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特表2024-516252可動の家具部分用の家具駆動システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】可動の家具部分用の家具駆動システム
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/614 20150101AFI20240405BHJP
   E05F 11/26 20060101ALI20240405BHJP
【FI】
E05F15/614
E05F11/26
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566869
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 AT2022060149
(87)【国際公開番号】W WO2022226571
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】A50338/2021
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マティアス グリム
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052CA06
2E052CA10
2E052DA05
2E052DB05
2E052EA01
2E052EC01
2E052FA01
(57)【要約】
可動の家具部分(2)用の家具駆動システム(1)であって、この家具駆動システム(1)は、家具キャビネット(3)に家具駆動システム(1)を組み付けるための支持体(4)と、可動に、好適には回動可能に支持体(4)に支持される調整アーム装置(5)であって、可動の家具部分(2)に結合可能な調整アーム装置(5)と、調整アーム装置(5)に結合されているか、または結合可能な電動モータ(30)であって、この電動モータ(30)を介して調整アーム装置(5)が少なくとも部分的に可動である電動モータ(30)と、電動モータ(30)とは別の少なくとも1つの駆動装置(A)であって、調整アーム装置(5)に力を作用させることができる駆動装置(A)と、少なくとも1つの駆動装置(A)によって調整アーム装置(5)に作用させることができる力を調整可能な調整装置(8,14)と、電動モータ(30)を制御することができる制御装置(44)とを有し、この制御装置(44)は、少なくとも1つの駆動装置(A)によって調整アーム装置(5)に作用させることができるかまたは作用される力を特定するための特定装置(45)を有し、少なくとも1つの駆動装置(A)は減衰装置(7)を有し、この減衰装置(7)により、調整アーム装置(5)の閉鎖移動(S)および/または開放移動(O)が減衰可能であり、特定装置(45)は、減衰装置(7)の減衰器テストを行うように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動の家具部分(2)用の家具駆動システム(1)であって、
-家具キャビネット(3)に前記家具駆動システム(1)を組み付けるための支持体(4)と、
-可動に、好適には回動可能に前記支持体(4)に支持される調整アーム装置(5)であって、前記可動の前記家具部分(2)に結合可能な調整アーム装置(5)と、
-前記調整アーム装置(5)に結合されているか、または結合可能である電動モータ(30)であって、当該電動モータ(30)を介して前記調整アーム装置(5)が少なくとも部分的に可動である電動モータ(30)と、
-前記電動モータ(30)とは別の少なくとも1つの駆動装置(A)であって、前記調整アーム装置(5)に力を作用させることができる駆動装置(A)と、
-少なくとも1つの前記駆動装置(A)によって前記調整アーム装置(5)に作用させることができる力を調整可能な調整装置(8,14)と、
-前記電動モータ(30)を制御することができる制御装置(44)と、
を有する、家具駆動システム(1)において、
前記制御装置(44)は、少なくとも1つの前記駆動装置(A)によって前記調整アーム装置(5)に作用させることができるかまたは作用される力を特定するための特定装置(45)を有し、少なくとも1つの前記駆動装置(A)は減衰装置(7)を有し、前記減衰装置(7)により、前記調整アーム装置(5)の閉鎖移動(S)および/または開放移動(O)が減衰可能であり、前記特定装置(45)は、前記減衰装置(7)の減衰器テストを行うように構成されている、
ことを特徴とする、家具駆動システム(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記駆動装置(A)は、一方では前記支持体(4)に、他方では、好適には間接的に、前記調整アーム装置(5)に作用する、好適にはばねアセンブリの形態の蓄力器(6)を有する、ことを特徴とする、請求項1記載の家具駆動システム。
【請求項3】
前記特定装置(45)は、前記電動モータ(30)の電力消費を測定するためのセンサ(46)を有する、ことを特徴とする、請求項1または2記載の家具駆動システム。
【請求項4】
前記センサ(46)を介して測定した、前記電動モータ(30)の前記電力消費値(E)と、好適にはリファレンスランにおいて特定しかつ/または格納した、前記電力消費の比較値(V)または比較値経過とが、前記制御装置(44)を用いて比較可能であり、測定した前記電力消費値(E)と、前記比較値(V)または比較値経過とが、好適には決定した閾値(T)を上回って偏差する場合、偏差信号(W)が出力可能である、ことを特徴とする、請求項3記載の家具駆動システム。
【請求項5】
前記制御装置(44)を介し、出力された前記偏差信号(W)に応じて、前記家具駆動システム(1)に、好適にはカバー(24)に視覚的な指示信号(H)が表示可能である、ことを特徴とする、請求項4記載の家具駆動システム。
【請求項6】
偏差信号(W)が出力される場合、前記調整装置(8,14)の蓄力器・設定ユニット(14)を介して、前記蓄力器(6)から前記調整アーム装置(5)に作用する力が調整可能である、ことを特徴とする、請求項4または5記載の家具駆動システム。
【請求項7】
前記特定装置(45)は、前記調整アーム装置(5)の角度位置を測定するための角度センサ(47)を有する、ことを特徴とする、請求項1または2記載の家具駆動システム。
【請求項8】
前記閉鎖位置(SS)および/または前記開放位置(OS)の直前に位置する移動区間において、前記調整アーム装置(5)の速度(G)が、前記制御装置(44)を用いて異なる時点に前記角度センサ(47)によって測定した値から特定可能である、ことを特徴とする、請求項7記載の家具駆動システム。
【請求項9】
前記角度センサ(47)を介して特定した前記速度(G)と、好適には格納されかつ/またはリファレンスランにおいて特定した比較値(V)また比較値経過とが、前記制御装置(44)を用いて比較可能であり、測定した前記速度(G)と、前記比較値(T)または前記比較値経過とが、好適には決定した閾値(T)を上回って偏差する場合、偏差信号(W)が出力可能である、ことを特徴とする、請求項8記載の家具駆動システム。
【請求項10】
前記制御装置(44)を介し、出力された前記偏差信号(W)に応じて、前記家具駆動システム(1)に、好適にはカバー(24)に視覚的な指示信号(H)が表示可能である、ことを特徴とする、請求項9記載の家具駆動システム。
【請求項11】
偏差信号(W)が出力される場合、前記調整装置(8,14)の減衰器・設定ユニット(8)を介し、前記支持体(4)に対して相対的に、かつ/または減衰経路について、前記調整アーム装置(5)の角度位置に関連して減衰力、減衰開始位置が調整可能である、ことを特徴とする、請求項9または10記載の家具駆動システム。
【請求項12】
前記調整アーム装置(5)および少なくとも1つの駆動装置(A)は、機械式調整ユニット(1.1)の一部であり、前記電動モータ(30)は、電気駆動ユニット(1.2)の一部であり、前記電気駆動ユニット(1.2)は、前記機械式調整ユニット(1.1)とは別に形成される構成ユニットとして実施されており、前記電気駆動ユニット(1.2)は、前記機械式調整ユニット(1.1)の前記調整アーム装置(5)に前記電動モータ(30)のトルクを伝達するために、少なくとも1つの前記電動モータ(30)によって駆動可能な連行体(31)を有する、ことを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の家具駆動システム。
【請求項13】
前記電気駆動ユニット(1.2)は、電動モータ(30)と前記連行体(31)との間に伝動装置(32)を有する、ことを特徴とする、請求項12記載の家具駆動システム。
【請求項14】
前記伝動装置(32)には、少なくとも2つの伝動装置段(34,35,36,37,38,39,40)、フリーホイールクラッチ(41)および/またはオーバーロードクラッチ(42)が含まれている、ことを特徴とする、請求項13記載の家具駆動システム。
【請求項15】
前記蓄力器の前記力を前記調整アーム装置に伝達することができる伝達機構が設けられている、ことを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の家具駆動システム。
【請求項16】
前記伝達機構(51)が、制御カム(53)と、前記蓄力器(6)によって付勢される押圧ローラ(54)とを有し、前記押圧ローラ(54)は、少なくとも1つの前記調整アーム(52)の移動時に、前記制御カム(53)に沿って走行可能である、ことを特徴とする、請求項15記載の家具駆動システム。
【請求項17】
前記調整アーム装置(5)は、前記蓄力器(6)から前記調整アーム(52)に力を伝達するために、可動に支持されたアクチュエータ部分(58)を有する、ことを特徴とする、請求項15または16記載の家具駆動システム。
【請求項18】
前記アクチュエータ部分(58)は、伝達開口部(59)を有し、前記伝達開口部に、前記電動モータ(30)によって駆動可能な連行体(31)が係合するかまたは係合可能である、ことを特徴とする、請求項13および17記載の家具駆動システム。
【請求項19】
前記蓄力器(6)は、前記調整アーム装置(5)の重力および前記調整アーム装置(5)に結合可能な前記家具部分(2)の重力を補償するために、かつ/または完全な閉鎖位置(SS)の方向に前記調整アーム装置(5)を移動するために、かつ/または完全な開放位置(OS)の方向に前記調整アーム装置(5)を移動するために構成されている、ことを特徴とする、請求項1から18までのいずれか1項記載の家具駆動システム。
【請求項20】
家具キャビネット(3)と、少なくとも1つの、特に水平方向の軸線周りに可動の家具部分(2)、特に上方折畳式フラップ、上方持上げ式フラップまたは上方旋回式フラップの形態の家具部分(2)と、請求項1から19までの少なくとも1項記載の家具駆動システム(1)とを有する家具(100)。
【請求項21】
家具駆動システム(1)を作動させる方法であって、前記家具駆動システム(1)は、
-家具キャビネット(3)に前記家具駆動システム(1)を組み付けるための支持体(4)と、
-可動に、好適には回動可能に前記支持体(4)に支持される調整アーム装置(5)であって、前記可動の家具部分(2)に結合可能な調整アーム装置(5)と、
-前記調整アーム装置(5)に結合されているか、または結合可能な電動モータ(30)であって、当該電動モータ(30)を介して前記調整アーム装置(5)が少なくとも部分的に可動である電動モータ(30)と、
-前記電動モータ(30)とは別の少なくとも1つの駆動装置(A)であって、前記調整アーム装置(5)に力を作用させることができ、前記調整アーム装置(5)の閉鎖移動(S)および/または開放移動(O)を減衰可能な減衰装置(7)備えた駆動装置(A)と、
-少なくとも1つの前記駆動装置(A)によって前記調整アーム装置(5)に作用させることができる力を調整可能な調整装置(8,14)と、
-前記電動モータ(30)を制御することができる制御装置(44)とを有する、方法において、
-前記制御装置(44)の特定装置(45)により、少なくとも1つの前記駆動装置(A)によって前記調整アーム装置(5)に作用させることができるかまたは作用される力を特定するステップを有し、前記特定装置(45)により、前記減衰装置(7)の減衰器テストを行う、
ことを特徴とする、方法。
【請求項22】
さらなるステップ、すなわち、
-センサ(46)を介して、前記電動モータ(30)の電力消費を測定するステップと、
-測定した前記電力消費と、好適にはリファレンスランにおいて特定し、かつ/または格納した比較値(V)または比較値経過とを比較するステップと、
-測定した電力消費値(E)と、前記比較値(V)または前記比較値経過とが、好適には決定した閾値(T)を上回って偏差する場合、偏差信号(W)を出力するステップと、
を有する、ことを特徴とする、請求項21記載の方法。
【請求項23】
さらなるステップ、すなわち、
前記偏差信号(W)が出力される場合、前記調整装置(8,14)の蓄力器・設定ユニット(14)を介して、前記駆動装置(A)の蓄力器(6)から前記調整アーム装置(5)に作用する力の調整または位置調整を行うステップを有する、ことを特徴とする、請求項22記載の方法。
【請求項24】
さらなるステップ、すなわち、
-異なる時点に角度センサ(47)によって測定した値に基づき、前記閉鎖位置(SS)および/または前記開放位置(OS)の直前に位置する移動区間において、前記調整アーム装置(5)の速度(G)を特定するステップと、
-前記角度センサ(47)を介して特定した前記速度(G)と、好適には格納されかつ/またはリファレンスランにおいて特定した比較値(V)また比較値経過とを比較するステップと、
-測定した前記速度(G)と、前記比較値(V)または前記比較値経過とが、好適には決定した閾値(T)を上回って偏差する場合、偏差信号(W)を出力するステップと、
を有する、ことを特徴とする、請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記偏差信号(W)が出力される場合、
-前記減衰力の調整または位置調整のステップ、
-前記支持体(4)に対して相対的な前記調整アーム装置(5)の角度位置に関連して前記減衰開始位置の調整または位置調整のステップ、および/または
-前記調整装置(8,14)の減衰器・設定ユニット(8)を介して、前記駆動装置(A)の減衰装置(7)の減衰経路の調整または位置調整のステップ
を有する、ことを特徴とする、請求項24記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動の家具部分用の家具駆動システムに関し、この家具駆動システムは、家具キャビネットに家具駆動システムを組み付けるための支持体と、可動に、好適には回動可能に支持体に支持される調整アーム装置であって、可動の家具部分に結合可能な調整アーム装置とを有し、調整アーム装置に結合されているかまたは結合可能である電動モータであって、調整アーム装置がこの電動モータを介して少なくとも部分的に可動である電動モータと、電動モータとは別の少なくとも1つの駆動装置であって、調整アーム装置に力を作用させることができる駆動装置と、調整装置であって、この調整装置により、少なくとも1つの駆動装置によって調整アーム装置に作用させることができる力を調整可能な調整装置と、制御装置であって、この制御装置により、電動モータを制御することができる制御装置とが設けられている。本発明はさらに、このような家具駆動システムを備えた家具に関する。さらに本発明は、このような家具駆動システムを作動させる方法に関する。
【0002】
調整アーム装置を備えた家具駆動システムは、水平軸線の周りに回動可能もしくは旋回可能であるか、または垂直面に沿って摺動可能な家具フラップを移動させるために、数十年来使用されている。このような家具金具の例は、国際公開第2012/155165号および国際公開第2011/020130号から得られる。
【0003】
さらに、家具駆動システムが、互いに別々の2つの構成ユニット、すなわち(駆動装置を含む)機械式調整ユニットと電気駆動ユニットとを有する家具駆動システムが公知である。これについての例は、欧州特許第3443191号明細書およびオーストリア国特許出願公開第519935号明細書から得られる。
【0004】
このような家具駆動システムにおいて重要であるのは、大きさおよび重さの異なる可動の家具部分において、同じシステムを同様に使用できることである。このために、調整装置を介して、駆動装置および/または電動モータの個々のパラメータ(例えば力)が設定可能である。従来の家具駆動システムでは、駆動装置から得られる作用が、駆動される可動の家具部分に適合しないことがある。これにより、多くの場合、可動の家具部分の損傷が生じてしまうことがあるか、またはそれどころか可動の家具部分を操作する人との事故が生じてしまうこともある。
【0005】
別の家具駆動システムは、文献のオーストリア国実用新案第12191号明細書および欧州特許出願公開第2949852号明細書から既に公知である。
【0006】
したがって本発明の課題は、従来技術に対して改善された家具駆動システムと、改善された方法とを創出することである。特に、設定が容易になり、設定時のエラーが阻止されるようにしたい。
【0007】
この課題は、請求項1の特徴的構成を有する家具駆動システムによって解決される。これによると、本発明では、制御装置が、少なくとも1つの駆動装置によって調整アーム装置に作用させることができるかまたは作用される力を特定するための特定装置を有し、少なくとも1つの駆動装置が、減衰装置を有し、減衰装置により、調整アーム装置の閉鎖移動および/または開放移動が減衰可能であり、特定装置は、減衰装置の減衰器テストを行うように構成されている。
【0008】
これにより、組付け作業員(またはユーザ)はもはや、自分だけが頼りでありまた駆動装置において正しい設定を行わなければならないのではなく、調整アーム装置に(ひいては組み付け状態において可動の家具部分に)作用する力が検出されることにより、家具駆動システムそれ自体により、組付け作業員(またはユーザ)がサポートされる。これにより、組み付けられた家具駆動システムの設定と、可動の家具部分とが両立するか否かを容易に識別することができる。
【0009】
本発明の好ましい実施例は、従属請求項に、また説明全体に挙げられている。
【0010】
駆動装置は、調整アーム装置に力を加える複数のコンポーネントまたは構成部材を有していてよい。
【0011】
好ましくは、少なくとも1つの駆動装置は、一方では支持体に、他方では好適には間接的に調整アーム装置に作用する、好適にはばねアセンブリの形態の蓄力器を有するように構成される。特に好ましくは、このばねアセンブリは、2つの別々の圧縮ばねを有する。
【0012】
好ましくは、調整アーム装置および調整アーム装置に結合可能な家具部分の重力を補償するために、かつ/または完全な閉鎖位置の方向に調整アーム装置を移動させるために、かつ/または完全な開放位置の方向に調整アーム装置を移動させるために蓄力器が構成されるようにする。これにより、可動の家具部分は、この可動の家具部分が調整アーム装置および蓄力器によってバランス状態にとどまる特定の角度位置まで開放可能である。
【0013】
蓄力器に加えて、少なくとも1つの駆動装置が、減衰装置を有し、この減衰装置によって、調整アーム装置の閉鎖移動および/または開放移動が減衰可能であるように構成される。これにより、滑らかな閉鎖および開放ならびに特にそれぞれの終端位置への穏やかな到達が可能になる。
【0014】
一般的に好ましくは、可動の家具部分と家具キャビネットとの間の閉鎖位置に対応する第1の最大位置と、家具キャビネットに対して相対的な可動の家具部分の最大開放位置に対応する第2の最大位置との間で、調整アーム装置が可動であるように構成されている。
【0015】
基本的には、減衰装置が、調整アーム装置の全移動過程を減衰することが可能である。しかしながら好ましくは、閉鎖位置および最大開放位置の前に位置する、可動の家具部分の移動区間において、減衰装置を介して減衰が行われるように構成されている。
【0016】
具体的には、(それぞれ)前に位置する移動区間は、2°~25°、好適には5°~15°の調整アーム装置の(ひいては間接的に可動の家具部分の)旋回角度範囲に対応するように構成されていてよい。
【0017】
既に述べたように駆動装置は2つの構成部材を有し、これらの構成部材には、特定装置を使用可能である。すなわち、一方では蓄力器に対して蓄力器テストを実行することができ、他方で減衰装置に対して減衰器テストを行うことができる。特定装置を介し、これらの2つのテストの1つだけを行うことが可能である。好ましくは、テストは、特定装置を介して行うことができるように構成される。2つのテストが行われる場合、最初に蓄力器テストが行われ、次いで減衰器テストが行われると有利である。
【0018】
具体的に可能でありかつ好ましくは2つの特定もしくはテストのために、部分的に一致する好ましい、以下の実施例が設けられている。
【0019】
蓄力器に関して好ましくは、特定装置が、電動モータの電力消費を測定するためのセンサを有するように構成されている。具体的には、抵抗センサが使用可能である。ここでは、電動モータのエネルギ収支を検出することも可能である。
【0020】
好ましくはさらに、センサを介して測定した、電動モータの電力消費と、好適にはリファレンスランにおいて特定しかつ/または格納した、電力消費の比較値または比較値経過とが、制御装置を用いて比較可能であり、測定した電力消費と、比較値または比較値経過とが、好適には決定した閾値を上回る場合、偏差信号が出力可能であるように構成されている。
【0021】
比較値は、例えば、エネルギ収支であってもよい。閾値は、パーセントデータであってよく、例えば最大で5%の偏差が閾値として格納されていてよい。
【0022】
偏差信号は音響的に出力可能である。好ましくは、制御装置を介し、出力された偏差信号に応じて、家具駆動システムに、好ましくはカバーに、視覚的な指示信号が表示可能であるように構成される。例えば、対応する表示フィールドにおいて赤色LED光が、指示信号として点灯可能である。
【0023】
偏差信号の出力だけではなく、その結果も重要である。すなわち、具体的には、偏差信号が出力される場合、調整装置の蓄力器・設定ユニットを介して、蓄力器から調整アーム装置に作用する力が調整可能であるように構成可能である。
【0024】
例えば、蓄力器・設定ユニットには回動可能な設定歯車が含まれており、ねじ山付きスピンドルに沿った蓄力器の作用箇所が、設定歯車の回動により、ひいては調整アームに作用するトルクが調整可能であるように構成可能である。
【0025】
減衰装置に関して好ましくは、特定装置が、調整アーム装置の角度位置を測定するための角度センサを有するように構成される。
【0026】
好ましくはさらに、異なる時点に角度センサによって測定した値から、閉鎖位置および/または開放位置の直前に位置する移動区間において、調整アーム装置の速度が、制御装置を用いて特定可能であるように構成されている。
【0027】
好ましい1つの実施例によると、角度センサを介して特定した速度と、好適には格納されかつ/またはリファレンスランにおいて特定した比較値または比較値経過とが、制御装置を用いて比較可能であり、測定した電力消費と、比較値または比較値経過とが、好適には決定した閾値を上回って偏差する場合、偏差信号が出力可能であるように構成されている。
【0028】
駆動装置の蓄力器による速度特定の影響を阻止するために好ましくは、この特定の際に電動モータが、好適にはフリーホイールクラッチを用いて、調整アーム装置から分離されるまたは切り離し可能であるように構成される。
【0029】
減衰器テストの際にも好ましくは、制御装置を介し、出力された偏差信号に応じて、家具駆動システムに、好ましくはカバーに視覚的な指示信号が表示可能であるように構成される。
【0030】
偏差信号の出力だけではなく、その結果も重要である。すなわち、具体的には、偏差信号が出力される場合、調整装置の減衰器・設定ユニットを介し、支持体に対して相対的に、かつ/または減衰経路について、調整アーム装置の角度位置に関連して減衰力、減衰価値が調整可能であるように構成可能である。
【0031】
例えば、減衰器・設定ユニットにより、好適には、工具なしに操作可能な設定手段であって、2つの位置の間のスイッチの形態した設定手段の切り換えによって、減衰器ケーシングと支持体との間の相対位置が設定可能であるように構成可能である。
【0032】
一般的に好ましくは、調整アーム装置および少なくとも1つの駆動装置が、機械式調整ユニットの一部であり、電動モータは、電気駆動ユニットの一部であり、この電気駆動ユニットは、機械式調整ユニットとは別に形成された構成ユニットとして実施されており、またこの電気駆動ユニットは、機械式調整ユニットの調整アーム装置に電動モータのトルクを伝達するために、少なくとも1つの電動モータによって駆動可能な連行体を有するように構成可能である。
【0033】
移動伝達および移動変換のために、電気駆動ユニットが、電動モータと連行体との間に伝動装置を有するように構成されていてよい。
【0034】
この伝動装置について好ましくは、これに少なくとも2つの伝動装置段、フリーホイールクラッチおよび/またはオーバーロードクラッチが含まれるように構成されている。
【0035】
機械式調整ユニットの領域においても、移動伝達および移動変換は有利であり、好ましくは、蓄力器の力を調整アーム装置に伝達することができる伝達機構が設けられている。
【0036】
調整アーム装置の、閉鎖すべきまた開放すべき移動を可能にするために好ましくは、伝達機構が、制御カムと、蓄力器によって付勢される押圧ローラとを有し、少なくとも1つの調整アームの移動時に押圧ローラは制御カムに沿って走行可能であるように構成されている。
【0037】
好ましくはさらに、調整アーム装置が、蓄力器から調整アームに力を伝達するために可動に支持されたアクチュエータ部分を有するように構成されている。
【0038】
機械式調整ユニットと電気駆動ユニットとを結合するために、または連結するために好ましくは、アクチュエータ部分が、電動モータによって駆動可能な連行体が係合するまたは係合可能な伝達開口部を有するように構成されている。
【0039】
家具キャビネットと、少なくとも1つの、特に水平方向の軸線周りに可動な家具部分、特に上方折畳式フラップ、上方持上げ式フラップまたは上方旋回式フラップの形態の家具部分と、本発明による家具駆動システムとを有する家具にも特許による保護が要求される。
【0040】
上で挙げた課題はまた、請求項21記載の方法によって解決される。これによると、請求項1の上位概念の特徴的構成を有する家具駆動システムでは、本発明にしたがい、制御装置の特定装置により、少なくとも1つの駆動装置によって調整アーム装置に作用させることができるかまたは作用される力を特定するステップを有し、この特定装置により、減衰装置の減衰器テストが行われるように、構成されている。
【0041】
上述の蓄力器テストのために好ましくは、次のステップが設けられている。すなわち、
-センサを介して、電動モータの電力消費を測定するステップと、
-測定した電力消費と、好適にはリファレンスランにおいて特定し、かつ/または格納した比較値または比較値経過とを比較するステップと、
-測定した電力消費と、比較値または比較値経過とが、好適には決定した閾値を上回って偏差する場合、偏差信号を出力するステップとが設けられている。
【0042】
好ましくはさらに、偏差信号が出力される場合、調整装置の蓄力器・設定ユニットを介して、駆動装置の蓄力器から調整アーム装置に作用する力の調整または位置調整を行うステップが設けられている。
【0043】
(好ましくは蓄力器テストの後に行われるべき)上述の減衰器テストのために好ましくは、次のステップが設けられている。すなわち、
-異なる時点に角度センサによって測定した値に基づき、閉鎖位置および/または開放位置の直前に位置する移動区間において、調整アーム装置の速度を特定するステップと、
-角度センサを介して特定した速度と、好適には格納されかつ/またはリファレンスランにおいて特定した比較値また比較値経過とを比較するステップと、
-測定した電力消費と、比較値または比較値経過とが、好適には決定した閾値を上回って偏差する場合、偏差信号を出力するステップとが設けられている。
【0044】
最後に好ましくはさらに、偏差信号が出力される場合、減衰力の調整または位置調整、支持体に対して相対的な調整アーム装置の角度位置に関連した減衰開始位置の調整または位置調整、および/または調整装置の減衰器・設定ユニットを介する駆動装置の減衰装置の減衰経路の調整または位置調整を行うステップが設けられている。
【0045】
部分的に言い換えると、本発明はさらに次のようにも説明可能である。すなわち、蓄力器テストは、開放移動および閉鎖移動の形態のリファレンスランを介して行われる。(閉鎖位置と完全な開放位置との間のほぼ中間領域(好適には終端位置の間の20°~90°の角度範囲)にある)特定の角度範囲では、対応する抵抗センサを介してモータ電流が測定される。開閉の際に所定の(バランスされた)範囲(閾値)内に値が位置する場合、蓄力器調整は正しく、偏差信号は出力されない。生じ得る偏差は、カバーにおける表示部を介して表示される。
【0046】
減衰器テストも、少なくとも1つのリファレンスランを介して行われる。このためには、(結果的にエラーが生じないようにするために蓄力器テストが成功裡に終了した後)、開放移動および/または閉鎖移動の(減衰器に抗して作動しないようにするために、蓄力器が調整アームから切り離される)終端領域において、角度位置が、磁気角度センサを介して検出され、参照時間と比較される。この際に目標値から偏差している場合、より強くまたはより弱く減衰器を調整する必要がある。このこともまた、カバーにおける表示部を介し、対応して表示される。
【0047】
第3の変形形態として、特定装置はさらに、以下のように使用されてもよい。すなわち、(強い)閉鎖または開放の際に跳ね返り移動の検査を行ってよい。このために、跳ね返り移動中の振動性の角度位置が、検出され、また対応して比較値と比較される。この場合にはここでも、跳ね返り・エラー信号が出力される場合、対応して調整を変更することができる。
【0048】
以下では、図面に示した実施例を参照し、図面の説明に基づいて、本発明のさらなる詳細および利点をより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】家具フラップ用の家具駆動システムを備えた家具を概略図である。
図2a】調整アーム装置および蓄力器を備えた機械式調整ユニットを示す図である。
図2b図2aの詳細図である。
図3a】機械式調整ユニットを示す斜視図である。
図3b】機械式調整ユニットを示す別の斜視図である。
図4a】中央の開放位置における、機械式調整ユニットの長手方向断面図である。
図4b】中央の開放位置における、機械式調整ユニットの別の長手方向断面図である。
図5a図4aの詳細図である。
図5b図4bの詳細図である。
図6a】最大の開放位置の前に位置する家具部分位置における機械式調整ユニットの長手方向断面図であって、減衰開始位置がそれぞれ与えられている長手方向断面図である。
図6b】最大の開放位置の前に位置する家具部分位置における機械式調整ユニットの長手方向断面図であって、減衰開始位置がそれぞれ与えられている別の長手方向断面図である。
図7a】閉鎖位置の前に位置する家具部分位置における機械式調整ユニットの長手方向断面図であって、減衰開始位置がそれぞれ与えられている長手方向断面図である。
図7b】閉鎖位置の前に位置する家具部分位置における機械式調整ユニットの長手方向断面図であって、減衰開始位置がそれぞれ与えられている別の長手方向断面図である。
図8】開放された上方折畳式フラップを備えた家具の斜視図である。
図9】両側に配置された家具駆動システムを備えた家具キャビネットの斜視図である。
図10】保護前板を備えた家具駆動システムの斜視図である。
図11】カバーが見えるようにした保護前板のない家具駆動システムの斜視図である。
図12】機械式調整ユニットおよび電気駆動ユニットの斜視図である。
図13図12とは別の斜視図である。
図14】電気駆動ユニットの斜視図である。
図15図14とは別の斜視図である。
図16】関連するすべての構成部材と共に電気駆動ユニットの詳細を示す斜視図である。
【0050】
図1には、家具キャビネット3を備えた家具100が示されており、ここでは、可動に支持された家具部分2を移動させるための家具駆動システム1(家具用金具)が、家具キャビネット3の側壁3aに固定されている。
【0051】
図示した実施例では、可動の家具部分2は、2つの家具フラップ2a,2bを有し、第1家具フラップ2aは、少なくとも2つのヒンジ9aを介し、水平方向に延在する回動軸線の周りに旋回可能に家具キャビネット3に結合されており、また第2家具フラップ2bは、少なくとも2つのヒンジ9bを介し、水平方向に延在する回動軸線の周りに旋回可能に第1家具フラップ2aに結合されている。
【0052】
家具駆動システム1は、家具キャビネット3に、好適には家具キャビネット3の側壁3aに固定されるべき支持体4と、支持体4に対して相対的に旋回可能な少なくとも1つの調整アーム52とを有しており、この調整アーム52は、可動の家具部分2に、好適には第2家具フラップ2bに結合されている。
【0053】
見て取ることができるように、図1の家具100は、天井10に対して離隔して配置されている。図1では、調整アーム52は、可動の家具部分2の最大開放位置OSに対応する、比較的大きな旋回角度を取っている。
【0054】
図2aには、家具駆動システム1の調整ユニット1.1が側面図で示されており、機械式調整ユニット1.1は、家具キャビネット3に固定されるべき支持体4と、回動軸線Xの周りに旋回可能に支持体4に支持されている少なくとも1つの調整アーム52とを有する。
【0055】
図示した実施例では、調整アーム延長部11が取り外し可能に調整アーム52に配置されており、調整アーム延長部11は、互いに相対的に摺動可能な2つの調整アーム部分11a,11bを有する。好適には、調整アーム部分11a,11bが互いに相対的にテレスコープ式に摺動可能であり、第1調整アーム部分11aと、調整アーム52とが、取り外し可能に結合可能であるように構成されている。第2調整アーム部分11bは、固定装置12を有しており、この固定装置12は、可動の家具部分2に固定されるべき金具部分に取り外し可能に結合可能であり、好適には工具なしにロック可能およびロック解除可能である。
【0056】
調整アーム装置5の調整アーム52に力を加えるために、蓄力器6が設けられており、この蓄力器6は、例えば、少なくとも1つのコイルばね、好ましくは少なくとも1つの圧縮ばねを有していてよい。択一的に、蓄力器6は、別の蓄力器、例えばガス圧縮ばねの形態の流体式蓄力器を有していてもよい。
【0057】
調整アーム装置5は、少なくとも1つの調整アーム52に蓄力器6の力を伝達するための伝達機構51を有する。好適には、伝達機構51が、制御カム53と、蓄力器6によって付勢される押圧ローラ54とを有し、押圧ローラ54が、少なくとも1つの調整アーム52の移動時に、制御カム53に沿って走行可能であるように構成されている。
【0058】
制御カム53は、好ましい実施例によると、調整アーム52に配置されるかまたは形成されていてよい。当然のことながら、調整アーム装置5の伝達機構51における別の箇所に制御カム53を配置することも可能である。
【0059】
図2bに示したケースでは、調整アーム52は、蓄力器6からの力を調整アーム52に伝達するためのアクチュエータ部分58と一体に形成されている。このアクチュエータ部分58には、制御カム53が形成されている。さらに、このアクチュエータ部分58には、伝達開口部59が形成されており、この伝達開口部59には、電動モータ30によって駆動可能な連行体31が係合するかまたは係合可能である。
【0060】
蓄力器・設定ユニット14により、少なくとも1つの調整アーム52に加わる、蓄力器6の力が設定可能である。好適には、次のように構成されている。すなわち、
-蓄力器・設定ユニット14が、回動可能に支持された少なくとも1つの設定歯車14aを有し、少なくとも1つの調整アーム52に作用する、蓄力器6の力が、設定歯車14aの回動によって設定可能であり、かつ/または
-蓄力器・設定ユニット14は、少なくとも1つのねじ山付きスピンドル16を有しており、蓄力器・設定ユニット14の操作時には、このねじ山付きスピンドル16に沿い、蓄力器6の作用箇所15が可動であり、かつ/または
-支持体4は、少なくとも1つの開口部17aを備えた端面を有し、この開口部17aを通し、開放位置において少なくとも1つの調整アーム52が突き出ており、蓄力器・設定ユニット14の設定歯車14aは、端面に対して横方向から、開口部17aを貫通して操作可能である。
【0061】
図2bには、図2aにおいて丸で囲んだ領域が拡大図で示されている。伝達機構51は中間レバー19を有しており、この中間レバー19は、回動軸線19aの周りで旋回可能に支持体4に支持されている。ねじ山付きスピンドル16は、中間レバー19に支持されている。工具を用いて蓄力器・設定ユニット14の設定歯車14aを回動させることにより、ねじ山付きスピンドル16は回転可能であり、これによって、蓄力器6の作用箇所15が、ねじ山付きスピンドル16に沿って移動する。このようにして、作用箇所15と、中間レバー19の回動軸線19aとの間の相対間隔、ひいては調整アーム52に作用する、蓄力器6のトルクが、増大可能および減少可能である。
【0062】
機械式調整ユニット1.1にはさらに、調整アーム装置5の少なくとも1つの調整アーム52の移動を減衰するための少なくとも1つの減衰装置7が含まれている。この減衰装置7は、蓄力器6と共に駆動装置Aを形成し、この駆動装置Aによって、調整アーム装置5に力を及ぼすことができる。
【0063】
好適には、減衰装置7のために、これは、
-流体式減衰器として形成されており、かつ/または
-少なくとも1つのピストン・シリンダ-・ユニットを有し、かつ/または
-閉鎖移動時に少なくとも1つの調整アーム52によって付勢可能であり、かつ/または
-少なくとも1つの調整アーム52の開放移動O時にも、閉鎖移動S時にも、同じ側から付勢できるように構成されている。
【0064】
図3aには、機械式調整ユニット1.1が斜視図で示されており、調整アーム装置5の伝達機構51により、蓄力器6の力が、少なくとも1つの調整アーム52に伝達可能である。蓄力器・設定ユニット14には、例えば、回動可能な設定歯車14aが含まれていてよく、蓄力器6の作用箇所15は、設定歯車14aの回動により、ひいては調整アーム52に作用するトルクにより、ねじ山付きスピンドル16に沿って設定可能である。
【0065】
機械式調整ユニット1.1はさらに、未組付け状態の調整アーム52、すなわち可動の家具部分2がまだ組み付けられていない調整アーム52のための組付け固定装置20を有していてよく、これにより、未組付け状態の調整アーム52の開放速度を制限することができ、組付け固定装置20により、未取付け状態の調整アーム52の、蓄力器6の力による意図しない開放または急な飛び出しが阻止される。好適には、組付け固定装置20に少なくとも1つの遠心力クラッチ20aが含まれるように構成されている。
【0066】
図3bには、別の(わずかにずらされた)斜視図において機械調整ユニット1.1が示されている。この図では、減衰装置7全体がよく見て取れる。この減衰装置7は、減衰器ハウジング71および減衰器ピストン72を有する。
【0067】
減衰器・設定ユニット8を介し、減衰装置7は、支持体4に対して相対的に位置調整可能である。減衰器・設定ユニット8は、(スイッチの形態の)設定手段8aおよび設定・軸ピン8xを有する。設定・軸ピン8xは、支持体4に固定に結合されている。
【0068】
図3bでは、設定手段8aが右にチルトされており、これにより、減衰装置7は、支持体4に対して相対的に右の最大位置に位置している。
【0069】
図3bで見て取れるのは、調整アーム52に第1減衰伝達要素5aが形成されていることである。この第1減衰伝達要素5aは、減衰装置7の方を向いた突起の形態で形成されている。図3bに示した位置では、ストッパ55は、減衰器ハウジング71に形成されたストッパ・対応部材74に対して(まだ)離隔されている。
【0070】
調整アーム装置5には、(ローラの形態の)ストッパ要素56が配置されている。このストッパ要素56は、軸ピン57を介して旋回可能に支持体4に支持されている第2減衰伝達要素5bに対して(まだ)離隔されている。
【0071】
図4a~図7bには、異なった位置における機械式調整ユニット1.1の垂直方向の長手方向断面図が1つずつ示されている。
【0072】
図4aおよび図4bでは、調整アーム装置5は同じ開放位置にある。これは、ほぼ半分開放された可動の家具部分2に対応する。調整アーム52の開き角度は、55°~80°の範囲のどこかにある。
【0073】
しかしながら、図4aと図4bとは、減衰装置7が異なった位置にあるという点で異なっている。図4bでは減衰装置7は、右のその最大位置にある。図5bによる、関連する拡大図から見て取れるように、設定手段8aは、設定・軸ピン8xの周りに右に回動させられている。これにより、減衰器ハウジング71と設定・軸ピン8xとの間には、設定手段8aの比較的幅の広い領域が位置している。
【0074】
これに対し、図4aでは、また関連する図5aでは、減衰器・設定ユニット8の設定手段8aは、90°だけ左に回動されている。これにより、減衰器ハウジング71と設定・軸ピン8xとの間には、設定手段8aの比較的幅の狭い領域が位置している。減衰装置7は、左のその最大位置にある。
【0075】
図4a~図5bによるすべての位置において、減衰装置7には負荷が加えられておらず、ひいては弛緩しており、かつ伸びた位置にある。第2圧力伝達要素5bは、減衰器ピストン72に当接している。
【0076】
図5aと図5bとを比較して見て取れるのは、減衰器ハウジング71が、支持体4に対して相対的な並進的な摺動移動に加えて、支持体4に対して相対的に(わずかな)旋回移動も行っていることである。
【0077】
図6aおよび図6bでは、(前の図4a~図5bを出発して)調整アーム装置5の開放移動Oが行われている。これにより、調整アーム52は、上方に旋回されている。この開放移動Oは、第1減衰器伝達要素5aのストッパ55がストッパ・対応部材74に接触するまで行われる。この位置ではそれぞれ、減衰開始位置Dに達している。
【0078】
減衰装置7は、図6aおよび図6bでは異なる最大位置にあるため、調整アーム52は、それぞれ示された減衰開始位置Dにおいて、異なる角度位置を取っている。具体的には図6aでは、約108°の開き角度が示されているのに対し、図6bでは100°の開き角度が示されている。
【0079】
このそれぞれの減衰開始位置Dから開放移動Oが継続されると、ストッパ・対応部材74を介し、減衰器ピストン72が、減衰器ハウジング71に押し込まれ、これにより、減衰装置7により、その作用が発揮される。減衰器ピストン72が完全に進入すると直ちに、最大開放位置OSが達成される(図示せず)。
【0080】
これにより、可動の家具部分2の、最大開放位置OSの前に位置する移動区間が減衰され、ここで減衰開始位置Dは、減衰器・設定ユニット8を介し、異なって設定される。これにより、減衰移動の開始のための異なる開き角度が設定可能である。
【0081】
同じ方式は、閉鎖移動Sにも当てはまる。
【0082】
図7aおよび図7bでは、(図4a~図5bから出発して)調整アーム装置5の閉鎖移動Sが行われている。これにより、調整アーム52は、下方に旋回されている。この閉鎖移動Sは、回動軸線Xの周りの調整アーム52の回動移動により、ストッパ要素56が、第2減衰伝達要素5bに接触するまで行われている。この位置ではそれぞれ、減衰開始位置Dに達している。
【0083】
減衰装置7は、図7aおよび図7bではそれぞれ異なる最大位置にあるため、調整アーム52は、それぞれ示された減衰開始位置Dにおいて、異なる角度位置を取る。具体的には図7aでは、約22°の開き角度が示されているのに対し、図7bではちょうど33°の開き角度が示されている。
【0084】
このそれぞれの減衰開始位置Dから閉鎖移動Sが継続されると、ストッパ要素56を介し、第2減衰伝達要素5bが、軸ピン57の周りで反時計回りに回動し、これにより、減衰伝達要素5bにより、ストッパ55を介して減衰器ピストン72が押圧され、この減衰器ピストン72を減衰器ハウジング71に押し込み、これにより、ここでも減衰装置7により、その作用が発揮される。減衰器ピストン72が完全に進入すると直ちに、閉鎖位置SSが達成される(図示せず)。
【0085】
図8には、家具100全体が斜視図で示されている。この図では、給電ユニット21が見て取れ、この給電ユニット21を介して、(ここでは見て取れない)電気駆動ユニット1.2にエネルギが供給可能である。
【0086】
図8にはさらに、家具キャビネット3の両側に、過圧移動を検出するための、かつ/または閉鎖移動Sをトリガするための検出装置22が示されている。可動の家具部分2が閉鎖位置SSに位置し、かつユーザが可動の家具部分2を押圧すると、このことは検出装置22によって検出され、この結果、制御装置44および電気駆動ユニット1.2を介して、家具駆動システム1の開放移動Oが開始される。図8において開放されているような可動の家具部分2では、ユーザは、検出装置22の1つを直接に押圧することができ、この結果、制御装置44および電気駆動ユニット1.2を介して、家具駆動システム1の閉鎖移動Sが開始される。
【0087】
図9には斜視図で、家具キャビネット3の両側に配置された家具駆動システム1と共に家具キャビネット3だけが示されている。電気駆動ユニット1.2の保護前板23がよく見て取れる。
【0088】
図10には、機械式調整ユニット1.1および電気駆動ユニット1.2を有する家具駆動システム1が斜視図で示されている。これらの2つのユニット1.1および1.2は側方で、それぞれのハウジングを介して取り外し可能に互いに結合されている。支持体4を介して、家具駆動システム1全体は家具キャビネット3に固定可能である。電気駆動ユニット1.2は、保護前板23を有する。
【0089】
図11でも同様に家具駆動システム1が斜視図で示されているが、保護前板23が省略されており、これにより、電気駆動ユニット1.2のハウジングを共に形成しているカバー24が遮られることなく見える。家具駆動システム1のカバー24には、視覚的な指示信号Hが表示可能である。
【0090】
図12には、電気駆動ユニット1.2および機械式調整ユニット1.1が切り離されて示されている。機械式調整ユニット1.1のハウジングには、(湾曲した)係合開口部25が形成されており、この係合開口部25を介して、調整アーム装置5のアクチュエータ部分58への係合が可能である。
【0091】
これに適合して、家具駆動システム1を別の視角で示す図13では、電気駆動ユニット1.2のハウジングにおける(湾曲した)出口開口部26から突き出た連行体31が見て取れる。
【0092】
図14には、電気駆動ユニット1.2のハウジングだけが、カバー24と共に示されている。
【0093】
図15には、機械式調整ユニット1.1の方を向いた面を見える電気駆動ユニット1.2が示されている。連行体31は、図示した実施例ではピンとして構成されており、このピンは、ハウジングに形成されたガイド輪郭(出口開口部26)に限定的に摺動可能に支持されている。連行体31は、機械式調整ユニット1.1の方を向いている面においてハウジングから突き出ている。
【0094】
図16には、家具駆動システム1の電気駆動ユニット1.2が斜視詳細図で示されており、機械式調整ユニット1.1の方向を向いている、カバー24の部分は省略されている。
【0095】
電気駆動ユニット1.2には、調整アーム52に固定可能な可動の家具部分2の移動を電動モータ駆動式にサポートするための電動モータ30が含まれている。さらに電気駆動ユニット1.2には、機械式調整ユニット1.1もしくは調整アーム52および場合によってこれに結合された家具部分2に電動モータ30のトルクを伝達するために、電動モータ30によって(間接的に)駆動可能な連行体31が含まれている。
【0096】
機械式調整ユニット1.1と電気駆動ユニット1.2とは取り外し可能に互いに結合可能である。これにより、電気駆動ユニット1.2は容易に、機械式調整ユニット1.1に結合するか、または機械式調整ユニット1.1から切り離すことができる。
【0097】
電気駆動ユニット1.2のコンポーネントは、図示したように、カバー24を含むハウジングに配置可能である。ハウジングは、少なくとも一部の領域が機械式調整ユニット1.1に当接しており、また図示した実施例では、電気駆動ユニット1.2の構成ユニットから機械式調整ユニット1.1を分離している。
【0098】
ハウジングの代わりに、例えば、電気駆動ユニット1.2を包囲するのではなく片側でだけ画定しかつ支える組付けプレートも使用可能である。
【0099】
電動モータ30と連行体31との間には、回動軸線33の周りの連行体31の旋回移動に電動モータ30のトルクを変換する伝動装置32が設けられている。伝動装置32は、複数の伝動装置段(ウォーム40および歯車34,35,36,37,38および39)を有する。伝動装置段34~40は、それぞれ互いに噛み合わせを介して係合している。さらに、伝動装置32には、歯車36に組み込まれたフリーホイールクラッチ41と、歯車39に組み込まれたオーバーロードクラッチ42とが含まれている。
【0100】
電気駆動ユニット1.2はまた、回動軸線33の周りの連行体31の移動を減衰するための専用の減衰装置43も有する。
【0101】
図1に戻って、以下をより詳細に説明する。
【0102】
図1には、制御装置44も略示されている。この制御装置44は、家具駆動システム1とは別に形成可能である。好ましくは、この制御装置44は、家具駆動システム1に組み込まれるように構成されている。特に好ましくは、この制御装置44は、電気駆動ユニット1.2も形成するボードに配置されている。
【0103】
制御装置44は、少なくとも1つの駆動装置Aによって調整アーム装置5に作用させることができるかまたは作用される力を特定するための特定装置45を有する。
【0104】
特定装置45は、電動モータ30の電力消費を測定するためのセンサ46を有する。センサ46も同様にボードに配置可能であり、電動モータ30に信号技術的に接続されている。電動モータ30の測定した電力消費値Eは、(好適にはリファレンスランにおいて特定)した比較値Vと比較される。(例えば、決定した閾値Tだけ)偏差している場合、偏差信号Wが出力される。
【0105】
特定装置は付加的に(または択一的に)、調整アーム装置5の角度位置を測定するための角度センサ47を有する。角度センサ47は、同様にボードに配置可能であり、異なる時点に調整アーム装置5の調整アーム52の角度位置を検出する。ここから特定した、調整アーム52の速度Gは、(好適にはリファレンスランにおいて特定した)比較値Vと比較される。(例えば、決定した閾値Tだけ)偏差している場合、偏差信号Wが出力される。
【符号の説明】
【0106】
1 家具駆動システム
1.1 機械式調整ユニット
1.2 電気駆動ユニット
2 可動の家具部分
2a 第1家具フラップ
2b 第2家具フラップ
3 家具キャビネット
3a 側壁
4 支持体
5 調整アーム装置
5a 第1減衰伝達要素
5b 第2減衰伝達要素
51 伝達機構
52 調整アーム
53 制御カム
54 押圧ローラ
55 ストッパ
56 ストッパ要素
57 軸ピン
58 アクチュエータ部分
59 伝達開口部
6 蓄力器
7 減衰装置
71 減衰器ハウジング
72 減衰器ピストン
73 減衰手段
74 ストッパ・対応部材
8 減衰器・設定ユニット
8a 設定手段
8x 設定・軸ピン
8b,8c 凹部
9a ヒンジ
9b ヒンジ
10 天井
11 調整アーム延長部
11a 第1調整アーム部分
11b 第2調整アーム部分
12 固定装置
14 蓄力器・設定ユニット
14a 設定歯車
15 作用箇所
16 ねじ山付きスピンドル
17a 開口部
19 中間レバー
19a 回動軸線
20 組付け固定装置
20a 遠心力クラッチ
21 給電ユニット
22 検出装置
23 保護前板
24 カバー
25 係合開口部
26 出口開口部
30 電動モータ
31 連行体
32 伝動装置
33 回動軸線
34 歯車(伝動装置段)
35 歯車(伝動装置段)
36 歯車(伝動装置段)
37 歯車(伝動装置段)
38 歯車(伝動装置段)
39 歯車(伝動装置段)
40 ウォーム(伝動装置段)
41 フリーホイールクラッチ
42 オーバーランニングクラッチ
43 減衰装置
44 制御装置
45 特定装置
46 電力消費を測定するためのセンサ
47 角度センサ
100 家具
A 駆動装置
D 減衰開始位置
S 閉鎖移動
O 開放移動
SS 閉鎖位置
OS 最大開放位置
X 回動軸線
H 指示信号
E 電力消費値
比較値(電力消費)
比較値(速度)
閾値(電力消費)
閾値(速度)
W 偏差信号
G 速度
図1
図2a-2b】
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6a
図6b
図7a
図7b
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動の家具部分(2)用の家具駆動システム(1)であって、
-家具キャビネット(3)に前記家具駆動システム(1)を組み付けるための支持体(4)と、
-可動に、好適には回動可能に前記支持体(4)に支持される調整アーム装置(5)であって、前記可動の前記家具部分(2)に結合可能な調整アーム装置(5)と、
-前記調整アーム装置(5)に結合されているか、または結合可能である電動モータ(30)であって、当該電動モータ(30)を介して前記調整アーム装置(5)が少なくとも部分的に可動である電動モータ(30)と、
-前記電動モータ(30)とは別の少なくとも1つの駆動装置(A)であって、前記調整アーム装置(5)に力を作用させることができる駆動装置(A)と、
-少なくとも1つの前記駆動装置(A)によって前記調整アーム装置(5)に作用させることができる力を調整可能な調整装置(8,14)と、
-前記電動モータ(30)を制御することができる制御装置(44)と、
を有する、家具駆動システム(1)において、
前記制御装置(44)は、少なくとも1つの前記駆動装置(A)によって前記調整アーム装置(5)に作用させることができるかまたは作用される力を特定するための特定装置(45)を有し、少なくとも1つの前記駆動装置(A)は減衰装置(7)を有し、前記減衰装置(7)により、前記調整アーム装置(5)の閉鎖移動(S)および/または開放移動(O)が減衰可能であり、前記特定装置(45)は、前記減衰装置(7)の減衰器テストを行うように構成されている、
ことを特徴とする、家具駆動システム(1)。
【請求項2】
少なくとも1つの前記駆動装置(A)は、一方では前記支持体(4)に、他方では、好適には間接的に、前記調整アーム装置(5)に作用する、好適にはばねアセンブリの形態の蓄力器(6)を有する、ことを特徴とする、請求項1記載の家具駆動システム。
【請求項3】
前記特定装置(45)は、前記電動モータ(30)の電力消費を測定するためのセンサ(46)を有する、ことを特徴とする、請求項記載の家具駆動システム。
【請求項4】
前記センサ(46)を介して測定した、前記電動モータ(30)の前記電力消費値(E)と、好適にはリファレンスランにおいて特定しかつ/または格納した、前記電力消費の比較値(V)または比較値経過とが、前記制御装置(44)を用いて比較可能であり、測定した前記電力消費値(E)と、前記比較値(V)または比較値経過とが、好適には決定した閾値(T)を上回って偏差する場合、偏差信号(W)が出力可能である、ことを特徴とする、請求項3記載の家具駆動システム。
【請求項5】
前記制御装置(44)を介し、出力された前記偏差信号(W)に応じて、前記家具駆動システム(1)に、好適にはカバー(24)に視覚的な指示信号(H)が表示可能である、ことを特徴とする、請求項4記載の家具駆動システム。
【請求項6】
偏差信号(W)が出力される場合、前記調整装置(8,14)の蓄力器・設定ユニット(14)を介して、前記蓄力器(6)から前記調整アーム装置(5)に作用する力が調整可能である、ことを特徴とする、請求項記載の家具駆動システム。
【請求項7】
前記特定装置(45)は、前記調整アーム装置(5)の角度位置を測定するための角度センサ(47)を有する、ことを特徴とする、請求項記載の家具駆動システム。
【請求項8】
前記閉鎖位置(SS)および/または前記開放位置(OS)の直前に位置する移動区間において、前記調整アーム装置(5)の速度(G)が、前記制御装置(44)を用いて異なる時点に前記角度センサ(47)によって測定した値から特定可能である、ことを特徴とする、請求項7記載の家具駆動システム。
【請求項9】
前記角度センサ(47)を介して特定した前記速度(G)と、好適には格納されかつ/またはリファレンスランにおいて特定した比較値(V)また比較値経過とが、前記制御装置(44)を用いて比較可能であり、測定した前記速度(G)と、前記比較値(T)または前記比較値経過とが、好適には決定した閾値(T)を上回って偏差する場合、偏差信号(W)が出力可能である、ことを特徴とする、請求項8記載の家具駆動システム。
【請求項10】
前記制御装置(44)を介し、出力された前記偏差信号(W)に応じて、前記家具駆動システム(1)に、好適にはカバー(24)に視覚的な指示信号(H)が表示可能である、ことを特徴とする、請求項9記載の家具駆動システム。
【請求項11】
偏差信号(W)が出力される場合、前記調整装置(8,14)の減衰器・設定ユニット(8)を介し、前記支持体(4)に対して相対的に、かつ/または減衰経路について、前記調整アーム装置(5)の角度位置に関連して減衰力、減衰開始位置が調整可能である、ことを特徴とする、請求項記載の家具駆動システム。
【請求項12】
前記調整アーム装置(5)および少なくとも1つの駆動装置(A)は、機械式調整ユニット(1.1)の一部であり、前記電動モータ(30)は、電気駆動ユニット(1.2)の一部であり、前記電気駆動ユニット(1.2)は、前記機械式調整ユニット(1.1)とは別に形成される構成ユニットとして実施されており、前記電気駆動ユニット(1.2)は、前記機械式調整ユニット(1.1)の前記調整アーム装置(5)に前記電動モータ(30)のトルクを伝達するために、少なくとも1つの前記電動モータ(30)によって駆動可能な連行体(31)を有する、ことを特徴とする、請求項記載の家具駆動システム。
【請求項13】
前記電気駆動ユニット(1.2)は、電動モータ(30)と前記連行体(31)との間に伝動装置(32)を有する、ことを特徴とする、請求項12記載の家具駆動システム。
【請求項14】
前記伝動装置(32)には、少なくとも2つの伝動装置段(34,35,36,37,38,39,40)、フリーホイールクラッチ(41)および/またはオーバーロードクラッチ(42)が含まれている、ことを特徴とする、請求項13記載の家具駆動システム。
【請求項15】
前記蓄力器の前記力を前記調整アーム装置に伝達することができる伝達機構が設けられている、ことを特徴とする、請求項記載の家具駆動システム。
【請求項16】
前記伝達機構(51)が、制御カム(53)と、前記蓄力器(6)によって付勢される押圧ローラ(54)とを有し、前記押圧ローラ(54)は、少なくとも1つの前記調整アーム(52)の移動時に、前記制御カム(53)に沿って走行可能である、ことを特徴とする、請求項15記載の家具駆動システム。
【請求項17】
前記調整アーム装置(5)は、前記蓄力器(6)から前記調整アーム(52)に力を伝達するために、可動に支持されたアクチュエータ部分(58)を有する、ことを特徴とする、請求項15記載の家具駆動システム。
【請求項18】
前記アクチュエータ部分(58)は、伝達開口部(59)を有し、前記伝達開口部に、前記電動モータ(30)によって駆動可能な連行体(31)が係合するかまたは係合可能である、ことを特徴とする、請求項13および17記載の家具駆動システム。
【請求項19】
前記蓄力器(6)は、前記調整アーム装置(5)の重力および前記調整アーム装置(5)に結合可能な前記家具部分(2)の重力を補償するために、かつ/または完全な閉鎖位置(SS)の方向に前記調整アーム装置(5)を移動するために、かつ/または完全な開放位置(OS)の方向に前記調整アーム装置(5)を移動するために構成されている、ことを特徴とする、請求項記載の家具駆動システム。
【請求項20】
家具キャビネット(3)と、少なくとも1つの、特に水平方向の軸線周りに可動の家具部分(2)、特に上方折畳式フラップ、上方持上げ式フラップまたは上方旋回式フラップの形態の家具部分(2)と、請求項1から19までの少なくとも1項記載の家具駆動システム(1)とを有する家具(100)。
【請求項21】
家具駆動システム(1)を作動させる方法であって、前記家具駆動システム(1)は、
-家具キャビネット(3)に前記家具駆動システム(1)を組み付けるための支持体(4)と、
-可動に、好適には回動可能に前記支持体(4)に支持される調整アーム装置(5)であって、前記可動の家具部分(2)に結合可能な調整アーム装置(5)と、
-前記調整アーム装置(5)に結合されているか、または結合可能な電動モータ(30)であって、当該電動モータ(30)を介して前記調整アーム装置(5)が少なくとも部分的に可動である電動モータ(30)と、
-前記電動モータ(30)とは別の少なくとも1つの駆動装置(A)であって、前記調整アーム装置(5)に力を作用させることができ、前記調整アーム装置(5)の閉鎖移動(S)および/または開放移動(O)を減衰可能な減衰装置(7)備えた駆動装置(A)と、
-少なくとも1つの前記駆動装置(A)によって前記調整アーム装置(5)に作用させることができる力を調整可能な調整装置(8,14)と、
-前記電動モータ(30)を制御することができる制御装置(44)とを有する、方法において、
-前記制御装置(44)の特定装置(45)により、少なくとも1つの前記駆動装置(A)によって前記調整アーム装置(5)に作用させることができるかまたは作用される力を特定するステップを有し、前記特定装置(45)により、前記減衰装置(7)の減衰器テストを行う、
ことを特徴とする、方法。
【請求項22】
さらなるステップ、すなわち、
-センサ(46)を介して、前記電動モータ(30)の電力消費を測定するステップと、
-測定した前記電力消費と、好適にはリファレンスランにおいて特定し、かつ/または格納した比較値(V)または比較値経過とを比較するステップと、
-測定した電力消費値(E)と、前記比較値(V)または前記比較値経過とが、好適には決定した閾値(T)を上回って偏差する場合、偏差信号(W)を出力するステップと、
を有する、ことを特徴とする、請求項21記載の方法。
【請求項23】
さらなるステップ、すなわち、
前記偏差信号(W)が出力される場合、前記調整装置(8,14)の蓄力器・設定ユニット(14)を介して、前記駆動装置(A)の蓄力器(6)から前記調整アーム装置(5)に作用する力の調整または位置調整を行うステップを有する、ことを特徴とする、請求項22記載の方法。
【請求項24】
さらなるステップ、すなわち、
-異なる時点に角度センサ(47)によって測定した値に基づき、前記閉鎖位置(SS)および/または前記開放位置(OS)の直前に位置する移動区間において、前記調整アーム装置(5)の速度(G)を特定するステップと、
-前記角度センサ(47)を介して特定した前記速度(G)と、好適には格納されかつ/またはリファレンスランにおいて特定した比較値(V)また比較値経過とを比較するステップと、
-測定した前記速度(G)と、前記比較値(V)または前記比較値経過とが、好適には決定した閾値(T)を上回って偏差する場合、偏差信号(W)を出力するステップと、
を有する、ことを特徴とする、請求項21記載の方法。
【請求項25】
前記偏差信号(W)が出力される場合、
-前記減衰力の調整または位置調整のステップ、
-前記支持体(4)に対して相対的な前記調整アーム装置(5)の角度位置に関連して前記減衰開始位置の調整または位置調整のステップ、および/または
-前記調整装置(8,14)の減衰器・設定ユニット(8)を介して、前記駆動装置(A)の減衰装置(7)の減衰経路の調整または位置調整のステップ
を有する、ことを特徴とする、請求項24記載の方法。
【国際調査報告】