)および水酸化ナトリウムの40%w/w水溶液(18.3g)を、三つ口モートンフラスコに投入した。モートンフラスコに、メカニカルオーバーヘッドスターラー(300~350rpm)、窒素パッドおよび熱電対を装備した。IR THERMO-O-WATCHコントローラーを使用して反応温度を70℃に設定し、この温度を16時間にわたって維持した。所望のMwが(GPC分析を介して)実現された後、フラスコの内容物を分液漏斗に注ぎ入れ、希HCl水溶液(0.1M)で洗浄し、続いて、脱イオン水で3回洗浄した。生成物は、5倍の過剰体積のメタノールと混合した有機層からの沈殿によって取得された。オリゴマーを真空濾過によって収集し、減圧下で乾燥させた。
【0113】
<実施例3>
[ポリエーテルオリゴマー(TBBP-DCX)の合成]
TBBPA(108.8g)、DCX(28g)、水(150g)、トルエン(300g)、MTBA溶液(12g)および水酸化ナトリウムの40%w/w水溶液(36g)を、三つ口モートンフラスコに投入した。モートンフラスコに、メカニカルオーバーヘッドスターラー(300~350rpm)、窒素パッドおよび熱電対を装備した。IR THERMO-O-WATCHコントローラーを使用して反応温度を70℃に設定し、この温度を16時間にわたって維持した。所望のMwが(GPC分析を介して)実現された後、フラスコの内容物を分液漏斗に注ぎ入れ、希HCl水溶液(0.1M)で洗浄し、続いて、脱イオン水で3回洗浄した。生成物は、5倍の過剰体積のメタノールと混合した有機層からの沈殿によって取得された。オリゴマーを真空濾過によって収集し、減圧下で乾燥させた。
【0114】
<実施例4>
[スチレンキャップドポリエーテルオリゴマー(BPI-DCX-2VB)の合成]
トルエン(70g)およびBPI-DCXオリゴマー(35g)を、250mLのガラス反応器に投入した。BPI-DCXオリゴマーの溶解後、VBC(6.35g)を反応器に15分間かけて添加した。次いで、得られた混合物にアドゲン(0.135g)を添加した。反応温度を75℃に増大させ、水酸化ナトリウムの50%w/w水溶液を20分間かけて滴下添加した。次いで、温度を追加で4時間にわたって維持した。室温に冷却した後、反応内容物を抽出漏斗に移し、0.1N HCl水溶液で中和し、中性pHが取得されるまで脱イオン水で洗浄した。次いで、有機相を分離し、メタノール中への沈殿によって、生成物が取得された。得られた生成物をメタノールで洗浄し、真空下で48時間にわたって乾燥させた。
【0115】
<実施例5>
[スチレンキャップドポリエーテルオリゴマー(BPI-DCX-THPE-3VB)の合成]
トルエン(60g)およびBPI-DCXオリゴマー(30g)を、250mLのガラス反応器に投入した。BPI-DCXオリゴマーの溶解後、VBC(1.07g)を反応器に15分間かけて添加した。次いで、得られた混合物にアドゲン(0.02g)を添加した。反応温度を75℃に増大させ、水酸化ナトリウムの50%w/w水溶液を20分間かけて滴下添加した。次いで、温度を追加で4時間にわたって維持した。室温に冷却した後、反応内容物を抽出漏斗に移し、0.1N HCl水溶液で中和し、中性pHが取得されるまで脱イオン水で洗浄した。次いで、有機相を分離し、メタノール中への沈殿によって、生成物が取得された。得られた生成物をメタノールで洗浄し、真空下で48時間にわたって乾燥させた。
【0116】
<実施例6>
[メタクリレートキャップドポリエーテルオリゴマー(BPI-DCX-2MA)の合成]
BPI-DCXオリゴマー(65g)およびトルエン(104g)を、加熱マントル、ディーンスタークコンデンサー、かき混ぜ機および熱電対が装備された250mLの三つ口丸底フラスコに投入した。共沸蒸留を120℃で実施して、水の除去を確実にした。水の除去後、反応混合物を85℃に冷却し、DMAP(0.65グラム)をそれに添加した。DMAPの完全溶解後、MAA(7.9グラム)を得られた混合物に添加漏斗を使用して15分間かけてゆっくりと添加した。次いで、穏やかな還流を確立するために反応温度を110℃に増大させた。4時間にわたって撹拌しながら反応温度を維持し、次いで、室温に冷却させた。メタノール中への沈殿によって、BPA-DIPB-2MA生成物が単離された。生成物を、真空下、110℃で16時間にわたってさらに乾燥させた。
【0117】
キャスティングの調製および評価。表2に示されている成分をクロロホルムに溶解し分散させることによって、硬化可能な組成物を調製した。クロロホルムを、乾燥粉末が取得されるまで、減圧および窒素下で除去した。取得した乾燥粉末を化学レオロジーに使用し、性能評価のためにキャスティング中にさらに硬化させた。キャスティングの調製は次の通りである:組成物をゲル化時間まで部分的に硬化させた。部分的に硬化した組成物を直径40mmの金型に移し、金型を熱金型プレス下に置いた。圧力(1トン)下で温度を150℃に傾斜させることによって、試料を硬化させた。その温度に到達したら、試料を70℃に冷却し、金型を真空オーブンに移し、そこで試料を、真空下、200℃で120分間にわたって硬化させた。
【0118】
表2は、実施例4および実施例6の配合および特性を示す。特性は、ゲル化時間(秒、s)、粘度(パスカル秒、Pa s)、誘電率(Dk)、散逸率(Df)およびガラス転移温度(T、℃)である。
【0119】
【表2】
【0120】
結果は、実施例4および6が、散逸率、誘電率、粘度、ゲル化時間、およびTを含む特性の有益な組合せを同時発生的に実現できることを実証している。したがって、硬化可能な熱硬化型組成物は、電子材料において使用される樹脂に望ましい性能属性を提供することができる。
【0121】
態様1:反応性末端基を含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、ビスフェノールモノマー;ベンジル系ジハロゲン化物、第三級シクロアルキルジハロゲン化物、またはそれらの組合せ;および場合により分岐剤に由来する繰り返し単位をさらに含み;ビスフェノールモノマーが、式
【化28】

【化29】

【化30】

【化31】

【化32】

【化33】

または
【化34】

[式中、R、RおよびR14は、それぞれ独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;R15は、水素、C1~6アルキル、または置換もしくは非置換フェニルであり;R20およびR21は、それぞれ独立して、C1~3アルキルまたはフェニルであり;各Rは水素であるか、または両方のR基は、それらが結合した炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成し;kは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10(あるいは1、2、3、4または5;あるいは2、3または4;あるいは3)の整数であり;p、qおよびjは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4の整数である]
のモノマーを含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【0122】
態様2:態様1のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、ビスフェノールモノマーが、ビスフェノールAをさらに含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【0123】
態様3:態様1または2のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、平均で1分子当たり1.1から2つの反応性末端基、または1分子当たり1.4から2つの反応性末端基、または1分子当たり1.8から2つの反応性末端基を有するキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【0124】
態様4:態様1から3のいずれか1つのキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、各反応性末端基が、独立して、水素、または式
【化35】

[式中、Yは、式
【化36】
[式中、RおよびRの各出現は、独立して、水素またはC1~12アルキルである]のうちの1つを有する二価連結基であり;R5aは、エポキシド含有基、シアネート含有基、または1つもしくは2つのカルボン酸基で置換されているC1~12ヒドロカルビルであり;R、RおよびRの各出現は、独立して、水素、C1~18ヒドロカルビル、C2~18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボン酸、イミデートまたはチオカルボン酸であり;R、R10、R11、R12およびR13の各出現は、独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、ヒドロキシ、アミノ、マレイミド、カルボン酸またはC2~20アルキルエステルである]の基であり、ただし、ビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、水素ではない少なくとも1つの反応性末端基を含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【0125】
態様5:態様1~4のいずれか1つのキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、分岐剤に由来する繰り返し単位を含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【0126】
態様6:態様5のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、分岐剤が、式(4):
【化37】
(4)
[式中、Tは、C1~20アルキル、C1~20アルコキシ、C7~12アリールアルキルまたはC7~12アルキルアリールであり;Yの各出現は、独立して、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C7~12アリールアルキル、C7~12アルキルアリールまたはニトロであり;yの各出現は、独立して、0、1、2、3または4の整数である]
の三置換フェノールを含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【0127】
態様7:態様1~6のいずれか1つのキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、ビスフェノールモノマーが、式
【化38】
[式中、RおよびRは、各出現においてそれぞれ独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;R14は、各出現において独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;pおよびqは、それぞれ独立して、0から4の整数であり;kは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10(あるいは1、2、3、4または5;あるいは2、3または4;あるいは3)の整数である]
のものであるキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【0128】
態様8:態様7のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、ビスフェノールモノマーが、4,4’-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノールを含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【0129】
態様9:態様1のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、ビスフェノールポリエーテルオリゴマーが、式
【化39】
[式中、R、R、RおよびR14は、それぞれ独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;R15は、水素、C1~6アルキル、または置換もしくは非置換フェニルであり;p、q、tおよびjは、それぞれ独立して、0から4の整数であり;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または
【化40】
[式中、Yは、式
【化41】
[式中、RおよびRの各出現は、独立して、水素またはC1~12アルキルである]のうちの1つを有する二価連結基である]によって表される基であり、R5aは、エポキシド含有基、シアネート含有基、または1つもしくは2つのカルボン酸基で場合により置換されているC1~12ヒドロカルビルであり、R、RおよびRの各出現は、独立して、水素、C1~18ヒドロカルビル、C2~18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボン酸、イミデートまたはチオカルボン酸であり、R、R10、R11、R12およびR13の各出現は、独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、ヒドロキシ、アミノ、マレイミド、カルボン酸またはC2~20アルキルエステルであり;ただし、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素原子ではなく;nは、2から20、好ましくは3から16の整数である]
のものであるキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【0130】
態様10:態様1のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、ビスフェノールポリエーテルオリゴマーが、式
【化42】
[式中、R、R、RおよびR14は、それぞれ独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;R15は、水素、C1~6アルキル、または置換もしくは非置換フェニルであり;p、q、tおよびjは、それぞれ独立して、0から4の整数であり;RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、または
【化43】
[式中、Yは、式
【化44】
[式中、RおよびRの各出現は、独立して、水素またはC1~12アルキルである]のうちの1つを有する二価連結基である]によって表される基であり、R5aは、エポキシド含有基、シアネート含有基、または1つもしくは2つのカルボン酸基で場合により置換されているC1~12ヒドロカルビルであり、R、RおよびRの各出現は、独立して、水素、C1~18ヒドロカルビル、C2~18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボン酸、イミデートまたはチオカルボン酸であり、R、R10、R11、R12およびR13の各出現は、独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、ヒドロキシ、アミノ、マレイミド、カルボン酸またはC2~20アルキルエステルであり;ただし、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素原子ではなく;Aは、
【化45】
または
【化46】
[式中、*および*’は、隣接する原子との結合部位を表し;αは、1から10、好ましくは3から10の整数であり;βは、1から10、好ましくは3から10の整数であり;ただし、α+βは2から10である]である]
のものであるキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【0131】
態様11:態様1から10のいずれか1つのキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを形成するための方法であって、プロセスが、ビスフェノールモノマーと;ベンジル系ジハロゲン化物、第三級シクロアルキルジハロゲン化物またはそれらの組合せと;場合により分岐剤とを、触媒組成物の存在下、溶媒中で重縮合(polycondensing)させるステップを含む方法。
【0132】
態様12:態様11の方法であって、重縮合(polycondensing)させるステップが、塩基性触媒の存在下で実施される方法。
【0133】
態様13:態様11または12の方法であって、フェノール末端基を含むビスフェノールポリエーテルオリゴマーと;キャッピング剤とを、キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを含む反応混合物を得るために有効な条件下で反応させるステップをさらに含む方法。
【0134】
態様14:態様1から10のいずれか1つのキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを含む硬化可能な熱硬化型組成物。
【0135】
態様15:態様14の硬化可能な熱硬化型組成物に由来する物品であって、物品が、複合材、発泡体、繊維、層、コーティング、カプセル材、接着剤、封止剤、鋳造構成部品、プリプレグ、ケーシング、キャスト物品、積層板、またはそれらの組合せである;好ましくは、物品が、メタルクラッド積層板、電子複合材、構造用複合材、またはそれらの組合せである物品。
【0136】
組成物、方法および物品は、代替的に、本明細書で開示される任意の適切な材料、ステップまたは成分を含む、それらからなるまたは本質的になることができる。組成物、方法および物品は、付加的にまたは代替的に、そうでなければ組成物、方法および物品の機能または目的の実現を必要としない、任意の材料(または種)、ステップまたは成分を欠いているまたはそれらが実質的にないように、配合されうる。
【0137】
本明細書で開示されるすべての範囲は、エンドポイントも含めたものであり、エンドポイントは、互いに独立して組合せ可能である(例えば、「最大25wt%、またはより具体的には、5wt%から20wt%」の範囲は、「5wt%から25wt%」等の範囲のエンドポイントおよびすべての中間値も含めたものである)。より広い範囲に加えたより狭い範囲またはより具体的な群の開示は、より広い範囲またはより大きい群の軽視ではない。
【0138】
単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明確に別のことを指示するのでない限り、複数の指示対象を含む。「組合せ」は、混和物、混合物、合金、反応生成物等も含めたものである。用語「第1の」、「第2の」等は、任意の順序、分量または重要性を表示するものではなく、むしろ、1つの要素を別のものから区別するために使用される。「または」は、別段の明確な記載がない限り、「および/または」を意味する。明細書全体を通して「態様」への言及は、その態様に関連して記述される特定の要素が、本明細書において記述される少なくとも1つの態様に含まれ、他の態様において存在してもしなくてもよいことを意味する。加えて、記述されている要素を種々の態様において任意の好適な方式で組み合わせてよいことを理解されたい。「それらの組合せ」はオープンであり、収載されている成分または特性のうちの少なくとも1つを、収載されていない類似または同等の成分または特性と場合により一緒に含む、あらゆる組合せを含む。
【0139】
本明細書においてそれに反する定めがない限り、すべての試験基準は本願の出願日時点で有効な最新の基準であるか、または、優先権が態様化されている(aspected)場合、その試験基準が出現する最先の優先出願の出願日である。別段の定義がない限り、本明細書で使用される技術的および科学的用語は、本願が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。すべての引用特許、特許出願および他の参考文献は、その全体を本願に引用して援用する。しかしながら、本願中の用語が援用される参考文献中の用語と矛盾するまたは相反する場合、本願からの用語が、援用される参考文献からの矛盾する用語より優先する。
【0140】
化合物は、標準命名法を使用して記述される。例えば、いかなる指示されている基によっても置換されていない任意の位置は、その原子価が、指示されている通りの結合または水素原子によって満たされていると理解される。2つの文字または記号の間にあるのではないダッシュ(「-」)は、置換基の結合点を指示するために使用される。例えば、-CHOは、カルボニル基の炭素を介して結合されている。
【0141】
用語「ヒドロカルビル」は、炭素および水素を含有する一価基を指す。ヒドロカルビルは、以下で定義される通りの、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アリール、アルキルアリールまたはアリールアルキルでありうる。用語「ヒドロカルビレン」は、炭素および水素を含有する二価基を指す。ヒドロカルビレンは、以下で定義される通りの、アルキレン、シクロアルキレン、アリーレン、アルキルアリーレンまたはアリールアルキレンでありうる。用語「アルキル」は、分枝鎖または直鎖の、不飽和脂肪族炭化水素基、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、ならびにn-およびs-ヘキシルを意味する。「アルケニル」は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖の、一価炭化水素基(例えば、エテニル(-HC=CH))を意味する。「アルコキシ」は、酸素を介して連結しているアルキル基(すなわち、アルキル-O-)、例えば、メトキシ、エトキシおよびsec-ブチルオキシ基を意味する。「アルキレン」は、直鎖または分枝鎖の、飽和、二価脂肪族炭化水素基(例えば、メチレン(-CH-)またはプロピレン(-(CH-))を意味する。「シクロアルキレン」は、二価環状アルキレン基、-C2n-xを意味し、xは、環化によって置きかえられた水素の数である。「シクロアルケニル」は、1つ以上の環および環中に1つ以上の炭素-炭素二重結合を有し、すべての環員が炭素である一価基(例えば、シクロペンチルおよびシクロヘキシル)を意味する。「アリール」は、指定数の炭素原子を含有する芳香族炭化水素基、例を挙げると、フェニル、トロポン、インダニルまたはナフチルを意味する。「アリーレン」は、二価アリール基を意味する。「アルキルアリール」は、アルキル基で置換されているアリール基を意味する。「アリールアルキル」は、アリール基で置換されているアルキル基(例えば、ベンジル)を意味する。「アリールオキシ」は、酸素橋(-O-)を介して結合している指示されている数の炭素原子を持つアリール基を意味する。「アルキルエステル」は、式-C(O)ORの基を意味し、式中、Rはアルキル基である。「アミノ」は、式-NRR’の一価ラジカルを意味し、式中、RおよびR’は、独立して、水素、またはC1~30ヒドロカルビル、例えばC1~20アルキル基もしくはC6~30アリール基である。「ヒドロカルビルオキシカルボニル」は、式-C(O)O-ヒドロカルビルの基を意味する。「ハロゲン」または「ハロゲン原子」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味する。接頭辞「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード置換基のうちの1つ以上を含む基または化合物を意味する。異なるハロ基の組合せ(例えば、ブロモおよびフルオロ)、またはクロロ基のみが存在しうる。接頭辞「ヘテロ」は、化合物または基が、ヘテロ原子(例えば、1、2または3個のヘテロ原子)である少なくとも1つの環員を含むことを意味し、ヘテロ原子は、それぞれ独立して、N、O、S、SiまたはPである。
【0142】
置換基が別段具体的に指示されているのでない限り、前述の基のそれぞれは、非置換であっても置換されていてもよく、ただし、置換は、化合物の合成、安定性または使用のいずれにも有意に悪影響を及ぼさない。「置換されている」は、化合物、基または原子が、水素の代わりに少なくとも1つの(例えば、1、2、3または4つの)置換基で置換されていることを意味し、各置換基は、独立して、ニトロ(-NO)、シアノ(-CN)、ヒドロキシ(-OH)、ハロゲン、チオール(-SH)、チオシアノ(-SCN)、C1~6アルキル、C2~6アルケニル、C2~6アルキニル、C1~6ハロアルキル、C1~9アルコキシ、C1~6ハロアルコキシ、C3~12シクロアルキル、C5~18シクロアルケニル、C6~12アリール、C7~13アリールアルキル(例えば、ベンジル)、C7~12アルキルアリール(例えば、トルイル)、C4~12ヘテロシクロアルキル、C3~12ヘテロアリール、C1~6アルキルスルホニル(-S(=O)-アルキル)、C6~12アリールスルホニル(-S(=O)-アリール)またはトシル(CHSO-)であり、ただし、置換されている原子の通常の原子価を超えず、置換は、化合物の製造、安定性または所望の特性のいずれにも有意に悪影響を及ぼさない。化合物が置換されている場合、炭素原子の指示されている数は、任意の置換基のものを含む、化合物または基における炭素原子の総数である。
【0143】
特定の態様について記述してきたが、現時点では予見できないまたは予見できない可能性がある代替、変形、変動、改善および実質的な等価物が、出願人らまたは他の当業者に明らかとなりうる。したがって、添付の態様は、出願された通りおよび修正されうる通り、すべてのそのような代替、変形、変動、改善および実質的な等価物を内包するように意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反応性末端基を含むキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、
ビスフェノールモノマー;
ベンジル系ジハロゲン化物、第三級シクロアルキルジハロゲン化物、またはそれらの組合せ;および
場合により分岐剤
に由来する繰り返し単位をさらに含み;
前記ビスフェノールモノマーが、式
【化1】

【化2】

【化3】

【化4】

【化5】

【化6】

または
【化7】

[式中、
、RおよびR14は、それぞれ独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;
15は、水素、C1~6アルキル、または置換もしくは非置換フェニルであり;
20およびR21は、それぞれ独立して、C1~3アルキルまたはフェニルであり;
各Rは水素であるか、または両方のR基は、それらが結合した炭素原子と一緒になって、カルボニル基を形成し;
kは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の整数であり;
p、qおよびjは、それぞれ独立して、0、1、2、3または4の整数である]
のモノマーを含むことを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項2】
請求項1に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記ビスフェノールモノマーが、ビスフェノールAをさらに含むことを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項3】
請求項1に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、平均で1分子当たり1.1から2つの反応性末端基を有することを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項4】
請求項1に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、各反応性末端基が、独立して、水素、または式
【化8】

[式中、
は、式
【化9】

[式中、RおよびRの各出現は、独立して、水素またはC1~12アルキルである]のうちの1つを有する二価連結基であり;
5aは、エポキシド含有基、シアネート含有基、または1つもしくは2つのカルボン酸基で置換されているC1~12ヒドロカルビルであり;
、RおよびRの各出現は、独立して、水素、C1~18ヒドロカルビル、C2~18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボン酸、イミデートまたはチオカルボン酸であり;
、R10、R11、R12およびR13の各出現は、独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、ヒドロキシ、アミノ、マレイミド、カルボン酸またはC2~20アルキルエステルである]の基であり、ただし、前記ビスフェノールポリエーテルオリゴマーは、水素ではない少なくとも1つの反応性末端基を含むことを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項5】
請求項1に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、分岐剤に由来する繰り返し単位を含むことを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項6】
請求項5に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記分岐剤が、式(4):
【化10】

(4)
[式中、
Tは、C1~20アルキル、C1~20アルコキシ、C7~12アリールアルキルまたはC7~12アルキルアリールであり;
Yの各出現は、独立して、ハロゲン、C1~3アルキル、C1~3アルコキシ、C7~12アリールアルキル、C7~12アルキルアリールまたはニトロであり;
yの各出現は、独立して、0、1、2、3または4の整数である]
の三置換フェノールを含むことを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項7】
請求項1に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記ビスフェノールモノマーが、式
【化11】

[式中、
およびRは、各出現においてそれぞれ独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;
14は、各出現において独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;
pおよびqは、それぞれ独立して、0から4の整数であり;
kは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10の整数である]
のものであることを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項8】
請求項7に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記ビスフェノールモノマーが、4,4’-(3,3,5-トリメチルシクロヘキシリデン)ビスフェノールを含むことを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項9】
請求項1に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記ビスフェノールポリエーテルオリゴマーが、式
【化12】

[式中、
、R、RおよびR14は、それぞれ独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;
15は、水素、C1~6アルキル、または置換もしくは非置換フェニルであり;
p、q、tおよびjは、それぞれ独立して、0から4の整数であり;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、または
【化13】

[式中、
は、式
【化14】

[式中、RおよびRの各出現は、独立して、水素またはC1~12アルキルである]のうちの1つを有する二価連結基である]によって表される基であり、
5aは、エポキシド含有基、シアネート含有基、または1つもしくは2つのカルボン酸基で場合により置換されているC1~12ヒドロカルビルであり、
、RおよびRの各出現は、独立して、水素、C1~18ヒドロカルビル、C2~18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボン酸、イミデートまたはチオカルボン酸であり、
、R10、R11、R12およびR13の各出現は、独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、ヒドロキシ、アミノ、マレイミド、カルボン酸またはC2~20アルキルエステルであり;
ただし、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素原子ではなく;
nは、2から20の整数である]
のものであることを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項10】
請求項1に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーであって、前記ビスフェノールポリエーテルオリゴマーが、式
【化15】

[式中、
、R、RおよびR14は、それぞれ独立して、C1~12アルキル、C1~12アルコキシまたはC1~12アルキルアリールであり;
15は、水素、C1~6アルキル、または置換もしくは非置換フェニルであり;
p、q、tおよびjは、それぞれ独立して、0から4の整数であり;
およびRは、それぞれ独立して、水素原子、または
【化16】

[式中、
は、式
【化17】

[式中、
およびRの各出現は、独立して、水素またはC1~12アルキルである]のうちの1つを有する二価連結基である]によって表される基であり、
5aは、エポキシド含有基、シアネート含有基、または1つもしくは2つのカルボン酸基で場合により置換されているC1~12ヒドロカルビルであり、
、RおよびRの各出現は、独立して、水素、C1~18ヒドロカルビル、C2~18ヒドロカルビルオキシカルボニル、ニトリル、ホルミル、カルボン酸、イミデートまたはチオカルボン酸であり、
、R10、R11、R12およびR13の各出現は、独立して、水素、ハロゲン、C1~12アルキル、C2~12アルケニル、ヒドロキシ、アミノ、マレイミド、カルボン酸またはC2~20アルキルエステルであり;
ただし、RおよびRのうちの少なくとも1つは水素原子ではなく;
Aは、
【化18】

または
【化19】

[式中、*および*’は、隣接する原子との結合部位を表し;
αは、1から10の整数であり;
βは、1から10の整数であり;
ただし、α+βは2から10である]である]
のものであることを特徴とするキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマー。
【請求項11】
請求項1に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを形成するための方法であって、プロセスが、
前記ビスフェノールモノマーと;
前記ベンジル系ジハロゲン化物、前記第三級シクロアルキルジハロゲン化物またはそれらの組合せと;
場合により前記分岐剤と;を、
触媒組成物の存在下、溶媒中で重縮合させるステップ、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、前記重縮合させるステップが、塩基性触媒の存在下で実施されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法であって、
フェノール末端基を含むビスフェノールポリエーテルオリゴマーと;
キャッピング剤と;を、
前記キャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを含む反応混合物を得るために有効な条件下で反応させるステップ、
をさらに含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1に記載のキャップドビスフェノールポリエーテルオリゴマーを含むことを特徴とする硬化可能な熱硬化型組成物。
【請求項15】
請求項14に記載の硬化可能な熱硬化型組成物に由来する物品であって、前記物品が、複合材、発泡体、繊維、層、コーティング、カプセル材、接着剤、封止剤、鋳造構成部品、プリプレグ、ケーシング、キャスト物品、積層板、またはそれらの組合せであることを特徴とする物品。
【国際調査報告】