(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-12
(54)【発明の名称】溝を備える物品を付加製造するための方法
(51)【国際特許分類】
B22F 10/47 20210101AFI20240405BHJP
B22F 10/14 20210101ALI20240405BHJP
B22F 10/80 20210101ALI20240405BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20240405BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20240405BHJP
B29C 64/40 20170101ALI20240405BHJP
B29C 64/386 20170101ALI20240405BHJP
B33Y 50/00 20150101ALI20240405BHJP
B29C 64/165 20170101ALI20240405BHJP
【FI】
B22F10/47
B22F10/14
B22F10/80
B33Y10/00
B33Y30/00
B29C64/40
B29C64/386
B33Y50/00
B29C64/165
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023567921
(86)(22)【出願日】2022-05-06
(85)【翻訳文提出日】2023-12-22
(86)【国際出願番号】 EP2022062315
(87)【国際公開番号】W WO2022234105
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519208731
【氏名又は名称】サンドビック マシニング ソリューションズ アクティエボラーグ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ペーション, ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】グランディン, リーナ
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL55
4F213WL62
4F213WL85
4F213WW06
4K018CA44
(57)【要約】
溝を備える物品を付加製造するための方法が開示されている。本方法は、製造される物品のモデルを取得すること(202)を含み、物品は溝を備え、溝は、間に間隙を有する2つの側面を備える。本方法は、溝の側面を接続する支持体を付加することによってモデルを適合させること(204)と、適合されたモデルに基づいて物品を付加製造すること(206)とをさらに含む。本方法は、溝からルースパウダを除去すること(207)と、付加製造された物品を焼結すること(208)と、支持体を除去(210)し、それにより製造された物品を取得することをさらに含む。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溝を備える物品を製造するための方法であって、
製造される物品のモデルを取得すること(202)であって、物品は、間に間隙を有する2つの側面および床部分を備える溝を備える、モデルを取得することと、
溝の側面を接続する支持体を付加することによってモデルを適合させること(204)と、
適合されたモデルに基づいて物品を付加製造すること(206)と、
溝からルースパウダを除去すること(207)と、
付加製造された物品を焼結すること(208)と、
支持体を除去し(210)、それによって、製造された物品を取得すること、
を含む、方法。
【請求項2】
支持体が、溝の間隙の上方に位置付けられる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
支持体が、溝の大部分を覆う、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
支持体が、穴を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
支持体の寸法が、溝の特性に基づいて適合される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
焼結(208)中に溝の少なくとも一部が上方を向くように付加製造された物品を位置付けることをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
焼結(208)中に支持体が物品の上部に位置付けられるように付加製造された物品を位置付けることをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
支持体が、支持体が延在する平面内で物品の表面全体を実質的に覆うように適合される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
各々が溝の側面を接続する複数の支持体を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
支持体の厚さが、溝の幅の10%~50%である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
支持体が、焼結中に物品を支持するように適合された焼結支持体である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
溝を備える物品を付加製造するように動作する付加製造システム(600)であって、付加製造システム(600)が、
付加製造装置と、
処理回路(603)と、
メモリ(604)とを含み、
前記メモリ(604)が前記処理回路(603)によって実行可能な命令を含み、これにより前記付加製造システム(600)が、
製造される物品のモデルを取得することであって、物品は、間に間隙を有する2つの側面および床部分を備える溝を備える、モデルを取得すること、
溝の側面を接続する支持体を付加することによってモデルを適合させること、
適合されたモデルに基づいて物品を付加製造すること、
溝からルースパウダを除去すること、
付加製造された物品を焼結すること、および
支持体を除去し、それにより製造された物品を取得すること
のために動作する、
付加製造システム(600)。
【請求項13】
請求項2から11のいずれか一項に記載の方法の工程を実行するためにさらに動作する、請求項12に記載の付加製造システム(600)。
【請求項14】
付加製造システム(600)で実行されるコンピュータ可読コード手段を含むコンピュータプログラム(605)であって、前記コンピュータ可読コード手段が、付加製造システム(600)で実行されると、付加製造システム(600)に、以下の工程:
製造される物品のモデルを取得する工程であって、物品は、間に間隙を有する2つの側面および床部分を備える溝を備える、モデルを取得する工程、
溝の側面を接続する支持体を付加することによってモデルを適合させる工程、
適合されたモデルに基づいて物品を付加製造する工程、
溝からルースパウダを除去する工程、
付加製造された物品を焼結する工程、および
支持体を除去し、それにより製造された物品を取得する工程
を実行させる、コンピュータプログラム(605)。
【請求項15】
電子信号、光信号、無線信号またはコンピュータ可読記憶媒体のうちの1つである、請求項14に記載のコンピュータプログラム(605)を含むキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、特にバインダ噴射技術を使用して、溝を備える物品を付加製造するための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
3D印刷としても知られる付加製造は、一般に、特殊なシステムを使用して一度に1つの層を製造または印刷することを含む。特に、粉末材料の層を構築室の作業面上に堆積させ、同じまたは異なる材料の別の層と接合することができる。付加製造を使用して、バインダ噴射などの技術を使用してコンピュータ支援設計モデルから物品を製造することができる。
【0003】
付加製造工程が実行され、粉末組成物が成形されて接合された後、グリーン体が得られる。次いで、グリーン体に焼結を施し、熱および/または圧力をグリーン体に加える。焼結プロセス中に、粉末粒子が互いに融着して緻密化をもたらし、また収縮および/または変形を伴い得られた物品に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0004】
そのような変形が特に関連する1つのケースは、製造される物品が溝を含む場合である。溝が過度に変形されると、物品の機能が損なわれる可能性がある。
【0005】
今日、グリーン体の焼結中に生じる変形の問題に対処する方法は、例えば、付加製造される前に物品の寸法を変更することによって、事前に変形を補償することである。しかしながら、これは非常に困難であり、物品が正確にどのようにどの程度変形するかについての非常に詳細な知識を必要とする。
【0006】
焼結中に生じる変形が減少するように、溝を備える物品を付加製造するより良い方法を提供することが有益であろう。
【0007】
したがって、付加製造技術を使用して溝を備える物品を製造する場合に、改善の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
上記で概説した問題および論点の少なくともいくつかに対処することが本発明の論説である。本発明の実施形態の論説は、焼結中に生じる変形、特に溝の変形が減少するように、溝を備える物品を製造する方法を提供することである。
【0009】
一態様によれば、溝を備える物品を製造するための方法が提供される。本方法は、製造される物品のモデルを取得することを含み、物品は溝を備え、溝は、間に間隙を有する2つの側面を備える。本方法は、溝の側面を接続する支持体を付加することによってモデルを適合させることと、適合されたモデルに基づいて物品を付加製造することと、溝からルースパウダを除去することとをさらに含む。本方法は、付加製造された物品を焼結することと、支持体を除去し、それにより製造された物品を取得することをさらに含む。
【0010】
別の態様によれば、溝を備える物品を付加製造するように動作する付加製造システムが提供される。付加製造システムは、付加製造装置と、処理回路と、該処理回路によって実行可能な命令を含むメモリとを備える。付加製造システムは、製造される物品のモデルを取得するように動作し、物品は溝を備え、溝は、間に間隙を有する2つの側面を備え、溝の側面を接続する支持体を付加することによってモデルを適合させる。付加製造システムは、適合されたモデルに基づいて物品を付加製造し、溝からルースパウダを除去するようにさらに動作する。付加製造システムは、付加製造された物品を焼結し、支持体を除去するようにさらに動作し、それにより製造された物品を取得する。
【0011】
他の態様によれば、コンピュータプログラムおよびキャリアも提供され、その詳細は特許請求の範囲および発明を実施するための形態に記載される。
【0012】
この解決策のさらなる可能な特徴および利点は、以下の発明を実施するための形態から明らかになるであろう。
【0013】
ここで、例示的な実施形態により、および添付の図面を参照して、解決策をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】異なる実施形態による支持体を備える物品を示す。
【
図2】異なる実施形態による支持体を備える物品を示す。
【
図3】異なる実施形態による支持体を備える物品を示す。
【
図4】異なる実施形態による支持体を備える物品を示す。
【
図5】異なる実施形態による支持体を備える物品を示す。
【
図6】異なる実施形態による支持体を備える物品を示す。
【
図7】一実施形態による物品の製造方法のフローチャートである。
【
図8】一実施形態による付加製造システムの部品のブロック概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
簡単に説明すると、本開示は、付加製造技術を使用して、溝を備える物品を製造する方法に関する。本方法は、溝を有する物品のモデルを取得することと、溝の側面を接続する支持体を付加することによってモデルを適合させることとを含み、それにより物品の一部として支持体を備える適合されたモデルを取得する。本方法は、適合されたモデルに基づいて物品を付加製造することと、物品を焼結することと、次いで支持体を除去し、それにより支持部のない完成物品を取得することをさらに含む。
【0016】
本開示は、付加製造中に溝の側面を接続する支持体を付加し、物品を支持体の存在により焼結し、次いで物品が焼結された後に支持体を除去することによって、溝を備える物品をより良好に製造することができるという認識に基づいている。支持体の目的は、物品、特に溝の変形を低減し、焼結中のより直線的な収縮を達成することである。好ましくは、変形は可能な限り小さくなければならない。
【0017】
焼結プロセス中に溝が変形すると、通常、その後に溝の機械加工が必要になる。本明細書に開示される方法を使用することにより、焼結後に溝自体の機械加工をはるかに少なくするか、または全く必要としない方法で、溝を有する物品を付加製造することが可能になるか、または少なくともより容易になる。
【0018】
支持体は、付加製造工程中に物品を支持するために使用される支持体とは対照的に、焼結中に物品を支持するように適合された焼結支持体として見ることができる。
【0019】
本明細書に開示される方法およびシステムは、特にバインダ噴射技術を使用する場合、付加製造技術を使用して製造された溝を備える実質的に任意の物品上で使用するのに適している。
【0020】
ここで、
図1を参照すると、一実施形態による支持体を備える修正された物品が示されている。
【0021】
修正された物品100は溝110を備え、溝110は、間に間隙を有する第1の側面112および第2の側面114と、床部分116とを備える。修正された物品100は、溝の側面を接続する支持体120をさらに備え、支持体120は、物品の焼結後に除去されるように意図され、したがって完成物品の一部を形成するようには意図されていない。
【0022】
支持体120のサイズおよび位置は、製造される物品に基づいて適合させることができる。
図1の場合のように、支持体の幅が溝の延長部と比較して比較的小さい場合、支持体120は、溝全体に可能な限り多くの支持を与えるために、
図1の場合のように溝110の中心に位置付けられることが好ましい。
【0023】
図1に示すものなど、いくつかの実施形態では、支持体120の底部が物品100の上部と一直線になるように、支持体120は溝の上方に位置付けられる。
【0024】
図2に示すものなど、いくつかの実施形態では、支持体120の上部が物品100の上部と一直線になるように、支持体120は溝の内側に位置付けられる。
【0025】
いくつかの実施形態では、支持体120は、溝を可能な限り覆うように寸法決めされる。溝全体を支持体で覆うことが望ましいが、付加製造プロセスが完了した後、除去する必要がある溝内のルースパウダが存在する。支持体が溝全体を覆う場合、ルースパウダは除去できず、焼結が行われた後に溝のない物品が生じる。したがって、粉末が、ある場所で溝から出ることができる必要がある。
【0026】
図3は、穴125を備える支持体120を有する実施形態を示し、支持体120は、物品100の溝(支持体120によって覆われているため、図には示されていない)のほぼ全体を覆う。見られるように、
図3に示す実施形態では、支持体120自体ではなく、支持体120の穴125が、この実施形態では溝の中央に位置付けられることが好ましい。
【0027】
図4は、溝110に沿って位置付けられた複数の支持体120を備える別の実施形態を示す。複数の比較的小さい支持体を溝に沿って好ましくは比較的均一に位置付けることによって、物品の構造的支持体と粉末を除去するための穴との間のバランスを達成することができる。
【0028】
ここで
図5および
図6を見ると、支持体120が、支持体が延在する平面内に適合物品の実質的に平坦な表面を提供するように適合されている実施形態が示されている。いくつかの実施形態では、支持体は、支持体が延在する同じ平面内の物品の表面の実質的にすべてを覆うように適合される。
【0029】
図5は、支持体120が物品100の上面全体を覆う、
図1の支持体の一実施形態を示す。
【0030】
図6は、
図2の支持体の一実施形態を示し、支持体は、物品100の上面全体ならびに前側および後側の表面を覆う。
【0031】
図5および
図6に示す実施形態の1つの理由は、焼結が行われ、支持体が除去された後に機械加工しやすい平坦な表面を提供するためである。
図1/
図2または
図5/
図6の実施形態が使用されるかどうかは、焼結後に支持体120を除去するためにどの技術が使用されるかに依存し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、物品の溝は、物品の付加製造中に見られるように、少なくとも部分的に垂直方向に延在する。いくつかの実施形態では、物品の溝は、垂直方向から最大45度オフセットされた方向に延在する。いくつかの実施形態では、溝は実質的に垂直方向にのみ延在する。
【0033】
ここで、
図7を参照して、一実施形態による溝を備える物品の製造方法の各工程について説明する。方法は、コンピュータ実装方法であってもよい。方法は、付加製造システムによって実行されてもよい。
【0034】
本方法は、溝を備える物品のモデルを取得すること202を含む。モデルは、CADモデルなど、目的に有用な任意のタイプのモデルであってもよい。モデルは、例えばそれを生成するためのCADプログラムを使用することによって、または他の場所で生成されたCADモデルを取得することによって、任意の適用可能な方法で取得され得る。
【0035】
方法は、溝の側面を接続する支持体を付加することによってモデルを適合させること204をさらに含む。モデルは、好ましくは、そのようなモデルを取り扱うためのソフトウェアプログラム、例えばCADプログラムを使用して適合される。溝の側面を接続する支持体を有することによって、支持体は焼結プロセス中に物品を変形させるように作用する力に対抗し、および/または抵抗するので、溝は他の場合と同じ程度に変形しない。
【0036】
本方法は、適合されたモデルに基づいて物品を付加製造すること206をさらに含む。付加製造工程は、粉末が互いに接合されて物品を形成する任意の関連する付加製造技術を使用することを含む。物品は、適合されたモデルに基づいて付加製造されるので、得られたグリーン体は、付加された支持体を備える適合された物品になる。
【0037】
本方法は、溝からルースパウダを除去すること207をさらに含む。粉末は、焼結プロセス中に固化するため、焼結前に除去する必要がある。支持体が穴を含む実施形態では、除去工程207は、支持体の穴を通してルースパウダを除去することを含むことができる。
【0038】
本方法は、支持体を含む適合物品を焼結すること208をさらに含む。前述のように、支持体は、焼結中に物品、特に溝の変形を引き起こす力を少なくともある程度打ち消す。
【0039】
本方法は、支持体を除去すること210をさらに含み、こうして完成物品を取得する。支持体は付加製造工程中に添加されるので、物品を取得するために焼結後に当然除去する必要があり、そうでなければ、得られた物品は支持体を備える修正された物品となる。
【0040】
いくつかの実施形態では、支持体は、除去される前に、旋削加工またはフライス加工などの中間動作で使用されてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、本方法は、支持体を除去すること210の前に、中間動作のために支持体を使用することを含むことができる。
【0041】
いくつかの実施形態では、支持体は溝の間隙の上方に位置付けられ、支持体は溝の内側ではなく、溝の上方として見ることもできる。このように支持体を位置決めすることにより、焼結が実施された後、除去することが容易になる。理解されるように、間隙/溝の上にあると考えられるものは、溝がどの方向を向いているかに応じて変化する。例えば、
図4では、物品の側面に位置付けられた目に見える両方の支持体もまた、間隙の上方にあると考えられる。
【0042】
いくつかの実施形態では、支持体は、間隙の内側、好ましくは第1および第2の側面の頂部に可能な限り近接して位置付けられる。いくつかの実施形態では、支持体は、第1および第2の側面を、高さに差がなく、または少なくとも比較的小さな差で連続面に接続するように、間隙の内側に位置付けられる。いくつかの実施形態では、
【0043】
いくつかの実施形態では、支持体は溝の大部分を覆う。より多くの溝が支持体によって覆われているほど、より焼結中の変形に対抗または抵抗することができる。
【0044】
しかしながら、溝全体を覆いたくない他の理由、例えば焼結前に溝からルースパウダを除去する必要があることなどがあり得る。この目的のために、いくつかの実施形態では、支持体は穴を備えてもよい。いくつかのそのような実施形態では、支持体の穴は、支持体のほぼ中央に位置付けられる。
【0045】
いくつかの実施形態では、支持体の寸法は、溝の特性に基づいて適合される。溝の特性という用語は、例えば、溝の長さ、幅および高さを含むサイズ、溝の方向、物品上の溝の配置、物品の粉末の材料特性、および同様の情報を包含する。理解されるように、焼結中の変形を同様に減少させる場合、大きな溝は一般に、小さな溝よりも大きな支持体を必要とする。
【0046】
いくつかの実施形態では、溝の間隙の少なくとも一部は上方を向いており、これはまた、溝が上方を向いていると見ることもできる。方向「上方」は、本明細書では、焼結中に位置付けられる物品の上方方向を示すことを意図している。
【0047】
いくつかの実施形態では、本方法は、焼結208中に溝の間隙の少なくとも一部が上方を向くように物品を位置付ける工程を含むことができる。これは、付加製造工程206の後、および焼結工程208の前に、溝の間隙の少なくとも一部が上方を向くように付加製造された物品を位置付けることを伴い得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、支持体または支持体の少なくとも1つは、焼結中に物品がどのように位置付けられるかに関して、焼結中に物品の上部に位置付けられる。したがって、いくつかの実施形態では、本方法は、焼結中に支持体が物品の上部に位置付けられるように付加製造された物品を位置付けることを含む。これは、付加製造工程206の後、および焼結工程208の前に、支持体が物品の上部に位置付けられるように付加製造された物品を位置付けることを伴い得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、焼結中の物品の上方方向は、付加製造ステップ中の物品の製造方向と同じである。いくつかの実施形態では、方法は、付加製造工程206の間に、溝の少なくとも一部が製造方向に面するように物品を付加製造することを含む。いくつかの実施形態では、本方法は、付加製造工程206の間に、支持体が製造方向に見て、物品の上部に位置付けられるように物品を付加製造することを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、支持体は、溝のほぼ中心に位置付けられる。これは、支持体が溝の比較的小さな部分を覆う実施形態に特に関連する。
【0051】
いくつかの実施形態では、支持体を付加することによってモデルを適合させること204は、各々が溝の側面を接続する複数の支持体を付加することを含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、支持体の厚さは、溝の幅の10%~50%である。いくつかの実施形態では、支持体の厚さは、溝の幅の20%~30%である。
【0053】
いくつかの実施形態では、支持体の穴125は、粉末の最大粒径の直径の少なくとも3倍の直径を有する。いくつかの実施形態では、穴125は、粉末のD90として測定される、粉末の最大粒径の直径の5~10倍の直径を有する。
【0054】
いくつかの実施形態では、溝の幅、すなわち溝の第1の側面112と溝の第2の側面114との間の距離は、溝全体にわたって実質的に同じである。いくつかの実施形態では、溝の第1の側面112と第2の側面114との間の距離は、溝にわたって変化する。
【0055】
ここで、本開示による方法を実行するために動作する、一実施形態による付加製造システム600の一例を説明する。
【0056】
付加製造システム600は、本開示による方法ステップを実行するのに適した付加製造装置を備える。そのような付加製造装置は、少なくとも粉末床と、粉末を供給するための手段と、粉末を互いに融着させるための手段とを備える。理解されるように、付加製造装置は、付加の構成要素もさらに備えてもよい。いくつかの実施形態では、付加製造装置は、バインダ噴射プリンタであってもよく、粉末を一緒に使用する手段は、粉末床にバインダを分配する手段である。付加製造システムは、物品を焼結するための手段をさらに備え、物品から粉末を除去するための手段をさらに備えてもよい。
【0057】
ここで
図8を参照すると、一実施形態による付加製造システム600の部品のブロック概略図が示される。付加製造システム600は、処理回路603およびメモリ604を備える。処理回路603は、命令を実行するように適合された、1つまたは複数のプログラマブルプロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、またはこれらの組み合わせ(図示せず)を備えてもよい。メモリは、前述の処理回路によって実行可能な命令を含み、それによって付加製造システム600は、製造される物品のモデルを取得するように動作し、物品は溝を備え、溝は、間に間隙を有する2つの側面を備える。付加製造システム600は、溝の側面を接続する支持体を付加することによってモデルを適合させ、適合されたモデルに基づいて物品を付加製造し、溝からルースパウダを除去するようにさらに動作する。付加製造システム600は、付加製造された物品を焼結し、支持体を除去するようにさらに動作し、それにより製造された物品を取得する。
【0058】
方法を実行する付加製造システム600は、装置のグループであってもよく、方法を実行するための機能は、システムの異なる物理的または仮想的な装置に分散される。言い換えれば、付加製造システム600は、クラウドソリューションであってもよく、すなわち、付加製造システム600は、システム内に分散され得るクラウドコンピューティングリソースとして展開されてもよい。
【0059】
一実施形態によれば、付加製造システム600は、本明細書に記載の方法ステップのうちの任意の他のステップを実行するようにさらに動作する。
【0060】
他の実施形態によれば、付加製造システム600は、付加製造システムの他の部分と通信するための従来の手段を備えると考えることができる通信ユニット602をさらに備えることができる。前述の処理回路603によって実行可能な命令は、例えばメモリ604に格納されたコンピュータプログラム605として配置されてもよい。処理回路603およびメモリ604は、部分構成601に配置されてもよい。部分構成601は、マイクロプロセッサおよび適切なソフトウェアおよびストレージ、したがってプログラマブルロジックデバイス、PLD、または上述の方法を実行するように構成された他の電子部品(複数可)/処理回路(複数可)であってもよい。
【0061】
コンピュータプログラム605は、付加製造システム600で実行されると、付加製造システム600に付加製造システム600の記載された実施形態のいずれかに記載された工程を実行させるコンピュータ可読コード手段を含むことができる。コンピュータプログラム605は、処理回路603に接続可能なコンピュータプログラム製品によって搬送されてもよい。コンピュータプログラム製品は、メモリ604であってもよい。メモリ604は、例えば、RAM(Random-access memory(ランダムアクセスメモリ))、ROM(Read-Only Memory(読み出し専用メモリ))、またはEEPROM(Electrical Erasable Programmable ROM(電気的消去可能プログラマブルROM))として実現されてもよい。さらに、コンピュータプログラムは、CD、DVD、またはフラッシュメモリなどの別個のコンピュータ可読媒体によって搬送されてもよく、そこからプログラムをメモリ604にダウンロードすることができる。代替で、コンピュータプログラムは、通信ユニット602を介してアクセスできる付加製造システム600に接続されたサーバまたは任意の他のエンティティに格納されてもよい。次いで、コンピュータプログラムをサーバからメモリ604にダウンロードすることができる。
【0062】
上記の説明は複数の特異性を含むが、これらは本明細書に記載された概念の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、単に記載された概念のいくつかの例示的な実施形態の例示を提供するものとして解釈されるべきである。本明細書に記載の概念の範囲は、当業者に明らかになり得る他の実施形態を完全に包含し、したがって、本明細書に記載の概念の範囲は限定されるべきではないことが理解されよう。単数形の要素への言及は、明示的に述べられていない限り、「唯一の1(one and only one)」を意味するものではなく、むしろ「1以上(one or more)」を意味するものである。当業者に知られている上記の実施形態の要素に対するすべての構造的および機能的等価物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、本明細書に包含されることが意図される。さらに、装置または方法は、本明細書に包含されるために、本明細書に記載された概念によって解決しようとするあらゆる問題に対処する必要はない。例示的な図において、破線は、一般に、破線内の特徴が任意であることを意味する。
【国際調査報告】