(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】HOSVDを使用した術後疼痛の予測
(51)【国際特許分類】
G16H 50/20 20180101AFI20240405BHJP
【FI】
G16H50/20
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566993
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-31
(86)【国際出願番号】 US2022032427
(87)【国際公開番号】W WO2022261042
(87)【国際公開日】2022-12-15
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500360769
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファウンデーション,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バハールー, ラヘレ
(72)【発明者】
【氏名】タイ, パトリック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラシディ, パリサ
(72)【発明者】
【氏名】プリンシペ, ホセ シー.
(72)【発明者】
【氏名】アンダリブ, アラシュ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
5L099AA22
(57)【要約】
本開示の様々な実施形態は、対象となる個人についての軽度又は重度の持続的な術後疼痛(POP)のリスクを予測するためのシステム及び方法を提供する。リスク予測は、コホート予測モデルに少なくとも部分的に基づいて判定され得る。コホート予測モデルは、外科的タイプコホートに関連付けられ、軽度又は重度の持続的な術後疼痛の二項分類に関連付けられた履歴多変量術中バイタルサインデータで初期化される。複素高次特異値分解を使用して、履歴多変量術中バイタルサインデータについての位相情報が判定される。次いで、位相情報と軽度又は重度の持続的なPOPとの間の関係が、判別分析を使用して判定される。その後、対象となる個人についての多変量術中バイタルサインデータのための位相情報が、判定された関係を使用して、対象となる個人を分類するコホート予測モデルに提供される。次いで、リスク予測は、分類を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個人についての持続的な術後疼痛のリスクを予測するためのコンピュータ実装方法であって、前記コンピュータ実装方法は、
プロセッサによって、前記個人の多変量術中バイタルサインデータを含む予測入力データオブジェクトを受信することと、
前記個人の前記多変量術中バイタルサインデータを処理することと、
少なくとも処理された前記多変量術中バイタルサインデータを、前記個人のコホートに関連付けられたコホート予測モデルに提供することであって、前記コホート予測モデルは、術後時間ポイントに関連付けられた履歴データオブジェクトで初期化される、提供することと、
前記コホート予測モデルに少なくとも部分的に基づいて判定された位相情報の分類を含むリスク予測データオブジェクトを生成することであって、前記リスク予測データオブジェクトは、前記術後時間ポイントに関連付けられる、生成することと、
前記個人についての1つ以上のリスク予測ベースのアクションを実行することと、を含む、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記多変量術中バイタルサインデータを処理することは、前記個人の前記多変量術中バイタルサインデータを複素化することを含み、少なくとも前記処理された多変量術中バイタルサインデータをコホート予測モデルに提供することは、前記処理された多変量術中バイタルサインデータを、前記コホート予測モデルの三次元マニホールドに投影することと、前記処理された多変量術中バイタルサインデータの前記投影の位相情報を判定することと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
前記コホート予測モデルは、
複数の個人を含むコホートの各々についての履歴データオブジェクトであって、各履歴データオブジェクトは、二項分類に関連付けられており、対応する個人についての多変量術中バイタルサインデータを含む、履歴データオブジェクトを受信することと、
複数の第1の次元モードデータオブジェクト、複数の第2の次元モードデータオブジェクト、及び複数の第3の次元モードデータオブジェクトを生成するように、前記複数の履歴データオブジェクトを処理することと、
前記複数の第1の次元モードデータオブジェクト及び前記複数の第2の次元モードデータオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて、コホート予測モデルを生成することであって、前記複数の第1の次元モードデータオブジェクト及び前記複数の第2の次元モードデータオブジェクトは、三次元マニホールドを生成するように処理される、生成することと、
前記複数の第3の次元モードデータオブジェクト及び各二項分類に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の履歴データオブジェクトで前記コホート予測モデルを初期化することとによって、少なくとも部分的に基づいて、生成及び初期化される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記複数の履歴データオブジェクトは、複素高次特異値分解(HOSVD)を使用して一緒に集約及び処理され、前記三次元マニホールドは、前記HOSVDによって生成された成分のランクに少なくとも部分的に基づいて、生成される、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記複数の第1の次元モードデータオブジェクトの各々は、1つ以上のバイタルサイン変量タイプの各々についての重みを含み、
前記複数の第2の次元モードデータオブジェクトの各々は、複数の術中時間ポイントの各々についての重みを含み、
前記複数の第3の次元モードデータオブジェクトの各々は、前記複数の個人の各々についての重みを含む、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記コホート予測モデルを初期化することは、前記三次元マニホールド上への前記複数の履歴データオブジェクトの前記投影の位相情報と、二項分類との間の関係を判定することを含む、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記複数の第1の次元モードデータオブジェクトは、第1の相関エントロピー行列の固有ベクトルを含み、前記第1の相関エントロピー行列は、前記複数の履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成され、
前記複数の第2の次元モードデータオブジェクトは、第2の相関エントロピー行列の固有ベクトルを含み、前記第2の相関エントロピー行列は、前記複数の履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成され、
前記複数の第3の次元モードデータオブジェクトは、第3の相関エントロピー行列の固有ベクトルを含み、前記第3の相関エントロピー行列は、前記複数の履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成される、請求項3に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記第1の相関エントロピー行列は、第1のモーメント行列に第1の相互相関エントロピー関数を適用することによって生成され、前記第1のモーメント行列は、三階テンソルの第1のモード行列展開に少なくとも部分的に基づいて生成され、
前記第2の相関エントロピー行列は、第2のモーメント行列に第2の相互相関エントロピー関数を適用することによって生成され、前記第2のモーメント行列は、前記三階テンソルの第2のモード行列展開に少なくとも部分的に基づいて生成され、
前記第3の相関エントロピー行列は、第3のモーメント行列に第3の相互相関エントロピー関数を適用することによって生成され、前記第3のモーメント行列は、前記三階テンソルの第3のモード行列展開に少なくとも部分的に基づいて生成され、前記三階テンソルは、前記複数の履歴データオブジェクトを表す、請求項7に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記第1、第2、及び第3の相互相関エントロピー関数の各々は、ガウス関数に基づく、請求項8に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記個人についての前記1つ以上のリスク予測ベースのアクションは、前記リスク予測データオブジェクトを三次元マニホールドで表示することを含み、前記三次元マニホールドは、前記履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成される、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
個人についての持続的な術後疼痛のリスクを予測するための装置であって、前記装置は、少なくとも1つのプロセッサと、プログラムコードを含む少なくとも1つの非一時的メモリとを備え、前記少なくとも1つの非一時的メモリ及び前記プログラムコードは、前記少なくとも1つのプロセッサで、前記装置に少なくとも、
前記個人の多変量術中バイタルサインデータを含む予測入力データオブジェクトを受信することと、
前記個人の前記多変量術中バイタルサインデータを処理することと、
少なくとも処理された前記多変量術中バイタルサインデータを、前記個人のコホートに関連付けられたコホート予測モデルに提供することであって、前記コホート予測モデルは、術後時間ポイントに関連付けられた履歴データオブジェクトで初期化される、提供することと、
前記コホート予測モデルに少なくとも部分的に基づいて判定された位相情報の分類を含むリスク予測データオブジェクトを生成することであって、前記リスク予測データオブジェクトは、前記術後時間ポイントに関連付けられる、生成することと、
前記個人についての1つ以上のリスク予測ベースのアクションを実行することと、を行わせるように構成されている、装置。
【請求項12】
前記多変量術中バイタルサインデータを処理することは、前記個人の前記多変量術中バイタルサインデータを複素化することを含み、少なくとも前記処理された多変量術中バイタルサインデータをコホート予測モデルに提供することは、前記処理された多変量術中バイタルサインデータを、前記コホート予測モデルの三次元マニホールドに投影することと、前記処理された多変量術中バイタルサインデータの前記投影の位相情報を判定することと、を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記コホート予測モデルは、
複数の個人を含むコホートの各々についての履歴データオブジェクトであって、各履歴データオブジェクトは、二項分類に関連付けられており、対応する個人についての多変量術中バイタルサインデータを含む、履歴データオブジェクトを受信することと、
複数の第1の次元モードデータオブジェクト、複数の第2の次元モードデータオブジェクト、及び複数の第3の次元モードデータオブジェクトを生成するように、前記複数の履歴データオブジェクトを処理することと、
前記複数の第1の次元モードデータオブジェクト及び前記複数の第2の次元モードデータオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて、コホート予測モデルを生成することであって、前記複数の第1の次元モードデータオブジェクト及び前記複数の第2の次元モードデータオブジェクトは、三次元マニホールドを生成するように処理される、生成することと、
前記複数の第3の次元モードデータオブジェクト及び各二項分類に少なくとも部分的に基づいて、前記複数の履歴データオブジェクトで前記コホート予測モデルを初期化することとによって、少なくとも部分的に基づいて、生成及び初期化される、請求項11に記載の装置。
【請求項14】
前記複数の履歴データオブジェクトは、複素高次特異値分解(HOSVD)を使用して一緒に集約及び処理され、前記三次元マニホールドは、前記HOSVDによって生成された成分のランクに少なくとも部分的に基づいて、生成される、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記複数の第1の次元モードデータオブジェクトの各々は、1つ以上のバイタルサイン変量タイプの各々についての重みを含み、
前記複数の第2の次元モードデータオブジェクトの各々は、複数の術中時間ポイントの各々についての重みを含み、
前記複数の第3の次元モードデータオブジェクトの各々は、前記複数の個人の各々についての重みを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記コホート予測モデルを初期化することは、前記三次元マニホールド上への前記複数の履歴データオブジェクトの前記投影の位相情報と、二項分類との間の関係を判定することを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
前記複数の第1の次元モードデータオブジェクトは、第1の相関エントロピー行列の固有ベクトルを含み、前記第1の相関エントロピー行列は、前記複数の履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成され、
前記複数の第2の次元モードデータオブジェクトは、第2の相関エントロピー行列の固有ベクトルを含み、前記第2の相関エントロピー行列は、前記複数の履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成され、
前記複数の第3の次元モードデータオブジェクトは、第3の相関エントロピー行列の固有ベクトルを含み、前記第3の相関エントロピー行列は、前記複数の履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成される、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
前記第1の相関エントロピー行列は、第1のモーメント行列に第1の相互相関エントロピー関数を適用することによって生成され、前記第1のモーメント行列は、三階テンソルの第1のモード行列展開に少なくとも部分的に基づいて生成され、
前記第2の相関エントロピー行列は、第2のモーメント行列に第2の相互相関エントロピー関数を適用することによって生成され、前記第2のモーメント行列は、前記三階テンソルの第2のモード行列展開に少なくとも部分的に基づいて生成され、
前記第3の相関エントロピー行列は、第3のモーメント行列に第3の相互相関エントロピー関数を適用することによって生成され、前記第3のモーメント行列は、前記三階テンソルの第3のモード行列展開に少なくとも部分的に基づいて生成され、前記三階テンソルは、前記複数の履歴データオブジェクトを表す、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第1、第2、及び第3の相互相関エントロピー関数の各々は、ガウス関数に基づく、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記個人についての前記1つ以上のリスク予測ベースのアクションは、前記リスク予測データオブジェクトを三次元マニホールドで表示することを含み、前記三次元マニホールドは、前記履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成される、請求項11に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年6月8日に出願された米国特許出願第63/202,374号の米国特許法第119条(e)に基づく利益を主張する。
【0002】
政府の支援
本発明は、米国国立衛生研究所によって授与された助成番号R01 GM114290の下、政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【0003】
本開示の実施形態は、概して、生物学的及び生物医学的測定に基づく術後疼痛(POP)リスク予測のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
手術後の長期的な疼痛状態及び疼痛緩和薬に対する個人の応答は、まだ完全には理解されていない。米国では毎年1億人超の患者が手術を受ける。これらの患者の60パーセント超が、急性術後疼痛に悩まされる。手術後の疼痛の解消は、非常にばらつきがあり、患者の3分の1は、手術後少なくとも7日間、手術後の毎日の疼痛が安定しているか、又は増加さえしている。
【0005】
急性術後疼痛(POP)後の持続的な疼痛は、心臓、胸部、脊椎、又は整形外科手術などの一般的な外科的処置の後に、個人の10~50%によって経験される。穏やかなレベルの持続的な術後疼痛(POP)でさえ、身体的及び社会的活動の減少と関連付けられるが、このタイプの疼痛を経験する患者の2~10%は、重度のレベルの疼痛を発症し得、したがって、回復及び正常な日常機能への回復が遅れる。更に、持続的なPOPは、追加のリソース使用を通じて直接的な医療コストの増加につながる。持続的なPOPの予測、識別、及び評価は、重大で認識されていない臨床的問題である。その結果、このタイプの疼痛を発症するリスクのある患者の認識は、依然として不十分なままであった。
【0006】
POPは、生物学的、心理的、及び社会的因子を含むがこれらに限定されない、様々な相互作用因子に由来すると想定される。例えば、心理的因子(うつ病、心理的脆弱性、ストレス、及び破局化)は、持続的なPOPの発症のリスク因子であり得る。別の例として、女性の性別は、持続的なPOPを発症するリスク因子であり得る。より重要なことに、急性POP、及び特に運動誘発性疼痛の重症度は、持続的なPOPと有意に関連付けられた主要なリスク因子である。そのような場合、高強度の急性POPに起因する中枢神経系の神経可塑性変化は、持続的なPOPの発症の原因であり得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
概して、本開示の実施形態は、個人についての持続的な術後疼痛(POP)のリスクを予測し、1つ以上のリスク予測ベースのアクションを実行するための方法、装置、システム、コンピューティングデバイス、コンピューティングエンティティ、及び/又は同様のものを提供する。様々な実施形態では、個人のコホートについての多変量術中バイタルサインデータは、収集され、及び処理され得る。各個人は、その個人が軽度又は重度の持続的なPOPを経験したかどうかを示す二項分類に関連付けられ得る。多変量術中バイタルサインデータを処理することは、複数の次元表現を生成するように、複素高次特異値分解(HOSVD)技法を実行することを含み得る。例えば、多変量術中バイタルサインデータは、(例えば、1つの次元が異なるバイタルサイン変量を表し、別の次元が術中時間を表し、更に別の次元が異なる個人を表す)三次元テンソルとして構造化され得、多変量術中バイタルサインデータを処理することは、複数の第1の次元モードデータオブジェクト、複数の第2の次元モードデータオブジェクト、及び複数の第3の次元モードデータオブジェクトをもたらし得る。
【0008】
様々な実施形態では、コホートについてのコホート予測モデルは、個人のコホートについての多変量術中バイタルサインデータの処理に少なくとも部分的に基づいて生成され得る。コホート予測モデルは、多変量術中バイタルサインデータの位相情報間の関係を判定するために、個人のコホートについての多変量術中バイタルサインデータで初期化され得る。様々な実施形態では、対象となる個人についての持続的なPOPについてのリスク予測は、対象となる個人についての多変量術中バイタルサインデータを、対象となる個人が属するコホートに関連付けられたコホート予測モデルに提供することに少なくとも部分的に基づいて生成及び提供され得る。対象となる個人についての多変量術中バイタルサインデータは、位相情報を判定するために(例えば、ヒルベルト変換技法を介して)処理され得、コホート予測モデルは、多変量術中バイタルサインデータ及び/又は多変量術中バイタルサインデータの位相情報を使用して、軽度又は重度の持続的なPOPの対象となる個人についての二項分類を判定し得る。したがって、様々な実施形態では、対象となる個人についてのリスク予測は、軽度又は重度の持続的なPOPの二項分類を含む。様々な実施形態では、次いで、様々なリスク予測ベースのアクションは、個人について実行され得る。
【0009】
いくつかの実施形態では、個人についての持続的な術後疼痛のリスクを予測するためのコンピュータ実装方法は、部分的に、プロセッサによって、個人の多変量術中バイタルサインデータを含む予測入力データオブジェクトを受信することと、個人の多変量術中バイタルサインデータを処理することと、少なくとも処理された多変量術中バイタルサインデータを、個人のコホートに関連付けられたコホート予測モデルに提供することであって、コホート予測モデルは、術後時間ポイントに関連付けられた履歴データオブジェクトで初期化される、提供することと、コホート予測モデルに少なくとも部分的に基づいて判定された位相情報の分類を含むリスク予測データオブジェクトを生成することであって、リスク予測データオブジェクトは、術後時間ポイントに関連付けられる、生成することと、個人についての1つ以上のリスク予測ベースのアクションを実行することと、を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、多変量術中バイタルサインデータを処理することは、個人の多変量術中バイタルサインデータを複素化することを含む。いくつかの実施形態では、個人の多変量術中バイタルサインデータを複合化することは、多変量術中バイタルサインデータをそれらのヒルベルト変換で増強することを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも処理された多変量術中バイタルサインデータをコホート予測モデルに提供することは、処理された多変量術中バイタルサインデータを、コホート予測モデルの三次元マニホールドに投影することと、処理された多変量術中バイタルサインデータの投影の位相情報を判定することと、を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、コホート予測モデルは、複数の個人を含むコホートの各々についての履歴データオブジェクトであって、各履歴データオブジェクトが、二項分類に関連付けられており、対応する個人についての多変量術中バイタルサインデータを含む、履歴データオブジェクトを受信することと、複数の第1の次元モードデータオブジェクト、複数の第2の次元モードデータオブジェクト、及び複数の第3の次元モードデータオブジェクトを生成するように、複数の履歴データオブジェクトを処理することと、複数の第1の次元モードデータオブジェクト及び複数の第2の次元モードデータオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて、コホート予測モデルを生成することであって、複数の第1の次元モードデータオブジェクト及び複数の第2の次元モードデータオブジェクトは、三次元マニホールドを生成するように処理される、生成することと、複数の第3の次元モードデータオブジェクト及び各二項分類に少なくとも部分的に基づいて、複数の履歴データオブジェクトでコホート予測モデルを初期化することとによって、少なくとも部分的に基づいて、生成及び初期化される。
【0013】
いくつかの実施形態では、複数の履歴データオブジェクトは、複素高次特異値分解(HOSVD)を使用して一緒に集約及び処理され、三次元マニホールドは、HOSVDによって生成された成分のランクに少なくとも部分的に基づいて、生成される。いくつかの実施形態では、成分のランクは、少なくとも部分的にフィッシャーランキング技法に基づくランク特徴法を使用して判定され得る。いくつかの実施形態では、上位3つのランク付けされた成分は、三次元マニホールドを形成するために選択される。
【0014】
いくつかの実施形態では、複数の第1の次元モードデータオブジェクトの各々は、1つ以上のバイタルサイン変量タイプの各々についての重みを含み、複数の第2の次元モードデータオブジェクトの各々は、複数の術中時間ポイントの各々についての重みを含み、複数の第3の次元モードデータオブジェクトの各々は、複数の個人の各々についての重みを含む。
【0015】
いくつかの他の実施形態では、複数の第1の次元モードデータオブジェクトは、第1の相関エントロピー(correntropy)行列の固有ベクトルを含み、第1の相関エントロピー行列は、複数の履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成され、複数の第2の次元モードデータオブジェクトは、第2の相関エントロピー行列の固有ベクトルを含み、第2の相関エントロピー行列は、複数の履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成され、複数の第3の次元モードデータオブジェクトは、第3の相関エントロピー行列の固有ベクトルを含み、第3の相関エントロピー行列は、複数の履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成される。いくつかの実施形態では、第1の相関エントロピー行列は、第1のモーメント行列に第1の相互相関エントロピー関数を適用することによって生成され、第1のモーメント行列は、三階テンソルの第1のモード行列展開に少なくとも部分的に基づいて生成され、第2の相関エントロピー行列は、第2のモーメント行列に第2の相互相関エントロピー関数を適用することによって生成され、第2のモーメント行列は、三階テンソルの第2のモード行列展開に少なくとも部分的に基づいて生成され、第3の相関エントロピー行列は、第3のモーメント行列に第3の相互相関エントロピー関数を適用することによって生成され、第3のモーメント行列は、三階テンソルの第3のモード行列展開に少なくとも部分的に基づいて生成され、三階テンソルは、複数の履歴データオブジェクトを表す。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3の相互相関エントロピー関数の各々は、ガウス関数に基づく。
【0016】
いくつかの実施形態では、コホート予測モデルを初期化することは、三次元マニホールド上への複数の履歴データオブジェクトの投影の位相情報と、二項分類との間の関係を判定することを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、個人についての1つ以上のリスク予測ベースのアクションは、リスク予測データオブジェクトを三次元マニホールドで表示することを含み、三次元マニホールドは、履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成される。
【0018】
いくつかの実施形態では、個人についての持続的な術後疼痛のリスクを予測するための装置は、少なくとも1つのプロセッサと、プログラムコードを含む少なくとも1つの非一時的メモリとを備える。少なくとも1つの非一時的メモリ及びプログラムコードは、少なくとも1つのプロセッサで、装置に少なくとも、個人の多変量術中バイタルサインデータを含む予測入力データオブジェクトを受信することと、個人の多変量術中バイタルサインデータを処理することと、少なくとも処理された多変量術中バイタルサインデータを、個人のコホートに関連付けられたコホート予測モデルに提供することであって、コホート予測モデルは、術後時間ポイントに関連付けられた履歴データオブジェクトで初期化される、提供することと、コホート予測モデルに少なくとも部分的に基づいて判定された位相情報の分類を含むリスク予測データオブジェクトを生成することであって、リスク予測データオブジェクトは、術後時間ポイントに関連付けられる、生成することと、個人についての1つ以上のリスク予測ベースのアクションを実行することと、を行わせるように構成される。
【0019】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非一時的なメモリ及びプログラムコードを、少なくとも1つのプロセッサで、装置に、多変量術中バイタルサインデータを処理させるように構成することは、少なくとも1つの非一時的なメモリ及びプログラムコードを、少なくとも1つのプロセッサで、装置に、個人の多変量術中バイタルサインデータを複素化させるように構成することを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非一時的なメモリ及びプログラムコードを、少なくとも1つのプロセッサで、装置に、個人の多変量術中バイタルサインデータを複素化させるように構成することは、少なくとも1つの非一時的なメモリ及びプログラムコードを、少なくとも1つのプロセッサで、装置に、多変量術中バイタルサインデータを、それらのヒルベルト変換で増強するように構成することを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非一時的なメモリ及びプログラムコードを、少なくとも1つのプロセッサで、装置に、少なくとも処理された多変量術中バイタルサインデータをコホート予測モデルに提供させるように構成することは、少なくとも1つの非一時的なメモリ及びプログラムコードを、少なくとも1つのプロセッサで、装置に、処理された多変量術中バイタルサインデータをコホート予測モデルの三次元マニホールドに投影させ、処理された多変量術中バイタルサインデータの投影の位相情報を判定させるように構成することを含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、装置が、少なくとも処理された多変量術中バイタルサインデータを提供するように構成されているコホート予測モデルは、複数の個人を含むコホートの各々についての履歴データオブジェクトであって、各履歴データオブジェクトが、二項分類に関連付けられており、対応する個人についての多変量術中バイタルサインデータを含む、履歴データオブジェクトを受信することと、複数の第1の次元モードデータオブジェクト、複数の第2の次元モードデータオブジェクト、及び複数の第3の次元モードデータオブジェクトを生成するように、複数の履歴データオブジェクトを処理することと、複数の第1の次元モードデータオブジェクト及び複数の第2の次元モードデータオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて、コホート予測モデルを生成することであって、複数の第1の次元モードデータオブジェクト及び複数の第2の次元モードデータオブジェクトは、三次元マニホールドを生成するように処理される、生成することと、複数の第3の次元モードデータオブジェクト及び各二項分類に少なくとも部分的に基づいて、複数の履歴データオブジェクトでコホート予測モデルを初期化することとによって、少なくとも部分的に基づいて、生成及び初期化される。
【0022】
いくつかの実施形態では、複数の第1の次元モードデータオブジェクトの各々は、1つ以上のバイタルサイン変量タイプの各々についての重みを含み、複数の第2の次元モードデータオブジェクトの各々は、複数の術中時間ポイントの各々についての重みを含み、複数の第3の次元モードデータオブジェクトの各々は、複数の個人の各々についての重みを含む。
【0023】
いくつかの他の実施形態では、複数の第1の次元モードデータオブジェクトは、第1の相関エントロピー行列の固有ベクトルを含み、第1の相関エントロピー行列は、複数の履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成され、複数の第2の次元モードデータオブジェクトは、第2の相関エントロピー行列の固有ベクトルを含み、第2の相関エントロピー行列は、複数の履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成され、複数の第3の次元モードデータオブジェクトは、第3の相関エントロピー行列の固有ベクトルを含み、第3の相関エントロピー行列は、複数の履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成される。いくつかの実施形態では、第1の相関エントロピー行列は、第1のモーメント行列に第1の相互相関エントロピー関数を適用することによって生成され、第1のモーメント行列は、三階テンソルの第1のモード行列の展開に少なくとも部分的に基づいて生成され、第2の相関エントロピー行列は、第2のモーメント行列に第2の相互相関エントロピー関数を適用することによって生成され、第2のモーメント行列は、三階テンソルの第2のモード行列の展開に少なくとも部分的に基づいて生成され、第3の相関エントロピー行列は、第3のモーメント行列に第3の相互相関エントロピー関数を適用することによって生成され、第3のモーメント行列は、三階テンソルの第3のモード行列の展開に少なくとも部分的に基づいて生成され、三階テンソルは、複数の履歴データオブジェクトを表す。いくつかの実施形態では、第1、第2、及び第3の相互相関エントロピー関数の各々は、ガウス関数に基づく。
【0024】
いくつかの実施形態では、コホート予測モデルを生成及び初期化するために、複数の履歴データオブジェクトは、複素高次特異値分解(HOSVD)を使用して一緒に集約及び処理され、三次元マニホールドは、HOSVDによって生成された成分のランクに少なくとも部分的に基づいて、生成される。いくつかの実施形態では、成分のランクは、少なくとも部分的にフィッシャーランキング技法に基づくランク特徴法を使用して判定され得る。いくつかの実施形態では、上位3つのランク付けされた成分は、三次元マニホールドを形成するために選択される。いくつかの実施形態では、コホート予測モデルを初期化することは、三次元マニホールド上への複数の履歴データオブジェクトの投影の位相情報と、二項分類との間の関係を判定することを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの非一時的なメモリ及びプログラムコードを、少なくとも1つのプロセッサで、装置に、個人についての1つ以上のリスク予測ベースのアクションを実行させるように構成することは、少なくとも1つの非一時的なメモリ及びプログラムコードを、少なくとも1つのプロセッサで、装置に、リスク予測データオブジェクトを三次元マニホールドで表示させるように構成することを含み、三次元マニホールドは、履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて生成される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
したがって、本開示の実施形態を一般的な用語で説明してきたが、必ずしも縮尺通りに描かれていない添付の図面を参照する。
【0027】
【
図1】本開示の様々な実施形態を実践するために使用され得る例示的なシステムアーキテクチャの例示的な概要を提供する。
【
図2】本開示の様々な実施形態による、例示的なシステムコンピューティングエンティティの概略図である。
【
図3】本開示の様々な実施形態による、例示的なクライアントコンピューティングエンティティの概略図である。
【
図4】本開示の様々な実施形態による、例示的なシステムコンピューティングエンティティのブロック図を提供する。
【
図5A】本開示の様々な実施形態による、術後疼痛のリスクを予測するための例示的な動作のプロセスフローを提供する。
【
図5B】本開示の様々な実施形態による、術後疼痛のリスクを予測するための例示的な動作のプロセスフローを提供する。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、いくつかの例示的なコホート予測モデルの一部を例証する。
【
図7】本開示の様々な実施形態による、術後疼痛のリスクを予測するための例示的なプロセスの図を提供する。
【
図8】本開示のいくつかの他の実施形態による、いくつかの例示的なコホート予測モデルの一部を例証する。
【
図9A】本開示のいくつかの実施形態による、カーネル幅の2つの異なる例示的な集合を使用して取得された最初の3つの一時的因子を示す。
【
図9B】本開示のいくつかの実施形態による、カーネル幅の2つの異なる例示的な集合を使用して取得された最初の3つの一時的因子を示す。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による、例示的な最適なカーネル幅を使用して取得された最初の3つの一時的因子を示す。
【
図11】本開示のいくつかの実施形態による、カーネル幅の異なる例示的な集合について例示的なの複素HOSVDを適用することによって抽出された上位10の成分におけるフィッシャースコアの値の例示的な変化を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
ここで、本開示の様々な実施形態は、本開示の全てではないがいくつかの実施形態が示されている、添付の図面を参照して、以下により完全に説明される。実際、本開示は、多くの異なる形式で具体化され得、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が適用可能な法的要件を満たすように提供される。「又は」という用語(「/」としても示される)は、別途示されていない限り、本明細書では、代替的な意味及び結合的な意味の両方で使用される。「例証的な」及び「例示的な」という用語は、品質レベルの指標を伴わない実施例であるために使用される。同様の数字は、全体を通して同様の要素を指す。
【0029】
I.一般的な概要及び技術的利点
本開示の様々な実施形態は、多変量術中バイタルサインデータの位相情報と軽度又は重度の持続的なPOPとの間の関係を判定するためのコホート予測モデルを生成する。様々な実施形態は、対象となる個人についての多変量術中バイタルサインデータの位相情報に少なくとも部分的に基づいて、対象となる個人が軽度又は重度の持続的なPOPが発症し得るかどうかを予測するために、そのような判定された関係を更に適用する。そうすることにより、様々な実施形態は、持続的な術後POPの発症に関連して、外科的傷害に対する各個人の独自の系統的応答を有利に考慮する。
【0030】
術中、自律神経系が様々な外科的刺激に連続的に応答するため、心拍数、血圧、及び呼吸などの異なるバイタルサイン変量タイプは、個人の系統的な応答の指標として使用されることができる。全身麻酔中に、皮膚切開に対する応答を防ぐために十分な用量の麻酔薬が投与されるとき、外科的ストレスによって誘発される血行動態応答は、必ずしも減衰されるとは限らない。交感神経系は、有害な刺激に応答して、局所血流、血圧、及び心拍数などの血行動態パラメータを本質的に変化させる。麻酔薬は、このシステムを異なるレベルで妨害する。血行動態パラメータの中で、心拍数はまた、副交感神経放電の変化を含み得る。したがって、全身麻酔下での様々な外科的刺激及び痛覚不均衡に関連する患者の血行動態応答の時系列を監視及び分析することは、自律神経系の痛覚刺激に対する挙動を間接的に特徴付け、持続的なPOPの発症との関係を提供する。
【0031】
本開示の様々な実施形態は、術中のバイタルサインにおけるリード/ラグ関係との動的相関を調査するために、複素HOSVDを用いる。様々な実施形態では、複素バイタルサインデータは、ヒルベルト変換技法を使用して生成される。術中のバイタルサインの多変量一時的構造は、バイタルサイン変量タイプ及び時間のジョイント関数としてのデータの相互相関を定量化することによって明らかになる。したがって、様々な実施形態は、相関構造をかなり少数の複素固有ベクトルに圧縮するために、複素HOSVDを有利に用いる。複素固有ベクトルは、血行動態応答を説明するための新しい基底として用いられる。新しい基底で部分空間に投影した後、各術中時系列と固有ベクトルとの間の複素相関は、相関の大きさ及び位相において明白になる。様々な実施形態では、相関の位相は、元の術中時系列におけるリード/ラグ関係を推測するために使用される。
【0032】
様々な実施形態では、多変量術中バイタルサインデータは、心拍数、血中酸素レベル、呼気終末CO2レベル、呼吸一回換気量、収縮期血圧、拡張期血圧、イソフルラン濃度、セボフルラン濃度、及び/又は同様のものなどの様々なバイタルサイン変量タイプについて記録された術中の時系列を含む。様々な実施形態は、コホート予測モデルを生成するために、個人のコホートについての多変量術中バイタルサインデータを使用し得る。様々な実施形態では、コホートについての多変量術中バイタルサインデータは、三次元テンソル
【数1】
に編制され、ここで、I
1及びI
2は、バイタルサイン変量タイプの数及び術中時間ポイントの数(例えば、バイタルサインデータが収集されたときの周期的な時間ポイント)を表し、I
3は、コホートにおける個人又は患者の数である。様々な実施形態では、コホート予測モデルは、整形外科、泌尿器、結腸直腸、移植、膵臓/胆道、及び胸部手術などの外科手術タイプに少なくとも部分的に基づいて判定された異なるコホートについて生成され得る。様々な実施形態では、コホート予測モデルは、術後30日で軽度の持続的なPOPを発症したコホートの個人と、術後30日で重度の持続的なPOPを発症したコホートの個人との間の位相情報の差を判定し得る。様々な実施形態では、コホート予測モデルは、追加的に又は代替的に、術後90日で軽度の持続的なPOPを発症した個人と、術後90日で重度の持続的なPOPを発症した個人との間の位相情報の差を判定し得る。
【0033】
実際、本開示の様々な実施形態は、多変量術中バイタルサインデータを分析するための様々な他の方法及びシステムに技術的利点及び改善を提供する。例えば、相互スペクトル解析は、用いるのが困難であり、血行動態調節における結合された生物学的システム間の動的相互作用の不規則に発生する事象及び未知の優勢な周波数については、あまり記述的ではない。更に、様々な実施形態は、立位動態とは対照的に、血行動態応答の伝播動態に関連する位相情報を有利に判定する。概して、本開示の様々な実施形態は、多変量術中バイタルサインデータに捕捉された疼痛を伴う刺激に対する個人の固有の応答の分析に少なくとも部分的に基づいて、対象となる個人についての持続的なPOPのリスクを正確に予測することに一意かつ有利に適している。
【0034】
II.例示的なシステムアーキテクチャ
図1は、個人についての持続的なPOPのリスクを予測し、1つ以上のリスク予測ベースのアクションを実行するための例示的なシステムアーキテクチャ100の概略図である。システムアーキテクチャ100は、コホート予測モデルを生成し、コホート予測モデルに少なくとも部分的に基づいて、対象となる個人についてのリスク予測データオブジェクトを生成及び提供し、1つ以上のリスク予測ベースのアクションを実行し、及び/又は同様のことを行うように構成された持続的なPOP予測システム101を含む。様々な実施形態では、持続的なPOP予測システム101は、クライアントコンピューティングエンティティ106から予測入力データオブジェクトを受信することに少なくとも部分的に基づいて、対象となる個人についてのリスク予測データオブジェクトを提供する。
【0035】
いくつかの実施形態では、持続的なPOP予測システム101は、1つ以上の通信ネットワークを使用して、クライアントコンピューティングエンティティ106のうちの少なくとも1つと通信し得る。通信ネットワークの実施例は、例えば、有線又は無線ローカルエリアネットワーク(LAN)、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)などを含む任意の有線又は無線通信ネットワーク、並びにそれを実装するために必要な任意のハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェア(例えば、ネットワークルータ及び/又は同様のものなど)を含む。様々な実施形態では、持続的なPOP予測システム101は、アプリケーションプログラミングインターフェース(API)を含み、API呼び出しを介してクライアントコンピューティングエンティティ106から予測入力データオブジェクトを受信し、API応答を介してリスク予測データオブジェクトを提供する。
【0036】
持続的なPOP予測システム101は、システムコンピューティングエンティティ102と、記憶サブシステム104とを含み得る。システムコンピューティングエンティティ102は、コホート予測モデルを生成し、1つ以上のクライアントコンピューティングエンティティ106から予測入力データオブジェクトを受信し、予測入力データオブジェクトを処理し、予測入力データオブジェクトをコホート予測モデルに提供することに少なくとも部分的に基づいて、リスク予測データオブジェクトを提供するように構成され得る。様々な実施形態では、システムコンピューティングエンティティ102は、クラウドベースのコンピューティングシステムであり、各々がコンピュータ処理リソース及びデータを共有し、割り当てるように構成された1つ以上のコンピューティングデバイスを備える。
【0037】
記憶サブシステム104は、個人についての持続的なPOPのリスクを予測するための、及び1つ以上のリスク予測ベースのアクションを実行するためのデータを記憶するように構成され得る。例えば、システムコンピューティングエンティティ102によって生成されたコホート予測モデルは、記憶サブシステム104に記憶され得る。記憶サブシステム104は、コンピュータネットワークを通じて接続された複数の分散記憶ユニットなどの1つ以上の記憶ユニットを含み得る。記憶サブシステム104における各記憶ユニットは、1つ以上のデータ資産のうちの少なくとも1つ、及び/又は1つ以上のデータ資産の計算された特性に関する1つ以上のデータを記憶し得る。更に、記憶サブシステム104における各記憶ユニットは、ハードディスク、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、NVRAM、MRAM、RRAM(登録商標)、SONOS、FJG RAM、Millipedeメモリ、レーストラックメモリ、及び/又は同様のものを含むが、これらに限定されない1つ以上の不揮発性記憶媒体又はメモリ媒体を含み得る。
【0038】
III.例示的なコンピューティングエンティティ
概して、本明細書で交換可能に使用されるデバイス、システム、コンピューティングエンティティ、エンティティという用語、及び/又は同様の単語は、例えば、1つ以上のコンピュータ、コンピューティングエンティティ、デスクトップ、携帯電話、タブレット、ファブレット、ノートブック、ラップトップ、分散システム、キオスク、入力端末、サーバ若しくはサーバネットワーク、ブレード、ゲートウェイ、スイッチ、処理デバイス、処理エンティティ、セットトップボックス、リレー、ルータ、ネットワークアクセスポイント、基地局など、並びに/又は本明細書に記載される機能、動作、及び/若しくはプロセスを実行するように適合されたデバイス若しくはエンティティの任意の組み合わせを指すことができる。そのような機能、動作、及び/又はプロセスは、例えば、送信すること、受信すること、動作すること、処理すること、表示すること、記憶すること、判定すること、作成/生成すること、監視すること、評価すること、比較すること、及び/又は本明細書で交換可能に使用される同様の用語を含み得る。一実施形態では、これらの機能、動作、及び/又はプロセスは、データ、コンテンツ、情報、及び/又は本明細書で交換可能に使用される同様の用語に対して実行されることができる。
【0039】
図2は、本開示の実施形態と併せて使用されることができるシステムコンピューティングエンティティ102を代表する例証的な概略図を提供する。例えば、システムコンピューティングエンティティ102は、コホート予測モデルを生成し、永続的なPOPリスク予測データオブジェクトを生成及び提供し、1つ以上のリスク予測ベースのアクションを実行するための手段を備えるように構成され得、及び/又は備え得る。
図2に示されるように、一実施形態では、システムコンピューティングエンティティ102は、例えば、バスを介してシステムコンピューティングエンティティ102内の他の要素と通信する1つ以上の処理要素205(プロセッサ、処理回路、及び/又は本明細書で交換可能に使用される同様の用語とも呼ばれる)を含み得るか、又はそれらと通信し得る。理解されるように、処理要素205は、多くの異なる方法で具現化され得る。
【0040】
例えば、処理要素205は、1つ以上の複雑なプログラマブルロジックデバイス(CPLD)、マイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、コプロセッシングエンティティ、アプリケーション固有の命令セットプロセッサ(ASIP)、マイクロコントローラ、及び/又はコントローラとして具現化され得る。更に、処理要素205は、1つ以上の他の処理デバイス又は回路として具体化され得る。回路という用語は、完全にハードウェアの実施形態、又はハードウェア及びコンピュータプログラム製品の組み合わせを指し得る。したがって、処理要素205は、集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、ハードウェアアクセラレータ、他の回路、及び/又はそのようなものとして具現化され得る。
【0041】
したがって、理解されるように、処理要素205は、特定の使用のために構成され得、又は揮発性媒体若しくは不揮発性媒体に記憶された、又は別様に処理要素205にアクセス可能な命令を実行するように構成され得る。したがって、ハードウェア又はコンピュータプログラム製品によって、又はそれらの組み合わせによって構成されるかどうかにかかわらず、処理要素205は、それに応じて構成されるとき、本開示の実施形態によるステップ又は動作を実行することが可能であり得る。
【0042】
一実施形態では、システムコンピューティングエンティティ102は、不揮発性媒体(不揮発性記憶装置、メモリ、メモリ記憶装置、メモリ回路及び/又は本明細書で交換可能に使用される同様の用語とも呼ばれる)を更に含み得るか、又はそれらと通信し得る。一実施形態では、不揮発性記憶装置又はメモリは、ハードディスク、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、NVRAM、MRAM、RRAM(登録商標)、SONOS、FJG RAM、Millipedeメモリ、レーストラックメモリ、及び/又は同様のものを含むが、これらに限定されない1つ以上の不揮発性記憶媒体又はメモリ媒体210を含み得る。
【0043】
認識されるように、不揮発性記憶媒体又はメモリ媒体210は、データベース、データベースインスタンス、データベース管理システム、データ、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイルコード、解釈コード、マシンコード、実行可能命令、及び/又は同様のものを記憶し得る。データベース、データベースインスタンス、データベース管理システムという用語、及び/又は本明細書で交換可能に使用される同様の用語は、階層データベースモデル、ネットワークモデル、リレーショナルモデル、エンティティ関係モデル、オブジェクトモデル、ドキュメントモデル、セマンティックモデル、グラフモデル、及び/又は同様のものなどの1つ以上のデータベースモデルを使用して、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されているレコード又はデータの集合を指し得る。
【0044】
一実施形態では、システムコンピューティングエンティティ102は、揮発性媒体(揮発性記憶装置、メモリ、メモリ記憶装置、メモリ回路及び/又は本明細書で交換可能に使用される同様の用語とも呼ばれる)を更に含み得るか、又はそれらと通信し得る。一実施形態では、揮発性記憶装置又はメモリはまた、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、TTRAM、T-RAM、Z-RAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリ、及び/又は同様のものを含むが、これらに限定されない1つ以上の揮発性記憶媒体又はメモリ媒体215を含み得る。
【0045】
認識されるように、揮発性記憶媒体又はメモリ媒体215は、データベース、データベースインスタンス、データベース管理システム、データ、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイルコード、解釈コード、マシンコード、実行可能命令、及び/又は、例えば、処理要素205によって実行される同様のものの少なくとも一部を記憶するために使用され得る。したがって、データベース、データベースインスタンス、データベース管理システム、データ、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイルコード、解釈コード、マシンコード、実行可能命令、及び/又は同様のものは、処理要素205及びオペレーティングシステムの支援を受けて、システムコンピューティングエンティティ102の動作の特定の態様を制御するために使用され得る。
【0046】
示されるように、一実施形態では、システムコンピューティングエンティティ102はまた、送信され、受信され、操作され、処理され、表示され、記憶され、及び/又同様のことがされることができる、データ、コンテンツ、情報、及び/又は本明細書で交換可能に使用される同様の用語を通信することなどによって、様々なコンピューティングエンティティ(例えば、1つ以上のクライアントコンピューティングエンティティ106)と通信するための1つ以上のネットワークインターフェース220を含み得る。そのような通信は、ファイバ分散データインタフェース(FDDI)、デジタル加入者回線(DSL)、イーサネット(登録商標)、非同期転送モード(ATM)、フレームリレー、データオーバーケーブルサービスインタフェース仕様(DOCSIS)、又は任意の他の有線伝送プロトコルなどの有線データ伝送プロトコルを使用して実行され得る。同様に、システムコンピューティングエンティティ102は、汎用パケット無線システム(GPRS)、ユニバーサル移動体通信システム(UMTS)、符号分割多元接続2000(CDMA2000)、CDMA2000 1X(1xRTT)、広帯域符号分割多元接続(WCDMA(登録商標))、モバイルコミュニケーションのためのグローバルシステム(GSM(登録商標))、GSM(登録商標)エボリューションのための拡張データレート(EDGE)、時間分割同期符号分割多重アクセス(TD-SCDMA)、ロングタイムエボリューション(LTE)、進化ユニバーサル地上無線アクセスネットワーク(E-UTRAN)、エボリューションデータ最適化(EVDO)、高速パケットアクセス(HSPA)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、IEEEEE802.111(FI)、WiFIDI、802.16(WIMAX)、超広帯域(UWB)、赤外線(IR)プロトコル、近距離無線通信(NFC)プロトコル、Wibree、Bluetooth(登録商標)プロトコル、無線ユニバーサルシリアルバス(USB)プロトコル、及び/又は任意の他の無線プロトコルなどの様々なプロトコルのいずれかを使用して、無線外部通信ネットワークを介して通信するように構成され得る。
【0047】
図示されていないが、システムコンピューティングエンティティ102は、キーボード入力、マウス入力、タッチスクリーン/ディスプレイ入力、動作入力、移動入力、音声入力、ポインティングデバイス入力、ジョイスティック入力、キーパッド入力、及び/又は同様のものなどの、1つ以上の入力要素を含み得るか、又はそれらと通信し得る。システムコンピューティングエンティティ102はまた、音声出力、ビデオ出力、スクリーン/ディスプレイ出力、動作出力、移動出力、及び/又は同様のものなどの、1つ以上の出力要素(図示せず)を含み得るか、又はそれらと通信し得る。
【0048】
理解されるように、システムコンピューティングエンティティ102の構成要素のうちの1つ以上は、分散システム内など、他の構成要素から遠隔に配置され得る。更に、構成要素のうちの1つ以上は、集約され得、本明細書で説明される機能を実行する追加の構成要素は、システムコンピューティングエンティティ102に含まれ得る。したがって、システムコンピューティングエンティティ102は、様々なニーズ及び状況に対応するように適合されることができる。
【0049】
図3は、本開示の実施形態と併せて使用され得る例示的なクライアントコンピューティングエンティティ106の概略図を提供する。クライアントコンピューティングエンティティ106は、様々な当事者によって動作されることができ、システムアーキテクチャ100は、1つ以上のクライアントコンピューティングエンティティ106を含み得る。
図3に示されるように、クライアントコンピューティングエンティティ106は、アンテナ312、送信機304(例えば、無線)、受信機306(例えば、無線)、及び対応して、送信機304及び受信機306に信号を提供し、それらから信号を受信する処理要素308(例えば、CPLD、マイクロプロセッサ、マルチコアプロセッサ、コプロセッシングエンティ、ASIP、マイクロコントローラ、及び/又はコントローラ)を含むことができる。
【0050】
送信機304及び受信機306に提供され、受信された信号は、対応して、適用可能な無線システムのエアインターフェース規格に従ったシグナリング情報/データを含み得る。これに関して、クライアントコンピューティングエンティティ106は、1つ以上のエアインターフェース規格、通信プロトコル、変調タイプ、及びアクセスタイプで動作することが可能であり得る。より具体的には、クライアントコンピューティングエンティティ106は、システムコンピューティングエンティティ102に関して上述されたものなど、多くの無線通信規格及びプロトコルのうちのいずれかに従って動作し得る。特定の実施形態では、クライアントコンピューティングエンティティ106は、UMTS、CDMA 2000、1xRTT、WCDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、EDGE、TD-SCDMA、LTE、E-UTRAN、EVDO、HSPA、HSDPA、Wi-Fi、Wi-Fi Direct、WiMAX、UWB、IR、NFC、Bluetooth(登録商標)、USB、及び/又は同様のものなどの、複数の無線通信規格及びプロトコルに従って動作し得る。同様に、クライアントコンピューティングエンティティ106は、ネットワークインターフェース320を介してシステムコンピューティングエンティティ102に関して上述されたものなど、複数の有線通信規格及びプロトコルに従って動作し得る。
【0051】
これらの通信規格及びプロトコルを介して、クライアントコンピューティングエンティティ106は、非構造化補足サービスデータ(USSD)、ショートメッセージサービス(SMS)、マルチメディアメッセージングサービス(MMS)、デュアルトーンマルチ周波数シグナリング(DTMF)、及び/又は加入者識別モジュールダイヤラ(SIMダイヤラ)などの概念を使用して、様々な他のエンティティ(例えば、システムコンピューティングエンティティ102、記憶サブシステム104)と通信することができる。クライアントコンピューティングエンティティ106はまた、変更、アドオン、及び更新を、例えば、そのファームウェア、ソフトウェア(例えば、実行可能命令、アプリケーション、プログラムモジュールを含む)、及びオペレーティングシステムにダウンロードすることができる。
【0052】
一実施形態によれば、クライアントコンピューティングエンティティ106は、位置判定態様、デバイス、モジュール、機能性、及び/又は本明細書で交換可能に使用される同様の単語を含み得る。例えば、クライアントコンピューティングエンティティ106は、例えば、緯度、経度、標高、ジオコード、コース、方向、方位、速度、万国標準時(UTC)、日付、及び/又は様々な他の情報/データを取得するように適合された位置モジュールなどの屋外測位態様を含み得る。一実施形態では、位置モジュールは、視野内の衛星の数及びそれらの衛星の相対位置を識別することによって(例えば、全地球測位システム(GPS)を使用して)、エフェメリスデータとして知られることもあるデータを取得することができる。衛星は、地球低軌道(LEO)衛星システム、国防総省(DOD)衛星システム、欧州連合ガリレオ測位システム、中国コンパスナビゲーションシステム、インド地域航法衛星システム、及び/又は同様のものを含む様々な異なる衛星であり得る。このデータは、十進角(DD)、度分秒(DMS)、ユニバーサル横メルカトル図法(UTM)、ユニバーサル極ステレオグラフィック(UPS)座標系、及び/又は同様のものの様々な座標系を使用して収集されることができる。代替的に、位置情報/データは、セルラータワー、Wi-Fiアクセスポイント、及び/又は同様のものを含む、様々な他のシステムに関連してクライアントコンピューティングエンティティ106の位置を三角測量することによって判定され得る。同様に、クライアントコンピューティングエンティティ106は、例えば、緯度、経度、高度、ジオコード、コース、方向、方位、速度、時間、日付、及び/又は様々な他の情報/データを取得するように適合された位置モジュールなどの屋内測位態様を含み得る。屋内システムのいくつかは、RFIDタグ、屋内ビーコン又は送信機、Wi-Fiアクセスポイント、セルラータワー、近くのコンピューティングデバイス(例えば、スマートフォン、ラップトップ)、及び/又は同様のものを含む、様々な位置又は場所技術を使用し得る。例えば、そのような技術は、iBeacon(登録商標)、ジンバル近接ビーコン、Bluetooth低エネルギー(BLE)送信機、NFC送信機、及び/又は同様のものを含み得る。これらの屋内測位態様は、数インチ又は数センチメートル以内の誰か又は何かの位置を判定するために、様々な設定で使用されることができる。
【0053】
クライアントコンピューティングエンティティ106はまた、(処理要素308に結合されたディスプレイ316を含むことができる)ユーザインターフェース、及び/又は(処理要素308に結合された)ユーザ入力インターフェースを備え得る。例えば、ユーザインターフェースは、本明細書で説明されるように、システムコンピューティングエンティティ102からの情報/データの表示と相互作用し、それの表示を引き起こすために、クライアントコンピューティングエンティティ106上で互換的に実行され、及び/又はそれを介してアクセス可能な、本明細書で交換可能に使用されるユーザアプリケーション、ブラウザ、ユーザインターフェース、及び/又は本明細書で交換可能に使用される同様の単語であり得る。ユーザ入力インターフェースは、キーパッド318(ハード又はソフト)、タッチディスプレイ、ボイス/スピーチ又は動きインターフェース、又は他の入力デバイスなど、クライアントコンピューティングエンティティ106がデータを受信することを可能にする、多くのデバイス又はインターフェースのうちのいずれかを備えることができる。キーパッド318を含む実施形態では、キーパッド318は、従来の数値(0~9)及び関連キー(#、*)、並びにクライアントコンピューティングエンティティ106を動作させるために使用される他のキーを含む(又は表示させる)ことができ、アルファベットキーのフルセット又はアルファベットキーのフルセットを提供するためにアクティブ化され得るキーのセットを含み得る。入力を提供することに加えて、ユーザ入力インターフェースは、例えば、スクリーンセーバ及び/又はスリープモードなどの特定の機能をアクティブ化又は非アクティブ化するために使用されることができる。
【0054】
クライアントコンピューティングエンティティ106はまた、揮発性記憶装置若しくはメモリ322及び/又は不揮発性記憶装置若しくはメモリ324を含むことができ、これらは、埋め込まれることができ、及び/又は取り外し可能であり得る。例えば、不揮発性メモリは、ROM、PROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、MMC、SDメモリカード、メモリスティック、CBRAM、PRAM、FeRAM、NVRAM、MRAM、RRAM(登録商標)、SONOS、FJG RAM、Millipedeメモリ、レーストラックメモリ、及び/又は同様のものであり得る。揮発性メモリは、RAM、DRAM、SRAM、FPM DRAM、EDO DRAM、SDRAM、DDR SDRAM、DDR2 SDRAM、DDR3 SDRAM、RDRAM、TTRAM、T-RAM、Z-RAM、RIMM、DIMM、SIMM、VRAM、キャッシュメモリ、レジスタメモリ、及び/又は同様のものであり得る。揮発性及び不揮発性記憶装置又はメモリは、クライアントコンピューティングエンティティ106の機能を実装するために、データベース、データベースインスタンス、データベース管理システム、データ、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイルコード、解釈コード、マシンコード、実行可能命令、及び/又は同様のものを記憶することができる。示されるように、これは、システムコンピューティングエンティティ102、様々な他のコンピューティングエンティティ、及び/又は記憶サブシステム104と通信するために、エンティティに常駐している、又はブラウザ若しくは他のユーザインターフェースを通じてアクセス可能なユーザアプリケーションを含み得る。
【0055】
別の実施形態では、クライアントコンピューティングエンティティ106は、上記でより詳細に説明されたように、システムコンピューティングエンティティ102のものと同じ又は類似する1つ以上の構成要素又は機能を含み得る。認識されるように、これらのアーキテクチャ及び説明は、例示的な目的のみのために提供され、様々な実施形態に限定されない。
【0056】
様々な実施形態では、クライアントコンピューティングエンティティ106は、Amazon Echo、Amazon Echo Dot、Amazon Show、Google Home、及び/又は同様のものの、人工知能(AI)コンピューティングエンティティとして具現化され得る。したがって、クライアントコンピューティングエンティティ106は、ディスプレイ、カメラ、スピーカ、音声アクティブ化入力、及び/又は同様のものの入出力機構を介して、ユーザから情報/データを提供及び/又は受信するように構成され得る。特定の実施形態では、AIコンピューティングエンティティは、オンボードメモリ記憶モジュール内に記憶され、及び/又はネットワークを介してアクセス可能な、1つ以上の事前定義された実行可能プログラムアルゴリズムを含み得る。様々な実施形態では、AIコンピューティングエンティティは、事前定義されたトリガイベントの発生に応じて、事前定義されたプログラムアルゴリズムのうちの1つ以上を取得及び/又は実行するように構成され得る。
【0057】
IV.例示的なシステム動作
モデル生成モジュール
図4は、例示的なシステムコンピューティングエンティティ102のブロック図を提供する。様々な実施形態では、システムコンピューティングエンティティ102は、モデル生成モジュール410を含む。モデル生成モジュール410は、同様の外科的手術又は処置を受けた個人のコホート(例えば、外科的タイプコホート)についての履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて、コホート予測モデルを生成するように構成され得る。様々な実施形態では、モデル生成モジュール410はまた、コホート予測モデルを初期化又は訓練するように構成され得る。全ての外科的処置は、特定の身体系に対する物理的介入からなる。したがって、処置の種類は、関与する臓器、臓器系、又は組織、並びに侵襲性の程度を指定する。慢性又は持続的なPOPの発症に及ぼす外科手術の種類の影響は、当業者によってよく理解されている。より長く、より複雑な手術は、多くの場合、慢性疼痛発症のより高いリスクと関連しているが、そのパターンは、不規則であり、また、外科手術に関与する組織のタイプにも関連している。したがって、予測モデルは、外科コホートに固有であり得、したがって、システムコンピューティングエンティティ102(例えば、モデル生成モジュール410)は、コホート固有の予測モデル、又はコホート予測モデルを生成するように構成され得ることが理解され得る。具体的には、モデル生成モジュール410は、各々が多変量術中バイタルサインデータを含み、軽度又は重度の持続的なPOPの二項分類に関連付けられた履歴データオブジェクトに少なくとも部分的に基づいて、コホート予測モデルを生成するように構成され得る。
【0058】
したがって、
図5Aは、コホート予測モデルを生成及び初期化するためのプロセス500を提供する。様々な実施形態では、プロセス500の動作は、システムコンピューティングエンティティ102及び/又はモデル生成モジュール410によって実行され得、システムコンピューティングエンティティ102は、プロセス500の動作を実行するための、処理要素205、メモリ210、215、ネットワークインターフェース220、及び/又は同様のものの手段を備え得る。
【0059】
図5Aに例証されるように、プロセス500は、動作501を含む。様々な実施形態では、プロセス500は、動作501から開始する。動作501は、複数の個人を含むコホートの各々について履歴データオブジェクトを受信することを含む。各履歴データオブジェクトは、二項分類に関連付けられ、コホートの個人についての多変量術中バイタルサインデータを含む。様々な実施形態では、二項分類は、コホートの対応する個人が軽度又は重度の持続的なPOPを経験したかどうかの分類である。二項分類は、特定の術後期間、時間枠、時間ポイント、及び/又は同様のものに対応し得る。例えば、二項分類は、対応する個人が外科手術後30日で軽度又は重度の持続的なPOPを経験したかどうかの分類であり得るが、別の二項分類は、外科手術後90日についてであり得る。様々な実施形態では、各履歴データオブジェクトは、各々が異なる術後期間、時間枠、時間ポイント、及び/又は同様のものに対応する1つ以上の二項分類に関連付けられ得る。
【0060】
様々な実施形態では、多変量術中バイタルサインデータは、術中の期間を通して様々な異なるバイタルサイン変量タイプ(例えば、心拍数、呼吸一回換気量、血圧、血中酸素、及び/又は同様のもの)について収集されたデータを含む。様々な実施形態では、多変量術中バイタルサインデータは、血行動態データを含む。循環機能に対する外科的摂動と、それらを補償するための全身麻酔下での交感神経/副交感神経応答との間の動的相互作用は、術中の血行動態パラメータの変動に反映される。自律神経系が心拍数を増加又は減少させることによって心臓の機能を駆動するので、心拍数は、自律神経系を特徴付けるために使用されることができる。動脈血圧は、組織灌流の妥当性の不完全な推定値として使用され得る。血液中の酸素の量を測定する末梢毛細血管酸素飽和度(SpO2)はまた、術中の循環の状態、そしてその結果としての自律状態(自律神経系の状態)に関する関連情報を含む。呼吸は、基準心拍数における周期的な変動を遅らせ、血圧にも影響を与える。したがって、呼吸一回換気量及び呼気終末CO2のような呼吸関連パラメータは、自律状態に関する追加の情報を提供し、持続的なPOPのリスクに対する洞察を提供する。
【0061】
呼吸は、中枢に介在するメカニズムを通じて心拍数の変動と連動し、同時に大動脈圧、静脈還流、及び肺血管を機械的に摂動する。呼吸に起因する血圧の周期的変動は、自律的に媒介される圧受容器反射を通じて心拍数に影響を及ぼす。末梢血管抵抗の変動は、血管床が局所的な血流を調節して需要及び供給のバランスをとるため、恒常性に対する摂動の別の原因である。これらの変動は、血圧を摂動し、心拍数における代償的変動をもたらす。
【0062】
心拍数及び他の血行動態パラメータの短期的な変動を補償する交感神経及び副交感神経活動の周波数帯域を間接的に反映する血行動態パラメータの変動の周波数成分は、低周波数ピーク、中間周波数ピーク、及び高周波数ピークの3つの基本的なスペクトルピークに集中している。高周波ピーク(0.3~0.5Hz)は、呼吸周波数を表し、呼吸速度の変動に伴ってシフトする。中間周波数ピーク(0.09~0.15Hz)は、呼吸周波数よりも低い周波数で起こる血圧振動を表し、圧受容器反射の周波数応答に関連している。低周波ピーク(0.02~0.09Hz)は、血管運動神経性緊張における変動と関連付けられている。
【0063】
血行動態パラメータにおける変動の議論されたスペクトル特性は、主に、心血管応答を制御するための交感神経系及び副交感神経系並びにレニンアンジオテンシン系の活動と関連付けられており、具体的には、高周波(約0.1Hzを超える)で起こる血行動態変動は、副交感神経系の活動と関連付けられている。一方、より低い周波数での血行動態変動は、交感神経系及び/又は副交感神経系の統合活動を反映し得る。レニンアンジオテンシン系は、血圧、及び体液及び電解質のバランス、並びに全身の血管抵抗を調節するホルモン系である。この系の遮断は、低周波数の振幅を劇的に増加させることが示されている。
【0064】
したがって、術中の自律神経系の状態の包括的なビューを提供するために、多変量術中バイタルサインデータは、高いサンプリングレートで収集された血行動態パラメータデータを含む。例えば、いくつかの実施形態では、多変量術中バイタルサインデータは、毎秒1つのサンプルの割合で収集される。個人についての多変量術中バイタルサインデータは、心拍数、血中酸素レベル、呼気終末CO2、呼吸一回換気量、収縮期血圧、拡張期血圧、イソフルラン濃度、セボフルラン濃度、及び/又は同様のものについての定期的な測定値を含み得る。いくつかの他の実施形態では、多変量術中バイタルサインデータは、毎分1つのサンプルの速度で収集される。このサンプリングレートは、低周波数における狭帯域に分析を制限する。血行動態パラメータの観察可能な変化及び対応する外科的決定は、1分以上の間隔で発生するため、より低い周波数におけるこの狭帯域は、コホート予測モデルを発現させるために有益なままである。
【0065】
プロセス500は、動作502を更に含む。様々な実施形態では、動作502は、動作501に続き得る。動作502は、複数の第1の次元モードデータオブジェクト、複数の第2の次元モードデータオブジェクト、及び複数の第3の次元モードデータオブジェクトを生成するように、複数のデータオブジェクトを処理することを含む。
【0066】
様々な実施形態では、複数の履歴データオブジェクトは、三階テンソルであり得、含み得、集約され得、及び/又は同様のものであり得る。例えば、複数のデータオブジェクトは、外科的タイプコホートにおけるI
3の異なる患者にわたるI
1の術中バイタルサイン変量タイプ(例えば、心拍数、呼吸一回換気量)の記録を含み得、術中バイタルサインは、各患者についてI
2の時間ポイントで記録される。異なる時間ポイントの数にまたがる術中バイタルサイン記録は、この制約に適合するように共通の時間窓(例えば、I
2時間ポイント)にカットされ得る。したがって、複数の患者の多変量術中バイタルサインデータは、バイタルサインのI
1×I
2×I
3アレイ、
【数2】
などの三階テンソルとして表され得る。このテンソルの各メンバー
【数3】
は、患者i
3の時間ポイントi
2におけるバイタルサインi
1の記録値を示す。
【0067】
様々な実施形態では、複数のデータオブジェクトを処理することは、各患者についての多変量術中バイタルサインデータを個別に処理することを含む。例えば、1人の患者について、各バイタルサインi1及び時間ポイントi2についての値を保持する行列AI1XI2は、取得され、次いで処理され得る。かかる実施形態では、患者についての多変量術中バイタルサインデータを含む行列AI1XI2を処理することは、行列AI1XI2に対して特異値分解(SVD)技法を実行することを含む。
【0068】
式1は、元のデータ行列を近似するために、行列AI
1XI
2のSVDをR個の成分に提供する。
【数4】
式1において、○は、ベクトルの外積を示す。この分解は、I
1又はI
2の元の次元を有する元の高次元データを記述するためのR個の成分を有する低次元部分空間(新しい座標系)を提供する。rによってインデックス付けされた各成分は、バイタルサインにわたる係数、uri
1、及び時間ポイントにわたる係数uri
2を保持する。これらの係数は、長さI
1を有する第1の次元モードデータオブジェクトU
r及び長さI
2を有する第2の次元モードデータオブジェクトV
rに蓄積されることができる。これらの次元モードデータオブジェクトは、元のデータ行列内で発見された多変量一時的動態を表す。第1の次元モードデータオブジェクトは、多変量バイタルサイン(例えば、多変量モードデータオブジェクト)に関連し、第2の次元モードデータオブジェクトは、術中時間ポイント(例えば、一時的モードデータオブジェクト)に関連することが理解され得る。多変量及び一時的モードデータオブジェクトの各係数又は要素は、2つの重要な情報を含む。係数の絶対値は、そのモードについての特定のバイタルサインの(又は術中の時間ポイントの)貢献の尺度を提供する。係数が複素値である場合、実数部分及び虚数部分によって定義される角度は、その特定のモードに関連付けられた周波数で振動する他の係数又は要素に関連するその係数又は要素の位相の説明を提供する。
【0069】
様々な実施形態では、患者のコホートの各々についての行列AI1I2における多変量術中バイタルサインデータは、I1×I2I3行列に連結され得、それにより、SVD技法は、より大きな行列上で実行される。次いで、第1の次元モードデータオブジェクト及び第2の次元モードデータオブジェクトは、生成され、第2の次元モードデータオブジェクト(例えば、一時的モードデータオブジェクト)は、長さI2I3を有し得る。しかしながら、第2の次元モードのデータオブジェクトは、患者にわたる共通の一時的動態を捕捉しない場合がある。
【0070】
患者にわたる共通の一時的動態を捕捉するために、様々な実施形態では、高次特異値分解(HOSVD)技法は、元のデータテンソル
【数5】
上で直接実行され得る。式2は、患者のコホートの全てについての多変量術中バイタルサインデータを含むこのようなデータテンソルのHOSVDを提供する。
【数6】
【0071】
SVDに類似して、第1の次元モードデータオブジェクトU(1)は、術中バイタルサイン変量タイプ(例えば、多変量モードデータオブジェクト)にわたるプロトタイプのパターンであり得、U(2)は、術中時間ポイント(例えば、一時的モードデータオブジェクト)にわたる一時的動態であり得る。これらの多変量モードデータオブジェクト及び一時的モードデータオブジェクトは、コホートにおける全ての患者の間で共通である動態を表す。次いで、第3の次元モードデータオブジェクトU(3)は、多変量一時的動態のための患者固有の変動又は患者因子を表し得る。
【0072】
伝播動態を捕捉するために、実値である多変量術中バイタルサインデータは、
【数7】
のような複素値の三階テンソルを形成するために、ヒルベルト変換で増強される。様々な実施形態では、複素データは、任意の他の技法を使用して取得され得る。いくつかの実施形態では、次いで、HOSVD技法は、複素値テンソルX上で実行され得、式2は、複素値三階テンソルX上でHOSVD技法を実行した結果として生成される第1の次元モードデータオブジェクト、第2の次元モードデータオブジェクト、及び第3の次元モードデータオブジェクトを記述する際に正確なままであり、これは、本明細書では、複素HOSVD技法又は複素HOSVDとも呼ばれる。複素HOSVDは、位相に関連する追加の情報を運ぶ動的因子を識別する。結果として、例えば、第1の次元モードデータオブジェクトの各係数又は要素は、大きさ及び位相を含み、及び/又はそれらに関連付けられ得る。様々な実施形態では、第1の次元モードのデータオブジェクトの係数又は要素は、一回換気量バイタルサインタイプの寄与に関連付けられた係数又は要素を除いて、同じ位相を有する。したがって、複数の履歴データオブジェクトについての位相情報は、複素HOSVD技法を使用して複数の履歴データオブジェクトを処理することに少なくとも部分的に基づいて判定され得る。
【0073】
様々な実施形態では、第1の次元モードデータオブジェクト、第2の次元モードデータオブジェクト、及び第3の次元モードデータオブジェクトは、コホートにわたって著しく異なり、コホート内で相関し得る。例えば、多変量術中バイタルサインデータの進化的動態は、コホート間で有意に異なる少なくとも1つの一時的モードを有し、又はより具体的には、多変量術中バイタルサインデータに対して複素HOSVD技法を実行することは、少なくとも1つの第2の次元モードのデータオブジェクトが異なるコホート間で有意に異なることをもたらし得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、動作502は、複素値の三階テンソルXに少なくとも部分的に基づいて相関エントロピー行列を作成することと、相関エントロピー行列上で複素HOSVD技法を実行することとを含み、これは、本明細書では、ロバスト複素HOSVD技法又はロバスト複素HOSVDと呼ばれる。
【0075】
いくつかの実施形態では、相関エントロピー行列を作成することは、複素値三階テンソル
【数8】
を(I
1×I
2I
3)-行列X
(1)、(I
2×I
3I
1)-行列X
(2)、及び(I
3×I
1I
2)-行列X
(3)に展開することと、行列X
(1)、X
(2)、及び/又はX
(3)に少なくとも部分的に基づいてモーメント行列を作成することと、モーメント行列のうちの1つ以上に少なくとも部分的に基づいて相関エントロピー行列を作成することと、を含み得る。いくつかの実施形態では、相関エントロピー行列を作成することは、モーメント行列のうちの1つ以上に含まれるランダムプロセスに相互相関エントロピー関数を適用することを含む。相互相関エントロピー関数を適用することによって、各時間及びバイタルサインに関連付けられた血行動態応答の複素値は、再生核ヒルベルト空間(RKHS)に暗黙的にマッピングされることができる。RKHSは、Xの異なるモード行列展開に関連付けられたランダムプロセスの統計によって定義され得る。
【0076】
2つの確率的プロセス
【数9】
についての相互相関エントロピー関数は、式3のように定義されることができる。
【数10】
【0077】
式3において、E[・]は、確率的プロセスx
t及びy
tにわたる数学的期待を示す。k(・,・)は、マーサーの条件を満たす正定値核関数である。期待演算子の引数に核関数を使用することによって、相関エントロピーによって誘導されるカーネル空間は、新しいRKHSにマッピングされたデータの統計情報を含む。この手段によって、新しいRKHSにおける内積は、データが及ぶ空間のデータ統計に依存するメトリックを定義するが、ここでは代わりにマーサーカーネル空間が使用されるマハラノビス距離と同様に、全体的なデータ統計に応答する。相関エントロピーでは、データ統計は、内積の定義に入る。対称正定値核関数を選択することによって、式3は、対称な正定値関数となり、並進不変な類似性尺度を与える。追加的に、Moore-Aronszajnの定理によれば、相関エントロピー関数に関連付けられた一意のRKHSが存在する。従来の相関関数が必ずしも正定値ではないことを考えると、相関関数に関連付けられたそのようなRKHSは、存在しない。したがって、相互相関エントロピー関数の実質的な利点は、相互相関エントロピー関数が、類似性尺度の定義において一意のRKHSの構造を使用することである。相関エントロピー関数において使用される1つの共通の核関数は、式4によって与えられるガウスカーネルである。
【数11】
【0078】
式4において、σは、カーネル幅パラメータ又はカーネルサイズと呼ばれるデータの分散を表す。カーネル幅は、式3の類似性評価における高次モーメントの影響を制御する。カーネル幅σを大きくすることによって、高次モーメントは、急速に減衰し、最終的には二次モーメントが支配的になる。次いで、相互相関エントロピー関数は、従来の相関に帰着する。対照的に、σが小さすぎるとき、データポイントは、それ自体に類似だけである。この点で、核関数は、ディラックデルタ関数に近似し、相互相関エントロピー関数は、もはやデータの統計を特徴付けることはない。適切なカーネル幅を有する、相互相関エントロピー関数は、lp-ノルムのいずれかを推定するために、高次モーメントを重み付けする。
【0079】
相互相関エントロピー関数は、時系列におけるラグのペア間の類似性を定量化するという事実を相互相関エントロピー関数と共有する。術中のバイタルサインの時間変化する内容が多変量確率的プロセスを表すことを考慮すると、ロバスト複素HOSVD技法は、相互相関エントロピー関数に基づいて構築されることができる。
【0080】
いくつかの実施形態では、モーメント行列H
(1)は、Xの第1のモード行列展開である(I
1×I
2I
3)-行列X
(1)に少なくとも部分的に基づいて作成される。次いで、相互相関エントロピー関数は、式5において定義される(I
1×I
1)相関エントロピー行列V
(1)を生成するように、モーメント行列H
(1)に含まれるランダムプロセスに適用される。同様に、(I
2×I
2)相関エントロピー行列V
(2)及び(I
3×I
3)相関エントロピー行列V
(3)は、それぞれ、モーメント行列H
(2)及びH
(3)に含まれるランダムプロセスに相互相関エントロピー関数を適用することによって生成されることができ、モーメント行列H
(2)及びH
(3)は、それぞれ、Xの第2のモード行列展開及びXの第3のモード行列展開に少なくとも部分的に基づいて作成される。
【数12】
【0081】
いくつかの実施形態では、相関エントロピー行列上で複素HOSVD技法を実行することは、相関エントロピー行列の固有分解を含む。相関エントロピー行列は、RKHSにおける共分散行列に類似している。したがって、スペクトル理論に基づいて、正規直交基底の集合及び正の実固有値の集合が存在し、その結果、相関エントロピー行列は、この基底の集合において対角である。いくつかの実施形態では、固有の方向は、相関エントロピー行列の特異値分解を通じて抽出され得る。
【0082】
SVD手順を相関エントロピー行列に適用するために、データは、特徴空間においてゼロ平均でなければならない。いくつかの実施形態では、データは、相関エントロピー行列のエントリから情報交差ポテンシャルを減算することによってセンタリングされることができる。いくつかの他の実施形態では、グラム行列のエントリから平均値を除去するカーネル方法で広く使用されているアプローチは、用いられることができ、相関エントロピー行列をセンタリングするために修正されることができる。例えば、
【数13】
は、全てのエントリが1に等しい(I
1×I
1)行列を示すとする。相関エントロピー行列の中央バージョンは、式6のように定式化されることができる。
【数14】
【0083】
いくつかの実施形態では、固有ベクトルは、相関エントロピー行列の中央バージョンの特異値分解によって取得されることができる。例えば、固有ベクトルの第1の集合
【数15】
は、V
(1)cの特異値分解によって取得されることができる。同様に、固有ベクトルの第2の集合
【数16】
及び固有ベクトルの第3の集合
【数17】
は、それぞれ、相関エントロピー行列V
(2)c及びV
(3)cの中央バージョンの特異値分解によって取得されることができる。抽出された特異的ベクトルは、全術中バイタルサイン空間において利用可能な有意な多変量一時的記述子を提供し得、いくつかの実施形態では、多次元フィルタを形成し、術中バイタルサインを部分空間に投影するために、使用されることができる。
【0084】
いくつかの実施形態では、固有ベクトルの第1の集合は、第1の次元モードデータオブジェクトに蓄積されることができ、固有ベクトルの第2の集合は、第2の次元モードデータオブジェクトに蓄積されることができ、固有ベクトルの第3の集合は、第3の次元モードデータオブジェクトに蓄積されることができる。
【0085】
プロセス500は、動作503を更に含む。様々な実施形態では、動作503は、動作502に続き得る。動作503は、複数の第1の次元モードデータオブジェクト(例えば、多変量モードデータオブジェクト)及び複数の第2の次元モードデータオブジェクト(例えば、一時的モードデータオブジェクト)に少なくとも部分的に基づいて、コホート予測モデルを生成することを含む。
【0086】
いくつかの実施形態では、複素値テンソルX上に複素HOSVDを適用することを通じて抽出された第1の次元モードデータオブジェクト及び第2の次元モードデータオブジェクトは、生理学的動的相関を記述し、コホート予測モデルにおける複素バイタルサインの瞬時の位相で表現される個々の応答間の任意のリードラグ関係に対する洞察を提供するために、使用される。例えば、第1の次元モードデータオブジェクト及び第2の次元モードデータオブジェクトは、前述のように、様々な成分を形成するために(例えば、外積によって)組み合わされ得る。コホート予測モデルを生成するための最も顕著な多変量及び一時的因子を取得するために、フィッシャーランキング技法に少なくとも部分的に基づいたランク特徴法は、上位にランク付けされた多くの成分を選択するために、使用され得る。様々な実施形態では、上位3つのランク付けされた成分は、選択される。次いで、選択された成分を使用して、コホート予測モデルは、生成される。様々な実施形態では、コホート予測モデルは、n次元データマニホールド又は構造を含み、nは、選択された成分の数に対応する。例えば、コホート予測モデルは、三次元データマニホールドを含み、データマニホールドの三次元は、3つの選択された成分に少なくとも部分的に基づく。各コホート予測モデルは、異なる次元に少なくとも部分的に基づき得ることが理解され得る。例えば、整形外科手術コホートについてのコホート予測モデルは、術中の期間における後期の血中酸素レベルのアクティブ化を強く重み付けする次元、呼吸一回換気量のアクティブ化を強く重み付けする別の次元、及び術中の期間の早期及び後期の心拍数及び血圧の組み合わせのアクティブ化を強く重み付けする別の次元を有し得る。一方、胸部手術コホートのコホート予測モデルは、心拍数を強く重み付けする寸法と、血圧を強く重み付けする別の寸法とを有し得る。
【0087】
いくつかの他の実施形態では、相関エントロピー行列上に複素HOSVDを適用することを通じて抽出された第1の次元モードデータオブジェクト及び第2の次元モードデータオブジェクトは、生理学的動的相関を記述し、コホート予測モデルを使用して、術中のバイタルサインの動態が長期の術後疼痛発症にどのように関連付けられるかについての洞察を提供するために、使用される。いくつかの実施形態では、コホート予測モデルを生成するための最も顕著な多変量及び一時的因子を取得するために、フィッシャーランキング技法に少なくとも部分的に基づいたランク特徴法は、抽出された第1の次元モードデータオブジェクト及び/又は第2の次元モードデータオブジェクトから、上位にランク付けされた多くの成分を選択するために、使用され得る。いくつかの実施形態では、最高のフィッシャースコアを提供する上位3つのランク付けされた成分は、三次元データマニホールドを形成するために選択される。次いで、選択された成分を使用して、コホート予測モデルは、生成される。様々な実施形態では、コホート予測モデルは、n次元データマニホールド又は構造を含み、nは、選択された成分の数に対応する。例えば、コホート予測モデルは、三次元データマニホールドを含み、データマニホールドの三次元は、3つの選択された成分に少なくとも部分的に基づく。各コホート予測モデルは、異なる次元に少なくとも部分的に基づき得ることが理解され得る。
【0088】
前述のように、相関エントロピー行列を作成することは、モーメント行列のうちの1つ以上に含まれるランダムプロセスに相互相関エントロピー関数を適用することを含み、カーネル幅は、類似性評価における高次モーメントの影響を制御する。いくつかの実施形態は、一時的因子のまばらさと、最も顕著な固有方向(又は抽出された第1の次元モードデータオブジェクト及び/又は第2の次元モードデータオブジェクトからの最も顕著な成分)について取得されたフィッシャースコアの値との間の関係を示す。例えば、
図11に示されるように、フィッシャースコアは、非常に小さい及び非常に大きいカーネル幅について減少し、これは、カーネル幅の異なる集合について、抽出された上位10個の成分におけるフィッシャースコアの値がどのように変化するかを表す。
図9A及び
図9Bは、それぞれ、カーネル幅σ
1=7.82、σ
2=0.96及びσ
1=782.12、σ
2=96.65の2つの異なる集合を使用して取得された最初の3つの一時的因子を示し、ここで、σ
1及びσ
2は、モーメント行列V
(1)c及びV
(2)cに関連付けられたカーネル幅パラメータである。
図10は、最適なカーネル幅σ
1=78.21、σ
2=9.66を使用して取得された同じ一時的因子を示す。カーネル幅σ
1=78.21、σ
2=9.66を使用して達成された一時的因子は、カーネル幅σ
1=7.82、σ
2=0.96を使用して取得されたものよりも疎であり、カーネル幅σ
1=782.12、σ
2=96.65を使用して取得されたものよりも密度が高い。加えて、
図11に示されるように、非常に小さい及び非常に大きいカーネル幅について、フィッシャーコアは、異なる成分に分散され、これは望ましくない。一方、カーネル幅の最適な集合について、上位3つの成分は、最高のフィッシャースコアを含み、したがって、データのカテゴリ間の相違をモデル化するために優れた性能を示す。
【0089】
図5Aは、動作504を含むプロセス500を更に例証する。様々な実施形態では、動作504は、動作503に続き得る。動作504は、複数の第3の次元モードデータオブジェクト及び各二項分類に少なくとも部分的に基づいて、複数の履歴データオブジェクトでコホート予測モデルを初期化することによって、少なくとも部分的に基づいて、生成及び初期化されることを含む。前述のように、各履歴データオブジェクトは、二項分類に関連付けられ得る。履歴データオブジェクトの二項分類は、特定の術後期間、時間枠、時間ポイント、及び/又は同様のもので、数値スケールで平均疼痛強度を報告するコホートの対応する個人に少なくとも部分的に基づいて判定され得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、コホート予測モデルを初期化することは、各履歴データオブジェクトをコホート予測モデルのn次元マニホールドに投影することを含む。先に議論したように、各複素HOSVD成分は、コホートの個人にわたって指示的にアクティブ化された、共通の術中一時的動態(一時的因子)を有する、副血行動態パラメータ(多変量因子)を識別する。全体として、複素HOSVDモデルは、血行動態パラメータの異なる部分集合が術中の異なる時間にアクティブであり、そのコホートの個人にわたる変動が個々の動的変数を符号するという、外科手術動態(集団動態)の合理的なポートレートを明らかにする。
【0091】
いくつかの実施形態では、複素HOSVD技法が動作502において使用される場合、コホート予測モデルを初期化することは、複数の第3の次元モードデータオブジェクト、又は個々の患者因子に少なくとも部分的に基づいて、各履歴データオブジェクトの位相情報を修正することを更に含む。いくつかの実施形態では、動態のより良い表現のために、患者因子(例えば、第3の次元モードデータオブジェクト)に符号化されたコホート個人の個人の応答の各々の動的モードに(部分空間の1つの基底として)各々の主成分を関連付けることが有益であり得る。いくつかの実施形態では、共通の多変量一時的因子及びコホート個人の多変量一時的動態によって提供される座標系は、必ずしも同じではなく、正確に整列されていない。複素HOSVDの全ての因子が複素値因子であることを考えると、同定された多変量一時的動態の患者固有の変動は、患者因子を伴う多変量一時的動態の外積に現れるスケーリング及び回転調整を含む。
【0092】
各血行動態応答と抽出された多変量一時的動態との間の複素相関を比較するために、コホートの全ての個人について共通の座標系を有することが不可欠である。同時に、患者間の動的変動を考慮するために、いくつかの実施形態では、動態を回転させる代わりに、患者因子によって与えられる要素の複素共役は、コホート予測モデルのn次元マニホールドに投影する前に、血行動態応答(例えば、位相情報)をスケーリング及び回転させために、使用され得る。プロセスは、複素HOSVD成分ごとに別々に行われることができる。幾何学的な観点から、本プロセスは、点が記述される座標系を変更するパッシブ変換とは対照的に、点の位置が座標系内で変化するアクティブ変換と見なされることができる。
【0093】
したがって、いくつかの実施形態では、各履歴データオブジェクトについての位相情報は、複数の第3の次元モードデータオブジェクトに表される患者因子に少なくとも部分的に基づいて、修正され、回転され、変換され、及び/又は同様のものであり、その後、コホート予測モデルのn次元マニホールド(例えば、三次元マニホールド)に投影される。
【0094】
いくつかの実施形態では、コホート予測モデルの初期化は、次いで、コホート予測モデルを二項分類で訓練することを含む。例えば、線形判別分析(LDA)は、三次元マニホールド内で、軽度の持続的なPOPの二項分類を有する履歴データオブジェクトと、重度の持続的なPOPの二項分類を有する履歴データオブジェクトとの間で区別するために実行され得る。したがって、コホートの個人の血行動態応答を表す多変量術中バイタルサインデータの位相情報と、軽度又は重度の持続的なPOPとの間の関係は、判定され得る。
【0095】
前述のように、二項分類は、特定の術後期間、時間枠、時間ポイント、及び/又は同様のものに関連付けられ得る。例えば、第1の二項分類は、外科手術後(例えば、術後)30日での軽度又は重度の持続的なPOPと関連付けられ得、第2の二項分類は、外科手術後(例えば、術後)90日での軽度又は重度の持続的なPOPと関連付けられ得る。したがって、コホート予測モデルは、特定の術後期間、時間枠、時間ポイント、及び/又は同様のもので、位相情報と軽度又は重度の持続的なPOPとの間の関係を判定するために初期化され得る。様々な実施形態では、1つ以上のコホート予測モデルは、コホートについて生成され得、各コホート予測モデルは、特定の術後期間、時間枠、時間ポイント、及び/又は同様のものに関連付けられる。様々な実施形態では、1つのコホート予測モデルは、位相情報と、様々な術後期間、時間枠、時間ポイント、及び/又は同様のものとの間の関係を判定し、記憶し得る。したがって、プロセス500を通じて、コホート予測モデルは、外科的刺激に対する個人の応答の動態と、長期的な術後疼痛発症との間の連携を活用し得る。
【0096】
図6は、動作502に適用された複素HOSVDを有する6つの例示的なコホート予測モデルの一部を例証する。具体的には、
図6は、各々が対応するコホートについての履歴データオブジェクトの位相情報で初期化された様々な三次元マニホールド600(例えば、600A~F)を例証する。三次元マニホールド600は、複素値のテンソル上Xに複素HOSVDを適用することによって抽出される。前述のように、コホートは、外科的タイプコホートであり得る。例えば、三次元マニホールド600Aは、胸部手術コホートに対応し、三次元マニホールド600Bは、整形外科手術コホートに対応し、三次元マニホールド600Cは、膵臓/胆道手術コホートに対応し、三次元マニホールド600Dは、移植手術コホートに対応し、三次元マニホールド600Eは、泌尿器手術コホートに対応し、三次元マニホールド600Fは、結腸直腸手術コホートに対応する。様々な実施形態では、コホート予測モデルは、異なる外科的タイプコホートに対して生成及び初期化され得、また、人口統計学的コホートなどの他のコホートに関連付けられ得ることが理解されるであろう。
【0097】
三次元マニホールド600の各々に投影された後、様々な履歴データオブジェクトの位相情報は、
図6に示される。各履歴データオブジェクトはまた、軽度又は重度の持続的なPOPのいずれかに関連付けられている。したがって、LDAなどの判別分析技法を使用して、関係又は相関は、位相情報と軽度又は重度の持続的なPOPとの間で判定され得る。例えば、移植手術コホートのための三次元マニホールド600Dでは、重度の持続的なPOPの二項分類を有する履歴データオブジェクトは、マニホールドの第1の次元では負であり、マニホールドの第2の次元では正であり、マニホールドの第3の次元では負である位相情報を有するが、軽度の持続的なPOPの二項分類を有する履歴データオブジェクトは、マニホールドの第1の次元では正として投影される位相情報を有する。
【0098】
したがって、三次元マニホールド600の次元に投影された、及び/又はそれに関連した位相情報と、軽度又は重度のPOPの二項分類との間の関係は、判定され得る。いくつかの実施形態では、各履歴データオブジェクトは、持続的なPOPを示す非二項分類と関連付けられている。例えば、非二項分類は、持続的なPOP代表値の範囲内の数値であり得る。そのような実施形態では、コホート予測モデルは、位相情報と各非二項分類との間の関係を判定するために、マルチウェイ判別分析で初期化され得る。
【0099】
図8は、動作502に適用されたロバスト複素HOSVDを有する6つの例示的なコホート予測モデルの一部を例証する。具体的には、
図8は、各々が対応するコホートについての履歴データオブジェクトの位相情報で初期化された様々な三次元マニホールド800(例えば、800A~F)を例証し、三次元マニホールド800は、複素値テンソルXから生成された相関エントロピー行列上に複素HOSVDを適用することによって抽出される。前述のように、コホートは、外科的タイプコホートであり得る。例えば、三次元マニホールド800Aは、胸部手術コホートに対応し、三次元マニホールド800Bは、整形外科手術コホートに対応し、三次元マニホールド800Cは、膵臓/胆道手術コホートに対応し、三次元マニホールド800Dは、移植手術コホートに対応し、三次元マニホールド800Eは、泌尿器手術コホートに対応し、三次元マニホールド800Fは、結腸直腸手術コホートに対応する。上記のように、様々な実施形態では、コホート予測モデルは、異なる外科的タイプコホートに対して生成及び初期化され得、また、人口統計学的コホートなどの他のコホートに関連付けられ得ることが理解されるであろう。三次元マニホールド800の各々に投影された後、様々な履歴データオブジェクトの位相情報は、
図8に示される。各履歴データオブジェクトはまた、軽度又は重度の持続的なPOPのいずれかに関連付けられている。したがって、LDAなどの判別分析技法を使用して、関係又は相関は、位相情報と軽度又は重度の持続的なPOPとの間で判定され得る。したがって、三次元マニホールド800の次元に投影された、及び/又はそれに関連した位相情報と、軽度又は重度のPOPの二項分類との間の関係は、判定され得る。いくつかの実施形態では、各履歴データオブジェクトは、持続的なPOPを示す非二項分類と関連付けられている。例えば、非二項分類は、持続的なPOP代表値の範囲内の数値であり得る。そのような実施形態では、コホート予測モデルは、位相情報と各非二項分類との間の関係を判定するために、マルチウェイ判別分析で初期化され得る。
【0100】
予測モジュール
図4に戻って参照すると、システムコンピューティングエンティティ102は、様々な実施形態では、予測モジュール420を備え得る。予測モジュール420は、対象となる個人についてのリスク予測データオブジェクトを生成するように構成され得る。予測モジュール420によって生成されたリスク予測データオブジェクトは、対象となる個人が軽度又は重度の持続的なPOPを経験するかどうかの少なくとも尤度及び/又は分類を示し得る。したがって、様々な実施形態では、リスク予測データオブジェクトは、軽度又は重度の持続的なPOPの二項分類を含む。他の実施形態では、リスク予測データオブジェクトは、持続的なPOPの程度を示す非二項分類を含む。様々な実施形態では、リスク予測データオブジェクトは、特定の術後時間枠、時間ポイント、期間、及び/又は同様のもの(例えば、術後30日、術後90日)に関連付けられる。様々な実施形態では、リスク予測データオブジェクトは、信頼度スコアを含む。
【0101】
様々な実施形態では、予測モジュール420は、モデル生成モジュール410によって生成されたコホート予測モデルに少なくとも部分的に基づいて、リスク予測データオブジェクトを生成するように構成され得る。例えば、予測モジュール420は、対象となる個人の多変量術中バイタルサインデータ及び/又は多変量術中バイタルサインデータの位相情報を提供し、コホート予測モデルから分類(例えば、軽度又は重度の持続的なPOPの二項分類、持続的なPOPの程度の非二項分類)を受信するなどのために、モデル生成モジュール410と通信し得る。例示的な実施形態では、予測モジュール420は、モデルAPIを介してモデル生成モジュール410と通信し得る。
【0102】
したがって、システムコンピューティングエンティティ102(例えば、予測モジュール420)は、
図5Bに提供される動作のような、持続的なPOPを発症する個人のリスクを判定及び予測するための動作を実行するように構成されている。
図5Bは、個人が持続的なPOPを経験するかどうかの尤度及び/又は分類を示す個人についてのリスク予測データオブジェクトを生成及び判定するための例示的なプロセス510を例証する。様々な実施形態では、システムコンピューティングエンティティ102は、プロセス510の各動作を実行するための、処理要素205、メモリ210、215、ネットワークインターフェース220、及び/又は同様のものの手段を備える。
【0103】
図5Bに例証されるように、プロセス510は、動作511を含む。様々な実施形態では、プロセス510は、動作511から開始し得る。動作511は、個人についての予測入力データオブジェクトを受信することを含み、予測入力データオブジェクトは、その個人に関連付けられた多変量術中バイタルサインデータを含む。例えば、予測入力データオブジェクトは、別のコンピューティングエンティティからネットワークインターフェース220を介して受信され得る。別の実施例として、予測入力データオブジェクトは、ユーザインターフェースを介して受信され得る。様々な実施形態では、予測入力データオブジェクトは、API呼び出し又はクエリを介して受信され得る。
【0104】
前述のように、多変量術中バイタルサインデータは、異なるバイタルサイン変量タイプについての複数の術中時間ポイントにまたがるデータを含む。例えば、個人についての多変量術中バイタルサインデータは、心拍数、血中酸素レベル、呼気終末CO2、呼吸一回換気量、収縮期血圧、拡張期血圧、イソフルラン濃度、セボフルラン濃度、及び/又は同様のものについての定期的な測定値を含み得る。
【0105】
プロセス510は、動作512を更に含む。様々な実施形態では、動作512は、動作511に続き得る。動作512は、個人についての多変量術中バイタルサインデータを処理することを含む。様々な実施形態では、予測入力データオブジェクトを処理することは、多変量術中バイタルサインデータを(例えば、ヒルベルト変換技法を実行することによって)複素化することを含む。予測入力データオブジェクトの多変量術中バイタルサインデータでは1人の個人のみが表されるので、高次の技法(例えば、複素HOSVD)は、個人又は患者の次元が無関係であるため、必要ではない。しかしながら、様々な実施形態では、1人以上の個人についての持続的なPOPのリスク予測は、複素HOSVDを使用して位相情報を判定することによって同時に判定され得る。
【0106】
プロセス510は、動作513を更に含む。様々な実施形態では、動作513は、動作512に続き得る。動作513は、処理された(例えば、複素化された)多変量術中バイタルサインデータを、コホートに関連付けられたコホート予測モデルに提供することを含む。様々な実施形態では、処理された(例えば、複素化された)多変量術中バイタルサインデータは、予測入力データオブジェクトをコホートと関連付けることに少なくとも部分的に基づいて、コホート予測モデルに提供される。様々な実施形態では、コホートは、外科的タイプコホートである。例えば、予測入力データオブジェクトは、(i)胸部手術コホート、(ii)整形外科手術コホート、(iii)泌尿器科手術コホート、(iv)結腸直腸手術コホート、(v)移植手術コホート、及び(vi)膵臓/胆道手術コホートのうちの1つに関連付けられ得る。
【0107】
様々な実施形態では、予測入力データオブジェクトは、予測入力データオブジェクトが関連付けられるべきであるコホートを示す追加のデータと、延いては、予測入力データオブジェクトが提供されるべきであるコホート予測モデルとを含み得る。例えば、予測入力データオブジェクトは、予測入力データオブジェクトに含まれる医療記録及び/又は特定の外科的タイプへの指示に少なくとも部分的に基づいて、特定の外科的タイプコホートに関連付けられ得る。様々な実施形態では、予測入力データオブジェクトは、多変量術中バイタルサインデータの分析に少なくとも部分的に基づいて、コホートに関連付けられ得る。様々なバイタルサインデータパターンがいくつかの外科的タイプに特有に存在し得ること、したがって、例えば、外科的タイプコホートは、多変量術中バイタルサインデータに少なくとも部分的に基づいて判定され得ることが理解され得る。様々な実施形態では、予測入力データオブジェクトは、教師あり機械学習方法を実行することに少なくとも部分的に基づいて、特定の外科的タイプコホートに関連付けられ得、及び/又は特定の外科的タイプコホートとして分類され得る。
【0108】
したがって、予測入力データオブジェクトは、予測入力データオブジェクトに関連付けられたコホート、又は対象となる個人が属するコホートに関連付けられたコホート予測モデルに提供される。様々な実施形態では、コホートは、各々が特定の術後期間、時間枠、時間ポイント、及び/又は同様のものに関連付けられた1つ以上のコホート予測モデルと関連付けられ得、予測入力データオブジェクトは、異なる術後時間についての1つ以上のリスク予測データオブジェクトを生成するように、1つ以上のコホート予測モデルの各々に提供される。他の実施形態では、コホートは、異なる術後時間について持続的なPOPの分類を提供するように構成された1つのコホート予測モデルと関連付けられ得、予測入力データオブジェクトは、コホート予測モデルに提供される。
【0109】
図5Bに例証されるように、プロセス510は、動作514を更に含む。様々な実施形態では、動作514は、動作513に続き得る。動作514は、コホート予測モデルに少なくとも部分的に基づいて、リスク予測データオブジェクトを生成することを含む。様々な実施形態では、コホート予測モデルは、初期化されており、位相情報と持続的なPOPの分類(例えば、二項、非二項)との間の関係は、判定されている。したがって、予測データオブジェクトの処理された(例えば、複素化された)多変量術中バイタルサインデータの位相情報に少なくとも部分的に基づいて、対象となる個人についての持続的なPOPの予測されたリスクについての分類は、判定され、生成され得る。様々な実施形態では、リスク予測データオブジェクトは、個人についての持続的なPOPの予測されたリスクについての分類を含む。
【0110】
具体的には、前述のように、コホート予測モデルは、対象となる個人の複素化された多変量術中バイタルサインデータが投影され得る、n次元マニホールドを含み得る。様々な実施形態では、コホート予測モデルは、対象となる個人の複素化された多変量術中バイタルサインデータの投影に少なくとも部分的に基づいて、対象となる個人についての分類が判定され得るように、(例えば、動作504において)履歴データオブジェクトで初期化され得る。いくつかの実施形態では、個人についての分類は、複素化された多変量術中バイタルサインデータのn次元マニホールドへの投影の位相情報に少なくとも部分的に基づいて、判定され得る。いくつかの実施形態では、n次元マニホールド(例えば、三次元マニホールド600)内の軸は、判別分析(例えば、LDA)に少なくとも部分的に基づいて判定され得、個人についての分類は、n次元マニホールド内の対象となる個人の複素化された多変量術中バイタルサインデータの軸への投影の位相情報に少なくとも部分的に基づいて判定され得る。様々な実施形態では、個人についての軽度又は重度の持続的なPOPの二項分類は、判定され得る。様々な実施形態では、持続的なPOPの程度の非二項分類は、判定され得る。
【0111】
更に、対象となる個人についての持続的なPOPの予測されたリスクについての分類は、特定の術後期間、時間枠、時間ポイント、及び/又は同様のものに関連付けられ得る。例えば、コホート予測モデルは、位相情報と術後30日についての持続的なPOPとの間の関係を判定し得、その関係を使用して、対象となる個人についての術後30日での持続的なPOPの予測されたリスクについての分類を判定し得る。
【0112】
したがって、コホート予測モデルは、分類を提供し得、分類を含むリスク予測データオブジェクトは、生成され得る。様々な実施形態では、リスク予測データオブジェクトは各々が異なる術後時間に関連付けられた1つ以上の分類を含み、したがって、リスク予測データオブジェクトは、術後期間にわたって予測されたリスクを提供する。様々な実施形態では、リスク予測データオブジェクトは、分類又は予測における信頼度スコアを含む。様々な実施形態では、リスク予測データオブジェクトは、コホート予測モデルの選択されたn次元を含む。
【0113】
図5Bに例証されるように、プロセス510は、動作515を更に含む。様々な実施形態では、動作515は、動作514に続き得る。動作515は、個人についての1つ以上のリスク予測ベースのアクションを実行することを含む。様々な実施形態では、1つ以上のリスク予測ベースのアクションは、リスク予測データオブジェクト、個人が持続的なPOPを発症するかどうかの二項分類、及び/又は個人が軽度又は重度の持続的なPOPを発症するかどうかの二項分類を表示することを含む。様々な実施形態では、第1の次元モードデータオブジェクト及び第2の次元モードデータオブジェクトはまた、表示され得る。様々な実施形態では、1つ以上のリスク予測ベースのアクションは、リスク予測データオブジェクトを、個人に関連付けられたクライアントコンピューティングエンティティ106に送信することを含む。例えば、リスク予測データオブジェクトは、API呼び出しに応答してAPI応答において提供され得る。
【0114】
ここで
図7を参照すると、対象となる個人についての持続的なPOPのリスクを予測する一般的な概要のための
図700は、提供される。
図700に例証されるように、外科手術702の間の様々な因子は、多変量術中バイタルサインデータ706として明白にされた患者の自律状態704に影響を与え得る。例えば、外科的刺激及び入力、麻酔入力、並びに生理学的支援は全て、患者の自律状態704に影響を与え得る。患者の自律状態704は、多変量術中バイタルサインデータ706、又は外科手術702に対する観察された急性生理学的応答に反映される。
【0115】
例証されるように、動作710で、複素HOSVD技法は、多変量術中バイタルサインデータ706から位相情報を判定及び抽出するために、多変量術中バイタルサインデータ706に対して実行され得る。そのような位相情報は、次元モードデータオブジェクトなどの追加のデータとともに、動作712で視覚化及び/又は表示され得る。一方、動作710で複素HOSVD技法を実行することから判定された位相情報は、動作714で術後転帰を判定及び予測するために使用され得る。すなわち、個人が持続的なPOPを発症し得るかどうか、及び/又は個人が軽度又は重度の持続的なPOPを発症し得るかどうかの予測は、複素HOSVD技法から判定された位相情報に少なくとも部分的に基づいて、動作714で判定され得る。術後転帰の予測は、術後オピオイド必要量、又は他の投薬必要量を判定するためなど、更に処理又は適用され得る。
【0116】
V.コンピュータプログラム製品
本開示の実施形態は、製造品を構成するコンピュータプログラム製品を含む様々な方法で実装され得る。そのようなコンピュータプログラム製品は、例えば、ソフトウェアオブジェクト、方法、データ構造、及び/又は同様のものを含む1つ以上のソフトウェア構成要素を含み得る。ソフトウェア構成要素は、様々なプログラミング言語のいずれかでコード化され得る。例証的なプログラミング言語は、特定のハードウェアアーキテクチャ及び/又はオペレーティングシステムプラットフォームに関連付けられたアセンブリ言語などの低レベルのプログラミング言語であり得る。アセンブリ言語命令を含むソフトウェア構成要素は、ハードウェアアーキテクチャ及び/又はプラットフォームによる実行の前に、アセンブラによる実行可能なマシンコードへの変換を必要とし得る。別の例示的なプログラミング言語は、複数のアーキテクチャにわたって移植可能であり得る高レベルのプログラミング言語であり得る。高レベルのプログラミング言語命令を含むソフトウェア構成要素は、実行前にインタープリタ又はコンパイラによる中間表現への変換を必要とし得る。
【0117】
プログラミング言語の他の実施例は、マクロ言語、シェル又はコマンド言語、ジョブ制御言語、スクリプト言語、データベースクエリ又は検索言語、及び/若しくはレポート作成言語を含むが、これらに限定されない。1つ以上の例示的な実施形態では、プログラミング言語の前述の実施例のうちの1つにおける命令を含むソフトウェア構成要素は、最初に別の形式に変換されることなく、オペレーティングシステム又は他のソフトウェア構成要素によって直接実行され得る。ソフトウェア構成要素は、ファイル又は他のデータ記憶構造として記憶され得る。同様のタイプ又は機能的に関連するソフトウェア構成要素は、例えば、特定のディレクトリ、フォルダ、又はライブラリなどに一緒に記憶され得る。ソフトウェア構成要素は、静的(例えば、事前に確立された又は固定された)又は動的(例えば、実行時に作成又は変更された)であり得る。
【0118】
コンピュータプログラム製品は、アプリケーション、プログラム、プログラムモジュール、スクリプト、ソースコード、プログラムコード、オブジェクトコード、バイトコード、コンパイルコード、解釈コード、マシンコード、実行可能命令、並びに/又は同様のもの(本明細書では、実行可能命令、実行のための命令、コンピュータプログラム製品、プログラムコード、及び/若しくは本明細書で交換可能に使用される同様の用語とも称される)を記憶する非一時的なコンピュータ可読記憶媒体を含み得る。そのような非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、全てのコンピュータ可読媒体(揮発性媒体及び不揮発性媒体を含む)を含む。
【0119】
一実施形態では、不揮発性コンピュータ可読記憶媒体は、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、ソリッドステート記憶装置(SSS)(例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)、ソリッドステートカード(SSC)、ソリッドステートモジュール(SSM)、エンタープライズフラッシュドライブ、磁気テープ、又は任意の他の非一時的な磁気媒体、及び/又は同様のものを含み得る。不揮発性コンピュータ可読記憶媒体はまた、パンチカード、紙テープ、光学マークシート(又は穴のパターン若しくは他の光学的に認識可能な指標を有する任意の他の物理媒体)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク書き換え可能(CD-RW)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク(BD)、任意の他の非一時的な光学媒体、及び/又は同様のものを含み得る。そのような不揮発性コンピュータ可読記憶媒体はまた、読み取り専用メモリ(ROM)、プログラマブル読み取り専用メモリ(PROM)、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ(例えば、シリアル、NAND、NOR、及び/又は同様のもの)、マルチメディアメモリカード(MMC)、セキュアデジタル(SD)メモリカード、スマートメディアカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CF)カード、メモリスティック、及び/又は同様のものを含み得る。更に、不揮発性コンピュータ可読記憶媒体はまた、導電性ブリッジングランダムアクセスメモリ(CBRAM)、相転移ランダムアクセスメモリ(PRAM)、強誘電性ランダムアクセスメモリ(FeRAM)、不揮発性ランダムアクセスメモリ(NVRAM)、磁気抵抗性ランダムアクセスメモリ(MRAM)、抵抗性ランダムアクセスメモリ(RRAM(登録商標))、シリコン酸化物窒化物酸化物シリコンメモリ(SONOS)、浮遊接合ゲートランダムアクセスメモリ(FJG RAM)、Millipedeメモリ、レーストラックメモリ、及び/又は同様のものを含み得る。
【0120】
一実施形態では、揮発性コンピュータ可読記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、高速ページモードダイナミックランダムアクセスメモリ(FPM DRAM)、拡張データ出力ダイナミックランダムアクセスメモリ(EDO DRAM)、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダブルデータレート同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR SDRAM)、ダブルデータレートタイプ2同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(DDR2 SDRAM)、ダブルデータレートタイプ3同期ダイナミナミックランダムアクセスメモリ(DDR3 SDRAM)、Rambusダミックランダムアクアクアクセスメモリ(RDRAM)、ツイントランジスタRAM(TTRAM)、サイリスタRAM(T-RAM)、ゼロキャパシタ(Z-RAM)、Rambusインラインメモリモジュール(RIMM)、デュアルインラインメモリモジュール(DIMM)、シングルインラインメモリモジュール(SIMM)、ビデオランダムアクアクセスメモリ(VRAM)、キャッシュメモリ(様々なレベルを含む)、フラッシュメモリ、レジスタメモリ、及び/又は同様のものを含み得る。実施形態がコンピュータ可読記憶媒体を使用するように説明されている場合、他のタイプのコンピュータ可読記憶媒体が、上記のコンピュータ可読記憶媒体の代わりに、又はそれに加えて使用され得ることが理解されるであろう。
【0121】
理解されるべきであるように、本開示の様々な実施形態はまた、方法、装置、システム、コンピューティングデバイス、コンピューティングエンティティ、及び/又は同様のものとして実装され得る。したがって、本開示の実施形態は、データ構造、装置、システム、コンピューティングデバイス、コンピューティングエンティティ、及び/又は、特定のステップ又は動作を実行するために、コンピュータ可読記憶媒体に格納された命令を実行する同様のものの形式をとり得る。したがって、本開示の実施形態はまた、完全にハードウェアの実施形態、完全にコンピュータプログラム製品の実施形態、及び/又は特定のステップ又は動作を実行するコンピュータプログラム製品及びハードウェアの組み合わせを含む実施形態の形態をとり得る。
【0122】
本開示の実施形態は、ブロック図及びフローチャート図を参照して上記で説明されている。したがって、ブロック図及びフローチャート図の各ブロックは、コンピュータプログラム製品、完全なハードウェア実施形態、ハードウェア及びコンピュータプログラム製品の組み合わせ、並びに/又は、実行のためにコンピュータ可読記憶媒体上で命令、動作、ステップ、及び交換可能に使用される同様の言葉(例えば、実行可能命令、実行のための命令、プログラムコード、及び/若しくは同様のもの)を実行する装置、システム、コンピューティングデバイス、コンピューティングエンティティ、及び/若しくは同様のものの形式で実装され得ることを理解されたい。例えば、コードの取得、ロード、及び実行は、1つの命令が一度に取得され、ロードされ、及び実行されるように、順次実行され得る。いくつかの例示的な実施形態では、取得、ロード、及び/又は実行は、複数の命令が一緒に取得され、ロードされ、及び/又は実行されるように、並行して実行され得る。したがって、そのような実施形態は、ブロック図及びフローチャート図において指定されたステップ又は動作を実行する具体的に構成されたマシンを製造することができる。したがって、ブロック図及びフローチャート図は、指定された命令、動作、又はステップを実行するための実施形態の様々な組み合わせを支援する。
【0123】
VI.結論
本明細書に説明された実施例及び実施形態は、例証のみを目的としており、その観点からの様々な修正又は変更が当業者に示唆され、本出願の趣旨及び範囲内に含まれることを理解されたい。本開示は完全かつ包括的であると見なされるが、追加のコンテキスト及び洞察は、本明細書(本明細書の実施形態によるシステム、装置、及び方法を概して説明する)と一緒に添付された付録から収集され得る。付録A及びBにおける実施例及び実施形態はまた、例証的な目的のためでもあり、本質的に非限定的であることを理解されたい。付録A及びBの内容は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0124】
本明細書に記載された本開示の多くの修正及び他の実施形態は、本開示が関連する当業者に、前述の説明及び関連する図面に示される教示の利益をもたらすことを想起させるであろう。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変更及び他の実施形態は、添付の特許請求の範囲の概念の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。特定の用語は本明細書で用いられるが、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的のためではない。
【国際調査報告】